第85回 放送倫理検証委員会

第85回–2014年9月

"全聾の作曲家"佐村河内守氏を取り上げた番組について審理

福岡市の「待機児童」問題でお詫び放送したテレビ西日本の報道番組について討議、審議入りせず…など

第85回放送倫理検証委員会は9月12日に開催された。
"全聾の作曲家"と多くの番組で紹介されていた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼していたことが発覚した事案については、前回の審理入りを受けて新たに2局3番組に対するヒアリングが実施された。担当委員から詳細な報告が行われ、さらに審理を継続することにした。
福岡市の待機児童問題をめぐる特集企画で、取材不足などを認めてお詫び放送をしたテレビ西日本の報道番組について、当該局から再提出された報告書をもとに討議した結果、審議の対象としないことを決めた。

議事の詳細

日時
2014年9月12日(金)午後5時~8時
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、小町谷委員長代行、是枝委員長代行、香山委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、藤田委員、升味委員、森委員

1.「全聾の作曲家」と称していた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼していたことが発覚した事案を審理

全聾でありながら『交響曲第1番HIROSHIMA』などを作曲したとして、多くのドキュメンタリー番組等で紹介されていた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼して自己の作品として公表していたことが発覚した事案について、前回の委員会で、以下の5局7番組を対象に審理することが決まった。

  • TBSテレビ『NEWS23』「音をなくした作曲家 その"闇"と"旋律"」(2008年9月15日)
  • テレビ新広島『いま、ヒロシマが聴こえる・・・』(2009年8月6日)
    <フジテレビを含む多くの系列局が日時を変更して放送>
  • テレビ朝日『ワイド!スクランブル』「被爆二世・全聾の天才作曲家」(2010年8月11日)
  • NHK総合『情報LIVE ただイマ!』「奇跡の作曲家」(2012年11月9日)
  • NHK総合『NHKスペシャル』「魂の旋律~音を失った作曲家~」(2013年3月31日)
  • TBSテレビ『中居正広の金曜日のスマたちへ』
    「音を失った作曲家 佐村河内守の音楽人生とは」(2013年4月26日)
  • 日本テレビ『news every.』「被災地への鎮魂 作曲家・佐村河内守」(2013年6月13日)

前回の委員会の後、新たに2局の3番組に対するヒアリングが実施された。その内容について、担当委員から詳細な報告が行われ、さまざまな視点から質疑や意見交換がなされた。番組で取り上げる際に、全聾や音楽性などについてどのような裏付け取材がされたのか、あるいはされなかったのかという状況の把握が進み、問題の根深さがあらためて浮き彫りになった。また、一定の社会的評価を受けている人物についてドキュメンタリーを制作する際の裏付け取材などのあり方についても、意見交換がなされた。
審理に入る前に、任意の協力を得て実施したヒアリングをあわせると、これまでに5番組のヒアリングが終了した。委員会は、次回までに残る2番組のヒアリングを終えて、番組の企画から取材・放送に至る経緯を把握する作業に区切りをつけるが、問題発覚後の各局の対応などについてさらに審理を継続する。

2.福岡市の「待機児童」問題の特集で、取材が不十分だったとお詫び放送したテレビ西日本の報道番組について討議

テレビ西日本の報道番組『土曜NEWSファイルCUBE』(2014年4月12日放送)は、福岡市の「待機児童ゼロ宣言」をめぐる問題を特集企画として伝え、保育所までの所要時間を女性キャスターがバスを乗り継いで検証して「ゼロ宣言」に疑問を投げかけた。しかし、福岡市から抗議を受け、6月の同番組内で事前取材が不十分で、公平性の観点から問題があり、結果として一方的な内容となったなどとする「お詫び放送」を行った。
前回の委員会では、「行政機関に問題提起する姿勢は評価できるが、脇の甘い取材になったのは残念」など、さまざまな意見や疑問が出されたため、委員会は質問書を作成して、当該局に詳細な報告を求めていた。
提出された再報告書をもとに意見交換が行われた結果、事前取材が十分でないことなどには問題があるものの、福岡市の抗議の対象となった所要時間の検証ドキュメント自体には虚偽や作為がないこと、局内での検証作業を踏まえて取材不足を認め、公平性に問題があったとお詫び放送をして福岡市側の了承も得られていること、待機児童の問題が依然として解消されていないのではないかという番組企画の問題意識自体は正当であること、番組スタッフの体制強化・取材連絡の強化などの改善策がすでに取られていることなどから、審議の対象としないことを決め、議論を終えた。

[委員の主な意見]

  • 事前取材の甘さは問題として残るが、前回の委員会で議論したさまざまな疑問点については、再報告書でほぼ解消されたようだ。紹介された2か所の保育所の一方だけでも通園に30分以上要すれば待機児童になる、と考えたのは問題だが、所要時間の検証自体には虚偽や作為がないので、委員会がさらに審議の対象とする必要まではないのではないか。

  • 取材する前に放送日を先に決めていたことも、事前取材の甘さを許した背景としてあるように思われる。行政機関の施策に問題提起をする今回のようなケースでは、丁寧な取材が不可欠であることを徹底してほしい。

  • お詫び放送は決して十分なものとは言えないが、福岡市側も了承しており、また、番組制作の体制についても改善策が実施されている。今回の教訓を今後に活かしてほしい。

以上

第212回放送と人権等権利に関する委員会

第212回 – 2014年9月

散骨場計画報道への申立て
放送人権委員会 判断ガイド2014…など

「散骨場計画報道への申立て」を審理要請案件として検討し、審理入りを決定した。
刊行された「放送人権委員会 判断ガイド2014」が配布され、その特徴や活用方法等について意見交換した。

