2008年6月に視聴者から寄せられた意見

2008年6月に視聴者から寄せられた意見

「秋葉原 通り魔殺人事件」に関し多くの意見が寄せられた。意見の傾向としては、事件発生直後から3日程は「取材・報道のあり方」 が多く、遺族への過熱取材批判や、「ニュース・情報番組での頻繁な報道は模倣犯の続発を招く」と指摘する、放送の影響に関する意見が目立った。

2008年6月に電話・ファクシミリ・郵便やBPOのHP経由で「BPO視聴者応対窓口」へ寄せられた意見は1,436件で、5月と比較し196件増加した。意見のアクセス内訳はEメール56% 電話40% ファクシミリ2% 郵送ほか2%。

男女別では男性75% 女性23% 不明2%。

世代別では30歳代27%、 40歳代18%、 20歳代17%、50歳代12%、 60歳以上10%、 10歳代4%。

2008年6月に視聴者から寄せられた意見 1,436件

BPOに寄せられた意見内訳

意見分類 2008年6月件数 年度累計
人権等に関する意見 10 件 19 件
放送と青少年に関する意見 161 件 [ 意見内容 ] 513 件
放送番組全般にわたる意見 785 件 [ 意見内容 ] 2,123 件
BPOに関する意見・問い合わせ 67 件 290 件
その他(放送関連以外) 413 件 1,238 件
意見件数 計 1,436 件 4,183 件

視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは当該局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。6月通知数は530件( 45局 )であった。

意見概要

人権等に関する苦情

6月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情の内訳は次のとおり。

  • 人権に関する審理・斡旋の要請・・・・・・・ 10件
    (個人又は直接の関係人からの要請)
  • 人権一般の苦情や批判・・・・・・・ 250件
    (人権問題、報道被害、差別的表現など一般視聴者からの苦情や批判)

番組全般にわたる意見

【情報ワイド・バラエティー番組】関連 1,224件(全体の85%)前月比437件の増加 意見の傾向/”指摘事項”(件数、全体の比率) “不適切な内容、不適格な出演者”(609件:42%) “低俗・下品な番組”(410件:29%) “倫理観欠如、局の責任”など(205件:14%)

【報道・情報番組】関連 815件(全体の57%)前月比191件の増加 “取材・報道のあり方・批判”(497件:35%) “放送の影響と公共性、メディアの規制、言論・報道の自由”など(242件:17%) “報道の公平・公正性と内容批判”(76件:5%)

6月の意見の特徴としては、8日に発生した「秋葉原 通り魔殺人事件」に関し271件の意見が寄せられた。 これは昨年度に多く寄せられた「亀田関連意見」(390件)や、「不二家報道」(315件)の1年間の意見数に次ぐものとなった。

「秋葉原通り魔殺人事件」に関する意見の傾向としては、事件発生直後から3日程は”取材・報道のあり方” が多く、遺族への過熱取材批判や、『ニュース・情報番組での頻繁な報道は模倣犯の続発を招く』と指摘する”放送の影響”に関する意見が目立った。その後、容疑者の両親の謝罪会見以降は遺族への取材方法に対する批判とともに、遺族や容疑者の両親の基本的人権を無視したかのような取材姿勢への批判・抗議が急増した。また「アニメ・ゲーム・オタク原因説への反論」も多く寄せられた。

なお、【情報ワイド・バラエティー番組】と【報道・情報番組】への意見数が意見総数を超えているが、これは1件の意見に複数の指摘項目が含まれているためである。

【秋葉原通り魔殺人事件関連意見のデータ】
「取材・報道のあり方(批判)」120件(44%)、遺族・容疑者両親への取材方法(批判)」74件(27%)、「アニメ・ゲーム・オタク説への反論」55件(20%)、「放送の影響(事件報道の及ぼす影響)」22件(8%)
男性218件(80%) 女性51件(19%) 不明2件(1%)
30歳代32% 40歳代21% 20歳代18%など
Eメール173件(64%) 電話94件(35%)など
この他に「生活関連意見」(後期高齢者・医療・税・少子化・食糧問題など)が159件、「自殺報道」46件をはじめ、「岩手・宮城内陸地震にともなう取材・報道」「ニュース番組での後期高齢者問題に関わるキャスター発言」への批判・抗議が多い。 また、お笑い芸人の不適切な言動や「大食い番組」 「パチンコCM」への批判が引続き寄せられている。

【放送局の電話応対や局の姿勢】に関する苦情・抗議
前月と同数の167件

【CM関係】「不適切な表現・内容」などの指摘
61件(前月比2件の減少)

青少年に関する意見

6月にBPOに寄せられた意見のうち、放送と青少年に関するものは161件と先月とほぼ同数だった。内容別では、秋葉原通り魔事件に関して青少年委員会にも、「詳細すぎる報道は子ども達に悪影響だ」「ドラマやアニメの殺傷シーンの影響だ」といった意見が12件寄せられた。また、放送前のドラマに関して「低俗すぎるので放送しないでほしい」と言う意見が2番組で18件あった。

BPOに関する意見

BPOへの意見22件  問い合せ45件

番組全般

【特記事項】

  • またもや残忍な、やりきれない「秋葉原通り魔殺人事件」が起きた。各局は相変わらず事件をセンセーショナルに取り上げ、容疑者の過去のすべてを暴くかのような報道をしている。また遺族への無神経な取材も相変わらず行われている。しかし、容疑者の詳細な情報をたれ流すことに何の価値があるのか?派遣社員、ゲーム好きなどなど、様々なキーワードで容疑者を特徴づけることに躍起になっている。しかし、この容疑者と似た様な境遇やライフスタイル、趣向の人もいるはずで、そのような人を情報の垂れ流しによって追い込むことにならないだろうか。メディア全体として「流せばいい」「書けばいい」という姿勢を捨て、真に社会に警鐘を鳴らす報道を願いたい。また直接事件と関係のない被疑者の家族や関係者も、過熱報道によって社会的に抹殺されるなどの報道被害が起こる可能性さえあり看過できない。そのような権利はメディアにはないのだ。
  • 「秋葉原通り魔殺人事件」のような凶悪事件の起きる社会になってしまった要因としてテレビ番組の存在は否定できない。テレビの危険性はその手軽さにあるのではないか。映画のように劇場に足を運ぶことなく、お茶の間で殺人ドラマや暴力的なアニメが見られたり、深夜ともなると子どもでも自室でAVまがいの映像を見ることが出来る。こうしたテレビとの惰性的な付き合いによって犯罪に対する感覚が麻痺し、映像の世界と現実との境が分からないような犯罪者予備軍を作り出しているのではないか。テレビの功罪を今一度当事者は検証し、タガが外れたような「何でもあり」の垂れ流し放送を戒めるべきだ。
  • 「秋葉原通り魔殺人事件」の報道で、容疑者の両親に記者会見をさせる意味があるのか?未成年の犯罪なら親の監督責任が問われるだろうが、25歳の成人男性が起した事件にどうして両親がメディアから「社会的責任」を糾弾されなければならないのか。犯罪を一族の連帯責任とした封建社会のようだ。また、殊更に容疑者の家庭を「異常」や「歪んだ」といった形容で描写しているが、夫婦仲の良くない家庭や躾けに厳しい家庭などいくらでもある。この容疑者の家庭が特別におかしいとはとても思えない。逆にメディアは何をもって「正常」な家庭と言うつもりなのか。これでは容疑者家族は人権を無視され、報道被害を受けていると言える。また、葬式も済まないうちから遺族に向かって「どんなお気持ちですか」とマイクを突きつける局こそ余程「異常」で「歪んで」いるのではないか?遺族に対しても報道被害を及ぼしている。
  • 「秋葉原通り魔殺人事件」の各局の報道で、容疑者が犯罪に走った原因をあたかもゲームや漫画といったサブカルチャーにあるかのように報道しコメントする報道が多々見受けられた。しかし、ゲームやアニメといったものと犯罪との因果関係は証明されておらず、さらに容疑者自身、職場に対する不満を口にしたり社会に対して自暴自棄になっていた点からみて、むしろ労働環境や社会構造に問題があったのではないだろうか。各局の報道を見ていると「サブカルチャー好きは犯罪予備軍」であるかのような印象を世間に与えるが、これは一種の人権侵害にあたると思う。強く改善を希望する。

