第200回

第200回–2024年11月

毎日放送『ゼニガメ』について審議

第200回放送倫理検証委員会は、11月8日に千代田放送会館で開催された。
テレビ東京は、2023年3月28日の『激録・警察密着24時!!』で放送した人気漫画・アニメを連想させる商品に関する不正競争防止法違反容疑事件の密着取材の中で、逮捕された4人のうち3人が不起訴になった事実を伝えなかった等複数の不適切な内容があったと2024年5月に公表し謝罪した。委員会は、放送倫理違反の疑いがあり詳しく検証する必要があるとして7月の委員会で審議入りを決めた。今回の委員会では担当委員から意見書の修正案が提示され議論した。
毎日放送は、2024年7月17日に放送した『ゼニガメ』で、出張買取業者に密着取材する企画を放送したが、事実と異なる放送があったことを公表し謝罪した。その後さらに同じ業者を取材した2023年11月と2024年5月の放送分でも、事実と異なる内容があったことが判明し、9月4日に「一部事実と異なる内容があった」とする調査結果を発表し謝罪している。委員会は、放送倫理上の問題がなかったかを検証する必要があるとして9月の委員会で審議入りを決めた。今回の委員会では担当委員からヒアリングの結果報告と意見書の骨子案が提示され議論した。
10月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告された。
10月30日に盛岡市で開催された北東北地区(青森、秋田、岩手)の意見交換会の様子と事後アンケートの集計などが報告された。

議事の詳細

日時
2024年11月8日(金)午後4時~午後7時20分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. テレビ東京『激録・警察密着24時!!』について審議

テレビ東京は、2023年3月28日に放送した『激録・警察密着24時!!』の中で、人気漫画・アニメ「鬼滅の刃」を連想させる商品をめぐる愛知県警の不正競争防止法違反容疑の強制捜査を取り上げ、逮捕された4人のうち3人が不起訴になったことを伝えず、また事後撮影した映像を密着取材したかのように編集して放送した。2回目の審議となる今回の委員会では、前回の委員会で各委員から寄せられた意見や指摘をもとに作成された意見書第2稿(修正案)をもとに詰めの議論をし、最終稿に向けた作業を進めることを確認した。
なお、この番組はBPO放送人権委員会でも審理されている。

2. 毎日放送『ゼニガメ』について審議

毎日放送は、2024年7月17日に放送したローカルバラエティー番組『ゼニガメ』で、出張買取業者に密着取材する企画を放送したが、翌7月18日に番組に事実と異なる放送があったことを公表し謝罪した。さらに、2023年11月と2024年5月の放送分でも事実と異なる内容があったことが判明し、9月4日に「一部事実と異なる内容があった」とする調査結果を発表し謝罪した。委員会は9月に審議入りし、当該放送局から提出された報告書などを基に議論を重ね、10月に制作スタッフらからのヒアリングを実施した。今月の委員会では、担当委員からヒアリングの結果の報告と意見書の骨子案の説明があった。他の委員からは複数の質問や意見が出され、活発な議論が行われた。今後は意見書の原案の作成を進める。

3. 10月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

10月に寄せられた視聴者・聴取者の意見では、サッカーJ1「町田ゼルビア」側がSNSでの誹謗中傷をめぐって刑事告訴したことを取り上げたニュース番組への批判や衆院選選挙特番で複数の局が、CG画面などで候補者名の近くに「裏金」などの文字を表示したことに対する批判の声が多く寄せられた。
また大手チェーンストアの商品のみを扱った番組について「明らかに広告ではないか」という視聴者意見が寄せられたことを事務局から報告した。

4. 北東北地区意見交換会の報告

放送倫理検証委員会は、2024年10月30日に青森、秋田、岩手の東北3県の放送局を対象に盛岡市で意見交換会を実施した。参加した委員から当日の様子などが報告され、事務局から事後アンケートの集計結果などが説明された。

