第88回 放送と青少年に関する委員会

第88回 – 2008年3月

男児ポルノに関する取り組みについて

視聴者からの意見について …など

3月25日に開催した今年度第11回青少年委員会(通算88回)では、継続審議となっている男児ポルノに関する取り組みについてのほか、2月18日~3月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見ならびに3月分の中学生モニターからの意見を基に審議した。また、中学生フォーラムと調査・研究について報告があった。

議事の詳細

日時
2008年3月25日(火)
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題

男児ポルノに関する取り組みについて

継続審議となっている男児ポルノに関する取り組みについて、前回委員会での審議を受けて、注意喚起を促す文書を出すことを決め、事務局が作成した原案を基に審議した。

委員からは次のとおり意見が出された。

  • 今、児童ポルノに対しては、社会的関心が高まってきているので、この時期に委員会としてこのような文書を出すことは効果があるし、放送関係者も関心を持ってくれるのではないか。
  • テレビでの男児の裸が悪用されたという確証はないが、児童ポルノに対する世論が高まっているし、悪用される危険性があるので、注意喚起を促すということで理解してもらえるのではないか。
  • テレビに写った裸が児童ポルノに悪用されたという事例が出てからより、委員会としては一歩先を考え、その危険性を注意喚起することに意味がある。
  • 児童ポルノに悪用されるという危険性はもちろんだが、テレビで裸を写された子どもの人権にも重点を置く必要がある。

以上の議論を踏まえ、原案に若干の修正を加えることで了承した。その後、4月11日に大日向委員長、橋元副委員長、山田委員が出席し記者会見を行い、「青少年委員会からの注意喚起―児童の裸、特に男児の性器を写すことについて」を公表するとともに、同日付で加盟各社に送付した。(詳細はこちら)

視聴者からの意見について

  • 「ユーチューブの子犬投げ捨て映像」のニュースについて
    ユーチューブにアメリカ兵と思われる男が、笑いながら子犬を崖から投げ捨てる映像が投稿され、インターネット上で大きな問題になり非難されていることを取り上げたニュースについて、「子犬を投げ捨てるシーンはネット上で大変な批判を受けていたものであり、夕方のニュースで見た子どもはショックを受けて泣きじゃくっていた」「ショッキングな映像をそのまま流す必要があったのか、甚だ疑問だ」という批判意見が視聴者から寄せられ、委員から次のような発言があった。

    ▽ 子犬投げ捨ての映像があまりにも残虐で非難されていると言いながら、その映像をわざわざ放送することは論理的に矛盾している。なぜ放送したのか、企画そのものが疑問だ。
    ▽ インターネットで問題視され、非難ないし削除された映像を、テレビニュースとしてわざわざ放送することはおかしい。この問題は、テレビ報道のあり方について新たな問題を含んでいると思う。
    ▽ 動物虐待への非難は世界的傾向なのに、なぜ、この映像を放送したのか全く疑問だ。大人も不快感を覚えるのだから、子どもには耐えられないだろう。
    ▽ あえて推測すれば、戦場の悲惨さとか、戦場におかれた兵士に精神的な異常性が生じるということを訴えたかったのだろうか?報道として戦争の悲惨さを訴える意味はあるが、あの映像が果たしてその役目を果たすのか、疑問だ。少なくとも非難が集中している映像を繰り返し放送する必要性があるとは思えない。
    ▽ 青少年委員会は、2002年に『「衝撃的な事件・事故報道の子どもへの配慮」についての見解』を公表しているが、少しも理解されていないのではないか。
    ▽ 青少年への影響を考えると問題である。しかし、このニュースだけを取り上げて、委員会として意見を言うのは唐突な感じがする。最近のニュースの表現が過剰になっているという視聴者意見もあるので、その観点からも委員会として注意深く見ていく必要がある。

    以上の審議の結果、視聴者意見からは放送局、番組名が特定できないものもあるため、NHKと在京民放テレビキー5社に対し、委員会としての総意を伝えることを決め、各委員の発言を記した議事概要を後日送付した。

  • CMについて

    ▽ 継続審議となっているパチンコCMやR指定映画などの宣伝CMについては、次回委員会に局の担当者を招き、CM 考査、放送時間帯、放送量などについて意見交換し、状況を把握した上で、問題があれば何らかの対応を考えることになった。

中学生モニターについて

今月は28人から、32件(1人で複数件の報告有)の番組への意見が寄せられた。分野別では、今月はドラマが断然トップで15件、次のバラエティーが7件、情報・討論番組とニュース番組が3件ずつ。ドキュメンタリーが2件、そしてアニメと音楽番組が1件ずつだった。

局別では、今月は日本テレビ系が多く12件、フジテレビ系が7件で、テレビ朝日系5件・TBS系4件・NHK2件と続き、あとは福岡放送とテレビ熊本が1件ずつだった。

・ドラマ番組

報告が一番多かったドラマ分野で、複数意見が寄せられたのは4番組。『斉藤さん』と『1ポンドの福音』が3件ずつ、『エジソンの母』と『鹿男あをによし』が2件ずつだった。

『斉藤さん』は、「主人公の斉藤さんは、周りの人を気にせず、人の行動に対して悪いと感じるものには、しっかり注意をします。自分が正しいと思えば、その意見を主張しつづけます。空気を読まない斉藤さんだけど、勇気のある人だと思いました。私たちには悪いことは悪いと言う勇気や、自分の意見をしっかりと述べることが大切なのだと思います」などと3 件とも大好評だった。

『1ポンドの福音』は、「私はこのドラマの原作を読んだのですが原作の順番を入れ替えてあったり、原作のセリフなどが入っていてよかったです」などの好評意見と、「亀梨くんがリングで戦っている時いつもスローになって全く戦っているという感じが無い。次週の展開が分かりすぎている」という批判意見に分かれた。

『エジソンの母』は、「人は興味を持ち続ける事で強くなれ、自分の個性・可能性を引き出せる・・・そんな、視聴者が大人になると忘れがちになってしまう大切な事を教えてくれていると思いました」などと好評だった。

『鹿男あをによし』は、「奇想天外なストーリーだったが、今までにない話の展開が面白く、引き込まれるように毎週見ていた」と全体には好評だったが、「このドラマは他には見られないほどストーリーの展開が遅くて、だらだらしている感じがするので少しあきてしまうようなところがあった」という指摘もあった。

2日連続の日本テレビ開局記念番組『東京大空襲』には1 件、「私の祖父母は、戦争の経験者で、小学校の頃に戦争の話を聞かせてもらったので、知っていると思っていましたが、映像で見ると空襲によって、色々なことが起こっていたんだという悲惨さなどが分かり、とても勉強になりました」という意見が寄せられた。

バラエティー番組は7番組に1件ずつ意見が寄せられ、ほとんどが好評だった。その中で初めて意見が寄せられた3番組について紹介する。

『太田光の私が総理大臣・・・』には「面白くかつ今社会で問題になっていることが学べ、関心が持てるので楽しく見ることができる。このような面白く政治や社会の事が学べるバラエティー番組はこれからますます成長していく番組だろうと思う」、『くりぃむナントカ』には「今度ゴールデンタイムへ進出するため僕はとても楽しみにしています。僕はこの番組は特有のグダグダ感と深夜時代からの企画を継続していき、長寿番組となってくれることを期待しています」、NHKBSの『COOL JAPAN』には「外国人が日本の様々な文化を発掘する番組だ。テーマも”文房具”や”自動販売機”など身近なものなので、日本の文化にあまり興味がない人でも楽しく見ることができると思う」、などであった。

・その他の番組

他県の人は見られないローカル局制作の番組について、2件意見が寄せられたので紹介する。

福岡放送で平日の午後に放送している『めんたいワイド』には「トレタテ!夕刊めんタイムスというコーナーがあります。この日は”円高ドル安”がテーマでした。福岡の苅田町というところにトヨタ自動車の工場があるのですが、そこではほとんどが輸出用に製造しているそうです。・・・そうなると、悲鳴が—。そんなことをどこよりも詳しくどこよりも早く伝えてくれる超イチオシの企画の1つです」、テレビ熊本の『守りたい小さな仲間たち』には「熊本県に生息する植物や動物を紹介している番組で、番組と番組の間に放送されているとても短い番組です。このような番組は、全国放送にして全国の皆さんに番組の良さを知って欲しいと思います」、などいずれも番組を推奨する意見だった。

また青少年委員から出された、(1)「今の日本では、女児の裸については”写さない”という常識がありますが、男児についてはあまり気にしなくてよいような風潮があると思われます。このような風潮について、どう思われるでしょうか」、(2)「性的な描写を含むパチンコのCMや映画の予告CMについて、みなさんは、こうしたCMを見たことがありますか?あったとしたら、どう感じましたか?」、という2つの質問には、18人が意見を寄せてくれた。(1)は”男児も写してはだめ” が13人、”そんなに厳しくすることもない”が3人、”別にいいんじゃない”が2人だった。(2)は”放送すべきではない”が13人、”時間帯は考えたほうがよい”が2人、”性的描写はたいしたことない”が1人、”映画CMは問題ない”が1人だった。

2007年度後期モニターは今回の報告が最後で、4月からは新人24人・2期目9人の中学生モニターが毎月報告を送ってくれることになった。

中学生フォーラムについて

3月26日千代田放送会館2階ホールで開催された、第7回中学生フォーラム「バラエティー大討論」には中学生モニター12人が出席し、 NHKと在京民放キー局計4人の番組制作者と意見交換を行った(参加者は放送局関係者など80人)。討論は、好きなバラエティー番組・嫌いなバラエティー番組から始まり、何故食べ物を無駄にするのか、何故Hネタが多いか、何故罰ゲームが必要か、心身に与える暴力の影響は、などをテーマに活発に繰り広げられた。参加した放送局関係者からは「中学生の発言には感心した」という声が多く聞かれた。

同フォーラムの模様は、5月11日NHK教育テレビ『日曜フォーラム』(午後6時~7時)で全国放送される予定。

また、フォーラムの内容をまとめた冊子も5月末ごろには発行する予定。

調査・研究について

橋元副委員長から来年度の調査・研究について、次回委員会で方向性を示したいと考えている、との報告があった。

第87回 放送と青少年に関する委員会

第87回 – 2008年2月

男児ポルノに関する取り組みについて

CMの放送時間帯について …など

2月26日に開催した今年度第10回青少年委員会(通算87回)では、継続審議となっている男児ポルノに関する今後の取り組みについてのほか、1月16日~2月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見ならびに2月分の中学生モニターからの意見を基に審議した。また、中学生フォーラムと調査・研究について検討した。

議事の詳細

日時
2008年2月26日(火)
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題

男児ポルノに関する取り組みについて

前回委員会で、子どもポルノ、特に男児ポルノに対する世界の潮流や日本の現状について、ECPAT/ストップ子ども買春の会の宮本潤子氏を招き、意見交換を行ったが、今回委員会では、今後、委員会としてどのようにテレビの中での子ども、特に男児の裸について取り組んでいくか審議した。また、今月の視聴者意見でも、バラエティーの中で、小学生の男児2人の性器や女児のおむつ替えが写されていたことについて、「子どもの人権を踏みにじる内容だ」という批判意見が寄せられ、合わせて審議した。

<委員の主な意見>

  • 世界の潮流としては、子どもの裸が悪用されインターネットなどでポルノ化されていると言われているが、犯罪との関係だけで、全て子どもの裸がいけないとは言いたくない。テレビで放送された子どもの裸が悪用されているという明白なものがないのに、テレビ局に対し理解を得ることはできないのではないか。表現の自由もあるし、現在の社会常識の範囲の中で委員会として考えていくべきだ。
  • 女児の性器を写さないということは社会常識になっているが、最近では男児の性器を写すことについても、頻繁に視聴者から批判意見が寄せられている。今までも委員会で議論し、専門家の話も聞いたが、なかなか男児ポルノの現状とテレビでの裸とが結びつかない。しかし、少なくとも”子どもの人権を守るため”ということで、局に対し委員会として問題提起ができるのではないか。
  • 民放連の放送基準には、「全裸は原則として取り扱わない」という条文がある。悪意がなくても裸を写された子どもにとっては、やはり心の傷となって残ると思われるので、制作者もそのことを考えてほしい。
  • 制作者が悪意を持たないで子どもの裸を撮ろうとも、その映像がインターネットに流れ、ポルノに使われる危険性があるので、男児といえども少なくとも性器は写さない、ということを制作者に対し積極的に言ってもいいのではないか。
  • 子どもの裸のどこまでなら良くて、どこからがいけないという判断材料を委員会として指摘することは難しいが、局に対して制作の段階で配慮するよう注意喚起をしていくことはできるのではないか。

以上の審議の結果、男児ポルノについての取り組みとして、次回委員会までに原案を作成し、再度慎重に議論したうえで、加盟社に対し委員会として文書を出すことになった。

CMの放送時間帯について

R18指定映画の予告CMやレズビアンの世界を描いた米ドラマのDVDの宣伝CMについて、「子どもが見る時間帯に放送するのをやめてほしい」といった視聴者意見が寄せられ、委員から次のような発言があった。

  • 性的表現の強い映画やホラー映画の予告CMの放送は、時間帯を考えて放送するべきではないか。
  • 映画館で年齢制限している映画の予告CMを、制限している年齢層が見ている時間帯に放送するのはおかしいのではないか。放送するならば、性的なシーンについては配慮して、PRだけにできないのか。
  • PG12やR15指定映画の予告CMを、子どもが見る時間帯にどのくらい放送しているか、実態を調査してはどうか。

以上の審議の結果、次回以降の委員会に放送局のCM担当者を招き、パチンコCMなども含めCMの放送時間帯についての実状をヒアリングしたうえで、委員会として議論を深めていくことになった。

中学生フォーラムについて

第7回中学生フォーラム(3月26日、千代田放送会館にて開催)について、小田桐委員から次のとおり報告があった。

  • 今回のテーマは、お笑い系バラエティーに絞り議論を展開する。
  • 従来の中学生vs制作者という構図ではなく、中学生の中でも意見の多様性が出てくるように進めていきたい。
  • モニターには、番組について事前アンケート調査を行っているので、その結果を紹介しながら討論していく。
  • ご意見番として、長年バラエティー番組の制作に携わっている澤田隆治氏にゲスト参加していただくことになった。
  • 最後に結論を出すというのではなく、議論の中から何かが出てくればいいのではないかと思う。

調査・研究について

来年度の調査・研究について、橋元副委員長から次のような報告があった。

  • 調査研究内容の前提条件

    (1) 「テレビ」が主題であること
    (2) 「青少年委員会」の守備範囲であること
    (3) 単なる”批評・評論”ではなく、主張の裏付けとなる根拠・データが提示できる研究
    (4) テレビ関係者はもちろん、BPOの活動に興味を持っている一般市民にも、研究の意義が納得できる研究
    (5) 過去に同種のものが行われていない研究

