2022年7月19日

「ローカル深夜番組女性出演者からの申立て」審理入り決定

 BPO放送人権委員会は、7月19日の第306回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。

 申立ての対象となったのは、あいテレビ(愛媛県)が2022年3月まで放送していた深夜のローカルバラエティー番組『鶴ツル』。この番組は男性タレント、愛媛県在住の住職とフリーアナウンサーである申立人の3人を出演者として、2016年4月に放送が開始された。3人が飲酒しながらトークを行う番組だが、申立人が、番組中での他の出演者からの度重なるセクハラ発言などによって精神的な苦痛を受けたとして申し立てた。
 申立書によると、番組開始当初から苦痛、改善を訴えていたにもかかわらず、放送された他の出演者のトークが、申立人自身に対するものも含めてしばしば性的な内容に関することに及んで申立人に羞恥心を抱かせることで、また、そのような内容の番組の放送によって申立人のイメージが損なわれたことで、人権侵害を受け、放送倫理上の問題が生じたと主張している。
 被申立人のあいテレビは、申立人は番組の趣旨を十分に理解した上で出演しており、申立人からの苦情も2021年11月が初めてで、また、番組の内容も社会通念上相当な範囲を逸脱しておらず、人権侵害や放送倫理上の問題はない、と主張している。
 申立てを受け、双方による交渉が持たれたが不調に終わり、今回の委員会で審理入りするか否かを検討した。

 7月19日に開かれたBPO放送人権委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。次回委員会から実質審理に入る。
 なお、審理対象とするのは、申し立てられた日から1年以内の2021年2月以降の放送分とし、それ以前のことは背景事情として考慮することが委員会で決定された。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2022年6月21日

「ペットサロン経営者からの申立て」審理入り決定

 BPO放送人権委員会は、6月21日の第305回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。

 日本テレビは、2021年1月28日午前8時からの『スッキリ』で、「独自 愛犬急死 “押さえつけシャンプー” ペットサロン従業員ら証言」とサイドスーパーを出しながら、ペットサロンに預けられていたシェパード犬がシャンプー後に死亡した問題を放送した。放送は、犬の飼い主やペットサロン従業員など複数の関係者の証言を基に構成されていた。「押さえなさい。暴れないように。それを何回も何回も繰り返すので」「『私は神だ』みたいなことを言うんです」といった、ペットサロン経営者に関する発言が放送された。
 この放送に対して、ペットサロン経営者の申立人は、「同番組内で申立人が、お客さんから預かっていた犬を虐待して死亡させたなどと、虚偽事実」を放送したと主張し、「字幕付きの放送をしたことで、申立人が預かっていた犬を虐待死させたかのように印象付け、事実に反する放送をすることで申立人の名誉を侵害した」として、BPO放送人権委員会に申し立てた。
 これに対して日本テレビは、放送内容は真実であり、また「当社は事前に十分な取材を行っており、真実であると信じるにつき相当な理由」があり、「私たちの取材・放送によって人権と名誉が侵害されたという申立人の主張はいずれも根拠が無く、受け入れられません」と反論している。
 3カ月以上、9回の面会・交渉を経ても解決せず、「相容れない状況」となっていたために今回の委員会で審理入りするか否かを検討した。

 6月21日に開かれたBPO放送人権委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。次回委員会から実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2021年6月15日

「宮崎放火殺人事件報道に対する申立て」審理入り決定

 BPO放送人権委員会は、6月15日の第293回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。

 NHK宮崎放送局は、2020年11月20日午後6時10分からの『イブニング宮崎』(宮崎県内で放送)の中で、同年3月26日に宮崎市内で男性2人が死亡した民家火災の続報を放送した。そこでは、この火災は放火殺人事件の疑いが濃くなり、容疑者がガソリンをまいて火をつけ被害者(申立人の兄)を殺害し自分も死亡した可能性があり、その原因として「何らかの金銭トラブル」が死亡した2人の間にあったかのように伝えられた。
 ニュースでは、この火災について、被害者の服からガソリンの成分が検出されたことや、容疑者の自宅や車などの捜索から被害者の父親名義の銀行通帳が見つかり、口座から現金が引き出されていたことを報じた上で、「こうした状況から警察では2人の間に何らかの金銭トラブルがあり、容疑者(実名)がガソリンをまいて火をつけ被害者(実名)を殺害した疑いが強まったとして、殺人や放火などの疑いで容疑者死亡のまま書類送検する方針です」と締めくくった。
 この放送に対して申立人が、「2人の間に何らかの金銭トラブルがあった」と報じられたことで、「亡くなった兄にも何らかの原因があったのではないか」との印象を抱かせるものであり、事件被害者である兄の尊厳を傷つけたとして、NHKに対して謝罪を求めてBPO放送人権委員会に申立てを行った。
 これに対してNHKは、「事件当事者の2人が亡くなっている中でも、当時の取材で知り得た情報を基に『被害者』と『加害者』を明確に分ける形で客観的な事実を伝えており、申立人の主張する指摘は当たらない」と反論した。

 15日に開かれたBPO放送人権委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。次回委員会から実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2020年9月15日

「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」審理入り決定

BPO放送人権委員会は、9月15日の第284回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。

この事案は、フジテレビが2020年5月19日未明に放送した『TERRACE HOUSE TOKYO 2019 - 2020』に出演していた女性が放送後に亡くなったことについて、女性の母親が、娘は番組内で取り上げられた同居人男性の帽子をはねるシーンをめぐってSNS上で「批判的なコメントが殺到」したことを苦に「自らの命を絶った」としたうえで、きっかけとなったその場面は「過剰な演出」によるものであったなどとする申立書を委員会に提出したもの。
申立人はフジテレビに対して、娘は番組で狂暴な女性のように描かれたことによって、「番組内に映る虚像が本人の人格として結び付けられて誹謗中傷され、精神的苦痛を受けた」ことによる人格権の侵害と、「全ての演出指示に従うなど言動を制限する」等の条項を含む「誓約書兼同意書」による支配関係のもと自己決定権が侵害されたとして、娘に対する人権侵害があったと訴えている。そして、フジテレビに謝罪と公平・公正な検証を求めている。
これに対してフジテレビは、番組について「予め創作した台本は存在せず、番組内のすべての言動は、基本的に出演者の意思に任せることを前提として制作されていた」としたうえで、社内での検証結果に基づき「制作者が出演者に対して、言動、感情表現、人間関係等について指示、強要したことは確認されなかった」と主張した。また、「同意書兼誓約書」に関しては、出演契約であり労働契約のように「指揮命令関係に置くものではない」として、「自己決定権を奪われたとの主張には理由がない」としている。そして、インターネット配信から放送後に至るまで、番組スタッフが本人と連絡を取り、ケア等により、「精神状況が比較的安定していることを確認している」ことなどを挙げて、「番組内で狂暴な女性のように描かれ、視聴者がSNS上で誹謗中傷し、精神的苦痛を受け、人格権を侵害されたとの申立人の主張は認められない」と反論している。

15日に開かれたBPO放送人権委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして、本件申立ては審理入りの要件を満たしていると判断し、審理を始めることを決めた。委員会は今後、双方が提出する書面と、申立人と被申立人に対するヒアリングをもとに審理を行い、その結果を「勧告」または「見解」としてとりまとめ、申立人およびフジテレビに通知した後、記者会見を行い公表する。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2020年3月24日

放送人権委員会、運営規則の一部改正

BPOが今年度行った認知度調査において、BPOを知る人が70%と大幅に増える一方、組織の設立趣旨や活動内容などについて理解が深まっていない実態が浮かび上がった。こうした状況の中で、放送人権委員会に届く申立ても、提出件数が増加し内容が複雑化する傾向がみられることから、委員会において申立ての扱いについて検討が重ねられた。
委員会の議論では、申立てが審理要請案件として委員会に諮られた際、委員会の議論の末、審理入りをしないと決定するには運営規則第5条「苦情の取り扱い基準」に明文規定がないこと等が指摘された。こうした状況を改善するべく委員会において議論され、第278回委員会で「苦情の取り扱い基準」の改正案をまとめ議決した。その後、規約に基づき、理事会で改正が承認された。改正内容は、3月中旬に会員社に対して文書をもって通知されたほか、一般にはBPOのウェブサイトに3月24日より掲載し告知される。改正した運営規則は4月1日から施行する。
この改正は、申し立ての要件に新たに制限を加えるものではなく、これまでどおり権利の侵害を受けたという人から申立てを受け付け、そのうえで審理入りするかどうか委員会が議論し判断するが、改正は委員会の判断の拠り所を明確にしたもの。新年度から施行するこの改正は、4月1日以降に事務局に届いた申し立てから適用する。(改正規則の全文はこちら)pdf

以上

2020年1月21日

「大縄跳び禁止報道に対する申立て」審理入り決定

対象となったのはフジテレビの『とくダネ!』。昨年8月30日の放送で、都内の公園において大縄跳び禁止の看板が立てられた話題を取り上げ、近所の進学塾が生徒たちに暗記手段として大縄跳びをしながら声を出して歴史を覚えさせていることに周辺住民から苦情があり、行政が公園での規制を始めたことを紹介した。番組は、周辺住民数人をインタビューし、その中の一人として申立人が、「本を読んだり、集中して何かをやる日には、ちょっとうるさいと思う」などと答えた場面を放送した。

この放送に対して申立人は、犬の散歩中に突然見知らぬ女性からマイクを向けられ、大縄跳びの騒音問題について聞かれた。「一度も目撃したことがなく、理解に苦しむ内容」なのに誘導尋問されたものを、勝手に放送に使われた。「内容的に、懇意にしている学習塾の批判にもつながり、非常に憤慨している」として、フジテレビに対して「捏造に対する謝罪と意見の撤回」を求めて、BPO放送人権委員会に申立書を提出した。

これに対してフジテレビは、誘導尋問との指摘について、インタビュー映像には誘導尋問をする場面はないと反論するとともに、インタビュー内容を加工せずそのまま放送しており「捏造には該当しない」と主張している。

21日に開かれたBPO放送人権委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。次回委員会から実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2019年12月17日

「一時金申請に関する取材・報道に対する申立て」審理入り決定

BPO放送人権委員会は、12月17日に開催した第276回委員会で上記申立てについて審理入りを決定した。

札幌テレビ(STV)は、今年4月26日の『どさんこワイド179』内のニュースで、「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金支給等に関する法律」に基づいて一時金の申請を行った男性について報道した。

放送は、北海道における初めての申請であるとして、男性が家で申請書類を記入する様子や「裁判を続けていきたいけど、区切りを一つ一つやっていきたい」と話すインタビューのほか、タクシーで北海道庁に到着する映像などを放送し、ナレーションで男性が担当部署で職員と面談して申請手続きを行ったことなどを説明した。

これに対してこの男性はBPO放送人権委員会に申立書を提出し、その中で、記者が申請のための請求書を取り寄せ、必要な書類の準備を指示したうえ、「明日、申請に行きましょう」などと説明し、タクシーも手配したと指摘した。そのうえで、「一時金申請を希望していなかった申立人に対して、申請するよう働きかけた」と主張し、その結果、「不本意な申請をすることになり、これを広く報道され、申立人の名誉を毀損するとともに、法律専門家の援助を得る機会を与えない不利益を与えた」として、放送内容の訂正と謝罪を求めた。

一方、札幌テレビは、記者は申立人を1年以上にわたって取材を続け、申立人と良好な関係を築いてきたとして、「その信頼関係があったからこそ一時金申請の取材が可能となった。検証の結果、報道の内容は公正で、取材手続きも適正である」と反論している。

17日に開かれたBPO放送人権委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。次回委員会から実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2019年10月15日

