休会

休会 – 2011年3月

休会

3月29日に予定されていた第121回青少年委員会は、東日本大震災の影響により中止した。また、3月20日に予定されていた中高生モニター会議も同様に中止した。

中高生モニターについて

3月は、1年間中高生モニターを体験して「今のテレビやラジオについて思ったこと、感じたこと」について29人から率直な感想が寄せられた。モニターの中には、「東日本大震災」で被災されたり、”帰宅難民”として一晩学校などで過ごされたりした方の体験談もあった。

【モニターの主な意見】

今回、寄せられたモニター報告には3つの特徴があった。1つは、他のモニターの意見を読んで、「テレビの見方にはさまざまあるのだと感じて勉強になった」というもの。
「1年間、モニターをして本当によかったと思います。テレビを見たりラジオを聴いたりするときも、一視聴者としてではなく、モニターとして見るようになりました。毎月のモニターリポートでは、自分の書いたリポートについて取り上げていただいたり、自分と同じ意見の人がいたりすること、また、自分とは異なる角度から見ている人のリポートなどを知ることができ、よかったと思います」。
「今まで何気なく見ていたアニメ、ドラマ、ニュース等が、もっともっと深く考えて見るようになりました。単純につまらないと思っていても、それを作るスタッフも、何十人、何百人といて、大変だったんだと思うようになりました。でも、視聴率のみで判断されるのは、どうかと思います。20%でも何となく見ているだけよりも、10%でも面白く見ている方が良いのでは?これからは、私たちがテレビ番組をジャッジすることになりますね」。
「最初はリポートを書くのが大変だったけれど、慣れてくると楽しかったです。毎回、自分が『これは面白い!』と感じたものが、他の人にしたらつまらなかったり、ましてや怒りまでも覚えたりする人がいることに驚きました。たった1つの番組でも、いろんな意見や、真逆な意見があることを知り、大変勉強になりました。また、プロの方に企画を見てもらえるなんて、夢のような事も経験できました。ふだんテレビ番組は食事など何かをしながら見たりして、どちらかというと時間をつぶすものという感じでしたが、モニター活動をしてみて、受ける一方の姿勢から、番組内容を吟味し作り手の想いについて深く考えるようになりました」。
「毎月のテーマの中で最も頭を抱えたのは、企画書作りであった。自由に番組を作れるというのは楽しくて仕方なかったが、幅広い年代の人に面白く見てもらえる番組を作るのはかなりの時間と努力と想像力が必要だった。番組制作者の苦労が少し分かったような気がした。毎月選ばれる『キラ★報告』のようなリポートを作ろうと、自分も目指してがんばったが、結局最後まで『キラ★』に選ばれずに終わってしまったことが心残りだ。しかし、こうやってリポートを作り続けることで国語の成績が上がったことは嬉しいことだった」。
「私は中学時代からドラマやアニメ、本などのオリジナル企画書を趣味で書いていて、20冊以上になっています。中には”パクリ”もありますが、こういうドラマを作りたい、こういうアニメを作りたい、こういうバラエティーを作りたいと考え、暇なときに書いていたら、もう20冊以上です。モニターを通して改めて表現の難しさや、いかに同年代の人が考えているのかなども分かってきました。今のテレビは、いかに視聴率を取るかの争いです。ですので中身がつまらないものになっていると感じます。”空振り”番組ばかりです。どうか、家族みんなで楽しめる良い番組を作っていってください」。
「私がモニターに応募する時に書いた番組は『めちゃ×2イケてるッ!』でした。書いた理由は、”めちゃイケらしさ”を追求するスタッフさん、キャストの皆さんが素晴らしいと思ったからです。いつも放送ギリギリのネタをする『めちゃイケ!』ですが、私は、”やらない”めちゃイケよりも、”やる”めちゃイケが好きなんです。これからも『めちゃイケ!』は教育委員会とかBPOもあまり気にせずに、”めちゃイケらしく”番組を作り続けてほしいと思います」。
「今まではテレビやラジオ放送をただ何となく見たり聴いたりしていましたが、モニターをさせていただいて自分から積極的にそこから何か情報や教養を得ようとする姿勢に変わっていったように思います。放送局に望むことは、視聴者に事実を正しく伝えてほしいということです。そして決して不快感を与えないでほしい。『この放送を見て聴いて良かった!』と思えるような番組を作っていただきたいです」。

もう1つの特徴は、「不快だと感じたことなどがあまり変わっていない」、「自分たちの意見がテレビ局に本当に届いているのか疑問」というもの。
「中高生モニターを体験させていただき、本当に貴重な経験をさせていただいたことを感謝しています。しかしながら、率直なことを言えばこのモニター報告で、僕たち中高生から指摘されたことが何にも生かされていないと感じました。毎月送られてくるリポートのまとめの委員の感想には、『意欲がよく読み取れました』や『想像力をたくましくして本物を見つけ出してほしい』などと書かれていますが、そのようなことだけでは具体的に何が変わるのか。また、僕たちの考えた番組企画をテレビ局の方に感想をいただいた中に、『中高生の率直な感想の鋭さに驚いた。改めてその指摘を生かせるようにしたい』という内容があったが、具体的に何がどんなことに生かされたのかが分からない」。
「とにかく中高生モニターをしてみて、コマーシャルが多すぎる…と思いました。部活・勉強の合い間に、モニターとしてテレビを見よう!となった時に、コマーシャルばかりだと嫌気が差して『今夜は見るのをやめておこう』と思うことが多々ありました。不況のあおり(?)なのか分かりませんが、どんどん番組にCMをはさむのではなく、フィギュアスケートの壁にあるようなスポンサー広告のように、動画じゃなくてもずっと貼っておくなど、方法はあると思うので、改善すべきだと思います!」。
「今のテレビは何かどの番組も同じ雰囲気になっている気がします。バラエティーでは、司会が島田紳助さんに独占され、大物タレントがゲストとして番組に出演すると、その人がうまくなくても、うまいみたいに持ち上げなければいけないという暗黙の了解があるように感じました。しかも紳助さんは自分がプロデュースしたグループを、他局の番組でも出させたり、自分がかわいがっているタレントを自分がMCの番組のレギュラーとしてたくさん登用したり…。若手でもっと面白い人がいるのではないでしょうか?こういうのをやめてほしいと思います。そうしないと、今のテレビ業界が進化しないと思います」。
「今のテレビやラジオは視聴率や聴取率のためだったら何でもやっていいという風潮だと思います。見ていると、『そんなことをして意味があるのか?』『危ないことをするんだな』と思っています。心の底から笑ったり、感動したりするというテレビ番組が少なくなっています。作り手の情熱が欠けているからでしょうか。この1年、中高生モニターをしたことは、僕のこれからのテレビを見るうえでの財産になります。放送局の皆さん、より良い番組をこれからも作り続けてください」。
「自分は意志疎通が下手で、自分の本当の思いを文章にうまくまとめることができず大変な時もありましたが、皆さんに感謝します。今のテレビやラジオについて思ったことは、アナウンサーは芸能人ではありません。勘違いしてチャラチャラしている方が多い。放送局に伝えたいことは、視聴者の声をしっかりと受け止めてほしい。視聴者センターのサービス向上をしてほしい」。
「最近、学校でテレビの話題で問題視されるのは『政治』についてです。テレビは政治と国民をつなぐにあたってかなり大きな役割を果たしており、同時にかなり大きな影響力を持っています。与党と野党の”あげあし取り”が続き、重要な国事がおざなりにされつつある今、テレビ業界まで与野党の”あげあし取り”を面白がってしまっては、国民の政治不信を煽るだけで、現在政治が行われる上で重要なことは何なのかを国民が考えることなく、ただ与党の支持率が下降して解散して…を繰り返すだけだと思います。私は現在の日本は政治家も国民も政治を甘く考えすぎていると思います。テレビはその他のメディアがそのような負の風潮に流されることなく、適切な報道をしていってほしいと思います」。
「新聞に載っていたモニター募集の広告を母に見せられ、『大嫌いなテレビとやらに文句言ってやろう!』と応募し、選ばれたのはいいですが…。最後にもの申します。ひとりだけ、番組を見ていてどうしても不快に感じる芸能人がいます。島田紳助氏です。彼は番組をあまりに自分のものにしすぎているように見えます。そして特定の芸能人を贔屓しているのが見え見えなのです。あれでは視聴者はあまり楽しめないのではないかと思います。ある雑誌のインタビューで、放送作家の鮫肌文殊氏が言っていました。バブル崩壊後、”オモシロイこと”だけを追求していればそれで良かったノリは現場から完全に消えた。ニッポンのTVバラエティーは『見ていてとてもためになる明日役に立つ雑学番組』だらけになっている、と。私もその通りだと思います。時代ごとに視聴者のニーズは変わりますが、いつの時代も変わらない、普遍的なおもしろさ、楽しさが、テレビにあると信じたいです」。

さらにもう一つ、今回の大震災に関する意見も数多く寄せられた。
「先日発生した東日本大震災で、メディアの大切さを改めて感じました。CMが消え、全ての時間において地震に関する詳しい情報を知ることができました。テレビというものは私の中では近年、『人々を楽しませるもの』『人々を喜ばせるもの』だと断定していましたが、今回の地震で改めて『人々に正しい情報を与えるもの』のあり方を感じました」。
「私は高校で放送部に所属しています。一年間BPOのモニターをさせていただいて、更に放送というものに対して深く興味を持つようになりました。この度の東日本大震災のことを、西日本に住む私も、放送という伝達手段のおかげでタイムリーに知ることができました。ただ、ヘリコプターからの映像を見た時、『どうして早く助けにいってあげないの!?』という焦燥感を感じました。浸水して孤立した病院の屋上で『SOS』や『食料』とビニールテープらしきもので記し、白い布を振って助けを求めておられた職員の姿を、報道ヘリのカメラが捉えていました。放送を見た救助隊の方がきっと救助に向かって下さるに違いないと、私は祈りました」。
「11日の地震のとき僕は生徒会の仕事で学校にいたため”帰宅難民”として、約300人の生徒と一緒に学校で1泊しました。非常用の水や乾パンをもらい、椅子をつなげて眠ろうとしましたが、余震や携帯が何度も鳴り響き一睡もすることができませんでした。そして次の日、テレビで運転再開の報道があった後、1時間も時間をつぶしてから向かったのに駅は人であふれていたので、とても驚きました。テレビの地デジ化の最大の売りは、データ放送のはずです。もっと、きちんとした列車の運行状況を、テレビがリアルタイムでできたら、混乱を防げたと僕は強く思いました」。
「私は地震の時、学校にいました。学校では直ちに全員グラウンドに避難しました。震度5の揺れも、避難も人生初めてなのでパニックになりました。地震の影響で電車もストップしてしまったので、2時間近く歩いて家まで帰り、停電していたのでラジオを聴き、初めて東日本でのM8.8の地震だったのかと気づきました。そこからは約15時間という長い停電が続き、夜も本当に真っ暗で、ラジオという存在は唯一の情報を得ることができる貴重な存在でした。長い夜をずっとラジオの地震速報に耳を傾け、乗り越えました。停電になったからこそ気づけた『情報』という存在のありがたさ。今、こうしていつもの生活を送れるのは、テレビ、ラジオなどの情報網があるからかもしれません」。
「ラジオについては東日本大震災で大いに役立っているのではないでしょうか?毎朝ラジオを聴いていた僕はラジオへの抵抗もないので、夜間の余震や停電など心細い時、大変役に立っています。テレビが『映像で被災地の現状を発信している』のに対し、ラジオが『声でリスナーの気持ちを代弁している』ということを感じ、ラジオはそれによってリスナーの「自分は1人じゃない」意識を高めてくれたのではないか、とも思いました」。

【委員の所感】

  • 皆さんが届けてくれる毎月のリポートは、まるで隣の若い友人が語りかけてくるようでした。「自分とは違う意見があることを発見できた」「新しい見方を教えられた」「同じ番組でも異なる感想があり参考になった」「考えながらテレビを見るようになった」「放送の問題を深く考えるようになった」。これらの意見は、皆さんがいかに注意深く賢明に放送番組と接してきたかを物語ります。皆さんの声に放送の明日を見ることができました。
  • 今回の大震災は、日本史にはもちろん世界史にも刻まれるでしょう。その影響が、日本だけではなく、世界に広がっているからです。複数の原子炉が大きな事故に見舞われるのは世界で初めてのことです。NHK・民放各局の放送は、そのことに出来る限りの想像力を働かせているだろうか、と思いつつラジオを聴きテレビを視聴しています。ケータイやツイッターなどのソーシャルメディアがなかったら、情報の受発信はどうなっていただろうかとも考えています。モニターの皆さんも、そのことに思いをいたしながらテレビやラジオに接していただければ幸いです。
  • 中高生モニターのみなさん、一年間お疲れさまでした。1000年に一度といわれる大震災報道を連日みなさんも目にしていることと思います。歴史的な大震災を中高生のみなさんがどのように感じ、どのように行動し、どのように考えていくのか。1年間のモニター体験を生かしながら、ぜひ報道のあり方やテレビが持つ力についてさまざまな角度からテレビをご覧ください。みなさんの柔軟な思考と感性に希望を託したいと思います。
  • 一年間ご苦労さまでした。私が皆さんに最後のメッセージとして贈りたいのは、政府の発表と、原子力安全・保安院(経済産業省)、そして東京電力の発表をどう見るか、ということです。基本的には、官房長官は「安全だ、安全だ」と言いながら、事態はここまで深刻になってきました。保安院、東京電力も「わからない」とか「大丈夫だ」と言いながら事態をここまでこじらせてしまっています。私の情報源の人たちは、3月11日、12日の時点で、現在の事態を予測していました。「原子力がキチンとわかる人なら、こうなることは最初からわかっている筈です」と口をそろえます。その意味は、今回のような、国家、あるいは地域、そして人間が滅亡するかどうかという時に、権力側の嘘、まやかし、メディアのいい加減さ、権力への迎合などをどう判断するか。それを若いうちから、皆さんに養っていただきたいと思っているからです。みなさんの若い感性と柔軟な頭脳に期待します。
  • 皆さんが1年間本当に真剣にモニター報告に取り組んでくださったということがとてもよく分かりました。たくさんの人が、それまでのダラダラ視聴から意識的な視聴に変わったと書いてくださいました。毎月文章にするのは大変だったことでしょう。私は企画書を作成するのは大変だろうと思っていたのですが、大変だったけれど面白かったと書いてくださった方が多く、とても意外でした。「企画書作成」企画が当たったということですね!!「大変だけど面白い」というのは、とってもいいですね。みなさんの意見が番組に反映されていないという厳しい意見をくださった方もいましたが、私も同感です。私たち青少年委員も、中高生モニターの意見が番組に反映されるように、智恵を出し合っているところです。でも何事も一気に成果は現われません。続けていくことが重要だと思っています。皆さんも1年間のモニター経験を生かして、違うところでも「番組に物申す」姿勢を続けて下さい。

2011年度中高生モニターについて

2月25日から募集を開始した、「2011年度中高生モニター」には全国から197人の応募があり、その中から中学生22人、高校生12人の合計34人を選び、4月からの1年間モニターリポートを送ってもらう。4月のテーマは、「東日本大震災」報道について、率直な意見や感想を書いてもらうこととした。

第120回 放送と青少年に関する委員会

第120回 – 2011年2月

視聴者意見について

中高生モニターについて

第120回青少年委員会は2月22日に開催され、1月16日から2月14日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に深夜バラエティー1番組について視聴し審議した。また、2月に寄せられた中高生モニター報告の審議及び3月20日に開催する中高生モニター会議の内容・進行について協議した(* 3月11日の震災により中止)。

議事の詳細

日時
2011年2月22日(火) 午後4時30分~6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

TBS『さしこのくせに』(2月8日放送)について

青少年に人気のあるアイドルグループのメンバーが出演するバラエティー番組について「番組がスポンサーの運営する有料サイトに誘導する内容になっており、ファン心理に付け込んだ悪質なやり方」などの批判意見が多数寄せられ、番組を視聴の上審議した。

【委員の主な意見】

  • 番組と広告が渾然としており、その境目が見えないところが気になる。また、結果的に青少年からお金を吸い取るような構図になっている。
  • 番組上、課金表示が無いのは問題だが、あったとしても番組の構成自体が誘導的で放送倫理上許されるだろうか。
  • 子ども向け番組では、キャラクターグッズなどの関連商品を紹介するようなことも多々見られるが、それとは明らかに違う気がする。
  • この企画自体がどこから生まれたのか。また、番組制作とサイトを運営するスポンサーの関連の有無があるのか知りたい。

以上の審議の結果、委員会としては当該番組の制作プロセスなどについて、次回委員会で番組担当者の説明を受け、引き続き審議を行うこととした。

中高生モニターについて

12月~2月は「ドラマ・アニメ番組」のジャンルをテーマに取り上げ、2月は中高生モニターが「見たい、作りたいドラマ・アニメ」の企画書を作ってもらい、30人から報告が届いた。また、その企画書を在京局の現場の担当者に読んでもらい、講評をいただいた。

