第110回 放送と青少年に関する委員会

第110回 – 2010年3月

日本テレビ『左目探偵EYE』2月13日放送分の局からの回答について

フジテレビ『はねるのトびら』について …など

3月23日に開催した第110回青少年委員会では、日本テレビ『左目探偵EYE』の回答について審議した。また、2月16日から3月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見をもとに、ドラマ1番組について視聴の上審議した他、3月度の中学生モニター報告について、担当委員からの報告及び審議が行われた。

議事の詳細

日時
2010年 3月23日(火) 午後4時30分~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

日本テレビ『左目探偵EYE』2月13日放送分の局からの回答について

審議内容については前回の議事概要を参照。

【青少年委員会からの「回答のお願い」】

(1)全体的に暴力的シーンが数多く見られる上、劇中で歌われる歌詞が扇情的なものになっていると感じますが、その意図についてお聞かせください。
(2)番組制作において台本段階及び編集段階等でのチェック体制についてお聞かせください。
(3)番組の主役の人気アイドルは中学生という設定で、多くの子ども達が視聴対象になっていると思いますが、子ども達への影響についてはいかが認識されていますか。
(4)民放連放送基準では、9章で暴力表現について規定しています。特に65条の留意点に照らして、当該番組の放送表現についてのお考えをお聞かせください。

【日本テレビからの回答】

(1)について
『左目探偵EYE』は許されざる人間の「悪」を問うべく、様々な局面に毅然と立ち向かう主人公の姿を描く連続ドラマです。主人公は、「悪」に端を発する犯罪を憎み、必死に犯罪の実行を食い止めようとします。第4話は、事件の首謀者である犯罪プランナー(主人公の兄)が、売れないロックバンドの弱い心を利用して犯罪を予言する歌を歌わせ、その予言通り、ライブ会場で暴動事件が起こるというものでした。主人公の中学生、田中愛之助は、危険を顧みずライブ会場へと潜入し、身体を張って友人を助け、この暴動事件の実行を阻止するというストーリーです。本作では、犯罪の「恐ろしさ」、暴力の「恐ろしさ」と、それを憎み、それに対して立ち向かっていく主人公の「勇気」、悪の犯罪から友人らの命を守りきる主人公の「活躍」を主軸に描きました。
(2)について
台本は制作した段階で責任者であるチーフプロデューサーなど番組制作サイドで確認し、考査をはじめとする社内各所でチェックを行い撮影に進みます。撮影現場や編集・仕上げ現場には番組担当プロデューサーが立会います。その後社内試写を行い、サブミリナルチェック等を経て放送します。
(3)について
このドラマを見て、犯罪の「恐ろしさ」を理解するとともに、どんな困難にも挫けずに挑む主人公の姿を通して、「正義」や「勇気」を感じ取ってもらえたらと考えております。
(4)について
犯罪の「恐ろしさ」など放送の意図を伝えるため、暴力や殺人行為の表現は避けません。しかし、子どもの視聴を認識し、表現への配慮を行います。
例えば鮮血はグロテスクにならないように映像の構図や質感に工夫をし、暴力シーンでは必要が無い限り傷などをリアルに表現しすぎないように配慮しています。また、暴力や殺人シーンによって犯罪の恐ろしさを伝えるとともに、主人公がその犯罪を憎み、「人を傷つけるのはやめろ」と発言し、犯罪という人間の行為が如何にいけないことか、許されるものではないことかを強調するように構成しています。『左目探偵EYE』第4話においても、集団暴動を起こす犯罪プランナーの「悪」「恐ろしさ」を表現しながらも、それを「許せない」とする主人公の「勇気」や「正義」、友達を救うために必死に頑張る姿にドラマの主眼を置きました。さらに3月13日の最終回では、哀しみや孤独が憎悪等「負」の感情を生むことがあっても、それを理由に他者を傷つけて良いことにはならないと主人公に強く訴えさせてドラマを締めくくりました。しかしながら、「恐ろしさ」等の表現において、不快感や懸念を抱かれた視聴者がおられた事実は認識致しました。制作者の意図が視聴者の皆様に十分伝えきれなかったとすれば遺憾なことであります。今後も視聴者の皆様のご意見を活かしながらより良いドラマ作りに努めてまいります。

【「回答」に対する委員会の対応】

(1)(2)について、再質問書を送付しさらに説明を受けた上で、審議を行うこととした。

フジテレビ『はねるのトびら』について

当該番組の罰ゲームで、大量の水を飲む行為の危険性について前回委員会で審議し、意見を述べたことについて、局から番組の趣旨及び経緯の報告書が送付された。審議内容については前回の議事概要を参照。

【報告書】

この度、弊社制作のバラエティ番組『はねるのトびら』の1コーナー「しりたしキャバクラ」内で行っている”水を飲むゲーム”(オチ)に関して、その発想の原点および過程と、実際の安全性について、下記の通り、ご報告申し上げます。

  • 発想の原点
    「しりたしキャバクラ」コーナーでゲーム(オチ)を考える上で、私どもが最優先課題に置いたのが”これまでに無い、史上最も危くないゲーム”というものでした。その大前提の中で、キャバクラという設定も踏まえつつ熟考した末、”酔いを醒ますために水を飲む”という内容を考えたわけです。
  • 安全性
    “水を飲む”という行為は、基本的には極めて安全なものですが、唯一考えられる可能性として、「水中毒」というものが存在します。「水中毒」とは、体内の水分が過剰となり、低ナトリウム血症(体内血液中の塩分濃度が低下し、塩分のバランスが崩れる)を引き起こすものです。症状が進むと、精神錯乱、頭痛、痙攣、昏睡状態に陥ることがあるそうです。過去の事例では、アメリカの女性が水を大量に飲む大会に出場し、一気に約8リットルの水を飲みきり、その結果死亡したというのがあるらしく、BPOに寄せられた『水を飲み過ぎると危険だ』という指摘の背景には、このニュースの存在が考えられます。ちなみに、当該コーナーでは、1回のゲームにつき、ミスを犯したプレイヤーが飲むのは400ミリリットルの水を1杯飲むことになっており、しりたしゲーム自体は5回程度行うので、仮に全部飲むことになっても(企画の特性上、その可能性も極めて低いです
    が)、せいぜい2リットル強の水の摂取となります。この2リットル強という水の量に関しては複数の専門医に相談したところ「一般的には10リットル~15リットルの水を一度に飲むと、水中毒の危険性があると言われており、2~3リットルの水を摂取したぐらいでは水中毒になることは到底考えられない。」との見解を頂きました。(「あくまでも個人差があるため、上記のアメリカの事例のように8リットルで死亡するというケースがまれに起こるかもしれないが、とはいえさすがに2~3リットルではその可能性はゼロに等しい。」とのことです)
  • まとめ
    上記の通り、私どもは万全を期して番組制作に臨んでおりますが、今回の件は、海外のしかも『水を飲んで死亡した』という珍しいニュースが、『約8リットルの水』という一番肝心な量の情報が抜けたまま、人々の記憶に残ってしまっていたことが招いたある種の誤解だ、と考えております。今後につきましては、放送中に「マネをしないように云々…」のテロップ等でいたずらに視聴者の不安を煽るようなことはせず、また「水中毒」についての説明をわざわざ入れたりせず、しばらくは事態を静観する形で、当該コーナーならびに水を飲むゲームを続けていきたい、と考えております。

