第252回放送と人権等権利に関する委員会

第252回 – 2017年11月

沖縄基地反対運動特集事案の審理…など

沖縄基地反対運動特集事案を審理し、「委員会決定」の構成や方向性について意見を交わし、その結果、担当委員が起草に入ることになった。

議事の詳細

日時
2017年11月21日(火)午後4時~7時40分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

坂井委員長、奥委員長代行、市川委員長代行、紙谷委員、城戸委員、
白波瀬委員、曽我部委員、中島委員、二関委員

1.「沖縄の基地反対運動特集に対する申立て」事案の審理

対象となった番組は、東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)が本年1月2日と9日に放送した情報バラエティ―番組『ニュ―ス女子』。2日の番組では、沖縄県東村高江地区の米軍ヘリパッド建設反対運動を特集し、「軍事ジャ―ナリスト」が現地で取材したVTRを放送するとともに、スタジオで出演者によるト―クを展開、翌週9日の同番組の冒頭、この特集に対するネット上の反響等について出演者が議論した。
この放送に対し、番組内で取り上げられた人権団体「のりこえねっと」の共同代表の辛淑玉氏が申立書を委員会に提出、「本番組はヘリパッド建設に反対する人たちを誹謗中傷するものであり、その前提となる事実が、虚偽のものであることが明らか」としたうえで、申立人についてあたかも「テロリストの黒幕」等として基地反対運動に資金を供与しているかのような情報を摘示し、また、申立人が、外国人であることがことさらに強調されるなど人種差別を扇動するものであり、申立人の名誉を毀損する内容であると訴えた。
これに対しTOKYO MXは、「申立人の主張は本番組の内容を独自に解釈し、自己の名誉を毀損するものであると主張するものであり、理由がないことは明らか」との立場を示し、また、虚偽・不公正であるとの申立人の主張については、「制作会社において必要な取材を尽くしたうえでの事実ないし合理的な根拠に基づく放送であって、何ら偽造ではない。申立人が主張するその他の事項についても同様であり、本番組の放送は虚偽ではなく不公正な報道にも該当しない」と述べている。
今月の委員会では先月のヒアリングを受けて、「委員会決定」の構成や方向性ついて意見を交わした。その結果、担当委員が決定文の起草に入ることになった。

2.その他

  • 委員会が11月28日に仙台で開催する東北地区意見交換会の進行等について事務局が説明、了承された。

以上

第120回 放送倫理検証委員会

第120回–2017年11月

沖縄基地反対運動の特集を放送したTOKYO MXの『ニュース女子』を審議など

沖縄の基地反対運動の特集で、情報や事実についての裏付けが十分であったのか、放送局の考査が機能していたかなどを検証する必要があるとして審議入りしている東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)の『ニュース女子』について、担当委員から、前回の委員会の議論を踏まえた意見書の修正案が提出された。内容や表現をめぐって意見交換が行われた結果、大筋で了解が得られたため、一部手直しをしたうえで、12月14日に当該放送局への通知と公表の記者会見を行うことになった。
刑事事件の容疑者と処分内容という最もセンシティブな情報についての間違いが2件続いたことから前回委員会で審議入りしたフジテレビの情報番組『とくダネ!』について、担当委員から、3日間にわたって行われた制作担当者などへのヒアリングの報告と意見書の構成案の説明があり、意見交換が行われた。次回の委員会で意見書の原案が提出される。

議事の詳細

日時
2017年11月10日(金)午後5時00分~8時25分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、是枝委員長代行、升味委員長代行、神田委員、岸本委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、中野委員、藤田委員

1. 沖縄基地反対運動の特集を放送した東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)の『ニュース女子』を審議

TOKYO MXの『ニュース女子』は、2017年1月2日に「マスコミが報道しない真実」と題し、沖縄の米軍基地反対運動を現地リポートとスタジオトークで特集し、「反対派が救急車を止めた?」「反対派の人達は何らかの組織に雇われているのか」などの話題も取り上げた。委員会は2月、情報や事実についての裏付けが十分であったのか、放送局の考査が機能していたかなどを検証する必要があるとして審議入りを決めた。
この番組は、TOKYO MXが制作に関与していない「持ち込み番組」であるため、検証を深める必要があるとして、制作会社に文書によるヒアリングを行うとともに、担当委員が沖縄の現地に赴くなど委員会として独自の調査も行ってきた。
委員会では、前回の意見書原案に示された意見や議論を踏まえた修正案が担当委員から提出され、内容や表現をめぐって意見交換が行われた。その結果、大筋で了解が得られたため、表現の細部など一部手直しをしたうえで、12月14日に当該放送局への通知と公表の記者会見を行うことになった。

2. 2件の刑事事件で容疑者や処分内容を誤って放送したフジテレビの『とくダネ!』を審議

フジテレビの情報番組『とくダネ!』は、2017年7月、医師法違反事件で逮捕された容疑者としてまったく別の男性の映像を、インタビューを含めて放送した。翌8月も、放送時点では書類送検されていなかった京都府議会議員について「書類送検された」などと放送し、いずれも事実の確認がとれていない報道だったと謝罪した。委員会は10月、刑事事件の容疑者と処分内容という最もセンシティブな情報について、同じ番組で間違いが続いたことは大きな問題だとして審議入りした。
委員会では、3日間にわたって行われた制作担当者などへのヒアリングの概要が担当委員から報告され、取材のいきさつ、間違いがチェックされずに放送にいたった経緯などが説明された。そのうえで、ヒアリングの結果に基づいた意見書の構成案が示され、意見交換が行われた。次回の委員会で、意見書の原案が担当委員から提出される。

