第269回放送と人権等権利に関する委員会

第269回 – 2019年5月

「情報公開請求に基づく報道に対する申立て」審理入り…など

議事の詳細

日時
2019年5月21日(火)午後4時~5時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

奥委員長、市川委員長代行、曽我部委員長代行、紙谷委員、
二関委員、廣田委員、水野委員

1. 審理要請案件「情報公開請求に基づく報道に対する申立て」

委員会は、本件申立ての審理入りを決定した。
NHK秋田放送局は、今年1月21日午後8時45分からの『NHKニュースこまち845』の中で、情報公開請求などによって明らかになった過去5年間の県内の国公立大学における教員のハラスメントによる処分に関するニュースを伝えた。
ニュースでは、ある大学で起きた3年前の事案について、匿名で「男性教員は、複数の学生に侮辱的な発言をしたことなどがアカデミックハラスメントと認定され、訓告の処分をうけた」とのナレーションに、開示された文書にある「学生への侮辱的発言、威圧的な行動」と「小中学生でも出来る」という文言を接写した映像を使って報じた。
この放送に対して男性教員が、氏名は発表されていないが、関係者には直ぐに自分だと判断される内容だ、とした上で、「私が複数の学生に対して『小中学生でも出来る』などといった侮辱が理由で処分されたと報道された。不正確な情報をあたかも実際に起きたかのように、間違った報道をされた」と主張し、「誤った情報が周知され、大学で正常に勤務できない状況が作られた」として、NHKに対して謝罪を求めてBPO放送人権委員会に申立てを行った。
これに対してNHKは、「情報公開請求で開示された内容を、各大学で改めて取材を行い、内容に誤りや変更がないことを確認した上で概要を説明した」と反論したうえで、「処分をされた教員は、いずれも匿名で、役職や年齢に触れていないなど、個人が特定できないよう、十分配慮している」と説明している。
21日に開かれたBPO放送人権委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。次回委員会から実質審理に入る。

2. その他

  • 委員会決定に対する当該局研修 第69号「芸能ニュースに対する申立て」に関する当該局研修を5月29日にTBSテレビで実施する。

以上

2019年5月21日

「情報公開請求に基づく報道に対する申立て」審理入り決定

BPO放送人権委員会は、5月21日の第269回委員会で、上記申立てについて審理入りを決定した。

NHK秋田放送局は、今年1月21日午後8時45分からの『NHKニュースこまち845』の中で、情報公開請求などによって明らかになった過去5年間の県内の国公立大学における教員のハラスメントによる処分に関するニュースを伝えた。
ニュースでは、ある大学で起きた3年前の事案について、匿名で「男性教員は、複数の学生に侮辱的な発言をしたことなどがアカデミックハラスメントと認定され、訓告の処分をうけた」とのナレーションに、開示された文書にある「学生への侮辱的発言、威圧的な行動」と「小中学生でも出来る」という文言を接写した映像を使って報じた。
この放送に対して男性教員が、氏名は発表されていないが、関係者には直ぐに自分だと判断される内容だ、とした上で、「処分の理由として、私が複数の学生に対して『小中学生でも出来る』などといった侮辱が理由で処分されたと報道された。不正確な情報をあたかも実際に起きたかのように、間違った報道をされた」と主張し、「教員としての信頼性および事件を全く知らなかった学生まで、誤った情報が周知され、大学で正常に勤務できない状況が作られた」として、NHKに対して謝罪を求めてBPO放送人権委員会に申立てを行った。
これに対してNHKは、「情報公開請求で開示された内容を、各大学で改めて取材を行い、内容に誤りや変更がないことを確認した上で概要を説明した」と反論したうえで、「処分をされた教員は、いずれも匿名で、役職や年齢に触れていないなど、個人が特定できないよう、十分配慮している」と説明している。

21日に開かれたBPO放送人権委員会は、委員会運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして、本件申立ては審理要件を満たしていると判断し、審理入りすることを決めた。次回委員会から実質審理に入る。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

