2024年8月1日

2024年度「高校生モニター会議」

◆概要◆

2024年8月1日、新型コロナの影響で5年ぶりに対面でのモニター会議を開催しました。今回は高校生モニターのみの参加でしたが、モニター会議は委員との交流の場であると同時に自分たちの意見を委員や放送局に直接伝える機会であり、またテレビ局内の見学や意見交換会を通じてメディアリテラシーを涵養(かんよう)する貴重な場でもあります。今後のより有意義なモニター活動に繋げていってもらえればと思います。
当日は、今年度の高校生モニター12名と、BPOからは榊原洋一青少年委員会委員長、吉永みち子副委員長、飯田豊委員、池田雅子委員、佐々木輝美委員の5人が日本テレビに集まりました。オリエンテーションを終えたモニターと委員ら参加者は、日本テレビ社屋内の社員食堂でランチを済ませた後、同社の報道フロアとニューススタジオおよびバラエティー番組のスタジオを、同社の社員の説明を聞きながら見学しました。ウッチャンナンチャンの南原清隆さん他が生出演する『ヒルナンデス!』のエンディングをスタジオ内で見ることができ、興味津々といった様子でした。
続いて高校生モニターと番組制作者との意見交換が行われました。今回は日本テレビの『月曜から夜ふかし』の矢野尚子チーフプロデューサー、沢田健介プロデューサー、徐真然プロデューサーと、進行役の菅谷大介アナウンサーにご参加いただき、同番組のミッションや裏話などの興味深い話を聞いた後、質疑応答で盛り上がりました。
後半には高校生モニターと青少年委員会委員との意見交換が行われました。それぞれの自己紹介のあと、「今のテレビと昔のテレビ、どちらが面白いかについて」「放送局にどうしても伝えたいこと」などについて意見交換しました。
本日参加してくれた高校生モニターたちは様々な視点からしっかりとした意見を述べ、高校生としてはとてもハイレベルなモニターたちでした。今後の毎月のBPOへのモニター報告に引き続き期待したいと思います。

第1部 日本テレビ『月曜から夜ふかし』制作者との意見交換会

①制作者 自己紹介

〇矢野尚子チーフプロデューサー(以下、矢野CP)
「この番組は、いま社会で起きていることを、報道以上に奥深くお伝えできる番組だと思っています。私は元々報道志望で日本テレビに入ったんですが、報道局には行けず『ザ!世界仰天ニュース』や『はじめてのおつかい』などいろいろな番組を制作していました。途中から10年間報道の仕事もしたあと、バラエティーに帰ってきてこの番組の担当になりました。報道的視点も織り交ぜながらいい番組ができたらなと思ってやっていますが、報道番組や情報番組などでインタビューしていた人たちとは違う人たちが、『月曜から夜ふかし』には出てきます。「世の中にはこういう人もいるんだな」「いろいろな方の生きざまを見ることができて、そして皆さんすごく楽しく人生を力強く生きているな」ということをお届けできる仕事はとてもやりがいがあるし、視聴者に見てもらって楽しんでいただけたり何か考えるきっかけにしていただけたりしたら、すごくうれしいと思っています。」

○沢田健介プロデューサー(以下、沢田P)
「2011年に日本テレビに入って、今14年目です。生まれは茨城の田舎だったのでテレビがエンターテインメントの全てで、こういう派手なところで働けたらいいなと思ってテレビ業界に入りました。番組を作りたくて入社しましたが、最初は営業に配属されてCM枠をスポンサーに売る仕事を6年間やって、その後バラエティーに異動してきました。『月曜から夜ふかし』を担当して5~6年経ちますが、マツコ・デラックスさんに「おまえはどんな生き方をしてんだ」と、いじられる生活をずっとやっています。マツコさんはテレビで見るのと同じ温度で僕ら制作スタッフにも分け隔てなく話してくれる方で、そんな人と一緒に仕事ができるのは楽しいなと思っています。『月曜から夜ふかし』にはミッションがあると思っていて、「この番組だけはきれいごとを言わないでおこう」と心に決めて、番組独自の角度で物事を切り取っています。番組内では言っていませんが、どんなマイノリティーでも平等に扱おう、ちょっと社会が触れづらい人やわざわざ取り上げないと思われるような人も積極的に取り上げていこう、自分たちの周りにいないようなタイプの人も取り上げていこうと。マイノリティーだからどうとかじゃなくて、どんな人も楽しく生きているということをこの番組は絶対伝えていこう、そこは強い気持ちを持ってやっています。」

〇徐真然プロデューサー(以下、徐P)
「中国・上海出身で2016年に日本に来て、令和元年に日本テレビに入社しました。中国の医大を卒業して研修医として働いていましたが、『月曜から夜ふかし』が好き過ぎて、海を越えて文化を超えてここに座ることになりました。中国にいたときの日本のイメージは「わびさび」とか「桜がめちゃくちゃきれい」とかしかなかったのですが、『月曜から夜ふかし』を見るとみんなトイレにも行きますし、酒をがんがん飲んでいます。日本人にもそういう人がいるんだ、とちょっと安心しました。『月曜から夜ふかし』は人間の素性とか、国籍なき人間性が表れていますので、すごく素敵な番組でぜひ参加したいという思いでいました。」