「オウム事件 死刑執行特番に対する申立て」審理入り決定

BPO放送人権委員会は、10月15日に開催した第274回委員会で上記申立てについて審理入りを決定した。

フジテレビは、2018年7月6日の「FNN 報道特別番組 オウム松本死刑囚ら死刑執行」で、オウム真理教事件の死刑囚13人のうち松本智津夫死刑囚ら7人の死刑執行に関する情報を速報するかたちで放送した。
特別番組は、各拘置所からの中継、スタジオでの事件の解説、被害者遺族らの会見、国内外の反応など約1時間半にわたって生放送され、刑の執行情報は更新しながらフリップなどで伝えられた。

申立人は松本元死刑囚の三女で、番組は「人の命を奪う死刑執行をショーのように扱った」として、遺族の名誉感情を害されたと訴えている。また、スタジオのコメントも名誉感情を傷つけるものであったなどと主張し、フジテレビに謝罪を求めてBPO放送人権委員会に申立てを行った。

これに対してフジテレビは、速報情報を扱う生放送の時間的、技術的制約の中で、複数の死刑囚の執行情報をできるだけ視聴者に分かりやすく伝えたと説明し、「死刑執行をショーのように扱った」ものではなく、人権侵害にあたらないなどと反論している。

15日に開かれたBPO放送人権委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。次回委員会から実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2019年8月20日

「訴訟報道に関する元市議からの申立て」審理入り決定

BPO放送人権委員会は、8月20日に開催した第272回委員会で上記申立てについて審理入りを決定した。

テレビ埼玉は、2019年4月11日午後の『News545』内で、元市議が提訴した損害賠償訴訟のニュースを放送した。放送は、「元市議セクハラ訴訟 被害女性職員 請求棄却求める」とタイトルスーパーを表示し、経緯の説明の中で「(議会)第三者委員会が調査をした結果、5つの行為がセクハラやパワハラにあたると認定され、元市議は去年10月に議員を辞職しました」と伝えた。
申立人は、ハラスメントそのものを「身に覚えのないこと」と主張したうえで、「申立人が提訴した裁判であるのに、申立人がセクハラを訴えられたような印象を与え名誉を損なわれた」と訴えた。また、経緯の説明の中で、実際には第三者委員会の認定前に辞職しているのに、「第三者委員会にパワハラを認定されたことから議員を辞職した印象を与え、視聴者に誤解を与えた」などと主張した。そのうえで申立人は、「元市議セクハラ訴訟」という名称をやめることや誤解を与える放送をしたことについて訂正と謝罪等を求めて申し立てた。
これに対してテレビ埼玉は、放送では「被害を訴えた職員を相手取った裁判」と明記していることや、申立人代理人が報道各社に配布した訴状から「セクハラの有無が裁判の争点となると判断した」ことを挙げ、「名誉を損なうとか、放送倫理に反するとは考えていない」と反論している。また、テレビ埼玉は、「言葉の順番が違うことで誤解を招きかねない懸念が残る」と判断し、当該放送のあった日の午後9時半のニュースで修正した内容で放送したほか、市議会選挙直後の4月22日の『News545』の中でお詫びと訂正を行っている。

20日に開かれたBPO放送人権委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。次回委員会から実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2019年7月16日

「宗教団体会員からの肖像権等に関する申立て」審理入り決定

BPO放送人権委員会は、7月16日の第271回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。

テレビ東京は、2018年5月16日午後の『ゆうがたサテライト』ニュース内で、「オウム真理教事件の死刑囚らの刑執行の可能性が高まる中、オウム真理教はアレフと名前を変えて存続している」として、「教祖を失う可能性に揺らぐ教団の実態」を特集し、その一部として最大規模の施設とされるアレフの札幌道場を取材し放送した。
放送では、テレビ東京の取材チームがアレフ道場前を取材中、申立人が「盗撮ですか」などと声をかけ、記者が「セミナーですか」と問い返す等のやり取りの場面が紹介された。この場面では、まず申立人の顔に白いボカシをかけ音声も加工されていたが、さらに続けて顔のボカシはそのままに音声は加工していない状態で「盗撮ですよ」と話す様子などが放送された。
これについて申立人は、再三撮影をしないよう訴えたにもかかわらず、無断で全国放送し肖像権を侵害したほか、加工されていない声が放送され申立人が特定できるなどとプライバシーの侵害を訴え、テレビ東京に謝罪と映像の消去などを求めてBPO放送人権委員会に申立てを行った。
これに対してテレビ東京は、「音声が加工されずに出たのは、編集上の手違い」と説明し、「特定の意図はなく、不快な気持ちにさせたことは誠に遺憾だ」と述べる一方、「アレフは団体規制法に基づく観察処分の対象となっている」として、「報道には公益性がある」と主張している。

16日に開かれたBPO放送人権委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。次回委員会から実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2019年5月21日

「情報公開請求に基づく報道に対する申立て」審理入り決定

BPO放送人権委員会は、5月21日の第269回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。

NHK秋田放送局は、今年1月21日午後8時45分からの『NHKニュースこまち845』の中で、情報公開請求などによって明らかになった過去5年間の県内の国公立大学における教員のハラスメントによる処分に関するニュースを伝えた。
ニュースでは、ある大学で起きた3年前の事案について、匿名で「男性教員は、複数の学生に侮辱的な発言をしたことなどがアカデミックハラスメントと認定され、訓告の処分をうけた」とのナレーションに、開示された文書にある「学生への侮辱的発言、威圧的な行動」と「小中学生でも出来る」という文言を接写した映像を使って報じた。
この放送に対して男性教員が、氏名は発表されていないが、関係者には直ぐに自分だと判断される内容だ、とした上で、「処分の理由として、私が複数の学生に対して『小中学生でも出来る』などといった侮辱が理由で処分されたと報道された。不正確な情報をあたかも実際に起きたかのように、間違った報道をされた」と主張し、「教員としての信頼性および事件を全く知らなかった学生まで、誤った情報が周知され、大学で正常に勤務できない状況が作られた」として、NHKに対して謝罪を求めてBPO放送人権委員会に申立てを行った。
これに対してNHKは、「情報公開請求で開示された内容を、各大学で改めて取材を行い、内容に誤りや変更がないことを確認した上で概要を説明した」と反論したうえで、「処分をされた教員は、いずれも匿名で、役職や年齢に触れていないなど、個人が特定できないよう、十分配慮している」と説明している。

21日に開かれたBPO放送人権委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。次回委員会から実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2018年9月7日

『放送人権委員会 判断ガイド2018』を刊行

放送人権委員会は『放送人権委員会 判断ガイド2018』を刊行した。委員会がこれまでに通知・公表した67件の決定文や、そこで示された判断のポイントや留意点、関係の資料等を掲載している。
決定件数が増えたことから、判型を従来の『判断ガイド』よりもひと回り大きいB5版とし、3色刷りにして見易くした。内容では、委員会審理で取り上げる機会が多くなっているバラエティー番組と名誉感情に関する項目を新たに設けた。

2018年6月19日

「芸能ニュースに対する申立て」審理入り決定

番組は、2017年12月29日に放送されたTBSテレビ『新・情報7daysニュースキャスター超豪華!芸能ニュースランキング2017決定版』。番組の中程で「14位 俳優・細川茂樹 事務所と契約トラブル」とナレーションがあり、「昨年末、所属事務所から『パワハラ』を理由に契約解除を告げられた細川茂樹さん。今年5月、『契約終了』という形で、表舞台から姿を消した。今年は、芸能人と事務所をめぐるトラブルが目立った」と伝えた。
この放送について細川氏は、事務所からパワハラを理由に契約解除されたことをわざわざ強調して取り上げているが、東京地裁の仮処分決定で事務所側の主張には理由がないことが明白になっており、申立人の名誉・信用を侵害する悪質な狙いがあったと言わざるを得ないと主張し、謝罪と名誉回復措置を求めて申し立てた。
これに対してTBSテレビは、委員会に提出した「経緯と見解」において、申立人を意図的に貶めようと放送したという主張はまったくの誤解だとする一方、放送に「言葉足らずであって誤解を与えかねない部分があった」として、申立人に謝罪するとともに、ホームページあるいは放送を通じて視聴者に説明する意向を示したが、当事者間での話し合いでは解決に至らなかった。
委員会は、本件申立ては委員会運営規則第5条の苦情の取り扱い基準を満たしているとして審理入りすることを決めた。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2018年4月1日

放送人権委員会 新委員長に奥武則委員

放送人権委員会は、新しい委員長に奥武則委員を4月1日付で選任した。任期は3年。奥氏は、元法政大学社会学部教授で近現代日本のジャーナリズム史が専門。現在、毎日新聞客員編集委員。2012年4月に放送人権委員会の委員に就任し、これまで2期6年委員長代行を務めてきた。坂井眞前委員長は任期を終え3月末で退任した。
同じく4月1日付で、新委員に弁護士の廣田智子氏が就任した。中島徹委員は任期を終え3月末で退任した。

2018年2月20日

「命のビザ出生地特集に対する申立て」審理入り決定

放送人権委員会は2月20日の第255回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。
対象となったのは、第二次世界大戦中にナチス・ドイツの迫害から逃れた多くのユダヤ人を救った外交官・杉原千畝の出生地について、CBCテレビが2016年7月12日から2017年6月16日までに報道番組『イッポウ』で10回にわたり放送した特集等。番組では、岐阜県八百津町が千畝の手記などいわゆる「杉原リスト」をユネスコの「世界記憶遺産」に登録申請したのを受けて、千畝が「八百津町で出生」という通説に一部で疑念が生じているとして、千畝の子供で唯一存命の四男・伸生氏(ベルギー在住)が取り寄せた戸籍謄本には、千畝が八百津町ではなく、「武儀郡上有知町」(現在の美濃市)で出生したと表記されていたことや、千畝の手記(下書き原稿)を入手して調べたところ、出生地が「武儀郡上有知町」が二重線で消され、「加茂郡八百津町」に書き直され、伸生さんは書き直した文字は「父の筆跡ではない」と話し、筆跡鑑定士も「千畝のものと違う」と鑑定した等と放送した。
この放送に対し、手記を管理しているNPO法人「杉原千畝命のビザ」およびその理事である杉原千弘氏と杉原まどか氏、平岡洋氏の3氏が委員会に名誉毀損を訴える申立書を提出。この中で、番組ではユネスコに提出された本件各手記を「杉原千畝命のビザ」が保管していることを杉原まどか氏と平岡洋氏に確認させ、直後に「鑑定士」2人が本件各手記は偽造文書であると決めつける発言をそのまま放送したことから、「一般の視聴者は、本件各手記は偽造されたものとの印象を受けた」と主張した。
さらに、杉原まどか氏及び平岡洋氏が本件各手記の真正を述べるインタビューを放送した直後に、「違うよ、こんなの」だとか、「裁判所からの鑑定だったら、完全に違う、と言う。」と、「鑑定士」が両氏のインタビュー内容を徹底的に否定してみせたことにより、「かかる構成からすると、杉原まどか及び平岡洋が偽造者であるとの事実を摘示している」と述べた。
申立書は、「私文書偽造は犯罪であり、しかもそれをユネスコに提出して偽造私文書を行使したというのだから、本件放送が杉原まどか及び平岡洋の社会的評価を低下させることは明らか」で、また本件各手記の保管者である「杉原千畝命のビザ」の社会的評価も低下させ、「本件各手記の真実の保管者は杉原千弘であること、同人は杉原千畝命のビザの理事であることから、杉原千弘の社会的評価も低下させる」と主張した。
申立書は放送による具体的被害として、それまで半年間に十数件あった申立人らへの講演依頼が、放送後はほとんどなくなった点等を挙げ、CBCテレビに対し、「本件各手記はいずれも杉原千畝が書いた真正なものである」との趣旨の訂正を番組内で放送するよう求めている。
申立人とCBCテレビは、委員会事務局の要請に応じて面会し、話し合いによる解決を模索したが、双方の主張は折り合わず、不調に終わった。
これを受けてCBCテレビは2018年1月30日付で「経緯と見解」書面を提出、「申立人が主張する『杉原千畝の手記とされる文書を、偽造文書と決め付けるような放送』は、行っていない。従って、申立人が求めている訂正を、放送する考えはない」と述べた。
同局は、八百津町が町内に設置した「杉原千畝生家跡」との看板を後に「実家跡」に書き換えたことをきっかけに取材を始め、番組は世界記憶遺産登録申請の「活動の根幹(根拠)となる『八百津町で出生』という通説が揺らいでいることを報じたもので、この“霧”を晴らすことが地元メディアの役割であり、真っ当な世界遺産登録への道と考えた。正確性、真正性が厳格に問われるユネスコの審査に、疑義を残したままで大丈夫なのか。登録申請者である八百津町の姿勢に警鐘を鳴らすとともに、世界に胸を張って杉原千畝の業績の顕彰を進めるため、この機会に、地元や研究者の間にくすぶる千畝の出生地の疑問、及びその根拠を再検証する必要があると考え、一連の報道を行った」と説明した。
また「一連の取材でキーになったのが、千畝の子どもで唯一存命の伸生氏(四男・ベルギー在住)へのインタビューと、彼が入手した千畝の戸籍謄本などの一次資料」とし、出生地に関する手記の書き直しが、伸生氏が指摘するように別人によるものかその可能性を探るため「利害関係のない専門家」に筆跡鑑定を依頼したところ、「下書き原稿の出生地書き直しは、千畝とは別人の筆跡である可能性が高い。」という結果が出たと指摘。ただ、「筆跡鑑定は絶対ではなく、あくまで判断材料の一つ」として、「放送は、手記が真正か、偽造されたものかという判断には踏み込んではいない。但し、下書き原稿の出生地の書き直しに限っては、筆跡鑑定の結果を含めた総合的な判断として、不自然さが残ることを指摘した。申立人が指摘する『手記は偽造文書だ』という旨の放送は、行っていない。また、申立人が指摘する『杉原まどか氏および平岡洋氏が手記を偽造したという印象』を、この放送を視聴された一般の方が抱くとは思えない」と主張した。

