第100回 放送と青少年に関する委員会

第100回 – 2009年4月

委員長・副委員長選任

視聴者意見について

4月28日に開催した今年度第1回青少年委員会(通算100回)では、委員長および副委員長の選任を行ったほか、3月14日~4月18日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に、事前にVTR視聴したバラエティー2本、情報番組1本について審議した。

議事の詳細

日時
2009年4月28日(火) 午後4時30分~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

委員長・副委員長選任

任期満了により3月末に退任した大日向雅美前委員長、橋元良明前副委員長、是永論前委員、山田由紀子前委員の後任として、加藤理委員、汐見稔幸委員、萩原滋委員、渡邊淳子委員を紹介した。後任の委員長には、委員の互選の結果、汐見委員を選出、副委員長には汐見委員長の指名により境真理子委員が就任した。
この後、新体制のスタートに伴う委員会冒頭の撮影取材が行われた。

視聴者意見について

1.フジテレビ『めちゃ2イケてるッ!「笑って笑って景気回復DGやねんスペシャル!!」』

タレントに頭からビニール袋を被せるなどしたコーナーについて「大変危険だ。子どもが真似をして事故が起きかねない」といった意見が寄せられ、VTRを視聴のうえ審議し、委員から以下の意見が出された。

<委員の主な意見>

  • 2月の委員会でも、同番組のビニール袋を被せるシーンが議題になり、危険性や子どもへの影響を指摘している。現場に伝わっていないのではないか。
  • ビニール袋は子どもにとっても身近な存在で、真似をする危険性が高い。それを軽々しく扱ったことは問題だ。
  • 番組全体の流れを考えても、あのようないたずらをやる意味がわからない。
  • 本番組はPTAの「見せたくない番組」にも選ばれているが、逆に言えば子どもがよく見ているということ。影響力は大きい。

以上の意見等を踏まえて、委員会としては、(1)番組のコンセプト及びいじめ的な行為を仕掛ける意図、(2)「とりわけ児童の視聴に十分配慮する」時間帯に放送されているが、子ども達が真似するとの危惧はなかったか、(3)本番組については、今年2月の委員会でも頭からビニール袋を被せたりするコーナーについて議題になり前々回の議事概要に意見を掲載している。これらの意見は制作現場に反映されているか、また、具体的にどのような議論を経て放送に至ったか、(4)青少年委員会では、2000年11月に『バラエティー系番組に対する見解』を、さらに2007年10月に『「出演者の心身に加えられる暴力」に関する見解』を公表しているが、これらの見解は制作現場にどのように浸透し、制作者はどう受け止めているか、について回答を求めることになった。
上記番組の「局からの回答」に対しては、次回委員会で審議のうえ報告することになった。

2.日本テレビ『スッキリ!!』

“先生を流産させる会”を取り上げた際のコメンテーターによる「どこの学校でも多少はある。わざわざ騒ぎたてるほどのことでない」との発言に対し、「生命を軽視している」「制作者の倫理観を疑う」といった意見が寄せられ、VTRを視聴のうえ審議し、委員から以下の意見が出された。

<委員の主な意見>

  • 社会全体で見れば多くある出来事と言いたかったのだろうが、視聴者に対しては一方通行。コメンテーターおよび制作者はそこを理解する必要がある。
  • 命に関わる問題なのに取り上げる時間が短く、あまりに簡単なコメントの投げ捨てになっている。番組作りとして問題ではないか。
  • 生徒から先生に対する愛情の裏返しといった側面もあったのかもしれないが、この報道では伝わってこない。

委員会では審議の結果、命に関わる問題であるため、より多角的に取り上げるべき旨を局側に伝えることとした。

3.日本テレビ『所さんの目がテン!』

うさぎがペットに適するかどうかを判定するための実験と称し、ライオンの檻の隣に置いたり、リモコンカーで追い立てて走らせるなどした企画に対し、「動物虐待ではないか。ひどすぎる」「うさぎは恐怖やショックで死ぬこともあることを知っているのか」といった意見が寄せられ、VTRを視聴のうえ審議した結果、委員から以下の意見が出された。

<委員の主な意見>

  • うさぎのペットとしての適性を検証するにあたって、なぜライオンが必要なのか。
  • 本番組は「青少年に見てもらいたい番組」に選定されている。面白く、ためになる番組だけに、今回の企画は残念だ。
  • 視聴者の感覚により、その評価の違いもある。あくまで実験としてなら、許容できる人も多いのではないか。

委員会では審議の結果、必ずしもライオンの隣に置くなどの実験は必要なかったのではないか、との意見を局側に伝えることとした。

中学生モニター報告

4月は、ひと月ほどの間に見た番組について自由に書いてもらったが、31人の新モニター全員から39件(1人で複数件の報告有)の意見が寄せられた。
分野別に分けると、ドラマ番組が一番多く12件、次にバラエティー番組が11件、報道・情報系番組が6件、教養・教育系番組が4件、音楽番組が2件、スポーツ番組とラジオ番組が1件ずつだった。
局別では、TBS系が12件、日本テレビ系が6件、フジテレビ系が5件、NHKとテレビ朝日系が4件ずつ、テレビ東京系が2件、東京メトロポリタンテレビ・北海道テレビ・東名阪ネット6という地方局の共同制作・ニッポン放送が1件ずつだった。

・ドラマ番組

11番組に意見が寄せられたが2件意見があったのは『DOOR TO DOOR』で、「出演者の魅力が出ている。現実的で脳性まひの事が良く分かった。印象が強いドラマ」、「人って人に支えてもらっていると感じた。とてもいいドラマ、再放希望」などと、いずれも好評意見だった。
他に『スマイル』には「今の社会問題を取り上げたいいドラマ」、『夫婦道』には「スタンダードでありふれたコミカルなドラマは、ワンクールに1つくらいあって良い」、『おちゃべり』には「良い発想。演者の表情がいい」、『BOSS』には「個性豊かな出演者がドラマに引きつけてくれた」などと、好評意見が寄せられた。
一方『アイシテル』には「子供が子供を殺すなんて想像できない。ちょっと刺激が強い」、『イケ麺そば屋探偵』には「意味不明なドラマ。携帯で実況中継風に出演者の裏話などを紹介するWモニター方式を使っているが、パケット代がかかる。お金のかからない方法があれば」、『ゴットハンド輝』には「リアリティーを感じない。僕が期待していたような医療ドラマではなかった」、『絶対彼氏-最終章』には「最終回を見ていなかったので、少しでも流して欲しかった」、などの批判意見があった。

