第110回 放送と人権等権利に関する委員会

第110回 – 2006年3月

「バラエティー番組における人格権侵害の訴え」事案の審理

審理要請案件「歌のルーツを探る番組で人権侵害の訴え」の扱いについて協議…など

「バラエティー番組における人格権侵害の訴え」事案の審理

本事案は、東京都在住の男性が「2005年6月及び7月に関西テレビで放送されたバラエティー番組『たかじん胸いっぱい』で、当時妻だったタレントの発言によって名誉・プライバシー権の侵害を受けた」と申し立てていたもの。

委員会では、申立人、被申立人双方を個別に招いて直接事情を聞くヒアリングを行い、申立人本人も出席した。あわせて1時間45分にわたって行なわれたヒアリングの後、本件事案について詰めの審理を行い、起草委員会がまとめた委員会決定の草案について意見を交わした。

この中で、「トークバラエテイー番組における名誉毀損」や「当時妻だったタレントの発言」などについて検討し、一部加筆修正を行った。

その結果、「委員会決定」をまとめた上で、3月28日に申立人、被申立人双方に通知し、その後記者会見を開いて「委員会決定」を公表することを申し合わせた。

審理要請案件「歌のルーツを探る番組で人権侵害の訴え」の扱いについて協議

本年2月、福岡県大牟田市在住の男性から「05年10月放送の番組で、与論島出身者が侮辱され、名誉を著しく毀損された」という趣旨の申立書が送られてきた。問題のシーンでは、ある歌謡曲のルーツに関して1965年ごろ撮影の資料映像が使われたが、男性は「左右に並ぶ豚小屋に<与論長屋>の字幕がスーパーされていた。これは、『当時大牟田に住んでいた与論島出身者は豚小屋に住んでいた』と公言するものであり、与論出身者を侮辱し名誉を毀損するものである」と主張していた。

委員会では、申立書及び当該局の対応状況を慎重に検討したうえで、本件番組のビデオテープを視聴したところ、「当該放送からは、申立人及びその直接の関係人の名誉が毀損されたと解せる部分は見出せない」ということで委員全員の意見が一致し、委員長名で<審理対象外>の回答書を男性に送付することを決めた。

苦情対応状況[2月]

2006年2月の1か月間に寄せられた放送人権委員会関連の苦情の内訳は、次のとおり。

◆人権関連の苦情(14件)

  • 斡旋・審理に関連する苦情(関係人からの人権関連の苦情で、氏名・連絡先や番組名などが明らかなもの)・・・5件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない視聴者からの苦情、または、氏名・連絡先や番組名などが不明なもの)・・・9件

その他

3月末をもって退任される飽戸弘委員長、渡邊眞次委員より退任の挨拶があった。またBPO村井専務理事は、放送人権委員会発足以来9年間にわたり委員を勤められた両氏に対し、「放送人権委員会の基礎をしっかりと築いていただいた」と、感謝の気持ちを述べた。

最後に、事務局からBPOの年次報告会が、3月23日(木)午後1時半から開かれることが報告された。そして、次回委員会は三宅弘氏(弁護士)、武田徹氏(ジャーナリスト、東京大学先端技術研究センター特任教授)を委員に迎え、新体制で4月18日(火) 午後4時から開くことを決め、閉会した。

以上

第109回 放送と人権等権利に関する委員会

第109回 – 2005年2月

「バラエティー番組における人格権侵害の訴え」事案の審理

審理要請案件「サーカス一座報道で名誉毀損」…など

「バラエティー番組における人格権侵害の訴え」事案の審理

本事案は、東京都在住の男性が「2005年6月及び7月に関西テレビで放送されたバラエティー番組『たかじん胸いっぱい』における元妻の発言によって名誉・プライバシー権を侵害された」と申し立てたもの。

放送人権委員会は、2005年12月の委員会で審理入りを決定し、翌年1月の委員会から「申立書」及び「答弁書」を基に実質審理に入った。その後申立人から「反論書」、関西テレビから「再答弁書」が、それぞれ委員会に提出され、2月の委員会では、これまでの双方の主な主張を項目別に対比した形で整理し、検討を行った。

この日の委員会では、番組内での元妻の発言内容をどう捉えるか、ニュース報道番組とバラエティー番組の違いを踏まえた上で、名誉毀損に当たるかどうかなどについて約1時間30分にわたって意見が交わされた。

3月の委員会では、申立人、被申立人双方に対して直接事情を聞くヒアリングを実施し、さらに審理を進めることとした。

審理要請案件「サーカス一座報道で名誉毀損」

「”故国に帰れないサーカス一座の日々”と題したニュース特集(1月30日放送)で、人格権が著しく侵された」と、イベント企画会社のプロデューサーが苦情を申し立てた案件について、放送人権委員会は、当該局から任意提出されたVTRを視聴した結果、「放送からは名誉・信用を毀損されたとする個人を特定することが出来ない」として、<審理対象外>とした。

この放送に対し申立人は「サーカス一座が帰国できない事情について、出演料の不払い責任の有無や、動物の輸送手続きの難航などの事情を説明したにもかかわらず一方的な判断をされ、何の手当てもしていないように放送されるなど、当方の名誉・信用が著しく毀損された」と訴えていた。

一方、当該局は「契約書上、出演料の支払い義務はあくまで申立人にあり、また動物の搬送などの費用・手続きについても申立人側に負担義務がある。番組は完全に匿名性を維持しており、名誉毀損ないし信用毀損が成立する余地はない」と反論していた。

苦情対応状況[2月]

2006年1月の1か月間に寄せられた放送人権委員会関連の苦情の内訳は、次のとおり。

◆人権関連の苦情(18件)

  • 斡旋・審理に関連する苦情(関係人からの人権関連の苦情で、氏名・連絡先や番組名などが明らかなもの)・・・9件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない視聴者からの苦情、または、氏名・連絡先や番組名などが不明なもの)・・・9件

その他

BPOの村井専務理事より、放送人権委員会の委員の交代が発表された。これは、二人の委員が満期を迎えることに伴う委員の交代。2005年12月8日開かれたBPO評議員会で決定されたもの。

