第141回 放送と青少年に関する委員会

第141回 – 2013年1月

東海テレビ『幸せの時間』を審議。局との意見交換を基に要点を議論

第141回青少年委員会は1月22日に大阪で開催され、まず第140回委員会で実施した東海テレビ『幸せの時間』の制作者との意見交換について審議した。次いで、12月11日から1月15日までに寄せられた視聴者意見について討論した。また、1月に寄せられた中高生モニター報告について審議し、あわせて2013年3月17日に開催する「中高生モニター会議(案)」について担当委員と事務局から説明し了承された。
委員会終了後、午後3時から6時まで、大阪・朝日放送アネックス3階で、青少年委員会初のNHKを含む在阪準キーテレビ6局の制作担当者たちと青少年委員との意見交換会を開催した。

議事の詳細

日時
2013年1月22日(火)12時45分~14時45分
場所
朝日放送アネックス3階B会議室
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

※委員会終了後、青少年委員会として東京以外で初めての意見交換会を1月22日午後3時から大阪・朝日放送アネックス3階A会議室で開催した。

東海テレビ『幸せの時間』についての審議

青少年委員会は、1月18日に東海テレビの制作・編成責任者と行った『幸せの時間』に関する意見交換を受けて、下記のとおり「青少年委員会の受け止め」をBPO報告に掲載することとした。また、委員会は東海テレビに対し、改めて「今後に向けて」とする要請を行うことを決定した。

◆東海テレビとの意見交換を受けて、BPO青少年委員会の受けとめ

東海テレビは、平日午後1時半から2時のお昼のドラマ枠で約半世紀の経験とノウハウを蓄積し、そのクリエイティビティーに対しても多方面から高い評価を受けてきました。『幸せの時間』も一話たりとも見逃せない物語の展開で多くの視聴者を惹きつけたことは事実です。
ただ、性的シーンに対しては、その表現の過激さへの戸惑いや不快感、子どもが見る可能性があることへの困惑や怒りなどの視聴者意見が、東海テレビやBPOに数多く寄せられました。東海テレビからは、性的シーンは「これまでの延長線上」の演出であり、新たな性表現に挑戦するような意図はなかったとの説明がありましたが、性描写の許容範囲は社会環境に応じて時々刻々と変化していくものであることを考えれば、「これまでの延長線上」が必ずしも社会通念を逸脱しないことを保証するものにはならないでしょう。
では、何が問題であったのか。私たちはまず第一に、地上波のもつ公共性についての認識が制作現場で十分に共有されていなかったことが、今回の問題の根底に存在しているのではないかと考えます。課金システムによって視聴する映画やCS放送等の有料の放送と地上波放送とでは、メディアとしての特性に大きな差異が存在します。表現上の制約も自ずと異なり、映像表現として同列に判断することはできません。リアリティーを追求するという目的があったとしても、誰もが自由に視聴できる地上波放送であることに配慮したものでなくてはなりません。
東海テレビからは、個別のシーンではなく全体を視聴してから判断してほしいという要望が繰り返しなされましたが、全体のメッセージが正しければ、表現に多少の逸脱があってもいいと考えておられるのではないかと危惧します。たとえ『幸せの時間』という作品全体のテーマや文脈が理解されていたとしても、視聴者からは、個々の場面に関して受け入れがたいという意見が数多く存在していたことは明らかでしょう。
とはいえ、性表現には、どこまでが可能かと認定する明確な基準は存在しません。課金システムによって視聴する映画などの基準を地上波に適用することも適切ではありません。私たちが判断の手がかりとできるのは、「民放連放送基準」および、それに準拠して各社が定める「番組基準(放送基準)」、視聴者意見、さらにBPOや番組審議会を含む社内外のコンプライアンス組織の意見です。
東海テレビが組織した自主的な機関「オンブズ東海」では、昨年12月の委員会で『幸せの時間』が議題となり、「テレビは映倫のように18歳未満禁止やR指定などの制約が無いからこそ、自ら良識的な判断に基づき制約や節度を持つべき。昼の帯ドラマの性的表現に視聴者から多数の苦情が出ていることは重く受け止めなければならない」との意見が委員より出されています。こうした組織の意見は、十分に尊重されるべきでしょう。
一方、「民放連放送基準」およびそれに準拠して各社が定める「番組基準」が規定する性表現は、時代や社会状況、それに伴う価値観や倫理観の変化によっていかようにも解釈されうる幅をもっています。つまり、絶対的な基準ではありません。だからこそ、放送局は、放送・表現の自由を守るためにも、具体的な事例を積み重ねながら、その解釈と運用を自主的に検討し、社会に問う作業を続けていくことが求められるでしょう。
そこで、私たちは、東海テレビの地上波の公共性についての考え方を確認した上で、個々の性的シーンがなぜ放送可能と判断されたのかを問い、東海テレビの性的表現についての現在の判断基準がどこにあるのかを確認しようとしたわけですが、得られた回答は、物語の流れや演出上の必要性から採用を決めたというもので、個々のシーンが社会的な許容限度を踏み外していないかどうかとか、表現上にもっと工夫や配慮が必要かどうかといった議論が行われたかは定かではありませんでした。つまり、一貫して、制作者の立場からのみの判断であり、子どもを含む視聴者の受け止め方についての検討や、民放連放送基準や東海テレビの放送基準との照合といった、作品から一歩引いた客観的な視点からの確認作業がどのように行われたのかについては明確でなく、十分に得心できませんでした。
表現の自由を守ることが最大限に尊重されるべきであることは当然です。しかし、長年の経験や評価にあぐらをかき、昼のドラマの視聴者層にはこれぐらいはやっていいという思い込みや惰性がなかったといえるでしょうか。また、FNS系列午後帯の視聴率向上のためには、多少過激な性表現で話題になることも必要という認識がなかったといえるでしょうか。
表現の自由は、表現者の肩にかかっています。公共性の高い地上波の表現者が、確たる信念もなく、一定の基準を逸脱した表現を行うことは、地上波における表現の自由に自ら枷をはめ、ともすれば、視聴者を愚弄していると受けとめられる危険性があるということを自覚していただきたいと思います。
なお、第8回放送以降、視聴者意見やマスメディアの報道を受けて改編を行った経緯について十分な説明はありませんでしたが、放送局の自主・自律を保持するという意味で、当該局の判断を評価します。

◆今後に向けて~東海テレビへの要請

BPO青少年委員会の使命は、放送局と視聴者をつなぐ回路になりながら、放送局が自主自律的な判断を行うことを促すことです。今回の事案でも、青少年委員会との意見交換の中で出された様々な意見を参考にしながら、東海テレビが自律的な判断と総括を行うことを期待しています。そこで、以下の点について社内で十分に議論し、そこで得られた総括の内容を改めて報告していただくことを要請します。