【報告書に対する委員の主な意見】

  • 子どもがまねしやすいゲームになっており、子どもにはストッパーがかからない可能性が高い。ほんの少しでも死のリスクがあるならやめるべき。
  • このコーナーに危険性や不快感は感じなかった。果たして子どもがまねをするだろうか。
  • テロップで注意喚起をすればすべて済むわけではないし、確かにテロップが逆効果を生むこともあるので、局の説明も理解できる。

以上審議の結果、上記委員の主な意見をBPO報告及びホームページに掲載することとした。

視聴者意見について

テレビ東京『マジすか学園』
「深夜とはいえ血みどろの暴力シーンの連続」「人気アイドルが出演する学校を舞台にしたドラマで、若年層もたくさん見ており、子どもたちに悪影響を与える」という批判意見が多く寄せられ、番組を視聴の上審議し、委員からは以下の意見が出された。

【委員の主な意見】

  • リンチや暴力シーンだけが突出して多く、暴力を憎む気持ちが湧くというより、いたずらに恐怖や不安を煽るだけのように感じられる。
  • 全体的に残酷で恐怖を煽るシーンが多い。深夜の放送とはいえ、青少年に非常に人気のあるアイドルグループ「AKB48」を起用しており、録画視聴などを考えると、青少年への影響を憂慮する。
  • カルト風の作りで、最初から最後まで血だらけで何をテーマに何をいいたいのか理解できない。
  • 真似をする者がたくさん出るとは思わないが、文化的には理解できないし、公共のメディアを使って流す番組とは思えない。
  • 「青少年への配慮」や「暴力表現」などについて定めた民放連の放送基準をどう認識しているのか。

以上の意見を踏まえ、委員会としては番組内容に関する局の考えについて回答を求めることとした。「局からの回答」を受けて次回委員会で審議する。

中学生モニター報告について

3月のモニター報告は2009年度後期モニターの最後のレポートで、テーマは半年間中学生モニターを担当してみて「今、テレビについて一番考えること、要望すること」について、28人から報告が寄せられた。

【主なモニター意見】

今回の大きな特徴は、個別の番組に対する意見よりも、現在の放送局に対して”作ってほしい放送”、もしくは”あってほしい制作者像”などについての意見が数多く寄せられたことである。
まず「作ってほしい放送」では、”もっと笑えるバラエティーを”という意見が5件、”人を傷つけない放送を”という要望が2件寄せられた。そのほか”視聴者が参加できる放送”、”視聴者の意見を反映させた番組を”という意見や、”日本をもっと知りたい”“ニュースやドキュメンタリーを拡充してほしい”という声もあった。
次に、放送局に対する要望としては、”品格のある信頼される放送局に”という意見や、”各局のオリジナリティーを生かした番組作りを”、”もっと自由にチャレンジしてほしい”という声や、食事時間などを考慮して”時間帯を考えた編成を”という声が寄せられた。
3年生女子からの報告。「モニターをすることで、今までよりいろいろなことを考えながら、テレビを見たような気がします。そして今思うのは、”番組の制作者は本気でこれを面白いと思って自信を持って作っているのか”ということです。例えば、バラエティーならすべてのコーナーを、”自信を持って見てほしいと思っているのか、すべてのシーンを見逃さないでほしいと思っているのか”、と疑問に思ったりします」。
2年生女子の意見。「私が今いちばんテレビに要望することは、同じ時間帯に他局と同じようなクイズ番組やバラエティー番組、同じような人たちが出ている番組をやめてほしいことです。今、テレビをつけても似たようなものばかりで、見る気が失せてしまいます。どの局も、他局の”パクリ番組”をやるのではなくて、自分たちの局の特徴をそれぞれアピールしてほしいと思います」。
3年生女子の意見。「最近のテレビには面白い番組が少なくなってきていると思います。なぜなら、家族でテレビを見ているとき、見たい番組があまりないからです。だから、リモコンでチャンネルを変えるときは、『これが一番マシやない?』というふうに番組を選ぶことになります。具体的にいうと、水曜日の午後の7時から8時あたりは、全くといっていいほどいい番組がありません。ですから、この時間帯に新番組ができるとみんなその番組を見るようになるのではないでしょうか?」。
1年生男子の意見。「今、テレビについていちばん要望することは、面白くて笑える番組を作ってほしいということです。それと、むだにセットにお金をかけるのはもったいないから、面白い人を呼ぶためなどに使ってほしいと思います。また、スポーツをテーマにしたバラエティー番組も作ってほしいです。理由はなんといっても、子どもから大人まで、幅広い世代の人たちから親しまれる方がいいからです。それと、『めちゃ2イケてるッ!』みたいにちょっと度が過ぎているかも知れないけれど、そういう番組もあっていいと思います。もしバラエティー番組の罰ゲームなどが、安全面だけを考えてやってしまうと、視聴者からみると面白くないし、芸人なら芸人らしく体を張ってやってもらいたいからです」。
3年生女子の意見。「最近の放送は、あまりに規制が多すぎて自由な番組が減っていると思います。以前のレポートで、『8時だョ!全員集合』の話が出ましたが、その番組は結構下品なシーンが多く、親が見せたくない番組のひとつだったと思います。でもその番組は、当時子どもだった今の大人たちの心に残っています。来週が待ち遠しく、安心して、クラスのみんなとの話題にできる番組だったからでしょう。『親が子どもに見せたくない番組ランキング』の上位に入っている番組はだいたい下品な笑いを誘うものが多いので、それを大人が見せたくないと思う気持ちも分からなくはありません。しかし、子どもからすれば『なんで勝手にそんなものを決めるんだ』と少なからず思うでしょうし、私もそう思います。大人たちにすれば、子どもは外部からの情報をすぐに吸収するので、それを防ぐために必要のない情報や悪影響を与える番組を見せたくない、と思うのでしょう。ですが、やはり納得できません。自分が『これは正しい、よいものだ、知りたい』と思うものを、子どもは選んではいけないのでしょうか?」。

