2018年11月1日

独立テレビ局13社と意見交換会

放送倫理検証委員会と独立テレビ局13社との意見交換会が、2018年11月1日、東京・千代田放送会館で開催された。放送局出席者は13社31人、委員会からは神田安積委員長、中野剛委員、藤田真文委員の3人が出席した。独立テレビ局との意見交換会は、4年ぶりの開催。

はじめに、独立テレビ局の特徴や各局間の連携等について、代表して千葉テレビ放送から説明があり、続いて13社がそれぞれの会社の規模や看板番組等を紹介した。

次に放送倫理検証委員会の2つの委員会決定について、担当委員がポイントを解説した。昨年12月に公表した「東京メトロポリタンテレビジョン『ニュース女子』沖縄基地問題の特集に関する意見」(放送倫理検証委員会決定第27号)について、今回、委員会が独自調査を行った理由と目的を藤田委員から解説。「委員会が意見書をまとめる際、通常は放送局に制作過程をヒアリングするが、当該番組はTOKYO MXが制作に関わっていない持ち込み番組のため、制作プロセスについて制作担当者に直接聞くことができなかった。そのような理由から、番組の中で表現された"事実"について委員会独自に調査することになった特異な例」と説明した。また、「『ニュース女子』は時事的な問題を扱っており、特に当該番組の沖縄基地問題というテーマはさまざまな見解があるため、情報の正確性や差別的な表現はないかという点を中心に検証した」と述べた。
中野委員は、意見書で指摘した考査の問題点について、ていねいに説明。「当該番組は基地反対の立場で抗議活動をしている方々を揶揄するトーンで貫かれているが、抗議活動を行っている側に取材した形跡がない。考査の段階で番組内容について"これは本当なのか"と疑問を持ち、より慎重に裏付けの有無を確認してほしかった」と話した。
参加した放送局から「"基地の外の"というスーパーを放置した点が問題点のひとつとして挙げられているが、ネットスラングまで意識して考査することは難しい」という意見があった。これに対し委員は、「もちろんそれは理解できる。ただ、当該番組では、不自然に"基地の外の"という表現が多用されており、その点に引っ掛かりを覚えていれば、言外の意図を読み解くことができたはずだ」と述べ、多角的な視点で考査にあたってほしいと呼びかけた。
続いて、今年2月に公表した「フジテレビ『とくダネ!』2つの刑事事件の特集に関する意見」(放送倫理検証委員会決定第28号)について、神田委員長がポイントを解説。2つの特集は、いずれも刑事事件というセンシティブな情報について十分な裏付けのないまま誤った放送をしてしまったという事例。神田委員長は「制作担当者にヒアリングしてみると、スタッフは皆、裏付け確認の重要性についてきちんと理解していたことがわかった」と述べ、「それなのに誤った内容を放送してしまったのは、確認を人任せにするなどスタッフ間の連携の力が足りなかったため」と説明した。
この決定について放送局から、「『とくダネ!』の誤りは、放送局としてあってはならないことだが、それを"倫理違反"とされることに違和感がある」との意見が出された。これに対し出席委員から、「人間はさまざまな倫理規範の中で生きているが、放送倫理検証委員会の言う"倫理違反"とは、あくまで放送人としての職業倫理に反しているという指摘だと考えてほしい」「放送倫理のよるべきところは放送局自らが定めた放送基準であり、放送倫理違反の指摘については、放送基準に立ち戻った上で、何が問題だったかを考えてもらいたい」との発言があった。

最後のパートでは独立テレビ各局から、考査や事実の裏付け確認作業について、日頃の悩みや取り組み例などが報告された。
比較的規模の小さな局が多く、いずれも少人数で番組チェックや考査にあたっているため、「法令に精通している担当者の育成が課題だ」「急増する新ビジネス、サービス・商品の知識を得るのに苦労している」などの声が聞かれた。また、めまぐるしく変化する社会にあって、数年前とは判断が変わることもあると説明した上で、「世の中の動きに対し、敏感であることが大切だ」との意見が出された。
ことばの使い方、表現についても、「古典落語や昔の時代劇に出てくることばが、現在では差別表現に当たる恐れがあり苦慮している。番組の最後に"おことわり"を加えるなど、そのつど対応している」という実例が紹介された。これに対し藤田委員から、「明らかに侮蔑的で許容できないものは削除すべきだと思うが、古い映像作品や歴史ある文化・芸能を放送する場合、過度なカットや改変は視聴者のためにならないのではないか」という発言があった。
事実の裏付けのあり方やチェック体制についても、複数の社から具体的な方法や事例の紹介があり、「過去の誤りやミスを参考にして、同様の事案が起きないよう注意している」などの報告があった。
最後に神田委員長が「独立テレビ局各社に共通する問題意識やそれぞれの悩みなどをうかがい共有することができ、貴重な機会となった。今後の参考にしたい。放送界の自由な雰囲気を維持し、国民の知る権利を守るためにも、これからも当委員会の職責を果たしていきたい」とあいさつし、意見交換会を締めくくった。

後日、参加者から寄せられた主な感想は次のとおり。

  • 意見書作成に至る解説を聞き、2つの決定についての理解を深めることができた。
  • 審議事案に対する委員会の具体的な取り組みが分かり、とても参考になった。忙しい委員の方々が、事実を一つひとつ確認するという地道な作業を行っていると知り、まさに放送局の考査と同じだと思い親近感を覚えた。BPOが少し身近な存在に感じられた。
  • 互いの理解を深める上で大変良い機会となった。今後もぜひ、このような場を設けてもらいたい。
  • 他局の考査や番組担当の方と会う機会は意外と少ないので、直接話を聞くことができて、その点でも意義深い会合となった。
  • 今回は主に管理職クラスが出席していたが、現場ディレクターに聞いてもらいたい内容だった。今後は、そのような機会もあるとよいと思う。

以上

2018年9月27日

新潟で県単位意見交換会

放送人権委員会の県単位意見交換会が9月27日に新潟市で行われ、放送人権委員会から奥武則委員長、曽我部真裕委員長代行、廣田智子委員が、新潟県内の民放6局とNHK新潟放送局から34名が参加して、2時間にわたって行われた。
意見交換会では、まず奥武則委員長から「放送の現場の方々の意見を直接聞いて、有意義な意見交換を行いたい」と挨拶した上で、「事件報道と人権」と題して講演し、それを基に参加者と意見を交わした。
後半では、5月に新潟で起きた「女児殺害事件」をめぐる人権上の課題や取材上の問題などについて取り上げた。事件の状況が、まだ完全には収束しておらず、取材、報道が続いていることなどに配慮し、委員長の判断で放送局側の具体的な発言は公表しないこととした。参加者からは、率直な意見や報告がなされ、活発な意見交換となった。
概要は、以下のとおり。

