第111回 放送と青少年に関する委員会

第111回 – 2010年4月

日本テレビ『左目探偵EYE』2月13日放送分の局からの再回答について

テレビ東京『マジすか学園』2月27日放送分の局からの回答について…など

4月27日に開催した第111回青少年委員会では、日本テレビ『左目探偵EYE』、テレビ東京『マジすか学園』の回答について審議した。また、3月16日から4月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見をもとに審議したほか、4月度の中高生モニター報告について、担当委員からの報告および審議が行われた。

議事の詳細

日時
2010年4月27日(火) 午後4時30分~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

日本テレビ『左目探偵EYE』2月13日放送分の局からの再回答について

審議内容および回答については前々回、前回の議事概要を参照。

【青少年委員会からの「再回答のお願い」】

(1) 2月13日放送分について、視聴者意見や委員会での各委員が指摘した”暴力的シーン”の意図及び必然性についてお聞かせください。

(2) 放送前のチェック段階で”暴力的シーン”について、青少年への配慮を含め、どのような意見があり、最終的にどう判断され放送に至ったのかについてお聞かせください。

【日本テレビからの再回答】

(1) について
第4話は、主人公の兄(=犯罪プランナー)が売れないミュージシャンを騙して悪用し暴動が起こるように仕掛ける話です。
悪人達はライブ会場に観客を集めるために、若者なら自然と興味を持つロックの歌詞の中に犯罪の謎解きがあるという噂を流し、好奇心と期待感をかりたててステージに注目させ、非日常的な暴言を繰り返すことで観客を煽ります。
しかし、悪人達の真の目的は、彼らが製造したリストバンドの効果の確認にありました。リストバンドは、高温という条件下で人間の暴力性を一気に高める特殊な構造であり、悪人達はライブ会場の全観客にリストバンドを装着させた後、会場の室温を上げるという人体実験を実行します。視聴者はドラマ終盤の謎解き部分でリストバンドの秘密を知りますが、このようなリストバンドが実在するはずもなく、視聴者はこのドラマが現実にはありえない創作なのだということを明確に認識されると考えます。
人の心は脆く、また、人は集団になると物事の本質を見失いがちです。第4話は、そうした人の心の脆さと人間社会の醜悪な一面を描きつつ、それを傍観しない強い意志を持った主人公の少年・愛之助の生き方を表現する意図で制作しました。
フィクションにおける状況設定はテーマを伝えるためのものです。その意味で「暴力シーン」は、このドラマの意図を視聴者に理解して頂く上で必要であったと考えております。

(2) について
放送にあたって配慮したことは「犯罪」や「暴力」が肯定されないようにすることでした。「犯罪」を描く場合は、その「恐ろしさ」をきちんと伝えると同時に、多くの子供たちが視聴するドラマであることを踏まえ、過度な表現とならないように注意を払います。
第4話についても同様の配慮の下、制作にあたりました。台本について、考査セクションは、放送枠やテーマ等とのバランスを欠くものではないと判断しました。また、制作現場では、作品上の表現に関して、チーフプロデューサー以下、前述の共通認識に立ち、撮影・編集・仕上げ・下見と放送前のチェックを行いました。
例えば、冒頭の主人公の「悪夢」のシーンでは、殺害現場のリアルさを抑えるため映像の構図や質感に工夫し、また、ライブ会場の暴動シーンでは怪我の描写などが生々し過ぎないよう心がけました。
「暴力シーン」は、それ自体が目的なのではなく、その「恐ろしさ」とのコントラストで、主人公が事態を食い止めるために必死に立ち向かう姿をより強く浮かび上がらせるために不可欠と判断しました。そうしたストーリーの展開によってこそ、「犯罪」が許されるものではないことが青少年を含む視聴者の方々にお伝えできると考えました。そして、前述した表現上の配慮を加えた上で放送に至りました。

ご指摘の第4話につきましては放送終了後、視聴者の方々から多くの声が寄せられました。「殺せ」「皆殺し」の歌詞や集団的な暴行シーンなど「恐ろしさ」等の表現に関して、「子供には見せたくない」「犯罪を助長しかねない」などの不快感や懸念を抱かれた視聴者がおられたことは、制作者としての思いを伝え切れなかった現実を示すものとして重く受け止めております。視聴者から頂戴したご意見と貴委員会からのご指摘につきましては、直ちに社内横断的なコンプライアンス担当者の委員会において問題点を提示し注意を促したほか、ドラマの担当セクションにおいても周知し意識の共有に努めております。今後もこうした声に耳を傾けながら、より良いドラマ作りを目指してまいります。

【委員の主な意見】

  • 視聴者意見にあるように過度な暴力的表現は、かつてあったような法的規制の対象視されかねず、自縄自縛の要素を含んでいる。
  • “殺せ、殺せ”と連呼する表現が、子どもたちに如何に受け止められるのかとの認識は不可欠であり、設定の段階からの留意が必要。
  • 委員会の質問に対し、説得力のある回答が得られなかったことは残念ではあるが、社内議論もされており、制作者側も受け止めているものと見られる。

以上の審議の結果、青少年委員会としては、BPOや番組に寄せられた視聴者の意見および青少年委員会の審議を周知し、今後の番組制作にあたっていただきたい旨、BPO報告およびBPOホームページに掲載することとした。

テレビ東京『マジすか学園』2月27日放送分の局からの回答について

審議内容については前回の議事概要を参照。

【青少年委員会からの「回答のお願い」】

(1) 全体的に暴力と血のシーンが突出して多く見られます。出演者は、青少年に人気のあるアイドルグループ「AKB48」を起用されていますが、青少年の視聴についてどう配慮されたかをお聞かせください。

(2) 血みどろのアップやリンチの悲鳴など、暴力シーンを多く使われるドラマの演出意図をお聞かせください。また、ドラマを制作する際に、暴力表現についてどのような意見交換や考査が行われているかお聞かせください。

(3) 民放連の放送基準第9章では、暴力表現について規定しています。とくに65条の留意点に照らして、当該番組の表現について、お考えをお聞かせください。

【テレビ東京からの回答】

元来連続ドラマの場合、1クールを概ね視聴して頂いてこそドラマの意味や意図が伝わるものと考えております。そこで各質問について回答申し上げる前に、まず本ドラマの企画意図及び全体のあらすじを申し上げます。
テレビ東京のドラマ24枠は、ゴールデンタイムよりも自由でエッジの立った企画の場として、2005年秋に立ち上げた枠であり、これまでいわゆるM1層(20~34歳男性)を視聴ターゲットに深夜帯に特化した番組をお送りしてきました。その第18弾となる本ドラマは、時代錯誤的存在である「ヤンキー」をあえて題材とし、漫画調にデフォルメして描いた学園ドラマです。テーマは青春。馬鹿馬鹿しいことにも夢中になれる若い時期を青春の輝きととらえ、アクションとコメディタッチの笑いの中で、「真剣に生きることの大切さ」「仲間との絆」等のメッセージを込めようと意図したものです。

