2009年度 第40号 放送局対応

第40号 保育園イモ畑の行政代執行をめぐる訴え

【委員会決定を受けてのTBSテレビの対応】

TBSテレビの報告は以下の通り

平成21年11月6日
BPO・放送と人権等権利に関する委員会 御中

(株)TBSテレビ

「保育園イモ畑の行政代執行を巡る訴えに関する委員会決定」に対する対応と取り組み

この度、当社番組「サンデージャポン」の「保育園イモ畑の行政代執行を巡る訴え」事案について、「放送倫理・番組向上機構(BPO)放送と人権等権利に関する委員会」による2009年8月7日の委員会決定を受けて、当社は以下の対応と取り組みを行っておりますので、ご報告いたします。

  • 委員会決定後の対応

    弊社では貴委員会の決定を受けて、「委員会の勧告の内容を真摯に受け止め、今後の番組作りに生かしてまいります」というコメントを公表しました。
    また、決定内容については通知当日の『総力報道!THE NEWS』の中で全国向けに放送をしたほか、8月9日に当該番組である『サンデージャポン』の中でも放送しました。

  • 社内での報告と周知
    貴委員会による「決定」通知以降、社内では局長会をはじめ、放送倫理委員会(9月4日開催)などで内容を報告し、全社的に周知徹底を図るように確認しました。さらに第521回番組審議会(9月14日開催)、当社の放送及び当社が放送責任を負う番組の制作や取材過程等における人権侵害等について審議する第52回放送と人権特別委員会(9月25日開催)においても内容を報告し、委員の皆様からご意見を頂きました。
  • 再発防止に向けた取り組みについて

    (1) 『サンデージャポン』が所属する情報制作局では、現在の情報番組が直面する様々なテーマを盛り込んだ、情報番組に携わるスタッフ専用版の「情報番組ガイドライン」を作成しました。ガイドラインの中に今回の『サンデージャポン』の事例を掲載し、「情報バラエティ番組は、手法はバラエティでも伝える内容は事実であり、且つ正確に伝える番組でなければならない」旨を再確認しました。
    このガイドラインをもとに8月末から9月初めにかけて勉強会を計4回にわたって実施し、情報制作局の社員・社外スタッフ約460人が参加しました。今回の事例を改めて振り返ると共に名誉毀損や人権問題に関する昨今の事例研究、取材や放送における社内でのチェック体制についての確認、加えて貴委員会からご指摘をいただいた「訂正放送」についても検証しました。

    (2) 『サンデージャポン』のスタッフ向けには個別勉強会を3ヶ月に1回実施します(既に1回実施)。社内外の問題事例を詳しく検証するほか、取材やVTR編集時などにおける問題点を研修したり、講師を招いて勉強会を開催することで、スタッフの意識を常に高めるように努めてまいります。

    (3) 情報番組においては政治・経済・事件などを扱うことが多いことから、報道局との連携を一層強める体制を作りました。『サンデージャポン』では報道局で記者経験のあるプロデューサーが、取り上げる項目の選定から取材、編集に至る過程で入念なチェックを行うことに加え、報道局各部のデスクによる原稿チェックや弁護士によるVTR内容のリーガルチェックなどを実施しております。
    そうすることでVTRにおける事実誤認をなくし、VTRを見た出演者が誤解を生じないように、また誤解に伴う発言をしないように配慮しております。

    (4) 出演者に対しては内容面の説明を手厚くするなど事前打ち合わせの時間を長めに取っておりますが、万が一出演者に不適切な発言が出た場合に備えて、サブで制作プロデューサー、番組プロデューサーと番組デスクが共同でチェックを行う体制を整えました。必要と判断すれば、番組内で速やかに訂正や補足説明を行うようにしております。

今回の「決定」を受けて、当社は放送局として今後も視聴者の皆様の信頼を損なわないように取材や制作を適正に行うため、情報制作局のみならず報道局などの制作現場と編成やコンプライアンス室などが連携していく所存です。

