第113回 放送倫理検証委員会

第113回–2017年3月

沖縄基地反対運動の特集を放送した東京メトロポリタンテレビジョン『ニュース女子』を審議など

委員会が昨年12月に出したTBSテレビ『珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー』「双子見極めダービー」に関する意見について、当該局から提出された対応報告書を了承して公表することとした。
沖縄の基地反対運動の特集で、情報や事実についての裏付けが十分であったのか、放送局の考査が機能していたのかなどを検証する必要があるとして審議入りした東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)の『ニュース女子』について、TOKYO MXに対するヒアリングの結果が担当委員から報告され、意見交換を行った。その結果、この番組が"持ち込み番組"であるため、実際に番組を制作したスタッフからも話を聞いてさらに検証する必要があるとして、制作会社に協力を求めていくことになった。
IBC岩手放送の『宮下・谷澤の東北すごい人探し旅』で、乳酸菌(ヨーグルト)の「ステルスマーケティング」が行われたのではないか、という疑惑が報じられた事案の討議を継続した。委員会は、この問題を受け当該局が作成した「番組制作の指針」に関する追加報告書をもとに意見交換をした結果、さらなる確認や検討が必要だとして、再度討議を継続することを決めた。
NHK総合テレビの『ガッテン!』「最新報告!血糖値を下げるデルタパワーの謎」で、糖尿病治療や予防に睡眠薬が直接有効であるかのような表現があり、また睡眠の長さの重要性を示す実験を睡眠の深さを示すデルタパワーに関連させる不適切な表現があったとしてお詫びした事案について、委員会は当該局からの報告書をもとに意見交換をした結果、これまでの放送で不適切な事例がなかったのかなどを確認したいとして、次回の委員会で討議を継続することになった。
TBSテレビは、情報番組『白熱ライブ ビビット』の多摩川の河川敷で生活している男性の放送に関して、不適切な表現や取材手法があったと謝罪した。委員会は、当該局の報告をもとに討議した結果、このシリーズのこれまでの6回の放送についても視聴する必要があるとして、次回の委員会で討議を継続することになった。
委員会の10周年にちなんだ記念のシンポジウムについて、第1部、第2部のテーマや構成の詳細が報告された。

1. TBSテレビ『珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー』「双子見極めダービー」に関する意見への対応報告書を了承

昨年12月6日に委員会が通知公表した、TBSテレビ『珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー』「双子見極めダービー」に関する意見(委員会決定第24号)への対応報告書が、3月上旬、当該局から委員会に提出された。
報告書では、意見書の社内周知と再発防止のため検証委員会の担当委員を招いた勉強会を開催したことや、問題発覚後に策定してすでに実施している再発防止策について、今後ともその効果を不断に点検し改善を図っていくことなどが記されている。
委員会では、勉強会に出席した委員からの報告などをもとに意見交換を行い、この対応報告書を了承して公表することとした。

2. 沖縄基地反対運動の特集を放送した東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)『ニュース女子』を審議

TOKYO MXの『ニュース女子』は、1月2日に「マスコミが報道しない真実」と題して沖縄での基地反対運動を現地リポートとスタジオトークで特集したが、放送直後から「沖縄に対する誤解や偏見をあおる」「番組が報じた事実関係が間違っている」などの多数の意見がBPOに寄せられた。なお、この番組は、TOKYO MXは制作に関与せずに、CS放送などに番組を供給している会社が制作したものを、"持ち込み番組"として放送枠を提供する形態をとっている。
2月の委員会で、情報バラエティー番組であっても前提となるべき情報や事実についての裏付けは必要で、それが十分であったのか、放送局の考査が機能していたのかなどを検証する必要があるとして、審議入りすることを決めた。3月初旬には、担当委員によるTOKYO MXの編成や考査、営業の担当者5人に対するヒアリングが実施された。委員会では、当該番組が"持ち込み番組"として編成された経緯や、当該番組の考査判断の基準は適切だったかなどのポイントを中心にヒアリングの概要が報告され、意見交換が行われた。
その結果、実際に番組を制作したスタッフにも話を聞いて、さらに検証をする必要があるとして、制作会社に対してもヒアリングへの協力を求めていくことになった。

3. 番組内での乳酸菌(ヨーグルト)の「ステルスマーケティング疑惑」が報じられたIBC岩手放送『宮下・谷澤の東北すごい人探し旅』を討議

IBC岩手放送の『宮下・谷澤の東北すごい人探し旅~外国人の健康法教えちゃいます!?』(2015年9月21日放送)で、ある乳酸菌を摂取していると免疫力を高める効果があるという内容の放送をしたが、これが「広告」であることを隠して宣伝する「ステルスマーケティング」ではないかと報じられた事案の討議を継続した。
この番組については、2015年11月の岩手放送の番組審議会で議論され、出席した局の幹部から「乳酸菌の扱いについては有料のタイアップである」という説明があったが、2016年12月、岩手放送は、番組審議会での説明は誤解にもとづくもので、この番組はタイアップで制作されたものではない、と訂正していた。
当該局からは、この問題を受け作成した「番組制作の指針」に関する追加報告書が提出された。報告書によると、指針の目的は、制作過程の適正化と視聴者に疑念、不信感を抱かれないことであり、外部プロダクションへの制作委託番組および社内制作番組での制作上の留意点、番組と広告の識別のための留意点などが記されている。
委員会の議論では、「週刊誌の取材がなければ、番組審議会での局幹部の発言をそのままにするつもりだったことは、番組審議会軽視であり、安易で無責任だ」「釈然としないところはあるが、当該局も重大な危機感を持って対応しているのではないか」などの意見が出た。一方、この問題に対する民放連の対応も見守る必要があるとして、次回の委員会でさらに討議を継続することになった。

4. 糖尿病治療に睡眠薬を直接使えるかのような表現があったとお詫びしたNHK総合テレビ『ガッテン!』を討議

NHK総合テレビの生活情報番組『ガッテン!』(2月22日放送)で「最新報告!血糖値を下げるデルタパワーの謎」と題して、"睡眠を改善することで血糖値が下がる"という最新研究を紹介し、「睡眠薬で糖尿病の治療や予防ができる」と伝えた。また、紹介した新しい種類の睡眠薬の説明に「副作用の心配がなくなっている」という表現があった。また、睡眠の長さが血糖値の改善に関係があるという実験について、睡眠の深さを示すデルタパワーも関連しているような不適切な表現もあった。これに対し、放送後、視聴者、医療関係者などから「睡眠薬の不適切な使用を助長しかねない」「副作用を軽視している」「認められていない適応外処方の推奨に他ならない」「睡眠不足の解消によりデルタパワーが増加するというのは番組が引用する論文の内容と全く異なっている」などの批判が寄せられた。NHKは番組ホームページと3月1日の放送で、睡眠薬の説明が不十分だったり行き過ぎた表現があったりしたため、誤解を与え混乱を招いたことをお詫びした。
当該局から提出された報告書によると、問題の原因として、「医学分野にある程度の専門知識があるメンバーだけで番組の制作が進められたため、睡眠薬のリスクを十分にチェックする姿勢が欠けていたこと」や「謎かけやキーワードが視聴者に届きやすいことを重視するあまり、無理な構成になったこと」などを挙げている。
委員会の議論では、「睡眠薬は、向精神薬であり、健康食品やサプリメントとは違って、扱いは特に慎重でなければならない」「睡眠障害の薬として承認されている薬だからそれ以外の目的では処方できないのに、睡眠障害の診断を受けていない人にも血糖値改善の目的で投与されうるかのような表現は問題」「一人の医師の研究に寄りすぎていたのでないか。いろいろな説を相対化したうえで番組を作るべきである」「番組をキャッチーにするため無理をしているのではないか。相当長く続いてきた番組でテーマに苦労している印象がある」「番組の作りが雑な印象がある。出演した医師が睡眠薬を手に持って見せる映像にも違和感をもった」などの意見が出た。一方「今回の件に対するNHKの対応は真摯であり、お詫びの放送も適切であった」という意見も出され、これまでの同番組の放送で不適切な事例がなかったのか確認したいとして追加の報告を求め、次回の委員会で討議を継続することになった。

