第126回 放送と青少年に関する委員会

第126回 – 2011年10月

フジテレビ『FNS27時間テレビ』”ハケ水車”企画について番組責任者との意見交換

視聴者意見について …など

第126回青少年委員会は10月25日に開催され、9月委員会で審議した、フジテレビの長時間番組の未明から早朝にかけて放送された企画について、編成及び制作責任者と制作意図等について意見交換を行った。また、9月14日から10月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に審議したほか、中高生モニター報告及び今年度の調査・研究の日程等について審議した。

議事の詳細

日時
2011年10月25日(火) 午後4時30分~7時00分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

フジテレビ『FNS27時間テレビ』”ハケ水車”企画について番組責任者との意見交換

当該企画について視聴者から「夏休みの早朝の番組として卑猥な描写で、子どもに見せられない内容」などの批判意見を受け、委員会と番組担当者との意見交換を行った。意見交換ではフジテレビ側から番組の企画意図や制作プロセス等について以下の見解が示された。

◆フジテレビ意見概要

【FNS27時間テレビについて】
フジテレビ及びフジネットワークの総力を挙げ、視聴者に面白さや感動を与え、一緒に楽しめ、テレビのパワーをアピールする年に一度のお祭り番組。今年は被災地を元気にしようというメッセージと、完全デジタル化によるテレビ新時代の幕開けという2つのテーマを柱に制作・放送した。例年この番組は”笑い”を一番大切なものとして全面に置いているが、3月の震災を受け、企画段階で果たして”笑い”を主眼にした番組ができるのか、またこの番組自体が今年は放送できるのか大いに悩んだ。しかし被災地の東北3県に赴いた際、多くの方から「自分たちは笑いたい。笑わせてほしい」「お涙ちょうだい番組にはしないでほしい」という言葉をいただき、フジテレビらしい面白い番組にしなければいけないと決意し制作した。結果として明るく楽しい、全編笑いに満ち溢れた番組になったと思う。

【”ハケ水車”企画について】
この企画は1993年に放送されていたものだが、アナログテレビの最後の日として、出演者たちの青春時代の、もっともアナログ的なコーナーの象徴としてこの企画を選んだ。当時も物議を醸していた企画だけに、見せ方に配慮し、肌を一切露出しないというルールを作り、女性はヘルメットをかぶり、レーシングスーツを着て手袋をすること、また言葉の表現も、レースになぞらえることで笑いにつながり、直接的な生々しい表現を避けるよう考慮した。

【放送時間について】
視聴者数が一番少ない時間を選ぶ配慮とともに、番組が始まってちょうど折り返し地点で、出演者たちの疲労がピークになるところを、大きな声で頑張れるコーナーにすること。また過激なコーナーをレースになぞらえ、そのすぐ後に放送される本当のF-1レースという健全なモータースポーツにつなげることで、そのギャップの面白さを演出すること。また、司会の今田耕司はあの直後、被災地に感動を与えるため宮城・南三陸町に出発したが、東京のスタジオではお笑い芸人として、あえて過激な仕事をすることでのそのギャップを演出するため等、複合的な理由であの時間を選んだ。

【反省点】
“ハケ水車”自体が面白いと思っているわけでは無い。今田耕司など当時の出演者は知っているが、若手芸人にとっては伝説のようなコーナーであり、その両者のコミュニケーションやリアクションなどを面白く笑いに
つなげようと思っていたが、演出が狙い通りにいかず、視聴者に笑いが届かなかった部分もあったのは、残念でならない。また放送時間については、この時間帯を1日の始まりというより、深夜の続きと捉えてしまい、早朝であり、子どもたちが起きてくる可能性が有る時間という意識が浅かったことについて大変反省している。

【事後の対応】
お色気ネタは笑いのジャンルの一つではある。しかし今回の視聴者意見等を受け、編成制作局内で協議した結果、番組制作にあたっては放送時間等を含め、女性や子どもたちに十分配慮すること及び、今後、下品で直接的な下ネタは避けることを再確認し、バラエティ制作の全プロデューサー、全編成部員に徹底した。

視聴者意見について

担当委員及び事務局より、今月の視聴者意見の概要等について報告を受けた上で、審議対象となる番組はなかった。

中高生モニターについて

10月のテーマは、最近、一番注目した「ニュース・報道」(国内・国際)についてのリポートを提出してもらうもので、なぜそのニュースに注目したのか、その情報の伝え方が分かりやすかったかなど、その理由も書いてもらい、27人から報告が寄せられた。

【主な意見】

今回のリポートの特徴は、あまり1つの事件・事故に集中せず、さまざまな分野のニュース・報道に関する意見が寄せられ、モニターの興味の持ち方や関心の持ち方が多様であることがうかがえた。また、傾向として「もっと詳しく情報を伝えてほしい」という意見と、「伝え方に疑問を感じた」という意見に大きく分かれていた。
まず、国内問題でいちばん意見の多かったリポートは、やはり東日本大震災関連の報道で6人から、また、直近の世田谷の放射性物質発見のニュースにも2人からリポートが届いた。