以上、貴委員会による委員会決定についての当社の対応と取り組みについて報告させていただきました。

以上

2009年度 第41号 放送局対応

割り箸事故・医療裁判判決報道

委員会決定 第43号 – 2009年10月30日 放送局:TBS

2008年2月、TBS『みのもんたの朝ズバ!』は、1999年に男児が割り箸を喉に刺して死亡したいわゆる「割り箸事故」の民事裁判判決を取り上げた。その内容について、男児の治療を担当した勤務医とその家族が、事実誤認と捏造ともいえる放送により医師の名誉が毀損され家族も精神的苦痛を受けたと申し立てた事案。

2009年10月30日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第41号

申 立 人    根本英樹、根本良美、根本美知子、根本晋一、根本美香穂
被申立人   株式会社 TBSテレビ
苦情の対象となった番組
『みのもんたの朝ズバッ!』における「8時またぎ」のコーナー
放送日時
2008年2月13日(水)午前7時30分過ぎ~
VTR部分 8分20秒
スタジオトーク部分 6分50秒

本決定の概要

本件申立ては、2008年2月13日放送の『みのもんたの朝ズバッ!』(以下「本
件放送」という)において、男児が綿菓子の割り箸を口にくわえたまま転倒し、のど
を貫いた割り箸の先端部分が脳にまで達した結果死亡した、いわゆる「割り箸事故」
で、その治療に関与した医師の責任の有無をめぐる民事裁判の判決内容の報道ならび
に論評が行われたが、その内容が当該医師の名誉と信用を毀損し、その家族に精神的
被害をもたらしたとしてTBSに対して謝罪放送等を求めたものである。
当委員会は、審理の結果、本件放送は、当該医師の名誉を毀損するものではなく、
また申立人ら家族の精神的圧迫感もその侵害が社会通念上許された限度を超えるとは
認められないが、放送内容及びその前提となる放送態勢において、民間放送連盟とN
HKが制定した『放送倫理基本綱領』における「報道は、事実を客観的かつ正確、公
平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない」との定めに反する
など重大な放送倫理違反があると判断し、TBSに対してしかるべき措置をとること
を勧告する。

(決定の構成)

委員会決定は以下の構成をとっている。

Ⅰ.事案の内容と経緯

  • 1.申立てに至る経緯
  • 2.放送内容と問題点
  • 3.申立人の申立ての要旨
  • 4.被申立人(放送局)の答弁

Ⅱ.委員会の判断

  • 1.事実の認定と判断
  • 2.放送倫理上の問題および権利侵害の有無

Ⅲ 結論と措置

Ⅳ.審理経過

全文pdfPDFはこちら

2010年1月12日 委員会決定を受けてのTBSの取組み

全文pdfPDFはこちら

2009年度 第43号

「拉致被害者家族からの訴え」事案

委員会決定 第43号 – 2010年3月10日 放送局:テレビ朝日

見解:放送倫理上問題あり(補足意見付記)
2009年4月放送のテレビ朝日『朝まで生テレビ!』において拉致問題に触れた番組司会者の発言をめぐって、「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」が「人の生死に関する安易な発言は名誉毀損やプライバシーの侵害以上に最も重大な人権侵害である」として申し立てた事案。

2010年3月10日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第44号

申立人
北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(代表 飯塚繁雄)
被申立人
株式会社テレビ朝日
苦情の対象となった番組
『朝まで生テレビ!』
(毎月最終金曜日25時25分~28時25分)
放送日時
(1)2009年4月24日27時15分頃から約5分間
(2)2009年5月29日25時29分頃から約2分間

