2019年10月7日

長野放送『働き方改革から始まる未来』に関する意見の通知・公表

上記委員会決定の通知は、10月7日午後1時30分から、千代田放送会館7階のBPO第1会議室で行われた。委員会から神田安積委員長、鈴木嘉一委員長代行、高田昌幸委員の3人が出席し、長野放送からは取締役(編成・業務推進・放送番組審議会担当)ら2人が出席した。
神田委員長は委員会決定について、「民放連放送基準(92)や、当該基準を踏まえて民放連が策定した『番組内で商品・サービスなどを取り扱う場合の考査上の留意事項』の『視聴者に「広告放送」であると誤解されないよう、特に留意すべき事項』に照らした適正な考査が行われておらず、放送倫理違反があったと判断した」と説明した。続いて鈴木委員長代行が、「問題点と背景として、考査体制というシステムの不備だけでなく、局員の当事者意識の希薄さがあった」と述べ、高田委員が、「持ち込み番組とはいえ、放送の数日前まで内容を誰も把握していなかった」と発言した。これに対して長野放送は、「この意見書を真摯に受け止め、今後の放送活動に生かしていく。全社一丸となり再発防止に取り組んでいく」と述べた。
続いて、午後2時30分から千代田放送会館2階ホールで記者会見を開き、決定内容を公表した。記者会見には43社80人が出席した。
はじめに神田委員長が、「持ち込み番組の場合、放送局による考査が適正に行われたどうかが検証の対象となる。その前提として番組の放送倫理上の問題の有無について検討した。その結果、当該放送局の考査は、民放連放送基準(92)や、当該基準を踏まえて民放連が策定した『番組内で商品・サービスなどを取り扱う場合の考査上の留意事項』の『視聴者に「広告放送」であると誤解されないよう、特に留意すべき事項』に照らした適正な考査を行わず、当該番組を放送したことについて放送倫理違反があったと判断した」と説明し、さらに、「当該番組を『留意事項』に照らして判断したとき、視聴者に広告放送であると誤解される番組であると委員会は事実認定した。放送基準の解釈・運用については各放送事業者の自主・自律的な判断が尊重されるべきであり、広告に関する放送に当たっても、各放送事業者が、『留意事項』等に照らして、自主・自律的な判断をしていただきたい」と補足した。続いて鈴木委員長代行が、「今回第30号となる意見書の特徴は、端緒が視聴者からのメールであった点、初めて広告との関係を問うものである点、2年前の東京メトロポリタンテレビジョン『ニュース女子』に対する意見書に続き持ち込み番組の考査のありかたを問うものである点である。『ニュース女子』に対する意見書では考査のあり方に対する注意喚起を行ったが、現場に浸透しておらず残念である」と述べた。高田委員は、「関係者の当事者意識が薄かった。番組に対してそれぞれ関わった人たちが少しでも番組の内容に関心をもっていればこうしたことは起きなかったのではないか」と述べた。

記者との主な質疑応答は以下のとおり。

Q: 改稿要請すべきところをせずに放送した結果、広告放送と誤解されたという結果になった。この点が放送倫理違反と結論づけられたということでよいか?
A: それで結構である。(鈴木委員長代行)
   
Q: 広告放送でなかったものが広告放送と見られたのがよくないということでよいか?
A: 広告放送であると判断しておらず、広告放送であると誤解される番組であるという判断をし、その前提に立って意見を述べている。(神田委員長)
   
Q: 番組は放送基準に抵触したのか?
A: 放送基準(92)「広告放送はコマーシャルによって、広告放送であることを明らかにしなければならない」を踏まえて、民放連の「番組内で消費・サービスなどを取り扱う場合の考査上の留意事項」が規定され、その中の「2.視聴者に『広告放送』であると誤解されないよう、特に留意すべき事項」において、「視聴者に『広告放送』であると誤解を招くような内容・演出になっていないかを、総合的に判断する必要がある」と規定されている。今回の事案は、放送基準(92)を踏まえて規定された「留意事項」2の「広告放送であると誤解される番組」であったと判断し、放送基準(92)及び「留意事項」2に反しているという評価をした。(神田委員長)
   
Q: 『ニュース女子』に対する意見書の教訓が現場に浸透していなかったことについてどう受け止めるか?また浸透させるための課題は?
A: 当該意見書の教訓が現場に浸透していないとすれば、委員会全体としても極めて残念、遺憾だと受け止めている。当該放送局だけでなく放送局全体に刺さる意見書を書く工夫をしてきたが、今回のように持ち込み番組への考査の問題が短期間に繰り返されたとなると、意見書の工夫だけでは足りないところがあると思う。当委員会としても、意見書を出すだけではなく、放送局との意見交換の機会を増やし、これまでの様々な事例、意見書のエッセンスを上層部の方々だけでなく現場で制作に関わる方々に伝え、直接意見交換をし、よりよい放送をしてもらうために、放送倫理を常に意識して自主・自律的に議論、判断することが大切であるということを考える機会をもっと設けていきたいと考えている。(神田委員長)

以上

2019年度 第70号

「情報公開請求に基づく報道に対する申立て」に関する
委員会決定

2019年10月30日 放送局:日本放送協会(NHK)

見解:問題なし
NHKは、2019年1月21日に「ニュースこまち845」(秋田県ローカル放送)で、情報公開請求などで明らかになった、過去5年間の県内国公立大学での教員のハラスメントによる処分に関するニュースを放送した。この中で県内の大学(放送では実名)で起きた3年前の事案について、匿名で「男性教員は、複数の学生に侮辱的な発言をしたことなどがアカデミックハラスメントと認定され、訓告の処分を受けた」と報じた。
この放送について、男性教員は「不正確な情報をあたかも実際に起きたかのように報道された。正常に勤務ができなくなった」として、NHKに対して謝罪を求め、委員会に申立書を提出した。
申立人は本件放送について「事実と異なる内容」と主張しているが、申立人が大学当局からハラスメントを理由に訓告措置を受けたこと自体は、申立人も認めている。
もし本件放送で「男性教員」が特定できるとすれば、その者の社会的評価を低下させる。しかし、本件放送には、大学名と男性教員であるということ以外、申立人に関する個人情報は含まれていないことなどから、申立人に対する名誉毀損は成立しない。また社会的評価をさらに低下させる新しい情報があったとすれば、名誉毀損が成立する可能性があるが、本件放送にある言動の具体例もとりわけ新たに申立人の社会的評価を低下させるものとは考えられない。したがって、この点でも申立人に対する名誉毀損は成立しない。
本件放送は、情報公開請求を通じて得た情報をもとにニュースとして伝えたものである。NHKの担当記者は大学当局に数回にわたって追加取材を行っている。放送倫理に求められる事実の正確性と真実に迫る努力などの観点に照らして、本件放送に放送倫理上の問題もない。

