第123回 放送と青少年に関する委員会

第123回 – 2011年6月

視聴者意見について

中高生モニターについて …など

第123回青少年委員会は6月28日に開催され、5月16日から6月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基にバラエティー1番組について視聴し審議した。また、6月に寄せられた中高生モニター報告について審議したほか、今年度の調査・研究について担当委員より進捗状況及び内容等について報告が行われた。

議事の詳細

日時
2011年6月28日 (火)  午後4時30分~6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

フジテレビ『めちゃ2イケてるッ!』(6月4日放送)について

男性タレントが女性出演者に襲いかかったりした行為について「性的な行動で低俗であり、子どもが見る時間帯の番組にふさわしくない」などの批判意見が寄せられ、番組を視聴の上審議した。放送は、過激な芸風で売る男性タレントが震災後いち早く福島の被災地に救援物資を届けたことを番組内で暴露し賞賛したことを受け、その男性タレントが自身のキャラクターを守るために暴走するという内容であった。審議の結果、委員会としては特段問題視することはないとした上で、審議における各委員の意見をBPO報告等に掲載することとした。

【委員の主な意見】

  • 出演したタレントのキャラクターは多少ひどいことをしてもひどいという印象が残らない。今回も視聴者がいやらしいとかの感情は持たないという気がする。ただ、カメラアングルや編集にもう一工夫できたのではないか。
  • キャラクターがわかっている人には容認できる行為も、初めて見た人、特に子を持つ母親からしたら「何あれ」と思い非常に不愉快に感じるのではないか。
  • 悪役が社会的に良いことをするということがバレたらタレント生命がなくなるので必死にそれを隠そうとする。そういう世界を視聴者が感じる効果があったかもしれず特段問題にする必要はない。
  • 文脈上は理解できるが、少しでも面白いところは思いっきり引っ張るという手法が実にくどく大変不快だ。
  • 結構面白く笑えた。恒常的に毎週こうした内容が繰り返されるのであれば問題があるのかもしれないが、突発的なものとの印象を持ち、特段の問題は感じない。
  • 問題は被災地福島をタネに話を展開しており、福島の被災者から見たら不快感、嫌悪感を抱く内容ではないか。
  • 番組内容が福島の人を馬鹿にしているとも思わないし福島の人が不快になるとも思わない。

中高生モニターについて

5~7月の中高生モニター報告は、「バラエティー・クイズ・音楽番組」のジャンルを取り上げている。6月のモニター報告のテーマは、「バラエティー・クイズ・音楽番組」のジャンルから最近見た番組の中で「面白くない番組」「嫌いな番組」を選び、「その理由や、好感の持てない出演者・タレント」について率直な意見を報告してもらった。32人からリポートが届いた。
際立って意見の多かった番組は、日本テレビ系列の『行列のできる法律相談所』(9人)とフジテレビ系列の『クイズ!ヘキサゴンII』(7人)だった。この結果は、昨年の報告と極めて似通ったものになっている(昨年は『クイズ!ヘキサゴンII』に12人、『行列のできる法律相談所』に4人)。

  • 「『行列のできる法律相談所』が嫌いな理由は、番組名と番組内容が矛盾しているからです。だんだん出演者のトークが増えるとともに面白みと法律相談の内容は減り、弁護士の先生方もこの番組に出演する必要がないと思います。島田紳助さんは巧みな話術で皆さんを楽しませているのですが、出演者をいじるとき『死んでしまえ』『消えてしまえ』と言うときがあります。普通そんな言葉で人は笑いません。しかし彼はその言葉を巧みに操り、笑いに変えてしまうのです。もちろんそれは彼の個性であり強みなのですが、ときにそれは凶器となり、人を悪い方向に変えてしまうのです。ですからもっと責任のある言葉で話してほしいと思います」。(高校1年女子)
  • 「毎回の放送が”ワンパターン”ということと、島田紳助さんの行き過ぎた”芸人のいじり”があることが好感の持てない理由です。また、下ネタも控えるべきだと思います。子どもも見ている番組なので気を付けてほしいと思います。島田さんはじめ局の方は『面白くしよう』と思っているのでしょうが、毎回、毎回おなじようなことを放送しているのを見るとどこかイライラしてきます」。(中学3年男子)
  • 「司会の島田紳助は、自分の”株”をあげたいだけのように見えます。偉そうなことばかり言って、他の出演者は口をそろえて『そうですねー』とか『さすがですねー』とか言っています。いくら大御所だからといって、見ている側にとっては正直どうでもいいと思っています」。(高校1年女子)
  • 「『クイズ!ヘキサゴンII』が嫌いです。私には島田紳助さんの司会は権力で若い芸人をいじめているように思います。島田さんは、馬鹿な人には容赦なく馬鹿だと言って貶すし、馬鹿じゃない人にも上げ足を取ってすぐに馬鹿だと言います。それが司会者である島田さんの役目なのかもしれません。けれど、あんなに馬鹿だと言われると、言われる芸人さんは嫌な気持ちになると思うし、見ている私たちも嫌な気持ちになります」。 (高校1年女子)
  • 「クイズ番組なのに解答者がわざと変な答えを言って、うけを狙っているようにしか思えないのです。問題はとてもためになるのに、答える人がそれをぶちこわしているように思います。そういう雰囲気を作っているのは司会者のせいだと感じます。少しえらそうにしてかなり上から目線なのも見ていていやになります。番組の中だけで勝手に盛り上がっていて、見ている人はなんか取り残されているのではと思います」。(中学1年女子)
  • 「番組内で結成されるユニットが今もなおデビューしていますが、正直、そこまでデビューさせなくてもよいのではないかと思いました。いちばん最近デビューしたメンバーは、新選組リアンの方など、島田紳助さんがこれまでにプロデュースしているか、または推している方などがメンバーでした。私が思うに、ただ単に紳助さんの利益を上げようとしている、そんな感じがするのです」。 (中学2年女子)

