第110回 放送と青少年に関する委員会

第110回 – 2010年3月

日本テレビ『左目探偵EYE』2月13日放送分の局からの回答について

フジテレビ『はねるのトびら』について …など

3月23日に開催した第110回青少年委員会では、日本テレビ『左目探偵EYE』の回答について審議した。また、2月16日から3月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見をもとに、ドラマ1番組について視聴の上審議した他、3月度の中学生モニター報告について、担当委員からの報告及び審議が行われた。

議事の詳細

日時
2010年 3月23日(火) 午後4時30分~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

日本テレビ『左目探偵EYE』2月13日放送分の局からの回答について

審議内容については前回の議事概要を参照。

【青少年委員会からの「回答のお願い」】

(1)全体的に暴力的シーンが数多く見られる上、劇中で歌われる歌詞が扇情的なものになっていると感じますが、その意図についてお聞かせください。
(2)番組制作において台本段階及び編集段階等でのチェック体制についてお聞かせください。
(3)番組の主役の人気アイドルは中学生という設定で、多くの子ども達が視聴対象になっていると思いますが、子ども達への影響についてはいかが認識されていますか。
(4)民放連放送基準では、9章で暴力表現について規定しています。特に65条の留意点に照らして、当該番組の放送表現についてのお考えをお聞かせください。

【日本テレビからの回答】

(1)について
『左目探偵EYE』は許されざる人間の「悪」を問うべく、様々な局面に毅然と立ち向かう主人公の姿を描く連続ドラマです。主人公は、「悪」に端を発する犯罪を憎み、必死に犯罪の実行を食い止めようとします。第4話は、事件の首謀者である犯罪プランナー(主人公の兄)が、売れないロックバンドの弱い心を利用して犯罪を予言する歌を歌わせ、その予言通り、ライブ会場で暴動事件が起こるというものでした。主人公の中学生、田中愛之助は、危険を顧みずライブ会場へと潜入し、身体を張って友人を助け、この暴動事件の実行を阻止するというストーリーです。本作では、犯罪の「恐ろしさ」、暴力の「恐ろしさ」と、それを憎み、それに対して立ち向かっていく主人公の「勇気」、悪の犯罪から友人らの命を守りきる主人公の「活躍」を主軸に描きました。
(2)について
台本は制作した段階で責任者であるチーフプロデューサーなど番組制作サイドで確認し、考査をはじめとする社内各所でチェックを行い撮影に進みます。撮影現場や編集・仕上げ現場には番組担当プロデューサーが立会います。その後社内試写を行い、サブミリナルチェック等を経て放送します。
(3)について
このドラマを見て、犯罪の「恐ろしさ」を理解するとともに、どんな困難にも挫けずに挑む主人公の姿を通して、「正義」や「勇気」を感じ取ってもらえたらと考えております。
(4)について
犯罪の「恐ろしさ」など放送の意図を伝えるため、暴力や殺人行為の表現は避けません。しかし、子どもの視聴を認識し、表現への配慮を行います。
例えば鮮血はグロテスクにならないように映像の構図や質感に工夫をし、暴力シーンでは必要が無い限り傷などをリアルに表現しすぎないように配慮しています。また、暴力や殺人シーンによって犯罪の恐ろしさを伝えるとともに、主人公がその犯罪を憎み、「人を傷つけるのはやめろ」と発言し、犯罪という人間の行為が如何にいけないことか、許されるものではないことかを強調するように構成しています。『左目探偵EYE』第4話においても、集団暴動を起こす犯罪プランナーの「悪」「恐ろしさ」を表現しながらも、それを「許せない」とする主人公の「勇気」や「正義」、友達を救うために必死に頑張る姿にドラマの主眼を置きました。さらに3月13日の最終回では、哀しみや孤独が憎悪等「負」の感情を生むことがあっても、それを理由に他者を傷つけて良いことにはならないと主人公に強く訴えさせてドラマを締めくくりました。しかしながら、「恐ろしさ」等の表現において、不快感や懸念を抱かれた視聴者がおられた事実は認識致しました。制作者の意図が視聴者の皆様に十分伝えきれなかったとすれば遺憾なことであります。今後も視聴者の皆様のご意見を活かしながらより良いドラマ作りに努めてまいります。

【「回答」に対する委員会の対応】

(1)(2)について、再質問書を送付しさらに説明を受けた上で、審議を行うこととした。

フジテレビ『はねるのトびら』について

当該番組の罰ゲームで、大量の水を飲む行為の危険性について前回委員会で審議し、意見を述べたことについて、局から番組の趣旨及び経緯の報告書が送付された。審議内容については前回の議事概要を参照。

【報告書】

この度、弊社制作のバラエティ番組『はねるのトびら』の1コーナー「しりたしキャバクラ」内で行っている”水を飲むゲーム”(オチ)に関して、その発想の原点および過程と、実際の安全性について、下記の通り、ご報告申し上げます。

  • 発想の原点
    「しりたしキャバクラ」コーナーでゲーム(オチ)を考える上で、私どもが最優先課題に置いたのが”これまでに無い、史上最も危くないゲーム”というものでした。その大前提の中で、キャバクラという設定も踏まえつつ熟考した末、”酔いを醒ますために水を飲む”という内容を考えたわけです。
  • 安全性
    “水を飲む”という行為は、基本的には極めて安全なものですが、唯一考えられる可能性として、「水中毒」というものが存在します。「水中毒」とは、体内の水分が過剰となり、低ナトリウム血症(体内血液中の塩分濃度が低下し、塩分のバランスが崩れる)を引き起こすものです。症状が進むと、精神錯乱、頭痛、痙攣、昏睡状態に陥ることがあるそうです。過去の事例では、アメリカの女性が水を大量に飲む大会に出場し、一気に約8リットルの水を飲みきり、その結果死亡したというのがあるらしく、BPOに寄せられた『水を飲み過ぎると危険だ』という指摘の背景には、このニュースの存在が考えられます。ちなみに、当該コーナーでは、1回のゲームにつき、ミスを犯したプレイヤーが飲むのは400ミリリットルの水を1杯飲むことになっており、しりたしゲーム自体は5回程度行うので、仮に全部飲むことになっても(企画の特性上、その可能性も極めて低いです
    が)、せいぜい2リットル強の水の摂取となります。この2リットル強という水の量に関しては複数の専門医に相談したところ「一般的には10リットル~15リットルの水を一度に飲むと、水中毒の危険性があると言われており、2~3リットルの水を摂取したぐらいでは水中毒になることは到底考えられない。」との見解を頂きました。(「あくまでも個人差があるため、上記のアメリカの事例のように8リットルで死亡するというケースがまれに起こるかもしれないが、とはいえさすがに2~3リットルではその可能性はゼロに等しい。」とのことです)
  • まとめ
    上記の通り、私どもは万全を期して番組制作に臨んでおりますが、今回の件は、海外のしかも『水を飲んで死亡した』という珍しいニュースが、『約8リットルの水』という一番肝心な量の情報が抜けたまま、人々の記憶に残ってしまっていたことが招いたある種の誤解だ、と考えております。今後につきましては、放送中に「マネをしないように云々…」のテロップ等でいたずらに視聴者の不安を煽るようなことはせず、また「水中毒」についての説明をわざわざ入れたりせず、しばらくは事態を静観する形で、当該コーナーならびに水を飲むゲームを続けていきたい、と考えております。

【報告書に対する委員の主な意見】

  • 子どもがまねしやすいゲームになっており、子どもにはストッパーがかからない可能性が高い。ほんの少しでも死のリスクがあるならやめるべき。
  • このコーナーに危険性や不快感は感じなかった。果たして子どもがまねをするだろうか。
  • テロップで注意喚起をすればすべて済むわけではないし、確かにテロップが逆効果を生むこともあるので、局の説明も理解できる。

以上審議の結果、上記委員の主な意見をBPO報告及びホームページに掲載することとした。

視聴者意見について

テレビ東京『マジすか学園』
「深夜とはいえ血みどろの暴力シーンの連続」「人気アイドルが出演する学校を舞台にしたドラマで、若年層もたくさん見ており、子どもたちに悪影響を与える」という批判意見が多く寄せられ、番組を視聴の上審議し、委員からは以下の意見が出された。

【委員の主な意見】

  • リンチや暴力シーンだけが突出して多く、暴力を憎む気持ちが湧くというより、いたずらに恐怖や不安を煽るだけのように感じられる。
  • 全体的に残酷で恐怖を煽るシーンが多い。深夜の放送とはいえ、青少年に非常に人気のあるアイドルグループ「AKB48」を起用しており、録画視聴などを考えると、青少年への影響を憂慮する。
  • カルト風の作りで、最初から最後まで血だらけで何をテーマに何をいいたいのか理解できない。
  • 真似をする者がたくさん出るとは思わないが、文化的には理解できないし、公共のメディアを使って流す番組とは思えない。
  • 「青少年への配慮」や「暴力表現」などについて定めた民放連の放送基準をどう認識しているのか。

以上の意見を踏まえ、委員会としては番組内容に関する局の考えについて回答を求めることとした。「局からの回答」を受けて次回委員会で審議する。

中学生モニター報告について

3月のモニター報告は2009年度後期モニターの最後のレポートで、テーマは半年間中学生モニターを担当してみて「今、テレビについて一番考えること、要望すること」について、28人から報告が寄せられた。

【主なモニター意見】

今回の大きな特徴は、個別の番組に対する意見よりも、現在の放送局に対して”作ってほしい放送”、もしくは”あってほしい制作者像”などについての意見が数多く寄せられたことである。
まず「作ってほしい放送」では、”もっと笑えるバラエティーを”という意見が5件、”人を傷つけない放送を”という要望が2件寄せられた。そのほか”視聴者が参加できる放送”、”視聴者の意見を反映させた番組を”という意見や、”日本をもっと知りたい”“ニュースやドキュメンタリーを拡充してほしい”という声もあった。
次に、放送局に対する要望としては、”品格のある信頼される放送局に”という意見や、”各局のオリジナリティーを生かした番組作りを”、”もっと自由にチャレンジしてほしい”という声や、食事時間などを考慮して”時間帯を考えた編成を”という声が寄せられた。
3年生女子からの報告。「モニターをすることで、今までよりいろいろなことを考えながら、テレビを見たような気がします。そして今思うのは、”番組の制作者は本気でこれを面白いと思って自信を持って作っているのか”ということです。例えば、バラエティーならすべてのコーナーを、”自信を持って見てほしいと思っているのか、すべてのシーンを見逃さないでほしいと思っているのか”、と疑問に思ったりします」。
2年生女子の意見。「私が今いちばんテレビに要望することは、同じ時間帯に他局と同じようなクイズ番組やバラエティー番組、同じような人たちが出ている番組をやめてほしいことです。今、テレビをつけても似たようなものばかりで、見る気が失せてしまいます。どの局も、他局の”パクリ番組”をやるのではなくて、自分たちの局の特徴をそれぞれアピールしてほしいと思います」。
3年生女子の意見。「最近のテレビには面白い番組が少なくなってきていると思います。なぜなら、家族でテレビを見ているとき、見たい番組があまりないからです。だから、リモコンでチャンネルを変えるときは、『これが一番マシやない?』というふうに番組を選ぶことになります。具体的にいうと、水曜日の午後の7時から8時あたりは、全くといっていいほどいい番組がありません。ですから、この時間帯に新番組ができるとみんなその番組を見るようになるのではないでしょうか?」。
1年生男子の意見。「今、テレビについていちばん要望することは、面白くて笑える番組を作ってほしいということです。それと、むだにセットにお金をかけるのはもったいないから、面白い人を呼ぶためなどに使ってほしいと思います。また、スポーツをテーマにしたバラエティー番組も作ってほしいです。理由はなんといっても、子どもから大人まで、幅広い世代の人たちから親しまれる方がいいからです。それと、『めちゃ2イケてるッ!』みたいにちょっと度が過ぎているかも知れないけれど、そういう番組もあっていいと思います。もしバラエティー番組の罰ゲームなどが、安全面だけを考えてやってしまうと、視聴者からみると面白くないし、芸人なら芸人らしく体を張ってやってもらいたいからです」。
3年生女子の意見。「最近の放送は、あまりに規制が多すぎて自由な番組が減っていると思います。以前のレポートで、『8時だョ!全員集合』の話が出ましたが、その番組は結構下品なシーンが多く、親が見せたくない番組のひとつだったと思います。でもその番組は、当時子どもだった今の大人たちの心に残っています。来週が待ち遠しく、安心して、クラスのみんなとの話題にできる番組だったからでしょう。『親が子どもに見せたくない番組ランキング』の上位に入っている番組はだいたい下品な笑いを誘うものが多いので、それを大人が見せたくないと思う気持ちも分からなくはありません。しかし、子どもからすれば『なんで勝手にそんなものを決めるんだ』と少なからず思うでしょうし、私もそう思います。大人たちにすれば、子どもは外部からの情報をすぐに吸収するので、それを防ぐために必要のない情報や悪影響を与える番組を見せたくない、と思うのでしょう。ですが、やはり納得できません。自分が『これは正しい、よいものだ、知りたい』と思うものを、子どもは選んではいけないのでしょうか?」。

【委員の所感】

  • 今期の中学生モニターの皆さんは、毎回、知りたいことをかなり具体的に指摘して意見を書いてくれ、意見も具体的で、読み手にとっても、とても分かりやすく読み応えがあった。
  • モニターの多くは、最近の番組は視聴者のことをあまり考えていないと感じていること、もっと幅広い番組を見たいと考えていること、視聴者参加型の番組を期待していることなどが読み取れた。
  • あるモニターからは、番組作りに規制が多すぎて「自由な番組」が減っているのではないかという指摘があり、多くの番組の中から大人に押し付けられないで、自分で自由に選んで視聴しているという意見も付け加えられていた。「中学生をバカにしないで。良いものと悪いものの違いは自分で決められる」という心意気が強く感じられ、頼もしかった。
  • 制作者が、自分の感覚だけで番組を制作し、受け手である視聴者の意思や気持ちを無視して番組を垂れ流していては、いずれテレビが廃れてしまうのではないと危惧する。

2010年度「中高生モニター」募集について

2010年度「中高生モニター」には、中学生と高校生あわせて241人の応募があり、その中から34人を選出してモニターを委嘱した。任期はこれまでの半年から1年に変更、毎月のモニター報告も3~4か月単位で「バラエティー・クイズ、音楽」、「情報・報道、ドキュメンタリー」、「ドラマ・アニメ」とジャンルを決めて取り上げ、報告をしてもらう。

その他

4月から新たにホームページ上に開設する「青少年へのおすすめ番組」ページについて、事務局より報告があり了承された。

第109回 放送と青少年に関する委員会

第109回 – 2010年2月

在京2社アニメ番組制作担当者との意見交換

視聴者意見について …など

2月23日に開催した第109回青少年委員会では、在京2社のアニメ番組制作担当者が出席し、アニメ番組制作の現状と、青少年への配慮等について意見交換を行った。また、1月16日~2月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見をもとに、ドラマ1番組、バラエティー1番組を視聴し審議した。