②番組の紹介、制作の体制について

(徐P)  『月曜から夜ふかし』はご当地番組です。「方言の問題」や「山手線の駅の中で一番降りたことが少ない駅はどれか」などの企画があります。また時期に合わせた「街録」も定番企画になっていて、春はお花見や上京した人へのインタビュー、夏は海辺ニュース、秋は食欲の秋でグルメなどがテーマです。“桐谷さん”など名物素人企画もあります。私の企画では、なぜ『月曜から夜ふかし』が中国人にそんなにウケるのかや、中国の“やばい人”も紹介したいと考えています。
『月曜から夜ふかし』の新しい企画からオンエアまでの流れですが、まず全体会議でディレクター、プロデューサー、リサーチャー、作家が企画を出します。そこで「面白いですね、やりましょう!」となったらロケに入ります。1回のオンエアに関わるスタッフの構成ですが、ディレクター・LDが15~20人、プロデューサーが5~6人います。演出が2人、総合演出が1人です。そこに音効、カメラマン、美術などたくさんの方の力が合わさり、1回のオンエアに関わる潜在的なスタッフは100人ぐらいです。1回のオンエアには大体3つVTRがあって、2つは街録で1つは地方ロケです。『月曜から夜ふかし』の街録は打率が低くてすごくしんどいです。10人声をかけた中で1人ぐらいしか答えてくれませんし、また10人答えてくれたうち1~2人しかオンエアされないときもあります。1回のオンエアで声をかけている人の数は1,000人ぐらいいます。ネット上で「『夜ふかし』本当にラッキーですね。毎回奇跡が起こるんですね」という言葉を見ますが、ラッキーではなく、本当にこつこつ数で勝負しています。つぎに、ロケの素材を編集ソフトで編集する作業は、業界用語でオフラインと呼びます。オフラインでは素材を編集して、そこから“唇”とかテロップ入れ、美術調整などをしてVTRを仕上げて、収録に臨みます。収録は基本的にオンエアの1週間前ですが、収録後に足りない分があれば追撮で人に声をかけて…という作業を繰り返しています。オンエアは月曜日ですが、”ミックス“と呼ばれる作業はオンエア前の金曜日です。ミックスではナレーションなどを最終的にチェックし、その他の微調整も行います。ここまでが一連の作業です。

③他の番組ではやらない『月曜から夜ふかし』ならではの特徴、番組のミッションについて

~VTR視聴~ コーナー企画「視聴者のお悩みを聞いてみた件」

運転免許試験に全然受からない長野県在住の男性(20)に取材。仮免で18回、本免で11回落ちているこの男性から「番組で応援してほしい」とメール投稿があり、その勉強の様子や得意な絵について放送したもの。

(沢田P) これは視聴者投稿企画だったのですが、ディレクターは取材で本人に会ったときに「もしかしたら障害のある人なのかもしれない」と気づきました。そこで一度立ち止まったわけです。試験に落ち続けることに障害の影響も少しはあるかもしれないことを考えると番組では扱えないかもねと、いろいろと議論をしていました。でも、とにかく御本人が番組に出たいと言っていて、そして親御さんも是非この挑戦を番組で取り上げてほしいと言っていると。それを聞いたときにハッとしました。何を僕らは手前で立ち止まっていたのか。何かいけないことでもあるかのような議論をしてしまったけど、そんなのって全く必要なかった。単純に、彼の個性的な才能とか、勉強を一生懸命頑張れる彼の才能に焦点を当てて番組で取り上げようと決めました。こういうことをやれる番組ってそんなに多くはなくて、「マイノリティーだから何だっていうんだ」「みんな違ってみんないいよね」と心に決めている番組だからこそできたことだと思います。この放送で傷ついた人は誰もいないし、彼の様子を見たらむしろ勇気をもらうというか、自分も明日頑張ろうって思える。これが『月曜から夜ふかし』の一番大事にしていることが表れたVTRだと思います。
もう一つ例があります。番組では美容整形も扱っていますが、実はこのジャンルはテレビで扱いにくいと言われています。「美容整形できれいになりました、悩みが解決しました」というと全員が成功すると思われてしまうんですが、二重手術で失明する可能性などいろいろなリスクを抱えているからです。でも弊社の考査部のメンバーと協議をしながら、どうすれば美容整形の良さと怖さが両方伝わって、しかもエンターテインメントとして面白くできるかみたいなことを考え尽くして、番組にずっと協力してくれている“フェフ姉さん”の「韓国の歩き方」という形で放送しました。リスクもエンターテインメントにして詳しく説明するなど、普通では扱いにくいジャンルを『月曜から夜ふかし』で放送できた良い例だと思っています。

④モニターからの質問

Q.(高校3年・女子・熊本) 徐さんへの質問です。日本テレビに入社するのはすごく難しかったと思うし、希望する部署にもなかなか配属されないと思うんですけど、どういう経緯で『月曜から夜ふかし』に携わることになったのですか。
A.(徐P) 当時は日本語も上手ではなかったので、入社面接で内定をもらうために「中国とのビジネスで日本テレビに貢献できます!」と言って内定をいただきました。入社後は研修がたくさんあるのですが、どこに行っても「私、『夜ふかし』が好きです!『夜ふかし』がやりたくて、海を越えて日本に来ました!分かりますよね?『夜ふかし』です!!!」と。『月曜から夜ふかし』は結構大変な番組で、新卒や1年目で配属されることは結構珍しいのですが、私の勢いと本音を見せて、そのまま配属されました。

Q.(高校2年・女子・青森) TikTokやYouTubeショートなどのSNSに番組の“切り取り動画”が無断転載されています。デメリットだけじゃなくて、勝手に宣伝してくれるメリットもあると思いますが、どう考えていますか。
A.(沢田P) SNSで違法に転載されることによって、コンテンツを作った人や出演した人に本来配分されるべきお金が配分されていないことが、僕がプロデューサーとして唯一申し訳なく思い、またモヤモヤしているところです。正直、制作したものはできるだけ多くの人に触れてほしいなと思っていますが、頑張って作った人や出演してくれた人に、たくさん見てもらったことを還元したいと思っています。
(矢野CP) 出演者は「『夜ふかし』なら良いですよ」と言ってくださっていますが、思わぬ形でずっと流れ続けてしまうと、勇気を持って出演したのに不本意なことになってしまいます。私たちもとても心を痛めているし、プラットフォームの方々にもその責任を感じてほしいと思っています。

Q.(高校2年・男子・神奈川) インタビューの難しさと大変さを感じましたが、テロップやマツコさんのリアクションなどでその人の特徴的な部分を面白がることは、本人に許可を得ているのですか。
A.(沢田P) すばらしい質問ですね。番組の放送枠が深夜から夜10時の全国ネットの枠に移動したことによって、見る人が格段に増えました。番組の影響力が上がるとなったときに一番気にしたのは「放送によって悲しい思いをする人がいないこと」です。そこで番組としてやり始めたのは、マツコさんや村上信五さんのリアクション、演出的なテロップやナレーションを編集で入れたら、必ず取材をした方にその内容を相談して、了承いただけたものだけ放送するということです。番組制作スタッフの労力はとても大きいですが、そこまで丁寧にやって放送しています。もちろん「それはさすがにやめてください」と言われることもあります。でもその積み重ねをしているから何とかここまでやってこられている。「悲しい思いをする人がいないこと」を大事にしているので、そうやって番組を作っています。