議事の詳細

日時
2014年9月16日(火)午後4時~6時20分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、大石委員、
小山委員、曽我部委員、田中委員、林委員

1.審理要請案件:散骨場計画報道への申立て

上記申立てについて審理入りを決定した。
対象となった番組は、静岡放送(SBS)が本年6月11日に放送したローカルニュース番組『イブアイしずおか・ニュース』。番組は、静岡県熱海市で民間業者が進める「散骨場」建設計画について、民間業者の社長が市役所に計画の修正案を提出したうえで記者会見する模様を取材し、社長の映像を使用して放送した。
この放送に対し社長は、記者会見は熱海記者会との間で個人名と顔の映像は露出しない条件で応じたとして、熱海記者会の幹事に抗議した。一方、静岡放送は同社長に電話して「会ってお詫びしたい」と伝えたが、社長は話し合いには応じられない姿勢を示した。
その後社長は6月17日、本件放送による人権侵害・肖像権侵害を訴え、「謝罪と誠意ある対応」を求める申立書を委員会に提出した。申立書はまた、顔出し映像の放送は担当記者による「故意だと思われる」と主張している。
これに対し静岡放送は8月20日に委員会に提出した「経緯と見解」書面で、同社長と熱海記者会との間に「顔と個人名の露出は避ける」という約束があったことを認めたうえで、「故意によるものではなく、担当者の不注意・失念によるもの。業者社長にはお詫びの申し上げようもありません」と述べている。
委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らし、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。
次回委員会より実質審理に入る。

2.『放送人権委員会 判断ガイド2014』について

この春から編集作業を進めてきた『放送人権委員会 判断ガイド2014』が刊行され、委員会で配られた。監修にあたった委員からは「使いやすさ、見やすさの観点から、構成や見出し、表現をいろいろ工夫した。各局で活用して欲しい」、「最近、BPOの決定を論評する論文なども見られ、研究者の資料としても使える」等の発言があった。
『判断ガイド』は各局に送付したほか、地方での意見交換会等でも活用し放送倫理の向上に役立てることにしている。(『判断ガイド』の内容、頒布については別掲を参照)

3.その他

  • 9月4日に札幌で開かれた意見交換会について事務局から報告するとともに、その模様を伝える地元局のニュース番組の同録DVDを視聴した。

  • 10月7日に名古屋で開催する地区別意見交換会(中部地区)について、事務局から議題、議事進行等概要を説明した。

  • 次回委員会は10月21日に開かれる。

以上

2014年9月16日

『放送人権委員会 判断ガイド2014』を刊行

放送人権委員会が『放送人権委員会 判断ガイド2014』を刊行した。A5版、2色刷り、510ページで、4年前に刊行した『放送人権委員会 判断ガイド2010』を全面改訂した。これまでの「委員会決定」で示されたポイントや留意すべき点などを、企画・取材から制作、放送の過程に沿って列挙し、名誉毀損など人権侵害に関する解説や判断例も掲載している。また、仲介・斡旋解決事案や審理対象外とした申立て事例なども紹介し、委員会の判断と活動を網羅する内容となっている。
加盟社には配付したが、実費で頒布もしている(1冊 1000円)。
問い合わせ先はBPO総務[TEL]03-5212-7320

第161回 放送と青少年に関する委員会

第161回–2014年9月9日

深夜帯に放送されている4コマ漫画を原作とする連続ドラマについて討論…など

第161回青少年委員会を、9月9日に7人の委員全員が出席してNHK仙台放送局第1会議室で開催しました。まず、7月16日から8月15日までに寄せられた視聴者意見から、1案件について討論しました。その他、8月の中高生モニター報告、調査研究の現状報告、11月25日に行う予定の在京放送局との意見交換会・勉強会の内容などについて話し合いました。
次回は9月30日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2014年9月9日(火) 正午~午後2時10分
場所
NHK仙台放送局 第1会議室
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

深夜の時間帯に放送されている4コマ漫画を原作とする連続ドラマについて、「深夜の時間帯の放送だが、放送するには下品な内容で卑わいな話題や単語が出てくる。わいせつな行為の再現VTRはポルノさながらの映像だ」という視聴者意見があった。第1話から第3話を全委員が視聴した上で討論しました。
委員からは、「深夜ではあるが、ここまでの性的描写は良いのだろうか」「以前審議入りし委員長談話を公表した『幸せの時間』よりラジカルな性的描写だと思った」などの意見とともに、「この番組は、男性視聴者を意識したものではなく、女性が深夜に気楽に見られるように作ったのだろう。それほど嫌らしい感じはしなかった」などの意見が出ました。
討論の結果、第1話の性的描写には問題を感じるが、今回は審議まで進むことはしないことにしました。しかし、「たとえ深夜の時間帯の放送でもテレビ・ラジオの持つ公共性から考えてどこまで許されるのか、改めて自局で検討してほしい」として、引き続きこの番組について関心を持って注目していくことを確認しました。