議事の詳細

日時
2010年 2月23日(火) 午後4時30分~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

在京2社アニメ番組制作担当者との意見交換

青少年委員会では、昨年4月の委員の交代以降、委員会と各放送局との意見交換の場を積極的に設定する方針としてきた。今委員会では、テレビ朝日およびテレビ東京のアニメ番組制作担当者が出席し、青少年の視聴が多いとされるアニメ番組の制作の現状と青少年への配慮などについて、幅広く意見交換を行い、実態に関する理解を深めた。

視聴者意見について

1.日本テレビ『左目探偵EYE』

「人気アイドルが出演し、子どもが多く見ているドラマであるのに、暴力的なシーンが多く、青少年に悪影響を与える」という意見が寄せられ、番組を視聴の上審議し、委員からは以下の意見が出された。

【委員の主な意見】

  • 劇中で歌われる「殺せ、殺せ、皆殺し」という扇情的な歌詞は、極めて視聴者へのインパクトが強く、全体的にもドラマの筋立てから断ち切られた不必要な暴力シーンや凄惨なシーンが見られ、テレビで放送すべきではない。
  • 主役や出演者が青少年に人気のあるアイドルグループのメンバーであり、主役の年齢設定も中学生で、子どもたちが視聴対象の多数をしめている。青少年への配慮がなされていない。

以上の意見を踏まえ、委員会としては番組内容に関する局の考えについて回答を求めることとなった。「局からの回答」を受けて、改めて次回委員会で審議する。

2.フジテレビ『はねるのトびら』

当該番組のコーナーの中で、罰ゲームとして大量の水を飲ませたことについて、「水を大量に飲むことは危険で、時には死に至ることもある。水中毒の知識のない小中学生に危険な影響を与える」といった意見が寄せられ、番組を視聴の上審議し、委員からは以下の意見が出された。

【委員の主な意見】

  • 水を飲ませるという安易に真似できる罰ゲームは、子どもが真似をする危険性が大きく、少しでもリスクがあるのであれば注意喚起が必要。
  • 制作スタッフに水中毒に関する知識はあったのか。どれくらいの量の水を飲むとどうなるのか、どんな危険性があるのか理解した上で、テロップなどで危険表示すべきだ。

以上の意見を踏まえ、委員会としてはリスクがある場合、放送内で何らかの注意喚起が必要であるとの意見をBPO報告およびホームページに掲載することとした。

中学生モニター報告について

2月のテーマは、「集中して見ようと思った番組」「偶然テレビをつけたら思わず引き込まれて見てしまった番組」で、その理由や感想を報告してもらい、29人からリポートが寄せられた。

【主なモニター意見】

まず「集中して見る番組」としてドラマに多くの意見が寄せられた。「”見る前から集中して見るぞ”と思って見る番組はドラマです。最近のドラマは展開が早いので、集中して見ないとストーリーが分からなくなってしまうからです」「『JIN~仁』は構成、演出、出演者の演技などすべてがとてもよく、3分前くらいから椅子に座って準備万端整えて見ます」「毎週欠かさず大河ドラマ『龍馬伝』をテレビの前に座って見ています。大河ドラマは歴史的な背景などに気をつけて見ていないとだんだん内容が分からなくなってしまうからです」「いつも『コード・ブルー~ドクターヘリ救命救急season2』を集中して見ています。前作を見た時に救命救急医療にあこがれを抱き、そのシーズン2と知り、初めから集中して見ています。人の命を救う時の緊迫感がすごく伝わり、救命救急医へのあこがれはどんどん増えていきます」。また、『泣かないと決めた日』や『相棒』など連続ドラマを毎週欠かさず見ているという意見も数多く寄せられた。
また、女子を中心に人気グループ嵐の『ひみつの嵐ちゃん』『VS嵐』、イモトアヤコの『世界の果てまでイッテQ!』を集中して見ているという意見が寄せられた。一方、男子からは『爆笑レッドシアター』『爆笑レッドカーペット』『ネプリーグ』など、笑って日常の疲れを癒やしたいという声が多く届いた。「集中して見ようと思った番組は『アメトーーク!』です。理由はとにかく毎回面白いからです。宿題をしながら見ていると、いいところを見逃したり聞き逃したりするので集中して見ています」「集中して見ている番組は『ザ!鉄腕!DASH!!』です。午後7時~8時という時間帯が見やすいし、出演者が体験していることが、まるで自分も一緒に体験しているような気分になるので面白くてよく見ています」。
次に「小さいころから見続けているから」という回答が寄せられたのはアニメだった。『ちびまる子ちゃん』『サザエさん』『ONE PIECE』『おじゃる丸』などが集中して見られていた。
そのほか、学習に役立てたいので見ている番組として『世界一受けたい授業』『熱血!平成教育学院』『歴史秘話ヒストリア』などを挙げる意見もあった。「集中して見ているのは『そうだったのか!池上彰の学べるニュース』です。この番組では政治のことなどを分かりやすく説明してくれ、沖縄の基地問題についてとても勉強になりました」「最初は何となくNHK教育の『英語が伝わる!100のツボ』を見ていましたが、今ではペンとノートを用意して”集中して見る時間”になっています」。そのほか、『情熱大陸』や『NHKスペシャル』などのドキュメンタリーを集中して見ているという回答も寄せられた。
次に「偶然テレビをつけたら、思わず引き込まれて見た番組」では特集番組が多かった。『マイケル・ジャクソン~愛と悲しみの真実』や『阪神・淡路大震災から15年 神戸新聞の7日間~命と向き合った被災記者たちの闘い~』など、初めは何気なく見ていたが思わず引き込まれてしまったという意見が寄せられた。「初めは嵐の櫻井翔くんが出演しているからと軽い気持ちで見ていたのですが、被災しながらも新聞製作をあきらめない記者たちの姿に強く心を打たれました。現場で被災者にカメラを向け『すみません、すみません』と言ってシャッターを切る姿が印象的で、これまで見慣れていた写真もまったく別の写真に見えるような気がしました」。
一方、集中して見ていたが期待はずれだったという意見は特になかった。面白くなければ途中でチャンネルを変えてしまうからというのが主な理由だった。

【委員の所感】

  • レポートを読んで、バラエティー番組よりドラマや報道・教養系の番組をより集中して見ていることがよく分かった。ドラマでは、自分が興味のある職業、あるいは目指している仕事を登場人物が演じ、自分もそこにいて一緒に体験しているような気分が味わえるストーリーの展開があること、人間の生命や社会の現状を映し出すテーマで好きな役者がキャスティングされていることなどが理由として挙げられていた。
  • 報道・教養系では、政治や経済など専門的で難しい話題を分かりやすく説明してくれる、素朴な疑問が思わずひざをたたくような感じで解説されていることなどが、重要な要素になっていることが読み取れた。
  • 一方、バラエティー番組では、好きなタレントやあこがれのグループが出演していること、それぞれのキャラクターが個性的で面白く、トークの濃さやテンポの良さが欠かせないこと、一体感というかワクワク・ドキドキ感やちょっとした気分転換になることなどを理由に挙げている点が興味深かった。今見ている番組で10年後、20年後にやがて共通の話題になる”時代を象徴する”番組は何だろうかと考えながら、テレビを見るのも面白いかも知れないと感じた。

【放送局からの感想】

1月のモニター意見で最も多かった『NHK紅白歌合戦』について、番組のプロデューサーから以下のような感想が寄せられた。

  • 中学生モニター報告を拝見して感じたのは、(1)非常に細かく、冷静に番組を見ている。(2)『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!大晦日スペシャル!!』の支持が高いなど、10代の視聴傾向が分かりやすく見てとれる。(3)流行に流されないで、ある意味では大人よりも社会的意識の高い意見が多い、の3点です。特に『NHK紅白歌合戦』に関しては、流行を追うだけではなく、「本当にいいものを求めている中学生」が多いことに驚きました。私たちがふだん見ているNHK番組モニター(大人)評とは全く異なる視点からの意見も多く、今後はNHKのモニターにもこうした10代の意見を積極的に取り入れるべきと考えています。

「青少年へのおすすめ番組」について

青少年委員会では、これまで青少年の健全な育成へ寄与するため、良質なテレビ番組の情報発信について議論してきた。今委員会で2010年4月からの取り組みとして、特別番組、単発番組等を対象に、各テレビ局からの推奨による「青少年へのおすすめ番組」の一覧をホームページ上に掲載することを決定した。

第108回 放送と青少年に関する委員会

第108回 – 2010年1月

視聴者意見について

中学生モニター報告 …など

1月26日に開催した第108回青少年委員会では、12月16日~1月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見について審議した。また、来年度からのモニター制度改革について審議したほか、来年度の調査・研究のテーマについて議論した。

議事の詳細

日時
2010年 1月26日(火) 午後4時30分~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

担当委員から、寄せられた視聴者意見の概要についての報告を受け審議したが、特に取り上げるべき番組はなかった。

中学生モニター報告

1月のテーマは、年末年始の”特番”を見て「面白かった番組」「面白くなかった番組」で、その番組を見ようと思った理由や、見た結果どこが良かったのか、もしくは何が期待はずれだったのかを報告してもらうもので、30人から率直な意見が寄せられた。

【主なモニター意見】

いちばん意見の多かった番組は『NHK紅白歌合戦』の14件で、そのうち8件が好評、6件が批判的な意見だった。「”紅白”は小さいころから飽きてしまい、つまらないという印象がありましたが、今回は私の大好きな嵐が出場するということや60回記念ということに興味があり最初から最後まで見ました」「今年は僕的には最高の年でした!”こども紅白”という企画では大橋のぞみちゃんと加藤清史郎くんが緊張しながらもしっかり司会しているところに感心しました」「”紅白”には絶対に出ないといわれていた矢沢永吉さんが出演してびっくり。SMAPがマイケル・ジャクソン追悼のために彼の名曲を歌ったり踊ったりしていて久しぶりにドキドキしました」「私はジャニーズのグループがたくさん出るのでうれしいけれど、今年はジャニーズや芸人に頼っているようで、それは歌番組本来の楽しみ方ではなく演芸番組になってしまっていると思いました」「私はジャニーズファンではないので、曲と曲の間にちょこちょこ出てきていたのには少しガッカリ。結局、結果も白組の勝ち。紅組にも素晴らしい方はたくさんいるのに、ずっと白組ばかり勝っているのはこういうことも原因なんじゃないかなと思います」。
次に多く意見が寄せられた番組は日本テレビの『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで大晦日スペシャル!!~絶対に笑ってはいけないホテルマン24時!』の8件で、6件が好評の意見だった。「僕は受験生ですので最後まで見ることはできませんでしたが、久しぶりに腹の底から笑うことができました」「やはりダントツで一番面白かったです。5人のメンバーと”ケツバット”のルールが元祖から変わらずシンプルなところで笑えます。一年の終わりに相応しいかどうかは分かりませんが、十分見応えがありました」「6時間は少し長すぎではないかと思いましたが、この不景気の中、一年を大笑いして越せるというのはとても良いことだと思います」。批判的な意見は2件で「以前はいきなり江頭2:50が出てきて踊りだすなど破天荒な笑いで楽しめましたが、今回は出演している芸人の元奥さんなどが出ていたりして、ここにも内輪ネタの波が来たかと嘆息の思いでした」「後半になるにつけ尻を叩くのを見ていると不愉快になってきました。下品にも程があります。ただ、これは叩かれた芸人さんではなく、作家や演出家の人が悪いと思います。来年から、企画を考え直した方が良いはずです」。
朝日放送の『芸能人格付けチェック!これぞ真の一流品だ!2010お正月スペシャル』には好評の意見6件が寄せられた。「毎年家族そろって見ています。芸能人が高飛車に言っている様子が映し出され、失敗するところがとても面白いです。内容は毎年似たようなものですがそのままでいいと思うし、続けてやってほしい番組です」「GACKTさんが2年連続”一流芸能人”になれるかが気になって見ました。GACKTさんが正解したときのポーズがおかしかったです」。
一方、批判的な意見が多かったのは、通常のバラエティー番組のスペシャル版。『Qさま!!芸能界最強漢字王決定戦3時間SP』(テレビ朝日)には、「3時間、すべて漢字の問題だったのには飽きました。3時間もあるのだから、漢字以外の問題やいつもと違う出題をするなど工夫してほしかったです」。また『SASUKE2010』(TBS)には、「サスケのステージは毎回毎回工夫が凝らされてより難しくなっていて、3rdステージやファイナルステージなどを見ていると手に汗を握る。ただ、前は放映時間が短かったのにお笑い芸人が笑いをとるために出るので、長くて最後まで見切れない。お笑い芸人もきちんと予選を通って出てくるようにすれば…」といった意見が寄せられた。
今年は特に長時間番組が多かったことから、「長すぎる」「2時間くらいに編集してほしかった」「途中で寝てしまった」という意見や、「通常番組の”特番”の場合、ぜひ見てほしいという工夫や熱意に欠けていた」という意見もあった。

【委員の所感】

  • 中学生が面白いと感じた番組が何本かに集中していたことに特徴があった。『芸能人格付けチェック!』や『とんねるずのスポーツ王は俺だ』などは企画が優れており、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!大晦日スペシャル!!』は凝った作りで、大人が見ても面白いと感じる番組だった。ただ、多くの中学生が今年の特番を「ムダに時間が長いだけ」と報告してきたことには同感だった。
  • 『NHK紅白歌合戦』が多くの家庭で見られていることが意外で、年越しの夜の家族の風景があまり変わっていないことが印象に残った。また、紅組、白組の投票に参加した中学生がいることも意外だった。
  • 年末の『熱血!地球教室2009~カンボジアで夢と希望の特別授業』(TBS再放送)を見た中学生から「戦争が終わっても地雷など戦争のつめ跡が今でも残っていることや、勉強できることの大切さを学んだ」という報告に感心した。これからはアジアへ目を向ける放送がより重要になると考えられるので、ぜひ放送局にそうした番組を制作してほしい。

【中学生モニター会議】

2009年度後期の中学生モニター会議は、1月10日に東京・紀尾井町の千代田放送会館で開かれた。テーマは、「もし自分がディレクターだったら、『私の見たい番組』『私の作りたい番組』」で、全国から19人の中学生モニターが参加し、7人の委員と熱心に意見交換を行った。会議の内容はまもなく冊子としてまとめ、関係各所に送付する予定。

【2010年度「中高生モニター」募集について】

2006年度から続けている「中学生モニター」を、2010年度から「中高生モニター」に変更して募集を開始した。新しいモニター制度は、枠を中学生から高校2年生まで拡大し、任期もこれまでの半年から1年に変更。毎月のモニター報告も、3~4カ月単位で1つのジャンル(バラエティー番組、情報・報道番組、アニメ・ドラマほか)を取り上げ、意見や感想を報告してもらう。締め切りは2010年3月8日(当日消印有効)。詳細と応募用紙はBPOホームページに掲載している。

調査研究

4委員によるワーキンググループの第1回分科会の経過報告を受け、調査テーマや日程等について審議し、引き続き検討することとした。

第107回 放送と青少年に関する委員会

第107回 – 2009年12月

視聴者意見について

中学生モニター報告 …など

12月22日に開催した第107回青少年委員会では、11月16日~12月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に、報道及びバラエティーの各1番組について視聴し審議した。また、中学生モニター報告について審議したほか、1月10日に開催する「中学生モニター会議」の内容や進行等についても議論した。