【モニターの主な意見】

まず、ドラマの企画書を書いてくれたのは14人(男子7人、女子7人)で、15案が寄せられた。ドラマの特徴は、比較的オリジナルな発想の企画が多かったことである。
「僕は映画『ALWAYS三丁目の夕日』や、連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』など、僕たちの年代は知らない時代のドラマを作ってみたいと思います。『三丁目の夕日』を観て感じたことですが、終戦から復興した日本の明るい人々の生活模様を見て、僕が知らない時代なのに感動したからです。つまり、現代を生きている僕たちの世代から少し時代を遡って1970年代を舞台にドラマを作り、こういう世界があったんだということを知りたいということです」。
「僕は、『He is MEMORY』という企画を考えました。詐欺師で指名手配犯(山本太郎)は親のカタキ「M」を探す。FBI捜査官(成宮寛貴)は連続殺人容疑で「M」を探すために来日。私立探偵(草刈正雄)は過去の因縁から「M」を探す。正体不明の殺し屋(竹内力)はターゲット「M」を探す。詐欺師×FBI捜査官×私立探偵×殺し屋=最凶チーム誕生!!「M」を探すために、FBI・公安・ヤクザなどを相手取りド派手な作戦を決行!果たして「M」の正体とは…そこに現れた女「リョウ」…。「M」の記憶がチームに刻まれる…」。
「私は1つ、どうしてもドラマで見たい作品があります。それは、小路幸也さんの『東京バンドワゴン』シリーズです。いつも読みながら、この役はこの俳優さんがやったら面白いだろうな、と勝手にキャスティングをしてしまいます。
ネット上では沢山のファンが「キャスト予想」を繰り広げており、また作者本人も「幼いころにお茶の間に笑いと感動を届けてくれたテレビドラマ」を意識して書いています。
ストーリーも複雑な構成の大家族が下町で小さな事件を解決していくドタバタ人情劇。ストーリーの数がまだ少ないのですが、2時間ドラマにして原作中の時間の流れに忠実に放送してもいいし、書き下ろしのエピソードを書いてもらえば連続ドラマにもできると思います。まだまだ完結しなさそうなので、ひょっとしたら『渡る世間は鬼ばかり』のようなロングシリーズになるかもしれません。
最近は原作物のドラマが増えています。私は大好きな作品をドラマ化するときはファンのイメージをできるだけ裏切らないで欲しいと思います。そこで、テレビ局のサイトの中に”こんなキャスティングでこの原作をドラマ化してほしい!”という意見を自由に書き込める場所があったら、制作者側もどんなドラマが求められているか分かるし、視聴者側は自分の要望を気軽に伝えられ、日本のドラマにもっと関心を持ってくれるような気がします」。
「私が見たいドラマはコメディードラマである。アメリカでヒットした『奥さまは魔女』や『フルハウス』のようなドラマの日本版を見たい。ストーリーは、普通の家族の日常のできごとで親近感を持てるものがいい。登場人物も、家族、友人、近所の人たちという感じ。その中で、家族愛や地域の人たちのつながりなど、人と人とのふれあいを描いて、楽しいドラマにしてほしい。放送時間は、家族団らんの時間の夜8時か9時ごろで、どんな年代の人も、楽しめるものがいい」。
アニメの企画書は15人(男子8人、女子7人)から寄せられた。アニメ企画の特徴は、コミックやゲームソフトなどを原案とする提案が多かったことである。また、『まんが日本昔話』の世界版をという提案、人気シナリオライターの麻枝准(まえだじゅん)さんのオリジナルで「学園ファンタジーもの」を、という提案も寄せられた。
「僕は、『週刊少年ジャンプ』に連載中の大石浩二さんの『いぬまるだしっ』をアニメ化したいです。話の内容は、おませな幼稚園児・いぬまる君が、はちゃめちゃを引き起こすというものです。ストレートで分かりやすいギャグや個性的なキャラクターもいて誰でも楽しく見られるという所は『クレヨンしんちゃん』と似ています。
しかし同じギャグアニメでも、『クレヨンしんちゃん』は野原ファミリーの生活を中心としたアットホーム的な要素が強いですが、いぬまる君の場合、家庭が謎に包まれています。あくまでも、たまこ先生の目線から描かれ幼稚園での出来事に終始しています。これは、幼稚園で起こっているだけで学園ドラマなのかも知れません。だから、同じおませな幼稚園児でも、しんのすけ君のように特異な存在と感じるのではなく、特別だけど奇異じゃないぎりぎりのこれあり!なギャグに共感できます。
放送時間帯は夜7時から30分番組、原作は短編なので1回に2~3話放送します。あまりオリジナルストーリーは入れず、できるだけ原作に忠実なものにしたいです。また、原作の絵はアニメ化しやすい絵だと思うので、原作ファンを失望させないと思います。自虐的なキャラクターが多いが暗くなく、嫌味な事もなく、さらりとした作風の原作がとても面白いので、大人気アニメになると思います。ぜひアニメ化したいです」。
「僕は、ニンテンドーDSで出ている『レイトン教授』シリーズをまとめてアニメ化したいと考えています。『レイトン教授と永遠の歌姫』はアニメ映画化したものの、その後のアニメは作られておらず、私のナゾは深まるので企画しました。タイトルは『レイトン教授とナゾの事件簿』。今も難問を解決しているレイトン教授とルークに、ある日一通の手紙が届く。『7年前の兄を探してください』。そのときから新たな事件が始まる!アニメのほか、ネット、ゲームがリンクする。アニメの最後で”ナゾ解き問題”を出題。それを解くと、マル秘画像がGetできるような感じになったらいいなあと思います」。
また、多くの人気声優を指定した企画も届いた。
「私が作りたい番組は、アニメ『D.Gray-man』(ディー・グレイマン)の2期です。1期終了後に原作ではもっと面白い物語があって引きつけられるような魅力があり、是非それをアニメでやってほしいからです。大げさかもしれませんが、私は今までアニメやマンガに救われてきたことがたくさんあります。そして、多くのアニメやマンガを見てきた私は、戦闘・流血の多いアニメやマンガにある共通点を見つけました。闘っている人たちにはそれぞれ護るものや理由があるのです。それぞれのプライドであったり、大切な人であったり、仲間だったりと、もう一度この物語をテレビで見たいと思います 声優には、中井和哉さん、子安武人さん、杉田智和さん、小野大輔さん、神谷浩史さん、仲村悠一さんほかを起用したい。」。
「私が見たい作りたいアニメは『キングダム ハーツ』です。2002年に野村哲也さんが初クリエイトされたスクウェアエニックスのゲームソフトで、現在は多くのシリーズが制作されており、全世界で600万本以上の大ヒットを成し遂げた人気作品です。放送時間帯は高校生や大人も見ることができる19時か19時半から30分間、作家はもちろんアニメーション監督でもある野村哲也さんにお願いしたいです。声優陣はゲームと同じく、ソラは入野自由さん、リクは宮野真守さん、カイリは内田莉紗さんがいいと思います。そして私の大好きな山寺宏一さんにも引き続きドナルド・ビースト・ジーニー・セバスチャンの声を演じてもらいたいと思います。アニメの主題歌もゲームと同じく、宇多田ヒカルさんに歌ってもらいたいと思います」。
「僕は小さいころ、よくレンタルビデオで『まんが日本昔ばなし』を見ていました。とてもほのぼのとした中にも、”善”と”悪”を教えられたような気がします。そこで、昔ばなし~日本から世界へ~』という題名で、1時間の番組を作るのはどうかな、と思いました。前半の30分は日本の昔話を、そして後半の30分を世界の昔話という構成で、最初にナレーションで、どこの国の、どんな場所の物語か?を3分ぐらいで紹介して物語に入る。例えば、エジプトの物語でしたら、今ニュースで報道されている映像を見せることで、大変なことになってしまっているけれど、こんな良いお話が生まれた国なんだなとか、こんなふうな歴史があるから今があるのかな?と見ている人にちょっとした何かを考える機会を持ってもらうことができる番組にしたいです。ナレーションは、ホンジャマカの石塚英彦さんがいいです」。

【委員の所感】

  • モニターの皆さんが想像力を働かせ、よく形にできたことを評価します。中身の問題は別として、それぞれが作りたいという意欲がよく読み取れました。
  • 1980年代以降、貧しさとか厳しい労働とかいう”原体験”がなくなった時代の中で、いかにリアリティーのある作品を創作するかということが難しくなってきている。ぜひ、想像力をたくましくして、本物を見つけ出していってほしい。
  • コミックやゲームを発想の題材にしている企画の多いことが目立っていた。特にアニメの企画書では、声優さんたちにこだわりを持っていることが分かり、世代間の感性の差が大きいことに気づかされた。
  • 昔、私たちもいくつかのドラマをつなぎ合わせれば、こんなドラマができると空想したものだ。オリジナルな発想を作れというのは難しいこと。まず、模倣からスタートして自分自身の世界を作っていってほしい。
  • 「Mを探せ」という企画は面白い着想だった。ただ、ものを作るには「核」を考え出すことが肝心で、ぜひよい映画見たり、よい本をたくさん読んだりして自身を磨いていってほしい。
  • 今回、一生懸命それぞれの企画書を考えてくれたんだと思います。こうした経験をたくさん積んで、新しいものが作り出せるようになると思います。3月のモニター会議のテーマの準備運動と考え、会議では面白いユニークな意見をどしどし出してください。

2月のテーマ「ドラマ・アニメ番組」企画に対して、在京局の制作現場の方から届いたコメント。

企画1.ドラマ企画提案:「人情系ドラマをもっと。」(栃木・高校2年女子)

【番組の内容】
韓国のドラマは、たいがい話数が多いです。15分、30分、60分、又はそれ以上と、一話あたりの時間はさまざまですが、それほどチャンネルが少ないという訳ではないのに視聴率が取れているようにみえます。話数が多くても視聴者を確保しているのです。理由のひとつに、日本ではおそらくやっていないであろう制作方法があります。
それは、視聴者の声を作品に反映することです。韓国ドラマは、テレビ局に届くクレームなどを参考に脚本を変えて製作したり、毎回違う脚本家が制作したりしているケースが多いそうです。クレームにより、放送の数日前に取り直しをした例もあるとか。ドラマが社会現象になる背景にはそのような苦労もあるのだと思います。
私は今のテレビドラマ界に『渡る世間は鬼ばかり(渡鬼)』のような、ベタなうえ先が読める、だけどついつい見てしまう、というような人情系のドラマがもっとほしいです。この方法を使えば、視聴者のリアルな声をドラマに反映することができるので、より視聴者を楽しませることができると思うし長く続けることもできると思います。
お国柄であって、日本では通用しなかったりできないことかもしれませんが、試してみる価値はあると思ううえ、そんな方法もあったのか、と驚かされたので、提案してみることにしました。

【TBS編成制作局部長の感想】
ホームドラマの大切さをご指摘いただいたモニターレポート、ありがとうございました。
かつて、テレビのドラマは『渡鬼』のようなホームドラマが定番でした。しかし、フジテレビの『月9』に代表される「トレンディードラマ」の登場などによって、「家族」から「恋人同士」へと定番が移って行きました。その背景には、社会全体の「核家族化」があったといえるかもしれません。
しかし、例えばフジテレビの『フリーター、家を買う。』のように、家族の大切さを正面から訴えるドラマがヒットする例も見られるようになりました。『渡鬼』は今回のシリーズで終わりますが、それに代わる「ホームドラマ」の可能性をTBSとしても模索して行きたいと思います。

企画2.『ニュースアニメ』(東京・高校2年男子)

放送時間:日曜、午後5時から30分
作家:渡邊鐘さん
声の出演者:一般公募の素人の人

【番組の内容】
自分が考えた番組は、その週に起きた出来事を、どうしてそのことが起きたのかなど詳しくアニメで放送するという内容。簡単に言えば、NHKの『週刊こどもニュース』のアニメ版。アニメでやることで、ふだんニュースを見ない人たちに、アニメということで興味を持ってもらえる。そのうえ、声優が全員素人なのでこの番組から人気声優を輩出したりもできる。 時間帯が日曜午後5時からなのは、まず、夕方にならないと子ともたちがテレビを見ないからです。また、午後5時からなのは、5時30分からは『笑点』があり、6時からは、『ちびまる子ちゃん』が放送されるので見てしまい、視聴者層が重なってしまうので、日曜5時からにしました。

【テレビ朝日編成制作局アニメ・プロデューサーの感想】
『週刊こどもニュース』的な分かりやすいニュース番組として着眼点はユニークです。ただし、アニメの制作は作画から仕上げ、アフレコ、ダビング、ミックスまで時間がかかります。ニュースの命は、速報性や、”生で”今起こっている真実を正確に伝えることです。今起こっていることをすぐアニメ化することはもちろん、途中経過の事象にも作業時間を考慮すると、放送時間に間に合わなくなります。『そうだったのか!池上彰の学べるニュース』のように大きなくくりでテーマを選んでじっくり作って、分かりやすく伝える作り方がベストでしょう。

企画3.『壊滅戦隊ヘタレンジャー』(神奈川・中学3年男子)

放送時間:1話10分で3話構成の30分、深夜時間帯
声優:坂口大助さん、宮野真守さん、若本則夫さんほか

【番組の内容】
柳田理科雄氏の『空想科学読本』を読んでいて、僕はアニメ『「壊滅戦隊ヘタレンジャー』という企画を考えました。
舞台は日本。昨今の不景気によって、ヒーローの多くが失業。不況を生き延び、業績も回復しつつあった「壊滅戦隊ヘタレンジャー」…今や人々から忘れられ、ダサがられ、誰からも注目されなくなった戦隊ヒーローに、「消息不明のブルーの代理」として「ヘタレパープル」が入隊するところから物語は始まる。
そのメンバーは、イケメンなのに頓珍漢な言動が周りを混乱させるレッド、お金に関してうるさいイエロー、ケータイが離せないピンク、「世界で最も上手にずっこける男」と自負するグリーン…そんな仲間に振り回されっぱなしのパープルのとんでもない日々が始まろうとしていた。
そんなころ、彼らの敵”悪の帝王”率いる世界で最後となってしまった”大手悪徳組織”…その名も「悪の組織」が、倒れかかった経営を立て直す最終手段として「世界征服」に重い腰を上げた。正義と悪の戦い、しかしときに主観的になりすぎて気づけば善悪が逆転していることも…。正義、悪、第三者、とにかくいろんな人を巻き込んで繰り広げられるドタバタコメディ!
キーポイントは「幼いころ、夢を持って見たヒーロー番組と、物理的・法律的制約との矛盾」です。ただ、そこがリアル過ぎないよう、アニメになっています。…ロボットを用意したら、「大型家電の安全基準に満たない」と使用を禁止されたり、怪人が巨大化したら、食費がかさんで大変なことになったり。
そしてもう1つ「笑わせるところは思いっきり、でも時にはピシッと決める」こと。彼らは怠けているように見えますが、ただ「やる気スイッチ」が入らないだけ。信念は持っていますから、与えられた任務は彼らなりに遂行するし、時には思いがけないことで本領を発揮することもあるのです!…1話あたり10分・3話構成で、放送時間はこのジャンルのゴールデンタイム、深夜がいいです。
声の出演は、メインキャラだけ言うと、パープルには坂口大助さん、レッドには宮野真守さん、悪の帝王には若本則夫さんがいいと思います!

【フジテレビ編成部企画班編成企画プロデューサーの感想】
柳田理科雄氏の『空想科学読本』を元にした企画はよくあがりますが、それをアニメ戦隊企画として考えたアイデアは素晴らしいと思います。基本的には、コメディタッチで展開されるようですが、”××という大型家電の安全基準に満たないため、ロボットが使用禁止”や”怪人が巨大化して、これぐらい食費がかさんだ”など笑いの中に思わず『ヘー』と思ってしまう雑学を入れるのは、決して子どもや一部のオタクだけではなく、企画としての汎用性があるようにも感じられました。

企画4.『青春サクセスストーリー』(新潟・高校2年男子)

放送時間:2時間ドラマ 出演者:さまぁ~ず・大竹一樹ほか

【番組の内容】
「僕は『青春サクセスストーリー』を提案します。主人公は百貨店で働く根暗な入社2年目の男[A]。高校を卒業して親戚のコネで百貨店に就職するが、ある日店は倒産してしまう。店内の後片付けを任されたAは、婦人服売り場で使われていたマネキンに惹かれ、”もったいないから”と自宅へ持ち帰る。そのマネキンは、中学校のころ密かに思いを寄せていた少女[B]にどことなく似ていた。突然、無職になったAは途方に暮れ、引きこもりがちになっていたが、マネキンをBと思い込み、やがて”Bのために”と本格的に就職活動を始める。なんとか小さなスーパーに就職が決まり、一生懸命に働く。稼いだ給料でマネキンに着せる洋服を買ったりする、そんな姿を見かねた両親がマネキンを捨ててしまう。
悲しみに暮れるAに中学校の同窓会の手紙が届く。「ここに行けばBに会えるかもしれない。」そう思い立ち、同窓会に参加することに。同窓会当日、Bも参加していたが、話しかけられないまま同窓会は終了。しかし、Bから突然の告白を受ける。Bは、Aが一生懸命働いていることを知り、そこに惹かれた。身だしなみも綺麗で百貨店で働いていたことから、言葉遣いも丁寧なAをBの両親は惚れこみ、二人は結婚することに。あのマネキンがなければ、ひきこもったままの生活を送っていただろう。あの、マネキンのおかげでAは幸せになった。
「サクセスストーリー」がテーマで、ありきたりなドラマにならないよう工夫しました。「マネキン」は言葉を話しませんが、立っているだけで絶大な効果を発揮します。そのマネキンとサクセスストーリーを組み合わせた、意外性のある作品になると思います。
出演者はジャニーズやAKB48でなければ、現実味があって面白いかと。ただ、さまぁ~ずの大竹一樹さんを見てみたいですね。

【テレビ東京『マジすか学園2』のプロデューサーの感想】
企画を具体的に書いてあるところがすばらしいと思いました。コンセプトを考えることも大切ですが、それをどういう形で展開させるかを考えることはそれ以上に難しいことです。
さらに踏み込んで、マネキンをストーリーに登場させることで何を示したいのかを考えていくともっとブラッシュアップできそうです。
マネキンの登場の仕方や存在に意外性がでてくればくるほど作品も魅力的になるでしょう。思い切って主人公をマネキンにしてもいいかもしれません。

企画総評
【NHKドラマ部チーフ・プロデューサーの感想】
中高生たちの企画で共通しているのは「リアル」「希望」「家族」というキーワードです。何か希望や自信が持てるサクセスストーリーやコメディー、人情ものを家族といっしょに見たい。そんな思いが強く伝わってきました。
驚いたのはそれぞれの提案に、ねらう視聴者ターゲット、放送時間帯などの編成的戦略が明快にプレゼンされてあることでした。テレビのなんたるかを肌身で知りつくしている世代らしいな、と頼もしさを覚えました。

第119回 放送と青少年に関する委員会

第119回 – 2011年1月

視聴者意見について

中高生モニターについて …など

第119回青少年委員会は1月25日に開催され、12月14日から1月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基にバラエティー1番組について視聴し審議した。また、1月に寄せられた中高生モニター報告及び来年度の活動計画等についての審議が行われた。

議事の詳細

日時
2011年1月25日(火)  午後4時30分~6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

日本テレビ『さんま&SMAP! 美女と野獣のX’masSP』(12月19日放送)について

青少年に人気のアイドルグループが出演する番組の内容について「低俗で下品であり、子どもには見せられない」などの批判意見が視聴者から多数寄せられ、番組を視聴の上審議した。

【委員の主な意見】

  • 当代の人気者を出演させているのに、あれだけ長時間にわたってくだらない内容を放送する局の姿勢が理解できない。もう少しテレビを大事にしてほしい。
  • 視聴者意見からは落胆感がにじみ出ている。さんま&SMAPの出演ということから子どもたちも期待感を持って見ているのに、下ネタばかりで意に反した内容だ。こういう番組がテレビ離れを助長させることに危惧を持つ。
  • BPO・放送倫理検証委員会の「最近のテレビ・バラエティー番組に関する意見」にある”内輪受け”の典型のような気がする。スタジオ内の発言 を消音処理し、スタジオ内だけで盛り上がり、視聴者を置き去りにしている。
  • 生番組での悪乗りが行過ぎてしまったのかもしれないが、男同士でキスをするのは、夜の飲み屋など裏の世界で遊びでやるもの。表通りのテレビでやるべきではなく、見ていて不快に感じる人は多いはず。
  • 善意で考えると、今の文化を壊して新しい何かを創造しようと問題提起したのかとも思ったが、放送されたものについて番組制作者がどう総括しているかを聞いてみたい。

以上審議の結果、委員会としては上記各委員の意見をBPO報告及びBPOホームページに掲載することとした。

  • 児童施設に連続してランドセル等のプレゼントが贈られた事実の報道の際、視聴者から児童の顔を出しての取材・放送に批判の意見が寄せられた。この件について一部委員から、「個別の事情はあると思うが、将来的に問題が起きることも考えられ、許諾が得られていたとしてもそのことだけで判断せず、局内で慎重な議論が行われたうえで判断するべき」との意見が出された。

中高生モニターについて

12月~2月は「ドラマ・アニメ番組」のジャンルを取り上げている。1月のテーマは、最近「面白そうと思って見たドラマ・アニメ」の中から、「期待はずれだった番組」「つまらなかった番組」「嫌いな番組」を選び、何がよくなかったのか、どこがつまらなかったり嫌いだったりしたのか、その理由について率直な意見を書いてもらい、30人から報告が届いた。