◆ 奥委員長

「事件報道と人権」ということを考えてみたいのですが、報道の現場、放送局のレベルで考えれば、この人権というのは、具体的には、名誉毀損、あるいはプライバシー侵害、肖像権の侵害ということになろうかと思います。
私は、事件報道は人を傷つけるといつも言っているのですけれども、衛生無害な事件報道はあり得ない。たとえば、あるストーカー事件を考えてみると、Aさんがストーカー行為して捕まった。これが新聞・テレビで報道されると、もちろん、加害者のAさんは、社会的評価を著しく落とします。被害者も、どこか隙があったのではないかとか、そういう形で言われかねない。家族も、ひどいお父さんだと世間から指弾される。いろんな人を傷つける面を事件報道は持っています。
では、こうした人権を考えたら、メディアはこの事件を報道するべきではないのか、しなければ人権侵害は起きない。でも、そう言うわけにはいかない。人権という重い重い問題がある一方で、公共性とか公益性、真実性、真実相当性ということを踏まえて報道する。そこに報道の自由というものがある。つまり、報道の自由と人権をはかりにかけて、どっちが重いかという話になるわけです。
そうした中で、報道の自由というのは、非常に重要な民主主義社会を守る基本的な自由として認められているわけです。「難問としての事件報道」というのは、そんな簡単に答えはないという話なんですね。我々、いつも、人権委員会でいろんな議論をしますが、何か1+1=2というふうな答えは出て来ない。
さて、「事件報道に対する地方公務員からの申し立て」は、2つ事案があって、決定文の内容は微妙に違うところはありますが、基本的な構造は一緒です。地方公務員が準強制わいせつ容疑で逮捕されたというニュース報道で、申立人は事実と異なる内容で、容疑内容にないことまで容疑を認めているような印象を与え、人権侵害を受けた。さらにフェイスブックの写真を無断で使用され、権利を侵害されたという形で申し立ててきました。
決定は、放送倫理上問題ありという結論になりました。少数意見がついている決定です。どうして放送倫理上問題ありになったのか、決定の一番の骨の部分は、警察の逮捕容疑は、意識を失い、抗拒不能の状態にある女性の裸の写真を撮った。これが容疑事実で、これで逮捕した。抗拒不能というのは、要するに、抗うことが出来ない状態のことです。申立人が認めたのも、この点だけだったと。
ところがニュースは、警察の広報担当者の明確とは言い難い説明に依拠して、直接の逮捕容疑となっていない事実についてまで、真実であるとの印象を与え、申立人の名誉への配慮が充分でなく、正確性に疑いのある放送を行う結果となったということで、放送倫理上問題があるという決定になったわけです。
次に、浜名湖切断遺体事件報道、朝から夕方のニュースまで、くり返し行われて、だんだん詳しくなっていく。これは連続殺人で2つの殺人を犯したとして逮捕され、裁判が行われて、死刑判決が出たという事件です。
放送内容は、静岡県浜松市の浜名湖で切断された遺体が見つかった事件で、捜査本部は関係先の捜索を進めて、複数の車両を押収し、事件との関連を調べていますというものです。これが放送の一番根幹部分だと思います。申立人は、殺人事件に関わったかのように伝えながら、許可なく私の自宅前である私道で撮影した。捜査員が自宅に入る姿や、窓や干してあったプライバシーである布団一式を放送し、名誉や信頼を傷つけられたと申し立ててきたわけです。これに対して委員会の決定は、申立人の人権侵害、名誉毀損、プライバシー侵害はないというもので、放送倫理上の観点からも、問題があるとまでは判断しなかった。
どうしてこういう決定になったかと言うと、まず、プライバシー侵害ですが、本件放送の場合、実際問題として、申立人宅の映像は直ちに申立人宅を特定するものではない。放送では、ロングの映像を使い、表札もぼかしを入れたりしている。ベランダに干した布団とか枕は、映り込んだのであって、プライバシーとも言い難いということで、プライバシー侵害にはあたらないと結論が出ました。
そして、真実性相当性の検討です。公共性があって公益性があるニュース報道だとしても、それに真実性があるか、あるいは真実と考えた相当の理由があるかどうかということが、名誉毀損の場合、常に問題になるわけです。この申立人宅における当日の捜査活動が、浜名湖遺体切断事件の捜査の一環として行われ、申立人が容疑者から譲渡された軽自動車が押収された、こういうニュースの根幹部分は、確かに真実性が認められると判断できると思います。
問題は、「関係者」「関係先を捜索」という表現が、この真実性を失わせるかどうかということでした。このニュースが出たプロセスを考えてみると、テレビ静岡は当日の捜査活動の全体像を知っていたわけではない。リークされた情報があり、捜査本部がある警察署から出て行った捜査車両を追尾していったら、車の押収とか、一見家宅捜索らしいことが行われていたわけです。
そういう時に、「関係者」とか「関係先の捜索」という表現は適切かどうかということです。どういう言葉を使うべきか、これから報道現場で考える必要があるかもしれませんが、ニュースにおける一般的な用法として逸脱とは言えないと判断して、申立人に対する名誉毀損は成立しない、との結論になりました。
この申立人宅の映像は特ダネ映像として撮ったということだったのでしょう、最初のニュースから使っていて、午後4時台と6時台のニュースでは、2階の窓の映像も加えている。全体像が分かっていなかったということと、その場の状況を見て、申立人宅でも捜索が行われていたと考えたことには、相当性が認められると判断したわけです。
しかし、この決定には要望もついています。時間の推移と共に、申立人宅の捜索活動は、車の押収が中心だった。別のところでも捜索していて、そこの容疑者の家でも車を押収している。そういうことが分かってきていた中で、申立人宅の映像の使用は、より抑制的であるべきではなかったかということを要望しています。
最初に言いましたが、事件報道はいろんな人を傷つけてしまう。ちょっと変な言い方ですが、私は事件報道には「原罪」があるというふうに考えています。どうしたらいいのか、事件報道というのは、もちろん市民にも成熟してもらわなければ困るんですけれども、やはり送り手の方が一番問題で、熟練した職業人としての腕と情熱、そして品性を持つジャーナリスト、この存在が一番キーだろうと、私は思っています。
事件報道が、どうしても逸脱してしまうのは、犯罪についての報道なわけで、犯罪捜査をしているのは警察ですから、ニュースソースの大半は警察なわけで、警察が間違うと、報道も間違った方向に行ってしまう。松本サリン事件という第一発見者が犯人扱いにされる、ひどい事件がありました。その時、言われたことは、警察報道だけでなくて、警察情報を相対化して、情報を多角化しなければいけない。弁護士を通じて、逮捕された人の声も聞くことも出来る、そういうことをやらなければいけないと。
一方で、すごく難問なのが特ダネ至上主義です。特ダネというのは、すごく重要だと思っていますが、特ダネ至上主義からの脱却というのを、どこかでしないと。横並び意識の排除、向こうもやるから、こっちもやらなきゃという、そういうところからフライングの誤ったニュースが出ちゃうということがあります。松本サリン事件のケースを詳しく調べてみると、やはりこういうことがすごくあるんですね。
私は、道理の優先というのをいつも言っています。道理というのは、物事の正しい筋道ということだと思います。ちょっとおかしいよと思う感覚。筋が通っているかどうか。そういうことについて報道をする人間一人一人が自分の意識の中に持たなければいけないのではないかと思っています。
さて、メディアスクラムですが、報道被害が改めて大きな問題になったのは、1988年に和歌山で起きた毒物カレー事件です。本当に小さな集落に全国から大取材陣が来て、この地区に住んでいる人たちは、日常的な生活が出来なくなりました。重要なことは、1人1人、個々の新聞社なり、報道記者なりが行う行動であれば、必ずしもそれは報道被害を起こさないのだけれども、それが集団になると、過熱して報道被害を生むということです。
この問題は、また後で議論したいと思いますが、集団的過熱取材、報道被害の問題の根底には、やはり、何をどこまで取材して、何を伝えるかという問題があって、単に横並び意識というだけでなく、取材する側は一生懸命頑張って、いろんなことを伝えようとするわけで、それを、どこで留めるかという、そこが実は難問中の難問だろうと思います。

◆ 曽我部代行

放送人権委員会の決定は、委員会の決定とは別に、少数意見、その委員個人の個別の意見を書くことができる仕組みになっています。あくまで、委員個人の意見で、決定と同列に並べることはできませんが、何か考える素材にしてもらえると思っています。「事件報道に対する地方公務からの申立て」事案の決定には3名の少数意見が付いていました。
実際には、認めているのは、写真を撮ったということで、連れ込んだ、脱がせたというのは、あくまで警察の見立てであって、何か客観的な裏付けがあるのかないのか、はっきりしないという状況であったということです。しかし、放送では、それらが客観的な裏付けがあるかのような放送であった。認めているのも、全部認めている印象を与える放送になっていたということで、行き過ぎがあったという決定だったわけです。要するに、そういう厳密な区別を、ちゃんとすべきじゃないかというのが、多数意見だったわけです。
しかし、放送の事件取材の実情からすれば、それはちょっと過剰な要求であって、奥代行(当時)の少数意見は、当時の新聞も同じような報道をしていて、逮捕事実と警察の見立ては、特段区別されていない。そういうものが一般的な取材の方法なのであるから、放送倫理上、それをもって問題があるということはないのではないかという意見でした。
私も同じように思うわけですが、そうは言っても、全く何の問題もないと終わらせてしまっていいのかというと、そこには引っ掛かるものがある。この事案は、要するに20代の区役所の窓口で住民票を発行しているような人なわけです。公務員だからというので、あのように大々的に報道されましたが、公務員といっても、窓口の人なんですね。しかも職務と全然関係ないプライベートでの犯罪なわけで、それを、公務員だからということで、ああいうふうに取り上げることが、本当にどうなのか。一部の局は、自宅マンション前で中継しているとか、そういったことが本当に必要なことなのだろうか、あるべき事件報道という観点からして、望ましいことなのかとか、そういったことを考えるきっかけにしていただきたいと思って付記したというわけです。
もう一つの少数意見は、限られた時間の中で、逮捕された本人に取材することもできない中では、放送倫理上の問題ありということはできないだろうというような意見です。