退任する二人の委員は、飽戸弘委員長、渡邊眞次委員
新任の二人の委員は、三宅弘氏(弁護士)、武田徹氏(ジャーナリスト、東京大学先端技術研究センター特任教授)

4月1日より新体制となる。

最後に、次回委員会は3月14日(火)午後2時半から開き、「バラエティー番組における人格権侵害の訴え」事案のヒアリング・審理を行うことを決め、また、事務局からBPOの年次報告会が、3月23日(木)午後1時半から開かれることが報告され、閉会した。

以上

第108回 放送と人権等権利に関する委員会

第108回 – 2006年1月

「新ビジネス”うなずき屋”報道」決定の通知・公表の報告

「バラエティー番組における人格権侵害の訴え」事案の審理…など

「新ビジネス”うなずき屋”報道」決定の通知・公表の報告

本事案については、12月の委員会で「決定(草案)」の了承を受けた後、年明けの持ち回りの委員会で「決定(案)」についての了承を得た。

こうした過程を経て今月の委員会当日、審理に先立って「新ビジネス”うなずき屋”報道」事案の「委員会決定」(見解)を申立人ならびに被申立人の双方に通知し、その後、記者発表を行なって「決定」を公表した旨、飽戸委員長、起草委員と事務局から報告された。

報告の要旨は「決定」を受けた後、申立人は「テレビ東京の当該番組が放送倫理に違反すると委員会に認めていただいた。申立てた意味があった」と述べ、一方、テレビ東京は「放送人権委員会の決定で指摘された点を真摯に受け止め、今後一層放送倫理を遵守した報道に努めてまいります」とのコメントを発表したこと。また記者発表には放送人権委員会から飽戸弘委員長、起草委員の右崎正博委員、崔洋一委員が出席したが、出席した記者から「金銭授受の場面は、まさに”やらせ”ではないか」との質問があったが、右崎委員は「”やらせ”の定義がはっきりしないので、その言葉を使わなかったが、不適切な過剰演出だったと認識している」との判断を示したことなど。

「バラエティー番組における人格権侵害の訴え」事案の審理

この事案は、2005年6月及び7月に関西テレビで放送されたバラエティ―番組「たかじん胸いっぱい」に対し、東京都在住で出演者の元夫が「元妻の発言等によって、名誉・プライバシー権の侵害を受けた」と申し立てていたものである。

放送人権委員会は、12月の委員会で、本件事案の審理入りを決め、当該局に対し「申立書」に対する「答弁書」の提出を求めていた。今月の委員会では、その「申立書」及び「答弁書」を基に1時間以上に亘って審理を行った。 その結果、申立人に対しては「反論書」、当該局には「再答弁書」の提出を求め、2月の委員会で論点整理を行い、3月の委員会では、申立人、被申立人双方に対してヒアリングを実施することで、審理を進めることにした。

「犯罪被害者等基本計画」に関する放送人権委員会声明について

2005年12月27日に閣議決定された「犯罪被害者等基本計画」について、放送人権委員会は同日声明を発表した。この経緯を事務局が以下のように報告した。

「放送人権委員会声明の原案を渡邉眞次委員が作成、それを各委員に送り、修正要望などを加味して、当基本計画が閣議決定された後に放送人権委員会声明を総務省記者クラブや情報通信記者会などを通じて発表した。年末のお忙しいところ、声明作成にご協力いただき有難うございました」

この放送人権委員会声明の骨子は「犯罪被害者の実名開示の可否の問題は、報道関係者が被害者との信頼関係を築きながら自主的に解決すべきであって、警察に判断を委ねることで解決すべき問題ではない。今回の閣議決定は報道の死命を制しかねない重大な問題である」というもの。(第107回放送人権委員会議事録参照)

委員からは「声明を出してよかった」という意見が数多く出ていた。

「喫茶店廃業報道」決定後の毎日放送の改善報告について

2005年10月に当該事案について委員会決定を受けた毎日放送は、3か月後の2006年1月に放送人権委員会委員長宛に、「委員会決定後の当社の取り組みについて」という文書の提出があったことが事務局から報告された。毎日放送は、この改善措置の中で、再発防止の取り組みとして?決定内容を報道局内に徹底すること?デスクのチェック体制の強化?講師を招いての研修会の開催などをあげている。

委員からは、「このところ当該局の対応の仕方はよくなっている」「毎日放送も、かなり前向きに対応している」との意見が出た。

苦情対応状況[12月]

2005年12月の1か月間に寄せられた放送人権委員会関連の苦情の内訳は、次のとおり。

◆人権関連の苦情(18件)

  • 斡旋・審理に関連する苦情(関係人からの人権関連の苦情で、氏名・連絡先や番組名などが明らかなもの)・・・5件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない視聴者からの苦情、または、氏名・連絡先や番組名などが不明なもの)・・・13件

最後に、次回委員会は2月21日(火)午後4時から開くことを決め、閉会した。

以上

第107回 放送と人権等権利に関する委員会

第107回 – 2005年12月

「新ビジネス”うなずき屋”報道」事案の審理

審理要請案件「バラエティー番組における人格権侵害の訴え」…など

「新ビジネス”うなずき屋”報道」事案の審理

本事案は、テレビ東京の〈消える高齢者の財産〉というタイトルのドキュメンタリー(2005年6月14日放送)の中で”孤独老人相手の新商売”(うなずくだけで2時間1万円)として紹介された東京在住の男性が、この放送により名誉を毀損されたと苦情を申し立てているもの。

これまで双方から提出された申立書や答弁書等をもとに3回にわたり審理(ヒアリングを含む)を行ってきたが、12月の委員会では、起草委員会でまとめた委員会決定の草案について意見を交わし、「現金の受け渡しシーン」や「番組の趣旨と構成上の問題」等について一部加筆修正を含め、詰めの検討を行なった。

その結果、年末年始をはさんで「委員会決定」を最終的に作成し、次の定例委員会当日の2006年1月17日に申立人・被申立人双方に通知し、その後記者会見を開いて同決定を公表することになった。