次に複数意見のあった番組は『しゃべくり007』と『なるほど!ハイスクール』である。

  • 「『しゃべくり007』に出演しているタレントさんたちの芸は面白く好感が持てる。しかし、この番組を嫌いにしている理由は、ゲストの発言にモザイク音をかけることだ。そんなことをしては放送する意味がないし、収録現場の”身内遊び”になっていると思う。(中学2年女子)
  • 「『なるほど!ハイスクール』は、まず内容と雰囲気からしていろんな番組とかぶっている感がしました。例えば、授業があって似ている『世界一受けたい授業』、制服を着ていて雰囲気も似ている『スクール革命』。とてもありきたりで、うんざり感がありました」。(中学3年男子)
  • 「嫌いなタレントはAKB48です。本人たちが嫌いというより、周辺のマスコミの騒ぎ方が気に入りません。『総選挙』と呼ばれるイベントでは、投票権付きのCDを買わなければなりません。ひどい場合5000枚も購入した人がいたという噂です。そして結果が出た翌日、案の定芸能コーナーはこの話題で持ちきりでした。明るい話題ではありますが、国の緊急事態のとき呑気に時間を割くのは如何なものかと思いました」。(中学2年男子)

そのほか寄せられた主な意見。

  • 「『飛び出せ!科学くん』の『子どものころに持っていた夢や好奇心を呼び覚まそう!身近な疑問から地球規模のミステリーまでこの世に存在する全ての謎を遊びながら解明していく”謎解きバラエティー”』という謳い文句は、嘘です。昔は謎を解いたり人体の神秘にふれていたりした気もしますが、今はありません」。(中学3年男子)
  • 「『爆問パワフルフェイス!』が面白くないと思う理由は、出演している芸能人だけが楽しんでいるという感じで、見ている人に面白さが伝わってこないからです。内容も”しょぼい”企画が多いです。また、爆笑問題の2人も司会者としての役割を果たしていない感じで、他の出演者の人たちがワイワイ勝手に話していて全体的にまとまりがない気がします」。(中学1年男子)
  • 「『めちゃ×2イケてるッ!』は、もともと『くだらない』『下品』と感じたことがあったから両親も私自身も好きではなかったため、家ではあまり見ませんでした。たまたま修学旅行だったため旅行先で友達と一緒に見ることになりました。ふだん見ないせいか、新鮮でした。最初の『歌へた』という企画は歌が下手な芸能人が競い合って”歌へた”王者を決めるというもので、面白いところもありました。ところが途中で、江頭2:50さん(レギュラー以外で最多出演数)が絡んでからの内容は、私にはとても見ていられませんでした。すごく下品で気持ちが悪く顔を手で覆ってしまうくらいでした。一緒に見ていた友達全員が同じ状況でした。私たちはすごく不快に思いました」。(中学3年女子)
  • 「『もしものシミュレーションバラエティーお試かっ!』の『帰れま10(テン)』のコーナーが最近面白くないと感じました。なので、もう見てはいません。開始当初は、簡単にベスト10を当てられないことに面白さを感じていました。ですが、最近は7連続8連続なんか当たり前。そのためそこから4~5問不正解を出して番組の尺を稼ごうとしているように感じます」。(中学2年女子)
  • 「先日放送された『トリハダ・マル秘・スクープ映像100科ジテン』には、『トリハダ』が立つどころか、腹の立つ内容であった。宝くじに当選し、いわゆるお金持ちになった人を中心とした放送で、驚くことばかりだったが、正直、『宝くじはいいぞ!』と宣伝しているような内容であり、世の中にはお金がなくて苦しい生活を送りながら、一生懸命働いている人も数多くいるのに、『一発逆転』だとか、『人生が変わった』だとか、お金を湯水のように遣う姿は『自分は特別だ』と言っているようなものだ。人を楽しませるのはいいが、今の状況をしっかり見据えたうえで、放送をしてもらいたい」。(高校2年男子)
  • 「日曜の朝にテレビをつけると、たまたま『新報道2001』をやっていたので見ました。自民党や民主党の政治家たちが原発の問題について質疑応答をしていました。ここでとても不快に思ったのは、相手の政治家の失言を『待ってました!』とばかりに揚げ足をとり、その点ばかり攻めたてていたことです。ぼくは小学生のときクラスで討論する機会がありましたが、先生に『互いの欠点を言い合っても答えは出ない』と注意されました。確かにそうだと納得し、ぼくたちは欠点ではなく前向きな話し合いをするようになりました。この番組では、そのみっともない討論ともいえない様子を放送していたので、まったく面白くありませんでした」。(中学1年男子)