◆ 【委員会決定について】

●参加者
地方公務員の事案について、私も、この原稿の書き方には、容疑と、それと付随した推測を、もう少しきちっと分けたほうがいいと思いますが、ただ、この決定について思うのは、取材の理想を記していただくのは非常にありがたいのですが、やはり、理想をもってこの倫理上問題ありという結論を出されると、はっきり言って、事件記者に、かなり萎縮効果というのが出てくると思います。
また、決定の中ではないが、裸の写真を撮られることがどうとか、あの程度の事案で中継等々といった、ニュース価値の判断に踏み込んだ発言を知り、『東京視線だな』と思いました。やはり、地方と東京とでは、ニュース価値は違いますし、会社、個人、テレビと新聞でもニュース価値は違います。そういう様々なニュース価値で大きくなったり、その日の事案によって小さくなったりすることはあるので、その辺もぜひ勘案していただければと思います。

●奥委員長
おっしゃることはよくわかる。熊本市では、公務員の犯罪が続いていたことなど、いくつかの要因で、ああいう扱いになったのだと私も思います。ただ、やはり、顔写真が何度も出てきたり、住んでいたマンションとかが出てきたりして、どこかで踏みとどまる可能性はあったのだろうという考え方もあるわけです。
事件報道で言うと、ずいぶん難しくなってきました。しかし、難しくなってきた中で、やはり取材する側が、いろいろ知恵を働かせてやることしかないのだろうと思っています。

●曽我部代行
事件報道のあり方は、時代によって相当変わってきている。今の現実のあり方がずっと永久不変なわけではなくて、常によりよいものに向けて考えていく、そういうくり返しで変化してきたところがある。そういう、これからの発展に向けて、1つの外野からの意見だと受け止めてもらいたい。

●廣田委員
私は、この審理のときにはおりませんでした。ただ、1つの事案で3つも少数意見が付いていて、少数意見を書いた委員に弁護士がいないことに関して、ああ、弁護士的発想だと多数意見の方になるだろうなと思いました。なぜなら、弁護士が裁判をする時に、法規範というのがあって、今、現にこうだから、それでいいというだけではなくて、そこに望まれるものも、その規範の中にあって、その望まれるレベルというのも問題になるわけです。裁判だと、求められるものというのをいつも思い描いてやって行くので、何かそういう違いがあったのかなあと感じました。自分としては、今の議論も非常に参考になりました。(今後)弁護士としての目だけではなく、いろんな角度から考えたいと思いました。

●参加者
若い頃から事件の取材をしてきて、これで放送倫理上問題ありとされると、本当に現場の記者が委縮してしまうことが心配です。警察の発表した事案に基づいて、疑いありという逮捕容疑を伝えるとともに、現場では、その拠り所となるさまざまな情報を取りに行くわけです。今回の場合は、それが混同したところが問題かと思いますが、これが倫理上問題ありとされたことによって、記者のその取材して行く姿勢というか、そこが萎縮してしまうことが心配だという現場の率直な感想です。

●参加者
報道部でデスクをしています。この感じの事件の内容で、顔写真をフェイスブックから取り報道引用で使うとか、自宅前で中継をするとか、そういうことをするかと言われると、ちょっと疑問点はあります。ただ、この原稿の書き方は、その容疑事実と、それから警察取材に基づく内容を報じているという意味において、そんなに問題がある放送内容なのかなと思います。
映像(自宅)は、現場という意味合いで、そこを撮ったのかなと思うし、映像にモザイクをかけて一定の配慮をしようとしている様子も見られます。それに、写真を使う、使わないは、その社のニュースに対する判断に基づいて決まってくるのではないでしょうか。

●奥委員長
委員会の中でも、ニュースの書き方の問題について議論がありました。この時に、警察広報は、抗拒不能の状態の女性の裸の写真を撮ったという容疑事実だけでした。本人は、それは認めていた。だから容疑事実と、そうではない副署長の説明というのを、はっきりとわかるような書き方をしたらよかったのではないかという意見がありました。私も、そうしたほうがよかったし、そうすると、あるいは放送倫理上問題ありというところまで行かなかったのかもしれません。そういう意見があったということを紹介させていただきます。
放送ニュースの原稿というのは、新聞記事と違ってなかなか書きにくいんです。最初にサマリーをパッと言って、それでという話になるから。ですが、そういう点についてもやはり、これから現場でいろいろ工夫して行くことが必要なのだろうと思います。

●曽我部代行
今回、フェイスブックから被疑者の写真を使っています。著作権法上は、報道引用で正当な利用ということにはなっていますけど。著作権とは別に、固有の問題があるだろうと、今後、ご注意いただきたいということも決定に書いています。
フェイスブックの写真というのは、単独で写真だけ存在するわけではなくて、本人のさまざまな日常的な書き込み、そして友人関係というのも全部紐付いて、アカウントにあるわけです。そこに、「フェイスブックより」と表示することは、著作権法上必要な引用元の出典の表示なわけですが、それを観た視聴者は、フェイスブックを見に行って、いろんな日常的な書き込みとか、友人関係とか、芋づる式に知ってしまうことになり、必要以上にプライバシーが拡散してしまうリスクが同時にあるということです。ルール上使ってはいけないということではないですが、そういう特殊性があることを留意する必要があるということを付言しています。

***

●司会
ここからは、地元に即した事案ということで、5月に新潟で起きた、痛ましい女児殺害事件報道をめぐる人権上の課題や、取材上の問題について意見交換をして行きたいと思います。この問題には、BPOにも全国から大変多くの視聴者意見が届きました。
きょうは、参加者の具体的な発言は非公表とします。まず、委員に伺います。

●曽我部代行
新聞通信調査会が、毎年メディアに関する全国世論調査という、NHK、新聞、民放テレビ、インターネット、雑誌に区分してメディアの信頼度について聞いています。10年ぐらい前は、民放テレビは、65パーセントぐらいが信頼していて、それが、直近だと59.2パーセント、少しずつ下がる傾向にあります。NHKは7割ぐらいです。
今回の視聴者意見でいろいろ書かれていることは、この信頼度ということに非常に関わると思います。この視聴者意見を寄せた方々におけるメディアの信頼度というのは、著しく下がっていると思います。今では、インターネットで、事件現場等での取材者の振る舞いが、あっという間に知れ渡り、それがメディアの信頼度に及ぼす影響は非常に大きいと思います。その意味で、テレビ界全体として重く受け止める必要があると思います。
このメディアスクラムの問題は、非常に難しくて、1社1社が節度を持ってやっていても、皆が一遍に来るとメディアスクラムだと言われてしまう。1社では防ぎようがない問題で、テレビ界だけでなく、新聞、週刊誌も含めた報道界全体として取り組みが必要ではないかと思います。
メディアスクラムの防止については、民放連、新聞協会、いろいろ取り決め等はありますが、こういうものは、常にメンテナンスしないと、ただの取り決めになってしまう。ですので、常にいろいろな形で、たとえばある事案が起きた時に、ちゃんと皆さんで振り返りを行うとか、メディアスクラムを防止する仕組みというものをメンテナンスして行く。
それから、事案が何かあったとして、その反省を踏まえてよりよくして行くためにはどうしたらいいのかということを、折りに触れて考えていくことだと思います。全メディアを通じて行うべき取り組みだと思いますが、地元局の皆さん方としては、その地元単位でそういう取り組みをしていただくというのが、まずはできることではないかと思います。