  • 「震災時の都市部で起こった『帰宅困難』についての報道番組を見ました。大災害が起こると、まず交通機関がマヒすることで帰宅困難者が街にあふれてしまい、それがさらに大きな災害に結びついてしまう、といったことについて専門家や地域の実際の取り組みなどを取り上げて、とても広い視野で詳しく紹介していました。例えば、消防車が火災の現場に5分遅れると、火災範囲は一気に広がり、2~3軒の火事も町中に燃え広がり、街にあふれる人々が火災に巻き込まれるといった二次災害も起こりうるそうです。大地震では両親も帰宅困難に陥っていたので、このような事態にならなくて良かったと思いました。また、ある保育園ではツイッターを利用して保護者に地震後の子どもたちの状況を発信し続けたそうです。この番組では、個人では考え付かないような二次災害の可能性についてさまざまな立場の人が教えてくれ、とても有意義だと思いました」。(中学1年・男子)
  • 「今回私が一番注目したのは『コメ作付け制限区域』のニュースです。福島原発周囲17の市町村が制限区域に指定され、紹介されたのは福島県川内村でした。川内村は人口3,000人でしたが、その9割は村を離れたままでした。そんななか、半世紀もの間米を作ってきた1人のおじいちゃんがいました。今年収穫した米は1トン。しかし制限区域内で作った米はたとえ放射線量が少なくても処分しなければいけないのです。検査用に1キロを残し、残りの米を処分しました。その時、おじいちゃんは泣いていました。インタビューに答えるおじいちゃんは笑顔で快活だったけれど、その時のインタビューで見せた涙。それが今の被災者の皆さんの心を映し出しているのでは?と考えました」。(中学2年・女子)
  • 「僕は東日本大震災が起きたとき、どうして予測できなかったのだろうかとずっと思っていました。なぜなら阪神淡路大震災の時からたくさんの予算をかけて地震計や観測地をたくさん作って地震に備えたというニュースを聞いていたので、これほどの大きな地震なら予測ができたのではないかな、と思っていたからです。だから、『NHKニュース7~震災なぜ予測できなかった問い直す地震学の今後~』のタイトルを新聞で見たときは、ぜひ見たいと思って注目していました。しかしそのニュースの時間は短く、日本地震学会のシンポジウムの様子が報道されただけで、肝心のなぜ予測できなかったのかといったことがよく分かりませんでした。新聞のタイトルに出ていたぐらいだから、会議の様子ではなくもっと地震の予測に関係する内容を知りたかったのは僕だけではなかったと思います」。(中学1年・男子)
  • 「私が最近一番注目したニュースは、道路脇の側溝や雨どいなどに溜まった『放射性物質』についてのニュースです。その理由は私の住んでいる区でもその問題が起こっていて、比較的身近に感じたからです。その中で私が疑問に思ったのは、どの放送局も連日”同じように”取り上げていることです。具体的な対策法や処置法を伝えず、なんだか情報を流しっぱなしにしているような気がしてなりません。ただニュースをすばやく伝えるだけではなく、その後先のことも考えて伝えてほしいと思いました」。(中学2年・女子)

複数の報告が寄せられたニュースは、「島田紳助さん引退」、「民主党小沢元代表の公判開始」、「韓流ブーム」などで、そのほか最近話題の「年金支給年齢引き上げ問題」や、報道姿勢全般への批判の報告もあった。

  • 「最近一番注目したニュースは『民主党・小沢元代表の政治資金問題』です。私はこの問題の報道の仕方について、良い点と悪い点があると感じています。良い点はこの問題についての沢山の意見がほぼ全て報道されていて、偏った報道がされていないことです。その一方悪い点は、この問題で小沢元代表の資金問題ばかりが取り上げられていて、政治家としての小沢氏の政策などが全く伝わってこない点です。視聴者の求める情報を報道するのは正しいことですが、そればかりを取り上げてしまい、他の情報が伝わってこないのは問題だと思います」。(中学2年・女子)
  • 「私は『韓流エンターテインメント報道』について取り上げます。今は”韓流ブーム”です。私たちの間でもとても人気であり、そして興味もあります。そのブームに伴って多くの視聴者がいる今、各テレビ局は韓流番組や報道を劇的に増やしたように思います。多くの局でふだんは日本のドラマをやっていた時間帯に韓流ドラマを放送していますが、どこにチャンネルを回しても韓流ドラマだったりします。韓流ドラマを流しておけば視聴率が取れるからいいだろうという、放送する側の意図が出ているように感じて、嫌です」。(中学3年・女子)
  • 「私が最近一番印象に残ったのは『年金支給額年齢の引き上げ』に関するニュースです。3年に1歳ずつ年金受給開始年齢が上がっていく現行制度を、最終的に65歳や68歳に引き上げるようという案を、厚生労働省が提示したということでした。このニュースを見て以下のことを感じました。(1)年金受給が65歳や68歳になってしまったら、生きているうちに年金を受け取ることができなくなる人が増えるのではないか、ということ。(2)年金として納め始める年齢が同じだとして、生まれた年代によって受け取れる金額にばらつきが出てしまうのは良くないのではないのかということ、などです。年金に関しては本当に難しい問題だと思います。ですが、働いた分だけ報われない、支給額が本来の分だけ返ってこないというようになってしまっては、年金を納める意味が無くなってしまうのではないかと私は感じました」。(高校2年・女子)
  • 「報道って、人にとても影響力があると思います。しかし、ニュースなどを伝える側にちゃんとした意図が見えない時があります。政治の話だと、今の日本の政治は”メディア政治”だと思います。政治家がミスをしたら、喜んで報道しているようにも見えます。新しい総理が誕生しても、最初は持ち上げて、最後は突き落としているかのようです。いい加減、報道する人たちは自分たちのおそろしさに気づいてほしいです」。(高校1年・男子)

次に、国際関係のニュースではアップル社の創始者・スティーブ・ジョブス氏死亡と新発売された「iPhone4S」に関する意見、また、TPP参加問題に関する政府の対応への疑問や日本農業に及ぼす懸念、タイの洪水やギリシャの経済危機に関する経済ニュースに注目したリポートなどが7人から寄せられた。