以上

第199回

第199回–2024年10月

テレビ東京『激録・警察密着24時!!』について審議

第199回放送倫理検証委員会は、10月11日に千代田放送会館で開催された。
テレビ東京は、2023年3月28日の『激録・警察密着24時!!』の中で人気漫画・アニメを連想させる商品に関する不正競争防止法違反被疑事件に密着し放送したが、逮捕された4人のうち3人が不起訴になった事実を伝えなかった等、複数の不適切な内容があったと2024年5月に公表し謝罪した。委員会は、当該放送局に報告書と番組DVDの提出を求めて討議した結果、放送倫理違反の疑いがあり詳しく検証する必要があるとして7月の委員会で審議入りを決めた。今回の委員会では担当委員から意見書の原案が提示され議論した。
毎日放送は、2024年7月17日に放送した『ゼニガメ』の中で、出張買取業者が奈良県内の家屋の清掃や遺品整理を行った際、金庫から金の延べ板が見つかり現金で買い取る様子を紹介したが、実際は買取業者が事前に用意した物であることがわかり、事実と異なる放送があったことを公表し謝罪した。その後さらに同じ業者を取材した2023年11月と2024年5月の放送分でも、事実と異なる内容があったことが判明し、毎日放送は9月4日に「一部事実と異なる内容があった」とする調査結果を発表し謝罪しているが、制作スタッフ側の関与は認められなかったとしている。委員会は議論の結果、放送倫理上の問題がなかったかを検証する必要があるとして9月の委員会で審議入りを決めた。今回の委員会では関係者に対するヒアリングの予定などが報告された。
TBSテレビが2024年6月19日に放送した『東大王』の特別番組「東大王VS難関中学 関東名門校SP」の中で、「野々村親子と学ぶ 業界No.1!味の素SP」というクイズコーナーが約30分間にわたってあり、視聴者からBPOへ「番組か広告か分かりづらい」という意見が寄せられた。当該放送局から提出された報告書を基に討議したが、審議入りはせず議事概要に意見を掲載することで終了した。
NHKのラジオ国際放送問題について議論した。
9月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告された。
北東北地区(青森、秋田、岩手)で開催する意見交換会の実施要項と事前アンケートの集計などが報告された。

議事の詳細

日時
2024年10月11日(金)午後4時~午後7時
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、米倉委員

1. テレビ東京『激録・警察密着24時!!』について審議

テレビ東京は、2023年3月28日に放送した『激録・警察密着24時!!』の中で、人気漫画・アニメ「鬼滅の刃」を連想させる商品をめぐる愛知県警の不正競争防止法違反容疑の強制捜査を取り上げ、逮捕された4人のうち3人が不起訴になったことを伝えず、また事後撮影した映像を密着取材したかのように編集して放送した。委員会は7月に審議入りし、関係者からのヒアリングを済ませており、今回は担当委員が作成した意見書の原案をもとに審議した。各委員から様々な意見が出され、議論が交わされたことをうけて第2稿を作成し、次回の委員会で継続審議することを確認した。
なお、この番組はBPO放送人権委員会でも審理されている。

2. 毎日放送『ゼニガメ』について審議

毎日放送は、2024年7月17日に放送したローカルバラエティー番組『ゼニガメ』で、出張買取業者に密着取材する企画を放送した。奈良県内の家屋の清掃や遺品整理を行った際、金庫から金の延べ板が見つかり業者が現金で買い取る様子を紹介したが、実際は業者が事前に用意した物であることが明らかになり、事実と異なる放送があったことを翌7月18日に公表し謝罪した。さらに、2023年11月と2024年5月の放送分でも同じ業者が土地や建物を遺族とおぼしき人物から現金で買い取る様子を放送していたが、実際はロケ以前に業者が買い取っていたこと、遺族として登場した人物も買取業者が事前に依頼していたことなどが判明した。毎日放送は9月4日に「一部事実と異なる内容があった」とする調査結果を発表し謝罪しているが、制作スタッフ側の関与は認められなかったとしている。委員会は9月に審議入りし、当該放送局から提出された資料に基づき担当委員が議論を重ねた結果、ヒアリングの方向性がほぼ固まってきたことなどが報告された。関係者に対するヒアリングを10月中に行い、次回の委員会までに意見書の骨子案を作成することになった。