  • 調査研究案

    [案1] 視聴質・番組評価基準に関する調査研究
    [案2] 「高校生・大学生の情報生活におけるテレビの位置づけ」調査
    [案3] メディアの影響に関する少年院・触法少年調査
    [案4] 海外のテレビ放送における青少年関連の自己規制、青少年向け番組の調査

以上、4件の調査研究案が提案されたが、今後、橋元副委員長と是永委員を中心にさらに検討を加えたうえで、どの案を採用するか次回委員会で議論することになった。

中学生モニターについて

今月は32人から、40件(1人で複数件の報告有)の報告が寄せられた。分野別では、今月はドラマがトップで16件、次いでバラエティーが13件を数え、この2つの分野で7割以上を占めた。以下はラジオ番組が3件、音楽番組・映画・ドキュメントが2件ずつ、そしてスポーツ番組と教養番組が1件ずつだった。

局別では、フジテレビ系13件、日本テレビ系12件と多く、次いでテレビ朝日系5件、TBS系4件、NHK2件、そしてテレビ東京系・TBSラジオ・文化放送・J-WAVEが1件ずつと続いた。

・ドラマ番組

報告が一番多かったドラマは、ほとんどが好評だった。複数意見が寄せられたのは『貧乏男子(ボンビーメン)』に3件、『薔薇のない花屋』と『だいすき!!』に2件ずつだった。

『貧乏男子』は「出演者も個性派ばかりで今までにないおもしろさを私に感じさせてくれる」、「人生はお金がすべてではない。大切にしてきたものは人との絆だと、堂々と主人公がふるまっているのに共感を覚えました」などと大好評だった。

『薔薇のない花屋』も「豪華なキャストで一人ひとりの個性も出ていておもしろい、ストーリーもよく人の優しさが感じられる物語」、「1話1話で謎が出てきて少し解決、そしてまた謎と次につながる話の構成もよい」などと好評だった。

『だいすき!!』は「障害を持つ人と接する機会が少ない人には、見て何か感じて欲しいと思いました」と好評だったが、「番組の終わりが近づ

2月26日に開かれた青少年委員会でも『だいすき!!』について「中学生モニターは障害者の主人公を好意的に素直に見ている。こうした良心的なドラマが作られている事を評価したい」という意見があった。

・バラエティー番組

バラエティーで2件意見があったのは、『秘密のケンミンSHOW』と『エンタの神様』だった。

『秘密のケンミンSHOW』は、「この種の番組は初めてで、特番のときから楽しく見ています」、「地域密着番組は好きだ。テレビでも、もう少し地元制作の番組を作るべきだと思う」などと2件とも好評だった。

『エンタの神様』は意見が分かれ、「エンタは芸人がたくさん出てるから好きな芸人だけを見てもいいし、いろんないま話題の芸人とかも見られるからとてもおもしろい」というものと、「最近出演している芸人はどうも話題性ばかりで、本当に”ネタ”だけで笑わせているのだろうかと疑問に思いました。ベテラン芸人のワンパターン化、新人芸人のしらけるようなつまらなさ…」という対照的な意見が寄せられた。

ほかに9番組に意見が寄せられおおむね好評だったが、『いきなり!黄金伝説』には「この番組は見ていてとても気分が悪い。なぜ無理して食べるのか?私にはこの番組を作っている方の気持ちが分からない」という批判的な意見があった。

・その他の番組

その他、NNNドキュメント『がん難民~渡された命のバトン~』を見て「”辛いのに頑張っている人がこんなにいるんだ”と思った。がんで亡くなった山本参議院議員らの思いを受け止め、がんをはじめとする病気についてこれからは考えていきたいと思う」という報告が寄せられた。

『英語でしゃべらナイト』にも「昔からある英会話番組ではなく、毎回ゲストを呼んでその人達なりの勉強法や会話術を話していたりし、現代の国際社会に生きる私たち向けのテレビ番組でいいと思う」という報告があり、青少年委員会でも「いろいろ工夫していて楽しく品もユーモアもあり評価できる番組だ」という意見が出された。

また『バトルトークラジオ アクセス』の報告では、「全体的にとても良い番組。ニュースもしっかり説明してくれる。ただし議論で電話をつなぐリスナーは、もっとしっかり選ぶべき。時々、言いっ放しで収集のつかない人がいる」という指摘があった。

今期モニターの最後となる3月の報告は、3月中旬までひと月ほどの間に見た番組についての感想・批判・期待など。

また委員から出された「今の日本では、女児の裸については”写さない”という常識がありますが、男児についてはあまり気にしなくてよいような風潮があると思われます。中学生のみなさんは、このような風潮について、どう思われるでしょう」、「性的な描写を含むパチンコのCMや映画の予告CMについて、一般視聴者から、”子どもも見る時間帯に放送するのは問題だ”という意見が多数寄せられています。みなさんは、こうしたCMを見たことがありますか?あったとしたら、どう感じましたか?」という2つの質問に答えてもらうことになった。

第86回 放送と青少年に関する委員会

第86回 – 2008年1月

子どもポルノに関する状況について

中学生モニターについて …など

1月22日に開催した今年度第9回青少年委員会(通算86回)では、継続審議となっている子どもポルノについて、ECPAT(エクパット)/ストップ子ども買春の会共同代表・宮本潤子氏を招き、子どもポルノ、特に男児ポルノに対する世界の潮流や日本の現状についてレクチャーを受けた後、質疑応答を行った。また、1月分の中学生モニター報告を基に審議したほか、中学生フォーラムと調査・研究について検討した。

議事の詳細

日時
2008年1月22日(火)
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題

ECPATについて

ECPATは、1990年にタイのチェンマイで開催された「現代奴隷制の中の子ども達」という国際協議会の決議に基づき、アジア観光における子ども買春根絶国際キャンペーン=ECPAT(End Child Prostitution in Asian Tourism)としてスタートした。その後、国際ECPAT(End Child Prostitution,Child Pornography And Trafficking in Children for Sexual Purposes 国際事務局:バンコク)が設立され、現在は国連NGOとしてアジアや欧米諸国を中心に世界的な活動を展開している。ECPAT/ストップ子ども買春の会は、ECPATの日本での活動を担う公式関連団体として1992年に発足し、子ども買春・子どもポルノ根絶の活動を行っている。

今委員会では、宮本潤子氏に子どもポルノ、特に男児ポルノに対する世界の潮流や日本の現状について話を聞いた。

子どもポルノに関する状況について

(宮本潤子氏レクチャー概要)

子どもに対する性的暴力については、1990年のチェンマイ会議から20年近い活動の中で、国際世論も高まり、子どもの権利条約が発効されるなど改善された部分はあるが、インターネットの発達や各国の事情によりさらに悪化している状況である。

日本でも、子どものポルノグラフィーは昔からあったが、インターネットの発達で最悪な状況を作り出している。インターネット上の子どもポルノに関するサイトがどのくらいあるのか、正確な数字を出すことは難しいが、いくつかの調査からも近年増えていることは確かである。

子どもポルノの状況が年々悪化していることの最も大きな理由は、子どもポルノに対する法整備が世界的に遅れていることである。ここ数年の日本におけるインターネット上の子どもポルノの特徴の1つは、出会い系サイトを利用した児童買春による性的虐待を撮った画像が多く出回っていることである。一旦インターネット上に出てしまった画像は、どんどん複製され増え続けていく。最近ではIT業界も協力的で、削除するなどしているが全く追いつかない状態である。

また、子どもを盗撮したものが野放し状態になっていて、これも深刻な問題になっている。盗撮された側が訴えれば何らかの動きができるが、自分の子どもが盗撮されていること自体知らず、盗撮物がどんどん出回ってしまっている。

(男児ポルノの画像等がどの程度流通しているのか、また男児が被害者となる事件はどの程度起きているのか)

日本の子どもポルノの場合、ほとんどの被害者が女の子だったが、最近の新聞等の報道をみると男の子の被害も増えてきている。

現在、日本の子どもポルノの全検挙件数のうち、男女別の被害件数、被害者の数は出されていない。

ただ、日本のインターネットホットラインセンターに寄せられた通報によれば2割弱が男児ポルノである。また、英国の子どもポルノに焦点を絞ったインターネットのホットラインでも、男女の割合は2:8という数字が出ている。

昨年の7月、男児ポルノサイトとしては国内最大級のものと思われるサイトが神奈川県警に摘発され、3年間で684万件のアクセスがあったことが分かった。このアクセス数の多さを見ても、男児が子どもポルノの被害者となるケースが増加傾向にあることが分かる。

(男児ポルノの被害とテレビ、アニメ、DVD、インターネット等との因果関係はあるのか)

はっきり断定することは難しいと思うが、臨床心理学者のエセル・クエール氏は講演の中で、「子どもを性的対象とするような犯罪傾向がある人やこういった行動に関心のある人の場合、子どもポルノの写真等を見ることによってその傾向を増長させることは、イギリスの関係者の研究でも裏付けることができる」と発言している。つまり、直接の原因ではないが画像を見ることによってその種の犯罪を犯す可能性が増大することは確かであると言っておられる。

子どもポルノを見ることと実際に接触犯罪を犯すこととの間には、すぐの因果関係は必ずしも出てこないが、受動的に見続け習慣化することで犯罪に至る可能性が増すということである。

また、子どもポルノ、子ども買春といった子どもに対する性的虐待を行っている人の大多数は、医学的な意味での小児性愛者ではない。”状況的性搾取者”という、いわゆる普通の性的指向を持った人達が子どもポルノを求め所持しているわけだが、このことを問題にすべきと考えている。

(子どもポルノに関して、日本は世界と比較してどのような位置にあるのか)

日本ではインターネットを通して簡単に子どもポルノを購入・入手し所持することができるため、ほかの先進諸国からは、日本は子どもポルノの製造を禁止しながら、消費を禁止していないとして、規制が求められている。

また、インターネットでの子どもポルノは、コンピュータに取り込んだ写真を画像処理して変形させた”モーフィング”画像と呼ばれるものが多く出回っている。最近ではコンピュータ技術が進んで、部分的に非常に精巧に変えられるので、どこがモーフィングされているのか分からないものも多い。

こういったモーフィングされたものには、現行の児童買春・児童ポルノ禁止法の定義の狭さや弱さゆえに適用にならないことがあるが、明らかに子どもに対する人権侵害だと思われるものについては、ECPATとしてプロバイダーや業界に対して削除をするなどの要望をしている。

ドイツでは、単に子どもポルノを禁止するだけではなく、子どもを守るための青少年保護法という法律があり、その一つに、未成年の子どもを不自然に性的なポジションで撮影して見せることに対し、誰かに渡す、売る、プロモートする、などを禁止して子どもの性的搾取を防ぐ努力をしている。アメリカも子どもの性的虐待に対しては、連邦と州のレベルで次々と法律を改正しているようで、日本とは法整備の速さが違うという印象を受けた。

日本の子どもポルノに関する対応について、ほかの先進諸国からの要請として、インターネット悪用への規制が強く求められている。この機会に子どもポルノの現状を広く知ってもらいたい。

【質疑応答】(▽委員、▼宮本氏の発言)

▽日本の社会の中で、男児ポルノの実態は一般的に知られていることなのか。
▼男児ポルノについては、特に知らない人が多いのではないか。日本の場合、1999年に「児童買春・児童ポルノ禁止法」ができ、”児童ポルノ”という法律用語は子どもへの性的虐待を意味しているが、それ以前はポルノ=わいせつ性の問題というふうに思われていた。また、子どもの虐待画像は商業目的だけで売買されているわけではなく、お金にかかわらずやり取りする者もいる。
▽子どもポルノの危機的状況について、日本のメディアに望むことは。
▼日本のメディアは、この社会が以前のように子どもの裸を自然でかわいいと言っているだけの社会ではなくなってきていることを自覚しなくてはならない。また、特にテレビには影響力があるので、そのことも自覚してほしい。テレビは比較的長い歴史の中で、改革するシステムを持ってきているので、事態を変えることはできると思う。特に思春期以前の子どもを出演させるときには、法律云々以前に、年少者への配慮を徹底してほしい。不自然に性的な写され方をすることで、子ども達は傷つくし、子ども自身そのことを感じていることを分かってほしい。番組の制作者は、メディアの中で「子どもの性」が商品として使われている現実を認識するべきだ。
▽青少年委員会としては、女児だけでなく男児の裸の扱いについて提言を行うことも考えているが、どこに基準を置けばいいのか。
▼テレビの制作者はその道のプロ達であり、いろいろな表現方法を選択できるはずである。工夫し、子どもの性的な尊厳を冒さない作り方を考えてほしい。テレビ局の自主的な取り組みとして、番組の趣旨に応じて、子どもに配慮するべき点を具体的に提示していくこともひとつではないか。

中学生モニターについて

今月は33人から、「年末年始の特別番組について」50件(1人で複数件の報告有)の報告が寄せられた。分野別ではバラエティーが断然多く26件、続いてドラマが9件、そして音楽番組が7件、情報・討論番組とラジオ番組が3件などと続いた。

局別では、フジテレビ系16件、日本テレビ系13件、NHK7件、テレビ朝日系6件、TBS系とテレビ東京系と東海ラジオが2件ずつ、福岡放送とCBCラジオが1件ずつだった。

・バラエティー番組について

バラエティーで一番多く3件報告が寄せられたのは『ガキの使いやあらへんで!!』だった。「この番組は本当に笑いました。有名な芸能人がやってきて、出演者を笑わせる番組で、笑いをこらえようとしても、どうしても笑ってしまいました」などと概ね好評だったが、罰ゲームについては意見が分かれ「麻酔をかけたという設定で、何をしても動かないようにして、スリッパでその人の顔をおもいっきりたたいたり・・・、こういう暴力のようなものは、もう少しひかえた方がいいのではないか」、「メンバーが笑うとおしりをいきおいよくたたかれるのが痛々しい。それくらいの罰ゲームは特に影響は無いが、おもしろい流れがとまるのは、あまりよくない」など否定的意見が2件、「この番組は特に罰ゲームが番組を面白くしていると思うので、必要だと思う」という肯定的な意見が1件だった。

2件報告があった3番組も概ね好評で『全日本仮装大賞』には「楽しんで見られる仮装の裏にはたくさんの努力があるのだと考えると、すごいなぁとつい感動してしまう」などの意見が、『超「ぷっ」すま』にも「普段は見られない、SMAP草薙剛さんたちの素顔が包み隠さず他のゲストたちによって引き剥がされていきます。これからもこんな面白くて、罰ゲームを気分良く感じられる番組は続けていってほしい」という意見が寄せられた。ただ『志村&所の戦うお正月2008』には1件、「大きな車でわざとせまい山道や駐車場を走行させ、何かわざと破壊している感じがして見ていてとても不愉快でした。おもしろい企画も結構ですが、もう少し世論や社会に与える影響を考えて欲しい」という批判があった。