  • 「僕が注目したのは、スティーブ・ジョブス氏逝去のニュースだ。今年の8月ころまでは発表会に出ていたのに、突然の死に僕はびっくりした。iPhone4S発表の後だったので、タイムリーすぎてなぜか少し怖かった。報道では、スティーブ・ジョブス氏の死による影響や、ユーザーの言葉などを報道していたが、ライバル企業の言葉はあまり聞けなかった。また、今回の報道ではスティーブ・ジョブス氏の成功した商品ばかりが紹介されていたが、失敗したことも紹介した方が、僕的には面白いと思った」。(中学1年・男子)
  • 「僕が住む秋田県は農業県です。きっと愛知県のような工業県ではTPP参加はいい意味でとらえられるでしょうが、秋田県では違います。このTPPに参加すれば工業製品、農産物ともに関税がほぼゼロになるといいます。日本の農産物の品質は世界でも高い評価を受けていますが、価格が外国製品に比べて高いです。ということは、外国から安い商品が入ってくると、日本のものが売れなくなる可能性があると思います。野田総理は推進派ということですが、日本の首相としてどのような判断をするのかに関心を高めています」。(中学3年・男子)
  • 「今、政府は来月12日からハワイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の前に、TPP参加・不参加の決着を目指しているそうですが、これほど重要な問題を国民全体で議論し尽くさずに決定して良いものだろうかと考えます。関税撤廃が原則のTPPへ参加した場合、低価格の農産物が国内に流入し、国内農業が大きな打撃を受けかねません。私の家は農家ではなく、直接影響があるわけではありませんが、日本の岐路に際して、国民がこぞってTPPの問題を議論した上で、参加・不参加の決定をすべきだと思います」。(高校2年・女子)
  • 「私が今回最も注目したのは、世界の経済ニュースです。先日は日本でも甚大な被害を引き起こした大洪水が、タイでも起きた、という報道がまず目につきました。最初は『あぁ、日本じゃなくて良かった』と思ったのですが、報道を見ているうちにタイには日本の自動車工場が多くあることを知りました。タイで生産していた車の部品生産が洪水でストップしてしまったのです。これは経済的に大きな打撃を与えることになることが分かり、さっきまで”楽観視”していた私が急に”馬鹿らしく”思えました。また、ギリシャの財政危機に影響されたフランスやベルギーなどの各国の銀行が日本の円高に拍車をかける、という報道も印象に残りました。ギリシャが引き起こした影響は、ユーロ圏内、アメリカにまで広がっている、ということは知っていましたが、まさか日本には関係ないのでは?と勘違いをしていた私は、ひどくショックを受けました。今まで私は、国外のニュースはその国だけの問題で、自国に与える影響なんて考えてもみませんでした。しかし、最近の報道を見てからその考えが大きく変わりました。国内のことだけを見るのではなく、大震災などで苦しい今だからこそ、国外のことにも関心を持って『世界の中の日本』を客観的に見ることが重要なのだと、今はそう思えます」。(高校2年・男子)
  • 「私が今回注目した報道は『ノーベル生理医学賞の報道』についてです。2011年度はブルース・ボイラー博士とジュールズ・ホフマン博士、ラルフ・スタインマン博士が受賞しました。私はこの受賞についての報道が納得できませんでした。その理由は、報道の量がとても少なく内容も薄く分かりにくいものだったからです。発表当日、私はとても楽しみにしていたのでずっとテレビをつけて待っていましたが、報道は『iPS細胞、山中伸弥教授ノーベル賞受賞ならず』というものばかりで、私が期待していた受賞者の研究内容の報道はほとんどありませんでした。全てのことを知るのは難しいことですが、せめてノーベル賞を受賞した研究ぐらいは、分かりやすく国民に知らせるべきです。そうでないと、国民のノーベル賞への関心も下がってしまうし、中高生がこの賞がどれだけすごいものなのかも、分からないままになってしまいます」。(高校1年・女子)

【委員の主な所感】

  • 中学1年生から高校2年生まで幅広い世代のリポートのなかで、今回は中学生のリポートに読み応えのあるものが多かった。東日本大震災の問題から経済危機の国際問題まで、それぞれ自分が関心を持っているニュース・報道に自分の意見を素直に表現していたことを評価したい。
  • ニュースを見る”視点”に優れているリポートが多かった。事件そのものへの関心と、それを伝えるメディアの姿勢に”批判の目を向ける”視点が優れていた。
  • 原発事故の影響で、コメの作付け制限区域で収穫されたコメをすべて廃棄させられた農家の”涙”と”笑顔”を見て、映像の裏側に隠された被災者の”心”を読みとった報告に感動した。
  • ノーベル賞の報道でも、日本人受賞者が出なかった場合の情報の伝え方に疑問を呈したリポートなど、内向きの報道の多い日本のメディアのあり方に疑問を呈したリポートに注目した。
  • タイの洪水被害やギリシャの経済危機など、これまであまり関心を抱かなかったことへの自省を含めて、世界はつながっていると気づいていく過程が素直に表現されていた点が良かった。

「今月のキラ★報告」東京・中学2年男子

最近気になったニュースは、締め切りのほんの数日前のことですが、「世田谷区内で高濃度の放射性物質が見つかった」ということです。その地点と自分の通う学校が近いということもあり、最も詳細について知りたいと思った情報でした。学校でもそれに関する内容のものが配布され、クラスの一部の人はその家の前を通学路としている人も多くいました。その夜見たニュースでも取り上げられ、大々的なニュースとなって驚きました。
世田谷でも特に多くの人が住む地域、何より通学路沿いであることから、自分を含めて多くの人々が不安な気持ちになったので、詳細な報道をしてくれたのは大変よかったと思う一方、放送の仕方が少しきつかったのではないか、という気にもなりました。
例えば、翌日の報道。その家の所有者の方に話を聞くというのはいいのですが、インタビューと編集の仕方が、まるで何か事件の犯人の関係者のような扱い方で放送されていたような印象でした。また、世田谷区の会見についての報道も、世田谷区に責任があるかのような言い方であったのではないかな、と思いました。僕は世田谷区役所の近くに住んでいるのですが、その日、目の前の通りには報道関係の自動車やハイヤーが並び、他の車が通りづらそうだという印象を持ちました。
放射能に関しては特に3月11日以降、メディアは適切に扱う必要があると思います。今までの福島原発事故関係の内容では、不思議なほど口を閉ざしていたのに、今回の件では逆に騒ぎすぎだったのではないかという印象を持ちました。世田谷の中心部で、通学路としても多く利用されているということが要因でしょうが、それなら福島県の小中学校の通学路はさらに強い値を記録しているでしょう。そんな中で、たいして被害を被っていない東京で、その値が出たからといってここまで大騒ぎするというのは、福島の方に失礼ではないかと、思ってしまいました。
震災当日もそうでしたが、関東中心の報道が全国放送される今のメディアの姿勢に、少々疑問を感じます。確かに重要な情報ではありますが、重視するところを間違っているのではないでしょうか。家の人への問い詰めるようなインタビューは、見ている方も不愉快になります。また、福島や北関東で原発事故により毎日苦しんでいる人がいるのに、そんな一時のことだけで大騒ぎする必要などないはずです。
視聴者側の気持ちを考えるとともに、その優先順位も考えていくべきではないでしょうか。

