第121回 放送と人権等権利に関する委員会

第121回 – 2007年3月

「広島ドッグパーク関連報道」の審理

「エステ店医師法違反事件報道」の審理…など

「広島ドッグパーク関連報道」の審理

本事案は、06年11月から12月にかけて朝日放送で11回にわたって放送された報道番組「ムーヴ」に対し、大阪の動物愛護団体の代表が「犬たちを救済する我々の活動が、あたかも募金目当てであるかのように放送され、名誉を毀損された」と申し立てたもので、2月の委員会で審理入りを決定した。

3月の委員会では、申立人から提出された「申立書」、広島ドッグパーク関連の「会計報告書」及び「反論書」と朝日放送から提出された「答弁書」を基に、コメンテーターの発言内容は適切かどうか、取材は十分に行われたのか等について実質的な審理を行った。

その結果、4月の委員会で「再答弁書」の提出を受けて、これまでの双方の主な主張を項目ごとに対比した形で整理してさらに検討を行い、5月の委員会でヒアリングを行う予定にしている。

「エステ店医師法違反事件報道」の審理

本件事案は、今年2月に東京都町田市のエステ店経営者が日本テレビを相手取って申し立てたもので、経営者は「私が医師法違反で送検されたニュースの中で、日本テレビは本事案に関係ない映像を使うなどして捏造放映した。また、盗撮映像を使って極悪人の如く報道され、個人の人格を否定され、プライバシーも侵害された」と訴えている。

これに対し、日本テレビは「本件報道は、以前に撮影されたという映像とは全く関係がない。また、報道内容は、医師法違反という重大な犯罪容疑に関する情報であって、公益を図るものであり、警察によって書類送検された事実を誤りなく伝えている」と反論している。

3月の委員会では、「反論書」や「再答弁書」など出揃った書類に加えて当該ニュースのVTRを視聴し、本事案の審理にあたった。

その結果、申立人・被申立人それぞれの言い分を確認するためにも次の4月の委員会に双方を招いてヒアリングを行い、その後「委員会決定」の作成を始めることになった。

審理要請案件について

1.山中湖村長からの苦情申立て

2月、山梨県山中湖村長から「東京キー局の報道番組において、取材・放映の客観性・中立性の欠如と捏造の疑いがある旨、局の番組審議会及び報道局長らに文書で申し入れたが誠意ある対応がなされない」との苦情申立があった。
問題にされたのは、山中湖村東部地区の洪水事業に関する一連の報道であったが、当該局では「十分な取材に基づく事実をありのままに放送したものであり、客観性・中立性に欠けているものではない」と主張していた。
放送人権委員会では、「申立書の記載事項から見て、本案件は、放送人権委員会の運営規則第5条に定める申立人又はその直接関係人の名誉、信用、プライバシー等の権利侵害に関する苦情に当らない」として審理の対象外と判断、その旨を村長あて文書で通知した。

2.静岡空港関連で県広報室長が苦情申立て

静岡県の広報室長が個人名で「キー局の報道情報番組で、コメンテーターの一人が『静岡空港を推進する知事を連続当選させる静岡県民はバカだ』という趣旨の発言をしたが、これは、静岡県民を公然と侮辱するものであり、県民の一人である自分の名誉が毀損された」と訴えてきた。
当該局では、「広報室長から『番組内での訂正・謝罪について知事から強い指示がある』との電話があったことからも、これは静岡県からの訴えと考える。また、そもそも番組では広報室長を特定した論評はしていないのであるから、不法行為としての名誉毀損又は侮辱は成立しない」との見解を示していた。
放送人権委員会では「申立人の提出した文書を検討すると、申立人は、静岡県庁の職員として県のための広報活動に携わっている者であって、本件申立ては、実質的に地方公共団体の申立てであり、本件放送により直接権利の侵害を受けた個人の申立てとは認められない」ということで委員全員の意見が一致、審理対象外の通知文書を送付した。

3.「出演セラピストからの訴え」

放送人権委員会では、3月委員会で北海道在住のルーマニア人でセラピストの女性から苦情申立があった上記事案について検討した結果、次回委員会から審理入りすることを決めた。
女性は、「2月にテレビ朝日のバラエティー番組に一家で出演したが、新聞のラ・テ欄に<バツイチ子連れ美女の・・・>等と、できるだけ公表して欲しくなかった家庭の事情が書かれ、また、放送内容が当初説明の趣旨と違っていた」と苦情を申し立ててきた。
これに対し、テレビ朝日は、「前夫との離婚について紹介することは、事前に了承してもらっていた。打合せ時からロケ、スタジオ収録時に番組内容と企画内容を十分に説明し、出演同意書にも署名をいただいている」と反論している。

苦情対応状況報告

2月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情の内訳は次のとおり。

◆人権関連の苦情[19件]

  • 斡旋・審理に関連する苦情(特定個人または直接の関係人からの人権関連の苦情)・・・12件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない一般視聴者からの苦情)・・・7件

その他

3月22日開催の2006年度BPO年次報告会と同日夕刻の記者会見で、「放送人権委員会運営規則の改正」について竹田委員長が公表・説明することになったと事務局から報告。