以上

2017年10月5日

TBSテレビ『白熱ライブ ビビット』
「多摩川リバーサイドヒルズ族エピソード7」に関する意見の通知・公表

上記の委員会決定の通知は、10月5日午後1時30分から、千代田放送会館7階のBPO第1会議室で行われた。委員会から川端和治委員長、斎藤貴男委員、渋谷秀樹委員、鈴木嘉一委員の4人が出席し、当該局のTBSテレビからは取締役(情報制作局担当)ら3人が出席した。
まず川端委員長が「ホームレスの男性を『犬男爵』と呼び、極端に誇張したイラストとともに『人間の皮を被った化け物』と決めつけたこと、カメラに向かって怒鳴る出会いのシーンを3回も使い、男性の人格について『すぐに怒鳴り散らす粗暴な人物』という印象を与えたこと、『人間の皮を被った化け物』という別のホームレスの男性の発言を本人に断りなく撮影し、了解もないまま放送したことは、明らかな放送倫理違反と認められる」と指摘した。一方で、「TBSテレビは的確な訂正と謝罪を行うとともに、ホームレス支援を行っているNPOの人を招いて研修会をすぐに開催した」と事後の対応について評価した。その上で、「現場の記者や番組制作者らの間に生まれつつある『問題をもう一度考え直す』という空気をぜひ育て、より良い番組を作ってほしい」と今後への期待を表明した。
鈴木委員は「ネーミングなどでホームレスの人たちを茶化していると最初から疑問を呈する番組制作スタッフがいたことや、放送直後から局内で表現などについて疑問や批判の声が上がったことなど、健全さもみられる。事後の対応も適切で真摯な自律的姿勢もみられるのに、なぜ問題が起きたのかを考えてほしい」と指摘した。
斎藤委員は「ホームレス問題は貧困や障害など複雑な要素を持っている場合が多い。報道番組以外で扱うときは報道よりはるかに深く取材し、注意深く放送すべきだ」と訴えた。
渋谷委員は「自分の視点だけではなく、取材される側、視聴者がどう思うかを、プロとしてさまざまな角度から表現を考えて放送してほしい」と述べた。
これに対し、TBSテレビ側は「取材や番組づくりの過程で何度も違和感がありながら止められなかった。いくつものレベルでチェックしたが、たくさんの人がチェックしているにもかかわらず結果として無責任になってしまった。報道、情報、制作を含め、全社でスタッフの意識と各レベルでのチェック体制を向上させていきたい」と述べた。

その後、午後2時30分から千代田放送会館2階ホールで記者会見を開き、決定内容を公表した。記者会見には21社37人が出席した。
はじめに川端委員長が意見書の概要を紹介し、明らかな放送倫理違反と認められるという結論に至った理由を説明した上で、こうした番組作りの背景には、社会的弱者、特にホームレス問題に対するスタッフの無理解と偏見があったと指摘した。
鈴木委員は「非常に複雑な社会的背景があるホームレス問題に対する認識の希薄さ、バラエティー的な表現を許容し放置するという『集団的無意識』の延長線上に、今回問題となった『エピソード7』がある。この『集団的無意識』をどうやって乗り越えればよいか、現場の一人ひとりが考えてほしい」と要望した。
斎藤委員は「ホームレス問題の背景には、貧困だけでなくさまざまな問題がある。報道以外のジャンルの番組でこうした問題を扱う場合は、報道以上に詰めた取材をして、深く考え、慎重な表現をしなければならない」と指摘した。
渋谷委員は「行政当局に代わって自分たちが懲らしめている、問題を解決していると考えるのは放送としていかがなものか。取材する側とされる側は立場が違う。取材される側がどう思うか、自分が作る映像がどう受け取られるかというところまで考えて番組を作ってほしい」と訴えた。

記者との主な質疑応答は以下のとおりである。

  • Q:ホームレス男性との河川敷での「出会いのシーン」が、「過剰な演出とまで言い切れるかどうかは微妙」と判断した背景を説明してほしい。
    A:ディレクターの実際の指示は「『なんでこんなところに入ってくるのか』と言いながら出てきてください」というだけの指示だった。ところが実際は、撮影していたカメラマンも驚くほど怒鳴りながら出てくる映像になっている。これは頼まれたホームレス男性が、「こうやらなければならない」と思い込んで行ったことで、ディレクターがそのような演出をしたわけではないのでこのように判断した。(川端委員長)

  • Q:「人間の皮を被った化け物」ということばは、取材ディレクターがホームレス男性に言わせたのではないかという疑念を感じるが、確認は行ったのか?
    A:もちろん確認した。言わせたとか誘導したということは全くなく、突然このような表現が出てきた。(川端委員長)