中高生モニター報告について

■中高生モニター報告 概要

8月の中高生モニターは、「『青少年へのおすすめ番組』視聴の感想」というテーマで書いてもらい、29人から報告がありました。
いくつかの番組に意見が集中しました。『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ)については、6人のモニターが強く支持する報告を寄せてくれました。「障害者に対する配慮、地域への貢献となる内容、わかりやすい構成など、アイドルと言われるTOKIO自身が料理や収穫などさまざまなことをしていることも含め、この番組は模範的な番組だと思った」(愛媛・高校2年女子)。「この番組は考えるきっかけをくれることが多い。なんだかいつも熱い!一生懸命っていいな、気持ちいいな、と思わせてくれる。こういう番組はずっと続いてほしい、というか続くべきだと思う」(東京・中学2年男子)。
『カスぺ!「8.12日航機墜落 30回目の夏 生存者が今明かす"32分間の闘い" ボイスレコーダーの"新たな声"」』(フジテレビ)については、4人のモニターから強い感銘を受けたという報告がありました。「墜落までの32分間のドキュメンタリードラマは、犠牲者、遺族の悲しみが痛烈に感じられ涙が止まりませんでした。これからは一日を大切にし、後悔しないよう生きていきたいと思いました」(愛知・高校2年女子)。「この番組を見て、本当に人生何が起こるかわからない、運命なのだと思いました。これからは、それをしっかり考えながら生きたいと思います」(宮崎・高校2年女子)。
『林修の今でしょ! 講座 夏休み2時間SP』(テレビ朝日)に関しては、4人がとてもいい番組だというリポートを書いています。「中学生、高校生はもちろん、小学生や大人が見てもためになると思います。とても分かりやすいし楽しく学ぶことができます」(東京・高校1年女子)。「この番組は、たくさんの新しい知識を得ることができ、見て得をしたと思える番組でした。中身がつまっていて、とても見ごたえがあり、しかも家族みんなで楽しく見ることができました」(東京・中学2年女子)。
自由記述欄は、「テレビ・ラジオについて思ったことを自由に書いてください」というテーマを設定しました。「私はよくデータ放送を使います。いろいろと充実はしていますが、さらに、私は是非、ドラマの裏側を見せてほしいなと思います。出演者のインタビューが読めたり、撮影の様子などもわかると、一層、ドラマを見る楽しみが広がると思います」(東京・中学2年女子)。「最近、キー局の夕方ニュースで4時台にも進出したところがあるが、これはどうかと思う。3時間もニュース情報を見ると、同じニュースを繰り返すため、飽きてうっとうしくなってしまう」(埼玉・中学3年男子)。「最近の企画は、昔のドラマのリメイクとかアニメや漫画で売れたものの実写化とか、新しいものを作ろうとする意欲がない。視聴率がとれなくなったことを時代と視聴者の変化のためとしているが、視聴者をおいてきぼりにし、内輪でしか盛り上がれない番組の内容自体が悪いことを直視すべきだ」(宮城・高校1年女子)。

■中高生モニターの意見と委員の感想

●【委員の感想】今回は自由記述欄におもしろい意見が散見された。他のモニターの意見に対して自分の異なった見方をしっかり述べたり、番組内容への手厳しい批判など読み応えがあり、益々今後の報告に期待したい。

  • (青森・中学1年女子)私は先月の報告書でみなさんのCMへの意見を見て思ったのですが、確かにCMがいいところで入りイライラすることもありますが、違う見方をするとそのバラエティーやドラマ番組の次の展開への期待やワクワク感を倍増できるのではないでしょうか。また、CMはいろんな番組や商品情報を知るよい機会を与えてくれます。
  • (神奈川・高校1年女子)『27時間テレビ』(フジテレビ)を見ていたら、何十曲も連続で歌い続けるという企画がありました。見ていて、ひどいなと思いました。あそこまでやらせるのが、果たしていい企画なのでしょうか。歌い続けた後、本社まで歩かせていましたが、見ていて気持ちのいいものではありませんでした。

●【委員の感想】『熱闘甲子園』(朝日放送)には女子のモニターから意見が集まっていたが、賛否両論だった。

  • (秋田・中学2年女子)一人の球児を密着取材してインタビューも充分にしており、一本の物語のように構成されていて、感動しました。
  • (大阪・中学3年女子)この番組を見てあまり良い印象を受けなかった。対戦校の紹介が偏っているし、生放送でする意味もない。また、画面の前に出演者が立っていることは見ていて気持ちのよいものではない。

●【委員の感想】もう少し地方局制作の番組に意見が集まるかと思ったが、キー局制作の人気番組に報告が集中したのは残念に思う。ただし、この【おすすめ番組】を設定しないと見ないような上質なドキュメンタリーを見てくれたモニターがいたのは大変良いことだと思う。

  • (埼玉・中学3年男子)『カスぺ!「8.12日航機墜落30回目の夏 生存者が今明かす"32分間の闘い"ボイスレコーダーの"新たな声"」』(フジテレビ)を視聴したが、とても内容が良く、充実した2時間半だった。再現ドラマCGの質もすごく、衝撃を与えてくれた。最近はバラエティー番組が多いが、この番組は新鮮だった。

●【委員の感想】中高生の子どもたちは、生きる手ごたえはどこにあるのか、漠然と考えているものだが、それに関して番組が発信しているメッセージをしっかり受け止めていることを知り、嬉しく思った。

  • (神奈川・中学1年男子)『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ)。僕はこの番組が好きです。1つ目の理由は野菜の性質、特性、育て方などを知ることができて実際に役立つからです。2つ目は「ふれあい」です。地域の方の家や仕事場などを訪問することで、人の優しさ、ぬくもりを改めて感じられます。

●【委員の感想】これからは日本人もどんどん世界に出ていく時代となるが、世界に出る、ということはおもしろく素晴らしいが大変なことだということが分かった、と書いていたモニターが数名いた。

  • (滋賀・中学1年女子)『グローバルな人~世界で生きる"処方箋"』(NHK)を見ました。無計画のままパン屋を中国で起業した人の話です。初めは自由人だなと思いましたが、すぐ行動できることは凄いと思いました。「軽い気持ちで中国に行き、成功よりも失敗のほうが多いけど、その経験が教えてくれました」という言葉は今の中学生にも聞いてほしいと思いました。

