第198回

第198回–2024年9月

毎日放送ローカルバラエティー番組『ゼニガメ』が審議入り

第198回放送倫理検証委員会は、9月13日に千代田放送会館で開催された。
テレビ東京は、2023年3月28日の『激録・警察密着24時!!』で放送した人気漫画・アニメを連想させる商品に関する不正競争防止法違反容疑事件の密着取材の中で、逮捕された4人のうち3人が不起訴になった事実を伝えなかった等複数の不適切な内容があったと2024年5月に公表し謝罪した。委員会は、当該放送局に報告書と番組DVDの提出を求めて協議した結果、放送倫理違反の疑いがあり詳しく検証する必要があるとして7月の委員会で審議入りを決めた。今回の委員会では担当委員から当該放送局の関係者らにヒアリングした結果が報告された。
毎日放送は、2024年7月17日に放送した『ゼニガメ』の中で、出張買取業者が奈良県内の家屋の清掃や遺品整理を行った際、金庫から金の延べ板が見つかり現金で買い取る様子を紹介したが、実際は買取業者が事前に用意した物であることがわかり、事実と異なる放送があったことを公表し謝罪した。その後さらに同じ業者を取材した2023年11月と2024年5月の放送分でも、事実と異なる内容があったことが判明し、毎日放送は9月4日に「一部事実と異なる内容があった」とする調査結果を発表し謝罪しているが、制作スタッフ側の関与は認められなかったとしている。委員会は議論の結果、放送倫理上の問題がなかったかを検証する必要があるとして審議入りを決めた。
7月と8月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告された。

議事の詳細

日時
2024年9月13日(金)午後4時~午後6時50分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. テレビ東京『激録・警察密着24時!!』について審議

テレビ東京は、2023年3月28日に放送した『激録・警察密着24時!!』の中で、人気漫画・アニメ「鬼滅の刃」を連想させる商品をめぐる愛知県警の不正競争防止法違反容疑の強制捜査を取り上げた。この放送で、逮捕された4人のうち3人が不起訴になったことを伝えず、また取り上げた会社が強制捜査後も商品を中国に発注していたと放送するなどして、捜査対象の会社側から「そういう事実はない」と指摘され、そのことを認めている。委員会は、すでに当該放送局から提出された報告書と番組DVDを踏まえて議論したのちに前回7月の委員会で、複数の問題点があるのではないかとして審議入りを決めた。今回の委員会では、テレビ東京や番組制作会社などの関係者からヒアリングした結果を担当委員や事務局から報告した。そしてヒアリングで明らかになった番組制作の工程や背景などが説明され、他の委員からの質疑とともに議論した。今後は意見書の原案の作成を進める。
なお、この番組はBPO放送人権委員会でも審理されている。

2. 毎日放送『ゼニガメ』について審議

毎日放送は、2024年7月17日に放送したローカルバラエティー番組『ゼニガメ』で、出張買取業者に密着取材する企画を放送した。奈良県内の家屋の清掃や遺品整理を行った際、金庫から金の延べ板が見つかり業者が現金で買い取る様子を紹介したが、実際は業者が事前に用意した物であることが明らかになり、事実と異なる放送があったことを翌7月18日に公表し謝罪した。さらに、2023年11月と2024年5月の放送分でも、同じ業者が土地や建物を遺族とおぼしき人物から現金で買い取る様子を放送していたが、実際はロケ以前に業者が買い取っていたこと、遺族として登場した人物も買取業者が事前に依頼していたことなどが判明した。毎日放送は9月4日に「一部事実と異なる内容があった」とする調査結果を発表し謝罪しているが、制作スタッフ側の関与は認められなかったとしている。委員会は、当該放送局から提出された報告書と番組DVDを踏まえて議論した結果、放送倫理上の問題があったのかどうかを詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。

2. 7月の視聴者・聴取者意見を報告

7月に寄せられた視聴者・聴取者意見のうち、東京都知事選挙の投開票があった7月7日に放送された番組が、投票用紙への名前の記入方法や整理券をなくした場合の本人確認に関して誤った情報を伝え、翌週の放送で訂正したことについて多数の批判意見が寄せられたことが事務局から報告された。また、日本時間の同月14日に米国のトランプ前大統領が銃撃されたことを伝えた番組で、出演者が「(トランプ氏にとって)プラスのアピールにもなりかねない」と話したことについて批判する意見が寄せられたことなども報告された。