委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らし、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。
次回委員会より実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2017年5月16日

「沖縄の基地反対運動特集に対する申立て」審理入り決定

放送人権委員会は5月16日の第247回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。
対象となった番組は、東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)が本年1月2日と9日に放送した情報バラエティー番組『ニュース女子』。2日の番組では、沖縄県東村高江地区の米軍ヘリパッド建設反対運動を特集し、「軍事ジャーナリスト」が現地で取材したVTRを放送するとともに、スタジオで出演者によるトークを展開し、翌週9日の同番組の冒頭、この特集に対するネット上の反響等について出演者が議論した。
この特集に対し、番組内で取り上げられた人権団体「のりこえねっと」の共同代表の辛淑玉氏が、「事実と異なる虚偽情報」と在日韓国人である同氏に対する「人種差別発言」により名誉を毀損された等とする抗議文(1月20日付)を同局に送付した。
その後辛氏は1月27日付で申立書を委員会に提出。「本番組はヘリパッド建設に反対する人たちを誹謗中傷するものであり、その前提となる事実が虚偽のものであることが明らか」としたうえで、番組内では、「のりこえねっと」の団体名を挙げるとともに申立人について、あたかも「テロリストの黒幕」等として基地反対運動に資金を供与しているかのような情報を摘示し、また申立人が外国人であることがことさら強調され、不法な行為をする「韓国人」の一部であるかのような人種差別を扇動するものであり、申立人の「名誉を毀損する内容である」と訴え、TOKYO MXに対し同番組での訂正放送と謝罪、第三者機関による検証と報道番組での結果報告、再発防止策の公表と実行、人権、差別問題に関する社内研修の確立等を求めた。
また申立書は、「虚偽を事実であるかのように放送したこと」、「まともに取材していないこと」、「極めて偏向した内容であること」という放送内容は、「もはや放送倫理云々のレベルですらなく、明確に放送法4条各号違反である」と主張した。
さらに1月9日の放送については、改めて申立人もしくは「のりこえねっと」に取材することなく、前週放送の「虚偽報道を糊塗するような放送がなされた」としている。
申立人とTOKYO MXは、委員会事務局の要請に応じて代理人同士が話し合いによる解決を模索したが、不調に終わり、申立人側から4月12日、改めて委員会の審理を要望する意思が事務局に伝えられた。
これを受けて同局は4月27日、本件申立てに関する「経緯と見解」書面を委員会に提出。その中で、「本番組は、沖縄県東村高江区のヘリパッド建設反対運動が、過激な活動によって地元の住民の生活に大きな支障を生じさせている現状等、沖縄基地問題において、これまで他のメディアで紹介されることが少なかった『声』を現地に赴いて取材し、伝えるという意図で企画されたものであると承知している」と放送の趣旨を説明し、放送内容は「申立人が主張する内容を摘示するものでも、申立人の社会的評価を低下させるものでなく、申立人が主張する名誉毀損は成立しないものと考える」と反論した。
同局は、申立人が「黒幕」として「テロリスト」に資金を供与しているかのような情報を番組が摘示したと主張していることについて、「申立人が具体的に本件番組のどの表現を捉えてこのような主張をしているのか、不明であると言わざるを得ない。当社としては、本件放送はそのような内容を含むものではないと考えている」と述べ、また「申立人が問題視している『テロリスト』等の表現は、高江でヘリパッドの建設反対運動には、一部強硬な手段がとられていることを伝える中で比喩として用いられているものであり、申立人について述べたものではないため、本件申立ての争点である申立人の名誉毀損の成否とは直接の関係がないといえる」と主張した。
このほかTOKYO MXは、申立人が放送内容が事実に反すると主張している点について、「当社として調査、確認した結果、本件番組内で使用された映像・画像の出典根拠は明確であり、本件番組内で伝えられた事象は、番組スタッフによる取材、各新聞社等による記事等の合理的根拠に基づく説明であって、本件放送に係る事実関係において、捏造や虚偽があったとは認められない」と反論した。
TOKYO MXによると、本件番組は自社制作番組とは異なり、番組分類上スポンサー側で制作を行い、電波料も別途支払われる持込番組に該当するため、クレジットが、「製作著作 DHCシアター」となっているが、「当社は、放送枠を販売する形式ではあるが、放送責任が当社にあることは承知している」と述べている。
尚、本番組については、BPO放送倫理検証委員会が2月10日の委員会で審議入りを決定している。

委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らし、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。
次回委員会より実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2016年11月15日

「浜名湖切断遺体事件報道に対する申立て」審理入り決定

放送人権委員会11月15日の第241回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。
対象となった番組は、テレビ静岡が本年7月14日に放送したニュース番組(全国ネット及びローカル)で、静岡県浜松市の浜名湖周辺で切断された遺体が発見された事件で「捜査本部が関係先の捜索を進めて、複数の車を押収し、事件との関連を調べている」等と放送した。
この放送に対し、同県在住の男性は同月16日テレビ静岡に電話し、自分は事件とは関係ないのに同社記者が勝手に私有地に入って撮影し、犯人であるかのように全国ネットで報道をした等と抗議した。
同氏はその後テレビ静岡と話し合いを続けたが不調に終わり、9月18日付で申立書を委員会に提出。同事件の捜査において、「実際には全く関係ないにもかかわらず、『浜名湖切断遺体 関係先を捜索 複数の車押収』と断定したテロップをつけ、記者が『捜査本部は遺体の状況から殺人事件と断定して捜査を進めています』と殺人事件に関わったかのように伝えながら、許可なく私の自宅前である私道で撮影した、捜査員が自宅に入る姿や、窓や干してあったプライバシーである布団一式を放送し、名誉や信頼を傷つけられた」として、放送法9条に基づく訂正放送、謝罪およびネット上に出ている画像の削除を求めた。
また申立人は、この日県警捜査員が同氏自宅を訪れたのは、申立人とは関係のない窃盗事件の証拠物である車を押収するためであり、「私の自宅である建物内は一切捜索されていない」と主張、そのうえで、「このニュースの映像だけを見れば、家宅捜索された印象を受け、いかにもこの家の主が犯人ではないかという印象を視聴者に与えてしまう。私は今回の件で仕事を辞めざるをえなくなった」と訴えている。
この申立てに対しテレビ静岡は11月2日、「経緯と見解」書面を委員会に提出し、「本件放送が『真実でない』ことを放送したものであるという申立人の主張には理由がなく、訂正放送の請求には応じかねる」と述べた。この中で、「当社取材陣は、信頼できる取材源より、浜名湖死体損壊・遺棄事件に関連して捜査の動きがある旨の情報を得て取材活動を行ったものであり、当日の取材の際にも取材陣は捜査員の応対から当日の捜索が浜名湖事件との関連でなされたものであることの確証を得たほか、さらに複数の取材源にも確認しており、この捜索が浜名湖事件に関連したものとしてなされたことは事実」であり、「本件放送は、その事件との関連で捜査がなされた場所という意味で本件住宅を『関係先』と指称しているもの。また本件放送では、申立人の氏名に言及するなど一切しておらず、『申立人が浜名湖の件の被疑者、若しくは事件にかかわった者』との放送は一切していない」と反論した。
さらに、「捜査機関の行為は手続き上も押収だけでなく『捜索』も行われたことは明らか。すなわち、捜査員が本件住宅内で確認を行い、本件住宅の駐車場で軽自動車を現認して差し押さえたことから、本件住宅で捜索活動が行われたことは間違いなく、したがって、『関係先とみられる住宅などを捜索』との報道は事実であり、虚偽ではあり得ない」と主張した。

委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らし、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。
次回委員会より実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2016年8月16日

「都知事関連報道に対する申立て」審理入り決定

放送人権委員会は8月16日の第238回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。
対象となった番組は、フジテレビが2016年5月22日に放送した情報番組『Mr.サンデー』で、舛添要一東京都知事(当時)の「政治資金私的流用疑惑」に関連して、舛添氏の資金管理団体が、ファミリー企業である舛添政治経済研究所に事務所家賃を支払っていた問題をテーマの一つとして取り上げた。番組は、同研究所の代表取締役で夫人の雅美氏を取材するため、同月20日朝、番組クルーを舛添氏の自宅兼事務所前に派遣し、雅美氏が「いくらなんでも失礼です」と発言した模様等を放送した。
この放送に対し、親権者である舛添夫妻は代理人を通じてフジテレビに5月25日付で書面を送り、未成年の長男と長女を執拗に撮影したことは肖像権の侵害に当たると主張、また雅美氏の発言を「作為的に編集、放送した」等と抗議した。これに対しフジテレビは6月2日、長男、長女への「執拗な撮影はしていない」、雅美氏の発言は「ノーカットで放送されており、作為的編集・放送はしていない」等とする回答書を舛添氏代理人に送付した。
これを受けて、雅美氏と二人の子供は6月22日付で人権侵害を訴える申立書を委員会に提出(要一氏、雅美氏は子供両名の法定代理人親権者)。本件放送は雅美氏が「視聴者から誤解を受けるよう仕向ける行為であり、視聴者をも欺く」作為的編集、放送だったとして、番組内での謝罪、作為的な編集と未成年者に対する撮影の中止、放送局としての姿勢の改革、再発防止のための抜本的な改善策の策定・公表を求めた。
申立書は、番組カメラマンが自宅前で長男を執拗に撮影したため、雅美氏が「子供を映さないでください」と何度も抗議したが、その部分は放送ではカットされ、その後、執拗な撮影に対し「いくらなんでも失礼です」と抗議しているにもかかわらず、「それが、視聴者にはわからないように、あたかも同社リポーターの家賃についての質問に答えているかのように、都合よく、カット編集されて、放映された」としている。
さらに二人の子供への撮影行為については、「1mくらいの至近距離からの、執拗な撮影行為により、未成年者である長男と長女は、衝撃を受けた。そのため、両名は、これがトラウマとなり、登校するために、家を出る際、恐怖感を感じ、時には、泣いて家に戻ることもある」と訴えている。
この申立てに対しフジテレビは8月9日、「経緯と見解」書面を委員会に提出、申立人が指摘している放送部分は、「家賃収入に関する女性ディレクター(申立書ではレポーターと記載)の質問から雅美氏の回答部分を一連の流れとしてノーカットで放送したもので、その際には、女性ディレクターの質問の音声の場所を動かすなどの加工も一切していない」として、「申立人が主張するような作為的編集、放送は一切ない」と反論。そのうえで、雅美氏の「いくらなんでも失礼です」という発言については、「早朝であること、アポイントメントを取っていないことなど雅美氏への我々の取材姿勢について『失礼』という発言につながったと理解していている」と述べた。
またフジテレビは自宅兼事務所周辺の取材の主な目的は雅美氏への質問にあり、「取材スタッフには長男、長女を撮影するという意図は全くなく、二人に対する執拗な撮影行為など一切行っていない」と主張。そのうえで、番組では長男、長女の映像は一切使用しないという判断をしたことから、「雅美氏が子供の取材について言及した一連の発言は、当然放送では使用しなかった」と主張した。
長男に関しては、「雅美氏を撮影していた際に、ごく短時間映り込んでしまったものにすぎず」、長女については、「雅美氏を撮影する意図で撮影を開始したところ、2階出入口から出てきたのが長女であったために即座に撮影を中止した」と反論した。
このほかフジテレビは、家賃問題など一連の疑惑において、「金の流れの鍵を握る重要なキーパーソンが雅美氏であり、単なる『家族』ではなく、政治資金の使い道についての説明責任がある立派な『当事者』で、雅美氏を取材することについては、『公共性公益性』が極めて高いと考えている」と、主張している。
委員会事務局は申立人と被申立人に対し、話し合いによる解決を模索するよう要請したが、不調に終わり、申立人代理人から7月26日、改めて「委員会の判断を仰ぎたい」との申立人の意思が事務局に伝えられた。