Q.(高校3年・女子・奈良) いつも中国のコーナーがとても面白いなと思っています。アメリカや他の国でも、とても個性豊かに自由に生きている人がいるので、いろんな国でもロケをされたらいいなと思っています。
A.(徐P) ありがとうございます!次の企画書の中に一番でかいフォントで書きます!
(沢田P) 番組の放送後、中国でびっくりするほどたくさん見られているんです。違法な方法ではあるので、もろ手を挙げて良いとは言えないですが、すごい反響なんです。こういった日本のバラエティーという独自の文化が海外でヒットしてほしいという気持ちは強くあって、その足がかりになれる番組だなとも思っています。ドラマや映画などといったストックコンテンツは海外に出ていきやすいですが、こういったバラエティー番組が海外でヒットする例はあまりないので、今いろいろと考えているところです。

Q.(高校3年・女子・熊本) 私自身、中学生のときに比べてテレビを視聴する回数が減りました。近年“テレビ離れ”という言葉をよく耳にしますが、ここ10年ほどで番組制作に対する思いや視点の変化はありましたか。
A.(沢田P) それは毎日、本当に考えています。2011年に入社したときと比べても、1回の放送に対しての視聴者のリアクションがすごく少なくなってきていて、毎日とても寂しい思いをしています。非常に残念だし何とかしなきゃいけないけど、どうしようもないみたいな思いもあって。こうなってしまった理由は幾らでもありますが、自分たちで何とかしなきゃいけないと、本当にいろんな手を尽くしています。
(徐P) 最近の視聴率は実際にとても低い数値ですが、実は、中国からは日本のコンテンツはそう見えてはいない。日本のコンテンツは国際的な舞台で戦うときに依然として強いんです。クリエイティブな人がたくさんいて、それでも地上波でそんなに膨大な利益を出していないのはすごく残念だと思うし、これからはビジネスモデルを変えていくべきだと思っています。ぜひ楽しみにしてほしいです。
(矢野CP) テレビにしかできないことって絶対あって、報道や災害時の放送、YouTubeでは難しい規模のドキュメンタリー、あとはとにかく面白いものを100人がかりで作るとか。テレビにしかできないものをしっかりと作れば、それは必ず届くと信じています。これからも何が求められるかを考え抜いて、多くの方に「たまにはいいよね」と思ってもらって、そして“たまに”が重なって「何か見ちゃうよね」となるような、視聴者に近いメディアでいられるといいなと思っています。

Q.(高校3年・女子・熊本) さきほど、徐さんがおっしゃっていた「ビジネスモデル」が気になっていますが、今の時点で具体的な展望はありますか。
A.(徐P) 社内にはいろいろな部署がありますが、現状ではまだ、そこで働いている皆さんと何をどこまでできるのか、できないとしたら理由は何なのか、を探っている段階です。
(沢田P) テレビって1億2,000万人に同時に届けられるメディアとしての広告価値があったんですが、それに代わるようなビジネスモデルを今テレビ局は持っていなくて、それをみんなで必死に探しています。例えば映画や、テレビ発のオーディション番組で新しいスターとともに利益をつくっていくなど、多角的に仕掛けていって、どれが未来の基軸になるかを探っているような段階です。

Q.(高校1年・男子・長崎) 単純な質問ですが、番組のネタって切れたりすることありますか。
A.(徐P) もちろん非常にあります。ご当地問題ももう12年もやっていて何もないし、心理テストももうないし。「街行く人のお豆腐グルメ」といった変化球も視野に入れたりしています。
(沢田P) 一番時間をかけているのはそこで、「来週何を放送しよう」「再来週は何を放送しよう」って日々考えています。毎週ネタをつくっています。テレビマンがほかの仕事の人たちと違って一番長けているのは“発想”という部分かもしれません。

⑤委員長から

(榊原委員長) とても印象的だったのは、やはり人手とお金とアイデアのかけ方がSNSとは全然違うというところです。是非アイデアをどんどん出して、中国だけでなく世界中の人がお金を払って見るようなコンテンツを制作してほしいと思いました。

(菅谷アナウンサー) 『月曜から夜ふかし』は非常に人気がありまして、オリンピックのウラでも高視聴率を獲得していて、単純計算にして600万人ぐらいが見ています。東京ドームで1試合野球をやると5万人が見ますが、120試合やってようやく600万人、その数の人が1時間のうちに一斉に見るということです。そんな状況だからこそ、誰もが楽しめる、誰もが傷つかない番組を考えなければいけないのだというところが、今日の3人の話だったと思います。本日はありがとうございました。


第2部 BPO青少年委員と高校生モニターとの意見交換会

【テーマ1】 今のテレビと昔のテレビ、どっちが面白い?

 中高生モニターの毎月の報告の中には「前の番組の方が…」「昔の番組は…」という言葉がよく出てきます。“今”と“昔”で、どちらのテレビの方が面白いと感じているのでしょうか?高校生モニター12人と委員5人に挙手してもらうと…以下の結果となりました。

「今のテレビの方が面白い」…5人、「昔のテレビの方が面白い」…12人

「今のテレビの方が面白い」と思う人の意見

  • (高校2年・男子・神奈川)まず前提として、動画で簡単に自分の見たいものを見ることができる今と、僕が生まれる前のテレビしかなかった昔とでは、面白さの感じ方が違うと思います。それでも、昔よりも出演者の体のことや権利を考えて改善を重ねた結果が、今のテレビだと思っています。最近、学校ぐるみだとか、僕たちの身近なところで撮影する番組が増えてきたので、そういうところで僕は今のテレビが面白いなと感じています。
  • (高校2年・女子・愛媛)昔の番組の再放送と比べると、今の番組の方が全然安心して見られます。さきほど話が出た体についての権利もそうですが、私は争い系や戦争系があまり好きではないので、今の番組の方が安心できるし面白いなと感じます。
  • (榊原委員長) 今の方が断然良いですよ。昔のテレビは14インチが一番オーソドックスだったし、モノクロしかないし、23時になるとテストパターン(試験電波放送)になって番組が終わってしまった。またチャンネル数も少なかった。昭和30年代はそんなもんでした。比べるどころじゃなく、質、量ともに今の番組の方が面白いです。
  • (高校1年・男子・兵庫) SNSやYouTubeが台頭してきたあと、テレビは良い影響も悪い影響も受けているとは思うんですけれど、良い番組が増えたのかなと思っています。例えばオーディション番組は昔あまりなかったなと思うし、SNSでアイドルグループが普及した影響かなと思うので、そういった番組は良い影響を受けていると思います。