第137回 放送倫理検証委員会

第137回–2019年5月

"CMと誤解を招きかねず放送基準に抵触する疑い"長野放送『働き方改革から始まる未来』審議入り

第137回放送倫理検証委員会は5月10日に開催され、新年度になって委員3人が交代したため、冒頭、報道各社による委員会の写真撮影が行われた。
委員会では、海外ロケをした「祭り企画」にでっち上げの疑いがあると週刊誌が報じ、審議を続けている日本テレビの『世界の果てまでイッテQ!』について、前回の委員会の議論を踏まえた意見書の修正案が担当委員から示された。来月の委員会では、今回の議論を反映した再修正案が提出される予定である。
また、以下の3事案について、当該放送局から報告書と当該番組のDVDの提出を受けてそれぞれ討議した結果、1事案の審議入りを決めた。
まず、長野放送が3月に放送したローカル単発番組『働き方改革から始まる未来』という持ち込み番組について討議を行い、日本民間放送連盟放送基準(以下「民放連放送基準」という)等に照らし、番組で取り上げている特定企業の事業紹介が広告放送であるとの疑いが大きい内容になっているのではないか、また、広告放送であるにもかかわらず、CMのかたちをとっておらず、放送番組と識別できていないのではないか等の意見が大勢を占め、また、持ち込み番組であることを踏まえてどのような考査を行ったのか等について検証が必要であるとの意見も出され、審議入りすることを決めた。
また、テレビ朝日が、2月に放送した番組で差別的表現があったことをお詫びしたバラエティー番組『アメトーーク!』について討議を行い、委員会は、特定の地域や学校を差別する表現があり、民放連放送基準に照らして問題があると考えられるところ、さらに確認したい点があるとして当該放送局に追加の質問を行い、討議を継続することになった。
続いて東海テレビが、気象庁の訓練用「火山噴火情報」を誤って速報スーパーで放送した事案について討議を行い、事実と異なる放送であり放送倫理違反が認められるうえ、必ずしも速やかに誤報を訂正したとはいえない等の意見が出された一方で、問い合わせのあった視聴者に対しては適切な対応を取り、具体的な再発防止策なども取っており、最終的に自主的・自律的な対応がなされているとして討議を終了した。もっとも、従前の同種の事案において、「提言」や「委員長コメント」が出されていることを踏まえ、委員から出された意見を議事概要に掲載して、改めて注意喚起することとなった。

1.「海外ロケの企画をでっち上げた疑いがある」と報じられた『世界の果てまでイッテQ!』を審議

日本テレビの「謎とき冒険バラエティー『世界の果てまでイッテQ!』」で、2017年2月に放送された「タイのカリフラワー祭り」と2018年5月に放送された「ラオスの橋祭り」にでっち上げの疑いがあると週刊誌が報じ、委員会は、この二つの「祭り企画」を対象に審議を続けている。
この日の委員会には、前回出された意見を受けて担当委員が作成した意見書の修正案が提案された。各委員からは、修正案の構成や指摘しているポイントの表現方法などについてさまざまな意見や見方が示された。
次の委員会では、今回の議論を踏まえて、担当委員から意見書の再修正案が提出される予定になっている。
なお、神田委員長は『世界の果てまでイッテQ!』の審議には参加していない。

2.長野放送『働き方改革から始まる未来』について放送か広告か曖昧だとして審議入り

長野放送は3月21日に『働き方改革から始まる未来』という持ち込み番組をローカル放送した。この番組は、労働基準法などいわゆる「働き方改革関連法」が変わる4月を前に、その準備ができているか等を問う内容となっているが、視聴者から「放送なのか広告なのか曖昧だ」という趣旨の意見がBPOに寄せられた。このため長野放送に対し、放送した番組のDVDと報告書の提出を求めて確認したところ、その内容のほとんどは、長野県に本社がある特定の社会保険労務士法人の事業の紹介であり、本編28分間の間にCMはなかった。
そこで、委員会は討議を行い、民放連放送基準の広告の取り扱い規定(第92条、第93条)や「番組内で商品・サービスなどを取り扱う場合の考査上の留意事項」等に照らすと、番組で取り上げている事業の紹介が広告放送であるとの疑いが大きい内容になっているのではないか、広告放送であるにもかかわらず、CMのかたちをとっておらず、放送番組と識別できていないのではないか等、放送倫理違反の疑いが大きいという意見や、持ち込み番組であることを踏まえて考査の過程など放送に至った経緯についても検証が必要である等の意見が相次いで出され、審議入りすることを決定した。今後は、長野放送の社員らに対するヒアリングなどを行って、審議を進める。

3.放送内容の差別的表現をお詫びしたテレビ朝日の『アメトーーク!』を討議

テレビ朝日は2月14日に放送したバラエティー番組『アメトーーク!』の中で出演者の女性芸人が自身の体験を語った際、自身が中途退学した高校の実名を挙げ、学校側が不良生徒対策をしているかのような発言をした。また司会者も「僕らも学生の頃にそっち方面は行かんとことみんなで言うてた」と発言、また他の出演者の「道できれいな10円を12円で売ってる」人がいたとの発言にその様子をイメージするかのようなイラストを挿入するなどの内容を放送した。その後、当該放送局は、4月18日の同じ番組で、「事実と異なる内容や差別的な表現があった」として謝罪し、番組のホームページにも謝罪文を載せた。
当該放送局の報告書によると、3月に当該高校などから謝罪・訂正を求められ、番組担当者が関係者と面会して直接謝罪したという。また、当該放送局によると、当該高校などからは、番組の一連の対応に理解をしてもらったという。
そこで、委員会は討議を行い、特定の地域や学校を差別する表現があり、民放連放送基準に照らして問題があると考えられるところ、さらに確認したい点があるとして当該放送局に追加の質問を行い、討議を継続することになった。