●【委員の感想】熱心かつ丁寧に番組を見て素晴らしい文章で報告を書いてくれたモニターには感心した。番組のナレーションにまで、言及していた。

  • (東京・高校2年女子)『素晴らしき和食の世界~箸から溢れる日本人の心~』(日本BS放送)。和食というテーマだけでこんなにもさまざまな考察が深められるのか、と感心した。テーマごとに区切られた映像は、割烹のカウンターを模したスタジオでの進行→映像→出演者による考察、という順序で放送され、まとまりとリズム感のある飽きの来ない番組に仕上がっていた。ナレーション(湯浅真由美さん)も素晴らしかった。

●【委員の感想】最近の中高生はドキュメンタリーはほとんど見ないようだが、今回は骨太のドキュメンタリーを見て、しっかりその企画意図を受け止めてくれた報告内容に心強い思いがした。

  • (広島・中学2年女子)『野球が好きなんじゃ~広島復興とカープ誕生~』(中国放送)。私はカープの大好きな祖父と5年間一緒に住んでいました。戦後何も無くなった広島の街で祖父は様々な仕事をしながらカープの「樽預金」に参加しており、自分たちの育てた球団という意識を強く持っていました。カープが広島の復興と共に歩んできたことをもっとみんなにも知ってほしいなと思わせてくれる番組でした。

調査・研究について

  • 「中高生の生活とテレビに関する調査(仮)」について、現在3,000人を超える中高生へのアンケート調査を実施し、今年度中の調査結果の公表をめざして作業が進んでいるとの報告がありました。

青少年委員会活動について

  • 11月25日に開催予定の「在京局との意見交換・勉強会」について、"報道における青少年の扱い"を中心テーマに話し合うことが決まりました。
  • 2015年1月に意見交換会を地方都市で開催することが確認されました。

■意見交換会(仙台)について

委員会終了後、NHK仙台放送局第1スタジオ内で、仙台地区のNHKを含むテレビ・ラジオ6局の報道・制作・編成関係者36人が参加し、本年度2回目の意見交換会を開催しました。青少年委員会からは、7人の委員全員と、飽戸理事長が参加しました。
意見交換会では、第1部で、BPO青少年委員会の活動について事務局から説明しました。第2部では、「震災後3年半を迎えた震災報道」を中心テーマに、"取材時の子どもへの影響や人権への配慮"などについて、3時間半にわたり、委員と各局の参加者が活発に意見交換しました。
詳しい内容は後日報告します。

2014年9月16日

「散骨場計画報道への申立て」審理入り決定

放送人権委員会は9月16日の第212回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。
対象となった番組は、静岡放送(SBS)が本年6月11日に放送したローカルニュース番組『イブアイしずおか・ニュース』。番組は、静岡県熱海市で民間業者が進める「散骨場」建設計画について、民間業者の社長が市役所に計画の修正案を提出したうえで記者会見する模様を取材し、社長の映像を使用して放送した。
この放送に対し社長は、記者会見は熱海記者会との間で個人名と顔の映像は露出しない条件で応じたとして、熱海記者会の幹事に抗議した。一方、静岡放送は同社長に電話して「会ってお詫びしたい」と伝えたが、社長は話し合いには応じられない姿勢を示した。
その後社長は6月17日、本件放送による人権侵害・肖像権侵害を訴え、「謝罪と誠意ある対応」を求める申立書を委員会に提出した。申立書はまた、顔出し映像の放送は担当記者による「故意だと思われる」と主張している。
これに対し静岡放送は8月20日に委員会に提出した「経緯と見解」書面で、同社長と熱海記者会との間に「顔と個人名の露出は避ける」という約束があったことを認めたうえで、「故意によるものではなく、担当者の不注意・失念によるもの。業者社長にはお詫びの申し上げようもありません」と述べている。
委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らし、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。
次回委員会より実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を充たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2014年8月に視聴者から寄せられた意見

2014年8月に視聴者から寄せられた意見

研究所の副センター長自殺に対し、過剰報道も原因の1つではないか、などの批判意見。慰安婦問題に関する新聞社の記事訂正を、あまり取り上げていないのではないか、といった声。広島の土砂災害で取材ヘリの騒音が救助の邪魔になるのではないかなどの、批判意見多数。

2014年8月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,265件で、先月と比較して124件減少した。
意見のアクセス方法の割合は、メール71%、電話27%、FAX1%、手紙ほか1%。
男女別は男性71%、女性26%、不明3%で、世代別では40歳代30%、30歳代26%、50歳代16%、20歳代15%、60歳以上9%、10歳代4%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該局のBPO責任者に「視聴者意見」として通知。8月の通知数は676件【42局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、23件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

STAP細胞の関係者である副センター長が自殺するという痛ましいことがあったが、マスコミによる過剰報道も原因の1つではないのかといった批判が寄せられた。
従軍慰安婦問題で新聞社の記事訂正があったが、各放送局はそのことをあまり取り上げていないのではないのか、「報道しない自由」の傘に身を隠しているのではないのかといった声が寄せられた。
広島で大規模な土石流による災害が発生したが、相変わらず取材ヘリを飛ばして、騒音による救助の邪魔をしているのではないのかといった意見や、心無い報道や放送にたいして、批判が多く集まった。
情報番組での、女子中学生とのLINEで物議をかもした府議会議員を揶揄したコメンテーターの発言に、賛否両論の様々な意見が寄せられた。
ラジオに関する意見は51件、CMについては61件あった。