本決定の概要

テレビ朝日(以下「局」または「被申立人」という)の制作によるニュース討論番組『朝まで生テレビ!』は、2009年4月24日深夜、「激論 日本の安全保障と外交」とのテーマで、北朝鮮ミサイル問題を入り口に日本の安全保障や外交について各界専門家による約3時間にわたる議論を放送した。この中で司会者のジャーナリスト田原総一朗氏は拉致問題に触れ、横田めぐみさんと有本恵子さんの名前を挙げて「外務省も生きていないことは分かっている」と発言するとともに、拉致問題に関する言論が拉致被害者の生死に触れることをタブー視する閉塞状態に陥っていることを指摘し、そのような見方にとらわれた政府の方針を批判する趣旨の意見を展開した。「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(以下、「家族会」という)は、田原氏のこのような発言は人の生死にかかわる安易な発言であって、家族の心情を傷つけ、名誉毀損やプライバシー侵害以上の最も重大な人権侵害であるとともに、政府の基本方針を批判し、誤まったメッセージを発したことによって救出運動を妨害し、ひいては拉致被害者の人命にもかかわる最も重大な人権侵害である等として、局に対し、田原氏の発言の撤回と謝罪、田原氏の司会者としての起用の見直しなどを求め、放送と人権等権利に関する委員会(以下「委員会」という)に救済を申し立てた。
委員会は、田原氏の発言について以下の通り判断した。番組中で田原氏が、生死の確証のない2人の拉致被害者について、実体的根拠を示すことなく「生きていない」と断定的に述べたことは、家族にとって耐え難い苦痛である。田原氏の発言が家族の心情を深く害し、強い不快の念を抱かせたものであることは疑いがない。拉致被害者の救出に全力で取り組んでいる家族の心情に対しあまりに配慮に欠ける表現であった点において不適切であった。
しかし、田原氏の発言全体について見れば、拉致問題についての言論が閉塞状況にあり、そのことが拉致問題の解決を妨げているとの認識のもとに、そのような状況を打開するためあえて批判と苦言を呈したという発言意図に照らせば、その発言が家族の心情を深く害し、強い不快の念を抱かせたものであったとしても、論評全体としては、言論の自由の範囲内にあるものとして許容されるべきである。異論が提起されることによって自らの立場が否定されたとの不快の念を抱く場合があったとしても、メディアの世界における自由な言論は保障されなければならない。田原氏の発言に関する局の責任としては、名前を特定した2人の拉致被害者について、根拠を示すことなく「生きていない」と断定し、被害者家族の心情を無視した不適切な発言に対する対応のあり方の問題に限られる。
局は番組終了後、田原氏からの事情聴取や局としての独自の取材によって上記のような事実が確認できなかったことを認め、二度にわたって謝罪しているから一応必要な措置を講じていると認められる。しかし、問題の深刻さを考えれば謝罪に関してはより迅速かつ適切な方法をとるべきであった。この点において放送倫理上の問題があったと判断し、報道に対する信頼が確保されるよう一層の努力を求めることとした。

(決定の構成)

委員会決定は以下の構成をとっている。

Ⅰ.事案の内容と経緯

  • 1.申立てに至る経緯
  • 2.放送内容の概要
  • 3.申立人の申立ての要旨
  • 4.被申立人の答弁の要旨

Ⅱ.委員会の判断

  • 1.田原発言に対する評価
  • 2.田原発言に対する局の対応と責任

Ⅲ 結論と措置

Ⅳ.審理経過

全文PDFはこちらpdf

2010年6月9日【委員会決定を受けてのテレビ朝日の取組み】

全文PDFはこちらpdf

2009年度 第42号

「派遣法・登録型導入報道」事案

委員会決定 第42号 – 2009年11月9日 放送局:テレビ朝日・朝日放送

見解:構成・表現に関し配慮を求む
テレビ朝日・朝日放送の共同制作による『サンデープロジェクト』は、2009年2月に2回にわたり特集「派遣法誕生」を放送した。この番組について、インタビュー取材を受けた元労働次官と経済学者らが、「質問と答えを勝手に切り貼りされ、局の都合の良い内容に捏造された」などとして名誉侵害を訴えた事案。

2009年11月9日 委員会決定

申立人
高梨 昌・関 英夫・木村 大樹
被申立人
株式会社テレビ朝日・朝日放送株式会社
苦情の対象となった番組
『サンデープロジェクト』
(毎週日曜日 午前10時~11時45分)
放送日時
第1回 2009年2月1日(日)(番組後半の特集 約30分)
「派遣法誕生(前編)~“雇用破壊”の原点はこう作られた~」
第2回 2009年2月8日(日)(番組後半の特集 約31分)
「派遣法誕生(後編)~“生みの親”キーマン二人の証言~」