また17番組に1件ずつ報告があったが、6番組が大好評だった。『ぐるナイ最後の結果発表』は「家族みんなで楽しみながら見ていました。やらせではなく本当にガチンコでやっているという感じがしっかりと伝わってきて、見ている方がドキドキしました」、『ゴールドラッシュ2008』は「1分間という短い時間で、ネタが繰り出されるのでそのスリル感にも目がいってしまう。さらに、お笑いのジャンル(一発ギャグ、モノマネetc)が、ステージによって変わっているので、芸人のいろんな芸が見られる」、『はねるのトびら』は「私がマネしたいと思ったのは”回転SUSHI”の中でお笑い芸人が言っていたギャグだ。めでたいお正月くらいは幸せになれてマネしたくなる放送内容を放送してほしいものだ」、『小学校教科書クイズ』は「久々に真面目で楽しめた番組だった。現役小学生にとっては、”予習”としても使えたのではないでしょうか」、『これこそ!わが町 元気魂』は「やっていることが『出没!アド街ック天国』の最後のところ(その地域のCMを放送している)に似ていて、それのスペシャルのようだったのですが、見ごたえがあり最後まであきずに楽しく見ることができました」、『秘密のケンミンSHOW』は「47都道府県出身の芸能人が勢ぞろいして、その県ならではの方言や食文化、生産№1の物などを発表するという面白い方針です。同じ日本でも、まったく異なった面がたくさんあるんだなぁと思うと、とても不思議でおもしろいなぁと思います」などだった。

批判意見は4番組に寄せられた。『めちゃ2イケてるッ!』には「”シンクロナイズドテイスティング”というコーナーで氷と冷水のプールに落下した後、お湯に飛び込んでいる出演者を観客やその他の出演者は笑っています。そんな姿を見るととても辛くなります」、『愛のエプロン』には「魚や肉、野菜など農家の方たちが大切に育てたものを、あんな風にするのはどうかと思います。あのような料理を見ながら食事をするのは気持ちが悪いです」、『志村けんのバカ殿様』には「私はこの番組を見て、これこそテレビでは流さないほうがいい暴力シーン、性的表現なのではと疑問をもちました」、『理由ある太郎』には「テレビ欄を見て面白そうだなぁと思って楽しみにしていたけど、内容は少しくだらなく期待はずれなものだった」、などの批判だった。

・ドラマ番組

ドラマでは『のだめカンタービレinヨーロッパ』に4件、『あんみつ姫』に3件報告があり、いずれも好評だった。『のだめ・・・』には「舞台をヨーロッパにしたため、新しいキャラクター等も出てきて、新鮮で良かった。そもそもこのドラマの登場人物自体、個性的なのでパンチが効いててとても笑えたし飽きなかった」など、『あんみつ姫』には「展開が速く、あきさせないストーリー作りも良かったです。そして着物も少しくずしてあったり、現代版になっていて私たち若者世代でも楽しめるようになっていました。普通の連続ドラマでは見られないとても素敵なドラマでした」などの意見が寄せられた。

・その他の番組

その他で複数意見が寄せられたのは『NHK紅白歌合戦』5件、『ジャニーズ・カウントダウン』2件だった。『紅白歌合戦』は「約4時間、歌だけをながすことで改めて歌の力を教えてくれたことに、とても感動しました」などと概ね好評だったが、「つるべえさんは下品な言葉が多くイライラしました」という意見もあった。『ジャニーズ・・・』は2件とも「この番組を見ながら年を越すと1年が楽しく過ごせる気がします」などと好評だった。

2月のモニター報告は、2月中旬までひと月ほどの間に見た番組についての感想・批判・期待など。

中学生フォーラムについて

3月26日(水)に千代田放送会館で開催する第7回中学生フォーラムについて、小田桐委員から下記のとおり構成案などについて報告があった。

  • 第7回中学生フォーラムのテーマは、”バラエティー”に絞る。
  • 出演者は、中学生モニター15人、制作者側4~5人。司会は、木場弘子さん(キャスター・千葉大学特命教授)にお願いする。また、制作者のOBの出演も考えている。議論の展開によっては会場の保護者からも発言を求める。
  • モニターvs制作者といった構図ではなく、様々な議論を展開し、結論が出なくてもいいのではないかと考えている。
  • バラエティーの罰ゲームや笑いについて、お笑いタレントや制作者にインタビューを行い、当日、映像で流すこともひとつの案として出ている。
  • 会場のレイアウトは、出演者を真ん中にして、両側に参加者を配置する方法を考えている。
  • 出演者などの詳細な点については、次回委員会で報告を行うこととする。

調査・研究について

来年度の調査・研究については、橋元副委員長を中心に検討することとなった。

第85回 放送と青少年に関する委員会

第85回 – 2007年12月

視聴者意見について

中学生フォーラムについて …など

12月11日に開催した今年度第8回青少年委員会(通算85回)では、11月20日~11月30日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に審議したほか、中学生フォーラムと調査・研究について検討した。

議事の詳細

日時
2007年12月11日(火)
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題

視聴者意見について

1.『「出演者の心身に加えられる暴力」に関する見解』について

先月に引き続き、視聴者から「バラエティーの罰ゲームが本当に青少年に悪影響を与えるのか」という『見解』に対する反論意見が寄せられたことについて、是永論委員から『テレビが視聴者の現実認識に与える影響―ワイドショー等、番組タイプ別の培養分析―』(中村功、1998年)が紹介され、「テレビの暴力シーンが、見る頻度によって暴力に対する意識の持ち方に影響するという培養効果に関する研究の中で、バラエティーの視聴頻度の高い人に関して、暴力に対する社会観や認識に対するテレビ視聴の効果が、他の番組に比べて強いという結果が出ている。議論の余地はあると思うが、『見解』の反論に対する科学的な根拠のひとつとして参考になると思う」と説明があり、委員から「ワイドショーやバラエティー、刑事ドラマの視聴頻度が高い人ほど、実際の犯罪件数は減少しているにもかかわらず、世の中に暴力が溢れているという認識が強く、中でもバラエティーを見ている人に効果が強く出ているということなので、『見解』への反論に対し、根拠のひとつとなるのではないか」という意見が出された。

また、「この調査は、バラエティーの内容分析まで踏み込んでいないので、バラエティーに絞った調査研究を行うと罰ゲームの影響が実証できるかもしれない」という意見も出され、調査・研究のテーマとして検討することになった。

2.男児の裸について

田舎暮らしを始めた家族を紹介する番組の中で、小学生の少年を含む幼い兄弟が風呂に入るときに全裸が映ったことに対し、「児童の人権、児童ポルノ法の観点から見て不適切だ」「女児の裸は大騒ぎするが、男児はいいのか」等といった視聴者意見が寄せられ、当該局からビデオ提供を受け、委員会で視聴のうえ審議した。各委員の意見は次のとおり。

  • 制作者としては、大自然の中で暮らすことと子どもの裸が調和するという意図で作ったのだろう。全体の流れで見ると全く問題ない。しかし、男児の裸でも撮る時はバストショットにするなりカメラワークを考えて撮ったほうがよかったのではないか。
  • 番組自体はほほえましい映像で、子どもの裸についても悪気なく映してしまったのだろうが、悪気のある人が見る可能性もあり、慎重にならなくてはいけないのではないか。今は人権に対する社会のレベルが上がってきているので、制作者も意識するべきだ。
  • 子どもの裸に関しては、制作者は番組の構成に必要かどうかを考えるより、機械的に全裸は映さないと判断して作るべきではないか。
  • 制作者に対し、いきなり児童ポルノの関係で男児の裸は映してはいけないという警告をするより、児童ポルノに利用されるという認識なく作っていることが問題なので、そのことを委員会として知らしめていくことが大事だ。
  • 男児の児童ポルノに関する取り扱いについては、各社のガイドラインの見直しの際に検討するよう求めたい。

以上の審議の結果、児童ポルノに関しては継続審議になっているが、特に男児に関して今後も上記と同様の問題が出てくることが予想されるので、できれば次回委員会に専門家を招き、勉強することにした。

3.アニメ番組について

京都父親殺人事件に関連して、2つのアニメ番組が放送中止・休止になり、それ以後も深夜に放送されていたアニメが打ち切りになったことなどに対し、「深夜アニメが問題というならば、視聴年齢制限制度をつくるべきだ」「影響があるからと打ち切りにするより、青少年が安全に視聴できるよう映画のPG指定相当の区分を導入してほしい」といった視聴者意見が寄せられ、委員から次のような発言があった。

  • 深夜帯に放送しているアニメは、大人向けの内容でもタイトルだけでは分からないものもあるので、番組のタイトルに”何歳以上”といった注意書きがあったほうがいいのではないか。
  • 視聴年齢制限制度を導入すれば、見せたくない保護者は自主的に制限がかけられるのでこれも選択肢の一つと考えられるのではないか。
  • 年齢制限制度をつけてしまうと、かえって子ども達に見たい気を起こさせてしまうのではないか。

以上の審議の結果、深夜帯のアニメについては、今後も注視していくことになった。

4.パチンコCMについて

アニメゲームを基にしたパチンコ台のCMについて、「性的なことを連想させる表現が出ているので、子どもが見る時間帯での放送は自粛してほしい」といった意見が視聴者から寄せられ、委員から次の意見が述べられた。

  • 子どもが見る時間帯のCMについては、過度の性的表現などは注意して放送してほしい。
  • 視聴者が指摘しているパチンコCMは、だんだん表現がエスカレートしているようだ。局の考査はどう判断しているのか疑問がある。
  • 番組はチャンネルを替えるなどで選択できるが、CMはいつどんな内容のCMが流れてくるか分からないので、視聴者には選べないということを放送局は考えてほしい。

以上の審議の結果、パチンコCMの放送状況を調査したうえで、さらに議論していくことになった。

そのほかに、「バラエティー番組で、お笑い芸人たちが身体に攻撃を加える芸は、あくまでもテレビの中だけのものと一般視聴者には分かっていても、特別支援を受けている子どもたちは健常者と違い判断することができず、マネをしてしまうことが多いので、視聴者の中には現実と非現実の区別がつかず受け入れてしまう人たちがいることを忘れてほしくない」という視聴者意見が寄せられ、委員から次のような発言があった。

  • 今までは、青少年という枠で影響の有無を問題にしてきたが、一歩踏み込んで対象とする範囲を広げ、特別支援を受けている知的障害者も含めたうえで、委員会としての活動をしていかなくてはいけないと感じた。
  • 特別支援には知的障害だけではなく、軽度の発達障害の人達も含まれ、特定少数の人達とは言えない。また、虐待を受けた子ども達がいる養護施設での再虐待なども問題となっていることを考えれば、バラエティーでの罰ゲームなどがどう影響してくるのか、大きな問題となってくるのではないか。

以上の意見を受け、バラエティーの罰ゲームについては、青少年だけでなくこうした障害者への影響についても議論を広げていくことになった。

中学生フォーラムについて

事務局から第1~6回までの内容説明と今後の取り組みについて提案があり、次のような意見が各委員から出された。

  • 日本のテレビ番組のことだけでなく、世界の悲惨な状況にいる子ども達の存在を中学生モニターに知ってもらいたいが、フォーラムの中で放送とどう結びつけていくかが難しいところだ。
  • 制作者が学校に行き、番組作りの裏側を教える”出前授業”のようなものや海外のテレビ番組を見せ日本の番組と比較させるといったメディアリテラシー的なことをテーマにしてはどうか。
  • PTAの調査で子どもに見せたくないと言われている番組について、親と子ども達の考え方の違いを議論させることも必要と思うので、そういった場にできないか。
  • 舞台の上で、制作者と子ども達が話し合うといった構成では、双方ともなかなか本音が出ないので、もっと会場にいる人も参加できるワークショップ的なものにするといいではないか。

以上の意見を踏まえ、小田桐誠委員を中心に企画・構成を詰めていくことになった。

調査・研究について

来年度の調査・研究について検討し、各委員から次のような意見が出された。

  • イギリスでは、近年、子ども番組が減少しているようだが、日本と海外の子ども番組の比較研究をして、青少年向け番組のあり方を考えてはどうか。
  • 是永論委員から紹介のあった『テレビが視聴者の現実認識に与える影響―ワイドショー等、番組タイプ別の培養分析―』を参考に、バラエティーに絞った内容分析を行い、罰ゲームが青少年に与える影響について調査研究ができるとよい。
  • メディアリテラシー的なプログラムを組み、その成果を定期的に収集していくかたちでの研究のほうが委員会に活用できるし、また、フォーラムの企画としても組み込めるのではないか。

以上、調査・研究のテーマについては、今後も継続して検討することになった。

中学生モニター報告〔12月分〕

12月はこれまでと異なり、委員会から「バラエティー番組の罰ゲームをどう思うか」という課題を提出した。報告は32人のモニターから寄せられ、青少年委員には委員会終了後のため郵送された。報告の概要を紹介する。

  • 「罰ゲームは絶対止めるべき」(6件)・「罰ゲームは必要不可欠だ」(1件)という両極の意見は少なく、「必要だが、ひどいものは規制」「反対だが楽しいものなら良い」という意見が大多数の25件を占めた。
  • 肯定的な意見は、「私は、罰ゲームをやることで番組がおもしろくなる、と考えます。本来、暴力をふるうことは悪いと思いますが、芸人、芸能人はそういうことをやってお金をもらっている。それが仕事なんだと思います」、「罰ゲームが無くなったら面白味が無くなってしまう。罰ゲームは我々中学生にあまり影響が無いように感じます。僕の学級では普通の会話にバラエティー番組の話題などはほとんど出てきません」などであった。
  • 罰ゲームに反対する意見で目立ったのは「食べ物を粗末にするのはダメ」というもので9件あった。
    また反対する理由として「一歩間違うと怪我をしたり、死んだりするような罰ゲームは絶対にやめた方がいいと思う。中学生や小学生でも簡単に真似することが出来るものは特にだ」、「罰ゲームが、学校で遊びとして使われていたことがある。内容は、あまりひどくはなかったが、やられていた子は、とても痛そうで、その罰ゲームの放送に疑問を持った」、「中・高生の手本ともなるテレビで大人がイジメに近いことを堂々とやるのはよくないと思います。罰ゲームをやるにしても、もう少しソフトな罰ゲームを考えてもらいたいです」などであった。
  • 批判意見が多く寄せられたのは、『はねるのトびら』(9件)と『めちゃ2イケてるッ!』(4件)の2番組。『「ぷっ」すま』と『とんねるずのみなさんのおかげでした』には2件ずつ、「罰ゲームのモノマネで笑え、勝った人にごほうびをあげるなど、見ている方も気持ち良い」などの好評意見があった。
    また「どの番組の罰ゲームもワンパターンで面白味がない。出演者も視聴者もナニが起こるか分からないような罰ゲームにした方が良い。最近はウケ狙いのために大げさなリアクションをとる人が目立つ」という厳しい批判もあった。