【委員の所感】

  • 今期の中学生モニターの皆さんは、毎回、知りたいことをかなり具体的に指摘して意見を書いてくれ、意見も具体的で、読み手にとっても、とても分かりやすく読み応えがあった。
  • モニターの多くは、最近の番組は視聴者のことをあまり考えていないと感じていること、もっと幅広い番組を見たいと考えていること、視聴者参加型の番組を期待していることなどが読み取れた。
  • あるモニターからは、番組作りに規制が多すぎて「自由な番組」が減っているのではないかという指摘があり、多くの番組の中から大人に押し付けられないで、自分で自由に選んで視聴しているという意見も付け加えられていた。「中学生をバカにしないで。良いものと悪いものの違いは自分で決められる」という心意気が強く感じられ、頼もしかった。
  • 制作者が、自分の感覚だけで番組を制作し、受け手である視聴者の意思や気持ちを無視して番組を垂れ流していては、いずれテレビが廃れてしまうのではないと危惧する。

2010年度「中高生モニター」募集について

2010年度「中高生モニター」には、中学生と高校生あわせて241人の応募があり、その中から34人を選出してモニターを委嘱した。任期はこれまでの半年から1年に変更、毎月のモニター報告も3~4か月単位で「バラエティー・クイズ、音楽」、「情報・報道、ドキュメンタリー」、「ドラマ・アニメ」とジャンルを決めて取り上げ、報告をしてもらう。

その他

4月から新たにホームページ上に開設する「青少年へのおすすめ番組」ページについて、事務局より報告があり了承された。

2010年2月に視聴者から寄せられた意見

2010年2月に視聴者から寄せられた意見

小沢氏の不起訴処分を受けて、「検察からのリーク情報」が間違っていたことへの責任を問う意見や、それでもなお「限りなく黒に近いグレーだ」と報道を続けることへの批判意見が多くあった。また、故・中川元財務相の遺族が作製したカレンダーに関する記事を紹介した際の不適切な発言に対する批判意見などがあった。

民主党関連意見が128件あったが、そのうちの125件が民主党・小沢幹事長関連の意見であった。小沢氏の不起訴処分を受けて、「検察からのリーク情報」が間違っていたことへの責任を問う意見や、それでもなお「限りなく黒に近いグレーだ」と報道を続けることへの批判意見が多くあった。

2010年2月に電話・FAX・郵便・EメールでBPOに寄せられた意見は1,751件で、1月と比較して4件増加した。 意見のアクセス方法の割合は、Eメール69%、電話26%、FAX3%、手紙ほか2%。 男女別は男性74%、女性23%、不明3%で、世代別では30歳代27%、40歳代21%、20歳代21%、60歳以上18%、50歳代9%、10歳代4%の順となっている。

視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該局のBPO責任者に「視聴者意見」として通知。2月の通知数は962件(49局)であった。 またこの他に、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、53件を会員社に送信している。

意見概要

人権等に関する苦情

2月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情の内訳は次のとおり。

  • 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・・・ 3件
    (個人または直接の関係人からの要請)

番組全般にわたる意見

2月の視聴者意見は、報道関連意見が先月より減少した。意見分類のキーワードで、具体的な報道姿勢を指摘した「不適切な報道」が前月比で35件減の72件、より広く「報道のあり方」を論じた意見は、前月比27件減の83件であった。政治については民主党関連意見が128件あったが、そのうちの125件が民主党・小沢幹事長関連の意見であった。小沢氏の不起訴処分を受けて、「検察からのリーク情報」が間違っていたことへの責任を問う意見や、それでもなお「限りなく黒に近いグレーだ」と報道を続けることへの批判意見が多くあった。
また、故・中川元財務相の遺族が作製したカレンダーに関する記事を紹介した際の不適切な発言に対する批判意見が89件、日本相撲協会の理事長選挙や横綱朝青龍の引退など、相撲関連の意見が44件あった。外国人地方参政権に関する意見は、今月は11件寄せられた。
南米チリで発生した地震による津波警報が発令され、長時間テレビ画面に表示されたが、「番組視聴の邪魔になる」「地図が不適切だ」など、276件の意見が寄せられた。報道関連で「偏向」というキーワード検索で54件、「公平」で35件該当した。
バンクーバー冬季オリンピックに関する意見は93件。スノーボード選手の服装に関する報道への意見が33件、フィギュアスケートに関する意見が26件あったが、「この後すぐ」といいながら放送まで長時間待たせることへの批判意見も多く寄せられた。
今月のバラエティー番組への意見は、前月比204件減の178件、ドラマ関連の意見は10件減の43件であった。昨年BPO(放送倫理検証委員会)が出した「バラエティー番組への意見書」をテーマに取り上げた番組への意見が63件、番組で紹介したコントがオリンピック選手を中傷しているという批判意見が16件、この他、罰ゲームで大量の水を飲ませることへの危険性を指摘した意見も寄せられた。
ドラマでは、コンサートライブの「殺せ!」コールのシーン、少年同士が拳銃で打ち合うシーン、職場での過酷ないじめシーンなどが不適切であると指摘する意見が多かった。キーワード検索の「人権」で40件。「いじめ」で33件該当した。番組出演者に関する意見は「不適切な発言」検索で前月比86件増の152件、「不適格な出演者」検索は、ほぼ同数の93件であった。ラジオに関する意見は44件あったが、その内「下品な表現」を批判する意見が12件あった。放送局の視聴者・聴取者への応対に関する意見は、今月は36件。CMに関する意見は32件であった。

青少年に関する意見

放送と青少年に関する委員会に寄せられた意見は115件で、前月より約10件増加した。今月はバラエティー番組を中心に、危険行為に関する意見が21件、低俗・モラルに反するとの意見が19件に上った。また、複数のドラマ番組の銃撃、殴り合い、リンチなどの暴力的なシーンに対し、「あまりに残虐」「目を背けたくなる」などの批判があわせて10件以上寄せられた。