シリーズ全体についてのあらすじは以下のようになります。
一見地味なのに実は喧嘩が最強な女子高生の主人公が、なぜかヤンキーばかりいる「馬路(まじ)須加(すか)女学園」に転校したことによって、勃発する勢力争いに巻き込まれます。しかし主人公は、喧嘩はもちろん友達を作ることさえ避け、感情すら表に出そうとしません。実は主人公には、真面目になろうとしていた親友を、喧嘩のせいで亡くしたという過去があったのです。そのため「真剣に生きる人を嘲笑する」ような、許せない相手にだけその拳を振るいます。辛い経験をした主人公が、新しい仲間との友情によって、再生していくというのが全体のストーリーです。
もちろん主人公は「暴力」によって、過去も現在も傷つき悩んでおり、本ドラマに「暴力」を礼賛するような意図はありません。本作はあくまでも「暴力では問題を解決できない」という立場にあります。
シリーズ全話を、是非、ご覧いただきたく、DVDを送らせていただきます。

各質問に対する回答は以下の通りになります。

(1)について
基本的には深夜12時を過ぎた時間帯での放送であり、青少年の視聴は自ずとある程度制限されていると考えます。またAKBのファンゆえ録画して視聴するような若年層の方々にも、複数話を視聴して頂ければ、本ドラマの「真面目に生きること」や「友情」の大切さといった基本的メッセージは伝わると考えています。事実、放送終了後に番組ホームページや一般のブログ等に載った視聴者の意見は、「感動した」「泣けた」といったものが大勢を占め、その数もドラマ24枠史上では最多となっています。しかしながら、反省点もあります。
AKB48は秋葉原の劇場を活動拠点に、「会いにいける」をコンセプトに結成されたグループです。そのためファン層も公演チケットを購入できるであろう、学生から20代男性を主としてきました。そこで本ドラマも同層を視聴ターゲットに深夜のドラマ24枠で企画、昨年秋より撮影を開始しました。ところが、ちょうどその時期以降、楽曲のヒットや大量露出によってそのファン層が女性やローティーン層にまで急拡大。数ヵ月後の本番組放送時には、企画当初に想定した視聴者層よりも広がりを持っており、それが今回のご指摘に繋がったことは否めません。今後の番組制作にあたっては、より慎重に視聴者構成を検証、特に若年層への配慮を徹底致します。

(2)について
本ドラマの毎回の基本的構成は、主人公が人として許せない相手を喧嘩で倒すというものです。そこで相手となる敵のキャラクターに、漫画的にデフォルメしたバリエーションを持たせるべく、これまで「ギャル」「歌舞伎」「超能力」等の工夫をしてきました。今回はその一環として「ホラー」に設定、「終始笑っている」「倒されても倒されても起き上がる」「血糊」と、あえて怖がらせることを意図しました。
またストーリー面では、全12話をかけて主人公の心が再生するまでを描くという構成の中、前回第7話で、新たな仲間を得たことで主人公の心が少し開きかけました。ところが今回第8話は、その仲間たちが傷つけられることによって、主人公が自らを責め、再び心を閉ざしてしまうという回にしています。一人二人ではなく仲間全員が傷つくこと、また喧嘩を格好良く美化せず、その痛みや醜さを描くことで、主人公が受ける心の衝撃の強さ、自責の念の深さを表現しようとしました。更に前半で仲間たちが順番に倒されていき、後半で協力して戦う過程を描いたため、通常は各話1、2回であった喧嘩のシーンの回数が増え、時間的にも長くなりました。そこにホラー調演出を採ったことが、全12話の中でも突出した印象となった要因と考えます。ただこのホラー調はこの回限りであり、今回登場した敵キャラクターも後に主人公と事実上の和解、「仲間との絆」といったメッセージに収斂させています。
本ドラマは、テレビ東京ではプロデューサー2名が担当、制作会社のプロデューサー3名と共に、台本制作から撮影現場立会い、編集チェック、完成品チェックといったプロセスを経て放送されています。その際、適宜、意見交換、台本についてはプロデューサー以外にもテレビ東京審査部のチェックも受けています。また更に今回は、刃物等で「刺す」「切る」「鮮血が飛ぶ」等、局所的、直接的表現については予め避けていますし、プロデューサーによる編集チェック時にも、過度と思われる暴力表現及び不快さを助長するホラー的表現については、一部カットしています。

(3)について
根底に健全なメッセージを置いた上で「喧嘩」をデフォルメして描く世界観。また娯楽としてのホラー的表現については、深夜帯での放送を前提に意図したものです。また今回の暴力シーンについては、喧嘩によって主人公が心を閉ざすというストーリー上の必然性があることからも、意味の無いシーンとは考えていません。
しかしそれと同時に、一部の視聴者に少なからず不快感を与えてしまったことについては、民放連放送基準を遵守する立場からも、真摯に受け止める必要があります。たとえそれが、シリーズ全体ではなく特定回だけをご覧頂いた視聴者のご意見だとしても同様でしょう。今回ご指摘を頂いたことを契機に、あらためて民放連放送基準を踏まえながら、深夜番組における表現の可能性と限界を再検討、今後、青少年を含む視聴者構成をより慎重に検証することと合せて、番組制作に反映させたいと考えます。

【委員の主な意見】

  • シリーズ全体の中で評価するという論理は今の視聴実態とは乖離している。1話毎に視聴者、特に青少年への十分な配慮をしたうえで制作すべきもの。
  • 全体の中で評価すべきと考える立場だが、トータルで見たとしても、この回のグロテスクさを肯定できるメッセージは無いのではないか。
  • 24時枠で新しい試みかもしれないが、AKB48を売り出すことが目的のように思え、そのために女子高生・暴力という設定だけでドラマは進み、視聴者をひきつけるために暴力をエスカレートさせるという安易さが気になる。
  • ホームページやブログの「感動した」等の意見については、分析して評価すべきであり、そのまま受け止めるのは安易すぎる。

以上の審議の結果、青少年委員会としては、「ドラマ24」という枠の新しい試みだとしても、全体に表現が激しすぎ、想定される視聴者の年齢等について配慮して番組制作にあたられるよう留意すること。また、シリーズ全体で評価すべきか、個別の番組で評価すべきかは議論があるものの、視聴者の意見等を踏まえてその時々で審議の対象にはなりうる旨、BPO報告およびBPOホームページに掲載することとした。

【ドラマ番組の暴力シーン等について】

青少年委員会では”暴力シーン””殺人シーン”のすべてを否定するものではありません。番組もそれぞれ企画意図・演出意図・放送時間帯等が異なり、一律に語られるものでもありません。しかし最近の傾向として、BPOには視聴者からドラマの”暴力シーン”等についての批判意見が多く寄せられています。特に昨今の人気アイドルが主演するドラマには、青少年委員会に多くの意見が寄せられます。ドラマ制作にあたっては、あらためて民放連放送基準第9章「暴力表現」および第3章「児童及び青少年への配慮」の趣旨の理解と遵守を放送局および制作者に要望いたします。