「昔のテレビの方が面白い」と思う人の意見

  • (高校3年・女子・奈良) 昔と言っても十数年前、『宝探しアドベンチャー 謎解きバトルTORE!』(日本テレビ)という番組がありましたが、とにかくセットがすごかったイメージがあります。タイムリミットまでにクイズを解かないと壁に挟まれるとか、球を穴の中に入れられないとミイラにされるとか、今考えてみるとあのときの大規模セットはやっぱりテレビにしかできなかったのかなと思います。今の番組は街頭インタビューとかが多くて、そういうのはYouTuberや一般人も最近出ている良いマイクでできますが、あの大規模セットはすごく良かったなと思います。
  • (高校1年・男子・長崎) 僕は『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!絶対に笑ってはいけないシリーズ』(日本テレビ)がなくなったのが一番寂しかったです。あんな大規模番組が年末にあるのはとても楽しみだったのになくなってしまったから、昔の番組の方が面白かったと思います。
  • (高校2年・女子・青森) やっぱり年越しは『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』を見ながら、年を越したタイミングを分からないまま時計見たら「あ、もう年越しているわ」みたいな、そういう年越しが好きでした。笑ったら本当に叩かれるので、やっぱりコンプライアンスとか時代には合っていないのかもしれないけれど、笑いのレベルは高かったのでもう一回見たいなという気持ちはあります。
  • (佐々木委員) 僕は学園モノ(ドラマ)が大好きでした。『これが青春だ』(日本テレビ)とか『青春とはなんだ』(日本テレビ)など、熱血教師の番組があった。それを見て「じゃ、今日は遊ぶか!」みたいに真似をする先生もいて、そういう型破りな先生が大好きで、だから私は学校へ行くのが楽しかったんです。今はそういう番組がなくつまらないかな。陰湿ないじめとかスクールカーストといったテーマが多くて、暗くなっているようにも思います。最近でいうと『ドラゴン桜』(TBSテレビ)のような番組がいっぱいあれば、全国の中高生ももっと頑張れるんじゃないかなと思っています。
  • (高校1年・女子・岐阜) 昔のドラマでは『GTO』(関西テレビ放送)は笑えるところや面白いところが多いです。今のドラマも面白いですが、今ではあまり感じられないことが『GTO』では感じられて面白いです。例えば校内の喫煙シーンがあったりして、何かちょっと不思議な感じがします。
  • (高校3年・女子・栃木) 最近ゴールデンに放送されているバラエティー番組『それSnow Manにやらせてください』(TBSテレビ)について。昔、Paravi(動画配信サービス)で配信されていた頃はメンバーが体を張るような地方ロケが多かったんですが、最近はスタジオのダンス対決とかでちょっと軽く済ませている感じがあって。昔みたいな大規模ロケや、地域の人との交流が増えればいいと思います。
  • (飯田委員) 年越し番組の話がありましたが、僕も個人的には、昔の方がよかったとは思います。若い頃は、大みそかに『絶対に笑ってはいけないシリーズ』を友達の家で見ていましたが、番組自体の面白さの水準は別にして、家族や友人みんなで盛り上がれるという経験がなくなってきたのは確かです。あるいは『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』の放送翌日、学校に行く電車の中で友達と番組の話題になることが普通でしたが、今はそういう経験があまりないというのが、昔と大きく違うところですね。
  • (吉永副委員長) 私はテレビがない時代、ラジオしかなかった時代を知っています。テレビが初めて「家に来た」とき、すべての情報がテレビから得られるようになったという強烈な印象が残っています。それからしばらく、テレビがすごい試行錯誤をして面白い番組を手探りでたくさん作っていった、そのバイタリティーや面白さを感じていました。もう一つは自由度。昔は本当に不適切極まりないものが平気で放送されていて、『8時だョ!全員集合』(TBSテレビ)にもPTAが毎回文句を言っていましたが、それでもみんな「あれが面白いんだよね」と逆らって見ていたわけです。昔のテレビの方が圧倒的に自由度は高かった。また出演者についても、30年前は何を言っても構わないという「表現の自由」に傾いていた感じがしますが、今は「これを言ったらまずいんじゃないですか」というのがどうしても先にきます。“思いやりの社会”ではしかたないですが、コンテンツの幅がすごく狭くなっている印象です。昔の番組の方がエネルギッシュでした。

昔の“面白さ”と今の“面白さ”、これからの番組で両立できると思いますか?

  • (高校2年・男子・神奈川)  大規模な番組は当然お金がかかるし、視聴率が取れないと元が取れないと思うんですが、そのためにはもう少しテレビの方に興味関心が向けられなければならないと思います。SNS利用者が自由に発言できる今だからこそ、テレビという大勢の人に発信するメディアの自由度が低くなっているんだと思います。最近だと『新しいカギ』(フジテレビ)は本当に見ていて面白くて、「学校かくれんぼ」の企画も大掛かりかつ安全なものだし、こういった番組が増えたらいいんじゃないかと思います。
  • (高校3年・女子・熊本) 視聴者が求めるものと番組が提供したいもののバランスが大切なのかなと思いました。例えば『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)は世界中に出ていくのをコンセプトにした番組なのにコロナの時期はそれを批判されて、国内の企画で従来の番組らしさを追求するのはとても大変だったと思います。でもこの番組に限らずどの番組も、世間の声を受け止めようとし過ぎて臆病になっている感じにもなっていて。世間の声を受け止めてこそ視聴率につながるのかもしれないけれども、あまり受け止め過ぎて本来できていたことができなくなっているんじゃないかなと思います。コンプライアンスとか気にしすぎずに、もう少し踏み込んだことしてもいいんじゃないかと思います。
  • (高校1年・男子・長崎) SNS上だけで有名な人、例えば大掛かりなことをする有名なYouTuberをテレビに出したら、SNSとテレビがどちらも良い関係で発展できるのではないかと思います。
  • (高校3年・女子・奈良) 放送メディアって災害やニュースを伝えるのも大きな役目だと思うんですが、大切な娯楽でもあると思っています。例えば『月曜から夜ふかし』を仕事や学校終わりに見て明日からまた頑張るとか、そういう人がたくさんいると思うんです。例えば20~40代が昔見ていた番組、テレビが娯楽だった時代の番組を再放送やアレンジ放送をして、親子で「昔はこういう番組があったんだよ」という話ができたら、家族団らんにもなって楽しいかなと思います。
  • (池田委員) 様々な視点から意見を出してくれてありがたいです。多くの人が挙げてくれた放送とネットとの連動は大きな課題で模索が続いているところです。SNSやYouTubeをたくさん見ているデジタルネイティブ世代のみなさんから、どんどんアイデアを出してほしいと思っています。