議事の詳細

日時
2009年12月22日(火) 午後4時30分~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

1.日本テレビ 『真相報道バンキシャ!』

未成年の少女を働かせる「密着エステ店」の実態を報道するコーナーで、男性の下半身部分をマッサージする映像が流されたことに対し、「ひわいな映像で、休日の夕方の子どもが見ている時間に流す映像ではない」といった意見が寄せられ、番組を視聴の上、審議した。

<委員の主な意見>

  • 未成年者をいかがわしい商売の道具に使っている実態を報道する意味はある。特に、対象となっている子どもたちが見ている時間にやることも理解できる。
  • 問題の映像をことさら強調しているわけでもなく、ひどい映像でもない。問題にする番組にはあたらない。
  • 取り上げることは重要だと思うが、視聴者から複数の意見が来たのは、取材や掘り下げが浅く、映像だけに目が行ってしまったからではないか。

委員会としては審議の結果、問題のある放送内容にはあたらないということで一致した。

2.TBS 『ひみつの嵐ちゃん!』

嵐のメンバーの一人を霊に見立て、塩をまくといった除霊行為をするなどの放送内容に対し、「集団いじめで、子どもたちがまねをする」等の意見が寄せられ、番組を視聴の上、審議した。

<委員の主な意見>

  • 企画自体は安易だが、遊びだとすぐ分かる内容でいじめなどに結びつくものではない。
  • 人気グループだけに、ファン心理から多くの意見が寄せられたもので、問題がある内容とは思わない。
  • 霊的なものを道具に使ったことに対する不快感を多くの人が感じたのではないか。制作者はそのことに気づくべき。

委員会としては審議の結果、問題のある放送内容にはあたらないということで一致した。

中学生モニター報告

12月のモニター報告のテーマは、「司会者が面白いから見る番組」「司会者が面白くないから見ない番組」で、日ごろ見ているテレビの司会者のどんなところに好感を持てるのか、また逆に持てないのか、その理由などについて自由に意見を書いてもらった。12月22日までに30人から率直な報告が寄せられた。

【主なモニター意見】

「司会者が面白いから見る番組」でいちばん多かった番組は『笑っていいとも!』だった。「タモリさんがそこにいるだけで面白い」「日替わりの芸能人の話を最大限に引き出し、誰も傷つけずにとる笑いが好き」「マニアックな深い話や普通の人が気づかない新鮮なトークが心をくすぐる」「ちょっと”ゆるい”ところや、みんなに慕われそうな人柄が好き」などの声が寄せられた。
次に多かったのは『爆笑レッドカーペット』で、「今田耕司さんのテンポの良さに好感が持て、見ていてスッキリする」「すばやいツッコミで番組が盛り上がり楽しい」「ふざけすぎないところもいい」「若手を大事にして面白いところを引き出すコメントがいい」などの意見が寄せられた。また、『おしゃれイズム』や『しゃべくり007』にも好評な意見が寄せられ、「くりぃむしちゅーの上田晋也さんのゲストに対するツッコミにはバリエーションがあり、見ていて飽きない」「出演者を”いじる”ことはあっても人を追い詰めることをしないのがいい」などである。
そのほか複数回答があった『ダウンタウンDX』『リンカーン』には、「ダウンタウンの二人は話をまとめる時はきっちりまとめ、ゲストとの絡みも面白く司会者としての腕は確か」「大物俳優にもしっかりと突っ込んでくれるので、すっきりとした気分になれる」などの声が、『SMAP×SMAP』には「リーダーの中居正広さんや木村拓哉さんの話にはテンポがあり、家族みんなでリラックスしながら楽しく見ることができる」、『所さんの目がテン!』や『世界まる見え!テレビ特捜部』には「所ジョージさんのボケをまじえた進行が番組を盛り上げてくれてとても好き」、『お試しかっ!』には「タカさんのボケで会場が盛り上がり、トシさんの進行でばっちりだ」といった意見が寄せられた。また、長寿番組『笑点』には「桂歌丸さんの司会進行が滑らかで機転がきき、共演者との息もピッタリ」「他の出演者がおかしな話をしても司会者がうまく締めていてレベルが高い」といった意見が寄せられた。
『ズームイン!!SUPER』や『ぴったんこカン・カン』など司会を務めるアナウンサーへの好印象の声もあった。「羽鳥慎一さんは見た目がかっこよくてまじめそうなのに、たまに面白いことを言うギャップが好き」「朝、明るくていい。出演者の意見や話をまとめるのが上手で進行がとてもスムーズ」「穏やかそうに見える安住紳一郎さんが、キレたり怒ったりするところが面白い」などである。
一方、「司会者が面白くないから見ない番組」で最も回答が多かったのが『クイズ!ヘキサゴンII』や『行列のできる法律相談所』。「島田紳助さんは人を傷つけたりする場面もあるが、人生について深い話をたくさんされるので僕は好き」「いろいろプロデュースされているのがすごいし影響力もすごい」などと評価する声がある一方、「司会はうまいかも知れないが、”おバカ”キャラに歌を歌わせてお金もうけをしている様子が目に浮かんでくる」「商品や歌手をヒットさせようとしているのが、番組の目的じゃないと思う」「少しずつクイズ番組から離れていっているように感じる」「出演者が必死で合わせているように見える」「以前は子どもにも分かりやすい法律の解説などで面白かったが、いまは法律には触れずにトークばかり」「すぐに自分の意見を押し付け、むだ話が多い」などの批判の声が多数寄せられた。
次に意見の多かった番組は『みのもんたの朝ズバッ!』で、「みのさんのキレのいいテンポに好感が持てる」「トークが軽快で好きだが、やりすぎも目立つ」「すぐ怒鳴り、自分勝手な話ばかりで寝覚めが悪くなる」「話していることが難しく、中学生にも分かるように話してほしい」などの意見が寄せられた。『報道ステーション』には、「古舘伊知郎さんがコメンテーターに意見を求めるときの発言が誘導的で、司会者は公平であるべき」という声が寄せられた。
また、『踊る!さんま御殿!!』には「ゲストの話より明石家さんまさんの自分の話や笑い声だけが耳につく」「トークがチャラい感じで、小学校2年から見ていない」という声や、『アッコにおまかせ!』には「他のメンバーが発言すると和田アキ子さんが空気を凍らせて、誰にも批判させない雰囲気が許せない」などの声も寄せられた。
そのほか、評価する意見の多かった『笑っていいとも!』にも「出演者がタモリさんに気を遣いすぎている」という声や、『ガキの使いやあらへんで!!』には「ダウンタウンの浜田さんは他の芸人さんの頭を叩いたりすることが多く、見ていて気分が悪い」という意見があった。
中学生が「どんな司会者像を好ましいと考えているのか」についての全体的な意見は以下の通り。「”人を傷つけない”、”人を不快にさせない”という基本的なルールを守れる人と守れない人では大きく差が出る」「司会者の役割は出演者の話を膨らませたり、鋭いツッコミで視聴者を爆笑させたりできる人」「内輪ネタばかりでゲストと盛り上がっている司会者だと、視聴者は置いてきぼりにされた感じになり、私たちが求める番組からは程遠い」「以前は、局のアナウンサーが司会することが多かったと思うが、今は芸能人で簡単に司会を済ませてしまう場合が増えている。しっかりした司会者の方が見ている方からすると安心して見やすい」「民主主義において政府批判が認められているのは分かるが、司会者は自分の意見を押し付けるのではなく公平・公正な立場で発言すべき」など、たいへん率直な意見が数多く寄せられた。

【委員の所感】

  • かつて名司会者といわれた人たちは実際に現場を取材した人が多く、その発言も示唆に富んだ的確なものだったが、今の司会者は現場に出たことのない人が増え、発言も底が浅く自己中心的になっていることをモニターたちはきちんと見ている。
  • 中学生ならではの視点が興味深かった。面白い司会者については、話の振りや膨らませ方がうまい、ツッコミが鋭い、キレがいい、テンポがいいなどの要素を挙げていた。一方、面白くない司会者の要素として、言葉がきつい、すぐ怒鳴る、内輪ネタが中心で番組を私物化しているなど、率直な意見が報告された。
  • 中学生たちがバラエティーを中心に見ていることがよく分かり、彼らが感じている「面白さ」を膨らませていくと、今の中学生が望んでいる「見たいテレビ」「作りたいテレビ」というものに近づいていくのではないかと感じた。

なお、1月10日正午から、東京・紀尾井町の千代田放送会館で2009年度後期「中学生モニター会議」を開催する。参加者は20人の予定で、テーマは「もし自分がディレクターだったら、『私の見たい番組』『私の作りたい番組』」である。

調査研究

次回の調査・研究課題について、4委員によるワーキンググループを編成し、調査テーマなどを検討した上で、今年度内に委員会に案を提出し決定することとした。

第106回 放送と青少年に関する委員会

第106回 – 2009年11月

視聴者意見について

中学生モニター報告 …など

11月24日に開催した第106回青少年委員会では、10月16日~11月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に、バラエティー1番組について視聴し審議した。このほか中学生モニター報告について審議し、来年1月10日に開催する「中学生モニター会議」のテーマ、進行等についても議論した。

議事の詳細

日時
2009年11月24日(火) 午後4時30分~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

  • 日本テレビ『行列ができる法律相談所』

司会者が女性タレントに対し「黙れ。来るな」などと発言したことについて、「いじめであり、他の女性タレントには、セクシュアルハラスメント的な発言があった」といった意見が寄せられ、番組を視聴の上、審議した。

<委員の主な意見>

  • 番組は芸風と役割分担で成り立っている。特段の悪意などは感じられず、問題にするような話ではない。
  • セクハラ的発言にテロップまでかけるという制作者の姿勢が気になる。
  • 下ネタがなくても十分面白い番組なのに、エスカレートすると、番組の品性が失われ失速していく。
  • 最近、人気芸人のやりたい放題が目に付き、視聴者の反感を買っている。制作者はどこかでコントロールすべき立場にある。

委員会としては審議の結果、上記各委員の発言をBPO報告及びBPOホームページに掲載することとした。

中学生モニター報告

11月のモニター報告のテーマは、小学生の時に見た好きな番組・嫌いな番組を思い出し、「どこが良かったか、何が印象に残ったか、あるいは何が嫌いだったか」について書いてもらい、現在の好きな番組・嫌いな番組と「どう違うのか、何が足りないのか、今も見たいか」について比べるもので、30人から報告が寄せられた。今回は、中学生モニターの個々の記憶や思い出をひもといたため、バラエティー50番組に78件、アニメ21番組に32件、ドラマ14番組に14件、教育関係9番組に11件、ニュース関連5番組に9件、音楽と映画それぞれ1番組に各2件、合計101番組に148件と、多数の番組に対しさまざまな意見や感想が寄せられた。

【担当委員の所感】

  • 今回は、今の時点だけでなく、小学生の頃と比較して番組の好みがどう変わったのかを一生懸命に思い出して書いてくれ、とても興味深い報告だった。小さかった頃、自分はどんな番組に夢中だったのだろうか、家族や友だちとどんな話をしたのだろうかなど、熱心に視聴の思い出も振り返って丁寧な報告が寄せられた。
  • 全体を読んだ印象では、各自の”好き嫌い”があまり変わっていないように感じられた。例えば、いじめが嫌いだと感じていた小学生は、中学生になってもやはり嫌いだと感じており、いっそう嫌いになったという報告もあった。
  • 『トリビアの泉』や『学校へ行こう!』を見た翌日、以前は「学校でテレビの話で会話がはずんだ、大いに盛り上がった」という報告が寄せられた一方、「現在の番組がワンパターン化してワクワクしなくなった、工夫がなくなった」という声もあった。
  • テレビを通して自分の成長について考えたメンバーもいた。例えば「ニュース番組」について、「以前は分かりにくく好きではなかったが、今は社会のことを知るのが楽しく熱心に見るようになった」など、自分の視聴体験を振り返ることから、現在の”視聴”を深く考えることにつながっている様子もうかがうことができた。
  • 現在の番組と比べ、「どう違うのか、何が足りないのか、何に引きつけられたのか」を考え、「大きくなっても何度でも見たい、あるいは今も見たくないのはなぜだろう」など、さまざまな視点から意見を寄せてくれることを今後も期待したい。

【全体集計】

今回、最も多くの意見が寄せられたバラエティー番組は、『トリビアの泉』(2002~06)と、『学校へ行こう!』(『学校へ行こう!MAX』含む、1997~2008)。それぞれ4件の好評な意見が寄せられた。『トリビアの泉』には、「うんちく話が楽しめ学校でも話題になった」「クスッと笑える豆知識などを幅広く紹介してくれた」「ムダ話なのだがきちんと検証してくれたので納得できた」などの声が寄せられた。『学校へ行こう!』『学校へ行こう!MAX』には、人気グループのV6が各地の学校を訪ねて生徒たちの様子を紹介したことから、「同世代が取り上げられ共感した」「週に1回、生放送があり身近に感じられるいい番組だった」「ぜひ復活してほしい」という声が寄せられた。
そのほか『伊東家の食卓』(1997~2007)には「さまざまな”裏ワザ”に感心したり驚かされたり家族みんなで楽しんだ」という声が、『驚きの嵐!世紀の実験』(2006~不定期)には「大人も分からないことを大人が身を持って実験してくれて良かった」「素朴な疑問に向き合ってくれたのが良かった」という声もあった。また、『どうぶつ奇想天外!』(1993~2009)や『天才!志村どうぶつ園』(2004~)には、「動物たちの知られざる生態をきちんと伝えてくれた」「保護者が薦める『どうぶつ奇想天外』がなぜ終了したのか疑問」という声も寄せられた。
現在放送されている番組の中では、『クイズ!ヘキサゴンII』(2005~)に5件、『はねるのトびら』(2005~ゴールデン)に4件、『爆笑レッドシアター』(2009~)に3件の意見が寄せられた。『クイズ!ヘキサゴンII』や『はねるのトびら』には、「小学生の頃は好きで面白く見ていたが、今はクイズがマンネリ化している印象」「出演者の暴言が目立ったり、罰ゲームも不快だ」といった声も聞かれた。また、『いきなり!黄金伝説。』(2000~)については2件の意見が寄せられ、「1ヵ月1万円節約生活のコーナーが好きだった」「スタート時は子どもが親と離れて暮らすなどハラハラ、ドキドキ感があったが、今は食べ物の話ばかりでつまらない」という意見が寄せられた。また、『笑点』(1966~)から『ちびまる子ちゃん』(1990~)『サザエさん』(1963~)などの長寿番組について、「ほのぼのとした内容で共感でき”我が家の日曜日の定番”」という感想も寄せられた。
次に意見の多かったアニメ番組では、『サザエさん』に4件、『ドラえもん』(1973~日本テレビ、1979~テレビ朝日)と『ポケットモンスター』(1997~)にそれぞれ3件の声が寄せられた。『サザエさん』を欠かさず見ているというモニターからは、「”戦闘シーン”や”残酷なところ”がなく心温まる番組で、”面白くて笑え”、季節の行事や昔の生活、思いやりの心などを教えてくれる”アニメの知識箱”」という意見が寄せられた。『ドラえもん』については長年見ているというファンから、「今でも大ファンで見ているが、昔の番組と比べると、最近の”悪役”ジャイアンのいじめがひどすぎないか」という注文も寄せられた。
また、主に男子からは『ポケットモンスター』、『ドラゴンボール』(1986~97、2009~)、『NARUTO~ナルト~』(2002~07)、『銀魂』(2006~)などの冒険活劇ものが好きだったという意見が数多く寄せられた。「小学生時代からヒーローものが大好きで今も大ファンである」「戦闘シーンに迫力があり現実にはありえないドラマを見せてくれる」「知らないことが出てくるが、調べてみようという気にさせてくれる番組」などの声が寄せられ、漫画やアニメが根強いファンに支えられている様子がうかがえた。
一方、小学生の頃に嫌いだったのは「ニュース番組」という意見が複数寄せられた。「難しい用語が理解できず内容が分からなかった」「殺人事件などの再現シーンが気味悪く嫌だった」「スポーツニュースしか見なかった」などである。しかし、中学生になると「社会的な出来事に関心が持てるようになった」「朝のNHKニュースは必ずチェックする」という声も寄せられ、成長とともにテレビ視聴に変化が現れている様子が印象的だった。また、『秘密のケンミンSHOW』(2007~)には「各地のブームや特産品などの情報で好奇心をかき立てられた」という報告が、小学生時代「旅番組」が嫌いだったというモニターからは「旅番組はつまらないと思っていたが、今は日本の知らないことを知ることができ、将来、各地を旅する楽しみができた」などの意見も寄せられた。そのほか、ワイドショーでたびたび取り上げられた芸能人のスキャンダルについては、「バッシングの量を減らして、もっと幅広くニュースを報道してほしい」という意見も寄せられた。
次に教育関連の番組では、『天才てれびくん』(1993~99)『天才てれびくんMAX』(2003~)について「出演者の一人一人がしっかりした感じがあり、現在でもこの番組を見ている」、また幼児向けの時間帯に放送されている『クインテット』(2003~)『にほんごであそぼ』(2003~)『えいごであそぼ』(1990~)などについて、「中学生になって幼児向け番組にも見るべきものがあることに気づいた」など、小学生時代とは異なった視点で番組を視聴している様子がうかがえた。