青少年に関する意見

8月中に青少年委員会に寄せられた意見は141件で、前月より14件増加した。
今月は、「暴力・殺人・残虐シーン」に関する意見が20件と最も多かった。次に「性的表現」が18件、「報道・情報」が15件、「言葉」が13件、「低俗・モラルに反する」および「編成」がそれぞれ11件と続いた。「その他」は19件あった。
「暴力・殺人・残虐シーン」では、人気アイドルが出演するドラマでの自殺や殺人シーンへの意見が複数あったほか、映画やゲームのCMについて、恐怖を感じるとの意見も寄せられている。
「報道・情報」では、広島市の土砂災害の報道で被害者の同級生にインタビューしたことなどについての意見が目立った。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • STAP細胞の関係者が自殺したことを報道していた。この件は、異常なお祭り騒ぎとなったが、誹謗中傷をエスカレートさせていたのはマスコミである。しかし司会者は「報道をやりすぎてしまったかもしれない」というような意味のことを何度も繰り返した。マスコミが殺したと言われることを危惧し、あらかじめいいわけしている。ワイドショー的にどうでもいいことまで持ち出して無理矢理悪い印象を植え付けるなど、尋常でなかった。きちんと番組として謝るべきだ。

  • 研究所の副センター長が自殺をはかった。STAP細胞存在の可能性を主張し続けたが、心労がたたったことは想像できる。また、数日前には、この問題のドキュメンタリー番組が放送されている。STAP細胞の論文をめぐる研究所の対応にも問題はあったのだろうが、追い詰めたメディアに責任はないのだろうか。メディアの行き過ぎた取材は、こういった悲劇をうむということを肝に銘じてほしい。

  • 副センター長の自殺について各局で取り上げている。どの番組でも各界著名人のコメントを紹介しているが、「惜しい方を亡くしてしまった」「今後の日本の科学界に支障が出る恐れがある」等、いかに彼が優秀な人間であったかのコメントが多い。しかし、どれほど功績のある博士であろうと貧しい人間であろうと、命の重さに変わりはない。自殺者を美化するのではなく"自殺はするべきではない"ことを強調するべきだ。

  • 番組は「検証」となっていたが、これまで出てきた情報を一方の見解で集約しただけで、不快だった。STAP細胞について検証実験中のこの段階で、あらためてこの程度の内容の放送を行う必要があったのか。番組中で公表されたメールの内容についても、本人の了解が得られていたのだろうか。

  • 「あの戦争」を思い出す時期がやってきた。番組は沖縄戦の特集を放送していた。詳しく戦争の事について教えてくれ、分かりやすかった。また、戦争での痛みや悲しみなども伝えていた。沖縄でも、戦争や復帰前の時代を知らない世代が増えている。今の政権が集団的自衛権を進めている時に、意義ある番組だと思う。

  • 新聞の慰安婦問題の記事訂正の問題で、ある政治家が、「国会に召致する」と発言したようだが、政治はメディアに介入するべきではない。政治家の発言でメディアが委縮してしまう。「慰安婦問題」をきちんと取り上げ解説する責任は、メディアにある。

  • 新聞が従軍慰安婦報道を訂正したことは、大ニュースだ。にもかかわらず、まともに報道する局が少ないことに呆れ果てている。あるテレビ局は、新聞の解説員を出演させながら、番組で一言も言及していない。まさに「報道しない自由」ではないか。視聴者は、こういったテレビ局の手前勝手な姿勢をよく見ている。特定秘密法案の際には、国民の知る権利を声高に訴えていたはずだ。

  • 地方が台風の影響で驚異的な雨が降り続き大変な状況にあるのに、東京圏に影響がないからか、通常放送のみということは、おかしい。東京圏のゲリラ豪雨や地震ならば、大袈裟に中継したり、専門家を呼んだり、視聴者提供の映像を流すなどばか騒ぎをする。あまりにも、地方と都市圏の災害時の温度差がありすぎる。

  • 視聴者に対して豪雨等の情報について、携帯の動画や写真で投稿を呼び掛けている。今年からの企画だが、未曾有の災害になるかもしれない映像を募集することはマスコミとしておかしいのではないか。現場を伝えるために、もしかしたらその人は死ぬかもしれない。本来ならマスコミが率先して避難を呼び掛けないといけないはずだ。

  • 台風接近に伴い、各局でL字の表示で台風情報が報道されていた。確かに必要な情報ではあるかもしれないが、番組を視聴する上では邪魔でしかない。台風情報のL字での表示を是とした場合でも、CM中にはそれが解除されている。スポンサーに対する配慮ばかりで視聴者への配慮は微塵も感じられない。必要な情報であると判断しているのならば番組とCMを分け隔てなく常に表示するべきである。スポンサーに配慮しCM放送中には表示しないなどというスタンスであるならば、もとより表示などすべきではない。

  • 放送ヘリから撮影した映像が頻繁に中継されていた。災害発生後72時間はサイレントタイムに指定されている。放送ヘリが救助活動の支障になっている事が問題視されている中で、今回も飛んでいるマスメディアの姿勢に疑問を覚える。

  • 広島の土砂災害ですが、子どもが土砂に埋れて亡くなったニュースで、捜索中のお母さんの悲痛な叫び声を放送する必要があったのだろうか。無事に助かったのであれば、放送しても構わないかもしれないが、「どこにいるのー?」「返事しなさーい!」そんな女性の呼び声を聞いた後に、子どもが亡くなったと伝える。事実ではあるが、その叫びは必要なのだろうか。心ない報道に思えた。

  • 各局で「広島土砂災害」を報道しているが、どこの局も「避難指示を出すのが遅かった」「過去の教訓が生かされなかった」等、いかにも全ての責任が自治体にあるかのように報道している。自治体が避難指示を早く出したとしても、災害が起きなければ今度は「大げさ、騒ぎ過ぎ」と批判するではないか。テレビはどちらに転んでも批判するだけだ。各自が的確に判断することの重要性を伝えるべきだ。