そのほか意見の寄せられた番組は、『紳助社長のプロデュース大作戦!』『秘密のケンミンSHOW』『情報ライブミヤネ屋』『知っとこ!』『ホンマでっか!?TV』『ロンドンハーツ』『ミュージックステーション』『ピラメキーノ』だった。

【委員の所感】

  • 今回の特徴には、特定の出演者の番組に意見が集中したことがあげられる。「嫌いだ」という意見を寄せてくれた割には、嫌いな番組でも見ていることがうかがわれた。
  • 「嫌いな出演者」についての分析では、「言葉を巧みに操って笑いに変えてしまう能力がある」「言葉で人を動かす力がある」などその人物を評価する一方、「他の人を傷つけているように見える」「自分の”株”をあげたいだけ」など、冷静に分析している意見も散見された。
  • 「嫌いな番組」だと基本的には見ないと思うので設問に多少無理があったという印象だが、「なぜその出演者が多くの番組に起用されているのか」「嫌いでもなぜ見てしまうのか」といった部分をもう少し掘り下げて書き込んでほしかった。
  • 人気アイドルグループが嫌いというわけではないが、そのグループの活動を大々的に取り扱っている多くのメディアの現状を批判している意見には、同感だった。
  • 東日本大震災を経験する中で、「もう少し震災のことを配慮して番組を作ってほしい」という意見や、ジャンルは異なるが『新報道2001』についての意見を寄せてくれたリポートには感心した。

「今月のキラ★報告」(神奈川・中学3年女子)

毎年夏に日本武道館で24時間生放送でやるチャリティー番組『24時間テレビ』。34回目にもなるので仕方ないのかもしれませんが、だんだん”マンネリ化”しているところが私は嫌いです。毎年メインパーソナリティーの誰かが、実話ドラマの主人公を演じたり、一人一人が障害のある人などのところへ行き、何かを手伝ったり…”お涙ちょうだい”的な番組になっているのが伝わってきます。チャリティーマラソンランナーがいるのも意味が分からなく、走ることで何を伝えようとしているのかさっぱり分かりません。「高校生ダンス甲子園」や深夜の芸人さんたちの番組には面白さがありますが、その他の企画を見ていると、イライラします。チャリティーというのは、3.11の大震災もあったので良いと思いますが、「何のために」「誰のために」という目的をもっと明確にしてほしいです。

【委員会の推薦理由】

番組の面白いところや良さを指摘し、応援したい気持ちを滲ませながら、だからこそ目的を明確にできないままダラダラと続けることに嫌悪感を抱いている。そんな素直な思いがストレートに綴られており、今月の「キラ★報告」に相応しいと思いました。

調査・研究について

本年度予定されている番組制作者を対象とした調査について、NHKを含めた在京キー局6社の計666人から調査票が回収され、今後分析作業を行うこと、また、補足調査として一般視聴者向けの調査票が作成され、8月初頭に回収が終了する予定であることが担当委員から報告された。

第173回 放送と人権等権利に関する委員会

第173回 – 2011年6月

「大学病院教授からの訴え」事案の当該局報告

委員会運営上の検討課題 ……など

今年2月に通知・公表した「大学病院教授からの訴え」事案の当該局であるテレビ朝日・朝日放送より、「委員会決定」を受けての対応報告が再提出された。議論の結果、委員会としての意見を付した上でこれを公表することとなった。

議事の詳細

日時
2011年 6月21日(火) 午後4時~6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
堀野委員長、樺山委員長代行、三宅委員長代行、大石委員、小山委員、武田委員、田中委員、山田委員

「大学病院教授からの訴え」事案の当該局報告

今年2月に通知・公表した「大学病院教授からの訴え」事案について、当該局であるテレビ朝日・朝日放送から、通知後の対応をまとめた報告書「委員会決定を受けての取り組み」が6月20日付けで再提出され、事務局より報告した。5月にいったん提出されたが、参考として別の文書が添付されていたことから、委員会では再考を求めていた。
提出された対応報告は本事案の決定について、「放送における人権侵害を否定し、直撃取材の正当性も認めるなど、報道の意義を高く評価していただいたものと考える」としつつも、「判決内容の紹介が正確性を欠いているとして放送倫理上問題ありとされた点など、決定内容の一部になお違和感が拭えない部分がある」と述べている。
この日の委員会では、対応報告の内容について改めて議論した。その結果、日本民間放送連盟の「放送倫理・番組向上機構への対応に関する申し合わせ」(2003年6月19日付)に基づき、委員会の意見を付してこれを公表することとした。(局の対応報告と委員会の意見はこちらから)。