4.火山噴火情報の「訓練用の速報スーパー」を誤報しお詫びした東海テレビの報道内容を討議

東海テレビは、1月22日午後3時過ぎ、「午後3時1分頃新たな活火山が噴火した(気象庁)登山者はすぐに下山または避難を」という内容を速報スーパーで伝えた。しかし、当日、実際には活火山の噴火はなく、気象庁が東京の放送キー局各局と行っていた訓練用の情報を誤って放送したものであった。
当該放送局の報告書によると、担当の報道部は、キー局から送られてきた情報に火山の地名がないことを不審に思ったものの「人命にかかわる緊急性の高い情報」「地震速報などでは続報で詳細な内容が追加される場合がある」と考え速報スーパーとして放送し、その後、情報が訓練用のものであることが確認されたため、訂正の速報スーパーを放送することを検討したが、速報スーパーでは十分な説明ができず、逆に視聴者の混乱を招きかねないと判断し、夕方のローカルニュース番組の開始まで待ち、その冒頭で訂正とお詫びをしたという。
委員会では、本件が事実に基づかないニュースであり、放送倫理違反が認められること、また、当該誤報を取り消して訂正しているものの、必ずしも速やかに対応したとはいえないこと、とりわけ、「登山者はすぐに下山または避難を」という災害情報であったことに鑑みれば、より速やかに速報スーパーで取り消し又は訂正を行う余地があったのではないかとの意見が出された。
他方で、災害情報であったことを踏まえると、まずは速報を行う必要性があったことも否めないこと、当該放送局では、誤報の可能性が高まった段階から、問い合わせのあった視聴者に対して誤報の可能性を伝え、誤報であることが確定した後は、誤報であることをお詫びとともに伝えていたこと、本件を契機として、訓練データが配信されないように当該放送局系列のキー局のシステムを改修し、訓練情報であることをデータに明記するなどの具体的な再発防止策がとられたこと、当該放送局の番組審議会や第三者諮問機関において、本件が取り上げられて厳しい意見が出されていることなど、最終的に自主的・自律的な対応がなされていることを踏まえ、審議の対象とはせず、討議を終了することとした。もっとも、かつて、誤字幕、誤映像のミスが生じた同種の事案において、委員会として「提言」(2011年9月)をおこなって注意喚起をした経緯が存すること、また、それとは別に、不適切テロップが送出された事案において、当該放送局が迅速な訂正をし、かつ訂正とお詫びを翌朝までに3度放送した事案においても「委員長コメント」(2012年4月)を出して注意喚起をした経緯を踏まえ、委員から出された意見を議事概要に掲載して、改めてBPO加盟の放送局に注意喚起することとした。

【委員の主な意見】

  • 火山の名前が記載されていなかったのであるから、まず火山を特定する必要があったにもかかわらず、その点を十分に確認しないまま誤った事実をスーパーで流したことは放送倫理違反にあたるのではないか

  • 災害情報であったことを踏まえると、火山の名前が記載されていなかったとしても、むしろ速やかに報道する必要性があったことも否めないのではないか

  • 「登山者はすぐに下山または避難を」という災害情報であり、人命にかかわる緊急性の高い情報でもあったことに鑑みれば、『ニュースの誤報は速やかに取り消しまたは訂正する』との放送基準に照らして、速やかに取り消し又は訂正を行うべきではなかったか

  • 災害情報を速報スーパーで誤ったのであれば、速やかに速報スーパーで取消又は訂正すべきだったのではないか

  • 誤字幕、誤映像の問題については「提言」や「委員長コメント」を行った先例があり、とりわけ災害報道や災害の緊急告知に際しての字幕や映像の正確性や訂正の必要性について、放送局全体が危機意識を有してほしい

以上

2019年5月10日

長野放送『働き方改革から始まる未来』審議入り

放送倫理検証委員会は5月10日、長野放送の『働き方改革から始まる未来』について、審議入りすることを決めた。
審議の対象となるのは、3月21日に長野県内で放送された30分番組の『働き方改革から始まる未来』で、放送は長野県内の社会保険労務士法人の働き方改革をめぐる取り組みを紹介している。委員会では、視聴者から寄せられた「放送なのか広告なのか曖昧だ」という意見を受けて、当該番組の制作の経緯を知る必要があるとして、当該放送局に対して報告書と同録DVDの提出を求め討議した。その結果、委員から、「番組ではなくCMではないか、民放連の放送基準に反しているのではないか」などの意見が出され、『働き方改革から始まる未来』を審議の対象として検証することを決めた。
審議入りについて神田安積委員長は、「広告放送とコマーシャルの区別ができているのかどうか、視聴者に広告放送と誤解を招くような演出になっていないか総合的に判断する必要がある」と述べた。委員会は今後、長野放送の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

2019年4月に視聴者から寄せられた意見

2019年4月に視聴者から寄せられた意見

東京・池袋で、2人死亡、数人のけが人が出る交通事故が起きたが、それに関する報道の仕方への意見。プロ野球も開幕し各局のスポーツ関連番組に対する意見など。

2019年4月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,483件で、先月と比較して144件増加した。
意見のアクセス方法の割合は、メール79%、電話19%、FAX 1%、郵便1%。
男女別は男性69%、女性30%、不明1%で、世代別では30歳代28%、40歳代26%、20歳代18%、50歳代16%、60歳以上9%、10歳代3%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。4月の通知数は延べ882件【54局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、24件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

東京・池袋で、2人死亡、数人のけが人が出る交通事故が起きた。それに関する報道の仕方への意見が多く寄せられた。また、プロ野球も開幕し、各局のスポーツ関連番組に対する意見も多かった。
ラジオに関する意見は70件、CMについては17件あった。