  • 青少年委員会が意見交換で提示した様々な意見を受けて、社内で行われた議論と検討の内容について詳しく報告してください。
  • 今後、今回のような問題を繰り返さないために、どのような体制やシステムを構築するか、取りまとめた再発防止策について具体的にお示しください。
  • 地上波の公共性に関する東海テレビの認識についてご説明ください。
    以上について、社内で十分な議論を行った上で青少年委員会にその結果を、次回委員会が開催される2月26日までにお送りください。

視聴者意見について

担当委員および事務局よりその他の視聴者意見の概要等の報告を受けたうえで討論し、審議対象とするべき番組はなかった。

中高生モニター報告

12月から2月までは「バラエティー・クイズ・音楽」番組のジャンルを取り上げ、1月は最近見た番組の中で、面白そうだと思って見たものの「期待外れだった」「面白くなかった」番組を選んで具体的な分析をまじえて書いてもらい、30人から報告があった。
新聞の番組欄を熟読して選んで見るので「期待外れは無かった」「僕はバラエティー番組を見るとたいてい面白いと思ってしまう」などの意見もあったが、21の番組について「面白くなかった」という報告が届いた。
年末に放送された『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!大晦日年越しSP!!』(日本テレビ)には4人から意見が寄せられ、「面白かったが途中から時代設定が変わってしまったのが残念」「テレビで流すには下品なシーンがありもったいなかった」など、全体では好意的に受け取られているものの、一部に不満が残るという報告だった。
また、『史上空前!笑いの祭典 ザ・ドリームマッチ2013』(TBSテレビ)も3人から意見が寄せられ「年々クオリティーが下がっている」「ほとんどの組み合わせが面白くなかった」などの厳しい意見とともに、「番組構成は面白いので、ネタ決めの時の雰囲気に気をつけて」など建設的な意見もあった。
特定の番組を挙げてはいないが、「とにかく時間が長すぎる」「痛みで笑いをとる番組は嫌いです」「全ての局が同じようなことをしている」「ドッキリの番組は面白くない」などの意見が寄せられている。
『NHK紅白歌合戦』には「演歌のバックダンサーに若手アイドルを使っているのに違和感を覚えた」という意見がある一方、年末年始の番組の中で「気になった」番組についてたずねた<自由記述>には9人が『NHK紅白歌合戦』について意見を寄せ、「アイドルばかりではなく古い時代のことを忘れないでほしい」という意見もあったが、おおむね好意的な報告だった。

【主な意見】

  • 「僕は新聞の番組欄などを熟読して、“これだっ”と思う番組を選んで見ているので、実はあまり期待外れだったり、面白くなかった番組というのはありません。それよりも、番組を作る人たちは、よくもこんなに面白い番組を作るなぁと思って見ていることの方が多いです。しかし、“またこの人か”とか“この企画はどこかで見た事があるなぁ”と思うことが少なくありません。年末年始の番組でいえば、どの番組を見ても司会者や出演者が同じ気がしました。」
    (神奈川・中学2年男子)
  • 「期待していたけれど、面白くなかった番組は『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』(日本テレビ)の大みそかに放送した「笑ってはいけない」シリーズです。昨年見た時には、この番組も面白いと感じたのですが、今年はテレビで流すには下品なシーンがあり、全体としては面白かったのにもったいないと思いました。大みそかは子どもも夜遅くまで起きて、家族だんらんという日だと思うので、家族みんなで楽しく見られる番組があればいいなと思いました。最近のバラエティー番組では、夜ごはんの時間帯にそぐわない番組が放送されていることが多いので、放送局の方にも考えてほしいなと思いました。」
    (神奈川・高校2年女子)
  • 「『史上空前!笑いの祭典 ザ・ドリームマッチ2013』(TBSテレビ)は私にとって毎年見ている番組ですが、なんとなく毎年クオリティーが下がっているように感じます。“先輩後輩の年齢差コンビ”や、“異性コンビ”、“ネタをいつも書いている、書いていないコンビ”など、コンビを作る方法を変えてみるのも、面白くなるのではないかと思いました。また、今ではTBS本社での打ち合わせが主となり、お笑いの発表以外の笑いがなくなってしまいました。毎年一回のイベント番組だからこそ、力を入れて作ってほしいと思います。」
    (東京・中学3年女子)
  • 「僕は、『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ)という番組が好きではありません。この番組ではいろいろな企画がありますが、僕が嫌いなのは“お金”を使うものです。僕は痛みで笑いを取る番組は嫌いです。しかし、人のお金で笑いを取るような番組はもっと嫌いです。こんな罰ゲームのようなものでしか笑いをとれないようなら、芸人として失格でしょう。とても不快でなりません。」
    (東京・中学3年男子)
  • 「僕は“期待外れ”を通り越して“怒り”を覚える番組があります。それは、『世界は言葉でできている』(フジテレビ/関西テレビ)です。深夜に放送していた時の評判は聞いていて、“偉人の名言を超えた言葉を作る”というコンセプトがとても素敵に思えました。だから、ゴールデン枠に昇格したので見やすい時間に見られると、とても楽しみにしていました。それなのに、たったの5回で打ち切りになりました。フジテレビの社長さんは、“『世界は言葉でできている』のような番組でも、視聴率が取れるようにしなければならない。”と会見で言っていたはずではないのでしょうか!今回の打ち切り劇には非常にがっかりしています。」
    (大阪・高校2年男子)
  • 「前振りが長い番組は見ていて面白くないなと思います。これはバラエティー番組に多いですが、前振りで番組の面白いところをほとんど流してしまうと、結末が見えたりして、展開を読む楽しさもなくなってしまいます。もうひとつ、面白くないと思える番組はコマーシャルが多すぎる番組です。コマーシャルが多いと、内容がだんだん分からなくなるし、正直少しいらだってきます。ですから、そのような番組は見ていません。」
    (宮城・中学1年女子)
  • 「私は“ドッキリ番組”が面白いとは思えません。特に、人を怒らせようとしているドッキリ番組は嫌いです。カメラが回っていなかったらいじめになるのではという企画が、大嫌いです。怒ることは、物事を解決するための意思表示の一つだと思います。自分が怒っていると伝え、相手に反省を促したり、周りの人に事態を改善してもらおうと訴えかける行動です。それを笑うための対象物として見始めると、見る側と怒っている側に壁ができ、“怒っている”ことが無視されます。最近はテレビだけではなく、学校の中でも“悪ふざけ”(ドッキリ)を行い、行われた人が怒ると“なにマジになってんの”と笑われます。自分が“止めてくれ”という意思を訴えているのにそれが笑われるのはとても悲しいことです。私はドッキリを見ていると“優劣の意識”を感じます。“仕掛け”を知っている人は知らない人を同じ地平でみていなく、相手の怒りが届いていないのと同様にこちらの笑いも相手に届いていないという思いが感じられます。それはあまり気持ちの良いものではないので、私はドッキリ番組を見ません。」
    (北海道・中学3年女子)
  • 「私が最近見た番組の中で面白くないなと思った番組は『ザ!世界仰天ニュース』(日本テレビ)と『奇跡体験!アンビリバボー』(フジテレビ)の2つです。どちらも実際にあった話を再現映像などのVTRとともに、MCとゲストのトークなどで進められる番組です。しかし、内容は“あれ?前どこか見たことあるような”とか“前回と似ているような…”と思うようなことがよくあります。そして、2つの番組の出演者以外の違いがはっきり分らず、とても似ているなと思います。」
    (広島・中学2年女子)
  • 「私は『NHK紅白歌合戦』の演出の一部に気になるところがありました。演歌歌手の方が歌っていらっしゃるときや、様々な場面でバックダンサーとして若手アイドルの方が踊っているのを見て、ちょっと出番が多すぎるのではないかと思います。いつ見ても画面に映っているような気がして、正直“またか”と思って少し嫌な気がしてしまいました。以前のようにバックダンサーの方はアーティストごとに変える方が良いのではないかと考えます。」
    (福岡・高校2年女子)