以上

第251回放送と人権等権利に関する委員会

第251回 – 2017年10月

沖縄基地反対運動特集事案のヒアリングと審理…など

沖縄基地反対運動特集事案のヒアリングを行い、申立人と被申立人から詳しく事情を聴いた。

議事の詳細

日時
2017年10月17日(火)午後3時~9時15分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

坂井委員長、奥委員長代行、市川委員長代行、紙谷委員、城戸委員、
白波瀬委員、曽我部委員、中島委員、二関委員

1.「沖縄の基地反対運動特集に対する申立て」事案のヒアリングと審理

対象となった番組は、東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)が2017年1月2日と9日に放送した情報バラエティー番組『ニュース女子』。2日の番組では、沖縄県東村高江地区の米軍ヘリパッド建設反対運動を特集し、「軍事ジャーナリスト」が現地で取材したVTRを放送するとともに、スタジオで出演者によるトークを展開し、翌週9日の同番組の冒頭、この特集に対するネット上の反響等について出演者が議論した。この放送に対し人権団体「のりこえねっと」の共同代表・辛淑玉氏が、「名誉を毀損する内容である」と申し立てた。
委員会では、申立人と被申立人のTOKYO MXにヒアリングを行い、詳しく事情を聴いた。
辛淑玉氏は代理人の弁護士とともに出席。本件番組でスタジオ出演者の発言やテロップ等を合わせると、(1)沖縄の基地反対運動の現場で行われているのは「犯罪」で、「テロリズム」である、(2)反対派は5万円の日当、つまり報酬をもらってやっている、(3)そこにおカネを送っているのは辛淑玉氏である、等の事実を摘示しており、これが申立人の社会的評価を低下させ、名誉を毀損したと改めて主張した。
また、スタジオの出演者が、申立人は「元々反原発、反ヘイトスピーチなどを職業的にずーっとやってきて、今は沖縄に行っている」「いわゆるスキマ産業ですね」と述べたことについて、「スキマ産業という、つまり営利目的でやっている、何らかの利益を得ているという評価をされた。しかし、この活動だけで利益を得たことは一度もない。この事実の摘示は虚偽であり、それ自体が名誉毀損にあたる」と述べた。
さらに、番組の制作会社が反対運動の現場や辛淑玉氏ら「のりこえねっと」の人間に何ら取材をしていない点を挙げ、「対象としている個々対立する意見がある事象について、片方の意見のみ聞いて報道したことが、最も大きな不公正」と指摘。辛淑玉氏は、「少なくともMX自体も私に聞くべきだと思う」と付け加えた。
このほか、本件番組が「明白な人種差別」と主張する理由について、「韓国人はなぜ反対運動に参加する?」とのテロップ等、「批判の対象が韓国人であること、外国人であることを殊更強調している。それ自体が差別」と主張した。
本件番組による被害については、「普通のテレビで見られ、スマホでもテレビの受信が出来る(地上波の)MXで流されたということが、今までインターネットの中だけでやられていたものとは一線を越えている」との判断を示し、具体的には放送による精神的な苦痛、放送後の脅迫・嫌がらせのメール、手紙、社員研修等仕事の発注量の減少、社会的評価の低下等「かつてとは質・量が違い、多岐にわたる」被害があったとし、特に「今回の番組で初めて、自分の出自は沖縄の友だちにこんなに迷惑になると思った。朝鮮人であることが、こういう使われ方をするかと思い、厳しかった」と心境を語った。
一方、被申立人のTOKYO MXからは上席執行役員編成局長、考査担当者ら3人が代理人弁護士2人とともに出席。「申立人の主張は本番組の内容を独自に解釈し、自己の名誉を毀損するものであると主張するものであり、理由がないことは明らか」との立場を改めて示した。
また、虚偽・不公正であるとの申立人の主張については、「制作会社において必要な取材を尽くしたうえでの事実ないし合理的な根拠に基づく放送であって、何ら偽造ではない。申立人が主張するその他の事項についても同様であり、本番組の放送は虚偽ではなく不公正な報道にも該当しない」と述べた。
ただ、「表現の仕方などに関しては、もう少しきちんと見ておいても良かったのかなと、要は不快の念を抱かれた方がいらっしゃるのではないかということで、遺憾の念を述べさせていただいており、そこは反省点である」と語った。
基地反対派を「テロリスト」と表現していることについては、「明らかに断定していれば、それはまずいという指摘になる」「『テロリストみたい』という表現だったら、ギリギリ許される表現なのかなというふうには考えていた」と説明した。
本件番組は自社制作番組とは異なり、スポンサー側で制作を行い、電波料も別途支払われ、番組分類上「持ち込み番組」に該当する。同局は「きちんと考査もしたうえで放送しており、放送倫理、放送基準、放送法に則って、たとえ持ち込みであろうが、自社制作であろうが、所定の手続きをもって審査して放送している」と、重ねて放送責任を認め、さらに、名誉毀損の成否は通常、公共性、公益性、真実性という枠組みで判断するが、持ち込み番組であっても、自社制作と同じ基準で判断することを前提としてよいかとの問い対し、「そうでなければいけないと思うし、それはきちんと責任をもっていくつもり」と答えた。
基地反対派や申立人らに取材しなかったことについては、反対派らの意見を「聞けたほうがベストと思う」としながらも、「これはある一つの角度から見た番組なので、違う角度から見る番組というのは当然必要になる。いわゆる放送法第4条が定めるような両論併記というところも、我々としては視野に入れているので、今回は取材をしなくても、別の機会で取材をすれば良いだろうという判断も一つはある」と述べた。
また考査担当者は、本件番組は通常スタジオトークを中心に番組進行することが多く、現場での取材はほとんどしないことから、沖縄に飛んで取材した「軍事ジャーナリスト」の報道内容については、「そもそもの現場に本人が行っているというのが、なによりの担保になってしまって、自分の中では疑う余地を外してしまったというのが本音」と明かした。
委員会はヒアリング後審理を続行、その結果、担当委員が起草準備のための会合を開いたうえで、次回委員会でさらに審理を進めることになった。

2.その他

  • 委員会が今年度中に開催予定の県単位の意見交換会について、年明け2月2日に長野で開催することになり、事務局から概要を説明した。

以上

2017年10月に視聴者から寄せられた意見

2017年10月に視聴者から寄せられた意見

衆院選に先立ち放送された党首会談への批判や、情報番組における選挙報道のあり方についての意見。投票日当日の放送では、開票速報よりも台風21号の情報を優先すべきとの意見が多く寄せられた。

2017年10月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,765件で、先月と比較して116件増加した。
意見のアクセス方法の割合は、メール70%、電話28%、FAX1%、手紙ほか1%。
男女別は男性68%、女性30%、不明2%で、世代別では40歳代28%、30歳代27%、50歳代21%、60歳以上11%、20歳代11%、10歳代2%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。10月の通知数は863件【54局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、23件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

衆議院議員選挙が行われたが、それに先立ち放送された、各局ニュース番組での党首会談への批判や、情報番組における選挙報道のあり方についての意見、そのほか、投票日当日に台風21号が上陸したが、開票速報よりも台風情報を優先するべきとの意見が多く寄せられた。
ラジオに関する意見は59件、CMについては36件あった。