【決定の概要】

NHK秋田放送局は2019年1月21日午後8時45分から秋田ローカルのニュース『ニュースこまち845』で、秋田県内の国公立大学で過去5年間に行われた教員によるセクシャルハラスメントやアカデミックハラスメントなどによる処分に関して、情報公開請求を通じて得た情報をもとにしたニュース(以下、「本件放送」という)を放送した。
申立人は、2016年9月、学生へのアカデミックハラスメントを認定され、大学当局から訓告を受けている。本件放送は、同じ大学でのセクハラの事例の後、「さらに別の男性教員(申立人を指す)は、複数の学生に侮辱的な発言をしたことなどがアカデミックハラスメントと認定され、平成28年9月に訓告の処分を受けています」と報じた。このナレーションと重なるかたちで、大学構内を歩く学生の映像や「A大学(本件放送では実名)の男性教員 アカデミックハラスメントと認定」というテロップと、NHKが得た文書中の「学生への侮辱的な発言、威圧的な行動」、「小中学生でもできる」という文言を接写して拡大したものが画面に表示された。
申立人は本件放送について「事実と異なる内容」と主張し、ハラスメントを認定した大学当局の措置の不当性を強く主張しているが、事実認定の当否は別にして、申立人が大学当局からハラスメントを理由に訓告措置を受けたこと自体は、申立人も認めている争いのない事実である。
申立人に対する訓告措置は教授会で報告されたほか、匿名で大学内のイントラネットで教職員・学生に告知された。申立人の研究室の所属学生の1年間募集停止の措置を伴っていたこともあって、対象者が申立人であることは大学教職員だけでなく当時当該学部に在籍していた学生の多くに知られることになったと考えられる。しかし、それは訓告措置が公表された結果であって、本件放送に起因するものではない。
本件放送の内容は、不祥事ゆえに所属大学から不利益措置を受けたことを意味するから、放送された「男性教員」が特定できるとすれば、その者の社会的評価を低下させる。しかし、本件放送には、大学名と男性教員であるということ以外、申立人に関する個人情報は含まれていない。当時、申立人が訓告措置を受けたことを知っていた大学関係者・学生を超えて、本件放送を見た不特定多数の一般視聴者が「男性教員」を申立人と特定する可能性は考えられない。したがって、申立人に対する名誉毀損は成立しない。
ただし、本件放送中に申立人の社会的評価をさらに低下させる新しい情報があったとすれば、名誉毀損が成立する可能性がある。本件放送では、「小中学生でもできる」という訓告措置を学内に伝えた文書中にはなかった表現がある。しかし、「小中学生でもできる」という表現は、威圧的な言動の具体例としてとりわけ新たに申立人の社会的評価を低下させるものとは考えられない。したがって、この点でも申立人に対する名誉毀損は成立しない。
本件放送は、前述のように情報公開請求を通じて得た情報をもとにニュースとして伝えたものである。国民の知る権利に応える観点から、報道機関はこうした制度を積極的に活用すべきだろう。もっとも情報公開請求によって得た情報とはいえ、その内容をそのまま報道するだけであれば、発表報道とさして変わらない場合もある。報道することの公共的な価値の判断に加えて、疑問点を質すなど事実の吟味も必要である。
本件放送について言えば、NHKの担当記者は訓告措置に変更がないかどうかなどの追加取材を、メールや電話で大学当局に数回にわたって行っている。放送倫理に求められる事実の正確性と真実に迫る努力などの観点に照らして、本件放送に放送倫理上の問題はないと、委員会は判断する。

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2019年10月30日 第70号委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第70号

申立人
秋田県在住 男性大学教員
被申立人
日本放送協会(NHK)
苦情の対象となった番組
『ニュースこまち845』(秋田放送局ローカルニュース)
放送日
2019年1月21日(月)
放送時間
午後8時45分~9時00分のうち午後8時46分~8時51分

【本決定の構成】

I.事案の内容と経緯

  • 1.放送の概要と申立ての経緯
  • 2.本件放送の内容
  • 3.論点

II.委員会の判断

  • 1.検討の対象
  • 2.名誉毀損についての判断
    • (1) 本件放送は何を伝えたか
    • (2) 申立人を特定できたか
    • (3)「新しい情報」の評価
    • (4) 名誉毀損についての結論
  • 3.放送倫理上の問題について

III.結論

IV.放送概要

V.申立人の主張と被申立人の答弁

VI.申立ての経緯と審理経過

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2019年10月30日 決定の通知と公表の記者会見

通知は、2019年10月30日午後1時30分からBPO第1会議室で行われ、午後2時30分から千代田放送会館2階ホールで公表の記者会見が行われた。
詳細はこちら。

第142回 放送倫理検証委員会

第142回–2019年10月

"生き物捕獲バラエティー番組で事前に動物を用意"
TBSテレビ『クレイジージャーニー』を討議

第142回放送倫理検証委員会は10月11日に開催され、10月7日に当該放送局への通知と公表の記者会見を行った長野放送『働き方改革から始まる未来』に関する意見について、出席した委員長と担当委員から当日の様子が報告された。
また、委員会が7月5日に通知・公表した日本テレビ『謎とき冒険バラエティー 世界の果てまでイッテQ!』2つの「祭り企画」に関する意見について、当該放送局から委員会に対し、具体的な改善策を含めた取り組み状況など対応報告が書面で提出され、その内容を検討した結果、当該対応報告を了承し、公表することとした。
出演者の不適切な差別的発言を放送し審議中の関西テレビの『胸いっぱいサミット!』について、担当委員から意見書の原案が示された。次回委員会には意見書の修正案が提出される予定である。
街頭取材で、取材協力者の性別を執拗に確認する内容を放送し審議中の読売テレビのローカルニュース『かんさい情報ネットten.』について、担当委員から意見書の修正案が示され、意見交換を行った。
参議院比例代表選挙に立候補を予定していた特定の候補者を公示前日に紹介する内容を放送し、前回審議入りした北海道放送の『今日ドキッ!』について、当該放送局の番組関係者の一部に対して行われたヒアリングの結果について担当委員から報告があった。
仮の家族や恋人などをレンタルするサービスを描いた番組で、利用客が会社関係者でないことの確認が適切に行われなかったことなどについて検証する必要があるとして、前回審議入りしたNHK国際放送のドキュメンタリー番組『Inside Lens』について、近く予定されている番組関係者へのヒアリングのポイント等について意見交換を行い、確認した。
少年野球のピッチャーの投球などスポーツ映像の早回し加工が行われ、前回の委員会で審議入りしたTBSテレビの『消えた天才』について、当該放送局から追加報告書が提出され、これを受けて担当委員から、当該番組関係者に対するヒアリングの準備に入る旨の報告があった。
海外に生息する珍しい動物を捕獲する番組を放送した際、事前に準備した動物をその場で発見し捕獲したように見せる演出を行ったTBSテレビの『クレイジージャーニー』について、当該放送局から提出された報告書を基に討議した。その結果、番組内容が民放連放送基準に抵触している疑いがあり、他方で、当該放送局が調査を継続中であり、追加の報告書が提出される見込みであることを踏まえ、討議を継続することとした。

1. 長野放送『働き方改革から始まる未来』に関する意見を通知・公表

長野放送『働き方改革から始まる未来』に関する意見(委員会決定第30号)について、当該放送局に対する通知と公表の記者会見が10月7日に行われた。
長野放送が3月21日にローカル放送した持ち込み番組『働き方改革から始まる未来』については、5月の委員会で、番組で取り上げられている特定企業の事業紹介が広告放送と誤解されかねない内容になっているのではないか、考査が適正だったか検証する必要があるとして審議入りし、議論を続けてきた。
委員会は、長野放送が、民放連放送基準の「(92)広告放送はコマーシャルによって、広告放送であることを明らかにしなければならない」や、民放連が策定した「番組内で商品・サービスなどを取り扱う場合の考査上の留意事項」の「視聴者に『広告放送』であると誤解されないよう、特に留意すべき事項」に照らした適正な考査を行わず、本件番組を放送したことについて、放送倫理違反があったと判断した。
今回の委員会では、委員会決定を伝えた長野放送のニュースを視聴し、委員長や担当委員から、会見での質疑応答などが報告された。

2. 日本テレビ『世界の果てまでイッテQ!』2つの「祭り企画」に関する意見への対応報告を了承

委員会が7月5日に通知公表した、日本テレビの『謎とき冒険バラエティー 世界の果てまでイッテQ!』2つの「祭り企画」に関する意見(委員会決定第29号)への対応報告が、当該放送局から委員会に書面で提出された。
報告書には、情報・制作局の全社員が意見書を読んだ感想をアンケートとして集め、それを基にミーティングを開いたこと、意見書の真意をより深く理解するために放送倫理検証委員会の担当委員を招いて勉強会を開催したことなどが記載され、それぞれの会合で出た意見や感想が具体的かつ詳細に記されている。
委員会では、勉強会に出席した委員の「活発な意見交換ができた」という感想を踏まえて意見交換を行い、当該放送局が意見書で指摘した課題を受け止め、個々の社員においても自分の問題として受け止めていることが窺われ、局の対応も適切であるとして、当該対応報告を了承して、公表することにした。(委員会決定など2019年度 参照)

3. 出演者の不適切な差別的発言を放送した関西テレビ『胸いっぱいサミット!』について審議

関西テレビが4月6日と5月18日に放送した情報バラエティー番組『胸いっぱいサミット!』の中で、コメンテーターとして出演した作家が、韓国人の気質について「手首切るブスみたいなもんなんですよ」と発言した。この発言について、当該放送局は、4月の放送前に制作や考査の責任者らが検討し、「国の外交姿勢を擬人化したもので、民族・人種への言及ではない」と判断して放送したとしていたが、6月に、視聴者への配慮が足りず心情を傷つける可能性のある表現で、そのまま放送した判断は誤りだったと謝罪した。
委員会は7月、人種や性別などによって取り扱いを差別しないなどとしている民放連の放送基準に照らし、収録番組であるにもかかわらず適切な編集が行われずに放送されたうえ、放送後にお詫びに至った経緯について詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。
この日の委員会では、担当委員から意見書の原案が示され、それを基に議論した。次回委員会には、意見書の修正案が示される予定である。