5. 不適切な表現や取材手法があったと謝罪したTBSテレビ『白熱ライブ ビビット』を討議

TBSテレビの情報番組『白熱ライブ ビビット』は、1月31日に放送した「犬17匹飼うホームレス直撃」という企画内容に不適切な表現と取材手法があったとして、3月3日の番組内で謝罪すると同時に、番組ホームページに経緯を掲載した。番組が中心に扱った男性について「犬男爵」と呼んだうえ、撮影OKの確約なしに取材した別の男性の発言を首から下の映像と共に引用して「人間の皮を被った化け物」と化け物を連想させるどぎついイラストと合わせて表現したこと、また男性に「お前ら、ここで何やっているんだ」と言いながら歩いてきてほしいと依頼し、男性を「粗暴な人」と印象付ける結果になった点を謝罪している。
当該局から委員会宛てに提出された報告書によると、放送後、「表現やイラストがホームレスの人権を侵害し、差別を助長する」という指摘や、「悪意ある放送はホームレスの人を危険にさらすので、やめてほしい」といった訴えがあったという。
委員会の議論では、「ホームレスの人たちを揶揄しているとしか思えず、取材対象に対する愛のかけらもない放送だ」「違法なことをしている人たちは笑いの対象にしていい、無断撮影して放送してもいいと思っているのではないか」「河川敷で暮らす人たちなりの生きにくさを伝えなくてはいけないのに、あまりにも取材対象者をバカにしすぎている」などの厳しい意見が相次いだ。しかし「報告書を見ると当該局は問題点がどこにあるかを的確に理解しているのでは」という意見もあり、同じテーマの過去6回の放送などについて追加報告を求めたうえで、次回の委員会で討議を継続することになった。

6. 委員会発足10周年の記念シンポジウムについて

3月22日(水)に開催される記念シンポジウムについて、担当委員から第1部、第2部のテーマ設定や構成案の詳細など、最終的な内容についての報告が行われた。

以上

第112回 放送倫理検証委員会

第112回–2017年2月

東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)の『ニュース女子』審議入り
乳酸菌の「ステルスマーケティング疑惑」が報じられたIBC岩手放送『宮下・谷澤の東北すごい人探し旅』の討議など

2月7日に通知と公表の記者会見を行った、2016年の選挙をめぐるテレビ放送についての意見に関して、出席した委員長や担当委員から当日の様子が報告され、意見交換が行われた。
IBC岩手放送の『宮下・谷澤の東北すごい人探し旅』で、乳酸菌(ヨーグルト)の「ステルスマーケティング」が行われたのではないか、という疑惑が報じられた事案の討議を継続した。委員会は、当該局から提出の追加報告書をもとに意見交換をした結果、さらなる確認や検討が必要だとして、再度討議を継続することを決めた。
東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)の『ニュース女子』で、「マスコミが報道しない真実」と題し、沖縄の基地反対運動についての特集が現地リポートとスタジオトークで放送されたが、放送直後から「沖縄に対する誤解や偏見をあおる」「番組が報じた事実関係が間違っている」などの多数の意見がBPOに寄せられた。委員会は、当該局から提出された報告書をもとに討議した結果、持ち込み番組であるので、まず当該局の考査が報じられた事実についての裏付けの有無に留意して行われたのか、そもそも制作時に事実の裏付けを十分に行ったのかなどを検証する必要があるとして審議入りすることを決めた。
委員会の10周年にちなんだ記念のシンポジウムについて、担当委員から「放送の自由と自律、そしてBPOの役割」を正式タイトルとすることが提案され、承認された。

議事の詳細

日時
2017年2月10日(金)午後5時00分~7時10分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、是枝委員長代行、升味委員長代行、岸本委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、中野委員、藤田委員

1. 2016年の選挙をめぐるテレビ放送についての意見を通知・公表

2016年の参議院議員選挙と東京都知事選挙について、視聴者からさまざまな意見が寄せられたことから、選挙報道全般のあり方についての継続的な審議を経てまとめられた、2016年の選挙をめぐるテレビ放送についての意見(委員会決定第25号)の通知と公表の記者会見が、2月7日に実施された。
委員会では、当日のテレビニュースをいくつか視聴したあと、委員長や担当委員から、通知の際のやり取りや記者会見での質疑応答の内容などが報告され、意見交換が行われた。

2. 番組内での乳酸菌(ヨーグルト)の「ステルスマーケティング疑惑」が報じられたIBC岩手放送の『宮下・谷澤の東北すごい人探し旅』を討議

IBC岩手放送の『宮下・谷澤の東北すごい人探し旅~外国人の健康法教えちゃいます!?』(2015年9月21日放送)で、ある乳酸菌を摂取していると免疫力を高める効果がある、という内容の放送をしたが、これが「広告」であることを隠して宣伝する「ステルスマーケティング」ではないかと報じられた事案の討議を継続した。
この番組については、2015年11月の岩手放送の番組審議会で議論され、出席した局の幹部から「乳酸菌の扱いについては有料のタイアップである」という説明があったが、2016年12月、岩手放送は、この番組がタイアップで制作されたものでないと訂正していた。
当該局からは、この問題について議論された1月の番組審議会に関する追加報告書が提出された。
それによると、「調査の結果、乳酸菌の商品を製造販売する企業から金銭は支払われていなかった。番組審議会に不十分な準備のまま臨み、誤った発言をしてしまった」という局からの説明に対し、委員からは「なぜここまで番組審議会での局幹部の発言を精査する機会がなかったのか」「その場で答えて終わりであれば、番組審議会への局の対応が形骸化していると言わざるを得ない」「自社制作の番組にも指針が必要だ」という意見が出された。
委員会の議論では、「番組審議会でなぜ局の幹部が誤った発言をしたのか、釈然としない感じは残る」「番組作りの不自然さについての疑念は晴れない」などの厳しい意見が出た。一方「当該局が作成に着手している『番組制作の指針』についても見届けたい」との意見も出され、当該局の今後の対応や民放連の動きも見守る必要があるとして、次回の委員会でさらに討議を継続することになった。