【委員会の推薦理由】

全国放送でありながら”東京”中心の報道になっていることへの批判、当事者などに対するインタビューの際の配慮の必要性の指摘、報道内容に関する視聴者の立場から優先順位を決定すべきだ、という問題提起が高く評価されました。
今後も、報道に限らず、放送の仕方についても批判的な目”複眼”で事象を見て、報告してくれることを期待します。

調査・研究について

本年度予定されている番組制作者及び一般視聴者を対象とした調査について、その分析等が終了し、調査報告書にまとめるとともに、2012年2月10日(金)に調査結果の報告及びシンポジウムを開催することを決定した。

2011年9月に視聴者から寄せられた意見

2011年9月に視聴者から寄せられた意見

被災地を視察した鉢呂経済産業相が、”死の町”と発言して、就任早々辞任。発言には賛否さまざまな意見が寄せられたが、マスコミは揚げ足取りが過ぎるのではないかとの指摘や、辞任記者会見での記者の暴言などに批判が集まった。

9月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は2,004件で、8月と比較して701件減少した。
意見のアクセス方法の割合は、メール74%、電話23%、FAX 2%、手紙ほか1%。性別は男性70%、女性27%、不明3%。年代は30歳代36%、40歳代25%、20歳代18%、50歳代11%、60歳以上7%、10歳代3%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該局のBPO責任者に「視聴者意見」として通知。9月の通知数は896件[46局]であった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、25件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

9月の視聴者意見は2,004件と前月より701件減った。
被災地を視察した鉢呂経済産業相が、”死の町”と発言して、就任早々辞任に追いこまれた。発言には賛否さまざまな意見が寄せられたが、マスコミは揚げ足取りが過ぎるのではないかとの指摘や、辞任記者会見での記者の暴言などに批判が集まった。
子供の質問に答えるかたちで、被災地の農作物は「食べずに捨てなさい」との大学教授の発言には、被災者の気持ちを考えず乱暴すぎるとの批判があった。
列島各地を襲った台風報道についても、都会と地方の情報格差や、危険場所での取材のありかたなどについて意見が多かった。
ドラマでは、作品中に使われたモスキート音のような不快な効果音への苦情や、最終回で物語が完結しないアニメ放送などへの抗議があった。バラエティーでは、お笑い芸人たちの言葉づかいが、相変わらずひどいといった批判や、番組中で俳優を使った、映画や次回予告の宣伝が多すぎるなどの意見もあった。
地デジに移行して2ヵ月が過ぎた。画質は良くなったが、中身はくだらない番組ばかりだという意見も寄せられた。
ラジオに関する意見は29件、CMに関する意見は32件あった。