【取材・報道のあり方】

  • 「岩手・宮城内陸地震」の報道で、工事作業中に土砂崩れに巻き込まれた作業員の救出の模様が放送された。その中で、作業員が発見され死亡確認をする時の家族の反応や遺体の映像が出ていたが、これを放送する必要があったのだろうか。家族がショックで腰を抜かして倒れこむ様子をマスコミが入り乱れて必死にカメラで撮影していたが、救急車への搬送を邪魔しながらの取材・報道ぶりには不信感を持った。マスコミに報道の自由・編集の自由という表現の自由があることは当然承知しているが、本件のような場合には、何よりも先ず被害者とその家族の心情、人権を最優先すべきである。本件に限らずマスメディアは、まるで「被害者にプライバシーなし」と言わんばかりの被害者情報を報道しているが、このテレビ局だけでなく各局も改めていただきたい。
  • 6月14日に発生した「岩手・宮城内陸地震」の際、地元岩手のラジオ局は一部の内容を差し替えただけで地震関連の特番に切り替えなかったため、ラジオで地震情報が聞けなかった。地元局として不適切ではなかったか。通常編成のため、番組からはいつもどおりに笑い声が聞こえたりして、地震の中で大変違和感を覚えた。
  • 宮崎元死刑囚をはじめとした死刑執行について、どの局でも「現法務大臣の死刑執行は何人目」などと放送している。まるで現法務大臣が殺しているかのような放送はやめるべきだ。死刑確定後、何十年も税金で生きている犯罪人を日本国が法治国家として執行しているのだから問題はないと思う。死刑廃止論はあるとしても、それと法務大臣が刑の執行を認めたことを関連付けるような報道は全くずれているし、止めてほしい。もし、自分の愛する人や子どもがとんでもない変態に無残な殺され方をしたとしても、その人は死刑廃止を言えるのか。自分自身の立場になって考えることも、人として倫理として重要なことではないか?
  • 刑事事件での容疑者や犯人の名前を伝える際に「正社員の○○」とは表現しないのに、何故「派遣社員の○○」と表現する必要があるのか。派遣社員に対するマイナスイメージを助長するばかりではなく、派遣社員や契約社員の名誉を毀損する可能性もあり、社会での差別感を醸成するだけだ。
  • 3日の放送で、後期高齢者問題の映像で自由民主党議員が談笑している場面について、キャスターが「良く笑っていられますね!」とコメントをした。それに対して自由民主党から局に抗議があった由。それを受けて昨夜キャスターが「その様に受け取られるとは思わなかった」という趣旨のコメントをしたが、映像とコメントを別に考えるのは難しいと思う。私は自民党の党員ではないが、3日の放送の映像とコメントは奇異に感じた。適切な映像との組み合わせならば問題はなかったと思うが、私には議員の談笑場面を使う理由が分からなかった。責任はキャスター一人にはないと思う。現場制作担当者にも責任はあるだろうし、局自体も経営トップにも最終的に番組を持っているのだから責任がある筈だ。