【委員の主な意見】

  • つまらない番組は見ないので、期待外れの番組は無いという意見は面白いと思った。
  • 「期待外れ」や「面白くない」番組をまとめるのは、中高生にとっては骨の折れる作業だったのかもしれない。
  • ネガティブ要素から入らなければならない意見表明は難しいと思うが、改善のまなざしを持って意見を出してくれるのは嬉しい。
  • 途中で打ち切られた番組に対し、期待外れを通り越して「怒り」を感じるという報告があったが、視聴者にとってどんなに悲しいことなのか放送局は知ってほしい。
  • 罰ゲームでしか笑いがとれないのは芸人失格という意見は、常々自分が思っていることを書いてくれて、嬉しかった。

【今月のキラ★報告】(東京・中学1年女子)

私が最近見て期待外れだった番組は、具体的にこの番組!とはいかないのですが、お正月の年始特番です。期待外れというより、もともとあまり期待はしていなかったのですが、つまらなかったです。毎年、元旦や2日くらいは朝からお笑い芸人やタレントが沢山出て、ゲームをしたり、罰ゲームのようなことをしたりと、本当に全ての局が同じようなことをしています。見ていても全然面白くないし、テレビ局の経費削減している様子が見て伝わってきてしまいました。そのため、BSやCSといったチャンネルばかり見ていました。
お正月は普段あまりテレビを見ない人も見る1つの大きなチャンスと言える気がします。また、新年を迎えた人々をテレビの影響力を上手に利用して更に盛り上げてほしいと思いました。私の考えとして、なぜ年始特番がつまらなかったかというと、ほとんどの番組が生放送であるうえに、きちんと進行や内容が用意されていないため、全体的にグダグダしてしまい、番組のテンションに視聴者側がいまいちついていけていなかったような気がします。
学校で、友達にも聞いてみたところ多くの人がつまらなかったといい、ドラマの再放送などを見ている方がよっぽど面白かったと言っていました。
新年の番組は影響力がとてもあると思うので、もっと視聴者にとってのメリットがあるようなきちんとした番組づくりをしてほしいと思います。

【委員会の推薦理由】

お正月は、普段テレビを見ることのない人たちも家で揃ってテレビを見るよい機会なのに、同じような内容のめりはりのない特番ばかりでつまらなかった、という放送局の人たちにとって耳の痛い中学1年生からの正直な批判の声が、私たち全員の心に強く響きました。

【主な自由記述】

  • 気になった番組は『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!大晦日年越しSP!!』(日本テレビ)です。今回は学校がテーマで、すごく面白そうだと思いました。実際に見て、すごく楽しかったので、また今年の年末も見てみたいです。
    (東京・中学2年女子)
  • 年末の『NHK紅白歌合戦』について、祖母や母が「今年の紅白は面白くない。アイドルグループなど若い人に人気がある人ばかりだし、昔とだいぶ変わってしまった」というようなことを言っていた。大晦日の定番である『紅白歌合戦』も、新しいものばかりに手を出すだけではなく古い時代のことを忘れてはいけないのでは、と思った。
    (東京・中学2年男子)
  • 大晦日の『NHK紅白歌合戦』は、今年はとても面白かったと思いました。演歌の枠を半分ほどにしたらしいですが、私など若い世代にとってはその点は見やすかったと思います。また、震災を意識したプログラムもいくつかあり、エールを送っている印象を受けました。
    (東京・高校2年男子)
  • 年末の番組はとにかく長すぎます。6時間番組とかたくさんありましたが、こんなに長かったらご飯食べながら見て、お風呂は12時以降…なんてことになってしまいます。途中で飽きてきたり目が疲れてしまいました。3時間番組として2週連続とかにしたら良いのではないでしょうか。
    (東京・中学3年男子)
  • 私は12月26日(水)に放送された『有吉反省会』(日本テレビ)が久しぶりに爆笑できるバラエティーだと思いました。芸人やアスリート、アイドルが今年一年の反省をするというものですが、暗いイメージは全くなく、司会が有吉さんということで、明るくて楽しい反省会になっていました。
    (神奈川・中学3年女子)

中高生モニター会議について

2013年3月17日に開催する「中高生モニター会議(案)」について担当委員と事務局から説明し、了承された。

※意見交換会(大阪)の概要

青少年委員会として東京以外で初めての意見交換会を1月22日午後3時から大阪・朝日放送アネックス3階A会議室で開催した。参加者は、NHKと在阪準キー局の毎日放送、朝日放送、テレビ大阪、関西テレビ、読売テレビの6局の番組制作者を中心に52人で、青少年委員7人とさまざまな意見交換を行った。
テーマは「大阪と東京の番組制作の違い」。まず、関西の人気番組『探偵!ナイトスクープ』(朝日放送)の構成作家で、『永遠の0』などのベストセラー作品で知られる作家の百田尚樹氏が、「大阪の番組作りの秘密」と題する講演を行った。「大阪の局は東京に比べて予算が少ない分アイディアで勝負する」、「今のテレビに期待する役割として、バラバラになった家族を、テレビの力で再び茶の間にひき付けられないか」など、およそ30分にわたって経験談を披露してくれた。
その後、各委員が事前に視聴した各局制作の番組についてそれぞれの局の現場の制作者と意見交換を行った。続いて、番組が青少年に与える影響について、局側から「どんな反応があるのか手ごたえがなく、おそるおそるやっているのが実態である」とか、「自分には高一の娘がいるが、下ネタに関しては制作者として悩ましいところだ」などの意見が出た。汐見委員長は、「テレビは人間の行動の標準モデルを作る可能性を持っている。それが、テレビが持っている公共的な影響力だ」とテレビの持つ公共的側面を話し、「関西文化は庶民に対する優しさが根っこにあるのではないか。条件が非常に厳しい中で、熱い意思を持ってよい番組を作ろうとしている人たちがたくさんいることを改めて感じた」と3時間に及ぶ意見交換会を締めくくった。
今回のアンケート結果には、「もっと意見交換する時間が欲しかった」、「各委員からすると興味深いテーマかもしれないが、制作者にとっては日常身にしみている話で、深まりが無かった」、「各委員のスタンスの違いが現れていて興味深かった」、「BPOの委員について先入観のようなものが無くなった。共にテレビ番組について考える存在なのだと思えた」などの意見があった。取り上げるテーマや形式など、参加者から寄せられた意見を参考に、次回以降の意見交換会の開催につなげたい。

