2017年度 解決事案

2017年度中に委員長の指示を仰ぎながら、委員会事務局が審理入りする前に申立人と被申立人双方に話し合いを要請し、話し合いの結果解決に至った「仲介・斡旋」のケースが6件あった。

「死後離婚特集に対する申立て」

A局が2017年6月に放送したバラエティー番組で、配偶者の死亡後に相手側との親族関係を解消する「死後離婚」を取り上げ、夫と死別した後、「姻族関係終了届」を役所に提出した女性にインタビュー取材したVTRを放送した。この放送に対し、この女性から、夫の死因や義母との関係等、背景を詳しく説明したにもかかわらず、放送では、「使いたい部分のみを編集し、身勝手な嫁と思わせるような取り上げ方をしていた」と、名誉毀損を訴える申立書を提出した。委員会事務局が話し合いによる解決を促したところ、A局側が申立人に面会して「配慮が足りなかった」等と謝罪、それを受けて取下書が提出され、解決した。

(放送2017年6月、解決同年8月)

「年末特番に対する申立て」

B局は2016年12月に放送した年末特番で、この年に県内で発生した「学校をめぐる問題」3件をフリップで示し、「いじめの疑い」がある事例として紹介した。この放送に対し、生徒の母親が特徴から自らの息子を指していることは明らかで、「いじめの疑いのある誤報道は、本人と家族の名誉を侵害した」と申し立てた。委員会事務局が話し合いによる解決を促したところ、双方の代理人が2回にわたり話し合いの場を持った結果、申立人は「これ以上アクションは起こさない」として取下げ書を提出し、解決した。

(放送2016年12月、解決2017年10月)

「在宅医療特集に対する申立て」

C局は2017年2月に放送した報道番組で、自宅で最期を迎えたいという人の間で広がる在宅医療を特集した。この放送に対し、難病で亡くなる直前の夫の痛々しい写真を全く無断で放送されたという女性が、「故人と家族のプライバシーの侵害」と主張する申立書を提出した。委員会事務局が話し合いによる解決を促したところ、同局に写真を提供した診療所職員を交えて3者で話し合った結果、診療所職員に「より問題があった」ことが分かったとして、申立書は取り下げられ、解決した。

(放送2017年2月、解決同年10月)

「深夜番組に対する申立て」

D局は2017年11月に放送した深夜バラエティー番組で、街頭で無許可で一般女性の顔を撮影したうえ、リポーターが身体的特徴を予想し、一方的な感想を述べる等の内容を放送した。この放送に対し、番組で取り上げられた女性が「勝手に撮影されたことで、私のプライドや人権が酷く侵害された」と申し立てた。委員会事務局が話し合いによる解決を促したところ、同局取締役らが申立人に会って、「弊社にすべての責任がある」等とする謝罪文を渡し、申立人の要望を聞いたうえで当該番組および翌日の夕方ニュースでお詫びのコメントを放送、さらに同じ内容のお詫び文を3か月間ホームページに掲載した。これを受けて取下げ書が提出され、解決した。

(放送2017年11月、解決2018年2月)

「産廃不法投棄報道への申立て」

E局は2015年11月に放送したローカルニュース番組で、廃棄物処理業者の担当役員が産廃不法投棄の容疑で逮捕されたと放送した。この放送に対し、同役員は不起訴処分となった後、委員会に申立書を提出、「断定的な表現・演出」と自宅マンションから逮捕、連行される映像を放送されたことで、プライバシーを侵害され、また会社が風評被害に苦しみ、申立人および家族が精神的痛手に苦しんでいる」と訴えた。委員会事務局の要請に応じて双方が話し合いに入り、申立人は放送されたニュース映像を確認したいとE局に要求したが、同局は放送法で保存が定められた3か月が過ぎたため、処分してしまったと拒否。その後、テロップ等が入っていない未編集の白素材が残っていたことが判明し、申立人が同社に出向いて視聴したものの、不完全な映像では放送内容が確認できず、納得できなかったとしながらも、会社の判断を優先して取下げ書を提出し、解決した。委員会では、局がニュース映像を処分してしまったとし、その結果未編集の素材しか確認できなかったことに申立人が納得できなかったのは「もっともだ」との意見が複数の委員から出された。

(放送2015年11月、解決2018年3月)

「税金滞納報道に対する申立て」

F局は2016年3月、ローカル情報番組で、地元市長の親族による多額の税金滞納について報道した。この放送に対し、その後退任した元市長が「申立人が市長として滞納を知った時期および滞納額が事実でなく、名誉、信用を大きく侵害され、放送翌月の市長選挙で得票数を激減させた」と委員会に申し立てた。委員会事務局が話し合いによる解決を促したところ、双方が代理人弁護士同席の下面談し、同局によると、「真実相当性がある」との点でほぼ一致したため、同局から申立人代理人に申立ての取り下げを求めるファックスを送付したものの回答がなく、その後も同局と事務局からの電話およびファックスによる再三の連絡にも返信がない状態が1年以上続いた。このため、委員会内規に照らし、申立人の明確な意思が確認できない状態が3か月以上続いたと判断、本件申立ては取り下げられたとみなし、委員会に報告した。

(放送2016年3月、解決2018年3月)

2016年度 解決事案

2016年度中に委員長の指示を仰ぎながら、委員会事務局が審理入りする前に申立人と被申立人双方に話し合いを要請し、話し合いの結果解決に至った「仲介・斡旋」のケースが6件あった。

「刺青師からの申立て」

A局が2015年10月に放送したバラエティー番組で、男性がタトゥーを入れる模様を再現したVTRを放送した。この放送に対し、刺青業を営む男性が、番組の取材協力の一環として刺青用機械一式を貸し出した際、インクや手術用手袋、マスクの着用等衛生面に配慮することを条件にしたにもかかわらず、一切無視され、「精神的人格権を侵害された」と委員会に申し立てた。委員会事務局が話し合いによる解決を促したところ、申立人と同局および制作会社側との間で約4か月におよぶ話し合いの結果、双方が合意に達し、本件申立ては取り下げられ、解決した。

(放送2015年10月、解決2016年4月)

「温暖化対策報道に対する申立て」

B局は2015年12月に放送した報道番組で、地球温暖化対策として注目されていたCO2の分離・回収・貯留技術についての特集を放送した。この放送に対し、番組でインタビュー取材を受けた大学教授が「私の主義・主張と異なる見解として発言の一部が使用され、著しく信用を損なった」と委員会に申し立てた。委員会事務局が話し合いによる解決を促したところ、約3か月におよぶ話し合いの結果、申立人の主張を盛り込んだ「続報」を同じ番組で放送することで合意し、申立書は取り下げられ、解決した。

(放送2015年12月、解決2016年5月)

「生活保護ビジネス企画に対する申立て」

C局は2015年11月に放送したニュース番組で、生活保護を食い物にするいわゆる「生活保護ビジネス」を取り上げた企画を放送した。この放送に対し、自らが生活保護受給者で、番組のためにインタビュー取材を受け、また薬物依存症で治療中のクリニックや宿泊所の隠し撮りをした男性から、本人も他の患者もモザイクが薄くて特定可能な映像で、プライバシーを侵害されたと委員会に申し立てた。申立人と局側は委員会事務局の要請を受けて4回にわたって話し合いを行ったが、合意に至らなかったため、いったんは4月の委員会で審理要請案件として審理入りするかどうかの検討に入った。ただ、その後事務局が双方に改めて話し合いを促したところ、話し合いが再開されて合意に至り、取下書が提出されて解決した。

(放送2015年11月、解決2016年6月)