●廣田委員
私からは、弁護士会の議論を紹介したいと思います。今、弁護士会で報道に関して問題になるのは、圧倒的に被害者報道です。これは、相模原の事件、座間の事件とあって、単刀直入に言えば、匿名か、実名かということで、弁護士間でも非常に意見が分かれます。
報道の方たちは、被害者を実名で報道することについて、いろんな根拠を話してくれます。凄惨な犯罪によって、1人の生身の人間がこの世からいなくなったことをきちんと知らせる。実名で報道することで、制度が変わったり、いろんな犯罪の防止にも繋がるとか、共感を得るためとかお聞きしますが、BPOに寄せられた視聴者意見を見てみると、視聴者にはそのようには伝わっていない。報道の方が言う、実名で報道する意味というのが、今、視聴者、国民に届きにくくなっているのかなと思ったのです。ただ、視聴者意見の中には、見たくないとかありますが、見たいものだけを見ていればいいわけではないし、喜ばれるものだけを放送すればいいというものでは絶対なくて、目を背けたいものでも見てもらわなければいけないし、見てもらおうと思って放送されているのだと思います。
では、どういうふうにすればいいのか。弁護士会で話した時に出てきたことが2つあります。1つは、実名にする時期です。事件の中身がまだよくわからないような状態から、座間事件で言えば、性的被害や、自殺願望があったとか、なかったとか、わからないような状態の時に実名にする意味があるのか。少しの時間を置いて、取材をして、その結果として実名で報道してもいいのではないかという点。もう1つは、なぜ実名なのかを説明できないか。座間事件では、新聞社の中で、実名にした理由、考え、至った経緯、悩みのようなことを紙面で書いた新聞があり、そのように、なぜ実名で報道するのかを説明することはできないかというのが、弁護士会の議論で出ています。
プライバシー侵害となることを防ぐためにも、その映像は何のために撮るのか、何のために実名にするのかを考えていただき、できれば説明していただけたら、視聴者や国民も、「ああ、そうなんだ」というふうになるのかなと思います。報道の現場とは全然違う弁護士会での議論ですが、そのような議論がされています。
弁護士会での話をご紹介しましたが、BPOでの個別の、例えば、実名・匿名が問題になったような事案が来た時には、その放送の中でどうかということであって、弁護士会がどうだからということではありません。それに、私自身の意見が、弁護士会の意見と同じというわけでもないので、誤解がないようにお伝えします。

***

こうした委員からの意見を受けて、各局参加者から発言があった。
メディアスクラムについては、極めて狭い地域の中に多くの取材要素が集まっていたこと、東京キー局から局ごとではなく番組ごとに取材が押しかけたこと、IT時代の今、中継車がなくても中継が簡便にできる状況にあることなど、それらが原因の一端にあったのではないかといった報告や、今後も技術革新によってメディアスクラムのようなことが誘発される危険性があるとの指摘もあった。また、関係各方面への取材のあり方については、地元局として自制的な行動をとろうという判断があった一方で、他局との競争、系列局との関係など、困難な対応に直面したといった現場の苦労も示された。そして、実名・匿名扱いを巡る問題では、早い段階から問題意識を持っていたが、その時点で警察広報に判断の根拠となる情報が示されなかったことなど、判断する上での苦悩が語られた。そして会場からは、「よく言われるような、思考停止状態であったようなことは決してなかった」などと、現場の記者が疲弊する中、葛藤しながら取材し、報道をしていた状況を振り返る発言が続いた。
こうした参加者との意見交換を受けて、最後に奥委員長が次のように締めくくった。
「今日、話を聞いていて、匿名・実名にしても、被害者遺族の取材についても、1人1人の取材記者、デスク、そういう方々が非常に悩まれて、悩んだ末に1つの結論を出している。そういう状況がよくわかって、ある意味で、変な言い方ですが、心強く思いました。
この問題、私は、いつも難問だとか、事件報道の原罪だとかと言うのですが、どこかに正しい答があるわけではない。日々起こる事件というのは、1つ1つケースが違うわけで、今回のケースで言えば、非常に特異な事件ではあったわけです。そういう時に、どういう報道が正しいか、正解はないと思います。悩まれて匿名にしたり、実名にしたりするという、そういう作業を積み重ねていくことによって、どうにか、何となく、上手くなるんだろうと思います。これからも、現場にいる方、デスクの方、悩んでいくことになると思いますが、そこは、ある意味で、こういう仕事を選んだ誇りを持って悩んでいただきたいというふうに思います。
今日は、皆さんに現場からの率直な意見を聞かせていただいて、我々3人も大変勉強になりました。お忙しいところ遅くまで、どうも本当にありがとうございました。」

以上

第131回 放送倫理検証委員会

第131回–2018年11月

日本テレビ『世界の果てまでイッテQ!』について報告書の提出を要請

第131回放送倫理検証委員会は11月9日に開催された。一部週刊誌で「海外ロケの企画をでっち上げた疑いがある」と報じられ、その後、新聞・放送各社も報じた日本テレビのバラエティー番組『世界の果てまでイッテQ!』について、当該放送局に対して当該番組の報告書と同録DVDの提出を求めることを決めた。

議事の詳細

日時
2018年11月9日(金)午後5時~午後8時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

神田委員長、升味委員長代行、岸本委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、中野委員、藤田委員

1.「海外ロケの企画をでっち上げた疑いがある」と報じられた『世界の果てまでイッテQ!』について日本テレビに報告書の提出を要請

2018年5月20日に放送された日本テレビの「謎とき冒険バラエティー『世界の果てまでイッテQ!』」の「世界で一番盛り上がるのは何祭り?」というコーナー企画で、「ラオスでの祭り」として紹介された当該企画内容は、でっち上げの疑いがあると一部週刊誌が報じた。これを受けて、日本テレビは自社のホームページで、誤解を招く表現があったことに関して批判を真摯に受け止めているとした上で、今後は「誤解を招く事が無いような形で放送致します」という見解を明らかにした。この動きを新聞各紙が報道し、放送局もニュース番組や情報番組で放送したことから、委員会は、当該番組の制作の経緯を知る必要があるとして、当該放送局に対して報告書と同録DVDの提出を求めることを決めた。
このほか、11月1日に東京で開催された独立テレビ局13社との意見交換会について、参加した委員から、「出席者の率直な意見を聞くことができて有意義だった」等の報告があった。

以上

2018年度 第68号

「命のビザ出生地特集に対する申立て」に関する委員会決定

2018年11月7日 放送局:CBCテレビ

見解:要望あり
CBCテレビは、2016年7月12日から翌2017年6月16日にかけて報道番組『イッポウ』で10回にわたって、外交官・杉原千畝の出生地をめぐる特集等を放送した。岐阜県八百津町が千畝の手記等をユネスコ世界記憶遺産に登録申請したが、「八百津町で出生」という通説が揺らいでいるとして、千畝の戸籍謄本についての検証や、千畝の出生地が記された手記は、千畝の自筆ではない可能性が高いとする筆跡鑑定の結果等を放送した。
この放送について、手記を管理しているNPO法人「杉原千畝命のビザ」とその理事長らが、「手記は偽造文書であるとの印象を一般視聴者に与え、さらに申立人らがそれの偽造者であるとの事実を摘示するもので、社会的評価を低下させる」と名誉毀損を訴えた。
委員会は、審理の結果、本件の各放送は名誉毀損にあたらず、放送倫理上の問題もないと判断した。ただし、手記が杉原千畝の自筆によるものであるかどうかについて、筆跡鑑定事務所の意見などの具体的な疑問が存在し、鑑定事務所の意見と申立人とのコメントを対比的に放送するのであれば、申立人に対して、端的にこれらの疑問点を伝えて、申立人の反論や説明を聞くことが望ましく、委員会はCBCテレビに対し、今後の取材・報道にあたって、この点を参考にすることを要望した。