なお、2009年度後期の中学生モニター会議を、2009年1月10日正午からBPOのある千代田放送会館会議室で開催する。主なテーマは「わたしの見たいテレビ、作りたいテレビ」で、今月のテーマである「小学生時代の好きなテレビ、嫌いなテレビ」などの意見も交え、活発な議論をしたいと考えている。

その他

11月2日に公表した「青少年への影響を考慮した薬物問題報道についての要望」に対する各放送局の対応について、事務局より報告した。

第105回 放送と青少年に関する委員会

第105回 – 2009年10月

一連の薬物問題報道について

TBS『アッコにおまかせ!』8月23日放送分の局からの回答について …など

10月27日に開催した第105回青少年委員会では、前回に引き続き、「青少年と薬物報道」について審議し、委員会として「青少年への影響を考慮した薬物問題報道についての要望」をまとめ、発表することとした。また、2番組からの回答について審議したほか、9月16日~10月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に、バラエティー1番組について視聴し審議した。このほか中学生モニター報告についても審議した。

議事の詳細

日時
2009年10月27日(火) 午後4時30分~8時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

一連の薬物問題報道について

継続審議となっていた「青少年と薬物報道」について、委員会では、薬物事件を約1000件担当した弁護士の小森榮氏による薬物と青少年の現状及びその背景等についてのレクチャーを受けるとともに、意見交換を行った。その上で審議した結果、委員会としては深刻な社会問題であるとの認識で一致し、各放送局への要望をまとめ、11月2日に発表することとした。同日行った記者会見には、汐見委員長、小田桐・加藤・軍司の各委員が出席した(詳細はこちら)。

TBS『アッコにおまかせ!』8月23日放送分の局からの回答について

審議内容については前回の議事概要を参照。

【青少年委員会からの「回答のお願い」】

(1) 写真パネルが無修正のまま放送に至った経緯についてご説明をお願いします。
(2) 放送素材に関しての制作スタッフの認識・チェック体制についてご説明をお願いします。
(3) 放送後、貴局内で当該放送についての対応及び今後の具体的改善策等のご議論があればその内容をお知らせください。
(4) 番組制作にあたって、とりわけ青少年の人権への配慮についてはどうお考えでしょうか。

【TBSからの回答】

(1)(2)について
該当の写真は、番組が独自に入手し、前の週(8月16日)の放送でVTRとパネルで紹介したものでした。番組のスタッフは日頃、社内の研修等を通じて、青少年の人権への配慮は十分に認識しており、当然、この時は起訴されたタレントのご家族にモザイク処理を施した上で放送をしています。そして、翌週(8月23日)の放送に於いてもこの写真をパネルで使用することになりました。
番組では、パネルを作成する際、放送前日の深夜に開かれる放送素材のチェック・確認を行う会議の中で、モザイク処理が必要かどうかについての判断、指示が行われます。今回もこの会議の場でプロデューサーがご家族の顔にモザイク処理を施すようにスタッフに指示し、実際にその主旨はパネル作成にあたる「デザイン部」にも伝えられました。
「アッコにおまかせ!」のパネルは非常に大きなもので、デザイン部でのプリントアウトに相当の時間がかかるため、発注時に写真の搬入が間に合わなかった場合などは、とりあえず仮の写真で作成、プリントアウトしておき、後に正しいものが出来上がると、仮のものの上に貼り付ける体制をとっています。このときもモザイク処理に時間がかかるため、暫定的に修正前の写真でパネルを作り、後からモザイク処理されたものを貼り付ける方法をとりました。この時点で、修正前の写真を仮のものとして使用したことがまず本件の第一の原因と考えます。
パネルの内容については、プリントアウトされるまでの待ち時間、そして完成後にそれぞれチェックを行います。その体制ですが、まずカラーコピーの縮小版を出力しプロデューサー、ディレクターのほか、「ゲートキーパー」と呼ばれる校正担当者など5人でその内容をチェックする体制になっています。
しかしながら、この日は作業量が非常に多く、追い込みの素材もあったことから、発注時間が2時間ほど遅れてしまい、さらに文字の誤りや急遽確認が必要な内容が多数見つかるなどして、全員が通常より多い作業に追われる状況となってしまいました。
また、入手した元の写真のピントが甘く不鮮明なものだったため、チェック用に作った縮小版で見た全員が、モザイク処理済だと思い込んでしまいました。またこの「思い込み」が強かったことから、実際に完成したパネルをみても、誰もモザイク処理がなされていないことに気づきませんでした。一方、パネルは5つのブロックに分かれており、修正を行う場合、そのブロックごとにプリントアウトし、張り替えるという形をとっています。今回は該当の写真と同じブロックに、文字の修正箇所もあり、放送時間が迫っていたため、担当ディレクターとチェック担当者は、修正ブロックが届く前に、その部分を手書きで修正しました。その後その修正部分(モザイク処理写真を含む)が届いたものの、写真のモザイク加工は済んでいると思い込んでいた上、文字部分の修正は手書きで済んでいると考えていたため、貼り付けの作業自体必要ないと判断してしまいました。
こうした要素が重なり、全員がパネルは完成物であると確信したまま、放送時間を迎えてしまいました。放送中、プロデューサーが修正前の写真であることに気づき、スタジオのカメラマンに写真を撮らないよう指示しましたが、引きの(アップでない)映像を含めて約13秒間、放送される結果となってしまいました。
(3)について
番組では事態を極めて重く受け止め、ご本人と起訴されたタレント夫妻、写真に一緒に写っていた方々や関係者、さらには視聴者にも広く謝罪しなければならないと考えました。起訴されたタレント夫妻については、勾留中であったことから、所属事務所(当時)には8月27日に経緯をご説明した上で、謝罪の意と翌週に「謝罪放送」を行うことをお伝えました。
一方、視聴者に対しては、翌週の放送(8月30日)で、お詫びの放送を行いました。「先週の放送で、番組側の不手際から、事件とは関係のない方々の写真についても、そのまま放送してしまいました。ご家族の皆様、関係者の皆様に大変ご迷惑をおかけしました。お詫び申し上げます。」などのコメントを、番組を担当しているアナウンサーが読み上げました。
一方、番組の制作体制としては、従来からの5人に加えて、写真部分だけをチェックする「写真担当ゲートキーパー」を新たに配置し、チェックの強化を図りました。また、モザイク処理をすべき写真については、暫定的であっても処理前の写真を使用せず、空白とすることを確認しました。さらに、十分なチェック時間が確保できるように、パネル発注の締め切り時間を前倒し、これを厳守するようにスタッフに徹底しました。
また、プロデューサーと担当ディレクター、及び管理上の責任を持つ情報制作局情報センター長と、番組が所属する情報二部の部長に対して、情報制作局長が厳重に注意しました。
(4)について
番組制作においては人権の保護が重要であり、とりわけ青少年については厳格に守られるべきものであることは十分に認識しております。当該番組については、日曜日のお昼という放送時間から、青少年も家族と一緒に視聴していることを勘案、性や暴力、犯罪などの表現については、十分な認識を持って制作をしてきたつもりでした。
また、情報制作局では、番組制作上のルールを徹底するための「情報番組ガイドライン」を8月に作成、これを徹底するためのセミナーを実施し、人権の保護についても多くの時間を割きました。今回の問題はこうした取り組みの矢先に発生したもので、セミナーでも急遽これを取り上げて、当該番組以外の制作スタッフにも厳しく注意喚起を行いました。
今回の問題につきましては、番組、そして情報制作局全体として極めて重く受け止めており、スタッフに対して制作上のルールを再度確認し、再発防止に万全を期す所存です。

上記回答について審議した結果、委員会としては、回答にある青少年の人権ヘの配慮、放送上のチェック体制及び制作ルールを局内で充分に共有し、番組制作にあたって同じ誤りを繰り返すことのないよう局側に伝えることとした。

テレビ朝日『仮面ライダーディケイド』8月30日放送分の局からの回答について

審議内容については前回の議事概要を参照。

【青少年委員会からの「回答のお願い」】

(1)当該番組は、最終回でストーリーが完結したものになっていたとお考えでしょうか?
(2)上記のような視聴者からの批判について、どのようにお考えでしょうか?
(3)最終部分の内容は実質的には映画のCMとも受け取られかねないものですが、番組とCMを区別すべきとの考え方に照らして、どのようにお考えでしょうか?
(4)判断力の未熟な低年齢の児童を主たる視聴対象とした番組で、このような手法を使用することについて、どのようにお考えでしょうか?

【テレビ朝日からの回答】

(1)について
テレビシリーズとしては完結しています。
本作品は平成仮面ライダー10周年の記念企画で、2000年放送の仮面ライダークウガから、全ての仮面ライダーが順に登場します。クウガの世界、アギトの世界・・・と、主人公が歴代ライダーの世界を順に旅をして、その世界の敵を倒しては、また次の、別のライダーの世界へと旅を続けます。各エピソードは2話完結を基本とし、シリーズとしてはオムニバス形式で各話に連続性はありません。
テレビシリーズの最終回では、主人公がそれまでに出会った歴代の仮面ライダーたちと協力して、共通の敵・大ショッカーと戦い、見事倒して大団円を迎え、完結しました。
(2)について
テレビシリーズとして完結したにもかかわらず、それまでと後に続けた映画の告知部分との区別が分かりにくく、映画告知の手法として適切でなかったと考えます。
「仮面ライダーディケイド」は特別企画のため、放送期間を通常の仮面ライダーシリーズの1年間(約50話)よりも短い8カ月間弱(全31話)で予定していました。放送開始以来、視聴者の皆様からご好評をいただき、終了が近づくにつれ「終わってほしくない」というご要望を多数いただきました。一方で、次のテレビシリーズ「仮面ライダーダブル」の放送も決定しておりました。このため、急きょ「ディケイド」の映画を企画し、12月に公開することを決定したしだいです。
こうしたことから「ディケイド」テレビシリーズの最終回で、「ディケイド」映画化に関する告知と、次のテレビシリーズ「ダブル」の予告の両方を行いました。
「ディケイド」のテレビシリーズでは、最終回より前のレギュラー放送において、一つのエピソードが終了した後、番組のエンディングで唐突に次の「旅」の予告が始まるという演出手法をとっていました。最終回では、この手法を踏襲して、映画「ディケイド」の告知を放送しました。そして、CMをはさんでテレビシリーズ「ダブル」の予告を放送しました。そのため、どこまでがテレビシリーズの本編でどこからが映画の告知なのかわかりにくくなり、多くの視聴者から「テレビシリーズが完結しておらず、ストーリーの続きは映画でということなのか」というお問い合わせやご指摘をいただく結果となりました。
テレビシリーズと映画の告知との区別を、視聴者が分かるように明瞭にすべきであったと反省しております。ご意見ご指摘を真摯に受け止め、今後の番組制作および映画等の告知に反映させていただきます。
(3)について
放送法第51条の2の規定で、対価を得て行う広告放送は、視聴者が広告放送であることを明らかに識別することができるようにしなければならないと定められていることは、理解しております。ご指摘の最終回の最終部分の内容は、テレビシリーズ「仮面ライダーディケイド」の映画化についての情報であり、告知にあたるものであって、CMではありません。
今回の映画の告知は、映画化が決定し、12月に公開することの第一報であり、「ディケイド」の新たなエピソードを映画で公開するという、視聴者の皆様に向けた情報発信です。
視聴者の皆様にCMと受け取られないよう、今後とも表現方法において工夫し配慮したいと考えております。
(4)について
上述のとおり、本作品は平成仮面ライダー10周年の記念作品であり、10年前子供だったファンの皆様にもお楽しみ頂けるような番組をめざしました。シリーズ後半では、「ブラック」や「RX」、「アマゾン」といった昭和ライダーも登場させ、二十数年前に視聴していたオールドファンの皆様にもお楽しみいただけるラインナップを組みました。
通常、仮面ライダーシリーズは児童とその母親世代が主な視聴者層ですが、本作は幅広い視聴者層へ向けた、仮面ライダーシリーズの中では特殊な作品であり、大人向けの演出も心がけました。
しかし、多くの児童が番組を視聴していることに変わりはありません。テレビシリーズの結末と映画の告知の境目が低年齢層にもはっきりと伝わるよう、例えばナレーションやテロップを用いて明瞭に区別するとか、映画の告知部分を短くするとか、テレビシリーズが完結した後にCMなどをはさんで映画の告知を行うなど、演出方法や番組の組み立て方の工夫で、誤解が生じることを避けるべきであったと考えております。
今回、ご批判を受けたことを重く受け止め、今後の番組制作において十分に配慮していきたいと考えています。