【モニターの主な意見】

ドラマについて報告を書いてくれたモニターは17人(男子7人、女子10人)。最も期待はずれだったという番組は『美咲ナンバーワン!!』で、女子4人から意見が寄せられた。「”期待はずれ”という言葉は、この番組にピッタリだった。いくら『ごくせん』のスタッフが再集結したといったって、パクリにもほどがある。というよりも、『ごくせん』そのままだった。1話完結で、しかも同じパターンだから続きも気にならなかった。2話はおそらく見ないだろう」。
「多少は『ごくせん』っぽさが出ると思っていましたが、この番組は、まるっきり『ごくせん』そのものでした。”ヤンキー”たちが新しい担任との絆を深めていくという内容は実に素晴らしくよくできているとは思うのですが、もう少し変えてもいいのにな、と思います。しかし、『ごくせん』を見たことのない人には新しい感覚のドラマとして受け入れられるので、別にいいのかなとも思います。当たり前ですが、ドラマはどの年代をターゲットにしているかで、ガラッと印象は変わっていくということを学びました」。
次に、『Q10(キュート)』については3人から意見が寄せられた。「私が期待はずれだと思った理由は、まずドラマの設定がつまらなかったことです。以前、放送された『絶対彼氏』という番組と一緒で、人間型ロボットが主役という点でかぶっていましたし、このドラマが訴えたいメッセージがまったく無かったのも理由の一つです。制作者からのメッセージが無いのなら、見る意味も作る意味もないと思います。結局、今回視聴率を取れたのは、AKB48の前田敦子さんと佐藤健さんのおかげだと思います」。
「『Q10』は、放送時間が土曜日の夜9時からということもあって中高生の多くが見ていたと思うが、話の内容が無理やりすぎる。ドラマといえど、もっと現実的なストーリーにした方が自分たちとしても共感を覚えやすい。また、学園ものを作るのなら、高校生役なら、演じる人の年齢も現役高校生くらいにして、日ごろ学校生活を送るなかの自然な様子を演技に生かせば、その方がよっぽどいいドラマになると思う」。
そのほか、「『霊能力者 小田霧響子の嘘』が期待はずれでした。タイトル、ストーリーなど放送開始前に見たり聞いたりした情報では、『トリック』のパクリだと思いました。仲間由紀恵さんが石原さとみさんに、阿部寛さんが谷原章介さんということで、ストーリーも奇怪な事件を解決するとのことで、やっぱり同じ局ですし、まあいいかと思って見てみると、そのつまらなさにあきれ果てました。まず”笑い”ということで小ネタを入れたみたいですが、クスリとも面白くないし、スベリ祭り(まくり)です」。
「私が期待はずれだと感じたドラマは『フリーター、家を買う。』である。まずオープニングの映像から異議がある。一話の内容も見る前からこの先がバレバレである。強気で仕事に打ち込む姿が素敵なヒロインと、ダメダメな主人公というのをもう少しオープニングから強調してほしかった。そして肝心の内容だが、家を買ってない。せめて、もう買えるぞ、というところで終わってほしかった」。
「最近見たドラマで非常にがっかりしたものは、『検事・鬼島平八郎』です。レポートを書くときにこのドラマを振り返ってみたら、つまらないコントを毎週見ていたような気持ちになりました。50円を拾って交番に届けるシーンでイラっとしました。それが小学生のやることなら現実味がありますが、この主役は交番の警官が『持って帰っていい』と言っているのに『書類を書いたほうがいい』という。現実にいたら”正義感の強い人”か”めんどうな人だ”と思われるかのどちらかでしょう。それが主人公のキャラクターなのかもしれませんが、その役をいつもバラエティーで破天荒なダウンタウンの浜田雅功さんがやるので笑ってしまった」。
「僕が嫌いなドラマは『韓国ドラマ』です。最近どうしてテレビでは、韓国のドラマばかりやっているのかとても不思議に思います。『韓国ドラマ』はどれも同じような内容で、記憶喪失、御曹司、三角や四角関係のドロドロした人間関係、復讐といった分類に分かれるので、はっきり言ってどこが面白いのか理解できません。それにもかかわらず母は、よく見ていて、韓国語を覚えたとか言って『アラッそ!!でー…』とか訳の分からないことを言っています」。
特定の番組名を挙げず、最近のドラマへの要望も寄せられた。「最近のドラマはつまらないと思う。刑事ドラマや学園ドラマばかりで、家族全員で楽しんで見られるものがあまりないように思う。例えば『渡る世間は鬼ばかり』のような、殺人や暴力のない平和なホームドラマが減ってきて、家族で安心して見られるようなものがあまり見当たらないのがとても残念だ」。
「特定の番組ではありませんが、ドラマについて思うことです。(1)ヒットしたドラマの、PART2やPART3、PART4など、だんだんマンネリ化したり、映画化されたりしてそれも同じで”オチ”が予想通りなのが目立ちます。(2)アイドル頼みのドラマは、せりふの棒読みや下手な演技が目立ちます。もう少し演技力のある人を使ってほしいです。(3)漫画からのドラマ化が多すぎ、漫画のイメージとドラマが合致していなくて、ガッカリすることが多いですね」。
アニメについては11人(男子7人、女子4人)から意見が寄せられた。2人から意見が寄せられた番組は『ONE PIECE』である。「僕は『ONE PIECE』が好きだ。小学校低学年のときに見たのがきっかけだ。しかし、その後習い事を始めたので見ることができなくなってしまった。6年生のとき友人の家で『ONE PIECE』のマンガを読んだ。そこに感動やカッコよさ、面白さを覚えたので全巻を集めた。本当にマンガはすごいと思う。中学生になって久しぶりに放送を見た。面白くないことはなかったが、何か物足りない感じがしたし、戦闘シーンを誇張しすぎだと思う。また、マンガだと自分の好きなペースで好きな時間に読めるが、アニメだと決まったペースで進むので、考える暇がない」。
「SMAPのメンバーや明石家さんまさんが大ファンと言っていたので見ることにしましたが、何回か見ていると、戦った相手が仲間になったり、しつこいくらいの友情の押し付け合いがあったりで、全然面白いとは思えなかったです。売れている本が誰にでも面白いわけではなく、視聴率の高い番組が誰にでも面白いわけではないのでしょうね」。
マンガがアニメ化されてつまらなくなったという意見はほかにも届いている。「『GIANT KILLING』は、他のアニメに比べ絵にとても違和感があり、ストーリーに集中できません。線がやたらと多く感じられ、ゴチャゴチャしています。そのせいか、背景とキャラクターが一体化していて画面全体が見づらく、人の動きがギクシャクして迫力に欠けています」。
「『家庭教師ヒットマンRIBORN!』は、『週刊少年ジャンプ』に連載されていた原作を読んでいるのですごく好きなのですが、発売されている”キャラソン”がいまいちピンとこなかったし、”キャラ”も原作の方がアニメよりもずっとかっこいいと思います。原作ではあんなに迫力もあって面白かったのに、アニメになると原作のいいところがなくなってしまうのはとても残念です」。
「小学生のとき『バトルスピリッツ』というカードゲームにはまっていました。そのため『バトルスピリッツ 少年激覇ダン』までは中学生になってからも早起きして見ていましたが、『バトルスピリッツ ブレイヴ』に変わったとたん、とてつもなく面白くない、と感じるようになりました。中学生になったことも関係しているとは思いますが、主人公が変わらず、キャラクターもほとんど前作と同じようで、敵の設定が曖昧すぎることが気に入りませんでした」。
「基本的にアニメ・ドラマが好きでジャンルを問わず見る僕ですが、自分が嫌いなアニメが一つだけあります。周りの友だちが見たというので、自分も興味本位で『エヴァンゲリヲン』という映画を見たことがありますが、予想を裏切るもので最初の30分しか見られずあとは寝てしまいました。また、テレビで最初の数話を見たのですが、内容が難しすぎるのと、背景に赤や青の原色が多く使われ目が疲れ、残酷なシーンも多かったので、長く見ているのがイヤになりました」。
「僕が”期待はずれ”と思った番組は『史上最強の弟子ケンイチ』です。僕はこの番組のストーリーが面白そうだと思って見ました。確かに第1話は、内容自体とても面白かったのです。しかし、ある程度物語が進んでくると30分番組のうち殆どが前回のあらすじか、回想シーンです。我々中学生の本分とは勉強であり、限りある時間をアニメに割きすぎる訳にはいきません。制作側が引き伸ばしをするのは、長く見てもらいたいからでしょうか?だとしたら逆効果だと思います」。
そのほか、長く続いている『ドラえもん』と『ちびまる子ちゃん』についても意見が寄せられた。「小学生のころ『ドラえもん』は毎週見ていたが、2005年あたりからまったく見なくなった。理由は2つある。1つは、絵がリニューアルする前の絵とかなり変わっていて、原作のイメージがなくなったように思うからだ。もう1つは交代した声優の声が違いすぎて、どうしても慣れることができないからだ。昔の声優を復活させてとは言わないが、せめて絵はあんなに変えないでくれよと思った」。

【委員の所感】

  • マンガが原作のドラマ化やアニメ化が多すぎるという意見が大半だった。特にアニメについては、主人公などに対するそれぞれの思いが反映されており、『ONE PIECE』の漫画が”面白い”と感ずる声と、アニメ化が”期待はずれ”と感じた意見には納得できるものがある。
  • 『韓国ドラマ』が多すぎるという意見は、大人たちにとっては安心して見ていられるから放送されているのだろうが、中高生たちにとっては”面白くない”という意見は、世代間の感性の差が読みとれる内容だった。
  • アニメについての意見には、かなり”専門性”があるように感じた。特に『史上最強の弟子ケンイチ』について、ストーリーは面白いが、30分のうちの多くが前回のあらすじや回想シーンで、制作者側が引き伸ばしをしているという指摘には、なるほどと思った。

「今月のキラ★報告」(神奈川・中学3年女子)

『ちびまる子ちゃん』を少し懐かしい気持ちで見てみたら、まるで教育番組のような内容になっていて少し残念でした。『ちびまる子ちゃん』のコミックスは全巻持っているほど漫画は好きですが、アニメは面白い要素だけスポンと抜いてしまったのでは、と思うくらいに、もともとの漫画の”良さ”が失われている気がしました。
従来の漫画でも”感動”をテーマにしているんだろうなという回もありましたが、最後は「父と母がケンカした原因が、ダイエット器具を買うか買わないかという、しょうもないものだった」という”オチ”もあったのに、今のアニメは、ストーリーは違いますが大体「お母さん…」とか「お父さん…」とか、まる子が感動(?)して終わりでした。道徳的なものを放映したいと思っているのかも知れませんが、それなら何も『ちびまる子ちゃん』じゃなくても、他に合うアニメがあると思います。
昔は、父・母・私・姉の4人で笑って見て楽しんでいたのに、今は『ちびまる子ちゃん』の終わり方に、照れくささとか気まずさといったようなものが残り、後味が悪いです。姉が今の私くらいのころ笑って見ていたということは、「私」が変わったというより、「アニメ」がだんだん変わってきていると思います。今、『ちびまる子ちゃん』を作っているアニメ制作の人は、もともとの『ちびまる子ちゃん』に愛着がないのでは…と疑ってしまいます。
私は『ちびまる子ちゃん』の面白さや内容、人気に頼って少し道徳をおりまぜるというのなら、どこかに『ちびまる子ちゃん』にしかできない部分が残ると思いますが、今のアニメは、『ちびまる子ちゃん』の人気、絵柄だけを利用しているので、他のアニメと似たり寄ったりになってしまっているような気がします。まったく漫画と同じにするのは無理な所もあるかと思いますが、いったん振り出しに戻って考えてほしい…と思いました。

【委員会の推薦理由】

『ちびまる子ちゃん』が教育番組のような内容に変質し、原作が持っている面白さが失われているという指摘は、子ども向け番組、ひいては子どもの文化が持つある種の避けて通れないジレンマを指摘したものだと思います。子どもの文化を大人はどのように考え、子どもに向けてどのような文化を発信するべきか、そうした重要な問いに関わる内容を含んだレポートとして評価されました。

2011年度中高生モニター募集について

青少年委員会では、放送と青少年のあり方について、一般視聴者だけでなく子どもたちの意見にも耳を傾けたいと2006年度からモニター制度を設けている。このたび、2011年度の募集を1月26日から開始した。3~4カ月単位で1つのジャンル(バラエティー・音楽番組、情報・報道番組、ドラマ・アニメ番組ほか)を取り上げ、意見や感想などを毎月報告してもらう。

第118回 放送と青少年に関する委員会

第118回 – 2010年12月

視聴者意見について

中高生モニターについて …など

第118回青少年委員会は12月21日に開催され、11月16日から12月13日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に審議したほか、12月に寄せられた中高生モニター報告及び来年度の活動計画等についての審議が行われた。

議事の詳細

日時
2010年12月21日(火) 午後4時30分~6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

担当委員及び事務局より、視聴者意見の概要等について報告を受けた上で、今月は審議の対象となる番組はなかった。

中高生モニターについて

12月~2月は「ドラマ・アニメ番組」のジャンルを取り上げている。12月はその中から「好きな番組、面白い番組」を選んで、どこが面白かったのか、どんな設定や構成、俳優や声優に好感が持てたかなどについてその理由を書いてもらい、31人から報告が届いた。

【主なモニター意見】

ドラマについての報告を寄せてくれたモニターは21人(男子13人、女子8人・重複あり)、アニメについては12人(男子6人、女子6人・重複あり)だった。
ドラマ部門で報告の多かった番組は、NHKの大河ドラマ『龍馬伝』が4人、スペシャルドラマ『坂の上の雲』に2人、テレビ朝日の『ナサケの女~国税局査察官~』に3人、『相棒』に2人、日本テレビの『Q10』(キュート)に2人、TBSの『花より男子』シリーズと『SPEC~警視庁公安部公安第五課未詳事件特別対策係事件簿~』に各2人から、感動した、俳優たちの演技が素晴らしい、ストーリー展開に意外性があって好きだ、という意見などが寄せられた。
『龍馬伝』については、「1年間見続けて面白い、素晴らしい作品で、一話一話が大きな曲の一曲みたいでした。少し煙っぽいところなどが幕末という時代を表しているようで、実際に江戸時代に生きているような”リアル”を感じました。福山雅治さんの龍馬、香川照之さんの岩崎弥太郎、他の役者さんたちの演技もあの時代の人々のように伝わってきました」。
香川照之さんについては『龍馬伝』のほか、「明治から日露戦争までを描いたスペシャルドラマ『坂の上の雲』が好きです。秋山好古・真之兄弟の活躍や、正岡子規の闘病生活を中心に組み立てられています。子規役の香川照之さんの演技に魅力を感じます。本当の子規が病と闘っているように見えました。このドラマで私たちは明治時代の各国の情勢や日本国の出来事、時代を生きた人々の考えを知るといった歴史を体感できました」。
「私はテレビ朝日系の『相棒』『ナサケの女~国税局査察官~』のように人気俳優のドラマや、『その男、副署長』『おみやさん』など少し渋いものまで、展開を予測してみたり、当たらなかったりしても素直に楽しめるから好きです。何故かと聞かれると、視聴者を引き寄せる魅力があるからだと思います」
「『ナサケの女』が好きです。このドラマは1話完結で見やすく、内容もよくまとまっています。なかでも主人公の松平松子(米倉涼子)が周囲の目を気にしないで次々に”ホシ”に近づき、意地でも”金”のありかを探す執念深さは”サイコー(最高)”です。ドラマ同様、本物の国税局の皆さんにも松子さんのようにバンバン”ホシ”を挙げてほしいです」。
「先日最終回を迎えた『Q10(キュート)』(日本テレビ)は、佐藤健さんと前田敦子さんの学園ドラマなのですが、前田さん演じる「Q10」はロボットなので、最初は本当に驚きました。話し方も行動もすべてロボットなのです」「普通の学園モノや恋愛モノではないところが『Q10』の良いところです。恋や家族、友情など、さまざまな思いの果てにある決断に、共感や感動を覚えました。もう終わってしまいましたが、また見たいと思えるドラマでした」。
「私の好きなドラマは、『花より男子(だんご)』(TBS系列)シリーズです。笑いあり涙ありなのに、つい”キュン”としてしまうようなストーリーが大好きです。大ヒットコミックの実写化が決まってそのキャストを見たとき、井上真央ちゃんや松本潤さんを知っている人は少なかったと思います。ところが実際にドラマになってみると、ストーリーが面白いのはもちろんですが、びっくりするくらいキャストがキャラクターにマッチしていました。あまり知られていなかった俳優の中から、役にぴったりのキャストを選び出すことができたこのドラマの制作者は、とても優秀だったと思わざるをえません。ぜひ何度でも見たいです!!」。
また、このような報告も寄せられた。「僕は平日に再放送されている『水戸黄門』が好きです。この番組は、受験生のころ早めの夕飯を食べながら毎日見るのが日課でした。”必ず最後に正義は勝つ!”というストーリー展開は、見ていて安心でき、受験で不安な気持ちで一杯だった僕を”頑張ればきっと合格できる!”と勇気づけてくれました。主題歌の『人生楽ありゃ、苦もあるさ~』は思わず口ずさんでしまうフレーズです。ただ残念なことは、現在の『水戸黄門』は、助さん(里見浩太朗さん)が黄門様に出世していて違和感があり、現在の放送はあまり好きではありません」。
アニメ部門では、『銀魂』シリーズに3人、『AngelBeats!』に2人、『NARUTO』や『鋼の錬金術師』に各1人、好意的な意見が寄せられた。さらに幼いころに『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』を見てアニメが好きになり、今でもアニメ番組を見ていると回答してきたモニターもいた。
「『銀魂』は、現在は『よりぬき銀魂さん』として放送されている番組ですが、この番組の面白いところは、歴史上に出てくる人物の名前をまねした人たちがふざけているところです。例えば、坂本龍馬(さかもとりょうま)を坂本竜馬(さかもとたつま)としてあったり、新撰組局長の近藤勇(こんどういさみ)が近藤勲(こんどういさお)になっていたりして面白いです。そうした設定は、歴史上の人物を間違えて覚えてしまうとか言われていますが、歴史上の人物を知るいい機会だし、アニメで楽しみながら勉強もできてよい番組だと思いました」「『銀魂』は、ダラダラしていたり、いきなり戦いになったりしてメリハリがあり目が離せません。戦いというと血がたくさん出て怖いイメージがありますが、敵が死ぬときもパァーっと光が放たれる感じで、その敵も最後幸せに亡くなったという設定だったので、健全なアニメだなぁと思いました」。
「『ドラえもん』は、約30年放送が続いているので、知らない人はほとんどいないと思います。それから、声優・スタッフが変わり、内容が子どもっぽく感じているかもしれません。しかし、若返ったことによって、全体的に優しくなったという印象を受けました。また、のび太がドラえもんに何とかしてくれと頼むことはアニメの中でよくありますが、道具や人ばかりには頼っていてはいけないというドラえもん。のび太とドラえもんの日常生活から得られるものはたくさんあると思います。『クレヨンしんちゃん』も参考になるアニメだと思います。下ネタが多く下品だ、子どもが親を馬鹿にするのは許せない、などと批判する人は今でも少なくないと思います。確かに、しんのすけが言う言葉は親を馬鹿にしているように聞こえるかもしれませんが、そこから得られる知識はたくさんあると思います。しんのすけは園児の元気の象徴、まとめて言ってしまえば野原一家は、現代の家族の象徴だと思っています」。

【委員の所感】

  • 中高生の視聴経験はひとりひとり個別のものだが、「ドラマ・アニメ」に対しては好き嫌いが比較的はっきりしており、文章が生き生きとしていて映像が見えてくるようだった。また、このジャンルは感情に訴える力があり、番組を見て深く考えるきっかけにするなど、上手に生活に取り入れている様子もうかがえた。
  • 学習塾に通うため、食事をしながら『水戸黄門』(再放送)を楽しく見ているが、現在放送されているシリーズでは、かつて助さん役だった俳優が「黄門様」に昇格して出ていることに違和感があるという意見には、感心させられた。
  • 『クレヨンしんちゃん』について、下品だというような大人の声に対して、子どものころから見ていて楽しい、決して下品ではなく子どものしつけにも役立っているのでは、という中高生たちの分析や考え方は、一考に価するものだと思う。
  • 『銀魂』シリーズは、戦いなどメリハリのある展開で目が離せないアニメで、戦闘シーンも光を発するなど残酷でないところもいい、という子どもたちの見方(目線)と、大人たちの見解が異なっていたり、歴史の勉強にも役立っていたりするんだよという声には、耳を傾けるべきものがある。

「今月のキラ★報告」(愛知・中学3年女子)

私はアニメが大好きなので12月の課題は私の得意分野です。好きなアニメはたくさんありますが、『AngelBeats!』について書きす。私がこのアニメに出会ったのは、去年、中学2年のときでした。中2のとき私はクラスの何もかもが嫌いで「友だちってなんだろう」「自分なんていなければいいのにな」って思う時期がありました。
アニメ好きな私は、神谷浩史さん、花澤香菜さんなどの声優が目的でこのアニメを見始めました。「死んだ世界で、天使と戦う?!」何のこっちゃ、イミが分からない。見始めの印象はそこそこでした。しかし回を重ねるごとに、命の重み、仲間がいる意味、仲間の大切さ、人生ってすごいんだな、っていうことを教えてくれました。
キャラクターの一人に「岩沢まさみさん」という人物がいます。その子は死んだ世界でバンドを組んでいます。バンドで演奏する曲は岩沢さん自身の作詞・作曲で、その歌はすごいものばかりです。曲の一つの歌詞に「泣いている君こそ、正しいんだよ」という歌詞があります。それは岩沢さんが死ぬ前に思ったこと、感じたことを素直にそのまま歌詞にしています。そんな素直な歌詞だから、私の心に響きます。「世界を悩んでいる自分がちっぽけなような…」そんな気分になります。今でもくじけそうになったらこのアニメを見たりします。
私は『AngelBeats!』が大好きです。愛しています!!