意見抜粋

【取材・報道のあり方】

  • 沖縄の基地移設問題についてだが、各局では基地問題で最も大切なことである国の安全保障について議論しないまま、移設先のことばかりを報道している。物事の本質というものをきちんと伝えてほしい。
  • マスコミは民主党の小沢幹事長が「説明責任を果たしていない」と責めるが、小沢幹事長の記者会見をまともに放送しているのか。記者会見はテレビ局に都合のいいコメントだけを編集し、わずかしか放送されない。これでは小沢幹事長の真意が国民に伝わらないと思う。今後、政治家の記者会見は、生放送か編集なしのノーカットで放送して欲しい。
  • 民主党の小沢幹事長を政治資金規正法違反で「黒」と決め付けた各局のニュースショーは、不起訴になった今、どのように責任を取るつもりなのか。起訴と言っていたコメンテーターや元東京地検特捜部長達は、謝罪するわけでもなく、いまだに「黒」だと主張している。マスコミは検察からのリーク情報の言いなりではなく、独自取材で真実を報道して欲しい。
  • 不正を働いている接骨院に、客を装ったテレビ局の人間が隠しカメラを持ち込んで取材していた。「手が痛い。ケガではないのだが」と話すテレビ局のスタッフに対し、院長は「ケガではなくても、転んだことにして保険を使おう」と提案していた。この院長はこの後に詐欺罪で逮捕されているが、この「おとり捜査」のような取材方法は放送倫理上問題はないのか。
  • 「故・中川元財務相のカレンダー相次ぐ注文の不思議」という記事の紹介で、遺族が選んだ生前のスナップ写真が収められていることを伝えていた。その際、アナウンサーとコメンテーターが「多分、変な写真は入ってないんでしょうね。あの泥酔記者会見の写真はね」「入ってないんですか?」「遺族は選ばないんじゃないかな」などと発言していた。これは中川氏の遺族とカレンダー購入者の気持ちを踏みにじる言葉だ。常識も良識もない、あまりの暴言が許せない。
  • 外国人地方参政権付与問題の紹介の仕方について「在日韓国人をはじめとする」と前置きしている場合が多いが、正確に「160ヵ国以上の永住者と特別永住者に関する」と前置きしてもらいたい。選挙権付与は在日韓国人だけのものではない。視聴者に誤解を与えるような報道はしてはならない。
  • 77歳のタクシードライバーがブレーキとアクセルを踏み間違えて店舗に突入し、客ら4人に軽症を負わせた事故の報道だが、名前を出し映像付であそこまで報道する必要があるのだろうか。高齢者による運転ミスであり、故意に事故を起したのではないことは明らかである。それにも拘らず、逮捕されたとして名前や顔を詳細に放送するのは行き過ぎではないか。あの事故の報道でドライバーの実名と顔を知りたい視聴者はどれほどいるだろうか。このような事件に関しては、加害者の人権も考慮した報道をしても良いのではないか。
  • 「元俳優の被告が、覚せい剤事件で保護責任者遺棄致死罪で起訴された」というニュースを取り上げていた。コメンテーターが「被告が保護責任者遺棄致死罪であることは決まりだ。あとは裁判員裁判でどの程度情状酌量してもらえるかだ」という発言をした。被告は無実を主張していくということだが、これから始まる裁判に影響を与えかねないようなテレビでの発言は、慎むべきだと思う。
  • 最近の報道番組は、バラエティー番組なのかと思うぐらい、芸能ニュースなど、どうでもよい事ばかりを放送している。「報道しない自由」などという言い方をするが、それはおかしい。またコメンテーターと言われる人たちは本当に必要なのか。もし必要なら、報道内容に即した専門家に出演してもらうべきだ。素人のコメントをそのまま報道番組で流すなんて、世論をミスリードするためだとしか思えない。
  • 最近の報道番組でカメラのフラッシュが多く、そのまぶしさで光感受性発作のような症状が起きる可能性がある。アニメでは規制されているのに、なぜ報道番組では規制されないのか。
  • 認知症の方が保護されたというニュースを放送していたが、多額の現金を持っていたということは放送する必要がなかったと思う。何かと物騒な世の中だから、「どこの誰それが大金を持って徘徊していた」と噂になると、その方が犯罪に巻き込まれる危険性がある。単に認知症の方が保護されたということのみを伝えればよい。要らない情報まで伝える必要はない。

【番組全般・その他】

  • 鳩山首相が国会で「朝三暮四の意味を知っているか」と尋ねられ、「よく知っています」と 前置きした上で、間違って「朝令暮改」の意味を説明してしまった件について、番組キャスターとアナウンサーが「私も『朝三暮四』の意味は知りませんでした」とそれぞれ言っていた。いくらなんでも、キー局のアナウンサー試験に合格した人間が知らないはずはないと思う。もし本当に知らないとしたら大問題だ。もっと勉強してほしい。
  • 通常なら漢字の読みや人名・地理・歴史のことなどを答える問題ばかりのクイズ番組だが、今日は違った。「与党幹事長の政治資金管理団体の虚偽記載の金額は□億円」で答えは「4」だとか、「鳩山政権の1月の支持率は□2%」で答えは「4」などという問題を、なぜ入れる必要があったのか。非常に偏向した番組だと感じた。
  • 最近の番組は、ADやディレクターやプロデューサーが出演しすぎです。内輪のおふざけを放送しても、決して面白くありません。視聴者はどんどん減少していきます。
  • この番組では毎回テーマに沿った料理が紹介される。この日は「牡蛎(カキ)を使ったレシピを紹介する」と予告でも番組中にも散々言っていた。番組では出来上がったさまざまな牡蛎料理を映しており、私は「今か、今か」と、作り方の紹介が始まるのをテレビの前で待っていたのだが、最後の最後に「この作り方は携帯サイトでご確認ください」とだけ言って番組は終わってしまった。何と人をバカにしていることか。それだけでも不愉快なのに、そのレシピを携帯電話で見るためにはテレビ局との有料契約が必要とのことだ。こんなふざけたことが許されるのだろうか。
  • 深夜の人気番組をゴールデン枠に移動したら、面白くなくなると思います。これまでも、深夜からゴールデンに移動して打ち切りになってしまった番組はいくつもあります。深夜は深夜、ゴールデンはゴールデン、移ったらダメなんです。この番組には消えて欲しくありません。ゴールデンに行って視聴率が下がったら、また深夜に戻してください。
  • 各テレビ局では携帯サイトのコンテンツを充実させ、パソコンサイトからでは、番組参加、抽選申し込み、番組情報の入手などが検索できないケースが増えています。PCインターネットは低額固定制ですが、携帯iモードは通信料がとても高いのです。視聴者に金銭的な負担をかけないようお願いしたい。
  • 「病院だけがお産じゃない」という番組で、病院でのお産を批判し、自由でアットホームな雰囲気のお産を強調していた。出産後、母親がビールで乾杯している場面が流れたが、どんなに大丈夫そうに見えても、何が起こるか分からないのがお産です。飲酒場面を当たり前のように放送することがどんなに危険なことか、番組関係者は理解しているのでしょうか。
  • 番組のテーマは「たった1日で、あっという間に血圧が下がる」というものであった。しかし、実際には「1週間ほど入院して20万円の手術を受ければ血圧が下がる」という説明が欠けていた。これは病気で苦しむ人の神経を逆なでし、視聴者をだますものだ。
  • 話をしている本人は「出られない」ときちんとした日本語を使っているのに、テロップでは「出れない」と、ら抜き表現になっていた。仮に本人が、ら抜き言葉を使ってもテロップではきちんとした日本語の表示をすることが本当なのに、これでは逆ではないか。
  • 日本相撲協会の理事選挙で、大方の予想を覆した結果が出た。マスコミの関心は「当選を決めた票は、一体誰の投票によるものか?」という点に絞られ、各局のワイドショーではその話で持ちきりである。リポーターが相撲協会の役員にマイクを突きつけ「あなたは誰に投票しましたか?」などと質問したり、「誰が誰に投票したかを示すチャート表」をスタジオに用意して勝手に推測するなど、犯人探し同然のことを放送していた。今回の理事選挙は、無記名で自由意思に基づいて投票するという新方式だった。せっかく相撲協会が改革したのに、マスコミが犯人探しまがいのことをやっていては何もならない。
  • 相撲協会の理事選挙の模様を伝える際、各人が投票する手元を大きくズームアップして写していた。もう少しで投票用紙に書かれた氏名まで読めそうな迫り方だった。いくらテレビカメラの入場が許されたとはいえ、理事選挙でそこまでするのは自粛すべきだ。
  • この番組では、お便りが採用された人に大人のおもちゃをプレゼントしている。しかも、その現物をテレビで堂々と映している。深夜番組といえども、許されることではないと思う。
  • お笑い芸人がゲスト出演し、「嫌いな芸能人」「消えてしまえばいい番組」「やりにくい司会者」などのきわどい質問に答えた。ところが、彼の答えが全て音声処理され、放送では聞こえないようになっていた。これでは楽しいのはスタジオにいる出演者とスタッフだけで、視聴者の私は全く答えがわからず面白くなかった。
  • キー局のバラエティー番組で、BPOからのバラエティー番組への意見書を題材にしていたが、何か意味を取り違えているのではないか?笑いに対して真剣に取り組むという姿勢は否定しないが、制作スタッフの会議やネタのテストという名目で、危険を伴う内容を、さも問題がないように表現することはおかしいと思う。制作サイドは万全の態勢で取り組んでいるから安全性は保たれているのだろうが、テレビ画面の限られた空間と時間だけでは、視聴者には危険な行為でも安全で問題ないと受け取られる可能性があることをもっと考慮すべきだと感じた。いじめや児童虐待などで悩んでいる方たちの目にはどう映っただろうか。また、加害者側にいる判断力が乏しい人たちには、どんな影響を与えただろうか。バラエティー番組だから、たまにはハメを外すこともあると思うが、真しに受け止めるべきことを逆手に取ったような番組作りには疑問を感じた。お笑いファンとして残念でならない。
  • これぞ「プロ芸人」であり「バラエティーの在り方」だと思います。「教育上良くない」とか、「いじめを助長する」などのバラエティーに対する批判意見は、子どもをコントロール出来ない親や教師の言い訳に過ぎません。昔はドリフターズ・さんま・たけし・タモリなどがどんどん新しいことにチャレンジし、芸を磨いてきました。今はそうした芸人は少なく、素人同然のタレントばかりです。その中にあって、この番組出演者らは「出ている以上、叩かれても痛い思いをしても、笑って貰えるなら何でもします」という姿勢を見せていました。それこそがバラエティータレントの本質だと思います。
  • 各局が画面に日本地図を表示してチリ地震の津波警報を伝えているが、日本地図から長崎県の対馬を削除している局があった。対馬より小さい南西諸島・隠岐・小笠原諸島・五島列島等は表示されているので、作為的なものを感じた。
  • チリ地震による津波情報で、津波が来る地域を色分けで示すのはよいが、わざわざ点滅させなくても良かったのではないか。とても苦痛に感じた。災害情報が大切なことは分かるが、視聴者が不快にならない方法を考えて欲しい。
  • 大津波警報、津波警報、津波注意報の3種類が発表されたが、日本地図のまわりの色分けが各局で違うので見にくかった。警報なのだから、全局が同じ色に決めるべきだと思う。