上記回答について審議した結果、委員会としては、番組と告知の区別が判然としない演出手法は誤解を生み、とりわけ子ども向け番組については、子どもの信頼を裏切ることになることを充分に認識し、配慮ある番組制作を行うよう局側に伝えることとした。

視聴者意見について

  • フジテレビ『とんねるずのみなさんのおかげでした』

有名人宅を訪れる”とんねるずを泊めよう”という企画について、「へびに噛み付かせたり、バリカンで髪を切る行為を子どもが容認する」「免許証やキャッシュカードを傷付ける行為は悪ふざけにも程がある」といった意見が寄せられ、番組を視聴の上審議した。

<委員の主な意見>

  • 不快な印象を与える悪ふざけをどうして取り入れるのか。なくても十分面白い番組なのに。
  • 他人が大切にしているものを壊したり、勝手に飲んでしまったりと、大切さを理解し、共有しないことが極めて不快。
  • タレントの上下関係で、立場の弱い後輩芸人とそうでない人への対応が違うが、逆でなければ面白く見ることができない。

上記審議の結果、委員会としては、企画全体としては面白いし、ほのぼのとした場面も見られるが、社会が笑って容認できる節度ある行為にとどめるよう局側に伝えることとした。また、この企画は放送のたびに批判意見が寄せられることから今後も注視することとした。

中学生モニター報告

10月のモニター報告のテーマは、自分がディレクターになったつもりで「こんな番組が見たい」「こんな番組を作りたい」「こんな点は直してほしい」というもので、後期中学生モニター32人全員から、最初の報告が寄せられた。
まず、バラエティー番組については「過激な罰ゲームなどがなく家族みんなが楽しめるようなバラエティー番組を作りたい」、ニュース・情報番組については「ゴールデンタイムに中学生にも分かるニュース情報番組や世界のニュースを知りたい」、そのほか「もっと”ためになる”歴史番組を作りたい」「老若男女が楽しめる時代劇を増やして」などの意見もあった。

【担当委員の所感】

  • 今回のテーマは「こんな番組が見たい」という要望を尋ねたもので、これまでになかった番組の構想や、具体的な構成案を書いてくれた人、既存の番組の良い点や悪い点を指摘した人など、新たにモニターになった32人から多様でユニークな意見がたくさん寄せられ、たいへん興味深く読ませてもらった。
  • 全体的には「お笑いやバラエティー番組に癒しや楽しみを求める声」と「ニュースやドキュメンタリー番組に知識や情報を求める声」に分かれていた。また、娯楽性と情報性の両方を兼ね備えた番組への要望も少なくなかった。
  • ニュース番組の娯楽化やワイドショーとの境界が薄れていることについての批判的な意見も寄せられたが、重要なニュースを中学生たちに分かりやすく伝えてほしいという要望は、テレビ報道の最も重要な使命だと感じた。
  • また、中学生たちの世代に目を向けた視聴者参加型の番組を作ってほしいという要望がいくつか寄せられた。確かに番組を作っているのは大人なので、改めて子どもや高齢者への目配りがテレビの現状に不足しているのではないかと気づかされ、これからも中学生モニターの意見に耳を傾けていくことが重要なことだと感じさせられた。

他の委員からは以下の意見が出された。

  • 「こんな番組が見たい」という具体的なテーマを設定することで、中学生たちの本音や積極的な意見が報告されたことが良かった。
  • かつてのバラエティーにはお腹を抱えて笑う”笑い”があったが、今の番組にはないという意見には感心させられ、中学生たちが良質な笑いを求めていることがよく分かった。
  • 「モニターを始めてニュースに関心を持ったので、朝や夕方のニュース番組で端の方にその単語についての意味や説明などを書いておいてくれると助かると思う」という意見があったが、これはテレビ局ですぐ実現できるのではないかという発言があった。

【全体集計】

具体的な内容としては、ふだんの疲れを癒したり、ストレスが解消されたり、家族全員で”ゲラゲラ大笑いできる”番組、例えば『8時だョ!全員集合』や『巨泉×前武ゲバゲバ90分!』、そして『志村けんのバカ殿様』が合体したような番組を作りたい、再開してほしいという声があった。
また、現在放送されているバラエティー番組の中では、『ネプリーグ』や『ペケポン』には過激な罰ゲームがなく、多少バカにするようなところも許せる範囲のやり取りで楽しめるという声があった一方、『クイズ!ヘキサゴンII』や『はねるのトびら』も好きだが、”バカにする””罰ゲームがひどい””食べ物を粗末にする””だまして感動させる”などを改善してほしいと要望も寄せられた。
次に、情報系の番組では、『ワールドビジネスサテライト』はサラリーマン向け、『週刊こどもニュース』ではちょっと物足りないと感じる中学生のために、平日の午後8時台に「分かりやすい他局とは異なったニュース番組」があれば中学生も見ることができる、『学べる!!ニュースショー!』が終わって残念という声が寄せられた。
そのほか、『ミュージックステーション』などの音楽と、流行の最先端を訪ねるような音楽紀行番組、『世界ふれあい街歩き』のように実際に旅をしている気分に浸れる番組が作りたいという意見もあった。また、歴史ブームを反映して『日本史サスペンス劇場』のような、もっと”ためになる”歴史アニメ番組や、古典文学のドラマ番組を作りたいという声も寄せられた。
新たな企画としては、”探検”(『逃走中』)と”クイズ”(『クイズ!ヘキサゴンII』)の要素を合体させた「視聴者参加型の新番組」という提案が寄せられ、細かい構成案も考えられていた。また、受験勉強の夜食の工夫や、部活後に食べるおいしい料理を紹介する「中学生向けの料理番組」、農業の現場を知ったり都会の現実を知ったりすることのできる”中学生版”『田舎に泊まろう!都会に泊まろう!』などの番組、「中学生が参加できる番組」(『学校へ行こう!』)、アニメでつづる「歴史や理科番組」などの提案が寄せられた。
また、「スポーツ」「食べ物」「文化」のドキュメンタリー、命を大事にするための「大自然ドキュメンタリー」、商品の良いことばかりでなく欠点もあわせて紹介する「商品情報番組」、中学生が興味のある身近な話題の「討論番組」、中には「格闘技の講座・解説番組」をという声も寄せられた。
一方、現状に対する批判としては、今のバラエティー番組にありがちな、汚くて危ない罰ゲームや、粉まみれになったり、骨折しかねない仕掛けをやめて、お年寄りから小さな子どもまでの幅広い世代が安心して笑えるバラエティー番組にしてほしい。また、年に一度の楽しみにしているチャリティー番組『24時間テレビ』だからこそ、無駄な(意味のない)海外取材やタレントだけで盛り上がるゲームなどをやめて、みんなが楽しめる内容にしてほしい、企画に工夫が欲しいという意見が寄せられた。さらに、芸人だけで楽しむクイズ番組や、新シリーズの番組宣伝のためのドラマの再放送をやめてほしいという声も寄せられた。
なお、後期の中学生モニター会議は、2010年1月10日正午から、千代田放送会館の7階会議室で開催予定。

第104回 放送と青少年に関する委員会

第104回 – 2009年9月

視聴者意見について

中学生モニターについて

9月29日に開催した今年度第5回青少年委員会(通算104回)では、7月16日~9月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に、情報系2番組とバラエティー1番組を視聴したほか、子ども向けの1番組について審議した。中学生モニター報告の審議のほか、8月に開催された「中学生モニター会議」及び2009年度後期の中学生モニターの決定等について事務局から報告があった。

議事の詳細

日時
2009年9月29日(火) 午後4時30分~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

1.読売テレビ『情報ライブミヤネ屋』

「薬物の恐怖」を喚起するコーナー内で”あぶり”といわれる吸引方法を放送したことについて、「夏休みの子どもが見ている時に、興味を持たせる放送は問題」といった意見が寄せられ、番組を事前視聴の上審議し、委員からは以下の意見が出された。

<委員の主な意見>

  • できるだけ多様な視点からわかりやすく報道しようとの現場の意気込みについては理解できる。
  • 犯罪の種類によっては、手口を示すことで抑止効果があるケースもあるが、薬物の吸引方法を放送する意味はない。
  • どういう文脈で行われたかが大事。その怖さ、深刻さを示すために必要なシーンであれば問題はないが、唐突であれば興味本位と思われても仕方ない。
  • 事件のキーワードとなった”あぶり”について知らせることも報道の役割。

上記のように審議では意見が分かれた。委員会としては、放送局各社に改めて民放連放送基準67条「犯罪の手口を表現する時は、模倣の気持ちを起こさせないように注意する」及び69条「麻薬や覚せい剤などを使用する場面は控え目にし、魅力的に取り扱ってはならない」の趣旨を踏まえて番組制作にあたるよう、「BPO報告」及びホームページに記載することとした。

2.TBS『アッコにおまかせ!』

薬物事件で逮捕・起訴されたタレントの家族の顔写真が画面処理されずに放送されたことについて「子どもの人権を侵害する」といった意見が寄せられ、番組を事前視聴の上審議し、委員からは以下の意見が出された。

<委員の主な意見>

  • 電波の影響力を考えるとあってはならないことであり、家族に対する重大な人権侵害だ。
  • 番組制作に対するスタッフ全体の緊張感があるのか疑問。制作にあたっては、人権に対して極めて慎重であるべき。
  • 放送素材の作成の段階で二重三重のチェック体制があってしかるべきであり、その体制はどうなっていたのか。

以上の意見を踏まえ、委員会としては放送に至った経緯及び制作体制等について回答を求めることになった。上記番組の「局からの回答」については、次回委員会で審議する。

3.フジテレビ『はねるのトびら』

レギュラー出演者の2人のうちどちらが人気がないかを、選挙開票番組形式で放送したことについて、「公開いじめ」「子どもが真似する」等の批判意見が寄せられ、番組を事前視聴の上審議し、委員からは以下の意見が出された。

<委員の主な意見>

  • 特に青少年に悪い影響を与える内容ではないが、47対0という結末は笑うに笑えない部分があった。
  • 番組はある種のパロディー的な作りで、いじめ助長に結びつく内容ではなかった。
  • 最下位になったタレントがもう少しうまく受けてくれたら、視聴者の意見も違ったものになったのでは。

上記審議の結果、委員会として特に問題にする内容ではないと判断した。

4.テレビ朝日『仮面ライダーディケイド』

このシリーズ最終回の放送で、番組の終わりで新たな戦いが始まるが、「続きは12月公開の映画で」という字幕が流れて終わったことについて、「子どもに対する裏切りである」等の批判意見が寄せられたことについて審議し、委員からは以下の意見が出された。

<委員の主な意見>

  • 放送モラルの問題であり、視聴者の信頼を裏切る手法は、テレビの自殺行為とも言える。
  • 本編だと思って見ている子ども達にとって、それが映画の宣伝であり、劇場に足を運ばなければ見られないと分かった時の落胆は大きい。

以上の意見を踏まえ、委員会としては番組制作手法及び視聴者の意見への見解等について回答を求めることになった。上記番組の「局からの回答」については、次回委員会で審議する。

5.一連の薬物事犯報道について

一連の薬物事犯報道について、BPOに多くの意見が寄せられていること及び「青少年の薬物汚染」については、現代の深刻な社会問題であることに鑑み、次回以降の委員会で引き続き多角的に検討することとした。

中学生モニター報告

9月のモニター報告は、中学生モニターを半年間担当して、現在のテレビにどんな感想を持ったか、こんな注文を出したい、こんなところを変えてほしい・やめてほしい、将来こんな番組を作ってほしいなど、率直な意見を書いてもらった。その結果、2009年度前期の担当者の31人中30人から報告が寄せられた。
今回の特徴は、個別の番組についての意見もあったが、全体的に現在の放送に満足していない様子や、現状を変えてほしいという率直で鋭い意見や感想が多く寄せられ、読み応えのある内容になっていた。

【担当委員の所感】

委員会では、8月・9月の「中学生モニター報告」担当委員が、全体的な感想を述べた。 「9月で中学生モニター前期の半年間(1年間のモニターもいるが)が終わり、毎月、意見を送ってくださってありがとう。最初の頃は何となく散漫な意見が多かったが、次第に書くことやモニターという役割に慣れてきて、いろいろ率直な意見が出てくるようになって、おもしろく読ませていただいた」とねぎらいの言葉を述べたい。
特に、モニターを担当する以前と以後では、テレビの見方が変わった、意見を書くために集中してテレビを見るようになった、面白くないものは面白くない、クイズやバラエティー番組が増えて出演者だけで盛り上がっていてつまらないなど、多くのモニターがテレビを批判的に見る目を持つようになったことが印象的だった。
「私の意見が番組の改編に役立ったかも知れない」と書いてきたモニターがあったが、中学生の率直な声が制作者にしっかりと届いてほしいと考え、青少年委員も子どもたちの声がもっと番組制作に反映される方法はないか真剣に考えていきたい。
他の委員からは以下の意見が出された。

  • ひとりのモニターからの「言葉も音楽みたいなものだから、気持ちよく聴きたいので、乱暴で汚い言葉遣いをやめてほしい」との意見に感動した。中学生たちが真剣にテレビと向き合ってくれたことに感謝したい。
  • 奇をてらったり、自分だけが面白い、数字が取れると考えたりしている番組は、総じて制作者の自己満足にすぎない。中学生が考えていることの方がオーソドックスでまともなことなのだから、その感覚を失わないで欲しい。
  • 中学生モニターの声をもっと制作現場に反映させられるような工夫を、今後もいっそう続けていかなければならない。

【全体集計】

テレビの現状について数多く寄せられた意見は、クイズ番組やバラエティー番組が多すぎること、出演している芸能人たちだけで盛り上がって視聴者の気持ちを考えていないこと、言葉遣いが悪かったり下ネタが多すぎたり、うるさいことなどへの批判の声である。
更に、子どもたちに人気のあった『学校へ行こう!』などの視聴者参加型の番組が減ってしまったことに対する不満、人気グループの嵐が出演している番組について「改編されてから主旨が分からなくなった」という声、また「2世タレントにこびている」「食べ物を粗末にしないでほしい」「食事時などの時間帯を考えた内容や発言をしてほしい」という意見もあった。
ドラマ番組では「内容に現実感がない」「アニメなどの焼き直しが多くてつまらない」 という声や、「学校でテレビよりゲームの方が話題になることが多い」という意見もあった。また、15分間、枠を拡大した『ブザー・ビート』や『オルトロスの犬』の最終回に対しては、「CM明けの繰り返しが多い」「時間内に編集する努力をしてほしい」という注文も寄せられた。
報道番組については、放送倫理違反が指摘された『真相報道バンキシャ!』など安易な報道番組制作への批判、芸能人の薬物スキャンダル報道に見られた「情報番組という名ののぞき見主義への批判」や、通販番組が多すぎるので「放送を休止したら」という厳しい声も寄せられた。
次に、将来作ってほしい番組の要望では、『学校へ行こう!』のような中学生や高校生が主役の番組、『サプライズ』『ナニコレ珍百景』『鶴瓶の家族に乾杯』など各地の視聴者が参加できる番組、『世界一受けたい授業』や『飛び出せ!科学くん』などの勉強に役立つ番組などをもっと増やしてほしいという意見や、小・中学生向けのまじめな番組や家族で楽しめる番組、さらにスポーツ番組や人気漫画の映像化作品なども作ってほしいという要望が寄せられた。 また、6月のモニター報告で『週刊!健康カレンダー カラダのキモチ』が改編されてつまらなくなったと書いたが、そのモニター報告がテレビ局に通じたかどうか、再改編されてからは面白さを取り戻したという意見のほか、『パフォー!』や『今夜も生でさだまさし』などの番組をもっと早い時間に放送してほしいという声もあった。
ラジオ番組についても2人から意見が寄せられ、『安住紳一郎の日曜天国』などパーソナリティーとリスナーの関係が身近で、「聴いていて飽きない」「生きる糧になる」「テレビより参加しやすい」という率直な感想が寄せられた。
全体に共通している意見は、中学生が楽しいと思える番組が少ないので、ぜひ中学生や家族で楽しめる番組を企画制作してほしい、まじめな番組を増やしてほしいという強い要望である。そんな中で、NHKニュースが感情的でなく、偏ったコメントがないことなどを理由に、クラスの友人たちも見るようになっているという報告も寄せられた。
そして、中学生モニターを体験した感想として、「真剣にテレビと向き合った」「友人や家族と話し合うようになった」など、貴重な体験ができたという声が多く寄せられ、「中学生モニター」を経験したことがメディア・リテラシーを身につけるきっかけになったという声が印象的だった。
なお、2009年度後期(2009年10月~2010年3月)の中学生モニターの募集にあたり、全国から127人の応募があり、32人(男子15人、女子17人)の新しい中学生モニターが決定した。学年別では、1年生8人、2年生13人、3年生11人である。