審理要請案件「バラエティー番組における人格権侵害の訴え」

有名タレントである妻と2005年8月に離婚した東京在住の男性が「バラエティー番組における元妻の発言等によって、名誉・プライバシー権の侵害を受けた」と放送人権委員会に苦情を申し立てていた事案に対し、協議の結果、2006年1月から「審理入り」することが委員会決定された。

当該番組は、関西テレビ制作の<たかじんの胸いっぱい>で、申立書によれば、2005年6月25日の放送にはタレントである妻本人がゲスト出演し、夫の性格や性癖について赤裸々に語り、また離婚直前の7月9日の同番組では、妻は出演していなかったものの、他の出演者たちが先の妻の発言にもとづいて、夫の性癖等について再びトークを繰り広げた。

これらの発言に対し、申立人は「話されたことは、全くの虚偽であるか、あるいは面白おかしく事実関係を歪曲しており、いずれも自分の社会的評価を低下させ、名誉を著しく毀損・侮辱するものである」と主張、局に対し「取り消して謝罪する旨の放送」を求めた。

これに対し、局側は「放送法4条1項は、権利侵害を受けた本人が事業者に対し、訂正又は取消しの放送を求める私法上の請求権を付与するものではない」とした最高裁判例を引用、「本件内容からして、取消し・謝罪の放送を行う必要はない。また、指摘された発言は、申立人の妻が離婚報道の前に自ら話したものであって、司会者や制作者らの恣意的なリードによってなされたものではないことからしても、申立人の要求には一切応じられない」としている。

「犯罪被害者等基本計画案」について

事件・事故の被害者の報道で、実名か匿名かの発表判断を警察に委ねるという政府の「犯罪被害者等基本計画案」について12月の委員会で意見を交わした。

主な意見は次のとおり。

  • 実名か匿名かの判断主体は報道機関で、警察が発表権限を持ってしまうのは危険だ。
  • 実名はイヤだという「個人的感情」と知りたいという「公の利益」の対峙だが、後者が優先すべきと思う。
  • 放送人権委員会は第3者機関であって、メディア・報道機関ではない。その放送人権委員会にこの問題で何が出来るか。

活発な意見交換を経て、放送人権委員会としてはこの問題について何らかの意思表示が必要ということで一致し、近々に「声明」ないし「要望」を出すことになった。

注記:この「犯罪被害者等基本計画」の閣議決定が12月27日にあった。放送人権委員会では同日この問題について
「声明」を発表した。(「声明」は後掲)

苦情対応状況[11月]

2005年11月の1か月間に寄せられた放送人権委員会関連の苦情の内訳は、次のとおり。

◆人権関連の苦情(27件)

  • 斡旋・審理に関連する苦情(関係人からの人権関連の苦情で、氏名・連絡先や番組名などが明らかなもの)・・・13件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない視聴者からの苦情、または、氏名・連絡先や番組名などが不明なもの)・・・14件

最後に、次回は「新ビジネス”うなずき屋”報道」事案について2006年1月17日午後2時半からの通知、午後3時半からの記者発表し、その後定例の委員会を午後4時から開くことを決め、閉会した。

以上

平成17年12月27日
「犯罪被害者等基本計画」に関する放送人権委員会声明
放送倫理・番組向上機構
放送と人権等権利に関する委員会(放送人権委員会)
委員長  飽戸 弘

急激な社会の変化の中で、人々は内外の複雑困難な問題に直面し、とまどいと混迷を深めている。平和で安全な日々の暮らしを守るためには、生起する事態についてその真実を究明し、原因や問題点を明らかにすることが何よりも必要である。人々はこうした情報の提供を受けて自ら意見を形成し、それを自由に表明することを通じて、自らの生活を守り、社会をよりよい方向へ導くことができる。

そのためには、メディアにより、人々への必要かつ有益な情報が十分に提供されなければならない。メディアはこの点で重要な役割を担っており、人々の知る権利に十分に応えるべき責務がある。

本日、内閣は犯罪被害者等基本計画を閣議決定し、犯罪被害者の氏名を実名で発表するか否かを警察の判断に委ねることとした。

しかし、犯罪被害者の氏名は事実の確認や検証のための取材の出発点であるから、今回の措置は情報の流れを事前に警察当局が封鎖することに等しく、メディアによる情報収集を困難にし、人々がメディアを通じてその情報を受け取る自由を制約する結果を惹起することを否定しがたい。

これまで、メディアの側において犯罪被害者らに対し、無神経な取材や行き過ぎた報道がなされたことは事実であり、真摯な反省が求められているところである。しかし、現在メディアはその反省に立って、取材については平成14年4月、日本新聞協会が「集団的過熱取材対策小委員会」を設置し被害防止を図ってきている。また、行き過ぎた放送による被害については、平成9年5月NHKと民間放送各社において第三者機関としての「放送と人権等権利に関する委員会」を設立し、多くの苦情を受け付け、被害を訴える者と当該放送局との間の斡旋解決を図るとともに、現在までに17事案26件について決定を出して放送被害の救済に努めてきている。今回の措置は、当委員会のこうした努力やその果たしている役割を軽視するものと言わざるを得ない。

犯罪被害者の実名開示の可否の問題は、被害者間でも意見が分かれているところである。これに対する対応は、報道関係者が取材の際に被害者との信頼関係を築きながら、事件の社会的性格への配慮と被害者の希望を尊重・配慮することにより自主的に解決すべきであって、犯罪捜査に直接関わる警察に判断を委ねることで解決すべき問題ではないと考える。

以上のとおり、民主主義社会を根底から支える報道の自由の見地から、警察が情報の流れを事前に抑制することとなる今回の閣議決定は報道の死命を制しかねない重大な問題であることを広く訴えるとともに、内閣に対しては同措置を早急に改めるよう強く要望する。