【決定の概要】

本件は、CBCテレビが、2016年7月12日から翌2017年6月16日にかけて報道番組『イッポウ』で放送した計10本の放送を申立ての対象とする事案である。第1回及び第2回の放送では、岐阜県八百津町やおつちょうが、杉原千畝ちうね
の出生地が同町であるということを前提に千畝の手記などをユネスコの世界記憶遺産に登録申請していること、一方で、戸籍謄本の記載などからすると、千畝の出生地は八百津町ではなく岐阜県武儀郡むぎぐん
上有知町こうずちちょう
(現在の美濃市)ではないかという疑問があることなどを示し、この疑問を残したままに八百津町が世界記憶遺産の申請をしていることに疑問を投げかけている。
また、杉原千畝の出生地に関する疑問が生じる理由の一つとして、世界記憶遺産の申請対象である千畝の手記の、原稿段階のメモ書きの中の出生地の記載が「武儀郡上有知町」から「加茂郡八百津町」に手書きで訂正されており、その訂正部分は千畝の筆跡とは異なると思われ、清書された手記ともう一つの手記についても、千畝の自筆ではない可能性が高いことを筆跡鑑定事務所の見解として伝えている。
申立人は、世界記憶遺産の申請対象である杉原千畝の二つの手記の原本を保管しているNPO法人とその理事長1名、副理事長2名で、10本の放送全体を通じて、副理事長2名が千畝の手記を偽造したこと、NPO法人や副理事長2名がこれら偽造文書をユネスコに提出したこと、NPO法人と理事長がこれら偽造文書を保管し、真正なものであると主張していることなどの内容が放送され、名誉を毀損されたとして、委員会に申し立てた。
委員会は、申立てを受けて審理し、本件の各放送は名誉毀損にあたらず、放送倫理上の問題もないと判断した。ただし、後述の通り要望をすることにした。決定の概要は以下の通りである。
委員会は、各放送が間隔を置いて不定期に放送されたものであることから、個々の放送ごとに名誉毀損の有無等を判断する。
第1回の放送では、NPO法人が「手記の原本」の管理者として紹介され、記者がホームページにある事務所の住所を訪ねたが事務所はなく、その後NPO法人は、いま事務所は移転中だと答えた、という内容が放送される。
放送は、原稿段階のメモ書きの、出生地を訂正した部分が杉原千畝の自筆ではないのではないかという疑いを示すものの、NPO法人が「手記の原本」を「管理している」ということ以上に、NPO法人やその理事が「手記」の作成に関与したとか、世界記憶遺産の申請対象として「手記」を提出したという事実は示していないから、放送は申立人の社会的評価を低下させず、名誉を毀損しない。
第2回の放送では、記者が、副理事長2名に、原稿段階のメモ書きと世界記憶遺産に申請した二つの手記の関係などを確認したのち、杉原千畝の出生地を八百津町であると考える根拠についてインタビューする場面が放送され、場面が変わって、筆跡鑑定事務所で、二つの手記が千畝の自筆でない可能性が高いとする鑑定人の意見が放送される。その後、副理事長らのインタビュー場面に戻り、「49枚の祖父が一生懸命晩年に書いたものですから」と語る、千畝の孫でもある副理事長のコメントなどが放送される。
放送の中には、NPO法人が世界記憶遺産の申請に協力していること、二つの手記をNPO法人が保管していることの他には、申立人とこれらの手記との関係を放送している部分はない。放送全体の流れからしても、放送は、杉原千畝の出生地に関する疑問とこれをめぐる八百津町の対応を問うものと視聴者には受けとめられ、手記の作成や使用に関する申立人の関与のあり方に対して、視聴者の関心が向くような流れにはなっていない。
したがって、第2回の放送は申立人の社会的評価を低下させるものではなく、名誉毀損とはならない。
第3回以降の放送は、各手記と申立人との関係について触れるものはなく、いずれも申立人に対する名誉毀損はない。
また、本件放送に放送倫理上の問題があるとは言えない。
ただし、二つの手記が杉原千畝の自筆によるものであるかどうかについて、筆跡鑑定事務所の意見などの具体的な疑問が存在し、鑑定事務所の意見と申立人のコメントを対比的に放送するのであれば、申立人に対して、端的にこれらの疑問点を伝えて、申立人の反論や説明を聞くことが望ましく、委員会は、今後の取材・報道にあたって、この点を参考にすることを要望する。

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2018年11月7日 第68号委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第68号

申立人
特定非営利活動法人「杉原千畝命のビザ」(理事長 杉原 千弘)
杉原 千弘、杉原 まどか、平岡 洋
被申立人
株式会社CBCテレビ
苦情の対象となった番組
『イッポウ』(月~金曜 午後4時50分~7時)内 特集等
放送日時
  • (1) 2016年7月12日 第1回特集(14分1秒)
    • 「"日本のシンドラー"のルーツ~杉原千畝の出生地は?」
  • (2) 2016年8月8日 第2回特集(18分23秒)
    • 千畝はどこで生まれたの?千畝の手記の筆跡が違う?」
  • (3) 2016年9月29日 第3回特集(13分59秒)
    • 「八百津町議会に入れないCBCのカメラ」
  • (4) 2016年11月4日 第4回特集(12分8秒)
    • 「岐阜県の内部資料を独占入手。書かれていた驚きの内容とは」
  • (5) 2017年1月23日 第5回特集(13分44秒)
    • 「ユネスコ本部にCBCのカメラが入った」
  • (6) 2017年2月7日 第6回特集(13分39秒)
    • 「八百津町議会がCBC記者に意見を求める」
  • (7) 2017年2月21日 独自中継(2分7秒)
    • 「八百津町が手記2点の申請を取り下げ」
  • (8) 2017年2月22日 ショート企画(3分3秒)
    • 「八百津町がユネスコ申請書から『出生地、出身地』表記を削除」
  • (9) 2017年3月31日 第7回特集(9分14秒)
    • 「八百津町のよりどころ、千畝紹介本に複数の誤り」
  • (10) 2017年6月16日 ショート企画(6分6秒)
    • 「ついに議員からも『おかしい!』」

【本決定の構成】

I.事案の内容と経緯

  • 1.放送の概要と申立ての経緯
  • 2.論点

II.委員会の判断

  • 1.委員会の判断の枠組み
  • 2.名誉毀損について
    • (1) 第1回の放送
    • (2) 第2回の放送
    • (3) 第3回以降の放送
  • 3. 放送倫理上の問題について
    • (1) 申立人法人事務所の取り上げ方
    • (2) 申立人に対する取材のあり方

III.結論

IV.放送概要

V.申立人の主張と被申立人の答弁

VI.申立ての経緯および審理経過

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2018年11月7日 決定の通知と公表の記者会見

通知は、2018年11月7日午後1時からBPO第1会議室で行われ、午後2時から千代田放送会館2階ホールで公表の記者会見が行われた。
詳細はこちら。

2018年10月に視聴者から寄せられた意見

2018年10月に視聴者から寄せられた意見

シリアで拘束されていた日本人ジャーナリストの解放を報じた番組への意見、相撲協会を退職した元親方の問題を取り上げた番組や、その番組リポーターへの批判など。

2018年10月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,302件で、先月と比較して348件減少した。
意見のアクセス方法の割合は、メール76%、電話22%、郵便1%、FAX 1%。
男女別は男性66%、女性32%、不明2%で、世代別では30歳代28%、40歳代26%、20歳代20%、50歳代15%、60歳以上9%、10歳代2%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。10月の通知数は延べ706件【40局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、23件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

シリアで拘束されていた日本人ジャーナリストの解放を報じた番組への意見が多く寄せられた。また、相撲協会を退職した元親方の問題を取り上げた番組や、その番組リポーターへの批判も多かった。
ラジオに関する意見は36件、CMについては30件あった。

青少年に関する意見

10月中に青少年委員会に寄せられた意見は138件で、前月から30件減少した。
今月は「表現・演出」が56件、「性的表現」が36件、「その他」が9件と続いた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 飲酒ひき逃げ事故により引退した、元アイドルの報道全般について。確かに、事故についてはとても許されないことだが、時系列や真偽が定かでもない事柄や、ドライブレコーダーの映像を延々と公開して、彼女の嘘、あるいは彼女の悪質さだけを視聴者に印象付けるような報道が多かったように思う。保釈された彼女本人、そして小さな息子や家族の方々に対しても、罪を償ったあと更正し、社会復帰する機会をなくす、まるで将来を終わらせてしまうような感想を持った。それよりも、アルコール依存症の恐ろしさやその治療方法、そして家族の寄り添い方など、別な切り口からの取材も必要ではないか。更正する者に対し、もう少し将来の見える報道をしてほしかった。

  • 東京・豊洲市場の移転初日は、「市場周辺の道路が大渋滞」と各局のニュースで伝えていたが、一週間後の今日は、「目立った渋滞はなかった」と報じ、「関係者の慣れ」と結論づけていた。そもそも初日の交通渋滞の原因は、マスコミが殺到したことに起因している。このようなマスコミによる渋滞は、地震や台風などによる被災地で深刻な問題になっているが、全く報道されない。今の時代、問題をいくら隠蔽しても、インターネット上ですぐに拡散されるのに。