「区議会議員からの申立て」

D局は2016年8月に放送した情報番組で、区議会議員が酒に酔ってタクシー運転手を殴り、ケガを負わせた容疑で逮捕され、「運転手が(右折の)指示に従わなかったため殴ってしまったと容疑を認めている」と報じた。この放送に対し、区議は、「運転手に幾度も小突かれたので殴ったのであり、全くの事実無根の放送により社会的評価が著しく低下した」と委員会に申し立てた。委員会事務局が話し合いによる解決を促したところ、約1か月におよぶ話し合いの結果、同局がユーチューブにアップされた動画を削除したことなどを申立人が評価して「権利侵害の問題が解決された」とする取下書が提出され、解決した。また、同区議は同様の内容の放送をしたE局に対しても申し立てたが、同じ理由で取り下げ、解決した。

(放送2016年8月、解決2016年12月)

「元反社会的勢力企画への申立て」

F局は2016年3月放送のニュース番組で、反社会的勢力の内幕を描いた企画を放送した。この放送に対し、番組でインタビューを受けた元関係者が、匿名で顔出しはしない約束でインタビュー取材に応じたが、放送ではモザイク処理も声の変更もなく放送され、肖像権を侵害されたうえ、「身体に危険が及ぶ事態になりかねない」等と委員会に申し立てた。委員会事務局が話し合いによる解決を促したところ、約2か月におよぶ話し合いの結果、双方が合意に至り、申立ては取り下げられ、解決した。

(放送2016年3月、解決2016年12月)

「元後援会長からの申立て」

G局は2016年10月に放送したバラエティー番組で、元力士で現在相撲部屋の親方が年下の歌手と結婚したことをきっかけに弟子が激減し、部屋が崩壊状態に陥ったことから、地元後援会長が辞任したなどと再現VTRを交えて放送した。この放送に対し、元後援会長は、再現VTRで後援会の「関係者」が親方の妻を激しく叱責した場面があったが、地元ではこの「関係者」は自分のことと受け止められ、一方的な取材による「真っ赤な嘘」の放送により名誉を毀損されたと委員会に申し立てた。委員会事務局が話し合いによる解決を促したところ、3か月近くにおよぶ話し合いの結果、双方が和解し、申立ては取り下げられ、解決した。

(放送2016年10月、解決2017年3月)

2015年度 解決事案

2015年度中に委員長の指示を仰ぎながら、委員会事務局が審理入りする前に申立人と被申立人双方に話し合いを要請し、話し合いの結果解決に至った「仲介・斡旋」のケースが3件あった。

「日本語碑文をめぐる申立て」

A局が2014年4月に放送した情報バラエティー番組で、リポーターがベルギー・アントワープにある「フランダースの犬の石碑」を訪れ、「とても残念なものがある」という触れ込みで、石碑の一部に日本語の碑文があることを「興ざめ」などと述べたため、その日本語の碑文を書いた人物が放送により名誉を著しく傷付けられたと申し立てた。委員会事務局が双方に話し合いによる解決を促したところ、同局から「放送後当該番組の再放送、ネット配信、DVD化はしていないし、今後もしない」と申立人の要求を受け入れる回答があり、それを事務局から申立人に伝えたところ、申立人は「誠意ある対応」と評価した。このため、申立人に取下げ書の提出をお願いしたが、その後申立人から全く連絡がなかったため、委員会内規に照らし、申立人の明確な意思が確認できない状態が3か月以上続いたと判断、本件申立ては取り下げられたとみなし、委員会に報告した。

(放送2014年4月 解決2015年8月)

「ハーグ条約適用報道に対する申立て」

B局が2014年8月に放送した報道番組で、「ハーグ条約」の適用を受けた子どものその後をめぐるニュース企画を放送した。この放送に対し、その子どもの父親が、同企画は母親側への取材のみに基づくもので、父親側には取材の申し入れは全くなく、その結果、事実誤認を含む報道により社会的評価を著しく傷付けられたと申し立てた。委員会事務局が双方に話し合いによる解決を促したところ、約3か月におよぶ話し合いの結果、申立人の主な主張を盛り込んだ「通知書」をB局がホームページに掲載、申立人はこれを了承して申立書を取り下げ、解決した。

(放送2014年8月 解決2105年8月)

「ホテル設計者からの申立て」

C局が2015年4月に放送した番組で、鉄道車両のデザインで知られる著名デザイナーが出演し、「(地方都市の有名)ホテルのデザインをした」と紹介した。この放送に対し、ある設計事務所社長が、同ホテルを設計したのは自分で、「代表作」として公言してきた立場が否定され、名誉と信用を毀損されたと申し立てた。事務局が双方に話し合いによる解決を促したところ、約3か月に及ぶ代理人間の話し合いの結果、双方が合意した文章を同局が番組ホームページに1か月間掲載した。これを受けて、事務局から申立人代理人に取下げ書の提出を依頼するため数回にわたり連絡したものの、全く返答がなかった。このため委員会内規に照らし、申立人の明確な意思が確認できない状態が3か月以上続いたと判断し、本件申立ては取り下げられたとみなし、委員会に報告した。

(放送2015年5月 解決2016年1月)

2014年度 解決事案

2014年度中に委員長の指示を仰ぎながら、委員会事務局が審理入りする前に申立人と被申立人双方に話し合いを要請し、話し合いの結果解決に至った「仲介・斡旋」のケースが6件あった。

「深夜ラジオ発言への申立て」

A局が2013年7月に放送した深夜ラジオ番組で、パーソナリティーが以前楽屋内で起きたとされる事件に元芸人が関わっていた可能性を示す発言をしたとして、元芸人が名誉毀損を訴え、「謝罪と放送内容の訂正」を求めて申し立てた。委員会事務局が申立人と同局に話し合いによる解決を要請したところ、双方がこれを受け入れ、申立人と同局およびパーソナリティーの所属事務所の代理人が8カ月におよぶ話し合いを行った結果、申立人が申立てを取り下げ、解決に至った。

(放送2012年1月9日 解決8月21日)

「ダンススタジオ閉鎖めぐる申立て」

B局が2014年1月に放送したバラエティー番組で、あるダンススタジオの閉鎖を取り上げたことに対し、スタジオのオーナーが「一方的な取材による嘘の放送」で名誉を傷つけられたとして、謝罪と訂正を求めて申し立てた。委員会事務局が双方に話し合いによる解決を要請したところ、半年以上におよぶ話し合いの末、同局が番組ホームページ上で放送が「正確さを欠いた」としてお詫びすることを提案、オーナーがこれを了承して申立てを取り下げ、解決に至った。

(放送2014年1月  解決9月)

「海外学校運営めぐる申立て」

海外で暮らす日本人の生活ぶりを紹介するC局のシリーズ番組(2014年3月放送)で、ある国で学校を経営する日本人が教員の給与等について「明らかな誤報によりイメージを傷つけられた」として、謝罪と訂正を求めて申し立てた。委員会事務局が一時帰国中の申立人と同局に話し合いによる解決を要請したところ、双方がこれを受け入れて3カ月以上にわたって主にメールによるやり取りをした結果、同局が番組ホームページ上および次回番組内(放送は不定期)で謝罪、訂正することを提案、申立人はこれを了承して申立てを取り下げ、解決した。

(放送2014年3月  解決7月)

「社会福祉施設めぐる申立て」

D局が2014年5月に放送したローカルニュース番組で、地元知的障害者施設の職員による入所者への暴行事件をめぐる裁判で、「日常的な虐待はなかった」との高等裁判所の判決内容を伝えたうえで、施設職員とされる2人のインタビューをもとに「日常的な虐待を認める職員もいました」と放送した。これに対し施設を運営する社会福祉法人とその理事長が、放送は裁判所の判断を否定するもので、人権侵害、名誉毀損、業務妨害にあたると申し立てた。その後D局は委員会事務局に対し、申立人と是非話し合いをしたいと仲介を依頼したため、事務局はこれを申立人の代理人に伝えたところ、申立人側もこれを受け入れ、双方の代理人同士が半年にわたる話し合いをした結果、申立人が申立てを取り下げ、解決に至った。