  • 土砂崩れのニュースで、土砂に埋まっている友人を探す女子高校生に対し、マイクを向けて「友人が埋まっているんですか?」と聞き、うなずいただけではっきりと言葉を言わなかったためか、執拗にもう一度「埋まっているんですか?」と聞き、「埋まっています」と言わせていた。その後、その子は泣き崩れ、その姿も映像に収めていた。友人が埋まってしまっているという事実があったとしても、悲しみのなかにいる人に対して、わざわざそれを言葉にさせる仕打ちは酷だ。心身共に傷を負っている被害者、被災者、特に未成年に対する取材は慎重になるべきだ。

  • 広島土砂災害のニュースのコーナーで、司会者とゲストが一部大笑いしながら進行していた。笑っていたのはゲストの家の冠水のエピソードだったが、そんな話は別のトーク番組でしてほしい。広島の土砂災害では死者・不明者が多く出ている。今も消防や自衛隊、ボランティアなどによる懸命の救助や遺体の捜索が行われている。そんな捜索が行われている最中、なぜ大笑いができるのか。不謹慎というより絶対やってはいけない。

  • 大阪の府議会議員の問題で、コメンテーターの一人が、府議会議員の見た目に対して「キモい」と発言した。今回の問題とは関係のない、このような人格攻撃は許されるべきではない。これを許してしまっては、相手に非があれば何をしてもいいということになってしまう。これがいじめの構図で、それを放送で行うということは大きな問題だ。

  • 府議会議員がタレントの発言に対して人権侵害を申し立てたというニュースを見た。私自身、ニュースを見た際「この人、気持ち悪い」と思った。タレントの発言はとても真っ当で正直なものだ。番組内での謝罪は「必要ない」と思う。

  • 40年ぶりの国産旅客機開発にゼロ戦の技術が活かされたというニュースで、ゼロ戦の映像が流れたが、なぜか太平洋戦争で米空母に突っ込む、特攻するゼロ戦だった。どうしてその映像が必要なのか。この時期ゆえ、印象操作でもしているように感じた。特攻する同じ映像が2度も繰り返されこともおかしい。このニュース映像に神風特攻の映像が適切とは到底思えない。

  • 日本の若い世代は、隣国である韓国や北朝鮮との歴史的関係を理解していない。番組で両国を取り上げるたびにナショナリストは両国を忌み嫌うようになっている。昭和の時代の人は、両国に対して行った行為に引け目を感じて過ごしてきた。しかし平成の若者は歴史を知らないため、韓国・北朝鮮の話題を取り上げると、かえってナショナリスト的風潮を助長する結果になっている。両国のことはニュースで事実を伝えるだけにするべきである。

  • エボラ出血熱について特集が組まれていた。その際、「咳やくしゃみでは感染しない」などと伝えていたが、疑問だ。エボラ出血熱は、国家存続の危機にもなり得る、感染した後の生存率の低い、しかも治す方法がない、WHOで非常事態宣言まで出してる病気だ。どう対策を講じるべきか全国民が知っておくべきだ。

  • 古物商の窃盗事件(万引き)が発生し、防犯カメラに映っていた犯人の映像を公開すると店が告知した問題で、マスコミは事の本質を掘り下げるでもなく、やみくもに「煽る」ことに終始していた。結局、警視庁の要請に従い、公開中止となったが、もっと客観的かつ冷静に報道してほしい。

  • 代理出産ビジネスと題して、オーストラリア人夫婦がタイ人の女性に代理出産を頼み双子が生まれたのだが、1人はダウン症のため、引き取りを拒否したことを紹介していた。このようなデリケートな問題はそっとしておくべきではないだろうか。軽々しく取り上げていいのか。今後、障害を持った子を拒否する親が増えるのではないかと危惧している。我が家にも障害を持つ子がいるので、悲しい気持ちになった。

  • 私が住んでいる海老名市上空は連休には東名と圏央道の渋滞状況を空撮しようと、ヘリがバカの一つ覚えのように飛び回る。厚木飛行場の米軍機も飛び回る地域だが、ヘリの騒音は米軍機のそれよりもホバリングや小旋回でタチが悪く、かなりうるさい。騒音問題への報道は盛んだが、自分たちの騒音の方がうるさい事実を知っているのか。

  • ニュースコーナーで、窃盗犯から押収された女性用下着がこれ見よがしに陳列されていた。被害者の下着をなぜわざわざ公衆の面前に晒す必要があるのか。警察も警察だが、それをそのまま撮影し全国に流すテレビ局も、何と無神経で愚かなのか。このような放送が被害者をさらに傷つけ、辱めてしまうということがなぜわからないのか。

  • 迷惑行為やマナー違反を取り上げるコーナーがよくあるが、顔にモザイクをかけていることがほとんどだ。撮影されている方は、自分が行っている行為を普通だと思い、ポーズをとったり、ピースサインをしたりしている。悪いことをしているという自覚を持っていない人たちなのに、なぜモザイクをする必要があるのか。必要以上にモザイクをかけるのは良くない。

【番組全般・その他】

  • 毎年疑問に思っているのだが、チャリティー番組と銘打ち、視聴者に募金を募っている。出演者のギャラが高額とも聞いている。そもそもチャリティーと謳うならば、ノーギャラが当たり前で、自発的に参加する出演者を探せばいいのではないのか。発生するギャラを各団体に寄付したほうが遥かに慈善事業になると思う。慈善事業を名目に、視聴率を稼ぐ為に行っているような気がしてならない。高額といわれるギャラをもらってる人達が私たちから募金を募るという構図が、どうにも釈然としない。