【オリンピック】

  • スノーボード選手の服装について、連日放送しています。オリンピック選手としての心構え、服装、態度は私も厳格であるべきだと思います。乱れがあれば厳格に指導、注意も必要でしょう。しかし、それを連日放送する必要があるのでしょうか。スノボー全体の理解もまったくせずに、ただ一方的に批判する放送は、陰湿ないじめになっています。
  • 北京オリンピックほどではないが、テレビが浮かれているのに嫌気が差す。NHKなどは正午のニュースをずらしてまでオリンピック中継をしているが、高校野球のように教育テレビを使えばいい。民放も通販番組ばかりのBSで中継して、電波を有効活用すればいい。
  • フィギュアスケート中継では、選手の演技中は極力、解説者やアナウンサーは黙っていて欲しい。視聴者に伝えるべきは選手の演技であって、解説者やアナウンサーのしゃべりではない。しゃべりたければ、演技終了後リプレイを流すときに存分にしゃべればいい。
  • 競技終了後、まだ選手の息が上がっているのに、マイクを突きつけて、今後の進路などを無理矢理聞いている場面を見かけます。結果に納得がいかず、気持ちの整理がつかないところに追い討ちをかけるようで気の毒で仕方がありません。もう少し選手の気持ちに配慮した取材ができないものでしょうか。
  • 日本のオリンピック選手の育成費が、事業仕分けで27億円に減少した。こんな金額でバンクーバーでは世界の強豪と渡り合ってあっているのだ。メダルがどうのこうのとコメントする以前に、仕分けで削られた選手育成費の少なさや、選手の地元企業や地元民のきめ細かい応援をもっと報道すべきだ。

【ラジオ】

  • この日の放送は、性に関する話題の特集となっていた。まず、番組冒頭でパーソナリティーが、「この放送を聞いている子どもは、今から他局の放送を聞くようにしてほしい」と断わり、その直後からあらゆる性談義・性情報が満載された、とんでもない内容が放送された。昼間の時間帯に放送できる限度を明らかに超えている。このような放送はやめてほしい。
  • 緊急の交通情報が入った。ゲストとの楽しいトーク中だったので頭の切り替えが出来なかったのか、キャスターが、人様が亡くなられた人身事故の情報をゲラゲラ笑いながら読み上げました。第三者の私が人間として極めて激しい憤りを覚えたのですから、亡くなられた方のご家族や関係者の方々は、なお一層辛かったと思います。すぐに局に電話で苦情を申し入れ、「番組中にキャスター本人から詫びの一言でも入れていただきたい」と伝えました。オペレーターは「約束はできませんが、ご意見として伝えておきます」とのことでしたが、番組中には詫びの一言もなく、通常どおりの”ゲラゲラトーク”が続行しました。放送倫理違反に対する通報を、一般の意見・感想と一緒にされてはたまりません。

【CM】

  • CMでは、その映画の鑑賞料は子供一人500円とのことだった。子供だけで見せようと劇場に行ったところ、保護者同伴で500円とのことだった。子供だけの場合は、一人1000円になるという。CMに「保護者同伴」の文字が出ていたのかも知れないが、私の印象には残っていない。条件付ならハッキリと明記してほしい。
  • 喫煙マナーを守っていない人への注意CMを放送するべきだ。まだまだ歩きタバコやポイ捨て行為が多い。特に火のついたままのポイ捨てはこの時期、火事になったりする。火が消えているからといって道路に捨てている人もいるが、これを片づける人の身になって考えて欲しい。
  • 薬のCMだが、「おしっこ」という言葉を連呼していて非常に不愉快だ。CMは食事中でもいつでも構わず入ってしまうので、避けようがない。せめて放送する時間を考えてほしい。