2. 8月の視聴者・聴取者意見を報告

8月に寄せられた視聴者・聴取者意見のうち、バラエティー番組で新型コロナ感染予防対策を茶化して笑いものにしていたことに批判が多数寄せられたことが報告された。また、情報バラエティー番組の司会者がオリンピックのメダリストの容姿を動物に例えるという不適切な発言をしたことについての批判や、ドキュメントバラエティー番組で元首相銃撃事件を再現ドラマ形式で特集したが容疑者を擁護するような内容になっていたとの批判、ラジオ国際放送などの中国語ニュースの中で中国籍の外部スタッフが沖縄県の尖閣諸島は中国の領土などと原稿にはない発言をしたことについての批判が数多く寄せられたことなどが事務局から報告され、議論した。

以上

第197回

第197回–2024年7月

テレビ東京『激録・警察密着24時!!』が審議入り

第197回放送倫理検証委員会は、7月12日に千代田放送会館で開催された。
テレビ東京は、2023年3月28日の『激録・警察密着24時!!』で放送した人気漫画・アニメの商品に関する不正競争防止法違反容疑事件の密着取材の中で、逮捕された4人のうち3人が不起訴になった事実を伝えなかった等複数の不適切な内容があったと2024年5月に公表・謝罪した。委員会は、当該放送局に報告書と番組DVDの提出を求めて協議した結果、放送倫理違反の疑いがあり、詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。
6月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告された。

議事の詳細

日時
2024年7月12日(金)午後5時~午後6時40分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. テレビ東京『激録・警察密着24時!!』について審議

テレビ東京は2023年3月28日に放送した『激録・警察密着24時!!』の中で、愛知県警が強制捜査をした人気漫画・アニメ「鬼滅の刃」を連想させる商品に関する不正競争防止法違反の被疑事案を取り上げた。2024年の5月になってテレビ東京は記者会見などで、この放送で「4人が逮捕された」ことは伝えたが、うち「3人が不起訴になった」ことは伝えなかったことを認めた。また放送に登場した会社が強制捜査後も商品を中国に発注していたと放送したが、番組側はこの事実を確認しておらず、会社側から「そういう事実はない」と指摘されたことも認めている。委員会は、テレビ東京から提出された報告書と番組DVDを踏まえて議論したが、複数の問題点があるのではないかという意見が出された。そして放送倫理違反の疑いがあり、取材・編集の各段階について検証する必要があるとして審議入りを決めた。今後、番組関係者らからヒアリング等を行う。なおこの番組はBPO放送人権委員会でも審理されている。

2. 6月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

6月に寄せられた視聴者・聴取者の意見のうち、東京都知事選の放送をめぐって「特定の候補者の当選を目的とした放送があった」、「小池氏vs蓮舫氏」の対決に注目した報道については「あたかも二人しか立候補していないような放送ではないか」といった意見や、日本テレビのドラマ『セクシー田中さん』をめぐる日本テレビの報告書について「故人の原作者に罪をなすりつけているようだ」といった意見に加えて、「インターネットの方にこそ多大な前科がある」とするSNSの問題点を指摘する意見があったことを事務局から報告。またクイズ番組で特定の商品に関する取り上げ方をめぐって「番組か広告かわかりづらい」といった視聴者意見についても報告した。

以上

第196回

第196回–2024年6月

日本テレビのドラマ『セクシー田中さん』調査報告書について議論

第196回放送倫理検証委員会は、6月14日に千代田放送会館で開催され、5月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告され議論を行った。

議事の詳細

日時
2024年6月14日(金)午後5時~午後7時
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. 5月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

5月に寄せられた視聴者・聴取者意見について、フックのついたロープを鼻の孔にかけて軽トラックをけん引するバラエティー番組について「企画内容が危険で楽しめなかった」等の意見が多数寄せられたことが報告された。また、警察の捜査に密着取材した番組についての「取材中に逮捕された人がその後不起訴になっているのに、そのことに触れずに番組を放送しており推定無罪の原則に反しているのではないか」といった意見や、路線バスとして使われている車両を貸し切ってグルメスポット等を巡る番組に対して「貸切バスに乗っているのに番組タイトルで路線バスをうたうのはおかしい」「実在しないバス路線をいかにも運行しているかのように扱っている。戸惑う人が出るのではないか」といった意見が寄せられたことが事務局から報告され、議論した。

2. 日本テレビのドラマ『セクシー田中さん』調査報告書について議論

日本テレビが2023年10月期に放送したドラマ『セクシー田中さん』の原作者が亡くなった事態を受けて設置された社内特別調査チームから、調査報告書が5月31日に公表された。放送されたドラマの内容自体に放送倫理上の問題があるわけではないが、委員会としてはドラマ制作の過程で問題がなかったかどうかについて関心を持ってきた。委員会は、かねてより放送局が自主的・自律的に問題を検討し解決への道を探ることが望ましいと考えており、今回の問題についても、日本テレビの調査を待つこととし、今般公表された調査報告書を議論した。主な意見や感想は以下の通り。