青少年に関する意見

10月中に青少年委員会に寄せられた意見は115件で、前月から7件減少した。
今月は「表現・演出」が35件と最も多く、次に「いじめ・虐待」が13件、「暴力・殺人・残虐シーン」が11件、と続いた。
「表現・演出」では、バラエティー番組で、アマゾンでサルを殺して食べるシーンについて意見が寄せられた。「暴力・殺人・残虐シーン」では、アニメ番組で、ある家族を次々に殺害するシーンについて意見が寄せられた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 選挙報道について、各局とも野党を擁護する内容が目立ち、与党を批判して政権を陥落させようとも思える報道が目立っている。あきらかな偏向報道ではないのか。公示日が近づくにつれ、有権者の判断を惑わせるような報道は、放送法に違反しているのではないか。ネット情報のほうがテレビよりまともなのではと感じる。選挙を平等な戦いにするために、きちんとした報道をしてもらいたい。

  • 衆院選はすでに始まったのも同然だ。その報道で、都知事周辺の情報量が他と比べて突出して多い。本人が「衆院選には出馬しない」と明言しているのに、「出馬あり」の憶測が飛び交い、出てくる話題すべてが都知事関連のものだ。彼女の言動は派手なので、テレビ向きということもあるのだろう。しかし、政権を決める選挙報道で最も大切なのは、テレビ映えするパフォーマンスではなく、各政党の政策を確実に伝えることだ。今のところ、他の政党は全く影の薄い存在になっている。このような異常な選挙報道は初めてだ。

  • 一斉に開票速報をやっていたが、全局でやる必要があるのか。あまり必要がない気がする。最近の選挙特番は、バラエティー番組のようで政治家をあおりすぎ。視聴率のためなのか。それならL字型で当選数だけを流し、通常放送に戻したほうがいい。深夜までやるなどテレビ局の自己満足だ。視聴者から受信料を取っている放送局だけがやればいい。台風が来ていたのに、その情報は伝えないのか。これでは誰も興味を持たない媒体になるのは確実だ。

  • 大型台風が来ているのにもかかわらず、各局とも選挙特番をメインに放送していた。近所のお年寄りは、台風状況がどうなっているのかわからず、困って私に電話してきた。選挙特番の画面下にテロップで無言の台風情報を流してもお年寄りには分からない。大きな被害が想定される台風が直撃する状況下で、命にかかわることではない選挙特番をメインにするべきではない。ネットを使えないお年寄りなど、早めの避難が必要な人達のためにも、台風情報をメインにし、選挙情報をテロップで流すべきだったのではないか。報道のあり方をよく考えるべきだ。

  • 大型の台風21号が接近し、大和川が危険水位に達し、人口密集地の大阪市などで、老人ホームが多い川沿いの地区に避難勧告が出ている状況にも関わらず、どの局もほとんど報道しなかった。大阪市のHPもアクセス殺到でつながりにくく、避難所等の情報を得ることができなかった。川が氾濫した場合、大規模な被害が予想される状況だ。国政は大事だろうが、関西地方だけでも災害情報を流せなかったのか。避難すべきかどうか、小さい子どももいて大変心配な一夜を過ごした。今後、このようなことがないようにしてほしい。

  • 各局の選挙特番の内容がひどいものだった。選挙前、テレビ各局は「今回の選挙は現政権の是非を問うもの」と連日のように言っていた。しかし結果が出た途端「これは民意ではない、必ずしも国民に容認されたわけではない」という解説を連発していた。次期総裁選の話題をどの局も出していたが、タイミング的に必要性が感じられず疑問だった。各局の解説者、タレント、アナウンサーの多くが、民意の反映である選挙結果を否定するような分析やコメントばかりで、有権者を馬鹿にしているとしか思えなかった。

  • 悪質運転による死亡事故が多発しているが、そのニュースに刺激され、面白半分の危険運転がむしろ増えていると聞く。特に民放の情報系番組では、SNSに投稿された危険運転の映像を流すなど、結果として、一部の不良運転者を煽るものが目立つ。少し前に問題になった、コンビニや飲食店での悪ふざけを競う投稿映像と同じだが、生死にかかわる分、はるかに深刻だ。悪質運転のニュースを扱う時は「トラブルに巻き込まれた際の対処法」といったことに重点を置いて伝えるべきで、SNS上の映像などを安易に使ってはならないと思う。

【番組全般・その他】

  • テレビの偏向報道がひどすぎる。ネット情報のほうがまだ真実を知ることができる。テレビとは何のためにあるのか。党首討論をネット討論から23時台のニュース番組まですべて見たが、ニュース番組の討論はひどすぎた。森友・加計問題の話をわざわざ司会者が聞きだし、総理批判をしていた。バラエティー番組などではちょっとしたことで問題になるのに比べ、偏向報道に罰則がないのがおかしい。日本は民主国家だ。テレビは、左も右もない平等な放送をするようにしてほしい。

  • 衆院選当日の番組で、政権与党への批判、そして野党への投票の呼びかけともとれる内容を延々と放送していた。これは明確な選挙違反ではないか。普段から公平であることは大切だが、特に選挙報道に際しては細心の注意が必要なはずが、コメンテーターが全員揃って口にするのは政権に対しての不満。選挙当日にふさわしい内容ではない。この番組によって投票に影響を及ぼされる可能性があり、あまりのひどさに唖然とした。

  • 東京・埼玉連続幼女誘拐殺人犯の番組は、再現映像が古い映像に見えるように加工処理されていた。そのため、当時の映像なのか、再現映像なのか区別がつけにくかった。事件をリアルタイムで知る私ならともかく、それを知らない若い世代の人達にとっては、どちらが当時の映像か、それとも演出なのか、判断がつかなかったのではないだろうか。

  • 東京・埼玉連続幼女誘拐殺人犯の再現企画は、素晴らしい番組だった。豪華な出演タレントや、煩わしい字幕などの派手な演出に頼らなくても、自然と画面に引き込まれた。綿密な取材に基づく再現VTRも丁寧な作りで良かった。事件を風化させないためにも、このような番組を定期的に放送するべきだ。

  • 夜の番組で、マンションの修繕における悪徳業者を紹介していた。その中で、元設計事務所社員のインタビューが放送されたが、彼は「設計事務所は高い金額で施工工事を受注している。浮いた分は事務所に入る。こんなことはみんな当たり前にやっている」という発言をした。私は建築業に携わっているが、これは当たり前ではない。ほとんどの業者はまっとうな金額でやっている。見ている人に誤解を招く内容だ。国土交通省のHPには「一部悪質な業者がいる」と注意喚起しているので、実際にこのような業者はいるのだろうが、"あたりまえ"でもないし"すべての業者"でもない。