委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らし、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。
次回委員会より実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2016年4月19日

「事件報道に対する地方公務員からの申立て」(熊本県民テレビ)審理入り決定

放送人権委員会は4月19日の第232回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。
対象となった番組は、熊本県民テレビ(KKT)が2015年11月19日に情報番組『テレビタミン』内で放送したローカルニュース『テレビタニュース』。番組では、熊本県内の地方公務員が同年7月、「酒に酔って意識が朦朧としていた知人の女性を自分の家に連れて行き、着ていたものを脱がせて全裸をデジタルカメラで撮影した」等として準強制わいせつ容疑で逮捕されたと放送した。
同公務員は12月8日、不起訴処分で釈放された後、熊本県民テレビに対し、逮捕から不起訴に至るまでの報道の有無とその内容に関する情報開示を請求するとともに、委員会に申立書を提出し、熊本県民テレビの事件報道は、「警察発表に色を付けて報道しており、視聴者からすると、あたかも無理やり酒を飲ませて酔わせた挙句、無理やり家に連れ込み、無理やり服を脱がせたうえで写真を撮ったかのように受け取られる」など事実と異なる内容で、またフェイスブックから無断で使用された顔写真や職場の内部まで放送されるという「完全なる極悪人のような報道内容」、「初期報道でレイプや殺人犯かのような扱い」により、深刻な人権侵害を受けたとして、謝罪文の提出、事実と異なる異常な報道であった旨の放送、インターネットに拡散している情報の削除を求めた。
申立人はその後熊本県民テレビに出向いて同局の放送内容を確認のうえで2016年2月22日に追加書面を委員会に提出、その中で(1)警察発表では「意識朦朧」といいう記載はないのに、なぜそのような表現になったのか。また無理やり家に引きずり込み、無理やり服を脱がせたかのように思わせる内容だが、そのような事実はない、(2)「意識が朦朧とした女性の服を脱がせ犯行に及んだ」という趣旨の放送もされており、薬か何かを用いているように思わせている、(3)「間違いありませんと容疑を認めている」と放送することにより、私は写真を撮ったという行為のみを認めているにもかかわらず、全てを認めているかのような報道内容、(4)所属していた職場のアップの映像が放送され、職場には絶対に戻ってこれないように社会的に抹殺してしまおうというモラルを欠いた映像の作り方になっている、(5)フェイスブックより写真が2枚使用されており、画面全体に長時間に渡り表示されていた、(6)スタジオでの男性司会者のコメントについて、有罪になった犯人でもないのに「卑劣な行為」と断言したことで、「コイツは犯人(刑法犯)」という思考にさせる。またそのような事実がないにもかかわらず、「薬物を使用した可能性がある」という点を強調している――などと主張した。
これに対し熊本県民テレビは4月8日、本件申立てに関する「経緯と見解」書面を委員会に提出。同書面の中で、「当社が報道した内容は、公務員が本人の承諾なく女性の裸体の写真を撮影したことによって準強制わいせつ容疑で逮捕されたというものであり、社会的に重大な事案であると考える。申立人の写真や職場の映像を使用したのは、容疑者がどのような人物なのか、どのような職務を行っていたのかを伝えるためで、これは国民の知る権利にこたえるためであり、手順等にも問題があるとは考えていない」と反論。
そのうえで、「今回の当社の報道は、正当な方法によって得た取材結果に基づいて客観的な立場からなされたものであり、申立人のいうような悪意的でモラルを欠いた報道内容であったとは考えていない」として、「当社の報道は、申立人の名誉、信用、プライバシー・肖像等の権利を不当に侵害する内容ではなく、これらに係る放送倫理に違反した内容でもなく、公平・公正を欠いた内容でもないことから、当社としては、申立人の貴委員会への主張は妥当性がないものと考える」と述べた。
さらに同局は、申立人が不起訴処分になったのが分かった12月9日、ニュースでその事実を放送し、「その際は匿名で申立人の人権にも十分配慮しており、名誉回復は果たしていると考える」と主張した。

委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らし、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。
次回委員会より実質審理に入る。
尚、委員会は、熊本県を中心に発生した地震に伴う甚大な被害に配慮しつつ本事案の審理を進めることを確認した。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2016年4月19日

「事件報道に対する地方公務員からの申立て」(テレビ熊本)審理入り決定

放送人権委員会は4月19日の第232回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。
対象となった番組は、テレビ熊本(TKU)が2015年11月19日に放送した『TKUみんなのニュース』と『TKUニュース』。番組では、熊本県内の地方公務員が同年7月、「酒を飲んで意識が朦朧としていた知人女性を自宅に連れ込み、デジカメで女性の裸を撮影した」等として準強制わいせつ容疑で逮捕されたと放送した。
同公務員は12月8日、不起訴処分で釈放された後、テレビ熊本に対し、逮捕から不起訴に至るまでの報道の有無とその内容に関する情報開示を請求するとともに、委員会に申立書を提出し、テレビ熊本の事件報道は、「警察発表に色を付けて報道しており、視聴者からすると、あたかも無理やり酒を飲ませて酔わせた挙句、無理やり家に連れ込み、無理やり服を脱がせたうえで写真を撮ったかのように受け取られる」など事実と異なる内容で、またフェイスブックから無断で使用された顔写真や職場の内部、自宅まで放送されるという「完全なる極悪人のような報道内容」、「初期報道でレイプや殺人犯かのような扱い」により、深刻な人権侵害を受けたとして、謝罪文の提出、事実と異なる異常な報道であった旨の放送、インターネットに拡散している情報の削除を求めた。
申立人はその後テレビ熊本に出向いて同局の放送内容を確認のうえで2016年2月22日に追加書面を委員会に提出、その中で(1)自宅前での記者リポートの結果、そこにいられなくなり引っ越した。社会的に抹殺しようという意図が疑われる、(2)「意識朦朧とした女性を連れ込み」という表現により、無理やり連れ込んだという意識を植え付けた、(3)「飲酒以外の影響、薬物の使用」の疑いを強調して「間違いなく」使っているだろうという意識を植え付ける内容、(4)フェイスブックより写真を2枚使用され、画面全体に長時間にわたり表示された、(5)「服を脱がせて裸にして裸を撮影した疑い」という、容疑内容以外のことも容疑内容として放送しており、容疑を認めたという報道により、そのすべてを認めていると誤認させる、(6)「現在の基準に照らしても懲戒免職に該当する」という首長のコメントを放送しているが、詳細を確認し「準強制わいせつということが明確になれば、懲戒免職に該当する」というコメントの一部を抜粋し、恣意的な報道により視聴者に「コイツは懲戒免職になってしかるべき」という印象を植え付けた、(7)2015年12月16日の同番組年末企画「くまもとこの1年」において、不起訴処分にもかかわらず、再度逮捕の報道を繰り返し、いたずらに名誉を傷つけられた――などと主張した。
これに対しテレビ熊本は3月28日、本件申立てに関する「経緯と見解」書面を委員会に提出。同書面の中で、「今回の事案は、現職の公務員が起こした準強制わいせつの事案であり、その社会的影響は極めて大きいものと考えて、これまでの他の事案に基づき、その上で取材を重ね、事実のみを報道した。その中には、思い込みや容疑者や被害者を陥れるような、また過剰な演出は全くなく、事実のみを伝えており、申立人が指摘するような事実は微塵もない」として、申立人に対する人権侵害は全くないと主張した。
同局はまた、放送は警察発表及び警察幹部への取材を基に行ったものであり、申立人が指摘した記者リポートについては「『犯行現場』でのリポートであり、これは通常の取材と照らし合わせても正当なもの」とする一方、フェイスブック等の写真は申立人の知人ら複数の人に本人確認したうえで使用しており、「著作権法上の報道引用の範囲であり、この事案の報道の主たるものではない」と指摘。さらに申立人が不起訴処分になった時点で申立人の氏名は「匿名」に切り替え、自治体の処分(懲戒免職)についても自治体側の記者会見を元に取材し報道したとしている。
このほか同局は、放送内容のホームページ上の掲載については、「アップされてから24時間で自動消去している。これはいたずらにネット上で拡散する事を防ぐ対応であり、他社と比較しても短いものであると考える」と述べている。

委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らし、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。
次回委員会より実質審理に入る。
尚、委員会は、熊本県を中心に発生した地震に伴う甚大な被害に配慮しつつ本事案の審理を進めることを確認した。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2016年1月19日