3. TBSテレビ『東大王』について討議

TBSテレビは2024年6月19日(水)19時から3時間にわたる『東大王』の特番「東大王VS難関中学 関東名門校SP」を制作。番組は3部構成で、中学受験で出題された問題を東大王チームが解くコーナー、動物園にいる動物を表す難読漢字をクイズにした番組名物の「難問オセロ!」コーナーと続き、最後に「野々村親子と学ぶ業界No.1!味の素SP」と題したクイズコーナーが放送された。
クイズは冷凍ギョーザや中華合わせ調味料など味の素の6商品を紹介して出題する形式で、正解の解説には味の素の社員が登場。画面左上には「東大王×No.1づくし!味の素」のテロップを表示し、味の素を冷凍食品界の王者と紹介。No.1商品と称する冷凍食品について3題を出題した後、何れも売り上げNo.1と銘打った中華合わせ調味料、和風だし、洋風インスタントスープに関するクイズを出題。クイズに優勝したチームには味の素商品の詰め合わせセットが贈られた。このコーナーの放送尺は約30分間だった。

放送後、BPOに視聴者から「クイズコーナーで味の素の商品に関する問題や解説を長時間にわたって取り上げていた。番組か広告か分かりづらい点、ステマなのかどうか分からない点において番組に疑問を持った」という声が寄せられた。これを受けて委員会は、TBSテレビに対して報告書を求め、10月4日に当該放送局から報告書が提出された。
報告書によると、当該コーナーは商品誕生の試行錯誤が学べる新企画として制作現場が立案したコーナーで、第1弾の明治に続く2回目の放送だった。制作にあたって味の素から対価は受け取っておらず、企画中に検討された企業PRにつながるような内容は全て取り上げず、番組側がクイズにしたいと考えた要素だけで自主的に構成された番組であるとしている。
一方で、放送中26分間にわたり画面左上に「東大王×No.1づくし!味の素」のテロップが出続けた点や、商品を賞賛するばかりの放送内容を「番組かCMか分かりづらい」と受け止めた視聴者がいた点については、結果的に反省すべき事だとしている。
当該コーナーは、放送後TBSテレビの考査局から「慎重さが求められる事案」との指摘を受けたが、放送前の段階で番組プロデューサー陣は問題があるとは思わず考査部門には相談していない。TBSテレビは、制作現場の番組と広告放送の識別の甘さを改めるべく、今後勉強会の開催やヒヤリハット事例集をまとめるなどして周知・徹底を図りたいとしている。

委員会は、本事案について10月11日に討議入りを決定。民放連の「番組内で商品・サービスなどを取り扱う場合の考査上の留意事項」に照合すると共に、番組か広告放送かの問題で放送倫理違反に問われた過去の委員会決定の事案と本事案とを比較して問題点を整理した。その結果、以下のような厳しい指摘が相次いだ。

  • 視聴者に身近な商品を取り上げれば視聴率につながると、制作現場が警戒心も後ろめたさもなく当たり前に考えていることに本事案の問題の根深さを感じる。

  • 1社提供で番組本編も提供社のことを取り上げているケースは、放送倫理違反であるにしても、視聴者は番組本編も広告だろうという意識で見るので実は影響はそんなに大きくない。むしろ、提供社でもない企業の事を殊更に取り上げる方が、その企業の担当者と何か裏取引があるのではないかという不信感が視聴者に募る。本事案はまさにそういう構成だ。

  • テレビショッピングかと思う程、芸能人らが褒めて美味しい美味しいと繰り返しており、視聴者からは番組か広告か分かりづらくステマかもしれないという意見が届いた。番組で取り上げた企業から対価はもらっておらず、自主的に構成した番組なので問題があるとは思わずそのまま放送したというテレビ局の対応を是認してしまっていいのか。

  • 民放連の「番組内で商品・サービスなどを取り扱う場合の考査上の留意事項」は、取り上げた企業から対価をもらっていなくても、番組制作や考査にあたっては、視聴者に広告放送であるとの誤解を招く内容・演出になっていないか常に留意する必要があるとしている。だからこそ、これまでの委員会決定で指摘したとおり番組考査が大事なのだが、TBSテレビの報告書を読む限り、制作現場は考査の必要性を全く意識せずに放送に至っており問題だ。

  • 番組か広告放送かの問題を巡って、地方局で放送倫理違反を問われるケースが相次いで以降、全国の地方局は番組と広告の境目を常に意識し苦労している。キー局がその点を全く意識せずに番組を制作しているというのが信じられない。これまで委員会決定を通じてBPOが訴えてきたことがまるで伝わっていない。これまでの委員会決定及び委員長談話の対象は全て地方局の事案であり、放送局間で公平な取扱いをしているのかも気になるところだ。