・バラエティー番組

2番組に2件ずつ意見があった。『世界の果てまでイッテQ!SP』は「とてもおもしろかった。男3人がアメリカの丸太祭りに挑戦したのが印象に残った」、「珍獣ハンター・イモトはすごい」などと概ね好評だった。また『春のオールスター感謝祭2009』には「今後放送するドラマのキャストが出演したり、昨年活躍した人も出るので年の流行が良く分かる。体中ローションをつけて相撲をするのが面白い」、「けが人を出しているにもかかわらず、ヌルヌル相撲をやっていた。なぜ改めないのか」と賛否に分かれた対照的な意見が寄せられた。
そして『ネプリーグ』には「そろそろレギュラー交代を。書き取りより読み方を。歴史や理科の出題も」という、かなり否定的な意見が寄せられた。

・報道・情報系番組

始まったばかりの2番組、『追跡!AtoZ』と『総力報道 THE・NEWS』には、「臨場感にあふれニュースが良く分かった」、「読むニュースを増やして欲しい。NHKに負けないニュース番組に成長して欲しい」など、それぞれ励ましの意見があった。
他には『めざましテレビ』に「内容が濃くなり分かりやすくなった。さらに視聴者とのつながりを深めて欲しい」、東京ローカルの『5時に夢中』にも「コメンテーターの自由さが良い。たまに失言まがいの発言があるのは注意が必要」と好意的な意見が寄せられた。

・教養・教育系番組

『知る薬・歴史眠らず県境の謎』に「地名や境目が地域住民の歴史や意識に左右されると知った。おもしろかった」、『地球便』に「世界は広くて外国で頑張っている日本人もいっぱいいるということが分かる。いつも最後の両親からの手紙で泣いてしまう」、『決着!歴史ミステリー』に「歴史の深みやおもしろみを感じる」、『新説!?日本ミステリー』に「歴史の裏などを調査するのはとても良い」など、概ね好評意見が寄せられた。

・その他の番組

他には『うたばん』に「日曜日に変わったが、これまで通り司会者の面白さを出していけばムリにファミリー的でなくてもよい」、ラジオ番組『誠のサイキック青年団』に「番組が無くなってしまい残念。どこが不適切な発言か分からない。何事も隠さず情報を伝え合う事ができるようになってほしい」などの意見が寄せられた。

5月のモニター報告は、バラエティー番組について、ふだんから感じている率直な意見を寄せてもらう。

2009年3月に視聴者から寄せられた意見

2009年3月に視聴者から寄せられた意見

「小沢献金疑惑」報道に関する意見、WBC決勝に向けての応援FAX報道に関する意見、総理の講演会報道に関する意見、番組キャスターによる中川前大臣批判報道に対する意見などがあった。

3月に電話・ファクシミリ・郵便やBPOのホームページ経由でBPOへ寄せられた意見は2,880件で、2月と比較し1,628件増加した。意見のアクセス方法の割合は、Eメール80%、電話18%、ファクシミリ1%、郵送ほか1%。男女別は男性73%、女性25%、不明2%。世代別では30歳代38%、40歳代21%、20歳代19%、50歳代8%、60歳以上6%、10歳代3%となっている。

2009年3月に視聴者から寄せられた意見 2,880件

BPOに寄せられた意見内訳

意見分類 2009年3月件数 年度累計
人権等に関する意見 5 件 79 件
放送と青少年に関する意見 104 件 [ 意見内容 ] 1,498 件
放送番組全般にわたる意見 1,751 件 [ 意見内容 ] 8,765 件
BPOに関する意見・問い合わせ 86 件 736 件
その他(放送関連以外) 934 件 4,845 件
意見件数 計 2,880 件 15,923 件

視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは当該局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。3月通知数は1,715件(40局)であった。またこの他に、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、23件を全加盟社・局に送信している。

意見概要

人権等に関する苦情

3月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情の内訳は次のとおり。

  • 人権に関する審理・斡旋の要請・・・・・・・ 5件
    (個人又は直接の関係人からの要請)
  • 人権一般の苦情や批判・・・・・・・ 149件
    (人権問題、報道被害、差別的表現など一般視聴者からの苦情や批判)

番組全般にわたる意見

【情報ワイド・バラエティー番組】関連3,673件 前月比2,355件の増加
意見の傾向  “指摘事項”  (件数)

  • “不適切な内容、不適格な出演者”(2,216件)
  • “低俗・下品な番組”(807件)
  • “倫理観欠如、局の責任”など(650件)

【報道・情報番組】関連2,857件 前月比1,694件の増加

  • “取材・報道のあり方・批判”(1,810件)
  • “報道の公平・公正性と内容批判”(765件)
  • “放送の影響と公共性、メディアの規制、言論・報道の自由”など(282件)

*【情報ワイド・バラエティー番組】と【報道・情報番組】 の意見合計数が意見総数を超えているが、これは1件の意見に複数の指摘項目が含まれているためである。

3月の視聴者意見の大きな傾向だが、まず、アクセス方法としてメールによる意見投稿が非常に増えたこと、そして内容としてニュース・報道番組、情報系番組での政治報道についての意見が多かったことが挙げられる。主だったところでは、「小沢献金疑惑」報道に関する意見、WBC決勝に向けての応援FAX報道に関する意見、総理の講演会報道に関する意見、番組キャスターによる中川前大臣批判報道に対する意見などである。特に、与野党の報道について「公平・公正」でない、「偏向している」という意見が多数あった。また、不法滞在のフィリピン人家族報道についての意見も多かった。スポーツではWBCの報道についての意見があったが、バラエティー番組への意見は少なく、お笑い番組やドラマへの意見も少なかった。内容としては、どこの局も同じ出演者、同じ企画の番組が多過ぎる。独自性を出すべきという意見が多かった。なお、放送局の応対・対応に関する意見・苦情は、先月よりだいぶ少なくなった。

青少年に関する意見

放送と青少年に関する委員会に寄せられた意見は104件で今年になってからの意見数はほとんど変わらない。
今月も低俗・モラルは多いが、CMに関する意見が30件と増えた。その半数がパチンコCMに対する苦情だった。