委員会運営上の検討課題

委員会運営上の検討課題の一つである「事務局による資料の収集・調査」について議論した。2月の委員会で出た意見を事務局が書面にまとめて配付・報告し、さらに議論を深めた。
放送人権委員会は、申立人、被申立人から提出された書面、資料等に基づく審理を原則としているが、一方で審理の参考とするために、委員会の指示に基づき事務局が資料収集や調査を行うケースもある。
この日の委員会では、事務局による資料の収集や調査が、現行の運営規則で認められていることを改めて確認した上で、事務局が集めた資料の委員会での取り扱いや、申立人と被申立人への開示のあり方等をめぐって意見を交わした。そして、これらの点を今後、明文化する方向で検討することになった。

5月の苦情概要

5月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情・相談・批判の内訳は以下の通り。

  • 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・4件
    (個人又は直接の関係人からの要請)
  • 人権一般の苦情や批判・・・・・・・・‥22件
    (人権問題、報道被害、差別的表現など一般視聴者からの苦情や批判)

その他

  • 第4回BPO事例研究会を開催
    BPO加盟放送事業社を対象とした第4回事例研究会を、8月2日に千代田放送会館ホールで開催することが決まり、事務局から報告した。
    当日は、放送倫理検証委員会が2010年12月に出した「参議院議員選挙にかかわる4番組についての意見」、および放送人権委員会が今年2月に通知・公表した「大学病院教授からの訴え」事案をもとに、各委員会委員と各局出席者との間で意見を交わすことにしている。
  • 次回委員会は7月19日(火)に開かれることになった。

以上

2011年5月に視聴者から寄せられた意見

2011年5月に視聴者から寄せられた意見

原発事故への対応については、原子炉の「メルトダウン」情報の発表が遅かったことや、海水注水の”中断”問題などから、情報が隠蔽されているのではないかといった疑問が多く寄せられた。自殺した女性タレントの収録番組で、出演場面の本人の姿にモザイクをかけたのは死者を冒涜するものだとの批判があった。

5月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,342件で、4月と比較して126件減少した。 意見のアクセス方法の割合はEメール67%、電話30%、FAX2%、手紙ほか1%。性別は男性71%、女性26%、不明3%。30歳代34%、40歳代26%、20歳代17%、50歳代11%、60歳以上8%、10歳代3%。

視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該局のBPO責任者に「視聴者意見」として通知。5月の通知数は572件[44局]だった。
またこの他に、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、42件を会員社に送信している。

意見概要

番組全般にわたる意見

5月の視聴者意見は1,342件と前月より126件減少した。内容は引き続き、東日本大震災に関する意見が多かった。原発事故への対応については、原子炉の「メルトダウン」情報の発表が遅かったことや、海水注水の”中断”問題などから、情報が隠蔽されているのではないかといった疑問が多く寄せられた。放射性物質による汚染、とりわけ学校運動場の放射線基準値の緩和などへの不安などがあった。被災地の復旧報道やボランティア活動への意見もあった。
子供を含む4人が死亡したユッケ食中毒事件では、バラエティー番組が当該焼き肉店を事件数日前に紹介し、推奨していたのは問題だとする意見が多かった。自殺した女性タレントの収録番組で、出演場面の本人の姿にモザイクをかけたのは死者を冒涜するものだとの批判があった。
震災で減ったと思っていたパチンコCMが最近異常に多くなったという批判意見が寄せられた。