青少年に関する意見

4月中に青少年委員会に寄せられた意見は106件で、前月から29件増加した。
今月は「表現・演出」が41件、「動物」が8件、「いじめ・虐待」と「低俗・モラル」がそれぞれ6件と続いた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 最近、型にはまったようなニュースばかりで、報道の価値が下がっている気がする。テレビでは、どのチャンネルでも、同じ時間帯に同じニュースが流れ、出演者以外、代わり映えしないものが多い。新聞でも、表現が異なるだけで内容は同じものばかり。2、3紙読んだところで情報量はほとんど増えない。特ダネを求めるわけではないが、テレビ局や新聞社にはそれぞれ独自の記事を打ってほしい。共通の情報源を利用しているからだろうが、どの媒体も足並みが揃い過ぎている。情報統制されているようで気持ちが悪い。

  • テレビ局は、なぜこうも横並びの報道をするのか。新元号決定の時もそうだったが、今日は、麻薬で逮捕されたタレントの釈放の瞬間をとらえようと、民放各局が警察署前で待ち構えている。どのチャンネルに替えてもそれしかやっていない。チャンネル数はあっても選択肢が無いわけで、実につまらない。今更ながら、各局で、情報番組の放送時間帯を分散させるなどの調整をすることはできないものだろうか。

  • 麻薬で逮捕されたタレントの報道について、芸名や「○○容疑者」とする番組が多い。ひどい番組になると「〇〇さん」である。法の裁きが終わらないうちに、「彼はいい役者だ」や「作品に罪はない」などといった報じ方をするのは、特別扱いしているように感じる。

  • 東京・池袋の高齢者男性による交通事故について、その報道の仕方に、通常の交通事故の報道とは違う印象を受けた。ほとんどの局が「〇〇元院長」と伝え、なかには「〇〇さん」としていた番組もあった。そもそも、事故と過去の勤務先とは何の因果関係もないのに、「元院長」の肩書きが必要か疑問に思う。事件・事故を起こした人が、その社会的な地位によって扱われ方が変わり、それが黙認されるのであれば、報道の姿勢に大きな疑問を持たざるを得ない。

  • 知人2人と空港に行った際、駐車スペースに空きがなかったので、身障者用スペースに車を入れた。しばらくして駐車場に戻ると、そこにテレビ局の取材班が待ち構えていた。「健常者なのに何故そこに駐車するのか?」と聞かれ、突然のことにこちらもつい反発口調になってしまった。ろくに返事もせずその場を去ったため、さらに印象を悪くしたようだ。確かに、我々のほうがマナー違反をしており、その自覚もあるし、言い訳できない。その日の夕方のニュースで、モザイク無しで我々3人が映されていて驚いた。しかもスタッフとのやり取りのうち、粗暴な態度が目立つように編集され、あっという間に知人らに知られてしまった。友人2人は上司に呼ばれて叱責を受けた。スタッフから「顔出しで放送していいか?」とは聞かれていない。許可もなく顔がさらされるとは思ってもみなかった。

【番組全般・その他】

  • 五輪担当大臣が、度重なる失言の末、ついに辞任した。一夜明けて、民放各局の情報系番組はそのことで持ちきりだ。それも失言集を面白おかしく編集し、出演者たちがあざ笑うという趣向がほとんど。一定時間でこの話題を切り上げ、節度が感じられる局もあったが、ひどいものでは1時間以上も、辞任した大臣へのバッシングを続けていた。なぜこのような無意味なことをするのか?理解できない。

  • 朝の番組で、老人が子どもの席を奪ったバス車内での投稿動画について放送していた。トラブルを映した複数の動画が存在するわけではなく、途中からで、事の発端もそれまでの状況も分からず、ただ憶測だけが残ってしまう映像だ。そもそもこれは放送すべき事柄なのか。事実関係もはっきりしていないのに、安易に取り上げ、動画の再生回数が多いなどの理由で、論争に加担するのは如何なものか。テレビは公共性が高く影響力が大きいのだから、問題提起になる事柄なのかを考えた上で放送したほうがいいと思う。

  • 4月から始まったクイズ番組は、平成、昭和の世代ごと、お互いの知らない部分を知ることが目的なのに、それが崩壊していた。クイズ番組としても、出題意図が掴みにくく、アラが多く感じた。平成生まれに対しては、わざと間違えさせる出題文にしていた一方で、昭和生まれ用のクイズは即答できず、難問ばかりだった。番組全体として、平成世代をバカにし過ぎる印象を受けた。

  • 夕方の番組の世界卓球選手権に関するニュースで、女子ダブルスの日本チームが微妙な判定で敗れたが、対戦相手が中国チームであったせいか、この時の審判を「中国系マレーシア人」と報じていた。今までこのような報道をあまり見たことがなく、とても異様に感じた。他の民族の場合はこう言ったことはしない。これは明らかに、中国人を悪く印象付けるためだと感じた。