BPOに関する意見

BPOへの意見51件、問合せ35件となっている。「意見・問合せ」以外にBPOについて触れた意見は371件であった。

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 最近の情報番組やニュース番組を見ていると、誤解を招く発言があった場合や、間違った情報を放送した場合に、謝罪をするのがアナウンサーということが多いようです。言い間違えたりしたのがアナウンサーの場合であれば当たり前ですが、その間違った情報を選んだのが番組の責任者という場合には、その責任者に謝らせるべきだと思います。番組を子供と一緒に見ていて、「アナウンサーが間違った訳ではないのに、どうして謝っているのか?」と聞かれ、すぐには答えられませんでした。間違った情報を放送してしまった場合には、アナウンサーだけではなく、番組責任者を始め、係わったスタッフが出演して謝罪すべきです。そうする方が、視聴者が見ても「ちゃんと謝罪している」と思えますし、誠意を感じることが出来ると思います。
  • 民主党の「小沢献金疑惑」について同党の鳩山幹事長や山岡国対委員長が記者の質問に答えて「これは国策捜査だ」「政権政党の陰謀だ」などと発言していたが、その発言の根拠や裏づけを質す記者は、テレビのニュースを見ている限りではいなかった。しかし、この点は、国民としては大いに知りたいところであり、それを引き出せなかった各社の記者たちのお粗末な取材に失望した。記者には、国民を納得させる、つまり国民が知りたいと思っていることを的確に伝える、そういう取材を望んでいる。
  • 最近のテレビの報道番組の内容、特に政治に関する報道の内容に非常に不満がある。麻生政権と自民党について、視聴者に偏った認識を与えるような報道が多い。また、民主党に極めて有利な報道を流しているような気がする。麻生政権のこれまでの景気対策の議論や、成立した政策に関する報道が少ない。一方、民主党のまるで的外れな審議内容の一部を切り取って放送したり、今回の「小沢献金疑惑」については国民の様子を伺うような報道をしている。事件性が大きいにも拘らず、小沢代表の責任についてはほとんど言及しない番組が多い。「第7艦隊」「拉致は金で」などの様々な問題発言についてもほとんど報道されない。報道機関としての公平性をもっと認識していただきたい。
  • 第2次補正予算が可決成立し「定額給付金」の支給が決まったが、各局の報道番組は”給付金支給”を喜ぶ一般の人達にインタビューして使い道を尋ねる等、まるでお祭り騒ぎのような伝え方をしている。しかし「定額給付金」が所得税の対象になるか否かはまだ決まっておらず、その点が気がかりな人も少なくない。もしも「定額給付金」が課税対象になると、年間所得が課税対象額に満たない範囲で限度ギリギリ一杯に働いている人の場合、所得全体が非課税のラインを超えてしまい却って損をすることがあるからだ。ところが、その点を伝える報道番組は今のところないようだ。各テレビ局は浮かれて騒ぐ場合ではない。「課税対象になるかどうか」についてどのような議論がなされているのかを、きちんと報道すべきだ。
  • ニュース報道で悲惨なひき逃げ事件が頻繁に伝えられているが、事件を伝える報道姿勢に問題があると思う。司会者・アナウンサーがいるにも拘らず、わざわざナレーターが抑揚を付けて事件を伝える。同時にBGMまで付けて放送している。このような報道手法により、本当は悲惨なひき逃げ事件が、何か「軽い犯罪」であるかのような印象に変わってしまう。これがひき逃げ事件が続発する原因の一つになっているのではないかと思っている。ひき逃げ事件の報道は、声や音楽で加工などせず、事実だけを伝えるべきである。
  • 不法滞在のフィリピン人カルデロン一家を擁護する報道が続いている。最高裁で判決が出たにも拘らず、それを否定するかのような報道姿勢に疑問を感じる。また、最近になってカルデロン・のり子さんが卒業した小学校が「滞在許可」を求めて署名運動をしたとの報道があったので、私はその小学校に電話をして事実を確認した。すると、その小学校の校長は「そのようなことは強要していないし、署名にも協力していない」と言っていた。署名運動は局や弁護団、民間の団体が行っているようだ。なぜ法を犯して滞在している人物に対してそこまで擁護する報道をするのか理解できない。法律を曲げるような報道はどうかと思う。また、カルデロン・のり子さんが同級生と一緒に映っている映像がテレビで放送され、同級生の女の子の名前まで表示されていたが、治安の良くない社会で、個人の名前や映像を出すことはその少女を危険に晒すことになるのではないかと不安を感じた。
  • テレビ報道では決まって金賢姫さんの事を「元死刑囚」と言って放送するが、これは少し気の毒ではないだろうか。元韓国の大統領・金大中氏も死刑判決を受けた人だ。この金大中氏に対してメディアは「元死刑囚」という呼び方をしただろうか。これでは完全なる差別であり、金賢姫さんに対しての人権侵害に当たると思う。言い換えれば、刑務所から出てきた人に対して「元犯罪者」と呼んでいるのと同じ事だと思う。メディアが差別や人権侵害を犯すなど、とんでもない事だ。
  • 「”振り込め詐欺”犯の実態に迫る」という企画で、番組スタッフの一人が「犯行に使う携帯電話を購入するアルバイト」の応募者を装い、詐欺グループに潜り込んで取材していた。しかし、その模様を伝える映像で、犯行グループのメンバーの顔には全てモザイクが掛かっていた。何故そうまでして犯罪者の人権を守るのか?私には全く理解できない。これとは逆に、数年前の奈良の「騒音おばさん」事件では、彼女は極く限られた範囲の人達に迷惑を掛けただけなのに、モザイク無しの映像を流された結果、全国に顔を知られるところとなった。「振り込め詐欺」の方が「騒音」よりも遥かに重大な犯罪である。それを扱うテレビ局として、モザイク無しで放送する位の覚悟が無くては困る。いくら体を張った潜入取材を敢行しようと、放送する時にモザイクで一部を隠すのでは意味がない。
  • 複数の民放局のニュース・情報番組で、新聞記事をただ読んで伝えるだけのコーナーがあります。この1~2年でずいぶん増えたと思います。この新聞記事の内容について、テレビ側で詳細を調査したり検証を加えたというなら分かりますが、「他メディアの発信した情報をただ読んで伝えるだけ」というのはどうかと思います。例えば、欧米ではテレビと新聞で相互に監視・批判をし合う関係があり、偏った報道を抑制し、個々に特性を持ったメディアとしての存在意義を視聴者・読者に提示しています。しかし、日本のようにテレビも新聞も内容が同じでは、独自性やメディア間の正常な競合関係も保てないと思います。予算の問題等があるのかも知れませんが、テレビ独自の取材や調査による放送を希望します。
  • 麻生首相の「株屋」発言に対する報道についてだが、首相の発言の一部分だけを切り取って報道するのはいい加減止めて頂きたい。この発言は証券会社社長の発言に対する賛同の発言であり、また一般庶民の証券会社に対する印象を代弁したものだということが、議事録を見れば誰でも分かる。このように、発言を意図的に編集する行為は情報に対する信頼性を低下させ、マスコミ自身に対する信用をも低下させることを自覚すべきだ。また「株屋」なる単語が証券会社を見下した旨の報道もされているが、「株屋」は一般社会でも使われる言語であり、なぜ「株屋」が差別用語になるのか全く理解できない。マスコミの中では「株屋」は差別用語に定義されているのかも知れないが、それはマスコミの中だけである。そのような内輪だけでの規制を一般社会に持ち込んでもらいたくない。