青少年委員からは、中学生モニターへ以下のお便りが送られた。

  • 中学生モニターの皆さんが真剣に考えて下さったことを、いつもながらとても嬉しく拝見しました。罰ゲームに賛成の人も反対の人も、自分なりの根拠をしっかり提示して書いています。
    私たちが日々、直面する問題には、どちらが絶対に正しいとか、間違っているとか、簡単には是非をつけられない問題が少なくありません。バラエティー番組の罰ゲームもその一つかも知れません。送付される12月分の中学生モニター報告のまとめを、どうか「違い」に関心をもって読んでみてください。自分とは異なる意見を表明したモニターの意見が見つかったら、それをあなたの意見を見直すチャンスにしていただければと思います。
  • 特に具体的な提案があるのがいいですね。なるほどと、ついつい頷いています。
    バラエティー番組が好き・嫌い、罰ゲームここまでなら許せる・絶対許せない。いろんな感想、意見があるのは自然なことですし、とても大切なことです。自分の意見とは違っても、他の人が自由に発言する権利はみんなで守っていかなければなりません。ともすれば異なる意見を、力や数で排除しがちですが、それでは双方向のコミュニケーションは成り立ちません。自分の思いをうまく、わかりやすく、適確に表現して伝えることは大事ですが、それ以上に相手の言うことに耳を傾ける習慣を身に付けていくことが重要だと思います。是非聞き上手になってください。

1月のモニター報告は「年末年始の特別番組について」の感想を聞く事になった。

第84回 放送と青少年に関する委員会

第84回 – 2007年11月

「見解」に対する視聴者意見について

京都父親殺人事件とアニメ番組との関連について …など

11月27日に開催した今年度第7回青少年委員会(通算84回)では、10月15日~11月19日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見ならびに11月分の中学生モニターからの意見を基に審議したほか、京都父親殺人事件とアニメ番組との関連について審議した。また、児童ポルノに関する取り組みと、中学生フォーラムについて検討した。

「見解」に対する視聴者意見について

10月25日に公表した「『出演者の心身に加えられる暴力』に関する見解」について、「見解の内容は納得がいかない」「規制には反対だ」「テレビがつまらなくなる」といった批判や抗議を内容とする視聴者意見が多数寄せられ、委員から次のとおり意見が述べられた。

  • 大半の意見は「見解」の趣旨を取り違えているのではないかと感じた。全ての罰ゲームをなくせと言っているのではない。ただ、暴力シーンが直接的に暴力を誘引するということは実証されてはいないが、暴力に対する意識の持ち方への影響はあるという科学的な調査結果も出ているので、そういった結果を根拠に委員会としての考え方を徹底していく必要がある。
  • 「見解」への批判が多く来たということは、委員会の存在が認められているわけだから良かったのではないか。ただし、「見解」は全国の視聴者からの意見を基に議論し、その結果として出したわけだから、委員会としてはその姿勢をどう正しく伝えていくかを考えなければならない。
  • 「見解」に批判的な意見を寄せてきている視聴者に共通していることは、2000年に公表した「見解」も含めて内容を理解していないのではないかという印象を受けた。ただ、「見解」に対して視聴者がこのような反応を示すのは、お笑い番組に多様性がなくなったからで、見る側もストレス解消などのためだけに見ているとすれば問題だ。
  • 今回の「見解」はバラエティーの罰ゲームについて視聴者から再三意見を寄せられていたことを受けて委員会で議論して公表したものだが、批判ばかりが多く「見解」に賛同する意見が少ないことが残念だ。これまで罰ゲームを批判してきた人たちの意見をもっと聞きたい。

以上の審議の結果、委員会としては罰ゲームに関しては、今後も視聴者の意見を参考にしつつ注視していくことになった。

京都父親殺人事件とアニメ番組との関連について

京都父親殺人事件とゲーム・アニメ番組との関連を情報番組で取り上げたため、アニメ番組が放送中止となったと多数の視聴者意見が寄せられていたことについて、前回委員会で申し合わせたとおり、内容確認のため同番組のVTRを視聴したうえで、審議した。各委員の意見は次のとおり。

  • 番組で取り上げているのは同名のゲームのことであって、放送されているアニメのことは言っていない。放送中止になったことと、同番組が取り上げたこととは関係ないと思われるので、問題ないのではないか。
  • 番組の中で取り上げられたのが同名のアニメでなく、マンガやゲームであっても、視聴者にとっては同名のものが取り上げられたこと自体が問題なのではないか。
  • 因果関係が分からないにもかかわらず、インターネットにあったからと固有名詞を使って取り上げれば、そのゲームやマンガに対するマイナス効果が発生することは予測できるわけだから、番組の作り方には注意すべきだ。単に視聴者の勘違いとするのは疑問がある。
  • 凶器を使ったアニメやドラマのシーンは、直接的な模倣が出てくることもあり得る。今回の事件の状況を考えると番組内で議論するために取り上げたことはやむを得ないのではないか。

また、アニメ番組を放送休止または中止した局からその理由について、「社会通念上好ましくないと判断した」「遺族や関係者の感情を配慮した」等の回答があり、それについて委員から次のとおり発言があった。

  • アニメ番組を放送していた局の休止または中止理由にも情報番組との関連を示唆するところは見当たらず、それぞれ自主的に休止または中止しているので問題はないと考えていいのではないか。
  • 休止または中止理由として「遺族や関係者の感情」「社会通念上好ましくない」となっているが、放送局自らが自主規制をして簡単に中止していいものだろうか疑問が残る。
  • 放送した場合の反響を考えると、中止したことは局として妥当な判断だったのではないか。

児童ポルノに関する取り組みについて

前回委員会で申し合わせたとおり、山田由紀子委員から児童ポルノに関する資料が提供され、今後の取り組みについて、委員から次のような発言があった。

  • 委員会としてやるべきことは、児童ポルノの法規制の問題というより、30年前だったらほほえましいと思えた男児の裸の映像でも、幼児性愛的な問題が出てきた現代では放置できなくなっている現状を制作者に伝えていくことではないか。
  • 児童ポルノが目的ではない幼児の裸でも、それが悪用されて特定の人を刺激することになれば児童ポルノになってしまう可能性がある。こういったことを制作者にも認識してもらうことを伝えていくべきだ。
  • 一般的に児童ポルノと言っても、法律的にどのような部分が重要なのか、また、現実として男児のポルノはどのような状況なのか、委員会として専門家から説明を受け勉強することが必要だ。

以上の結果、児童ポルノに関しては、時代的な変遷も含め、今後も継続して調査・研究していくこととし、専門家による勉強会を開くことを決めた。

中学生モニターについて

今月は32人から計45件(1人で複数件の報告あり)の報告が寄せられた。分野別ではバラエティーとドラマが16件・15件と伯仲し、情報系番組が6件と続き、次が教養番組で2件、ニュース番組・アニメ・スポーツ番組・ラジオ番組そしてニュースとドラマの全般的な意見が1件ずつだった。
局別ではフジテレビ系が16件、日本テレビ系が10件、TBS系が8件、テレビ朝日系が3件、NHKとテレビ東京系が2件ずつ、九州朝日放送・エフエム愛知が1件ずつだった。
今回の報告でも、番組に共感し賛同する好評意見がやはり多く30件あり、賛否両論を記しているのが9件、良くなかったと批判している意見は6件に増えた。

  • バラエティー番組では『クイズ!ヘキサゴン?』に「どのコーナーも面白く、笑える。また、時には勉強になる」という好評意見と「昔は6人の心理戦で勝負するという面白い仕組みで、楽しく見ていた。今はおバカさんキャラの芸能人が中心になっていて、他のクイズ番組と変わりない」という批判意見の2件報告があった他は、14番組に1件ずつ報告があった。
    好評意見は『笑ってこらえて』『おネエ★MANS』『学校へ行こう!MAX』『あいのり』『ジャンプ!○○中』『SMAP×SMAP』『クイズ雑学王』『出没!アド街ック天国』の8番組に。
    賛否両論が記されたのは2番組で、『嵐の宿題くん』には「何より、嵐のメンバーのキャラクターがおもしろい。ただ、ゲストについて深く掘り下げるということがあまりなく、番組の基本形もないと思う」と、『いきなり!黄金伝説』には「最近はバラエティー番組の大半でテロップを使用していますが、この番組ほどヒドイものはないと思います。内容はものすごくいいのに…」という意見が寄せられた。
    批判意見が寄せられたのは4番組で、うち制作者に対する苦言が2件あった。まず『まるまるちびまる子ちゃん』に「ドラマ部分とは別に、日常的な日本語をアルファベットの略語にし読解するというクイズ形式のコーナーがある。自分の中学校でもその事を悪用して、暴言が飛び交っている。”死ね”という言葉を”SN”と略し、弱者を大勢で”SN”、”SN”と一斉にいびる事も十分考えられる。もっと、後先の事を考えてコーナーを作った方がいい」。『めちゃ2イケてるッ!』には「食べ物を粗末に扱ったり、熱湯をわざと大量にこぼしたり人にかけたりし、また出演者の一人をほかの出演者が無視したりいじめたりすることがある。大人だけでなく、小中学生の多くも見ているので、番組の制作側も視聴する人のことをもう少し考えてほしい」。他には『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』に「芸人と女子レスラーの対戦で、食べ物が試合のための道具になっていた。番組自体は面白くても、そういうものがあると寂しくなる」、『感動再会!”逢いたい”』には「何故あの審査員(?)に、逢うか逢わないか決められなければならないのと思った」、という感想だった。
  • ドラマではほとんどが好評意見で、複数意見があったのは『ガリレオ』が5件、『有閑倶楽部』が3件、『3年B組金八先生』が2件だった。
    『ガリレオ』には「今まで月9のドラマは恋愛物が多い中、こういう番組がでてきてくれて、とても気に入った。ミステリーものだが、あくまでも事件で起きた不可解な現象を追い、犯人はオマケみたいなものである。そこがクセになるというか、ハマる」などの意見が寄せられた。10月からのドラマは男子に人気があり、『有閑倶楽部』は全員女子だが、『ガリレオ』では2人が『金八先生』は2人とも男子だった。また女子2人からは「今シーズンのドラマはこれといって面白いものがない」という注文も寄せられている。
    他に意見が寄せられた5本のドラマのうち『ドリーム☆アゲイン』には「私のように野球好きばかりではないはずなので、つらい話の中にもおもしろい場面を作っていくと良い」という注文があったが、これ以外の『ジョシデカ』『医龍2』『暴れん坊ママ』『TRICK(再)』は好評だった。
  • 情報系番組も概ね好評だったが、『たけしの日本教育白書』には「とても内容の濃い番組でした。もし討論のコーナーがもっと早い時間にあればもっと楽しい番組になると思います。視聴率より、内容を考えた番組の構成を期待しています」と制作者への要望が寄せられた。『モクスペ 九死に一生スペシャル』は「まさに九死に一生をえた人々の実体験をもとに、それを映像化して再現したものである。人間、愛、命、死、様々な事を考えさせられた」と、『仰天・世界おもしろ学説SP』も「なぜそのような学説ができたのか、証明されるのかについて理由をしっかり言ってくれるので納得しやすい」などと好評だった。
  • その他、今月は教養番組に2件意見が寄せられた。4日間放送された『ハートをつなごう 子ども虐待』は「最近児童虐待のニュースがすごく多いのは知っていましたが、今40代50代の方々も虐待を受けて育った人が沢山居ることを知りました」、『知るを楽しむ 歴史に好奇心 明治サイエンス事件帳』も「こっくりさんに科学の力で立ち向かうというところが僕の理科魂をめらめらと燃やさせました」などと好評だった。

青少年委員会では委員から下記のような発言があった。

  • 単なる感想や意見でなく、例えば『みのもんたの朝ズバッ!』に「朝のニュース番組は忙しい人がたくさん見ているので、必要な情報をまとめる工夫をするともっと良い番組になる」とか、『クイズ!ヘキサゴン?』にも「昔のやり方と今の形を1週間ずつ交互に放送するなどしたら飽きずに見られる」などと、番組への前向きな提案をしている。こういう意見を大切にしていきたい。
  • 中学生モニターは真面目に番組を見て、きちんと評価をしてくれている。例えば中学生の間で最も話題になった番組、最もためになった番組などに「中学生モニター賞」を出したらどうか(この点についてはさらに検討することになった)。
  • ただいろいろな番組についてバラバラに報告を書いてもらっているだけではもったいない。例えば「バラエティー番組の罰ゲームをどう思うか」などテーマを設定して書いてもらい、調査などとも関連付けられたらモニター制度が意義深いものになるのではないか。

委員の発言を受け、12月のモニター報告のテーマは「バラエティー番組の罰ゲームをどう思うか」に決まった。また青少年委員会が10月に出した「『出演者の心身に加えられる暴力』に関する見解」についても感想を書いてもらう事になった。

中学生フォーラムについて

第7回中学生フォーラムは、小田桐誠委員がブレーンとして企画に関わり、2008年3月26日に開催することを決めた。

第83回 放送と青少年に関する委員会

第83回 – 2007年10月

斎藤前委員の解嘱に当たっての青少年委員会の対応について

バラエティー番組における罰ゲーム等について …など

10月23日に開催した今年度第6回青少年委員会(通算83回)では、斎藤前委員の解嘱に当たっての青少年委員会の対応とバラエティー番組における罰ゲーム等についての審議。また、9月14日~10月12日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に審議した。

斎藤前委員の解嘱に当たっての青少年委員会の対応について

青少年委員会は、大麻取締法違反で逮捕された斎藤前委員が10月3日付で解嘱されたことを受け、委員会としての対応を協議した結果、声明(詳細はこちら)を発表するとともに今回の事態への対処として、本田和子委員長が委員長職および委員を辞することとなった。

後任の委員長には委員の互選の結果、大日向雅美委員を選出した。また、副委員長は大日向委員長の指名により橋元良明委員が就任した。

バラエティー番組における罰ゲーム等について

継続審議となっていたバラエティー番組における罰ゲーム等について、前回委員会で申し合わせたとおり、テレビ局に対する要望文書の原案を本田委員長が作成し、それを基に審議した結果、若干の修正を加えることで了承した。その後、10月25日に「見解」(詳細はこちら)を公表するとともに加盟各社に送付した。

視聴者意見について

京都父親殺人事件とゲーム・アニメ番組との関連を取り上げた情報番組に対して、インターネット上で抗議文が掲載されたこともあって、「アニメが事件と類似しているような番組内容だが、事実とは違う」「事件とアニメの関連性が拡大され、このアニメが放送中止になったことに憤りを感じる」といった、主に10代男性を中心に批判的な意見が多数寄せられた。委員からは次のような意見が出された。

  • 番組内でどう取り上げられたか分からないので、ビデオ視聴して真意を確かめたほうがいいのではないか。
  • 事件との関連の有無は別にして、自主的に放送を中止したということは、表現の自由を自ら放棄しているのではないか。委員会としては中止した経緯も知る必要がある。
  • 視聴者意見では、アニメが放送中止となったのは、情報番組で取り上げたためのように言っているが、事実はアニメを放送している局が自主的に中止したのだから委員会で情報番組を問題にすることではないのではないか。むしろ中止されたアニメが青少年に影響あるのかどうかを問題にすべきだ。
  • ゲームが原作のアニメは、一般的に暴力的・性的内容が強いものが多いと言われている。そういった番組を局が自主的に中止したからといって、表現の自由を危惧することはないのではないか。