(放送2014年5月  解決12月)

「広報番組への申立て」

E局が2014年6月に放送した広報番組で、研修中の新人アナウンサーが「収賄の罪に問われた市議に有罪判決」というニュース原稿を読む練習の模様を放送した。この放送に対し、この市議(判決後失職)が、実名は出してないものの、市名を繰り返し読まれたため、地元ではすぐ自分と特定できるとして、「人権と生きる権利を著しく侵害された」と申し立てた。委員会事務局が双方に話し合いによる解決を促したところ、5カ月にわたる話し合いの末、同局が申立人に謝罪文と再発防止策を提示したことなどを受けて申立人が申立てを取り下げ、解決に至った。

(放送2014年6月  解決11月)

「政治倫理審査委員会めぐる申立て」

F局が2014年8月放送したローカルニュース番組で、自治体の公共事業談合に絡んで市議会の政治倫理審査委員会がある議員を審査する模様を伝えた。これに対しこの議員と家族は、「談合の賠償金回収のがれに加担?」などの一方的な表現で「マイナスイメージを植え付けられ、議員活動や選挙に支障を及ぼす」と申し立てた。申立てに対し同局は委員会事務局に対し、議員および家族と是非話し合いをしたいと仲介を依頼、申立人側にこれを伝えたところ、話し合いが実現し、その結果、申立人は「今後の活動予定等を勘案して」申立てを取り下げ、解決した。

(放送2014年8月  解決12月)

2012年度 解決事案

「ストローアート作家からの申立て」事案 審理入り後の和解合意により解決

本事案はフジテレビが1月9日(月・祝)の『情報プレゼンター とくダネ!』で放送した企画『ブーム発掘!エピソード・ゼロ(2) 身近なモノが…知られざる街の芸術家編』について、ストローアートの作家が申し立てたもの。
企画では、ストロー、バナナ、海苔、それに石を素材とした4作品を紹介した。申立人は、数本のストローで作った組作品のヤシを1本ずつに崩し、本来飲むためのものではないにもかかわらず、飲み物に挿して喫茶店の客に出し反応を撮影・放送したこと、出演者に4作品の人気投票をさせた上、キャスターが「石以外は芸術ではなく趣味の域だ」とコメントしたことについて、「過剰で誤った演出とキャスターコメントにより、独自の工夫と創作で育ててきたストローアートと私に対する間違ったイメージを視聴者に与え、私の活動と人権を侵害した」と主張した。
これに対し、フジテレビは「演出方法を明確に説明せず、申立人に不快な思いをさせたことは真摯に反省し申し訳ないと考えている」として、放送でのお詫び案を示しメールで交渉を重ねてきたが、決着しなかった。
5月の委員会で審理入りが決まり、6月の委員会で書面審理、7月の委員会では申立人とフジテレビにヒアリングを行い、詳しい話を聞いた。ヒアリングを受けて委員会は、フジテレビがお詫びの意思を表明し、申立人に対し数度にわたり謝罪案を提示してきた経緯等もあることから、双方に対して和解による解決を打診した。
これに対し双方とも和解に応じる意向を示したため、委員会が作業を進めた結果、フジテレビは放送で演出についてお詫びし、ホームページでは演出のお詫びとキャスター発言等について見解を表明する一方、申立人はこれを受け入れ委員会への申立てを取り下げるとした合意に至り、8月21日に和解合意書を取り交わした。
その後、フジテレビは、8月23日放送の当該番組内、及び、同日から7日間ホームページにおいて合意内容を履行した。
審理入り後の和解解決は3件目となる。

【委員会コメント】

本事案において、委員会が双方の主張を十分に聞いたうえで和解を斡旋し、申立人も納得する形で早期に解決できたことは、放送による被害者の救済という委員会の使命にもかなうものと考える。
局側は、自ら反省している点は今後の番組作りにおいてぜひ活かしていただきたい。

(放送2012年1月9日 解決8月21日)

2011年度 解決事案

「店の信用にかかわる映像使用をされた」との訴え

在京テレビ・キー局が2011年4月に放送した情報バラエテイー番組について、古美術店の経営者から、「『以前に撮影した店の外観映像を風景として使用したい』とのことで許可したのに、あたかも放送で取り上げられた古美術品を私の店で売ったかのように見える使われ方をされた。このため、お客さんからは『放送ではすごい価格だったのに、なぜあんなに安い値段で売ったのか』といわれ、信用問題になっている」として、テレビ局に対し、放送での「お詫び」を求めて抗議が行われた。
テレビ局は、「店の名前を明示しているわけではないのでホームページ上でのお詫び・訂正であれば可能だが、番組内で取り上げることはできない」と回答した。これに対し経営者はあくまでも番組での「お詫び」を求めたが、双方の話し合いは進展せず、経営者から放送人権委員会に訴えが寄せられた。
委員会事務局では、テレビ局に対し、経営者側の意向を伝えるとともに、局として再検討し話し合いを続けるよう要請した。
その結果、6月に入って番組責任者が直接経営者と会って話し合いを行い、外観映像の使用について番組内で説明を行う旨の提案をした。経営者はこれを了承、その後放送された「お詫び」を視聴した結果、最終的に納得し、本案件は解決した。
(放送2011年4月 解決7月)

2009年度 解決事案

「引ったくり事件の被害者が取材を拒否したのに実名報道された」と抗議

2009年5月24日、在阪の民放テレビ局が、ニュース番組の中で、引ったくり事件の被害者を実名で報道した。この放送内容について、被害にあった女性は、「事件後、取材に来た記者に対して”プライバシーに関することなので取材はお断りします”とはっきり言ったのに、ニュースで、実名、職業、年齢などのプライバシーが報道され、多大な精神的苦痛を受けた。犯人はなお、逃走中だ」と局に訴えた。
これに対し、当該局は、「取材拒否を実名報道拒否とは受け止めなかった。事件報道では実名報道が原則」と説明したが、女性は納得せず、局側の謝罪を求めて放送人権委員会に苦情を申し立ててきた。事務局では、当該局に対し、女性に納得してもらえるよう説明するなど話し合いでの解決を勧めた。
双方で話し合った結果、7月13日に当該局担当者が女性宅を訪ね、「お詫び」の文書を提出した。これにより問題は解決を見た。「お詫び」の内容は、(1)取材を拒否した被害者の真意を汲み取り、実名報道の適否についてより慎重に対応すべきだった。(2)今後は、被害者から匿名を希望された場合には、その理由と事件の重大性などを比較考量し判断していくなどというもの。
事務局からの問い合わせに対し、女性は、「プライバシーを侵された怒りは消えませんが、改善策を含めたお詫びがあったことを前向きに受け止め、これで解決とします」と述べている。

(2009年5月放送 7月解決)

「匿名を要求したのに実名放送された」との訴え

在京テレビ・キー局が2009年4月に放送した”介護保険”をめぐる報道番組で、取材された人(東京在住)から、「匿名を求めたのに実名が放送されたため、世間に知られたくなかった母親の病状が明るみに出てしまった」とテレビ局に抗議があった。
テレビ局は、「母親の映像を出さないことを了解した時点で、顔出し取材に応じ介護の実態を話してくれた長女の実名を出すことは、承認されたものと思って放送した」と釈明した。しかし長女は納得せず、謝罪と再放送の際は匿名にするよう求めた。
テレビ局は3日後に再放送を行ったが、その際、名前の部分を平仮名に変えただけで放送したため、長女はさらに憤慨し、誠意ある謝罪と、映像を再び使用しない約束を求め、放送人権委員会に訴えた。 放送人権委員会では、テレビ局に対し、被取材者を傷つける意図がなかったことや、その取材のあり方、放送のあり方について誠意を持って説明し、納得してもらうよう話し合いを勧めていた。この結果、9月に入って、テレビ局から相手方に対し下記の内容の文書が示され、長女もこれを納得、この事案は解決した。
文書で示された内容は、このような問題の再発防止のため、1)取材協力者に対し、撮影取材が始まる前に番組の趣旨を十分説明する。2)実名か匿名かの事前確認を徹底する。3)苦情に対しては取材担当者レベルでなく、速やかに責任者を集めて真摯に検討し、責任者が直接誠意を持って説明する。の3点となっている。また局は、番組の再放送に当たっては、取材協力者の了解なしには行わないことも約束した。