【BPOへの意見】

  • BSデジタル放送では年々テレビショッピングが多くなっている。このままではショップチャンネルになりかねず、テレビ離れがさらに進むだろう。BPOはショップチャンネル化に歯止めを掛けるよう、テレビショッピングのあり方についての「見解」を出して欲しい。
  • このバラエティー番組は、BPO公認なのか?「BPOに寄せられた視聴者意見の検証」という大義名分を立てて、度の過ぎる悪ふざけを堂々と放送していた。この番組の趣旨をBPOに寄せられる意見は無意味で馬鹿げていると受け取って良いのだろうか。このような状況を容認するのであれば、BPOなど存在する意味すらないのではないか。

青少年に関する意見

【低俗、モラルに反する】

  • ドラマ仕立てになっていて、小学校6年生の男の子が女の子に告白するシーンがあった。「好きです」と言ったまでは良かったが、その後に「キスして」と言って目を閉じていた。私は小学校3年生の娘と見ていたが、テレビで放送するにはふさわしくない内容だと思った。以前放送局にこの番組の対象年齢を聞いたところ、対象は小学生の子どもとの答えをもらったが、この内容は小学生に見せるには不適切だと思う。
  • タレントが「アナウンサーに記憶がなくなるまで酒を飲ませて潰す」と言ったが、一昔前ならともかく、アルコール・ハラスメントの概念も認識されるようになっている昨今、無理矢理酔い潰すことを笑いの対象にするのはいかがなものかと思う。この時間帯は子どもが家で見ている可能性もあり、子どもが「酒を飲ませることは悪くない」と無意識のうちに感じることがあるかもしれない。命にも関わる危険な行為を煽ることは、マスコミとしてあるまじき行為である。
  • 評論家がオリンピックに出場したスポーツ選手の衣装のことを「ベビー服」等と発言した。子どもや若者も見ているであろう時間帯に、日本の代表として頑張ってきた選手を褒めるどころかけなしていた。テレビは皆が見る物だ。頑張っている人の夢を壊すような発言を嬉々としてするコメンテーターと、その発言を止められない番組制作者に抗議したい。

【危険行為に関する意見】

  • ゲームのようなコーナーで、罰として多量の水を飲んでいた。多量の水を飲むことは水中毒になる恐れがあり危険である。視聴者、特に知識のない小中学生の行動に悪影響を与えないか。番組中に「危険です」等のテロップがあってもよかったのではないか。

【暴力・殺人シーンに関する意見】

  • 子どもに拳銃を持たせて射ち合いをさせるなど、目を背けたくなるシーンがあった。さらに、自動小銃が仕掛けられ、1人で遊ぶ幼児に向けて照準を合わせていた。このようなドラマがこの時間のテレビで放送されていることに疑問を感じる。
  • 人気グループが出演する学園ドラマだが、凶器を使っての暴行シーンのオンパレード、血のりの量も半端でなく見るに堪えない。テレビドラマにおける暴力シーンはこの番組に限らず多数存在しているが、それらは暴力を肯定するためのものではなくむしろ否定するために必要不可欠なものだ。しかし、この番組は何の意味も持たない暴力シーンを垂れ流している。打ち切りにしてほしいほどの悪辣な番組だと思う。
  • 殺しのシーンがとてもグロテスクだ。手から金属の爪を出して人のお腹を刺したり、血がたくさん出たりと、この時間帯のアニメとしてはふさわしくない。低年齢の子どもが見ない時間帯に放送するか、もしくは放送をやめるかどちらかにしてほしい。子どもにとっては、とても衝撃的なアニメだと思う。

【いじめに関する意見】

  • 子どもと一緒に見ていたが、転校生に対するいじめのようなシーンを見て、子どもが真似をしそうで嫌だった。日曜日の朝に放送するアニメは、もっと明るくて可愛い話がいい。
  • 芸人が「ハゲ」をネタにしている。人間として常識を疑う。外見への差別は、病気で髪が無い幼い子どもに対する「いじめ」につながることがわからないのだろうか。分別のつかない子ども達はすぐに真似をする。
  • 新人が会社でいじめられるという内容のドラマ。この番組に限ったことではないが、子どもが見ている時間に、学校で真似できるような内容の番組を放送することは教育的に良くない。放送を中止して欲しい。
  • 他局の番組のパロディー形式で構成されていたが、視聴者の意見を無視し、神経を逆なでするような内容だった。芸人の両手を縛って熱湯につき落としたり、コンクリート攻めにしたりと、見るに堪えない。いじめにつながるというよりは、いじめの方法のヒントを与えるようなもので、番組で主張されている「いじめられている子どもたちに元気になってほしい」というようなメッセージにはとても思えない。人が不幸な目に遭っていることを笑いの種にするのではなく、もっと他の方法を考えていただきたい。

【性的表現に関する意見】

  • お笑い芸人やAV女優が女性器の俗称をそのまま表現したり、アダルトビデオの宣伝がフリートークの体裁をとっていたりと、信じられない内容だ。さらに番組タイトルもアダルトを想起させるものであり、真っ当な番組とは思えない。ラジオは公共の放送であり全年齢層のリスナーが聞いている。即時、番組の終了を求める。
  • 番組内で歌われているオリジナル曲のタイトルが、一見普通の言葉を並べていながら、少し考えるとひわいに聴こえるような歌詞となっている。いくら深夜番組とはいえ、青少年の健全な育成に悪影響ではないか。

【言葉に関する意見】

  • 番組内のコンサートシーンで「殺せ!殺せ!皆殺し」とコールするシーンがあった。この時間帯でこのシナリオには怒りを覚える。小学生が見ている時間帯によくこんなストーリーを考えると思う。放送局には倫理観がないのか。

【要望・提言】

  • 報道は事件を伝えるだけではなく、実際どのような罰を受けて、そのためにどのくらい正常な生活が困難になるかまで伝えて欲しい。罪を犯すことでのリスクの怖さを十二分に教えることで、抑止にもつなげて欲しい。罪を犯した人の立ち直りを爽やかにドキュメント番組にすることは、「犯罪をしても大丈夫」という子どもを増やしてしまう。

【非科学的な内容に関する意見】

  • 複数の話題にわたって血液型に関する偏見を助長しかねない内容が放送されていた。特に、学者の間でも支持が得られていない独自の説を唱える専門家を登場させ、あたかも既に実証済みの事実であるかのように放送していた。BPOが出した「血液型を扱う番組への意見」に照らし合わせて問題のある内容だった。

【推奨番組に関する意見】

  • この番組でBPOの存在を知った。お笑いに対する思いや番組作りなど、とても感動した。あるコーナーについて、当初と比べ子どもたちへの対応が厳しくなっていると感じていたが、昨日の番組を見て、芸人の思いや、テレビに出演するにはプロとしての自覚が子どもにも必要なことなど、とても素晴らしいと思った。これからも萎縮しない面白いテレビ番組を期待している。