以上の審議の結果、同情報番組での京都父親殺人事件とアニメの取り上げ方について、視聴者意見が多数寄せられていることもあり、委員会として内容の確認をするため、当該局に対しビデオ提供を依頼することとなった。また、問題となったアニメを放送していた局に対しても、放送中止に至る理由と同アニメのビデオ提供について協力を求めることとなった。

次に、夕方の情報番組で小学生の強化合宿を取 材した際、男子の入浴シーンで性器が写っていたことに対し「児童・少年ポルノ愛好者の間で動画や映像として出回る危険性もある。局は児童に対してどのような責任を負うのか」「女児の裸については児童買春・ポルノ禁止法を厳しく扱っているが、男児の裸は高学年だろうとも平気で放送するのはおかしい」などといった視聴者意見が寄せられ、委員から次のような意見が述べられた。

  • 以前は、男児の裸に対してはおおらかで、問題にはならなかったが、最近は批判的な意見が多くなってきている。やはりネットなどで利用されることが影響しているのではないか。
  • 日本人の性的な感性が変わってきている。善意のつもりで子どもはかわいいからといって放送してもいいという時代ではなくなって来ている。児童ポルノに関しては、日本もようやく法律ができたが、まだまだ国際的には遅れているということを警告すべきだ。
  • 放送された裸の映像がネット上に出るなどということは、その子どもの一生に関わることなので、ポルノ禁止法の趣旨をよく理解してこういった問題を検討していくことも委員会としての役割だ。
  • 児童ポルノ関しては世界の潮流に遅れないように、法律的なことを含め、委員会でも検討していくことを考えるべきだ。

以上の審議の結果、児童ポルノに関する資料を取り揃え、今後、委員会として時間をかけて調査・研究をしていくことを決めた。

新体制での委員会活動について

大日向委員長、橋元副委員長による新体制の下、改めて青少年委員会のあり方や委員会運営について議論した。

  • 視聴者意見を基にするだけでなく、もっと社会で起きていることに対しても委員会として発信していくべきだ。
  • 中学生モニターに対して、自分が見ている番組だけで社会を知るのではなく、ほかの世界があることを教えてあげたい。例えば民放連の連盟賞を受賞した作品を見せることもその一つだ。
  • 委員会として番組を批判するばかりでなく、いい番組を選び推奨することもやっていきたい。

以上の意見交換の結果、定例の審議のほか、各委員が視聴者意見の中から関心のある社会的なテーマを事前に提案し、委員会で議論していくこととなった。そのためには、月1回の委員会の中で議論するだけではなく、メールを利用するなどして頻繁に委員同士の意見交換を行うこととした。

中学生モニターについて

後期中学生モニターに代わった今月は、8月から10月半ばくらいまでに見た番組についての感想・批判・期待することなどの意見を募集した。結果、33人の新モニター全員から、計43件(1人で複数件の報告あり)のモニター報告が集まった。報告をジャンル別に分けると、バラエティーが断然多く21件、次がドラマで8件、そしてドキュメンタリーと情報・討論番組が3件ずつ、アニメと映画とラジオ番組が2件ずつ、報道番組と音楽番組が1件ずつだった。

局別ではフジテレビ系が13件、日本テレビ系が8件、TBS系が7件、テレビ朝日系が6件、NHKとテレビ東京とテレビ愛知が2件ずつ、読売テレビ・東海ラジオ・NHKFMが1件ずつだった。

  • 件数が多かったバラエティー番組で、5番組に2件ずつ報告があった。『行列のできる法律相談所』は「バラエティーと法律という2つの要素を持つこの番組は、永久に不滅だろう」、『世界一受けたい授業SP』は「これからも、役に立つ情報や考えさせる情報をたくさん、放送して欲しいと思っています。本当にこの番組では考えさせられました」、『ウンナン極限ネタバトル』は「最近見かけなかった本物の芸人を見られるよい番組だった」、『SMAP×SMAP』は「歌、トーク、コントなどがバランスよく配分されていて、毎回飽きることなく、とても面白く見ています」、『探偵ナイトスクープ』は「視聴者参加型の番組です。どんな些細な調査でも行ってしまうところがとても好きです」などと、いずれの番組も好評だった。
    他の11番組に1件ずつ意見があったが、批判は4件で『幸せってなんだっけSP』に「細木数子のワンマンショーのような感じで全体的には少し不快でした」、『からくりNEOドミノ甲子園』に「全然レベルのちがうチームをつれてきて優勝させてしまっては、あまりにも他のチームがかわいそうです。来年この番組があっても、もう見る気はしません」、『クイズ・ガリベン』に「普通、クイズ番組は視聴者も一緒に問題を考えるから面白いのに、問題を言う前から正解が出るのでクイズ番組としてはまったく面白くありませんでした」、『ロンドンハーツ』に「イタズラ番組はおもしろいですが、あとで笑えるソフトなイタズラ番組がいいです」などであった。
  • ドラマでは、9月まで放送されていた『花ざかりの君たちへ』に「このドラマは1秒も見のがしませんでしたッ!!終わってしまってすごくさみしいです!」、「ドラマの最後にオチがあったので、そこもやはり原作がマンガなだけあるな、と思った。ドラマを見終わった後は、納得いったせいか、すっきりした」と好評意見が2件寄せられた。
    他の6番組は1件ずつで、『マラソン』に「自閉症の青年がマラソンに挑戦し、見事3時間以内にゴールする成長物語だ。自閉症の人達の施設へ行って研究してきたという演技は迫真に迫っており、自閉症に関心を持てるようになった」と言う意見が、今月から始まった『医龍2』には「できれば最初のほうで前作をまとめたものを流してほしい」という注文が、『ガリレオ』には「キャストで堅い大人っぽいドラマなのかな?と思ったけれど、見てみると笑える所もありました。これからあの2人のキャラに絶対はまってしまう気がします」という好評意見が寄せられた。
  • ドキュメンタリー分野の3番組にはいずれも共感する意見が寄せられた。『命の輝きスペシャル』に「本では読んで想像するしか出来ませんが、テレビでは本当の現実を見せてくれる所が良い所だと思います。私はこの番組を見て自分の生活環境はとても恵まれていると思いました。だから、もっとその事に気付いてくれる人が増えれば良いと思います」と。ETV特集『ごたごた荘の人々~東京・練馬共同保育所』には「ごたごた荘の魅力がある理由は”保育者と保護者が共に作る保育所”だからだ。他の保育園や幼稚園にも”保育者や保護者が共につくる”園になって欲しいと思う。構成が良く、飽きが来なく、最後まで見られた」。『世界ウルルン滞在記秋風にのって!再会スペシャル』には、「1回の番組で複数の国に出演者が訪ねて、観光では訪れることはできない、その国だけしかもっていない魅力を見ることもできる。日本の家庭とは180度違ったヌー民族の生活を見ることができ良い番組だなと思った」という内容だった。
  • 情報番組では大阪の読売テレビがキー局になっている『情報ライブミヤネ屋』について「関西の”みのもんた”との異名を持つフリーアナウンサー宮根誠司さんの冠番組が、ついに福岡でも始まりました。東京ではできない、話せないような独自の世界がさらにワイドになることを願います」という番組を推奨する意見があった。
  • その他、アニメ番組では『きらりんレボリューション』と『さよなら絶望先生』が、映画では『踊る大捜査線THE MOVIE2』と『火垂るの墓』が、音楽番組では『僕らの音楽』が、いずれも好評だった。
  • ラジオ番組ではNHKFMのラジオドラマ『風神秘抄』に「毎日15分間、15日完結のドラマだった。聞き終えて、ラジオドラマのすごさを改めて感じた。例えば異空間につながる場面。あれは「音」だけだからこそ表現できたのだ。音から自分の頭の中での想像が広がる」と言う意見が寄せられた。

新モニター最初の報告は、番組に共感し絶賛する意見が多く26件で、良かったと賛同する意見を含めると43件中37件もが好評意見であった。賛否両論を記しているのは5件、良くなかったと批判しているのは1件だけだった。

第82回 放送と青少年に関する委員会

第82回 – 2007年9月

斎藤副委員長逮捕への対応と今後の委員会活動について

バラエティーにおける罰ゲームやいじめ等について …など

9月25日に開催した今年度第5回青少年委員会(通算82回)では、斎藤副委員長逮捕を踏まえた青少年委員会の今後の活動について議論した。また、バラエティーにおける罰ゲームやいじめ等について、7月18日~9月12日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見ならびに8・9月分の中学生モニターからの意見を基に審議した。議事に先立ち、6月15日に辞任した鈴木秀美委員の後任として、9月1日付で青少年委員会委員に就任した小田桐誠委員を紹介した。

小田桐誠(おだぎり・まこと)委員

ジャーナリスト
1953年生まれ。77年亜細亜大学法学部卒業後、日本実業出版社入社、79年同社退社。『週刊現代』『現代』『AERA』『宝石』などで、教育、事件、人物ルポ等の記事を執筆。80年代後半から、放送メディア関連のレポートを数多く発表。著書に『テレビのからくり』『PTA改造講座』『企業脅迫!-グリコ・森永事件の構図』など。04年から『GALAC』の編集長。現在、法政大学社会学部、武蔵大学社会学部の兼任講師も務める。

斎藤副委員長逮捕への対応と今後の委員会活動について

冒頭、事務局から大麻取締法違反で逮捕された斎藤次郎副委員長について、現時点での事実経過の説明とBPOとしての対応の報告があった。

その後、委員会としての対応と今後の委員会活動について議論した結果、「委員会としては、これまで同氏とともに委員会活動を行ってきたことへの責任を痛感しているので、同氏の処遇についてBPOの決定があった後、青少年委員会としての対応を明らかにする」ことを確認した。

また、委員会として、中学生モニターや中学生フォーラム等の活動は今後も継続して行うことを申し合わせた。

バラエティーにおける罰ゲームやいじめ等について

前回(7月)委員会で申し合わせたとおり、この問題については審議を重ね委員会としての結論を出すことになっているが、本田委員長から「青少年委員会では、2000年に『バラエティー系番組に関する見解』を公表し、放送局に対して暴力シーンやセクハラに関しての要望をしているが、寄せられる視聴者意見を見ても、同見解が遵守・徹底されていないと言わざるを得ない。同見解には、委員会としての考え方だけでなく、放送の公共性、番組基準の徹底、放送局の責任体制の確立などあらゆることが網羅されているので、これ以上付け加えることは見当たらないが、2000年以後社会状況も変化し、肉体の露出度や性的表現の基準が寛容になってきているので、その点を踏まえテレビ局に対して同見解の再確認の要望を出すべきと考えている」といった提案が出され、これを基に継続審議することとなった。また、委員から「スポンサーの責任についても指摘していくべき」との意見があり、併せて検討していくこととなった。

視聴者意見について

セクハラ事件を起こした大学准教授を取り上げた情報番組で、インターホン越しではあるが、同准教授の高校生の長男にインタビューしたことについて「未成年に対して行き過ぎではないか」「容疑者の家族、とりわけ青少年への取材には配慮を望む」といった視聴者からの意見が寄せられ、委員からは次のような意見があった。

なお、事務局で当該局に事実確認をした結果、すでに担当部長が取材現場に対し「配慮が足りなかった。今後は再発防止を徹底するように」とのの注意をすでに行っていたとの報告があった。

  • 未成年者へのインタビューについては、各局ともガイドラインを作成しているはずだが、実際の取材現場でどう捉えられているのかが疑問だ。チェック体制と現場の意識が乖離しているのではないか。
  • 未成年者へのインタビューなどについては、「児童殺傷事件等の報道についての要望」(05年)の中で、”児童へのインタビューは、慎重を期すよう要望したい”と明記してあるのを確認してほしい旨の文書を出すべきだ。
  • 放送局の現状を考えると、注意喚起のため、やはり文書は出すべきだ。

以上の審議の結果、当該局に対し「未成年者へのインタビューの配慮については、より以上の徹底を取材スタッフに行ってほしい」旨の文書を出すこととなった。

中学生モニターについて

今月は27人から35件のモニター報告が寄せられた。

分野別ではドラマが一番多く18件、続いてバラエティーに関する意見が7件、あとはスポーツ番組と音楽番組が3件ずつ、またアニメ番組と情報・討論番組が2件ずつだった。

局別ではフジテレビ系が16件、日本テレビ系が7件、テレビ朝日系が4件、NHK3件、TBS系とテレビ東京系が2件ずつだった。

  • 今月は最終回を迎えるドラマに対して、沢山の報告が寄せられた。一番多かったのは『花ざかりの君たちへ』で6件、「現実離れしていて本当ではありえない話が面白い」「マンガとはちがって”イケメンパラダイス”となっていて、友だちと好みが分かれたりして語り合えた」「最後までよく考えられていると思える終わり方だった」などといずれも好評だった。
    5件報告があった『ライフ』は好評が3件で賛否両論ある意見が2件だった。好評意見は「少し現実離れしたスケールのいじめですが、その壮絶さがまたいいと思いました」などで、「見始めると次はどうなるかとハマル」という指摘も数多くあった。否定的意見は「いじめがリアルで少しやりすぎ」「主人公がいじめていた人をかばう結末がキレイにできすぎ」などだった。
    2件ずつ意見があったのが『探偵学園Q』と『勉強していたい!』で、いずれも好評だった。後者は3回シリーズで、重病で入院中の子どもと教える若い教師を描いたもので、「ドラマの内容から考えさせられるメッセージが随所にあり、久しぶりに心に届いたドラマでした」という意見だった。
  • バラエティー番組はすべて1件ずつで、好評だったのは4番組で『「ぷっ」すま』は「毎週違う企画で飽きさせない、内容が本当に面白い」、『天才!志村どうぶつ園』は「たくさんの動物のかわいらしさが分かる」、『水10』は「オリエンタルラジオが様々なミニゲームをゲストとやるので面白いときはすごく面白い」、『熱血!平成教育学院』は「頭を働かせられる良い内容」などだった。
    批判意見があったのは2番組で、『クイズ!ヘキサゴン』には「順位の低かった人をけなしていてそれを笑いにしている感じで本当にさみしい」、『一瞬で笑えるネタ祭り』には「とにかく忙しいのが気になった、また大賞が一人の独断と偏見で決まるのはおかしい」というものだった。
  • その他、スポーツ番組では『世界陸上2007』に2件で、司会の2人が好評で競技も「真剣な勝負は下手なドラマより見ごたえ」があったという意見だった。ただ事前に競技時間を言わず、CMや録画で引っ張る手法には批判があった。
    音楽番組では『MUSIC JAPAN』のネオ・ビジュアル特集が、「海外で話題を集めているジャンルの企画で、BSの完全版がとてもよかった」と好評だった。
    アニメでは『結界師SP』は「緊張感がバリバリしている」と好評で、『DEATH NOTE』は「発想が斬新だが怖い」という意見だった。
    情報番組では『近未来予測!テレビ”ジキル&ハイド”』に「改めて大規模な災害が起こるとたくさんの人の命が危険にさらされることが分かったが、CMの前や後に同じ所を何回も流していてうっとうしかった」という意見が、『あらすじで楽しむ世界名作劇場』には「絶対に読まない本がアニメやドラマで紹介され分かりやすかった。レギュラー番組になるのを期待している」という意見が寄せられた。