(放送2009年4月 解決9月)

「インタビューの編集により誤解を招いた」との訴え

在京テレビ・キー局が2009年6月、ニュース番組で放送した”地方空港の開港”をめぐるニュース特集で、取材を受けた地元企業の社長が、インタビューの肝心な部分が削除されたことにより、名誉を侵害されたとしてその回復を訴え、放送人権委員会に苦情を寄せた。
訴えの内容は、「国内線が決まっていないのは残念だ。しかし、国際線の乗り入れが決まっているので心配していない」とインタビューで答えたが、その前半部分だけ放送され、開港を期待している地元企業の仲間に対し、自分があたかも開港に悲観的な意見の持ち主のように放送され誤解を招いたというもので、当該局に対し、名誉回復措置をとるよう要望していた。
委員会では、当該局に対し、被取材者と誠意を持って話し合うよう勧めていたところ、9月末になって、報道局長名での「説明とお詫び」の文書を出すこととなり、話し合いで決着することになった。 この文書の中で当該局は、「被取材者の考えを十分に汲み取った放送をできなかったことを申し訳なく思っています」と述べている。

(放送2009年6月 解決9月)

「夫の死亡ニュースに際し、息子の名前をスーパーされた」との訴え

四国のテレビ局が2009年7月、ニュース番組で元参議院議員の死亡ニュースを報じた際、画面に息子(現職衆議院議員)の名前を40秒間スーパーで入れるというミスを犯し、4分後に同じ番組内で訂正・お詫びを放送した。
この放送について、死亡した議員の家族から、「訂正放送をすればそれで放送局の責任は免れるのか、葬式を前に悲嘆にくれている家族に多大な精神的ショックと混乱を与えておきながら何の説明もお詫びもない」との苦情が放送人権委員会に寄せられた。
委員会では、当事者に対する謝罪のあり方が問題とされているケースであることから、当該局に対して、まず家族に誠意を持って説明するなど当事者間での話し合いを勧めた。
その後、当該局が家族へ話し合いを申し入れたところ、対応の遅れなどの経過説明を求められたため、ミスの発生から訂正にいたるまでの経緯と「関係者への連絡が遅かったという批判を謙虚に受け止めたい」とのお詫びを記した文書を役員名で送付した。
これに対し、家族は丁寧な説明を受けたとして、この「説明・お詫び」を受けいれることにし、その旨当該局に伝えた。また、放送人権委員会堀野委員長宛てに手紙を寄せ、問題が解決したことを連絡するとともに、被害者の立場から「誤報の影響が予想される場合は少しでも早く当事者に連絡していただくことを放送局側に要望したい」と述べている。

(放送2009年7月 解決12月)

「旅館再生リポート・女将の訴え」事案  審理入り後の和解斡旋で解決

本事案は、2009年7月17日のフジテレビ『FNNスーパーニュース』の放送内容をめぐって、宮城県の温泉旅館の女将が申し立てたもの。
放送は、不況下での旅館の女将さんたちの奮闘ぶりを紹介したが、申立人は、放送内容は売り上げが伸びない旅館という負のイメージを視聴者に与え、温泉街も暗いシーンばかりが編集されるなど事実に反するものだったとして、謝罪などを求めた。これに対してフジテレビは「当番組はニュース・報道番組であり、取材に基く事実を伝えたものです」と主張した。
同年11月に審理入りし、2010年1月までヒアリングを含め3回の審理を行ったが、堀野委員長は本件事案は人権侵害を訴えるものでなく放送上の表現や編集の仕方が問題になっていた事案であることから、和解による解決が望ましいとして2月の委員会に提案し了承を得た。
委員会による和解斡旋の結果、2月18日にBPO会議室で委員長と申立人、フジテレビの責任者が出席して和解の手続きが取られた。フジテレビは、視聴者に誤解を与えかねない表現があったとしてお詫びし、今後取材先との信頼関係を大切にして報道に取り組むという内容の書面を申立人に手渡した。これを受けて申立人は委員会への申立てを取り下げ、双方が譲歩する形で本件は解決した。

審理入り後の委員会斡旋による和解解決は、2008年3月の「産廃不法投棄業者の隠し撮り報道」事案に次いで2件目である。

(放送2009年7月 解決2010年2月18日)

2008年度 解決事案

「離婚した妻の一方的主張を再現したバラエティー番組」に元夫が苦情

中国地方に住む男性から「全国ネットのバラエティー番組で、元妻の一方的な証言に基づいて、私の浮気が離婚の原因と決め付けた過去が紹介され、その場面の再現放送までされた」として、在京の民放局に訂正放送などを求める訴えが、放送人権委員会に寄せられた。
当委員会で、当該局に事実関係の確認と、男性との話合いを勧めたところ、数回の交渉で和解が成立し、5月の同番組(全国ネット)の最後でお詫び放送がなされ、また3日後には男性が住む県域のローカル局(全国ネット外)でも特別編成で同番組の放送が行われた。
当該局では、本件苦情の訴えを重視し、弁護士を交えて番組スタッフから調査を行い、離婚の原因についての説明が一方的だったことを確認し、再現VTRの使用は、男性の名誉を傷つけた恐れが多分にあることなどを認め、お詫び放送に踏み切ったもの。
なお、当該局では、上記の調査、お詫びの経緯等について、当委員会に報告書を提出し、その中で、今後の対応および再発防止策として、この放送内容について社内のさまざまなレベルで、研修、勉強会などを開き、反省の共有化、意識啓発を進めることになったとしている。

(2008年4月放送 6月解決)

アブラボウズを高級魚クエとして販売した疑惑追跡報道

在阪のテレビ局が、2007年暮のニュース番組内で、新たな食品疑惑として、高級魚クエと偽ってアブラボウズが販売されているという疑惑を追跡し、検証する企画報道を行った。
流通ルートから”偽クエ”の卸並びに小売をしている会社が突き止められ、社長(匿名)の取材に対する対応ぶりなどが放送された。
放送後、この社長が、「偽クエ疑惑の主犯格として扱われ、暴利を貪っているとの印象を視聴者に持たれた」と主張して、放送局に抗議したが、局側は、高級魚クエでも偽の表示で流通が行われていることを、一般の視聴者に注意喚起するための企画であると反論し、謝罪・訂正放送を拒否した。このような経過を経て、社長が2008年3月、放送人権委員会に苦情を訴えてきた。
放送人権委員会で、双方に更なる話し合いを求めたところ、「二度とこのニュースを取り上げないよう求める」という社長側の要求をめぐって決着が長引いたが、局側が「今後も、適正な報道を行ってまいります」との表現を盛り込んだ文書を出すことで話し合いがまとまり、放送以来半年ぶりに解決した。

(2007年12月放送 2008年6月解決)