4. 人権にかかわる不適切な取材と内容を放送した読売テレビの『かんさい情報ネットten.』について審議

読売テレビは、5月10日夕方のローカルニュース『かんさい情報ネットten.』のコーナー企画の中で、取材協力者に対して性別を執拗に確認する内容を放送した。ロケのVTR終了後、スタジオで見ていたレギュラー出演の男性コメンテーターから厳しい叱責があったが、特に他の出演者からの反応はなく当該コーナーの放送は終わった。6月の委員会において、当該放送局の事後の自主・自律の迅速な対応は評価できるものの、なぜこの内容が放送されるに至ったかの経緯等を解明する必要があるとして審議入りした。
今回は、前回の意見書の原案に対する議論を受けて担当委員から示された修正案の内容について意見交換が行われ、次回の委員会でも引き続き議論を行う予定である。

5. 参議院比例代表選挙に立候補を予定していた特定の政治家に取材し、公示前日に放送した北海道放送のローカルワイド番組『今日ドキッ!』について審議

北海道放送が参議院選挙公示前日の7月3日、夕方のローカルワイド番組『今日ドキッ!』で、比例代表に立候補を予定していた特定の政治家に密着取材した様子を放送した。前回の委員会において、その他の比例代表の候補者や政党にはまったく言及しておらず、参議院比例代表選挙には制度上北海道という区切りを入れる余地がないので、北海道関係者だけを取り上げて放送することは、道内の有権者を当該候補者に誘導する効果を否定できないことからすれば、本番組の内容は他の候補者との間で公平・公正性を害し、放送倫理違反となる可能性があり、放送に至った経緯等について検証する必要があるとして審議入りした。
委員会では、当該放送局の番組関係者の一部に対して行われたヒアリングの結果が報告された。次回の委員会までに引き続きヒアリングを実施し、意見書の骨子案が示される予定である。

6. "レンタル家族"サービスの利用客として登場した人物がサービスを提供する会社のスタッフだったNHK国際放送『Inside Lens』について審議

2018年11月に放送されたNHK国際放送のドキュメンタリー番組『Inside Lens』で、家族や恋人などのレンタルサービスを描いた企画「HAPPIER THAN REAL」について、NHKは5月29日、利用客として出演した男性ら3名がサービスを提供する会社のスタッフだったと発表した。番組の制作担当者は利用客の属性や依頼の経緯などを再三にわたり確認しようとしたが、見抜くことができず、結果的に事実と異なる内容を放送することになったという。
前回の委員会において、利用客が会社関係者でないことの確認が適切に行われなかったことなどについて、制作担当者から直接話を聞くなど、放送に至るまでの経緯を検証する必要があるとして審議入りした。
委員会では、担当委員が、近く予定されている番組関係者へのヒアリングのポイント等について説明し、意見交換を行った。

7. 少年野球のピッチャーの投球などスポーツの映像を早回し加工したTBSテレビのドキュメントバラエティー番組『消えた天才』について審議

TBSテレビのドキュメントバラエティー番組『消えた天才』について、当該放送局から委員会に対し、8月11日の放送で、リトルリーグ全国大会で全打者三振の完全試合を達成した投手の試合映像を早回しして球速が速く見えるよう加工を行い、別の放送回でも、卓球とフィギュアスケート、サッカーの3件の映像について早回し加工を行っていたことが社内調査で判明したと報告があった。
前回の委員会において、スポーツ番組の根幹である実際の試合映像を加工したことは放送倫理上問題がある可能性があり、番組制作の経緯やどのようにチェックが行われたのかなどを検証する必要があるとして審議入りが決まった。
委員会では、当該放送局から、その後の調査において当該番組の全放送回で他に同様の加工はなかった旨の追加報告書が提出されたことを受けて、担当委員から、当該番組関係者に対するヒアリングの準備に入る旨の報告があった。

8. 生き物捕獲バラエティー番組で動物を事前に用意していたTBSテレビの『クレイジージャーニー』を討議

TBSテレビは、2019年8月14日に放送したバラエティー番組『クレイジージャーニー』で、海外に生息する珍しい動物を捕獲する番組を放送した際、制作スタッフが事前に準備した動物を、その場で発見して捕獲したかのように見せる不適切な演出を行っていたと発表した。
当該放送局の報告書によれば、専門家が「爬虫類ハンター」としてメキシコを訪れ、珍しい爬虫類を発見・捕獲するという企画で、放送後、外部からの指摘を受け社内調査したところ、紹介した動物6種類のうち4種類が、事前に現地の協力者に依頼して捕獲し、生息地付近に放すなどしたものを使って撮影していたことがわかったという。また過去10回の「爬虫類ハンター」企画を調べた結果、計7回、11種類の生物が、事前に用意されたものであることがわかったという。
委員会では、当該放送局から提出された同録DVDや報告書を基に討議が行われた。委員からは「民放連放送基準『(32)ニュースは事実に基づいて報道し公正でなければならない』に抵触する疑いがある」「当該放送局が認めているように、この番組のロケ部分はドキュメンタリーや情報番組においても虚偽やねつ造が許されないことと同様に過剰な演出にならないように注意する必要がある」「事実を伝えていないという点で視聴者との約束に反している」などの意見が出された。
委員会は、当該放送局が、現在も海外の現地協力者などに対して調査を続けており、その結果について追加の報告書を提出するとしていることから、討議を継続することとした。

以上

2019年10月BPO認知度調査

BPOはどれだけ視聴者に知られているか
BPOの認知率は70パーセント
前回8年前の調査に比べて18パーセント増加

BPO認知度調査

全文はこちら(PDF)pdf

BPOは2019年6月、株式会社ビデオリサーチに委託して、全国の15歳から79歳までの視聴者1,700名を対象に、BPOはどれだけ視聴者に知られているかという認知度について、アンケート調査を行いました。
調査の目的は、BPOの名称や活動内容が、どのような媒体によってどの程度認知されているのかを把握し、視聴者からの意見や苦情を受け付けて放送局に伝えるというBPOの視聴者向け活動に対する潜在的ニーズを確認することでした。
その結果、BPOを知っていると答えた人は70パーセントと、2011年の前回調査より18パーセント増えました。
内訳は、組織・活動について「よく知っている」が6パーセント、「だいたい知っている」が7パーセント、「少し知っている」が17パーセント。これに対し、「名称のみ知っている」は40パーセント、「知らない」は30パーセントで、BPOの組織や活動への理解はあまり進んでおらず、今後の課題であることが分かりました。
BPOの名称を見聞きした媒体について、「テレビのニュース番組・情報番組」を挙げた人が58パーセントと最も多く、次いで「BPOのテレビCM 」26パーセント、「新聞記事」15パーセントなどとなっています。また、「ニュースサイト、インターネット記事」を挙げた人は14%と、前回調査に比べて2倍に増えました。
この調査結果を踏まえて、BPOでは、広報における重点の置き方をはじめ、今後の活動に生かしていくことにしています。

BPO認知度調査

目 次

  • 調査概要
  • 調査結果の要約
  • 調査結果の詳細
    • Ⅰ.BPOの認知度
      • 1. BPO認知度とBPOとの接点
      • 2. BPOの組織・活動理解度
      • 3. 委員会活動の具体的認知度(事例)
    • Ⅱ.テレビ/ラジオ番組への不満・意見・要望について
      • 1. 番組評価情報への接触度
      • 2. 番組への不満・意見・要望の有無
      • 3. 番組への不満・意見・要望の伝達経験
      • 4. 番組への不満・意見・要望の伝達後の感想
      • 5. 番組への不満・意見・要望を伝達しなかった理由
    • Ⅲ.インターネット動画番組について
      • 1. インターネット動画番組視聴頻度
      • 2. インターネット動画番組の印象

2019年10月15日

「オウム事件 死刑執行特番に対する申立て」審理入り決定

BPO放送人権委員会は、10月15日に開催した第274回委員会で上記申立てについて審理入りを決定した。

フジテレビは、2018年7月6日の「FNN 報道特別番組 オウム松本死刑囚ら死刑執行」で、オウム真理教事件の死刑囚13人のうち松本智津夫死刑囚ら7人の死刑執行に関する情報を速報するかたちで放送した。
特別番組は、各拘置所からの中継、スタジオでの事件の解説、被害者遺族らの会見、国内外の反応など約1時間半にわたって生放送され、刑の執行情報は更新しながらフリップなどで伝えられた。