  • 「味の素」という企業名を書いたテロップが出続けていたり、商品を売上げNo.1と強調し味の素の商品を激賞したりしており、視聴者が広告ではないかと感じるのも致し方ないところがある。

  • 番組か広告放送かの問題で審議入りをして放送倫理違反を問われたある放送局の番組は「おいしさの追求」と銘打って企業の肯定的な側面の紹介に終始していた。本事案も番組コーナーのコンセプトはほぼ同じなので同様に審議入りすべきだ。

こうした厳しい意見が相次いだ一方で、本事案は、番組全編を通して一企業を取り上げているわけではない点や、番組のフォーマットであるクイズ形式に取り上げた企業の商品情報を落とし込んでいる点において、審議入りの判断をするまでには至らないという意見が出た。番組全体ではなく番組の一部で企業の商品やサービスを取り上げたケースにおいても審議入りの対象としてしまうと、キー局はもとより地方局も今後の対応に苦慮するのではないかといった意見も出た。
また、TBSテレビが報告書で、制作現場の番組と広告放送の識別の甘さを改めるべく、今後勉強会の開催やヒヤリハット事例集をまとめるなどして周知・徹底を図りたいとしていることから、本事案は、今後のTBSテレビの自主的な対応に任せるということで討議を終了し、審議入りは見送った。

4. NHKのラジオ国際放送問題について議論

NHKは、2024年8月19日にラジオ国際放送などの中国語ニュースで中国籍の外部スタッフが、沖縄県の尖閣諸島の帰属などをめぐって、原稿にはない発言を行った。NHKは9月10日に「ラジオ国際放送問題への対応について」という文書を公表した。また、委員が作成したメモとNHKが公表した文書を資料としてこの問題について議論したが、委員会としてはこれについて取り上げるという判断には至らなかった。

5. 9月の視聴者・聴取者意見を報告

9月に寄せられた視聴者・聴取者意見のうち、タレントが80キロ超のチャリティマラソンに挑む番組企画について、台風が接近し影響が懸念されていたにもかかわらずマラソンを中止しなかったことについての批判や、そもそも一人のタレントに80キロ超のマラソンを課す番組企画は無謀だといった声が寄せられた。この他、女性芸人が護身術を学んだ後に痴漢にあった場合どんな反応を見せるかという番組コーナーについて、性犯罪を思い起こさせるような演出は悪ふざけの度が過ぎるといった意見が寄せられたことなどが事務局から報告され、議論した。

6. 北東北地区意見交換会の開催について

放送倫理検証委員会は、2024年10月30日に青森、秋田、岩手の東北3県の放送局を対象に盛岡市で意見交換会を実施する。事務局から当日の実施要項や事前アンケートの集計結果を説明した。

以上

第198回

第198回–2024年9月

毎日放送ローカルバラエティー番組『ゼニガメ』が審議入り

第198回放送倫理検証委員会は、9月13日に千代田放送会館で開催された。
テレビ東京は、2023年3月28日の『激録・警察密着24時!!』で放送した人気漫画・アニメを連想させる商品に関する不正競争防止法違反容疑事件の密着取材の中で、逮捕された4人のうち3人が不起訴になった事実を伝えなかった等複数の不適切な内容があったと2024年5月に公表し謝罪した。委員会は、当該放送局に報告書と番組DVDの提出を求めて協議した結果、放送倫理違反の疑いがあり詳しく検証する必要があるとして7月の委員会で審議入りを決めた。今回の委員会では担当委員から当該放送局の関係者らにヒアリングした結果が報告された。
毎日放送は、2024年7月17日に放送した『ゼニガメ』の中で、出張買取業者が奈良県内の家屋の清掃や遺品整理を行った際、金庫から金の延べ板が見つかり現金で買い取る様子を紹介したが、実際は買取業者が事前に用意した物であることがわかり、事実と異なる放送があったことを公表し謝罪した。その後さらに同じ業者を取材した2023年11月と2024年5月の放送分でも、事実と異なる内容があったことが判明し、毎日放送は9月4日に「一部事実と異なる内容があった」とする調査結果を発表し謝罪しているが、制作スタッフ側の関与は認められなかったとしている。委員会は議論の結果、放送倫理上の問題がなかったかを検証する必要があるとして審議入りを決めた。
7月と8月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告された。