第193回 放送と人権等権利に関する委員会

第193回 – 2013年1月

国家試験事案の審理
イレッサ報道事案の審理…など

「国家試験の元試験委員からの申立て」事案について、「委員会決定」案をもとに審理した。「肺がん治療薬イレッサ報道への申立て」事案の審理を行い、「委員会決定」修正案について検討した。「大津いじめ事件報道への申立て」事案の実質審理を開始した。

議事の詳細

日時
2013年1月15日(火) 午後4時~8時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、大石委員、小山委員、田中委員、林委員、山田委員

「国家試験の元試験委員からの申立て」事案の審理

本事案はTBSテレビが2012年2月25日に放送した『報道特集』の企画「国家資格の試験めぐり不平等が?疑念招いた1冊の書籍」』で、国家資格である社会福祉士の試験委員会副委員長を務めた大学教授が、過去問題の解説集を出版するなど、国家試験の公平・公正性に疑念を招く行為があったと放送され、名誉と信用を毀損されたと申し立てたもの。
この日の委員会では、本年1月8日の起草委員会を経て提出された「委員会決定」案をもとに審理し、番組内容が、申立人が公人として批判を受忍すべき限度を超えて申立人への個人攻撃に及ぶなどしていたかどうか、また放送倫理上の問題についても申立人が試験問題を漏洩したとの印象を与える内容だったかどうか等、事実の正確性や客観性、公平性・公正性等の観点から突っ込んだやり取りが交わされた。
議論の結果、2月初めに起草委員が集まって第2回起草委員会を開き、決定文の修正案を作成して次回委員会に諮ることとなった。

「肺がん治療薬イレッサ報道への申立て」事案の審理

本事案は、フジテレビ『ニュースJAPAN』が2011年10月5日と6日の2回にわたり肺がん治療薬イレッサに関する問題を取り上げた企画「イレッサの真実」に対し、長期取材を受けて番組にも登場した男性から、イレッサの危険性を過小評価し有効性を過剰に強調する偏頗な内容で、客観性や正確性、公正さに欠けた報道により人権を侵害されたと申立てがあったもの。
この日の委員会では、1月8日に開かれた第2回起草委員会を経て提出された「委員会決定」修正案について検討した。番組内容について公平性・公正性の観点からの判断や、取材過程の問題をどのように考えるか等について活発に議論を交わし、決定文の表現や内容、構成、結論の方向性について詰めた。
この結果、起草委員が修正案をさらに手直しし、次回委員会に第3次案として諮ることとなった。

「大津いじめ事件報道への申立て」事案の審理

本事案は、フジテレビが2012年7月5日と6日の『スーパーニュース』において、大津市でいじめを受けて自殺した中学生の両親が起した民事訴訟の口頭弁論を前に、原告側準備書面の内容を報道した際、加害者とされる少年の実名部分にモザイク処理の施されていない映像が放送され、少年の名前を読み取れる静止画像がインターネット上に流出したとして、少年と母親が放送によるプライバシーの侵害を訴え申し立てたもの。
昨年12月4日の委員会で審理入りが決った後、被申立人から「申立書」に対する「答弁書」が、申立人から「答弁書」に対する「反論書」が提出され、今回から実質的な審理に入った。
この日の委員会では、これまでに提出された文書及び資料をもとに事務局が双方の主張を整理して説明した。事務局の説明を受けて若干のやり取りを交わしたが、本格的な議論は、被申立人からの「再答弁書」の提出を受けて、次回以降に行うこととなった。

その他

  1. 2月20日に盛岡市で開かれる東北地区BPO加盟放送事業者との意見交換会について、事務局より実施概要を説明し了承された。

  2. 次回委員会は2月19日(火)に開かれることとなった。

以上

第140回 放送と青少年に関する委員会

第140回 – 2013年1月

東海テレビ『幸せの時間』の審議で、局の制作・編成責任者と意見交換

第140回青少年委員会は1月18日に開催され、審議対象となった東海テレビ『幸せの時間』の制作・編成責任者を招いて意見交換を行った。また、意見交換に先立って、民放連番組部の田嶋炎部長を招き、民放連の定める放送基準と民放の各放送局が定める番組基準(放送基準)の運用等についてレクチャーを受けた。

議事の詳細

日時
2013年1月18日(金)午後2時30分~5時
場所
放送倫理・番組向上機構(BPO)第1会議室
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員(欠席:渡邊委員)

東海テレビ『幸せの時間』について意見交換および審議

東海テレビ制作の昼の連続ドラマ『幸せの時間』(11月5日~12月28日、FNS系列全国放送)については、放送直後から「性的描写が過激」「子どもが見る可能性もある」との視聴者意見が多数寄せられ、第138回、第139回委員会で討論・審議した結果、1月18日臨時の委員会を開き、東海テレビの制作責任者や担当プロデューサー、編成責任者たち5人を招き番組の企画意図・制作方法・審査基準等について意見交換を行った。