休会

休会 – 2009年8月

中学生モニター会議の概要

中学生モニターについて

例年と同様、8月の青少年委員会は休会したが、8月21日「中学生モニター会議」を開催した。なお、8月に委員会に寄せられた視聴者意見と中学生モニターからの意見は9月委員会で審議する。
「中学生モニター会議」および8月分中学生モニター報告の概要は下記のとおり。

中学生モニター会議の概要
中学生モニターについて

中学生モニター会議の概要

8月21日正午から、東京・紀尾井町の千代田放送会館で2009年度前期の「中学生モニター会議」が開催された。参加したのは、北海道から九州までの中学生モニター16人とその保護者11人、青少年委員6人。会議は汐見稔幸委員長の司会で、前半は日本PTA全国協議会の調査「中2の保護者が見せたくないと思っている番組」(2009年3月)について保護者も参加し、率直な感想や意見交換がなされた。後半は、中学生モニターのみでニュース・情報系番組やドラマを含め、これからのテレビに求めることについて話し合った。なお、当日の記録は概要を冊子にまとめ、後日、会員各社に配付する予定である。

中学生モニターについて

8月のモニター報告は、夏休み中に放送された番組の中から1本を選んで、できるだけ親子や兄弟もしくは友人と見てどんな感想を持ったか話し合い、中学生の意見と家族や友人の意見を交えて報告してくださいというもので、お互いの意見が異なった場合には、その内容や理由も書くように依頼した。
その結果、26人から27番組についての報告が寄せられた(複数報告あり)。ジャンル別では、バラエティー番組14件、ドラマ5件、スポーツ番組3件、情報系番組2件、音楽番組、映画、その他が1件だった。
今回の特徴のひとつは、夏休み中ということもあり、ふだん見ることのない時間帯の番組について意見が寄せられたことである。中でもワイドショー系の情報番組では、有名タレントの覚せい剤事件に始まり、米国の元大統領の北朝鮮訪問と記者の釈放、裁判員制度が始まったことや有名女優の死など、めまぐるしく話題を追いかけ、作り手も見る方も、神経がすり減るような日々を過ごしている一面をかいま見ることができたという意見が寄せられた。また、総選挙を間近に控え、『ビートたけしのTVタックル』が家族の一番の話題という報告もあった。
次に、複数の報告が寄せられた番組は『世界一受けたい授業』とドラマ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』である。前者は、2008年度の日本PTA全国協議会の調査で「保護者が見せたい番組」の1位にランクされている番組で、親子や姉妹で見て「専門家の先生の解説が分かりやすくよく理解できた」、「放送時間帯もちょうど見やすい時間」など好評な報告が寄せられた。一方、後者のドラマについては同じ原作によるアニメーション番組を見ていたこともあり、意見が分かれた。
深夜番組についての意見も寄せられた。『もしものシミュレーションバラエティー お試しかっ!』では、食べ物を粗末にしている・いないで兄弟で意見が分かれたり、北海道テレビの『水曜どうでしょうClassic』を、家族全員で楽しんだりしている声が寄せられた。
また、世界的なスポーツイベントの中継番組についても意見が寄せられ、『世界陸上ベルリン』では、男子短距離の2種目で世界新記録を樹立したウサイン・ボルト選手の話題で盛り上がった様子や、『女子バレーボール ワールドグランプリ2009』では、家族一緒で楽しんだが、生放送でなかったため編集の仕方についての注文が寄せられた。
今回意見が寄せられた番組は、以下の通りである。

【バラエティー番組】

『しゃべくり007』『クイズ!ヘキサゴンⅡ』『リンカーン』『もしものシミュレーションバラエティー お試しかっ!』『ビートたけしのTVタックル』『水曜どうでしょうClassic』『めちゃ2イケてるッ!』『はねるのトびら』『奇跡体験!アンビリバボー』『アッコにおまかせ!』『世界一受けたい授業』(2人)『大人のソナタ』『ひみつの嵐ちゃん』『がっちりマンデー!!』

【ドラマ】

『ブザー・ビート~崖っぷちのヒーロー』『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(2人)『赤鼻のセンセイ』『オルトロスの犬』『ほんとにあった怖い話』

【スポーツ】

『女子バレーボール ワールドグランプリ2009』『世界陸上ベルリン』『ジャンクSPORTS』

【情報系番組】

『おもいッきりDON!』『情報ライブ ミヤネ屋』

【音楽】

『ミュージックステーション』

【映画】

『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』

【その他 】

『FNS26時間テレビ2009』

9月のモニター報告のテーマは、中学生モニターを半年間担当しての感想や放送への注文など。これが今年度前期モニターの最後の報告になる。

第103回 放送と青少年に関する委員会

第103回 – 2009年7月

フジテレビ『めちゃ2イケてるッ!』制作担当者との意見交換

サンテレビ『今夜もハッスル』の回答について …など

7月28日に開催した今年度第4回青少年委員会(通算103回)では、フジテレビ『めちゃ2イケてるッ!』担当プロデューサーと当該番組について意見交換を行ったほか、サンテレビ『今夜もハッスル』の回答について審議した。また、6月16日から7月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見及び7月度の中学生モニター報告について、担当委員からの報告及び審議が行われた。事務局からは、8月21日開催の「中学生モニター会議」及び10月9日開催の「調査発表およびシンポジウム」の概要が報告された。

議事の詳細

日時
2009年7月28日(火) 午後4時30分~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員
議事の概要

フジテレビ『めちゃ2イケてるッ!』制作担当者との意見交換

前回委員会の結論を受け、当該番組プロデューサーが出席し、率直な意見交換が行われた。委員からの質問に対し、局側からは概要以下の発言があった。

【制作意図】

制作スタッフ・出演者を含め自分たちが面白いと思っていることを信じて、あえて固定のコーナーを持たずに、毎回違うものを目指し、楽しく笑ってもらえることがベストであると考えている。

【批判意見があった番組について】

当初の目指した方向と放送された番組内容が、企画力不足・演出力不足で乖離してしまったというのが率直なところで、視聴者に不快感を持たれたことについて反省している。

【青少年への配慮】

10代以下の子どもたちもたくさん見ている番組であり、その影響力も大きく、今後とも危険と見られる行為等も含め、番組内容については十分に配慮をしていく。

番組内容については4月および5月の議事概要を参照。

サンテレビ『今夜もハッスル』の回答について

サンテレビ『今夜もハッスル』に対し、前回の審議を踏まえて委員会が行った質問に対して、次の回答があった。番組内容及び回答のお願いについては前回の議事概要を参照。

【サンテレビからの回答】

貴委員会から6月25日付で「今夜もハッスル」に関する回答要請の文書をいただきましたが、すでに口頭でお伝えしましたとおり、6月24日の時点で小社の自主判断により6月27日の放送を最後に同番組を終了することを決定しておりました。
6月10日の貴委員会からのご指摘を契機に、小社内で当該番組を総合的に検証・再検討した結果、内容の一部に民間放送連盟放送基準からみて好ましくない表現や、青少年に対する配慮に欠ける演出があり、当該番組を打ち切るという結論に達しました。
当該番組の放送枠は、1983年より深夜の大人向けお色気バラエティー路線として継続してきました。その時々の社会環境・世相に応じて内容・構成・出演者を見直しながら現在に至りました。また、当初より広告代理店が企画・内容等を主導、外部プロダクションが制作を請け負う形でした。「今夜もハッスル」は昨年4月にスタートした番組ですが、同じ構図で制作されておりました。
外部制作番組とはいえ、社内のチェック体制が甘かったこと、また、番組に関わるスタッフの放送基準に対する意識不足が、結果的に番組の表現・演出をエスカレートさせ、視聴者の苦情・批判を受けることとなってしまいました。
小社といたしましては、今回の反省を踏まえ、今後とも貴委員会や視聴者からご意見をいただきつつ、放送倫理と番組放送規準を尊重し、より良い番組作りに努めていく所存です。
なお、今回の「今夜もハッスル」の打ち切りに関わる事由及び経緯につきましては、7月14日開催の小社番組審議会で各委員に説明いたしました。

上記の回答を受け意見交換を行ったが、委員会としては、番組終了をサンテレビが自主・自律的に判断したことを尊重し、審議を終了することにした。

視聴者意見について

ドラマ番組に、「殺人シーンが残虐すぎる」などの意見が5件以上寄せられたが、局内での検討に基づき対処がなされ、その後の放送回には視聴者意見がなかったことに鑑み、委員会では取り上げないこととした。

中学生モニター報告

今月は、8月の「中学生モニター会議」の題材にすることを踏まえて、日本PTA全国協議会(日本PTA)が毎年行っている「子どもとメディアに関する調査」(平成21年3月調査)のうち、中学2年生の保護者が「子どもに見せたくないと思っている番組」の上位10位の番組について感想を書いてもらった。そのうち現在放送されている番組は8本で、見せたくない1位が『ロンドンハーツ』、2位は『めちゃ2イケてるッ!』、3位『クレヨンしんちゃん』、4位『クイズ!ヘキサゴンII』、5位『はねるのトびら』、6位『ガキの使いやあらへんで!!』、7位『リンカーン』・同『エンタの神様』。
7月28日までに30人から報告が寄せられ、「保護者が見せたくない」ことに同調できるという意見が51件、「中学生が見ても構わない」という意見が44件で、2つの意見がほぼ均衡していた(複数回答による)。

【担当委員の所感】

委員会では、7月の「中学生モニター報告」担当委員が、全体的な感想を述べた。

  • 今回は「保護者が見せたくないと思っている番組」について感想を書いてもらった結果、「保護者に同感」という意見が多い番組もあれば、「私はおもしろい」が多数を占める番組もあり、中学生と保護者の考え方の差がよくあらわれていて、興味深い意見が数多く寄せられた。
  • 「保護者が見せたくないと思っている理由」についても、中学生が保護者の考えを冷静に想像・類推した上で、自分なりのスタンスで明確に番組を選んで見ている様子もうかがえた。
  • また、日本PTAのホームページを検索して、調査サンプル数が少ないことを指摘し、保護者はもっと積極的に子どもとテレビの関係について考えるべきという意見には感心させられた。

他の委員からは以下の意見が出された。

  • 親子で考え方や感じ方にずいぶんと差のあることがよく分かった。保護者は”ためになる”番組を見せたがるが、”私たちには気晴らしも必要”との意見には共感。
  • 保護者が考えている以上に番組の良し悪しを見抜いており、”下品”なものや”不愉快”なものは、排除していることがよく分かった。
  • “本音”に迫るためには、毎回異なるテーマで感想を書いてもらうのではなく、長期にわたってテーマを絞って意見を聞く必要があるのではないか?

【全体集計】

見せたくない番組の1位『ロンドンハーツ』については、保護者の意見に同感という声が最も多く、10件寄せられた。「司会者の言葉遣いが悪く出演者をバカにしている」、「隠しカメラで芸人を笑いものにしている」、「”下ネタ”を小学生には見せたくないという保護者の気持ちが分かる」などの声が大半。一方、「興味深い企画のときは楽しめる」、「そんなに悪い内容ばかりではない」という意見も4件あった。
次いで保護者の意見に同調できるという回答が多かった番組は『クレヨンしんちゃん』と『エンタの神様』で、7件ずつだった。『クレヨンしんちゃん』についての主な理由は「テーマソングの映像が下品で、幼い子どもに見せたくないという保護者の意見に賛成」というもの。一方、保護者の意見に賛同できないという声も8件あり、「小さいときからのファンで、子どもがアニメーションを見たがるのは当たり前」、「”お尻”を出したりするのは良くないが、中2が真似をするわけがないから僕らを信頼して」という意見が寄せられた。『エンタの神様』については「”下ネタ”が多すぎるし、コントもマンネリ気味」、「”エッチ”な話には笑えないので、もっといい芸を見せて」という意見が寄せられ、見せてもいいという意見は2件だった。
それに対し、保護者の意見には同調せず、「見せてもいい」という回答が多く寄せられた番組が『クイズ!ヘキサゴンII』と『はねるのトびら』である。最も多く意見が寄せられたのは『クイズ!ヘキサゴンII』で、「ためになるクイズもあって楽しめる。なぜ見せてはいけないのか分からない」、「見せたい番組ランキングの8位にも入っている。なぜ、見せたくない番組と両方に選ばれているのか疑問」など、番組を支持する意見が11件あった。それに対し否定的な意見は「純粋なクイズ番組ではなくなって、”おバカ”タレントの番組になってしまった」、「”おバカ”な解答を保護者は見せたくないのでは…」など4件だった。『はねるのトびら』については、「”100円ショップ”や”おしゃれ魔女”のコーナーは楽しいトークや笑いがあって見ている」、「疲れたときや嫌なことの後ちょっと元気になれる」という意見が8件。批判的な意見には「食べものを粗末に扱う”回転すし”のコーナーはよくない」、「中学生にはくだらない内容が多い」など4件だった。
保護者が見せたくない番組2位の『めちゃ2イケてるッ!』については意見が8件寄せられ、賛否が4件ずつだった。「下品な発言や過激な行動など、保護者が見せたくない理由は分かる」という一方、「企画が面白く親と一緒に見ている。なぜ見てはいけないのか?勉強にならないからか」という声もあった。
『リンカーン』には9件、『ガキの使いやあらへんで!!』には8件の意見が寄せられ、「保護者が見せたくない理由は理解できる」というものが多かった。『リンカーン』では「下ネタやいじめが多い」、「内輪話で盛り上がっていて不愉快」など、『ガキの使いやあらへんで!!』では「言葉遣いが悪い」が主な意見だった。
総体的な意見としては、「子どもたちに人気のある(支持されている)番組なのだから自由に見させてはどうか」、「ストレスの発散にも役立っている」、「そんなに悪い番組とは思わない。中2にもなれば自分で選択して視聴できる」、「バカな真似はしないから僕らを信頼してほしい」という声がある一方、「下品な発言や過激な行動が嫌いだ」、「保護者が見せたくない気持ちは理解できる」という意見も多かった。最後に、今回の日本PTAの番組ランキングについて、「サンプル数が実際には少ないし、データの分析にも疑問。保護者が見せたくなければ”見せないこと”が大切で、”見せたい番組”は子どもと一緒に見ればいい」という声も参考になる意見だった。