次回委員会は、4月17日(火)に、「エステ店医師法違反事件報道」事案のヒアリングを行うことにしたため、午後3時からの開会を決め、閉会した。

以上

第120回 放送と人権等権利に関する委員会

第120回 – 2007年2月

審理要請案件

「放送人権委員会運営規則」の改正について…など

審理要請案件

「広島ドッグパーク関連報道」審理入り決める

06年12月、大阪の動物愛護団体の代表が「広島ドッグパークが崩壊して取り残された犬たちを救済する我々の活動が、あたかも募金目当てであるかのように朝日放送の番組で何回も報道され、名誉を毀損された」旨の苦情を申し立ててきた。

これに対し、当該局では「募金が犬の治療費などに十分に使われず、まだ5000万円以上を残しているような寄付金の集め方、使い方が妥当なのかを検証する報道であり、関係者の人権・プライバシーには十分に配慮している」と主張している。

放送人権委員会の1月委員会では「事態の推移をもう少し見守ろう」と審理入りを留保していたが、2月の委員会で、申立人には動物愛護団体の募金に関する正確な会計報告書等を、また当該局には答弁書に加えて関連番組の反訳文の提出を求め、次回委員会から本格審理に入ることを決めた。

「エステ店医師法違反事件報道」審理入り決める

07年2月、東京都町田市のエステ店の経営者の夫から「妻がアートメーク(アイラインに色素を入れる施術)について医師法違反で送検された。その事実を日本テレビが、本事案に関係なく以前にインターネット広告用に撮影された映像を使うなどして報道したが、そこではまるで極悪人であるかのように扱われ、妻の名誉が著しく毀損され、プライバシーが侵害された」との苦情申し立てがあった。

この申立てに対し、当該局では「本件報道は、以前に撮影されたという”インターネット用の映像”とは全く関係がなく、また、その報道内容は、医師法違反と言う重大な犯罪容疑に関する情報であって、公益を図るものであり、警察によって摘発され書類送検された事実を誤りなく伝えた」と反論している。

放送人権委員会では、本事案ついても次回委員会から”インターネット用の映像”に関する事実関係を中心に審理を始めることにしている。

「食中毒風評被害の訴え」は審理対象外

07年1月、東京都内の居酒屋から「同じ店名の飲食店が出した集団食中毒の報道によって、同区内にある当店で食中毒が出たとの風評被害にあい、当店の名誉を侵害された。報道の仕方に問題があった」との苦情申し立てがあった。

放送人権委員会では苦情申立書及び当該局から提出されたVTR等を基に慎重に検討したところ、「本案件は、放送人権委員会の運営規則第5条に定める申立人またはその直接の利害関係人の名誉、信用、プライバシー等の権利侵害に関する苦情にあたらない」ということで委員全員の意見が一致し、「審理対象外」として申立人に文書で通知することになった。

「放送人権委員会運営規則」の改正について

放送人権委員会では、昨年5月から議論を続け、この程まとめあげた「放送人権委員会運営規則の一部改正案」を、3月に公表することになった。

これは、2月委員会で決めたもので、3月22日に開催予定の「BPO年次報告会」の席上、放送人権委員会の竹田 稔委員長が加盟各社からの出席者に対し改正点を報告・説明することになっている。

なお、この「改正運営規則」は、周知期間3か月を経た後、7月1日から施行される。

苦情対応状況報告

1月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情の内訳は次のとおり。

◆人権関連の苦情[16件]

  • 斡旋・審理に関連する苦情(特定個人または直接の関係人からの人権関連の苦情)・・・10件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない一般視聴者からの苦情)・・・6件

その他

関西テレビ『あるある大事典?』に関する1月29日の「BPO理事長声明」、2月7日の「放送番組委員会有識者委員声明」が発表された経緯について事務局から説明があった。

放送人権委員会10周年企画について検討を進めることになった。

次回委員会を3月20日に開催することを決め、閉会した。

以上

第119回 放送と人権等権利に関する委員会

第119回 – 2007年1月

審理要請案件

仲介・斡旋事案…など

審理要請案件

「動物愛護団体関連報道」について

動物の救済・愛護の方法をめぐる報道で、関西在住の男性から名誉毀損の訴えと訂正放送を求める申立書が出ている案件について、審理入りするかどうかの討議を行った。その結果、事態が進行中であることから事実関係の推移をもうしばらく見た上で判断することになった。

仲介・斡旋事案

「ひと間違い報道の訴え」について

秋田県在住の女性から、「不審死した幼児の母親と間違われて放送され、仕事に行けなくなった」との苦情申立てがなされた事案について、事務局による仲介・斡旋で解決したことが報告され、委員会で承認された。

この事案は、06年10月、秋田県大仙市の農業用水で不審死した男児の遠縁という若い女性から「葬儀の際に、男児の母親(後に殺人容疑で逮捕)と間違われて、泣いている顔を正面から写されテレビのニュースで放送された」と訴えてきたもの。

さらに当該女性の母親から「番組では”31歳の子持ち”とコメントされたが、娘は20歳代で来年早々に結婚を控えている。娘は興奮し、仕事にもいけない状態だ」と、苦情を申し立ててきた。