  • 深夜番組で、歯磨きの仕方やトイレットペーパーの使い方をシニア世代の人に聞いていた。歯ブラシについては使う前に濡らすことは間違い、トイレットペーパーについては巻き方が違うと、些細なことを指摘し「残念」としていた。老人を小バカにしたような内容で、敬意の感じられない番組だった。

  • いじめに関する番組で、"いじられキャラ"の男子中学生が、いじられることに堪えられず自殺してしまったことを紹介していた。女性タレントが「みんなはいじっていて楽しいと思っているかもしれないけど、いじられているほうはつらい」という趣旨の発言をしていた。私の子はいじめが原因で自殺しているので、思いが重なった。心が強い子ばかりではないので、このような内容をもっと取り上げ、一人でも"いじられる子"を減らしてほしいと思う。

【ラジオ】

  • 土曜昼の番組で、人気女優の不倫問題を取り上げていた。その中で、パーソナリティーのベテラン歌手は、女優への個人攻撃とも思える話をした後、翌日のテレビ番組でも辛らつに批判していた。きっと今回の出来事とは関係無く、普段から女優のことを良く思っていなかったのだろう。人の好き嫌いは個人の自由だが、今後の仕事内容のことにまで言及していて、「彼女が大型ドラマに出演予定なのは、放送局の対応がおかしい」などの発言をしていた。この翌週に女優側はドラマの降板を申し出て、局側は了承している。いくら先輩とはいえ、芸能人が同業者の仕事内容、特に出演や降板に関するデリケートな問題を、公共の放送で言葉にするのは許されるのか。醜聞で番組に出る出ないは、その放送局と事務所が話し合い決定するべきことではないのか。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • バラエティー番組で、アマゾンの部族を訪ねる企画で、サルを殺して食べていた。子どもが怖くて泣いている。人間の形をした動物を食べるシーンを放送するなんて信じられない。

【「暴力・殺人・残虐シーン」に関する意見】

  • アニメ番組で、知らない家に侵入して、家族を次々に殺すというシーンがあった。見ていて残酷で不快だった。深夜の時間帯といえども、録画などで子どもたちが見てしまうと悪影響を及ぼすのではないかと心配だ。

【「差別・偏見」に関する意見】

  • 教育バラエティー番組で、「女子の嫉妬」の特集を放送していた。誰もが持っている感情を性別に関連付けることは不自然であり、性差別や偏見を助長させることになるのではないか。

【「いじめ・虐待」に関する意見】

  • 最近、いじめで自殺した子どものニュースを多く目にする。教育委員会や先生の意見、今後の教育方針をまとめているという特集を何度も放送しているが、肝心の原因、自殺に追い込んだ同級生本人やその保護者が何を考えているかが、全く分からず、ニュースを見ているだけで不快だし、当の本人は全く反省していないのだと怒りがこみ上げる。いじめた側が擁護されるような放送の仕方は変えてほしい。

【「報道・情報」に関する意見】

  • ニュース番組で、保育園児にわいせつな行為をした容疑で男が逮捕されたことを、「幼児の身体を触る、なめる等の行為をした」と報じていた。「なめる」までを伝える必要があるのか。その子どもの将来を思うと心配だ。

【視聴者意見への反論・同意】

  • 「深夜番組は子ども向けではない」「夜遅くまで子どもにテレビを見せるな」という意見が寄せられるが、僕はそう思わない。深夜番組は録画すれば昼間に見ることもできる。今はゴールデンより深夜のほうが良質な番組が少なくない。夜更かしは良くないことはわかるが、青少年にも深夜番組を見る権利はある。なんでもかんでも青少年の自由を奪ったら余計いじめや非行が起きるだけだ。

第196回 放送と青少年に関する委員会

第196回-2017年10月24日

視聴者からの意見について…など

2017年10月24日、第196回青少年委員会を午前10時30分から静岡朝日テレビ会議室で開催しました。この日は午後に静岡地区での意見交換会が予定されていたため、それに先だって同じ会場での開催としました。7人の委員全員が出席しました。
視聴者意見については、8月に放送された長時間番組について議論されました。この番組は、実の母親でないことを幼い子どもに告白する様子を放送したもので、前回の委員会で「極めてプライベートでセンシティブなことをテレビで公開している。どのようなことに配慮して放送に至ったかを知りたい」などの委員からの意見を受けて当該放送局に報告を求めたものです。提出された報告書によると、テレビで放送することのマイナス面も含めて当事者らに丁寧に説明、実の両親の了解も得たうえで放送し、放送後もスタッフが自宅を訪ねて様子を確認するなどのフォローもしているということでした。
今回の委員会では、「当の子どもが、その後どう思っているのか調べられていないのが気になった」などの意見も出されましたが、「放送局としてできる配慮はこれが最大限だろう」として、これ以上の議論は必要ないという結論となりました。
次に、9月16日から10月15日までに寄せられた視聴者意見について議論され、同性愛者を思わせる、かつて人気のあったキャラクターを登場させたバラエティー番組について、「不快に思う人を想像できなかったのは、制作者の感覚のずれを感じる」などの意見が出されましたが、「ホームページで謝罪し、何が問題だったのかも明確になっている」などとして、これ以上、話し合う必要はないとなりました。
10月度の中高生モニターのリポートのテーマは「最近見たドラマ・アニメ番組の感想」で、中高生モニターから寄せられたリポートを基に意見が交わされました。
委員からは、「本当に『いいドラマ』に子どもたちがつながっていないのではないか?という思いがある。青少年向けというわけではなくても、少し背伸びをしてでも見てほしい良質のドラマに、子どもたちをどうつなげることができるかを考えたい」「ドラマや小説などの物語の中に身を投じることが、一般になくなってきた。『主人公のように生きていきたい』というような、自分の人生の下敷きになるようなドラマの見方があったと思うが、今はそういうことがなくなったように感じる」など様々な意見が出され、今後テレビドラマについての議論を深めていくことになりました。
調査研究については、「青少年のメディア利用に関する調査」の調査票の返送状況などが担当委員から報告されました。
次回は11月28日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2017年10月24日(火) 午前10時30分~午後0時30分
場所
静岡朝日テレビ301会議室
議題
出席者
汐見稔幸委員長、最相葉月副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、緑川由香委員