本決定の概要

テレビ朝日・朝日放送(以下「局」もしくは「被申立人」という)の共同制作による『サンデープロジェクト』は、2009年2月1日および8日の2回にわたり、特集「派遣法誕生」(以下「本件放送」という)を放送した。番組は、2008年秋以降の派遣切り・雇用不安の拡大を受け、いわゆる「労働者派遣法」の問題点、特に「登録型」に焦点を当て、その成立の過程を追った調査報道である。
この中で「労働者派遣法に登録型を導入するにあたり大きな力を発揮したのが、元労働次官と経済学者の2人であることが分かった」と、多くの関係者や本人のインタビューを積み重ねて伝えた。
この番組について元労働次官と経済学者ら(以下「申立人ら」という)が、「インタビューの質問と答えを勝手に切り貼りされ、局の都合の良い内容に捏造された。また、労働者派遣法に『登録型をひっそりと盛り込んだ』などの表現を多用し、2人が派遣切りなどの雇用不安を生みだした犯人だと攻撃された。これにより名誉を侵害されたので、局に対し訂正と謝罪の放送を求める」と、放送と人権等権利に関する委員会(以下「当委員会」という)に申し立てたものである。
この申立てを受け当委員会で審理した結果、本件放送には一部に申立人の社会的評価に影響をもたらす表現が含まれているが、申立人らが公人として労働者派遣法の制定に関わっていた以上、論評を受忍すべき範囲は一般人よりも広く認められるし、そもそも放送内容自体にはその重要な部分において事実に反するところがなく、現在の雇用不安に至る原因を探るという公共性の高い性格を有していることから、名誉毀損などの違法性はないとの見解に至った。
また、この調査報道番組を制作するに当たって、インタビュー証言の編集や放送表現に関し、なお配慮すべき点が幾つかあるものの、放送倫理上問題ありとまではいえないとの結論で当委員会は一致をみた。

(決定の構成)

委員会決定は以下の構成をとっている。

Ⅰ.事案の内容と経緯

  • 1.申立てに至る経緯
  • 2.放送内容の概要
  • 3.申立人の申立ての要旨
  • 4.被申立人の答弁の要旨

Ⅱ.委員会の判断

  • 1.派遣法成立の経過と報道のあり方
  • 2.事実の認定と判断
  • 3.放送内容についての評価

Ⅲ 結論と措置

Ⅳ.審理経過

全文PDFはこちらpdf

2009年度 第41号

割り箸事故・医療裁判判決報道

委員会決定 第41号 – 2009年10月30日 放送局:TBS

勧告:重大な放送倫理違反
2008年2月、TBS『みのもんたの朝ズバ!』は、1999年に男児が割り箸を喉に刺して死亡したいわゆる「割り箸事故」の民事裁判判決を取り上げた。その内容について、男児の治療を担当した勤務医とその家族が、事実誤認と捏造ともいえる放送により医師の名誉が毀損され家族も精神的苦痛を受けたと申し立てた事案。

2009年10月30日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第41号

申立人
A、B、C、D、E
被申立人
株式会社 TBSテレビ
苦情の対象となった番組
『みのもんたの朝ズバッ!』における「8時またぎ」のコーナー
放送日時
2008年2月13日(水)午前7時30分過ぎ~
VTR部分 8分20秒
スタジオトーク部分 6分50秒

本決定の概要

本件申立ては、2008年2月13日放送の『みのもんたの朝ズバッ!』(以下「本件放送」という)において、男児が綿菓子の割り箸を口にくわえたまま転倒し、のどを貫いた割り箸の先端部分が脳にまで達した結果死亡した、いわゆる「割り箸事故」で、その治療に関与した医師の責任の有無をめぐる民事裁判の判決内容の報道ならびに論評が行われたが、その内容が当該医師の名誉と信用を毀損し、その家族に精神的被害をもたらしたとしてTBSに対して謝罪放送等を求めたものである。
当委員会は、審理の結果、本件放送は、当該医師の名誉を毀損するものではなく、また申立人ら家族の精神的圧迫感もその侵害が社会通念上許された限度を超えるとは認められないが、放送内容及びその前提となる放送態勢において、民間放送連盟とNHKが制定した『放送倫理基本綱領』における「報道は、事実を客観的かつ正確、公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない」との定めに反するなど重大な放送倫理違反があると判断し、TBSに対してしかるべき措置をとることを勧告する。