3. 沖縄基地反対運動の特集を放送した東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)の『ニュース女子』について討議(審議入り)

TOKYO MXの『ニュース女子』は、1月2日に「マスコミが報道しない真実」と題し、高江ヘリパッド建設反対などの沖縄での米軍基地反対運動を現地リポートとスタジオトークで特集し、「過激派が救急車を止めた?」「反対派の人達は何らかの組織に雇われているのか」などの話題も取り上げた。これに対し、放送直後から「沖縄に対する誤解や偏見をあおる」「番組が報じた事実関係が間違っている」などの多数の意見がBPOに寄せられた。なお、この番組は、TOKYO MXは制作に関与せずに、CS放送などに番組を供給している会社が制作したものを、“持ち込み番組”として放送枠を提供する形態をとっている。
委員会は、放送までの経緯について当該局に報告を求めて討議し、「持ち込み番組でも放送した責任は放送局にある」「番組内で取り上げられている事実についての裏付けがきちんとなされていないのではないか」「放送局の放送前の考査の段階で、報じられた事実についての裏付けの有無に留意するなど番組内容についてのチェックがきちんとなされていたのか」などの意見が出された。最終的に、情報バラエティー番組であっても前提となるべき情報や事実については合理的な裏付けが必要であり、裏付けが十分であったのか、持ち込み番組についての放送局の考査が機能していたのかなどを検証する必要があるとして審議入りすることを決めた。

4. 委員会発足10周年記念シンポジウムについて

10周年記念のシンポジウムについて、担当委員から「放送の自由と自律、そしてBPOの役割」を正式タイトルにとすることや、各コーナーのタイトルが提案され、承認された。

以上

第111回 放送倫理検証委員会

第111回–2017年1月

参院選と都知事選の選挙報道全般について審議 2月上旬にも意見書の通知と公表の記者会見
ASKA氏逮捕報道でのタクシー車載映像使用などについて討議など

昨年の参議院議員選挙と東京都知事選挙について放送局からの報告や視聴者からの意見が寄せられたことから、選挙報道の公平・公正についての委員会の考え方を示すのは意味があるとして、委員会は、二つの選挙に関する放送の具体例を踏まえながら、選挙報道全般のあり方について審議を継続している。委員会に担当委員から意見書の修正案が提出され、意見交換が行われた結果、大筋で合意が得られたため、一部手直しをしたうえで2月上旬にも放送局の代表への通知と公表の記者会見をすることになった。
昨年11月末のASKA氏逮捕報道の際に、在京民放局がタクシー車載映像を使用したことなどについて視聴者意見が多数寄せられたことなどから、当該各局から報告を求めて意見交換を行った。最終的には、各局の報道内容について公益性も認められないわけではないし、既にASKA氏が釈放されていて「法的手段を進めている」と公表していることなどから、委員からの厳しい意見も議事概要に公開して注意喚起することで、審議の対象とはしないことを決めた。
IBC岩手放送の『宮下・谷澤の東北すごい人探し旅』で、乳酸菌(ヨーグルト)の「ステルスマーケティング」が行われたのではないか、という疑惑が報じられた。委員会は当該局の報告書をもとに意見交換をした結果、さらなる確認や検討が必要だとして、討議を継続することを決めた。
委員会発足10周年記念のシンポジウムが、3月22日(水)に開催されることが担当委員から報告され了承された。

議事の詳細

日時
2017年1月13日(金) 午後5時00分~8時40分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、是枝委員長代行、升味委員長代行、岸本委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、中野委員、藤田委員

1. 参議院議員選挙と東京都知事選挙の選挙報道について審議

委員会は、昨年行われた参議院議員選挙と東京都知事選挙について、視聴者からさまざまな意見が寄せられる中で、「選挙報道が萎縮しているのではないか」といった指摘がなされている現状も考えると、具体的な放送を踏まえながら選挙報道の公平・公正についての考え方を示すのは意味があるとして、選挙報道全般のあり方について審議を継続している。
今回の委員会では、前回出された意見書の原案に対する各委員からの意見をもとに、担当委員から意見書の修正案が出され、これに対して委員から「公選法や放送法が選挙報道に何を求めているのかをわかりやすく解説して、実際に取材し番組を制作する人たちに理解してもらう必要がある」「意見書で述べている内容が、法律のどの条項に根拠があるのか、すぐに判るようにすることは意味がある」など、委員会の考えをより的確に伝えるための表現についても意見が交わされた。
その結果、大筋で了解が得られたため、表現の細部等について手直しをしたうえで、2月上旬にも、放送局の代表に通知するととともに、公表の記者会見をすることになった。

2. ASKA氏逮捕報道でのタクシー車載映像使用などについて討議

昨年11月末のASKA氏逮捕報道に関連して、在京民放局が逮捕直前にASKA氏が乗車したタクシーの車載映像を使用したことなどについて、BPOにも「過剰報道ではないか」「プライバシー侵害だ」などの視聴者意見が多数寄せられた。これを受けて、当該各局から、映像使用の実績、取材の経緯、放送の際の判断理由などについて、報告書が提出された。タクシー車載映像を使用したのは、日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、フジテレビの4局で、各局とも放送にあたっての判断理由としては、「相当程度公的な存在といえるASKA氏の逮捕直前の様子や言動を伝えることは重要で、公益性・公共性が高いと判断した」などとしている。この他、逮捕前のASKA氏に情報番組のキャスターらが直接電話をかけて、逮捕報道への反応などをインタビューした音声が読売テレビと日本テレビで放送された件については、当該2局は、「本人が容疑を否定する重要な証言と判断して放送した」としている。また、読売テレビの11月28日放送の『ミヤネ屋』では、「ASKA氏逮捕へ」のニュースを伝える中で、芸能レポーターがASKA氏から提供されていた未公開曲の音声を約1分間放送したが、これについて当該局は、「著作権の問題はあるものの、ASKA氏の音楽活動の紹介として報道的にも意味があると判断した」としている。
委員会では、さまざまな観点からの意見交換がおこなわれ、テレビ局に対して厳しい意見も出された。しかし最終的には、問題点はあるものの、各局の報道内容について公益性も否定できない以上、一概に放送倫理違反を問うことは難しいし、ASKA氏が既に釈放されていて、本人のブログ上で「法的手段を進めている」と公表していることなどを勘案して、主な意見を記載して注意喚起をすることで、この事案の討議は終了することになった。