視聴者からの意見について

「中学生の大麻所持」の報道について、視聴者より「大麻等薬物と青少年の関わりが増えている。報道が薬物の怖さをきちんと伝えていないからだ」という意見があった。この件について委員より、ミュージシャンの逮捕や、中国での覚せい剤所持日本人の死刑判決報道も含めて、2009年11月に青少年委員会が出した「青少年への影響を考慮した薬物問題報道についての要望」の多角的報道の視点が生かされているのかという指摘があった。委員会としては「要望」公表後、薬物問題を多角的に扱った番組や放送局の取り組み等があることを認識した上で、「青少年と薬物問題」は今後も継続する重要な社会問題であることから、放送局には引き続き「要望」についての留意をお願いしたい旨、BPO報告およびBPOホームページに掲載することとした。

中高生モニター報告

今年4月から、これまでの中学生に加え高校2年生までの34人に、中高生モニターを委嘱した。4月~7月にレポートを書いてもらうジャンルは「バラエティー・クイズ番組、音楽番組」で、4月は「バラエティー・クイズ番組、音楽番組」の中で自分の「好きな番組、面白い番組とその理由」について報告してもらった。また、毎月のモニター報告の総評に加え、「今月のキラ星報告」を選考し、BPO報告とBPOホームページに掲載することにした。

【主なモニター意見】

今回、好きな番組、面白い番組として意見の多かった番組は、バラエティー番組では『世界の果てまでイッテQ!』、クイズ番組では『クイズ!ヘキサゴンll』で、それぞれ4件だった。『世界の果てまでイッテQ!』では、「イモトアヤコさんが紹介する珍獣たちは本当に迫力があって楽しみだ」「宮川大輔さんが”世界一盛り上がる祭り”に実際に参加してプレゼンしてくれるのがいい」「家族で楽しめるし、世界の知らないことを楽しみながら学べる」などの意見のほか、「この番組が好きな理由は、(1)珍しい動物(2)危険な祭り(3)変わったグルメにある」と分析したモニターもいた。
『クイズ!ヘキサゴンll』については、「世間的には”馬鹿らしい”と批判されがちな番組ですが、子どもはそういう番組をただ単に面白いと思うから見ているのであって、メモを取りながら見ているわけではない」「音楽のプロデュースがすごい。自分もなれるかも知れないと思わせてくれる」「クイズは簡単だが翌日学校で話題になる。トークも面白く明るくさせてくれる」「”おバカ”にあきれることもあるが、家族そろってクイズを答え言い合っている」などの声が寄せられた。
次に意見の多かった番組は『はねるのトびら』で、3人から好評の意見が届いた。「”やや嵐”のコーナーがいちばん好きです。よく企画が練られていて、さすがゴールデンタイムの番組だと思います」「『景気回復プロジェクト』が面白かった。私的には、回転SUSHIのコーナーがいちばん好きだが、つぎつぎに新しい挑戦があって楽しい」「世間的には”イジメの元になる”と批判されがちな番組ですが、子どもたちはただ単に面白いと思うから見ているのであって”イジメはこんな風にやるのか、ふむふむ”なんてメモを取りながら見ている人は一人もいないと思います」。
そのほか複数の意見が寄せられたバラエティー番組は、『飛び出せ!科学くん』『お試かっ!』『しゃべくり007』『VS嵐』。「MCの2人がボケたり突っ込んだりして進行してくれて、大掛かりな実験に挑戦するなど理解しやすい構成になっている」「『帰れま10(てん)』の企画が面白い。出演しているタレントそれぞれの個性も分かって楽しいし、”完食”が決まりなので、食品を無駄にすることもない」「”プレゼン”のコーナーが好きだ。たっぷり笑える番組で、大物ゲストのときは特に面白い」「嵐のメンバーがゲストを交えて対決するコーナーがいちばん好きで、メンバーの仲の良さもよく分かる」という意見が寄せられました。ただ、深夜帯からゴールデンタイムに移設された番組については、面白さが半減しないかという危惧する意見もあった。
クイズ番組では『Qさま!!』に「難問だが勉強になる。特に漢字バトルが好き」「インテリチームが難問を解くスリルが楽しいし、家族揃って楽しめる」という意見が寄せられた。
音楽番組については『うたばん』に2人から意見が寄せられた。「石橋貴明さんと中居正広さんのトークがいい」「番組のセットがいい。ゲストを徹底解剖する構成もいい。この番組は一番アーティストに近く、一番バラエティー性に富んでいる」。そのほか『ミュージックステーション』には「新曲、着うたランキング、最近始まったMQ(エムキュー)もいい」と言う意見が、『全国アカペラ甲子園~全国ハモネプリーグ』には「アカペラに感動した。出演者が多すぎる印象だったが、”ボイパ(ボイスパーカッション)”はすごかったし、これからの可能性を強く感じさせてくれた」という意見も寄せられた。
また、音楽番組ではラジオ番組についても意見が寄せられ、エフエムTOKYOの『au オンエア ミュージック チャート』には、「最新の流行が分かるし、みんなが知らないような裏話が聞けるのがいい」、NACK5の『WARMING-UPMUSIC』には「最新の曲のほかにその日のニュースも取り上げてくれるのでテレビニュースを見る必要がない。また、番組を聴いているリスナーのリクエストを大切にしてくれるところもいい」という意見もあった。
5月は、「バラエティー・クイズ番組、音楽番組」の中から「嫌いな番組、面白くない番組とその理由」について、報告してもらう。

【委員の所感】

  • これまでの中学生に加え高校生の意見を求めたが、あまり大きな意見の違いは感じられなかった。評価する声で目立ったのは「家族で見られる番組」「タレントが実際に体験する番組」などで、そのほか「深夜帯で開発した番組がゴールデンに移行すると冒険的でなくなることへの危惧」の声も複数寄せられた。
  • バラエティー番組について、「お笑い芸人が弱い人を作り出してからかったり、わざとおバカなふりをしたりしますが、学芸会のような身内だけの盛り上がりすぎを見るとTV番組の笑いの沸点が下がってきてしまっているように感じ、とても残念です」という意見に共感した。
  • 最近、ラジオ離れということが巷間いわれているが、ラジオについて熱いレポートを送ってくれたモニターには感心した。音楽ばかりでなくニュースなどの情報を送ることも大切だと思う。
  • 『サラリーマンNEO』についての意見で「”単純な笑い”から”シュールな笑い”まで、1つのネタからこれだけ多くの笑いを出す番組と出会ってしまったら、他のお笑い番組にはハマれません」という意見には驚いたが、中高生たちでも笑いの多様性を求めていることを、ぜひ、現場の制作者たちも知ってほしい。

「今月のキラ星報告」 (神奈川県・中学3年男子)