【テーマ2】 放送局にどうしても伝えたいことは?

放送局に対して、こう改善してほしい、こうあってほしい、こう変わってほしいなど、どうしても伝えたいことについて高校生モニターに意見を述べてもらいました。

  • (高校1年・男子・長崎) 最近アニメを見始めたんですが、アニメでは1期・2期があるにも関わらず、テレビでは2期からしか見られないことがあります。テレビでも1期から放送してほしいです。
  • (高校2年・男子・神奈川) インターネットの記事で、番組の収録中に出演者がケガをしたことや、番組への批判が出演者に直接寄せられていることを最近見ました。出演者が自殺してしまったケースも以前あったと記憶しているので、踏み込んだ番組は面白いかもしれないですが出演者への影響も考え続けてほしいです。
  • (高校3年・女子・熊本) 13年前に放送された『家政婦のミタ』(日本テレビ)がとても印象に残っています。リアルタイムで見たときは小さかったのでシリアスな場面にヒヤヒヤしたけれど、最近配信サービスアプリで視聴したときには家族や人としての在り方を考えさせられる番組だと思いました。インターネットで調べて「今の時代にそぐわない」という意見や「暴力的なシーンが多いから地上波では再放送できない」という情報も見ましたが、私のように良いと思っている人に向けた再放送も検討してほしいです。例えば深夜帯にひっそり再放送するなど、何か手を打っていただければなと思います。
  • (高校3年・女子・奈良) まずは食事の時間帯にグロテスクな映像を流さないでほしいです。例えば『世界の果てまでイッテQ!』で急に蛇やカエルが出てきますが、個人的にカエルが苦手なのでワンクッション欲しいなと思います。また私は国際情勢に興味があるんですけれども、昔から続いているパレスチナ問題などでも今は情報がどんどんアップデートされているので、今起きている複雑な国際情勢を簡単に解説してくれる番組を作ってほしいです。
  • (高校2年・男子・山口) 先日、東京都知事選挙がありました。過去最多の56人が立候補しているのをテレビがどのように報道しているのか見ていましたが、本当は56人を平等に報道するべきところを、人気のある4人がピックアップされていてそれ以外には見向きもしない。テレビとしてあまりよくないところが出ていたなとは感じました。テレビで報道されずYouTubeで配信していた人が1~2万票獲得していて、SNSもテレビに負けない強いネットワークなんだとすごく感じました。
  • (BPO事務局長) 選挙というのは誰でも立候補できますし、公職選挙法に基づく“政見放送”では、放送を希望した51人の主張がそのまま放送されました。メディアの役割は、都政を担う可能性のある人の人となりや政策を、限られた時間の中でできるだけ分かりやすく伝えることだと思います。そうすると候補は絞らざるを得ません。一方で、今回の選挙についてはメディアに多くの意見が寄せられましたし、メディアはそこから多くを学ばなければなりません。モニターの皆さんにもどんどん意見を出していただきたいし、そうして出していただいた意見が、テレビの選挙報道を変えていくと思います。
  • (池田委員) 選挙報道について法律の面でお話をすると、放送法では“政治的な公平”が求められています。「公平に放送してください」と法律は謳っています。ただそのときの公平が何を意味するかというと、量の公平ではなくて質の公平なんです。量の公平というと、例えば56人の候補者に全員同じ時間ずつ話をさせろということ。しかし質の公平については、各放送局それぞれの判断に任されています。主な候補者として4人選ぶか6人選ぶか、何をどう議論するのか、ピックアップして何かを語らせるのかは各放送局で考えて判断することなんです。“政治的な公平”とは、質的公平だということを補足しておきますね。
  • (司会・BPO事務局) 選挙報道について、事務局長は放送局の記者の立場で、そして池田委員は弁護士の立場で話してくれましたが、SNSも含めて多くの情報に触れている高校生の皆さんはまた違った感想を持ったかもしれません。「不思議だな」「なぜだろう」と感じたことが、今後の放送を変えるべき“種”になるかもしれないので、これからもいろんな人の話を聞きながら放送に関する考えを深め、私たちに伝えてください。

【本日のまとめ】

(吉永副委員長) この5年間、新型コロナの影響でモニターの皆さんとリアルで対面することがなかったので、今回実現できたとことを大変うれしく思います。「百聞は一見にしかず」と言いますが、放送の現場を実際に見て、これだけ多くの人が必死に放送を作り上げていることを知った後では、また少しテレビとの距離感が変わってくるのかなと思います。『NHK紅白歌合戦』の視聴率が80%で日本国民のほぼ全部が『紅白』を見ていたような“テレビの時代”から、今は視聴率10%取れたら御の字という世界に変わってきて、それが本当に私たちにとって幸せなのかどうかという検証はすごく大事だと思います。ちなみに私は元々新聞業界にいましたが、今は新聞を読んでいない若い人たちがたくさんいて、先日も毎日新聞が富山県内での配送を休止するとの報道にびっくりました。配送していた部数を聞いたら840部だったということですが、他県もそんなに変わらないそうです。新聞業界も危機に瀕しています。新聞社にも社会部もあれば外信部もあるし、紙面には政治面も家庭面も健康面もある。でも総合的に私たちにきちんとした情報を届けてくれる新聞も、あしたの運命はどうなるか分からないよう状況になっています。話は戻って、総合的に情報を伝えるテレビもまた、通信との関わりの中でどうしても厳しい状況になっています。NHKは人口が減れば当然予算も減ります。民間放送においても、企業は「10%しかテレビを見ていないならば、通信の方に広告を出します」という話になりますよね。大きなお金をかけてたくさんの人を使って素晴らしくクオリティーの高い番組を提供したいという気持ちがあっても、物理的に不可能になってしまうということが、これから先あり得るのです。このような状況で、今まで持っていたパワーをどう維持するのかが、放送の世界にとって大きな試練になっていくと思います。皆さんがこれから生きていくうえで、しっかりした情報をたくさん得るということはとても大切です。今の状況がこれから長い人生を生きる皆さんにとって本当に幸せなのか、どうしたら自分たちのきちんと知る権利を確保して間違った判断をしないようにできるのか、を是非考えていってください。このモニターをしてくださったご縁もありますので、これからも放送について、厳しくも温かい愛情のある目線でレポートを送っていただければなと思います。