当該局からは「すぐに訂正し、担当責任者がお詫びに行き、詫び状を手渡した」との報告があったが、その後、女性は退職を余儀なくされたという。

しかし、12月初めになって、本人の父親から「娘の病状はだいぶ回復した。当該局の番組責任者が3度も秋田に来られ、謝罪をされ、誠意を感じるようになった。いかがすべきだろうか」との相談があった。放送人権委員会事務局から「局の誠意を感じるのであれば、和解されてはどうか」と伝えたところ、まもなく局側から「無事、和解・解決した」との報告があった。

06年度の放送人権委員会による仲介・斡旋解決事案は、これで3件目となった。

苦情対応状況報告

2006年12月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情の内訳は次のとおり。

◆人権関連の苦情(14件)

  • 斡旋・審理に関連する苦情(特定個人または直接の関係人からの人権関連の苦情)・・・9件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない一般視聴者からの苦情)・・・5件

「放送人権委員会運営規則」の改正について

放送人権委員会では、本年5月に迎える設立10周年に合わせ、昨年5月から運営規則の改正論議を続けてきたが、この程ようやくその改正案をまとめ、委員会で改定条文の字句等を最終チェックした。

放送人権委員会の運営規則の一部を改正する主な理由は次の2点である。

  • 放送人権委員会は、この10年間に、人格権を侵害した放送がなされたこと、あるいは放送倫理に反し人格権に対する配慮を欠く放送がなされたことを理由とする数多くの苦情の申立てを処理してきたが、その運営に関する手続きを定めた規則には、10年間の運営の実情に照らし、必ずしも十分でないものが出てきている。
    たとえば、これまで放送人権委員会は、人格権の侵害だけでなく多くの放送倫理上の問題を扱ってきたが、現行運営規則には倫理問題を扱う根拠が明確には規定されていない。また、金銭の賠償を求める審理要請には応じてこなかったが、そのことを明文化した規定はなかった。
    これら諸点に関して、この際、運営規則を実情に適合させるために改正する必要があること。
  • テレビやラジオが国民の「知る権利」の実現に奉仕するに当り、憲法に定められた「表現の自由」のもと放送法の規定を遵守しつつ、公権力による不当な支配を受けることなくその業務を遂行していくためには、第三者機関である放送人権委員会が放送の公平・公正の実現に一定の役割を担うことが適切であり、今後、放送人権委員会が放送の公平・公正をはじめ放送事業が直面する諸問題に対応できる態勢を整えるための規則の整備を行う必要性が強くなってきたこと。

放送人権委員会では、次の委員会でも、さらに運営規則の改正の審議を詰めることにしている。

その他

次回委員会を2月20日に開催することを決め、閉会した。

以上

第118回 放送と人権等権利に関する委員会

第118回 – 2006年12月

「放送人権委員会運営規則」の改正について

「燃費向上グッズ販売会社からの訴え」について…など

「放送人権委員会運営規則」の改正について

放送人権委員会は、10年間の運営の実情に照らし、その運営規則の改正を検討してきたが、先月の委員会に引き続いて改正検討小委員会から出された案をもとに協議をおこなった。

とくに「公平・公正」問題などの扱いについて話し合い、次回も更に詰めた検討を継続することになった。

「改正運営規則」案は、放送人権委員会での議決を経た後、BPO理事会の承認を得て施行されることになる。

「燃費向上グッズ販売会社からの訴え」について

11月、東京の自動車関連部品の製造・販売会社から「ニュース特集で、当社の”燃費向上商品”について、番組独自の測定の結果からほとんど効果がない、と報道された。放送後、番組と同じ測定法で実験したところ、20%の効率アップが認められたが、クライアントからの問合せが殺到し、営業に支障をきたしている」との苦情が文書で寄せられた。

これに対し、当該局では「燃料専門学者にも取材し、また国土交通省が自動車メーカーに義務付けている10・15モードによる試験も行って、グッズの効果を多角的に検証したものであり、報道に問題はない」と反論していた。

放送人権委員会で送付されてきた文書の記載事項を検討した結果、「当案件は、放送人権委員会の運営規則第5条に定める申立人またはその直接の利害関係人の名誉、信用、プライバシー等の権利侵害に関する苦情には当らない」ということで委員全員の意見が一致し、製造・販売会社に対し「今回の申立ては、放送人権委員会の審理の対象外である」旨を委員長名で伝えることを決めた。

苦情対応状況報告[11月]

2006年11月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情の内訳は次のとおり。

◆人権関連の苦情(13件)

  • 斡旋・審理に関連する苦情(特定個人または直接の関係人からの人権関連の苦情)・・・12件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない一般視聴者からの苦情)・・・1件