【委員の主な意見】

  • 単純に考えれば、プライバシー侵害や通信の秘密への配慮不足などが問題になると思うが、個人の権利の問題はこの委員会の本来の対象ではないと思うので難しい。
  • いくら公益性・公共性といわれても、実際の番組を見てみると、面白いものが手に入ったから放送している印象がぬぐえなかった。
  • タクシー車内の映像だが、あの程度の内容で公益性・公共性があるという主張には違和感を持った。ただ、今回はこの問題で大きな議論が起きたことを放送局に理解してもらうことでいいと思う。
  • たまたま手に入った車載映像を各局がそろって使用し、タクシー会社からやめてくれと言われるとすぐやめるということに、一言で言えば「安易だ」と感じた。
  • タクシー車内というプライベートな空間の映像の使用について若干疑問は残るが、報道の公共性との兼ね合いからいうと放送倫理違反とまではいえないのではないか。
  • 集中豪雨的な報道はどうかとも思ったが、タクシー車載映像や電話インタビューの使用の是非を論じると、警察発表以外の独自取材を制限してしまうことにもつながりかねない。ASKA氏が法的手段を取ると表明しているのなら、それを見守るほうが良いのではないか。

3. 番組内での乳酸菌(ヨーグルト)の「ステルスマーケティング疑惑」が報じられたIBC岩手放送の『宮下・谷澤の東北すごい人探し旅』を討議

IBC岩手放送の『宮下・谷澤の東北すごい人探し旅~外国人の健康法教えちゃいます!?』(2015年9月21日放送)で、専門家の説明を交えて、ある乳酸菌を摂取していると免疫力を高める効果がある、という内容の放送をしたが、一部週刊誌で、これが「広告」であることを隠して宣伝する「ステルスマーケティング」ではないかと指摘された。
この番組については、2015年11月の岩手放送の番組審議会で議論され、議事録によると、出席した局の幹部から「乳酸菌の扱いについては有料のタイアップである」という説明があった。しかし、2016年12月、岩手放送は、ホームページで番組審議会での説明に一部事実誤認があり、この番組がタイアップで制作されたものでないと訂正した。
当該局から提出された報告書によると、「この放送に関して、乳酸菌の商品を製造販売する企業から金銭が支払われことはなく、乳酸菌は健康情報の一つとして取り上げた。番組審議会では、委員からの厳しい質問に対して、局の出席者は思い込みによる誤った説明をしてしまった」ということであった。
委員会の議論では、「当該局はステルスマーケティングを否定しているが、乳酸菌の説明のくだりは唐突で番組の一部のように見えなかった」「番組審議会を軽視しているのではないか」などの厳しい意見が相次いだ。しかし、「この番組に対する番組審議会委員の対応は、素晴らしかった。今後、番組審議会の動きを見届けてみたい」との意見もあり、放送局の自主・自律の観点から、当該局の番組審議会や民放連の動きも見守りたいとして、次回の委員会で討議を継続することになった。

4. 委員会発足10周年記念シンポジウムについて

検討を続けてきた委員会発足10周年にちなんだ記念のシンポジウムについて、担当委員から、出席者や内容が固まり、開催日が3月22日(水)に決定したことが報告され、了承された。

以上

第110回 放送倫理検証委員会

第110回–2016年12月

TBSテレビの『珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー』に関する意見の通知・公表について意見交換など

12月6日に当該局への通知と公表の記者会見を行った、TBSテレビの『珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー』「双子見極めダービー」に関する意見について、出席した委員長や担当委員から当日の様子が報告され、意見交換が行われた。
参議院議員選挙と東京都知事選挙について放送局からの報告や視聴者からの意見が寄せられたことから、選挙報道の公平・公正についての委員会の考え方を示すのは意味があるとして、委員会は、二つの選挙に関する放送の具体例を踏まえながら、選挙報道全般の問題点について審議を継続している。今回の委員会では、担当委員から出された意見書の原案について、さまざまな考え方が示され、次回、これらの議論を踏まえた意見書の修正案が提出されることになった。
テレビ朝日の『羽鳥慎一モーニングショー』の「慶應大学広告学研究会の女性集団暴行事件」の特集で、被害女性への配慮を欠いた内容の放送がなされたという事案について、前回に引き続き討議した。しかし、当該局の謝罪放送以降は事案に進展はなく、被害女性の心情などへの配慮も含め、委員会として総合的に判断して今回で議論を終え、審議の対象とはしないことを決めた。
委員会の10周年にちなんだ記念のシンポジウムについて、担当委員から最新のパネリストと構成の案が報告された。

議事の詳細

日時
2016年12月9日(金) 午後5時00分~7時50分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、是枝委員長代行、升味委員長代行、岸本委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、中野委員、藤田委員

1. TBSテレビの『珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー』「双子見極めダービー」に関する意見を通知・公表

実際は最後まで解答した出演者を、映像を加工して途中でレースから脱落したことにして放送した、TBSテレビの『珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー』「双子見極めダービー」に関する意見(委員会決定第24号)の通知と公表の記者会見が、12月6日に実施された。
委員会では、当該局の当日のテレビニュースを視聴したあと、委員長や担当委員から、通知の際のやり取りや記者会見での質疑応答の内容などが報告され、意見交換が行われた。

2. 参議院議員選挙と東京都知事選挙の選挙報道について審議

委員会は、7月に行われた参議院議員選挙と東京都知事選挙について、視聴者からさまざまな意見が寄せられる中で、「選挙報道が萎縮しているのではないか」といった指摘がなされている現状も考えると、具体的な事例を参照しながら選挙報道の公平・公正についての考え方を示すのは意味があるとして、選挙報道全般の問題点について審議を継続している。
今回の委員会では、前回までの議論にもとづいて担当委員から意見書の原案が示され、これに対して委員から「選挙でも、事実に基づく公正な評論は自由だということを忘れてはいけない」「公平・公正の基準は、放送局が自律的に設定するものだという趣旨は大事である」「選挙報道に求められているのは量的な公平ではなく質的な公平ではないか」「論文のようにせずに、放送の制作現場で働く人たちがわかりやすいものにしたい」といった意見が出されるなど、選挙報道のあり方についてさまざまな議論が交わされた。
その結果、これらの議論をもとに担当委員が意見書の修正案を作成し、次回委員会に提出することになった。

3. 慶應大学広告学研究会の女性集団暴行事件の報道で、被害女性に配慮を欠いた内容を放送したテレビ朝日の『羽鳥慎一モーニングショー』を討議

テレビ朝日の情報番組『羽鳥慎一モーニングショー』は、「独自 慶應生女性暴行疑惑 現役メンバー直撃 当事者の証言」と題した特集を10月20日に放送した。独自取材として放送されたVTRは、慶應大学広告学研究会のメンバーや男性OBの「被害女性側にも非があるのではないか…」というインタビューなど、男子学生側の言い分を中心に構成されていた。また、サークルメンバーの話にあった「大学側も動画を確認し、事件性なしと判断したと聞いている」というコメントを裏取り取材をせずにスタジオで取り上げ、コメンテーターから大学側の対応を非難する発言があった。
その後、当該局は被害女性の弁護士と面会して、放送内容が配慮を欠いていたことを謝罪するとともに、10月27日の当該番組内でお詫び放送を行った。
前回の委員会の議論では、「男子学生側の主張で構成されている上、裏取り取材がほとんど行われていない」「女性への配慮が決定的に欠けた放送内容になっている」などとの厳しい意見が相次ぎ、さらに、確認や検討が必要な点もでてくる可能性があるとして、討議を継続していた。
しかし、当該局の謝罪放送以降は事案に進展はなく、当該局の一連の対応から、問題点について理解したのではないかとみられることや、被害女性の心情などへの配慮も含め、委員会として総合的に判断して今回で議論を終え、審議の対象とはしないことを決めた。