議事の詳細

日時
2024年9月13日(金)午後4時~午後6時50分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. テレビ東京『激録・警察密着24時!!』について審議

テレビ東京は、2023年3月28日に放送した『激録・警察密着24時!!』の中で、人気漫画・アニメ「鬼滅の刃」を連想させる商品をめぐる愛知県警の不正競争防止法違反容疑の強制捜査を取り上げた。この放送で、逮捕された4人のうち3人が不起訴になったことを伝えず、また取り上げた会社が強制捜査後も商品を中国に発注していたと放送するなどして、捜査対象の会社側から「そういう事実はない」と指摘され、そのことを認めている。委員会は、すでに当該放送局から提出された報告書と番組DVDを踏まえて議論したのちに前回7月の委員会で、複数の問題点があるのではないかとして審議入りを決めた。今回の委員会では、テレビ東京や番組制作会社などの関係者からヒアリングした結果を担当委員や事務局から報告した。そしてヒアリングで明らかになった番組制作の工程や背景などが説明され、他の委員からの質疑とともに議論した。今後は意見書の原案の作成を進める。
なお、この番組はBPO放送人権委員会でも審理されている。

2. 毎日放送『ゼニガメ』について審議

毎日放送は、2024年7月17日に放送したローカルバラエティー番組『ゼニガメ』で、出張買取業者に密着取材する企画を放送した。奈良県内の家屋の清掃や遺品整理を行った際、金庫から金の延べ板が見つかり業者が現金で買い取る様子を紹介したが、実際は業者が事前に用意した物であることが明らかになり、事実と異なる放送があったことを翌7月18日に公表し謝罪した。さらに、2023年11月と2024年5月の放送分でも、同じ業者が土地や建物を遺族とおぼしき人物から現金で買い取る様子を放送していたが、実際はロケ以前に業者が買い取っていたこと、遺族として登場した人物も買取業者が事前に依頼していたことなどが判明した。毎日放送は9月4日に「一部事実と異なる内容があった」とする調査結果を発表し謝罪しているが、制作スタッフ側の関与は認められなかったとしている。委員会は、当該放送局から提出された報告書と番組DVDを踏まえて議論した結果、放送倫理上の問題があったのかどうかを詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。

3. 7月の視聴者・聴取者意見を報告

7月に寄せられた視聴者・聴取者意見のうち、東京都知事選挙の投開票があった7月7日に放送された番組が、投票用紙への名前の記入方法や整理券をなくした場合の本人確認に関して誤った情報を伝え、翌週の放送で訂正したことについて多数の批判意見が寄せられたことが事務局から報告された。また、日本時間の同月14日に米国のトランプ前大統領が銃撃されたことを伝えた番組で、出演者が「(トランプ氏にとって)プラスのアピールにもなりかねない」と話したことについて批判する意見が寄せられたことなども報告された。

4. 8月の視聴者・聴取者意見を報告

8月に寄せられた視聴者・聴取者意見のうち、バラエティー番組で新型コロナ感染予防対策を茶化して笑いものにしていたことに批判が多数寄せられたことが報告された。また、情報バラエティー番組の司会者がオリンピックのメダリストの容姿を動物に例えるという不適切な発言をしたことについての批判や、ドキュメントバラエティー番組で元首相銃撃事件を再現ドラマ形式で特集したが容疑者を擁護するような内容になっていたとの批判、ラジオ国際放送などの中国語ニュースの中で中国籍の外部スタッフが沖縄県の尖閣諸島は中国の領土などと原稿にはない発言をしたことについての批判が数多く寄せられたことなどが事務局から報告され、議論した。

以上

第197回

第197回–2024年7月

テレビ東京『激録・警察密着24時!!』が審議入り

第197回放送倫理検証委員会は、7月12日に千代田放送会館で開催された。
テレビ東京は、2023年3月28日の『激録・警察密着24時!!』で放送した人気漫画・アニメの商品に関する不正競争防止法違反容疑事件の密着取材の中で、逮捕された4人のうち3人が不起訴になった事実を伝えなかった等複数の不適切な内容があったと2024年5月に公表・謝罪した。委員会は、当該放送局に報告書と番組DVDの提出を求めて協議した結果、放送倫理違反の疑いがあり、詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。
6月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告された。

議事の詳細

日時
2024年7月12日(金)午後5時~午後6時40分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. テレビ東京『激録・警察密着24時!!』について審議