8月のモニター報告は、夏休み中に放送された番組の中から1本を選んで、できるだけ親子や兄弟もしくは友人と見てどんな感想を持ったかを話し合い、本人の意見と家族や友人の意見を交えて報告してもらうことになった。8月の青少年委員会は休会のため、9月の委員会で、8・9月のモニター意見及びモニター制度自体についてあわせて審議する。
また、8月21日に開催する「中学生モニター会議」の参加者は17人を予定しており、7月のテーマである日本PTAの調査を基に、「保護者が子どもに見せたくない番組」を中心に委員と中学生たちが意見交換を行う。

調査研究について

事務局から10月9日開催の「デジタルネイテイブはテレビをどう見ているか?」(仮)調査発表及びシンポジウムについて、データの概要及びパネリストの候補者などが報告された。

第102回 放送と青少年に関する委員会

第102回 – 2009年6月

在京各社連絡責任者との意見交換

フジテレビ『めちゃ2イケてるッ!』について …など

6月23日に開催した今年度第3回青少年委員会(通算102回)では、在京各社の連絡責任者と意見交換を行ったほか、5月16日~6月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に、1番組を視聴のうえ審議した。また、中学生モニター報告についても審議したほか、調査研究について報告があった。

議事の詳細

日時
2009年6月23日(火) 午後4時~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

在京各社連絡責任者との意見交換

青少年委員会では、4月の4名の委員交代を受け、委員会と各放送局との相互理解のための意見交換の場の設定について議論を重ねてきた。今委員会では、在京民放キー局5社とNHKの連絡責任者が出席し、BPOに対する局側の要望や今後の意見交換の枠組みなどについて議論し、今後とも幅広い意見交換の場を持つことで一致した。

フジテレビ『めちゃ2イケてるッ!』について

前回委員会の意向を踏まえ再度審議し、制作意図などについて、番組制作担当者との直接の意見交換の場を持つことで一致し、次回委員会に担当者の出席をお願いすることとした。
番組内容については前回および前々回の議事概要を参照。

視聴者意見について

サンテレビ 『今夜もハッスル』

サンテレビが制作し、独立UHF5局で放送されている深夜番組に対し、視聴者から複数の批判意見が寄せられた。

<BPOに寄せられた視聴者意見の概要>

  • 全編を通し、過激な内容満載の番組である。中学生や高校生も夜更かしをする週末の夜に、このようなポルノ同然の番組を放送する放送局の常識を疑う。
  • 非常にわいせつなアニメーション画像や音声が流されている。ゲーム感覚で女性をいたずらする映像は、「性に対する健全な感覚」を歪める。青少年を悪い妄想に陥らせないようにして欲しい。

<委員の主な意見>

  • 番組全体を通じて根底に流れる倫理観の欠如の問題だ。チャンネルを合わせれば受動的に見られる状況にある地上波での放送であり、深夜なら何をやっても良いというのは、放送全体に児童・青少年への配慮を求めた放送基準を理解していない。
  • それぞれの業界が自ら定めているルールに基づいた18禁ゲームやアダルトビデオの映像をそのままテレビで流すことは、そのルールを無視することであり、明らかに許されるべきではない。
  • 青少年への影響というレベルを超えて、放送全体の品位を下げている。このような番組が公権力の介入の糸口になり、表現の自由が侵害されるきっかけにもなりかねない。

委員会としてはサンテレビに対し、視聴者意見および各委員の意見を記載したうえで次に掲げる事項について回答を求め、その回答を受けて次回委員会で再度審議することとした。

【青少年委員会からの「回答のお願い」】

  • 直近の貴局番組審議会に、視聴者意見及びBPO青少年委員会各委員の意見を報告していただくことをお願いします。また、番組審議会での審議結果を当委員会にお知らせください。
  • 当該番組の今後の方向や方針などで決まっていることがありましたらお知らせください。
    * なお、当該番組を6月27日の放送をもって終了するとの連絡がサンテレビからあった。

中学生モニター報告

6月は、1週間のうちに見た主な番組5本のタイトルと、その中で面白かったものとつまらなかったもの1本ずつについて意見を書いてもらった。
意見を局別に多い順に見ると、フジテレビ系が面白い7件・つまらない14件、日本テレビ系が11件と5件、TBS系が4件と6件、テレビ朝日系が5件と2件、テレビ東京系が3件と1件、そして関西テレビ(ローカル)が面白い1件、NHKがつまらない1件と続いた。つまらない番組がないというモニターも2人いた。
ジャンル別では、バラエティー番組が面白い10件・つまらない15件と最も多く、ドラマが11件と6件、報道・情報系番組が8件と5件、などだった。

【担当委員の所感】

委員会では、6月の中学生モニター報告の担当委員が報告の全体的な感想を述べた。

  • 中学生なりによくテレビを見ていてメディアリテラシーの能力が高い。
  • けっして下品な話題や安易な話題を求めていない点は、制作現場の人に伝えたい。
  • 特にドラマについての見方がしっかりしていて、安易なドラマのパターン化を見抜いている。
  • 今回は面白い番組・つまらない番組について漠然と聞いたが、モニターの面白いという言葉の受け取り方に興味をもった。別の機会に面白さの中身を深く聞きたい。

他の委員からは以下の意見が出された。

  • 中学生は今のような時代状況の中で心に残るものや心底笑えるものを求めている。
  • 中学生もモニター報告を書くだけの一方通行だとむなしいのだと思う。今月は質問項目が絞られたせいか内容が濃かった。今後こちらのスタンスを明確にし、かつ視点が狭くなりすぎないよう、質問を考える必要がある。

【面白かった番組】

中学生モニターが選んだ面白かった番組で、一番多かったのは『アタシんちの男子』の3件で、「毎回繰り出される困難をみんなで乗り越えるのが面白い。先が見えないのでこれからの展開も楽しみ」、「俳優も役のイメージに合っている」などという意見だった。
2件意見があったのは6番組で、ドラマでは『ザ・クイズショウ』に「クイズ番組とドラマを一緒にしたような構成がいい。最後が予想外の展開になったのも面白い」という意見があったが、「展開が早すぎて分かりにくい。全体的にオーバーアクション。おすすめはエンディングの嵐の歌だけ」という反対意見も1件あった。『アイシテル』は「いろいろなことを考えさせるドラマ。親殺し、子殺しが起きている世の中に、親のこと、子どものことを一番に考えるこのドラマはすばらしい」、『BOSS』も「BOSSを演じる天海さんが本当にかっこいい。内容も毎回新鮮で本当におもしろい」などという意見だった。
バラエティーでは『中井正広のブラックバラエティー』に「いつもしまりのない、自由でグダグダな感じがいい」。
報道・情報系番組では『Touch!eco いま、私達にできること。』に「司会者の”まず自分でできることから取り組みましょう”という言葉が印象的」、「宇宙から見た地球の話が一番印象に残った」という意見が、『ルビコンの決断』にも「世界のラーメン王。企業を一代で築いた人が苦労したり悩んだりする様子に感動した。特許を業界に開放したのはすごい」、「再現ドラマも親しみやすかった」などの意見があった。

【つまらなかった番組】

つまらなかった番組では、『爆笑レッドカーペット』が一番多く3件で「このごろ毎回同じ人が出てきてネタ切れになっている。変なことを言ったり踊ったりするだけでは芸人とは言えない」、「ごはんを食べている時にふさわしくないシモネタに疑問」などの意見だった。
2件意見があったのはバラエティーで、『ザ・ベストハウス123』には「おもしろいものと、つまらないものとの差が激しい」など、『ネプリーグ』には「普段と違い接戦でも大差がつくわけでもなく、見せ場がなかった」などの意見があった。

【全体集計】

この週に見た主な番組名も1人5本ずつ書いてもらったが、集計すると『ザ・クイズショウ』が9件で1位、2位は7件で『MR.BRAIN』だった。『MR.BRAIN』は感想が書きづらかったのか、面白かった・つまらなかった番組としての意見は1件もなかった。3位は『ミュージックステーション』『ひみつの嵐ちゃん』『スマイル』の3番組で5件ずつ。6位は4件で4番組が並び、『アタシんちの男子』『アイシテル』『BOSS』の他に『天地人』が入った。10位は3件で7番組が並び、『ネプリーグ』『爆笑レッドカーペット』の他に『つばさ』『ザ!世界仰天ニュース』『サプライズ』『ザ・イロモネアSP』『ターミネーター3』となっている。
そして2件の17位には16番組が並んだが、ここで『Touch! eco いま、私達にできること。』『ルビコンの決断』の他、『ズームイン!!SUPER』『スーパーニュース』『報道ステーション』という情報・報道系番組が多く登場する。中学生が情報・報道系の番組も、ドラマやバラエティー程ではないが、よく見ていることが分かる。

7月のモニター報告は、日本PTA全国協議会が毎年行っている「子どもとメディアに関する意識調査」のうち、中学2年生の保護者が子どもに見せたくないと思っている番組について、感想を聞くこととなった。
また、半年の任期中に1回行っている「中学生モニター会議」を8月21日に開催することに決めた。

調査研究について

事務局から「デジタルネイティブはテレビをどう見ているか?」(仮)調査研究の進捗状況について、「9月中の報告書完成に向けて作業を進めている。完成を受けてのシンポジウムを10月9日の午後に開催することで決定した」との報告があった。

第101回 放送と青少年に関する委員会

第101回 – 2009年5月

フジテレビ『めちゃ2イケてるッ!』4月11日放送分の局からの「回答」および5月16日放送分について

視聴者意見について

5月26日に開催した今年度第2回青少年委員会(通算101回)では、1社1番組からの「回答」について審議したほか、4月19日~5月16日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に、バラエティー2本、報道番組1本のビデオを視聴のうえ審議した。

議事の詳細

日時
2009年5月26日(火) 午後4時30分~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

フジテレビ『めちゃ2イケてるッ!』4月11日放送分の局からの「回答」および5月16日放送分について

4月11日放送分の審議内容については前回の議事概要を参照。
同番組の5月16日放送分で、女性タレントが他の女性タレントに対し「いじめ」的な行為を連続して行ったことに対し、「特定の一人に対していやがらせをしつこく繰り返し、周囲の人間も笑っている。陰湿ないじめによく似ている」「いじめをエスカレートさせる恐れがある」といった視聴者意見が複数寄せられ、あわせて審議した。

【青少年委員会からの「回答のお願い」】

(1)番組のコンセプト及び次々といじめ的な行為を仕掛ける意図は何ですか、(2)「とりわけ児童・生徒の視聴に十分配慮する」時間帯に放送されていますが、視聴者、特に子ども達が真似するのではとの危惧はなかったのですか、(3)『めちゃ2イケてるッ!』については、今年2月24日の青少年委員会でも、頭からビニール袋を被せたりするコーナーについて議題になり、「英国ではスーパーマーケットの袋に穴をあけるほど(窒息の)危険性を考えている」「制作者達が長時間かけ、真剣に議論した結果なのかと疑問を感じる」などの意見を第98回の議事概要に掲載しています。これらの意見は、制作現場に反映されていますか。反映されているとすれば、具体的にどのような議論があり、放送に至りましたか、(4)青少年委員会では、2000年11月に『バラエティー系番組に対する見解』を、さらに2007年10月に『「出演者の心身に加えられる暴力」に関する見解』を公表していますが、これらの見解は制作現場にどのように浸透していますか。また、制作者はどう受け止めていますか。

【フジテレビからの「回答」】

(1)について
番組のコンセプトは、SMAPの中居正広さんとナインティナインの3人が日本一周の旅をする中、各所でハプニングが起き、それを中居さんが明るく乗り越えていくというコントです。不景気の中、視聴者の方々に明るく元気をもたらしたいというロケ企画でした。ご指摘のシーンはその企画の一環で、中居さんの鼻の下に描かれたヒゲをビニール袋を破くと初めて見えてくるという演出意図で、いじめ的な行為を表現したものではございません。

(2)について
上記の演出意図のもと企画されたもので、ヒゲを隠す道具としてビニール袋を使用することに専心してしまいました。特にいじめを目的としたことではございませんが、ご指摘を受けた点は真摯に受け止め、今後の番組作りに生かしていきたいと考えております。

(3)について
ご指摘頂いた点につきましては認識をしており、リハーサルを行い、安全性を担保して収録を行いました。今回のご指摘に関しましては視聴者、とりわけ子供たちに与える影響を鑑み、十分に検証し、今後更なる配慮をもって番組制作を行っていきたいと考えております。

(4)について
各々ご指摘頂きました見解に関しましては十分に認識しており、日常の会議、収録に際しましても折りにつけ指導、意識を徹底するべく注意を喚起し、番組スタッフに遵守させるような形でのぞんでおります。今回の放送に際しましても議論をし、安全性を確保して収録を行いましたが、ご指摘頂きました点につきましては重く受け止め、今後、ビニールを頭に被せるという演出は番組として回避するよう、改めてスタッフ全員に周知徹底をはかり、番組制作に反映させて頂く考えです。

【「回答」に対する委員の主な意見

  • プロデューサー名で来た回答であるのに想像以上に事務的・表面的で、現場では真剣に議論されていないのではないか。
  • このような「回答」は初めてで、会話になっていない。苦情を寄せた視聴者がこの回答で納得するわけはない。
  • 番組が大きくなっていくと、現場自身も自己コントロールができなくなっている状況があるのではないか。
  • ビニール袋をかぶせるというような手法は今後やらないという回答ではある。

【5月16日放送分についての委員の主な意見】

  • 今回の放送のほうがはるかに不快。出演者ファミリーが単に悪ふざけを楽しんでいるだけで、こういう放送を続けることが、新たな規制を呼び込んでしまう危険性があることを認識してほしい。
  • いじめの積み重ねで、不愉快極まりない。いじめる方といじめられる方、そしてその周囲が笑っているというまさにいじめの構図。
  • この放送がいじめを助長することにはならない。子供達もいじめがこんなに不快なものであるということを感じとるはず。

以上の審議の結果、青少年委員会としては、この番組について視聴者からの懸念、批判の意見が多く、人気番組でありその影響も大きいことなどから、回答の件を含め、直接、制作担当者との意見交換をしたいという方向になった。この件については、再度協議をしたうえで最終的に判断することとした。