(榊原委員長) “自由”で“平等”であるということは、“みんな同じということではない”ということです。みなさんが一番見たい番組もそれぞれ違うわけで、「ドラマが見たい」「“ガキ使”が見たい」という欲求が全部満たされるかというと、放送業界のキャパシティーとして時間も人も足りないのが現状です。一方で、現在SNSが流行っているとはいえ、先ほど『月曜から夜ふかし』は毎週600万人が視聴しているという話がありましたが、公共的に情報を流すものとしては現在でもテレビが圧倒的に強いですし、1つの放送局でもそれだけの影響力があります。この影響力というのは、先ほど言った自由や平等、報道の自由やあるいはいろいろな情報を得る権利などに関わった人びとが、鋭意努力した結果だと思うのです。みんなそれぞれ見たいものは違いますが、どのようにバランスをとっていくのかということが重要です。BPOは若い世代の意見を各放送局に届け、ウェブサイトにも載せています。みんながある程度満足し、大きな不満がなく争いもなく、情報を自由に見ることができ、発信する方にも自由度がある。そういう放送を保障していく活動をしていかなくてはいけないと思っています。またモニターの皆さんも、テレビやラジオのモニターではありますが、実際にはこういう大きな国や集団の在り方みたいなものを、ここで垣間見ることができるのかなと思っています。私が若い頃、情報はテレビの報道から入ってくることが多かったのですが、今はインターネットやSNSとどう折り合いをつけていくかという時代です。モニターの皆さんに若い世代を代表して意見を言っていただくことは、現在の番組作りだけでなく、将来成人して社会の構成員になったときにどういった考えを持つかにおいて大変重要です。皆さん個人にとっても、重要な経験になると私は信じています。今日は遠いところからも来ていただいて、本当にありがとうございました。


モニターへの事後アンケートより

【日本テレビ社内見学 について】

  • 『ヒルナンデス!』の生放送中にスタジオに入ったときは、裏で働いている人の多さに驚いた。番組の裏の部分(特にカメラや照明など)を見ることができたことや、自分が興味のあったニュース番組の席に座れたことは、とても良い経験になった。(高校1年・男子・兵庫)
  • まさか生放送中のスタジオに入れるなんて思ってもいなかった。『ヒルナンデス!』のスタジオでは出演者の声が小さくあまり聞こえなかった。音声さんは重要だと身をもって感じた。伊藤遼アナウンサーが、私たちが後ろを通るときに「こんにちは」と言ってくれた。めちゃめちゃ好きになった。(高校2年・女子・青森)

【日本テレビ『月曜から夜ふかし』制作者との意見交換会 について】

  • コンプライアンスが厳しい令和にこの番組が生き残った理由は、相手の気持ちをよく理解することだと分かりました。これは自分にも必要なことで、相手の気持ちを分かっていなければ相手を傷つけてしまう可能性があるので、大切にしていかなければならないと思いました。(高校2年・男子・山口)
  • プロデューサーが一人で一つの番組を担当するものだと思っていましたが、他の方も含めて100人以上という多くの方が携わっており、驚きました。本当に努力の結晶でできている番組だと思います。私の将来の夢の一つに「番組プロデューサー」があります。私はみんなで一つのものを作ることが大好きです。テレビ局で働くこともいいなと思いました。改めて番組プロデューサーという仕事も人々を笑顔にできてすてきだなと感じました。(高校1年・女子・岐阜)

【青少年委員との意見交換会 について】

  • 同世代のモニターからの意見はとても興味深いもので、とても良い刺激になった。“今のテレビ”と“昔のテレビ”の比較では、人によって異なる“面白さ”や“安全・倫理”といったものに対する見解を聞くことができた。自分は「今のテレビの方が面白い」と言ったが、「『ガキ使』が面白かった」「昔のテレビは面白いが過激である」といった意見には納得できた。また、そこに対する委員の先生方の意見が的確で、それぞれの方々が持つ肩書からくる深いものでもあり、テレビに対して一段と興味を持った。(高校1年・男子・兵庫)
  • 話し合うことでテレビにとって大切な部分にはなったのではないかなと思います。特に大きな何かが動くという訳でもないけれど、テレビの本質を再認識することができたんじゃないかなと改めて感じました。(高校2年・女子・愛媛)

以上

2024年3月26日

2023年度「中高生モニター会議」

◆TBSテレビオンライン見学会概要◆

BPO中高生モニター18人がTBSテレビオンライン見学会に参加しました。TBSからの生放送スタイルで、スタジオのセットや水素中継車の説明があり、報道局、コンテンツ制作局の仕事や、番組がどのように作られているかについて学びました。

①スタジオ見学と報道局の仕事について

TBSの赤荻歩アナウンサーが、「ラヴィット!」や全国に向けてのニュース番組を放送するNスタジオに参加者を(オンラインで)案内し、セットの裏側やサブ(副調整室)の説明、画像を切り取るクロマキーの実演などを披露してくれました。

次にニュースを担当するTBS報道局員2名から報道局の仕事についての説明がありました。能登半島地震を体験した福井県の中高生モニターとのやりとりでは、その時の様子を語ってもらう場面があり、「(テレビがみんな)報道特番に切り替わったことが嬉しかった」との感想がありました。これに対して報道局員の2人からは「一番大切なのはニュースへの信頼です」「地震などの情報をきちんと正確に早く伝えていく役割をこれからもテレビが果たしていかれるように頑張りたい」との返答がありました。