「世田谷一家殺害事件特番への申立て」審理入り決定

放送人権委員会は1月19日の第229回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。
対象となったのは、テレビ朝日が2014年12月28日に放送した年末特番『世紀の瞬間&未解決事件 日本の事件スペシャル「世田谷一家殺害事件」』。番組では、FBI(米連邦捜査局)の元捜査官(プロファイラー)マーク・サファリック氏が2000年12月に発生したいわゆる「世田谷一家殺害事件」の犯人像を探るため、被害者遺族の入江杏氏らと面談した模様等を放送した。入江氏は殺害された宮澤みきおさんの妻泰子さんの実姉で、事件当時隣に住んでいた。番組で元捜査官は、「当時20代半ばの日本人、宮澤家の顔見知り、メンタル面で問題を抱えている、強い怨恨を抱いている人物」との犯人像を導き出した。
この放送に対し入江氏は、番組の取材要請の仲介をした人物を介してテレビ朝日に対し、演出上の問題点などについて抗議。その後弁護士とともに7回にわたってテレビ朝日側と話し合いを行い、放送法第9条に基づく訂正放送・謝罪等を求めたが、テレビ朝日は「放送法による訂正放送、謝罪はできない」と拒否した。
このため入江氏は2015年12月14日、委員会に申立書を提出、「テレビ的技法(プーという規制音、ナレーション、画面右上枠テロップなど)を駆使した過剰な演出、恣意的な編集並びに(新聞の)ラジオ・テレビ欄の番組宣伝によって、あたかも申立人が元FBI捜査官の犯人像の見立てに賛同したかの如き放送により、申立人の名誉、自己決定権等の権利侵害が行われた」として、放送による訂正、謝罪並びに責任ある者からの謝罪を求めた。
申立人はこの中で、実際の面談において申立人がサファリック氏の「強い怨恨を持つ顔見知り犯行説」を否定しているにもかかわらず、過剰な演出、恣意的な編集がなされ、「強い怨恨を持つ顔見知り犯行説」に賛同したかのように、事実と異なる報道、公正を欠く放送をされたと主張。また、実際の面談において申立人は犯人の特定につながる具体的な発言は一切していないにもかかわらず、音声を一部ピー音で伏せるなどの過剰な演出、恣意的な編集により、申立人が殺害された長男の発達障害に関連して犯人の特定につながる具体的な発言を行ったかのように、事実と異なる報道、公正を欠く放送をされたとして、「これらは、悲しみから再生された申立人の人格そのもの、真摯に築いてきた生き方、すなわち人格権としての名誉権、自己決定権を著しく毀損するもの」と訴えている。
さらに申立人は、テレビ朝日が新聞のラジオ・テレビ欄で「被害者実姉と独占対談」「○○を知らないか?『心当たりがある!』遺体現場を見た姉証言」と実際にはない発言を本件番組の目玉として番組宣伝を行ったのは、「放送倫理に著しく違反する」と述べている。
これに対しテレビ朝日は2016年1月14日、本件申立てに関する「経緯と見解」書面を委員会に提出し、申立人が指摘するような「恣意的な編集」や「過剰な演出」はないと認識しており、「放送法第9条による訂正・謝罪の必要はないと考えている」と主張した。
またテレビ朝日は、番組では「妹達には恨まれている節はなかったと感じる。経済的なトラブル、金銭トラブル、男女関係みたいなものなど一切無かったですから。」とサファリック氏の怨恨説を否定する申立人の発言をそのまま放送しており、申立人がサファリック氏の「強い怨恨を持つ顔見知り犯行説」に賛同したように見えるという申立人側の指摘は当たらないと反論。さらに、申立人が被害者長男の「発達障害に関連して犯人の特定につながる具体的発言を行ったかのように事実と異なる報道、公正を欠く放送をされた」と述べていることについては、事件現場が世田谷区上祖師谷であることなどの情報と合わせれば、視聴者による誤った推測で「具体的な場所」が「特定」される可能性があったためで、言葉を伏せたのはそのような誤解が起きないようにという配慮であり、「公正を欠く放送」には当たらないと考えていると主張している。
このほかテレビ朝日は、新聞のラジオ・テレビ欄で「『心当たりがある!』遺体現場を見た姉証言」との表記で番組宣伝等を行ったことに関しては、サファリック氏の「(規制音)へ行ったり、そのような接点は考えられますか?」という質問に対し、申立人が「考えられないでもないですね。」と回答した点を挙げ、番組ではこの発言を新聞ラ・テ欄や番組宣伝等に利用するのに際し、「字数制限の制約の中で表現する上での演出上許容範囲であると思料しており、ご指摘のような『放送倫理に著しく違反している』とは考えていない」としている。

委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らし、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。
次回委員会より実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2015年9月15日

「自転車事故企画に対する申立て」審理入り決定

放送人権委員会は9月15日の第224回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。
対象となったのは、フジテレビが本年2月17日にバラエティー番組『カスペ!「あなたの知るかもしれない世界6」』で放送した「わが子が自転車事故を起こしてしまったら」と題する企画コーナー。同コーナーでは冒頭、自転車との衝突事故で母親を亡くした東光宏氏が自転車事故の悲惨さを訴えるインタビューが実名で流れた後、「事実のみを集めたリアルストーリー」として、14歳の息子が自転車事故で小学生にケガをさせた家族の体験を描いた再現ドラマを放送した。再現ドラマは、この家族が「被害者」弁護士との示談交渉の末に1500万円の賠償金を払ったが、実はこの小学生は意図的にぶつかってきた「当たり屋」だったという結末だった。
この放送に対し、インタビューを受けた東氏が7月5日付で委員会に申立書を提出。「私に対する事前取材にあたって、このような当たり屋がドラマのメインとして登場することについて、全く説明がなかった」としたうえで、番組冒頭でコメントした申立人についても、「『実際に裁判で賠償金をせしめていることだし、どうせ高額な賠償金目当てで文句を言い続けているのだから、その点で当たり屋と似たようなものだ』との誤解を視聴者に与えかねない状況にあり、私の名誉ないし信用が害され、犯罪被害者としての尊厳が害された」と訴えた。
申立書はまた、「私のインタビュー映像が、交通犯罪被害者および遺族を愚弄し冒涜する低俗な番組の前ふりに利用された」と主張。1500万円の賠償金について、「交通犯罪の被害者が、あたかも非常識な高額の賠償金を請求しているかのような間違った印象を与えかねない」、「本件番組は勝手な推測に基づく虚偽放送に当たる」等として、放送内容の訂正報道と文書による謝罪および訂正・謝罪のホームページ掲載を求めている。
これを受けてフジテレビは7月24日、本件申立てに対する「経緯と見解」書面を委員会に提出し、申立人のインタビューはあくまで当該コーナーの導入部分で、「自転車事故の悲惨さを実例で示し、視聴者の問題意識を高めた上で再構成ドラマに入り込んでいくことを目的」に放送したと主張した。そのうえで、「ドラマは子供の起こした交通事故をテーマとするものであって、母親を自転車事故で亡くされた申立人の事案とは全く類似性がない。すなわち、再構成ドラマと申立人のインタビューの内容となった母親が被害者となった事件に関連性はなく、登場人物を含む設定の内容も類似性が全くない。『申立人があたかも当たり屋である』という受け取り方を視聴者がするとは全く考えていない。」として、番組による申立人の名誉・信用の侵害はないと述べている。
賠償金額については、「免許を必要とせず、手軽に利用できる自転車が時として甚大な被害を与え、利用者が重大な事故の加害者となり得る」ということを強く視聴者に印象付けるため慰謝料やケガの治療費、逸失利益等を加算して設定したもので、「非常識な」金額ではないと主張している。
またフジテレビは、申立人が「当たり屋」メインのドラマについて事前に説明が全くなかったとしていることについて、担当プロデューサーが申立人に台本の提供を申し入れたが、申立人がこれを断ったため、「結果として説明するタイミングを失った」と釈明している。

委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らし、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。
次回定例委員会より実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2015年8月18日

「STAP細胞報道に対する申立て」審理入り決定

放送人権委員会は8月18日の第223回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。
対象となったのは、NHKが2014年7月27日に『NHKスペシャル』で放送した特集「調査報告 STAP細胞 不正の深層」で、番組では英科学誌「ネイチャー」に掲載された小保方晴子氏、笹井芳樹氏、若山照彦氏らによるSTAP細胞に関する論文を検証した。
この放送に対し小保方氏は、本年7月10日付で番組による人権侵害、プライバシー侵害等を訴える申立書を委員会に提出。その中で本件番組がタイトルで「不正」と表現し、「何らの客観的証拠もないままに、申立人が理研(理化学研究所)内の若山研究室にあったES細胞を『盗み』、それを混入させた細胞を用いて実験を行っていたと断定的なイメージの下で作られたもので、極めて大きな人権侵害があった」と訴え、NHKに公式謝罪や検証作業の公表、再発防止体制づくりを求めた。
また申立書は、本件放送では論文に多数の画像やグラフが掲載されているが、「何らの科学的説明もないまま、『7割以上の不正』があったとする強いイメージを視聴者に与える番組構成は、強い意図をもって申立人らを断罪した」と主張。さらに番組が申立人の実験ノートの内容を放送したことについて、「本人に無断でその内容を放送した行為は、明白な著作権侵害行為であり、刑事罰にも該当する」と述べている。
このほか申立書は、(1)「申立人と共著者である笹井氏との間で交わされた電子メールの内容が、両者の同意もなく、完全に無断で公開されたことは完全にプライバシーの侵害であり、また、通信の秘密に対する侵害行為」、(2)申立人の理研からの帰途、番組取材班が「違法な暴力取材」を強行して申立人を負傷させた、(3)本件番組放送直後、論文共著者の笹井氏が自殺した。本件番組と自殺との関係性は不明だが、本件番組が引き金になったのではないかという報道もある。「本件番組による申立人らへの人権侵害を推定させる大きな重要事実と考える」――などと指摘、番組が「人権侵害の限りを尽くしたもの」と主張している。
これに対しNHKは8月5日委員会に提出した「経緯と見解」書面の中で、「本件番組は、申立人がES細胞を盗み出したなどと一切断定していない」としたうえで、「今回の番組は、世界的な関心を集めていた『STAP細胞はあるのか』という疑問に対し、2000ページ近くにおよぶ資料や100人を超える研究者、関係者の取材に基づき、客観的な事実を積み上げ、表現にも配慮しながら制作したものであって、申立人の人権を不当に侵害するようなものではない」と反論した。
また、理研の「研究論文に関する調査委員会」はその調査報告書の中で、「小保方氏が細胞増殖曲線実験とDNAメチル化解析において、データのねつ造という不正行為を行ったことを認定した」と端的に述べており、「このように、STAP論文における不正の存在は所与の事実であって、本件番組のタイトルを『調査報告 STAP細胞 不正の深層』とすることに、何らの問題もないと考える」としている。
NHKはさらに、「実際に、7割以上の画像やグラフについて専門家が疑義や不自然な点があると指摘した事実を紹介したに過ぎず、NHKの恣意的な評価が含まれている訳でもない」と指摘。申立人の実験ノートの内容を放送したことについては、「申立人が、実際にどのように実験を行っていたのかを記した実験ノートの内容は、本件番組において紹介することが極めて重要なものであり、著作権法41条に基づき、適法な行為と考える」と主張している。
そのうえでNHKは、(1)申立人と笹井氏の間の電子メールは、笹井氏が、申立人に対し、画像やグラフの作成に関して具体的な指示を出していたことを裏付けるものであり、申立人の実験ノートと同様に、本件番組において紹介することが極めて重要なもので、「違法なプライバシーの侵害にはあたらない」、(2)今回の申立人に対する直接取材は、報道機関として、可能な限り当事者を取材すべきとの考えから行ったもの。また取材場所も、パブリックスペースにおいてコメントを求めたものであり、直接取材を行ったこと自体は問題がなかったと考えている、(3)申立人が指摘するとおり、本件番組と笹井氏の自殺の関係は不明であり、本件の審理において考慮されるものではないと考える――などとして、本件番組は、「申立人の人権を不当に侵害するものではない」と述べている。

委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らし、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。
次回委員会より実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2015年6月16日

「ストーカー事件映像に対する申立て」審理入り決定

放送人権委員会は6月16日の第221回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。
対象となったのは、フジテレビが本年3月8日に放送したバラエティー番組『ニュースな晩餐会』。
番組では、地方都市の食品工場を舞台にしたストーカー事件とその背景にあったとされる社内イ
ジメ行為を取り上げ、ストーカー事件の被害者とのインタビューを中心に、取材協力者から提供
された映像や再現ドラマを合わせて編集したVTRを放送し、スタジオトークを展開した。
登場人物、地名等固有名詞はすべて仮名で、被害者の取材映像及び取材協力者から提供された加
害者らの映像にはマスキング・音声加工が施されていた。
この番組に対し、取材協力者から提供された映像でストーカー行為をしたとされた男性が5月1日、
番組による人権侵害を訴える申立書を委員会に提出。この中で、「放送上は全て仮名で特定でき
ないようになっていたが、会社の駐車場であることが会社の人間が見れば分かると思われ、また
車もボカシが薄く、自分が乗用している車種であることが容易にわかる内容」だったとするとと
もに「会社には40歳前後で中年太りなのは自分しかいなく自分と特定されてしまう。特定されて
しまった上に内容が事実と大きく異なる」として訂正を求めている。
また申立書は、「番組の放送前にこの事件の関係者と思われる人が具体的にわが社がテレビに取
り上げられ、従業員にストーキングしている人物が自分であるということを広められ、また犯罪
行為をしたということが関係会社にもばれてしまったので、会社には置いておけないということ
で退職せざるを得なくなった」と主張している。
これを受けてフジテレビは5月27日に委員会に提出した本申立てに対する「経緯と見解」書面の
中で、「本件番組は、特定の人物や事件について報道するものではなく、ストーカー被害という
問題についてあくまでも一例を伝えるという目的で、事実を再構成して伝える番組であり、場所
や被写体の撮影されている映像にはマスキングを施し、取材した音声データなどについては音声
を変更し、場所・個人の名前・職業内容などを変更したナレーションやテロップとする」など、
放送によって人物が特定されて第三者に認識されるものではなく、「従って、本件番組の放送に
より特定の人物の名誉が毀損された事実はなく、訂正放送等の必要はない」と主張している。
またフジテレビは、申立人の退職の原因について、「本件番組及びその放送自体ではなく、本件
番組で申立人所属の会社のことが放送される旨会社の内外で流布されたこと、及び申立人自身も
自認していると推察されるストーキング行為自体が起因している」と反論している。