  • プロ野球中継で、ボールカウントをコールする順番は、昔の「S(ストライク)・B(ボール)・O(アウト)」から、「B・S・O」の大リーグ方式に変わった。WBCなど国際試合の機会が増えたこともあり、国際的な標準に合わせたのだ。ところが広島のテレビ局の野球解説者は、いまだに「S・B・O」のままだ。実況アナウンサーは正しい順で言い、そのそばから解説者が「ツー・スリー」などとありえないカウントを言う。視聴者に正しく分かりやすく伝えるのが解説者の役目なのに、頑なに旧方式を守るのは問題だ。局に何度も苦情を入れているが、真摯に受け止める様子がない。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • 衝撃的な映像を紹介するバラエティー番組で、監視カメラやドライブレコーダーで撮られた事故映像を多数流していたが、何のためなのか。映像を見ながらタレントが騒ぎ立てたりしていて、他人の事故映像でスリルを楽しむかのような内容に嫌悪感を覚えた。ただの事故映像を見せつけるなんて悪趣味。家族で見る時間帯のテレビの役割ではないと感じた。

【「非科学的な事柄」に関する意見】

  • 血液型別に人の性格や特徴を取り上げたバラエティー番組は、偏見を強めようという意図しか感じられない番組だった。なぜここまで気軽に偏見を強めるような番組を作るのか。子どもたちの血液型についての偏見が助長されないような配慮が感じられなかった。

【「要望・提言」】

  • 最近の医療情報番組は、子どもたちが見る時間帯でも手術シーンをそのまま放送している。以前は臓器が見える手術シーンなどは、ぼかして放送していたと思うが、そのまま放送するのは子どもたちや高齢者には刺激が強すぎるのではないか。以前のようにぼかして放送してほしい。

第213回 放送と青少年に関する委員会

第213回-2019年4月

視聴者からの意見について…など

2019年4月23日、第213回青少年委員会をBPO第1会議室で開催し、7人の委員全員が出席しました。
委員会では、まず3月16日から4月15日までに寄せられた視聴者意見について意見を交わしました。
殺人犯を追いつめるサスペンスドラマの最終回について、「子どもが視聴可能な時間帯に放送する内容としては殺人の描写が生々しく描かれていた」「いじめを助長させるような表現があった」などの意見が寄せられました。これに対し、委員からは「殺人のシーンはインパクトはあったが、刺すなどの実行行為を直接見せていないなど映像的な配慮はあった」「いじめのシーンは事件のきっかけとなった回想の場面であり、肯定的には描かれていない」などの意見が出されました。
4月の中高生モニターのリポートのテーマは「これまで視聴・聴取したなかで一番印象に残るテレビ・ラジオ番組について」でした。33人から報告がありました。
学校を舞台に教師が生徒を人質にするという内容の連続ドラマについて「私は、この2月まで不登校だったが、このドラマで先生が生徒と真正面から向き合う姿や生徒自身が自分の抱えている問題と目を合わせてそれを乗り越えて成長する姿を見て、自分もこのままではだめだと思うようになった。自分も自分の問題と真剣に向き合いたいという気持ちでいっぱいになり、それを見た次の日、何か月も入っていなかった学校の教室に行った。何かを見てこんなに心を動かされたのは初めてだった」、小説家の村上春樹さんが出演するラジオ番組について、「村上さん自身の普段の生活、過ごし方が垣間見える気がして楽しかった。いくつかのクリスマスソングが紹介されたが、聞いていてクリスマスの季節感に浸ることができた。その年のクリスマスは、それらの曲を聴きながら過ごしたが、今どこかで同じ曲を聴いている人がいるのだろうかと感じて、暖かい気持ちになれた」、東日本大震災のニュースについて、「これが日本で起こっているのか?現実なのかフェイクなのかと当時小学3年生の私は混乱し、映像を通してでありながらもこれほどの恐怖を感じたことはなかった。その後も続くテレビからの情報で頭の中の混乱は少しずつ鎮まり現状の理解は進んだが、その分深く悲しみで埋められていくという経験をした。あの光景とその時感じた気持ちは強く心に残っている」などの意見が寄せられました。委員会では、これらの意見について議論しました。
次回は5月28日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2019年4月23日(火)午後4時30分~午後6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
調査研究について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

殺人犯を追い詰めるサスペンスドラマの最終回において、犯人による刺殺や自殺に見せかけた首つりなどのシーンについて、「子どもが視聴可能な時間帯に放送する内容としては殺人の描写が生々しく描かれていた」「これを見た判断のつかない子どもにこのようなことを誘発してしまうおそれはないのか」「いじめを助長させるような表現があった」といった意見が寄せられました。これに対し委員からは「殺人のシーンにインパクトはあったが、刺すなどの実行行為そのものを直接見せていない表現上の配慮は感じられる」「いじめのシーンは事件のきっかけとなった回想の場面であり、肯定的に描かれていない」との意見が出されました。
朝のアニメ番組において、妖怪との戦いに敗れた女性が倒れ、体の下から血が流れ出る場面について「出血するシーンは残忍で、子どもの見る時間帯に放送すべきでない」との意見が寄せられました。これに対して委員からは、「うつ伏せ状態での描写で、傷や顔の表情を映していない映像的な配慮が感じられる」「青少年に悪影響を与えるほどの残虐性とは思えない」「昔からやっているアニメだが、当時は何の問題もなかった。作りが変わったのか、皆がセンシティブになっているのか、疑問に思った」との意見が出されました。
夜のバラエティー番組で司会者とゲスト有名人が飲食店で酒を飲みながらトークする企画について、「酔っぱらっているように見える。青少年が上品なお酒の飲み方を間違って覚えてしまう。悪ふざけで酒を飲む番組は一考してほしい」との意見が寄せられました。これに対し委員からは、「本当に酔っているなら問題だろうが、表現・演出の一種ではないか」「放送時間帯によっては注意が必要だ」との意見が出されました。
これらの件に関しては、これ以上話し合う必要ない、となりました。