青少年に関する意見

放送と青少年に関する委員会に寄せられた意見は106件で、前月より微減した。 今月は、低俗・モラルに反するとの意見が34件、次いで視聴者意見への反論・同意が18件、性的表現に関する意見 が17件と続いた。
低俗・モラルに反するとの意見については、特定番組や特定回ではない、複数のバラエティー番組への散発的な批判 意見が多数寄せられた。視聴者意見への反論・同意については、バラエティー、アニメ、ドラマやテレビ番組全般が 「子どもに悪影響を与える」などとする視聴者意見への反論、批判が寄せられた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 「メルトダウン」の報道が遅れたことに怒りを覚える。福島第1原発は津波直後から「メルトダウン」が疑われていた。マスコミも最初は「メルトダウン」について突っ込んだ質問をしていたのに、東電や保安院などの楽観的な発表を鵜呑みにし、独自の取材が行われなかった。その結果、地震から3ヵ月近く経って「メルトダウン」が公表され大騒ぎしている。疑問に思ったら公式発表ではなく、独自取材し事実を伝えるべきだ。それがジャーナリストの使命だ。
  • テレビは、「東電は今まで情報を隠蔽してきた」や「これは人災だ」などと正義漢ぶっている。だが、テレビは今までその隠蔽に加担したことはないのか。報道すべきことを報道しなかったことはないのか。私は疑う。そこで提案するが、第三者によって、報道しない責任を問う機関を設けるべきではないか。
  • 長野県北部で発生した地震は、東日本大震災の陰に隠れ、ほとんど報道されなかった。被害の規模からして東日本大震災が優先されることは分かるが、果たして報道する側の姿勢としてこれでいいのだろうか。現地では雪解けが始まってから徐々に被害の大きさが判明してきたが、それでも一部の民放を除き、これを伝えていた放送局はほとんどなかったのではないか。
  • 菅政権の「東日本大震災」と「福島原発」への対応の悪さを指摘する報道が多い。危険だと言われていた「浜岡原発」停止要請の英断についても「停止させる必要があるのか」と疑問視するコメンテーターさえ出てきた。結局、マスコミは政府が何をしても批判するだけだ。批判するだけでなく、前向きな日本復興の提言をしてほしい。
  • 被災地へのボランティアも活発になり、いいことだと思う。芸能人もこぞって被災地入りし、炊き出しなどをする場面がたくさん放送された。暖かいものを食べて満足し、元気になりつつある被災者の人たちの様子がうかがえるが、皆がみんなそうではないと思う。そういう一場面を見ただけで、「もう安心だ」と判断してはいけないと思った。病気の人や精神的に参っている人などがいるはずだ。マスコミがたくさん入ることでストレスを感じる人もいるのではないか。
  • 震災からの復興を唱えるコマーシャルはいい加減にしてほしい。国民に一体化を呼び掛けるような言葉を繰り返し放送しているが、これではまるで一種のプロパガンダではないのか。異なる意見が言いにくい空気を醸成しているように感じる。国難という言葉をメディアが繰り返していることも気になる。確かに事実かもしれないが、それですべてが正当化されるのなら戦前と同じになってしまう。私には今の社会の空気は息苦しく感じられる。
  • テレビでは有名人や雑誌の編集者など、必ずコメンテーターが出てくるが、専門家でもない人達のまことしやかなコメントを聞くことは、本当に腹が立つ。特に放射線被害については、専門家の多様な意見を視聴者に伝えることが番組の役割だ。一方的意見に固執し、視聴者を煽ることは倫理がないと言わざるを得ない。専門家でない人の意見は聞きたくないし、危険だ。
  • 連日メディアは福島原発の45分の注水中断について責任追及、犯人捜しで大騒ぎしていたが、注水が続けられていたとなったら、今度は誰が混乱させたのかといったような論調だ。混乱を増幅させているのがメディア自身であるとの認識はないのか。真相をメディアは視聴者に示すべきだ。私は45分注水がストップしていたとの”発信元”を知りたい。何かの意図があってのことなのか、たまたま行き違いで起きた騒動なのかも教えてほしい。

【番組全般・その他】

  • 「東日本大震災」の自粛放送から通常放送に戻ったとたん、くだらない番組ばかりになった。節電を呼びかけるなら、自分たちが率先して節電すべきだ。放送局は節電とは無関係だと考えているとしか思えない。NHKは一部のマニアのために一日中「大リーグ中継」をし、民放は芸能人の話題に、ラーメン特集ばかりだ。まともな番組を放送できないなら、電力のピーク時はテレビ局も放送を中止にすべきだ。
  • 震災の影響で、開催地が日本からロシアへと変更になったフィギュアスケート世界選手権。開会式や閉会式では、ロシアから日本への温かいメッセージがあったようだ。例えば、ロシアからの詩や、リンクに日の丸を映すなど。しかし、日本のテレビでは全てカットしていた。代わりに、どうでもいい他国の選手の独占インタビューをしていた。これでは、ロシアから日本への応援メッセージが全く伝わらない。報道機関として不適切だ。
  • 先日亡くなられた女性タレントの、出演シーンすべてに顔面モザイクがかかっていた。犯罪者でもない故人に対して、このような仕打ちは非常識で、死者への冒涜だ。「亡くなったからモザイクを」というのなら、過去のドラマやバラエティーに出ている亡くなられた俳優やタレントも、すべてモザイク処理するつもりか。
  • 食中毒で死者まで出した焼肉店を絶賛した放送内容には驚いた。この放送のせいで何人の被害者が出たのかと思うと怒りを覚える。最近は金さえもらえば宣伝するひどい番組ばかりで、モラルのかけらも無い。バラエティー番組は腐った肉を出しても絶賛することが当然なのだろうが、あまりにひどい。
  • 「東日本大震災」の被災者だが、バラエティー番組の「お葬式コント」を見ていて悲しくなった。被災地では、遺体の火葬がやっとできるようになったが、葬儀はいまだに順番待ちだ。こんな時に、被災地にも放送される全国放送で「お葬式コント」を放送するのは無神経だ。テレビ局に抗議すると、淡々と「はいわかりました」と言われ、謝罪の言葉もなかった。どうか配慮ある放送をお願いしたい。
  • 手作り弁当を比較してどれが美味しいかを判断し、最後に残る弁当はどれかという内容だった。初めのうちに食べられた弁当はいいが、後まで残ると、人がかじったものを何時間も放置することになる。見ている側は気持ちが悪い。この番組では、このような企画を時々放送しているが、見るたびにやめてほしいと思う。
  • 地デジ化のCMについて、震災後しばらくは自粛していたが、最近は復活してきた。テレビの購入を迫られた消費者たちが地デジ対応のテレビを購入したと思うが、今回の大震災で落下して壊れ、再購入を余儀なくされた方もいる。一部の被災地域では地デジ化も延期されるそうだが、被災地ではなくても震災の影響により倒産やリストラが行われ、テレビの購入が困難になっている家庭もある。そんな中で、地デジ化のCMを流すことはいかがなものか。
  • 昼間の放送は大方がドラマの再放送であり、必要不可欠な番組とは言えない。全国的に節電が求められている夏場は各局が停波して、電力不足に協力していただきたい。計画停電が実施されれば熱中症で亡くなる人も少なくないと思うが、そんな最中テレビが大きな電力を消費して普段と変わらぬ放送をしていることは疑問だ。

