第85回 放送と人権等権利に関する委員会

第85回 – 2004年2月

「国会・不規則発言編集問題」

中学校教諭修正処分報道…など

国会・不規則発言編集問題」

まず、事務局からこの1か月間の経緯が報告された。内容は、「テレビ朝日と藤井議員との間で話し合いはなかった。事務局に藤井議員の代理人弁護士から『もう信頼関係が崩れているので話し合いは無理。審理を要望したい』との意思表示があった。この点をテレビ朝日に伝えたところ,答弁書を提出する旨の回答があり、2月17日に答弁書が提出された」

これを受けて委員会は、両者の話し合いは相容れない状況になっていることが確認されたとして審理入りする事を決めた。次回委員会では、当該番組等のビデオ再視聴や、論点について意見を交わすなど本格的な審理を行うことにした。

中学校教諭修正処分報道

双方から反論書・再答弁書など双方の文書が出揃い、事務局が主な論点について以下のように説明した。

申立人は、「自分の主張が全く取り上げられず、また裁決を曲解し予断と偏見に満ちた報道で名誉が毀損され、職場復帰が妨げられる恐れがある。 誤って報道した部分について取り消し放送をし、その旨を処分者である教育委員会などに文書で提出せよ」と要求している。

これに対して被申立人の北海道文化放送(UHB)は、「本質的に本件報道が申立人の名誉毀損や人権侵害に当るとは考えていない。申立人が指摘した部分については、教育委員会の再審請求が却下されたニュースを扱った12月の放送でほとんど修正できたと考える」と答えている。

更に申立人は反論書で「放送内容は新聞のラテ欄とホームページ等からして、セクハラ教師と印象付けたことは明らかだ。リポーターが学校の建物前でコメントしており、学校が特定出来てしまう。女性キャスターのコメント『やっていることも処分も許しがたい気がしますね』、『被害者の心の傷が癒えないまま,あと半年でこの教諭は教壇に戻ってきます』等が職場復帰を許さないという局の決意表明だ」などと主張。

これに対しUHBは、再答弁書で「新聞ラテ欄やホームページと放送内容は矛盾していない。建物をぼかして特定できないようにしている。停職6か月の処分は確定しており、匿名を前提に教師としてあるまじき行為と論評することは報道の範囲内である。女性キャスターのコメントは女性の観点から意見を述べているもので、女性の感想なり意見を封殺するつもりはない。市民の知る権利に答える企画であった」と主張している。

事務局からの説明を受けて、審理に入ったが、各委員の判断を明確化するまでには至らなかった。そこで事務局が問題点を整理した一覧を各委員に送り判断を求め、その結果を踏まえて起草委員の選任を委員長一任とした。また次回委員会では双方を招いてヒアリングを行うことになった。

テレビ山口からの「改善策」報告

民放連加盟各社はBPO発足に当り「BPO各委員会から問題を指摘された場合、具体的な改善策を含めた取り組み状況を3か月以内に委員会に報告し、委員会が報告に対して意見を述べ、BPOが報告と意見を公表することを了承する」との申し合わせをしている。これに基づき昨年12月の「山口県議選事前報道」の委員会決定を受けたテレビ山口から報告書が提出された。

事務局から報告書内容について説明を受けて議論した。その結果委員会は報告書内容を高く評価することで一致した。その旨を文書でテレビ山口に通知するとともにBPO報告にも掲載することを確認した。

検討案件

前回「放送人権委員会運営規則」について議論した内容を事務局が整理し、その内容を確認した。

委員会の考え方を理事会に提案し検討してもらう。

苦情対応

◆人権関連の苦情〔22件〕

  • 斡旋・審理に関連する苦情(関係人からの人権関連の苦情で、氏名や連絡先 番組名などが明らかなもの)・・・10件
  • 人権一般の苦情 (人権関連だが、関係人・当事者ではない視聴者からの苦情、または、氏名・連絡先や番組名などが不明なもの)・・・12件

◆その他、放送人権委員会への問い合わせなど・・・2件

この中で以下の苦情への対応を事務局が報告した。

  • 「自分は欠陥住宅とは判断していない」との苦情・・・今年度7件目の斡旋解決
    双方がようやく直接会って話し合った結果、欠陥住宅についての認識の差異があり、事前にその溝を埋めておくべきだったことを双方が確認、局側が今後の企画に協力要請を約束して解決した。
  • 「幼稚園児インタビュー番組」への苦情の申立て
    『お父さん、お母さんにやめてほしいこと何だ』という質問に幼稚園児の娘が『お父さんとお母さんの喧嘩。お父さんが叩くの。(お母さんは?)泣いた』と答えそのまま実名入りで放送された親から苦情申立てがあった。
    放送局側は「すでにお詫びの文書を出しており、これ以上話し合いは出来ないので放送人権委員会で判断してほしい」とビデオを送ってきた。
    ビデオを視聴し意見を交わした結果、「もう少し話し合って欲しい」と当該局に伝えることになった。

その他

事務局から「放送人権委員会運営規則については理事会で議論する予定で,その結果は次回の委員会で報告すること、また1月25日の東京新聞の記事に対してBPOが抗議したこと」などの報告があった。

最後に次回3月16日の委員会はヒアリングを行うので1時間早め午後3時開始を決めて議事を終了した。

以上