その他

次回委員会を1月16日に開催することを決め、閉会した。

以上

第117回 放送と人権等権利に関する委員会

第117回 – 2006年11月

「放送人権委員会運営規則」について

苦情対応状況報告…など

「放送人権委員会運営規則」について

設立10周年を来年に控え、放送人権委員会は、その運営規則の改正を検討してきたが、11月の委員会で改正検討小委員会から出された案をもとに慎重に協議を続けた。

現行の放送人権委員会運営規則には、10年間の運営の実情に照らし、必ずしもこれに適合しない規定が出てきており、また「公平・公正」の問題など、放送事業が今後直面するであろう諸問題に対応できる規則の整備が必要となってきている。

「改正運営規則」案は、さらに検討を重ね放送人権委員会での議決を経た後、BPO理事会の承認を得て施行されることになる。

苦情対応状況報告

11月委員会で下記の2件が放送人権委員会による「仲介・斡旋解決事案」として承認された。

1.「疑惑解明に後ろ向きと報道され名誉を傷つけられた」との市議会議員の訴え

9月、ある地方都市の保守系市議会議員が「地元局で放送されたニュース特集で、議員としての名誉を著しく傷つけられた。報道姿勢に問題があると思うので放送人権委員会で審理してもらいたい」と、文書で要請してきた。
このニュース特集は、「福祉と利権の構造」をテーマにしたもので、市の特別養護老人ホームをめぐる贈収賄事件を調査する百条委員会が「選定過程に問題はなかった」との結論を出したことを受け、市議会の不作為を糾弾する内容だった。
苦情を申し立ててきた市議会議員は、「百条委員会で疑惑解明に後ろ向きの言動を取り続けたように描かれた」と主張していたが、当該局では「報じたことはすべて事実であり、また本人に直接取材を申し込んだが拒否された。報道機関としての対応は十分にしている」と反論していた。
放送人権委員会事務局では「名誉を傷つけられたとの主張に具体性がなく、また間違った事実関係が報道されていないので、放送人権委員会への審理要請案件としては無理がある」ことを議員に説明、再考をうながしていたところ、間もなく「事務局の指摘を考慮し、苦情申立てを取り下げる」と伝えてきた。

2.「説明された企画意図とは違い、虚偽の内容を含む形で放送された」との映画製作者の抗議

10月、東京の映画製作会社の代表から「製作した映画の紹介をするという企画意図だったので取材に応じたが、放送では監督個人のことに終始し、虚偽の内容を含む捏造としか思えないものもあった。取材に来たテレビ制作会社に抗議したが、何の回答もない」と強い苦情が寄せられた。当該局に問い合わせたところ、「すぐに社内調査する。事実関係がわかり次第報告する」ということであった。
映画は、在日コリアンである監督自身の家族を10年にわたって追い続けたものだが、映画製作者側が最も問題にしていたのは、監督と朝鮮総連が対立的にあるように扱われたことだという。
しかしその後、映画製作会社の代表から「放送人権委員会の仲介で当該局の番組責任者とようやく会えて話し合うことができた。放送人権委員会から声をかけられて初めて局が動いたということになるが、相手の態度に誠意を感じたので穏便にことを納めようと思う」と伝えてきた。またその翌日、局からも「監督の在日コミュニティーの中での立場が悪くなったとするならば、申し訳ない」旨の当方の反省を理解してもらい、和解した」との報告があった。

人権等に関する苦情[9・10月]

2006年9月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情の内訳は次のとおり

◆人権関連の苦情(11件)

  • 斡旋・審理に関連する苦情(特定個人または直接の関係人からの人権関連の苦情)・・・7件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない一般視聴者からの苦情)・・・4件

2006年10月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情の内訳は次のとおり。

◆人権関連の苦情(19件)

  • 斡旋・審理に関連する苦情(特定個人または直接の関係人からの人権関連の苦情)・・・16件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない一般視聴者からの苦情)・・・3件

近畿地区放送事業者と放送人権委員会委員との意見交換会

11月28日大阪で開かれる近畿地区放送事業者と放送人権委員会委員との意見交換会について、事務局から参加局、人数、スケジュールなどが報告され、テーマとして取り上げる議題等について話し合った。

その他

次回委員会を12月19日に開催することを決め、閉会した。

以上

第116回 放送と人権等権利に関する委員会

第116回 – 2006年9月

「民主党代表選挙の論評問題」事案の総括

「少年法61条と実名報道」意見交換…など

「民主党代表選挙の論評問題」事案の総括

9月13日に「委員会決定」を出した「民主党代表選挙の論評問題」事案について総括を行ない、「委員会決定」発表後の放送局、新聞社の報道対応について、事務局から以下の報告があった。

当該局のテレビ朝日は、当日の夕方のニュースと、当該番組「報道ステーション」で発表内容を伝えた。また、在京の民放各局も、夕方か翌朝のニュースもしくは情報番組で、この「決定」を扱った。新聞社も、全国紙5社が翌日朝刊で報じた。

委員会では、テレビ朝日のニュースをVTRで視聴した。

今回の「委員会決定」について、竹田委員長ら委員からは「放送人権委員会が政治報道の論評問題を取り上げた初めてのケースであり、報道の自由、論評の自由を大きく評価した有意義な判断だった」との感想があった。