【ラジオ】

  • 「礼状は縦書きで書くことが礼儀」などの話があったが疑問だ。会社名のアルファベットなど、縦書きでは配達する人は読みにくいだろう。昔は社名も日本語が多かったが、今や外資に買収された企業も多い。日本語が優れているという趣旨まではいいが、それを言うために、縦書きに出来ない他の国の言葉をおとしめることはない。「日本語はすぐれていると思う」だけでいいはずだ。聴いていて不愉快だ。
  • プロ野球「巨人対阪神」戦が放送される際、必ずといってよいほどアナウンサーが「伝統の一戦」と言う。これは昭和天皇観覧試合の名残かと思うし、巨人と阪神がいろいろな意味でライバルであることは否定しない。ただ実況アナウンサーが、1イニング内で10回くらい「伝統の一戦」と連呼していて、さすがに耳障りだった。私はタイガースファンなのでまだよいが、他チームファンからすれば、このカードだけが極端に特別視されることはあまり気持ちのよいものではないと思う。

【CM】

  • 5月に入り、テレビでパチンコ店のCMを見かけるようになった。震災以前からパチンコ店やパチンコ台のCMが異常に多く不快な思いをしてきた。震災直後は自粛により、これらのCMがなくなり良いことだと感じていたが、震災から2ヵ月もたたないこの時期に、パチンコ店のCMを目にしたとき、被災地に住む者として非常に腹立たしく思った。
  • 「ACジャパンのCMがしつこい」や「すりこみだ」という意見があるが、私はそうは思わない。震災後、大量のCMが流れたことによりACジャパンのことを知ることができ、こういった団体やCMは必要だと思った。「その買い物、本当に必要ですか」というセリフは買い控えにつながって物が売れなくなるのではないかと疑問だが、あいさつの歌も、子どもがそのまま使うとは思えないし、親しみやすくていいと思う。

青少年に関する意見

【低俗、モラルに反する】

  • ゴールデンタイムの番組で女性タレントが学力テストを受ける企画。突然男性モデルが現れ、タレント達の前で服を脱ぎ、露出度の高い下着姿で腰を振るなどのパフォーマンスをしていた。これのどこが笑いか。卑猥で低俗、セクハラでしかない。土曜の夜で子どもも見ている。男性の裸の露出等を笑いとして扱っていることも不愉快だ。
  • 偶然チャンネルを合わせて初めて見たアニメだが、子どもにグッズを買わせることだけが目的のようで嫌悪感を抱いた。無粋で醜悪な制作意図を感じる。近頃日本のアニメが海外でも認められていると聞くが、このような番組が海外の人の目に触れたらどう見られるか。
  • バラエティー番組で、芸人の母親が作った弁当をランク付けする企画が見ていて不愉快だった。一生懸命作ったものを批評され、涙をこぼす芸能人の母が不憫だった。番組内容を理解した上で参加したのだと思うが、全国にさらされればきっと傷つくだろう。子どもにこのようなことが”笑い”を誘う内容であるととらえられることを危惧する。
  • バラエティー番組で若い夫婦の体験談が紹介されていたが、家庭での女性の下品な言動、妻とは思えない夫への無礼な言動など、見ていて日本の将来が不安になる。テレビを通じてこれが母親、父親のあり方なのだと思わせては、子どもにも悪影響を与える。もっと母親・女性、父親・男性として模範になるような姿をテレビで示さなければならないのではないか。