青少年に関する意見

放送と青少年に関する委員会に寄せられた意見は147件で、前月より15件増加した。
今月は、低俗・モラルに反するとの意見が65件、次いで性的表現に関する意見が20件、視聴者意見に対する反論・同意が10件と続いた。
低俗・モラルに反するとの意見については、ゴールデンタイムのバラエティー番組にAV女優のグループが出演したことに対し、「子どもも多く見ている時間帯であるのに教育的配慮が足りない」などの批判意見が寄せられた。また、別のバラエティー番組については、不定期で取り上げている小学生の兄弟の振る舞いに対し「ヤラセや障害の疑いがある」などの批判意見が寄せられた。
性的表現については、バラエティー番組の1コーナーで、子役タレントの前で他の出演者が性的な内容の会話をしたことに対し「卑劣なセクハラで子どもに悪影響だ」などの批判意見が寄せられた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 鉢呂経済産業大臣が、福島を「死の町」と例え、記者に対して「放射能をつける」と言ったとして辞任した。しかし、「死の町」と例えたぐらいで失言と批判することは、マスコミの言葉狩りではないか。鉢呂氏は無人と化した福島をそう例えただけであって、別に福島を馬鹿にしているわけではない。鉢呂氏が、「死の町」となる原因を作った原発を建てたわけでもない。「死の町」となる原因を作った東電や原発を推進した政治家を責めるべきではないのか。記者懇談での発言にしても、マスコミによって「放射能を分けてやるよ」「放射性物質うつった」「放射能をうつしてやる」と、鉢呂氏の言質がばらばらで、これでは本当にそのような発言があったのか疑わしい。マスコミは正確な報道をしてほしい。
  • 鉢呂吉雄氏の大臣辞任会見で、記者が粗暴な言葉でまくしたてていた。まるでヤクザのような物言いで、見ていて腹立たしい。名前も社名も名乗らず、あたかも記者自身が国民の代表であるかのようにふるまい、去る者を叩くあの見苦しい姿はどうにかならないものか。揚げ足を取り、一国の大臣を辞任に追い込む報道には、あきらめにも似た悲しい気持ちになる。国民が失望していることは、政局ばかりの政治ではなく、政局をあおるメディア全体だ。
  • 失言による経産大臣の辞任の報道には、マスコミの悪意が感じられる。「死の町」発言はそれ自体問題がないというのが一般的な意見だが、報道関係者はそうとらえていない。「放射能をつけるぞ」発言は非公式の懇談の場の発言だったそうだが、なぜ記事になるのだろう。どうしても報道したいのであれば、どこの会社のどの記者が言われたのかも、明らかにすべきだ。そうでないとどんどんエスカレートして、恣意的に政治家を貶める道具として報道が使われるおそれがある。
  • 「失言」で大臣をクビに追い込むのは、もうやめないか。今回の鉢呂大臣辞任の一件で、最も腹が立ったのはマスコミに対してだ。「ちょっとでも問題を起こしたら即クビ」というのは、「江戸時代の切腹」を思い起こさせる。総理の任命責任云々もうんざりする。政治家もダメだが、マスコミの揚げ足取りとあら探しに、ほとほと嫌気がさす。マスコミの方々は、大臣をクビにして手柄でも上げたつもりなのか。マスコミが機能していないから、政治がダメになっているように思う。
  • 「東北の野菜や肉を食べるとどうなるのか」という小学4年生の子供からの質問に、「健康を害するから食べずに捨てなさい」と答えた人がいた。風評被害で苦しんでいる農家の人々や、丹精込めて育ててきた家畜を泣く泣く置いてきた人の気持ちを逆なでするような発言に憤りを覚える。こんな人間をテレビに出していいのか。発言には細心の注意を払うべきだ。
  • 東北産の野菜に関する出演者の心ない発言を聞き、大変気落ちしている。放射性物質で汚染された食品を避けたいのは誰でも同じで、私達東北人も例外ではない。だから言わんとすることは理解できる。それにしても言い方が乱暴だ。たとえば「心配な点もあるので、今は避けましょう」などと言葉を選んで意見を伝えることはできなかったのだろうか。
  • 近畿地方で台風による大雨災害が発生した。この被害者の中に、ある町長さんもいて、奥さんと娘さんが流されてしまい遺体で発見された。奇しくも娘さんの結納の日だったそうだ。厳しい状況下、気丈に災害対策執務をこなしていた。そんな町長さんへのインタビューで、町の被害状況や対応状況などを聞くのなら分かるが、その娘さんの話ばかり突っ込んでいた。被害者に塩を塗り込むようなインタビューをなぜするのか。視聴率が取れれば何でもありなのか。人の気持ちが分からないのか。
  • 台風が来たが、民放各局はお笑い番組や歌番組を流していた。台風の警報や注意報が、どこの場所なのか民放を見ていてもわからない。結局、近所で床上浸水した。翌週、また台風が来た。民放各局はお笑い番組や歌番組を流していた。同じように台風の警報や注意報が、どこの場所なのか民放を見ていてもわからない。
  • ワイドショーでは、台風が西日本に接近しているにもかかわらず、「首都圏への影響」と題して東京の影響を中心に話が進んでいた。しかも、渋谷のスポーツバーの売り上げの話など、はっきりいって取るに足らない話題だった。大型の台風であることは事前に分っており、大きな被害が出ることも分っていたにもかかわらず、このような呑気な放送をしていたことに、とても腹が立つ。全国ネットで放送されているということを意識してほしい。
  • 突然の「島田紳助芸能界引退」は大きく報道されたが、その後のテレビ報道が全くない。週刊誌では、芸能界と暴力団の親密交際が大きく取り上げられているのに、テレビが報じないことはおかしい。芸能人の結婚・出産などより重大な社会問題は、その後も報道すべきだ。吉本興業の力に屈しているのか。引退で終わりにしては、報道の使命は全うされない。
  • ニュースの中で、看護師が殺害された事件を「湯けむり殺人」と報じていたが、亡くなられた方の遺族の心情を考えると、あまりにも不謹慎な表現だと思う。報道に装飾はいらない。特に事件や事故を茶化してはいけない。事実は正確に伝えてほしい。スタッフ全員の良識の問題だ。
  • 放送の中で、視聴者の注意を引くために「シャリーン」や「ピロピロ」といった効果音がよく使われている。耳障りだし、緊急地震速報の音とまぎらわしい。ゆったりしたくてテレビを見ているのに、効果音のせいで緊張を強いられ心臓にも悪い。特に今年は震災があり、ただでさえ警報に過敏になっているのだから、これ以上無駄なことで神経をすり減らしたくない。放送局に苦情を言ったが、「1人の視聴者の意見で番組の演出を変えることは出来ない」と言われた。私の意見はそんなに珍しいのだろうか。