(決定の構成)

委員会決定は以下の構成をとっている。

Ⅰ.事案の内容と経緯

  • 1.申立てに至る経緯
  • 2.放送内容と問題点
  • 3.申立人の申立ての要旨
  • 4.被申立人(放送局)の答弁

Ⅱ.委員会の判断

  • 1.事実の認定と判断
  • 2.放送倫理上の問題および権利侵害の有無

Ⅲ 結論と措置

Ⅳ.審理経過

全文PDFはこちらpdf

2010年1月12日【委員会決定を受けてのTBSの取組み】

全文PDFはこちらpdf

2009年度 第40号

保育園イモ畑の行政代執行をめぐる訴え

委員会決定 第40号 – 2009年8月7日 放送局:TBSテレビ

勧告:重大な放送倫理違反(意見付記)
TBSの情報バラエティー番組『サンデージャポン』は2008年10月、大阪の保育園の野菜畑が道路建設のため行政代執行される様子を伝えた。この放送について、保育園理事が、あたかも保育園が代執行の当日に園児たちを現場に動員して並ばせたかのような事実に反する放送内容で名誉を毀損され、その後の訂正放送も不十分だったと申し立てた事案。

2009年8月7日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第40号

申立人
A
被申立人
株式会社 TBSテレビ
苦情の対象となった番組
『サンデージャポン』
放送日時
2008年10月19日(日)=本放送
午前10時~11時24分(当該項目 計 約4分50秒)
同 年 11月2日(日)=訂正放送
午前10時~11時24分(終了間際の約37秒)

本決定の概要

本件申立ては、情報バラエティー番組『サンデージャポン』において、大阪府が高速道路建設のため、保育園用地に対して行った行政代執行の様子を報じた内容に事実と異なる点があり、またそれを前提としたスタジオトークによっても申立人の名誉が毀損されたとして、TBSテレビ(以下「TBS」という)に対し謝罪と訂正を求めるものである。申立人はあわせて、その後の訂正放送においても適切な訂正とお詫びがなされておらず、二度にわたって人権侵害を受けたとしている。
放送内容の誤りについては、大筋においてTBSも認めるところであるが、問題は、それがどのような経過と原因から生じたか、放送によって申立人の名誉その他の権利が侵害されたのか、また訂正放送が適切に行われたかどうかにあった。
放送と人権等権利に関する委員会(以下「当委員会」という)は、結論として、放送において使用したVTRは、故意に事実をねじ曲げたり虚偽の内容を報道したとまではいえないものの、編集上配慮されるべきことが守られず、明らかに視聴者を誤解させる構成があったほか、出演者がVTRの内容によって形成された誤った認識に基づく発言を行ったのを看過して、放送中、または放送直後に訂正する措置がまったくとられなかったことにより、申立人に対する社会的評価を低下させ、その名誉を毀損した疑いが強く、少なくとも申立人の名誉感情を侵害したものと認めた。TBS自身も、放送内容の問題性を認識し、後日訂正放送を行ったが、その訂正放送も不十分であり、申立人の意向に沿うものになっているとはいいがたい。本決定は、本件の放送内容及び放送態勢において「事実を報ずる」という点において重大な放送倫理違反があったとするものであり、当委員会としてはTBSがしかるべき措置をとることを求めるものである。

Ⅰ.事案の内容と経緯

  • 1.申立てに至る経緯
  • 2.放送内容の概要
  • 3.申立人の申立ての要旨
  • 4.被申立人(TBS)の答弁と実施措置

Ⅱ.委員会の判断

  • 1.事実の認定
  • 2.放送内容と放送態勢に対する評価
  • 3.訂正放送の在り方

Ⅲ 結論

Ⅳ 審理経過

全文PDFはこちらpdf

2009年11月6日【委員会決定を受けてのTBSテレビの取組み】

全文PDFはこちらpdf