【不適切・低俗な表現や発言、モラルの低下、局の姿勢】

  • 「秋葉原通り魔殺人事件」報道はあまりにもプライバシーの部分にまで入り過ぎではないか?容疑者だけでなく被害者報道も同様だ。そこまでテレビで放送する意味があるのかと感じる。更にネット上では、秋葉原の献花台へ行った人のブログなどで、マスコミの態度の悪さが多数報告されている。献花台に近づいただけで「あなたは被害者の関係者ですか?」とテレビカメラを向けて聞いてくる。道端にタバコの吸殻をポイ捨てするマスコミ関係者のことも指摘されていた。マスコミのモラルをもう少し改善してほしい。
  • 放送全般について言えることだが、朝から深夜まで倫理感を持たないお笑いタレントが出演している。最近は民放とNHKの見分けがつかない程頻繁に彼らが出演している。現状のような番組内容が続くと、やがて総務省が規制をかけるのではないかと危惧している。戦前・戦中に「言論の自由」が抑圧され、国民の「知る権利」が国家統制された歴史を二度と繰り返すべきではない。公共の電波なのだから、厳正に有効に使用するべきである。
  • アダルトビデオのサンプルの垂れ流しのような放送は止めて欲しい。有料チャンネルならともかく、誰もが見ることのできる一般のテレビでいくら深夜とはいえ、このような内容を放送して恥ずかしくないのか。いくらスポンサーがついていても即刻止めるべきだ。関西の地元放送局であることを恥ずかしく思う。
  • 楽しみに見ていた情報ワイド番組が変わった。ところがこの番組司会者の男性アナウンサーは、それまでのキャスターと比べて全くレベルが低く、品性がなく、洗練されていない呆れたバカな男で、そんな男が偉そうに仕切る低レベルの番組を見せられ頭にきている。こんな番組はすぐにも止めてほしい。チャンネル数が少なく、選べる番組が限られている地方だからこそ、良質の番組を放送してほしいという思いは人一倍強いのだ。
  • 初めて見た昼前のワイド番組だが、アナウンサーの能力の低さに驚いた。夕刊紙を読み上げるコーナーで、初見のような拙い読み方で感情をあらわにして読み上げ、書いてある内容を理解できなかったのか繰り返し読み返し最後にため息をついた。印象操作をしているようにも思え不快に感じる。自分の意見を言いたければ自ら発言の場を求め自己の責任で発言すべきであり、記事の読み方に抑揚をつけ中立を装いながら自己表現をするやり方は卑怯だし、何より印象操作をするやり方には憤りを感じる。夕刊紙は全国紙などと比べると裏を取らず過激な表現をすることで部数を伸ばすというのが一般的だ。だから「夕刊紙に書いているから」ではなく中身を精査すべきだし、推測記事に推測で応える評論家の対応もどうかと思う。ワイドショーだから何を言っても許される訳ではないことを自覚して欲しい。
  • 法律問題を扱う番組で、いつ見ても関西出身の毒舌司会のお笑い芸人は品性下劣な、人を傷つける発言ばかり繰り返している。昨日も、若い後輩と再婚したと言う民放のOBアナウンサーに、「あんたから結婚案内をもらっても誰も結婚とは思わない。葬式のお知らせだと思うよ」「やりたい、あんたはそればっかり考えてるんでしょう」と言ったり、女性タレントを「○○ちゃんは2年以上チュ―していないだろう」と言ってからかったり、「トイレでオシッコを飛ばすと妻に怒られる」と言う男性芸人の話を受けて、”男性自身”を持つ真似をしながら「男は朝は元気になる。だから飛ばしたほうがいいんだ」などと、まさに口からでまかせの言いたい放題である。余りにもひどいから厳しくお灸をすえてくれ。
  • テレビについて言いたい。出演者の言葉が汚い。「すげえ」「うめえ」など言葉にならない言葉を平気で使っていて、品格も何もあったものじゃない。番組出演者にはきれいな言葉遣いを心がけてほしいし、放送関係者にはそのように指導してもらいたい。また、芸人が自分の”芸”で勝負するような番組がない。もっとも、本物の”芸”を持つ芸人が少なくなったのかも知れないが。
  • 最近のテレビ番組で非常に耳障りな言葉がある。「する・行う」の代わりに「やる」という言葉が頻繁に使われており、特に「~をやられる」などと敬語表現として用いるのは実に不自然であり聞き苦しい。本来「やる」は「する」に比べて非常にくだけた表現であり、テレビも含めて公の場で使うべき言葉ではない。ましてや、そのようにぞんざいな言葉を受動態にしたからといって敬語として通用する訳はない。通常は「する」を使い、敬語は「~なさる」「~される」という正しい日本語を使うよう徹底してほしい。
  • 関西のテレビの水曜日にレギュラー出演しているカナダ出身のジャーナリストが日本の自衛隊について「自衛隊は人を殺す集団だ」と不適切な発言をした。私は自衛隊は日本の独立と平和、及び、国の安全を守る組織だと認識している。今回の地震でも国民の生命を守るために、陸上自衛隊や海上自衛隊のヘリコプターが被災者の救出に当たっているではないか。局に意見を伝えたが「担当者の判断」と応対された。
  • 今朝のワイド番組を見て今までこんなに憎悪を感じたことはなかった。「夫の弁当に生ゴミを入れる」「弁当の食材にツバをかける」「夫の洗濯物を汚れ物と一緒に洗う」「夫をゴキブリ呼ばわりする」「夫を飼い殺しにする」等、寄生虫のような妻のふざけた言い分を一方的に垂れ流し、夫の味噌汁にぞうきんの絞り汁を入れるという話ではコメンテーターが「コクがあっておいしいと思っているんじゃないか」とほざく等、特集全体から男性の尊厳を冒涜する意図が漂ってくる。男性が外で働いている間、家でテレビを見ている暇人に媚びて金儲けをする。そんな放送局はいらない。
  • 在京キー局で放送している火曜日深夜のアニメは、「人間の死体から脳を取り出し記憶を読み出す」という内容だった。寝る前にチャンネルを回していたところ偶然に目にしたのだが、その内容に唖然とした。脳を取り出す為に首をノコギリで切り離すという醜悪な所業を正義のように演出しているシーンがあり強い嫌気を感じた。先日、女性の切断殺人という残忍な事件が起きたばかりだ。真夜中という時間帯を考慮したとしても、不謹慎な番組内容に憤りを覚える。
  • 女子アナにクイズを出題して回答してもらう東京民放局の番組だが、いつも全員が正しく回答できない。中でもひどかったのが「世界的に有名な喜劇王は誰か?」という問題で「チャールズ皇太子」と回答した女子アナがいたことだ。下手をすればイギリス大使館から抗議されてもおかしくない。
  • 東京キー局の真夜中の番組で、ADの男性を全裸にし、「両手にお湯の入ったカップ麺を持った状態の時に、いきなり憧れの女性が現れたら股間を隠すのか?」という企画を行っていました。上からの指示に逆らえない立場のADを無理やり裸にし、このような行為をさせるのは明らかにパワーハラスメントでありセクシャルハラスメントです。現在、社会問題となっているパワハラ・セクハラという犯罪行為がテレビの世界では許されるのですか?厳しく追及して頂きたい。
  • 日曜日のラジオ番組で結婚式での”スピーチ大賞”という投稿コーナーがあるが、その中に極めて猥褻なものがあった。白昼堂々と緩衝表現抜きで露骨に、そして大袈裟に「性行為の体位」「成人玩具の使用法」並びに「女性器の下品な別名及びその刺激法」等を取り上げていた。結婚式にスピーチして受けを狙ったことや、更にその話し手の店の宣伝を番組を通じて行っていた。大変悪質で絶対に許せない内容だった。因みにその時、子供も聴いていた。
  • 番組の宣伝で「童貞男が…」「右手を…」等、男性性器を連想させる言葉を土曜日の昼食時に放送していた。公共の電波を使った性的ハラスメントは週末の家族団らんを破壊するのにとても効果的だ。時間的にも放送倫理を逸脱する行為である。
  • 日曜日午前中のワイド番組で男性司会者が、太田房江前大阪府知事の立て看板をいきなり倒し、名札を投げつけるという乱暴な行為をした。同じことを石原東京都知事にできるのであれば容認もするが、もし、大阪人であること、女性であることで行ったのであれば、明らかに名誉毀損・人権侵害である。この男の謝罪を求める。
  • 午前のラジオワイド番組で毒舌レギュラーの担当するコーナーは公開生放送だが、彼の言葉遣いが非常に悪く青少年への悪影響を危惧する。例えば年配者に向かって「ひどい顔」「死に損ない」「くたばればばあ」等の暴言を吐く。公開放送を見に現場に来ている人は、その男を好きで見ているのでそれらの言葉を聴いても笑っているようだが、家で一人でラジオを聴いている人や入院中の方たちが聴いていたら非常に悲しくなるだろう。また、祝日や夏休みなど学校が休みの日は、子ども達が聴いてもおかしくない時間帯なのだから、発言には気をつけていただきたい。
  • 木曜深夜のこの番組は、夫婦交換された男女が一つの布団に入り消灯するところまで放送される。以前、私の知り合いが「倫理上よくないのでは!?」と苦情を申し立てたところ、番組担当者は「それ以上の事は全くない」と言ったという。しかし、まだ精神の成長を遂げてない出演者の幼い子ども達が自分の父や母が知らない人と一つ布団に入るのを見たらどう思うか?やがて反抗期を迎え、その記憶が曖昧なまま蘇り間違った方向へ向き、何かのきっかけで事件を起こすことにならないかと心配だ。
  • 火曜日のゴールデンタイムで “50回記念スペシャル”というバラエティー番組の放送中、厠で用を足している武士達に上から小麦粉や水や落ち葉が落ちてくるという場面があった。真ん中の人物には水が落ちてきたのだが、狭い中でしゃがんでいるため立つ事も出来ず「死ぬ、死ぬ!」という叫び声を上げていた。本当に溺れたらどうするつもりだったのだろうか。こんな危険な内容を放送しても良いのか。しかも、過去にバラエティーで死亡事故を起こしているテレビ局であれば、怪我をしたり死ぬかもしれないという危機管理を持って収録に臨み、収録した内容は放送すべきかどうかを真剣に検証するべきではないのか。
  • 朝のラジオ番組で、民間療法でエイズが治るような発言があったと番組サイトで宣伝されている。もしエイズの末期に見られる日和見感染の症状が良くなったように見えたとしても、こんな民間療法ではHIVは治癒できない。タンザニアのエイズ患者にニセ治療を広めて、それを日本で宣伝に使うのは悪質な詐欺行為だ。
  • タバコの自販機で、タスポがなくても顔の認識だけで購入出来ることを紹介した。大人の顔写真のポスターで認識させてタバコを購入できることを、わざわざ未成年者に教えていた。この方法でタバコを買う未成年者がいたら局はどう責任を取るのか?あのリポーターの笑顔を見ると、検証ではなく悪ふざけにしか見えなかった。日本の社会構造を根本的に悪い方向へ導いているのはテレビであることを裏付けた番組だ。即刻、謝罪の放送を求める。