【委員会の推薦理由】

主人公であるアニメ・キャラクターの姿が目に浮かんでくるような、番組の魅力が生き生きと伝わってくる、感性豊かなレポートでした。日常のアニメ番組から希望を見出すことの素晴らしさや感動を、自分の言葉で素直に表現したところが高く評価されました。

11月のテーマ「報道・情報・ドキュメンタリー番組」企画に対して、在京局の制作現場の方から届いたコメント(今回は、3人の方が1つの企画について意見を寄せた)。

企画1.『ダイジョウブ!ニッポン』 (山口・高校1年女子)

司会者・出演者:親近感が持てるような西田敏行さんや中川翔子さん、大泉洋さんやAKB48のメンバー等で、コメンテーターは現役の文部科学省や国土交通省などの方で、難しいことでしょうけれども現状を答えて下さる方々。

【番組の内容】

毎週土曜日の17時か18時くらいから30分間程度で、家族みんなが集う時間帯に『ダイジョウブ!ニッポン』という情報番組があったら…と考えました。直近の一週間の外交・事件・事故・政治・経済について小学生や政治経済に興味のない若者や主婦でも簡単に分かるような、アニメや立体模型を使った解説で、楽しく広い世代の人が見ることのできる内容がいいと思います。
今は教育・就職・税金・年金・老後…いろいろな問題が多すぎて先行きが見えず、これからニッポンはどうなっていくのだろうと日本中の人々が不安に思っているのではないでしょうか。
そんなモヤモヤを吹き飛ばしてくれるような、見終わった後に爽快感・安心感を覚えるような内容になったらいいと思います。ニッポンに生まれて育って良かった、これからもニッポンを好きであり続けよう、皆で助け合って暮らしやすいニッポンにして行こうと感じられるような気持ちにさせてくれるような番組を期待します。

【日本テレビ報道局 『 newsevery. 』 チーフプロデューサーの感想】

『ダイジョウブ!ニッポン』わかりやすくて、広い世代に関心を持って戴き、親近感が持てる「情報番組」というのは、まさに私たちが制作したいと思っている番組です。特に、「わかりやすさ」はいま、ニュース・情報番組に求められているキーワードです。私たちはニュース番組を作るときに「中学生はわかるかな?」「両親は理解するだろうか?」と、日々問いかけながら、悪戦苦闘しています。この番組の企画者は、その点を鋭くついています。
キャスティングでも、多くの人が挙げた「池上彰さん」ではなく、西田敏行さんや、中川翔子さん、大泉洋さん。センスが光ります。
しかし、一番素晴らしいのは、不安が多い日本の閉塞状況の中で「爽快感・安心感」を得られるような番組にしたい。「皆で助け合って暮らしやすいニッポンにしていこう」という気持ちになる番組にしたい。と、「希望ある企画書」になっていることです。
私たちも、この点は参考にして、報道したいと反省させられました。

【TBS報道局 『報道特集』 プロデューサーの感想】

『ダイジョウブ!ニッポン』思わず、うなってしまった。私たちと同じ問題意識が提示されているからだ。今の日本は本当に元気がない。何十社受けても内定がもらえない。技術力を誇っていた日本の代表企業が韓国や中国の企業に追い抜かれる。失われた20年の間に、気がついてみれば日本はさまざまな分野で落ち込んでしまった。
その原因のひとつに日本人の内向き志向が挙げられている。留学なんて面倒、アフガニスタンで何が起こっていようと無関係、興味は自分の周囲50メートル、そして厳しい現実への諦め。こんな状況にテレビは何ができるのか、まさにそんな問題意識から私たちの報道番組では年末に『内向きニッポン。今そこにある危機』(仮題)といったスペシャル・バージョンを考えている。
「見終わった後に爽快感・安心感を覚えるような内容」という提案だが、まずは起きている現実に向き合うことから始めたい。「問題先送り」ばかりの政治家たちを反面教師として…。

【テレビ朝日報道局 『報道発ドキュメンタリ宣言』 プロデューサー 『朝まで生テレビ』 チーフプロデューサーの感想】

『ダイジョウブ!ニッポン』なにより番組タイトルが良いですね。暗いニュースが毎日繰り返し流れるなかで、「モヤモヤを吹き飛ばしてくれるような」番組を作りたいという姿勢がひしひしと伝わってきました。タイトルって、番組を作るうえでとっても大事なもので、僕らが新しい番組を立ち上げるときも、最初の段階で大勢のスタッフが何十個も案を持ち寄り「ああでもない、こうでもない」と話し合って決めています。いわば「番組の表紙」で、成功のカギを握る大きなポイントなんです。
内容面の「皆で助け合って暮らしやすいニッポンにして行こう」というコンセプトも前向きで良いと思います。あとはどうやって「ダイジョウブ」な思いを視聴者に伝えるか…具体的なプランを煮詰めていくと、より本格的になってくると思います。

企画2.タイトル 『9時ちょっと前NEWS』 (山形・中学2年女子)

【番組の内容】

午後8時55分からやる番組で、9時までの5分間です。9時から始まるドラマの前のニュースだと、天気予報など見ていてあまり面白くないものです。そのドラマの前に時間に、みんなが見てくれるような面白い番組をすることで、ドラマの視聴率にもつながると考えました。
「今日のNEWS」その日に起こったニュースを、政治、経済、社会などさまざまなジャンルのものを1分間でまとめて話します。次に、その中でも目立ったものを1つ選び、図などを使って2分半くらいで解説します。そのとき、内容、原因、結論、プラス(+)というように、4つの観点から見ていきます。プラスとは、その問題についてもう一つ、豆知識みたいなものです。
月・水はスポーツ、火・木はエンターテインメント、金曜日は1週間のまとめをやります。金曜のまとめとは、その週をにぎわせた全ジャンルのニュースを1位、2位、3位とまとめて発表します。順位は投票で決められるようにします(データ放送やインターネットと連携して)。最後に天気予報(普通に)、明日は何の日?(例えば、ポッキーの日などのように)をやって終わります。
5分間しかないため、ワサワサするかも知れないけれど、敢えて静かな感じの女性アナウンサーにしてもらう。ニュースは、たくさんの解説、分かりやすい解説があった方が分かり、見たいと思います。今までになかったような番組を作り、興味を広げることで、ニュースが広まっていくと思います。

【フジテレビ情報制作局情報制作センター『とくダネ!』チーフプロデューサーの感想】

『9時ちょっと前NEWS』企画提案を読ませて頂いて、純粋にこのような番組があったら見てみたいなと思いました。実際、今でもほとんどの局では毎日午後8時55分付近に5分程のニュース枠がありますが、いずれもストレートニュースです。
この企画書では、気になるニュース&解説からプラスの豆知識、天気予報そして明日は何の日、と、情報エッセンスが濃縮され、またそれを静かな女子アナが展開する…という一つの情報番組の世界観になっています。
番組作りで、まず重要なのは、放送する「時間帯」と、「視聴者層」です。この企画は、夜、家でくつろいでテレビを見ている比較的幅広い年齢層の人たちに対して、無理のない長さで「押さえておきたいニュース情報」を見せてくれる…という狙い・目的がはっきりしています。
特に、翌日の準備もあり、夜10時、11時の本格的なニュース番組ゾーンまで待てないという人たちにはとても「お得な」存在にもなります。
また、重要なのは「番組タイトル」です。『9時ちょっと前NEWS』というネーミングは、一見してどのような番組なのかわかり、肩の力を抜いて見ようと思わせる「遊び心」もあります。

企画総評

【NHK報道局プロデューサーの感想】

今回、印象に残ったのは、中高生の皆さんの「自分たちの意見を伝えたい」という思いの強さです。タレントではなく、自分たちのような”素人の学生”を登場させようという提案がたくさんありました。社会の矛盾や課題を”自分たちの問題”として考えたい、そんな意気込みにあふれており、意識の高さを感じました。また、リアルなものを見たい、伝えたいという思いも強く感じました。修学旅行など、自分たちの日常を題材にした提案が多かったのもそのためだと思います。どちらも番組作りの上で大切なことであり、中高生の番組を見る目の確かさ、厳しさを痛感しました。1本1本の提案からは、中高生が今の番組に満足していない現状が感じられ、制作者として、反省させられることも多かったです。

【テレビ東京報道局 『カンブリア宮殿』 プロデューサー】

身近な情報源としてのテレビ―その変わらぬ存在感を、皆さんのレポートを通して感じました。大人気の池上彰さんやお笑い芸人を、作りたい番組の出演者として挙げる人がとても多かったからです。
中学2年生が書いてくれた、ある番組の感想が心に残りました。「世界的に見れば小さな国だけれど、一人一人が違う暮らしを送っているなんてすごいなぁ」「全ての人たちに会える訳ではなく、死ぬまで知らない人生がたくさんあるのだなと思うと少し寂しくなります」。そして彼女が提案してくれたのは、素人が作るドキュメンタリー番組。いっそ、作り手は全員中学2年生にしたら!?若い感性や社会への問題意識で作り上げる番組、見てみたいです。テレビは社会の隅々のことを伝える「窓」ですから。ミニ枠で放送というアイデアも、実現性が高い気がして素敵だと思いました。私も皆さんの様々な思いに応えるような「社会の窓」としての番組作りに、挑戦していきます。

その他の審議内容

東京キー局及び地方局との交流等を含め、来年度の委員会の活動計画等が提案され、次回委員会以降引き続き協議することとなった。
また、事務局より、総務省「今後のICT分野における国民の権利保障等の在り方を考えるフォーラム」の終了を受け、同報告書の概要の説明を行った。

第117回 放送と青少年に関する委員会

第117回 – 2010年11月

視聴者意見について

中高生モニターについて

第117回青少年委員会は11月24日に開催され、10月16日から11月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に、ドラマの番組宣伝スポットについて視聴し審議したほか、11月に寄せられた中高生モニター報告についての審議が行われた。

議事の詳細

日時
2010年11月24日(水) 午後4時30分~6時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

フジテレビ『ストロベリーナイト』(11月13日放送)の番宣スポットについて

土曜日の夜9時から放送されるドラマの番宣スポットに対し、「子どもが見られる時間に暴力的で残虐なシーンが放送され配慮が足りない」等複数の批判意見が寄せられた。当該局では同様の意見が寄せられたことから、放送の数日前から内容を差し替えたスポットを放送する対応をとっており、委員会では”差し替え前””差し替え後”のスポットの内容を視聴し、”差し替え前”のものについて審議した。

【委員の主な意見】

  • 冒頭のシーンには大人の私でも驚いた。この番組だけではなく、最近、番宣がとても刺激的になっている感じがする。放送局は、番宣はただ刺激的な映像をつなげばよいというものではなく、本編同様、子どもたちへの配慮や放送時間などに関する制作者への教育など、事前チェックの体制を取るべきではないか。
  • 番組はラ・テ欄などであらかじめ見る見ないが決められるが、番宣は視聴者の目にいつ飛び込んでくるか予測できない。また、放送時間がほんの一瞬で、ストーリーのない中で凄惨な映像がより深く印象に残ってしまうので、一層の配慮が必要だ。
  • 最も刺激的な映像を安易に選ぶ傾向にあるが、制作者は番宣で本編の中身を工夫してうまく伝えるという義務を怠っている。視聴者意見にもあるように、あの番宣を見て本編を見たくなくなるという逆効果があるのではないか。
  • このような傾向が引き続き見られるようになると、かつてあった”R指定論”のような議論が再燃しかねず、欧米で見られるガイドラインの作成等、制作者にとって窮屈な状況が起きかねないことを危惧する。

【ドラマ本編についての委員の参考意見】

  • ストーリーの中で見れば大人は受け止めることができると思うが、子どもには刺激が強すぎる。
  • 暴力表現に必然性が感じられず、夜9時過ぎの放送ではあるがコンセプトに無理がある。
  • 正常と異常の境目や生と死など骨太のテーマがあり、考えさせられる点を含んでいると感じた。

以上の審議を踏まえ、委員会としては各委員の意見をBPO報告に掲載するとともに、番宣スポットについて視聴者から意見が寄せられていることから、引き続き注視することとした。

中高生モニターについて

9月~11月は「報道・情報・ドキュメンタリー番組」のジャンルを取り上げている。11月は、「ニュース・情報・ドキュメンタリー番組」の企画を考えてもらった。今の中高生たちが知りたい情報とは何か、どんな事柄に興味があるのかなど、28人から提案が届いた。

【モニターの主な意見】

まず、全体的に多かった意見は「中高生向きのニュース・報道番組が欲しい!」というものだった。タイトルでは、『CTAJ(Children,Think About Japan.)』、『これを見れば世の中の事まるわかり』、『ニュースタイム真っ最中』など、独創的なネーミングを考えてくれたモニターもいた。
「僕が考えた番組は『激論!!学生vs話題の人』というもので、普通の高校生や大学生が話題の政治家や事件の当事者などと討論する番組です。司会は田原総一朗さん、解説はやはり池上彰さん、そしてアシスタントとして学校の先生にも出演してもらう。今のニュースでは大人たちの報道・情報しかありません。世の中には学生たちもいるのだ、僕たちもいろんなニュースに対してたくさんの意見を持っているのだということを知ってもらえる番組ができたらいいなと考えました」
「以前に放送されていた、ひとつの場所を3日間(72時間)にわたって特集するという『ドキュメント72』に似たものを考えました。例えば、ネットカフェやコンビニ、サービスエリアなど、同じ時刻のさまざまな場所を同時に取り上げます。12月1日を例とすると、午後11時のコンビニや公園、居酒屋など、まったく同じ時刻だけれど、それぞれの場所でいったい何が起こっているのか、ややマニアックな番組ですが興味深いドキュメンタリーになると思います」。
報道情報番組の企画はなかなか難しいという意見も寄せられた。「ニュース・情報・ドキュメンタリー番組は、”情報の客観的伝達”が意外と難しい。特にニュースは、めまぐるしく入ってくる情報を早く、冷静に、正確に伝えなければならないため、テレビ局や記者の意向が強く表れる。前回、視聴者参加あるいは双方向番組を考えて企画したが、評価はいまひとつだった。なので、情報の伝達方法など現在もいろいろ検討中です」。
また、今回の特徴のひとつに「スポーツ番組」の提案が多かったことがあげられる。特にクラブ活動で運動部に入っている中高生にとってスポーツは興味のある分野である。
「私が企画する番組のタイトルは『みんなのスポーツ』です。内容は、毎日行われている野球、サッカー、バレーボール、水泳、卓球、テニスなど、あらゆる種類のスポーツについて取り上げるものです。企画を立てた理由は、私が水泳を習っているからで、練習を頑張り大会で成果を発揮できるようにしています」
「僕は野球部に入っているので、もっとスポーツの分野を知りたいと考えています。野球はいろんなチームが戦って、勝ったり負けたり、いろいろな戦いが繰り広げられています。また、難しい情報については、詳しい人に細かいところまで分かりやすく解説してほしいです」「サッカー専門の番組というと、以前は『S☆1 スパサカ』と『やべっちF.C.』がありましたが、現在、全国ネットでは『やべっちF.C.』のみです。CSやBSでJリーグ専門の番組はありますが、Jリーグは地域に根ざすことが目標なので、やはり地上波で放送してもらいたいという願いがあります」など、地域の中高生を含めて5人から提案が寄せられた。
一方、女子からは「政治・経済・国際・社会」のことをもっと知りたい、分かりやすく解説してくれる番組が見たい、作りたいという意見が7人から寄せられた。
「私は、政治・経済・国際・社会・科学文化・スポーツ・芸能など、さまざまな分野のことを知りたいです。また、政治・経済・国際などの情報は難しく複雑なので、フリップや図表を使って基本から解説してほしいです」
「私は家族みんなが集う時間帯に『ダイジョウブ!ニッポン』という情報番組があったら…と考えました。直近の一週間の外交・事件・事故・政治・経済について小学生や政治経済に興味のない若者や主婦でも簡単に分かるような内容がいいと思います。今は教育・就職・税金・年金・老後…いろいろな問題が多すぎて先行きが見えず、これからニッポンはどうなっていくのだろうと日本中の人々が不安に思っているのではないでしょうか。ですから見終わった後に、ニッポンに生まれてよかった、これからもみんなで助け合って暮らしやすいニッポンにしていこうと感じられるような気持ちにさせてくれる番組を期待します」。
また、5分のミニ番組の提案も寄せられた。「私が考えたのは午後8時55分から9時まで5分間の『9時ちょっと前NEWS』です。9時から始まるドラマの前に、その日に起こった政治、経済、社会などさまざまなジャンルのニュースを1分間にまとめて放送する。次に、その中でも目立ったものを1つ選んで図などを使って2分半くらいで解説します。そのとき、内容、原因、結論、プラス(+)というように、4つの観点から見ていきます。プラス(+)とは、その問題についてのもう一つの豆知識みたいなものです。5分間しかないため、ワサワサするかも知れないけれど、今までになかったような番組を作り、興味を広げることで、ニュースが広まっていくと思います」
「私が考えたのは”日本に住んでいる”という条件で無作為に人選し、その人の日常をプロのスタッフではなくて、その人もしくは家族や友人などの素人が撮影する『自由なドキュメンタリー』を考えました。もちろん編集はプロの人にお願いします。放送は多くの人に見てもらえるようにゴールデンタイムの人気番組の合間の5分程度のミニ番組がいいと思います」。
そのほかに寄せられた企画。「僕の企画は『どこへ行く?僕たちの修学旅行』という2時間の特別番組です。僕の高校では生徒の有志が集まって数種類の修学旅行の企画をまず立て、最終的に3種類のコースの修学旅行を決定します。毎年行くから今年もここ、という修学旅行が多い中で、生徒が自主的に資料を調べたりしてコースを決定するのは楽しいものです。そこで、全国の高校生に旅行先の企画を立てて実際に旅行してもらい、その様子をドキュメンタリー形式の番組として放送する。地デジのデータ放送を利用して「最優秀賞」「ハプニング賞」など、視聴者が投票すれば面白い番組になると思います。番組を作る費用も、旅行自体は参加する生徒が支払うので同行する撮影スタッフと司会の費用がかかるくらいです」
今回目立ったのは解説者の起用についての提案で、池上彰さんをという意見が7件、そのほか、小倉智昭さん、宮根誠司さん、村尾信尚さん、青山和弘さんという名前もあがっていた。
なお、今月は委員による「キラ★報告」は選ばす、NHKを含む在京民放各局の「報道・情報・スポーツ・ドキュメンタリー番組」の現場の方に中高生の企画を読んでもらい、ご意見・ご感想を寄せてもらう。

【委員の所感】

  • 自分たちの体験に基づいた提案、例えば「自分たちで体験する修学旅行」の企画など、今の中高生たちが何を考えているかを知る手がかりになるのではと感心させられた。
  • 受験に必要な時事問題や、政治・経済・国際問題について解説してほしいという意見など、知識欲が旺盛な様子もよくうかがえた。また、それを5分~10分程度のミニ番組で伝えてほしいという提案などは、実現可能な企画だと感じた。
  • 『週刊こどもニュース』がなくなるようだが、子どもたちだけが見る「ニュース・報道番組」というのはなかなか難しいものだと思う。ただし、子どもの目の高さ(目線)で作る番組というものもあってもよいのではないか、子どもたちの”本当の生活”を知るドキュメンタリーも大切ではないかと考えさせられた。
  • 情報が氾濫していたり国際情勢が複雑になっていたりして、中高生たちが理解しやすい解説を求めていることがよく分かったが、解説者としての”池上彰現象”には驚かされた。また、「ネットカフェなどの同時ドキュメンタリー」の企画など、自分たちが制作にかかわりたいという要望が強いこともよく分かった。

第116回 放送と青少年に関する委員会

第116回 – 2010年10月

視聴者意見について

中高生モニターについて

第116回青少年委員会は10月26日に開催され、9月15日から10月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に、深夜放送のアニメ1番組について視聴し審議した。また、10月に寄せられた中高生モニター報告について審議したほか、調査・研究についての経過報告が行われた。

議事の詳細

日時
2010年10月26日(火) 午後4時30分~6時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

深夜帯放送アニメ番組『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』
第1回放送分について(全国9局放送)

10月から始まった当該番組の第1回放送分について、「中学生の少女がアダルトソフトマニアという設定が反社会的で、子どもに悪影響を与える」などの批判意見が視聴者から多数寄せられ、番組を視聴の上、審議した。委員会としては、全員一致で放送表現や内容について特段問題にすべき点はないとした。ただし、2回目・3回目を視聴した委員から、「ストーリー展開の中で、中学生がアダルトソフトを所持することの正当性のロジックが巧妙に組み込まれており、これを受けた子どもたちへのセールスプロモーションにつながる恐れがあることを危惧する」との意見があった。

中高生モニターについて

9月~11月は「報道・情報・ドキュメンタリー番組」のジャンルを取り上げている。10月は、最近特に注目した「ニュース・報道」は何だったか、なぜそのニュースや報道に注目したのか、その情報の伝え方が分かりやすかったか、理解しやすかったか、その理由は?また、取り上げ方や伝え方がおかしいとか、疑問点などについて意見を求め、28人からレポートが寄せられた。