◆東海テレビの説明

【番組の企画意図】 『幸せの時間』は現代社会における家族間、世代間のコミュニケーションで抱える問題を視聴者とともに考えていきたいという意図からスタートしました。原作は国友やすゆきさんの男性コミックですが、制作するにあたっては、このドラマの視聴者層である主婦に合わせまして、主人公を男性から女性に変更し、女性目線でストーリーを動かすことにいたしました。ストーリー展開上、登場する女性たちの心情や葛藤、そしてさまざまな愛の形を表現するにあたって性的な描写は伴っておりますが、それらは人間の欲望、嫉妬、孤独感といった心の揺れを表現するために必要と判断いたしました。またこのドラマでは、番組全体を通じて家族とは何か、絆とは何か、幸せとは何かを視聴者に問いかけることを最大のテーマにしております。そのため、ごく普通の家族がもしかすると抱えている秘密、あるいはごく身近で起こり得るかもしれない問題をリアルに表現することが不可欠であり、その一要素として性の描写も必要と考えました。ことさら好奇心を煽ったり、それ自体を強調して売り物にする意図では決してございません。そうならないよう登場人物のキャラクター設定から脚本作りに至るまで、3人のプロデューサーが脚本家と幾度も打ち合わせを行い、綿密な協議を重ねてきました。また、その上で演出家・出演者に番組、そして演出の意図を理解していただき、撮影に臨むなど細心の注意を払ってまいりました。私どもといたしましては、ドラマ全体のテーマをお伝えするため必要な表現であると考え、放送基準に準拠して制作してきたと考えております。
社内におけるチェック体制に関して申し上げますと、まず考査において台本上放送に適さないセリフ及び表現のチェックをし、性的描写、暴力シーンに関して演出上の注意喚起を行っております。そして実際の制作現場においては、全ての工程に局のプロデューサーが立ち会い、最終判断を下しております。完成後、放送素材とともに、仕上げ用DVDは、制作局、制作局長と東京制作部長、および編成局に納品、チェックされ、放送に至ります。今回の『幸せの時間』も同様な過程を経ております。以上が、番組の企画意図と放送に至るまでの経緯です。
【性的描写について】 『幸せの時間』は、ある家族の崩壊と再生を描くことによって、現代社会における家族の本質、夫婦の絆、親子関係などを浮き彫りにする作品です。したがって、家族構成も父、母、長男、長女といういわばモデルケースのような4人家族を設定し、念願のマイホーム購入と引っ越しという幸せの絶頂からのスタートを考えました。そして、家族崩壊のプロセスを描いていく上で、家族4人それぞれがやがて抱えていく問題として、浮気、不倫、援助交際、同棲、親子の断絶、金銭問題、嫁姑問題などを物語の中に織り込みました。これらの事象の一つ一つは各家庭単位では相違があるかとは思いますが、今の日本社会における家族の持つ問題となっているのではないかと考えます。固い絆で結ばれていると信じていた家族が、さまざまな事象によって崩壊していく様子や、抱える秘密や嘘に苦しむ心情など、描きたい問題にリアリティーを持たせてその本質を描くために、また視聴者には、映像という手段を用いて、より身近な問題としてとらえていただき、現実社会で起きていることであるという実感を持っていただきたく、登場人物それぞれにその設定上の性表現を行いました。またその表現方法と映像は、作品全体を総合的に見て、弊社の放送基準に則ったものであるとの認識の上で制作いたしました。
【視聴者意見を受けて改編】 ドラマの意図である家族の本質を描くため、またリアリティーを表現するために、制作・演出したものであっても、制作側の思いとは別の印象、感想を持たれた視聴者の方々の声や、厳しいご意見が放送直後から多く寄せられました。物語の展開がこのあとどうなっていくのかという興味や、視聴動機と同様に、その場面ごとに何を伝え、何を感じていただきたいのかが分かるように演出し、お伝えしていかなくては、ドラマを見続けていただけることができなくなります。制作意図やそのドラマで描きたいことが伝わらない状況になってしまうということは、プロデューサーとしては避けなければいけないと思い、制作局・編成局で協議をし、第8回の放送から改編を決めた次第です。

◆東海テレビと委員との意見交換概要

<論点1 地上波放送の公共性>
Q.しかるべき料金を支払って観る「映画」、「有料課金チャンネル」と、自宅にいて誰もが自由に無料で視聴できる「地上波放送」では、同じ放送とはいっても求められる公共性は異なりますが、東海テレビは地上波の公共性についてはどのように認識されていますか。
A.いつでも誰でも視聴ができる環境にある地上波の放送を制作するうえで、それに伴う責任を認識して番組制作に当たるのは当然の責務と考えています。

<論点2 性的表現と東海テレビの放送基準について>
Q.東海テレビが自主的に改編を行うまでの第1回から第7回放送分の本編と予告に採用された性的シーンについて、当該シーンはなぜ必要とされたのですか。当該シーンを採用するにあたりどのような議論が行われましたか。当該シーンを放送可能と判断した理由は何ですか。その際、民放連放送基準と自社の放送基準とを照らし合わせ、これらを放送可能と解釈した根拠は何ですか。
A.東海テレビは約50年間帯ドラマを制作してきましたが、その間描こうとしているのは一貫して人間の本質を突くドラマです。きれいごとばかりでなく、光と影を含めた人間の本質を描こうという姿勢は変わりません。その中で描かれるシーンは当然放送基準に沿ったものと認識していますし、トータルとして当然きちんとした作品を作ってきたつもりです。

Q.ドラマは「テーマ・全体像」「文脈・構成」「表現・演出」――の3要素で成立すると考えますが、たとえテーマや文脈が理解されたとしても表現に問題がある場合があります。民放連放送基準及び貴局の放送基準の第8章「表現上の配慮」(43,48項)や第11章「性表現」(73,75,76,78,79項)が規定するのはそのことで、今回は全体像ではなく個々の表現が問われているのではありませんか。
A. 一つ一つのシーンは、ドラマを作っていくうえでの必然性と必要性があり、ドラマ全体の流れの中で持つ意味合いが視聴者にどのように受け止められるかを判断して制作しました。従いまして、全体をご覧になっていただければ、個別のシーンも視聴者にご理解いただけるものと考えました。

Q.視聴者意見を受けて第8回以降に改編を行ったことについて、どのような理由から改編を判断されたのですか。具体的に、どのような改編が行われましたか。
A.基本的にはドラマ全体を見ていただきたい、リアルに描きたいという演出意図が私どもの本質ではありますが、それが届かないということであれば、性的表現も含めて全体の演出を考え直して修正をしました。具体的には、物語の展開上必要なセリフを残し、性表現も登場人物のアップ、上半身の映像を中心に編集をいたしました。

Q.制作に女性スタッフは関与しましたか。制作過程で女性スタッフとはどのような意見が交わされましたか。
A.総勢70名ほどのうち、15名程度が女性スタッフです。脚本が完成した段階で、出演者、制作プロデューサー、女性の演出家、衣装・メークなどの女性スタッフを交えて意見交換し、何度も協議を重ねて撮影に臨みました。

<論点3 放送時間帯について>
Q.午後1時半から2時という昼の時間帯において視聴者が過激と感じた性表現を含む番組を放送するにあたり、社内でどのような議論・検討が行われましたか。その際、青少年への配慮はありましたか。また、視聴者意見にあるように、「風邪などで学校を休む子ども」や「就学前の子ども」、また「試験期間中の中高生」が視聴する、あるいは「病院などの公共の場に設置されたテレビを通して子どもたちが目にする」可能性がありますが、こうした状況が起こりうることへの配慮はありましたか。
A.学生や子どもたちが長期の休みに入る夏休み、春休み等の時期については、番組のテーマに性的な描写や暴力的なシーンのないドラマを放送するよう年間のラインアップを決めております。確かに病気で休まれたりするお子さんがいることがあるかもしれませんが、この時間帯のキッズ・ティーン(4~19歳)までの構成比が5%という時間帯です。ただ、だからと言って配慮が必要ないとは考えていません。この時間帯だけでなく、24時間すべてで放送基準に照らし合わせ、青少年に対する配慮を念頭に番組作りを行うことが基本スタンスです。

<論点4 女子中学生の性的シーンについて>
Q.「女子中学生が成人男性に恋をして衣服を脱ぐようなシーン」をどのような認識をもって制作されましたか。改編後の第8話以降では修正等は行われたのですか。
A.原作者の意図をリアルに届けたいと思い演出をいたしましたが、そこに至る当人の心情を前後で綿密に描いて、制作放送しているつもりです。家族のさまざまな状況の中で、人を助けたいという当人の思いはきちんと描かれていると思います。しかし、視聴者からのご意見をいただく中で演出上行き過ぎない形で変更をさせていただきました。