【委員の主な意見】

  • この事案は、このような番組が放送されるに至ったプロセスが問題だった。当該局は、問題点については理解して反省・謝罪している。被害女性の心情について配慮する必要もある。
  • これ以上の議論の継続は、この状況では、あまり意味が無いのではないか。

4. 委員会発足10周年記念シンポジウムについて

10周年記念のシンポジウムについて、担当委員から最新のパネリストと構成の案が報告された。

以上

第109回 放送倫理検証委員会

第109回–2016年11月

TBSテレビの『珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー』を審議など

出演者の姿を本人の了解を得ずに映像処理で消したのは問題で、制作体制などについて検証の必要があるとして審議入りしたTBSテレビの『珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー』について、前回委員会の議論を盛り込んだ意見書の修正案が担当委員から提出された。内容や表現をめぐって意見交換が行われた結果、大筋で了解が得られたため、一部手直ししたうえで、12月上旬にも当該局への通知と公表の記者会見をすることになった。
参議院議員選挙と東京都知事選挙について放送局からの報告や視聴者からの意見が寄せられことから、選挙報道の公平・公正についての委員会の考え方を示すのは意味があるとして、前回委員会で、二つの選挙に見られた選挙報道全般の問題点を対象として審議入りしたが、今回の委員会では、担当委員から意見書の骨子案が出され、選挙報道のあり方についてさまざまな観点から議論が続けられた。
「慶應大学広告学研究会の女性集団暴行事件」を扱った二つの情報番組について討議した。一つはフジテレビ・関西テレビの共同制作番組『Mr.サンデー』で、中心人物とされる男子学生の実名が露出してネットに拡散した事案。もう一つは、テレビ朝日の『羽鳥慎一モーニングショー』で、被害女性への配慮を欠いた内容の放送がなされたという事案である。委員会は、当該局の報告を基に討議した結果、『Mr.サンデー』については、単純なミスであり事後の処理も適切であるので、当該局に一層の注意喚起を促す意見が出たことを議事録に掲載するが審議の対象とはしないことを決めた。一方、『羽鳥慎一モーニングショー』については、さらなる確認や検討が必要だとして、次回委員会で討議を継続することになった。
委員会の10周年にちなんだ記念のシンポジウムについて、担当委員から構成の一部見直しが提案され、承認された。

1. 出演者の映像を本人の了解なしに消去したTBSテレビの『珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー』を審議

TBSテレビ『珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー』(6月19日放送)の珍種目の一つ「双子見極めダービー」で、実際は最後まで解答した出演者を、映像を加工して途中でレースから脱落したことにして放送した事案について、前回の委員会で意見書原案に示された意見や議論を踏まえた修正案が担当委員から提出された。
「出演者の姿を無断で消すことに一部スタッフが感じた疑問が伝わらなかったのは、番組の制作環境に問題があったのではないか」「バラエティー番組において、さまざまな属性の出演者との信頼関係を、制作者はどのように考えるべきか」などの論点について詰めの議論が交わされた。また、より明確に委員会の考えを伝えることができるよう、意見書の表現についても意見交換が行われた。
その結果、大筋で了解が得られたため、表現の細部等について手直しをしたうえで、12月上旬にも当該局への通知と公表の記者会見をすることになった。

2. 参議院議員選挙と東京都知事選挙の選挙報道について審議

7月に行われた参議院議員選挙と東京都知事選挙について、放送局からの報告や視聴者からの意見が寄せられる中で、委員会は前回、「選挙報道が萎縮しているのではないか」といった指摘がなされている現状も考慮すると、具体的な事例を参照しつつ選挙報道の公平・公正についての委員会の考え方を示すのは意味があるとして、参院選と都知事選に見られた選挙報道全般の問題点を対象として審議入りすることを決めた。
今回の委員会では、担当委員から意見書の骨子案が出され、「放送法で求められているのは、選挙の争点についての豊富な情報の提供である」といった意見や、「公職選挙法は、政見放送と経歴放送を除けば、選挙に関する報道の自由を制約してはいない」といった意見が出されるなど、選挙報道のあり方についてさまざまな観点から議論が続けられた。
その結果、これらの議論をもとに担当委員が意見書の原案を作成し、次回委員会に提出することになった。

3. 慶應大学広告学研究会の女性集団暴行事件の報道で、中心人物とされる男子学生の実名が露出したフジテレビ・関西テレビ共同制作の情報番組『Mr.サンデー』を討議

フジテレビと関西テレビが共同制作する情報番組『Mr.サンデー』は、「慶應大学広告学研究会の女性集団暴行事件」を扱った特集を10月16日に放送した。その中で、中心人物とされる男子学生のメールアドレスを入手して、取材依頼の電子メールを送信するとともに、そのメール本文と、パソコンに向かってメールを作成する模様を撮影し、イメージ映像として放送した。このメール本文にはこの男子学生の姓が記載されていたため、放送直後からインターネット上にメール文の静止画像が出回り、名前が拡散された。当該局の報告書によると、担当ディレクターがメールに男子学生の実名を書き込んだことを忘れていたため、モザイク処理などを施さずに放送し、その結果、実名が1.5秒間露出したという。
BPOには、「まだ立件されていない男子学生の実名がさらされている。問題ではないか」という視聴者意見が寄せられた。
当該局は、当該映像の使用を直ちに禁止すると共に、個人情報の扱いについて一層の注意喚起をし、個人情報やプライバシー情報についてはディレクターのみならずカメラマンやアシスタントディレクターまでクロスチェックすることを義務づけるなどの再発防止策をとり、また個人情報の拡散防止のためSNSサイトの管理者に情報の削除要請を行っているが、まだ完全に削除しきれていない。
委員会の議論では「初めて放送を見た視聴者は時間が短くて気付かないかもしれないが、誰かが録画して静止画像がネットに出ることは容易に想像でき、不注意では済まされない問題だ」などとの厳しい意見もあった。ただ、原因は単純なミスであり、委員会の意見を議事録に紹介することで当該局に一層の注意喚起を促すことにしたいとして議論を終え、審議の対象とはしないことを決めた。

【委員の主な意見】

  • ネットに個人情報をアップロードしたくて待ち構えている者が数多くいる中、メディア側が不用意に個人情報をさらしてはならない。
  • メールに実名を書きこんだことを、翌日になったら書いた本人が忘れたと報告書にあるが、にわかに信じがたい。あまりにもずさんだ。
  • メールアドレスをつかんだからといって、取材申し込みのメールをわざわざ映す必要は、そもそもない。ケアレスミスだろうが、必要のないイメージ映像まで作って尺を稼ごうとする安易な演出手法にも問題があるのではないか。
  • 事後の対応は迅速で、またSNSサイトの管理者に情報の削除要請をするなど被害の拡大防止に手を尽くしていることは評価できる。