また、通知・公表の際の様子について事務局から、次のような報告があった。通知には、申立人の代理人として仙谷由人議員の政策秘書と被申立人のテレビ朝日が出席した。通知後、申立人の代理人は、私見と断った上で「政治家だからといって、一方的な立場からの論評でも、全て甘受しなければいけないのか」との感想を述べたのに対し、テレビ朝日は「今後とも人権や放送倫理に十分配慮した放送に努めてまいります」とのコメントを出した。

「少年法61条と実名報道」意見交換

「高専女子学生殺害事件」で指名手配されていた19歳の少年が遺体で発見された際、日本テレビ テレビ朝日 読売新聞の3社が実名報道に踏み切った。(週刊新潮は遺体発見前から写真付で実名報道した)

上記3社はいずれも、「容疑者が死亡し、少年の保護・更生を前提に規定されている少年法61条の対象外になったこと」を主な理由に実名報道を決断したとしているが、他の新聞・テレビ各社は「少年法の原則を覆す明確な理由はない」「少年法の精神を尊重した」等として、匿名報道を維持し、倫理規定である少年法61条の解釈をめぐって改めて論議を呼んだ。

委員会では「少年法と実名報道」をテーマに意見交換を行った。

各委員の意見は、実名報道の違法性については、逃走中、自殺の恐れ、年齢、家族のプライバシー、事件の重要性など、個々のケースごとに、状況の総合的な判断が必要との意見が多く出された。最後に竹田委員長が、「今回事案は、少年法そのものの理念や規定からしても、実名報道に法律上の違法性があるかどうかではなく、報道倫理・放送倫理のあり方の問題である。よって結論はかなり分かれることになるだろうが、それは表現の自由の問題として考える。議論することは、今後の報道のあり方を考える上で必要だが、軽々に実名報道の是非をここでまとめるべきではないといったところがわれわれの結論ではないか」と述べ、意見交換を締めた。

「放送における公平・公正について」について

放送人権委員会では、5月の委員会から「放送における公平・公正」について議論を重ねてきたが、8月の委員会で[運営規則検討小委員会]を設立することを決めたが、その第1回が、本委員会の後行われることが報告された。

小委員会の委員に竹田放送人権委員会委員長、堀野・五代両委員長代行および右崎委員の4氏が、メンバーとなり、公平・公正問題の扱いを含む「苦情取り扱い基準」の見直しを中心に論議し、11月の委員会に、その結果を報告し、更に議論を深めてもらうことになった。

苦情対応状況報告[8月]

2006年8月の1か月間に寄せられた放送人権委員会関連の苦情の内訳は、次のとおり。

◆人権関連の苦情(8件)

  • 斡旋・審理に関連する苦情(特定個人または直接の関係人からの人権関連の苦情)・・・4件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない一般視聴者からの苦情)・・・4件

地方局との意見交換会について

放送人権委員会委員と近畿地区会員各社との意見交換会は、11月28日午後大阪で開催の予定で、準備が順調に進んでいるとの報告が事務局よりあった。

その他

閉会後に引き続き第1回[運営規則検討小委員会]を開く。

以上

第115回 放送と人権等権利に関する委員会

第115回 – 2006年8月

「民主党代表選挙の論評問題」事案

「若手政治家志望者からの訴え」事案 総括…など

「民主党代表選挙の論評問題」事案

6月の委員会で審理入りが決まった上記事案について、放送人権委員会は8月の委員会で申立人・被申立人双方から、直接言い分等を聞くヒアリングを行った。

この席で、申立人で民主党衆議院議員の仙谷由人氏は、「憶測や思い込みによって、政治的謀略的筋書きで、一方的に、虚偽の事実に基づき、対立構成をつくり、片方を誹謗する選挙放送だった」と、改めて主張した。申立人で民主党衆議院議員の枝野幸男氏は所用のため欠席し、陳述書を提出した。

これに対し、被申立人のテレビ朝日側は「事実ないし真実と信じるに足る相当な理由がある事実に基づいて放送しており、放送の意図も代表選挙の投票前の勢力関係など現状を分かりやすく解説・論評したもので、申立人らの名誉を毀損するものではない」と反論した。

ヒアリング終了後、委員会は、さらに詰めの審理を行った。

「若手政治家志望者からの訴え」事案 総括

本事案は、放送人権委員会第29号事案として7月26日に「委員会決定」し、同日「決定」内容を申立人・被申立人双方に「通知」、その後記者会見を行って「公表」した。

8月の委員会では、岡山市に出向いて申立人に「決定」内容を通知した模様を担当調査役が報告した。

また、「委員会決定」を各放送局がどのように扱ったかと、関連新聞記事について報告があった。放送対応ではキー局4社が委員会決定を伝え、新聞1社が記事を掲載した。

このあと委員会は、当該局(日本テレビ)が伝えたニュース等のVTRを視聴した。

「放送における公平・公正について」意見交換

放送人権委員会では、5月の委員会から「放送における公平・公正」について議論を重ねてきたが、8月の委員会で[運営規則検討小委員会](仮)を設立することを決め、小委員会の委員に竹田放送人権委員会委員長、堀野・五代両委員長代行および右崎委員の4氏を選任した。