僕が面白いと思っている番組は、『飛び出せ!科学くん』です。これまでも、バラエティー番組で動物や自然について取り上げるものは前からありました。しかし、そのほとんどがピラルクやコモドオオトカゲなど、”よくあるパターン”となっていました。そんな中、この番組に登場する動物たちはマニアックで、見たことのない動物、それどころか生態が全く解明されていない謎の生物まで出てきます。ですから、前に他のチャンネルで見たと言うような”ガッカリ感”を感じさせません。また、科学実験では一般の人が入れない研究機関の施設を借りて、大がかりな実験を行うこともあり、興味深い内容になっています。
そして、生物の捕獲から科学実験まで、命懸けの危険なものが多いのです。断崖絶壁へ珍味をとりに行ったり、凶暴な鳥のキックを撮影したり、海中で人食いサメに触ったりと、絶叫、口は開きっぱなし…ただ、危険を冒して手に入れた生き物や実験データは、研究者たちも得たことのない貴重なものだったりもするというのが、ほかの番組との違いです。
最後に挙げることといえば、出演者の興奮ぶりです。ふだん生物を扱う番組の出演者の反応は「へぇ~」とか、「すごいねぇ~」で終わってしまいますが、この番組の場合は違います。レギュラー出演の中川翔子さんが「この子に抱きしめられるのが夢だった…」と、タカアシガニを抱きしめ、ついにはネコのお尻の匂いを嗅いで「この香ばしい匂い」とご満悦の笑顔。博物館の倉庫に大好きな生物「スカシカシパン」の標本を見つけてはしゃぎ始める、という反応が新鮮で、次はどんなリアクションを見せてくれるのか、毎回楽しみです。
宇宙から皆既日食の様子を見るために、風船にカメラを取り付けて飛ばしたこともありました。深海生物を採取するため、深海5000メートルにまで行ったこともありました。このような大がかりな内容の番組は他にないと思います。僕は深夜帯の頃から録画して見ていたので、ゴールデン進出は嬉しいのですが、ゴールデンの週一放送となると、同じく深夜番組からゴールデンに進出した『トリビアの泉』の末期のように、ネタ切れで引き伸ばしをするようになってしまうのが心配です。予算の問題もあるとは思いますが、ゴールデン進出を機にもっと面白い番組になるよう、制作スタッフの方々には頑張ってもらいたいです。

第160回 放送と人権等権利に関する委員会

第160回 – 2010年4月

「上田・隣人トラブル殺人事件報道」事案の審理

3月の苦情概要 ……など

「上田・隣人トラブル殺人事件報道」事案の審理が行われ、来月の委員会で当事者へのヒアリングを行うことになった。

議事の詳細

日時
2010年 4 月20 日(火) 午後4時~6時15分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
堀野委員長、樺山委員長代行、三宅委員長代行、大石委員、小山委員、坂井委員、武田委員、田中委員、山田委員

「上田・隣人トラブル殺人事件報道」事案の審理

この事案は、テレビ朝日が2008年12月23日の『報道ステーション』で放送した「特集 身近に潜む境界トラブルの悲劇・住宅地の惨劇はなぜ起きた」について、被害者遺族が申し立てたもの。前回の委員会に引き続いて、審理を行った。
申立人は「両親の長年の嫌がらせが殺害の動機を形成したかのような放送内容は、事実に反する。両親の社会的評価を著しく低下させるものであり、両親に対する敬愛追慕の情を著しく侵害された。子供である申立人の名誉も侵害された」と主張し、謝罪と訂正を求めている。これに対し、テレビ朝日は「被害者と加害者の間にトラブルが存在していた。被害者の社会的評価を低下させるとしても放送内容は虚偽ではなく、申立人の両親に対する敬愛追慕の情侵害の不法行為にあたらず、また申立人の名誉侵害もない。謝罪、訂正放送が必要な事実誤認はない」と反論している。
4月の委員会では、犯行の動機などを伝えた放送内容が真実かどうか、申立人側の取材をしなかったことが適切だったかどうかを中心に意見を交わした。また、この特集は前半で事件を取り上げ、後半では境界トラブルが各地で起きているとして、その原因や解決策を伝えているが、こうした構成の仕方をめぐっても意見が出た。
次回、5月の委員会では申立人とテレビ朝日に対するヒアリングを実施し、さらに審理を重ねることになった。

3月の苦情概要

3月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情・相談・批判の内訳は以下の通り。

  • 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・・・・4件
    (個人又は直接の関係人からの要請)
  • 人権一般の苦情や批判・・・・・・・・・・・・42件
    (人権問題、報道被害、差別的表現など一般視聴者からの苦情や批判)

その他

  • 事務局より以下の点について報告した。
    BPO飽戸理事長は、3月29日に開かれた総務省の「今後のICT分野における国民の権利保障等の在り方を考えるフォーラム」の関係者ヒアリングに出席し、BPOの理念や活動内容について説明した。また委員からの質問にも答えた。
  • 次回委員会は5月18日(火)に開かれることになった。

以上

2010年3月に視聴者から寄せられた意見

2010年3月に視聴者から寄せられた意見

チリ地震による津波警報の地図表記の問題や、バンクーバー五輪に続くフィギュアスケート世界選手権への意見が多く寄せられた。浅田真央選手と韓国キムヨナ選手の取り上げ方が公平でないとの意見が多数寄せられた。五輪で健闘した日本選手をランキングし、酷評した発言に対する批判意見も多かった。

チリ地震による津波警報の地図表記の問題や、バンクーバー五輪に続くフィギュアスケート世界選手権への意見が多く寄せられた。

2010年 3月に電話FAX郵便EメールでBPOに寄せられた意見は2,213件で、2月と比較して462件増加した。意見のアクセス方法の割合は、Eメール70%,電話26%,FAX2%,手紙ほか2%。性別は男性59%,女性38%,不明3%で、世代は30歳代33%,40歳代24%,20歳代23%,60歳以上8%,50歳代8%,10歳代4% の順となっている。

視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該局のBPO責任者に「視聴者意見」として通知。3月の通知数は1,299件(43局)であった。
またこの他に、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、47件を会員社に送信している。

意見概要

人権等に関する苦情

3月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情の内訳は次のとおり。

  • 人権に関する審理・斡旋の要請・・・・・・・ 4件
    (個人又は直接の関係人からの要請)

番組全般にわたる意見

3月の視聴者意見は、報道関連意見が前月とほぼ同数の165件。報道姿勢を指摘した「不適切な報道」が77件、より広く「報道のあり方」を論じた意見は81件であった。
前月に引き続き、チリ地震による津波警報の地図表記の問題や、バンクーバー五輪に続くフィギュアスケート世界選手権への意見が多く寄せられたのが特徴的である。浅田真央選手と韓国キムヨナ選手の取り上げ方が公平でないとの意見が多数寄せられた。五輪で健闘した日本選手をランキングし、酷評した発言に対する批判意見も多かった。世界選手権の放送でも、録画映像音声に不適切な編集がされたと指摘する意見があった。
パラリンピックについては「もっと、取り上げるべきだ」との意見が多く寄せられた。
東京都青少年健全育成条例の改正案、いわゆる「アニメ規制」についても、猪瀬副知事の番組上での発言をめぐり、多くの批判意見があった。
政治関連では、政府民主党関連で42件、自民党で10件該当した。個別には「子ども手当」「外国人地方参政権」「普天間基地移設」「内閣支持率の低下」など幅広く意見が寄せられた。特に「朝鮮学校の無償化」問題で、大学教授の発言をテロップに誤記した件で多くの批判意見があった。
3月のバラエティー番組への意見は前月より8件増の186件であった。BPOの「バラエティー番組に関する意見」に呼応した番組などに対し、賛否両論が寄せられた。また、引きこもりの青年の立ち直りを追ったドキュメントで、アニメを意図的に貶めたとする意見も多かった。 
ドラマ関連の意見は11件、「韓国ドラマが多すぎる」との指摘がされたほか、若者向けのドラマで暴力シーンがひどいなどの意見が寄せられた。
番組出演者に関する意見は「不適切な発言」検索で71件、「不適格な出演者」検索では95件あった。ラジオに関する意見は63件あったが、その内「下品な表現」を批判する意見が12件あった。CMに関する意見は41件あった。