4. 同じ慶應大学女性集団暴行事件の報道で、被害女性に配慮を欠いた内容を放送したテレビ朝日の『羽鳥慎一モーニングショー』を討議

テレビ朝日の情報番組『羽鳥慎一モーニングショー』は、「独自 慶應生女性暴行疑惑 現役メンバー直撃 当事者の証言」と題した特集を10月20日に放送した。独自取材として放送されたVTRは、慶應大学広告学研究会のメンバーや男性OBの「被害女性側にも非があるのではないか…」というインタビューや、女性が知人とやりとりしていたLINEの画面の内容(イメージ再現)など、男子学生側の言い分を中心に構成されていた。また、サークルメンバーの話にあった「大学側も動画を確認し、事件性なしと判断したと聞いている」というコメントをスタジオで取り上げ、コメンテーターから大学側の対応を非難する発言があった。
当該局から委員会宛てに提出された報告書によると、放送後、当該局には被害女性の弁護士から抗議文が届き、視聴者からも批判的な意見が寄せられた。また慶應大学からは「大学側は動画を確認していない。事件性がないとは言っておらず、報道されているような事件性を確認するには至らなかったとコメントを出した」との指摘があったという。
BPOに対しても、視聴者から「被害女性の人権を侵害している」などとの放送内容に批判的な意見が多数寄せられた。
その後、当該局が被害女性の弁護士と面会して、放送内容が配慮を欠いていたことを謝罪するとともに、10月27日の当該番組内でお詫び放送を行った。
委員会の議論では、「男子学生側の主張で構成されているうえ、裏取り取材がほとんど行われていない」「女性への配慮が決定的に欠けた放送内容になっている」などとの厳しい意見が相次いだ。しかしながらこの事案は、現在捜査が進められており、さらに確認や検討が必要な点も出てくる可能性があるとして、次回の委員会で討議を継続することになった。

【委員の主な意見】

  • サークル側の学生の主張に沿った内容で、大学側が動画を見た上で事件性がないと判断したのかどうかなど、少し取材すればすぐに事実でないことが判明したことについても、男子学生側の言い分をそのまま放送している。ただ、当該局の報告書によると、番組担当の幹部が放送直後に問題点を指摘し、お詫び放送もしていて、事後処理は適切だと思う。
  • 男子学生側の主張を一方的に伝えた当該番組の発想自体が、ジャーナリストとしての倫理観を欠いているのではないか。男子学生側は、女性が他の男性と交際していたということが、女性にも非がある証拠だと考えているようだが、全くナンセンスな発想であり、この間違った判断を何の批判も加えずそのまま放送したことは、放送局側の見識を疑わせる。ただ、この事案で意見を言うたびに、被害女性にも焦点が当たってしまうのは本意ではない。
  • 一般論だが、捜査中の動いている事件については、より一層の細かい配慮が必要だ。当該番組にはこの配慮が欠けていたと思う。
  • VTRを見ていて大変不快に感じた。当該局が、常識的にはありえないサークル側の学生の主張を中心にして番組を構成していることと、大学側などに対して裏取り取材をしていないことが一番の問題ではないかと思う。ただ、捜査中の事案でもあり、事実関係に争いがあるようであるから、ひとまず推移を見守ったらどうか。

5. 委員会発足10周年記念シンポジウムについて

10周年記念のシンポジウムについて、担当委員から構成の一部見直しが提案され、承認された。

以上

第108回 放送倫理検証委員会

第108回–2016年10月

参議院議員選挙と東京都知事選挙の選挙報道について審議入り

TBSテレビ『珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー』を審議。意見書原案を意見交換など

第108回放送倫理検証委員会は、10月14日に開催された。
出演者の姿を本人の了解を得ずに映像処理で消したのは問題で、制作体制などについて検証の必要があるとして審議入りしたTBSテレビの『珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー』について、意見書原案が担当委員から提出され、意見交換を行った。その結果、担当委員が修正案を作成し、次回委員会で意見の集約を目指すことになった。
参議院議員選挙について放送局から事案の報告がいくつかあり、また東京都知事選挙で不公平な放送がされたという視聴者意見が数多く寄せられたことなどから、選挙報道のありかたについて討議が行われ、参院選と都知事選の選挙報道全般を対象として審議入りし、意見をまとめることになった。
委員会の10周年にちなんだ記念のシンポジウムについて、パネリストの人選やテーマについて検討を行った。

議事の詳細

日時
2016年10月14日(金)午後5時20分~7時50分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、升味委員長代行、岸本委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、中野委員、藤田委員

1. 出演者の映像を本人の了解なしに消去したTBSテレビの『珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー』を審議

TBSテレビ『珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー』(6月19日放送)の珍種目のひとつ「双子見極めダービー」で、実際は最後まで解答した出演者を、映像を加工して途中でレースから脱落したことにして放送した事案について、担当委員から前回までの議論を踏まえた意見書の原案が提出された。
原案では、問題となった放送にいたる経緯や原因を検証するとともに、その背景となっている問題点なども指摘された。委員会では、このような放送がなされた原因や背景について、制作体制やスタッフの意識の問題など、さまざまな観点から意見交換が行われた。
その結果、これらの議論をもとに、担当委員が修正案を作成し、次回委員会で意見の集約を目指すことになった。

2. 参議院議員選挙と東京都知事選挙の選挙報道について討議(審議入り)

7月に行われた参議院議員選挙と東京都知事選挙について放送局から何件かの事案の報告が寄せられたことや、都知事選で特定の3候補に報道が集中したのは不公平ではないか、との視聴者意見が数多く寄せられたことなどから、二つの選挙の具体的な事例を踏まえながら、選挙報道のありかた全般について委員会で議論を重ねてきた。「選挙報道が萎縮しているのではないか」といった指摘がなされている現状も考慮すると、具体的な事例を参照しつつ選挙報道の公平・公正についての委員会の考え方を示すのは意味があることなので、個別の番組についてではなく、参院選と都知事選に見られた選挙報道全般の問題点を対象として審議入りすることを決めた。
委員会では「候補者を紹介する時間を機械的に同じにするのではなく、幅広い観点からのバランスが大事では」といった意見や、「選挙報道が萎縮しているとの指摘もあるが、多様な選挙報道こそが放送の使命といえるのではないか」といった意見などが出され、幅広い議論が交わされた。
委員会は、今後、二つの選挙で見られた事例を踏まえつつ、テレビの選挙報道のあり方全般について審議し、選挙の公平・公正な実施に実質的な貢献をするとともに、視聴者の投票行動の選択に役立つ豊富で多様な情報を伝えられる放送とするために放送局に考えてほしいことを、「意見」としてまとめるとしている。

3. 委員会発足10周年記念シンポジウムについて

10周年記念のシンポジウムについて、新たに確定したパネリストの報告やテーマの詰めが行われた。

以上

第107回 放送倫理検証委員会

第107回–2016年9月

TBSテレビ『珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー』を審議 次回委員会までに意見書の原案を作成
選挙報道について議論など