【モニターの主な意見】

今回、最もレポートが多かったのは、チリの鉱山落盤事故で地下700メートルに閉じ込められていた33人の作業員全員が無事救出されたニュースだった。
「僕は救出されたニュースを見て、”報道番組の力”というものを強く感じました。僕がこの事故を初めて知ったとき、南米のチリで起こったことだから1回の報道で終わると思っていました。しかし、70日間にもわたってその救出劇が放送されるとは思いもしませんでした」「今回の報道は今までに見たことのない光景で、世界が一つになったと感じました」
「各局の報道を見ていましたが、中でも(1)なぜ事故が起こったのか(2)なぜ全員生き延びることができたのか、という”私のなぜ?”を解説してくれたのは『ズームイン!!SUPER』で、チリ大使館に行って話を聞いたり、図を用意して”もしもの時の避難所があったんだ”と解説してくれたり、よく理解することができました」など、感動したという報告が多数寄せられた。
一方、「生中継は学校で見ることはできなかったが、夜のニュースを見て感動した。ただ皆同じ報道で、もっと違った視点(レスキュー隊の素顔、事故原因の追究や再発防止)の報道をすべきだと思った」「私は今回のようなニュースは苦手なため避けていたつもりだったが、いちばん印象に残った。だが、新聞やテレビは”大変だ”と煽り、救出の際は感動話として取り上げているが、事故を繰り返さないように詳しい原因追究をするとか、大規模なショーなのでは?と疑ってみるとか、違った視点から見ることも必要なのではなかろうか」という意見も寄せられた。
次に意見の多かったのは「尖閣諸島問題」である。
「尖閣諸島問題で中国がどうしてこうまで日本を追い立てるのか私には理解できません。『中国人は日本人が嫌いなの?』と母に聞いても『戦争の恨みじゃないの?』と答えるだけ…。この2週間理解できないままでしたが、10月2日の『ウェークアップ!ぷらす』を見て少し納得することができました。メインキャスターが、自民党幹事長や読売新聞編集委員、内閣官房副長官などに意見を求めたり、拓殖大学の中国人教授による細かい”中国目線”の解説や分析コメントもあったりして、何となく中国のしたたかさが見えてきました」
「僕がニュースを見ていて感じたことは、初めのころは証拠のビデオを公開して、中国が行っていることを日本だけでなく世界中に知ってもらった方がいいという内容だったが、中国がレアアースの輸出を禁止したり、日本人を拘束したりといわゆる対抗措置を取った途端に、”触らぬ神にたたりなし”的な報道に変わってしまい、正直がっかりしました」
「海上保安庁の船に中国の漁船が故意に衝突した事件ですが、日本のメディアはきちんと報道していましたが、中国は自国に不利な報道は流しません。日本の報道番組はこれから先も”真実”で分かりやすい報道をしてもらいたいと思います」などの意見が寄せられた。
「大阪地検特捜部主任検事の証拠改ざん事件」についても複数の意見が寄せられた。
「今ちょうど授業で三権分立について学んでいて、裁判所の章で検察官の役割について知ったばかりだったので、強く印象に残りました。しかし私は朝5時に起きて早く学校に行き、帰ってくるのも20時ころになり、あまり詳しくニュースを見ることができません。なので、一回のコーナーでもう少し詳しく報道してもらえたらと思います」「検事が証拠を改ざんするなど、公平な裁判の証拠品が信用できないものになったことは大変よくないことだと思います。中国漁船の船長の釈放を含め、検察庁に対する信頼が大幅に薄れたことが残念です」
「小沢元民主党代表の強制起訴問題を含めて、事件事故の表面だけを大騒ぎして背景の説明や解説・分析が不十分である。村木元厚生労働省局長の事件もえん罪になる可能性が高かった。報道機関は”真実”を報道してこその報道機関であって、自分たちの報道が間違っていたら謝るべきだと、自分は思います」。
その他、グルメ関連のニュースについて「最近は”ご当地B級グルメ”大会や連休のイベントが紹介され、新しい文化やお店を知ることができるので嫌いではありません。しかし、私が嫌だなあと思うのは、どの局も夕方の報道番組で毎日のようにグルメ特集をやっていることです。しかも内容も同じようなものばかり。夕方の報道特集というのはそれぞれの局が独自の視点で放送する貴重な時間帯であるからこそ、視聴者に必要なテーマを放送してほしいと思います」。
神戸で高校生が刺殺された事件に関するレポートもあった。「高校生の少年が中学生の少女といたところを男に襲われ、彼女を逃がして殺されたニュースはテレビでも新聞でも『彼女を犯人から守り逃がした』『ふだん、とてもいい人』というところばかりが取り上げられた。でも、夜10時に高校生と中学生が出歩いていたということを問題だとする報道や新聞記事を私は見ていない。このニュースを見て第一に思ったことは、親も学校も子どもが遊びに行っていい時間を考えてほしいということだ」。
「押尾学事件」について「僕がこのニュースに注目したのは、有名人に対する初めての裁判員裁判だったからです。毎日、押尾被告の表情がどうだったかとか、ノートにメモをとっていたことなどを放送していましたが、有名人に対する裁判員裁判で熱狂的なファンが裁判員を務めることはないのでしょうか。それと、もっと薬物の恐ろしさも放送してほしかったです。放送は派手なニュースを追いかけるだけで、一時話題になっていた”消えた高齢者”問題は、今はどこへ行ってしまったのでしょう」という報告も寄せられた。

【委員の所感】

  • チリの銅鉱山落盤事故では、作業員全員が救出されたニュースに”感動した”という意見が多かった。なかでも地下に閉じ込められた作業員たちが歌って励ましあった姿と、日本のバス事故で歌を歌って救出を待ったニュースに着目した視点が良かった。
  • 落盤事故関連の報道については、救出劇だけでなく、事故原因や再発防止策を提言したニュースを評価する意見や、報道機関はもっと問題点を掘り下げて”真実”に迫ってほしいという意見にも感心させられた。
  • 尖閣諸島問題では、事件に対する報道姿勢に疑問を呈する意見も目立っていたが、身近な製品が”メイド・イン・チャイナ”であることをきっかけに自分の価値観で日中問題を多角的にとらえ、日中関係が早く改善されることを願う姿勢も高く評価したい。
  • 中学3年の女子と交際中だった高校2年の男子が刺殺された事件に関連して、中高生の外出時間についてもっと親や学校が考えるべきという中学生の意見も傾聴に値する意見だった。

「今月のキラ★報告」 (山梨・高校1年女子)

私は先日、チリの落盤事故の作業員救出作業のニュース(テレビ朝日『サンデー・フロントライン』10月17日放送)を見ました。
チリの落盤事故の作業員救出作業についてのニュースは、どこの放送局でも取り上げられていて、どうせどこも同じだろうと思っていましたが、あるニュース番組では、チリの落盤事故の作業員救出作業についてだけでなく、日本で起こった洪水でバスが流され、人々はバスの上に避難したが、救助するためのヘリが来てくれるのは48時間後という過酷な状況で生き抜いた方たちを取り上げていました。
チリの落盤事故の作業員救出作業と、このバス事故との間に何の関係があるのか気になったので集中してよく見ていると、その2つの事件には「歌」が関係していました。どちらの事件も救助が来るまでずっと歌を歌っていたそうです。この2つの事件を関連して使用したのには「うまいなぁ」と思いました。日本で起こった洪水でバスの上で救助を待つ人々は「上を向いて歩こう」(坂本九の大ヒット曲、永六輔作詞、中村八大作曲)を一人が歌い始めると周りの人々も歌い始めたそうです。私は、この2つの事件から「歌」の素晴らしさと人間の「生き抜く力」「強さ」を感じました。
また、私はこのニュースを見て涙を流しましたが、ニュースでここまで泣けるとは思いませんでした。これからも、こういう感動できるようなニュースが増えるといいなと思います。

【委員会の推薦理由】

「歌」に注目したことがすごいと思います。チリの落盤事故に関しては、朝・昼・晩、大量の映像が流れました。そうしたなかで、日本で起こった洪水で、バスの上で救助を待っていた人たちのエピソードに注目し、共通項が「歌」であることを伝えた報道に感動したセンスを高く評価しました。

第115回 放送と青少年に関する委員会

第115回 – 2010年9月

TBS『リンカーン』制作担当者との意見交換

視聴者意見について …など

第115回青少年委員会は9月28日に開催され、7月委員会で審議したTBSのバラエティー番組『リンカーン』について、制作担当者と意見交換を行った。また7月16日から9月14日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に、バラエティー2番組について視聴し審議したほか、9月に寄せられた中高生モニター報告について審議した。

議事の詳細

日時
2010年9月28日(火) 午後4時30分~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

TBS『リンカーン』制作担当者との意見交換

7月委員会で当該番組に対する視聴者意見を受け審議したが、それを踏まえてバラエティー番組における安全対策や放送表現について、制作担当者と委員との率直な意見交換が行われた。委員からの意見・要望に応答しながら、局側から以下の概要の説明を受けた。

【安全対策について】

番組制作者にとって最も気をつかうところは安全対策であり、不慮の事故を回避するため、危険性があると思われる収録等については万全の対応をしている。収録に際しては社内横断的な委員会を開き、事前に複数の関係者による話し合いを行って、安全性の確認をすることにしている。当該番組についても委員会のほか、独自の「安全概要書」を作成し、スタッフ全員に配付し、その意識を共有している。また収録までに何回もシミュレーションを繰り返し安全性の確認を行っている。現場には医師を含め専門家を配置するなどの対応を行っている。

【放送表現について】

バラエティーには様々な表現形態があり、出演者が体を張ってゲームに挑戦するという内容もその一つと考えている。また、番組では大掛かりな仕掛けを使ったものだけではなく、仕掛けのほとんどないシンプルなお笑いも追求している。今回の放送で視聴者から”不快”と指摘された箇所については、放送後、社内で速やかに議論が行われた。放送前には毎回、プロデューサーを含め、複数のスタッフが視聴し、番組内容について意見を出し合い、再編集をするなどの作業を行っているが、当該放送については、不快に思うという視聴者意見等を受け、編集段階等で違う表現がありえたという反省が残る。
番組内容については前々回の議事概要を参照。

視聴者意見について

フジテレビ『とんねるずのみなさんのおかげでした』7月29日放送分について

“とんねるずを泊めよう”企画について「悪ふざけがすぎ、パワハラ的である」などの批判意見が視聴者から寄せられ、番組を視聴の上、審議した。委員会としては特段問題にすべき放送内容ではないとした上で、不快に感じる視聴者もいることに耳を傾け、それを払拭して、さらに面白くする演出方法があるのではないかという委員の意見があった。

テレビ東京『ピラメキーノG』9月10日放送分について

出演者が10代のモデルの頭に触れたことについて「痴漢的な行為で、セクハラにあたり子ども向け番組として不適切」などの批判意見が寄せられ、番組を視聴の上審議したが、委員会としては、不快感を抱かせるような放送内容ではなく問題はないとした。また、民放各局には、子どもを対象とした番組は少なく、この時間帯にこういう番組を編成するのはある種のチャレンジであり、大切にしたいという意見があった。

中高生モニターについて

9月~11月は「報道・情報・ドキュメンタリー番組」のジャンルを取り上げている。9月はその中から興味深く感じたり、関心を持ったりした「面白かった番組、好きな番組」についてレポートを書いてもらい、29人から報告が届いた。内訳は報道・情報系の番組に19人、ドキュメンタリー番組に12人から(複数回答あり)意見が寄せられた。

【モニターの主な意見】

報道・情報系の番組では『ズームイン!!SUPER』と『NEWS ZERO』にそれぞれ4人から好評の意見が寄せられた。『ズームイン!!SUPER』には「朝から元気を与えてくれる。飽きない内容、分かりやすい解説で見ていて楽しい。2人の司会者の息がとっても合っていて、わちゃわちゃした感じでなくていい」「司会者がはきはきしていて聞き取りやすく、画面の表示も分かりやすくていい。金曜日のニュース解説は分かりやすく、私にもよく内容が理解できとても勉強になる」「雰囲気が明るく、スタジオのセットもスッキリしていて朝の番組にふさわしい。政治や経済の話題には図表を出して要点を分かりやすく説明してくれるので、最近は政治に興味を持つようになった」。『NEWS ZERO』には「『今日の24時』というコーナーで、その日にあった出来事を時間ごとに分かりやすく取り上げてくれとても見やすい」「CGやアニメを使った解説を多用することで、話題の内容をイメージしやすく理解しやすい」「大きな事件や事故を取り上げるだけでなく、櫻井翔さんの起用が親しみやすく彼のレポートには共感が持てる」などの意見が寄せられた。
そのほか『みのもんたの朝ズバッ!』には「キャスターの意見が明確でいい」、『とくダネ!』には「司会者の解説は辛口だが、取り上げるジャンルが幅広く、時間配分もいい」、『情報ライブ ミヤネ屋』には「おしゃべりのテンポがよく雰囲気もいいし、押し付けがましくないのがいい」という意見があった。
ドキュメンタリー番組では『クローズアップ現代』に3人から意見が寄せられた。「夕食時に興味深いテーマが掘り下げられ毎日見ている」「身近な奨学金の話題から、ダークマター(暗黒物質)という未知の世界まで分かりやすく解説してくれていい」。また『カンブリア宮殿』には、「成功者は人生で一度は大きな賭けをして勝っている。人生を大きく左右させる賭けをするという決断力のある行動ができるなんてものすごくうらやましい」「成功した人物の成功譚を聞くと励みになる。自分も将来、成功者になる」という意見が2人から寄せられた。
そのほか『情熱大陸』には「ふだん接することのできない人物の”素の内面”に迫る密着取材の手法がすばらしい」、『NNNドキュメント』には「老人ホームを舞台にした高齢者の恋愛の話が印象深かった。ただ、放送時間帯が日曜深夜とは遅すぎる」という意見も寄せられた。
また、地域の情報番組『かんさい情報ネットten!』について「身近な話題を関西の芸能人をレポーターにして楽しく伝えていて、紹介された地域に一度行ってみたくなる」という声が寄せられ、ラジオ番組『RADIO DONUTS』には「私が情報番組に求めるものは、元気になれること、情報が分かりやすいこと。この番組では、2人のキャスターのテンポのいい掛け合いが心地よく、朝から元気になれる」という意見が寄せられた。

【委員の所感】

  • 報道・情報番組に求めているのは、一番に分かりやすさだということが読み取れる。確かに、ニュースや情報は分かりやすく、理解しやすいものでなければ意味がない。また、司会者の個人的な意見がはっきりしている方が好まれるのかなと思われる意見もあったが、そういう意見に接したとき、自分ならこう考えるという視点も持ってほしい。
  • ドキュメンタリー番組には、制作者の意図をよく読み取っているなと思われる意見が多く見られた。日曜深夜の『NNNドキュメント』に着目して、素直に自分の気持ちを表現している高校生の報告、人物の動向や生活を取材するだけでなく、その人の「心」や「内なる思い」に”密着”した番組『情熱大陸』を評価した声には感心させられた。
  • レポートを書く前に、情報番組・報道番組・ドキュメンタリー番組の違いを調べてレポートを書いてくれた中学生にも感激した。全体的にはドキュメンタリー番組に関心が高い一方、ニュース・報道に対する際立った意見が寄せられなかった点が惜しまれた。

「今月のキラ★報告」(新潟・高校2年男子)

報道・情報・ドキュメンタリー番組の中で、今年の2月28日に日本テレビで放映された『NNNドキュメント』が印象に残っています。この回のテーマは「老人ホームの恋」(制作:四国放送)でした。まだ17歳の僕に人生がどういうものかは分かりません。でも、この番組で「恋愛」がどういうものかが、分かった気がします。
この回は介護施設で生活する、おばあさんとおじいさんの2組のカップルがクローズアップされ放送されました。1組目は付き合い始めて間もなく、施設の方や娘や息子に反対されている2人のお話でした。もう1組は付き合い始めて10年も隣室で暮らすお2人の話。恋というものは偶然やタイミングなどが重なり合ってできるもの。それはいくつになっても素晴らしいもので、素敵なものである。
しかし、同じ利用者の人や家族、施設の人は白い目で見たり、嫌悪感を持ったりする人もいます。普通なら周囲から温かい目で見られたり、応援されたりします。この違いは一体なんなのでしょう?世間体を気にしすぎて、素敵なものに気付けていないのではないでしょうか。年をとっても恋愛には誰も口出しできないと思いながら見ていました。当の本人たちは何とも思ってないようで、幸せそうに笑顔でインタビューに答えていました。
大好きな者同士、ふたりで笑える。これ以上の幸せなんて見当たりません。恋愛というものは、いくつになっても幸せになれるもの、だと思いました。こんな素敵なドキュメンタリーが深夜に放送されたのが残念でなりません。みんなが見るような時間に放送したら大きな反響があったと思います。

【委員会の推薦理由】

老人ホームでの2組のカップルをクローズアップした番組を見て、10代の高校生が、自分で感じ取った恋の素晴らしさや、老人の恋を白い目で見たり、嫌悪感を持ったりすることに対する批判を率直に書いている点を高く評価しました。

休会

休会 – 2010年8月

休会

8月の委員会は例年通り休会したが、中高生モニターについて持ち回りで審議した。8月に寄せられた視聴者意見については9月委員会で審議する。中高生モニター報告の概要は下記のとおり。

中学生モニターについて

8月~11月は「報道・情報・ドキュメンタリー番組」がテーマだが、8月は担当委員からの提案で、NHKの土曜ドラマ『チェイス~国税査察官』(全6回)を見てレポートを書いてもらった。この作品はドラマという形式をとっているが、「報道」「情報」「ドキュメンタリー」の要素が多く含まれており、現代の国際化社会の一断面を中高生たちがどう視聴し、どう感じたか、率直な意見を求め29人から報告が届いた。

【主なモニター意見】

まず、多くのモニターが書いてきたのは「国税査察官」や「タックスヘイブン(租税回避地)」という言葉を初めて聞いたということだった。また、”難しいドラマかな?”という印象を持ったようである。しかし、第1回を見終わっての感想では、「早く次の回が見たい!!」と思った中高生も多かった。
高校1年女子の感想。「国税査察官という仕事を私は初めて知りました。ドラマの前半は査察官のドキュメンタリーのようでした。査察官は正義感・責任感が強く家族にも業務内容は守秘しなければならないこと、査察官の業務にも領域があること、脱税者の心理や挙動までも読み取る冷静さが必要であること…とにかく大変な業務であることを知ることができました」「1回分見終わる度に、『早く次が見たい!!』と毎回思う作品でした。仕事と家族の事件の関係が少しずつ明らかになっていく様子に、とてもワクワクしました。”脱税”“復讐”といったものがテーマになったこの作品は、『人間って、こんなに恐かったっけ?』といった”人間の裏の一面”の世界に引きずり込まれていくような作品だと思いました。ストーリー展開や役者さんの演技が素晴らしかったからだと思います」「”お金”というものは、やはり魅力的なものです。生きていく上では、必要不可欠なものだと思います。多く持っていれば、裕福な暮らしができ不自由のない生活を送れるという考えはきっと誰しも少しは持っているのではないかと思います。それ故なのか、お金に関係した事件も頻繁に起こっています。この作品を見て、”お金”が人類に及ぼす影響は計り知れないほどだということを改めて実感させられました」。
一方、中学生のモニターからは「難しい」という反響も何件か寄せられた。
「私は、国税査察官や脱税については正直言ってよく分かりませんでした。なので、このドラマを見ていても『この人ヒドイ!』とか、『詐欺師だとしてもかわいそう』とか、そういうことしか考えられませんでした。もともとの知識がない人がこのドラマを見ると、最後までそうなってしまう気がします。ドラマ形式というところまではいいのですが、内容が大人向けということもあって、私たち中学生はあまり知らない言葉もサラサラ出て、集中して見ることができませんでした」「第1話はインパクトがあり、第2話も何となく理解できましたが、その後の話は何かピンときませんでした。描写も内容も大人っぽいという印象を受けました。国税査察官の生きがいをクローズアップするのはいいのですが、もう少し悪質な会社との戦いや査察官の一日など、庶民に法人の脱税の悪質性について分かりやすく伝えてくれるものが見たかったなと思いました。見る前は、そのようなものを想像していました」。

【委員の所感】

  • 日ごろあまり馴染みのないマルサ(国税査察官)と脱税に知恵を絞る経営コンサルタントの国境を越えた攻防劇。中高生モニターには難解なドラマだったと思うが、この作品が言わんとするメッセージを読み取ろう、自分たちの生活に引き付けて考えようという姿勢がよくうかがえた。
  • もともと中高生向けの番組ではなかったので、モニターの評価が分かれるのは当然だと思う。ただ日常生活とかけ離れた事柄に関しては、フィクションにすぎない内容を現実と混同してしまう危険性の高いことを、リポートを読んで再認識した。
  • ほとんどの高校生が、ドラマの趣旨、ねらいを理解し、各自それぞれ自分の今までの人生に重ねあわせたり、新しい視点を獲得したりして感想文を書いていた。感想文に正解、不正解はなく、各自が、自分のなかの”何か(「世界観」「金銭感覚」「人間の正と悪」「欲望」「愛憎」など)”とドラマを結びつけて何かを生み出してくれればいいと考える。

「今月のキラ★報告」(山口・高校1年女子)

脱税者を暴く査察官の複線を張り巡らせた複雑なストーリーでした。何度もハラハラして、1巻見ただけでぐったりするくらい精神的にも深いメッセージ性を投げかけてくるドラマでした。
国税査察官という仕事を私は初めて知りました。ドラマの前半は査察官のドキュメンタリーのようでした。査察官は正義感・責任感が強く家族にも業務内容は守秘しなければならないこと、8階の業務に領域があること、脱税者の心理や挙動までも読み取る冷静さが必要であること…とにかく大変な業務であることを知ることができました。特に脱税者が自宅プールの底に資産を隠していたのを発見する場面は圧巻でした。
報道・情報という面から考えると、ドラマ全体にテレビ・ビデオ・パソコンの映像と音声が使われており、すべてがストーリーの鍵を握っていました。春馬と村雲が対峙するもともとのきっかけとなった飛行機事故の映像を、繰り返し娘がパソコンで見ている場面は悲痛感をかき立てます。残された春馬に復讐の念を抱かせるほどの強烈なものでもあります。
また、後半で歌織が偶然見つけた1本のビデオ、村雲がお化けを見たと言った意味を知り得たこの報道番組、考えてみれば、この番組で死んだはずの母の姿を見なければ村雲はこれ程までに狂った人生を送らなかったかも知れません。
報道・情報番組というものは見る人によっては感じ方・受け取り方も千差万別であり、ほんの数秒の映像やキャスターの言葉一つで、人間の人生までも変えてしまうのかと震撼しました。
このドラマは単に脱税者・脱税コンサルタントと査察官の”チェイス(追跡)”というだけでなく、過去の正と誤、人間と人間の関係までも”チェイス”し続けた、追う者と追われる者の心理戦が斬新でとても良かったと思います。一生忘れないドラマになると思います。