【不適切・低俗な表現や発言、モラルの低下、局の姿勢】

  • 過去の大事件・大事故の報道映像が見られると思っていたが、番組では事件・事故の被害者に対して無遠慮にテレビカメラやマイクを向ける無神経な映像や、警察や消防が救助作業をしている真横で、現場の中にまでアナウンサーやリポーターが入っていく姿が放送された。中でも、航空機事故の生存者である少女の顔をモザイクなしでそのまま放送するテレビ局の報道姿勢に呆れ返った。現在は大人になっている彼女にとって、この事件は思い出したくないものだろう。写真が晒されることによって、今の彼女の生活に支障が出る可能性もある。また、この事故で亡くなった方の遺族が見ているかも知れないのに、番組では事故の悲惨さを語るどころか自分たちがスクープをとった経緯の自慢話に終始していた。時には笑顔や半笑いで当時の思い出を話す彼らの姿を見て、不快感を覚えた。
  • あるお笑い芸人が、上半身はセーラー服姿、下半身はショーツ形の女性用生理用品一枚のみを身につけた姿でカメラの前で踊っていた。嫌悪感で吐きそうになった。女性視聴者に対する無差別なセクハラではないか。この芸人も問題だが、このような映像を平気で放送するテレビ局の番組制作者の倫理観を問いたい。
  • たまたまこのラジオ番組を聞いたところ、パーソナリティーの男性らが卑猥な話を展開していた。内容は男性器や女性器に関する興味本位のいやらしいトークだった。何と低次元で下品な放送局なのか?このようなものを放送して平気でいられる社長の顔が見てみたい。
  • 「知的障害のある子供達への性教育に介入したとして、都と都議に賠償命令の判決」というニュースの中で、「胸におっぱい、お腹におへそ、おへその下にワギナだよ」という歌が流れ、これに合わせて裸の人形が映しだされた。こんな露骨なものを放送してもいいのか。テレビなら何をやっても許されるというのか。
  • 家電量販店でかくれんぼをするという企画。見つかった芸人は「牢屋」という部屋に入れられる。1人見つかるごとに水・お湯・色のついた水・タランチュラ・砂・墨汁などをかけられる。一種の罰ゲームなのだがあまりにもひどい内容だった。とくに、水浸しの状態で頭から砂や墨汁をかけるというのは見ていて痛々しかった。バラエティーなら何でもありなのか?ふざけた番組作りをするのもいい加減にしたらどうか。民放各局は放送局が果たすべき役割を何と考えているのか。
  • 新聞の記事を紹介するコーナーで、麻生総理を貶めるような記事を紹介していた。その内容は「麻生総理が『みかじめ』という言葉を使用したが、これは暴力団が地域の飲食店などで用心棒代として受け取る金のことである。このような暴力団言葉を一国の総理が平気で発言するのは問題である」というものであった。コメンテーターが「日本という国自体が暴力団まがいの組織と思われかねない。言葉をもっと大事にするという意味で、まわりも進言してあげて欲しい」と発言した。しかし、「みかじめ」という言葉を辞書で調べると「管理監督すること、後見をすること」とあり、決して暴力団用語ではない。氏が本来の意味を知っていながらこのような発言をしたのであれば、麻生総理を貶める悪質な印象操作の意図を感じる。もし、知らなかったのであれば「言葉をもっと大事にする」などといって欲しくない。最近の報道は麻生総理の言葉尻をとらえて叩く悪質なものばかりのように感じるが、品位のある放送を心がけて欲しいものだ。
  • 東京マラソンの生中継にタレントの男性が心肺停止で倒れた。しかし、番組では彼の安否を心配するコメントが何処にも無く”能天気”な放送をしていた。実況を担当したアナウンサーや放送局のモラルを疑います。出演メンバーもバカ騒ぎをするだけで、番組の品位を疑いました。
  • 3月9日、正確に言うと3月10日未明の放送だったが、民放ラジオの深夜番組のパーソナリティーが「今日は東京大空襲の記念日です」と言った。「空襲」という悲惨極まりない出来事に対して「記念日」という晴れがましい響きを持つ言葉は相応しくないと思う。私は「記念日」と聞いた時、反射的に違和感を覚えた。もし、東京大空襲で家族を失った人達が聞いていたなら、その人達の耳にはどのように響いただろうか?