申立人は松本元死刑囚の三女で、番組は「人の命を奪う死刑執行をショーのように扱った」として、遺族の名誉感情を害されたと訴えている。また、スタジオのコメントも名誉感情を傷つけるものであったなどと主張し、フジテレビに謝罪を求めてBPO放送人権委員会に申立てを行った。

これに対してフジテレビは、速報情報を扱う生放送の時間的、技術的制約の中で、複数の死刑囚の執行情報をできるだけ視聴者に分かりやすく伝えたと説明し、「死刑執行をショーのように扱った」ものではなく、人権侵害にあたらないなどと反論している。

15日に開かれたBPO放送人権委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。次回委員会から実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

第217回 放送と青少年に関する委員会

第217回-2019年9月

視聴者からの意見について…など

2019年9月24日、第217回青少年委員会をBPO第1会議室で開催し、6人の委員が出席しました。(1人の委員は所用のため欠席)
委員会では、まず7月16日から9月15日までの2か月間に寄せられた視聴者意見について意見を交わしました。今月は、2件の番組について討論しました。
バラエティー番組でタレントをモチーフにした全裸の逆立ちした着ぐるみキャラクターが小学校を訪問してなぞなぞを仕掛け、不正解だとおならを発射するという企画について、「裸の男性が逆立ちしてお尻を見せているのは低俗で不快だ」「子どもに見せたくない」などの意見が寄せられました。また、深夜のバラエティー番組で女性アイドルグループのメンバーの顔に、男性タレントのお尻が徐々に近づいてきて、どこまで我慢できるかを競う企画について、「未成年のアイドルの顔にパンツ姿のお尻が近づいてくるのは、セクハラだ」「下品すぎる」などの意見が寄せられました。この二つの番組について、委員全員が視聴し、討論しましたが、今回の委員会では結論を出さず、次回に討論を継続することになりました。
8月の中高生モニターのリポートのテーマは「戦争関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について」でした。24人から報告がありました。
モニターからは、戦争中の庶民の生活をテーマとした情報スペシャル番組について、「この番組内で取材を受けていた人たちの戦争中の想いや好きな人が兵士なので全く会えず、生存していないかもしれない恐怖で仕方がない気持ちなどがすごく理解できます。この番組を視聴し、ますます戦争のことを忘れてしまってはいけないということを学びました」、戦争について考える教養スペシャル番組について、「戦争の風化を防ぐために、ちっぽけな行動かもしれないが私は祖母に話を聞くことを決意した。今回あらためて、中途半端な知識のみで『戦争は絶対に駄目だ』と言っていた自分が情けなく思えた。戦争という大きなくくりで見るのではなく、一人ひとりがいたという認識で見ることの大切さをより心に刻むためにも必ず実行しようと背中を押された番組だった」などの意見が寄せられました。
また、9月のテーマは「夏休みに見たスペシャル番組について」で、20人から報告がありました。
モニターからは、恒例の長時間チャリティー番組について、「アイドルグループ・嵐と3校のブラスバンドが共演する企画は、同年代の高校生が一生懸命にパフォーマンスをしている様子を見て心を打たれました。特に私自身もオーケストラでホルンを吹いているので彼らのパフォーマンスを見て自分も頑張ろうと力をもらうことができました」、俳優・香川照之さんが昆虫の興味深い生態を紹介する教養番組について、「昆虫が100年後には今の1%になっていることにすごく驚きました。人間が自分たちのことだけを考えていてはいけないということがよく分かりました。私も香川さんのように、自分の大好きなことを突き詰めて全力で挑戦できるような人になりたいと思いました」などの意見が寄せられました。委員会では、これらの意見について議論しました。
次回は10月29日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2019年9月24日(火)午後4時30分~午後6時45分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
調査研究について
今後の予定について
出席者
緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

今回は、二つの番組について委員全員が視聴し討論しました。
お笑いタレントをモチーフにした全裸の着ぐるみキャラクターが小学校を訪問して、股の間でなぞなぞを仕掛け、間違えた子どもの顔に向けてオナラを発射するというバラエティー番組の企画に対して、「裸の男性が逆立ちしてお尻を見せているのは低俗で不快。しかも子どもたちが集まる場所でロケを行っている」「小学生の子どもが見ていたがドン引きしていた。二度と子どもに見せたくない」「子どもの顔をお尻に見立てた部分に入れさせるなんて笑えるわけがない」などとの意見が寄せられました。
これに対して委員からは、「裸体着ぐるみがリアルであり、子どもたちの中に性的被害体験者がいた場合には、フラッシュバックも起こる可能性がある。性的虐待は非常に根が深く、人のさまざまな発達とか、精神的な健康に大きな影響を与えかねない」「友達に見られて、みんなに笑われるという屈辱感を与えたり、尊厳を傷つけたりするような演出が、性的なこととつながっている意味で、性的虐待経験があった場合、忘れられないようなシーンになるのかもしれない」
「第二弾で一定の演出上の配慮が見られたが、十分とは思われない」などという意見があった一方、「下品だと思ったが、この表現自体がすごく子どもたちに悪影響があるとは思わない」「作り物だけども、お尻の中に自分が入って行く。でも子どもはすごく喜んで、ニコニコしている。子どもたちがどのようにあれを受けとめたのかというのは、ちょっと分からない」「第二弾も放送されたが、視聴者からの意見を受け演出的な配慮が見られたことは評価したい」という意見がありました。
この件については、今後の放送も含め、次回の委員会で継続して討論することとしました。
深夜のバラエティー番組で、椅子に座る女性アイドルの顔に男性お笑いタレントのお尻が徐々に近づいてきて、どこまで我慢できるかを競う企画に対して、「未成年の女性アイドルの顔面にパンツ姿でお尻を向けて近づくというのはセクハラだ」「アイドルを番組の道具としかみなしていないのか」「未成年にこんなことやらせていいのか。下品すぎる」「女性蔑視的な内容だ」などとの意見が寄せられました。
これに対して委員からは、「メンバーの中には未成年者もいる。適切性を欠いた企画ではないか」「以前同じ企画をアイドルグループの先輩が耐えたのだからあなたも耐えなさいと言うのは、作られた画面であってもセクハラの要件を満たしているのではないか」「演技かもしれないが、嫌がって泣いている姿だから、すごく嫌な感じがしたし笑えなかった」「芸人をいじめて、いじめられて困っている姿を見て笑うという構図のバラエティー番組が多くなっているような気がする」などの意見が出された一方、「出演している時点で演出に同意しているとすれば問題ないのではないか。それに耐性のある人が出演していると見なせると思う」「泣いたような演技をするということは、あの番組で求められていることだから、本当に嫌がっているかどうかは何とも言えない」との意見が出されました。
この件についても今回結論を出さず、次回委員会で討論を継続することになりました。

中高生モニター報告について

今月は、8月と9月のモニター報告について話し合われました。
34人の中高生モニターにお願いした8月のテーマは、「終戦関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について」でした。また「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で24人から報告がありました。
「終戦関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について」では、複数のモニターが意見を寄せた番組は3番組あり、『NHKスペシャル #あちこちのすずさん』(NHK総合)に6人から、『池上彰の戦争を考えるSP 第11弾 ~失敗は隠され、息子たちは戦場へ~』(テレビ東京)に3人から、『映画 ひろしま』(NHK Eテレ)に2人から報告がありました。意見が寄せられた番組のジャンルはさまざまでしたが、多くのモニターたちは、戦時中に生きた人たちの経験や思いに自分を重ね、共感している様子がうかがえました。「食料も十分にない貧しい暮らしを強いられた日々の中で楽しさを見つけ、心の居場所を創っていった当時の人々のリアルと強さを感じました」や「それぞれの人生があり、家族がいたことをあらためて感じた。決して戦争のことを忘れてはいけない」など、思いを綴っていました。
一方で放送局に対する要望もありました。「自由記述」で、「自分が幼いころと比べ、多くの放送局で戦争関連の番組が減ったように感じる。面白いこと、時事的なことを伝えるだけがメディアの役割ではない。メディアの意味を今一度考え直してほしい」という声が上がっています。終戦関連以外の記述では、あおり運転のニュースに関する意見が2件ありました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?』(日本テレビ)を4人が、『ETV特集 あの夏を描く 高校生たちのヒロシマ』(NHK Eテレ)を2人が取り上げています。