【委員会の推薦理由】

日ごろ馴染みのない国税査察官と脱税に知恵を絞るコンサルタントとの国境を越えた攻防のドラマは、もともと中高生には難解なテーマで、モニターの評価が分かれるのは当然だと思います。その中で、ドラマの趣旨やねらいをよく理解して、視聴して感じたことを自らの言葉で分かりやすくまとめて分析している点を高く評価しました。

【『チェイス』プロデューサーからのお便り】

土曜ドラマ「チェイス」は、国際化する脱税をテーマにした国税査察官と脱税者たちの攻防とその裏の復讐に絡んだ人間ドラマのストーリーです。難しいテーマ・内容にも関わらず熱心に視聴してくれた中高生の方が何人もいたことが印象的でした。
中学生の意見としては「世の中の脱税を取り締まる査察官という職業があること」、「脱税が国際的に行われつつあること」を初めて知った、という情報としての驚きと、「お金を巡るドラマを見て、税金をきちんと納めようと思った」など、道徳的な部分に関心を持った意見が何人か寄せられていたのが印象的でした。
一方高校生になると脱税ということの意味もより理解しているため、ドラマとして純粋に面白く感じたり、のめり込んでみてくれたりした、という意見が多く寄せられていました。
社会性や道徳性に目覚めつつあるこの世代の方々が、税に関心を持たれたりお金というものの存在について考えていただけた、という意味でこの世代の方々により多くみていただけるよう今後意識していきたいと思います。ちなみに2名ほど男子中学生が国税査察官という仕事に興味を持ち、将来の選択肢の一つとしてとらえてくれていたのも印象的でした。

7月のモニター報告のテーマ「バラエティー・クイズ番組、音楽番組」企画に対して、
在京局の制作現場の方から届いたコメント。

企画1.『進め!歴男☆歴女』  (山口・高校1年女子)

司会者:歴史好きな武田鉄矢さん、稲垣吾郎さんほか/出演者:歴女の美甘子さん、高島礼子さん、浅野ゆうこさん、歴男のビビる大木さん、時代劇俳優の高橋英樹さん、歴史漫画家の尼子騒兵衛さんほか。
【番組の内容】
日本史は小学生から大学受験まで皆が必要な知識・教養です。とはいってもなかなか興味が持てない私は歴史が苦手…。また歴史は変わらないと思われがちですが、実は祖父母・両親のころの教科書と現代の教科書では歴史研究の結果かなり変わってきているようです。
歴史は苦手だという視聴者でも分かりやすく楽しめるように、短編アニメーション(忍たま乱太郎の尼子騒兵衛さんの画が馴染み易くていいと思います)を加え、縄文時代から始めて昭和まで各時代を1~3回ずつに分けて構成。ゲストの方は色々な世代の方を迎え、歴男チームと歴女チームに分かれて最後に勝ち負けを競います。どっちが本物?など写真を使った簡単な○×クイズや、歴史教授の教えるマル秘歴史裏話、各地のお城や城下町の紹介、ゲストによるその時代のファッションショーや住居・食事体験など、視聴者も「へえ~、そうだったのか!」と楽しく学ぶことが出来る構成がいいと思います。日本をもっともっと好きになれるような素敵な番組ができたらいいなと思います。

【日本テレビ バラエティ局『行列のできる法律相談所』『世界の果てまでイッテQ!』担当のチーフプロデューサーの感想】
歴史というのは、テレビ番組でも使い尽くされたジャンルではあります。しかも、年配層が好む番組とされてきました。それを、「歴男」「歴女」というイマのフレームでくくった瞬間に、なにかみずみずしい企画に見えてくるではないですか。日本人が基本的に好むものと、ブームがうまく取り入れられているところが番組として魅力的だと思いました。
しかし、「歴女」というとオタクの香りがプンプンして、逆に年配層が拒絶する可能性があります。それを高島礼子や浅野ゆうこを「歴女」のキャスト案に挙げてバランスをとっているところがまたニクイです。タイトルもベタで素敵。企画者はこのバランスを知っていて万人に受けそうな企画書に落とし込んだのだとしたら、テレビというものをわかっている人なんだなと思いました。逆に、素直に自分のやりたい番組として書いたのだとしたら、それはそれですごい才能だと思います。

企画2. 『RRPG リアルロールプレーイングゲーム』 (京都・中学1年男子 )

出演者:プレイヤーは芸能人5~8人で、今回は山手線でプレイするように設定します。/司会者:未定、東京駅の駅長室でプレイヤーの様子を見る。
【番組の内容】
東京駅から始めて、それぞれアイテムを探して山手線に乗る。それぞれ番組専用のケータイ、山手線フリーパス、山手線マップをもらう。次に、28ある駅の中で、もらったケータイに出た3つの謎を解いてアイテムの駅に行ってアイテムを1つずつゲットする。1人ずつ出される謎解きは異なり、全員が違う駅へと向かう。3つのアイテムを集めて、東京駅に1番に戻った人の勝ち!尚、アイテムは駅の内部に必ずあるので、根気よく探すべし。
※ルール:解いた謎解きは返信して答えること。どうしても謎が分からない場合、東京駅に戻りヒントを聞ける(1回だけ)。改札口を出てはいけない。リタイアする場合だけ改札口を抜ける。
PS:山手線に限らず、東京ディズニーリゾートや、USJ、市街地も舞台にしたら面白いと思います。ディズニー、USJならアトラクション、市街地ではお店を探すようにすれば、と思います。

【TBS 『 関口宏の東京フレンドパークII 』 担当プロデューサーの感想】
ふだん、なじみのある場所を自分なりの巨大なアミューズメントパークに仕立て上げる…。「子どものころっていつもこんなことを考えながら遊んでいたな」と思い出しました。子どものころに持っていた柔軟な発想をフル活用できれば、面白い番組になりそうな気がします。ただ、ゲーム番組の難しさは、プレイヤーが感じている楽しさを、どれだけテレビを見ている人たちに伝えられるかということだと思います。見ている人にも共感できるルールや仕組みをいかに上手に設定できるかがポイントになると思います。

企画3.『時の人を追って』 (東京・高校2年男子)

司会:マツコデラックスと森永卓郎/出演者:経済アナリスト数人と、毎回ゲストを招いて進行していく。
【番組の内容】
昔流行っていた芸能人が、今売れなくなってどんな生活を送っているのかを紹介したうえで、どんな節約をしているのか、それでどのくらい浮くのかなどを紹介し、さらにこういう節約、お得な情報もあるということを紹介していく番組。
現在、TBSで放送されている『がっちりアカデミー』は、子どもには難しすぎてつまらないと思うので、自分が考えたこの企画は子どもでも楽しめる番組にしていきたい。子どもが楽しめ、大人も参考になる番組にすること、見た人が友人にその参考になる内容を伝えることでその友人も視聴し始め、どんどん視聴者が増えていき、視聴者にはお得な情報で”得”ができ、放送会社側では視聴率がとれるという両者が得をする番組です。しかし、ネタがなくなってきたら番組を続けることはしない。

【フジテレビ 編成制作局『ごきげんよう』担当ディレクターの感想】
バラエティーの企画で何よりも重要なことは、その企画が「オンリーワン」であること。つまり「他では見たことがない企画」ということです。この「時の人を追って」は、売れなくなってしまった芸能人を追跡するという「他で見たことのある企画」に、その方の節約生活からお得な経済情報を学ぶという面白いアイデアを足して見事にオンリーワンにしています。そしてバラエティーの企画でもう一つ重要なことは、その企画が「シンプル」であるということ。わずか2行で番組全体をイメージさせてくれる彼の企画・構成力、お見事です。

企画4.『笑魂(わらたま)』 (大阪・中学2年女子)

司会者:東野幸治さん、山口智充さん、アシスタントは女子アナウンサー/出演者:若手芸人3組(毎回変わる)
【番組の内容】
視聴者からお題をハガキで募集しておき、その場で誰かが応募ハガキの中から1枚選び、そのお題で即席のコントや漫才など(制限時間5~6分)を3組が披露する。
出演する若手芸人には別番組の収録ということで放送局に来てもらい、到着した時にスタッフにスタジオに放り込まれる。→ドッキリとネタ番組が合体したような感じにする。ネタの打ち合わせをしている様子も放送する。
スタジオにはお客さんを100名入れておき、出演芸人の登場(司会者とのトークも含む)からネタ終了までずっとスイッチを持っておいてもらって、その時点で面白いと思う芸人に投票してもらう。いつ誰に投票・変更してもいいことにして、誰に何票入っているかは常に全員が見ることが出来るようにする。
ネタ終了時に投票をストップして、その日のチャンピオンを決める。チャンピオンになった芸人は、次回の出演者3組を決める権利がもらえる。ただし、絶対に事前に分からないようにする。お題に選ばれたハガキを書いた人には、チャンピオンの私物をサイン入りでプレゼント!

【テレビ朝日 『ロンドンハーツ』『アメトーーク!』担当のプロデューサーの感想】
企画を読ませていただいて率直に思ったことは「理想と現実の違い」ということです。自分も企画を考えたり、詰めていく時に大切にしていることです。どうしても企画というのは、頭で考えるので、現実との差がどうしても生まれてしまいます。なので、その過程で「実際にやったらどうなるんだろう?」と、より具体的にシミュレーションしなければ、実際にやってもうまく行きませんし、演じる出演者にとってもやり難い企画になってしまいます。そして、考える上でもう1つ大切にしているは、「その企画はどうなれば成功なのだろう?」ということです。それを踏まえて、以下のポイントを読んでください。
【ポイント(1) 芸人が即興でネタをやらされて、本当に面白いか?】
芸人さんたちのネタは、じっくりと計算されているからこそ面白いんだと思います。どうやっても、急に設定を渡された即興ネタが、本来のネタを超えることは無いです。僕がシミュレーションするに、笑いが生まれるとしても「すべり笑い」「かみ合わない笑い」「ハプニング」がメインになると思います。もちろん、それはそれで笑えますが、みんながそうでは、番組として意味がないし、ただダラダラしたものを見せられても、視聴者の方も飽きるはずです。
【ポイント(2) 何のために一般審査員はネタ合わせを見る必要があるのか?】
一般の方が裏側を見たいという気持ちはわかります。ただし、やはりそこはシークレットにしてあげたいですし、見られていると分かれば、芸人さんたちは真剣に打合せをせず、観客を意識するあまり、その部分でも笑いを取りに行こうとふざけるでしょう。それはそれで、一時的には笑えても、肝心の「ネタを作る」という作業が疎かになり、結局つまらないネタになってしまいます。
さらに、ネタを作る作業を見ているため、実際にネタを披露する時に、完全に「ネタバレ」になっています。
※以上のことから、理想と現実の難しさが解っていただけたと思います。
【改善案 どうしても「ドッキリ即興ネタ番組」のスタイルをやるなら?】
まず、ネタ合わせは控え室でやってもらい、カメラが入るとしても、放送ではネタバレしないように一部しか流さず、スタジオにいる観客には全く見せません。そして、カメラは無人で撮影し、芸人が少しでも集中できる環境を作り、ネタの完成度を高めてもらいます。
そして、芸人さんたちは普段のコンビでなく、即興コンビにします。本来のネタを超えるものが期待できないので、「組み合わせの新鮮さ」で企画に面白さを加えると同時に、「うまく行かなくても大丈夫」という、芸人さんへの保険をかけてあげることで、ノビノビと演じさせてあげられます。
実はこれ、TBSのゴールデンタイムで時々放送されてきた「ドリームマッチ(10組くらいのコンビがパートナーをシャッフルして、ネタをやる特番)」のスタイルなんです!(ネタ作りを撮影するカメラは無人ではないですが。)面白い番組って、色んな部分が計算されてますよね(笑)。
最後になりますが、この企画を考えた方は、とてもお笑い番組が好きで観ていただいているというのが伝わってきました。そういう若い方が一人でも居てもらえるということ、とても嬉しいです。そして、司会に東野幸治さんってところ、お笑いセンス抜群です!

企画5.『柳田理科雄の空想科学研究所~アニメを大真面目に考えてみました~』
(香川・中学2年男子)

司会者:くりぃむしちゅー、もしくはタカ&トシ、もしくは今田耕司/出演者:ゲストはお笑い芸人など。
【番組の内容】
『世界一受けたい授業』の講師として柳田さんが実際出演されたこともあるのですが、同じような感じで、司会者がいて、アドバイザーの先生として柳田さんが検証し、アニメと現実を比較して、ゲストのリアクションを交えるという構成です。その検証したシーンを再現ドラマにしたり、ゲストに寸劇を演じてもらったりします。また、内容にもよりますが検証を行う前にゲストには、○×の札を挙げて現実にありうるかなどを予想してもらいます。
検証内容は、視聴者から寄せられたアニメや漫画、映画、ドラマの中で当然のようにスルーしているけど、実はおかしい、ヘンテコなところや疑問を検証する事がメインですが、柳田さんの著書の中からのお勧め検証エピソードで番組の最後を締めくくるようにしたいです。僕は小学生の時から空想科学読本の大ファンです。あまりに面白いので、周りのみんなに紹介するとみんな面白いと大絶賛でした。空想科学読本と柳田理科雄さんは、米村でんじろうさんや池上彰さんぐらいのブームになること間違いないと思います。

【テレビ東京 制作局『やりすぎコージー』担当ディレクターからの感想】
まず前提として、企画を書いている人の熱が、この企画に伝わっているところが素敵だと思います。面白い番組を作るにはその番組の制作に携わる人間が、熱を持って番組作りをすることが大切だと思いますので。
あと企画に関してですが、アニメや特撮とかを見ていて「それは無理だろ!」と思うことは僕自身も多々ありました。なので、そこに目をつけてイジルのは面白いなと思います。そんな「無理だろ!」を検証&実験して「やっぱり無理じゃん!」って笑うのも、「現実でもできるんだ!」って感心するのもアリだと思います。またその過激だったり突拍子もない場面の検証&実験を、芸人さんやその道にプロの方にカラダをはってやってもらったら…。
でもこの企画って、ある局でちょっと前にやってたっけ?だとしたら、企画の発想力は現場の僕らと同レベルです。素敵です。将来、お待ちしてます。

企画6.『Speeeed☆Staaaage』 (埼玉・高校1年女子)

【番組の内容】
イントロクイズの番組はたまにやっていますが、アーティストが自分自身の曲のイントロクイズに挑戦している光景はあまり見ないので、新鮮な番組になるのではないかと思います。
現在の音楽番組では、その時期に発表された曲しか取り上げられない場合が多いですが、イントロクイズは短い時間でたくさんの曲を紹介することができます。視聴者には、出演しているアーティストに関する知識はあまりないけれど、「なんか好き」だからそのアーティストの番組をチェックするという人も少なくはありません。この番組では、イントロクイズを通してそのアーティストがそれ以前に発売した曲をたくさん聴くことができるので、視聴者はよりアーティストに興味を持つことができると思います。
しかし、ただイントロクイズをやるだけでは面白さと白熱に欠けると思うので、歌を披露するステージをかけて、2組が対決するというのがいいと思います。この番組には、アーティストが歌を披露するためのステージを、豪華なステージとあまりお金のかかっていないステージの2種類用意します。そして、勝ったアーティストが豪華なステージで歌を披露する権利を得る、というルールです。
正答数では勝負がつかない場合は、答えが出るまでの時間の短さを競います。MCには、鋭いコメント力を持っていて、注目度も高い嵐の二宮和也さんを起用してみたら面白いと思います。もう一人、千原ジュニアさんのような発言力のある芸人さんが一緒だと、なお面白くなると思います。

【テレビ東京 制作局ディレクターからの感想】
「アーティストが自分自身の曲のイントロクイズに挑戦する」という発想が新鮮でした。「ありそうでなかった」”切り口”が番組の企画作りには求められると思います。現在「音楽番組」の”新しい形”が模索されている時代だと思いますが、何にも縛られない高校生だからこその自由な発想が表れていたと思います。また、ステージをかけた2組の対戦形式など更なる展開を考えていることもポイントが高いです。

第114回 放送と青少年に関する委員会

第114回 – 2010年7月

視聴者からの意見について

中高生モニターについて

7月27日に開催した第114回青少年委員会では、6月16日から7月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見をもとに、ドラマおよびバラエティー各1番組について視聴し審議したほか、中高生モニター報告について審議した。

議事の詳細

日時
2010年 7月27日(火) 午後4時30分~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者からの意見について

1.フジテレビ『JOKER ジョーカー 許されざる捜査官』7月13日放送分について

このドラマの放送表現について「子どもの殺害シーンがひどすぎる」「子どもを持つ親として見るに堪えない」といった批判意見が寄せられ、番組を視聴の上、審議した。

【委員の主な意見】

  • しっかりと番組は制作されている。初回なので主人公の幼児体験、犯人の精神性や境遇を説明する必要があり、ドラマとして問題はない。
  • 表現も配慮され、殺害シーンに関しても抑制されており委員会として対応すべき問題はない。
  • 多数の意見が寄せられたのは、子どもが被害者であるということ、映像より音声で殺害シーンが表現されたことがかえって怖いという印象を与えたのではないか。
  • この番組自体に問題があるとは思わないが、最近のドラマには、これまでに比べ過激なシーンが増えている感じがする。ドラマと現実を重ね合わせて見ることも考えられ、青少年への配慮が一層求められる

以上の審議を踏まえ、委員会としては当該番組に問題はないが、最近の傾向としてBPOにドラマの凄惨なシーンや暴力的表現についての意見が見られることから、あらためて青少年への配慮を意識して、番組制作にあたっていただくよう要望する。

2.TBS『リンカーン』7月13日放送分について

番組内で行った5つのゲームについて「危険なゲームで、セクハラ・パワハラ的な内容だ」「(椅子を回転させるゲームについて)出演者が顔面蒼白になっているのに司会者が無視し、大変危険でイジメにもつながる」等の意見が寄せられ、番組を視聴の上、審議した。

【委員の主な意見】

  • 子どもへの影響以前に、危険なゲームの連続で、とても笑って見られる番組ではなく、安全管理という観点から、制作者は何を考えているのか。これがバラエティーとして許されるのか。
  • 面白く笑って見られた。視聴者は出演者が体を張っている姿を見て楽しめたと思う。確かに回転椅子は少しやりすぎかもしれないが、全体としてはそれほどの問題があるとは思わない。
  • 安全管理というより、回転椅子に関して、やはり立場の弱い者がいじめられている印象を受け、視聴者に不快感を与える。この番組の問題はそこにあるのではないか。
  • バラエティーは大掛かりな仕掛けを使わないと笑わせられなくなっているのだろうか。制作者はどういう方向で番組を作ろうとしているのだろうか。

以上の意見のように、委員の番組に対する印象や問題点が分かれたため、委員会としては次回9月委員会で当該番組担当者と意見交換を行うこととした。

中高生モニターについて

今月は「バラエティー・クイズ番組、音楽番組」の中から、「自分の見たい番組」「自分の創りたい番組」の企画を作ろうというテーマで、33人から34本の企画が寄せられた。