【番組全般、その他】

  • 最近のテレビ番組は「言論の自由」「表現の自由」を極限まで広げ、人間が人間を殺める言葉「死ね!」「殺すゾ」という言葉までが様々な番組で使用され、負の連鎖を起こしている。報道ニュースだけではなく、テレビドラマや映画でも殺人事件が連日放送されている。WHOはマスメディアの自主的な取り組みとして「自殺手段の詳細な報道」「短期集中的な報道」や「有名人の自殺のセンセーショナルな報道」は、他の自殺を誘発する危険性があるとしている。また、マスメディアの手引きで「報道に際して是非すべきこと」「報道に際してしてはならないこと」の項目を挙げているが、現在の各局の報道姿勢は「してはならないこと」の殆どの項目に当てはまっている。
  • 最近、NHKの民放化が激しくなってきている。公共放送でありながら、テロップの濫用やお笑い芸人の起用など、民放のテレビ局と同じようなことをしている。若者に見てもらいたい番組を作るといっても、民放のテレビ番組を真似などすべきでない。特に、岩手・宮城内陸地震発生の翌日の夜に、サラリーマンを対象としたお笑い番組を編成したことは腹ただしい。あんな番組を放送するなど、地震の被災者のことを全く考えていない上に不謹慎だし、公共放送NHK自体を何だと思っているのだ。払った受信料を返してほしい気分だ。
  • 何かと迷惑な野良猫を「地域猫」として住民有志で世話することにより、問題を解決し近所同士の絆も深まるという、一挙両得とも取れる策を紹介していた。しかし「地域猫」を認めることで新たな問題が発生していることには触れていなかった。私の家の敷地をテリトリーとする野良猫がいるのだが、近所のおばあさんが「この猫はあなたの土地を根城とする地域猫だ」と主張して我が家の敷地に餌を投げ入れるので大変な迷惑を被っている。「地域猫」という解決策は決して良いこと尽くめではなく、このような問題をも孕んでいるということを番組で触れ、地域住民の意識向上を呼びかけてほしかった。
  • 心臓移植のコーナーで、海外での心臓移植を推奨しているように感じた。「日本では3年ぐらい待たないといけないが、海外へ行くとすぐに移植を受けられていい」という内容だった。しかし、海外でなぜ移植がすぐ受けられるかの説明が全くされておらず、「海外では臓器が有り余るほどあって、いつでも移植できる」というように受け取られそうだ。本当は順番待ちしている正規の患者を押しのけてお金で臓器(順番)を買っているのにも拘らずである。しかも紹介されたドイツのあの病院の副院長が日本人医師だということを説明していない。まるで日本人医師がその病院に依頼されて手術しているように編集していた。また、募金の件を含めて、医師や関連団体も問題視されている。
  • スタジオで廃プラスチックから燃料を作る実験をしていた時、その場で作った燃料をトラックの燃料タンクに入れてエンジンを掛けていた。しかし、ディーゼルエンジンは燃料が空の状態からは、エア抜き作業をしないとエンジンは掛からない。放送では燃料を入れてからすぐにエンジンが掛かっていた。「今できた燃料で掛かりました」と受け取れる演出だったが、もともとタンクに別の燃料が入っていたとしか思えない。
  • 地球温暖化に警鐘を鳴らすような番組についてだが、逆に放送したテレビ局が温暖化防止にどういう取り組みをしているかを見せてほしかった。6月6日から8日までの日程で行った特別番組は、3日間通じて何一つ番組として地球温暖化に警鐘を鳴らすような内容ではなかった。飛行船を飛ばしたり、アーティストによる音楽番組。これが公共放送として地球温暖化の取り組みを視聴者に呼びかけるという内容なのか理解できなかった。
  • 番組で紹介した「ティッシュ箱飛ばしによる健康チェック」を妻が試したところ、転倒して手首を骨折し、全治2ヶ月と診断された。同様の事故が数件起きたことを新聞で知り、番組自体に問題があったのではないかとの思いを強くしている。念のため5/27に放送局に妻の怪我の報告をしたところ、5/30にプロデューサーから電話があり、その時点で怪我人は21人だと知らされ驚いた。又、若いスタッフによる事前の実験では特に問題がなかったというが、年配者による実験も必要だったのではないか?その点も含め、制作・放送する上で何が問題だったのかを徹底的に調べ、今後このような事態を引き起こすことのないよう強く求める。
  • 私は大阪府民ですが、木曜夜の番組の大阪の秘密というコーナーでは道頓堀・新世界・通天閣など大阪のごく一部の地区ばかりを取り上げ、話題・情報を意図的に誇張し、あたかもそれらが大阪全体の習慣であるかのように情報操作を行っています。また、大阪代表と称して大手プロダクションのタレントを大量に出演させ、大阪府民の私でもテレビを見て初めて知ったような事まで「大阪では常識」と語らせています。これら大阪の誤った情報を全国放送で流す事に対し、大阪に住む一般府民は大変憤慨しています。報道被害を被っているとも言えましょう。BPOには毅然とした態度で大阪のテレビ局に改善を求めて頂きたいと思います。
  • 東京キー局の昼の健康情報を扱う番組で「朝バナナを食べることによるダイエット」を紹介していた。関西のテレビの「あるある」の納豆事件を他山の石としていない。この番組は「ココアが体にいい」や「りんごダイエット」など、医学界が問題視している「フード・ファディズム(同じ食品を食べ続けること)」をまだやっている。「あるある」は数字データが嘘だったために問題視されたが、「朝バナナ」で痩せるという科学的根拠は何ひとつ示されていない。「体重が減った」というのは本当かもしれないが、他の果物や食品で試したのか? バナナが痩せるために効果があるというデータはどこにあるのか?この番組は支持者も多いが悪評もかなり多い。「あるある」は納豆だけだが、ココアやバナナなど数々の珍説をプッシュしているところは「あるある」よりタチが悪い。早期の番組打ち切りを強く望む。
  • 後期高齢者問題報道の際、キャスターの不適切な発言に対する自民党の抗議を受けてキャスターが釈明したが、「そのように受け取った視聴者がいるとすれば私の本意ではない」というのは、「そのように受け取った議員を含めた視聴者が悪い」と言わんばかりであり、謝罪ではなく単なる開き直りというべきものだ。間違った情報を基にして間違った発言を公共の電波に乗せたのなら、その原因をあきらかにし、素直に「申し訳ございませんでした」と謝罪すべきではないでしょうか?「ごめんなさい」が言えないなら、今後の放送において批判的な発言は慎むべきだ。
  • バラエティーとワイドショーの区別が無くなり、視聴率稼ぎのためにバラエティーさえも事件報道に偏り過ぎているのではないか。従軍慰安婦番組を巡る裁判報道に関するBRCの見解は納得できるし、BRC見解へのNHKの対応も評価できる。しかし、このNHKの対応に比べると、民放の事件報道に対する無節操な対応は問題があり過ぎる。バラエティー番組とワイドショーが、それぞれの番組ジャンルの分をわきまえることこそが番組の質の向上につながると思う。BPOとしてもそうした観点から民放に対する指導を強めるべきだ。

【CM】

  • 民放のCM放送時間には基準が定められていることは承知しているが、放送時間が基準よりも長いと感じている。また、最近のBS放送では地上波以上に「テレビショッピング」が放送されている。局にも苦情を伝えたが「テレビショッピングは番組である」「タダで見させているのに文句をいうな」という態度だった。しかし、画面に申し込みの電話番号を表示している以上はCMとして扱うべきである。また、民放連放送基準に定める「広告の時間基準」は何処で監視しているのだろうか。

【BPOへの意見】

  • 最近の民放はいくら捏造報道をしようが結局はたいした処罰がないのが分かってるためか、全く反省や改善を行う気配がないように感じる。「とりあえず頭を下げればいい」という態度が不愉快で仕方がない。他の業界ならクビや倒産でもおかしくないのに、謝罪だけで後は何も処分がないテレビ局は異常だ。もう少しBPOの権限を強化するなり罰則を決めるなりしてほしい。テレビ局は完全に今の状態を舐めている。