【CMに関する意見】

  • テレビを見ているとパチンコのCMが増えたと感じる。最近ではアニメを使ったパチンコのCMが目につく。面白そうな映像に「これ何の商品?」と思っているとパチンコだったりする。それも昼間にも放送しているので、自然と子どもの目にも入っていることだろう。パチンコはれっきとしたギャンブルであり子どもへの悪影響が心配だ。教育上よくないのでCMを自粛すべきだ。
  • パチンコ店及びパチンコ台メーカーのCMが、朝から晩まで流れていることが不快だ。青少年に悪影響だと思わないのか。昔はパチンコのCMは深夜番組の間ぐらいにしか流れていなかったと思うが、今は朝のニュース番組の間にも流れている。最近はアニメの台が多く、子どもも目を輝かせてしまう程だ。パチンコCMは規制できないのか?
  • 「盗めそうな人からお宝を盗め」というゲームのCMが流れていた。すきを見て普通の人から物を盗ることを良しとするゲームが存在すること自体が問題だと思うが、それよりも子どもが見る時間帯にCMで流れることも問題だ。CMは放送するまでに何人ものチェックを受けるのかと思っていた。社会的倫理を逸脱したものが放送されることは問題である。

【視聴者意見への反論・同意】

  • 「深夜番組は性的に低俗」「深夜番組にはグロテスクな内容が多く子どもに不適切」という意見が多いが、そういった番組は日付が変わるような深夜の放送だ。こういった問題は視聴者に落ち度があると思う。子どもをそのような時間まで起こしておくことも良くないし、部屋にテレビがあるというが、テレビなど買い与えなければいい。仕事の都合上深夜まで帰れない人もいると思うので、深夜番組に対する集中的な攻撃はやめていただきたい。
  • 「最近AV女優が出演することが多くなっている。子どもにとって不適切であり、時間帯を考えて欲しい」という意見があった。AV女優も同じ女性であり、職業で差別すべきではない。番組が子どもにとって不適切だと思うのなら、親が見せなければ良いだけのことではないか。

第159回 放送と人権等権利に関する委員会

第159回 – 2010年3月

「上田・隣人トラブル殺人事件報道」事案の審理

「旅館再生リポート・女将の訴え」事案の和解報告 ……など

「上田・隣人トラブル殺人事件報道」事案の実質審理が始まった。「旅館再生リポート・女将の訴え」事案の和解について事務局より報告した。3月10日に行われた「拉致被害者家族からの訴え」事案の通知・公表について事務局より報告した。

議事の詳細

日時
2010年 3月16 日(火) 午後4時~6時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
堀野委員長、樺山委員長代行、三宅委員長代行、小山委員、坂井委員、武田委員、田中委員、山田委員

「上田・隣人トラブル殺人事件報道」事案の審理

長野県在住の被害者遺族から申立てのあった本事案の実質審理に入った。
申立ては、テレビ朝日が、2008年12月23日に『報道ステーション』で放送した、特集「身近に潜む境界トラブルの悲劇・住宅地の惨劇はなぜ起きた」に対して行われたもの。
申立人は、「両親の嫌がらせが殺害動機であるとの放送内容は事実ではない。また、放送は『嫌がらせを行った人物』『常識のない人物』として、両親の社会的評価を著しく低下させるもので、両親に対する敬愛追慕の情を著しく侵害された。さらに、子供である申立人本人の名誉も侵害された」と主張している。
これに対しテレビ朝日は、「決して被害者を貶めるつもりで放送したものではなく、謝罪、訂正放送が必要な事実誤認もなかった」と反論している。
委員会では、テレビ朝日から提出された放送同録を再度視聴した後、取材や番組の構成等について意見を交わした結果、次回委員会においても、さらに審理を重ねることとした。

「旅館再生リポート・女将の訴え」事案の和解報告

本事案は2月18日にBPO会議室で堀野委員長立ち会いのもと、申立人と被申立人のフジテレビが出席して和解の手続きがとられ解決した。
事務局が当日の様子とホームページやBPO報告で和解成立を伝えたことを報告した。
(和解内容の詳細は2009年度 仲介・斡旋解決事案をご参照ください)。

「拉致被害者家族からの訴え」事案の通知・公表の報告

本事案の「委員会決定」の通知と公表が3月10日に行われた。
事務局よりその概要とテレビ各社の放送対応および新聞記事をまとめた資料を配付し、以下のとおり報告した。また、当該局であるテレビ朝日が報じた当日夕方のニュース番組の同録DVDを視聴した。

通知には堀野委員長と、起草委員を務めた樺山委員長代行および坂井委員の3人が出席し、申立人である「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」と被申立人であるテレビ朝日とが同席する形で行われた。
(決定内容の詳細は「委員会決定」の項、決定第43号をご参照ください)。
通知の後、両当事者から個別に質問を受け、意見や感想を尋ねた。
家族会の飯塚代表は「謝罪が不適切と判断していただいたが、国民に分るような謝罪の仕方とはどういうものか、もっとやっていただきたかった」と述べた。増元事務局長は、田原発言全体については「言論の自由の範囲内」とした判断を「残念だ」と述べた。一方、テレビ朝日は「決定を真摯に受け止め、今後に生かしていきたい」と述べた。
この後、記者会見で「委員会決定」の内容を公表した。会見には26社64人が集まり、テレビカメラ6台が入った。
昨年6月に申立書を受理してから通知・公表までに9か月を要した点について、堀野委員長は「申立て内容が重大であり、また『名誉毀損やプライバシーの侵害以上に、最も重大な人権侵害』という主張をどう理解するかなど、論点についての意見統一にも時間がかかった」と説明した。
樺山委員長代行は、「BPOで扱ってきた事案の中でも極めて難解で、被害者の救済と言論の自由とが正面衝突したケースだった。それだけに長い時間をかけて議論した」と述べた。
坂井委員はポイントを3点挙げ、「1つ目は言論の自由の大切さであり、異論を受け入れる寛容さが必要だという点だ。2つ目は言論の自由を前提としても他人を傷つける言い方はまずいということだ。それは表現の自由を足元から崩す行為になる。3つ目は謝罪の問題だ。商品に欠陥があった場合、マスメディアは企業の社会的責任を厳しく問うが、メディアで誤りがあった場合も同じで、謝罪の気持ちはちゃんと伝わるようにやるべきだ」と述べた。
記者からは「特に難しかった点はどこか」という質問が出た。
堀野委員長は「生死不明の家族について『生きていない』と言われて精神的苦痛を受けた時、どのような権利がどの程度害されたといえるのか。名誉やプライバシーの侵害などとは次元の違う問題だったことだ。この点については名誉毀損等の余地ありとした三宅委員の補足意見がある。もう1点は政府の方針に疑念を生じさせたとか、救出運動を妨害したなどの申立てが、直接、人権に係る問題ではなかったことだ。所轄外といえば終わる話だが、ひいては拉致被害者の生命にもかかわる重大な人権侵害という主張なので、きっちり答えようということになった」と答えた。
通知と会見を受け、当該局であるテレビ朝日は夕方のニュース番組『スーパーJチャンネル』で、全国ネット枠で決定内容を報じるとともに、改めて社としてお詫びした。(当該番組の『朝まで生テレビ!』では、3月26日の放送で決定内容を詳しく伝え、「決定を真摯に受け止め、今後も放送倫理に十分配慮した放送に努めて参ります」と述べるとともに、重ねて社としてのお詫びを放送した。)
このほかの在京民放テレビキー局およびNHKは、10日夕方から夜にかけてのニュース番組や翌11日朝の生活情報ワイド番組で、全国ネット枠で伝えた。
新聞各紙は自社サイトで速報したのをはじめ、11日付けの朝刊紙面で一斉に報道した。