「亡くなった家族を生きているように間違って放送された」と抗議

九州の民放テレビ局が、「スーパーマーケットの前で、じゃんけんで勝つと品物が安く買えるゲーム」(VTR撮影)を行い、夕方の情報番組内で放送した。(08年6月26日)
放送後、ゲームの参加者(申立人)から、「家族構成は祖父母、両親、子供4人」と字幕入りで放送されたため、取引先や知人から「祖父母は、まだ生きているのか」「前に香典をおくったが・・・」などと疑惑の目で見られたり、不審に思われたりして迷惑を受けたと、局に対し、訂正と謝罪をしてほしいとの抗議がなされた。
実際は、両親に子供6人の8人家族であったのを、取材者が聞き間違えたか、思い込みによって誤報となったもの。
抗議に対し、局側は電話で事実を間違えたことを詫びたが、謝罪文(申立人が知人に説明するため、局側が間違えたことを証明する文書)の提出を拒み、また、自宅へ謝罪に来てほしいとの要請についても断ったため、放送人権委員会への相談となった。
事務局からの事情聴取に対し、申立人は「訂正・謝罪は求めない」「慰謝料等も求めない」と述べていたこともあり、局に対し、誤報で迷惑を掛けたのは事実であり、電話だけでなく自宅に出向いて謝罪し誠意を示すのもひとつの解決法ではないかと勧めたところ、部長でもあるプロデュサーが申立人宅に出向き、お詫びした。申立人は「早い段階で誠意を見せてほしかった」と言いつつもこれを了承し、一転解決となった。申立人は、局が誠意を持って謝罪したことを評価し、謝罪文は要求しなかった。
放送から約1ヵ月後の7月に解決となったが、局側は「これまでの対応と今後の対策」を盛り込んだ説明・報告書を放送人権委員会委員長宛て送付、その中で「間違って放送したことは事実であり、直ちに訪問して謝罪すべきだった」と反省している。

(2008年6月放送 7月解決)

2007年度 解決事案

「ラジオ番組で誹謗中傷された」との元局アナからの苦情

以前放送局に所属していた元女性アナウンサーが「当該局のラジオ番組で、男性アナウンサーの嘘の発言によって誹謗中傷された」として「局の謝罪と発言したアナウンサー本人の反省のことば」などを求めて7月放送人権委員会に苦情を申立てた。
放送人権委員会事務局では、双方に対し「話し合いの余地があるのではないか」と交渉を続けるよう勧めていたところ、当該局より「話合いの結果、このほど全面的に解決した」との報告があった。
事務局で女性のブログを確認したところ、女性も「尊敬する方々から謝罪を頂き、(発言した)本人からも誠意ある言葉を貰ってすべて解決した」とブログに書いており、本件は、放送人権委員会の審理をまたず円満解決したものとして委員会に報告、了承された。

(2007年6月放送、2007年7月解決)

「松茸の産地偽装疑惑報道」への苦情

11月、某地方の松茸販売業者から「当店は、この地方でただ一店、産地表示して松茸を売っているのに、朝早くからアポイントもなく押しかけてきた記者に最初から結論ありきの態度で長時間取材され、中国・韓国産の松茸をあたかも当地方産と偽装して販売しているように報道された。局に抗議すると『間違った放送はしていない』の一点張りだった」と苦情を申立ててきた。
放送人権委員会事務局では、当該局に対し「申立人は、地元商工会や観光協会との関係を一番問題にしている」と伝えた。これを受けて局の番組責任者が申立人を訪れて話しあった。その結果、「産地偽装についてはそれぞれ言い分があったが、“アポなし長時間取材”等についてはお詫びした。申立人は当方の誠意を認めてくれて和解に応じ、解決書を取り交わした」との報告があった。
また申立人に確認すると「局の責任者が商工会・観光協会にも事情を説明してくれた。お陰で円満に解決することができた」ということであった。

(2007年11月放送  2007年12月解決)

「無理やりインタビュー・放送に抗議」

事務局から、仲介・斡旋解決事案として下記内容を委員会に報告し、了承を得た。
「取材を拒否したのに無理やりインタビューされた上放送(2008年2月21日)された。テレビ局に抗議し謝罪を求めたが誠意ある対応を示さない」と、宮城県在住の商店従業員が委員会に苦情を訴えてきた。
抗議の内容は、「2月にテレビ局から、深夜番組の恋愛応援企画コーナー(バレンタインデーに女性がチョコレートを渡すのを応援するもの)での取材要請があったが、はっきり断った。にもかかわらずテレビ局は女性と共に待ち伏せし、仕事を終えて店を出たところで無理やりインタビューされ、取材を断っている場面を放送された」というもの。
放送後の抗議に対し、テレビ局は「匿名、モザイクにしたので名誉毀損には当たらない」と釈明し、「迷惑をかけたとしたらすまない」との意向を示したが、商店従業員は「まったく誠意が感じられない対応だ」として、BRCへ訴えた。
BRC事務局では、「商店従業員は放送された人の気持ちを考慮した誠意ある謝罪を求めている」とテレビ局に伝え、話し合うよう要請していた。その結果商店従業員から、「2度の話し合いの末、このような取材の再発防止などをテレビ局が約束してくれたので了解した」との連絡を受けた。またテレビ局からも、同日「円満解決した」との報告があった。

(解決 2008年2月29日)

「産廃不法投棄業者の隠し撮り報道」委員会審理を経て仲介・斡旋解決

福島県いわき市の木材加工会社の社長が、隠し撮りの放送(2007年12月12日)により人権を侵害されたという申立てについて、133回委員会で、その社長と当該局・福島テレビの関係者から個別にヒアリングを行った。
この中で社長は、「産業廃棄物を自社の敷地に不法投棄していたことは事実で反省もしている。しかし隠しカメラで、雑談と思わせインタビューされ、これを逮捕当日のニュースに使われたのは納得できない」と申立てに至った理由を語った。その上で社長は、「地元の同業者は産業廃棄物の扱いに疎いところがあったが、今回の逮捕によって皆で研究していこうという機運も出ている」と語ると共に、BRCに申し立てし、このヒアリングに出て話が出来たことで、福島テレビに対する怒りの気持ちも、ずいぶん落ち着いてきたと率直に語った。
一方福島テレビ側は、「悪質な産廃不法投棄事件であるが、社長はインタビューに応じてくれなかった。しかも逮捕も間近であり、なぜ不法投棄を続けていたかを報道するためには隠し撮りもやむを得なかった。従って申立人への人権侵害などに当たるものではない」と主張した。しかし「隠し撮りの放送により社長が不愉快になった気持ちは十分理解できる。その気持ちも重く受け止め、こうした取材については今後も十分慎重に対応したい」という考えを明らかにした。
この考えの表明を受け、委員会で改めて申立人に聞いたところ、「相手の気持ちも分かったので、これ以上争う積もりはない」として苦情申立てを取り下げることとなった。

(解決 2008年3月18日)

2006年度 解決事案

「疑惑解明に後ろ向きと報道され名誉を傷つけられた」との苦情

9月、ある地方都市の保守系市議会議員が「地元局で放送されたニュース特集で、議員としての名誉を著しく傷つけられた。報道姿勢に問題があると思うので放送人権委員会で審理してもらいたい」と、前触れなく文書で要請してきた。
このニュース特集は、「福祉と利権の構造」をテーマにしたもので、市の特別養護老人ホームを巡る贈収賄事件を調査する百条委員会が「選定過程に問題はなかった」との結論を出したことを受け、市議会の不作為を糾弾する内容だった。
苦情を申立ててきた市議会議員は、「百条委員会で疑惑解明に後ろ向きの言動を取り続けたように描かれた」と主張していたが、当該局では「報じたことはすべて事実であり、また本人に直接取材を申し込んだが拒否された。報道機関としての対応は十分にしている」と反論していた。
放送人権委員会事務局では「名誉を傷つけられたとの主張に具体性がなく、また間違った事実関係が報道されていないので、放送人権委員会への審理要請案件としては無理がある」ことを議員に説明、再考をうながしていたところ、2週間後「事務局の指摘を考慮し、苦情申立を取り下げる」と伝えてきた。

(2006.10.5放送 06.11.10解決)