青少年に関する意見

【秋葉原通り魔事件に関する意見】

  • 各局の報道番組でリアルで生々しい映像を流している。3名をはねてフロントガラスが割れたトラックの映像と目撃者の生々しいインタビュー、凶器であるミリタリーナイフの映像と犯行をリアルに再現したCG、流血の跡が残っている映像、出血多量でみるみる血の気がなくなっていく様子を語る目撃者インタビューなどなど、事件の悲惨な状況を伝えようとしているのは分かるが、子ども達への影響を配慮して欲しい。報道を見て、ふざけ半分で人が大量に血を流している様を絵に描いて笑っている小学生を見た。思わず「人の命をなんだと思っているのか」と怒鳴りつけたが、連日の報道に影響を受けて描いたようだ。また、遺族の方々は、生々しく報道されることに対し決していい感情は抱かないと思う。そんなに生々しい映像を放映することが本当に必要か?模倣犯を誘発することにはならないか。視聴率ばかり気にしていないで、社会的影響を良く考え、倫理観を持った節度のある報道をして欲しい。
  • 事件の報道はNHKを含めた各局で、犯行前の携帯サイトの書き込み等について事細かに紹介している。なぜ放送局は同じ事を繰り返すのだろうか?以前の硫化水素自殺にしろ、他の殺人事件にしろそうであったが、殺人の動機である「誰でもよかった」等を詳しく報道しすぎる。それも音楽を付け抑揚のあるナレーションでおどろおどろしく報道する。まだ判断力のない若者達が見たら「そんな理由で人殺しをしてもいいんだ」と考えても仕方がないのではないか?今回の事件に限らず、以前からの積み重ねが現状を作っているように思う。テレビの影響力を考え、報道を見直していただきたい。
  • 「秋葉原通り魔殺人事件」が起きたのは、テレビの影響が大きいと思う。特に、昼間再放送されている民放のサスペンスドラマでは、毎回これでもかと言わんばかりに殺人事件が出るが、これらを学校から帰った子ども達が毎日見ているとどうなるか?「殺人」に対する感覚が麻痺したまま大人になり、そこから凶悪な犯罪者が出ることに繋がるのではと心配になる。昼間の時間帯は子どもが見ても差し支えない番組以外は全て厳しく排除すべきだ。
  • 特撮ドラマ。この番組は子供に悪影響を与える。例えば、悪者が何もしていない一般人をいきなり襲ったり、悪者が人間に変身し身体の具合の悪い素振りをし、一般人が「大丈夫か?」と声をかけるとその人を殺すなどする。秋葉原通り魔殺人事件や土浦無差別殺人のような昨今の事件の原因ともなっているのではないかと思う。このような内容はすぐに改めるべきだ。
  • 特撮ドラマ。6月から登場した新しいキャラクターの使用武器の名称が変更された。「秋葉原通り魔殺人事件」を受け、殺傷武器を連想したり不愉快に思う人もいる等の理由からだそうだが、テレビ局の迅速な対応を評価する。

【低俗、モラルに反する】

  • ドラマ番組。不良高校生の避妊なしでのセックス・いじめ・シンナー・乱交・妊娠・公園や図書館でのセックス・レイプ・報復暴行行為を”純愛”と称して、「”付き合う=セックス”レイプされても彼氏が”セックスで消毒=純愛”」などと青少年に有害な携帯小説を、綺麗な女優と映像でテレビドラマ化しようとしている。影響を受けやすい年代が対象のドラマだけに放送前に審議を希望する。
  • ドラマ番組。ケータイ小説で中高生に人気を得た物語のドラマ化で”純愛”と謳い文句があるが、純愛にはほど遠いもので性行為が強調された内容だ。学校の図書室で避妊もせずにセックスするなんてふざけすぎている。そもそも作者は「事実に基づいたノンフィクション」と言っているが、矛盾点が多く知識の少ない子供には誤解を招く恐れがある。ドラマではある程度脚色されるだろうが、こんないい加減に書いた作品をテレビで堂々と放送するのは間違っている。中止を希望する。最近、視聴率稼ぎのために内容を考えずに安易にドラマ化するテレビ局のモラルを疑う。
  • ドラマ番組。12月にテレビドラマとして放送が予定され、映画と絡めたクロスメディア形式の番組として制作されている旨を仄聞した。その内容は、携帯小説のドラマ化と思われるが、原作を見る限り中学2年生の飲酒や喫煙、性行為と妊娠、薬物使用、暴力などが反復的に且つ過激に描かれている。特に性行為の描写はあまりにも過激であり、青少年に限らず公序良俗一般に背くものと思われる。ドラマ・映画においては、原作における性表現や暴力・薬物などの表現が大幅に割愛されない限り、放送に適さないものと判断する。自分の意思で購入する図書とは違うので、テレビという媒体で放映すべき内容でないと判断する。放送前の異例のことと思うが、適宜な判断・処理をお願いしたい。
  • ドラマ番組。中学生の子供と一緒に見ていて、やくざを容認するような内容だと感じた。ドラマの中の台詞も愚連隊やチンピラなどが使うような言葉が多く、日本語が乱れることを助長しているようにも思う。青少年に悪影響を及ぼす内容だ。殺伐としたこの時代にふさわしくないドラマである。何とかならないものか。
  • ラジオ番組。番組全体が性にまつわる下ネタの話題である。投稿による性の悩みについてはまだ許す余地はあるが、下ネタは聞いている方が恥ずかしくなる。土曜深夜の放送は青少年のリスナーも多く、彼らに配慮した内容に変更するべきである。
  • バラエティー番組。”熱湯”をネタにしたコーナーだが、見て不快に感じた。自分から熱湯に入る、またはゲームに失敗して落ちてしまうケースと比べ、ここでは熱湯に入る人はその事を入るまで知らない。心臓の弱い方が落ちた場合の事を考えているのか?入院や最悪、死亡したらどう対処するのか?また、ケンカして人を熱湯に落として周りが笑う等、悪質極まりない。子ども達がそれを真似して池やプールに人を突き落とす事も考えられる。子ども達もテレビを見ている時間帯だ。笑いを追求するのは結構だが、悪影響を及ぼしかねない事を企画するのは如何なものかと思う。コーナーの中止を強く希望する。
  • バラエティー番組。ありもしない塗り薬を取り上げ、股間に塗布すると効能があるなどと馬鹿騒ぎしたテレビショッピングのパロディーがあったが、内容が下劣で青少年には刺激が強く不快であった。

【報道・情報系番組に関する意見】

  • BS放送。児童ポルノ法改変についての特集で、規制強化する事による弊害を全く放送せず、問題を多く含む与党案を評価する内容になっていた。児童ポルノ法改変については、諸外国における冤罪の事例があること、別件逮捕の問題、そして表現の自由に反する問題などたくさんの弊害が懸念されている。それなのに児童保護という美辞麗句ばかりを並べて、法案の危険性・弊害に全く触れていない。児童を守る事は大切だが、児童保護という大義名分をふりかざし国民に危険性を知らせない法改変には反対だ。
  • 情報番組。コメンテーターが「児童ポルノの単純所持規制は諸外国では一般的である」と主張している。G8では確かに日本とロシア以外は単純所持規制を行っているが、G8以外の国家では必ずしも単純所持規制が一般的な訳ではない。また、日本は児童ポルノの対象を他国よりも圧倒的に大きく捉え、そのうえで普及を禁止する政策をとっている。一方、他国は対象を狭め単純所持規制を行っており運用の仕方が異なる。これは事実上の虚偽報道であり、重大な放送法違反である。
  • 凶悪犯罪が頻発しているが、犯罪報道もその手口を詳しく報道して模倣犯を増やすよりも、容疑者のその後を紹介するなどして、罪を後悔したり、苦しむ姿を紹介する方に重点を移してはどうか。昔の子どもは年長者の言うことは素直に聞いたものだが、最近は食って掛かられることも多い。大人がシッカリしないといけないとは思うが、やはりテレビの子供に対する影響力は大きい。報道内容をもっと工夫して欲しい。

【差別や偏見を助長する】

  • 視聴者からの意見としてこんな意見が掲載されていた。「3の倍数と3のつく数字だけアホになる」という芸が、「障害者(おそらく知的障害者)や顔面神経麻痺の人を傷つけている」というのだ。これについて意見させていただく。”ああいう顔をする=障害者をバカにしている”という考え方の方が失礼な気がする。私はあの顔を見て障害者の人と一緒とは思わなかった。差別しているからこそ、そんな考えが頭をよぎるのではないかと思った。むりやり障害者につなげようとしている気がする。「3の時だけ障害者になります」と言っているならともかく「アホになる」と言っているではないか。批判した方々は”障害者=アホ”と言っているのと同じだ。世間はそんなこと気にもせず普通に見ているだけだ。
  • あるお笑い芸人の「3のつく倍数の時にアホ顔になる」という芸は、知的障害者を侮辱する内容だ。障害者をネタに笑いをとるなど、低俗以外のなにものでもない。私は教育関係の仕事をしていて、生徒の中には知的障害者もいるので他人事とは思えない。このような人物はテレビに出るべきではないし、出演を許可する放送局にも問題を感じる。
  • 殺人や通り魔などの事件が起きるたびにその原因をゲームや漫画・アニメのせいにするのは、それらを愛好している人間に対する人権侵害ではないでしょうか。現に私は漫画・ゲーム・アニメを愛好しているというだけで、別に犯罪を犯した訳でもないのにマスメディアから犯罪者予備軍として扱われずいぶんと肩身の狭い思いをしています。漫画・ゲーム・アニメを愛好するという事は犯罪者予備軍扱いをされなければいけないほどダメな事なのでしょうか?これらのいわゆる「オタク」的趣味に関する最近の報道は、明らかに差別的だと思います。改善をお願いしたいです。