②水素中継車について

新人のTBS南後杏子アナウンサーがTBS放送センター駐車場から、SDGs活動に貢献する世界初の水素で動く放送中継車「HR-ZERO」を車内の隅々まで紹介してくれました。

この中継車は水素ガスを燃料にしており、燃料電池との化学反応により生み出された電気を使って、車自体と放送機器の両方を動かしているため、排気ガスはゼロであること。また、駅伝中継で活躍するこの中継車は、①走っているランナーにやさしい②低騒音・低振動でとても静か③青色の車体がランナーのいやしになる。そして、水素燃料満タンで走行可能距離は380kmであることなどの説明がありました。

③バラエティー番組作りの舞台裏について

再び赤荻歩アナウンサーがTBSテレビで多くの人気バラエティー番組を手掛ける現役のプロデューサー2人と座談会形式で中高生モニターにバラエティー番組作りの舞台裏について説明があった後、質疑応答の時間がありました。

(中高生モニターからの主な質問とその回答)

Q.「レギュラー番組はどれくらいの準備期間をかけて作られるのですか?」
A.「情報番組は1~2か月掛けて作っているものが多いです」

Q.「ドラマは放送開始のどれくらい前から準備しているのですか?」
A.「早いと1年以上前から作業をして撮り始めているものもあります」
     「海外ロケの大型ドラマは2~3年前から準備します」

Q.「グルメ紹介のバラエティー番組で訪れる地域はどうやって決めますか?」
A.「季節的に視聴者が行きたくなるような場所を放送時期に合わせて逆算して決めます」

Q.「番組の企画はどういうきっかけで思いつくのですか?」
     「面白い番組を作るコツを教えてください」
A.「好きな事や興味のあることを自分の中にストックして(寝かせて)いくと”発酵”して、
        ある時にアイデアとして立ちあがるのではないかと思っています。自分が面白いと思った
        ことを素直に感じることが大事だと思います」
     「自分で見たいやりたい行きたいことを頭をひねって考えて実現させます」

反対にTBS側から「どういうタレントさんを番組で起用しやすいと思うか?」と聞かれた中高生モニターは「自分が見ている番組はお笑い芸人さんが出演していることが多く、お笑い芸人さんが起用しやすいのではないか思っています」と返答しました。

最後に赤荻アナウンサーから「皆さんの想像を超える多くの人たちがたった数秒のために、そして一つの番組のために日々全力でこだわっております。どうしたら難しいニュースを少しでも分かりやすくお伝えできるか、どうしたらワクワク楽しんでもらえるか日々考えております。みなさん、是非ともテレビをたくさん楽しんでいただきたいと思います。これからもテレビをよろしくお願いします」と締めくくりました。

活発な質疑応答があり、あっという間に1時間のオンライン見学会は終了しました。この日の見学会は、参加した中高生モニターたちがテレビ局のプロの仕事に触れる貴重な機会となったと同時に、1年間のモニター活動の最後を飾る素敵な思い出になったことだと思います。

◆中高生モニター会議(意見交換会)概要◆

3月26日にオンラインで中高生モニター会議を開催しました。中高生モニターと委員が交流を深め、この1年間のモニター活動を振り返る意義のある会となりました。会議には全国の中高生モニター18人と、青少年委員会からは榊原洋一委員長以下、8人の委員全員が出席しました。

各自の自己紹介のあと、この1年間をBPOモニターとして活動した中高生からの質問を中心に委員との意見交換がありました。

まず、中高生モニターから「この1年間にさまざまなニュースや報道がありましたが、その中でもいちばん印象的だったものは何ですか」との質問があり、山縣委員から「戦争でいろいろなものを奪われていくウクライナの子どもたちの映像です。これを世界がどう支援していくのか、またその映像を見て間接的に心を痛めている世界の子どもたちへの影響や今後について考え続けたいと思います」と、また髙橋委員からは「私は東日本大震災を仙台で経験しているので、1月に起きた能登のような地震がいつどこで起きるかわからないと強く感じていて、あらためて報道の在り方を考えたところでした」との回答がありました。

また「委員の皆さんが興味を持って見ている番組、好きな番組は何ですか」との質問に対して、吉永委員から「ドラマが面白いと思います。ドラマは昔と比べて撮り方もテーマも変わってきています。毎クール、ドラマの初回放送を全部録画して見ます。2話目まで見るのは半分くらいです。どのドラマが最後まで残るのかなと楽しんでいます。今クールのドラマでは、昭和世代としてあの時代は何だったのだろうという思いも含めて『不適切にもほどがある!』が一番面白いです」との返答が、佐々木委員からは「妻と元気に幸せに暮らせるような番組を録画して一緒に見ながら、コメントが入った時にはそこでいったん止めて喧嘩せずに番組を見ています。それから外国のスパイが日本の状況を知りたいときに真っ先に見るのは昼のバラエティー番組だということを聞いたことがあり、私は毎週、『ひるおび』を録画して全部見ています。若者の考え方もわかるし、今流行っていることもわかるし、とても役に立っています」との回答がありました。この質問をしたモニターからは「世代の違うみなさんの違った視点を知ることができて、とても興味深かったです」との感想がありました。

「委員の皆さんが最近、テレビやラジオを視聴して感じているマスメディアの課題は何だと思いますか?」との質問に、沢井委員は「私は子供向け番組を作っていますが、伝えたい真実にどれだけ正直になれるかだと思います。今起きているマスメディアの問題は、ウソついちゃいましたとか、大げさに言ってしまいました、ということがたくさん起きています。視聴者に嘘だと見透かされやすいテレビというメディアでは、正直に誠実に報道する、真実を見せていくことが大事だと思います」との回答が、また飯田委員からは「今月のモニターレポートに、“視聴者の意見が放送局に届くというのはクレーマーのイメージしかなかったが、モニターをやってみて、それとは違うあり方に気づくことができた一方で、SNSのつぶやきも視聴者の意見ではないのか”、“そのほうが圧倒的に多くて、モニターの意見はすごく少ないというのはどう考えればよいのか”と書いていた方がいました。たしかに、ネットの声をどう評価するか、どう受け止めるかがマスメディアの課題のひとつとして非常に大きいと思います。放送局が大事なニュースだと思っていてもネットではほとんど話題にならなかったり、その逆の場合もあったりします。何をニュースとして取り上げるかの判断基準はSNSの出現によってずいぶん揺らいできていると思います。BPOにも多数、SNSで #BPO案件 として拡散された意見が送られてきます。BPOのあり方も、こうした変化をしっかりフィードバックしながら考えていかねばならないと考えています」との回答があり、質問したモニターからは「第一人者の意見には重みがあるなと感じました」との感想がありました。