テレビ東京は2023年3月28日に放送した『激録・警察密着24時!!』の中で、愛知県警が強制捜査をした人気漫画・アニメ「鬼滅の刃」を連想させる商品に関する不正競争防止法違反の被疑事案を取り上げた。2024年の5月になってテレビ東京は記者会見などで、この放送で「4人が逮捕された」ことは伝えたが、うち「3人が不起訴になった」ことは伝えなかったことを認めた。また放送に登場した会社が強制捜査後も商品を中国に発注していたと放送したが、番組側はこの事実を確認しておらず、会社側から「そういう事実はない」と指摘されたことも認めている。委員会は、テレビ東京から提出された報告書と番組DVDを踏まえて議論したが、複数の問題点があるのではないかという意見が出された。そして放送倫理違反の疑いがあり、取材・編集の各段階について検証する必要があるとして審議入りを決めた。今後、番組関係者らからヒアリング等を行う。なおこの番組はBPO放送人権委員会でも審理されている。

2. 6月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

6月に寄せられた視聴者・聴取者の意見のうち、東京都知事選の放送をめぐって「特定の候補者の当選を目的とした放送があった」、「小池氏vs蓮舫氏」の対決に注目した報道については「あたかも二人しか立候補していないような放送ではないか」といった意見や、日本テレビのドラマ『セクシー田中さん』をめぐる日本テレビの報告書について「故人の原作者に罪をなすりつけているようだ」といった意見に加えて、「インターネットの方にこそ多大な前科がある」とするSNSの問題点を指摘する意見があったことを事務局から報告。またクイズ番組で特定の商品に関する取り上げ方をめぐって「番組か広告かわかりづらい」といった視聴者意見についても報告した。

以上

第196回

第196回–2024年6月

日本テレビのドラマ『セクシー田中さん』調査報告書について議論

第196回放送倫理検証委員会は、6月14日に千代田放送会館で開催され、5月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告され議論を行った。

議事の詳細

日時
2024年6月14日(金)午後5時~午後7時
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. 5月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

5月に寄せられた視聴者・聴取者意見について、フックのついたロープを鼻の孔にかけて軽トラックをけん引するバラエティー番組について「企画内容が危険で楽しめなかった」等の意見が多数寄せられたことが報告された。また、警察の捜査に密着取材した番組についての「取材中に逮捕された人がその後不起訴になっているのに、そのことに触れずに番組を放送しており推定無罪の原則に反しているのではないか」といった意見や、路線バスとして使われている車両を貸し切ってグルメスポット等を巡る番組に対して「貸切バスに乗っているのに番組タイトルで路線バスをうたうのはおかしい」「実在しないバス路線をいかにも運行しているかのように扱っている。戸惑う人が出るのではないか」といった意見が寄せられたことが事務局から報告され、議論した。

2. 日本テレビのドラマ『セクシー田中さん』調査報告書について議論

日本テレビが2023年10月期に放送したドラマ『セクシー田中さん』の原作者が亡くなった事態を受けて設置された社内特別調査チームから、調査報告書が5月31日に公表された。放送されたドラマの内容自体に放送倫理上の問題があるわけではないが、委員会としてはドラマ制作の過程で問題がなかったかどうかについて関心を持ってきた。委員会は、かねてより放送局が自主的・自律的に問題を検討し解決への道を探ることが望ましいと考えており、今回の問題についても、日本テレビの調査を待つこととし、今般公表された調査報告書を議論した。主な意見や感想は以下の通り。