第106回 放送と人権等権利に関する委員会

第106回 – 2005年11月

「新ビジネス”うなずき屋”報道」事案のヒアリング・審理

「喫茶店廃業報道」事案委員会決定後の放送対応等…など

「新ビジネス”うなずき屋”報道」事案のヒアリング・審理

本事案は、〈消える高齢者の財産〉というタイトルのドキュメンタリーの中で”孤独老人相手の新商売”(ただうなずくだけで2時間1万円)として紹介された東京在住の男性が、この放送(2005年6月14日・テレビ東京)により名誉を毀損されたと苦情を申し立てたもので、これまで双方から提出された申立書や答弁書等をもとに2回にわたり審理が行なわれてきた。

今回のヒアリングは双方の意見、主張を直接質すために行なわれたもので、申立人に対しては約1時間、また被申立人のテレビ東京に対しては、引き続き約50分にわたって進められた。 双方に対するヒアリングでの質疑とも、「番組の前半で取り上げた悪徳ビジネスのケースに影響されて申立人の新ビジネスもあざとい事業との印象を視聴者に与えたかどうか」「1万円の受け渡しの場面の実相はどうだったのか」などが焦点となった。

ヒアリングの後審理を行い、「委員会決定」の草案をまとめる起草委員を決め、12月中旬に起草委員会を開き、次回委員会では起草委員の草案を基に詰めた議論を行なうことになった。

「喫茶店廃業報道」事案委員会決定後の放送対応等

10月18日に「委員会決定」を通知・公表した「喫茶店廃業報道」事案について、当日の放送対応や翌日の関連新聞記事について事務局から報告があった。

この席で、当該局の毎日放送が「委員会決定」の内容を伝えた当日の二本のニュースと後日の検証番組の放送VTRを視聴した。委員からは「検証番組は丁寧に作られている」との声が出た。

事務局では、当該局から提出される改善対応策を待って年明けにも本事案のブックレットを作成する予定。

審理要請「プライバシー侵害の訴え」斡旋解決

苦情の概要は、「居酒屋を今も営む85才の義母の半生を描いて<世のお年寄りに勇気を与える>という趣旨を説明され、それに賛同して家族はドキュメンタリー番組の取材をOKしたのに、放送では本人の奮闘だけでなく、自分たち子供夫婦や孫たちの他人には知られたくない事実も描かれた」というもので、8月家族の一人から放送人権委員会に訴えがあった。

申立人は、「謝罪と再放送中止の確約」を求めるとともに、「自分たちが映っているテープの引渡し」を強く要求していたが、放送人権委員会事務局では「報道機関として、放送局が取材テープを局外に出すことはない」と説明し、テープ引渡しにこだわらずに話し合いを続けるよう勧めた。

その結果、局側も誠実に対応し、再放送や番組販売等を行なわないこと、10月末に当該番組の中で「事実関係において一部誤解を生じさせる表現があった」とする旨の字幕スーパーを放送することで双方が合意し、事案は和解・解決した。

本件は、今年度初めての斡旋解決事案。

苦情対応状況[10月]

2005年10月の1か月間に寄せられた放送人権委員会関連の苦情の内訳は、次のとおり。

◆人権関連の苦情(23件)

  • 斡旋・審理に関連する苦情(関係人からの人権関連の苦情で、氏名・連絡先や番組名などが明らかなもの)・・・7件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない視聴者からの苦情、または、氏名・連絡先や番組名などが不明なもの)・・・16件

その他 「意見交換会(東北)」について

11月29日(火)に仙台で開催される放送人権委員会委員との意見交換会について、事務局から当日のスケジュールなどについて相談、ならびに委員会参加者が最終的に18局30数人となることが報告された。最後に、次回12月20日の委員会は、午後4時から開くことを決め、閉会した。

以上

第105回 放送と人権等権利に関する委員会

第105回 – 2005年10月

「喫茶店廃業報道」事案の委員会決定の通知・公表について

審理事案「新ビジネス”うなずき屋”報道」の審理…など

「喫茶店廃業報道」事案の委員会決定の通知・公表について

本委員会前に行なわれた標記事案・委員会決定の通知・公表の模様を事務局から以下の様に報告した。 ?本日午後2時から申立人、被申立人双方を個別に招いて『委員会決定』をそれぞれ通知した。『決定』を受けた後、申立人は「誰も私の言うことなど聞いてくれないのではないかと思っていたが、私の言い分を判って頂いてうれしいです」と述べ、一方、毎日放送は「放送人権委員会の『委員会決定』で指摘された点を真摯にうけとめ、放送倫理を遵守し、今後の取材や報道に反映させるよう努めます」とのコメントを出した。

午後3時からは記者発表を行い、『委員会決定』の内容を公表した。記者会見には放送人権委員会から飽戸弘委員長、起草委員の竹田稔委員長代行と五代利矢子委員が出席、メディア側からは23社38人が集まり、テレビカメラが7台入った?

委員会では、通知公表に立ち会った各委員が感想を述べたが、この中で竹田委員長代行は「この事案は、裁判では人格権侵害の成否で終わってしまうケースだ。放送人権委員会では、放送倫理の問題と捉え、裁判で解決できない問題についても積極的に判断を示すことが出来た。意義のある決定だ」と述べた。

審理事案「新ビジネス”うなずき屋”報道」の審理

本事案は、〈消える高齢者の財産〉というタイトルのドキュメンタリー番組の中で”孤独老人相手の新商売”(ただうなずくだけで2時間1万円)として紹介された東京在住の男性が、この放送(2005年6月14日・テレビ東京)により名誉を毀損されたと苦情を申し立てたもの。

9月の委員会から本格的審理に入り、その後、申立人から「反論書」、被申立人から「再答弁書」が委員会に提出されたのを受けて、10月の委員会では、これまでの双方の言い分を対比的にまとめて検討した。特に<消える高齢者の財産>とのタイトルで放送された番組全体の中で、「2時間うなずくだけで1万円」と放送された”うなずき屋”の部分がどのように視聴者に評価されるか等の点をめぐって意見が交わした。

放送人権委員会では、さらに審理を深めるため、次回11月の委員会で、申立人、被申立人双方を招いてヒアリングを行なうことになった。

「産婦人科医院・行政指導報道」委員会決定について当該局の改善対応報告

今年7月28日に委員会決定を受けたNHK名古屋放送局から、放送と人権等権利に関する委員会〔放送人権委員会〕宛に、10月18日に「改善策と取組状況」をまとめた報告の提出があった。