委員会では『ライフ』に関して、一般視聴者からは批判的意見が多く寄せられたが、中学生の意見はしっかり見ていて貴重だという意見が出された。また8月に命の大切さを訴えた『はだしのゲン』や『ゾウの花子』などのドラマシリーズや『あらすじで楽しむ世界名作劇場』など良質な番組に関心を持つ中学生も多く、こういう番組を放送する意味は大きいという意見もあった。

2007年度前期モニターは9月の報告が最後で、10月からは全国から選ばれた33人のメンバー(応募者100人から選考)で新たなスタートを切る。

<調査研究について>

橋元委員から「今、テレビは子ども達にどう見られているか?」の調査について、報告書の原稿が出来上がり、10月末の刊行を予定しているとの報告があった。

シンポジウム

「”テレビは王様”の時代は終わるのか?~小中学生36人インタビュー調査を受けて~」の開催

9月13日、東京の千代田放送会館で放送関係者など128人が参加し、シンポジウムを開催した。第1部は、青少年委員会の橋元良明委員が、昨年10月から実施した小中学生36人を対象に行ったインタビュー調査「今、テレビは子ども達にどう見られているか?」の調査結果を報告。

第2部のパネルディスカッション「”テレビは王様”の時代は終わるのか?」では、第1部の調査報告を受け、パネリストの横澤彪・鎌倉女子大学教授、岡田惠和・脚本家、小川善美・(株)インデックス社長、藤田真文・法政大学教授、橋元良明・青少年委員会委員(司会は小室広佐子・東京国際大学准教授)が子どものテレビ離れ進むといわれる現状とテレビ番組のこれからについて議論を展開した。

このシンポジウムの詳細は、冊子としてまとめ11月末に発行する予定。

休会

休会 – 2007年8月

中学生モニターについて

中学生モニターについて

8月は、6月以前と同様ひと月ほどの間に見た番組の感想・批判・期待することがテーマで、25人から43件のモニター報告が寄せられた。 分野別ではドラマが一番多く21件、続いてバラエティーに関する意見が16件、あとはぐっと減ってアニメ4件、情報番組が2件となっている。

局別ではフジテレビ系が19件、日本テレビ系が12件、TBS系6件、NHK・テレビ朝日系・テレビ東京系が2件ずつだった。

  • ドラマでは、2週にわたって放送され命の大切さを訴えた「“千の風になって”ドラマスペシャル」への関心が高く、4人から意見が寄せられた。『家族へのラブレター』には、「公募で寄せられたエピソードをもとに映像化され、決して“遠い世界の話”ではないような内容なので、とても泣けました」。『ゾウの花子』には「お父さんがこの話悲しいよ、と言っていたので見ることにしました。本当に悲しい話で、戦争は本当に残酷なんだなぁと思った」。『はだしのゲン』には「たった一つの爆弾のせいで、平和で楽しかったゲンの家庭はひきさかれてしまったのです。核兵器はこの世から廃絶すべきです」、「ご飯や食べ物がない中で、生きていくというのはとても厳しいです。僕もこれからは食べ物を残さずきれいに、文句を言わずに食べたいです」の2件。いずれの番組も好評だった。
    3件意見があったのは3番組で『花ざかりの君たちへ』は「すべてが楽しくて、批判するところとか全然ありません。友達との会話のたねにもなるし、親とも楽しんでいます」などと好評だった。『探偵学園Q』は「私はいつもどんなトリックなんだろうとワクワクして見ている」など謎解きが楽しいと好評だったが、「死体がそのまま出たりして怖いです」という指摘もあった。『パパとムスメの7日間』は「ほかのドラマとは別の印象を1話目から受けて、とても楽しかったです。今ではしっかり毎週見ています!」などと概ね好評だった。
    また2件意見があったのは『ファースト・キス』と『ライフ』で、前者は「内容がすごく見てみたいと思ったし、見てからは物事をハッキリ言うところがイイと思いました」「期待してみたが、期待はずれ。2話目からは見なかった」と意見が分かれた。後者は、いずれも男子からだったが、「イジメについてマジメに考えている良いドラマだと思います」「最近クラスで話題の番組で、人気があると思います」と肯定的な評価だった。しかし1人は「僕が番組を見て思ったことはいじめをする側はやりすぎているということです」と書き加えている。
  • バラエティー分野で目立ったのは『24時間テレビ』で、4件意見が寄せられた。「1つ1つの内容が、前回よりパワーアップしていて感動でき、面白い内容も盛りだくさんでした」、またマラソンも「欽ちゃんが頑張っている姿に感動しました」と概ね好評だったが、「普段は別にお金を寄付したりしてない人でも、この番組に出るとすごくいい人みたいになっている」「例年通りなら100km以上走っているのに、今年は70kmだった」などの注文もあった。そして裏番組の『脳内エステ IQサプリ』と『めちゃ2イケてるッ!』が、「芸人の立ち位置が変わる瞬間」・「24時間対抗テレビ」などとパロディーを放送したことについて、「ここまですると日テレで一生懸命がんばっている人たちにも失礼だと思いました」という批判意見が寄せられた。
    また『あいのり』には「内容はとても面白かったが、台湾に親日派の人が多いのは何故というコーナーで、さも日本が行った同化政策が正しく、台湾に利益をもたらしたかのような放送を行っていた」という意見があった。
  • その他、アニメでは『ハヤテのごとく』に「良いパロディーが詰まってる」、『コードギアス 反逆のルルーシュ』に「2期を楽しみに待ちたい」などの意見があった。
    情報番組では『王様のブランチ』が、「さまざまなジャンルの旬な情報を教えてくれるローカル番組だ。ローカル番組なのがもったいないと思う」と好評だった。

第81回 放送と青少年に関する委員会

第81回 – 2007年7月

罰ゲームやいじめ等に関する継続審議について

視聴者意見について …など

罰ゲームやいじめ等に関する継続審議について

本田委員長から「前回委員会での審議の結果、今後、バラエティー番組での罰ゲームやいじめ等に関してさらに議論を深めていくことを決定したが、具体的には次回の9月委員会でこの問題について多角的に議論したい。まずそれに向け、罰ゲームと思われるものが出てくるバラエティーや視聴者から苦情が寄せられたドラマ等の番組を委員それぞれが視聴して、次回委員会の審議に備えてほしい。また、テレビでのいじめ等が子どもたちに及ぼす影響については、はっきりと実証されてはいないが、そうだという意見もあって、その点についても議論していきたいので、それに関する文献等があれば提供いただきたい。委員会としては、改めてこの問題を審議し、そのうえで放送局側に要望を出すことについても考えたい」との提案があり、了承された。

視聴者意見について

7月から始まった高校が舞台のいじめをテーマにした深夜帯の連続ドラマに関して、「いじめを助長する」「いじめのシーンが陰湿で刺激が強い」といった視聴者からの批判的な意見が多数寄せられ、委員からは次のとおり発言があった。

  • 連続ドラマについては、最終回までの全体を見ないとなんとも言えないところがあるので、1、2回だけを見て判断することは難しい。今後の展開を注視していきたい。
  • 連続ドラマの場合、途中の描き方に問題があっても最終的には視聴者が納得できる結末で終わるように作られていることが多いので、過剰に反応する必要はないのではないか。
  • 放送局は、現代社会をテレビドラマの中に反映させて作っている。内容のいい悪いは別にして、いじめといった社会の病理を描くことには意味がある。

次に、いじめ問題を取り上げた情報番組の中で、コメンテーターが「いじめられる子が悪い」といった発言について、視聴者から「こういった発言はご法度で、教育委員会に聞いたら”言うべきではない、放送なら尚更だ”と言っていた。謝罪なり訂正してほしい」と意見が寄せられ、委員から次のような発言があった。

  • いじめられている子どものことを考えると視聴者からの意見の内容はもっともだが、公的機関を権威づけに使って謝罪や訂正を求めるのはいかがなものか。
  • いじめ問題は、いじめられる子ども=被害者、いじめる子ども=加害者というかたちだけではなく、いじめる子がいじめられる子になったり、またその逆のケースもあるように複雑なこともあるので単純に論ずることはできない。

このほか、今年度からBPOのホームページにおける青少年に関する意見の掲載方法を、BPO全体で統一したことについて、「意見のとりまとめが集約しすぎてわかりにくい」「以前のように詳細に掲載したほうが、視聴者がなにを考えているか分かり有効だ」といった視聴者意見が寄せられ、委員からは次の意見が述べられた。

  • HPの視聴者意見には”お断り”として「あまり長い文章は要約、類似意見は代表的なものを掲載する」ということを明記しているので、分かってもらうしかない。
  • 寄せられた意見を全部そのまま掲載するわけにはいかないのだから、ある程度整理するのは仕方がないので、このままでいいのではないか。

以上の意見が出され検討した結果、掲載するに当たっては公正に処理しているので、当分は現状の方法で掲載することにした。

中学生モニターについて

7月はモニター会議に向けて、「好きな番組・嫌いな番組、その理由」というテーマで意見を募集した。

意見を寄せてくれたのは28人。分野別ではバラエティーに関する意見が33件(好き12、嫌い14、好き嫌い両方7)でドラマについてが17件(好き13、嫌い2、両方2)だった。あとは件数がぐっと減ってアニメが3件(好き2、両方1)。2件ずつ意見があったのが、音楽番組(好き2)とニュース系番組(好き2)、スポーツ中継(嫌い2)だった。そして情報番組(両方1)が1件だった。局別ではフジテレビ系が23件、日本テレビ系が14件、TBS系8件、テレビ朝日系6件、テレビ東京系3件、NHK1件などだった。

  • バラエティー分野では、『はねるのトびら』に7件(好き2、嫌い3、両方2)と意見が集中した。好きという意見は、「テンポが良く”短縮鉄道の夜”や”ほぼ100円ショップ”のコーナーが面白い」というもの、嫌いという意見は「”ギリギリス”や”つかじクリニック”のコーナーの罰ゲームなどが度を越していて不快だ」というものだった。
    次は『めちゃ2イケてるッ』に3件(好き1、嫌い1、両方1)で、「毎週10年見続けた、友情の大切さを知った」という大ファンの意見がある一方、嫌いは「危険なゲームが心配・食べ物を粗末にしている」という意見だった。
    2件意見があったのは『中井正広のブラックバラエティー』(好き1、嫌い1)と『脳内エステIQサプリ』(好き1、両方1)。前者では、好きは「ウケをねらっていないけど面白い番組」という意見で、嫌いは「正直伝えたい事が分からない、食べ物の扱いもひどすぎる」という意見だった。後者では、好きは「家族と競って問題が解けて面白い」など、嫌いは「最近は問題がややこじつけ的になっており、食べ物でつっている感じもある」というものだった。
    他に好きな番組としては『天才!志村どうぶつ園』『嵐の宿題くん』『まごまご嵐』『学校へ行こう!MAX』『ドッカ?ン』『平成教育委員会』『水10!』、好き嫌い両方は『ザ!鉄腕!DASH!!』『行列のできる法律相談所』『いきなり!黄金伝説』『アドレなガレッジ』『アメトーク』、嫌いは『芸恋リアル』『ズバリ言うわよ!』『オーラの泉』『ミリオン家族』『笑いの金メダル』などだった。
  • ドラマでは4本の番組に2件ずつ意見が寄せられた。『パパとムスメの7日間』(好き2)は、「素朴な人間関係が描かれ、オーソドックスなストーリーで安心感がある」、『牛に願いを』(好き2)は、「現実問題も重ね、愛と成長と感動の青春を自分も体験している気持ちになれるし、メッセージ性が強くてよい」という意見だった。『探偵学園Q』(好き1、両方1)は、好きが「ドキドキしスリルがある。ドラマとマンガのイメージが似かよっていて良い」、嫌いが「残酷でグロテスクそして放送時間が遅すぎる」というものだった。『花ざかりの君たちへ』(好き1、両方1)は、好きが「意外性があり主人公が楽しそうに見える」、嫌いが「映像にハートマークを入れたりして作りすぎだ」などだった。
    その他好きな番組として『わたしたちの教科書』『ライアーゲーム』『プロポーズ大作戦』『山田太郎ものがたり』『どんど晴れ』などが、嫌いな番組として『喰いタン2』『バンビーノ!』などがあげられた。
  • 他に2件意見があったのは『ニュースZERO』(好き2)。「2人のコメンテーターが出て来るのでいろいろな見かたができる。その日の出来事があった時間が分かるので見やすい」という内容だった。
    その他アニメ番組では『REBORN』(好き1)『ハヤテのごとく!』(両方1)などに、音楽番組では『うたばん』(好き1)と『ミュージックステーション』(好き1)に、情報番組では『サンデーモーニング』(両方1)に意見が寄せられた。
    分野全体に対する意見は、スポーツ中継に2件(嫌い2)で、「放送延長で番組の時間が変わるのが迷惑」などだった。
    青少年委員会での委員の発言を紹介する。

    • やはり罰ゲームに関心が高くバラエティー、特に『はねるのトびら』に数多く意見が寄せられている。モニター会議でもいろいろ議論ができるだろう。
    • 『ニュースZERO』が好評だが、「事件などが起きた時間が出るのが、自分の行動と比べられて良い」という意見があった。いろいろ考えている番組だ。
    • 『オーラの泉』への意見で「人には見えないものを武器にするのはズルい」という意見は的確な番組批判だ。
    • 中学生モニター会議で単に番組の好き嫌いを言い合っても仕方がない。テレビ番組について批評しメディアリテラシー力を養う必要がある。

中学生モニター会議

7月27日に開かれた「中学生モニター会議」には、全国から14人のメンバーが集まり、青少年委員会委員と活発に意見交換をした。

青少年委員会本田和子委員長のあいさつの後、青少年委員が自己紹介し、中学生モニターがモニターに応募した理由やどんな番組を何時間ぐらい見ているか話したあと、話し合いが始まった。

7月のモニター報告「好きな番組・嫌いな番組、その理由」をもとに、まずバラエティー番組について好きな理由・嫌いな理由そして罰ゲームの是非についてなど1時間ほど話し合った。ドラマについては、番組改編期に新しいドラマをどう探すか、どんなドラマが好きか、賛否両論あるドラマについてなどを話し合った。そしてその他の番組についても触れた後、テレビとケータイの比較について、大切なのはどちらかなどを話し合い3時間のモニター会議は終了した。