中高生モニター報告について

2019年度は、全国34人の中高生にモニターを依頼しました。
新しいモニターの初めての報告となる4月のテーマは「これまで視聴・聴取したなかで一番印象に残るテレビ・ラジオ番組について」でした。また、「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。
33人から報告が寄せられましたが1人で2つの番組をリポートしたモニターがおり、ジャンル別では、ドラマに11人、バラエティーに8人、報道・ドキュメンタリーとラジオ、その他にそれぞれ5人から報告がありました。ドラマでは3人が『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ)を取り上げ、「(ドラマを見て)自分が逃げ続けていた自分自身の問題に向き合いたい気持ちでいっぱいになり、翌日、何か月も不登校だった自分の教室に行った」など、ドラマとの出会いの喜びと制作者への感謝を伝える報告が届いています。
「青少年へのおすすめ番組」では、『フランケンシュタインの誘惑E+』(NHK Eテレ)に6人のモニターが感想を寄せています。
「自由記述」では、「最近はどのチャンネルのバラエティーも同じような内容・出演者で、あまり面白くない。なぜテレビは同じになってしまうのか?」というバラエティー番組への疑問や、「番組制作の背景は画面のこちらからは見えないが、番組を通して、こちらからは見えない人々の思いや考えが伝わってきて、最終的には私もつながりの一員になっていると感じる。テレビやラジオは、そんなことが可能な素晴らしいものだと思う」というテレビ・ラジオへの期待感を述べるモニターがいました。

◆委員の感想◆

  • 【これまで視聴・聴取したなかで一番印象に残るテレビ・ラジオ番組について】

    • 『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ/2019年)を取り上げたモニターが、1年以上不登校を続けていたがこのドラマを見て心を動かされ、視聴した翌日から登校を再開しとてもいい1日を過ごした、ということを報告している。ドラマの持つ力を体現したかのような感想だと思う。

    • 『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ/2019年)について「主人公である教師がつぶやいた言葉や叫んでいた言葉などがすごく印象に残り心に刺さっている」と述べたモニターがいたが、ドラマはそのセリフ一つひとつが子どもたちの気持ちに残るのだと感じた。

    • 『アイシテル〜海容〜』(日本テレビ/2009年)という10年前のドラマを、当時5歳で視聴していたというモニターが報告している。5歳で見たドラマが心に残り続けていると書いてくれたリポートを読んで、ドラマの力を思い知らされたドラマというものは、人の心の中に入り込んで何かをつかまえてしまうようなものなのかもしれない。

    • 『FUNKY FRIDAY』(FM NACK5)「最近の趣味はラジオを聴くだけでなくメッセージを送ること」だと書いてくれている。ラジオは今も昔も、リスナーの声を取り入れながら構成されており、その過程への参加感を味わいながら今の子どもたちもラジオを聴いているのかな、と感じた。

  • 【自由記述について】

    • 「インターネットでは意図的に検索した結果が表示されるが、テレビは番組表に内容が細かく載っていないことが多いので何が放送されるかわからないのは少し怖い」という記述があった。私たち大人の感性とは逆のようで、若い世代は、自分の見たいものは自分でコントロールできるということが日常になっているのかもしれないと思った。

    • 「番組制作の背景は画面のこちらからは見えないが、番組を通して、こちらからは見えない人々の思いや考えが伝わってきて、最終的には私もつながりの一員になっていると感じる。テレビやラジオは、そんなことが可能な素晴らしいものだと思う」と、制作の背景を書いてくれたモニターがいたが、テレビに対して非常に高い意識を持っていることが感じられる。

  • 【青少年へのおすすめ番組について】

    • 『フランケンシュタインの誘惑E+』(NHK Eテレ)について「医療という科学と生死という人間の営みの共存について考え意識することになった。次の時代、先人の築いたそれを担う私たちはどこまで踏み込んでいるのか」と非常に深い感想が寄せられており、感心した。

◆モニターからの報告◆

  • 【これまで視聴・聴取したなかで一番印象に残るテレビ・ラジオ番組について】

    • 『ハートネットTV /耐えて許してなぐさめる ~能楽師ワキ方・宝生閑の人生~』(NHK Eテレ/2015年)主役ではない「ワキ方」、端の人の生き方や考え方を学ぶことができました。主役ではなく、むしろ端にいる人が空気を動かすことができること、主役と脇役の間合いが大切だということ。口で「言う」、態度で「示す」など自分自身の体を使わないと思いは表現できないと思っていた私にとって、日常のやり取りを見直すきっかけにもなりました。それまでは「空気を読む」、「言わぬが華」と言われるようなわかりにくいことは駄目だと思っていたのですが、それもまたケースバイケースで適切な方があるのではと、今は考えています。(福岡・中学2年・女子)