【番組全般、その他】

  • 歴史解説番組であるが、学校で教わった日本史や世 界史をより深く理解できる内容であり、歴史の紹介と共に現代との共通点や相違点なども紹介しているので、毎回楽しみにしている。「源氏物語」を取り上げた時も、その美しい映像や美しい文章の紹介などにとても驚いたが、昨日の「世界恐慌」もとても分かりやすくて、楽しく見ることができた。乱暴な政治批判などは全くなく、「日本には当時何があって、どのようにして世界恐慌を乗り切ったのか」を時系列で、しかも世界情勢と対比しながら放送していたのでより理解が深まった。最後のメッセージも私たちを元気づけるようなものだったので、「頑張ろう!」と素直に思えた。過去の歴史を学ぶことにより、将来「どう防ぐか」「どう乗り切るか」を学ぶことが出来た。とても考えさせられる番組だった。
  • 私は脊髄小脳変成症という病気のためサングラスを手放すことができず、今では体の一部となっている。晴れの日よりも曇天の日のほうが瞳孔が開いてまぶしいので、日が落ちてからの外出時にもサングラスを手放せない。そこでお願いだが、ラジオで「サングラスをかけている人は怖い人」と言わんばかりの放送をすることがあるが、サングラスをかけている人すべてを一括りにするのは止めて欲しい。また身体障害者をニート扱いする発言も目立つが、身体障害者が一般の会社に勤めるということは、放送局の人たちが考えているよりはるかに困難なことなのである。私には一般会社で働けるような能力はもうない。ラジオを聴きながらずっと我慢をしていたが、「メールが打てる力が残っているうちに」と思い連絡をした。今では外部の人とのコミュニケーション手段はメールかFAX、筆談だけだが、こういう人間の意見も聞いて欲しい。
  • 私は3ヵ月前に白内障で目が見えなくなった。そのため、テレビでは音声だけで情報を聞いている。先ごろ、アメリカではオバマ氏が大統領に就任し大々的に報道されていた。放送ではオバマ氏の肉声が流れたが、私は英語が分からないので主人に和訳した字幕を読んでもらっていた。しかし主人は字幕のスピードが早すぎて読みきれず、結局、私はオバマ氏の発言内容がよく分からなかった。アメリカと日本の関係は大事なことなので、正しい情報を知りたいと思っていた。できる事ならば、外国人の発言は翻訳したものを字幕で流すだけでなく、アナウンサーが読み上げる形も取って欲しいと思う。
  • 「ジェンダー」に関する話題になると決まって元・大学教授の女性が大声を張り上げて女性の権利拡大を訴える。しかし、彼女のように人の意見には耳を貸さずに自己主張ばかりを繰り返すことが、「女性の人権」に対する一般の人たちの意識を高めるとは思えない。態度にも品性が感じられないし、居並ぶ男性陣の主張を打ち砕こうとばかり考えてわめいているが、そのことが「女性」に対する評価を下げ、世の中の女性達に不利益をもたらしていると感じている。
  • 最近は、お笑い芸人出演のバラエティー番組やクイズ番組が多く、どの局を見ても全く同じと言っても過言ではない。このようなテレビが「面白い」と言えるのだろうか?まるで、番組制作をお笑い芸人の会社に丸投げしているかのように感じる。私の親の年代である60~70代の人たちも、私の後輩である40代~30代の人たちも、皆が同様に「あまりテレビを見なくなった」と言っている。「お笑い・バラエティー番組」だけでなく、海外のテレビ映画・洋画・邦画を放送したり、歌番組や報道番組にしても、各局が独自性のある番組を企画していただきたい。このままだとテレビの衰退は目前に来ているように感じる。本当に最近のテレビは面白くない。特にお笑い芸人の出演するバラエティー番組は見ないようにしている。
  • 定額給付金の支給が始まった青森県のある村の様子が紹介された。記者の質問に対し、お年寄りが「給付金を頂けて本当にありがたい。まず仏壇に供える」と笑顔で答えていた。コメンテーターが「税金で賄われているのに”ありがたい”とはおかしい。単純に喜ぶようなことではない」と厳しく批判すると、キャスターも「ホント、そうですよねえ」と同調していた。しかし、お年寄りが給付金を受け取って、素直に喜びを表すことのどこがいけないのか?地方在住の高齢者を見下し、さも「無知で単純」と馬鹿にするようなコメンテーターやキャスターの態度が非常に不快だった。視聴者センターに電話をしたが「担当者に伝える」と答えるのみだった。再び電話をところ、「応対業務の責任者」と称する男性が出て一方的にまくし立てた上、こちらの話を聞こうともせずに電話を切った。このように視聴者をあからさまに軽視した態度に怒りが収まらない。
  • 「大都会の精神科救急24時」で精神科治療のための「電気ショック療法」を紹介していたが、このような内容の番組は放送時間帯を考慮するべきである。重度の精神障害者である男性の頭に院長が装置を付けて電気ショック療法をしていたが、見ていて気分が悪くなり食事も喉を通らなくなった。このような療法があることを番組で初めて知ったが、放送後に「電気ショックによる治療法は、痙攣などの副作用を伴うこともある」ことを友人から教えられて驚いた。一般家庭の夕食時間に、このような内容をドキュメンタリーとして放送するテレビ局の神経が理解できない。
  • ペット用として人気があり、愛くるしい姿でテレビCMなどにも登場したウーパールーパーを「食用」として紹介していた。現在、ウーパールーパーは絶滅危惧種としてワシントン条約でメキシコからの輸出が禁止されている。日本のペットショップなどで販売されているウーパールーパーはこの条約締結以前に輸入された固体を国内で繁殖させたもので、販売するのは違法ではない。番組では女性キャスターが食用としてウーパールーパーを販売している富山市の会社を訪ね、まず、から揚げを試食し「これアナゴ?」「淡白で塩がきいていておいしい!」とコメントしていた。その後、持ち帰ったウーパールーパーを東京・新宿のメキシコ料理店に持ち込み「トマト煮込みタコス」として調理してもらい美味しそうに食べていた。しかし、ペット用に飼育されたウーパールーパーを殺して食べるなんてあり得ない話だ。もし、この取材がなければ、殺されて食べられてしまったウーパールーパーは現在もどこかで愛嬌を振りまいているはずだ。人間の傲慢さを象徴した報道であった。
  • ローマ・エジプトなどの古代文明や近代中国のミステリーを中心とした歴史特別シリーズを放送していた。しかし、その内容は1~2カ月前に同じテレビ系列で放送された別の番組の内容とほぼ同じものだった。私がその時興味深く見ていた古代遺跡の場面等が、そのまますべて今回の番組に使われていた。制作費の節約の為なのか知らないが、「再放送」と断るならともかく、今回のような「番組の使い回し」をするのは視聴者を馬鹿にしていると思う。視聴した局に電話をして「なぜ”再放送”と断らないのか?」と尋ねたところ、「”内容の構成”が違うので”再放送”には当たらない」と言われた。姑息な手法をとるのは止めた方がよい。
  • 早朝のワイドショーで政府の景気対策の話があったのですが、「子育て応援特別手当」の周知が立ち遅れていることや、これに不公平感を抱いている人がいることなど、なぜかマイナス面ばかりを強調しているのが気になりました。この手当金のことを知らない人が多い理由は、この番組も含め、テレビの報道番組が「定額給付金」だけを大きく取り上げ、他の景気対策のことは全くと言っていいほど報道しなかったことが原因なのではないでしょうか?自分達の怠慢を棚に上げているように感じました。また、「第2子の出生日によっては手当て支給の対象から外れる家庭がある」ということで不満に思う方の意見が紹介されていましたが、もらえなくて不満な人の意見だけが放送され、受給した人の意見がなかったのが変に思いました。テレビでは「定額給付金」と「高速道路料金」だけを勝手に”景気対策の目玉”と言っていますが、他にも「住宅減税」や「妊婦検診の無料化」のような庶民の生活に密着したものがいろいろあるのですから、ちゃんと報道してもらいたいと思います。自治体の広報や政府のHPを探して読まないと何も分からないので、イライラしています。
  • 女子アナウンサーから「先週の放送での不適切な発言に対するお詫び」がありましたが、これでは「何が不適切発言」だったのかが視聴者には分かりません。これ自体が全く”不適切な発言”です。おそらく、評論家がある人を確固とした証拠もないのに罪人であるかのような発言をした件だと思いますが、これではその人の名誉も回復されませんし、発言した本人が責任をとることにもなりません。一般社会では本人なり上司なりが謝罪するのが当たり前です。この番組はコメンテーターが自由に発言するスタイルなので、コメンテーター本人が謝罪するのが妥当だと思います。
  • お笑いタレントたちが政治を茶化したり、笑いの種にしたり、軽蔑したりする番組が数多いが、これらの番組が国民の政治不信を助長し、同時に政治家や日本の政治そのものを堕落させているのだと思う。政治問題を扱う番組は、専門家や有識者を招いて真面目な姿勢でオーソドックスな作り方をするべきだ。
  • 高速道路料金値下げに関する話題で、割引対象がETCだけであることについて、出演者の経済評論家が「国土交通省のETC担当者の陰謀である」「民主党が政権を取ると高速道路は無料にすると言っているのでETCは要らなくなる」と発言していた。しかしながら民主党の2007年のマニフェストによると「高速道路は一部大都市を除いて無料とします」と明記されており、民主党のマニュフェストが実現された場合でもすべての高速道路が無料化されるわけではなく、ETCが不要になるわけではないと思います。民主党の政策を誤った形で報道することは有権者への誤解を招く行為であり、また具体的な根拠を示すことなく「陰謀」という軽率な発言をするのは厳に慎むべきです。
  • キャスターが「小学五年生の女の子から『明日WBCの決勝で日本が勝ったら、マウンドに日本と韓国の旗を両方立てて下さい』というFAXが来た」と発言しました。しかし、野球のマウンドといえども旗を立てる行為は開催国に対して大変失礼にあたります。また、マウンドは野球選手にとってもファンにとっても神聖な場所なのです。安易な賛同に違和感を覚えました。
  • 最近、情報系バラエティー番組やクイズ番組などで、観客の笑い声や驚きを表現する声を効果音のように挿入することが多い。あまりにもわざとらしく不必要だと思うが、これはテレビ局による「視聴者の思考の誘導」ではないか?大体、スタジオに観客を入れてもいないのにこのような声を挿入しているのは、はっきり言って捏造行為だと思う。