Q.修正を行ったためにドラマのリアリティーが損なわれ、制作者の意図するドラマが視聴者に届けられなかったと考えますか。
A.私どもの演出表現の最初の部分でドラマの本質が視聴者に届けられなかったとすれば、未熟な演出であったときちんと受け止めたいと思います。視聴者の皆様にどのようにご覧いただけるかという点と、私どものクリエイティビティをどのように合致させていくかについては、視聴者の方の反応をきちんと受け止め、今後しっかり制作してまいりたいと思います。

意見交換終了後、各委員から感想が述べられ、今後の審議の進め方について協議し、次回141回委員会で改めて審議することとした。

◆当該番組に寄せられた主な視聴者意見

  • 昼間の時間帯に、このような性的シ-ンのあるドラマを放送する必要性があるのだろうか。大いに疑問に感じる。放送局の倫理観を疑う。
  • 日中に放送する必要性、相当性、合理性を欠いており、社会通念上著しく不適切である。したがって、今後の放送内容を社会通念上相当なものに是正すると同時に、放送局として放送内容のチェック体制を見直すべきである。
  • 昼間のテレビで、あそこまで性描写をしても問題がないのか。学校行事の関係で、子どもが早く帰宅する日もある。制作者サイドは、このドラマが子ども達の目に触れることをどのように考えているのか。
  • 大人のみが試聴できるチャンネルで放送するならともかく、地上波だ。もっと放送内容を自粛していただかないと困る。

◆民放連 田嶋番組部長による放送基準等に関する説明概要

田嶋部長からはまず、民放連の放送基準が定められた歴史的な経緯が説明され、民放連放送基準と各放送事業者の定める番組基準とは、誰からも強制されたものではなく、また公権力からの規則なども排して、放送表現の自由を保持するための自主的なルールであり、放送事業者と社員一人一人が自社の番組基準の位置づけと思想を理解し、社会の信頼を確保して番組制作に当たることが大前提であると述べられた。つぎに、児童・青少年に対する配慮については、放送基準の前文に「児童および青少年に与える影響に留意して番組相互の調和と放送時間に留意すること」が明記されていること、また1999年に加筆された第18条では「放送時間帯に応じ、児童および青少年の視聴に十分配慮する。」と定められ、その解説文では特に暴力・性については放送時間帯に細心の注意が求められていることを強調していることが、説明された。

第67回 放送倫理検証委員会

第67回 – 2013年1月

委員会決定第15号「日本テレビ『芸能★BANG ザ・ゴールデン』に関する意見」への対応報告書について

第67回放送倫理検証委員会は1月11日に開催された。
委員会が昨年10月に出した委員会決定第15号「日本テレビ『芸能★BANG ザ・ゴールデン』に関する意見」に対して当該局から提出された対応報告書を検討した結果、これを了承し、公表することにした。

議事の詳細

日時
2013年1月11日(金) 午後5時~6時
場所
「放送倫理・番組向上機構〔BPO〕」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
■委員会決定第15号「日本テレビ『芸能★BANG ザ・ゴールデン』に関する意見」への対応報告書について

出席者
川端委員長、小町谷委員長代行、吉岡委員長代行、石井委員、香山委員、是枝委員、重松委員、立花委員、水島委員

■日本テレビ『芸能★BANG ザ・ゴールデン』の対応報告書を了承

日本テレビは『芸能★BANG ザ・ゴールデン』に関しての委員会決定第15号を受けて、社としての対応、再発防止策、更には全社的な制作体制の見直しを報告書にまとめ、2012年12月27日、委員会に提出した。
この報告書では事案の発生以降の日本テレビの対応、委員会決定通知後の現場レベルでの話し合い、新しい体制の導入、再発防止のためのベテランによるサポートなど、様々な取り組みがまとめられ、更にすべての番組制作者に向けて、報道、情報、娯楽、スポーツすべてのジャンルでの「めざすべき姿」に向けた放送ガイドラインの全面的な改定に着手したことが示された。
委員会はこの報告書をもとに議論を行い、報告書が今までにないところまで踏み込んで意欲的な対応を示していることを評価し、委員会として了承した。(報告書の全文はこちら[PDFファイル]pdfに掲載)

【委員のおもな意見】

  • この報告には2つの新しい取り組みがある。1つは「演出監修」というベテランディレクターが若手、社外スタッフと同じレベルで相談に乗っていくこと。もう1つは「べからず集」ではなくめざす姿を書こうという放送ガイドラインの全面改定である。これらは今までの対応策と質的に違う。評価してよいと思う。
  • 全面改定される放送ガイドラインが、どういう番組を作るべきかという基本哲学、例外的に許されること、放送倫理上許されないことに分類したうえで、それぞれに事例を多く入れて理解できるようなものに、ほんとうになれば、すごい教科書が出来ると思う。
  • 他局に役員が謝罪に行ったというところがあるが、ここまでやるのかと。それくらい重く受け止めたのだということはよくわかった。
  • 制作会社の社外スタッフを含めて、コンプライアンス研修をするというのは、こうあるべきだと思っていたことなので、これが前例になってくれればよいと思っている。
  • 今までこうあるべきだと思っていたことに踏み込み始めたこともあるので、このあと、どう機能したのか何らかの情報もほしいなとも思う。

以上

2012年12月に視聴者から寄せられた意見

2012年12月に視聴者から寄せられた意見

衆議院選挙の結果、自民党が政権を取り戻し、第2次安倍内閣がスタートした。選挙にかかわる報道では、出演者の発言が公平でない、ツイッターなどの利用も悪くないが、意見の選択に片寄りがあるなどの意見があった。
年末恒例の長時間特番への批判もあった。お笑いタレントの内輪話や、いじめにつながるようなドタバタばかりでうんざりするといった意見が多かった。

2012年12月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,258件で、先月と比較して338件減った。
意見のアクセス方法の割合は、メール72%、電話24%、FAX2%、手紙ほか2%。
男女別は男性67%、女性29%、不明4%で、世代別では30歳代30%、40歳代30%、20歳代15%、50歳代15%、60歳以上8%、10歳代2%の順になっている。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該局のBPO責任者に「視聴者意見」として通知。12月の通知数は535件【35局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、22件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

12月の視聴者意見は1,258件と先月より338件減った。4ヵ月にわたって減少傾向が続いている。
衆議院選挙の結果、自民党が政権を取り戻し、第2次安倍内閣がスタートした。選挙にかかわる報道では、出演者の発言が公平でない。ツイッターなどの利用も悪くないが、意見の選択に片寄りがあるなどの意見があった。
年末恒例の長時間特番への批判もあった。お笑いタレントの内輪話や、いじめにつながるようなドタバタばかりでうんざりするといった意見が多かった。
またペニーオークション詐欺に関連して、問題になった芸能人の出演に厳しい批判があった。
ラジオに関しては27件、CMに関する意見は43件あった。