9月上旬には会議の模様をまとめた冊子を発行する。

<調査・研究活動について>

橋元委員から「今、テレビは子ども達にどう見られているか?(仮)」の調査について、報告書は最終原稿のチェック段階に入っている。今回の調査では、インタビュー、事前アンケート、日記式の3つの方法で調査を行ったので、それらをどう使い分けるかが難しいところだ。また、今回は量的調査ではないので、少数意見をどう盛り込んでいくか再度検討することになっている、との報告があった。

第80回 放送と青少年に関する委員会

第80回 – 2007年6月

フジテレビ『はねるのトびら』について

視聴者意見について …など

フジテレビ『はねるのトびら』について

『はねるのトびら』におけるシリコンゴム巻きのパフォーマンスについて、再度審議した。

各委員の意見は次のとおり。

  • シリコンゴム巻きだけをターゲットにして文書を出しても、また別の罰ゲームが出てくれば同じことであまり意味がないのではないか。視聴者や中学生モニターの意見に出てくるほかのバラエティー番組を視聴し、罰ゲームといじめ問題について時間をかけて議論したうえで、委員会としての姿勢を示すことが望ましい。
  • 視聴者意見だけを基に議論するのではなく、委員会が自主的・集中的にバラエティー番組を視聴して罰ゲームの子どもへの影響についてもっと議論することを提案したい。
  • 委員会としては、すでにバラエティー番組における罰ゲームなどについて「バラエティー系番組に対する見解(2000年11月29日)」を出しているが、あまり効果は見られていない。これを機会に改めてこの問題について審議するする必要があるのではないか。
  • 罰ゲームについては、問題があるたびに委員会として指摘しているが、同様のものが出てくることをみると、いままでの経緯が生かされていないのではないか。局の番組審議会で審議することも重要だが、7月に開催されるモニター会議に制作担当者を呼んで中学生モニターと罰ゲームについて意見交換するほうが意義あるのではないか。
  • モニター会議で制作者の意見を聞いても結局その場限りで終わって局全体の取り組みにはならないのではないか。今回のシリコンゴム巻きだけでなく、罰ゲームといじめについては、自粛を促す文書を委員会として出すべきだ。
  • 前回委員会でも時間をかけて議論し、さらに今回も検討した結果として、やはりフジテレビに対して再度「シリコンゴム巻きの危険性の検討」と「番組審議会への報告」については、文書にして出すべきである。
  • 回答に記された「番組審議会での審議予定はない」といった局の態度は問題だ。局として番組審議会で審議するなど社内できちんと問題点を継承しているようには思えないので、自局の番組には責任を取る姿勢を示してほしい。
  • 「放送法第3条の4の?」には、苦情その他の意見概要は審議会等へ報告することが明記されているのだから、青少年委員会からの「回答要請」等の文書は審議会等に報告することが当然と考えていいのではないか。

以上、前回委員会の議論を踏まえてさらに検討した結果、フジテレビに対して「シリコンゴム巻きの危険性について今後の適切な対応を期待する。また、『はねるのトびら』に関して同社の番組審議会への報告を求める」旨の文書を出すことを決めた。また、委員会ではバラエティー番組での罰ゲームといじめに関して、今後、議論を深め審議を進めることとなった。

視聴者意見について

バラエティー番組で出演者の女性タレントにいたずらを仕掛ける企画について「番組の中でインターネットに悪口を書き込んだり、ノーメイクの写真を動画サイトに送ったり、悪意のある使用方法を紹介していて問題だ」といった意見が多数寄せられ、委員からは次のとおり発言があった。

  • インターネットを使ったいじめは影響が大きく、それをテレビが率先してやるということは問題ではないか。
  • テレビ番組でやるということは、当たり前のこととして市民権を与えてしまうことになり、いじめを助長するようなものだ。
  • 悪質なものには市民権を与えないよう”NO”と言っていくことが委員会としての役割だ。
    また、「会津若松頭部切断事件」と「長久手立てこもり事件」について、「過剰な報道が多く、青少年に悪影響を与える」「取材・報道が行き過ぎだった」といった報道のあり方に関して視聴者意見が多数寄せられ、委員から次のような意見が述べられた。
  • 事件・事故報道は、各局必死でやっているので、ある程度過熱になるのは仕方がないが、取材対象者にストレスを与えたり、各局が同じ方向に行くことは考えるべきだ。
  • 事件・事故が起きた直後の報道には人権問題や公にできないこともあって制約が多いが、時を経てから真実を解き明かしていく検証報道等がある。こういったテレビ報道の実態を子どもたちに伝えていくことも必要だ。

中学生モニターについて

今月は全国の中学生モニター28人から39件(1人で複数件の報告有)の意見が寄せられた。内容はバラエティーについてが一番多く16件、ドラマが14件、情報・討論番組が4件、アニメ番組と教養番組が2件ずつ、CMについてが1件だった。局別ではフジテレビ系が13件、日本テレビ系が8件、TBS系7件、テレビ朝日系4件、NHK3件、テレビ東京系2件、テレビ愛知が1件だった。

  • 件数が一番多かったバラエティー分野では、『はねるのトびら』に今月も2件意見があったが、他は1件ずつだった。『はねるのトびら』は賛否に分かれ、「やっぱり一番面白いのは”短縮鉄道の夜”というコーナーです。今流行っている言葉とかを知ることができるので、とても面白いです」という意見と、「どのコーナーも何ていうか、品がない、伝えたい意味が分からない」という意見だった。『学校へ行こう!MAX』は今月も好評で「視聴者からの1本の投稿ビデオがハリウッドスターに演奏を聞かせるまでに広がっていく番組の影響力はすごい。こういう視聴者参加型の番組はすごく面白い」という意見だった。他に好評だった番組は『ガリレオの遺伝子』、『めちゃ2イケてるッ』『とんねるずのみなさんのおかげでした』『田舎に泊まろう!』など。また『日曜ワイド・大胆MAP』には、普通ではあり得ない設定が多いという批判が、『いきなり!黄金伝説』にはマナーが悪いという批判が寄せられた。
  • ドラマでは4本の番組に2件ずつ意見が寄せられた。『わたしたちの教科書』は「このドラマは、本当にすごいと思う。近頃の薄っぺらいドラマと違い深い深いドラマである。その理由はおそらく人物の描き方だろう。たまにこのような深い人間ドラマが放送されると、身がひきしまる思いがする」、「中学校が舞台という事で、中学生の自分も他人事ではないと思い、いつも見ていてイジメ等の問題について考えさせられています。今までにないマジメなドラマだと思います」などと好評だった。『ライアーゲーム』も「トリック等で頭を使う事が多いので最高です。この系統のドラマを増やしてほしいです」などと好評だったが、放送時間をもっと早くしてほしかったという要望もあった。『プロポーズ大作戦』も「ありきたりなラブストーリーだろうなと思っていましたが、見てみるとタイムスリップの所とかで話が結構こっていて、見ごたえがありました」などと好評だった。『生徒諸君!』には、先月「あまりに悲惨な内容で3話見たところで見るのをやめてしまった」という意見が寄せられたが、今月は「私は現実をしっかり捉えていて、とてもいい内容だと思いました」という好評意見と「たいした山場となる所もなかったような気がします。原作を読んでみたいと思うのが今の感想です。原作とテレビの違いが知りたくなるくらい、テレビに足りないものがあるような気がしてしょうがないです」という批判意見に分かれた。
  • 情報系番組では『藤原紀香 陣内智則 披露宴生中継』に「マスコミだけが視聴率のために大騒ぎしているという感じで、我が家では全員しらけていた」という批判意見が寄せられた。
  • アニメ番組では『アイシールド21』には「みんなが何か1つの夢に向かってがんばるというのは、とても良いことだと思います。感動したりするアニメはあまりないので、とてもいいアニメ番組だと思います」という好評意見が、『セイントオクトーバー』には「土曜日の朝あたりにやる番組かと思いきや深夜枠に。子供に影響を及ぼす番組でも無いからこれは朝でもいいのではないか」という注文が寄せられた。
  • NHK教育テレビの2本『ETV特集 ワタシの見たニッポン』と『明日をつかめ 平成若者仕事図鑑』は好評で、『平成若者仕事図鑑』には「将来どういう仕事に就けばいいのか今悩んでいるので、仕事の情報があるのはいいことです。これからもいろいろな仕事を取り上げてほしいです」という意見も寄せられた。

少年委員会での、委員の主な発言を紹介する。

  • 『はねるのトびら』について、芸人が院長になりモデルや芸能人にカウンセリングするコーナーへの批判と、他のコーナーも面白いけど品がないという意見があった。「心から笑える楽しい番組になるように期待しています」という中学生の声に耳を傾けるべきだ。
  • 『行列のできる法律相談所』への「だんだん内容が低下している。バラエティーの部分とまじめな部分とのバランスの取れた内容に期待したい」という意見も説得力がある。
  • 『学校へ行こう!MAX』への「視聴者参加型の番組は面白い」という評価には共感する。
  • 『生徒諸君!』に関して、先月のモニター意見への反論も出されている。中学生モニター会議での議論を期待したい。
  • 連盟賞の地区審査に参加したが、目を見張るようなドキュメント番組があった。是非全国の子どもたちに見てもらいたい
  • 子どもに配慮する放送時間帯の問題について話がおよび、「現行は5時から9時であるが、やはり11時くらいまでは子どもへの配慮が必要になっている」という意見と、「11時までにすると子どもが11時過ぎまで起きていることを奨励することにならないか」という意見が出され、継続して審議していくことになった。

7月の中学生モニター報告のテーマは「好きな番組・嫌いな番組、その理由」とし、7月27日に開催される「中学生モニター会議」でも、この報告をもとに話し合うことになった。

調査・研究活動について

橋元委員から「今、テレビは子ども達にどう見られているか?(仮)」の調査について、報告書全体の構成が決まり、8月下旬を目途に完成する予定になっている。9月のシンポジウムで発表するが、インタビューの引用、図表等もあるので相当のボリュームになる、との報告があった。

第79回 放送と青少年に関する委員会

第79回 – 2007年5月

フジテレビ『はねるのトびら』に関する回答を基に審議

中学生モニターについて …など

フジテレビ『はねるのトびら』に関する回答を基に審議

『はねるのトびら』のシリコンゴム巻きについては、前回委員会で審議し、フジテレビに対し下記の文書で回答を求め、今委員会では同社からの回答を基に審議した。

〔フジテレビへの回答のお願い〕

2007年4月27日

  • 子どもが模倣する可能性、また、模倣した場合の危険性についての配慮はあったのか。
  • 危険予告や模倣禁止のテロップ(「危ないので、真似をしてはいけません」など)が入っていないのは何故か。
  • 同パフォーマンスは、今後も採用される予定があるか。

なお、貴局の番組審議会で審議予定がある、あるいは、すでに審議した場合は、その旨もご記載ください。

〔フジテレビからの回答〕

2007年5月11日

4月27日付け「視聴者からの意見に対する回答のお願い」に対して以下の通り、回答申し上げます。

今回のパフォーマンスは年少者の視聴割合が高い当番組の放送時間帯(毎週水曜日19:57~20:54)を考えた場合、非常に配慮に欠けた内容であったと申し訳なく思っております。

今回のパフォーマンスにおいては企画立案の段階から安全性に特に注意し、撮影に使用する道具(シリコンゴム)を厳選した上、スタッフによるパフォーマンスのシミュレーションを徹底的に行ない安全面を確認し実施致しました。使用した道具による安全性は確保されていたとはいうものの、その道具が一般の方にはなじみが薄く代替品によって年少者が模倣する可能性については配慮に欠けていたと思っております。更に代替品による模倣の可能性の意識が希薄であった為、その危険性に対する注意喚起のテロップなども欠落したことは大変申し訳なく思っております。

今後は番組が視聴者、特に年少者に与える影響力を最大限考慮し、同パフォーマンスを実施する場合には再度安全面に留意し、放送上の注意喚起を徹底させ、よりよい番組作りに邁進する所存です。

また、ご質問にありました当社の番組審議会での状況ですが、現時点では当該放送内容に関しての審議履歴も審議予定もございません。

各委員の意見は次のとおり。

  • 配慮に欠けていたことを謝罪している点は認めるが、シリコンゴムの安全性を確認しただけで、ほかのもので子どもが真似することについて意識が行かなかったということには驚きを感じた。
  • 安全面に留意しながら今後もシリコンゴムのパフォーマンスを続けると受け取れるが、身体を痛めつけるような行為についてはもっといろいろな角度から社内で検証してほしい。
  • 注意喚起のテロップを入れれば問題がなかったように受け取れるところが気になるが、危険性については委員会の指摘を受け入れているので回答のお願いを求めた意味はあったのではないか。
  • 自社の番組審議会での審議予定はないとあるが、このパフォーマンスについて回答要請したことをあまり問題視してないのではないか。もっと社内で検討することが望ましい。
  • 視聴者意見を基に青少年委員会で審議し、その番組に問題があると指摘された場合は、当該局はその事実を自社の番組審議会に知らせてほしい。委員会としても”審議会に知らせてください”ということをお願いしていいのではないか。

以上の審議を踏まえて、フジテレビに対して、「シリコンゴム巻きを含め、同番組で行われている身体を痛めつける罰ゲーム的な行為について、今後の制作にあたっては危険性などをもう一度吟味してほしい」また、「今回の『はねるのトびら』に関する経緯を自社の番組審議会において報告することを希望する」旨の文書を出すことを決めた。なお、今月は中学生モニターからも『はねるのトびら』について、「見ていて元気が出てくる」など良い点も挙げながらも、「”ひどすぎる””かわいそう”と思える罰がたくさんある」といったレポートが寄せられており、参考として文書に加えることとなった。

〔委員会終了後、フジテレビ『はねるのトびら』に対する文書について、さらに検討した結果、より議論を深める点があるとの結論に達し、次回委員会で再度議論することになった。〕

次に、視聴者意見の審議では、「バラエティー番組の中で、若手芸人に対し性器を見せろと強要していた」とか「ラジオの深夜放送での性的表現がひどい」といった性に関するモラルの低下についての視聴者意見に対し、委員からは次のような意見が述べられた。

  • あまり過剰な反応をするのはいかがなものかと思うが、全体的にテレビ・ラジオとも性に対するモラルが低下しているのは問題だと思う。
  • ラジオの深夜放送はアナーキーなメディアで、また生放送なので放送基準すれすれでやっていることもある。テレビと同じに論じるのは無理があると思う。
  • 性に対する品性は確かに低下している。これがいいとは思わないが、あまり神経質に過剰反応して世の中すべてが性に対してクリーンになることには疑問を感じる。