視聴者意見について

1.日本テレビ『ザ!世界仰天ニュース』

血液型に関する事例の再現VTRを核に、スタジオ出演者が会場アンケートなどを交えトークを展開する企画に対し、「BPOの『血液型を扱う番組に対する要望』に抵触しているのではないか」「科学的根拠がなく、差別・偏見を助長させる」といった意見が寄せられ、VTRを視聴のうえ審議し、委員から以下の意見が出された。

<委員の主な意見>

  • 一般的にいわれる血液型と性格との関連を否定する発言もあり、差別や偏見を助長するとまではいえないのではないか。
  • BPOの「要望」には従っていないとの印象を受けた。
  • 血液型は話題としてある程度共有されており、この番組も必ずしも断定的でない。

以上の審議の結果、青少年委員会としては、今回放送分は血液型による差別を助長するような内容にはなっていないと判断した。そのうえで、各局に対し、血液型を扱う番組の制作にあたっては、今後とも血液型によって人間の性格が規定されるという見方を助長することのないよう注意することを求めるという意見で一致した。

2.TBSテレビ『総力報道!THE NEWS』

18歳未満が購入することができないアダルト系ゲームの規制問題を取り上げた際、その内容説明やパッケージの映像表現について、「直接的で子どもが見ている時間にふさわしくない」「子どもへの悪影響が心配だ」といった意見が寄せられ、VTRを視聴のうえ審議し、委員から以下の意見が出された。

<委員の主な意見>

  • 報道のあり方として、このような問題を取り上げること自体は問題ない。
  • 放送する時間帯を深夜などにすべきだったとの意見については、ある程度は理解できる。
  • 報道として伝えるべきことは伝えるべきであり、子どもに悪影響があると思うなら親子で話し合うべきだ。時間帯をずらせばよいという話ではない。

以上の審議の結果、青少年委員会としては、番組で取り上げたこと自体については社会に伝えるべき正当な事柄であり、問題と感じるのであれば親子で対話するなどして解決すべきだ、という意見で一致した。

中学生モニター報告

5月は、バラエティー番組について普段から感じていることを率直に書いてもらったが、31人全員から33件(1人で複数件の報告あり)の意見が寄せられた。
局別では、日本テレビ系が14件(うち読売テレビが1件)、フジテレビ系が8件、TBS系とテレビ朝日系が4件ずつ、テレビ東京系と関西テレビ(ローカル)が1件ずつだった。そしてあまり見ないという意見が1件あった。

  • まずバラエティー番組を肯定的に見ているか否定的に見ているかに大きく分けると、肯定的な意見が3分の2だった。ただしそのうち手放しに絶賛する意見は6件だけで、肯定しながらも番組への批判意見を持つモニターが多くいたのが目立った。
  • 一番多く3件の意見があった番組は『サプライズ』で「火曜日が好き。ブカツの天使というコーナーがよい」、「国民にアンケートをとるような形で進められるのがとても面白い。ただ選択肢に”その他”というものも入れてほしい」などだった。
  • 2件の意見があったのは4番組で、『エンタの神様』は「ネタをじっくり見られ、芸人が切磋琢磨しており、ネタのジャンルも幅広くて良い」という意見と、「マンネリ化でつまらなくなった。単につまらないだけならまだマシだが、シモネタに走って笑いを取る芸人がいるのはよくない」という意見で、賛否に分かれた。『クイズヘキサゴン?』も、「工夫をこらしたクイズの出し方は評価できるが、毎週同じようなことをすることに対しては反対」という意見と「ワンパターンにならずずっと楽しんで見ることができる」という意見があり、2人の見方が異なっている。『行列ができる法律相談所』は2人とも「法律のことをもっとたくさん放送してほしい」という意見だったが、1人は「法律外のトークからカンボジアに学校を作ろうプロジェクトができた」という事実も認めている。『ひみつのアラシちゃん』は「はじめの頃は、メンバーが社会のなぞを紹介していくもので、とてもためになって面白いなと思っていました。今は世界各地のすごい映像をただ流しているだけで、どこが”ひみつ”なのか分からないです」という批判があり、もっと嵐のメンバーを生かしてほしいということが2人の共通した要望だった。
  • 他に21番組に1件ずつ意見があったが、まず6件の絶賛意見を紹介する。『太田光の私が総理大臣になったら・・・』は「今世の中で起こっていることがとても分かりやすい」、『東京フレンドパーク』は「いろいろな分野で活躍している芸能人がかわるがわる出ていて、内容もとても面白い」、『志村どうぶつ園』は「出てくる動物もかわいいが、出演者もとてもいいメンバーがそろっていて、夕食の時一番見やすい」、『たけしのニッポンのミカタ』は「物理や化学に親しみがわき、研究者になりたいと思った」、『アメトーーク』は「普段ほかの番組では見られない部分が良く見え面白い」、『たかじん胸いっぱい』は「キー局のようなどこかかた~い番組でなく、何となく見られ本当に笑える」、などという内容だった。
  • その他好評意見としては、『スクール革命』に「罰ゲームは気になるが、JUMPの3人が似た年代で気持ちが通ずる」、『ナニコレ珍百景SP』に「気分転換にもってこいの番組。平和な日本に住んでいるのが感じられる」、『ペケ×ポン』に「つくり笑いが少なくしらけずに見ることができる」、『サタスペ!1万人に徹底調査!女子が好きなアニメvs男子が好きなアニメ』には「アンケートをとり、名場面を抽出しており偏りがなく良かった」、などがあった。
  • 批判意見の主なものを紹介する。『しゃべくり007』に「ピー音が多すぎ、スタジオは盛り上がっても、見ている方はしらけることがよくある」、『ネプリーグ』に「ネタがつきてしまっている感じ。レギュラーが司会ではなく解答者になっているためパターン化している」、『爆笑レッドカーペット』に「ゲストは面白くないことが多く、エロネタはゴールデン放送になったのでほどほどに」、『爆笑レッドシアター』には「”100人の笑顔を集める旅”も面白いが『田舎に泊まろう』とそっくり」、『秘密のケンミンSHOW』には「県民というのに、その県の中の一部の市だけだったりするのが、ちょっとおかしい」などの批判があった。
  • バラエティーを見ないという意見は「お笑い芸人が、同じフレーズを連呼したり、意味不明なことを言ったり、他のタレントをばかにしたりで面白くない。ネタ番組はネタが短すぎる」というものだった。

6月のモニター報告は、3日(水)から9日(火)までの一週間で見た主な番組を5本まで挙げ、面白かった番組・つまらなかった番組1本ずつについて、その理由を書いてもらう。

第100回 放送と青少年に関する委員会

第100回 – 2009年4月

委員長・副委員長選任

視聴者意見について

4月28日に開催した今年度第1回青少年委員会(通算100回)では、委員長および副委員長の選任を行ったほか、3月14日~4月18日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に、事前にVTR視聴したバラエティー2本、情報番組1本について審議した。

議事の詳細

日時
2009年4月28日(火) 午後4時30分~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

委員長・副委員長選任

任期満了により3月末に退任した大日向雅美前委員長、橋元良明前副委員長、是永論前委員、山田由紀子前委員の後任として、加藤理委員、汐見稔幸委員、萩原滋委員、渡邊淳子委員を紹介した。後任の委員長には、委員の互選の結果、汐見委員を選出、副委員長には汐見委員長の指名により境真理子委員が就任した。
この後、新体制のスタートに伴う委員会冒頭の撮影取材が行われた。

視聴者意見について

1.フジテレビ『めちゃ2イケてるッ!「笑って笑って景気回復DGやねんスペシャル!!」』

タレントに頭からビニール袋を被せるなどしたコーナーについて「大変危険だ。子どもが真似をして事故が起きかねない」といった意見が寄せられ、VTRを視聴のうえ審議し、委員から以下の意見が出された。

<委員の主な意見>

  • 2月の委員会でも、同番組のビニール袋を被せるシーンが議題になり、危険性や子どもへの影響を指摘している。現場に伝わっていないのではないか。
  • ビニール袋は子どもにとっても身近な存在で、真似をする危険性が高い。それを軽々しく扱ったことは問題だ。
  • 番組全体の流れを考えても、あのようないたずらをやる意味がわからない。
  • 本番組はPTAの「見せたくない番組」にも選ばれているが、逆に言えば子どもがよく見ているということ。影響力は大きい。

以上の意見等を踏まえて、委員会としては、(1)番組のコンセプト及びいじめ的な行為を仕掛ける意図、(2)「とりわけ児童の視聴に十分配慮する」時間帯に放送されているが、子ども達が真似するとの危惧はなかったか、(3)本番組については、今年2月の委員会でも頭からビニール袋を被せたりするコーナーについて議題になり前々回の議事概要に意見を掲載している。これらの意見は制作現場に反映されているか、また、具体的にどのような議論を経て放送に至ったか、(4)青少年委員会では、2000年11月に『バラエティー系番組に対する見解』を、さらに2007年10月に『「出演者の心身に加えられる暴力」に関する見解』を公表しているが、これらの見解は制作現場にどのように浸透し、制作者はどう受け止めているか、について回答を求めることになった。
上記番組の「局からの回答」に対しては、次回委員会で審議のうえ報告することになった。

2.日本テレビ『スッキリ!!』

“先生を流産させる会”を取り上げた際のコメンテーターによる「どこの学校でも多少はある。わざわざ騒ぎたてるほどのことでない」との発言に対し、「生命を軽視している」「制作者の倫理観を疑う」といった意見が寄せられ、VTRを視聴のうえ審議し、委員から以下の意見が出された。

<委員の主な意見>

  • 社会全体で見れば多くある出来事と言いたかったのだろうが、視聴者に対しては一方通行。コメンテーターおよび制作者はそこを理解する必要がある。
  • 命に関わる問題なのに取り上げる時間が短く、あまりに簡単なコメントの投げ捨てになっている。番組作りとして問題ではないか。
  • 生徒から先生に対する愛情の裏返しといった側面もあったのかもしれないが、この報道では伝わってこない。

委員会では審議の結果、命に関わる問題であるため、より多角的に取り上げるべき旨を局側に伝えることとした。

3.日本テレビ『所さんの目がテン!』

うさぎがペットに適するかどうかを判定するための実験と称し、ライオンの檻の隣に置いたり、リモコンカーで追い立てて走らせるなどした企画に対し、「動物虐待ではないか。ひどすぎる」「うさぎは恐怖やショックで死ぬこともあることを知っているのか」といった意見が寄せられ、VTRを視聴のうえ審議した結果、委員から以下の意見が出された。

<委員の主な意見>

  • うさぎのペットとしての適性を検証するにあたって、なぜライオンが必要なのか。
  • 本番組は「青少年に見てもらいたい番組」に選定されている。面白く、ためになる番組だけに、今回の企画は残念だ。
  • 視聴者の感覚により、その評価の違いもある。あくまで実験としてなら、許容できる人も多いのではないか。

委員会では審議の結果、必ずしもライオンの隣に置くなどの実験は必要なかったのではないか、との意見を局側に伝えることとした。

中学生モニター報告

4月は、ひと月ほどの間に見た番組について自由に書いてもらったが、31人の新モニター全員から39件(1人で複数件の報告有)の意見が寄せられた。
分野別に分けると、ドラマ番組が一番多く12件、次にバラエティー番組が11件、報道・情報系番組が6件、教養・教育系番組が4件、音楽番組が2件、スポーツ番組とラジオ番組が1件ずつだった。
局別では、TBS系が12件、日本テレビ系が6件、フジテレビ系が5件、NHKとテレビ朝日系が4件ずつ、テレビ東京系が2件、東京メトロポリタンテレビ・北海道テレビ・東名阪ネット6という地方局の共同制作・ニッポン放送が1件ずつだった。

・ドラマ番組

11番組に意見が寄せられたが2件意見があったのは『DOOR TO DOOR』で、「出演者の魅力が出ている。現実的で脳性まひの事が良く分かった。印象が強いドラマ」、「人って人に支えてもらっていると感じた。とてもいいドラマ、再放希望」などと、いずれも好評意見だった。
他に『スマイル』には「今の社会問題を取り上げたいいドラマ」、『夫婦道』には「スタンダードでありふれたコミカルなドラマは、ワンクールに1つくらいあって良い」、『おちゃべり』には「良い発想。演者の表情がいい」、『BOSS』には「個性豊かな出演者がドラマに引きつけてくれた」などと、好評意見が寄せられた。
一方『アイシテル』には「子供が子供を殺すなんて想像できない。ちょっと刺激が強い」、『イケ麺そば屋探偵』には「意味不明なドラマ。携帯で実況中継風に出演者の裏話などを紹介するWモニター方式を使っているが、パケット代がかかる。お金のかからない方法があれば」、『ゴットハンド輝』には「リアリティーを感じない。僕が期待していたような医療ドラマではなかった」、『絶対彼氏-最終章』には「最終回を見ていなかったので、少しでも流して欲しかった」、などの批判意見があった。

・バラエティー番組

2番組に2件ずつ意見があった。『世界の果てまでイッテQ!SP』は「とてもおもしろかった。男3人がアメリカの丸太祭りに挑戦したのが印象に残った」、「珍獣ハンター・イモトはすごい」などと概ね好評だった。また『春のオールスター感謝祭2009』には「今後放送するドラマのキャストが出演したり、昨年活躍した人も出るので年の流行が良く分かる。体中ローションをつけて相撲をするのが面白い」、「けが人を出しているにもかかわらず、ヌルヌル相撲をやっていた。なぜ改めないのか」と賛否に分かれた対照的な意見が寄せられた。
そして『ネプリーグ』には「そろそろレギュラー交代を。書き取りより読み方を。歴史や理科の出題も」という、かなり否定的な意見が寄せられた。

・報道・情報系番組

始まったばかりの2番組、『追跡!AtoZ』と『総力報道 THE・NEWS』には、「臨場感にあふれニュースが良く分かった」、「読むニュースを増やして欲しい。NHKに負けないニュース番組に成長して欲しい」など、それぞれ励ましの意見があった。
他には『めざましテレビ』に「内容が濃くなり分かりやすくなった。さらに視聴者とのつながりを深めて欲しい」、東京ローカルの『5時に夢中』にも「コメンテーターの自由さが良い。たまに失言まがいの発言があるのは注意が必要」と好意的な意見が寄せられた。

・教養・教育系番組

『知る薬・歴史眠らず県境の謎』に「地名や境目が地域住民の歴史や意識に左右されると知った。おもしろかった」、『地球便』に「世界は広くて外国で頑張っている日本人もいっぱいいるということが分かる。いつも最後の両親からの手紙で泣いてしまう」、『決着!歴史ミステリー』に「歴史の深みやおもしろみを感じる」、『新説!?日本ミステリー』に「歴史の裏などを調査するのはとても良い」など、概ね好評意見が寄せられた。

・その他の番組

他には『うたばん』に「日曜日に変わったが、これまで通り司会者の面白さを出していけばムリにファミリー的でなくてもよい」、ラジオ番組『誠のサイキック青年団』に「番組が無くなってしまい残念。どこが不適切な発言か分からない。何事も隠さず情報を伝え合う事ができるようになってほしい」などの意見が寄せられた。

5月のモニター報告は、バラエティー番組について、ふだんから感じている率直な意見を寄せてもらう。