青少年に関する意見

放送と青少年に関する委員会に寄せられた意見は80件で、前月より26件減少した。
今月は、「表現・演出に関する意見」と「低俗、モラルに反する意見」が18件、次いで「性的表現に関する意見」が14件と続いた。
年末の特別編成のため長時間の番組が多く放送されており、それに関する意見が多く寄せられている。その中でも特に、バラエティー番組における"罰ゲーム"について、いじめを連想させる内容だったとの意見が複数あった。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 批判ばかりでうんざりする。つい先日国民が選んだわけだから、しばらく見守っていてはどうか。魔法使いでもあるまいし、今日、明日に結果が出るわけがない。なにも重箱の隅をつつくことばかりがメディアの仕事ではない。メディアにしか出来ない、被災地の実情や、福島第一原発の現状など、国民はそちらのほうが知りたい。

  • 民主党が政権を取ったときは「民主主義が機能した」と言っていた人たちが、自民党が政権を取り返すと、「ほとんど支持されていない自民党が政権を取った」と耳を疑うような発言をしていた。いくら自分たちの考え方と違う選挙結果になったからといって、まるで選挙に不正でもあったかのような発言はいただけない。選挙民を馬鹿にしすぎだ。

  • 偏った報道が多い。どうしてあれほどまでに批判的な報道ができるのか不思議だ。民主党政権下に引き起こされた問題を、当時野党の自民党に問題があったように感じさせる報道内容などは、度が過ぎる。消極的な理由かもしれないが、自民党は民意によりこれだけの議席を獲得した。意図的に印象を悪くするような報道をしているようにしか思えない。

  • 「新政権に問う」という形で、番組への意見をツイッターで募集していたので、ツイッターを見ながら番組も見ていた。番組中の画面下にメールやツイッターへのコメントが紹介されていたが、投稿コメントの中で少数意見と思われるコメントばかりを選び出していた。ある一定の方向へ誘導するようなコメントの選択は、公平な放送とは言えないのではないか。

  • 池上彰さんには感心した。ジャーナリストとして政治家や政党に鋭く切り込んでいた。久しぶりに気骨のあるジャーナリズム精神を見せてもらった。今の日本の放送局には発信者としてのメディア・リテラシーが欠けている。メディアはプレスリリースや記者会見を垂れ流すだけでなく、「権力の監視」として機能しなければならない。その為には鋭く深く切り込み、情報を日の当たる場所まで引きずり出さなければならない。そこに、遠慮や恐れが存在してはならない。この点は海外の放送局に比べ日本は劣っていると思う。この番組には失われつつあるメディアの理想の姿が反映されていた。

  • iPS細胞移植、尼崎事件写真取り違え等、報道のいい加減さが露呈しているが、今回の北朝鮮のミサイル発射前日の解体中の報道もそうである。軍事問題だけに規制や難しいことがあるのは理解できるが、ほぼ全ての局が「解体中、しばらく発射はない」と報じた。これも大誤報ではないのか?バラエティー番組にしても「決定的瞬間」系の番組はほぼ動画共有サイトからの寄せ集めだ。どの局もそうだから結局同じ映像が各局で順番が違うだけで流れる。テレビの存在意義自体が薄れてしまっているのではないか?

  • 「世論調査」に意見したい。一般的に「世論調査」は全国津々浦々、電話による調査だと思うが、被災者の仮設住宅に固定電話はない。選挙の争点である「原発」に関する世論調査に、被災者が含まれないことはおかしい。電話以外の手段で、被災者の意見も世論調査に汲み上げてほしい。

  • トンネル事故で命からがら逃げてきた人が、「助けて」という声が崩落した中から聞こえてきたと話した。これに対して、記者が「どのような声で助けを求められましたか?」と聞いていた。何を考えているのか。常識で考えてものを言え。他の記者も「どんな声でしたか?」などと無神経に聞いていた。取材を受けた方達と閉じ込められた方達は、ほんの何秒かの運命の違い。その上、助けを求める声を聞いてしまったことを考えると、PTSDが心配だ。もう少し配慮した取材ができないものか。

  • 西成区の女医怪死事件を取り上げた中で、生活保護受給者の処方薬の不正転売を取材していた。不正転売が悪いことは当然だが、デタラメな処方を書く医師やバンバン薬を出す薬局がなければ転売しようにもできないわけで、より強く医師や薬局が非難されるべきだ。問題の本質と公平な報道を望む。また国民医療費の一覧を表示して、生活保護受給者が突出して医療費が高いと言っていたが、高齢者や疾病者が多い訳だから高いことは当然ではないのか。そうした背景説明もなしに数字だけを出すと、生活保護受給者の全てが転売予備軍のように勘違いするひとが出てくるのではないか。巷に溢れている生保叩きを助長しかねない。

  • 地震があり津波の可能性がある時にはテレビ画面に日本地図と警報のある地域が表示される。先日地震があり、テレビを見ていたらその警報を邪魔するような番組がほとんどだった。主にバラエティーだが、無駄にワイプを出していたり、出演者が話している内容と同じコメントをテロップとして出していたりしているせいで、地震の警報を見づらくしていた。このワイプとかテロップは必要ない。むしろ禁止にするくらいでいいのではないか?地震があった時に画面が見辛くなるような、今の番組のあり方を変えてほしい。

  • 私の家族には難聴者がいる。テレビの字幕表示について申し上げたい。画面に不要な字幕やテロップがたくさん出ていて、本来の字幕が読みにくい。これは一緒に見ている家族も不快に感じている。特にバラエティーはひどい。字幕を必要としている人間もいる。「読めれば良いだろう、敬語や丁寧語でなくても何を言っているのかさえわかれば良いだろう」という難聴者を軽視しているような字幕の出し方はやめてもらいたい。

  • 現地に行かず、スタジオで「プロ野球中継」をするのは、臨場感がなく面白くない。球場での実況なら、打球が飛べばすぐわかるはずだ。ところが、モニターで試合を見ているので、打球がどこに飛んだか分からず実況が遅い。海外の試合なら仕方がないが、国内の試合で、手抜きすることは視聴者をバカにしている。球場からの実況放送にすべきだ。

  • 星占いは捏造報道ではないのか。朝夕の情報番組の最後に必ず星占いのコーナーがあり、着る服の色、食べる物の種類、その日の行動まで指定する。カルト宗教紛いのものだ。科学的根拠もないのに、あたかも証明された事実のように報道する。これは洗脳であり捏造報道ではないか。バラエティー番組でお遊びとして星占いをすることと、情報番組でニュースの後に毎日星占いを報道することとは意味合いが違う。

【番組全般・その他】

  • 毎年この季節になると3時間を超える長時間番組が多くなる。過去に放送された長時間の特別ドラマの再放送はまだ良いが、バラエティー番組で3時間超という番組が多い。これらの番組のほとんどがタレントの内輪話ばかりで、視聴者としては面白くもなんともない。くだらない内容をだらだらと流さないで、中身が濃いまともな特別番組を制作できないのだろうか。

  • 2~3時間の特番的な番組が多い。それもお笑いタレントの集団的番組、食べ物を無駄にするといった低俗な番組、人をこけおろす番組など、とても見るに堪えない。警察ものの特番もあるが、「いかにも頑張っているんだぞ」のようなアピールものばかり、警察なら当たり前ではないのか。家族や高齢者の時間帯に、このような低俗な番組ばかりでは、憩いを得られない。地デジになったのに何の意味があるのか。もっと楽しみや興味をもてる番組を制作してほしいものだ。