  • この報告書の直後に出た小学館の調査報告書と比較すると、当たり前だが自社寄りの内容になっているという気がするが、今回の問題の理解が深まった。著作者人格権という大がかりな話というよりは、単純に仕事の仕方やサポートが不十分であったことなどが問題だったのではないかという印象を抱いた。
  • 原作者と制作の間の交渉に立つ出版社は、ドラマ制作が漫画の売上げにつながるという利益を有しており、出版社が原作者のライツの代理人としてふさわしいのかという問題にもきちんと取り組む必要があるのではないか。原作者の権利をどう守っていくべきかを議論するきっかけになってほしい。
  • この報告書は、原作者を措いて脚本家をディフェンスしているように読み取れるところがある。
  • 出版社と放送局、原作者と脚本家は、レイヤーが分かれていて、最終的に原作者と脚本家がぶつかり合ってしまったところがあるのではないか。本来ならば、原作者にも脚本家にもエージェントが必要なはずだ。
  • 問題点は「原作に忠実に」という点と、原作が完結していないので「ラストはオリジナル脚本になる」という点で、それをどう扱うかが両者の間で詰め切れておらず、すれ違いがあったことが問題である。
  • 脚本チーム、コアメンバーは、いったいどのような権限を持ち、何をやっていたのかが、報告書を読んでもわからなかった。
  • ドラマ化には改変ありきで進んでいることが問題ではないか。漫画原作の良いところは、絵コンテが出来ているようなもので、キャスティングにも反映しやすい効率的な側面がある。しかしコマ割りや表現は考えに考え抜いて作られているのだから、演出家や脚本家などの現場がそれをちゃんと尊重して制作するという枠組みを作ってほしい。
  • 少女漫画の「キャンディ・キャンディ」について原作者の権利が争われた事件などで、著作者人格権は強く守られているはずなのだが、現場ではいろいろなプレーヤーの立場によって、その捉え方が違うと感じる。
  • 原作者は、当然出版社が自分の利益を代表してテレビ局と交渉してくれるだろうと思っているはずだが、大きな組織の利益に抱え込まれている気がする。
  • 報告書を読んで、つくづく原作者として守りたいものがある場合には、最初にそれを文章で書いて、これが守られなければ、原作の使用許可をいつでも撤回できるとして、判子を押さないとだめだと感じた。
  • 制作チームのフォローアップ体制を構築し、問題事例を継承してもらいたい。
  • 二次元と三次元なので改変は起こるものだが、みだりに変えるのではなく必然性が説明できる改変にするべきだという事を基本の教育としてほしい。
  • ドラマの制作現場の事はよくわからないが、作っていくうちに想定外の展開があったり、演者が関わる事で新しいものが生まれたりと、ある種の生き物のようなところがあると想像できる。最初に契約を作ることは難しいという人がいるが、そういう部分もあるのかもしれない。
  • プロデューサーの優しさだとは思うが、制作者サイドの意見を咀嚼して脚本家に伝えているけれど、生き物であれば、咀嚼をせずに脚本家に対し原作者から出ている厳しい意見をちゃんと伝えるべきではなかったか。
  • 商業的二次利用をする際は、原作者の著作者人格権のもとでするのが原則で、原作者がノーと言えば使えないのだが、報告書ではややあいまいにしていて違和感がある。
  • 不信感がつのってきたところに撮影日程で明らかに虚偽を伝えられて、決定的に信頼関係が損なわれた。報告書の他の事実関係に埋もれてしまっているようだが、これだけ取ればそれこそ倫理的に問題だし、うそをつかずに誠実に対処する事が今後も大事だと思う。
  • 日本のエンターテインメント業界の契約体質が非常に関係している気がして、条件は制作開始前に一定程度枠を決めて書面化しておかないといけないのではないか。
  • ある程度の条件を互いに都合の良い解釈をしている可能性があり、この業界の根本的な問題点のような気がする。

以上

第195回

第195回–2024年5月

4月の視聴者・聴取者意見を報告

第195回放送倫理検証委員会は、5月10日に千代田放送会館で開催され、4月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告され議論を行った。

議事の詳細

日時
2024年5月10日(金)午後5時~午後6時
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. 4月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

4月に寄せられた視聴者・聴取者の意見は1,877件で、通常ベースの数値となった。衆議院東京15区の補欠選挙を伝えた報道番組について、候補者の紹介が公平ではないという意見があったことなどが事務局から報告された。

以上

第194回

第194回–2024年4月

TBSテレビ『news23』「JA自爆営業」調査報道に関する意見への対応報告を了承

第194回放送倫理検証委員会は、4月12日に千代田放送会館で開催された。
委員会が2024年1月11日に通知・公表したTBSテレビ『news23』「JA自爆営業」調査報道に関する意見について、当該放送局から再発防止に関する取り組み状況などの対応報告が書面で提出され、その内容を検討した結果、報告を了承して公表することにした。
ローカルワイド番組でホームレス男性を取材した特集コーナーについて当該放送局から提出された報告書を基に議論した。
3月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見が報告された。

議事の詳細

日時
2024年4月12日(金)午後5時~午後6時35分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. TBSテレビ『news23』「JA自爆営業」調査報道に関する意見への対応報告を了承