  • ハロウィーン騒ぎの東京・渋谷で、軽トラックが横転させられるという事件が起きた。その一部始終を取材班が撮影し、番組で流した。番組によると、事件を通報したのは被害者本人であったという。つまり、取材者は目の前の犯罪行為に対処せず、撮影に専念したことになる。渋谷でトラブルが起きることを予想した上での取材だと思うが、まずは通報するのが市民の義務だ。救助や通報を怠ったから撮れた映像である。番組で流すことに抵抗はなかったのだろうか。

  • シリアに拘束されていたジャーナリストが、無事に帰国したことは良かったと思う。自己責任論など色々と問題がある中で、なぜか数日後には、全く別な大相撲の訴訟問題やハロウィーン騒動でもみ消された感がある。国際情勢に関して力を入れず、視聴率を意識した報道としか思えない。ジャーナリスト自身からのコメントは後日にするとしても、事前に伝えることは多々あるはずだ。殺りくが連日繰り返される国もあり、無事帰国できたことが奇跡的であるという事実を報道する義務もあるのではないか。

【番組全般・その他】

  • シリアで拘束されていたジャーナリスト解放についてコメンテーターが、自己責任論を何度も「馬鹿馬鹿しい…」と連呼しながら、ジャーナリストの正当性を述べていた。なぜここまでの自己責任論が沸き起こるのか、前提となる彼の過去の言動を詳細かつ全く報じることなく、自己責任論はけしからんと言わんばかりの一方通行の内容であった。このようにジャーナリスト側の立場を一方的に報じるのは、公平性に欠けるのではないか。身内に甘いとしか言いようがない。マスコミは、様々な政治・社会問題などを伝える立場であるからこそ、身内や同業者に対してより厳しく、公平性に注意を払うべきではないのか。

  • 昼の番組で大相撲の問題を取り上げていた。相撲好きの私にとって、退職した元親方を心から惜しむ番組にやっと出会えた。ほとんどの番組が、元親方や夫人をいつまでも攻撃し、退職した原因をきちんと取材もせず、憶測で報道している。そんな中、この番組は、しっかりと取材したリポートや法律家の冷静な分析があり、元親方に寄り添う発言もみられた。素直に頑張った人をたたえていた。

  • 大相撲の元親方の退職や、元横綱の暴力による慰謝料請求問題を各局で取り上げているが、連日放送することにどれほどの意味があるのか。事実は事実として淡々と伝えればそれで十分ではないか。余分な情報が多すぎる。これ以上マスコミが騒いでも、相撲へのイメージダウンになるとしか思えない。相撲ファンとしては純粋に相撲を楽しみたい。もう、この騒動は終わりにしてもらいたい。

  • 不法滞在者について、入国管理局側の一方的な主張に沿って、実態をゆがめて報道しており、問題の正確な理解を妨げるどころか、偏見と差別をあおる中傷的な内容になっていた。外国人研修生・実習生の就業先での不当待遇や、入管の収容所での人権侵害行為に一切触れることなく、外国人の摘発や追い出しを後押ししていた。報道機関が自ら、ある属性の人々への悪意や差別的偏見の流布に手を貸すようになれば、社会の安定と秩序も損なわれると思う。

  • テレビ局関係者は、視聴者からの小さなクレームにも対応していかなくてはいけないので大変だ。それだから、テレビでやれることもどんどん限られてしまうのだと思う。クレームを無視して無茶苦茶なことをする番組を、これからも作り続けてほしいという意見があることを忘れないでもらいたい。本当にテレビが好きな人たちは、昔のような面白い番組を望んでいる。そういった番組作りをいつまでも心がけていてほしい。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • 男子中学生と女性教師の恋愛がテーマの連続ドラマについて、道徳的に問題があり同年代の子どもを持つ身としては不愉快だ。こういったドラマがフィクションだからと放送されるのはいかがなものか。

  • 深夜のバラエティー番組で、第二次ブルセラブーム到来の話をしていた。SNS上では女子中高生の下着や唾液が売られているという衝撃的な内容で驚いた。方法も詳細に説明していた。テレビで取り上げることで青少年が安易にその道に走る可能性もある。

【「性的表現」に関する意見】

  • モンスター退治のために冒険するストーリーの深夜アニメ番組で少女がモンスターに襲われるシーンについて、女性に対する性的暴行を思わせる描写があり非常に不愉快。録画機器があれば未成年も見ることができる。青少年に悪影響を与えるのは確実だ。

【「推奨番組」に関する意見】

  • 生き物を専門とする大学講師が、常識にとらわれず周りの人々の価値観を揺さぶって行くという連続ドラマには、とても感心させられる。我が家の受験生も真剣に見ていた。コンセプトの選択が素晴らしく、命や環境を大切に扱い、ジーンと心温まるドラマだと思う。

第207回 放送と青少年に関する委員会

第207回-2018年10月23日

視聴者からの意見について…など

2018年10月23日、第207回青少年委員会をBPO第1会議室で開催し、7人の委員全員が出席しました。
委員会では、まず9月16日から10月15日までに寄せられた視聴者意見について意見を交わしました。
モンスターを退治するために冒険するというストーリーの深夜のアニメ番組で、少女がモンスターの集団に襲われるシーンについて「女性に対する性的暴力の描写があり非常に不愉快だ。青少年に悪影響を与える」「女性蔑視の内容を公共の電波で流すのは青少年の教育上いかがなものか」などの意見が寄せられました。これについて、委員からは、「性的暴行や残忍な行為を想像させるようなシーンはあったが、表現上の配慮はなされていた」「深夜の時間帯ということを考えると許容範囲だと思う」などの意見が出されました。また、中学生と教師の純愛をテーマとした連続ドラマについて「多感な子どもたちや若く未熟な教師に悪い影響を与える」「フィクションとはいえ、スキャンダラスかつ現実に起きてはならない不愉快な内容だ」などの意見が寄せられました。これについて、委員からは、「演出や表現は抑制的かつ慎重な配慮がなされており、直ちに青少年に悪影響を与えるとは言えない」「テーマがいけないとなるとテレビの表現自体を抑制してしまう」などの意見が出されました。
10月の中高生モニターのリポートのテーマは「最近聴いたラジオ番組ついて」で、28人から報告がありました。モニターからは、朝の番組について「朝起きて、好きな曲が流れてきたらテンションも上がります。地域のニュース、天気、電車の遅れなどタイムリーに流れてくるため便利です。母の年代に流行した曲が流れると家族で歌えます」、音楽中心の番組について「まったりした進行、落ち着く声量は、良い意味でBGMだと感じた。このような番組は今のテレビにはあり得ないし、とても貴重だと思う。愛される理由がわかった気がする」、夜の番組について「ラジオはテレビと違い、耳からしか情報が取り入れられないので、その分想像力がかき立てられる。寝る前に聞いてリラックスすることもできる。ラジオはその時間その時間で放送するジャンルやテーマを変えているように感じる。その点では、テレビより聴取者の目的を明確に、しかも正確にとらえていると感じた」、また、北海道胆振東部地震のラジオ情報について「地震発生直後だったので、アナウンサーも何が起きたのかよくわからないまましゃべっている感じだった。停電が2日間続き、テレビで情報を入手できなかったので、ずっとラジオをつけていました。被災してラジオを聞いて思ったことは、もっと自分の地区の情報について知りたいということです」などの意見が寄せられました。委員会では、これらの意見について議論しました。
次回は11月27日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2018年10月23日(火) 午後4時30分~午後6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
調査研究について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