【CM】

  • WBC「日本対韓国戦」の放送中で、パチンコ企業の機器のCMが放送された。テレビという媒体が社会の公器である以上、テレビで「パチンコ」という賭博を推奨するCMを放送するのはいかがなものかと思う。放送法に「公安及び善良な風俗を害しないこと」とある以上、パチンコCMが放送法に抵触しているのは明らかである。
  • 日本国内では毎年3万人を超える自殺者が出ているが、借金などの経済的な問題を苦にした自殺が全体の3割以上であると聞く。そのような世相にも拘らず、テレビでは毎日膨大な量の消費者金融のCMを流し、借金をそそのかすようなメッセージを発信し続けている。自殺に追い込まれた人の中には、テレビで見たサラ金のCMがきっかけとなって借金地獄に落ちた人がいるかも知れない。人生を棒に振る発端となりかねない消費者金融のCMを、今すぐテレビから締め出すべきだと思う。
  • 私は沖縄県で形成外科の医院を経営しているが、同業者のテレビCMが各放送局で頻繁に流れている。しかし、病院・医院のCMで禁止されている「病院名の連呼」が堂々と行なわれており、極めて問題だと思う。テレビ局は自社で流すCMにもっと責任を持ってほしい。

【BPOへの意見】

  • 「虚偽証言報道」が放送されたことは、国民のテレビ報道に対する信頼を失墜させた。一般企業が不祥事を起こした場合には、テレビでは記者会見で経営者が深々と頭を下げて謝罪する様子を放送しているが、今回の当該局の社長辞任記者会見については民放ではほとんど報道されなかった。しかし、この問題では、BPOが特別調査チームを作って審理すると報じられている。期待している。
  • BPOには広く視聴者の意見が集まるようですが、BPOは視聴者から訴えがあってから動くのですか、それとも独自にテレビ番組を監視しているのですか。昨今は偏向報道が多いようですが、放送法に罰則規定がないために各局がやりたい放題の放送をしているように思えます。BPOも大変だと思いますが、断固とした対応をとっていただきたいと思います。
  • 今のメディアの惨状を、BPOはどのように責任を取るつもりなのか?今回、「虚偽証言報道」でやっと動くようだが、放送界をよく見ていただきたい。すべての局が「ルール無用」とばかりに好き勝手に放送している。「公平性」などという基本すら微塵も感じられない。そう考えると、BPOは役に立っていないと思う。必要ないとも思う。放送局の立場からではなく、もっと視聴者の立場に立って「失墜したメディアの信頼をどうしたら回復出来るか」について真剣に考えようとする組織を我々は望んでいる。

青少年に関する意見

【低俗、モラルに反する】

  • 子ども向けアニメのようだが、「キャバクラ」や「SM」の描写等、限りなく下品で卑猥な内容を含んでいる。そのため、とても子ども達には見せられない。
  • バラエティー番組。昨年、小学生の男の子が給食のパンを喉に詰まらせて亡くなるという痛ましい事故があった。そのお子さんはテレビ番組の真似をして早食いを試みたという。そのような事故を教訓に、テレビ番組から「大食い」「早食い」の企画は姿を消したと思っていた。ところが、大食い番組を堂々と3時間にも亘って放送したことを知り、私は呆れてしまった。この放送を最後とし、今後は一切このような企画を放送しないよう、BPOがテレビ局に厳しく指導すべきだ。
  • バラエティー番組。先日も放送直後にテレビ局に苦情のメールを送ったが、本日また繰り返して放送されたのでBPOにメールをした。番組の中でオートバイによる暴走行為を助長する様な内容が放送された。「オートバイの爆音でメロディーを奏でる」という内容。20年以上前から暴走族がやっていた行為のやり方を、なぜテレビでわざわざ教える必要があるのだろうか?また21時台で子ども達が見ている時間帯(深夜でもだが)の放送としては著しく悪質な内容だ。視聴者からの苦情を無視して放送を繰り返すテレビ局の倫理観を疑う。
  • 東京ローカルの情報番組。子どもが丁度見る時間に放送している番組としては、トークが退廃的でエッチな内容が多すぎる。まるで場末のスナックで交わされるような会話が繰り広げられる。特に、水曜日の内容が酷い。大人でも聞くに堪えない内容である。なにも「清く正しく」とまでは言わないが、夕方に放送しているのだから、どうにかしてほしい。

【報道・情報系番組に関する意見】

  • 情報番組。「中学校で男子生徒が女性教師に対し『先生を流産させる会』と称して悪質ないたずらをしていた」というニュースの中で、コラムニストが「『流産させる会』というネーミングでなければ、どこの学校でも多少ある」などと発言していたが、あまりに非常識な暴言ではないだろうか。嫌いな教師に対する多少のいたずらであればどこの学校でもある事かもしれないが、妊婦と胎児の命に係わるほどの嫌がらせが、「どこでも行われている」などと断じるのは乱暴すぎる。こういった悪質な行為については、大人がきちんと叱らなければ歪んだ感性のまま成長してしまうこともあるのだから、容認するような発言を公共の場でしてはならないだろう。(同様意見5件)