青少年に関する意見

放送と青少年に関する委員会に寄せられた意見は116件で、前月とほぼ同数だった。
今月はバラエティー番組や放送全般に対し、低俗・モラルに反するとの意見が41件に上った。次いで、バラエティー番組を中心に一部のラジオ番組、アニメ番組に対し、「性的表現が過激で問題がある」「子どもも見ている時間帯にふさわしくない」などの批判が17件寄せられた。

意見抜粋

【取材・報道のあり方】

  • 各局の津波報道ですが、ある局は大津波警報が赤で津波警報がオレンジまたはピンク、別の局ではそれらが逆といったふうに一貫性が見られません。こうした報道の際、多くの視聴者は度々チャンネルを変えて事態を見守ると思われるので、統一基準があると良いと思います。
  • チリ地震による津波警報が終日出されていた。各局の画面に表示されている日本地図を見ていて気付いたのだが、ある放送局の表示していた地図だけは「対馬」が含まれていなかった。「国全体で災害に対処しよう」という時に、「対馬」の島民だけ除外するのはおかしいと思った。
  • 愛子様の不登校について、わざわざ繰り返し報道することはないと思う。報道されることが愛子様にとってプレッシャーになっていることがわからないのだろうか。報道する側にとっては面白ければいいのだろうか。「知る権利」や「表現の自由」を掲げて報道していれば良いというものではない。
  • 最近の犯罪報道に一言いいたい。それは闇金融問題、コインパーキングの乗り逃げ問題、万引きなどで、大抵は当事者間の和解で終わりとしていることです。これは犯罪意識の希薄化、金さえ出せば、反省しているふりさえすればよいという考えを招きかねません。
  • 何故、どのテレビ局も「子ども手当」の欠陥について取り上げないのでしょうか。外国人の親が日本にいれば日本に来たこともない子供にも支給され、逆に親が外国にいる日本人の子供には「子ども手当」が出ないという問題などがあります。逆差別とも言えるこうした問題について、放送局には報道する義務があります。
  • 和歌山県太地町のイルカ漁を批判的に描いた米映画「ザコーヴ」について、各局で「イルカは鯨と同じように日本の伝統食なのだから、外国にとやかく言われたくない」という主旨の報道をしていた。しかし、スーパーでイルカが商品として並んでいるのを、私は見たことがない。イルカは「日本の伝統食」とは言えないと思う。イルカを日本人が好んで食べているかのような報道はやめてほしい。外国からの偏見を正当化するような報道は誤解を生む。
  • パラリンピックの競技の様子をもっと放送してほしい。体に障害を持つ人達の頑張っている姿をもっとみんなに見せるべきだと思う。オリンピックと比較して、余りにも差がありすぎる。もっと盛り上げて欲しい。
  • 福岡市の能古島の海岸で遺体が見つかった事件のニュースをアナウンサーが読み上げる際、BGMで悲劇的なクラシックの音楽がかかった。まるでドラマのような演出で、一瞬間違いかと思ったのだがクラシック音楽はそのまま流れ続けた。事件はドラマでも映画でもない事実である。被害者の家族が見たらどう思うか。報道する側はもっと配慮するべきだ。
  • ワイドショーで政治に関する話題を取り上げる事が多いが、事実だけを報道すればいいのに、解説者が意見を述べる。その意見は偏りが多く、みな反小沢民主党批判だ。政権政党である民主党をチェックするのは報道機関として当然だが、一人の解説者の意見だけで、反対意見のない一方的なものだ。他の出演者はその解説者の発言を鵜呑みにするしかない。これで公正中立の報道と言えるのか。反対意見の人も出演させ、判断材料を与えてこそ、公正中立な報道機関と言える。
  • 外国人参政権法案についてのニュースが、ほとんど報じられていない。法案が可決された時の影響力は、郵政民営化などとは比較にならないほど大きいはずなのに、ほとんどのテレビ局で取り上げないことは、意図的であると思わざるを得ない。非常に大事な問題なのだから、もっと扱って欲しい。
  • 政治に関する報道のあり方に疑問を感じます。政党や議員の不祥事が起こった場合、その事実を視聴者に伝えることは放送局として当たり前です。しかし、世論調査や特定の政党に対する聞き取り調査を繰り返し行い、それがあたかも事実や国民の総意であるかのように報道しています。事実というには余りにも不確かな場合が見受けられます。政治をワイドショーのネタのように扱い、スキャンダルを煽るばかりで、本来の公正な放送から逸脱していると言わざるを得ません。