第1回小委員会は、9月19日に開かれる予定で、公平・公正問題の扱いを含む「苦情取り扱い基準」の見直しを中心に論議し、11月を目処に【放送人権委員会運営規則】の改定案をまとめることになった。

苦情対応状況報告[7月]

2006年7月の1か月間に寄せられた放送人権委員会関連の苦情の内訳は、次のとおり。

◆人権関連の苦情(8件)

  • 斡旋・審理に関連する苦情(特定個人または直接の関係人からの人権関連の苦情)・・・3件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない一般視聴者からの苦情)・・・5件

地方局との意見交換会について

毎年開催されている放送人権委員会委員と各地区会員各社との「意見交換会」、今年は11月28日午後、大阪で近畿地区会員各社を対象に開くことになった。

この催しは、放送人権委員会委員長をはじめ各委員と局の関係部門代表者らが直接顔をあわせて、「放送における人権・倫理問題」を論じ合うもので、東京地区での意見交換会を含め、今年で11回目の開催となる。

近畿地区会員各社には、場所・議事内容等が決まり次第、案内状を送付することになった。

その他

次回委員会は、9月19日(火)午後4時から開会し、また、閉会後に引き続き[運営規則検討小委員会](仮)を開くことを決めた。

以上

第114回 放送と人権等権利に関する委員会

第114回 – 2006年7月

「若手政治家志望者からの訴え」事案 最終審理

「民主党代表選挙の論評問題」事案 審理…など

「若手政治家志望者からの訴え」事案 最終審理

委員会では、本事案の「委員会決定(案)」について、最終的な文言の修正・手直しを行った後、全員一致でこれを了承した。「委員会決定」の申立人・被申立人双方に対する「通知」は7月26日午前と決まり、この後記者会見で「委員会決定」を「公表」することを決めた。

「民主党代表選挙の論評問題」事案 審理

本事案は、テレビ朝日が4月4日、5日の「報道ステーション」で、民主党代表選挙に関して報道した際に、「政治評論家によって、虚偽の事実を摘示され、著しく名誉を毀損された」と民主党の仙谷由人議員と枝野幸男議員が申立てていたもので、6月の委員会で審理入りが決定していた。

これまでに、申立人から、「申立書」の他に「反論書」、被申立人のテレビ朝日からは「答弁書」「再答弁書」等が提出されており、7月の委員会では、双方の論点を整理して本格的な審理を行なった。

申立人が「謀略的な内容を一方的に放送し、裏づけ取材なく虚偽の放送をした」などと主張しているのに対し、テレビ朝日は「真実ないし真実と信じるに足る相当な理由がある事実に基づいて論評を行なったものだ」と反論している。

放送人権委員会では、さらに審理を深めるため、8月の委員会に、申立人、被申立人の双方を招いて直接意見を聴取するヒアリングを行うことになった。

「放送における公平・公正について」意見交換

5月の委員会から始まった「放送における公平と公正」についての議論が7月の委員会で本格化し、審理対象の拡大につながる放送人権委員会の運営規則の見直し等については、小委員会を設けて具体的対応策を検討することになった。

今回の委員会では、まず竹田委員長が「これまで放送人権委員会は政党等の団体からの苦情申立てについては審理を断ってきたが、しかし否応なしに政治的関わりのある問題についても人権の観点から受け入れざるを得なくなってきているのではないか。これに対応して放送人権委員会の機能を拡充していくことができるのかどうか、委員会の運営規則から具体的に議論する必要がある」と述べた。

委員からは、「(現在は原則個人の苦情のみを審理対象にしているが)団体の苦情申立ても視野に入れてはどうか」「どういう団体の申立てを受け入れるのか、その線引きが難しい」「政党や宗教団体にはどう対応するのか」「申立人の資格をどう限定するのかが問題となろう」「放送人権委員会の目的は基本的には弱者救済であることに変わりはない」等の意見が出された。

放送人権委員会は、来年春に創立10周年を迎える。これを契機に「審理対象の間口を拡げる」という方向で議論がまとめられるかどうか、具体的には小委員会を設けて集中的に対応策を検討しようということになった。

苦情対応状況報告[6月]

2006年6月の1か月間に寄せられた放送人権委員会関連の苦情の内訳は、次のとおり。

◆人権関連の苦情(36件)

  • 斡旋・審理に関連する苦情(特定個人または直接の関係人からの人権関連の苦情)・・・14件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない一般視聴者からの苦情)・・・22件

その他

次回委員会は、お盆のため、定例日より1週間ずらして8月22日(火)に、更に「民主党代表選挙の論評問題」事案のヒアリングを行うことにしたため、時間を繰り上げ午後2時半からの開会を決め、閉会した。

以上

第113回 放送と人権等権利に関する委員会

第113回 – 2006年6月

「若手政治家志望者からの訴え」事案

「民主党代表選挙の論評問題」審理要請案件…など

「若手政治家志望者からの訴え」事案

本件事案は、若手政治家志望者から「日本テレビが05年11月に放送した報道番組で、我々が作った政党と個人の活動について、誤解を与える表現と作為的な編集等によって、名誉が傷つけられた」と申立てがあったもので、4月の委員会で審理入りを決めている。