視聴者からの意見について

8月に放送された長時間番組で、育ての母親が5歳の子どもに自分が本当の母親ではないことを告白する企画について、「子どもがかわいそうだ」「デリケートな問題を放送していいかどうかは疑問だ」などの意見が寄せられました。当該放送局からこの企画の制作の経緯について報告書が提出され、委員会ではそれを基に議論しました。委員からは、「放送局としてできる配慮はこれが最大限だろう。母親としても子どもの将来や心の変節についてこれ以上は想像できないだろう」「放送局は、放送にあたって誠心誠意、リサーチを行っていたと思う。しかし、テレビでプライバシーを放送することへの疑問については、もっと掘り下げて考えてほしかった」「当の子どもが、その後どう思っているのか調べられていなのかが気になった」などの意見が出されました。議論の結果、この番組については、放送局の報告書をもって、これ以上、話し合う必要はないとなりました。
バラエティー番組で、出演者が同性愛者を思わせる、かつて人気のあったキャラクターに扮した演出に対して、視聴者から「多感な子どもが見たら"ゲイは気持ちの悪いものだ"という刷り込みが生じるのではないか」「子どもにLGBT当事者への差別や偏見を助長させる」などの意見が寄せられました。委員からは、「過去のトラウマが刺激されたのだと思う。不快に思う人を想像できなかったのは、制作者の感覚のずれを感じるが、これが、子どもにとって差別や偏見を助長するとまでは言えないだろう。今回、社会的な議論が行われたことは、子どもたちが自分の頭で考えるきっかけになったと思う」「番組はホームページで謝罪し、何が問題だったのかも明確になっている」などの意見が出され、この番組については、これ以上、話し合う必要はないとなりました。

中高生モニター報告について

34人の中高生モニターにお願いした10月のテーマは、「最近見たドラマ・アニメ番組の感想」です。また「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」欄にも多くの意見が寄せられました。全部で30人から報告がありました。
「ドラマ・アニメ番組の感想」では、複数の番組についてリポートを書いてくれたモニターがいたこともあり、ドラマについて13人、アニメについて16人、その他2人から報告がありました。
『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ)に最多の4人から、『名探偵コナン』(読売テレビ)に3人から報告がありました。
自由記述では、報道番組での"吹き替えにおける役割語"について、「テレビ局側の意図的な吹き替えは印象操作に繋がりかねない」という意見を寄せたモニターがいました。
「青少年へのおすすめ番組」で複数の報告が寄せられたのは2番組です。『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ)を4人が、『キングオブコント2017』(TBSテレビ)を3人のモニターが取り上げました。

◆委員の感想◆

  • 【最近見たドラマ・アニメ番組の感想】について

    • 全体に『ドラえもん』『名探偵コナン』『ちびまる子ちゃん』など、小さいときから見ているアニメを見続けているということがわかる。高校生のモニターでも「ちびまる子ちゃん」を取り上げている。一般的には大人っぽいアニメに移行する子もいるのだろうと思うが、小さいときから見続けているものを、また大きくなって見て、成長したなりの深め方をしているのかなと思った。

    • ドラマを見て、母親から自立しようとしている主人公を心の中で応援しているという報告があった。モニター本人も、思春期に入って親からの自立を模索している中で、主人公に自分自身を重ねているのだろうと思いながらリポートを読んだ。

    • 『ポケットモンスター』を家族でずっと見ているという報告を、とても感心しながら読んだ。ポケモンのキャラクターに多様性があって「こうあるべきだ」「これが正しい」というわけじゃないところがおもしろいという意見と視点をモニターが持っており、さらに家族全体で共有されているということ。つまり、家族全体がみんなで見て共有できるような番組がどれだけあるのかと考えたとき、この番組が一つの例になり得るということを教えてもらった気がする。

    • 「戦争を題材にしたアニメを最近よく見るが、それは平和への関心がこれまでより深くなっているからなのだろうか。それとも、戦争というものに刺激を求めているからなのだろうか」と疑問を呈する報告があった。そういう題材を深夜にアニメーションとしてやっているということは、興味深い。深夜アニメというと、よくある意見としては、「エロが行き過ぎている」「残酷過ぎる」というものが多いが、こういうアニメが深夜に放送されているということがわかり、非常に参考になった。

    • 連続ドラマの結末を有料の動画配信サイトに委ねた番組について、視聴者を置き去りにしたと批判するリポートがあった。連続ドラマの続きを映画や有料配信で見せることは、一つのビジネスモデルではあるが、今回の番組については、モニターの意見ももっともだと思う。

    • ドラマやアニメの視聴については、中学生の初めの頃はリアルタイムで見ているモニターもいるが、学年が上がるにつれて、全員が録画視聴になっているのだとわかった。

    • 本当に「いいドラマ」に子どもたちがつながっていないのではないか?という思いがある。青少年向けというわけではなくても、少し背伸びをしてでも見てほしい良質のドラマに、子どもたちをどうつなげることができるかを考えたい。

    • ドラマや小説などの物語の中に身を投じることが、一般になくなってきた。かつては、「主人公のように生きていきたい」というような、自分の人生の下敷きになるようなドラマの見方があったと思うが、今はそういうことがなくなったように感じる。

  • 【自由記述】について

    • 「最近『東大生〇〇』のようなタイトルのクイズ番組やトーク番組を目にすることが多い気がします。この分かりやすいタイトルに何となく気持ちの悪いものを感じます」という意見があった。この感性は、とても鋭い。現代社会は、新身分制社会とでもいうような、何か差別化をしなければメリハリがきかないような感覚があるが、そういうものに対して「安易に乗るべきではない」という批判だと受け取った。