【番組全般その他】

  • また「大食いネタ」の番組を放送していた。おいしい食べ物をおいしそうに食べるならまだしも、無理矢理口に突っ込んでいる姿は見ているだけで不愉快になる。食べたいけれど食べられない食材を「これでもか!」とばかりに口にねじ込む。こんな番組は、見ている側に何も良い効果を与えない。見ていた小学生の子供が「地球上には食べたくても食べられない人がたくさんいるのに、こんなもったいないことをして馬鹿なテレビ局だ」と憤慨していた。
  • 「この冬頭にきた日本人」というランキングで、オリンピックで入賞した選手たちの名前が羅列されていました。いくらアンケートとはいえ恣意的なものを感じます。しかし、それよりも浅田真央選手への「トリプルアクセルは誰でも跳べる」「あとはお遊戯」とのゲストの発言が許せません。オリンピックに向けて努力し、結果を出してきた選手に対する言葉として、あんまりではないでしょうか。スポーツに対して言及するなら、多少なりとも知識を持っている人か、見識のある人にしてほしい。
  • 自分の信じた道をひたすら進むために、日本を遠く離れて海外で活躍する無名の日本人を取り上げる番組です。私が今回見たのは、「子どもの頃からの昆虫好きが高じ、中学卒業と同時に南半球の各地を訪ねて昆虫の研究に励む男性」の半生だった。海外収録による映像も美しかったが、何よりこの男性の生き方に強く感銘を受けた。最近のテレビは芸人らが騒ぐバラエティー番組が多くうんざりしていたが、こうした良質な番組があることは頼もしい。
  • 過去に覚醒剤や大麻など薬物で逮捕された芸能人やミュージシャンが、普通にテレビに出て何事も無かったかのように歌ったり、偉そうにコメントしたりする人もいる。これでは、子供たちが「覚醒剤に手を出しても大した問題ではない」と勘違いしてしまう。普通の社会では、逮捕されれば今までの生活には簡単に戻れない。「芸能活動をやめろ」とまでは言わないが、影響力が大きいテレビの出演はやめるべきだ。またテレビ局もそういった人を出演させないで欲しい。
  • 最近のテレビは、番組の種類に関係なく字幕を多用しているが、見ていて煩わしいと思うこともしばしばだ。ニュースやドラマのセリフならともかく、お笑い芸人の下らないリアクションまで文字にして伝える必要があるのだろうか
  • 私は聴覚障害者です。今の放送は「ニュース」も「バラエティー」も「ドラマ」も、番組が終わったかどうかがよくわかりません。「製作著作」のテロップが出ればまだ理解できますが、そのテロップも少数です。聴覚障害者は文字が頼りです。番組の終わりには、必ず「終わり」や「END」の文字を入れて下さい。
  • 芸人司会者の発言は”悪口の見本”となっている。後で悪口を言った相手をフォローすることもあるが、視聴者はそんなに話上手ではない。視聴者は悪口しか真似をすることができないと思うので、彼の発言は大人子供問わず非常に悪影響である。非常に不愉快なのでテレビに出さないでほしい。
  • 昼間に韓国ドラマを2時間も見せられてはたまったものではない。ここは日本だ、日本人のための放送をするべきだ。私の母は70代だが、韓国ドラマばかりでがっかりしている。日本の俳優で制作するより、韓国ドラマを買って放送する方が安上がりかもしれないが、内容も薄っぺらで見るに堪えない。視聴者をバカにするのはいい加減にして欲しい。
  • 海外のストリーミングと地上波の放送を比較しましたが、浅田選手の演技前に音声を絞っているように思います。他にもスロー再生のカット、観客のスタンディングオベーションの様子を放送しないなど、不自然に編集しているように感じます。自国の選手なのに、悪意を持って放送するのはおかしいのではないですか。
  • 毎年放送しているフィギュアスケートの世界選手権ですが、東京と地方の格差が著しくひどいです。東京なら女子シングル以外の各種競技と「エキシビション」を放送してくれるのに、地方は女子シングルしか放送してくれません。せっかく男女ともに優勝者を出した大会で、そんな放送の仕方はないでしょう。
  • 月間勝者は1,000万円、GP優勝者に1億円という賞金は高すぎる。普通の人間が100万円稼ぐことでも大変なことだ。まして1億円ともなると別世界の金額である。それをたった3分間のコントで与えてしまうのは価値観が狂っている。スポンサーは携帯利用の収益をそんなことに使うのなら、社会に還元して欲しい。コントの内容が賞金に値するものならまだしも、学芸会のような寸劇コントばかりだ。観客のわざとらしい笑い声や、歓声が入っていて耳障りだった。
  • 「警察」の宣伝を目的とするような番組はおかしい。似たような番組が多く放送されているが、この種の番組は犯罪について考えさせるというより、「警察は頑張っている」「国のために悪を裁いている」といった自己中心的なものでしかない。そもそも国家機関がドキュメント番組の対象になっていることがおかしい。
  • 芸人らが、かなり危険な体験をしているが、そのうち死亡事故が起きるのではないかと心配している。外国版「田舎に泊まろう」的なコーナーは、一見、危なくないように見えるが、いきなり銃撃される恐れも全くないとは言えない。出演者の安全をもう少し考えて欲しい。
  • ワイドショーが「世界フィギュアスケート選手権大会」で、金メダルをとった浅田選手や高橋選手より、韓国のキムヨナ選手を大きく取り上げていることに意見したい。内容もキムヨナ選手の得点が不当に高かった疑惑を避けるためか、転倒シーンは放送されていない。なぜそこまで韓国人選手に気を使うのか。韓国のことになるとテレビ局は消極的になる。
  • 最近アナログテレビの上下に黒帯が入るらしい。ずいぶん失礼なことだ。こんなテレビを見るために買ったのではない。デジタルへの強制にも腹が立つが、少なくともデジタル移行までは嫌がらせをするべきではない。全く弱者いじめの横暴だ。人に優しい世の中に逆行している。
  • プロ野球では、今季から球審のカウントコールを国際基準に合わせ「ボール→ストライク」の順に表記する「BSO表記」の導入が決まったと聞いている。しかし、まだ各局の表記方法が徹底されていない。例えばA局では既に導入されているが、B局では従来通りストライクからカウントされている。視聴者が混乱しないためにも、各放送局は足並みを揃えて欲しい。
  • グルメ番組やバラエティー番組で、出演者が室内で帽子をかぶったまま食事するシーンが目立つが、やめさせるべきではないか。こんなことを許していたら、子どもたちが自宅やレストランで帽子をかぶったまま食事をすることに指導が出来なくなるだろう。
  • バラエティー番組で、卑猥な言葉や汚い言葉を連発したり、悪ふざけしたりする番組が多すぎます。タレントや芸人の方々の発する言葉の考えのなさ、品のなさに呆れてしまいます。時間帯は夜7時以降に多い気がします。この時間は子どもたちも起きていて、食事中だったりする時間ですから、よく考えて頂きたい。

【ラジオ】

  • ラジオ番組内での食べ物のCMが不快です。司会者と他の人が、美味しさを表現する為でしょうが、食べ物を口に含んだまま話をします。しかも大げさに。子供の頃からこれらは注意されている事です。こういう演出は止めて欲しい。
  • 視聴者からの手紙の、聞くに堪えない下品な話が一時間以上続いた。いくら視聴者からの手紙とはいえ、朝に放送出来る内容とは思えない。放送する側として朝からこんな下品で下劣な放送をすることは社会人としての常識を疑う。
  • 最近は高校野球のせいで、番組が放送されないことが多い。高校野球で放送内容の変更がある場合は、もっと早くに知らせてほしい。番組を楽しみにしているので、放送がないとがっかりしてしまう。

【CM】

  • 最近番組内のCMが、とても多いと感じる。ドラマは佳境に入った後半、数分でCMが入り、再開したらまたCMの繰り返しだ。これではとてもドラマに入り込めない。バラエティー番組も同様だが、CM前に「このあと××登場」と告知してCMを放送し、CMがあけたら実は来週の予告だった。今のCMの入れ方は、完全にテレビ局とスポンサーの都合で、視聴者の事を考えていない。
  • なぜアルコール飲料のCMに10代のファンが多いアイドルを使うのか。「お酒は二十歳になってから」と表示をしても説得力がない。アルコール飲料のCMは、もう少し年配の俳優やタレントを起用してほしい。子供のファンも多いので、アイドルを使うことはやめて欲しい。
  • CMになると音量が上がるような気がする。あまりに騒がしいのでチャンネルを替える。売りたいという気持ちは分からないでもないが、耳に心地よいものではない。番組と同じ音量が良い。