  • この報告書の直後に出た小学館の調査報告書と比較すると、当たり前だが自社寄りの内容になっているという気がするが、今回の問題の理解が深まった。著作者人格権という大がかりな話というよりは、単純に仕事の仕方やサポートが不十分であったことなどが問題だったのではないかという印象を抱いた。
  • 原作者と制作の間の交渉に立つ出版社は、ドラマ制作が漫画の売上げにつながるという利益を有しており、出版社が原作者のライツの代理人としてふさわしいのかという問題にもきちんと取り組む必要があるのではないか。原作者の権利をどう守っていくべきかを議論するきっかけになってほしい。
  • この報告書は、原作者を措いて脚本家をディフェンスしているように読み取れるところがある。
  • 出版社と放送局、原作者と脚本家は、レイヤーが分かれていて、最終的に原作者と脚本家がぶつかり合ってしまったところがあるのではないか。本来ならば、原作者にも脚本家にもエージェントが必要なはずだ。
  • 問題点は「原作に忠実に」という点と、原作が完結していないので「ラストはオリジナル脚本になる」という点で、それをどう扱うかが両者の間で詰め切れておらず、すれ違いがあったことが問題である。
  • 脚本チーム、コアメンバーは、いったいどのような権限を持ち、何をやっていたのかが、報告書を読んでもわからなかった。
  • ドラマ化には改変ありきで進んでいることが問題ではないか。漫画原作の良いところは、絵コンテが出来ているようなもので、キャスティングにも反映しやすい効率的な側面がある。しかしコマ割りや表現は考えに考え抜いて作られているのだから、演出家や脚本家などの現場がそれをちゃんと尊重して制作するという枠組みを作ってほしい。
  • 少女漫画の「キャンディ・キャンディ」について原作者の権利が争われた事件などで、著作者人格権は強く守られているはずなのだが、現場ではいろいろなプレーヤーの立場によって、その捉え方が違うと感じる。
  • 原作者は、当然出版社が自分の利益を代表してテレビ局と交渉してくれるだろうと思っているはずだが、大きな組織の利益に抱え込まれている気がする。
  • 報告書を読んで、つくづく原作者として守りたいものがある場合には、最初にそれを文章で書いて、これが守られなければ、原作の使用許可をいつでも撤回できるとして、判子を押さないとだめだと感じた。
  • 制作チームのフォローアップ体制を構築し、問題事例を継承してもらいたい。
  • 二次元と三次元なので改変は起こるものだが、みだりに変えるのではなく必然性が説明できる改変にするべきだという事を基本の教育としてほしい。
  • ドラマの制作現場の事はよくわからないが、作っていくうちに想定外の展開があったり、演者が関わる事で新しいものが生まれたりと、ある種の生き物のようなところがあると想像できる。最初に契約を作ることは難しいという人がいるが、そういう部分もあるのかもしれない。
  • プロデューサーの優しさだとは思うが、制作者サイドの意見を咀嚼して脚本家に伝えているけれど、生き物であれば、咀嚼をせずに脚本家に対し原作者から出ている厳しい意見をちゃんと伝えるべきではなかったか。
  • 商業的二次利用をする際は、原作者の著作者人格権のもとでするのが原則で、原作者がノーと言えば使えないのだが、報告書ではややあいまいにしていて違和感がある。
  • 不信感がつのってきたところに撮影日程で明らかに虚偽を伝えられて、決定的に信頼関係が損なわれた。報告書の他の事実関係に埋もれてしまっているようだが、これだけ取ればそれこそ倫理的に問題だし、うそをつかずに誠実に対処する事が今後も大事だと思う。
  • 日本のエンターテインメント業界の契約体質が非常に関係している気がして、条件は制作開始前に一定程度枠を決めて書面化しておかないといけないのではないか。
  • ある程度の条件を互いに都合の良い解釈をしている可能性があり、この業界の根本的な問題点のような気がする。

以上

第195回

第195回–2024年5月

4月の視聴者・聴取者意見を報告

第195回放送倫理検証委員会は、5月10日に千代田放送会館で開催され、4月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告され議論を行った。

議事の詳細

日時
2024年5月10日(金)午後5時~午後6時
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. 4月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

4月に寄せられた視聴者・聴取者の意見は1,877件で、通常ベースの数値となった。衆議院東京15区の補欠選挙を伝えた報道番組について、候補者の紹介が公平ではないという意見があったことなどが事務局から報告された。

以上

第194回

第194回–2024年4月

TBSテレビ『news23』「JA自爆営業」調査報道に関する意見への対応報告を了承

第194回放送倫理検証委員会は、4月12日に千代田放送会館で開催された。
委員会が2024年1月11日に通知・公表したTBSテレビ『news23』「JA自爆営業」調査報道に関する意見について、当該放送局から再発防止に関する取り組み状況などの対応報告が書面で提出され、その内容を検討した結果、報告を了承して公表することにした。
ローカルワイド番組でホームレス男性を取材した特集コーナーについて当該放送局から提出された報告書を基に議論した。
3月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見が報告された。