2 月の苦情概要

2 月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情・相談・批判の内訳は以下の通り。

  • 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・・・・3件
    (個人又は直接の関係人からの要請)
  • 人権一般の苦情や批判・・・・・・・・・・・・52件
    (人権問題、報道被害、差別的表現など一般視聴者からの苦情や批判)

その他

  • 事務局から、(1)総務省が在京民放テレビ5局を対象に女子中学生自殺報道について調査しようとした問題、(2)総務省の「今後のICT分野における国民の権利保障等のあり方に関するフォーラム」の動向、(3)3月5日に国会に提出された放送法改正案の概要――の3点について報告した。
  • 次回委員会は4月20日(火)に開かれることになった。

以上

第36回 放送倫理検証委員会

第36回 – 2010年3月

偽札詐欺報道で違法な取材があったTBSの『報道特集NEXT』と『イブニングワイド』

バラエティー問題について …など

第36回放送倫理検証委員会は3月12日に開催された。まずブラックノート(黒く着色された偽札)詐欺事件を報じたTBSの『報道特集NEXT』と『イブニングワイド』について3回目の審議を行い、委員会決定の文案について若干の修正を加えた上で、通知・公表することにした。
「バラエティー番組」のブックレットの内容について基本的な合意が得られたので、近く刊行の運びとなった。
毎日放送の報道番組『VOICE』で放送された街頭インタビューは、ヤラセではないかと視聴者から抗議があったが、当該局の説明を了承して取り上げないこととした。

議事の詳細

日時
2010年 3月12日(金) 午後5時~8時15分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
川端委員長、小町谷委員長代行、石井委員、市川委員、里中委員、立花委員、服部委員、水島委員、吉岡委員

偽札詐欺報道で違法な取材があったTBSの『報道特集NEXT』と『イブニングワイド』

昨年12月、TBSの『報道特集NEXT』と『イブニングワイド』で、ブラックノートに特殊な薬品をかけると1万円札に戻ると称して、薬品代をだまし取るという詐欺事件が放送された事案。担当委員から提出された決定文案をもとに3回目の審議を行った。
まず、他人の車に勝手に発信器を取り付ける行為については、それ自体は妥当とは言い難いが、事案によっては報道の公益性との関わりが生じるので、委員会が安易に一般論を述べることは適当ではない、当該局と制作会社が具体的状況に即して判断すべき問題だ、という意見が大勢を占めた。
また、テレビ局と制作会社とは、対等なパートナーだと標榜されているが、実態は支配・従属関係になっているように見える、番組クレジットの表示方法も、制作実態に合わせて検討すべきではないかとの指摘があった。
決定文案を多少修正したうえで、速やかに通知・公表することにした。

【委員の主な意見】

  • 犯人と思われる人物の車に、無断で発信器を取り付けた取材方法について検討することは大切だが、一方で報道の公益性とのバランスを常に考えなければならない。その線引きはケースバイケースであり、この委員会がガイドラインを作るような問題ではない。
  • テレビ局と制作会社は使用者と非使用者ではないから、支配・従属の関係にはないのに、現状はそのように見える。バリエーションはあるにしても、本来両者は請負や委任の対等な契約関係にあるのではないか。
  • テレビ局と制作会社の契約関係は対等だとしても、放送責任は一義的にはテレビ局が負わなければならない。そのため、テレビ局が制作会社へコンプライアンスについて注文を出すのは当然だ。それは番組の中身だけでなく制作プロセスの問題も含まれる。今回の場合、制作会社とテレビ局の間で、報道の使命が自覚もされず、議論もされていないのではないか。
  • 制作会社と局との共同制作と、制作会社の完パケ持込みとの中間で起こった問題だ。今回の場合、局は制作会社との共同制作ならば、責任の所在を明確にするためにも、きちんと制作表示すべきだ。
  • 委員会は制作会社に対して直接意見を言う立場にない。制作会社で生じた今回のような問題は、放送局に対してきちんと取材方法の適正性をコントロールするように伝えるべきだ。
  • テレビ局が責任を負うべきなのに、制作会社をより厳しく取り扱うという方向で対応するのだとすれば、それは違うと思う。
  • 委員会は発足して3年になるが、今まで取り上げた事案の中には、テレビ局と制作会社との関係がおかしかったが故に起きた事例がたくさんある。

バラエティー問題について

昨年秋に公表した「委員会意見」のほかに、ブックレットに何を収録すべきかについて、担当委員がまとめた原案が報告され、基本的に承認された。
また、複数の番組や勉強会などで「委員会意見」を熱心に検討したフジテレビの対応を評価する意見が出された。
委員会は、「意見」を出したからバラエティー問題を今後扱わないと判断したわけではなく、問題のある番組が放送されれば、引き続き個別に取り上げることを確認した。

やらせインタビューを疑われた毎日放送の『VOICE』

毎日放送の報道番組『VOICE』(2月1日放送)で、大阪のワンコインタクシーが、乗務距離制限を課せられたことで経営的な難問に直面していることを報じた。その中で、タクシー乗り場にいて利用者としてインタビューされた男性が「乗車拒否されたことがある」など乗務距離制限に否定的なコメントをしたが、実はその男性は、ワンコインタクシー会社の社長であったことから、対立する大阪タクシー協会から、ヤラセではないかと抗議があった事案。毎日放送はそういう人物だと知らないでインタビューしたと、後日の放送で釈明した。委員会は毎日放送の説明を了承し、取り上げないこととした。

連絡事項

総務省が開催している「今後のICT分野における国民の権利保障等の在り方を考えるフォーラム」(3月29日)に飽戸理事長が呼ばれ、BPOの活動を説明することになったと報告した。また、4月1日に行われるBPO事務局スタッフの交代(事務局長と調査役1名)について報告した。

以上