委員会では、7ページにわたるこの報告(グループ討議や研修、チェック体制の見直しなどの改善措置等)を受けて意見を交わした。この中で、同局内で行なわれた職場研修に招かれた渡邊委員からは「60名程の報道部員が集まり、予定の時間を超えても質問するなど非常に熱心でした」との報告があり、他の委員からは「委員会決定を受けた当該局としては今までで一番丁寧な対応といえる」「申立人に直ちに会うなど取り組み方はきめ細かい」などNHK名古屋局が、具体的改善策を講じ、誠意ある対応をしたことを高く評価する意見が出された。

『放送人権委員会判断基準2005』発刊・公表について

上記冊子の発刊について、本委員会直前の記者会見で内容の公表がなされたことが、事務局より報告された。 記者発表では飽戸委員長が「委員会の決定は、いわば裁判の判例のようなものであるが、この判断基準は法律だけでなく放送倫理も踏まえたうえで打ち出されたものであることを考え、今後の実際の放送に役立てて欲しい」と述べた。

また、監修にあたった右崎正博委員は「この冊子は放送界はもとより、ひろく一般市民にも読んでもらい放送界の在り方について考える参考にしていただきたい」と語った。

放送人権委員会事務局から、予算上の制約もあることから、加盟社に一定部数を配布するとともに、追加の申し込みについては、実費500円(送料別)で、頒布することにしている旨報告があった。

「意見交換会(東北)」について

11月29日(火)に仙台で開催される放送人権委員会委員との意見交換会について、崔洋一委員を除き他の7人の委員が参加できることが確認された。事務局から当日のスケジュールなどについて報告があった。

苦情対応状況[9月]

2005年9月の1か月間に寄せられた放送人権委員会関連の苦情の内訳は、次のとおり。

◆人権関連の苦情(5件)

  • 斡旋・審理に関連する苦情(関係人からの人権関連の苦情で、氏名・連絡先や番組名などが明らかなもの)・・・5件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない視聴者からの苦情、または、氏名・連絡先や番組名などが不明なもの)・・・0件

その他

最後に、次回11月15日の委員会は、審理事案「新ビジネス”うなずき屋”報道」のヒアリング行うことから、通常より1時間早め午後3時から開くことを決め、閉会した。

以上

第104回 放送と人権等権利に関する委員会

第104回 – 2005年9月

審理事案「喫茶店廃業報道」のヒアリングと審理

審理事案「新ビジネス”うなずき屋”報道」の審理…など

審理事案「喫茶店廃業報道」のヒアリングと審理

事案は、兵庫県内でたこ焼き屋を営んでいた女性からの申立てで、「本年5月9日放送の毎日放送のニュース番組で、私の嫌がらせで喫茶店が潰れたと放送された。一方的取材で構成された番組で、はなから私を犯罪者扱いにしている」というもの。9月の委員会では申立人・被申立人双方を東京に招いてそれぞれ別個にヒアリングを行った。

申立人は意見陳述の中で「このトラブルは(喫茶店主と私の)路上駐車枠の取り合いが原因と思う。放送後、毎日放送に抗議したが全く取り合ってくれなかった。私にも落度があったが、私の言い分を直接聞こうとはせず隠しカメラや隠しテープを使うなど陰険なやり方で許せない。この番組は放送局と喫茶店主による私に対する魔女裁判だ」と訴えた。

一方、被申立人の毎日放送は「喫茶店主から当番組宛にメールを貰い、取材を始めた。県警や行政機関、付近住民などを1か月余りかけて取材した。毎日放送としては十分にきちんと取材して放送したと思っている。通常なら当事者から直接話しを聞くのが原則だが、今回は本人のナマの声・本音を聞くために隠し撮り等の手段をとった。ケースによっては許される手法ではないか。喫茶店が廃業したのは経営者が(申立人の言動に)恐怖を感じたことが一番の原因だと思う」と述べた。

ヒアリングの後審理に移り、起草委員会がまとめた草案を中心に意見を交わした。その結果「決定」原案を10月初旬を目途にまとめ、本事案の「委員会決定」の通知・公表を10月18日の委員会開催日に行なうことになった。

審理事案「新ビジネス”うなずき屋”報道」の審理

本事案は、〈消える高齢者の財産〉というタイトルのドキュメンタリーの中で”孤独老人相手の新商売”(ただうなずくだけで2時間1万円)として紹介された東京在住の男性が、この放送(2005年6月14日・テレビ東京)により名誉を毀損されたと苦情を申し立てたもの。前回の委員会で審理入りが決まった。

9月の委員会では、申立人からの申立書、被申立人からの答弁書をもとに、実質審理に入り、各委員からこの新商売の実態や、放送による申立人への影響等について意見交換がなされた。

申立人が被申立人による答弁書の事実関係について反論書を提出したいと言っていることから、委員会では、反論書とそれに対する再答弁書の提出を待って、次回再度審理を重ねることになった。

『放送人権委員会判断基準2005』の編集作業について

放送人権委員会事務局から制作中の『放送人権委員会判断基準2005』の編集状況について説明があった。

本委員会前に配布した第一稿について、監修の右崎正博委員をはじめ各委員から意見等がよせられ、事務局ではこれを受けて、9月末までに再度のチェックを依頼した。

この新しい『放送人権委員会判断基準2005』については、10月上旬に第2稿を作成し、さらに検討を加えた上で、中旬を目途に製本化することになった。

「意見交換会(地方)」について

事務局から、年内に予定されている「放送人権委員会委員と東北地区の放送局のBPO連絡責任者等との意見交換会」の開催について説明。開催日について各委員のスケジュール等を調整した結果、11月29日(火)に仙台で開催することになった。

地方での開催は、大阪、名古屋、福岡、札幌、広島に続いて6回目で、東京での開催を含めると10回目となる。

苦情対応状況報告[8月]

