放送人権委員会

放送人権委員会 委員会決定

2009年度 第40号

保育園イモ畑の行政代執行をめぐる訴え

委員会決定 第40号 – 2009年8月7日 放送局:TBSテレビ

勧告:重大な放送倫理違反(意見付記)
TBSの情報バラエティー番組『サンデージャポン』は2008年10月、大阪の保育園の野菜畑が道路建設のため行政代執行される様子を伝えた。この放送について、保育園理事が、あたかも保育園が代執行の当日に園児たちを現場に動員して並ばせたかのような事実に反する放送内容で名誉を毀損され、その後の訂正放送も不十分だったと申し立てた事案。

2009年8月7日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第40号

申立人
A
被申立人
株式会社 TBSテレビ
苦情の対象となった番組
『サンデージャポン』
放送日時
2008年10月19日(日)=本放送
午前10時~11時24分(当該項目 計 約4分50秒)
同 年 11月2日(日)=訂正放送
午前10時~11時24分(終了間際の約37秒)

本決定の概要

本件申立ては、情報バラエティー番組『サンデージャポン』において、大阪府が高速道路建設のため、保育園用地に対して行った行政代執行の様子を報じた内容に事実と異なる点があり、またそれを前提としたスタジオトークによっても申立人の名誉が毀損されたとして、TBSテレビ(以下「TBS」という)に対し謝罪と訂正を求めるものである。申立人はあわせて、その後の訂正放送においても適切な訂正とお詫びがなされておらず、二度にわたって人権侵害を受けたとしている。
放送内容の誤りについては、大筋においてTBSも認めるところであるが、問題は、それがどのような経過と原因から生じたか、放送によって申立人の名誉その他の権利が侵害されたのか、また訂正放送が適切に行われたかどうかにあった。
放送と人権等権利に関する委員会(以下「当委員会」という)は、結論として、放送において使用したVTRは、故意に事実をねじ曲げたり虚偽の内容を報道したとまではいえないものの、編集上配慮されるべきことが守られず、明らかに視聴者を誤解させる構成があったほか、出演者がVTRの内容によって形成された誤った認識に基づく発言を行ったのを看過して、放送中、または放送直後に訂正する措置がまったくとられなかったことにより、申立人に対する社会的評価を低下させ、その名誉を毀損した疑いが強く、少なくとも申立人の名誉感情を侵害したものと認めた。TBS自身も、放送内容の問題性を認識し、後日訂正放送を行ったが、その訂正放送も不十分であり、申立人の意向に沿うものになっているとはいいがたい。本決定は、本件の放送内容及び放送態勢において「事実を報ずる」という点において重大な放送倫理違反があったとするものであり、当委員会としてはTBSがしかるべき措置をとることを求めるものである。

Ⅰ.事案の内容と経緯

  • 1.申立てに至る経緯
  • 2.放送内容の概要
  • 3.申立人の申立ての要旨
  • 4.被申立人(TBS)の答弁と実施措置

Ⅱ.委員会の判断

  • 1.事実の認定
  • 2.放送内容と放送態勢に対する評価
  • 3.訂正放送の在り方

Ⅲ 結論

Ⅳ 審理経過

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2009年11月6日【委員会決定を受けてのTBSテレビの取組み】

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