モンスター退治のために冒険するストーリーの深夜アニメ番組で少女がモンスターに襲われるシーンについて、「女性に対する性的暴行の描写があり非常に不愉快。青少年に悪影響を与えるのは確実だ」「女性が強姦されるような描写が存在する。青少年の教育上いかがなものか」「女性キャラが残忍に暴行される描写がある。非人道行為を面白おかしく描くアニメは青少年に暴行を肯定的に思わせてしまう」といった意見が寄せられました。
これに対し委員からは「性的暴行や残忍な行為を想像させるようなシーンは確かにあったが、直接的な表現はしていない。表現上の配慮はなされていた」「深夜の時間帯ということを考えると許容範囲だと思う」との意見が出されました。
男子中学生と女性教師の純愛がテーマのドラマについて、「多感な子ども達や若く未熟な教師にどれだけ悪い影響があるか計り知れない」「中学生をもって教師との恋愛を描くことは言語道断だ」などとの意見が寄せられました。
これに対し委員からは「演出や表現は抑制的かつ慎重な配慮がなされており、直ちに青少年に悪影響を与えるとは言えない」「テーマがいけないとなるとテレビの表現自体を抑制してしまう」「連続ドラマで、始まったばかりなので今後の推移も見守るべき」との意見が出されました。
昼のバラエティー番組でゲストの男性芸人が、女性出演者を突き飛ばしたり、段ボール箱を投げつけたことに対して、「暴力的で女性蔑視である。子どもが真似をするのではないか」「暴力的な演出が不快。教育上問題があると感じた」などとの意見が寄せられました。
これに対し委員からは「上品な演出とは言えない」「こういった行為はこの男性芸人の芸風で、共演者も分かったうえでやっている。特に女性だけをターゲットにしているわけではない」「芸風とは言え危ない感じがした」との意見が出されました。
これらの件に関しては、これ以上話し合う必要ない、となりました。

中高生モニター報告について

34人の中高生モニターにお願いした10月のテーマは、「最近聴いたラジオ番組について」でした。また「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で28人から報告がありました。
「最近聴いたラジオ番組」では、ひとりで2つの番組を報告したモニターがおり、全部で29番組について報告がありました。また、リアルタイム聴取かタイムフリーのアプリを利用したかについてもたずねましたが、リアルタイム14人、アプリ利用15人という結果でした。それぞれパーソナリティーは異なりますが、『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)を6人のモニターが取り上げています。それ以外の番組では『SCHOOL OF LOCK!』(エフエム東京)を報告したモニターが3人いました。そのほかのモニターが選んだ番組は全て異なっていました。
「自由記述」では、物語の終盤で東日本大震災を取り上げたドラマのストーリーに違和感を覚えたという東北在住のモニターが、地元紙の切り抜きを添えて意見を述べています。
また先月あるモニターが自由記述で報告した「事件報道の際、被害者の写真としてプリクラが使われることに違和感がある」という意見に「とても共感した」との感想を寄せたモニターもいました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『ウケる!偉人伝』(日本テレビ)を4人、『あいつ今何してる?』(テレビ朝日)と『極鬼ザ・チェイスタグ』(NHK総合)を3人、『Nコン2018』(NHK Eテレ)を2人のモニターが取り上げています。

◆委員の感想◆

  • 【最近聴いたラジオ番組について】

    • スマートフォンなどのアプリで聴取しているモニターも多く、ラジオの聴かれ方が変わってきているのだなと思った。

    • ラジオ文化に関する評価を分析的にしてくれているモニターのリポートが興味深かった。

    • 「ラジオで聴いた曲を友達や家族と歌ったりする」ということを書いてくれたモニターがいたが、人と人とをつなぐ役割をラジオが果たしているということを中学生のモニターが感じているのだと思った。

    • 「ラジオは勉強しながらでも集中を途切れさせることなく聴くことができるので、もっと多くの中高生に聴いてほしい」と報告しているモニターが、「中高生が対象のラジオ番組が少ないと感じるのでもっと中高生向けの番組があればうれしい」と希望していることは、制作者に伝わればいいと思う。

    • 『NHKマイあさラジオ』(NHKラジオ第1)を登校前の30分リアルタイムで聴き、「朝の忙しい時間に、ニュースや社会問題の解説や天気予報などがコンパクトに盛り込まれていて飽きなかった。これから毎朝、聴き続けたい」と書いてくれたモニターがいたが、おそらく朝の時間にテレビがついているのと、ラジオが流れているのとでは、何かはっきりとした違いがあったのかな?と感じた。

    • 複数のモニターがラジオを聴取した感想として「スピードがゆっくりしていてリラックスできた」と述べているが、テレビのテンポの速さに対してラジオの場合は「ゆっくり」「リラックス」「パーソナル」というあたりに中高生は、メディアとしての意味を感じていることがわかり興味深い。

  • 【自由記述について】

    • 連続テレビ小説『半分、青い』の物語の展開について、宮城県のモニターが新聞の切り抜きを添えて意見を述べてくれている。ヒロインの親友が震災で亡くなるというストーリーに違和感を覚えていたが、震災で娘を亡くした女性の新聞投稿を読んでその内容にとても感動し共感したという報告だった。わざわざ新聞の切り抜きを添えてリポートしてくれるぐらい感じるところがあったのだろうと思う。震災の当事者であるがゆえに、受け手の立場によって物語の受け止め方・とらえ方に違いがあるということは、ぜひ制作者に伝えたい。

◆モニターからの報告◆

  • 【最近聴いたラジオ番組について】
    • 『Morning Gate-FM PORT-』(リアルタイム聴取/新潟県民エフエム放送)朝、学校に送ってもらう車の中で聴きました。天気予報や渋滞情報など今知りたい情報ばかりでよかったです。音楽も元気が出るような曲が多く明るい気分になりました。テレビとは違って耳だけで伝わる工夫があるのだと感じました。ラジオは防災用だというイメージでしたが、元気で明るい声のアナウンサーで落ち着いて行動することができたり、嫌なことがあっても元気になったり勇気を与えたりできる仕事だと思いました。(新潟・中学1年・女子)

    • ラジオの聴きはじめは映像がなくてわかりにくかったが、聴いているうちに想像で補えるようになり、ラジオにはラジオの良さがあり、テレビに劣るわけではないと思った。聴きながら他のことをできることが、ラジオの良さだと思った。(新潟・中学2年・男子)

    • 『アルコ&ピース D.C.GARAGE』(リアルタイム聴取/TBSラジオ)自由にしゃべっている感じがして聴いている私も現実世界から解放される気がしました。自由さのない番組が多い中で、コーナーを飛ばしたり、ゾウとタラしか友達がいないとか、脳が沸騰するほどの低音が出せるとか、ウソを平然と話せるのは、この番組の魅力です。アルコ&ピースの世界観が誰にも邪魔されず、番組全体が1本のコントのようになっているのは他にはなく珍しいので面白いです。良い意味でくだらなくて、無意識のうちに笑っていました。(岐阜・中学2年・女子)

    • 『三四郎のオールナイトニッポン0(ZERO)』(ニッポン放送)ひとつの話から話題が枝分かれしていくのは、テレビでは味わえないラジオの味だと感じます。ラジオだと芸能人との親近感やリスナーとの一体感があるので「お決まりの○○」というのができがちだと思います。でもこの番組は、そこに一言添えてくれるので、約束事がどういうことかすぐに分かり、聴きやすいです。トーク中心になっていて、選曲は流行のものが多く、曲数も少なめなのはAMの良さが出ていて好きです。(岐阜・中学2年・女子)

    • 『on-air with TACTY IN THE MORNING』(リアルタイム聴取/FM802)私は朝、ラジオを聴くことが多いです。テレビは見入ってしまうので、時間がない朝は聞き流すことのできるラジオがいいからです。朝、起きてきて好きな曲が流れてきたらテンションも上がります。地域のニュース、天気、電車の遅延などの情報もタイムリーに流れてくるので便利です。平日はこの番組で最新の音楽を聴いているので、学校で友達と一緒に歌ったり、母の年代の流行歌が流れると家族で歌うこともできます。「きょうから試験です。寝不足だけど頑張ります」というようなメッセージがDJに読まれると、自分もがんばろう、と元気をもらえます。(大阪・中学3年・女子)

    • 『SCHOOL OF LOCK!』(リアルタイム聴取/エフエム東京)この番組は学校や進路の悩みや趣味のことを知ることができ、また逆電話やウェブの掲示板をパーソナリティーである校長や副校長が読み上げてくれるなど、リスナーと番組との距離が近く感じてとても良い番組だと思います。ラジオは勉強をしながらでも集中を途切れさせることなく聴けるので、もっと多くの中高生に聴いてもらいたいと思います。中高生対象のラジオ番組が少ないので、もっとあったらいいなと思います。(東京・中学3年・女子)