2005年8月の1か月間に寄せられた放送人権委員会関連の苦情の内訳は、次のとおり。

◆人権関連の苦情(21件)

  • 斡旋・審理に関連する苦情(関係人からの人権関連の苦情で、氏名・連絡先や番組名などが明らかなもの)・・・16件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない視聴者からの苦情、または、氏名・連絡先や番組名などが不明なもの)・・・5件

その他

最後に、次回放送人権委員会は、事案「喫茶店廃業報道」の「委員会決定」の通知を10月18日の委員会開催日の午後2時から行うこととし、また、その公表の記者会見で『放送人権委員会判断基準2005』刊行の発表もあわせて行なうことになった。その後の午後4時から通常の委員会を開くことを決め、閉会した。

以上

第103回 放送と人権等権利に関する委員会

第103回 – 2005年8月

審理事案「喫茶店廃業報道」の審理

審理要請案件…など

審理事案「喫茶店廃業報道」の審理

兵庫県内の駅前でたこ焼き屋を営んでいた女性店主からの訴えで、申立ての概要は、「本年5月9日放送の毎日放送のニュース番組<VOICE>で、私の嫌がらせで喫茶店を潰したと放送された。喫茶店主からの一方的取材で構成された番組で、はなから私を犯罪者扱いにしている。公平な取材報道と謝罪を望む」というものです。7月の委員会で審理入りを決めたもので、今委員会から実質的な審理入りとなった。

申立人・被申立人双方から提出された「答弁書」や「反論書」「再答弁書」等に基づいて、双方の主張や言い分などについて意見を交わした結果、直接当事者から話を聞くことになり、次回9月の定例の委員会で、申立人・被申立人双方を招いてヒアリングを行うことになった。また、本事案の起草委員2名も決めた。

審理要請案件

◆「新ビジネス”うなずき屋”報道」

本事案は、保育園やベビーシッター派遣業を営む東京都内在住の39歳の男性からの申立て。  申立ての概要は、「新しい業務の一つとして、お年寄りらの話し相手になる模様を取材され、今年6月14日テレビ東京の報道番組『ガイアの夜明け』で放送された。”孤独老人相手の新ビジネス”として、<2時間うなずくだけで1万円>と断定的に描かれたが、これは事実と違う。 放送での印象が悪かったことにより、顧客からの契約解消やインターネットで誹謗中傷される等の被害に苦しんでいる。訂正放送と謝罪を求める」というもの。

当該局は「話し合いを続けたい」としていたが、男性の訴えは、放送人権委員会の苦情取り扱い基準(運営規則第5条)の諸要件を充たしていることから、委員会では本事案の審理入りを決め、男性にあらためて正式の「申立書」を、当該局に対してはそれに対する「答弁書」等の提出を求め、双方の主張を基に9月委員会から本格審理に入ることになった。

「産婦人科医院・行政指導報道」事案の総括

7月28日に通知・公表した標記事案についての総括が行われた。

各キー局のニュースにおける「委員会決定」の扱いや、「委員会決定」を掲載した新聞記事が事務局から紹介された。

また、当該局のNHKが本事案の「委員会決定」の模様を伝えたニュースのVTRも視聴した。

委員会としては後日NHKから提出される「委員会決定を受けた後の対応方や改善策」を見守ることにしている。

苦情対応状況[7月]

2005年7月の1か月間に寄せられた放送人権委員会関連の苦情の内訳は、次のとおり。

◆人権関連の苦情(10件)

  • 斡旋・審理に関連する苦情(関係人からの人権関連の苦情で、氏名・連絡先や番組名などが明らかなもの)・・・8件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない視聴者からの苦情、または、氏名・連絡先や番組名などが不明なもの)・・・2件

「判断基準2005」の編集作業について

『放送人権委員会の判断~2003』の改訂版と位置づけられる『放送人権委員会判断基準2005』の事務局案が、委員会に提出された。これは、これまで8年半の間に審理されてきた16事案25件の委員会決定の中で示された個々の判断基準を系列的にまとめたもの。事務局案では、60の判断基準が示されており、『~2003』の17判断基準と比べ、具体的基準がより詳細に摘示されている。各委員に事務局案についての検討、意見を求め、右崎正博委員に監修を依頼して編集作業を進め、10月発行を目指すことになった。

その他

事務局から東北地区の会員社との意見交換会を11月下旬に仙台で開催することを検討しているとの報告があった。最後に、次回放送人権委員会は、9月20日午後3時から開くことを決め、閉会した。

以上

第102回 放送と人権等権利に関する委員会

第102回 – 2005年7月

「産婦人科医院・行政指導報道」事案の審理

審理要請案件…など

「産婦人科医院・行政指導報道」事案の審理

愛知県の産婦人科医院院長が申立てていた本事案について放送人権委員会は、今年2月の委員会で審理入りを決めた後、4回にわたって審理を行ってきた。

「委員会決定」の要旨は、「当委員会としては、本事案において、報道による人格権侵害を認めるか否かについては意見の一致を見ることはできなかったものの、正確性を欠いて深刻な結果を招いたことを重視し、名誉毀損をきたしかねない重大な放送倫理違反があったと認定する。委員会はNHK名古屋放送局に対し、本決定の主旨を放送するとともに、再発防止のため放送倫理に一層配慮するよう勧告する」というもの。

放送人権委員会では、7月28日に「委員会決定」の通知・公表を行う事を決めた。 なお、本「委員会決定」は16事案、25件目となる。

審理要請案件

◆「たこ焼き屋店主からの訴え」

本件事案は、兵庫県内で駅前に車を止め、移動販売のたこ焼き屋を営んでいた女性店主から、5月半ばから放送人権委員会事務局に苦情が寄せられていたが、当該局との話し合いがつかず、7月11日付けで申立書が届き、7月の委員会で審理するか否かを検討した。

申立ての概要は、「2005年5月9日放送の毎日放送のニュース番組「ボイス」で、盗撮映像や誘導的会話などをつなぎ合せて、私の嫌がらせで喫茶店を潰したと放送された。喫茶店主からの一方的取材で構成された番組で、私を犯罪者扱いにしている。公平な取材報道と謝罪を望む」というもの。