委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らし、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。
次回委員会より実質審理に入る。

尚、本番組については、この会社の契約社員という女性から、再現ドラマ部分では自分が社内イジメの”首謀者”にされ、ストーカー行為をさせていたとみられる放送内容だったとして、名誉毀損を訴える申立書が委員会に提出され、5月の第220回委員会で審理入りすることが決まっている。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2015年5月19日

「出家詐欺報道に対する申立て」審理入り決定

放送人権委員会は5月19日の第220回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。
対象となったのは、NHKが2014年5月14日の報道番組『クローズアップ現代』で放送した特集「追跡"出家詐欺"~狙われる宗教法人~」。番組は、多重債務者を出家させて戸籍の下の名前を変えて別人に仕立て上げ、金融機関から多額のローンをだまし取る「出家詐欺」の実態を伝えたもので、出家を斡旋する「ブローカー」が出家により名前を変えることを考えていた「多重債務者」の相談を受けるシーンや、その二人のインタビューなどが放送された。二人とも匿名で、映像は肩から下のみ、または顔にボカシが施され、音声も加工されていた。
この放送に対し、番組内で「ブローカー」として紹介された男性が本年4月21日、番組による人権侵害、名誉・信用の毀損を訴える申立書を委員会に提出。その中で、「申立人はブローカーではなく、ブローカーをした経験もなく、自分がブローカーであると言ったこともない」としたうえで、「申立人には、手の形や手の動き、喋り方に特徴があり、申立人をよく知る人物からは映像中のブローカーが申立人であると簡単に特定できてしまうものであった」と述べた。その結果、2014年末頃から番組ホームページで番組の動画を閲覧した「父親や友人などからは、『お前ブローカーなんてやっているのか!』といった強い叱責がなされた」として、申立人がブローカーではなかったとする訂正放送を求めている。
さらに申立人は、撮影は「再現映像若しくは資料映像との認識で撮影に応じたもの。申立人は上記問題部分がそもそも放送されるのか、放送されるとして、いつ、どの番組で、どのように放送されるのか、といった点について全く説明を受けていない」と主張している。
これに対しNHKは5月14日に委員会に提出した本申立てに対する「経緯と見解」書面の中で、「十分な裏付けのないまま、番組で申立人を『ブローカー』と断定的に伝えたことは適切ではなかった」としながらも、「申立人は『われわれブローカー』と称するなど、ブローカーとして本件番組の取材に応じており、取材班も申立人がブローカーであると信じていた。申立人は、インタビューの中で、仲介する寺や住職の見つけ方、勧誘の仕方、多重債務者を説得する際の言葉の使い方を詳しく語るなど、ブローカーと信じるに足る要素が多くあった」と反論している。
NHKはまた、記者やディレクターが、取材の趣旨や放送予定も収録前に申立人に伝えていたとするとともに、「収録した映像と音声は申立人のプライバシーに配慮して厳重に加工した上で放送に使用しており、視聴者が申立人を特定することは極めて難しく、本件番組は、申立人の人権を侵害するものではない」と主張している。
委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らし、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。
次回委員会より実質審理に入る。
尚、申立書では、NHKが2014年4月25日に関西ローカルで放送した『かんさい熱視線』についても放送内容が類似しており、同様の問題点を指摘している。しかし、『クローズアップ現代』の動画が番組ホームページ上で2015年4月まで閲覧可能だったのに対し、『熱視線』は放送後ホームページでの閲覧は一切不可能だったため、運営規則第5条1.(4)の「原則として、放送のあった日から3か月以内に放送事業者に対し申し立てられ、かつ、1年以内に委員会に申し立てられたものとする」との要件を満たさないことから、『かんさい熱視線』は審理対象に含めないと判断した。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2015年5月19日

「ストーカー事件再現ドラマへの申立て」審理入り決定

放送人権委員会は5月19日の第220回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。
対象となったのは、フジテレビが本年3月8日に放送したバラエティー番組『ニュースな晩餐会』。
番組では、地方都市の食品工場を舞台にしたストーカー事件とその背景にあったとされる社内イ
ジメ行為を取り上げ、ストーカー事件の被害者とのインタビューを中心に、取材協力者から提供
された映像や再現ドラマを合わせて編集したVTRを放送し、スタジオトークを展開した。登場人
物、地名等固有名詞はすべて仮名で、被害者の取材映像及び取材協力者から提供された加害者ら
の映像にはマスキング・音声加工が施されていた。
この放送に対し、ある地方都市の食品工場で働く契約社員の女性が、放送された食品工場は自分
の職場で、再現ドラマでは自分が社内イジメの"首謀者"とされ、ストーカー行為をさせていたと
みられる放送内容で、名誉を毀損されたと訴える申立書を4月1日付で委員会に提出し、謝罪・訂
正と名誉の回復を求めた。
申立書によると、「取材は被害者の一方のみ、加害者の調査は一切していない」とされ、取材を
受けたとされる被害者らが放送前に、同社での事件が番組で放送されることを社内で言い回って
いたという。その結果、放送前にそれが会社内等に知れ渡り、その後の放送により申立人及び家
族が精神的ダメージを受けたと主張している。
これに対しフジテレビは4月27日、「経緯と見解」書面を委員会に提出し、「本件番組は、特定の
人物や事件について報道するものではなく、事実を再構成して伝える番組であり、取材した映像・
音声・内容を加工や変更を加えることで、本件番組の放送によって人物が特定されないよう配慮
しているから、相手方側の取材を行う必要性がない」と主張している。
そのうえで同社は、「本件番組を放送したことによって人物が特定されて第三者に認識されるもの
ではない。従って、本件番組の放送により特定の人物の名誉が毀損された事実はなく、訂正放送等
の必要はない。また、申立人が自らの名誉が毀損されたとする原因事実は、本件番組及びその放送
自体ではなく、本件番組で申立人所属の会社のことが放送される旨会社の中で流布されたことにあ
ると考えられ、本件番組の放送による人権侵害があったとは考えられない」と述べている。
委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らし、本件申立ては審理要件を満た
していると判断し、審理入りすることを決めた。
次回委員会より実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2014年12月16日

「大喜利・バラエティー番組への申立て」審理入り決定

放送人権委員会は12月16日の第215回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。
対象となったのは、フジテレビジョンが2014年5月24日に放送した大喜利・バラエティー番組『IPPONグランプリ』。番組では冒頭、「幻想音楽家 田村河内さんの隠し事を教えてください」という「お題」を出し、出演したお笑い芸人たちが次々に回答する模様を放送した。
この放送に対し、かつて「全聾の作曲家」として話題を呼び、その後楽曲が別人による代作だったことを認めて謝罪した佐村河内守氏が11月4日付で申立書を委員会に提出。お笑い芸人から、申立人の身体的特徴や生理的特徴(聴覚障害)および音楽的才能を揶揄する回答が出され、「一音楽家であったにすぎない申立人を『お笑いのネタ』として、一般視聴者を巻き込んで笑い物にするもので、申立人の名誉感情を侵害する侮辱に当たることが明らか」として、当該番組内での謝罪を求めた。
また申立書は「本件番組の内容は、一個人への侮辱にとどまらず、現代社会に蔓延する『児童・青少年に対する集団いじめ』を容認・助長するおそれがある点で、非常に重大な放送倫理上の問題点を含んでいる。特に、本件番組が申立人の心情はもちろんのこと、同じく聴覚その他の障害を背負って生活している多くの人々の心情をも踏みにじることになるのであり、非常に悪質である」と訴えた。
これに対しフジテレビは11月28日に「経緯と見解」書面を委員会に提出し、本件出題が申立人を想定したものであることを認めたうえで、「大喜利という回答者の知的な発想力を求めるコーナーの1つの出題として取り扱うこと自体が申立人を侮辱し、名誉感情を著しく侵害することなどあり得ない」と主張。また、「自らの楽曲として(髪型を含めた独自の装いを演出して)公表しながら、実際には第三者の創作による部分が極めて大きいものであったことに関して申立人が社会的に批判されることは、やむを得ないことであり、且つ、表現行為として許容(保障)されるべきである」と述べている。
さらに同局は、「児童・青少年への影響を問題視するのであれば、障害の程度を過剰に演出し、なおかつ、別人の作曲であるにもかかわらず自分自身の作曲として公表していたことこそ問題視されるべきである」と、申立人の主張に反論している。
委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らし、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。
次回委員会より実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2014年11月18日

「大阪府議からの申立て」(TBSラジオ)審理入り決定

放送人権委員会は11月18日の第214回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。
対象となった番組は、TBSラジオ&コミュニケーションズが2014年8月22日に放送した深夜トーク・バラエティー番組『JUNK おぎやはぎのメガネびいき』。番組では、お笑いタレント「おぎやはぎ」の矢作兼氏と小木博明氏がオープニングトークで、大阪維新の会(当時)の山本景・大阪府議会議員が無料アプリ「LINE(ライン)」で地元中学生らとトラブルになり、その経緯が多くのメディアにより伝えられる中で、テリー伊藤氏が日本テレビの情報番組『スッキリ!!』で「こいつキモイもん」と発言、それに対し山本府議が放送人権委員会に人権侵害を申立てた一連の事態について、矢作氏が小木氏に説明するという形でトークが展開された。
この放送について山本府議は9月8日、TBSラジオに対し「キモイという発言に侮辱されたと感じた」として番組内での謝罪を求めたが、同社は「社会事象についてのコメント」として、拒否した。
このため山本府議は同日、申立書を委員会に提出、その中で「思いついたことはキモイだね。完全に」、「キモイと思ったもんはキモイでいいんでしょ」等の発言は、「全人格を否定し、侮辱罪にあたる可能性が高く、精神的な苦痛を味わった」と訴えている。また、「インターネット上に『キモイ』という中傷の文言が溢れ、信用やイメージを著しく損なった」と主張している。
これに対しTBSラジオ&コミュ二ケーションズは11月10日、「経緯と見解」書面を委員会に提出、この中で「今回の放送は、大阪府議という公人である山本議員の行為及び、それに付随した一連の社会事象へのコメントが主眼であり、小木氏の『キモイ』という発言は、あくまで山本議員の不適切な行為に向けられている。同議員の人格に向けられたものではないし、ましてや全人格を否定する個人攻撃ではまったくありえない」として、侮辱罪にはあたらないと主張している。
同社はさらに、「公人の名誉権が過度に強調されることは、民主主義の基盤を揺るがすことにもつながりかねないという視点からも、今回の放送について謝罪放送やその他の方法による謝罪を行うことはできない」と述べている。
委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らし、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。
次回委員会より実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2014年11月18日