【番組全般・その他】

  • ドラマの中で、不快な耳鳴りのような音が聞こえた。恐怖心をかき立てるシーンで使われていた。一部のネット上でも「モスキート音」として議論が持ち上がっているが、かなり危険なレベルなのではないかと思う。30代半ばの私でも十分に聞こえたし、精神的・身体的な影響も出る人がいるのではないか。ドラマのテーマがサブリミナルや催眠の問題を扱っているが、ドラマの効果にそのようなものを使うことは問題であり、もし意図的にしているのであれば、冒頭での注意クレジットが必要ではないか。
  • 刑事ドラマの劇場版が近日公開されるようだが、宣伝のやり方がひどい。バラエティー番組のゲストに映画出演者が連日登場し、同じような質疑応答がされ、CMで何度も見た宣伝映像を流す。これが1日何度も数日間続く。そこまでしないと集客できない作品ということか。最近のテレビは身内で盛り上がるための番組ばかりで、見ていてつまらない。
  • 番組内で流れた映像の多くが動画サイトに投稿されたものだったが、テレビ局は動画サイトや投稿者にきちんと放送許可を得ているのか。自分達テレビ局の番組がネットにアップロードされると即座に削除申請をする。人が制作した動画は無許可で放送するなんてことはないだろうが、もし無許可で放送しているのであれば、社会倫理、法律に違反しているのではないか。
  • CDの売り上げ、最新のオリコンチャートを1位から順に報道するコーナーで、2位だけが不自然にカットされ1位、3位、4位と放送された。調べてみると2位は「モーニング娘。」の新曲だった。放送局とスポンサーの関係などもあるのか素人にはわからないが、制作側の意図を感じる。情報番組でありながら今までにもこういう行為があり、またこれからも許容されていくのかと思うと納得できない。
  • アナウンサーが世界を旅するコーナーで、「ドナウデルタへ行き、ペリカンの飛び立つところを撮りたい」と、ペリカンの群れに走り寄り脅かして、一斉に飛び立つところを放送していた。桃色ペリカンの生息地として観光の目玉になっているような場所で、野生動物を脅かすような行動は常識外れではないか。もし、同じような映像を撮りたいとドナウデルタを訪れた人が、同じようにペリカンの群れにめがけて突進を繰り返したならどうなってしまうのか。テレビカメラがあれば何をしてもいいと思っているのか。
  • 最近のドラマやアニメだが、最終回で話が終わらないものが多い。原作の漫画が終わっていないので仕方ないが、番組は番組として終えるべきではないか。最近よくドラマやアニメの続編が映画になることがあるが、視聴者から見れば続編をテレビではなく映画で製作するのはおかしい。深夜アニメで原作が未完のものを見たことはあるが、「犯人を捕まえることができませんでした」というドラマは見たことがない。
  • 民放連が「NHKの放送番組のネット同時配信」に反対の見解を発表したことを知った。視覚障害者はラジオでテレビ放送を聞いていたが、地デジになってラジオで聞くことができなくなった。そこで提案されたNHKのインターネット放送は嬉しい限りだった。それなのに民放連は自分たちの都合で反対している。インターネット同時配信に反対するなら、民放連は視覚障害者に情報保障する代替案を提示してほしい。
  • バラエティー番組の出演者の言葉遣いがひどい。若い女性ゲストは食べ物を見て、「食いてぇ」「うまそぉ」「マジうまそぉ」。食べた感想は「うめぇ」「めっちゃうめぇ」「こんなうまいの食ったことない」。言葉が時代とともに変わることはわかるが、放送局は出演者の適性にも気を配るべきだ。
  • 地デジ移行に備え、国民の多くが数万円の負担をして受像機を買い換えた。画質は良くなったが中身がまったく伴っていない。朝から晩まで韓国ドラマや通販番組ばかり流しており、我々高齢者の望む内容とは程遠い。そうしたくだらない放送に国民が怒っているのに、肝心のBPOがのんきに構えているようでは良くなるわけがない。なぜしっかり監督・指導しないのか。
  • テレビ放送が始まって50年だが、今のテレビは視聴者のニーズに合わず、放送作家が見たいと思う番組を企画・制作しているにすぎない。出てくるのは毎日同じ顔ばかり、やっていることもどこも同じ。下品で低俗なお笑いばかり。番組のコンセプト自体が大きく歪んでいる。つまらない番組ばかりだ。テレビが視聴者に何を情報として伝えていくのか。真価が問われている。

青少年に関する意見

【低俗、モラルに反する】

  • ゴールデンタイムのバラエティー番組にAV女優をアイドルとして出演させ、短いスカートでパンツを見せたり卑猥なことを連想させるようなことをしていた。未成年のアイドル達も共演しており、その子達も可哀想に思った。この時間帯にこのような内容はとても残念だ。できればAV女優の方々は、テレビに出ないか深夜にお願いしたい。昔より厳しいといわれるが、純粋にテレビを楽しめなくしているのはテレビ局や番組なのではないか。
  • バラエティー番組の中のワイルドな兄弟を取り上げるコーナーについて、障害も疑われるような行動をワイルドと称してお笑いのネタに使うのは不愉快だ。もしくは、これが「やらせ」だとしても、普通に子どもが見て「こんなことをしても許される」などと思うこと自体おかしい。障害児をもつ親として憤慨している。
  • ある女性芸人が最近下品なギャグを見せており、不快でたまらない。例えば男性出演者の股間に頭を突っ込んだり、局部を指ではじいたりする。先日、孫が保育園で女の子に同様のことをしてこっぴどく叱られたばかりだ。孫の言い分は「テレビで笑っていたので、マネしたらみんなが喜ぶと思った」ということらしい。子どもも見る時間帯にこうした卑猥なギャグの連発はやめさせるべきだ。
  • ある子役が、最近見ない日はないというくらいテレビに出演している。夏休みに撮ったものも多いとは思うが、出過ぎではないか。小学生なので労働時間などの制限は厳しいと思うが、学業や友達と遊べているのか心配だ。未成年の芸能人が「移動中の車ぐらいでしか眠れない」などと発言したり、早くデビューした芸能人が体を壊したり、問題を起こした報道などもあり、あんなに小さな子が大丈夫だろうかと不安になる

【性的表現に関する意見】

  • バラエティー番組で不適切な放送があった。人気の子役とお笑い芸人が出演していたが、子どもの前でAVや風俗の話などをしていた。放送では音声処理がされていたが、収録にいた子役は聞いているはずだ。子役も意味を分かってか分からずか笑っていたが、子どもへの言葉での性的暴力にならないのか。
  • K-POPアイドルがお尻を振ったりしているが、猥褻な感じがして不愉快だ。深夜に放送するならまだしも、子どもが見るような時間に放送することは不謹慎だ。我が家では子どもがいる時間にK-POPの歌手が出るとチャンネルを替える。あんな猥褻な踊りは子どもには見せたくない。

【暴力シーンに関する意見】

  • 小学校の息子が見ている特撮番組。元々等身大の大きさの敵と戦うシリーズものだが、今回は怪物のような相手だけではなく、主人公の同級生など人間相手の暴力シーンが目に付く。学齢前の子どもも多く見る番組としては、程度がひどく不適切だ。