【性的表現に関する意見】

  • 女子小学生のグループが露出度の高い衣装でダンスを披露していたが、「エロカワ」「セクシーダンサー」などと表記されていた。子どもを性の対象として扱うことは問題だ。BPO・青少年委員会は過去に「少女を性的対象視する番組に関する要望」を公表しているが、公共の電波でのこのような番組はいかがなものか。
  • 夕方の時間帯のアニメでありながら不適切な内容だ。このアニメはヤクザやホスト、キャバ嬢など大人の世界を模して笑いにしているが、その表現がとても際どく、大人の世界を知らなければ分からない内容も多い。自主的に隠したり分かりにくくしている部分もあるが、そうまでしなければ放送できないような内容を夕方に放送して倫理的に許されるのだろうか。
  • バラエティー番組でオカマ系の出演者達がランク付けをしていた。やり取りの中で「食べる」「一夜を共にする」など露骨な性表現が多く気持ちが悪かった。ゲイを差別するつもりはないが、この手の話は特定の店などで話せばいいことで、公共の電波で放送する内容ではない。

【いじめに関する意見】

  • 最近、ドラマでいじめや差別のシーンが多すぎる。実際に学校でいじめを受けていて、テレビのいじめのシーンでフラッシュバック発作を起こした人を見たことがある。また、いじめの仕方を教えているような作りのドラマも多い。いじめをさせない番組作りをするべきではないのか。
  • バラエティー番組のあるコーナーで、出演者に対して「雪駄の裏みたいな顔」などと肉体の欠点を指す発言があった。子どもがいじめをするときの行動に影響を与える可能性がある。モラルハラスメントが番組制作関係者の笑い声と共に放送され、倫理に反している。

【差別に関する意見】

  • ドラマでアスペルガー症候群の子どもを取り上げていたが、普通学級に通うことの是非をクラスメートが多数決で決めるというショッキングなシーンがあった。これは障害者に対する差別を助長する。アスペルガーに対する捉え方が一面的だ。熱血教師のパフォーマンスのために障害者を持ち出すのはやめてほしい。

【殺人シーンに関する意見】

  • 残虐な犯罪に手を染めた女性のエピソードを、再現映像の過激な描写で紹介するという内容。この番組の冒頭部分を偶然に見たが、リアルな殺人シーンなど、余りのどぎつさに仰天してとっさにチャンネルを変えた。子どもも起きている時間にこのような恐ろしい番組を放送するのは理解できない。せめて放送時間を深夜に移してもらいたい。

【虐待に関する意見】

  • 幼稚園児への虐待描写のあるドラマだが、大人の都合で小さな子どもを泣かせる内容は不快だ。実際このような家庭もあると思うが、育児ノイローゼになっている人たちもいる。震災で小さな子どもや赤ちゃんも亡くなっているのに、今このようなドラマを放送する放送局はおかしい。

【言葉に関する意見】

  • バラエティー番組で司会のタレントが視聴者からの投稿を読み上げた直後に、笑いを取るためによく「死ねばいいのに」などと発言しているが、とても悲しく腹立たしい。言っていいことと悪いことがある。子どもに絶対真似をしてほしくはないし聞かせたくもない発言だ。今後ぜひともやめていただきたい。

【視聴者意見への反論・同意】

  • 「子どもが起きている時間帯に反社会的だ」「子どもが見る時間帯は放送を控えるべきだ」などと、「子どもも見るから××をやめろ」といった意見が多く、「こうすれば良くなる」などの前向きな提案や提言はほとんど見られない。これでは単に気に入らないから子どもを利用して文句を言っているだけに感じる。文句ばかり言っていてもテレビは決して良くならないと思う。
  • 「子どもに悪影響」との意見には同感だと思うものも多数あるが、行き過ぎと感じるものもある。深夜アニメなどは初めから子どもの視聴を想定していないだろうし、それらの番組まで批判することはおかしい。一方で、全てを「親の責任放棄」の一言で片付けることもマスコミや一部の大人の責任放棄であろう。

【CMに関する意見】

  • パチンコのCMでアニメキャラクターなどを使い、最初はパチンコCMと分からず最後に分かるものが多い。パチンコが楽しく健全な娯楽のように宣伝されているが、実質は賭博行為といえる。このような産業のCMを公共の電波で放送することは著しく公共の秩序に反すると考える。青少年がパチンコへの興味を示すきっかけになる恐れがある。