【BPOへの意見】

  • 「放送局のバラエティー番組の在り方などを考えるシンポジウムが開催され、番組制作担当者や視聴者からさまざまな意見が相次いだ」という記事を読んだ。シンポジウムは、BPOが2009年11月に公表したバラエティー番組に対する「意見」を受けて民放連が開催したとのことだが、このような企画が開催されるということは、大変素晴らしいと思う。
  • BPOではホームページ上に意見を公開しているのだから、BPOからのコメントもあっていいと思う。視聴者は専門的な、特に放送に関しての知識を持っているとは限らないので、BPOからの反論や意見などがほしい。このままでいい番組ができるとは思えない。また、BPOはどのような放送にしていきたいのか、どのような番組が良いのか具体的に分からない。

青少年に関する意見

【低俗、モラルに反する】

  • 容姿の醜い女性を見せ物にして視聴者に美容整形を推奨する内容で、極めて不快だ。子どもが見る時間帯の番組でもあり、悪影響を及ぼす。こうした番組に影響され、若者が親から貰った顔を簡単に作り変える風潮が蔓延してしまうのではないか。美容クリニックとのタイアップでもあり、拝金主義が透けて見える。番組を使って宣伝をするべきでない。
  • 子ども番組だが、教育上よくないと思う。「良い大人になるための方法を教えてくれる番組」と解説しているが、そんな要素はどこにもない。芸人がふざけているだけにしか見えない。この番組がやっていることは、日頃学校の先生がしている生活指導などを無駄にしている。
  • 女の子が変身して戦い、敵に対してお尻を向けて攻撃していた。ラジオやバラエティー番組は下品だというが、子どものアニメも下品すぎる。戦いが終わって妖精が身震いして黄色いものを出すことも、日曜の朝にやることなのか疑問に思った。
  • 過去に薬物で逮捕された芸能人やミュージシャンが、何事もなかったように出演している。これでは子どもたちが「薬物に手を出しても大したことはない」と勘違いしてしまう。芸能活動をやめろとまでは言わないが、影響力が大きいテレビに出るのはやめるべきだ。またテレビ局もそういった人を扱わないで欲しい。

【性的表現に関する意見】

  • 男性芸人が、女子高生に罵倒させたり尻を蹴らせたりしていた。また、芸人達が組んだ騎馬戦に女子高生を跨らせ、太ももを触ったりスカートの中を覗くような破廉恥な行為があった。これは公開セクハラだ。番組スタッフに強い怒りと不快感を覚える。放送局は彼女に謝罪すべきだ。
  • 子ども向けアニメでありながら、卑猥な言葉が頻繁に使われており視聴するに堪えない。何故こうした内容を手直しせずにそのまま放送するのか、全く理解できない。放送局の担当者はたがが緩んでいるのではないか。
  • 深夜帯の番組とはいえ、出演者のスカートから下着が見えており、あえて股間を広げたり胸も強調した衣装を着ている。そのほとんどがAV女優であり、パソコンなどで出演者を検索すれば裸体ばかりが目に付く。番組内容もくだらないもので見るに堪えない。いまや高画質で録画できる機器が普及しており、青少年に対して無防備すぎる。このような番組を流すくらいなら、朝まで放送を休ませておくべきだ。
  • AV女優が出ており驚いた。AV女優とて職業であることは否定しないが、誰もが聴取するラジオ番組に出演させるなら、せめて時間帯をもう少し考慮すべきだ。あるいは、番組の冒頭で何らかの注意を入れることはできないのか。お酒のCMで「飲酒は二十歳から」と表示するのと同様、不可能ではないと思う。

【いじめに関する意見】

  • 会社内のパワーハラスメントの実態がよく分かるドラマだが、あまりにもいじめのシーンが多く、これから社会に出る新入社員の不安を増大させるのではないかと危惧している。また、このドラマに出演している俳優は、以前特撮番組に出演していたので、このドラマを見た子どもが俳優に失望する恐れがあると感じた。いじめを取り上げる番組を制作するのであれば、キャストはよく吟味するべきである。
  • この番組は出演者にランクを付けるコーナーばかりだ。毎週同じタレントが、同じ様に「服の色が変だ」などとバカにされている。司会の女性芸人はいじめっ子のボスのような立場にあり、いつも同じタレントを集中攻撃している。小中学生に絶大な人気を誇るタレントが出ており、子どもの視聴者も多いと思う。もう少し内容を考えていただきたい。

【食べ物に関する意見】

  • 店のメニューを時間内に食べ尽くすという内容だったが、食べ物を何だと思っているのか。食べたくないのに無理やり食べ、とても不快に感じた。「程よい量をゆっくりおいしく食べる」と子どもに教えるべきなのに、ゴールデンタイムにこのような放送をするとはどうなのか。食べ物を無駄にしているとしか思えなかった。

【残虐シーンに関する意見】

  • 男性の首にまかれた爆弾が爆発する映像とその遺体までが放送された。私ももちろんショックを受けたが、一緒に見ていた子どもが受けた衝撃は計り知れない。大人である私も、この晩は一睡もできなかったほどだ。この番組は、内容がだんだんと過激になっている。子どもも見る時間帯なので、もう少し内容を考えてほしい。

【編成に関する意見】

  • 特番が多い改編期だが、最近では3~4時間の番組が目立つ。春休み中の児童が見ると、就寝時間のアンバランスや生活リズムの乱れを誘発させてしまう。少なくとも、22時過ぎまでひっぱるような番組構成は控えてもらいたい。

【CMに関する意見】

  • なぜアルコール飲料のCMに10代のファンが多いアイドルを使うのか。「お酒は二十歳になってから」と表示をしても説得力がない。アルコール飲料のCMは、もう少し年配の俳優やタレントを起用してほしい。子どものファンも多いので、アイドルを使うことはやめて欲しい。
  • 最近のパチンコは、アニメのヒット作品をモチーフにした台が出ているらしく、パチンコなのにアニメのCMかと勘違いしてしまう内容が非常に多い。何も知らない子ども達は、ゲームの延長のようにパチンコに興味を持ち始めている。こうした紛らわしいパチンコのCMは、放送の自粛を促すか子ども達の目に触れないよう時間帯を考慮するべきだ。

【視聴者意見への反論・同意】

  • 視聴者意見を読むと、番組の一部に関する意見であることが多い。納得できる意見もあるが、神経質になり過ぎているところもある。実際これらの意見をすべて聞き入れて番組を制作すると、どんどんつまらなくなる。また、「いじめを助長する」という意見が多いが本当にそうだろうか。テレビが悪影響を及ぼすというよりも、家庭内で指導やしつけなどを行うべきだと思う。何でもかんでもテレビのせいにすることはおかしい。
  • パチンコCMについて「教育上良くないから自粛すべき」「規制できないのか」という意見があった。しかしパチンコの広告はテレビに限ったことではないし、子どもに悪影響を与えるのは何もパチンコばかりではない。パチンコ依存症などいつの時代でも起こっている。逆に、「パチンコのCMをやめれば全て解決するのか?」と問いたい。
  • 「子どもに見せたくないなら見せなければいい」「親が子どもに注意をしろ」という意見がたびたびあるが、親が子どもを四六時中監視しているわけにはいかないし、同級生に人気のある番組を「見るな」とは言えない。人によって価値観は違うので難しいが、やはり子どもに悪影響のある番組がもっと少なくなれば良いと思う。