【いじめや虐待を助長する】

  • バラエティー番組。いじめっ子が替え歌を披露するコーナーがあったが、すごく不快だった。いじめ体験談を歌っていたが、いじめでの自殺が多い世の中でそれをネタにして笑うという感覚が分からない。ましてや学生の視聴者が多い番組で司会者が笑って見守るなんて信じられない。いじめを止めるべきなのに助長させていると思う。放送をやめてほしい。
  • バラエティー番組。ゲストを十字架のような物に固定し、顔等に洗濯バサミを付けていた。拘束されている人が「痛い痛い」と叫んでいる様子を見て皆で笑っていた。これは「いじめ」ではないのか?子ども達が見て真似をしたら・・と考えると恐ろしい。このような内容は放送するべきではない。

【CMに関する意見】

  • 度々寄せられるパチンコ台のCMについて、放送と青少年に関する委員会で2008年4月にも「パチンコCMの現状と課題」について議論がされたようだが、その後も相変わらず時間帯関係なしに放送されている。しかも以前よりもパチンコ機種、CM本数も増えているように感じる。視聴者の問題提起や批判、苦情も聞く耳持たずといった所だろうか。他の意見にもあったようにパチンコはギャンブルである。そのようなCMを見境なくたれ流し続けてもよいのだろうか。 ・子ども達がテレビを見る時間帯にパチンコのCMが多い。ドラマやアニメのキャラを使ったパチンコ台は子ども達が興味を持つので止めていただきたい。

【暴力・殺傷シーンについて】

  • アニメ番組。子ども達が見ている時間帯に残虐シーンが連続するアニメが放送されていた。偶然見た番組だが、長い刃物で女の子を切りつけて、最後にはその子の首が切られて鮮血が飛び散る猟奇的な描写があった。公共の電波で放送する内容ではない。罪の意識を持たない青少年の犯罪の増加を報道する放送局が「民放連放送基準第3章:児童及び青少年への配慮」に抵触していると思われる番組を放送することに倫理的な問題を感じないのか。

【言葉に関する意見】

  • 最近のワイドショー、ドラマ、バラエティーを見ていると言葉遣いが乱れている。番組を面白おかしくして視聴率を取るためとしか思えない。登下校時の子供に言葉遣いを注意したら、口を尖らして「テレビで教えられた」という返事が返ってきた。テレビの影響は大きいのだから、子供には十分に配慮して貰いたい。

【動物に関する意見】

  • 報道番組。YOUTUBEの特集でアメリカ兵が子犬を投げて惨殺する映像が流れた。とても残酷な映像をテレビという一方的に発信するメディアで流すというのはありえない。動物を飼っている人はもちろん、一般的に普通の感情を持っている人にもとてもショッキングな映像だ。テレビをつけていたので、この映像が流れた時にとっさに目を覆ったが子犬の鳴き声が耳から離れない。もし、小さな子供が見ていたらどうか?今回の映像は私にとって本当にショックで、報道やテレビで伝えるという仕事についてもう一度考えていただきたいと思った。報道番組だからこそ、分別のある内容であってほしい。あの映像を見たのは本当にショックだった。子犬の姿や声が頭から離れない。

【その他の意見】

  • テレビ番組全般に云えることだが、バラエティー番組でのオーバーな”作り笑い”や、わざわざ現場に行く必要もないと思われる事件報道など、オーバーで目立てばよいという考えの番組が多く見受けられる。このような番組作りは子供の優しさであるとか控えめという感性に影響を与えていると思うので、謙虚で冷静な番組を放送して貰いたい。

第91回 放送と青少年に関する委員会

第91回 – 2008年6月

テレビ報道の現状について

中学生モニター会議について …など

6月24日に開催した今年度第3回青少年委員会(通算91回)では、継続審議としている報道のあり方に関して議論を深めていくため、テレビ報道の現状について勉強会を行った。このほか、7月26日開催の中学生モニター会議について検討した。

議事の詳細

日時
2008年6月24日(火)
場所
放送倫理・番組向上機構(BPO)第1会議室
議題
出席者
大日向委員長、橋元副委員長、小田桐委員、軍司委員、是永委員、境委員、山田委員

テレビ報道の現状について

報道のあり方に関しては、視聴者意見を基に議論を進めて来ているが、委員から「ただ報道姿勢の批判をするだけではなく、青少年への影響について放送局とともに考えるため、委員会としてテレビ報道の現状を知っておく必要があるのではないか」という意見が出され、テレビ報道の現状について、民放の報道局OBの方を囲み勉強会を行った。その結果、今後、報道現場の担当者と話し合う機会を持つこと等を検討することにした。

中学生モニター会議について

7月26日(土)に開催する「中学生モニター会議」のテーマを、ニュースやワイドショーなどを中心にした、「報道系の番組について」とし、青少年委員会委員と中学生モニター(全国から16人が参加予定)が話し合うことになった。

中学生モニター報告〔6月分〕

今月は31人から、38件(1人で複数件の報告あり)の意見が寄せられた。今月は報道系番組について意見を募集したが、30件がその報告だった。その他、情報・討論番組に3件、ドラマに2件、バラエティーとアニメとドキュメンタリーに1件ずつ意見が寄せられた。

局別では、日本テレビ系が9件、フジテレビ系が6件、TBS系とNHKが3件ずつ、テレビ朝日系が2件、そして報道系番組全般への意見が15件となっている。

・報道系の個別番組

個別の番組への意見は15件だが、最も多かったのは『NEWS ZERO』への4件、『週刊こどもニュース』と『めざましテレビ』が3件ずつ、2件が『ズームイン!!SUPER』、1件ずつ意見があったのが『真相報道バンキシャ』『みのもんたの朝ズバッ!』『プレミアA』だった。

『NEWS ZERO』は「朝からの事件を時間をおっての放送の形式がとてもわかりやすいです。他にも良いと思うことは、キャスターです。嵐の櫻井 翔くんだとニュースにも興味を持つことができます。それに、身近に感じることができます」などと好評だが、“櫻井くん”について「棒読みでしかもかんでいて見ているこっちが恥ずかしくなってしまった」という意見も1件あった。

『週刊こどもニュース』は「子どもとお年寄りにやさしいニュ-スで、いいところは世界にもしっかりと目を向けているところです。いつだったか、外国のどこかの国の子ども達は勉強したくても働かないといけなくて勉強できないことを知りました。私よりずっと小さい子ども達が働いている映像をみました。心が痛くなりました。その子達に何もして上げれないけど、私も一生懸命生きようと思いました」などと好評だった。3件とも「他のニュースは言葉や内容が難しく、また堅苦しいのであまり見ない」というモニターからの報告だった。

『めざましテレビ』も「他のニュース番組のようにかた苦しくなく、それでいて最近の流行などの情報を取り入れていて、すごく面白いと思います」と好評だった。

『ズームイン!!SUPER』も、「たくさんコーナーがあるので面白い。また、他局よりニュースの説明がわかりやすい」などと好評だった。

注文があったのは『みのもんたの朝ズバッ!』と『プレミアA』で、内容は「取り扱っているニュースにかたよりがあり、年齢層も比較的高めを意識していて、あまり子ども向けに作られていない」、「女3人でギスギスするなら、若手男性アナを中和剤でいれればいいのに、とか思いますが・・・」などという内容だった。

