第233回-2021年4月
視聴者からの意見について…など
2021年4月27日、第233回青少年委員会をオンラインで開催し、7人の委員全員が出席しました。
深夜のアニメ番組で20代サラリーマンが家出した女子高生に声をかけ、自宅に連れ帰り保護する内容に対して、「売春を肯定しているのではないか?」「未成年者略取という犯罪を助長しているのでは?」「あたかも良識のある大人として描かれていることが問題」などの意見や、報道番組で韓国人元BC級戦犯の方のご遺体の顔のアップを映したことなどについて、「子どもへの影響を配慮してほしい」などの意見、芸人自らが考えたドッキリ企画で面白さを競う番組で、「いじめ・虐待の助長」「子どもがマネをする危険行為」「低俗、モラルに反する」などの意見が寄せられました。
委員会ではこれらの視聴者意見について議論しました。
4月の中高生モニターのリポートのテーマは「これまでで一番印象に残ったテレビ・ラジオ番組について」でした。モニター35人全員から熱意を感じられる報告がありました。
モニターからは、人気俳優W主演の警視庁機動捜査隊の活躍を描いたドラマについて、「毎回見終わる度に、来週もこの時間にこの番組を見るためにまた一週間頑張ろう!と思わせてくれます。(中略)今の時代に民放で堂々と社会問題を扱うこと自体に意義があると思うし、ドラマを見たあらゆる世代の人々が今の自分、今の社会と向き合うきっかけになる、そんな素敵なドラマでした!」などの報告や、古代遺跡を舞台にした宝探しクイズ・ゲームバラエティー番組について、「私はこの番組を5才、6才くらいのときに見ていました。約10年前に最終回を迎えた番組ですが、今も強く印象に残っています。初めて見たときは、少し怖かった記憶があります。ですが、大いに魅了されました。」、9年前に終了したバラエティー番組について、「生きていく上で何の役にも立たない無駄な知識、しかし人に教えたくなってしまうようなトリビアを、(中略)紹介し、品評していくという番組。今でも心の中にしっかりと記憶されています。」といったように、たとえ古い番組でもいつまでも印象に残っているという内容のリポートも寄せられました。
委員会ではこれらの意見について議論しました。
次回は、5月25日に定例委員会を開催します。
視聴者からの意見について
まず、3月後半から4月前半に寄せられた視聴者意見について議論しました。
芸人自らが考えたドッキリ企画で面白さを競う番組は「いじめ・虐待の助長」「子どもがマネをする危険行為」「低俗、モラルに反する」との意見が寄せられました。
委員からは「局サイドとしては芸能人が考えたという設定なので、何がしか責任意識が希薄になっているのではないか?」との意見がありました。中高生モニターでも「出演者をいたぶる暴力シーンに不快感…」という意見もあり、青少年委員会として“痛みを伴うことを笑うバラエティーについて”積極的に何か働きかけることも考えたいという意見がありました。
深夜のアニメ番組で20代サラリーマンが家出した女子高生に声をかけ自宅に連れ帰り保護するが、女子高生は見返りに性行為を持ち掛ける…という内容に、「売春を肯定しているのではないか?」「未成年者略取という犯罪を助長しているのでは?」「あたかも良識のある大人として描かれていることが問題」との意見が寄せられました。
委員からは「それなりに配慮されたつくり。この段階で問題にするのはちょっと難しい」との見解で、今後の展開に注目することとなりました。
報道番組で韓国人元BC級戦犯のご遺体の顔のアップをモザイクかけずに放送した件、ニュース番組でミャンマー軍が一般市民に発砲している映像やアメリカでアジア系の高齢女性が暴行を受ける映像の件など、子どもへの影響を配慮してほしいとの意見が寄せられました。
委員からは、「ドキュメンタリーや報道で戦争を描くと、必ず問題になる部分。ここにあまりにもモザイクをかけると本当の実態や悲惨な状況が伝わらない」「子どもたちがそれを見てどう受け取るかの“力“に期待したい」「ご遺体への尊厳を保つ配慮と見た人のショック…このバランスが難しい」との意見が出されました。
東北3局制作の東日本大震災特番について、「きちんと取材されたいい番組で、子どもに見せたかったが放送枠が深夜だった。ぜひ昼間に再放送してほしい。」という意見が寄せられました。
逆に、「東京キー局の大人向け番組が、日曜の昼間に放送されている。地元局に要望を出したが状況は変わらない。」という意見が寄せられました。
最後に、先月の青少年委員会議事録概要HPで紹介された中高生モニターの意見について、「『テレビ離れの要因のひとつとして、バラエティー番組などで他人を下げる、バカにする発言が挙げられる』という(中高生モニターの)意見がすばらしい、大変に感心した」との視聴者意見が紹介されました。
中高生モニター報告について
2021年度は、全国35人の中高生にモニターを依頼しました。
新しいモニターの初めての報告となる4月のテーマは「これまでで一番印象に残ったテレビ・ラジオ番組について」で、これまでと同様、「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けたところ、モニター全員から報告がありました。
4月のテーマでは、34人がテレビ番組について、1人がラジオ番組について記述していました。2人が、昨年放送された『金曜ドラマ「MIU404」』(TBSテレビ)について、その他のモニターはそれぞれ別の番組について感想を寄せており、全部で35番組が取り上げられました。
テレビ番組のジャンル別では、ドラマに11人から(内訳はNHKが1、TBSテレビが5、日本テレビが1、テレビ朝日が2、フジテレビが1、テレビ東京が1)、バラエティー番組に10人から(NHKが1、TBSテレビが3、日本テレビが2、フジテレビが3、テレビ東京が1)、ニュース・報道・情報番組に8人から(NHKが3、TBSテレビが1、日本テレビが2、テレビ朝日が1、放送局不明が1)、ドキュメンタリー番組に2人から(NHKが2)、アニメに2人から(NHKが1、テレビ朝日が1)、教育番組に1人から(NHKが1)報告がありました。
「自由記述」の内容は、大きく分けると、「番組の感想」「放送局への要望」「CMについての意見」「その他」でした。「放送局への要望」では、「もっと10代向けの番組を作ってほしい」「正しく偏りのない情報を提供してほしい」などの意見が寄せられ、「番組の感想」では、バラエティー番組について、「肉体的・精神的に負担を強いるような仕掛けで、制作者や出演者が面白がっているのが不快だと感じる」という苦情が複数ありました。
「青少年へのおすすめ番組」では、全部で8番組への感想が寄せられました。中でも、『太田光のつぶやき英語』(NHK Eテレ)を9人が、『今夜はナゾトレ』(フジテレビ)を5人が、『歴史探偵「関ヶ原の戦い」』(NHK総合)と『相葉マナブ』(テレビ朝日)をそれぞれ4人が、『映像の世紀プレミアム 第19集「東京 破壊と創造の150年」』(NHK-BSプレミアム)を2人が取り上げています。
◆委員の感想◆
◆モニターからの報告◆
調査研究について
- 担当の中橋委員から、調査研究(テーマ「青少年のメディア・リテラシー育成に関する放送局の取り組みについて」)に関し、進捗状況などの報告がありました。
以上