◆委員の感想◆

  • 【終戦関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について】

    • 『NHKスペシャル #あちこちのすずさん』(NHK総合)について、これまで中高生モニターにとっては、戦争はあまりリアリティーがなかったと思うが、番組を見ることで「戦争というものをもっと学ばなければいけない」という気持ちになったという人が多く、意味のある番組だったと思う。

    • 『池上彰の戦争を考えるSP 第11弾 ~失敗は隠され、息子たちは戦場へ~』(テレビ東京)に寄せられた高校1年生からの感想の中に、「異常を常識にしてしまうメディアの力の大きさを知った」「現代では異常と感じられることが、当時は普通であったのかもしれないと感じるようになった」と書かれていた。この高校1年生は、この番組を見たことで、中途半端な知識で「戦争はダメだ」と口にすることは情けないと感じ、戦争を経験している自分の祖母に体験談を聞いて実際のところを探ろうと行動を始めると言っている。こういう決断、行動力が大事だと思う。

    • 『特集ドラマ マンゴーの樹の下で~ルソン島、戦火の約束~』(NHK総合)高校2年生のモニターから「戦争時に受けた心の傷はいつまでたってもいえないことが伝わってきました」という感想が届き、とても深く見てくれたという印象を持った。戦後の年をとった主人公と戦時下の若いときの主人公と、過去と現在を行ったり来たりしながらドラマが作られていて、一人ひとりの人間にスポットライトを当てた物語なので、個人というところに寄せてよく理解できたのではないかと感じた。

    • 戦争があったためにオリンピックに出られなかったというような話について書いたモニターがいて、学校で知ることできないようなことを知ることができたという内容だった。それが一つのテレビの良さ、テレビの意義だと思う。

    • モニターの中に、ひいおばあちゃんの戦争体験を聞いて、自分がどう感じたかも含めてSNSで発信したという高校生がいた。戦争経験者に戦争のときに何をしていたのかを聞いて、それをまたSNSなどで自ら発信して伝えていくという、新しい伝え方を考えているなというふうに思った。

◆モニターからの報告◆

  • 【終戦関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について】

    • 『NHKスペシャル #あちこちのすずさん』(NHK総合)この番組内で取材を受けていた人たちの戦争中の想い、好きな人が兵士なので全く会えず、生存していないかもしれない恐怖で仕方がない気持ちなどがすごく理解できました。今の時代にも戦争が起こっていたら、私たちも間違いなく同じ気持ちになるはずです。今、私たちが平和に過ごせているのは当たり前ではありません。戦争がないからなのです。この番組を視聴し、ますます戦争のことを忘れてしまってはいけないということを学びました。(愛知・中学2年・女子)

    • 『NHKスペシャル #あちこちのすずさん』(NHK総合)戦争が起きていても、戦争に負けずに、おしゃれをしようとしていた女性たちは本当にすごいと思いました。戦争というと「悲しい、苦しい」というイメージばかりだったけれど、この番組を見て、戦争中でも小さな幸せがあったことが分かり、今も昔も人々の気持ちは変わらないなと思いました。(東京・中学1年・女子)

    • 『NHKスペシャル #あちこちのすずさん』(NHK総合)この番組名と内容を見たときに絶対見ようと思ったし、リポートに書こうと思った。なぜかというと、私のひいおばあちゃんは戦争の経験者であり、私は今まで彼女から多くの戦争についての話を聞き、実際にSNSに載せたことがあるからだ。聞いた話の中に、「つらい状況下において私を励ましてくれたのはいつも音楽だったよ」という言葉があった。私は、自分も音楽をたしなむ身として音楽の力をあらためて感じたし、「ひいおばあちゃんが戦時中音楽に救われなければ今、私はいなかったかもしれない。これからは音楽に恩返しをするつもりで音楽の練習をしたい」という内容の投稿をした。「戦争伝承」とは、話を聞くだけではなく、自分の感じた思いも込めて自らも伝えるのが現代のスタイルなのだろう。(佐賀・高校3年・女子)

    • 『NHKスペシャル 全貌 二・二六事件~最高機密文書で迫る~』(NHK総合)小学校で少し習いはしたのですが、詳しい内情などは習っていなかったので面白さと驚きと、少し切なさもありました。過去の誤りを受けとめ、まっすぐ考えながら進むことが私たちに求められているのだと感じた番組でした。(福岡・中学2年・女子)

    • 『池上彰の戦争を考えるSP 第11弾』(テレビ東京)同年代で戦争のことを自らすすんで知ろうとする人はいったいどれほどだろうか。身の回りを思い、その数を考えるとぞっとした。戦争の風化を防ぐために、ちっぽけな行動かもしれないが私は祖母に話を聞くことを決意した。それまで戦争を思い出したくないかもしれない、と勝手に祖母の気持ちを決めつけ、その話題を出すのを躊躇していた。今回、中途半端な知識のみで「戦争は絶対にダメだ」と言っていた自分が情けなく思えた。戦争という大きなくくりで見るのではなく、一人ひとりがいたという認識で見ることの大切さをより心に刻むためにも必ず実行しようと背中を押された番組だった。(東京・高校1年・女子)

    • 『池上彰の戦争を考えるSP 第11弾』(テレビ東京)戦争にかかわった一人ひとりの心情や行動を読み解いていて、より「戦争はしてはいけない」と思わされる番組でした。戦争を知らない私たちはこのような番組をこれからも見続けなければいけないと思いました。(北海道・中学2年・女子)

    • 『映画 ひろしま』(NHK Eテレ)この映画には実際に被爆された方々も含め、8万人以上の方々が出演しており、反戦を強く訴える作品になっています。どれだけの年月が経っても心身ともに蝕み続ける原爆や戦争の恐ろしさを本当に痛感しました。戦争で家族を亡くした子どもたちが、平和記念館に訪れた人たちに記念品として、被爆した瓦礫を売っているシーンがありました。自分がこの時代に生きていたらと思うと、言い表すことができないくらい考えることが多くありました。この映画は世界中の人々に、その中でも特により多くの日本人に見てもらうべき作品だと思いました。(奈良・高校3年・男子)

    • 『終戦スペシャル「子どもたちの戦争」』(TBSテレビ)不遇にも戦争孤児となってしまった方々の辛い立場が痛いほど、理解できた番組でした。「セミなんかも食べましたね。はは」と悲しそうに笑いながら過去を回顧して、思い出をぽつぽつと語られていた姿を見ると、戦争がいかに残酷でこの世にいらない戦いであるかを強く感じました。耳をふさぎたくなるような事実が多くありましたが、それ以上に教科書には載せきれない、語り切れない雰囲気が映像とともに伝わり、いつの間にか戦争を知らない世代として、将来を担う若者の一人として、知らなければいけない責任感にかられ、目が離せませんでした。(東京・高校1年・女子)

    • 『NHKスペシャル"ヒロシマの声"がきこえますか~生まれ変わった原爆資料館~』(NHK総合)数年前に改修前の原爆資料館に行ったことがあったので、そのことを思い出しながら視聴しました。この番組は改修後の資料館の展示を紹介しつつ、展示の背景を見ていく番組でした。改修前に比べて遺品が増えたということで、原爆によって起こった惨劇がより一層ダイレクトに伝わってきました。原爆の被害にあった人たちは当たり前に、家族や友人、恋人がいた、という事実をあらためて感じさせる展示であり、特集であったと思います。(神奈川・高校1年・女子)

    • 『奇跡体験!アンビリバボー』(フジテレビ)「万朶隊(ばんだたい)」という特攻隊に関する番組だった。でも、見ているとき、自分が思っていた特攻隊ではないと気づいた。「特攻隊=体当たりで死ぬ」と思っていた。この隊は「弾丸を当てたら帰ってこい、そして何度も手柄をあげる」だった。その一員の佐々木は奇跡の生還を9度起こした。とにかく生きる。その精神が佐々木の中にあったのだと感じた。戦争はしてはいけない、人の命は物に変えることができないたった一つのもの。何度も多くの人に聞かされてきた。でも、こういった体験談を通じて、あらためて、振り返るきっかけになった。(山梨・高校1年・男子)