5月の委員会で本格的な審理を行ったのに次いで、6月の委員会では、申立人・被申立人双方から個別に意見等を聴くヒアリングが行われた。出席した申立人・被申立人は、それぞれ50分余りに亘って意見を述べるとともに、委員の質問に答えた。ヒアリングの後審理に移り、右崎起草委員がまとめた素案を基に意見を交わした。

その結果、7月上旬に起草委員会を開いて起草委員会原案をまとめるなど、「委員会決定」策定に向けての作業を進めることになった。

「民主党代表選挙の論評問題」審理要請案件

5月24日、衆議院議員の仙谷由人・枝野幸男両氏から「4月4日および5日放送の民主党代表選挙に関するテレビ朝日の『報道ステーション』の報道によって、私たちは虚偽の事実を摘示され、著しく名誉を侵害された」との連名の苦情申立書が放送人権委員会に届いた。

申立人は、「民主党において代表選挙を行うこと自体が挙党態勢を崩すという構成のもとに、若手・中堅議員グループの後見人として仙谷氏がいて、小沢氏と対立している、などといったコメンテーターの論評はどのような事実に基づいているのか、申立人両名に対する取材もなく、諸点において報道は事実に反している」と訴えている。

これに対しテレビ朝日は、「民主党の代表選びの行方が視聴者の関心となっている中で、民主党内の勢力関係の現状と代表選挙の見通しを分かりやすく放送した。ゲストとして出演した政治ジャーナリストのコメントは、複数の情報源から取材した情報をもとに解説論評したもので、仙谷氏らが指摘するような虚偽の報道をして名誉を傷つけたものではないと考える」との見解を示している。

放送人権委員会では、苦情申立書とテレビ朝日から提出された経緯説明書等を慎重に検討、また当該番組のVTRを視聴したうえ、本案件を審理事案とすることを決め、次回委員会から本格的審理に入ることになった。

「秋田連続児童遺体発見事件」での要望

上記事件取材について、放送人権委員会が、5月25日に、地元・在京のテレビ・ラジオ放送各社に取材に当たっての「要望」を出し、集団的過熱取材を厳に慎むよう求めた。委員会では、この要望に対するメディア各社の対応や評価などについて話し合った。

そして、この種の要望は「桶川女子大生殺害事件」についで、2度目のことになるが、委員会では、今後もメディアスクラムによる被害者が出ないよう、タイムリーにしっかりと見守っていくことを確認しあった。

「バラエティー番組における人格権侵害の訴え」改善報告

標記事案の委員会決定(3月28日)を受けて、関西テレビから6月13日、「委員会決定後の対応と取組みについて」という文書が委員会宛に提出された。

報告内容は、決定の趣旨の社内各部署への周知徹底などの勧告後の対応と各種研修会の開催チェック体制の強化など再発防止に対する取組みからとなっている。

この報告書の提出を受けて、各委員からは放送人権委員会の委員会決定を受けた放送局に対する最近の総務省の動きを懸念する意見が相次いだ。

苦情対応状況報告[5月]

2006年5月の1か月間に寄せられた放送人権委員会関連の苦情の内訳は、次のとおり。

◆人権関連の苦情(29件)

  • 斡旋・審理に関連する苦情(特定個人または直接の関係人からの人権関連の苦情)・・・9件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない一般視聴者からの苦情)・・・20件

その他

大木圭之介椙山女学園大学教授(前BPO専務理事)が、『月刊民放』6月号に掲載した「”装置”としての第三者機関に-10年目を迎える放送人権委員会」について意見交換した。

次回委員会は、7月18日(火)に開くことを決め、閉会した。

以上

第112回 放送と人権等権利に関する委員会

第112回 – 2006年5月

「若手政治家志望者からの訴え」事案

「放送の公平・公正」の扱いについて協議…など

「若手政治家志望者からの訴え」事案

本件事案は、若手政治家志望者から「日本テレビが05年11月22日に放送した報道番組で、我々が作った政党と個人の活動について誤解を与える表現と作為的な編集、演出が行われ、名誉が傷つけられた」と申し立てがあったもので、06年4月の委員会で審理入りが決まった。

5月の委員会では、反論書や再答弁書など出揃った提出書類に加えて、事務局作成の論点対比表をもとに本格的審理を行った。この中では、「当該放送によって申立人側の社会的評価が低下したか」「政党についての部分を放送人権委員会として判断するかしないか」「苦情に対する当該局の放送後の対応についてはどうか」等について意見が交わされた。

委員会では、双方の意見を更に聴く必要があるとして、次回6月の委員会に申立人・被申立人を個別に招いてヒアリングを行うことを決めた。

「放送の公平・公正」の扱いについて協議

放送人権委員会は、設立10年目に入り、その存在と活動は視聴者・市民に広く認知されてきている。それとともに、第三者機関としての役割も社会的にますます重要視されるようになってきた。

このような状況のもと、4月に委員2人が交代、新委員長に竹田稔委員が選任されて放送人権委員会は新体制になったが、これを機に苦情の取り扱い基準を見直して審理対象をさらに広げるかどうか、特に「放送における公平・公正」を中心に議論することになった。