  • 美容整形を過剰に取り上げている。「若返り整形」や「声の整形」「歯の整形」など、とにかく様々な整形手術を取り上げている。一度やった特集と同じような特集を何度も繰り返し放送するのでタチが悪い。"整形でこんなに得をする"という感じで美容整形を宣伝しているようなものだ。テレビはとても影響力がある。度々美容整形を特集して視聴者の気持ちを煽るような番組作りは放置されるべきではない。

  • ペニーオークション詐欺が問題になっている。芸能人が自分のブログで、「私もオークションで落札した」とファンをだました女性タレントがワイドショーに出演していたので驚いた。録画なら仕方ないが、生放送なのに、何故、問題になっている人間を出すのか。この放送局の考え方が理解出来ない。金を貰ってファンをだますという行為は許されない。ブログを見ていたファンはもっと腹が立っていると思う。

  • 昨今のドラマ番組は高齢者に優しくない。「ひそひそ話」「つぶやき話」などの低い音量の台詞の場面で、かなり高い音量でBGMや効果音が流れることがある。強調することはわからないではないが、肝心の台詞が聞き取れない。高齢者にとってはとても聞き取りにくい。かといって音量を上げると、CM等で急に音量が上がる。もう少しBGMや効果音の音量を下げて、「ひそひそ話」「つぶやき話」等の場合は台詞の音量レベルを上げていただくとありがたい。

  • 生きた金魚を口ですくうという場面があった。案の定そんなことは出来ず、用意された金魚たちは床に散乱、粗末に扱われていた。不愉快極まりなかった。度が過ぎている。一瞬の笑いをとる為だけにこんな形で命を利用することは如何なものか。金魚の命を軽視しているとしか思えない。二度と見たくない。

  • 大量の香辛料を入れたカレーを芸人に食べさせ、口もきけないほど苦しむ姿を見て、平然と笑っている出演者を映している。もはや暴行の域であり、公然といじめをエンターテインメントとして披露し「いじめは楽しい」「ヒトを苦しませることはゲーム」と教える俗悪な番組だ。いくら何でも度が過ぎている。こんなものを平気で放送する放送局の低俗さに怒りを覚える。

  • 「ゆとり教育」の影響で、だらしない人間ができてしまったかのような描写に気分を害した。同じ教育を受け今必死に真面目に生きている人間も数多くいるのに、一部のだらしない人間を取り上げることはおかしい。だらしない人間は「ゆとり世代」に限らず、どの世代にも存在する。「ゆとり」と言われて馬鹿にされながらも、真面目に生きている人たちのことを考えてほしかった。「ゆとり教育」やそれによって生み出された「ゆとり世代」を擁護する気は全くない。しかし、「ゆとり教育」を生み出した政治家を選出したのは今「ゆとり世代」を馬鹿にしている大人たちだということを忘れてほしくない。

【ラジオ】

  • ラジオショッピングの手法は、殆んど"やらせ"に近く許しがたい。例えば「これだけのカニが入って1キロ1万1500円のご案内になります」と最初のコメントが入る。するとパーソナリティーがすかさず「もう少し何とかならないですか」と言うと、「わかりました。では更にもう1キロ、合計2キロのカニでいかが」、「いやもうちょっと」という掛け合いの後、「じゃあ、カニ2キロ8900円で」、となる。最初からそのつもりではないのか。お客の購買意識を煽る"詐欺まがい"の商法が見え見えで腹立たしい。

  • キャスターが、「選挙中なので、どの政党とは言いませんが」と言いながら、特定政党の公約の批判ばかりしていた。誰が聞いてもわかる内容で、選挙中に公共の電波を使って政治に関して偏った意見を言うことは許されない。マスコミの影響力を自覚すべきだ。公平な放送を望む。

CM

  • 平日朝の情報番組の途中や前後に地元パチンコ店のCMが入る。深夜であればともかく、朝の時間帯にパチンコCMを放送するのはいかがなものか。パチンコ依存症の人たちを刺激することにもなる。放送局というものは、お金になりさえすれば何の業種でもスポンサーとして受け入れるのだろうか。

  • マヨネーズのCM。女優さんは可愛いが、内容がひどい。胡坐をかいて、マヨネーズを床に乱暴にドンと打ちつけ、袋を破り、ジャガイモにマヨネーズをこぼれそうなほどかけ、ガシャブッというかヒャゴブッというか、なんともいえない不愉快な音を立ててかぶりつく。しまいには口に物が入った状態で、マヨネーズを口の周りにつけながら「ぶっかけうまい!」という、品のない台詞で締めくくる。

青少年に関する意見

【表現・演出に関する意見】

  • 毎年、この特番の放送を楽しみにしていた。だが近年、最後に行われている罰ゲームが、見ていてつらく感じるようになった。今回は、タレントを宙吊りにしてペンキの中に落とすということを何度も行っていた。その時、このタレントは呼吸ができずに苦しい表情を浮かべており、その様子を見て、周りが笑っていた。この場面を見て、実際に真似してしまう子どもが出てきてしまうのではないか、と感じた。

  • 罰ゲームとして、番組ディレクターにバンジージャンプをさせるという内容だった。ディレクターは無理をして笑顔を作っているように思えた。スタジオではその様子を見て笑っている。これらのことは中学生のいじめにも繋がるのではないかと不安に思う。

【低俗、モラルに反する意見】

  • 大家族の暮らしぶりを紹介する番組で、当初は楽しく見ていたが、今では不快な番組になった。この父親の身勝手さは、ひどすぎる。子ども達が犠牲になっていることが可哀想でならない。こんなひどい状況をテレビで放送することはおかしい。

  • 覚せい剤で捕まったタレントが、こんなに早く復帰するのは信じられない。なぜテレビで対談などのコーナーを設けるのか。テレビに出演して、ニコニコ笑顔で笑っているのを放送するとは、テレビ局の倫理感を疑わざるを得ない。

【性的表現に関する意見】

  • ラジオ番組の中のあるコーナーには、性的な内容や冗談が多すぎて、あまりにも下世話でくだらなく、聴くに堪えない。ラジオはテレビと比べて若年層の聴取者が多いためか、限度を超えた会話が多いように思う。「表現の自由」や「聴かなければいい」という意見もあるかと思うが、公共の電波だ。ファンにとってはいいかもしれないが、一般の人が耳にした時は充分に不愉快に感じる内容だ。もう少し改善していただきたい。

【視聴者意見への反論・同意】

  • 11月の視聴者意見を読んだ。なるほど多くの人が「この番組を子どもに見せていいのか?」と思っていることが分かる。確かに「やりすぎではないか」と言いたくなる番組もあるが、それを放送したとして、子どもがすぐ真に受けるものか。そんなことはないだろう。そもそも子どもの価値観の形成は、テレビだけの仕事ではない。そこをわきまえて意見を言うべきだ。