第077回 – 2003年6月
「放送倫理・番組向上機構」設立について
「放送人権委員会の判断~6年間の記録」の配付について…など
「放送倫理・番組向上機構」設立について
7月1日発足のBPOについて事務局から概略以下のように説明があった。
「3委員会の機能は変らない。変るのはこれまで放送人権委員会と青少年委員会に分かれていた視聴者窓口を1本化したこと。また、委員会に指摘されたことが放送現場の中でどういう形で生かされたかを放送局が委員会に報告することになった」
これについて委員から次のような質問や意見があった。
- 「改善策を含めた取り組み状況を委員会に報告する」という点だが、何か月以内に報告するなどの大筋は決まっているのか、それとも局側におまかせか
- 特に決めてはないが、委員会で指摘・要望すればそれに沿う形になるのではないか
- 「委員会決定」をただ放送して終わってしまうだけでなく、「決定」を現場に周知徹底してもらい、さらに現場や関係者が勉強会や討論会を開いて「今後こういうふうにしていこう」というような合意を得るところまで進めてほしい
- 放送人権委員会は苦情・紛争の処理機関か、それ以上の紛争のあり方について社会的使命を果たす役割も負うのか
- 苦情処理、紛争解決以外のところで、社会的弱者を虐げる放送がなされている時、人権侵害だから申立てがあろうがなかろうが、遺族がどう考えていようが、そこまで踏み込んでいくことも委員会の使命の1つなのか
- 基本的には苦情処理に徹することだが、新機構に対する視聴者の声の量と質を見ながら委員会の性格や事務局の機能を考えていく必要はあると思う
- 重大な人権侵害や社会的に放置できない案件の場合、取り上げるかどうかについて弾力的に議論していくことも必要ではないか
- 具体的なケースが出てきたら、その時点で対象枠を少し広げられそうか否か議論していただければと思う
「放送人権委員会の判断~6年間の記録」の配付について
出来上がった『放送人権委員会の判断~6年間の記録』を6月中旬にBROの会員各社を中心に配付したことが事務局から報告されるとともに、「委員会審理事案の積み重ねに合わせて改訂版を出す事になるが、何時頃になるかについては未定」との説明があった。
委員から、「表現の自由等を扱う弁護士グループの人権委員会の部会に、早速この冊子を配ったところ、非常に好評だった」との報告があった。
苦情対応について
5月の苦情対応について事務局から以下のとおり報告があった。
◆件数 250件=内訳
- 人権侵害関連と思われるものへの対応 4件
- 番組や局への苦情に対する対応 60件
- BRO業務や資料請求への対応 29件
- その他(一般苦情11件など) 157件
このうち、内規に基づく「人権侵害関連事案」の対応と処理は次のとおり。
- 「リフォーム番組で悪質業者の烙印」との抗議 ‥受理
抗議は、放送された当事者の息子からで「悪質リフォーム業者の特集番組で、父がリフォームした家が『欠陥住宅』として取り上げられた。放送に当って父への取材は一切なく、住宅の持ち主の話だけで番組は作られていた。番組を放送した局に抗議したら、制作したのは東京のキー局だと言われ、制作局に抗議したが、『欠陥住宅だから放送しただけ』との回答に留まっている。この放送で父は悪質業者の烙印を押されてしまい、仕事にも支障をきたしている」というもの。
具体的な話し合いがまだ行われていないこともあって、この事案を今年度3番目の受理事案として、双方の話し合いを見守ることとした。 - 「県議選前の不公正な報道で名誉毀損」との抗議 ‥既受理
前回5月の委員会で報告した事案。その後、抗議者と放送局側の間で文書のやり取り等が続いており、もうしばらく様子を見ることとした。
これに関連して、前回、委員から「選挙前の公正な報道について以前、郵政省から文書・通達が出ていたはずだが・・」との質問があった。これについて「調べた結果『当落報道はきちんと正しく放送すること』との通知はあったが、選挙前の報道についての通知・通達等は確認できなかった」と事務局から説明があった。
次に、受理事案や今後の審理の進め方等について委員から以下のような意見があった。
- 「リフォーム番組」のケースを審理するした場合、放送人権委員会として、欠陥住宅かそうでないかの調査をすることになるのか
- 証拠による事実認定が委員会の査能力から見て難しい場合は、審理対象にはならないのか
- 委員会には調査・捜査権がな、事実認定は難しいが、事実確認できなければ審理対象として取り上げないというケースはなかった
- 事実を判断するのではなく、番の印象の方を判断する場合もあるのか
- それもあるし、番組の作り方、送の仕方が対象になることもある
- 当該番組の視聴や関係者の話どから判断して、申立人の主張を評価できる根拠があれば、審理に入ることができるのではないか
- 審理のスピードアップのために、早めに当該放送テープを視聴できないか
- 放送テープの取り扱いにつては、審理入りを決める段階の前に、放送テープの提供を求めるのは行き過ぎではないか
- 放送テープの提出を早めるよう要請することは、どうしても「検閲」というような意識が生まれる恐れがあるのではないか
- 第三者機関の設置は、言論の自由を守ることになるのか、逆に制約することになるのか見極めは難しいが、視聴者からも放送事業者からも等距離でいくことが、適度の信頼を得て上手く機能すると思う
そ の 他
事務局から以下の項目について説明・報告があった。
- 6月18日開催の新機構設立準備会と理事会、あわせて新理事長記者会見について
- 7月1日、BPO発足と理事長・3委員長記者会見等について
最後に、次回の定例委員会を7月15日(火)午後4時から開催することを確認し、議事を終了した。
以上