「説明された企画意図とは違い、虚偽の内容を含む形で放送された」との苦情

10月、東京の映画製作会社の代表から「製作した映画の紹介をするという企画意図だったので取材に応じたが、放送では監督個人のことに終始し、虚偽の内容を含む捏造としか思えないものもあった。取材に来たテレビ制作会社に抗議したが、何の回答もない」と強い抗議が寄せられた 当該局に問い合わせたところ、「すぐに社内調査する。事実関係がわかり次第報告する」ということであった。
映画は、在日コリアンである監督自身の家族を10年にわたって追い続けたものだが、映画製作者側が最も問題にしていたのは、監督と朝鮮総連が対立的にあるように扱われたことだという。
しかし10日後、映画製作会社の代表から「放送人権委員会の仲介で当該局の番組責任者とようやく会えて話し合うことができた。放送人権委員会から声をかけられて初めて局が動いたということになるが、相手の態度に誠意を感じたので穏便にことを納めようと思う」と伝えてきた。またその翌日、局からも「監督の在日コミュニティーの中での立場が悪くなったとするならば、申し訳ない」旨の当方の反省を理解してもらい、和解した」との報告があった。

(2006.10.27放送 06.12.20解決)

「不審死幼児の母親と間違って報道され、退職を余儀なくされた」との訴え

10月、秋田県大仙市の浅い農業用水で不審死した4歳男児の遠縁という若い女性から「葬儀の際に、男児の母親(後に殺人容疑で逮捕)と間違われて、泣いている顔を正面から写されテレビのニュースで放送された」と訴えてきた。さらに当該女性の母親から「番組では“31歳の子持ち”とコメントされたが、娘は20歳代で来年早々に結婚を控えている。娘は興奮し、仕事にもいけない状態だ」と、苦情を申し立ててきた。
局側からは「すぐに訂正し、担当責任者がお詫びに行き、詫び状を手渡した」との報告があったが、その後、女性は退職を余儀なくされたという。
しかし、12月はじめになって、本人の父親から「娘の病状はだいぶ回復した。当該局の番組責任者が3度も秋田に来られ、謝罪をされ、誠意を感じるようになった。いかがすべきだろうか」との相談があった。BRC事務局から「局の誠意を感じるのであれば、和解されてはどうか」と伝えたところ、まもなく局側から「無事、和解・解決した」との報告があった。

(2006.10.00放送 06.12.00解決)

2005年度 解決事案

「プライバシーを侵害された」との苦情

8月中旬に放送人権委員会事務局に寄せられた訴えの概要は「居酒屋を今も営む85才の義母の半生を描いて<世のお年寄りに勇気を与える>という趣旨を説明され、それに賛同して家族はドキュメンタリー番組の取材をOKしたのに、放送では本人の奮闘だけでなく、自分たち子供夫婦や孫たちの他人様には知られたくない事実も描かれた」というもので、家族の一人が苦情を訴えてきた。
申立人は、「謝罪と再放送中止の確約」を求めるとともに、「自分たちが映っているテープの引渡し」を強く要求していたが、放送人権委員会事務局では「報道機関として、放送局が取材テープを局外に出すことはない」と説明し、テープ引渡しにこだわらずに話し合いを続けるよう勧めた。
その結果、局側も誠実に対応し「再放送や二次利用での番組販売等を行なわない」、10月末に当該番組の中で「事実関係において一部誤解を生じさせる表現があった」とする旨の字幕スーパーを放送することで双方が合意し、事案は和解・解決した。

(2005.8.14放送 05.10.19解決)

2004年度 解決事案

「盲導犬の世話を巡り、名誉を傷つけられた」との苦情

沖縄県のペット美容室経営者(男性)から、「ラジオ番組で、取材にも来ずに、自分がリタイアした盲導犬の世話をしていることについて、『それを“目玉”にして商売している』といった趣旨で紹介・放送された。犬の世話はあくまで純粋ボランティアでやっているのであり、出演者のこの発言は、自分の名誉・信用を傷つけるものであった。出演者から真意を聞きたい」との苦情があった。
この苦情を当該放送局に連絡したところ、「番組では、この経営者の活動を美談として放送したもので、経営者を誹謗・中傷する内容ではない。放送の責任はすべて放送局にあり、出演者は出せない」との報告があったが、放送人権委員会担当調査役から「誠意を持って話し合いを続けてほしい」旨を要請。
その後、再度、双方による話し合いが行われ、同経営者から「当該局幹部と出演者本人が家に来て弁解した。納得できない部分もあるが、出演者本人が来てくれたこともあり、これで矛を収めようと思う。ご面倒をおかけした」と放送人権委員会担当調査役に連絡してきたため、当該局にも確認し、斡旋解決事案とした。

(2004.10.2放送、04.10.19解決)

「被虐待児ドキュメントで子どもを無断撮影」との母親からの苦情

2004年8月に山形県の女性から、「ドキュメンタリーの番組宣伝を見て、児童施設に預けている4歳の長男が被虐待児の一人として撮影されたことを知った。あわてて当該放送局に放送をやめるように求めたが、映像処理を少し施されて結局、放送されてしまった」との苦情があった。
当該局は、「学園長に企画意図を理解してもらった上で撮影許可を得た。当該児童は2カットしか映っていないが、苦情に応えてモザイクを大きくした。放送後は何も言ってきていない」としていたが、女性はその後も、放送人権委員会事務局に対し「納得できない」と不満を訴えてきていた。
放送人権委員会担当調査役から再度、当該局に問い合わせたところ、9月に入って、当該局幹部が申立人と直接面談し、改めて企画意図を説明して了解を求めた。これに対し女性は「学園長の許可だけで、親の許可なく撮影したことは問題だ」と重ねて主張したが、新たに具体的なことは何も求めなかったという。
当該局から「この話し合いの段階で一件落着したものと考えられる」との報告がある一方、その後数か月間、抗議がないことから、12月21日開催の放送人権委員会に諮った結果、委員会としても落着したと判断することにした。

(2004.08.16放送)

「ヘリコプター・オーナーから“名誉毀損”」との苦情

2004年10月に大阪府の男性から、「ヘリコプターのオーナーとして取材要請に応じたが、虚偽の内容を放送され、名誉・信用を毀損された」との苦情があった。
当該放送局は、番組を紹介するホームページの中で、内容を訂正する措置をとったが、男性は納得しなかった。
放送人権委員会事務局から双方に話し合いを要請したところ、再度の話し合いが行われ、その中で局側が、内容を修正した番組を男性の出身地などで放送することを提案し、男性もこれを了承、解決した。

(2004.10.2放送、04.10.19解決)

「強引な取材でキスを強要された」との苦情

2004年12月に愛知県の女性から、「駐車していたところ、2人組のお笑いタレントの一人が無断で乗り込んできて、無理やりキスしょうとした。しかも、この一部始終をテレビカメラに撮影された。局側に抗議したら、放送しないと答えたが、問題の本質がわかっていない。こんな取材・撮影は絶対許せない。」との苦情があった。
放送人権委員会事務局から双方に話し合いを要請した結果、再度の話し合いが行われ、局側から「取材の行き過ぎ」を認め、謝罪するとともに、問題となったコーナー企画を即時打ち切る事などを提示した。女性側も「局が誠実に対応してくれたので了解した。放送人権委員会に感謝する」ということで、解決した。

(2005.1.6解決)

2003年度 解決事案

「白装束集団とは無関係」との苦情

情報番組に対して、宗教法人「GLA」から苦情申立てがありました。内容は、「白装束集団に関して報道した際に、白装束集団の代表者がかつてGLAに所属していたなどと報道したが、そのような事実は全くない。GLAが白装束集団と根本において同一であるかのごとき印象を与えるのは、まことに迷惑であり、事実無根の報道に対して訂正・謝罪を求める」というものです。
これに対して当該局は、「放送中にGLAから訂正要求の電話があったが、事実に間違いはない」としています。双方に話し合いを求めた結果、当該局から、「GLAの広報担当者と話し合った結果、白装束集団の代表者が、過去にGLAにいたことが事実だとしても、現在は何の関係もなく、今後この問題を取り上げる際には十分注意することを約束し解決した」との連絡があり、事務局でGLA側にもこの旨を確認し解決しました。