【CMに関する意見】

  • テレビでパチンコのCMを見た子供が「パチンコをやりたい」と言い出した。CMにしろ番組にしろ、子供に悪影響を及ぼす放送をしていることについて放送局はどう責任を取るのか。また、今後はどのように対応していくつもりなのか。
  • 最近、サラ金とパチンコメーカーのCMが非常に多く放送されることが気になっている。朝から晩まで、それこそ子供を含む家族の団欒の時にテレビからそれらのCMが流れることに非常に不快感を覚える。ニュースや報道番組などでは、今、盛んに政治家を叩く内容を放送しているが、その番組の合間にパチンコやサラ金のCMが流れるのはいかがなものかと思う。生活保護費をパチンコに充てて借金を作り、サラ金に走り自己破産をするような人もいるのだ。テレビは優良企業の不祥事や政治家のことはこれでもかというほど叩くのに、パチンコ関連の出来事を批判する番組は無いに等しい。テレビ局も経営が厳しいのかもしれないが、せめてニュース関連の番組にパチンコメーカーとサラ金企業をスポンサーとするのは止めていただきたい。今のパチンコのCMは「これは悪い事だ」という印象を抱かせない内容が多いので、子ども達がパチンコ本来の事情を知らずに興味を持つのではないかと危惧している。

【言葉遣いについて】

  • 若手のタレント、特にジャニーズ系のタレントは爽やかなルックスと人柄の良さで人気があり、私も好意的に見ています。ただ、出演する番組の種類を問わず、彼らの言葉遣いが粗雑なことが多く、そのことが残念です。例えば「マジかよ!?」とか「**するんじゃねぇよ!」と言った類です。せっかくの好感度キャラが台無しです。彼らに憧れる子ども達が彼らの言葉遣いを知らず知らず真似てしまうことが一番心配です。是非、この点を本人達に分かって貰いたいです。

【表現・演出に関する意見】

  • 刑事ドラマとして楽しんで見ているが、最終回SPのラストの部分が不快だった。障害者は健常者の重荷で、そこから抜け出すためにはあのような方法しか無いかのごとく表現されたのが悲しい。あの部分はドラマのストーリー上必要だったのだろうか。どうしてもそうは思えない。世間に自閉症の人間が扱いにくく、周りの肉親の負担がとても重いという印象のみをクローズアップされてしまったように思う。とても後味の悪いものだった。我が家にも健常児の姉と自閉症児の弟がいる。実際同じ家庭環境にある視聴者のことなど、少数派のことは考えて頂けないのかもしれないが、とても子ども達に見せることの出来る内容ではなかった。エンタメとしておもしろおかしく扱って欲しいことではない。テレビがもたらす影響をよく考えた上での放送を希望する。

第146回 放送と人権等権利に関する委員会

第146回 – 2009年4月

委員長代行の指名

審理要請案件 ……など

堀野新委員長の下で初の定例委員会が開かれ、委員長代行に樺山、三宅の両委員が指名された。続いて、3件の審理要請案件について協議し、いずれも審理入りが決った。次回委員会から実質的な審理に入る。

議事の詳細

日時
2009(平成21)年4月21日(火)午後4時~6時40分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
堀野委員長、樺山委員長代行、三宅委員長代行、大石委員、 小山委員、坂井委員、武田委員、田中委員、山田委員

委員長代行の指名

冒頭、堀野委員長が、委員長代行に樺山委員(印刷博物館館長・新任委員)と三宅委員(弁護士・再任委員)を指名し、2人もこれを受諾した。堀野委員長は「再任委員と新任委員、法律家と非法律家という観点で選ばせていただいた」と語った。
この後、新体制のスタートに伴う委員会冒頭の撮影取材が行われ、新聞・テレビ各社から計14社・26名が集まり、スチールカメラ9台、テレビカメラ7台が入った。

審理要請案件

3件の審理要請案件について、それぞれ「申立書」と、局側から提出された「交渉の経緯と見解」及び「番組同録ビデオ」をもとに協議した。この結果、3件とも審理入りが決定し、次回委員会から実質的な審理に入ることとなった。

  • 「派遣法・登録型導入報道」事案

    この事案は、テレビ朝日『サンデープロジェクト』が、2009年2月1日および8日の2回にわたって特集した「派遣法誕生」の放送内容をめぐるもので、委員会で協議の結果、申立ての要件を充たしているとして、5月の委員会から実質審理に入ることを決定した。
    この特集では、最近の雇用破壊・派遣切りの原点が「派遣法」の制定にあり、特に「登録型」導入に問題があったとしているが、この番組の中で、「法制定を積極的に進めたのは元労働事務次官と元大学教授の2人であると名指しで個人攻撃され、名誉・信用を侵害された」として、両名らが訂正及び謝罪の放送を求めて申し立てた。
    これに対しテレビ朝日は、「特集は、不安定雇用の原因とされる『労働者派遣法』を検証する企画であった。特に見直しの検討も言われる「登録型」について、その成立の過程と問題点を指摘したもので、この問題を放置してきた「行政の不作為」についても検証している。決して、当時、法の制定に関わった方々を個人的に糾弾するものではない」と反論している。

  • 「割り箸事故・医療裁判判決報道」事案

    東京在住の勤務医らから申立てのあった「割り箸事故・医療裁判判決報道」事案について協議した結果、申立ての要件を充たしているとして、5月の委員会から実質審理に入ることを決定した。
    申立ては、2008年2月にTBSのニュース情報番組『みのもんたの朝ズバッ!』で放送された、割り箸事故を巡る判決報道が、事実誤認及び捏造を含む内容で、医師としての社会的評価を低下させるものであり、名誉を侵害し、不公平な報道であると訴えてきたもの。
    これに対しTBSは、医療事件を巡る刑事判決と民事判決を比較しながら、医療機関には「最善の注意」を果たしてもらいたいとの観点から放送したもので、名誉を毀損したとの認識はないと反論している。