「大阪府議からの申立て」(日本テレビ)審理入り決定

放送人権委員会は11月18日の第214回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。
対象となったのは、日本テレビが2014年8月11日に放送した情報番組『スッキリ!!』。番組は、大阪維新の会(当時)の山本景・大阪府議会議員が無料通話アプリ「LINE(ライン)」で地元中学生らとトラブルになった問題を特集企画で取り上げ、山本府議本人のインタビューを含め、大阪府交野市の地元関係者らを取材し、それをまとめたVTRを放送するとともに、スタジオでコメンテーターが山本府議の言動についてコメントした。
この放送について山本府議は翌12日に日本テレビに対し、コメンテーターのテリー伊藤氏が「今ずっとVTR見てても、こいつキモイもん」と述べたことが人権侵害にあたると抗議し、番組内で謝罪、訂正するよう求めたが、日本テレビはこれを拒否した。
このため山本府議は同日、申立書を委員会に提出し、テリー伊藤氏の発言は「侮辱罪」にあたると訴え、改めて同氏による番組内での発言撤回と謝罪を求めた。申立書では、テリー伊藤氏のコメントにより、twitterやブログに多数の「キモイ」を含む誹謗中傷が寄せられ、精神的な負担が生じたほか、連日多数の電話が寄せられ、府議としての活動に支障が生じたと主張している。
これに対し日本テレビは11月5日に委員会に提出した「経緯と見解」書面の中で、「元々山本府議に対して『キモい』と感じたのは中学生であり、そう感じさせた一連の行為を山本府議本人も不適切だと自認している中で、今回のテリー伊藤氏のコメントが侮辱罪にあたるという山本府議の主張には正直、当惑せざるを得ない」と述べた。また「当該コメントは視聴者に対して、公職にある山本府議の行為には大変、問題があり、中学生の気持ちはよくわかるという論評をなげかけたにすぎず、報道内容の公共性、報道目的の公益性に鑑みれば当然、違法性はない」と主張。さらに、「『スッキリ!!』の放送以前にすでに山本議員の不適切な行為は、テレビ・新聞各社で広く報道されており、本番組の放送が主たる原因となって、山本府議の社会的な名誉が低下したことはない」と述べている。
委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らし、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。
次回委員会より実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2014年10月21日

「謝罪会見報道に対する申立て」審理入り決定

放送人権委員会は10月21日開催の第213回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。
対象となったのは、TBSテレビが2014年3月9日に放送した情報・バラエティー番組『アッコにおまかせ!』。番組は、かつて「全聾の作曲家」として知られていた佐村河内守氏が楽曲の代作問題について謝罪する記者会見を取材し、その模様をまとめたVTRを放送するとともに、出演者によるスタジオトークを生放送で展開した。
この放送に対し、佐村河内氏は8月26日付で申立書を委員会に提出し、番組は「申立人の聴力に関して事実に反する放送を行ったものであり、それにより、申立人が聴覚障害者であるかのように装って記者会見に臨んだとの印象を与えたもので、申立人の名誉を著しく侵害するものであると共に、申立人と同程度の聴覚障害のハンディキャップを持つ者に対しても、社会生活上深刻な悪影響を与えた報道であった」と訴えた。申立書はまた、番組が特定の映像を意図的にカットして「悪意ある編集」を行い、「事実そのものを捻じ曲げて放送した上で、申立人の名誉権を侵害したことになり、本件は極めて重大かつ悪質な人権侵害」と主張している。
これに対してTBSテレビは9月30日付で委員会に提出した「見解」書面の中で、「当番組の放送内容は、放送された時点における重大な社会的関心事で、聴覚障害者に対する誤解や中傷も生んだ申立人の聴覚障害についての検証と論評」と放送の趣旨を説明。その上で「謝罪会見の綿密な取材と、診断書についての専門家の見解の上で制作しており、『悪意ある編集』などによって申立人に聴覚障害がないと断定したものでもない」として、申立人の名誉を傷付ける放送ではないと主張した。
委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らし、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。
次回委員会より実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2014年9月16日

『放送人権委員会 判断ガイド2014』を刊行

放送人権委員会が『放送人権委員会 判断ガイド2014』を刊行した。A5版、2色刷り、510ページで、4年前に刊行した『放送人権委員会 判断ガイド2010』を全面改訂した。これまでの「委員会決定」で示されたポイントや留意すべき点などを、企画・取材から制作、放送の過程に沿って列挙し、名誉毀損など人権侵害に関する解説や判断例も掲載している。また、仲介・斡旋解決事案や審理対象外とした申立て事例なども紹介し、委員会の判断と活動を網羅する内容となっている。
加盟社には配付したが、実費で頒布もしている(1冊 1000円)。
問い合わせ先はBPO総務[TEL]03-5212-7320

2014年9月16日

「散骨場計画報道への申立て」審理入り決定

放送人権委員会は9月16日の第212回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。
対象となった番組は、静岡放送(SBS)が本年6月11日に放送したローカルニュース番組『イブアイしずおか・ニュース』。番組は、静岡県熱海市で民間業者が進める「散骨場」建設計画について、民間業者の社長が市役所に計画の修正案を提出したうえで記者会見する模様を取材し、社長の映像を使用して放送した。
この放送に対し社長は、記者会見は熱海記者会との間で個人名と顔の映像は露出しない条件で応じたとして、熱海記者会の幹事に抗議した。一方、静岡放送は同社長に電話して「会ってお詫びしたい」と伝えたが、社長は話し合いには応じられない姿勢を示した。
その後社長は6月17日、本件放送による人権侵害・肖像権侵害を訴え、「謝罪と誠意ある対応」を求める申立書を委員会に提出した。申立書はまた、顔出し映像の放送は担当記者による「故意だと思われる」と主張している。
これに対し静岡放送は8月20日に委員会に提出した「経緯と見解」書面で、同社長と熱海記者会との間に「顔と個人名の露出は避ける」という約束があったことを認めたうえで、「故意によるものではなく、担当者の不注意・失念によるもの。業者社長にはお詫びの申し上げようもありません」と述べている。
委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らし、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。
次回委員会より実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を充たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2014年5月20日

「児童養護施設関連ドラマへの申立て」審理対象外と判断

放送人権委員会は5月20日の第209回委員会で、上記申立てについて、委員会運営規則第5条の苦情の取り扱い基準に照らして、審理対象外と判断した。

申立ての対象とされた放送は、A社の連続ドラマ第1話で、申立てはある病院の院長によるもの。番組中の児童養護施設入所中の子どもに対するあだ名の設定や同施設長が子どもたちをペットショップの犬と同等とみなすような発言等が、児童養護施設入所中の子ども、里子ないし同施設職員の名誉を傷つけるとの理由から、本番組の内容変更及びドラマ制作の経過についての説明を求めたもの。
当委員会は、本件申立ての審理入りの可否について慎重に検討したが、次のとおり、本件申立ては、運営規則第5条の苦情の取り扱い基準の各要件に該当しないものとして、審理対象外とすることとした。

  • (1)まず、運営規則第5条1.(1)は、「名誉、信用、プライバシー・肖像等の権利侵害、およびこれらに係る放送倫理違反に関するものを原則とする。」と規定している。
    この点について、本件申立ては、本番組の問題部分が、児童養護施設入所中の子ども、里子ないし同施設職員の名誉を侵害すると述べているが、個別具体的な子ども、里子ないし施設職員個人の特定がなされていないために、当該特定の対象者についての個別具体的な名誉侵害の有無を判断することができない。

  • (2)また、運営規則第5条1.(2)は、「公平・公正を欠いた放送により著しい不利益を被った者からの書面による申立てがあった場合は、委員会の判断で取り扱うことができる。」と規定している。
    この点に関して、本件申立ては、本番組の問題部分によって、児童養護施設の子どもが学校等で非人格的なあだ名等で呼称され、からかわれることを心配するとしており、本番組の問題部分に公平・公正を欠くために、これらの子どもが著しい不利益を被る旨、述べているものとも捉えられる。
    しかしながら、上記と同様、本件申立てにおいては、個別具体的な子どもが特定できず、著しい不利益の内容も明らかでないため、当委員会がその裁量で取り扱うべき事案であるか否かを判断することができない。

  • (3)さらに、運営規則第5条1.(6)は、「苦情を申し立てることができる者は、その放送により権利の侵害を受けた個人またはその直接の利害関係人を原則とする。」と規定している。
    この点に関して、申立人は、申立人が理事長・院長を務める病院の名誉その他の権利侵害等を、本件申立てによって主張するものではなく、児童養護施設入所中の子ども等の名誉等を問題とするものであるとの見解を明らかにしている。
    しかしながら、児童養護施設入所中の子ども等の特定がなされていないこととも相まって、当委員会は、当事者と第三者である申立人との直接の利害関係を認定することはできなかった。

以上のとおり、当委員会は、本件申立てについて、運営規則第5条の苦情の取り扱い基準の各要件に該当しないものとして本件申立てを審理対象外とした。

【委員会コメント】

放送倫理・番組向上機構[BPO]規約第4条2.は、「放送倫理検証委員会、放送と人権等権利に関する委員会および放送と青少年に関する委員会において、同一の放送番組を取り扱う場合、互いに連携して、必要な措置を講ずる」と規定している。この規定をふまえて、当委員会としても、これまで検討を重ねてきたので、下記のとおりコメントする。

現代社会の事象に対して問題提起する番組を制作することは、放送の自由の行使として、極めて意義のあることです。その一方で、青少年委員会委員長コメント("子どもが主人公のドラマ"に関する「委員長コメント」 2014年4月8日付)が指摘するとおり、そのような「番組内容の場合、その引き起こす社会的波紋に対する事前の配慮は、通常にも増して行う必要があったのではないか」という点において、今後さらに検証されるべきものであると考えます。
この点については、当該局自身「貴協議会から事前に児童養護施設を取り巻く環境などの実情を詳細に伺い、表現上留意すべき点などをより慎重に確認しておく必要があったと認識しております」(全国児童養護施設協議会に対する回答書 2014年2月4日付)と述べ、ドラマ制作の準備段階に問題があったことを認めています。
当委員会は、上記のような事項は単に当該局だけでなく、すべての放送局において共有され、今後十分に配慮されるべき点であると考えます。
当委員会は、苦情の取り扱いにおいて名誉、信用、プライバシー・肖像等の権利侵害、およびこれらに係る放送倫理違反に関するものを原則とし、公平・公正を欠いた放送により著しい不利益を被った者からの書面による申立てをも取り扱うことができるものではありますが、フィクションであるドラマの場合に、これらの取り扱い基準に該当することは、一般には容易なことではありません。しかし、社会的意義あるドラマが引き起こす波紋に対する事前の配慮は、人権侵害や放送倫理上の問題を生じさせないためにも必要であると考えるので、以上のとおりコメントするものです。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を充たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2013年4月16日

「宗教団体会員からの申立て」審理入り決定

放送人権委員会は4月16日の第196回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。
対象となった番組はテレビ東京が2012年12月30日に放送した『あの声が聞こえる~麻原回帰するオウム~』。番組は、オウム真理教の後継団体アレフが「麻原回帰」を鮮明にし、新たな信者獲得に動く中、なぜ多くの若者が入信するのかを主なテーマに、元最高幹部のインタビューや現役信者や家族らを取材した映像等を中心に放送した。
この放送に対し、番組で紹介された男性が、個人情報を公開されたうえ、「何の断りもなく、公道で盗撮された私の容貌・姿態を放送され、自宅アパートの所在・外観を特定可能なかたちで放送され、容易に判別可能な顔写真数枚を放送された」等と抗議する文書をテレビ東京に送ったうえで、20日以上回答がなかったため、プライバシーの侵害を訴える申立書を委員会に提出した。また男性はテレビ東京に対し、番組を制作、放送したことについて、非を認めて直接謝罪し、番組を二度と放送しないと誓約するよう求めた。
これに対しテレビ東京は、「番組はオウム真理教の後継団体アレフの現状を伝えることなどを目的とした公益にかなうもので、取材も両親などから承諾を得てすすめている」として、申立人の求めには応じかねると回答。このため男性は、「当事者間の解決は極めて困難だと思われる」として最終的に委員会の審理に委ねる文書を提出した。
テレビ東京はその後委員会に提出した「見解」書面で、「公安調査庁の観察処分の対象となっている団体の実態を明らかにするには、私たちのとった取材手法以外に方法はなかった。編集に際しては、男性の映像や音声、写真には加工を施すなど人権の保護に配慮して放送し、問題はないと判断している」等と、反論している。
委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取扱い基準)に照らし、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。
次回委員会より実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を充たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2012年12月19日