議事の詳細

日時
2024年4月12日(金)午後5時~午後6時35分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. TBSテレビ『news23』「JA自爆営業」調査報道に関する意見への対応報告を了承

1月11日に通知公表したTBSテレビ『news23』「JA自爆営業」調査報道に関する意見(委員会決定第45号)への対応報告が、当該放送局から委員会に書面で提出された。
報告書には、委員会決定の公表後、TBSテレビ報道局の全員にBPO意見の全文を周知し、報道の基本倫理の再確認と再発防止に向けた職場での議論を求めたとあり、問題の発覚後、編集主幹と所管するセンター長が各出稿部と6つの報道番組とを個別に回って再発防止ミーティングを開催し、計7回約180人と意見交換を行ったことが記されてある。
そして、新たな教育研修として、報道番組と情報番組でニュースを扱うディレクターとアシスタントディレクター向けの、制作会社のスタッフまで広く対象にした「報道基礎講座」を計8回のべ600人を対象に開催し、新年度以降も、新たに配属されたスタッフに同様の取り組みを実施することや、中堅記者やデスクについては取材や出稿を指揮する立場で必要なことは何かを学ぶ研修を充実させていくと述べられている。
また、今年夏をめどに、調査報道など問題提起型の独自取材に取り組む部署を、取材や危機管理態勢を一層強化する形で新設する予定だとしている。
その上で、現行の「TBS報道倫理ガイドライン」の「情報源の明示と秘匿」の項目を改訂し、取材源の秘匿が必要な取材に際しては、撮影開始前に取材協力者と面会して取材目的や放送のリスクなどを丁寧に説明し信頼関係を構築することや、取材対象者の置かれた立場などについて詳しく情報を収集し、どのような措置を講ずれば取材源の秘匿を守りぬくことができるのか、局側の責任で慎重に判断すると共に、場合によっては取材や放送の断念もいとわないこと、放送後に周辺でどのような反応があったのか、取材対象者に聞き取りを継続的に行い、取材対象者が苦しい立場に追い込まれることのないよう留意することとしている。
これを受けて委員からは、改定された「TBS報道倫理ガイドライン」は具体性に富んでおり充実した内容だといった意見や、改革していこうという熱量が感じられ、オープンでフランクな意見交換がなされているという雰囲気が伝わってくるといった意見、研修が拡充され制作会社のスタッフも対象とされている点や、調査報道ユニットを再編して、今後も社会に問題提起する報道を一層進めていくと結ばれている点など、今回意見書で伝えようとしたことをきちんと受け止めた内容だといった意見が出され、報告を了承して公表することにした。
TBSテレビの対応報告は、こちら(PDFファイル)

2. ローカルワイド番組内の特集コーナーについて議論

ローカルワイド番組の特集コーナーで、公園で暮らすホームレス男性を取り上げたところ、ホームレス支援団体などから「男性のプライバシー権や名誉権を侵害している。ホームレスの人々への暴力を助長する」などの抗議があったと当該放送局から報告があり、委員会で議論した。映像には、公園で男性が放尿するシーンや大量のスーツケースを並べている映像を使用。当該放送局は「男性にモザイクをかける配慮をし、プライバシーや名誉権の侵害にはあたらない」としているが、委員からは「ホームレスの社会的問題を取り上げるのに放尿シーンが必要だったのか」「モザイクをかけたとしても、公園には男性以外にホームレスがいないようであり特定されるはずだ」「プライバシーへの理解、SNSへの影響に対する配慮がない」「社会的弱者やマイノリティの人々への配慮が足りないという放送基準の問題はあるのではないか」「取材に応じないから勝手に放送していいのか。もっと丁寧なアクセスが必要」とする意見が出た。一方、「どのシーンを使うかは放送局に判断の余地はある」「排除が全面に出された番組とは一線を画し、インクルージョンの視点は維持されているのではないか」などとする放送の自由への配慮に触れた意見も出て、議論を終えた。

3. 3月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

3月に寄せられた視聴者・聴取者の意見総数は1,768件(前月2,308件)で、意見数は減少している。芸能事務所における性加害問題や特定のお笑いタレント関連の意見が落ち着いてきたのが主な要因。一方で増えているのが米・ドジャースの大谷翔平選手に関する意見で、“過熱報道”への批判や元通訳の違法賭博疑惑に関連して、大谷選手を擁護する声が目立ったことなどが事務局から報告され、議論した。

以上