  • 「保育園イモ畑の行政代執行をめぐる訴え」事案

    この事案は、大阪の保育園の理事が、道路建設のため保育園の野菜畑が行政代執行によって強制収用された当日、園児たちを現場に動員して並ばせたなどと事実に反することを情報バラエティー番組で放送され、名誉を侵害されたと申し立てたもの。委員会で協議の結果、本件についてはBPOの放送倫理検証委員会で討議された経緯があるものの、申立ては要件を充たしているとして審理入りを決めた。
    番組は2008年10月19日放送のTBS『サンデージャポン』。「申立書」によると、子ども達が並んでいる映像は行政代執行前日に撮影されたもので、この映像をもとにコメンテーターらが「無理やり並べさせられてかわいそう」などとストーリーを展開させており、ねつ造以外のなにものでもなく、訂正放送も全くおざなりだとしている。そして、具体的な事実誤認とコメンテーターの誤った発言に触れた訂正放送と名誉毀損の具体的内容に触れた謝罪の放送などを求めている。
    TBSは「理事に直接謝罪し、説明不足はあるものの、事実誤認に関しては訂正・お詫び放送を行ったことから当社としては意を尽くしたつもりでおります」としている。

3月の苦情概要

3月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情・相談・批判の内訳は以下の通り。

  • 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・5件
    (個人又は直接の関係人からの要請)
  • 人権一般の苦情や批判・・・・・・・・・149件
    (人権問題、報道被害、差別的表現など一般視聴者からの苦情や批判)

その他

  • 3月30日に行われた「徳島・土地改良区横領事件報道」事案の「委員会決定」の通知と公表について、決定を受けての当該局・テレビ朝日『報道ステーション』での報道や新聞各紙での記事掲載について、事務局より報告があった。
  • 次回委員会は5月19日(火)に開かれることとなった。また、事案が重なっていることから、迅速・的確に審理を行うため、6月以降、定例委員会に加え、必要に応じて臨時の委員会を開くことを決めた。

以上

第24回 放送倫理検証委員会

第24回 – 2009年4月

虚偽証言をスクープとして放送した日本テレビの報道番組『バンキシャ』

戦時性暴力を扱ったNHKの『ETV2001』8 年前に放送されたノンフィクション番組 …など

第24回放送倫理検証委員会は4月10日に開催された。前回の委員会で審理入りした日本テレビ『真相報道バンキシャ!』で、昨年11月に放送された岐阜県の裏金作りに関する誤報について、特別調査チームのヒアリングの状況について中間報告が行われた。
NHK『ETV2001』事案は、担当委員から提出された委員会の決定文について議論し、基本的な合意が得られたので、若干の表現の手直しをした上で当該局に対して通知し、公表することにした。バラエティー番組についての意見に関しては、単に現状の問題点を指摘するだけではなく、制作現場の人たちと一緒に考えていけるような表明方法をめぐって議論が展開された。

議事の詳細

日時
2009(平成21)年 4月10日(金)午後5時~8時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

1. 虚偽証言をスクープとして放送した日本テレビの報道番組『バンキシャ』

2008年11月23日に放送された日本テレビの報道番組『真相報道バンキシャ!』が、岐阜県が発注した土木工事に絡み裏金作りが行われているという建設会社役員の証言をスクープとして報じたが、証言が虚偽であることが判明し、結果として誤報となった事案。前回の委員会で審理入りを決定し、特別調査チームを編成して事実関係の調査を開始した。事実調査の状況について、その中間報告があった。

<主な委員の意見>

  • 新聞や雑誌の世界だと、半分以上が外部スタッフということはほとんどありえない。どの範囲まで制作会社に任せてしまっていいのか。
  • 個人の問題にするのは簡単だ。放送倫理の問題をきちんと語ることは、単なる個人のモラルの問題じゃない。ただ、「放送局自体がコンテンツを自分ではもうほとんど作らなくて、よそに任せているという構造全体をやめろ」というような意見は間違っている。
  • 番組制作をアウトソーシングするのが多くなったが、放送責任はその放送局にあるわけだから、番組内容は放送局の誰かがチェックしなければいけないし、正にシステムの問題だ。そのシステムがきちんと機能しているのかどうかということが根本だ。
  • 実際には、できあがったものだけを見てチェックしろといわれても、チェックのしようがない。取材の過程からチェックを入れる仕組みがなければいけない。どの程度の裏を取ったかを確認した上でないと放送できないというルールが必要ではないか。
  • 会計検査院が指摘した、机やイスを買ったという税金のむだ遣いと、いわゆる裏金を要求されたということは収賄とか汚職の話だから位相が違う問題だ。情報選択のしかたや報道の姿勢も問われなければいけない。

このような意見が出され、次回以降に特別調査チームの調査報告を受けて継続して審理することになった。

戦時性暴力を扱ったNHKの『ETV2001』8 年前に放送されたノンフィクション番組

『ETV2001「シリーズ戦争をどう裁くか 第2回問われる戦時性暴力」』の制作過程において、政治的な圧力により内容が不当に改変されたと関係者が主張している事案について、4回目の審議(討議を含めると8回目)を行った。
まず、担当委員から委員会決定文案が提出され、それに基づいて議論がなされた。その結果、大筋において合意が得られたので、最終的な表現の手直しについては委員長一任とし、4月中にNHKに通知して記者発表をすることにした。

バラエティー番組の問題点について

バラエティー番組全体に見られる問題点を「バラエティー論」として総括しようとする事案については、担当委員から対象になっている15番組の分類、今後の議論の進め方などについて提案がなされた。

<主な委員の意見>

  • バラエティー番組の向上を目指すといっても、大変難しいこと。何を持って向上というのだろうか。ジャンルの横断がテレビの活気を作ってきた。枠にはめてしまう方法は疑問だ。
  • 事例はたくさんあるのだから、文書で出すよりもシンポジウムのような方法を検討したらどうか。シンポジウム会場がジャンル横断になるような。記録は後で出せばよい。
  • まとめ方を間違えると娯楽の精神に反してしまう。
  • まとめる必要はない。問題点の指摘はたくさん出るはずで、その答えは制作現場が考えるべきだ。委員会はこうすべきだというべきではない。
  • 『シャボン玉ホリデー』『夢であいましょう』などが本来のバラエティーで、ウソも捏造もOKの世界。今は情報バラエティーが主流だからウソも捏造も許されない。バラエティーの意味が変わってしまった。今回は情報バラエティーに限定したらどうか。
  • ボードビル系のバラエティーと情報バラエティーは根っこの部分で通じる問題がある。熟慮の足りなさ、作りこみの乏しさを地道に議論すべきだ。
  • 視聴者の声を聞かないとテレビが見捨てられるという危機意識が必要だ。
  • バラエティー番組を項目ごとに分類して一つ一つの問題点をクリアしていく。文字だけでなく、(映像や音声のある)マルチメディアで説明しないとこのくだらなさは分からない。バラエティー番組を素材として提起し議論する場を設定する方法がよいのではないか。

こうした議論の結果、具体的なまとめかた、発表方法の方向性については次回以降に持ち越してさらに検討することになった。

以上