    • 『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ/2019年)私は、中学2年の2月まで不登校でした。このドラマで先生が生徒と真正面から向き合う姿や、生徒自身が自分の抱えている問題と目を合わせてそれを乗り越えて成長する姿を見て、自分もこのままではだめだと思うようになりました。主人公の先生が生徒に真剣に語りかける目をみて心が揺さぶられました。自分も自分の問題と真剣に向き合いたいという気持ちでいっぱいになり、それを見た次の日、何か月も入っていなかった学校の教室に行きました。とてもいい1日でした。それから学校に行けるようになりました。このドラマの制作に携わったすべての大人の方にありがとうを伝えたいと思います。これからも多くの人に勇気を届け、大切なことを伝えていってほしいと思うと同時に、私もそんな大人になりたいと思いました。そんな大人になれるよう、日々たくさんのことを学んでいきます。(兵庫・中学3年・女子)

    • 『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ/2019年)このドラマの中で柊一颯先生が3年A組に訴えかけていた内容は、今の社会全体にも通じる内容でした。非現実的な設定も多くありましたが、私にはいい意味で刺激的な内容でした。このドラマのセリフで、「お前の他愛もない言葉一つで、誰かを救うことができるかもしれない。でもその一方で、傷つく誰かがいるかもしれないってことを忘れるな。簡単に命を奪えるってことを忘れるな。」というものが強く印象に残っています。この言葉は私の経験と重なり、ドラマが終わった後にもふと思い出しました。この言葉は私以外にも多くの人に響いてほしいと思えた言葉です。また、柊先生が呟いていた「死ぬのは怖いな」という言葉も、ボソッと放った一言だったからこそ心に刺さりました。このタイミングで何か訴えかけるドラマとしてメッセージ性の強い、いいドラマだったのではないかなと思います。(福岡・中学3年・女子)

    • 『アイシテル〜海容〜』(日本テレビ/2009年)このドラマは、少年犯罪と親をテーマとした悲しく切ないストーリーでできています。視聴時、私はわずか5歳であったのにもかかわらず今でも心に残り続けているのは、その内容があまりにも衝撃的だったからでしょう。どんなに愛され育った子どもでも犯罪者になりうる。そして、どんなにささいなことでも誰かの心の傷になりうる。その事実をつきつけられました。これは、犯罪だけでなく、あらゆることに置き換えられると思います。
      SNS。お互いの顔が見えないから、と発した何気ない言葉が、誰かを不快にさせるかもしれない。
      友人関係。仲が良いからと、冗談のつもりで言った言葉が、知らずに相手を悲しませるかもしれない。どんな時でも、自分の言葉と行動に責任をもつ。これこそが、親ではなく子としての視聴者であった私が得たメッセージでした。(東京・高校1年・女子)

    • 『テストの花道』(NHK Eテレ/2010~2014年)この番組は主に勉強のやり方を紹介する番組でした。番組は高校生向けだったのですが、その時私は小学生だったので「中学生や高校生になったらやってみたい」と思っていました。今もいくつかの勉強法を覚えていますし、試したりもしています。小学生だったので、習っていない教科もあったりして、兄にほとんど無理やりやらせた勉強法もありました……。今考えると、学生によくある悩みから解決法を紹介してスタジオに戻って、試したり話し合ったりしてからさらに応用的なことまで紹介するという流れが、「上手に作られているなぁ」と感じます。また、花道の先輩たち(大学生)の意見を聞けたのも 中高生にとって良い刺激になったのではないかと思います。そして、一番すごいなと思うところは 勉強法を紹介するという「お勉強」の番組なのに固くなり過ぎずユーモアを交えながら視聴者が楽しく見ることができるというところです。中高生はもちろん、当時小学生だった私も「勉強」に対する抵抗や壁というか薄い膜のようなものを感じなくなったと思います。私は「勉強は楽しいものなんだ」と思うことができたあの番組がとても印象に残っています。(神奈川・高校1年・女子)

    • 『村上RADIO~村上式クリスマスソング~』(エフエム東京/2018年)ラジオの放送から、村上さん自身の普段の生活・過ごし方が垣間見える様な気がして楽しかった。また、番組タイトルにもある通り、番組内でいくつかのクリスマスソングが紹介・放送されていた。これらの曲は個人的には知らないものばかりであったが、どれも欧州のクリスマスにありそうな、独特の雰囲気がとても良く出ており、聞いていてクリスマスの季節感に浸ることができた。かなり気に入ったので、その年のクリスマスは、それらの曲を聞きながら過ごした。曲を聞いていると、今どこかで同じ曲を聞いている人がいるのだろうかと感じて、暖かい気持ちになれた。これまで多くの番組を視聴してきたが、このような気持ちになれたものは少ない。(東京・高校1年・男子)

    • 『FUNKY FRIDAY』(FM NACK5)様々なコーナーがあり、毎週楽しみにしている。パーソナリティーの小林克也さんの話術がとてもすばらしく尊敬する。また最近の趣味は、ラジオを聴くだけではなくメッセージを送ることで、番組内のあるコーナーに電話かメールで参加できるのだが、全くつながることができず、大変無謀なコーナーだと思っている。正解者のなかから抽選などのほうが、様々な人にチャンスがあるのではないかと思ったりもする。(東京・高校2年・男子)

