第103回 放送と人権等権利に関する委員会

第103回 – 2005年8月

審理事案「喫茶店廃業報道」の審理

審理要請案件…など

審理事案「喫茶店廃業報道」の審理

兵庫県内の駅前でたこ焼き屋を営んでいた女性店主からの訴えで、申立ての概要は、「本年5月9日放送の毎日放送のニュース番組<VOICE>で、私の嫌がらせで喫茶店を潰したと放送された。喫茶店主からの一方的取材で構成された番組で、はなから私を犯罪者扱いにしている。公平な取材報道と謝罪を望む」というものです。7月の委員会で審理入りを決めたもので、今委員会から実質的な審理入りとなった。

申立人・被申立人双方から提出された「答弁書」や「反論書」「再答弁書」等に基づいて、双方の主張や言い分などについて意見を交わした結果、直接当事者から話を聞くことになり、次回9月の定例の委員会で、申立人・被申立人双方を招いてヒアリングを行うことになった。また、本事案の起草委員2名も決めた。

審理要請案件

◆「新ビジネス”うなずき屋”報道」

本事案は、保育園やベビーシッター派遣業を営む東京都内在住の39歳の男性からの申立て。  申立ての概要は、「新しい業務の一つとして、お年寄りらの話し相手になる模様を取材され、今年6月14日テレビ東京の報道番組『ガイアの夜明け』で放送された。”孤独老人相手の新ビジネス”として、<2時間うなずくだけで1万円>と断定的に描かれたが、これは事実と違う。 放送での印象が悪かったことにより、顧客からの契約解消やインターネットで誹謗中傷される等の被害に苦しんでいる。訂正放送と謝罪を求める」というもの。

当該局は「話し合いを続けたい」としていたが、男性の訴えは、放送人権委員会の苦情取り扱い基準(運営規則第5条)の諸要件を充たしていることから、委員会では本事案の審理入りを決め、男性にあらためて正式の「申立書」を、当該局に対してはそれに対する「答弁書」等の提出を求め、双方の主張を基に9月委員会から本格審理に入ることになった。

「産婦人科医院・行政指導報道」事案の総括

7月28日に通知・公表した標記事案についての総括が行われた。

各キー局のニュースにおける「委員会決定」の扱いや、「委員会決定」を掲載した新聞記事が事務局から紹介された。

また、当該局のNHKが本事案の「委員会決定」の模様を伝えたニュースのVTRも視聴した。

委員会としては後日NHKから提出される「委員会決定を受けた後の対応方や改善策」を見守ることにしている。

苦情対応状況[7月]

2005年7月の1か月間に寄せられた放送人権委員会関連の苦情の内訳は、次のとおり。

◆人権関連の苦情(10件)

  • 斡旋・審理に関連する苦情(関係人からの人権関連の苦情で、氏名・連絡先や番組名などが明らかなもの)・・・8件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない視聴者からの苦情、または、氏名・連絡先や番組名などが不明なもの)・・・2件

「判断基準2005」の編集作業について

『放送人権委員会の判断~2003』の改訂版と位置づけられる『放送人権委員会判断基準2005』の事務局案が、委員会に提出された。これは、これまで8年半の間に審理されてきた16事案25件の委員会決定の中で示された個々の判断基準を系列的にまとめたもの。事務局案では、60の判断基準が示されており、『~2003』の17判断基準と比べ、具体的基準がより詳細に摘示されている。各委員に事務局案についての検討、意見を求め、右崎正博委員に監修を依頼して編集作業を進め、10月発行を目指すことになった。

その他

事務局から東北地区の会員社との意見交換会を11月下旬に仙台で開催することを検討しているとの報告があった。最後に、次回放送人権委員会は、9月20日午後3時から開くことを決め、閉会した。

以上