    • <J-WAVEの番組全般について>(タイムフリー聴取/J-WAVE )J-WAVEは昔から家でBGM代わりに流れていた記憶がある。J-WAVEには様々な企画があるが、そのほとんどが音楽に関する企画だ。曲紹介や新人アーティストの紹介などだ。まったりとした進行、落ち着く声量は良い意味でやはりBGMだと改めて感じた。このような番組は、まず今のテレビではありえないし、ラジオの中でもとても貴重だと思う。ラジオの良さが全面に出ており、愛される理由がわかった気がする。(東京・中学3年・男子)

    • 『ゴールデンアワー』(リアルタイム聴取・エフエム沖縄)いろいろ忙しくなりしばらく聴けていなかった番組。久々に聴いたが、この番組は何も考えずに聴けるので楽でいいと思った。地元の人に寄り添いながらも、観光客の方々にも親しみをもってもらえるような番組なんだと感じた。実際、今回の放送では、沖縄を観光で訪れているリスナーの方がメッセージを投稿していた。この方は、沖縄に観光で来る前からこのラジオの番組を聴いていて、何度かメッセージも送っていたらしい。こうやって観光客の方々が沖縄のローカルラジオ番組を聴いてくれるのは自分としてもうれしいことだ。他のリスナーの方々のメッセージの中に、新しい発見があったり、部活中のあるあるだったりといろいろな刺激があった。こうやって見ず知らずの人の話を楽しく共有できるのはローカルラジオのいいところだと思う。(沖縄・高校1年・男子)

    • 『NHKマイあさラジオ』(リアルタイム聴取/NHKラジオ第1)登校時間の関係で朝の30分間くらいしか放送を聴くことができないのだが、そんな忙しい朝にぴったりの番組だと思う。ニュースを伝えたり、専門家をよんで社会問題について議論したり、その日の天気予報を行ったりするなど様々なコーナーがあるのだが、それら全てがわかりやすく、短く的確にまとめられているので通学前・通勤前の人々にも聴きやすいラジオだと思う。(兵庫・高校1年・男子)

    • 『オールナイトニッポン MUSIC10』(タイムフリー聴取/ニッポン放送)ラジオはテレビと違い、耳からしか情報を取り入れられないので、その分想像力が掻き立てられる。また視覚情報によって眠りが浅くなることもないので、眠る前に聴いてリラックスすることもできる。ラジオは時間帯によって放送するジャンルやテーマを変えているように感じる。その点で言えば、テレビよりもリスナーの目的を明確に、しかも正確にとらえていると感じた。最近ラジオを聴く時間があまりなく、ラジオと疎遠になっていたのだが、いま改めて聴いてみると、とても癒され、リラックスでき、面白い。ラジオを聴くことが再び私の夜の習慣となりそうだ。(愛知・高校1年・男子)

    • <北海道胆振東部地震に関連した情報について>地震が起きる前夜、私は10時ごろ就寝しましたが、午前3時頃、激しい揺れで目が覚めました。震度は5強でした。起きて電気を点けようと思っても暗いままでした。母はすぐ懐中電灯とラジオを持ってきて、家族みんなでラジオに耳を傾けました。地震発生直後だったので、アナウンサーも何が起きているのかよくわからないまましゃべっているような感じでした。自分の家だけが停電しているのではないか?町の中心部はどうなっているのか?など、いろいろな疑問が解消されました。停電は2日間続き、テレビで情報を入手できなかったので、ずっとラジオをつけていました。今回、被災しラジオを聴いていて思ったことは、もっと自分の暮らす地区についての情報が欲しいということでした。どのお店が開いていて、どこが避難所になっているのかなど、もっと地域を取り上げた番組があればいいと思いました。(北海道・高校2年・女子)

    • 『山下達郎のサンデー・ソングブック』(タイムフリーで聴取・エフエム東京)10月で26周年を迎え、27年目になる長寿番組。曲とその間のリスナーのハガキ紹介、それに応える山下達郎さんのトークのバランスが絶妙で、リスナーにそっと寄り添うような程よい距離感が保たれていると感じた。山下さんの言葉には26年間続いているからこその安定感があった。オンエアされた洋楽やオールディーズの曲は高校生の私が知らないものばかりだったが、新鮮に感じもっと聴いてみようとYouTubeで音源を調べるきっかけとなった。(音質はラジオの方が格段に良かった)また、リスナーのハガキに対して鋭く突っ込んだり毒づいたりする山下さんの一言が面白く、私が抱いていたイメージと異なっていて意外だったと同時に、このトークもリスナーを惹きつける要素のひとつなのだろうと思った。ラジオは音で伝えるメディアなので作業をしながら聴きやすいが、この番組は特にリスナーとの距離感からそのメリットを最大限に生かしているものだと思った。(東京・高校2年・女子)

    • 『菅田将暉のオールナイトニッポン』(タイムフリー聴取/ニッポン放送)私はラジオを聴く機会は今までほとんどなく、若者のテレビ離れ以前にラジオ離れは多いのではないかと思いました。また久しぶりにラジオを聴いてみてラジオは何かしながら聴くことができるので、いいなと思いました。菅田将暉さんはSNSではあまりプライベートなことはつぶやかないのでこの番組は普段の話やプライベートな話を聴くことができる唯一の場なのでファンとしてはとても面白かったです。久しぶりにラジオを聴いて楽しかったので、テレビや動画ばかりではなくラジオもたまには聴こうと思いました。(東京・高校2年・女子)

    • 『SCHOOL OF LOCK!』(タイムフリー聴取/エフエム東京)以前のモニターリポートでこの番組が取り上げられていたので気になって聴取してみました。私はほとんどラジオを聴かず、この番組の存在も知りませんでした。中高生向けのラジオ番組があることも知らなかったので驚きました。一番記憶に残ったのは「掲示板逆電」のコーナーです。リスナーからの重い内容の相談を、パーソナリティーのふたりがまっすぐ受け止め、相談に乗っていることに驚きました。ラジオの温かさを感じました。電話を通じて相談でき、リスナーと出演者が直接つながれることがラジオの強みであり、その強みを最大限に生かした番組だと思いました。何かに悩む中高生に対して元気を与える番組だと感じました。また聴いてみようと思います。(東京・高校3年・女子)

  • 【自由記述】

    • NHKの連続テレビ小説『半分、青い』で、ヒロインの親友が東日本大震災で亡くなりました。「ここまでしなくても」と思いました。地元の新聞の投稿欄にも、そう感じた方の声が掲載されていました。当時31歳だった娘を震災で亡くしたというその方は、震災から10日目に遺体と対面され大きな悲しみと衝撃に直面されたそうです。「たとえドラマであっても、また、悲しみが増すのです」と書かれたその記事が、すごく心に響きました。せめてドラマではハッピーエンドで終わってほしかったと思いました。(宮城・中学2年・女子)

    • 以前、台風で風が強く、あまりにもうるさくて眠れなかった夜、ラジオを聴いてなんとか眠ることができた。ラジオは私にとって大切なものだと、改めて感じた瞬間だった。(東京・高校2年・女子)

    • 先月のモニターリポートの「事件報道の被害者写真にプリクラが使われることへの違和感の意見」にとても共感しました。もう大人なのに学生時代の卒業アルバムなどの写真が使われることも同様に疑問です。(東京・高校2年・女子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『ライオンのグータッチ』(フジテレビ)小学生などの子どもが頑張る姿にスポットを当てる番組だが、やはり子どもたちの真剣なまなざしには目を見張るものがある。(東京・中学3年・男子)

    • 『極鬼ザ・チェイスタグ』(NHK総合)チェイスタグのルールもわかりやすく、各界のスポーツ選手・体力自慢が集まり1番を決めるというシステムもシンプルでとても面白かった。今後も続いていき、人気が出てくるようであれば、フィールドをボクシングなどのように360°観客で囲うようにしても面白いと思った。(東京・高校3年・男子)

調査研究について

2017度に実施した「青少年のメディア利用に関する調査」の報告書が担当の菅原委員より提出され、各委員が、精査したうえ、次回委員会で最終的な確認を行うことになりました。

今後の予定について

  • 10月2日、熊本市にて開催された熊本地区の放送局との意見交換会について、当日地元局で放送されたニュースを視聴したうえ、総括しました。11月19日、盛岡市にて開催される岩手地区の放送局との意見交換会について最終的な確認を行いました。また、東京で開催される第2回「学校の先生方との意見交換」について、開催日を2019年2月23日(土)に決定しました。

以上