委員会では、申立書に対する当該局の答弁書やそれに対する申立人の反論書などを提出してもらい、来月8月の委員会で本格的な審理をおこなうことになった。なお、事案の標記を今後「喫茶店廃業報道」とすることにした。

◆「リサイクル業者からの訴え」

埼玉県内のプラスチックリサイクル関連業者から、弁護士名で、7月12日付で紛争処理申立書が届けられた。苦情の概要は、6月の報道番組で、廃棄物処理事業をめぐり不正行為が行われていると放送されたとして訂正放送をもとめたもの。委員会で検討した結果、本事案と直接関連事案が当該テレビ局との間で裁判中であることなどから、審理対象とするには申立て資格の点で問題があることが指摘された。

苦情対応状況[6月]

2005年6月の1か月間に寄せられた放送人権委員会関連の苦情の内訳は、次のとおり。

◆人権関連の苦情〔23件〕

  • 斡旋・審理に関連する苦情(関係人からの人権関連の苦情で、氏名・連絡先や番組名などが明らかなもの)・・・14件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない視聴者からの苦情、または、氏名・連絡先や番組名などが不明なもの)・・・9件

その他

事務局から「放送人権委員会判断基準・改訂版」の作業の進捗状況が報告され、次回までにたたき台的なものをまとめて、委員会の指示を仰ぐことになった。最後に、次回放送人権委員会は、8月23日午後4時から開くことを決め、閉会した。

以上

第101回 放送と人権等権利に関する委員会

第101回 – 2005年6月

「産婦人科医院・行政指導報道」事案の審理

人権に関する苦情対応状況…など

「産婦人科医院・行政指導報道」事案の審理

本事案は、愛知県の産婦人科医院長が2005年1月にNHK名古屋放送局で放送されたニュース番組で、「2003年10月に助産師資格のない看護師、准看護師に内診等の助産行為をさせていたとして行政指導をうけたことを、あたかも現在も違法行為を行っているかのように報道されたことにより、人権を侵害された」と申し立てたもの。

今年2月の委員会で審理入りを決めた後、放送人権委員会では3月の委員会以来ヒアリングを含め3回にわたって審理を行ってきた。

委員会では、3人の委員から新たに提出されたそれぞれの見解について1時間50分に及ぶ協議を行った。その検討の結果、起草委員2名を決めて、7月上旬にも起草委員会を開いて、委員会決定の草案作成作業を進めることになった。

人権に関する苦情対応状況

◆「美術館運営会社社長の申立て」について

名古屋市の不動産会社の社長から、松江市に誘致された美術館の運営をめぐり、5年前にニュース番組で「当方に取材もなく一方的に悪者にされた。最近放送人権委員会の存在を知ったので、苦情申立をしたい」との訴えが5月末にあった。

これに対し当該局では「一貫して市の対応に問題があったことを伝えたのだ」と反論していた。

委員会では、「審理対象は放送から1年以内に申立てられたもの」という運営規則を著しく超えており、事情を斟酌しても、審理対象外と判断せざるを得ないとの結論に至り、この結論を文書にして委員長名で、苦情申立人に送ることになった。

◆ 苦情対応状況[5月]

2005年5月の1か月間に寄せられた放送人権委員会関連の苦情の内訳は、次のとおり。

◆人権関連の苦情〔10件〕

  • 斡旋・審理に関連する苦情(関係人からの人権関連の苦情で、氏名・連絡先や番組名などが明らかなもの)・・・7件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない視聴者からの苦情、または、氏名・連絡先や番組名などが不明なもの)・・・3件

その他

最後に、次回放送人権委員会は、7月19日午後4時から開くことを決め、閉会した。

以上

第100回 放送と人権等権利に関する委員会

第100回 – 2005年5月

「産婦人科医院・行政指導報道」事案のヒアリング・審理

人権に関する苦情対応状況(4月)…など

「産婦人科医院・行政指導報道」事案のヒアリング・審理

愛知県の産婦人科医院長が2005年1月にNHK名古屋放送局で放送された「ニュース番組」において、「2003年10月に助産師資格のない看護師、准看護師に内診等の助産行為をさせていたとして行政指導を受けたことを実名で報道され、現在も違法行為を行っているかのように伝えられたことにより、名誉と信用を毀損され、人権を侵害された」と申し立てている事案で、5月の委員会では、申立人、被申立人双方を招いてヒアリングを行った。

ヒアリングで申立人側は、「行政指導を受けた2003年10月以降、当医院では厚生労働省の指導の通りに診療を行っている。今回の実名によるニュース報道の必要性は全くない。またニュースで行政指導が何時行われたのか、時期を明示していないことは誤報である。翌日(1月26日)の修正報道についても満足していない。本件報道によって当医院は多大な報道被害を受けており、NHKにはきちっとお詫びして頂きたい。また今回の全てのニュースを取り消してもらいたい」と主張した。

一方、NHK側は「今回のニュースは十分な裏付け取材に基づいて、行政指導が行われたと言う事実を伝えたものであって内容に誤りはない。また、報道した内容には公益性、公共性があり、権利侵害には当たらないと考える。行政指導の時期を明示しなかった点については、今回の報道目的からして、必ずしも指導の時期まで明示する必要はないと判断した。また、報道では、改善の指導が行われた事実を過去のことだとわかるように伝えている。ただ、今から考えれば、最初から時期を明示したほうがより正確に内容を伝えることができたと思う」と述べた。

双方に対し、各委員からは事実関係などについて質問があった。2時間近くに及ぶヒアリングのあと、審理に移り意見を交わしたが、6月の委員会で更に審理を継続することになった。

人権に関する苦情対応状況(4月)

2005年4月の1か月間に寄せられた放送人権委員会関連の苦情の内訳は、次のとおり。

◆人権関連の苦情〔14件〕

  • 斡旋・審理に関連する苦情(関係人からの人権関連の苦情で、氏名・連絡先や番組名などが明らかなもの)・・・7件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない視聴者からの苦情、または、氏名・連絡先や番組名などが不明なもの)・・・7件