    • 『ニュースウォッチ9』(NHK総合)私はドキュメンタリーやドラマなどの戦争関連番組を見ると夜、怖くて眠れなくなるので、新聞やニュースのコーナーなどを見ます。その中で印象に残ったのが、この番組で特集されていたある男性のお話です。その人は戦後生まれで祖父が沖縄戦の指揮者だったそうです。祖父はどのような人だったのか、なぜこのような決断をしたのか、などいろいろ調べ、祖父を知っている人のインタビューも記録し、次の世代に向け発信しているそうです。最近、戦争を経験した人の高齢化で戦争体験を伝える人が少なくなっているので次の世代にどう伝えていくか考えなくてはなりません。そんな中でこの男性は戦争を経験していないけど中高生に講演を行っていました。この番組を見て戦争を経験していない人もこうやって戦争を伝えることができるのだなと実感しました。(鳥取・中学3年・女子)

    • 『NEWS23』(TBSテレビ)女優の綾瀬はるかさんが戦争を体験した人にお話を聞く、という内容でした。今まで「戦争」というと、戦争そのものにしかスポットが当たらなかったというか、頭がいかなかったというか、あまり終戦後のことは知らなかったなと思いました。終戦後は兵隊の方たちは日本に帰って、疎開していた人たちも家族のもとに戻って来られたというようなイメージがありました。でも、やっぱり戦争が"終わった"というよりは戦争に"負けた"わけで、負けた国はまだ悲しい出来事があったんだなと知りました…。(神奈川・高校1年・女子)

  • 【自由記述】

    • 私が幼いころは8月に入るとほとんどの番組で戦争を取り上げていましたが、最近では少しのコーナーの中でしか取り上げられません。戦争の経験者がどんどん亡くなっている状況で、このような報道の仕方では、日本が戦争をしていたということが風化してしまいます。学校の教育ではもちろんですが、メディアを使って正しい情報を教えることが重要だと思います。放送局では視聴率を大切にしているということは以前のBPO会議(中高生モニター会議)で分かりましたが、面白いこと、時事的なことを伝えるだけがメディアの役割ではないと思います。メディアの意味を今一度考え直してほしい。(奈良・高校3年・男子)

    • ゴールデンの戦争関係番組は少ないと感じました。(北海道・中学2年・女子)

    • 悲惨な場面やグロテスクなシーンを見たい訳ではありませんが、すべてモザイクなどで隠してしまうと、一番の悲劇的な場面の歴史を誰も受け継がなくなってしまうと思うので、時間・チャンネルをきちんと設定し、そういう画像を流すと警告した上で報道するべきでは?と思いました。(東京・高校1年・女子)

    • あおり運転のニュースでデマが広がり、デマを広げられた女性がいるというニュースを聞いて驚きました。デマのニュースをインターネット上などで見たときに、目を引く内容に初めは信じてしまいそうになるのは仕方のないことかもしれませんが、本物なのか自分で見極めて簡単に拡散しない、ということは今の時代でとても重要なことだとすごく感じました。(福岡・中学3年・女子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『クイズあなたは小学5年生より賢いの?』(日本テレビ)本当に小学5年生までに習った問題しか出題されないのですが、案外覚えていないものですね(笑)。家族で答えを出し合ったりしてとても楽しめました。(広島・高校2年・男子)

    • 『ETV特集 あの夏を描く 高校生たちのヒロシマ』(NHK Eテレ)ヒロシマの高校生が被爆者と話し合いながら原爆の被害の様子を描いていく姿を追ったドキュメンタリーでした。同世代の高校生たちが頭を悩ませながらも必死に絵を描いていく様子に心を打たれました。(神奈川・高校1年・女子)

    • 『ファン10万人がガチで投票!高校野球総選挙』(テレビ朝日)野球が好きで高校野球も毎年テレビの前で応援している。いつも何かが起こるのが高校野球の醍醐味だと感じる。(山梨・高校1年・男子)

    • 『BS1スペシャル マンゴーの樹の下で~こうして私は地獄を生きた~』(NHK BS1)一括りにできない、そして綺麗事では済ませられない、一人ひとりの物語があり、そのことが伝わってきた。インタビューの合間に言葉に詰まって沈黙が続く場面も放送していて、戦争が一人ひとりに今もなお与え続ける影響というものを感じました。(愛媛・高校2年・女子)

9月のテーマは、「夏休みに見たスペシャル番組について」でした。全部で21人から報告がありました。
「夏休みに見たスペシャル番組について」では、複数のモニターが意見を寄せた番組は2番組あり、『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ)に8人から、『金曜ロードSHOW! サマーウォーズ』(日本テレビ)に2人から報告がありました。それ以外は別々の番組を取り上げていました。視聴された番組のジャンルは幅広く、モニターそれぞれが自身の興味に従って視聴し、考えを深めた様子がうかがえました。「自由記述」では、3人のモニターが『消えた天才』や『クレイジージャーニー』(ともにTBSテレビ)の問題について触れています。「ありのままを放送すべき。ますますテレビ離れが進みそう」という批判の声がある一方で、「バラエティーでは人を楽しませることが大切。そこまで批判的にならなくてもいいのではないか」という意見もありました。「青少年へのおすすめ番組」では、『ライオンスペシャル第39回全国高等学校クイズ選手権』(日本テレビ)を4人が『青春舞台2019』(NHK Eテレ)を3人が取り上げています。どちらの番組にも、「同世代が情熱を傾け、ひたむきに頑張る姿に感動した」という共感の声が寄せられています。

◆委員の感想◆

  • 【夏休みに見たスペシャル番組について】

    • 『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ)について、「感動した。私も頑張りたい」という感想が多い中、別の視点からの感想も寄せられた。「頑張っている人にライトを当てるのはいいけれど、障がい者が日常でどういうところを助けてほしいと思っているのかというような、見ている人が番組が終わってからも使える情報を発信してくれるといいな」というものだが、こういうメッセージがあることも制作者に伝えたい。

    • 『金曜ロードSHOW! サマーウォーズ』(日本テレビ)への感想に、「小さいころから楽しんでいた。高校生になって、いろいろ登場人物の言うことの意味が分かってきて、見方が変わってきた」というものがあった。昔の自分と比べて分かってきた部分に楽しみを感じているようで、その辺りが興味深い。

    • 『熱闘甲子園』(朝日放送テレビ)について書いたモニターがいた。甲子園が気にはなるけど忙しくて、8月の2週間ずっとだとなかなか全部見にくいのかもしれない。私自身、『熱闘甲子園』を見たことがなかったが、見てみると、試合の結果だけではなく、全く中継とは違う観点からいろいろなことを紹介していることが分かった。学校それぞれの甲子園への思い、それぞれの選手の顔とか特徴とかプレッシャーとの闘い方とか、そういうものを取材しているので、「このチームを応援したい」という、そういうダイジェストならではの面白さがあるんだということをあらためて考えた。

    • 『クレイジージャーニー』(TBSテレビ)が大好きだったモニターから、「珍しい生物のレポートをたくさん執筆している爬虫類ハンターが出ていたので、信用していた分、よけいに衝撃的だった。いつも狙っているのは珍しい生物なので、見つけて捕まえるのはそんなに簡単ではないことをありのままに放送してほしかった」という感想が届いた。本当に信用していたからこそ信用を裏切られ、がっかりしたという気持ちがにじみ出ていた。そういう思いを制作者にはかみしめてもらいたい。

    • 生放送の視聴者参加型の番組でリモコンでクイズに答えられるという番組のことや、続きのエピソードみたいなものをツイッターや公式ホームページで見ることができるというような新しいタイプのドラマについて書いたモニターがいた。新しい時代のテレビのあり方について関心があるのかと、いろいろ考えさせられた。

    • 「京都アニメーションの放火事件の実名公表について不満に思っています」という中学校2年生のモニターがいた。いろいろ報道で取り上げられたから、メディアのあり方とか、そういうものについて考える機会になったのだろうと思った。賛否についてはいろいろあると思うが、少なくとも、こういうことを中学生も考える機会があったことが興味深い。みんなで考えていかなきゃいけないことだと思った。

◆モニターからの報告◆

  • 【夏休みに見たスペシャル番組について】

    • 『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ)嵐と3校のブラスバンドが共演する企画は、同年代の高校生が一生懸命にパフォーマンスをしている様子を見て心を打たれました。特に私自身もオーケストラ部でホルンを吹いているので彼らのパフォーマンスを見て自分も頑張ろうと力をもらうことができました。(神奈川・高校1年・女子)