    • 『震災関連のニュース』(2011年3月11日)小さな頃からニュースが好きで家族で見てはそれぞれの見解や意見を交わすのが楽しみでした。そんな日々の中で東日本大震災が起こった時だけは今までとは違いました。これが日本で起こっているのか?そして現実なのかフェイクなのかと当時小学3年生の私は混乱し、映像を通してでありながらもこれ程の恐怖を感じたことはありませんでした。しかしその後も続くテレビからの情報で頭の中の混乱が少しずつ鎮められ現状の理解は進みますが、その分深く黒く重い悲しみで埋められていくという経験をしました。あの光景とその時感じた気持ちは強く心に残っています。テレビは今、この時をリアルに伝えることができ、後世にありのままの姿を残すことができます。リアルが伝わることの大切さ、伝えることの重要性を子どもながらに強い刺激を受けながらも感じました。メディアの中でもテレビやラジオの正確な情報は私たちの生活にとても重要で必要なものであると認識し、世の中を知る有り難いものであると考えるようになりました。このような経験から、3.11の映像が一番心に残るものとなりました。(奈良・高校3年・男子)

    • 『新元号発表生中継』(2019年4月1日)新元号発表の瞬間は外出先だったため、その瞬間に立ち会うことをあきらめていたが、政府による生配信があると知り「これは見るしかない」と思うと同時に、放送手段から時代の移り変わりも感じられた。(佐賀・高校3年・女子)

  • 【自由記述】

    • インターネットなどでは自らが意図的に検索したものの結果が出ます。けれどテレビはチャンネルを替えると映像が飛び込んできます。番組表にも放送の内容は細かく載っていないことが多いので、少し怖いと思います。(兵庫・中学1年・女子)

    • 私たち視聴者側から見えるのはでき上がったものだけれど、それはその作品ほんの一部分でしかなく様々な人がつながってようやく形になったものです。その制作の背景というのは画面の向こう側でこちらからは見えません。だけど見えるもの、つまりその番組、を通して、こちらからは見えない人々の思いや考えが伝わってきて、最終的には私もつながりの中の一員になっていると感じます。テレビやラジオは、そんなことが可能な素晴らしいものだと思っています。(東京・中学2年・女子)

    • 僕はバラエティーが好きなのですが、最近はどこのチャンネルのバラエティーでも同じような内容・出演者で、あまり面白くありません。しかしラジオは局によっていろいろな工夫がされていて出演者も多彩で、すごく面白いです。なぜテレビは同じような内容・出演者になってしまうのですか?(東京・中学2年・男子)

    • 私がそうであるように、TVやラジオなどのメディアから得る情報に抱く感想は十人十色です。先日、学校の授業でメディアについて学びました。その時に様々なニュース記事を読む機会があったのですが、一部の記事に偏りを感じました。「~のようだった」など不確定なものもありました。メディア側には、公平さを求める一方で、私たち視聴者も、メディアリテラシーをしっかりと個々が身につけなければならないと思っています。(東京・高校1年・女子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『フランケンシュタインの誘惑E+』(NHK Eテレ)まず、編集がとても上手だと思いました。世界観が独特な内容だけれど、それに入り込みやすい雰囲気があってすんなりと入っていけました。それから、内容も興味深かったです。死を克服する人体実験、それが確実に心臓は動いていたという話は、死というものが心臓が止まるということならば、本当に生き返っているということで、あの物語は不可能じゃないんだ、とドキドキさせられました。(東京・中学2年・女子)

    • 『フランケンシュタインの誘惑E+』(NHK Eテレ)科学番組でしたが、「死」を科学で克服しようとする姿勢からはたして「死は乗り越えるべきものなのか」、「死ぬとはどういうことか」など突きつけられた感じがしました。医療という「科学」と生死という人間の「営み」の共存についても考え意識することになりました。次の時代、様々な発展とともに先人たちが築いたそれを担う私たちは、どこまで踏み込んで良いものなのか?侵してはいけないところはどこなのか?そんなことを考え、また「生と死」の対局にあるものについても理解できる良い番組でした。(福岡・中学2年・女子)

    • 『フランケンシュタインの誘惑E+』(NHK Eテレ)人体蘇生を生涯かけて試みたコーニッシュ氏の生涯を取り上げていた。これらは、当時の新聞・学術雑誌の記事や多くの人々へのインタビューなどで構成されており、しっかりした内容だった。途中で挙げられていた「何をもって死とするか」という問題について、とても考えさせられた。医療技術が急激に促進する現代において、この問題はより真剣に考えるべきだと感じた。(東京・高校1年・男子)

調査研究について

担当の中橋委員より、調査研究について進捗状況が説明されました。青少年のメディアリテラシー育成に関する放送局の取り組みについて今年度中に資料収集をすること、来年度中にアンケートを実施する予定です。

今後の予定について

  • 5月21日(火)に開催される、高知県の放送局と青少年委員会委員との意見交換会について、地元局との事前打ち合わせの結果を踏まえ、テーマ、進行などが事務局より説明されました。

以上