第109回 – 2005年2月
「バラエティー番組における人格権侵害の訴え」事案の審理
審理要請案件「サーカス一座報道で名誉毀損」…など
「バラエティー番組における人格権侵害の訴え」事案の審理
本事案は、東京都在住の男性が「2005年6月及び7月に関西テレビで放送されたバラエティー番組『たかじん胸いっぱい』における元妻の発言によって名誉・プライバシー権を侵害された」と申し立てたもの。
放送人権委員会は、2005年12月の委員会で審理入りを決定し、翌年1月の委員会から「申立書」及び「答弁書」を基に実質審理に入った。その後申立人から「反論書」、関西テレビから「再答弁書」が、それぞれ委員会に提出され、2月の委員会では、これまでの双方の主な主張を項目別に対比した形で整理し、検討を行った。
この日の委員会では、番組内での元妻の発言内容をどう捉えるか、ニュース報道番組とバラエティー番組の違いを踏まえた上で、名誉毀損に当たるかどうかなどについて約1時間30分にわたって意見が交わされた。
3月の委員会では、申立人、被申立人双方に対して直接事情を聞くヒアリングを実施し、さらに審理を進めることとした。
審理要請案件「サーカス一座報道で名誉毀損」
「”故国に帰れないサーカス一座の日々”と題したニュース特集(1月30日放送)で、人格権が著しく侵された」と、イベント企画会社のプロデューサーが苦情を申し立てた案件について、放送人権委員会は、当該局から任意提出されたVTRを視聴した結果、「放送からは名誉・信用を毀損されたとする個人を特定することが出来ない」として、<審理対象外>とした。
この放送に対し申立人は「サーカス一座が帰国できない事情について、出演料の不払い責任の有無や、動物の輸送手続きの難航などの事情を説明したにもかかわらず一方的な判断をされ、何の手当てもしていないように放送されるなど、当方の名誉・信用が著しく毀損された」と訴えていた。
一方、当該局は「契約書上、出演料の支払い義務はあくまで申立人にあり、また動物の搬送などの費用・手続きについても申立人側に負担義務がある。番組は完全に匿名性を維持しており、名誉毀損ないし信用毀損が成立する余地はない」と反論していた。
苦情対応状況[2月]
2006年1月の1か月間に寄せられた放送人権委員会関連の苦情の内訳は、次のとおり。
◆人権関連の苦情(18件)
- 斡旋・審理に関連する苦情(関係人からの人権関連の苦情で、氏名・連絡先や番組名などが明らかなもの)・・・9件
- 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない視聴者からの苦情、または、氏名・連絡先や番組名などが不明なもの)・・・9件
その他
BPOの村井専務理事より、放送人権委員会の委員の交代が発表された。これは、二人の委員が満期を迎えることに伴う委員の交代。2005年12月8日開かれたBPO評議員会で決定されたもの。
退任する二人の委員は、飽戸弘委員長、渡邊眞次委員
新任の二人の委員は、三宅弘氏(弁護士)、武田徹氏(ジャーナリスト、東京大学先端技術研究センター特任教授)
4月1日より新体制となる。
最後に、次回委員会は3月14日(火)午後2時半から開き、「バラエティー番組における人格権侵害の訴え」事案のヒアリング・審理を行うことを決め、また、事務局からBPOの年次報告会が、3月23日(木)午後1時半から開かれることが報告され、閉会した。
以上