審理要請案件「大阪市長選関連報道への申立て」審理入り決定

放送人権委員会は12月18日の第192回委員会で、上記申立てについて審理入りを決めた。

対象となった番組は、朝日放送が本年2月6日に放送した『ABCニュース』(午前11時台)。2011年11月の大阪市長選挙において、市交通局の労働組合が友人・知人紹介カードの回収リストを作成し、その中で「現職の平松市長の支援に協力しなければ不利益があると職員を脅すよう」指示していた疑いが独自取材で明らかになったと報道した。大阪維新の会の市議会議員に持ち込まれた内部告発に基づくスクープ報道だったが、約1か月後、市当局の調査により、この回収リストが内部告発者自身による捏造だったことが判明した。
この報道に対し、団体としての大阪交通労組と組合員が連名で申し立てた。申立書において申立人は、「報道は組合が当該リストに関与していた疑いを不当に強調し、組合の社会的信用と名誉を大きく傷つけた。申立人組合員らも悪辣で反社会的な存在とされ、人格否定の罵詈雑言を受けた」等とし、朝日放送にどのような裏付け取材をしたのかを問うとともに謝罪と訂正放送を求めている。
これに対し朝日放送は、「当該回収リストは、大阪市政への調査権を持つ大阪維新の会の市議が、職員証による身元確認を経た内部告発者から入手したものだ。このリストの存在そのものが、国民の知る権利に応える高いニュース性を持つと判断し報道した。弊社同様、多くの報道機関が当日中に報じている。弊社はその後、リストが内部告発者による捏造だったと判明したこと等についても順次、報道している」等と反論している。
委員会では、双方から提出された文書と資料、及び番組同録DVD等をもとに検討した結果、本件団体からの申立ては委員会運営規則第5条1.(6)に該当し、要件を充たしているとして審理入りすることを決めた。
また、組合員個人からの申立てについても団体としての申立てを審理する一環で審理の対象に含めることとなった。

次回委員会以降、実質審理を行う。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を充たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2012年7月18日

「無許可スナック摘発報道への申立て」審理入り決定

放送人権委員会は7月17日の第185回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。
対象となった番組はテレビ神奈川の『 tvk NEWS 930 』で、神奈川県警が無許可営業のスナックを風営法違反で摘発した現場を取材し、本年4月11日に報道した。この報道に対し、スナックの女性経営者からプライバシーの侵害等を訴える申立書が提出された。
申立人は「軽微な罰金刑にもかかわらず、映像では私の顔をアップし、実名と年齢、店と自宅の住所まで放送したのは個人のプライバシーを公開し過ぎるものだ。また、放送から1か月もの間、ネット上で動画が再生できる環境にあったことも問題だ」とし、テレビ神奈川に謝罪放送等を求めている。
これに対しテレビ神奈川は、局の見解で「報道される側の基本的人権の尊重についても十分慎重に検討したが、警察発表事件の実名報道原則等に基づき、当人の顔のボカシは入れずに放送した。ネット上の動画ファイルについても放置はしていない」等と主張している。
委員会は、委員会運営規則第5条の規定に照らし、本件申立ては要件を充たしているとして審理に入ることを決めた。来月から実質審理を行う。

放送人権委員会の審理入りとは?

委員会は、「放送によって人権を侵害された」等と申し立てられた苦情が、審理要件(※)を充たしていると判断した時、「審理入り」します。
「審理入り」が、ただちに、申立ての対象となった番組に問題があるという判断を意味するものではありません。

(※審理入りに必要な要件については委員会運営規則第5条をご覧ください。)

2012年7月18日

『南三陸町津波被災遺族からの申立て』

本事案は、NHKが本年3月10日に放送した『NHKスペシャル「もっと高いところへ~高台移転 南三陸町の苦闘~」』について、津波の犠牲となった町の職員の遺族から、「放送に使われた写真で肉親の最期の姿を見て、大きな衝撃を受けた。写真を使うのであれば写っている全遺族の了承を取り、使用に際してはモザイクをかける等の配慮が必要ではないか」として、NHKに謝罪等を求めて申立てがあり、先月の委員会で審理入りが決定した。

その後、申立人とNHKとの間で話し合いが行われ、これを受け申立人から申立てを取り下げたいとする書面が、実質審理前の7月5日付で委員会に提出された。
7月17日の第185回委員会において申立ての取り下げを了承し、本事案の実質審理には入らないことを決めた。

放送人権委員会の審理入りとは?

委員会は、「放送によって人権を侵害された」等と申し立てられた苦情が、審理要件(※)を充たしていると判断した時、「審理入り」します。
「審理入り」が、ただちに、申立ての対象となった番組に問題があるという判断を意味するものではありません。

(※審理入りに必要な要件については委員会運営規則第5条をご覧ください。)

2012年12月5日

「大津いじめ事件報道に対する申立て」審理入り決定

BPOの放送人権委員会は、12月4日に開かれた第191回委員会において上記申立てについて審理入りすることを決めた。

番組は、フジテレビが本年7月5日と6日に放送した『スーパーニュース』。大津市の中学生いじめ事件で自殺した中学生の両親が、加害者とされる少年とその両親、及び大津市を相手に起こした損害賠償訴訟に触れ、2回目の口頭弁論を前に原告側準備書面の内容について報道した。その際、加害者とされる少年の実名部分にモザイク処理のされていない映像が放送され、少年の名前を読み取れる静止画がインターネット上に流出する事態となった。放送翌日、フジテレビは流出の事実を把握し、同日夕方の上記番組において「人権上の配慮に欠けた映像を使用した」とお詫びした。そして番組担当者らが少年と母親の代理人弁護士を訪ね、書面をもとに事実経過を説明するとともに謝罪した。しかし弁護士は世間の大きな注目を集める裁判の原告側準備書面であることや口頭弁論前の放送であったこと等を理由に、システムへの入力ミスから起きたとの説明には納得できず謝罪は受け入れられないと答えた。
その後、少年と母親を申立人とし放送によるプライバシーの侵害を訴える申立書が委員会に提出された。
申立人の主張に対してフジテレビは局の見解書面で、「人権への配慮に欠けた映像使用だった」としつつも、「氏名が放送された時間は極めて短時間であり、且つ、通常の方法では判読は不可能で、少年は特定されず、本件各放送はプライバシーの侵害には該当しない」と主張している。また、放送を録画した画像がネット上に流出したことで少年の実名が広まり誹謗中傷を加速させたという申立人の主張に対しては、「当社と全く関係のない第三者の行為の結果については、当該第三者が責任を負うべきと考える」としている。
委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らし、本件申立ては審理の要件を満たしているとして審理入りすることを決めた。
次回委員会より実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を充たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2012年6月22日

「南三陸町津波被災遺族からの申立て」審理入り決定

放送人権委員会は6月19日の第184回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。
対象となった番組は、NHKが本年3月10日に放送した『NHKスペシャル「もっと高いところへ~高台移転 南三陸町の苦闘~」』。昨年3月11日の東日本大震災の際、町の防災対策庁舎屋上に避難した人たちのうち42人が津波の犠牲となった宮城県南三陸町の事例を取り上げ、屋上での様子を撮った写真、町長や住民へのインタビュー取材等を交え、当時を振り返るとともに、町の高台移転の現状と難しさ、今後の課題について伝えた。
この放送に対し、番組内で使われた屋上での写真に顔と姿が写っていた職員の遺族から「肉親の最期の姿を見て大きな衝撃と苦痛を受けた、亡くなる直前の写真であれば全遺族の了解を得るか、得られなければモザイクをかける等の配慮が当然ではないか」として、NHKに謝罪等を求め、申立てがあったもの。
申立てに対しNHKは、「遺族に対しては、事前の説明も含め可能なかぎり配慮したうえで放送した」等と局側の見解で述べている。
委員会は、委員会運営規則第5条の規定に照らし、本件申立ては要件を充たしているとして審理に入ることを決めた。
今後、委員会は、局側から改めて答弁書の提出を求め、来月から実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を充たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

2012年7月18日

「肺がん治療薬イレッサ報道への申立て」審理入り決定

放送人権委員会は7月17日の第185回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。

対象となった番組はフジテレビの『 ニュースJAPAN 』で、昨年10月5日と6日の2回、「イレッサの真実」と題し、肺がん治療と新薬をめぐる問題について、肺がん治療薬イレッサのケースを取り上げて報道した。

この報道に対し、番組で長期取材を受けた男性から人権侵害を訴える申立書が委員会宛て提出された。申立人は、「本報道はイレッサの危険性を過小評価し有効性を過剰に強調する偏頗な内容で、客観性、正確性、公正さに欠けている。また申立人の発言をその主義主張とは反する使われ方をされ、かつ取材の休憩中の撮影とその映像を放送されたことにより名誉とプライバシーを侵害された」等と主張し、フジテレビに謝罪と放送内容の訂正を求めている。

これに対し、フジテレビは「本番組は肺がん治療に関し様々な立場から多様な意見が存在することを伝えたもので、客観性、正確性、公正さに欠けるところはない。また、申立人に対する名誉、プライバシーの侵害もない」と、局の見解で全面的に反論している。

委員会は、委員会運営規則第5条の規定に照らし、本件申立ては要件を充たしているとして審理に入ることを決めた。来月から実質審理を行う。

放送人権委員会の審理入りとは?

委員会は、「放送によって人権を侵害された」等と申し立てられた苦情が、審理要件(※)を充たしていると判断した時、「審理入り」します。
「審理入り」が、ただちに、申立ての対象となった番組に問題があるという判断を意味するものではありません。

(※審理入りに必要な要件については委員会運営規則第5条をご覧ください。)

2012年8月22日

「国家試験の元試験委員からの申立て」審理入り決定

放送人権委員会は8月21日の第186回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。
対象となった番組はTBSテレビの『報道特集』。本年2月25日に「国家資格の試験めぐり不平等が?疑念招いた1冊の書籍」と題した特集を放送、大学教授で社会福祉士試験委員会副委員長を務めていた申立人が、その著書で社会福祉士資格試験の過去問題を解説し、大学の授業でこれをテキストとして用い、期末試験でも社会福祉士の試験問題と同じ形式で出題していたこと、厚生労働省の調査を受け申立人が試験委員を辞任したこと等を報道した。
この報道に対し申立人は人権侵害を訴え、7月2日付で申立書を提出した。申立書では「本件番組は、申立人がいかにも国家試験の試験問題を漏洩したり、試験委員としての職責に背く行為をしたかのように視聴者に印象付け、その名誉と信用を著しく毀損した」とし、TBSに謝罪と放送の訂正等を求めている。
これに対しTBSは、「報道は、試験委員であった申立人の行為が国家試験の受験生に不公平感を醸成し、公正であるべき国家試験自体への不信の念を生じさせるのではないかと問いかけたものであり、問題漏洩等の疑惑については一切報道していない」と局の見解で反論している。
委員会は、委員会運営規則第5条の規定に照らし、本件申立ては要件を充たしているとして審理に入ることを決めた。
次回委員会以降、実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

委員会は、「放送によって人権を侵害された」等と申し立てられた苦情が、審理要件(※)を充たしていると判断した時、「審理入り」します。
「審理入り」が、ただちに、申立ての対象となった番組に問題があるという判断を意味するものではありません。

(※審理入りに必要な要件については委員会運営規則第5条をご覧ください。)