・報道系番組全般

報道系番組全般では、賛否両論と批判の意見がほとんどで好評意見はなかった。

その中で、最近起こった秋葉原の事件に関する意見が4件あったのが目立った。2日にわたって報道をチェックして、「2日目の夕方になると、違いが出てきた。容疑者について報道する局、秋葉原の危険性について報道する局、亡くなった方の親族のインタビューも加わった。1つの事件に対する各局の対応の仕方にこれ程差が出るとは思わなかった」という報告も寄せられた。また批判意見としては、「非常に衝撃的な映像が流れました。何度も何日も見せられると、いやな気持ちになる。ワイドショーであおっているのではないかと思ってしまいます」、「事件直後の被害者の映像や写真を出し、流血した様子などをプライバシーもなく放映する。子どもにもよくないし、あまり刺激をあたえる映像はひかえてほしいです」、「犯人の実際の写真、卒業文集、弟・近所の方の証言などもあった。いくら重い罪を犯した人だとは言え、普通の人と同じようにプライバシーはあるはずです。必要のないものまでをおおっぴらにテレビで放送するのは少し・・・と言った感じもします」などがあった。

また、報道番組の現状を多面的に批判する意見が5件寄せられた。「大きなニュースが発生するとニュースは局を問わずにその話題一色になり、2~3週間もすると全くそのことを報道しなくなる傾向がある」、「最近の報道を見ていて思うことは、自殺や殺人のニュースが多いということです。たしかに、事実を伝えることはとても大事なことですが、報道を見てまねをする人が出ないように工夫する必要があると思います」、「“CMの後は○○です”などと言いCMに入ることがありますが、その後一旦違うニュースを取り上げ、そして予告したニュースに行くことが良くあります。これは視聴者を騙していると思います」、「本当の事件のVTRをドラマ仕立てにし、そのナレーションまで、それらしく再現していて、被害者をいたむ気持ちがあまり感じられない」、「民放のニュースは占いや特集が多いと思う。特集には最近のニュースに関連したものもなくはないが、多くは今やる必要はないのではないかというものだ。これはおかしいと思う」。

報道のあり方についても、「“報道”と“数字(視聴率)”は結びつけてはいけないと思う。なぜなら、正しいことを正しく視聴者に伝えるのが報道であり、マスコミの役目であると考えるからである」、「それぞれの局で“ウチは他の局とは違うんだ”というところをもっと出した方がよいと思う」等、2件の意見が寄せられた。

さらに「私はニュースを1日7番組ほど見ています。なぜ、そんなに見る必要があるのか(?)といわれたら、各番組によって取り上げているニュースは違うし、視点も違うからです。事実を知らなければいけないのに、その事実すべてが報道されているかといえば、違うと思います」というメディアのあり方自体を考えた意見もあった。

7月のモニター報告は、いつものようにこのひと月ほどの間に見た番組の感想・意見・批判などとした。

ただし、7月の中学生モニター会議で「報道系の番組について」をテーマにしているため、今月も報道系番組への目配り・報告も依頼した。

第136回 放送と人権等権利に関する委員会

第136回 – 2008年6月

「群馬・行政書士会幹部不起訴報道」事案 委員会決定起草案を了承

「高裁判決報道の公平・公正問題」事案の通知・公表を報告 ……など

第136回委員会では、「群馬・行政書士会幹部不起訴報道」事案の、委員会決定起草案を審議し、一部修正のうえ了承、7月1日、通知・公表することが決まった。また去る6月10日に通知・公表された「高裁判決報道の公平・公正問題」事案の委員会決定について報告があった。さらに、バラエティー番組を巡る苦情申立てがあり、当該局との話し合いを勧めた結果、双方が合意した仲介・斡旋事案が報告された。

議事の詳細

日時
2008(平成20)年6月17日(火)午後4時~8時
場所
放送倫理・番組向上機構[BPO]会議室 (千代田放送会館7階)
議題
出席者
竹田委員長、堀野委員長代行、五代委員長代行、右崎委員、武田委員、中沢委員、三宅委員、山田委員

「群馬・行政書士会幹部不起訴報道」事案 委員会決定起草案を了承

群馬県行政書士会の幹部からの「ラジオのニュースにより、自分の名誉が毀損された」との申立てについて、これまで2回の委員会審理が行われたが、今日の委員会ではそのまとめである委員会決定文について、起草委員会が提出した起草案を検討した。

放送は昨年12月12日のエフエム群馬の夕方のニュースで、「行政書士会の幹部が、会の席上発言者に暴行を加え、傷害の疑いで書類送検されたことが、今日の県議会で取り上げられた。しかしこの幹部は不起訴処分になったことから、県は処分を行なわないとの考えを明らかにした」と伝えたもの。

この放送について申立人は、「エフエム群馬の放送内容は事実と全く違う。自分になんの取材をしないまま、自分が傷害犯のように思われる報道を一方的にされたことは納得できない。エフエム群馬に対し、放送法4条に基づく訂正放送と謝罪を求めたい」と主張していた。

これに対しエフエム群馬は、「ニュースは、県議会での質疑応答の過程において明らかになった内容を伝えたものであり、書類送検、不起訴という重要事項については事実確認をして報道しており、真実でない事項の放送はしていない。公の場で、公人が語った内容を伝えたことに問題はないと考える。従って訂正放送などに応じることは出来ない」などと反論していた。

双方のヒアリングも行った結果、先の委員会では、「ニュース放送で伝えられている内容は一応事実であると考えられるから、名誉侵害とまでは言えない。しかし、申立人の名誉に関わる問題であるのに、申立人に対し全く取材をしないまま放送したことは、放送倫理に違反したものと言わざるを得ない」との方向が出されていた。

委員会には、その方向に沿う起草案が示され、表現その他を巡り意見交換が行われた。

「放送倫理違反」の内容をどのように表現するかという議論では、「エフエム群馬に確かに落ち度はあったが、全国のエフエムラジオ局の中でも数少ない報道部を持って取材・報道している局であり、今回の委員会決定で報道活動を萎縮させないような表現にしたい」という趣旨の発言もあった。

また申立人が求める、放送法4条に基づく訂正放送についても議論された。事務局の調べでは、これまで決定を出してきた36件の事案の中で、訂正放送が必要かどうかの判断をしているケースも多いが、訂正放送を勧告した例はなかった。このことから、当委員会は自主的な判断として訂正放送を求める勧告も出せることを前提に審理をしているのであり、あえて放送法4条に基づく訂正放送について検討する必要は無いとの意見で一致した。

以上のような議論を経て、表現や字句の修正などを加えた委員会決定の草案が全会一致で了承され、この決定の通知・公表を7月1日に行うこととなった。

(委員会決定の内容はこちら)

「高裁判決報道の公平・公正問題」事案の通知・公表を報告

「戦争と女性への暴力」日本ネットワークの代表が、「昨年1月放送のNHK総合テレビ『ニュースウオッチ9』で、2001年に放送されたETV2001シリーズ『戦争をどう裁くか』について東京高裁が判決を言い渡したニュースの中で『当事者としてのNHKの言い分』と『報道機関としての報道』を峻別せずに報道したことは、公平原則に照らして許されるものではなく、放送倫理にも違反していた」と申立てていた事案で、委員会は6月10日、午前10時から申立人、被申立人双方に対し決定を通知し、11時記者会見を開き公表した。

(委員会決定の内容はこちら)

この委員会の通知・公表(記者会見)、及びこの決定公表に関するマスコミの対応などについて事務局から次のような報告があった。

この通知について、申立人側は「公平・公正を欠いた放送であったということを認めていただいて、とてもうれしく思います」と表明し、被申立人のNHKは「今回の決定を尊重して、公平・公正な放送に努めてまいります」と述べた。