  • ALSについて特集していた。支援運動として「アイスバケツチャレンジ」の賛否が騒がれている中、番組の冒頭でいきなり氷水をあびる海外セレブたちの動画が流されていた。「氷水をあびるか、100ドルを寄付するのがルール」とナレーションでの説明だったが、実際は氷水も寄付もどちらも行い、次の3名を指名するというもので、番組の説明とは異なる。病気の知識を持つことや寄付には賛同だが、氷水をあびるという危険でパフォーマンスまがいの行為を話題にすることで、本来の主旨から離れたただの悪ふざけ好きな人たちの「ネタ」になってしまっているのではないか。海外ではこの氷水をあびた消防士が重体になったと記事にもなっていたが、テレビではそのようなことは一切触れず危険だという注意もしていなかった。

  • バリ島の借地権付き物件が買えると紹介していたが、基本的にインドネシアの不動産を外国人(日本人含む)は買えないはずだ。買うにしてもリタイアメントビザの取得等の条件が必要だと思うが、番組内では一切その件に触れてはいなかった。また借地権はあくまで借地権であり、買えるというよりも借りるものだ。その辺りの説明もなく、素晴らしい物件が格安で買えるという無責任、不確かな番組の情報は問題がある。

  • 男性タレントが街角でナンパ対決をしていた。ロケの車内から物色していて、女性に対するそれぞれの感想を述べていた。テレビ番組でナンパ対決をすることは、見ていて不快に感じる。女性を軽視する発言や、どちらがモテるのかという対決をして、それをただ流しているだけだ。最近のバラエティー番組や、お笑い番組は低俗なものが多く楽しめない。モラルがない番組が多いので、もう少し常識があるバラエティーを考えてほしい。

  • 近頃の朝のニュースは芸能ネタの話題が多すぎる。朝は地元のニュースや天気予報を知りたいのに、芸能ネタの話題ばかり放送している。地元のニュースや天気予報などが後回しにされており、視聴者を馬鹿にしているようで腹立たしい。

  • 若者のテレビ離れについて懸念する話題をテレビやネットでよく見かける。しかし、連日のように毒舌家や、女装家タレントが出演をしていたら、若者のテレビ離れが加速するのは当たり前ではないのか。バラエティー番組を低俗だと非難する人や、パソコンやスマホの普及率を理由にする人もいるが、違うと思う。

  • 「脱法ハーブ」による事件が多発し、「ハーブ」のイメージが悪くなってしまった。今は「危険ドラッグ」に変更されたはずだが、マスコミは未だに「危険ハーブ」と言っている。ハーブがすべて危険なのではない。からだや心をリフレッシュするハーブ本来の効用もきちんと放送してほしい。

  • 一般人へのドッキリ企画を放送していた。整骨院での施術中、こっそり整体師とプロレスラーが入れかわり、プロレス技をかけて気付くかどうかという内容だ。スタジオでは、出演者がVTRを見ながら大爆笑していた。芸能人同士であればまだしも、一般人にこのようなドッキリを仕掛けるとは許しがたい。一歩間違えれば怪我にもつながる。

  • また夏になり、高校野球放送が完全中継されるわけだが、夏休みこども電話相談室や子ども番組の枠を潰してまで放送する必然性がどこにあるのか。また、わざわざ猛暑の時間に試合をすることは高校生にとっても酷だろうし、特に電力需要が逼迫する時間帯はテレビ放送を自粛すべきである。

  • 深夜番組だったが、女芸人がTシャツを着たままブラを外して、乳首に洗濯ばさみをつけてもう1人に引っ張ってもらうという芸をやっていた。1つのパンツを2人で履くというものもやっていた。ズボンの中に肌色の下着をつけていたようだが、2人で無理に履こうとしたので、きわどかった。いくら子どもが寝ている時間帯でも、やって良いことと悪いことがある。

  • ゆとり世代の学力を検証する企画があった。偏差値40以下の学生を集めクイズを競わせ、その珍回答をスタジオの出演者がモニタリングし、笑いものにするという企画だった。そのVTRが終わり、出された結果が、「ゆとり世代の学力はヤバイ」というものだった。バラエティー番組とはいえ差別を助長するものであり、到底許せるものではない。

  • 終電を逃した人(しかも酒が入っている)に声を掛けて、タクシー代をエサに家まで押し掛けるという番組だった。1人暮らしの若いOLなんかは、何か間違いやトラブルがあったらどうするのだろう。今の時代、何があるのかわからない。犯罪の助長につながるのではないのか。素人相手はウケるかも知れないが、放送内容を検討するべきだ。

  • MCの男性が、ユルキャラを殴るシーンが放送された。着ぐるみに対する暴力行為はキャラクターイベント等でも問題になっているが、一般的に着ぐるみの演者は形式上自分で喋ることができない。また視界が限られているため、不意の事態には危険が伴う。夏休みの期間中で、多くの子どもたちが視聴していたかも知れない。教育上不適切だ。

  • 前回ほどひどくはなかったものの、地上波で放送するのは相応しくない。下品で低俗だ。とにかく、セックスという言葉はおろか他の性的な言葉を多用しすぎだ。前回はAVかと見間違うようなシーンもあった。

  • 糖尿病で透析をしている元芸人を取り上げた。透析患者は旅行にも行けないし、仕事も出来ない。透析を休めば死の危機だと言っていた。私は20年間同じように透析をしているが、仕事もしてきたし、海外旅行も出来ている。このような放送があると、透析患者は何も出来ないという目で見られる。透析をしたからといって人生が終わりではない。もっと広く透析患者の実態を調べて放送するべきだ。透析患者への配慮がなく、悲惨さを強調し過ぎていた。