    • 「(トランプ米大統領の発言など)外国語の吹きかえの演出に悪意の意図が感じられる」という話を学校の先生から聞き、自分も気にしてテレビを見るようになった、という報告はなかなか興味深い。それまでは気付いていなかったことを意識して見ることによって、情報を自分で読み解いていく必要があるという気付きに行き着いている。基本的にテレビの情報は視聴者が読み解くことが重要だが、制作者ともコミュニケーションをとって、「行き過ぎた演出ではないか」などということを伝えることも大切だと思う。

    • 「テレビをたまにつけたときに、偶然目にした番組がとても面白いことがある。こういうとき、小さなお宝を見つけたようなちょっと得した気分になる。何となくテレビをつけておくことも、たまにはいいのではないか」という意見は、ちょっと貴重な気がした。偶然流れていたものに出会わせてくれるテレビに残された機能を教えてくれているように思う。

◆モニターからの報告◆

  • 【最近見たドラマ・アニメ番組の感想】について

    • 『ドラえもん』(テレビ朝日) 気になったのは「バイバイン」という秘密道具です。液体をかけると5分おきに倍に増やしてくれるという道具です。のび太は一つしかない栗饅頭をもっと食べたいという、ちょっとした軽い気持ちで増やしてしまいます。お腹いっぱいで食べきれなくなり、案の定、栗饅頭は家から溢れるほどに増えてしまいました。どうオチがつくのかと思いきや、特大の風呂敷に包み宇宙に廃棄してしまうという終わり方でした。今自分の手元にある一つの食べ物を美味しく食べようというメッセージとともに、自分の家から離れてしまえばごみを廃棄してもよいという捉え方もされかねないと思いました。また、地球上には食べ物を毎日食べることのできない恵まれない地域もあるので、食べることのできる栗饅頭を宇宙に捨てるというオチには違和感がありました。(神奈川・中学1年・男子)

    • 『過保護のカホコ』(北日本放送/日本テレビ) 主人公のカホコが母からどんどん離れ、自立しようとしているところが、自分もテレビに向かって応援したくなるようなとても面白い話でした。(富山・中学1年・女子)

    • 『世にも奇妙な物語 ’17秋の特別編』(フジテレビ) 毎回楽しみにしている。怖い話の番組は他にもあるけれど、この番組は人間の心理などの現象を扱うことが多いので、怖いし考えさせられることが多い。最初の「寺島」は、画面が暗く、登場人物が少なくて淡々と進んでいくのがホラーっぽくて何となく恐かった。また単なるサスペンスというだけではなく、いじめが題材になっていた。僕の学校で大きないじめがあるわけではないが、小さい頃にいじめで受けた心の傷が、大人になってこんな凄惨な結果を招くかもしれないと思うと、身近な恐怖に感じられた。中高生にもとても人気のある番組だから、いじめについて考えさせられる内容の話を取り上げるのは、意味があるのではないかと思った。(東京都・中学2年・男子)

    • 『ポケットモンスター サン&ムーン』(テレビ東京) 私が幼稚園生の頃から、10年近く見続けています。私に続き、妹がはまり、今は幼稚園生の弟が大好きで、毎週欠かさず視聴しています。こんなに長い間見ていて飽きないのは、ポケモンのキャラクターの豊富さと変わらない話の設定(ポケモンを探してバトルする。主人公は常に自由でいたい!と実現している)の安定感だと思います。新しいポケモンが出てくると、その技や格闘タイプを覚えたくなり、その進化キャラクターまで確認したくなります。それらを家族で共有して話題にできるので楽しいです。中学生の私と小学生の妹、幼稚園生の弟と全シリーズを見続けている母とで、それぞれポケモンの知識を話したりします。ポケモンに関することは弟も対等に話ができるので良いです。ポケモンは我が家のコミュニケーションに欠かせません。(千葉・中学2年・女子)

    • 『少女週末旅行』(BS11) 番組を見て、戦争が私たちに本当に必要だったのか?戦争から何を学ぶとよいのだろうか?と考えました。このアニメは、文明が終わりを迎え崩壊した世界で食べ物と燃料を探して旅をする2人の少女の物語です。彼女たちは絶望的な世界でも楽しそうに自由に生きています。私がとても印象深いと思うシーンがあります。元戦場を探索していた時です。「昔の人も食糧不足だったんだよね。なぜ武器ばかり作ったの?武器じゃなく、保存食をたくさん作ってくれたら私たちも楽できたのに…」と少女が言います。「確かにそうだ」と思う半面、「ではなぜ武器ばかりを作ったのか?」という疑問が生まれました。(秋田・中学3年・女子)

    • 『名探偵コナン』(日本テレビ/読売テレビ) 名探偵コナンは視聴者の年齢層が比較的広いと思いますが、この話では溺死体が登場し、肌の色や表情の描写が少し不気味だと感じました。初期の名探偵コナンの作品は血や死体の描写がリアルで、画面の色彩が暗いのでグロテスクだと思います。小さな子どもが見ても大丈夫なのか疑問です。しかし、最近の話では殺人事件は少し減ったと思います。(東京・高校1年・女子)

    • 『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ) ある女性が訪ねて来た。その女性はまる子のおばあちゃんの友人の娘で、幼少から知っており、出産をしたので、乳児を連れてやってきた。近くに来たから寄ったということだった。親類以外でも気軽に訪問することに新鮮な感じがした。アニメの設定が1970年代半ばの清水市という背景も影響しているのだろうが、関係が希薄といわれる都会で現代においては珍しい光景に思った。私がその女性の立場になった場合、よほど親しい間柄でないと同じことをすることに躊躇してしまう。「迷惑かな」と考えてしまうので。(東京・高校2年・女子)