【主なモニター意見】

寄せられた企画の内訳は、バラエティー番組が17本、クイズ番組が6本、音楽番組が8本、そのほかゲーム番組とデータ放送連動型番組、ラジオ番組が各1本だった。
バラエティー番組の企画では、視聴者参加型の番組と司会者から番組のイメージを組み立てた提案が目立った。企画『Ordinary Students』(普通の学生たちの意味を込めて、略して『OS』)は、小中学生が主役で、放送局の力を借りてドラマを作ったり学生の流行を追いかけたりしようというもので、かつて放送されていた『学校へ行こう!』(TBS系)を強く意識したものだった。そのほか『お笑いオーディション』という番組は、アマチュア芸人のオーディション番組で、審査には著名な審査員に加えて一般視聴者も参加させたいという提案であった。
一方、タレントを起用した企画には『アリタテッペイ株式会社』『お疲れさまぁ~ず』『柳田理科雄の空想科学研究所~アニメを大真面目に考えてみました』『テリー伊藤の視聴者参加型の番組』などがあった。『アリタテッペイ株式会社』はくりぃむしちゅーの有田哲平を社長にアンタッチャブルの山崎弘也や有吉弘行たちを社員に、台本なしの企画をプレゼンして実現させようというもの。放送時間帯も仕事帰りのサラリーマンや、ちょっと夜更かし好きな中高生のために午後11時台を設定。さらに昨今の経済状況を考慮して、豪華なセットは使用せず、ゲストも人気者はあまり呼ばずロケ費用も節約することが注意事項として付記されていた。また『お疲れさまぁ~ず』という企画は”ゆるキャラ”のさまぁ~ずと”天然ボケ”のふかわりょうを起用して、仕事帰りのサラリーマンをターゲットに肩の力をぬいたトーク番組はいかが、というものである。
そのほか、最近お笑い系の番組が終了したこともあり”お笑いバトル”をテーマにした企画『最強・最笑の芸人グランプリ!!』や素人が芸を競う『お笑いオーディション』、お笑い芸人が仕切る『アドリブおとぎばなし』というものや、タイトルに凝った『笑魂(わらたま)』『キャラなぞ!?』といった企画も寄せられた。
次に、ドキュメンタリー風バラエティー(仮題)『大志、エキスパート』という企画や、クイズを交えた『飛行機マニアックTV』『進め!歴男・歴女』といった自分の趣味や学習につなげたいという企画、もっと中高生に身近なクイズ番組『小学生から大人まで楽しめる ザ・クイズショー』といった企画も寄せられた。
今回、特に目立ったのが音楽番組である。なかでも、かつて放送されていた『三宅裕司のいかすバンド天国』のような視聴者参加型の「バンド番組」という提案が3人から寄せられた。そのほか音楽イントロクイズをより充実させたいという『Speeeed☆Staaaage』、ジャニーズやアイドルによりスポットを当てたいという『じぇい!』や『Music and Talk』という企画もあった。
また、来年に迫った地上デジタル化に対応した「データ放送連動型の新番組」や中高生のリスナーが多いことからラジオ番組『Love School』という提案が寄せられた。この番組には「昼間は学校で、夜は『Love School』で楽しんでほしい」と書き添えられていた。

「今月のキラ★報告」は7月の委員会では選ばず、NHKを含む在京キー局の「バラエティー・クイズ番組、音楽番組」のプロデューサーやディレクターの方にモニター報告を読んでいただき、「この企画いいね」「この発想は実現可能かも…」と思われる企画にひと口コメントをいただきたい旨、要請することとした。

【委員の所感】

  • 視聴者参加型の企画を考えた中高生が目立っていた。内容的には濃淡があるとはいえ、時代の雰囲気や社会状況を反映させたいという企画では「現代の日本には頑張っている人が少ない。将来に期待が持てない」などと分析、「夢や希望が持てる、元気になれる企画を」と考えた提案が印象に残った。
  • 番組ジャンルを超えて目立ったのは、視聴者参加番組の視点でインターネットとテレビを融合させた企画(『テレビでYou Tube』など)や、来年に迫ったテレビの地上デジタル化と連動した企画も若者らしい発想だと感じた。
  • ラジオの市場が縮小し、若いリスナーが減っているといわれる中、日替わりのパーソナリティーと中高生たちが音楽はもとより時事ネタから流行まで多様なテーマをやりとりしようという企画には、自分たちがそこに参加しようという強い意欲が感じられた。
  • 一週間の生活から「仕事の疲れがピークに達する水曜」あるいは「ホッとする週末の金曜」にはどんな番組が適しているか、キャスティングや番組内容を含めてまとめられた企画もあり、サラリーマンなどの生態をよくつかんでいると感心させられたり、テレビ局の収益が伸び悩んでいる事情はとっくに承知と見え、制作コストを心配したりグッズ等の放送外収入を当て込んだりした企画には思わず苦笑いさせられた。

第113回 放送と青少年に関する委員会

第113回 – 2010年6月

視聴者からの意見について

中高生モニターについて

6月22日に開催した第113回青少年委員会では、5月16日から6月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見をもとに、アニメ1番組のラ・テ欄表記について審議したほか、6月度の中高生モニター報告について、担当委員からの報告および審議が行われた。

議事の詳細

日時
2010年6月22日(火) 午後4時30分~6時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者からの意見について

テレビ朝日『ドラえもん』5月28日放送分ラ・テ欄表記について

ラ・テ欄表記に「ドM」という言葉が使われたことについて、「小さな子どもが見る番組には不適切」「子どもに聞かれて説明できない」といった意見が寄せられ、BPOの「ラ・テ欄は放送内容と一体」という考えに基づき審議対象とした。

【委員の主な意見】

  • 制作者がラ・テ欄を作る際、子ども向け番組という意識が欠落していることは、番組制作にあたっても同じことが言えるのではないか。
  • 一般番組と同様な刺激的言葉の羅列で視聴者を引きつけようとするのは、子ども向け番組には不適切だ。
  • 子どもがわからない言葉を使う制作者の’子ども観’のギャップの表れ。子どもたちにわかるような表現をすべき。委員会としては上記の審議を踏まえ、放送された番組内容に問題はないが、子ども向け番組のラ・テ欄表記については、特に「子どもにわかりやすく、子ども番組にふさわしい適正で品位ある表現」を要望する旨をBPO報告およびBPOホームページに掲載することとした。

中高生モニターについて

今月は「バラエティー・クイズ番組、音楽番組」の中で「小学生のころ熱中して見た番組」についての意見や感想を書いてもらい、33人からレポートが寄せられた。

【モニターの主な意見】

今回、最も意見の多かった番組は『学校へ行こう!』の4件だった。「番組でやったゲームを学校でやるのが大好きでした。ゲームは大勢でできるものが多く、今まで知らなかった子とゲームをやって仲良くなることもありました」「この番組は私たちにとって身近に感じる番組で、『私も?6の皆さんに会えるかな』などと思ってワクワクしていました」「『未成年の主張』というコーナーは高校生になったら出てみたいと夢見ていました。ぜひ、復活してほしいです」。今年3月に終了した『エンタの神様』にも3人から報告があった。「この番組は人気のある芸人をほぼ毎週出演させていたし、若手の芸人もブレークさせようとできるだけ多く出演させていたので楽しみだった」「この番組を見ていると『どういう風にやれば人を笑わせることができるか』などと考えて見ていたのですごく面白かった」「似たような番組が増えるにつれて知名度の低い芸人やとても面白いとは思えない芸人が増えてしまい、終わってしまった気がする」。
そのほか複数意見の寄せられた番組のひとつは『水10!ワンナイR&R(ロックンロール)』で、「個性派の芸人が独特のキャラクターを作って楽しめた。ガレッジセールのゴリさんのダンスの上手さに驚かされました」「無条件に笑えて楽しめたので4年以上続いたのではないでしょうか。あのころ面白かった番組はほとんど終了してしまい、是非、復活するよう、制作サイドの方々お考えください」という意見が寄せられた。また『関口宏の東京フレンドパークII』には、「いろいろなアトラクションに挑戦してクリアするごとに獲得した金貨で豪華商品を獲得できるダーツがもらえ、そのゲームが楽しみだった」という意見の一方、「最近はあまり面白いと感じられません。それは長寿番組だからとはいえゲームに目新しさがありません。ですから古くからあるアトラクションをリニューアルしたりするのもひとつの手だと思います」。
そのほか『サタ☆スマ』には「『おっは~』でお馴染みの慎吾ママ、いつも忙しいママをたまには寝坊させてあげたい!というお父さんと子どもの依頼を受けた慎吾ママが、朝ごはんを作るコーナーと、『怒られ侍』が一緒に謝りに行き、一緒に怒られるという内容が面白かったし、もしこの番組が復活したら今でも楽しむことができる」。北海道テレビ放送制作の『水曜どうでしょう』には「この番組をテレビ埼玉の再放送で見ていました。一番好きな企画は『サイコロの旅』で、大泉洋さんと鈴木貴之さんが繰り広げる旅にはとても親近感がありました。早く新作を放送してほしいと思います」。また、『進め!電波少年』には「番組の企画内容がほかにはない面白さがあったので強烈に覚えている。一番有名なのは『ヒッチハイク横断』で、過激だったけどもっと見たかった番組だった」という声も寄せられた。
昔はよく見ていたが、今はあまり見なくなったという番組は『さんまのSUPERからくりTV』で「替え歌のコーナーが圧倒的に面白かったが、最近は素人の人より大物芸人が出てきたりして面白くなくなった」。『行列のできる法律相談所』には「最初のころ”法律問題トーク”が中心で勉強にもなるし、毎週日曜日が楽しみでした。でも最近、法律ではない話が中心になってしまい見ていません」。
一方、昔は見ていなかったが最近は「ニュース・情報番組」などを見るようになったという意見も寄せられた。「『そうだったのか!池上彰の学べるニュース』が面白くためになる番組だと思います。さまざまなニュースを知ることで日本や世界の様子が分かり、公民などの授業で点数が取れるようになるので、ニュースを見ることはいいことだと思います」。「ちょうど家に帰るころ放送しているのが、石丸謙二郎さんナレーションの『世界の車窓から』です。この放送を見ていると本当に旅に出た気分になります。しかし唯一の欠点は放送時間が5分にも満たないミニ番組だということで、せめて15分くらいの時間で放送してほしいです」。
また受験生当時を振り返った意見も寄せられました。「僕は受験生のためテレビをあまり見ることができなかったので、ニッポン放送の『東貴博のヤンピース』を聴くことで話題のアーティストを知ることができましたし、よく笑うこともできました。しかし今、この枠は40代向けの番組となり非常に残念です。今の受験生は疲れきった夜をどうやって過ごすのでしょうか」。

【委員の所感】

  • 小学生のころの視聴体験として、番組内容より、家族と一緒に見たり、友だちと話題にしたりしたことなど、テレビはひとりで楽しむというよりも大勢で一緒に楽しむものだったというレポートが何通か寄せられ、興味深いものがあった。
  • 単純に笑える番組が少なくなって残念という報告と、中高生になった現在では単純には笑えなくなったという報告も何通か寄せられ、成長の過程をうかがわせるものだった。
  • 『学校へ行こう!』など、いまだに多くの生徒たちに支持されていることを考えると、多様なテレビが求められている一方、子どもたちが参加できる番組を熱望していることも強く印象に残った。テレビ制作者は大勢の人々が楽しめるような番組作りをもっと心掛けてほしい。

「今月のキラ★報告」(京都府・中学2年生男子)

僕が小学生のころ熱中して見た番組は『めちゃ2イケてるッ!』です。ナインティナインや加藤浩次さん、浜口優さんなどのお笑い芸人がさまざまな企画を通して視聴者に笑いを届けてくれる番組です。企画の中の一つ「只今参上 色とり忍者」に小学生のころは熱中していました。レギュラー陣とゲストが円になり、最初の人が「色+自由な言葉」を設定して次の人が答える、次はその人が新しいお題を出してまた次の人が答えるという、どんどん回っていく企画です。僕は、芸人さんやゲストが言うお題や答えに腹を抱えて笑っていました。お題にそった答えができないと罰ゲームになります。その罰ゲームの後のリアクションも面白くて僕は笑っていました。
『めちゃイケ』は現在も放送されていますが、中学生になると忙しくなったのであまり見なくなりました。ある日、暇な時間にテレビをつけると「色とり忍者」が放送されていました。僕はそれを見ていましたが、少しも笑うことができませんでした。バカらしいと思ったほどです。おそらく自分の心が発達して、子ども向けだと感じたのでしょう。新しく番組を見たり見なくなったりするケースで、「飽きた」や「面白くなかった」という人が多いと思いますが、それには感受性の発達や変化が関係しているのだと思います。

【委員会の推薦理由】

小学生のころ『めちゃ2イケてるッ!』という番組に夢中になり、お腹を抱えて笑うことができたのに、中学生になって同じ番組に面白さを感じられなくなったのはなぜか。それを自分なりに考えて分析し、率直に表現してくれている点を評価いたしました。

第112回 放送と青少年に関する委員会

第112回 – 2010年5月

視聴者からの意見について

中高生モニターについて …など

5月25日に開催した第112回青少年委員会では、4月16日から5月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に審議したほか、5月の中高生モニター報告および調査研究について、担当委員からの報告および審議が行われた。

議事の詳細

日時
2010年5月25日(火) 午後4時30分~6時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者からの意見について

担当委員および事務局より、今月の視聴者意見の概要の報告を受けた上で審議したが、今月は審議の対象となる番組はなかった。

中高生モニターについて

5月は「バラエティー・クイズ番組、音楽番組」のジャンルの中から、「嫌いな番組、面白くない番組」を選んでその理由を報告してもらい、32人からレポートが寄せられた。

【モニターの主な意見】

今回いちばん意見の多かった番組は『クイズ!ヘキサゴンII』で12件(男子5人、女子7人)。主な意見は、以前のようなクイズ番組ではなく”おバカ”ユニットの歌番組化していることへの批判や、司会者が番組を私物化しているという批判である。「最初6角形で陣組んで、頭のいい人たちの心理戦って感じだったよね? あの感じは好きだったのに…どうなってんの? しかも”おバカ”キャラが流行り始めてからはただの”イジリ”大会になって見ていて飽きる。疲れる。もうちょっと気の利いた答えは出てこないのかって感じ…」
「小さいころから芸能活動していた人を”バカ扱い”して笑い者にして、何がおかしいのか…と思います。”芸能人”という遠い世界のような人々が近く感じるテレビ番組なので、頑張る人々をバカにして笑いをとるのは、よくないと思います」「司会者の趣味としか思えない番組になっている。『◎◎と△△』次は『口口と××』など、次々とユニットを選んで歌を作り、しまいには作詞者本人の口から『名曲です。感動しました』などのオンパレード。もはやワンパターン化しています」 「人を見下して笑いを取ろうとする芸風とお決まりのグループのうまくも面白くもない歌など、内輪受け狙いの番組を制作する姿勢は今はやりの”ガラパゴス化現象”とでも呼ぶより仕方ないのかなと思う」「CDや本など、お金儲けの道具にしか見えない番組になってしまい見苦しい」「ペーパーテストで成績の悪かったタレントをみんなで笑い、画面で『”おバカさん”の思考を探る脳解明クイズ』と小見出しを入れるなど言いたい放題、やりたい放題…。人気のある番組ですから以前のような経済・歴史の脳解明クイズや、古今東西クイズなど趣向を凝らしてもう一度ヘキサゴンの原点に返って直してほしいと思います」。
次に批判的な意見の多かった番組は『行列のできる法律相談所』の4件。「法律をテーマにした番組なのに内容はくだらない内輪話や低俗な内容になっている。なかでも司会者の”出演者たたき”がひど過ぎる。出演者が離婚したとき、元夫が登場するとあおりながらも次週という構成も話題になった」「この番組にかかわらず最近の兆候として、ジャニーズ系やAKB48などの人気タレントを出演させて視聴率を取ることだけに熱中しているように思います。番組を作る人たちには、視聴率を取るということだけではなく、いかに見ている自分たちを楽しませてくれる番組を制作するかということに頑張ってほしいと思います」。
複数意見が寄せられた番組は『いきなり!黄金伝説』、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』、『魔女たちの22時』、『ミュージックステーション』の4番組。『いきなり!黄金伝説』については、「メニューを食べつくす企画ばかりになってつまらない。『3日間サバイバル自炊生活』のような企画を見る方が楽しかった」「店のメニューを食べつくすという企画は、私には食べ物を粗末にしているようにしか見えません。『無人島ゼロ円生活』を復活させてほしいです」。『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』には、「下品なネタ、お粗末なゲーム、そしてお決まりの罰ゲームなど、実にくだらない」「深夜放送ならではのくだらなさも多少は必要だと思いますが、あまりにもくだらな過ぎだと思います。大物芸人を出演させるだけで安心しきって、内容がまったく練られていません。あくまでも視聴者にとって”面白い”番組を作ってほしいと思います」といった意見。『ミュージックステーション』には、「あまりにそっけなさ過ぎ。もう少し見せる工夫をしてほしい」「中学生でも知っている歌手を大勢出してほしい」という声が寄せられた。

【委員の所感】

  • 番組の私物化という意見が多かった。自らがプロデュースしているタレントの歌のセールスプロモーションの場になっている。キャスティングもファミリー化していたり、構成や演出方法もパターン化して内輪ネタや楽屋オチで出演者だけが楽しんでいたりすることへの批判が多かった。中高生たちが番組を冷静に視聴している様子がよく分かる内容だった。
  • 似たような意見が多かったが、番組スタート時の趣旨から外れてきたことへの批判が目立った。インタビューの仕方やナレーション、BGMや視聴者の涙を誘おうとする手法に対して、「それって同情の押し売りでしょ」という厳しい批判など、耳を傾けるべき内容だと感じた。
  • グルメ番組や”食べつくす企画”が増えているなかで、「うまい」「最高」以外の表現ができないタレントのボキャブラリーの貧困さを嘆く声も散見された。
  • 制作費削減のためか、視聴率を稼げる人気司会者や人気グループに頼りきった、換言すれば売れっ子タレントをコントロールできなくなっている「制作現場の劣化」を嘆く声もあり、改めて中高生の感性の鋭さを気づかされる思いだった。

「今月のキラ★報告」 (福岡県・中学3年生男子)

僕は、日本テレビ系列の『秘密のケンミンSHOW』があまり好きではありません。周りのみんなは「面白い」と言って人気ですが、僕はあまりそう思いません。この番組は、紹介された都道府県(地域)にとっては活性化に繋がったり、良い効果が生まれたりするかも知れません。しかし、たまに大げさに表現している時があります。なかでもこんなことがありました。かなり前に自分の住んでいる福岡県が紹介された時、「福岡県ではイソギンチャクを料理して食べる」という紹介があり、これは違うだろうと思いました。実際、イソギンチャクを食べるのは福岡県南部のごく一部の地域であって、この回を見た限りでは県民全員が食べているみたいでした。このことに対して特に悪くは思いませんでしたが、一番気の毒だなと思ったのは本当に食べているその”地域”です。これではその地域の文化あるいは特色が薄れてしまいます。同じ県民でも自分たちの地域とは少し違うところがあるから面白いのに、”××県が”という一言によって「県全体がそう」というように誤って認識され、一番重要視されるべき地域の「珍しさ」「面白さ」が減ってしまいます。視聴者獲得のためなのか、少し大げさなところが面白くない理由です。

【委員会の推薦理由】

番組は、”地域”それぞれが育んできた豊かな文化や慣習を紹介するものですが、一方でその文化が県全体のことのように理解され、BPOにも視聴者から意見が寄せられることがあります。しかし、今回のレポートはそのことは寛容に受け入れた上で、その文化や慣習の特性を失ってほしくないという視点から、”地域”の人々への優しい眼差しで書かれていることを評価しました。

調査研究について

2010年度から2011年度にかけて行う予定の調査研究について、委員4人からなるワーキンググループの議論の報告と、今後の日程等の作業予定について、担当委員から報告し、委員会として了承した。

第111回 放送と青少年に関する委員会

第111回 – 2010年4月

日本テレビ『左目探偵EYE』2月13日放送分の局からの再回答について

テレビ東京『マジすか学園』2月27日放送分の局からの回答について…など

4月27日に開催した第111回青少年委員会では、日本テレビ『左目探偵EYE』、テレビ東京『マジすか学園』の回答について審議した。また、3月16日から4月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見をもとに審議したほか、4月度の中高生モニター報告について、担当委員からの報告および審議が行われた。

議事の詳細

日時
2010年4月27日(火) 午後4時30分~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

日本テレビ『左目探偵EYE』2月13日放送分の局からの再回答について

審議内容および回答については前々回、前回の議事概要を参照。

【青少年委員会からの「再回答のお願い」】

(1) 2月13日放送分について、視聴者意見や委員会での各委員が指摘した”暴力的シーン”の意図及び必然性についてお聞かせください。

(2) 放送前のチェック段階で”暴力的シーン”について、青少年への配慮を含め、どのような意見があり、最終的にどう判断され放送に至ったのかについてお聞かせください。

【日本テレビからの再回答】

(1) について
第4話は、主人公の兄(=犯罪プランナー)が売れないミュージシャンを騙して悪用し暴動が起こるように仕掛ける話です。
悪人達はライブ会場に観客を集めるために、若者なら自然と興味を持つロックの歌詞の中に犯罪の謎解きがあるという噂を流し、好奇心と期待感をかりたててステージに注目させ、非日常的な暴言を繰り返すことで観客を煽ります。
しかし、悪人達の真の目的は、彼らが製造したリストバンドの効果の確認にありました。リストバンドは、高温という条件下で人間の暴力性を一気に高める特殊な構造であり、悪人達はライブ会場の全観客にリストバンドを装着させた後、会場の室温を上げるという人体実験を実行します。視聴者はドラマ終盤の謎解き部分でリストバンドの秘密を知りますが、このようなリストバンドが実在するはずもなく、視聴者はこのドラマが現実にはありえない創作なのだということを明確に認識されると考えます。
人の心は脆く、また、人は集団になると物事の本質を見失いがちです。第4話は、そうした人の心の脆さと人間社会の醜悪な一面を描きつつ、それを傍観しない強い意志を持った主人公の少年・愛之助の生き方を表現する意図で制作しました。
フィクションにおける状況設定はテーマを伝えるためのものです。その意味で「暴力シーン」は、このドラマの意図を視聴者に理解して頂く上で必要であったと考えております。