【言葉に関する意見】

  • 芸能人の言葉遣いについて。若者言葉を連発していて、見る側は非常に気分を害している。例えば「やばっ」の連呼等、明らかに間違った日本語を使っている。その影響で子どもが真似をしていて見苦しいと思う。テレビCMにも同じ現象が現れている。何故正しい言葉遣いができないのか。
  • 年上の人間に対してタメ口をきく若い女性タレントが目立つ。年上の人には敬語、丁寧語を用いるべきだ。子どもが見て、年上の人に対してもタメ口をきいて良いと思ってしまっては困る。

【いじめに関する意見】

  • 人気アイドルグループが出演するバラエティー番組中、上手く話せないからとあるメンバーが隣のメンバーの顔を2回もビンタした。コントでもなく、会話の流れの中でイラついて顔を叩くということは信じられない。いじめにしか見えなくて不快だった。人気グループなので子どもも多く見ていたと思うし、日頃他の番組では好感がもてると思っていただけに残念だ。

【危険行為に関する意見】

  • バラエティー番組のドッキリ企画で、「通販番組の撮影」と偽り、高級天然水と思わせてにがりを混入した水を芸人に飲ませていた。芸人は苦さに顔をしかめそうになったが、商品を宣伝する立場なのでおいしそうに飲んでみせようと四苦八苦していた。にがりは大量に飲むと中毒を起こして死に至ることもあるが、「真似しないように」などの警告もなかった。番組を見た子どもが真似る危険性もある。あまりに無責任だ。

【残虐シーンに関する意見】

  • 単発もののドラマを見た。女性が電車ではねられるシーンが繰り返し流れていた。CGだとわかっていても不愉快だ。午後9時台と言えば子どもが見る可能性もある。あんな残酷なシーンを何度も流すなどとんでもない。

【視聴者意見への反論・同意】

  • 「一字一句をテロップ化することが多い」という意見があったが賛成だ。一字一句をテロップで出すことは目障りだ。せっかく字幕放送などがあるのだから、これでは意味がない。周辺の表示情報が多すぎるので、もう少しテロップを減らすべきだ。
  • ここ最近の意見を見ていると、番組に少しでも過激なシーンがあると「子どもに有害」とする短絡的な批判が多い。しかし、番組の評価は全体を通しての内容や作り手の意図も考えて行うべきだ。子どもも番組の一部のみを注目しているわけではないはずだ。番組構成上、過激なシーンが必要な場合もあるし、そうしたシーンがあったとしても、全体を通して見れば「命の大切さや友情、信念を貫く大切さ」などを伝えてくれる番組はある。一部のみを切り取っての批判は不適切だ。

【CMに関する意見】

  • ラブシーンや濡れ場を含む映画のCMがあまりに卑猥で子どもに有害だ。例えば夜10時以降など、子どもがテレビを見ない時間帯であればある程度理解もできるが、夕方など子どもが普通に見る時間帯にこの宣伝を流すことは、倫理観の欠如も甚だしい。そういったシーンを放送すること自体、何らかの倫理規定に違反しないのか。
  • 「子どもにパチンコCMについて聞かれた。明らかにモラル違反だ。CMを流す時間帯の規制をすべきだ」という視聴者の意見があったが、子どもに聞かれたら親が説明すればいいだけではないのか。なぜ、パチンコのCMがモラル違反か理解できない。

第176回 放送と人権等権利に関する委員会

第176回 – 2011年10月

広島での意見交換会

委員会運営上の検討課題 ……など

10月4日に広島で開かれた放送人権委員と中国・四国地区のBPO加盟放送事業者との意見交換会について、事務局からの報告をもとに意見を交わした。委員会運営上の課題について議論を続行した。関連で苦情申立て書の新しい書式とBPOホームページからのダウンロード方式について検討し、実施に向けて細部を詰めることになった。

議事の詳細

日時
2011年10月18日(火) 午後4時~5時50分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
堀野委員長、樺山委員長代行、三宅委員長代行、大石委員、小山委員、坂井委員、武田委員、田中委員、山田委員

広島での意見交換会

放送人権委員会は10月4日、広島で中国・四国地区のBPO加盟放送事業者との意見交換会を行った。毎年1回、各地区毎に順次開かれているもので、広島では6年ぶりの開催となった。当日は放送局側から14社・63人、委員会側からは9人の委員全員と事務局が出席し、「東日本大震災報道」や「顔なし、モザイク映像の多用と報道の信頼性」等のテーマについて3時間半にわたって意見交換した。またテレビカメラ5台が入り記者7人が取材に訪れた。
この日の委員会では、地元の各テレビ局が意見交換会について報じた当日のニュースの録画DVDを全員で視聴し、出席者への事後アンケート調査の結果を事務局から報告した後、各委員が感想や意見を述べた。
アンケートには「伝えるべきは伝えるというメディアとしての気概を持てという委員の皆さんの意見を重く受け止める」等の回答と合わせ、若手がより多く出席できる場の設定、意見交換会の回数増への要望等が寄せられた。
委員からは「放送倫理の向上というBPOの大きな目的からは意義ある会だったのではないか」とする意見や、事後アンケートで出た要望を受けての提案も出された。来年度の課題として事務局で検討することにしている。(意見交換会の内容については後日掲載)

委員会運営上の検討課題

今月の委員会では、これまでの検討結果をふまえ、苦情の申立てから、審理、「委員会決定」の通知・公表に至るまでの委員会運営のあり方について取りまとめをした。また、関連で苦情申立書の新しい書式とBPOホームページから申立て書式をダウンロードする方法について、事務局からの説明をもとに検討した。その結果、実施に向けて今後、細部を詰めることになった。
事案審理において申立人と放送局の両当事者から直接話を聞くヒアリングについての検討は、次回委員会に持ち越した。