(2003.05.03.放送、05.09解決)

「リフォーム番組で悪質業者の烙印」との苦情

岐阜県の建築業者から苦情申立てがありました。内容は、「悪質リフォーム業者の特集番組の中で、自分の父親がリフォームした家が『欠陥住宅』として取り上げられた。放送に当たって当方への取材は全くなく、相手方の主張だけで番組が作られてしまった。番組を放送した局に抗議したところ、制作したのは東京のキー局だと言われ、制作局に抗議したが、『欠陥住宅だから放送しただけ』との回答であった。この放送で父は「悪質業者」の烙印を押されてしまい、仕事にも支障をきたしている」というものでした。
当該局との話し合いがほとんど行われていないため、事務局から当該局に苦情の趣旨を伝え、対応を要請しました。
当該局プロデューサーが苦情申立人に、放送内容と放送意図をあらためて説明、遺憾の意を表明し、今後、当該番組で、同じ映像を使用しないなどで合意しました。

(2003.05.26放送、07.02解決)

「ドラマの台詞で、ショートステイを”姨捨山”に喩えた」との苦情

栃木県の男性(53)から苦情申立てがありました。内容は、「ドラマの台詞で、介護を受けている老人が刑事からアリバイを問われて、『おれは、ショートステイ(老人ホーム)という姨捨山にいた』という表現があったが、これは差別ではないか。当該局に抗議したが『問題ない』とのこと。なんとかならないものか」というものです。
事務局が当該局に苦情の趣旨などを伝えたところ、後日苦情申立人から、「担当プロデューサーとの話し合いで、その台詞の部分は事実上再放送しないなど納得できる回答があった」との連絡があり解決しました。

(2003.06.24放送、07.03解決)

「写真が無断で使用された」との苦情

大阪の男性からの苦情で、「6月に放送された、精神障害者の社会復帰を目指す番組の中で、仲間と一緒に私が写っている8年前の写真が断りもなく使われた。その後仲間とは、立場や考えが変わり、一緒の写真を使われて非常に迷惑している」というものです。
当方から、当該局に苦情の趣旨を記した文書送る一方、苦情申立て人の相談に応えて、放送局側との話し合いを勧めました。その結果、局側が、無断での写真使用を陳謝する謝罪文を出し、決着しました。

(2003.06.07放送、08.29解決)

「話の内容をねじ曲げられた」との苦情

神奈川の女性から、「情報番組のインタビューに応えて、娘とのトラブルを話したところ、話の内容を再現映像でねじ曲げて放送され、私自身も悪者扱いされた。放送での謝罪や訂正を求めたい」との苦情がありました。
当該局に「苦情連絡票」を送り、対応を求めた結果、番組担当者との話し合いで苦情を申し出ていた女性は、「怒りも収まった」ということで、決着しました。
今年度5件目の斡旋解決です。

(2003.10.23放送、11.11解決)

「一方的な取材で・ドクハラ・として放送された」との苦情

精神科医(苦情申立人の代理人)から報道番組への苦情で、「精神科医がドクター・ハラスメントで取り上げられた。患者からの一方的な取材によるもので、当該放送局に抗議をしたが、納得できる回答は得られていない」というもの。
上記代理人から、放送人権委員会に「斡旋」をお願いしたいとの申入れがあったので、当方が当該局にその旨「苦情連絡票」を送付。話し合いが2度ほど行われ、その結果「精神科医療特有の治療の難しさを理解するためにも、今後も懇談の機会を設ける」ことで双方合意した。

(2003.5.20放送、12.1解決)

「自分は欠陥住宅とは判断していない」との苦情

大阪の男性から情報番組への苦情で、「11月の初め、プロダクションのディレクターとの打ち合わせで、報道番組で欠陥住宅の論評をし、警鐘を鳴らしてもらいたいということだったので、番組に出演した。当該局の担当者は立ち会っておらず、当初の話と違うので、収録部分の削除などを要求したが、連絡もなくそのまま放送された。住宅の検査結果には法的なミスはなかったにもかかわらず、放送では欠陥まみれと言われ、私にも多数の電話があり迷惑している。当該局に抗議したところ、『時間的余裕がなく削除できなかった』というFaxが来た。訂正を求めたい」というもの。
当方が、当該局に話し合い解決を求めたところ、当該局のプロデューサーが、苦情申立人を訪ね(大阪)話し合い、「欠陥住宅」についての認識に差異があり、事前にその溝を埋めておくべきだったことを双方が確認、当該局が、今後、同様の企画の際に協力要請をすることを約束して解決しました。

(2003.12.1放送、04.2.12解決)

2002年度 解決事案

「娘を暴行被害者と誤認報道」母親からの苦情

「強盗傷害事件の被告に対する論告求刑(懲役12年)を伝えたニュースの中で、自分の娘が暴行事件の被害者であるかのように放送された。このような報道で、また、娘や家族が大きなショックを受けている」との苦情。
当該放送局は訂正放送を実施したが、母親の了解を得られず話し合いが続けられた。2002年6月になって、今後、被害者の立場、気持ちに最大限配慮した報道をすることを約束する合意書を交わし解決した。(山梨)

(2001.11.08 放送、2002.06.05 解決)

バラエティー番組出演者から 放送中止の訴え

「美容整形をテーマにしたバラエティー番組に、パニック症候群で通院している娘が出演することになったが、番組の予告を見て娘の病気への影響が心配になった。放送を中止してほしい」という両親からの訴えがあった。番組責任者と本人、両親が話し合った結果、放送局側が、本人や家族の気持ちを配慮して出演部分を全面的にカットすることを決め、解決した。(東京)

(2002.06.28 放送予定、06.26 解決)

「約束無視の放送」と情報番組に苦情

営業担当の会社員から「仕事を終えてからゲームセンターで遊んでいるところを撮影され、『顔は出さない』との約束を無視して放送された。自分は放送を見ていないが、得意先などで『放送に出ていた』などと言われ、仕事をサボって遊んでいるかのように受け取られ迷惑している」との苦情があった。本人が放送テープを確認したところ、本人が考えていたほどの明確な映像でなかったこと、局側が改めて迷惑をかけたことを謝罪する文書を出すことで解決した。(大阪)

(2002.04.26 放送、07.05 解決)

「不登校児ドキュメント」保護者からの苦情

「不登校になった小学校5年の娘が通っているフリースクールを取材したドキュメンタリー番組が放送された。スクール側は生徒の実名、顔などは出さないよう要求したが、放送では自分の娘だけが何の映像処理もされずに、悪いイメージで放送された。このため放送後、子供は登校しなくなってしまった」との苦情が保護者からあった。保護者と放送局の責任者が会い、局側が家族を傷つけたことを謝罪、今後、不登校問題を番組で継続的に取り上げて行くことを約束し解決した。(大阪)

(2002.05.31 放送、07.12 解決)

「レズビアンは怖い」発言でトーク番組に苦情

「男女のタレントが司会するトーク番組で、女性が”最近、私にレズ説があるの。女の子に誘われて行ったら、大変怖い思いをした”と発言、それを受けて男性が”怖いなー、そんな人おるで、この頃。ちょっと隠さなあかんのとちゃうの、あんなん”とレズを冒涜する発言をした」との苦情があった。当該局に連絡し対応を要請した結果、1月10日に当該局から、「性的マイノリティーの人権、心情に配慮が足りなかったことを認め、再放送に当たっては不適切な部分を削除することを約束し解決した」との報告があった。(大阪)

(2002.12.20 放送、2003.01.10 解決)