第37回 放送倫理検証委員会

第37回 – 2010年4月

偽札詐欺報道で違法な取材があったTBSの『報道特集NEXT』と『イブニングワイド』

「バラエティー番組」のブックレット刊行について…など

第37回放送倫理検証委員会は4月9日に開催された。冒頭、香山リカ、是枝裕和、重松清(欠席)の新委員3名が紹介され、新しい委員長代行に吉岡委員が指名された。
ブラックノート詐欺事件を報じたTBSの『報道特集NEXT』について、4月2日に「意見書」を通知・公表したことに関連して、委員から意見や感想が述べられた。
「バラエティー番組」のブックレットに収録する関連資料について合意が得られ、5月上旬に刊行の運びとなった(注:5月14日刊行)。
ダメな夫をテーマにした日本テレビの『行列のできる法律相談所』に前衆議院議員の夫と参議院議員であるその妻が出演した。次回総選挙での投票依頼とも受け取れる不適切な放送があったので、当該局に質問書を出して説明を求めることにした。
日本テレビの報道番組『NEWS ZERO』で、女子フィギュアスケートの浅田選手へのインタビューをめぐって、事実と異なる編集が行われた。既に当該局が非を認め、自主的に訂正・お詫びをしているので審議入りはしないが、問題点を指摘することにした。

議事の詳細

日時
2010年4月9日(金) 午後5時~7時20分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
川端委員長、石井委員、香山委員、是枝委員、立花委員、服部委員、水島委員、吉岡委員

偽札詐欺報道で違法な取材があったTBSの『報道特集NEXT』と『イブニングワイド』

本事案については、4月2日に当該局に対して「意見書」を通知・公表した。記者会見の質疑や新聞報道について各委員から意見や感想が述べられた。

【委員の主な意見】

  • 「犯人に逃げられたのは、この取材をした番組の責任ではないのか。委員会はそれについて何も言っていないが」との質問があった。しかし、それはこの委員会が審議すべき事柄ではない。
  • 報道では、犯人のクルマに発信器を取り付けたことについてあまり触れられていなかった。このことが軽く考えられているのではないか、という気がした。
  • 興信所のホームページなどを見ると、発信器を使って尾行します、とよく書いてある。尾行調査などで相当使われているようだ。取材での発信器取り付けは大きいテーマだと思うが、記者会見では質問がなかった。
  • 制作会社との共同制作番組における局側の対応や放送責任のとり方などが重要なテーマなのに、今回の新聞報道を見ていると、そこはあまり報道されていなかった。
  • 今回の記事もそうだが、新聞報道がパターン化する傾向があるのではないか。BPOが局を批判した部分はそれに乗って局を批判する、BPOが局を守れば今度はBPOを批判するという、一面的な対応になっていないか。

「バラエティー番組」のブックレット刊行について

ブックレットには、委員会の「意見書」と、各局のその後の対応やメディアの反応などを簡潔にまとめた資料を収録し、今後、関係者がバラエティーに関して考えるときに役立つように配慮した。刊行は5月上旬を予定している。

選挙の事前運動とも受け取れる放送があった日本テレビの『行列のできる法律相談所』

3月21日放送の『行列のできる法律相談所』はダメな夫を紹介することがテーマであった。その中で、落選中の前衆議院議員である夫と参議院議員であるその妻が出演した。その際、夫の選挙区とその自治体名や、次回の選挙での投票を依頼したようにも受け取れるメッセージを字幕スーパー入りで放送した。また、比例区についても、夫妻が所属する政党への投票を誘導するような紹介がされた。これらは政治的な公平に反し、選挙の事前運動の疑いがあるのではないかという指摘があった事案。当該局からは経緯説明書が提出されたが、曖昧な説明が多く、より詳しい報告を求める必要があるとの意見が相次いだため、委員会として正式な質問書を出し、その回答書を見た上で対応を決めることとした。

【委員の主な意見】

  • これは選挙番組風にしようという意識のもとに、前議員の顔にテロップが「よろしくお願いします」とかかるように意図的な演出をしている。
  • 繰り返し見ていると、出演交渉の際に、選挙区についての話をするという約束があったとしか思えないような流れだ。無理やり選挙区の話に持っていっているという気がする。
  • 番組制作者には公職選挙法への意識はなく、選挙自体もひとつのエンターテイメントとして認識していたということがベースにあるのではないか。
  • 本来、局で自主的に解決すべき問題だ。考査部門とか、あるいは番組審議会とかで、チェックや議論をするべきだ。
  • 生放送ではなく、わざわざ時間をかけて編集して作った番組だから、あのテロップを出した事情については、きちんとした説明を聞く必要がある。
  • これだけ視聴者意見が寄せられているのは、相当な人があれは異常だと思って見ているわけだ。局内で編集から放送までの過程で、なぜ全部スルーしてしまったのか。

スポーツ選手へのインタビューで事実と異なる編集をした日本テレビ『NEWS ZERO』

『NEWS ZERO』(3月29日放送)で、女子フィギュア世界選手権終了後に浅田、安藤、キムの3選手がいっしょにインタビューに応じた模様を放送した。「3人は友達ですか」の質問に浅田選手が「はい」と答える映像が流された。しかし、浅田選手は実際には何も答えず微笑んでいただけであり、「はい」の映像は「安藤選手と友達ですか」という別な質問の答えを編集で差し替えていたという事案。
誤った情報に接した担当チーフディレクターの思い込みによる指示が原因であるとの当該局の説明を元に討議した結果、事実と異なる編集を意図的に行ったことはある意味でねつ造といえるが、当該局が非を認め、4日後に訂正放送を行い、お詫びしている、NOをYESと改ざんしたわけではなく、また、それによって深刻な被害を被った人が出たわけでもないから、自主的な対応を評価して審議対象にはしないこととした。

【委員の主な意見】

  • 明白な故意のあるねつ造ではあるが、うなずいた映像と「はい」と言ったのを入れ替えただけの違いだ。被害者がいるわけではないし、迅速に訂正をしているということを考えると、取り上げる必要があるのだろうか。
  • NOをYESと変えたのだとしたら問題だが、そうではない。
  • あの”うなずき”は本当にYESという意味の”うなずき”なのかという疑問もある。
  • 局内で事実関係をきちんと調査した上で訂正放送をし、原状回復したのだから、その自主的・自律的な措置を尊重するべきだ。むしろ、同じ局でありながら、前の「法律相談」事案の対応と、どうしてこんなに違うのかが疑問だ。
  • テレビ的な表現とか、わかりやすさということを追求していくと、このような落とし穴に落ちてしまうことがある。
  • 制作者が事実とは違うと知りながらこのような編集をしてしまうことについて不感症になっていることのほうが怖い。

以上