その他

審理要請案件「宝石販売報道」について

この案件については、前回の委員会で、審理対象としないことを決めた(BPO報告23参照)ことに伴い、飽戸委員長名で審理対象外とした理由を添えて、申立人に送った回答書を事務局から委員会に提出した。

「放送人権委員会判断基準」改訂作業を報告

放送人権委員会事務局から、下記の「放送人権委員会判断基準集2005年版」(仮題)編集方針を報告し、委員会の了承を得た。

放送人権委員会では、03年5月に「放送人権委員会の判断~6年間の記録」を発行した。これは、1997年の発足から03年まで6年間に扱った11事案20件に及ぶ「委員会決定」で打ち出された判断基準を系統的にまとめたもの。今回の「放送人権委員会判断基準集2005年版」は、その改訂版で、05年8月までの16事案25件の委員会決定で出された判断基準を網羅したものとなる。委員会の指導・了承のもとに編集作業を進め、9月末の発行を目指している。

最後に、次回放送人権委員会は6月21日午後4時から開くことを決め、閉会した。

以上

第99回 放送と人権等権利に関する委員会

第099回 – 2005年4月

「産婦人科医院・行政指導報道」事案の審理

審理要請案件「宝石販売報道」について…など

「産婦人科医院・行政指導報道」事案の審理

愛知県の産婦人科医院の院長が、2005年1月のNHK名古屋放送局のニュースで、「助産師資格のない看護師、准看護師に助産行為をさせていたとして03年10月に行政指導を受けたことを実名で報道された。すでに改善措置を講じているにもかかわらず、現在も違法行為を行っているかのように報道されたことにより、名誉と信用を毀損され、人権を侵害された」と申し立てている事案。

NHK名古屋放送局は、「無資格者による助産行為は重大な社会的問題であり、愛知県内でも行政指導の事例があったことを啓発することが重要だと判断して、報道したものだ」と反論している。

委員会では、前回3月の委員会を所用で欠席した竹田委員長代行が、本件事案についての見解を表明、ついで、「名誉権侵害(名誉毀損)の有無」「このニュースが視聴者にどう伝わったか」などについて意見を交わした。

今回は、委員会としての方向性を決めずに、次回5月の委員会で申立人、被申立人双方を呼んでヒアリングを行い、引き続き審理を続けることになった。

審理要請案件「宝石販売報道」について

京都府の男性が、2005年2月のニュース番組で「宝石販売を悪質デート商法と取り上げられ、違法行為をしていないのに行なったかのような報道で精神的苦痛を受けた。また記者の不適切な取材方法によって、店舗外での商談を禁止する会社の内規に違反するに至り降格処分を受けるなど、権利を侵害された」として、4月5日付けで申し立ててきた案件。

当初この案件は、3月10日付けで男性が勤める宝石販売会社名で申立書が送られてきたが、その後、申立人を会社から個人に代えて申請し直したもの。

再度の申立てを受けて、委員会では、本案件を審理対象とするか否か検討するため、当該局から自主的に提出された放送済みVTRを委員全員で視聴し、更に申立書と当該局の見解等を踏まえて意見を交わした。

その結果、「潜入取材や隠し撮りなど取材方法については検討する点はあろうが、申立人が番組の画面からは特定できない。特定できない以上当該番組で申立人の名誉が毀損されたとは言えない」とする意見が大勢を占め、本件は審理しないことに決めた。

委員会では、上記内容を文書化した「放送人権委員会の回答」を、飽戸委員長名で申立人に送付することにした。

総務省の行政指導について

総務省は2005年3月23日付けで熊本県民テレビ、テレビ東京と日本テレビの3社に対し”厳重注意”の行政指導を行なった。今回の行政指導は、昨年6月の山形テレビとテレビ朝日に次ぐもので、この行政指導に対してBPOは04年11月11日、「総務省は通達の中で放送人権委員会の事実認定や判断を引用するなどしたが、これは第三者機関に対する信頼を危うくする恐れが極めて強い」などとする『三委員長声明』を公表している。

今回の総務省の行政指導を重く見たBPOは、3委員会それぞれで意見を集約することになり、放送人権委員会では4月の委員会で議題として取り上げた。

委員会で出された主な意見は次の通り。

  • 放送局が自主的に訂正ないし謝罪をした後に、監督官庁が行政指導するのは、放送局の自主・自律をそいでしまうおそれがある。
  • 総務省がこういうケースで行政指導できる法的根拠はどこにあるのか。
  • 日本テレビに対する厳重注意では、「同社の番組基準に反し、放送法第3条の3第1項[番組基準]に抵触」となっているが、局側が自主的に設けた番組基準を行政指導の根拠に持ち出すのは如何か。
  • 今回は「放送人権委員会決定」等が引用されていないので、通達とBPOの間で直裁的な関連はなく、3委員長声明などの対応は難しいと思う。しかし、メディアの自律との関係で、どこかがきちんと意見を表明すべきだろう。
  • 民放3局への行政指導について、民放連が総務省に対し、指導を出す根拠や番組基準引用の是非などを問うよう働きかけてはどうか。

人権に関する苦情対応状況(3月)

2005年3月の1か月間に寄せられた放送人権委員会関連の苦情の内訳は、次のとおり。

◆人権関連の苦情〔13件〕

  • 斡旋・審理に関連する苦情(関係人からの人権関連の苦情で、氏名・連絡先や番組名などが明らかなもの)・・・4件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない視聴者からの苦情、または、氏名・連絡先や番組名などが不明なもの)・・・9件

1の案件のうち、「宝石販売報道」(2005年2月3日放送)の苦情申立ては、不適切な取材による誤った報道として、放送人権委員会に「苦情申立書」(3月10日付)が届いたもの。申立人が、法人(株式会社)となっていることから、委員会では協議の結果、放送人権委員会運営規則に基づき、このままでは受理できない旨、申立人に通知することになった。

その他

最後に、次回放送人権委員会はヒアリングがあるため、定例より1時間早め、5月17日午後3時から開くことを決め、閉会した。

以上