また、同じく性のモラルについて、「幼児の全裸が出てくる映像や小学生くらいの少女を男性が抱き上げるシーンで下着が見えたりすることについて、今、保育園では、1歳の子どもを扱う時は同性の保育士がやるなど気を使っている。幼児に対して性的興味を持たせる映像は流すべきではない」という視聴者意見に対し、委員からは「この意見は少し過剰な反応ではないか。今は男性の保育士もいるので、女性の保育士しか小さな女の子を扱うことができなくなってしまう」という発言があり、これに対し「テレビでは、かわいいからと小さな子どもの裸や女児の下着が見えることも放送しているが、日本は子どもの性についてまだまだ鈍感ではないかと感じる。今は学校内での教師による猥せつ事件や幼児への性的虐待について社会的意識が高まっているので、現状を認識して番組を作ってほしい」といった意見が出された。

なお、前回委員会から検討することとなった「委員会が問題視している番組の提供スポンサーの責任」について、「”企業のコンプライアンスとして、低俗番組のスポンサーとなることに疑問を感じる”といった視聴者意見が寄せられていて、改めてスポンサーの責任について検討する必要を感じた」との委員からの発言があり、今後の取り組みとして「スポンサーの責任を認識してもらうために、広告担当者ではなく経営のトップの方と青少年委員会が懇談する場を設けてはどうか」という提案が出され、検討することとした。

中学生モニターについて

今月は全国の中学生モニター30人から43件(1人で複数件の報告あり)の意見が寄せられた。今回は地域放送の番組についての報告もあった。

内容は、今月はドラマについてが一番多く16件、バラエティーが15件、アニメ番組4件、情報・討論番組とニュースと映画が各2件、音楽番組とドキュメンタリーが各1件だった。

局別ではフジテレビと日本テレビが14件ずつ、NHK5件、テレビ朝日3件、テレビ東京とTBSが2件ずつ、朝日放送・東海テレビ・テレビ愛媛が各1件だった。

  • ジャンル別で件数が一番多かったドラマでは、『バンビーノ!』に4件、『ライアーゲーム』に3件意見が寄せられた。『バンビーノ!』は意見が賛否に分かれた。好評は「半人前(自分では一人前だと思っている)の見習いシェフの成長物語で、ストーリーの展開が早く、料理シーンも臨場感あふれていた」というものだった。先輩が主人公をいためつける暴力についても、「暴力=イジメではなく暴力シーンを全て排除すると現実からかけ離れたものになってしまう」という肯定的な内容だった。批判は「話の展開を難しくならない程度にもう少し複雑にしてみると単調にならず見ることができると思いました。また登場人物が前に出すぎる感じもある気がしました」という内容だった。
    『ライアーゲーム』は好評で、「面白いです!最高です!若い人のことを良く考えてつくってるな…と思います」、「僕が今まで見た番組中では上位の方です。騙しあいの後のトリックの説明がとても分かりやすかったです」などという意見が寄せられた。ただ漫画が原作である点については「先が読めてしまうし、原作が好きな人にとっては受け入れがたいと思います。やるとしたらもっと回数を増やして欲しいです」という要望があった。
    2件ずつ意見があったのは『セクシーボイスアンドロボ』『プロポーズ大作戦』『喰いタン2』で概ね好評だった。
    『生徒諸君!』へは、「自分と同年代の中学生の話なので、興味を持って見始めたが、あまりに悲惨な内容で3話見たところで見るのをやめてしまった」という感想が1件寄せられた。
  • バラエティーでは『はねるのトびら』に2件意見があったほかは1件ずつだった。『はねるのトびら』への意見は2件とも賛否両論が併記されたもので、良い点は「”短縮言葉”や”ほぼ100円ショップ”などコーナーの内容がおもしろく、見ていて元気が出てくる所です」など。悪い点は「芸人さんに対しての罰や食べ物の扱い方です。見ていて”ひどすぎるだろう”とか”かわいそう”と思える罰がたくさんあります。その人をケガさせるような行為があり、そういう面ではショックです」などというものだった。
    好評だった番組は『世界の果てまでイッテQ』、『20年大河バラエティー!超近現代史!さんま&所が解明!?』『学校へ行こうMAX』『ぴーかんテレビ』(東海テレビ)などだった。
    批判意見としては、『週刊オリラジ経済白書』に「知っても何の得にもならないようなことばかりして、そのために莫大なお金がかかっています」、『いきなり!黄金伝説』に「大食いはやたら大きなメニューを何分で食べるとかいうもので見ていてしんどくなります。お店の人はどう思っているのかなあとか。食べたくても食べられない国も多く、日本でもそんな人がいるし、もっと考えてほしいと思った」などが寄せられた。
  • アニメ番組では、『のだめカンタービレ』『おねがいマイメロディーすっきり』には1件ずつ好評意見が、『名探偵コナン』には先月と同様「テレビの前で見ている私たちも一緒に推理していけたらいいなと思います」という要望が、『ケロロ軍曹』にも「オタクの人にしかわからないネタが多めだったので、どんな人が見てもよくわかるものにしたほうがいいと思います。またエロチックなシーンも多く、家族が見ているので、できる限りそういうシーンはやめたほうがいいと思います」という要望が寄せられた。
  • その他の分野では、『ニュースZERO』『その時歴史が動いた』『ダーウィンが来た!生き物新伝説』『海猿』『尾崎 豊 15年目のアイラブユー』に好評意見が寄せられた

青少年委員会での、委員の発言は以下のとおり。

  • 『はねるのトびら』の2件の意見は、番組を楽しんでるにもかかわらず、罰ゲームのやり方に疑問を持っている。これが中学生の平均的な意見だと思う。制作者側に罰ゲームについて考慮してほしい。
  • ドラマの『バンビーノ!』や『喰いタン2』でスパゲッティーを食べるとき音を出しているという指摘があった。確かにテーブルマナーや文化の違いなどをテレビで学ぶのは大切なので、細かいところまで気を使う必要がある。
  • ドラマの原作が漫画ばかりという指摘が今月もあった。オリジナル脚本のドラマがもっと作れないものか。
  • 中学生の意見には子どもならではの感覚や好みが投影されており、大人が気付かない指摘も多々ある。中学生モニター報告は当該番組制作局に送付しているが、制作者側になかなか伝わらないのが残念だ。中学生の意見には子どもならではの感覚や好みが投影されており、大人が気付かない指摘も多々ある。中学生モニター報告は当該番組制作局に送付しているが、制作者側になかなか伝わらないのが残念だ。

調査・研究活動について

橋元委員から「小中学生はテレビをどう見ているか?―36人インタビュー調査」について、事前アンケートと日記式生活行動調査のまとめに入り、報告書の章立てを考える段階になっている、との報告があった。

第78回 放送と青少年に関する委員会

第78回 – 2007年4月

フジテレビ『はねるのトびら』に関する審議

中学生モニターについて …など

フジテレビ『はねるのトびら』に関する審議

フジテレビ『はねるのトびら』での、顔にシリコンゴムを巻くシーンをビデオ視聴のうえ審議、委員からは次の意見が出された。

  • 見ていてグロテスクとしか言いようがなく、どうしてああいったことを思いつくのかわからない。
  • すべてのバラエティー番組が子どもに悪影響を与えると言うのは短絡的だと思うし、この番組も子どもが真似をするほどインパクトがあるとは思えない。しかし、このゴム巻きを見たかぎり、判断力がない子どもにとっては危険な行為だと感じた。放送局や制作者はどう判断しているのか知りたい。
  • この番組は視聴率も高く、人気もあるようだが、若い人たちが本当に面白がって見ているのかどうか。バラエティー番組はいつくかのコーナーで構成されていて、ほかのコーナーが面白いから見ているかもしれない。
  • 最近のバラエティー番組では、危険と思われるようなことをお笑い芸人たちにやらせているが、その中でも子どもに与える影響を考えると、このゴム巻きは簡単に真似をすることができ危険だと思う。
  • シリコンゴムはそんなに危険ではないかもしれないが、それがない時は手近なビニール紐などを使う可能性もあって、その場合、首に巻きつけたら危険度は高くなる。

以上の審議の結果、委員会として当該局に対し、子どもが簡単に真似をする危険性への配慮、危険予告のテロップが入ってなかったがなぜか、などについて回答を求めることとした。

次に、視聴者意見の審議では、いくつかのバラエティー番組で、男性芸人が裸に近い格好で出てくることに対し、「わいせつ行為ではないか」といった視聴者意見が寄せられ、委員からは「路上で裸の男性が女性に抱きつく様子をテレビで放送するのは、法律的にどうなのか」「公の場所では犯罪となる行為がテレビだと許されると思っていること自体が問題だ」といった発言があった。

また、前回委員会から議論している青少年委員会のあり方について、引き続き意見交換を行った。

各委員の意見は、次のとおり。

  • 今のテレビは視聴率戦争という厳しい状況の中で数字を取るために番組を作っているので、現場の意識や制作会社との関係、制作費など、現在の放送局の仕組みを整理して考えていかなくてはいけない。その中で、委員会としてどう対応していくかが問題ではないか。
  • 最近ではBPOのHPでの視聴者意見に対する反論が増えていて、委員会での視聴者意見の取り上げ方も注目されている。視聴者がテレビに対して何か言いたいということを委員会として真摯に受け止めるべきだ。テレビは視聴者のものと考え、委員会としては視聴者と制作者の回路となり、双方向で話し合える場を提供することも役目ではないか。
  • 子どもたちの中には、テレビで放送されることすべてが本当だと思っている子どももいる。制作者たちは、テレビには免罪符があって、テレビの枠の中ではなんでも許される、という潜在意識を持っているのではないか。委員会としては、そのことに警鐘を鳴らしたい。
  • 今までもバラエティー番組については、いじめにつながるなど子どもへの影響を考え、放送局に対し配慮を望んできたが、やはり視聴率が優先されるようだ。スポンサーにとっては視聴率のいい番組にお金を出すのは当たり前だが、委員会として、質の高い番組を提供することがテレビ文化を向上させ、企業の社会的な信用につながる、とスポンサーに働きかけていくことも必要ではないか。
  • 問題があると指摘された番組は、提供しているスポンサーにも責任があることを認識してもらうため、情報としてスポンサーに知らせることを検討してはどうか。またBPOのHPなどで公表すれば、企業としても提供する番組を選別していくのではないか。
  • 供スポンサーに知らせることですぐに効果があるとは思えないが、その番組を提供しているスポンサー全社に責任の一端があることを認識してもらうことが大切だ。

以上の意見交換の結果、委員会審議で回答を求める番組については、当該局に対してだけでなく、番組を提供しているスポンサーにも知らせることについて、今後も継続して検討することとした。

中学生モニターについて

中学生モニター制度2年目の今年は、全国から公募し、31人採用した。今月は、そのうち29人から41件(1人で複数件の報告有)のレポートが寄せられた。対象はすべて全国放送の番組で、バラエティー番組についてが一番多く17件、ドラマが12件、アニメ番組5件、情報・討論番組3件、ニュース・映画・音楽番組・スポーツ番組が各1件だった。系列別ではフジテレビ系が16件、日本テレビ系11件、テレビ東京系5件、テレビ朝日系4件、NHKとTBS系が2件ずつだった。

  • バラエティー番組では、2件意見が寄せられたのは『めちゃ×2イケてるSP』と『志村けんのバカ殿様』。両番組とも賛否両論があり「ドッキリという事を忘れてしまうぐらい感動しました」、「いつも、大笑いして、みんなが明るくなり、楽しいです。小さな子にも、分かりやすい内容です」という好評意見と、「ドッキリですが、騙されていても笑っていられるような方が見て楽しい」、「たまにですが、少し”エロッポイ”ところが…。ほどよい”エロさ”で、ほどよい”おもしろさ”でよいと思います」という批判意見があった。
    他の番組は概ね好評だったが、『はねるのトびらSP』には「罰として、いすをグルグル回す事自体いい事ではないのに、ましてや人によってえこひいきまでしていて、とてもがっかりしました」、『タモリのジャポニカロゴス ナヌッ!日本語のゆかいなマチガイSP』には「外国人を侮辱しているように見えるコーナーがあるので、これからはやめてほしいと思いました」などの批判があった。またバラエティー番組全般について「若手お笑い芸人が出演する番組で、一部の芸人さんをいじめる番組がとても多いことが気になります」という意見も寄せられた。
  • ドラマでは、2件ずつ報告があった『喰いタン2』と『東京タワー オカンとボクと時々オトン』は好評で、「『喰いタン』の時よりも、もっともっと面白いストーリーでした」、「親子愛や母の寛大さを感じさせるものがあって、見ていて心が熱くなるものがありました」などという意見だった。
    ほかに『1リットルの涙 特別編~追憶~』には「主人公の亜也がどれだけ必死で病気になってからの10年間を生きたのか分かった」、『花嫁のパパ』にも「親子のスキンシップの大切さだったり、大切なことを言っていて見たあとスッキリして気持ちが良い」など、共感する意見が寄せられた。
    また『風林火山』には「ちょっと暗いトーンなので、甲州弁とコミカルさもほしい。政略結婚させられた女性の心の動きもしっかり描いてほしい」という要望があった。
  • アニメ番組では『Yes!プリキュア5』『ケロロ軍曹』『おとぎ銃士赤ずきん』『アイシールド21』は好評。『名探偵コナン』には「一日で物語を終わらすか、前編を見てない人にもわかるように、後編のときに、これまでの流れを紹介してほしい」という意見が寄せられた。
  • その他、情報・討論番組『今、日本がおかしい!!?教育再生?直談判スペシャル』には「イジメを受け止めない教師、子供を叱れない教師など。その様な教師は約2割。失望しました」という意見も寄せられた。

24日(火)に開かれた青少年委員会では、本田委員長から「全体として以前より幅広い意見が寄せられ今の中学生の考えが良く伝わる」という感想が述べられた。委員の発言は以下のとおり。

  • 『”教育再生”直談判スペシャル』への意見は鋭く、子どもが先生をあまり信頼していない現状が見えてくる。
  • 『志村けんのバカ殿様』に対する”ほどよいエロさでよい…”という意見は中学生の本音が出ている、制作者も考えるべきだ。
  • “『ビートたけしのTVタックル』の討論が私達より下手だ”という意見があったが、良し悪しは別にしてあれは番組の演出だということは知っておいてほしい。

調査・研究活動について

橋元委員から「小中学生はテレビをどう見ているか?―36人インタビュー調査」について、次のとおり調査企画チーム(第13、14回会合)の報告があった。

  • 今回の調査は、質的調査に重点をおくため、対象者36人ひとりひとりの面接に時間をかけた深層インタビューを行った。
  • インタビュー調査と併用してテレビについての事前アンケートと1週間の日記式生活行動調査も行った。
  • 生活行動調査では、1日の行動を15分ごとに記録してもらい、テレビ視聴に関しては、テレビ番組表をもとにどの番組をどのように見ていたかを記入するといった調査も行った。
  • 事前アンケートや生活行動調査からだけでも、子どものテレビ視聴時間には読書時間や母親との関係が大きく影響していることがわかった。
  • 報告書のメインとなるところはインタビュー調査なので、これから8月を目途にまとめていく。9月中旬ごろには、調査報告の発表を含めた