5月の委員会では、「<政治的に公平であること>等を定めた放送法3条の2については倫理規範的規定であるとみるのが通説だが、実際にはこの法に基づいて”行政指導”が行われている。第三者機関としての放送人権委員会は、今後とも人権・放送倫理の問題に限ってやっていくのか、それとも番組編集への公権力の介入を避ける意味においても、あらたにもう少し審理対象の間口を広げるべきか否か、今一度検討することが求められている」旨の委員長発言を中心に、活発に意見が交換された。

放送の公平・公正、特に政治的公平の問題は、表現の自由・編集の自由などとの兼ね合いや取り扱い基準作りが難しいため、6月以降も具体的な苦情事案の審理に並行して長期的・多角的に議論を重ねていくことになっている。

苦情対応状況[4月]

2006年4月の1か月間に寄せられた放送人権委員会関連の苦情の内訳は、次のとおり。

◆人権関連の苦情(21件)

  • 斡旋・審理に関連する苦情(特定個人または直接の関係人からの人権関連の苦情)・・・4件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない一般視聴者からの苦情)・・・17件

その他

次回委員会は、6月19日(火)に、事案のヒアリングがあるため、通常より1時間早め午後3時から開くことを決め、閉会した。

以上

第111回 放送と人権等権利に関する委員会

第111回 – 2006年4月

新委員長の選任ならびに委員長代行の指名

バラエティー番組における人格権侵害の訴え」事案の総括…など

新委員長の選任ならびに委員長代行の指名

退任した飽戸委員長に代わる新委員長に、互選の結果、竹田稔委員が選出された。また、委員長代行には堀野紀委員と五代利矢子委員が指名された。

この後、竹田委員長の司会で審議に入った。

バラエティー番組における人格権侵害の訴え」事案の総括

本事案は、東京都在住の男性が「2005年6月及び7月に関西テレビで放送されたバラエティー番組で、当時妻だったタレントの発言によって名誉・プライバシー権の侵害を受けた」と申し立てていたもので、3月28日に「委員会決定」の通知・公表が行われた。

この日の委員会では、在京キー局のニュースでの「委員会決定」の扱いや「委員会決定」を掲載した新聞記事等について、事務局から報告した。

また、関西テレビが本事案の「委員会決定」の模様を伝えたニュースと4月1日に放送した当該番組『たかじん胸いっぱい』でのお詫び部分のVTRを視聴した。

委員会としては、後日関西テレビから提出される「委員会決定を受けた後の改善対応策の報告」を見守ることにした。

「新ビジネス”うなずき屋”報道」事案 当該局の改善報告

上記事案の委員会決定(1月17日)を受けて、当該局テレビ東京から3月20日「改善策を含む取組状況についての報告」が委員会宛に提出された。

報告の内容は、委員会決定の趣旨を社内各部局に周知徹底し、報道現場や外部プロダクションなど各部署での研修・勉強会を行ったこと等。

この報告書の提出を受けて、竹田委員長は「本委員会決定の見解を真摯に受け止め、改善の努力をしていることがうかがえる。是非今後同じようなことが起きないよう努めて欲しい」との感想を語った。

審理要請案件「若手政治家志望者からの訴え」

若手政治家志望者から「日本テレビが05年11月22日に放送した報道番組で、我々が作った政党と個人の活動について誤解を与える表現と作為的な編集、演出が行われ、名誉が傷つけられた」との苦情申立てが06年4月9日に放送人権委員会に寄せられた。

これに対し、日本テレビは「当該番組は、作為的な編集を加えることなく事実をありのままに放送したもので、報道内容に問題はなかったと判断している」と反論している。

4月の委員会で、この申立て案件について審理対象とするか否かについて、申立書と当該局から提出された経緯書を検討し、それに放送済みVTRを視聴し協議した。

その結果、当該申立ては若手政治家志望者個人からの訴えとして審理対象とすることを決め、5月の委員会から本格的な審理に入ることになった。

審理要請案件「防災フォーラムによる人権侵害の訴え」

東海豪雨災害の被災者だという男性からの「防災の専門家らが論じ合った番組に、被災者の主張を取り上げなかったのは、被災地住民の人権の一端を侵害するものだ」との苦情申立に対し、「申立書」に基づき、慎重に討議した結果、<審理対象外>との判断を下した。

委員の意見は「記載事項から見て、当案件は、放送人権委員会の運営規則第5条に定める申立人またはその直接の利害関係人の名誉、信用、プライバシー等の権利侵害に関する苦情にあたらない」ということで一致し、審理対象としない旨委員長名の文書で申立人に通知することにした。

苦情対応状況[3月]

2006年3月の1か月間に寄せられた放送人権委員会関連の苦情の内訳は、次のとおり。

◆人権関連の苦情(7件)

  • 斡旋・審理に関連する苦情(特定個人または直接の関係人からの人権関連の苦情)・・・2件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない一般視聴者からの苦情)・・・5件

その他

次回委員会は、5月16日(火) 午後4時から開くことを決め、閉会した。

以上