    • 『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ)毎年障がいを持った子どもたちがいろいろなことに挑戦しているのが印象に残る。頑張っている人を見ると、自分も何か頑張ってみたいと思えるようになるし、その人を応援したくなると思った。(群馬・高校1年・女子)

    • 『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ)「頑張っている人」にライトを当てるのは良いことだと思うが、普段、障がい者の方が助けてほしいことなど、番組が終わってからも使える情報を発信すべきだと思う。(島根・高校1年・女子)

    • 『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ)「24時間駅伝」が一番印象に残りました。練習風景を見て、毎日頑張っていて、本番では見事完走していたので、すごく感動しました。僕じゃそんなに走るのは無理なので、頑張りと辛さが伝わってきました。(大分・高校2年・男子)

    • 『金曜ロードSHOW! サマーウォーズ』(日本テレビ)人のつながりが大切だということ、諦めたらそこで終わってしまうということ、作品を通して強く実感することができました。「人間あきらめないことが大切だよ」という登場人物のおばあちゃんの言葉も、受験生の今の私には印象に残っています。昨年見たときはそんなことは感じなかったので自分の中の変化も個人的に感じられた気がしています。(福岡・中学3年・女子)

    • 『金曜ロードSHOW! サマーウォーズ』(日本テレビ)幼少のころから幾度となく見てきましたが、いつ見ても退屈さを微塵も感じません。幼少のころはネットやアバターなどの小難しいことは分からなかったのですが、高校生に上がりIT用語が多少理解できるようになると、また違う視点から物語を楽しむことができました。(石川・高校2年・男子)

    • 『NHKスペシャル 香川照之の昆虫"やばいぜ!"』(NHK総合)私も香川さんのように、自分の大好きなことを突き詰めて全力で挑戦できるような人になりたいと思いました。一つのことをマニアックに突き詰めていくような番組は面白いと思います。そのような番組が増えてほしいです。(東京・中学1年・女子)

    • 『生放送クイズバトル リモコンWARS』(NHK総合)視聴者はdボタンでクイズの回答を入力、多数の視聴者が正解していたら海賊を倒すパワーを得て、そのパワーがたまると最後に海賊を倒すことができます。まさに視聴者主体の番組であり、クイズの内容が学校で習うような内容とは全く違い、どちらかというとひらめき力を問うようなもので相応に簡単なものだったので子どもでも楽しめ、大人は大人で楽しむことができ、家族みんなで楽しめる番組だと思いました。(愛媛・高校2年・女子)

    • 『土曜プレミアム ENGEIグランドスラム』(フジテレビ)老若男女楽しめる面白い番組だった。僕はENGEI歌謡祭のコーナーが好きです。特に癖の強い「愛は勝つ」は家族みんな面白くて頭から離れなくなっていて僕も口ずさんだりします。(千葉・中学1年・男子)

    • 『UTAGE!令和の夏!挑戦の夏!3時間SP!』(TBSテレビ)さまざまなジャンルのアーティストのみなさんがいろいろなことにチャレンジしたりコラボしているのがとても面白かったです。若者に人気のアイドルから演歌歌手まで幅広い世代の方たちが出演されていて家族で楽しむことができました。(北海道・中学2年・女子)

    • 『熱闘甲子園』(朝日放送テレビ)「甲子園というのは気になるけれど、夏休み忙しくてずっと見られるわけじゃない…」というときに助かる番組です。「夏跡」というしんみり(?)したものから、アナウンサーがインタビューをしてまわるものまで、いろいろなタイプがあって楽しめる、夏休みのお楽しみです。短い時間の中でも細かく紹介されているので、「この高校の野球部を応援してみよう」と思えて、ひいきチームを見つけることから始められるのでとても面白かったです。(福岡・中学2年・女子)

    • 『声優×怪談』(NHK総合)アニメをはじめとした多くのテレビ番組に出演している声優の方々が、それぞれ一人で怪談のナレーション・登場人物を演じるという新しいタイプの怪談だった。イラストなどに加えて声優の演技力が怪談を引き立てていた。普段から多くのキャラクターに声を入れているだけあって、見た人が想像力を働かせられるような演技だったと思う。さまざまな声優が出演していたので、それぞれの声の個性が見られたのも良かった。(東京・高校1年・男子)

  • 【自由記述】

    • TBSの番組が立て続けに休止になりました。テレビは視聴率を気にすることも分かりますが、「真の姿」を放送するものだと思います。ねじ曲げたり、誇張するのはいけないと思います。ますますテレビ離れが進みそうです。(愛知・中学2年・女子)

    • 『クレイジージャーニー』の報道には驚いた。実際の自然で捕まえている様子を見られて面白いと思っていたので、がっかりすると共に、とても残念に感じた。いつも狙っているのは珍しい生物なので、見つけて捕まえるのはそんなに簡単ではないことを、ありのままに放送してほしかった。(東京・高校1年・男子)

    • TBSの報道について、批判の声が多いようです。けれど、バラエティーなどでは「人々を楽しませる」これが一番大切だと思うので、個人的にはそこまで批判的にならなくてもいいのではないかと思います。(兵庫・中学1年・女子)

    • 『日曜ドラマ あなたの番です』(日本テレビ)2クール連続ドラマと聞いて挑戦的だなと思いました。昔はあったそうですが、私は見たことも聞いたこともなかった。最近はドラマのマンネリ化がよく言われます。テレビ離れが進む中でテレビ局がいろいろな放送の在り方を模索するのは大切だと思います。番組の内容だけではなく、こういう放送の方法をいろいろ試すことももっと必要だと思います。昭和、平成、令和と時代が変わる中で人々の生活習慣も変わるし考え方も変わります。人々の娯楽も変わります。時代の変化において行かれずテレビが残っていくには、いろいろな放送を模索すべきだと思いました。(鳥取・中学3年・女子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『ライオンスペシャル 第39回全国高等学校クイズ選手権』(日本テレビ)頭脳明晰で個性的なキャラのメンバーが多かったように思いますが、優勝を目指し、チームワークで頑張っていた。県内の高校の生徒も頑張っていました。(愛知・中学2年・女子)

    • 『ライオンスペシャル 第39回全国高等学校クイズ選手権』(日本テレビ)来年は自分も高校生になるので友だちを誘って参加してみたいと思いました。私は今のスタジオだけのクイズより昔のアメリカに行ってするクイズの方が好きです。学生にとって夢や希望が大きいかなと思うからです。(鳥取・中学3年・女子)

    • 『ライオンスペシャル 第39回全国高等学校クイズ選手権』(日本テレビ)私の知っている高校生クイズは知識量で競うものだったので、今年の高校生クイズが思考力で競っていて驚いたが面白かった。(群馬・高校1年・女子)

    • 『青春舞台2019』(NHK Eテレ)高校生たちが青春をかけて舞台に取り組んでいる姿に感動しました。松本穂香さんが高校生にインタビューするシーンはとてもリアリティーがあってよかったです。(北海道・中学2年・女子)

    • 『青春舞台2019』(NHK Eテレ)私の通っている高校には演劇部がないので高校生の演劇は初めて観ました。同じ高校生とは思えないほどの表現力に驚き、すごく刺激を受けました。(広島・高校2年・男子)

    • 『ダーレモシラナイ~爆笑!日本の新常識~』(毎日放送)この番組は視聴者が自分だけが知っているという情報を立証し、VTRを見ている間にプロがインターネットで視聴者の持ち寄った情報を検索するというものです。視聴者主体の番組作りがなされていて持続可能な番組だと思いました。(愛媛・高校2年・女子)

    • 『ひとモノガタリ「"がんになって良かった"と言いたい~京大生のSNS奮闘記~」』(NHK総合)祖母が話していたのを不意に思い出し視聴しました。番組が始まる前にブログを少し拝見していたのですが、やはり本人から直接聞くことができたため心情がひしひしと伝わってきました。何より、大炎上の裏側を知ることができて良かったです。(石川・高校2年・男子)