(2) について
放送にあたって配慮したことは「犯罪」や「暴力」が肯定されないようにすることでした。「犯罪」を描く場合は、その「恐ろしさ」をきちんと伝えると同時に、多くの子供たちが視聴するドラマであることを踏まえ、過度な表現とならないように注意を払います。
第4話についても同様の配慮の下、制作にあたりました。台本について、考査セクションは、放送枠やテーマ等とのバランスを欠くものではないと判断しました。また、制作現場では、作品上の表現に関して、チーフプロデューサー以下、前述の共通認識に立ち、撮影・編集・仕上げ・下見と放送前のチェックを行いました。
例えば、冒頭の主人公の「悪夢」のシーンでは、殺害現場のリアルさを抑えるため映像の構図や質感に工夫し、また、ライブ会場の暴動シーンでは怪我の描写などが生々し過ぎないよう心がけました。
「暴力シーン」は、それ自体が目的なのではなく、その「恐ろしさ」とのコントラストで、主人公が事態を食い止めるために必死に立ち向かう姿をより強く浮かび上がらせるために不可欠と判断しました。そうしたストーリーの展開によってこそ、「犯罪」が許されるものではないことが青少年を含む視聴者の方々にお伝えできると考えました。そして、前述した表現上の配慮を加えた上で放送に至りました。

ご指摘の第4話につきましては放送終了後、視聴者の方々から多くの声が寄せられました。「殺せ」「皆殺し」の歌詞や集団的な暴行シーンなど「恐ろしさ」等の表現に関して、「子供には見せたくない」「犯罪を助長しかねない」などの不快感や懸念を抱かれた視聴者がおられたことは、制作者としての思いを伝え切れなかった現実を示すものとして重く受け止めております。視聴者から頂戴したご意見と貴委員会からのご指摘につきましては、直ちに社内横断的なコンプライアンス担当者の委員会において問題点を提示し注意を促したほか、ドラマの担当セクションにおいても周知し意識の共有に努めております。今後もこうした声に耳を傾けながら、より良いドラマ作りを目指してまいります。

【委員の主な意見】

  • 視聴者意見にあるように過度な暴力的表現は、かつてあったような法的規制の対象視されかねず、自縄自縛の要素を含んでいる。
  • “殺せ、殺せ”と連呼する表現が、子どもたちに如何に受け止められるのかとの認識は不可欠であり、設定の段階からの留意が必要。
  • 委員会の質問に対し、説得力のある回答が得られなかったことは残念ではあるが、社内議論もされており、制作者側も受け止めているものと見られる。

以上の審議の結果、青少年委員会としては、BPOや番組に寄せられた視聴者の意見および青少年委員会の審議を周知し、今後の番組制作にあたっていただきたい旨、BPO報告およびBPOホームページに掲載することとした。

テレビ東京『マジすか学園』2月27日放送分の局からの回答について

審議内容については前回の議事概要を参照。

【青少年委員会からの「回答のお願い」】

(1) 全体的に暴力と血のシーンが突出して多く見られます。出演者は、青少年に人気のあるアイドルグループ「AKB48」を起用されていますが、青少年の視聴についてどう配慮されたかをお聞かせください。

(2) 血みどろのアップやリンチの悲鳴など、暴力シーンを多く使われるドラマの演出意図をお聞かせください。また、ドラマを制作する際に、暴力表現についてどのような意見交換や考査が行われているかお聞かせください。

(3) 民放連の放送基準第9章では、暴力表現について規定しています。とくに65条の留意点に照らして、当該番組の表現について、お考えをお聞かせください。

【テレビ東京からの回答】

元来連続ドラマの場合、1クールを概ね視聴して頂いてこそドラマの意味や意図が伝わるものと考えております。そこで各質問について回答申し上げる前に、まず本ドラマの企画意図及び全体のあらすじを申し上げます。
テレビ東京のドラマ24枠は、ゴールデンタイムよりも自由でエッジの立った企画の場として、2005年秋に立ち上げた枠であり、これまでいわゆるM1層(20~34歳男性)を視聴ターゲットに深夜帯に特化した番組をお送りしてきました。その第18弾となる本ドラマは、時代錯誤的存在である「ヤンキー」をあえて題材とし、漫画調にデフォルメして描いた学園ドラマです。テーマは青春。馬鹿馬鹿しいことにも夢中になれる若い時期を青春の輝きととらえ、アクションとコメディタッチの笑いの中で、「真剣に生きることの大切さ」「仲間との絆」等のメッセージを込めようと意図したものです。

シリーズ全体についてのあらすじは以下のようになります。
一見地味なのに実は喧嘩が最強な女子高生の主人公が、なぜかヤンキーばかりいる「馬路(まじ)須加(すか)女学園」に転校したことによって、勃発する勢力争いに巻き込まれます。しかし主人公は、喧嘩はもちろん友達を作ることさえ避け、感情すら表に出そうとしません。実は主人公には、真面目になろうとしていた親友を、喧嘩のせいで亡くしたという過去があったのです。そのため「真剣に生きる人を嘲笑する」ような、許せない相手にだけその拳を振るいます。辛い経験をした主人公が、新しい仲間との友情によって、再生していくというのが全体のストーリーです。
もちろん主人公は「暴力」によって、過去も現在も傷つき悩んでおり、本ドラマに「暴力」を礼賛するような意図はありません。本作はあくまでも「暴力では問題を解決できない」という立場にあります。
シリーズ全話を、是非、ご覧いただきたく、DVDを送らせていただきます。

各質問に対する回答は以下の通りになります。

(1)について
基本的には深夜12時を過ぎた時間帯での放送であり、青少年の視聴は自ずとある程度制限されていると考えます。またAKBのファンゆえ録画して視聴するような若年層の方々にも、複数話を視聴して頂ければ、本ドラマの「真面目に生きること」や「友情」の大切さといった基本的メッセージは伝わると考えています。事実、放送終了後に番組ホームページや一般のブログ等に載った視聴者の意見は、「感動した」「泣けた」といったものが大勢を占め、その数もドラマ24枠史上では最多となっています。しかしながら、反省点もあります。
AKB48は秋葉原の劇場を活動拠点に、「会いにいける」をコンセプトに結成されたグループです。そのためファン層も公演チケットを購入できるであろう、学生から20代男性を主としてきました。そこで本ドラマも同層を視聴ターゲットに深夜のドラマ24枠で企画、昨年秋より撮影を開始しました。ところが、ちょうどその時期以降、楽曲のヒットや大量露出によってそのファン層が女性やローティーン層にまで急拡大。数ヵ月後の本番組放送時には、企画当初に想定した視聴者層よりも広がりを持っており、それが今回のご指摘に繋がったことは否めません。今後の番組制作にあたっては、より慎重に視聴者構成を検証、特に若年層への配慮を徹底致します。

(2)について
本ドラマの毎回の基本的構成は、主人公が人として許せない相手を喧嘩で倒すというものです。そこで相手となる敵のキャラクターに、漫画的にデフォルメしたバリエーションを持たせるべく、これまで「ギャル」「歌舞伎」「超能力」等の工夫をしてきました。今回はその一環として「ホラー」に設定、「終始笑っている」「倒されても倒されても起き上がる」「血糊」と、あえて怖がらせることを意図しました。
またストーリー面では、全12話をかけて主人公の心が再生するまでを描くという構成の中、前回第7話で、新たな仲間を得たことで主人公の心が少し開きかけました。ところが今回第8話は、その仲間たちが傷つけられることによって、主人公が自らを責め、再び心を閉ざしてしまうという回にしています。一人二人ではなく仲間全員が傷つくこと、また喧嘩を格好良く美化せず、その痛みや醜さを描くことで、主人公が受ける心の衝撃の強さ、自責の念の深さを表現しようとしました。更に前半で仲間たちが順番に倒されていき、後半で協力して戦う過程を描いたため、通常は各話1、2回であった喧嘩のシーンの回数が増え、時間的にも長くなりました。そこにホラー調演出を採ったことが、全12話の中でも突出した印象となった要因と考えます。ただこのホラー調はこの回限りであり、今回登場した敵キャラクターも後に主人公と事実上の和解、「仲間との絆」といったメッセージに収斂させています。
本ドラマは、テレビ東京ではプロデューサー2名が担当、制作会社のプロデューサー3名と共に、台本制作から撮影現場立会い、編集チェック、完成品チェックといったプロセスを経て放送されています。その際、適宜、意見交換、台本についてはプロデューサー以外にもテレビ東京審査部のチェックも受けています。また更に今回は、刃物等で「刺す」「切る」「鮮血が飛ぶ」等、局所的、直接的表現については予め避けていますし、プロデューサーによる編集チェック時にも、過度と思われる暴力表現及び不快さを助長するホラー的表現については、一部カットしています。

(3)について
根底に健全なメッセージを置いた上で「喧嘩」をデフォルメして描く世界観。また娯楽としてのホラー的表現については、深夜帯での放送を前提に意図したものです。また今回の暴力シーンについては、喧嘩によって主人公が心を閉ざすというストーリー上の必然性があることからも、意味の無いシーンとは考えていません。
しかしそれと同時に、一部の視聴者に少なからず不快感を与えてしまったことについては、民放連放送基準を遵守する立場からも、真摯に受け止める必要があります。たとえそれが、シリーズ全体ではなく特定回だけをご覧頂いた視聴者のご意見だとしても同様でしょう。今回ご指摘を頂いたことを契機に、あらためて民放連放送基準を踏まえながら、深夜番組における表現の可能性と限界を再検討、今後、青少年を含む視聴者構成をより慎重に検証することと合せて、番組制作に反映させたいと考えます。

【委員の主な意見】

  • シリーズ全体の中で評価するという論理は今の視聴実態とは乖離している。1話毎に視聴者、特に青少年への十分な配慮をしたうえで制作すべきもの。
  • 全体の中で評価すべきと考える立場だが、トータルで見たとしても、この回のグロテスクさを肯定できるメッセージは無いのではないか。
  • 24時枠で新しい試みかもしれないが、AKB48を売り出すことが目的のように思え、そのために女子高生・暴力という設定だけでドラマは進み、視聴者をひきつけるために暴力をエスカレートさせるという安易さが気になる。
  • ホームページやブログの「感動した」等の意見については、分析して評価すべきであり、そのまま受け止めるのは安易すぎる。

以上の審議の結果、青少年委員会としては、「ドラマ24」という枠の新しい試みだとしても、全体に表現が激しすぎ、想定される視聴者の年齢等について配慮して番組制作にあたられるよう留意すること。また、シリーズ全体で評価すべきか、個別の番組で評価すべきかは議論があるものの、視聴者の意見等を踏まえてその時々で審議の対象にはなりうる旨、BPO報告およびBPOホームページに掲載することとした。

【ドラマ番組の暴力シーン等について】

青少年委員会では”暴力シーン””殺人シーン”のすべてを否定するものではありません。番組もそれぞれ企画意図・演出意図・放送時間帯等が異なり、一律に語られるものでもありません。しかし最近の傾向として、BPOには視聴者からドラマの”暴力シーン”等についての批判意見が多く寄せられています。特に昨今の人気アイドルが主演するドラマには、青少年委員会に多くの意見が寄せられます。ドラマ制作にあたっては、あらためて民放連放送基準第9章「暴力表現」および第3章「児童及び青少年への配慮」の趣旨の理解と遵守を放送局および制作者に要望いたします。

視聴者からの意見について

「中学生の大麻所持」の報道について、視聴者より「大麻等薬物と青少年の関わりが増えている。報道が薬物の怖さをきちんと伝えていないからだ」という意見があった。この件について委員より、ミュージシャンの逮捕や、中国での覚せい剤所持日本人の死刑判決報道も含めて、2009年11月に青少年委員会が出した「青少年への影響を考慮した薬物問題報道についての要望」の多角的報道の視点が生かされているのかという指摘があった。委員会としては「要望」公表後、薬物問題を多角的に扱った番組や放送局の取り組み等があることを認識した上で、「青少年と薬物問題」は今後も継続する重要な社会問題であることから、放送局には引き続き「要望」についての留意をお願いしたい旨、BPO報告およびBPOホームページに掲載することとした。

中高生モニター報告

今年4月から、これまでの中学生に加え高校2年生までの34人に、中高生モニターを委嘱した。4月~7月にレポートを書いてもらうジャンルは「バラエティー・クイズ番組、音楽番組」で、4月は「バラエティー・クイズ番組、音楽番組」の中で自分の「好きな番組、面白い番組とその理由」について報告してもらった。また、毎月のモニター報告の総評に加え、「今月のキラ星報告」を選考し、BPO報告とBPOホームページに掲載することにした。

【主なモニター意見】

今回、好きな番組、面白い番組として意見の多かった番組は、バラエティー番組では『世界の果てまでイッテQ!』、クイズ番組では『クイズ!ヘキサゴンll』で、それぞれ4件だった。『世界の果てまでイッテQ!』では、「イモトアヤコさんが紹介する珍獣たちは本当に迫力があって楽しみだ」「宮川大輔さんが”世界一盛り上がる祭り”に実際に参加してプレゼンしてくれるのがいい」「家族で楽しめるし、世界の知らないことを楽しみながら学べる」などの意見のほか、「この番組が好きな理由は、(1)珍しい動物(2)危険な祭り(3)変わったグルメにある」と分析したモニターもいた。
『クイズ!ヘキサゴンll』については、「世間的には”馬鹿らしい”と批判されがちな番組ですが、子どもはそういう番組をただ単に面白いと思うから見ているのであって、メモを取りながら見ているわけではない」「音楽のプロデュースがすごい。自分もなれるかも知れないと思わせてくれる」「クイズは簡単だが翌日学校で話題になる。トークも面白く明るくさせてくれる」「”おバカ”にあきれることもあるが、家族そろってクイズを答え言い合っている」などの声が寄せられた。
次に意見の多かった番組は『はねるのトびら』で、3人から好評の意見が届いた。「”やや嵐”のコーナーがいちばん好きです。よく企画が練られていて、さすがゴールデンタイムの番組だと思います」「『景気回復プロジェクト』が面白かった。私的には、回転SUSHIのコーナーがいちばん好きだが、つぎつぎに新しい挑戦があって楽しい」「世間的には”イジメの元になる”と批判されがちな番組ですが、子どもたちはただ単に面白いと思うから見ているのであって”イジメはこんな風にやるのか、ふむふむ”なんてメモを取りながら見ている人は一人もいないと思います」。
そのほか複数の意見が寄せられたバラエティー番組は、『飛び出せ!科学くん』『お試かっ!』『しゃべくり007』『VS嵐』。「MCの2人がボケたり突っ込んだりして進行してくれて、大掛かりな実験に挑戦するなど理解しやすい構成になっている」「『帰れま10(てん)』の企画が面白い。出演しているタレントそれぞれの個性も分かって楽しいし、”完食”が決まりなので、食品を無駄にすることもない」「”プレゼン”のコーナーが好きだ。たっぷり笑える番組で、大物ゲストのときは特に面白い」「嵐のメンバーがゲストを交えて対決するコーナーがいちばん好きで、メンバーの仲の良さもよく分かる」という意見が寄せられました。ただ、深夜帯からゴールデンタイムに移設された番組については、面白さが半減しないかという危惧する意見もあった。
クイズ番組では『Qさま!!』に「難問だが勉強になる。特に漢字バトルが好き」「インテリチームが難問を解くスリルが楽しいし、家族揃って楽しめる」という意見が寄せられた。
音楽番組については『うたばん』に2人から意見が寄せられた。「石橋貴明さんと中居正広さんのトークがいい」「番組のセットがいい。ゲストを徹底解剖する構成もいい。この番組は一番アーティストに近く、一番バラエティー性に富んでいる」。そのほか『ミュージックステーション』には「新曲、着うたランキング、最近始まったMQ(エムキュー)もいい」と言う意見が、『全国アカペラ甲子園~全国ハモネプリーグ』には「アカペラに感動した。出演者が多すぎる印象だったが、”ボイパ(ボイスパーカッション)”はすごかったし、これからの可能性を強く感じさせてくれた」という意見も寄せられた。
また、音楽番組ではラジオ番組についても意見が寄せられ、エフエムTOKYOの『au オンエア ミュージック チャート』には、「最新の流行が分かるし、みんなが知らないような裏話が聞けるのがいい」、NACK5の『WARMING-UPMUSIC』には「最新の曲のほかにその日のニュースも取り上げてくれるのでテレビニュースを見る必要がない。また、番組を聴いているリスナーのリクエストを大切にしてくれるところもいい」という意見もあった。
5月は、「バラエティー・クイズ番組、音楽番組」の中から「嫌いな番組、面白くない番組とその理由」について、報告してもらう。

【委員の所感】

  • これまでの中学生に加え高校生の意見を求めたが、あまり大きな意見の違いは感じられなかった。評価する声で目立ったのは「家族で見られる番組」「タレントが実際に体験する番組」などで、そのほか「深夜帯で開発した番組がゴールデンに移行すると冒険的でなくなることへの危惧」の声も複数寄せられた。
  • バラエティー番組について、「お笑い芸人が弱い人を作り出してからかったり、わざとおバカなふりをしたりしますが、学芸会のような身内だけの盛り上がりすぎを見るとTV番組の笑いの沸点が下がってきてしまっているように感じ、とても残念です」という意見に共感した。
  • 最近、ラジオ離れということが巷間いわれているが、ラジオについて熱いレポートを送ってくれたモニターには感心した。音楽ばかりでなくニュースなどの情報を送ることも大切だと思う。
  • 『サラリーマンNEO』についての意見で「”単純な笑い”から”シュールな笑い”まで、1つのネタからこれだけ多くの笑いを出す番組と出会ってしまったら、他のお笑い番組にはハマれません」という意見には驚いたが、中高生たちでも笑いの多様性を求めていることを、ぜひ、現場の制作者たちも知ってほしい。

「今月のキラ星報告」 (神奈川県・中学3年男子)

僕が面白いと思っている番組は、『飛び出せ!科学くん』です。これまでも、バラエティー番組で動物や自然について取り上げるものは前からありました。しかし、そのほとんどがピラルクやコモドオオトカゲなど、”よくあるパターン”となっていました。そんな中、この番組に登場する動物たちはマニアックで、見たことのない動物、それどころか生態が全く解明されていない謎の生物まで出てきます。ですから、前に他のチャンネルで見たと言うような”ガッカリ感”を感じさせません。また、科学実験では一般の人が入れない研究機関の施設を借りて、大がかりな実験を行うこともあり、興味深い内容になっています。
そして、生物の捕獲から科学実験まで、命懸けの危険なものが多いのです。断崖絶壁へ珍味をとりに行ったり、凶暴な鳥のキックを撮影したり、海中で人食いサメに触ったりと、絶叫、口は開きっぱなし…ただ、危険を冒して手に入れた生き物や実験データは、研究者たちも得たことのない貴重なものだったりもするというのが、ほかの番組との違いです。
最後に挙げることといえば、出演者の興奮ぶりです。ふだん生物を扱う番組の出演者の反応は「へぇ~」とか、「すごいねぇ~」で終わってしまいますが、この番組の場合は違います。レギュラー出演の中川翔子さんが「この子に抱きしめられるのが夢だった…」と、タカアシガニを抱きしめ、ついにはネコのお尻の匂いを嗅いで「この香ばしい匂い」とご満悦の笑顔。博物館の倉庫に大好きな生物「スカシカシパン」の標本を見つけてはしゃぎ始める、という反応が新鮮で、次はどんなリアクションを見せてくれるのか、毎回楽しみです。
宇宙から皆既日食の様子を見るために、風船にカメラを取り付けて飛ばしたこともありました。深海生物を採取するため、深海5000メートルにまで行ったこともありました。このような大がかりな内容の番組は他にないと思います。僕は深夜帯の頃から録画して見ていたので、ゴールデン進出は嬉しいのですが、ゴールデンの週一放送となると、同じく深夜番組からゴールデンに進出した『トリビアの泉』の末期のように、ネタ切れで引き伸ばしをするようになってしまうのが心配です。予算の問題もあるとは思いますが、ゴールデン進出を機にもっと面白い番組になるよう、制作スタッフの方々には頑張ってもらいたいです。