9月の苦情概要

9月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情・相談・批判の内訳は以下の通り。

  • 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・2件
    (個人又は直接の関係人からの要請)
  • 人権一般の苦情や批判・・・・・・・・‥14件
    (人権問題、報道被害、差別的表現など一般視聴者からの苦情や批判)

その他

  • 東日本大震災報道に関するBPO意見交換会を、11月25日に仙台で開催することを事務局より報告した。当日は地元局現場記者からの報告をもとに災害報道について議論を深め、全国の放送局が生かせる点を学ぶことにしている。
  • 次回は11月15日(火)に開かれることになった。

以上

第53回 放送倫理検証委員会

第53回 – 2011年10月

BS11『”自”論対論 参議院発』に関する意見への対応報告書について

テレビ東京『月曜プレミア!主治医が見つかる診療所』
毎日放送『イチハチ』情報バラエティー2番組3事案に関する意見への両局の対応報告書について ……など

第53回放送倫理検証委員会は10月14日に開催された。
まず、6月30日に通知・公表した「BS11『”自”論対論 参議院発』に関する意見」を受けて当該局から提出された対応報告書の検討を行った。委員会はこれを了承し、公表することにした。
7月6日に通知・公表した「情報バラエティー番組2番組3事案に関する意見」に応じて提出されたテレビ東京および毎日放送の対応報告書についても検討を行い、両局の対応策を了承し、公表することにした。
委員会は、9月22日、全加盟社に宛てて、「東海テレビ放送『ぴーかんテレビ』問題に関する提言」を公表した。委員会が初めて行ったこの提言に対する放送業界の反応などについて、意見交換が行われた。
そして、9月27日に通知・公表したテレビ東京の情報バラエティー番組『ありえへん∞世界』の意見書についても議論が交わされた。

議事の詳細

日時
2011年10月14日(金) 午後5時~7時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
川端委員長、吉岡委員長代行、石井委員、香山委員、是枝委員、重松委員、立花委員、服部委員、水島委員

BS11『”自”論対論 参議院発』に関する意見への対応報告書について

BS11は、委員会の意見を受けて、どのような対応や取り組みを行なったかを報告書にまとめ、委員会に提出した。
新たに専任の番組適正検証委員を置いて、番組の公平性チェックを強化し、放送基準を遵守する旨の報告があり、委員会はこれを了承して公表することとした。(対応報告書はこちら)

テレビ東京『月曜プレミア!主治医が見つかる診療所』
毎日放送『イチハチ』情報バラエティー2番組3事案に関する意見への両局の対応報告書について

テレビ東京および毎日放送は、委員会の意見を受けて、どのような対応や取り組みを行なったかを報告書にまとめ、それぞれ委員会に提出した。いずれも、意見書が指摘したインターネットを使ったリサーチ段階での留意点やバラバラの制作体制に起因する現場のコミュニュケーションギャップを埋めるための改善策などを打ち出している。
今回の意見書には、「若き制作者への手紙」が別冊として加えられたが、特徴的なことは、両局とも、意見書を受けて全社的規模で議論がなされ、その現場の声が報告書とともに「若き制作者への手紙」への「返信」という形で委員会に提出されたことである。その一部は報告書の中にも盛り込まれている。
現場での活発な議論は、自主・自律の観点から委員会が日頃より望んでいるものであり、こうした対応を高く評価し、両局からの報告を了承した。
当該局ではないものの、フジテレビも意見書を受けて、全社的に議論を重ね現場での受け止め方を文書にまとめて委員会に提出している。
また、両局の社内勉強会に参加した担当委員から感想が述べられた。

【担当委員の感想】

  • テレビ東京では、社外スタッフも含めて168名が参加したこともあって若干講義的な色彩とならざるを得なかったが、今回の意見書および「手紙」に対する関心の深さが示された。
  • 一方、毎日放送では大阪本社、東京支社のプロデューサー、ディレクターら30名ほどの参加であったが、それだけに全員が発言し、時にはスタッフ間同士での議論が白熱する場面もあって、充実した勉強会となった。

委員会では、放送局が様々な方法を模索して、現場クラスを含む真に実効性のある研修や勉強会を開くことを望む意見が多く出された。 (対応報告書はこちら)

東海テレビ『ぴーかんテレビ』問題に関する「提言」の公表について

9月22日に公表された「提言」では、全社的なレベルで放送の使命について話し合う機会を設けることや、生放送番組において不測の事態にも対応できるゆとりが確保されているかどうかを再点検することなど、4項目を挙げた。
委員会が初めて行ったこの提言は、単に東海テレビだけでなくBPO加盟全社に向けて出されたものであるため文書を各社に郵送したが、これを受けて各社がどういう取り組みを行うかを委員会として見守ることとした。(提言はこちら)

テレビ東京『ありえへん∞世界』に関する意見の通知・公表について

僻地紹介シリーズとして本年1月「南大東島」を取り上げた際、サトウキビ農家が沖縄本島に豪華な別荘を持ち、裕福な暮らしをしているなどと紹介した番組内容が事実とかけ離れ、住民の心情を害してしまったという事案。9月27日、当該局に対して委員会決定を通知し、記者会見を行った。
委員会では、公表当日のテレビニュースと報道された新聞記事をみたうえで意見交換が行われた。意見書にある「取材協力をしてくれた一般の人たちへの愛」について、委員から、取材対象者に誠心誠意向かいあうことにより、番組の向上のみならず、放送倫理違反のない放送が実現されるなどの指摘がなされた。 (決定文はこちら)

その他

■福岡の各局と検証委員会との「意見交換会」開催へ

昨年の大阪に続く2回目の意見交換会を、12月6日(火)に福岡で開催することを決めた。これは、委員会の活動について放送局の取材・制作現場の人たちに知ってもらうとともに、放送局側からも委員会に対する疑問や要望などを、率直に語ってもらおうという趣旨に基づくもの。在福のテレビ6局を中心に議論を進めるが、九州・沖縄の各局にも参加を呼びかける。

以上