◇中高生モニター会議について◇

8月3日、テレビ東京で開催された中高生モニター会議について、参加したモニターからの事後アンケートを参照し、委員から感想、意見を聞いて、総括しました。

今後の予定について

  • 10月3日に開催される山形県の放送局の方々と青少年委員会委員との意見交換会について、テーマや会議の進行などについて最終確認をしました。

以上

2019年9月に視聴者から寄せられた意見

2019年9月に視聴者から寄せられた意見

千葉県を中心に甚大な被害をもたらした台風15号の報道に関する意見や、日韓問題を取り上げた情報系番組への意見など。

2019年9月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,340件で、先月と比較して815件減少した。
意見のアクセス方法の割合は、メール77%、電話21%、FAX 1%、郵便 1%。
男女別は男性64%、女性35%、不明1%で、世代別では40歳代27%、50歳代23%、30歳代23%、20歳代13%、60歳以上12%、10歳代2%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。9月の通知数は延べ741件【51局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、22件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

千葉県を中心に甚大な被害をもたらした台風15号の報道に関する意見が多く寄せられた。また、日韓問題を取り上げた情報系番組への意見も多く寄せられた。
ラジオに関する意見は48件、CMについては30件あった。

青少年に関する意見

9月中に青少年委員会に寄せられた意見は107件で、前月から15件増加した。
今月は「表現・演出」が26件、「低俗・モラル」が20件、「報道・情報」が15件、「動物」と「暴力・殺人・残虐」がともに8件と続いた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • ラグビーのワールドカップが開催されているが、日本以外の、外国同士の試合の報道が少ないのが気になる。開催国として、参加国へのリスペクトが必要ではないか。各国から来日したサポーターが、ホテルなどでテレビを見ても、自国選手の戦いぶりがニュースで報道されていないのは悲しいと思うのだが。

  • 台風15号の報道について。上陸前、気象庁が会見で「記録的な暴風」と警告を繰り返していたが、各局とも大きく取り上げることなく、前日の夜は、バラエティーやドラマなど通常番組を放送していた。台風は地震や津波などと違い、ある程度予測できる災害である。事前の情報をいかに伝えるかが大切であり、それこそ報道の使命ではないか。台風通過後に各局は、「政府、自治体の対応は適切だったか」と責任追及を始めている。来ることが予測できていた災害を、放送で伝えなかったテレビ局こそ、責任が問われるべきではないだろうか。

【番組全般・その他】

  • 千葉県では台風15号による被害が広がり、県南部の私の実家でも停電で不自由な状態が続いているそうだ。在京キー局は、終日台風情報を流していたが、千葉県内各地の詳しい情報までは取り上げていなかった。このような時こそ地元の局に頑張ってほしかった。地元局がライフラインを中心に最新の情報を伝えてくれれば、それを隣県の私がテレビで見て、実家に伝えることができたはずだ。ところが実際のところ、この局はいつも通りに通販番組を流しているだけだった。

  • 連日にわたり、韓国に対する批判的な報道が流れているが、それを見ている家人がすっかり影響されている。特定の内容を長時間聞かされ続けると、人によっては脳に刷り込まれるらしく、家人はまるで自分が見てきたかのように韓国批判をしている。見せなければ良いのだろうが、他に娯楽がないため、テレビはつけっ放しになっている。テレビの影響力はすさまじい。放送をもう少しバランスよく、一方的な批判を続けることのないよう配慮してもらわないと困る。

  • 話題性のあるドラマだったが、殺害シーンなどが極めて残虐であり、また、人を殺害したい衝動から殺害を繰り返すことが正当化されているようで、不快に感じた。見ている子ども達も多いようで、殺害シーンやゲーム感覚の殺人というテーマなどは、悪影響を及ぼさないのかがとても気がかりだ。映画には視聴制限が設けられているのに、ドラマには年令制限がないため、視聴者へ与える影響を考慮した番組作りを真剣に考えてもらいたいと思う。

  • 若手芸人が芸能活動を始める前に逮捕されていたことを週刊誌が報道し、それを受けて、その芸人の出演が取りやめになったり、予定通り放送したりと番組によって対応がまちまちだ。芸能活動を始める以前の、一般人であった過去の、既に罪を償っている逮捕歴により、活動の場を奪われることは妥当なのか。そうであるならば、放送した番組を厳重注意するべきではないか。一方で、過去に逮捕歴のある芸能人が日常的にテレビ出演しているが、その人たちと今回の件の違いは何か。前科者のテレビ出演についての見解が知りたいが、対応に一貫性がない。

【ラジオ】

  • 今回の台風で被害を受けた地域にいた。電波が入らず、携帯電話も全て圏外。テレビも当然つかなかった。「ツイッターで情報を流しています」と言われても、アクセスできない。ツイッターは特に重い。信号機もつかず、道路は大渋滞。猛暑なので、避難所を探しながら、電波が拾えるところまで移動するのも困難だった。ラジオをつけても、1時間に1度情報が流れるだけ。「本日中の電力復旧を目指し…」という情報より、避難所、給水所、受け入れ可能な病院、高速道路の通行情報など、非常時に必要な情報を、24時間流し続けるラジオ局の必要性を感じた。

  • 千葉県の観光などを紹介する日曜昼のレギュラー番組。台風で大変なことになっているのに、女性アナウンサーが番組冒頭で簡単なお見舞いと、今日の放送は8月に収録した録音である旨を伝えただけ。メイン出演者の県知事のコメントや、被災各地の現状報告など一切なし。この緊急事態に、いつも通りのゲストへのインタビューと観光情報。しかもその情報が、被害甚大な館山市や長柄町のいちじく狩り。さらに「変更の場合もあるので、問い合わせは各市町村に電話で…」と来た。ライフラインの対応でてんてこ舞いの館山市に、いちじく狩りのことを電話で問い合わせろという、何の配慮もないラジオ番組。この局は「防災ラジオ」の看板を掲げている。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • バラエティー番組のドッキリ企画で、銭湯で入浴している間に、股間がスースーする薬を下着に塗って、芸人の反応を見てみんなで笑っていたが、これは傷害罪ではないか。子どもが真似をしてこのようなことを平気でやるようになったらどう思うのか。

【「低俗、モラルに反する」との意見】

  • お笑い芸人がネタを競い合い優勝者を決めるバラエティー番組で、ある芸人の演じたネタが目に余った。子どもが視聴できるゴールデンタイムに男性の下半身の比喩を用いたネタを披露しており、悪影響は必至だ。お笑いだからと看過できるものではない。

【「報道・情報」に関する意見】

  • さいたま小4男児殺害事件で被害者の同級生にインタビューしていた。身近な友達が殺され、悲しく苦しいであろう出来事で、小学生という年齢を考えてもインタビューする相手が間違っていると思う。

【「編成」に関する意見】

  • 深夜番組を日曜の昼間に再放送するのはやめてほしい。性器の名前を伏字でテロップに出していた。

第30号

長野放送
『働き方改革から始まる未来』に関する意見

2019年10月7日 放送局:長野放送

長野放送が2019年3月21日にローカル放送した持ち込み番組『働き方改革から始まる未来』については、2019年5月の委員会で、番組で取り上げられている特定企業の事業紹介が広告放送と誤解されかねない内容になっているのではないか、考査が適正だったか検証する必要があるとして審議入りし、議論を続けてきた。
委員会は、長野放送が、民放連放送基準の「(92)広告放送はコマーシャルによって、広告放送であることを明らかにしなければならない」や、民放連が策定した「番組内で商品・サービスなどを取り扱う場合の考査上の留意事項」の「視聴者に『広告放送』であると誤解されないよう、特に留意すべき事項」に照らした適正な考査を行わず、本件番組を放送したことについて、放送倫理違反があったと判断した。

2019年10月7日 第30号委員会決定

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目 次

2019年10月7日 決定の通知と公表の記者会見

通知は、2019年10月7日午後1時30分からBPO第1会議室で行われ、午後2時30分から千代田放送会館2階ホールで公表の記者会見が行われた。記者会見には、43社80人が出席した。
詳細はこちら。

2020年1月10日【委員会決定に対する長野放送の対応と取り組み】

委員会決定 第30号に対して、長野放送から対応と取り組みをまとめた報告書が2019年12月26日付で提出され、委員会はこれを了承した。

長野放送の対応

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目 次

  • 1. はじめに
  • 2. 視聴者に対する委員会決定のお知らせ
  • 3. 「役員・社員に対する放送倫理・番組基準の徹底と意識改革」に関する取り組み
  • 4. 「考査態勢の再構築」に関する取り組み
  • 5. 「持ち込み番組を含む外部制作番組の取り扱い要領の明文化」に関する取り組み
  • 6. 「制作会社に対する番組基準・放送倫理をめぐる情報共有」に関する取り組み
  • 7. 当社番組審議会での審議や報告
  • 8. おわりに