  • 中堅の男性芸人の家にアポなしでゲストを引き連れて突撃訪問。両親もいる中でベテラン芸人2人の暴走がひどかった。家の壁にサインをペンで書いていたほか、床に水をこぼしながら流しそうめんをやっていた。中堅芸人の両親は芸人たちの暴走を止められず、流しそうめんも一緒になってやっていた。そして、鰻と一緒に蛇を混ぜ、故意に床に置いて「つかまえろ!」と命令していた。言われた人はつかもうとするが、凶暴な蛇を使った演出は不快だった。この番組は、自分たちよりも年齢が低い芸能人に高額な時計を買わせたり、数名の芸能人引き連れて全員の勘定を1人に払わせたりするなど、パワハラ的な企画が多いが、如何なものか。

  • 猛暑で蚊が消えたというコーナーで、蚊の数を検証すると称し、担当ディレクターがわざわざ藪に入り、足を蚊にさされるという人体実験をしていた。だが蚊の数を確認するなら専門家とともに補虫するなど、ほかの方法があるはずだ。おりしもこの日はデング熱の数十年ぶりの国内感染を厚労省が発表した日だ。ディレクター自身がデング熱に感染する危険もあるし、感染を拡大させる可能性だってある。ただ面白そう、というだけで蚊に刺される人体実験は、後先を考えない不適切な取材だと思わざるを得ない。

  • 芸人へのどっきりは、濡れ衣を着せられて最後は逮捕されるという内容だったが、仕掛け人、出演者全員に悪意を感じた。警察官の挙措がとてもリアルで、本人は事情を知らずにいたから、本当に捕まったと思ったのだろう。それをみて出演者が笑っているという趣味の悪い企画だった。本当にかわいそうだった。テレビであってもやって良いことと悪いことがあると思う。これは公開いじめにほかならない。

【ラジオ】

  • 内容が下ネタばかりで聞くに堪えない。今は夏休みで子どもが聞いているのに「女の子をラブホテルに誘う『名ゼリフ』」を募集している。青少年の非行を助長する内容だ。その上、芸人のリポーターが毎回酒を飲んでリポートしている。共演者から「酒臭い」などの苦情もあるのに、改善されない。飲酒をやめさせるか、番組を降板させるべきだ。

  • パーソナリティーの落語家が、「銭湯に行ったとき、後ろ姿で知り合いかと思って頭を叩いたら、知らない怖そうな人だった。とっさにアウアウアーって言いながら蛇口をペロペロ舐めたら知的障害者だと思って許してくれた」と笑いながら話していた。たとえ作り話だったとしても、あまりにも障害者をバカにした心無い話なので怒りを覚えた。

【CM】

  • パチンコ店のCMだが、誇大広告だ。普通に見れば誰もが大当りを出してハッピーになれるような感じにとれる。全ての人がパチンコで勝てるものではない。負ける人だっている。いや負ける人の方が多い。「勝てる」イメージを出さなければいけないので、ああいうCMになったのだと思うが、あまりにも酷すぎる。

  • ゲーム会社のCMだが、地下鉄サリン事件を連想させ、違和感を覚えるゲームのCMだ。また、会社の上司と女性が2人で暮らし始め、「男と暮らす意味わかってる?」といったり、キスをしたりする不謹慎なゲームのCMもある。CMは予期しない時に流れるので防ぎようがない。衝撃的で、行き過ぎたものはやめてほしい。

青少年に関する意見

【「暴力・殺人・残虐シーン」に関する意見】

  • 子どもに人気のあるアイドルが出演するドラマで、首つり自殺のシーンが必要以上に映し出されていた。テレビをつけた瞬間にこのような映像が目に飛び込んでくると、子どもが驚いてしまう。子どもに人気がある番組であることを考慮した番組作りをしてほしい。

  • 生放送のバラエティー番組で、男性司会者が女性出演者を押し倒し、馬乗りになっていた。放送内容にも全く関係がなく、公然と暴力的なセクハラを行ったに等しい。一緒に視聴していた子どもたちに説明できないような愚行だった。笑いをとろうとしたのだろうが、許される行為ではない。

【「性的表現」に関する意見】

  • 4コマ漫画が原作の深夜帯のドラマが下品で卑猥だ。卑猥な行為の再現VTRはポルノさながらだった。昔より青少年が深夜番組を簡単に見ることができる状況なので、深夜番組であっても配慮が必要だろう。

  • 不倫を取り上げたドラマを見ていた孫が、自分の母親に「ママは大丈夫?」と聞いていた。性的なシーンが多いドラマは深夜に放送すべきだ。

  • "どっきり企画"で、お笑いタレントに水に溶けるパンツを履かせ、水に落としたり、ローションをかけたりしていた。放送上は画像処理しているが、スタジオにいる女性タレントや観客は露出した陰部を目撃していると思われる。放送で陰部を隠せばいいという問題ではない。

【「危険行為」に関する意見】

  • 世界中で起きたハプニング映像を取り上げた番組で、偶然カメラが捉えたほのぼのとした映像も、一歩間違えば命が失われるような行為も、単なるハプニング映像として放送していた。危険な行為を単なる笑いの一部として放送しているように思える。視聴者の中には、あえて危険な行為を行い、映像をインターネット上にアップして注目を集めようとする人もいるのではないか。また、小さな子どもは善悪の区別ができず、人や動物に危害を加える可能性もある。どこまでが危険で、どこまでが安全なのかを判別できない視聴者がいることも考えて放送してほしい。

【「その他」の意見】

  • 若年層の聴取者が多いラジオ番組の女性パーソナリティーが、不良を称賛するかのような発言をしていた。不良の行動が社会問題視されている中、「元不良には経営者が多い」「不良はかっこいい」などと発言したことに悲しみを覚えた。子どもたちが夏休中であることも考慮してほしかった。