1月11日に通知公表したTBSテレビ『news23』「JA自爆営業」調査報道に関する意見(委員会決定第45号)への対応報告が、当該放送局から委員会に書面で提出された。
報告書には、委員会決定の公表後、TBSテレビ報道局の全員にBPO意見の全文を周知し、報道の基本倫理の再確認と再発防止に向けた職場での議論を求めたとあり、問題の発覚後、編集主幹と所管するセンター長が各出稿部と6つの報道番組とを個別に回って再発防止ミーティングを開催し、計7回約180人と意見交換を行ったことが記されてある。
そして、新たな教育研修として、報道番組と情報番組でニュースを扱うディレクターとアシスタントディレクター向けの、制作会社のスタッフまで広く対象にした「報道基礎講座」を計8回のべ600人を対象に開催し、新年度以降も、新たに配属されたスタッフに同様の取り組みを実施することや、中堅記者やデスクについては取材や出稿を指揮する立場で必要なことは何かを学ぶ研修を充実させていくと述べられている。
また、今年夏をめどに、調査報道など問題提起型の独自取材に取り組む部署を、取材や危機管理態勢を一層強化する形で新設する予定だとしている。
その上で、現行の「TBS報道倫理ガイドライン」の「情報源の明示と秘匿」の項目を改訂し、取材源の秘匿が必要な取材に際しては、撮影開始前に取材協力者と面会して取材目的や放送のリスクなどを丁寧に説明し信頼関係を構築することや、取材対象者の置かれた立場などについて詳しく情報を収集し、どのような措置を講ずれば取材源の秘匿を守りぬくことができるのか、局側の責任で慎重に判断すると共に、場合によっては取材や放送の断念もいとわないこと、放送後に周辺でどのような反応があったのか、取材対象者に聞き取りを継続的に行い、取材対象者が苦しい立場に追い込まれることのないよう留意することとしている。
これを受けて委員からは、改定された「TBS報道倫理ガイドライン」は具体性に富んでおり充実した内容だといった意見や、改革していこうという熱量が感じられ、オープンでフランクな意見交換がなされているという雰囲気が伝わってくるといった意見、研修が拡充され制作会社のスタッフも対象とされている点や、調査報道ユニットを再編して、今後も社会に問題提起する報道を一層進めていくと結ばれている点など、今回意見書で伝えようとしたことをきちんと受け止めた内容だといった意見が出され、報告を了承して公表することにした。
TBSテレビの対応報告は、こちら(PDFファイル)

2. ローカルワイド番組内の特集コーナーについて議論

ローカルワイド番組の特集コーナーで、公園で暮らすホームレス男性を取り上げたところ、ホームレス支援団体などから「男性のプライバシー権や名誉権を侵害している。ホームレスの人々への暴力を助長する」などの抗議があったと当該放送局から報告があり、委員会で議論した。映像には、公園で男性が放尿するシーンや大量のスーツケースを並べている映像を使用。当該放送局は「男性にモザイクをかける配慮をし、プライバシーや名誉権の侵害にはあたらない」としているが、委員からは「ホームレスの社会的問題を取り上げるのに放尿シーンが必要だったのか」「モザイクをかけたとしても、公園には男性以外にホームレスがいないようであり特定されるはずだ」「プライバシーへの理解、SNSへの影響に対する配慮がない」「社会的弱者やマイノリティの人々への配慮が足りないという放送基準の問題はあるのではないか」「取材に応じないから勝手に放送していいのか。もっと丁寧なアクセスが必要」とする意見が出た。一方、「どのシーンを使うかは放送局に判断の余地はある」「排除が全面に出された番組とは一線を画し、インクルージョンの視点は維持されているのではないか」などとする放送の自由への配慮に触れた意見も出て、議論を終えた。

3. 3月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

3月に寄せられた視聴者・聴取者の意見総数は1,768件(前月2,308件)で、意見数は減少している。芸能事務所における性加害問題や特定のお笑いタレント関連の意見が落ち着いてきたのが主な要因。一方で増えているのが米・ドジャースの大谷翔平選手に関する意見で、“過熱報道”への批判や元通訳の違法賭博疑惑に関連して、大谷選手を擁護する声が目立ったことなどが事務局から報告され、議論した。

以上