第107回放送倫理検証委員会は、9月9日に開催された。
出演者の姿を本人の了解を得ずに映像処理で消したのは問題で、制作体制などについて検証の必要があるとして審議入りしたTBSテレビの『珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー』について、8月に実施した制作担当者へのヒアリングの結果が担当委員から報告され、意見交換を行った。
参議院選挙に関連して放送局からいくつかの事案の報告があり、また東京都知事選挙で不公平な放送がされたという視聴者意見が数多く寄せられたことなどから、選挙報道のあり方に関する議論が行われたが、次回委員会で引き続き対応を検討していくことになった。
委員会の10周年にちなんだ記念のシンポジウムについては、パネリスト候補への出演交渉の現状報告があり、人選や開催日時についてさらに詰めていくことを確認した。

議事の詳細

日時
2016年9月9日(金)午後5時25分~8時35分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、是枝委員長代行、升味委員長代行、岸本委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、中野委員、藤田委員

1. 出演者の映像を本人の了解なしに消去したTBSテレビの『珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー』を審議

TBSテレビ『珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー』(6月19日放送)の珍種目のひとつ「双子見極めダービー」で、実際は最後まで回答した出演者を、映像を加工して途中でレースから脱落したことにして放送した事案。7月の委員会で、バラエティー番組であっても、出演者の姿を本人の了解を得ずに映像処理で消したのは問題であり、そのような編集が行われた番組の制作体制などについて検証の必要があるとして、この番組を審議の対象とすることを決め、8月には、担当委員による当該番組のプロデューサー、ディレクターら制作スタッフ9人に対するヒアリングが実施された。
委員会では、担当委員からヒアリングの概要が報告され、経緯の確認が行われた。その上で、なぜこのような出演者への配慮に欠けた編集がなされ、放送に至ったのかについて、「スタッフ間での情報共有の不足や認識の落差がなぜ生じたか」「分業化が進む番組制作でチェック体制は十分だったか」「現場で疑問の声が出なかったのは何故か」などの点についても意見が交換された。そして、今回の議論をふまえ、担当委員が次回委員会までに意見書の原案を作成することになった。

2. 選挙報道について議論

参議院選挙、東京都知事選挙について放送局から何件かの事案の報告が寄せられたことや、東京都知事選挙で特定の3候補に報道が集中したのは不公平ではないか、との視聴者意見が数多く寄せられたことなどから、選挙報道全般のあり方について議論が行われた。「選挙報道が萎縮しているのではないか」といった指摘がなされている現状を踏まえ、委員会として選挙報道における公正・公平の意味について考え方を示すべきではないか、などとの意見も出され、次回委員会で引き続き議論を継続することになった。

3. 委員会発足10周年の記念シンポジウムについて

10周年記念のシンポジウムについて、司会やパネリスト候補への出演交渉の現状が報告された。その結果、来年3月頃の年度内開催に時期を遅らせ、会場の選定、日時やパネリストの確定をさらに進めていくことが確認された。

以上

第106回 放送倫理検証委員会

第106回–2016年7月

"出演者の映像を本人の了解なしに消去" TBSテレビ『ピラミッド・ダービー』審議入り

第106回放送倫理検証委員会は、7月8日に開催された。
出演者の映像を本人の了解なしに一部消去したTBSテレビの『珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー』について、当該局から報告書が提出され意見交換を行った。その結果、バラエティー番組で、より娯楽性を高める目的でしたことであっても、出演者本人の了解を得ずに、出演しているシーンの一部で本人だけを映像処理で消したのは問題であり、そのような編集が疑問なく行われた番組の制作体制などについて検証の必要があるとして審議入りすることを決めた。
2007年5月に発足した委員会の10周年にちなんだ記念のシンポジウムについて意見交換が行われ、テーマの設定や司会、パネリストの人選などについておおむねの合意が得られた。

議事の詳細

日時
2016年7月8日(金)午後5時45分~8時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、是枝委員長代行、升味委員長代行、岸本委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、中野委員

1. 出演者の映像を本人の了解なしに消去したTBSテレビの『珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー』について討議し、審議入りを決定

TBSテレビの『珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー』は、さまざまなジャンルの達人たちが番組独自に設定した珍種目で競い合い、スタジオのゲストが勝敗を予想するバラエティー番組だが、6月19日に放送された珍種目のひとつ「双子見極めダービー」で、実際は最後まで回答した出演者を、映像を加工して途中でレースから脱落したことにして放送した。放送後、出演者がブログで「順番やルールが変更され、無断で姿を消された」と告発したことから問題が発覚、当該局は「行き過ぎた編集があった」ことを認め、番組ホームページ等でお詫びした。
委員会では当該局が提出した報告書をもとに討議を行い、「委員会の過去の意見書は、バラエティー番組は自由であるべきだという原則を打ち立てたが、例外として、視聴者の信頼を著しく裏切る演出は放送倫理に反するとも述べている。その基準に照らして判断しなければならない」「果たしてバラエティー番組での演出の許容範囲を超えたといえるのか」「実際には出演しているシーンで出演者の姿を消すことに、スタッフの誰も疑問を感じなかったのはなぜか」「行き過ぎた分業化など、制作体制に問題はなかったか」など、さまざまな視点から意見交換が行われた。
その結果、バラエティー番組で、より娯楽性を高める目的でしたことであっても、出演者本人の姿を、本人の了解を得ずに、現に出演しているシーンから映像処理で消したのは問題であり、そのような編集が疑問なく行われた番組の制作体制などについて検証の必要があるとして審議入りすることを決めた。

[委員の主な意見]

  • 一番強い印象を受けたのは、映像を加工して出演していた人をいないことにしたということで、簡単に消すと判断を下した人がいたことに非常に驚かされた。
  • バラエティー番組なので、面白くするための演出は原則として許容されている。委員会がその例外を認めた事例は極めて限られている。今回の事案が、その例外的な事例と同等の問題であるとまでいえるだろうか。
  • 分業化が進んだ制作体制だとしても、かかわった制作スタッフの誰もが出演者の姿を途中から消すことに疑問を感じず、出演者への礼儀を欠いたまま放送に至ったのは理解に苦しむ。
  • 外部発注ではなく局制作の番組でありながら、番組の制作過程で、局の責任者であるプロデューサーのかかわり方があまりにも希薄な気がする。
  • 当該局の報告は「行き過ぎた編集」と説明しているが、単に「編集」の問題に矮小化しているのではないか。行き過ぎた分業化など、制作体制全体にも問題があるのではないだろうか。

2. 委員会発足10周年の記念シンポジウムについて

年内を目標に開催されることになった、委員会発足10周年の記念シンポジウムについてさらなる意見交換が行われ、具体的なテーマの設定、司会者やパネリスト候補の人選についておおむねの合意が得られた。今後、出演交渉や会場の選定など、実施に向けての作業に入る。

以上

第105回 放送倫理検証委員会

第105回–2016年6月

委員会発足10周年 記念シンポジウム開催へ

第105回放送倫理検証委員会は6月10日に開催された。
2007年5月に発足した委員会の10周年にちなんだ事業やイベントについて意見交換が行われ、記念のシンポジウムの年内開催に向けて、テーマの設定やパネリストの人選などが議論された。