記者会見では竹田委員長が「委員会決定」について説明し、「昨年7月の運営規則改正後の初めての公平・公正を欠く放送についての判断である。また、この決定は一般的な判決報道の基準を示したものでなく、放送事業者自身が当該裁判の一方の当事者であるという特殊性のある事案であることに留意してもらいたい」と述べた。右崎委員は「公平・公正についての最初の事案であることから、時間をかけ、当事者の意見を良く聞いたうえで慎重に判断したものである」と述べ、武田委員は「今回はあくまでも特殊なケースではあるが、このようなケースを積み重ねることによって、公平・公正の概念が規定されてくるのではないか」と指摘した。

記者からは、「この事案の元となった最高裁の判決が明後日(6/12)に出るが、判決を意識しての今日の決定となったのか。また、この決定が判決に影響を与えるものなのか」との質問があった。これに対して竹田委員長は「判決が6/12に出ることは承知しているが、本事案は通常の手続きにのっとって決定に至ったもので、判決と本日の決定とは直接関係はない。また本件は判決報道に係る報道のあり方についての決定であって、元になった判決に影響を与えるものではない」と答えた。

この記者会見を受け、その直後の昼のニュースでフジテレビが伝えたほか、多くの局は夕方のニュースでこの決定とNHKの反応などを伝えた。また当該局であるNHKは、「NHK7時のニュース」及び当該番組の「ニュースウオッチ9」で伝えた。さらに、新聞も多くがその日の夕刊で、かなりの紙面を割いて伝え、この事案への関心の高さをうかがわせた。

仲介・斡旋解決

事務局より下記の報告をし、了承された。

「離婚した妻の一方的主張を再現したバラエティー番組」に元夫が苦情

中国地方に住む男性から、「4月全国ネットのバラエティー番組で、元妻の一方的な証言に基づいて、私の浮気が離婚の原因と決め付けた過去が紹介され、その場面の再現放送までされた」として、在京の民放局に訂正放送などを求める訴えが、放送人権委員会に寄せられた。

当委員会で、当該局に事実関係の確認ならびに男性との話合いを勧めたところ、数回の交渉で、和解が成立し、5月に全国ネットで同番組の最後でお詫び放送がなされ、また3日後には男性が住む圏域のローカル局(全国ネット外)でも特別編成で同番組の放送が行われた。

当該局では、本件苦情の訴えを重視し、弁護士を交えて番組スタッフから調査を行い、離婚の原因についての説明が一方的だったことを確認し、再現VTRの使用は、男性の名誉を傷つけた恐れが多分にあることなどを認めお詫び放送に踏み切ったもの。

なお、当該局では、上記の調査、お詫びの経緯等について、当委員会に報告書を提出し、その中で、今後の対応および再発防止策として、この放送内容について社内のさまざまなレベルで、研修、勉強会などを開き、反省の共有化、意識啓発を進めることになったとしている。

5月の苦情概要

5月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情・相談・批判の内訳。

  • 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・1件
    (個人又は直接の関係人からの要請)
  • 人権一般の苦情や批判・・・・・・・133件
    (人権問題、報道被害、差別的表現など一般視聴者からの苦情や批判)

その他

「BRC」から「放送人権委員会」へ

事務局から下記の件を報告し、了承を得た。

5月のBPO理事会で、「放送と人権等権利に関する委員会」の略称について、7月1日より、略称を「放送人権委員会」とし、BRCは使わないことを決めた。BRCとBPOの区別が分かりにくいなどの意見に配慮したもの。

次回委員会を7月15日に開くことを決め、閉会した。

以上

第15回 放送倫理検証委員会

第15回 – 2008年6月

光市事件報道の委員会「意見」に対する在京6局の検討結果の報告書について

シンポジウム「事件報道と開かれた司法」の総括 …など

光市事件報道の委員会「意見」に対する在京6局の検討結果の報告書について

委員会が公表した「意見」に対する在京6局の検討結果の報告書について討議した。各局において、委員会の「意見」に対する批判も含めて活発な議論が行われたことについて、評価する意見が大勢を占めた。また、この報告書を一般に公開することにより、更に議論が深まり放送界の発展に寄与するのではないかとの討議がなされ、BPOのホームページ等に公表すべきだとされた。

<主な委員の意見>

  • 各局で議論が行われ、刺激になったことは良かった。
  • この「意見」は現場へのクレームではなく、局のスタンスに対する意見書だと思う。局のスタンスが現場に浸透していないのではないか。
  • 各局もBPOもお互いに“考える”ことが大事。“考える”素材としての「意見」だ。それなりの波紋、反発はあってよいと思う。各局はむしろ委員会の「意見」に対する批判を遠慮しているのではないか。
  • 個別具体的な番組にはモヤモヤが残るかもしれないが、見えてきたのは良いこと。ある局では、委員会が出したこの「意見」によって社内が変化した。少しずつ輪が広がればよいと思う。
  • この先どうするかが大切。各局は受け止めたことを、どう具体化するかが大切。コミュニケーションがとまることがまずい。
  • 「5:5が公平か?」という批判があったが、「意見」ではそうはいっていない。繰り返し理解を求めることが大切だ。
  • BPOに監視されている、と思われているのは誤解だ。そうではないと繰り返し言うべきだ。
  • できればこの「意見」を報道・制作現場の方、全てに読んでもらいたい。私たちの「意見」は、表現の自由を尊重する立場からのものだ。

シンポジウム「事件報道と開かれた司法」の総括

東京大学大学院情報学環との共催で開催されたシンポジウムについて、参加者は263名と別に用意したモニター室も満員になったこと、「タイムリーで中身の濃いパネルトークであった」「情報番組とドキュメンタリーとの役割の意味に言及して欲しかった」などのアンケート結果が事務局から報告された。

委員からは「テーマが多岐にわたり、コーディネーターは難しかったと思う」「予定時間より大幅に長くなってしまったことは反省点」「キーワード毎に各論に入る方法もあったのではなかったか」「裁判の公益性と報道の関わりをもう少し展開できればよかったが、公益性・公共性の定義は難しい」「パネリストの人選も今後の参考になった」といった意見が出された。

(なお、シンポジウムの概略はこちら

報告事項

  • 取材先の日本原燃から隠し撮りや誤謬等を指摘された報道番組

    当該局と原燃が話し合いを行い、第2弾の放送時に不明確な表現を修正した結果、お互いの主張は了解点に達した。放送局の自主自律の原則に則り解決が図られたので、当委員会はそれを了解した。

  • テレビ局が女性の卑猥なパフォーマンスを仕掛けたと報道された事案

    秋葉原で女性が下着を見せるパフォーマンスが行われ、それにテレビ局のスタッフが関っていると週刊誌に報道された。週刊誌の記事と当該局の説明内容を討議した結果、このパフォーマンスを当該局が正式に取材し放送したわけでもなく、委員会で取上げる問題ではないと判断した。

  • 放送記者による新聞記事盗用

    テレビ局の放送記者が新聞記事を元に、実際には取材をせずにニュースを放送した。このこと自体は責められるべき問題であるが、新聞社と折衝し、当該局の責任において処理すべき事案で、当委員会が取り上げるべき問題ではないと判断した。

  • 報道番組のキャスター・コメントに対する抗議

    報道番組の後期高齢者医療制度を取上げたコーナーで、自民党の幹部が談笑している映像を見たキャスターが「よく笑っていられますね」とコメントした。それに対して自民党から、その問題を議論しながら笑っていたわけではない、との抗議が局にあった事案。討議した結果、キャスターは印象を述べたものであるし、談笑している映像も放送前日に開催された役員連絡会冒頭のいわゆる「アタマ撮り」で、その役員連絡会では後期高齢者医療制度が話し合われているから、まったく関係のない映像を使用したとは言いがたい。更に、役員連絡会については会議が始まる冒頭、いわゆる「アタマ撮り」の取材しか許されていないので、直近の「アタマ撮り」の映像を使用したことにも理由があると判断できる。確かに、番組の作り方にも誤解を生まないように配慮すべき点があるが、それについては、5日後に、同番組で4分間弱にわたってキャスターにより説明がなされているので、視聴者も正しく理解したと判断できる。以上の理由により、当委員会はこの事案を取上げないこととした。

以上