    • 『愛してたって、秘密はある。』(青森放送・日本テレビ) ただの恋愛ストーリーではなくミステリー要素も入っていて、事件の真相に迫っていく緊張感や2人の恋の様子を見てドキドキしたり、様々な感情を味わうことができました。しかし、最終回終了後に「完結編」が動画配信サイトで配信されると発表され、最後の最後に拍子抜けしたような気分になりました。結局はお金だということが露骨に表れたようで悲しい気持ちになりました。(青森・高校2年・女子)

    • 『先に生まれただけの僕』(日本テレビ) 今までの学園ドラマとの違いを感じ、次回も見たくなりました。劇中の「教育はビジネスです!」という台詞に深く共感しました。私も学校に通っていて、お金の動きや大人の事情、イメージや広報に気を遣う雰囲気を感じています。理想論ではどうにもならない、教育の現場のリアルを描いているところが面白いと感じました。土曜日の夜に、家族で楽しく見られるドラマですが、一方で学校は何のためにあるのか、何を目指しているのかを考えさせる作品だと思います。しかし、心から面白いとは思えませんでした。演出や流れに視聴者を楽しませる工夫が感じられず、出演者の人気に頼っているようにも感じました。同年代で、テレビドラマはポピュラーではなくなっているように感じます。私の周りではNetflixのドラマや韓流ドラマなど海外の作品のほうが人気です。ネットで海外の作品が手軽に視聴できる時代になり、今後さらに若年層の日本のテレビドラマへの関心が低下する可能性があると思います。私は日本のドラマが大好きだったので、もっと魅力が伝わってほしいなと思います。(東京・高校3年・女子)

  • 【自由記述】

    • NHKの『LIFE』というコント番組で「オモえもん」というパロディーコントがあり、中学生になった僕には笑いの中にリアリティがあるように思います。人を助けてあげることは、見返りを求めてはいけないのだと考えさせられます。(神奈川・中学1年・男子)

    • 番組のクイズコーナーで答えがわかっているのに、わざとボケたり、わざと間違えたりするのをよく見ます。生放送で時間があまってしまったり、ボケ自体が面白い場合はまだいいですが、どちらでもないものは不快に感じてしまいます。ある番組のスペシャル版でフランスとアメリカに行っていました。いつもわざとらしいですが、海外に住んでいる日本の芸能人なんて私でもすぐわかるのに、ずっと誰だかわからない体でやっているのが見ていて嫌になりました。(鹿児島・中学2年・女子)

    • 最近「東大生〇〇」のようなタイトルのクイズ番組やトーク番組を目にすることが多い気がします。同じように「天才小学生」や「名門高校生」なども。このわかりやすいタイトルに何となく気持ちの悪いものを感じます。確かに、出ている人はとても優秀で、博学で努力家ですごいと思います。ですが、まだ何者でもない(と私は感じてしまうのです)人たちが、興味をひくわかりやすい看板を下げてテレビに出ているのを見ると、何とも言えない気持ちになります。出ている人がその役回りを更に過剰に演じているようにも見えてしまいます。そう誘導する司会者や番組の制作意図も「何だかなぁ」と思います。嫉妬や羨望というより、「いいのかな」というモヤモヤ感情に近い気持ちがします。(千葉・中学2年・女子)

    • 最近のアニメでは、戦争にフォーカスするものも多いです。このようなものに需要があるのは、平和への関心が深くなっているからなのか、戦争に刺激を求めているからなのか、疑問に思います。実際、私も派手なアクションアニメは大好きですが、それは異世界のものだと割り切っているからです。だから、「戦争の事実を忠実に再現したアニメはどうなのかな」と考えました。(秋田・中学3年・女子)

    • 現代社会の先生が興味深いことを話されました。北朝鮮の核ミサイルなどで、トランプ米大統領の発言がニュースなどで取り上げられることが多いです。テレビ局のほとんどが、日本語の吹き替えをつけていますが、その声がわざと乱暴なものであったりすることに対して、テレビ局の悪意を感じるというものです。声や話し方によってその人の印象はかなり変わります。私は今まで、ニュースを見ていてもそのようなことを気にしたことがありませんでしたが、先生の話を伺ってから気にして見るようにしています。テレビ局側の意図的な吹き替えは印象操作に繋がりかねません。なかには関西弁での吹き替えをつけたりして、事実とかなりかけ離れているはずです。ニュースであるのなら、面白さよりも忠実さを優先してほしいです。(埼玉・高校1年・女子)

    • 録画して見る番組ではなく、たまたま暇でテレビをつけたときにやっていた番組がとても面白いと思うことがあります。こういうとき、小さなお宝を見つけたようなラッキーでちょっと得をした気分になります。用もないけど、なんとなくテレビをつけておくこともたまにはいいのではないかと思います。(愛知・高校2年・女子)

  • 【青少年へのおすすめ番組について】

    • 『キングオブコント2017』(TBSテレビ) すごく面白かったです。「お笑い」で人に夢を与えるということは素晴らしいことだと思いました。ツッコミでたたくということは、よくないのではないかと最初は思いましたが、体を張って人を笑わせることやその精神がすごいと思いました。お笑いって、メンタルが強い人でないとできないのではないでしょうか。(埼玉・中学2年・女子)

    • 『キングオブコント2017』(チューリップテレビ/TBSテレビ) テストが近いので録画で見た。こんな番組を録画で見たらだめだと思った。でも生で見なかったから、冷静に審査員の人を見た。ちょっと勢いで点数が入るなと感じた。(富山・中学2年・男子)

調査研究について

調査研究については、9月中旬に発送した「青少年のメディア利用に関する調査」の調査票の返送状況などが担当委員から報告されました。当初の想定よりも返送率が低いことから、あらためて催促状を出すことや締切日を伸ばすなどして対応することになりました。
また、調査結果に関して放送局の関係者と意見交換する会を来年1月23日に開くことや、結果の発表会を3月13日に開催することなどを確認しました。

今後の予定について

今後の日程を次のとおり確認しました。上記の調査研究に関するもの以外に、来年2月24日、BPO会議室にて教師たちとの意見交換会を開催します。