「バラエティー番組でプライバシーの侵害」との苦情

「6~7年前に19歳の息子が交通事故で死亡した。死んだ息子の恋人が、バラエティー番組の霊能企画に出演し、息子の写真、墓などの映像を映しながら、息子との関係、現在の気持ちなどを話した。この中で霊能者が『交通事故で死亡したのは親の愛情が足りなかったからだ』などと無責任なことを話した。この放送に妻が怒り、テレビ局に抗議した。放送に当たって放送局から何の連絡もなく家族のプライバシーが侵害された」との苦情があった。当該局に連絡し対応を要請した結果、2月5日に当該局から、「1月に同じ番組で謝罪放送を行い解決した」との連絡があった。

(2002.11.27 放送、2003.02.05 解決)

「トークバラエティー番組で名誉毀損」との苦情

「番組で作家募集をしていたので応募した。オーディションを受けて、自宅などを撮影された上で、11月28日に放送された。この放送はひどいもので、私の顔と部屋が映し出される中(3分)で、応募した短編の説明をしだすと、司会者らが”おたくだ””危ない”などと連呼し、自分を笑いものにした。当該テレビ局の担当者に会って抗議したが、司会者らの謝罪には応じられないということだった。作品を読んだ感想もなく、番組の中でただ袋叩きにされたようなもので、これは個人に対する中傷、侮辱であり人権侵害である」との苦情があった。
当該局に連絡し対応を要請、当事者間の話し合いが行われた結果、2月初めに当該局から「謝罪放送を実施し解決した」との連絡があった。(札幌)

(2002.11.27 放送、2003.02.05 解決)

「無断撮影・放送で名誉毀損」の苦情

昨年8月24日に放送された在阪テレビ局のバラエティー番組に対する大阪の主婦からの抗議は、今年3月に当該局が謝罪放送を実施し解決しました。
抗議の内容は「スーパーで買い物をして出てきたところを、女性アナウンサーに声をかけられたが、急いでいたので断った。このとき撮られた映像が、断りもなくバラエティー番組で放送され、『大阪のおばちゃんはこんなに怒っている』という音声とともに、アップにした顔に”怒りマーク”が付けられていた。放送局に抗議したところ、局は今年1月の検証番組で一方的に謝罪放送を行ったが、自分としては同じ番組での謝罪を要求しており納得できない」というものでした。
事務局から当該局に苦情の趣旨を伝え対応を要請した結果、この3月に当該番組で謝罪放送が行われ解決しました。今年度8件目の斡旋解決事案になりました。

(2002.08.24 放送、2003.03.25 解決)

2002年度仲介・斡旋解決事案

「娘を暴行被害者と誤認報道」母親からの苦情

「強盗傷害事件の被告に対する論告求刑(懲役12年)を伝えたニュースの中で、自分の娘が暴行事件の被害者であるかのように放送された。このような報道で、また、娘や家族が大きなショックを受けている」との苦情。
当該放送局は訂正放送を実施したが、母親の了解を得られず話し合いが続けられた。2002年6月になって、今後、被害者の立場、気持ちに最大限配慮した報道をすることを約束する合意書を交わし解決した。(山梨)

(2001.11.08 放送、2002.06.05 解決)

バラエティー番組出演者から 放送中止の訴え

「美容整形をテーマにしたバラエティー番組に、パニック症候群で通院している娘が出演することになったが、番組の予告を見て娘の病気への影響が心配になった。放送を中止してほしい」という両親からの訴えがあった。番組責任者と本人、両親が話し合った結果、放送局側が、本人や家族の気持ちを配慮して出演部分を全面的にカットすることを決め、解決した。(東京)

(2002.06.28 放送予定、06.26 解決)

「約束無視の放送」と情報番組に苦情

営業担当の会社員から「仕事を終えてからゲームセンターで遊んでいるところを撮影され、『顔は出さない』との約束を無視して放送された。自分は放送を見ていないが、得意先などで『放送に出ていた』などと言われ、仕事をサボって遊んでいるかのように受け取られ迷惑している」との苦情があった。本人が放送テープを確認したところ、本人が考えていたほどの明確な映像でなかったこと、局側が改めて迷惑をかけたことを謝罪する文書を出すことで解決した。(大阪)

(2002.04.26 放送、07.05 解決)

「不登校児ドキュメント」保護者からの苦情

「不登校になった小学校5年の娘が通っているフリースクールを取材したドキュメンタリー番組が放送された。スクール側は生徒の実名、顔などは出さないよう要求したが、放送では自分の娘だけが何の映像処理もされずに、悪いイメージで放送された。このため放送後、子供は登校しなくなってしまった」との苦情が保護者からあった。保護者と放送局の責任者が会い、局側が家族を傷つけたことを謝罪、今後、不登校問題を番組で継続的に取り上げて行くことを約束し解決した。(大阪)

(2002.05.31 放送、07.12 解決)

「レズビアンは怖い」発言でトーク番組に苦情

「男女のタレントが司会するトーク番組で、女性が”最近、私にレズ説があるの。女の子に誘われて行ったら、大変怖い思いをした”と発言、それを受けて男性が”怖いなー、そんな人おるで、この頃。ちょっと隠さなあかんのとちゃうの、あんなん”とレズを冒涜する発言をした」との苦情があった。当該局に連絡し対応を要請した結果、1月10日に当該局から、「性的マイノリティーの人権、心情に配慮が足りなかったことを認め、再放送に当たっては不適切な部分を削除することを約束し解決した」との報告があった。(大阪)

(2002.12.20 放送、2003.01.10 解決)

「バラエティー番組でプライバシーの侵害」との苦情

「6~7年前に19歳の息子が交通事故で死亡した。死んだ息子の恋人が、バラエティー番組の霊能企画に出演し、息子の写真、墓などの映像を映しながら、息子との関係、現在の気持ちなどを話した。この中で霊能者が『交通事故で死亡したのは親の愛情が足りなかったからだ』などと無責任なことを話した。この放送に妻が怒り、テレビ局に抗議した。放送に当たって放送局から何の連絡もなく家族のプライバシーが侵害された」との苦情があった。当該局に連絡し対応を要請した結果、2月5日に当該局から、「1月に同じ番組で謝罪放送を行い解決した」との連絡があった。

(2002.11.27 放送、2003.02.05 解決)

「トークバラエティー番組で名誉毀損」との苦情

「番組で作家募集をしていたので応募した。オーディションを受けて、自宅などを撮影された上で、11月28日に放送された。この放送はひどいもので、私の顔と部屋が映し出される中(3分)で、応募した短編の説明をしだすと、司会者らが”おたくだ””危ない”などと連呼し、自分を笑いものにした。当該テレビ局の担当者に会って抗議したが、司会者らの謝罪には応じられないということだった。作品を読んだ感想もなく、番組の中でただ袋叩きにされたようなもので、これは個人に対する中傷、侮辱であり人権侵害である」との苦情があった。
当該局に連絡し対応を要請、当事者間の話し合いが行われた結果、2月初めに当該局から「謝罪放送を実施し解決した」との連絡があった。(札幌)

(2002.11.27 放送、2003.02.05 解決)

「無断撮影・放送で名誉毀損」の苦情

昨年8月24日に放送された在阪テレビ局のバラエティー番組に対する大阪の主婦からの抗議は、今年3月に当該局が謝罪放送を実施し解決しました。
抗議の内容は「スーパーで買い物をして出てきたところを、女性アナウンサーに声をかけられたが、急いでいたので断った。このとき撮られた映像が、断りもなくバラエティー番組で放送され、『大阪のおばちゃんはこんなに怒っている』という音声とともに、アップにした顔に”怒りマーク”が付けられていた。放送局に抗議したところ、局は今年1月の検証番組で一方的に謝罪放送を行ったが、自分としては同じ番組での謝罪を要求しており納得できない」というものでした。
事務局から当該局に苦情の趣旨を伝え対応を要請した結果、この3月に当該番組で謝罪放送が行われ解決しました。今年度8件目の斡旋解決事案になりました。

(2002.08.24 放送、2003.03.25 解決)