議事の詳細

日時
2016年6月10日(金)午後5時~8時25分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、是枝委員長代行、升味委員長代行、岸本委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、中野委員、藤田委員

1.委員会発足10周年 記念シンポジウム開催へ

2007年5月に発足した委員会がことし5月から10年目に入ったことから、10周年にちなむ事業やイベントなどができないか検討してきたが、年内の開催を目標に記念のシンポジウムを実施することになった。
委員会では、発足10周年にふさわしいシンポジウムのテーマは何か、パネリストの人選をどう進めていくか、入場者の対象をどのように想定するか、会場としてふさわしい場所はどこかなどの点について幅広く意見交換が行われ、次回の委員会でさらに内容の詰めを行うことになった。

■ 委員会運営規則の一部改正 6月1日付で施行

4月の委員会で議決された「放送倫理検証委員会運営規則」の一部改正案が、5月31日に開催されたBPO理事会で承認され、6月1日付で施行されたことが、事務局から報告された。
また、この改正に伴い、BPOと加盟各社との間で取り交わしている「放送倫理検証委員会に関する合意書」も、委員会運営規則改正との整合性を図るために一部改訂されたこともあわせて報告され、了承された。

以上

第104回 放送倫理検証委員会

第104回–2016年5月

熊本地震の取材・報道について意見交換

議事の詳細

日時
2016年5月13日(金)午後6時~8時20分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、是枝委員長代行、升味委員長代行、岸本委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、中野委員、藤田委員

1.熊本地震の取材・報道について

第104回放送倫理検証委員会は5月13日に開催された。
討議の対象となる事案がなかったため、200件を超える視聴者からの意見がBPOに寄せられた熊本地震(4月14日発生)の取材・報道について、意見交換が行われた。
視聴者意見には、
▽ ヘリコプター取材の騒音などが被災者の救助の妨げになっている。
▽ 避難所に駐車している報道関係者の車両のために避難者が駐車できなかったり、夜間の中継や照明のために睡眠を妨害されたりしている。
▽ 行方不明者の搬出作業をテレビカメラが撮影するため、捜索隊はシートで目隠しをしなければならず、作業の遅れにつながる。
など、震災報道に関する具体的な批判が多かった。
また、取材者としてのモラルを問う意見として、
▽ テレビ中継車がガソリンスタンドで給油待ちをしている車の列に割り込んだ。
▽ 食料が不足する中、アナウンサーが弁当の写真をツイッターへ上げていた。
などの批判も寄せられた。

委員会では、個々のニュースや番組について、放送倫理上問題ありと指摘する意見はなかったが、取材や報道の在り方をめぐっては、さまざまな視点や論点から、議論が交わされた。

[委員の主な意見]

  • ヘリコプター取材に関する批判が多く寄せられているが、震災の初期などには報道のヘリで災害の場所が特定でき、被害の大きさが分かる場合もある。ヘリ取材をすべて否定してしまうと、被災地の状況が把握できなくなってしまうという一面もあるのではないか。

  • 打ち続く自然災害に対して、受け手の視聴者の方も相当に過敏になっている部分があるのではないか。そうした視聴者の不安も踏まえ、報道の内容や取材の仕組みを放送局が自ら精査していくことがとても大切だと思う。

  • 視聴者の知りたい情報、例えば九州・四国の原発の場所を地図上に加えて、異常がなければ異常なしと明記するなどの対応をしてもらえば、視聴者の不安解消につながるのではないか。

  • 視聴者意見やネットでの反応を見ると、被災地の当事者ではない人々がテレビの報道を見てそれをバッシングするという傾向もうかがわれる。周囲には厳しい目があることを自覚しながら、放送局として、必要な取材を適切な態勢でやっていることを視聴者にきちんと伝えることも重要だと思う。

  • バッシングにセンシティヴになりすぎるのも問題ではないか。取材者には、嫌われるのを覚悟で伝えるべきことは伝えるという姿勢がほしい。ニュースで、現地からの中継中に、被災者らしき人からクレームをつけられ中継をやめたケースがあったが、あわてて中継をやめるのではなく、逆にその人に話を聞いてほしかった。びくびくしている感じが残念だった。また、ボランティアが焼き芋を配っているのを中継したニュースでは、リポーターが雨に濡れながら待つ少女2人を押しのけてボランティアにインタビューしたという批判があったが、そうは見えなかったし、少女の話まで聞いていれば、そうした意見にはならなかったのではないか。

  • 東日本大震災や中越地震の際にも、取材しやすい場所にメディアが殺到し支援物資もそこに集中するという問題があった。それぞれの局が判断すべきことだが、過剰に詰めかけるところがある一方で、まったく行かない場所もあるということにならないでほしい。

  • 災害報道は、視聴者の放送に対する日ごろの不満が凝縮して出るという面もあるので、放送局は、一定の時間がたって自己検証する時に、こういう基準で震災を取材し報道したということが視聴者にきちんと伝わる総括的な検証番組を制作することも必要ではないか。

以上

第103回 放送倫理検証委員会

第103回–2016年4月

委員会運営規則の一部見直し 改正案を議決

第103回放送倫理検証委員会は4月8日に開催された。
3月31日、2期6年の任期を終えて香山リカ委員が退任したため、2016年度の委員会は、9人の委員によるスタートとなった。
委員会運営規則の一部改正について、加盟社からの追加意見はなかったため、2月の委員会で修正を加えた改正案を正式に議決した。5月のBPO理事会で承認されれば、6月から施行される予定である。

議事の詳細

日時
2016年4月8日(金)午後6時30分~7時45分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、是枝委員長代行、升味委員長代行、岸本委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、中野委員、藤田委員

1.委員会運営規則の一部見直し 改正案を議決

委員会の運営規則を現状に合わせる形で一部見直す件について、2月の説明会で出された加盟社側の要望に沿って、あらためてすべての加盟社に追加の意見を募ったが、「異論はない」との意見が2社からあっただけで、新たな意見は寄せられなかった。
委員会で対応を協議した結果、説明会で出された意見や要望についての委員会の考えは委員長が説明会の場で示しており、今回異論も寄せられなかったことから、2月の第101回委員会で修正を加えた「放送倫理検証委員会運営規則」の一部改正案にさらなる修正を加える必要はない、との認識で一致した。このため委員会は、この改正案を正式に議決した。
議決された改正案の主な内容は、審理や審議の前段階での議論を「討議」という手続きとして位置付け、また、これまでも慣例的に実施してきた審議の際のヒアリングを、あらためて明文化するものである(改正案の一部を以下に示す)。

改正案第4条
委員会は、放送番組の取材・制作のあり方や番組内容などに関する問題について討議する。討議の結果、放送倫理を高め、放送番組の質を向上させるため、さらに検証が必要と判断した場合は、審議を行うことを決定する。
改正案第4条 4
委員会は、審議において、放送事業者および関係者から事情聴取(ヒアリング)を行うことができる。

この改正案は、5月下旬のBPO理事会で承認が得られれば、6月1日付で施行される予定である。

以上