第50回 放送倫理検証委員会

第50回 – 2011年6月

日本テレビ「ペットビジネス最前線」報道に関する意見

政治的公平性が問題になったBS11の討論番組『”自”論対論 参議院発』 ……など

6月10日の放送倫理検証委員会は、2007年5月の発足から数えて、第50回の開催となった。 5月31日に通知・公表が行われた日本テレビの「ペットビジネス最前線」報道事案については、当日のテレビニュース(録画)や報道された新聞記事を見たうえで意見交換を行った。政治的公平性について審議してきたBS11の『”自”論対論 参議院発』については、前回の議論を踏まえた意見書の改訂案が担当委員から提示された。検討の結果、若干の修正を加えることで合意がえられたため、審議を終了し 速やかに通知・公表を行うことになった。新規事案として、テレビ東京の情報バラエティー番組『ありえへん∞世界』が議題となった。僻地シリーズの一つとして沖縄県南大東村をとりあげ、島の多数のサトウキビ農家が年収1000万円を越える収入を上げて沖縄本島に別荘をもつような裕福な暮らしをしていると紹介、放送後に南大東村長から抗議を受け、「実態とかけ離れた表現」をしたことを認めて放送で謝罪した。当該局が自主的に提出した詳細な報告書をもとに討議した結果、誇張表現が多く悪質であるとして、審議入りを決めた。

議事の詳細

日時
2011年 6月10日(金) 午後5時~7時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
川端委員長、小町谷委員長代行、吉岡委員長代行、石井委員、香山委員、是枝委員、重松委員、立花委員、服部委員、水島委員

日本テレビ「ペットビジネス最前線」報道に関する意見

日本テレビの報道番組『news every.サタデー』の中で紹介されたペットサロンとペット保険の2人の女性客が、実は一般の利用者ではなく、ペットビジネスを展開する運営会社の社員だったという事案。
5月31日、当該局に対して委員会決定を通知し、続いて記者発表を行った。事務局からそれに関する報告があり、続いて当日のテレビニュース(録画)や報道された新聞記事を見たうえで意見交換が行われた。

政治的公平性が問題になったBS11の討論番組『”自”論対論 参議院発』

司会者もゲストも、全ての出演者がひとつの政党所属の議員だけで構成されている番組が11回放送されたことが、政治的公平性を欠き、番組制作上の局の主体性も欠如しているのではないかと問題にされた事案。
前回の委員会で議論された、表現の自由と放送における政治的公平性の維持の関係をどう考えるかという問題や、番組編成全体で政治的公平性を配慮しているという当該局の主張に説得力があるかという問題を踏まえて作成された意見書の修正案が担当委員から提出され、3回目の審議を行った。
政治的公平性の問題に加えて、放送局としての主体性に問題はなかったかという視点で意見書をまとめることに意見が一致したので、表現の手直しは担当委員と委員長に一任することとして、審議を終了した。

誇張表現が著しく南大東村長から抗議を受けたテレビ東京の情報バラエティー番組『ありえへん∞世界』

今年1月25日に放送されたテレビ東京のバラエティー番組『ありえへん∞世界』で、南大東島には年収1000万円以上で、沖縄本島にも別荘を所有するサトウキビ農家が150から200名いるが、それはサトウキビの生産に多額の国の補助金が支出されているからであると紹介し、所有する別荘のイメージ映像としてビバリーヒルズの邸宅の写真を放送した。だが実は年収といっても生産諸経費が控除されていない売り上げ金額(粗収入)であり、しかも島のサトウキビ農家の平均粗収入は500万円程度で、経費を差し引いた所得金額は150万円程度であった。沖縄本島の家も子供の高校通学のための住居がほとんどで、ビバリーヒルズの豪邸のような別荘ではないことが判明した。南大東村長から「偏見にもとづいた誤解を招く」との抗議文を受け取った当該局は村に謝罪し、6月7日にお詫び放送をした。自主的な内部調査結果と改善策が、当該局から検証委員会に提出されたが、委員会では、番組は事実をゆがめて僻地を誇張し、サトウキビ農家についてのねじ曲げられた悪質な表現が多く、放送倫理違反が認められることから、その原因や制作過程の検証が必要だとして、審議入りすることを決めた。

【委員の主な意見】

  • 担当したディレクターの取材が十分でなく、最初に作った筋書きにこだわっている。
  • 数字の取り扱いや確認が粗雑すぎる。取材対象者への誠意が感じられず、”上から目線”になっている。
  • 言葉遣いとして農家の場合、収入を年収ということは一般的であり、諸経費を引いて収入という人はあまりいない。しかし視聴者からみたら誤解すると思う。
  • 15時間かけて那覇から船で着き、港がないためクレーンで吊り上げられて島に上陸するのは”ありえへん”に相応しい光景だった。しかし飛行機では那覇から1時間少々で行けるのに僻地を強調している。
  • ビバリーヒルズの写真をだすアイディアは取材に行ったスタッフではなく、後になって出てくる。遊び心だと思うが目線は差別的ではないか。
  • ロケハンを兼ねて一人で取材している。しかも初めての担当ということでディレクターにはきつかったと思う。それにしても、局内のデスクやプロデューサーのチェックはどうなっていたのか。

以上