続いて「テレビ・ラジオで伝えるニュースと、ネット・週刊誌で伝えるニュースはどう違うのか?」との質問には、BPO事務局から「ネットのニュースは一般的にテレビ局や新聞社が取材したニュースをネット向けにわかりやすく並べ直しているケースが多いと思います。自分でネットのニュースとテレビのニュースを見比べてみてください」との説明がありました。

最後に「テレビと週刊誌は棲み分けをしているのでしょうか?」との質問には吉永委員が「結果的に棲み分けになっている面はあるのかもしれませんね。テレビや新聞ではできないことを週刊誌でやっている。テレビや新聞と週刊誌を合わせて見ることで、表と裏で何が起きているのかがわかると思います。信憑性ということで言うと、ネットや週刊誌はテレビや新聞よりも緩いというか自由というか、許されてしまう幅があるのかなと思います」との説明があり、榊原委員長からは「テレビや新聞の記事にはたくさんの人の手が入っています。それに対してSNSは個人でも自由に書けます。たくさんの人の手が入ることで、良くも悪くも全体的に平準化しますが、比較的安定化するのではないかと個人的に思います。メディア・リテラシーがきっちりしていれば、報道する側が好きなことを言っても聞く側で取捨選択できます。最終的には一人ひとりが判断していくことだと思います」と述べて質疑応答が終わりました。

会議の最後に、榊原委員長と緑川副委員長から以下の一言がありました。

(榊原委員長)
これからの長い人生、間口を広くしてたくさんの情報を取り入れ、生きていっていただきたいと思います。本日はありがとうございました。

(緑川副委員長)
本日は長時間にわたってモニター会議に参加していただき、お疲れさまでした。私たちもいろいろと勉強になり刺激を受けて、大変良い時間が持てたことに感謝しています。BPOはテレビとラジオに対する第三者機関として活動しています。みなさんはこれから大人になっていきますが、その時にどういう社会になっていくのかは重要なことです。憲法では表現の自由が保障されています。これは私たちがどういう社会を作っていくかについて、みんなで意見を出し合って考えていくために重要な権利として保障されているものです。テレビやラジオは、社会について考えたり、自分の意見をまとめるときに、今、社会がどうなっているのかを伝えてくれる役割を果たすものです。そういう意味でテレビやラジオは私たちが社会について考えていくために必要な情報を得るための大切な基盤であり、信頼できる情報源のひとつです。テレビ離れと言われていますが、ネットやSNSだけでなく、テレビや新聞など様々なチャンネルから、自分に興味がないと思えるようなものでも見てみることを心にとどめて、これからもたくさんテレビを見ていただきたいと思います。

以上

2024年度「中高生モニター」募集のお知らせ

2024年度「中高生モニター」募集のお知らせ

募集は締切ました。

BPO・放送と青少年に関する委員会[青少年委員会]では、2024年度「中高生モニター」を下記の要領で募集します。モニターには、毎月1回、様々なジャンル(バラエティー・ニュース報道・ドラマなど)の番組をテーマに、率直な意見や感想を送ってもらいます。報告は、青少年委員会の議論の参考となり、各放送局にも送られます。任期は1年です。

 応募要領

  • 【任期】 2024年4月~2025年3月

  • 【応募条件】

    • (1) 上記の任期中、中学1年生から、高校3年生までであること

    • (2) 保護者の同意を得ていること

    • (3) テレビやラジオに関心があり、月1回放送に関する意見を報告できること
      ※上記に加えて、青少年委員会が実施するアンケート調査等に協力していただく場合があります

  • 【募集人員】 30人程度

  • 【応募方法】
    • 専用の応募用紙に氏名・住所・年齢・学校名・電話番号・メールアドレス(ある方)・「モニター応募の理由」など必要事項をお書きいただき、必ず保護者が署名および押印を行ったうえで、以下の宛先までご郵送ください。
      応募用紙(PDF形式)は、ここをクリックしてプリントアウトしてください。

    • ※いただいた個人情報は、モニター申し込みに関する受付確認やモニター運営業務のために利用いたします。ご本人の同意なく目的外で利用したり、第三者に開示したりすることはありません。

  • 【応募締切】 2024年1月24日(水)※当日消印有効

  • 【あて先】

    〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町1-1 千代田放送会館7階
    BPO・青少年委員会 中高生モニター係

  • 【採用決定】
    採否については、2023年3月下旬までにご連絡します。

  • 【報告への謝礼】
    月々のリポート提出者には、毎月図書カード1000円分をお送りします。

  • 【報告の公表】
    毎月送っていただくモニター報告は、BPO会員の各放送局に送られるとともに、BPOウェブサイト等に概要を公表します。


以上

「中高生モニター制度」について

このたび、2024年度「中高生モニター」を募集するにあたり、制度のご説明をさせていただきます。

放送倫理・番組向上機構[BPO]の放送と青少年に関する委員会[青少年委員会]では、青少年の育成に資する放送の在り方について、一般視聴者から寄せられる意見などをもとに話し合いをしています。しかし、一般視聴者から寄せられる意見を年代別に分類すると、青少年からの意見が大変少ないのが現状です。そこで、青少年のテレビ・ラジオに関する考え方や、番組に対する意見を知り、より良い番組作りにつなげるため、2006年4月「中高生モニター制度」を設けました。
毎年、全国の中高生30人前後をモニターに選出し、月に一度、様々なジャンル(バラエティー・ニュース報道・ドラマなど)の番組について、率直な意見や感想を報告してもらっています。中高生モニターのみなさんの「声」は、概要をBPOウェブサイト等に掲載するほか、当該放送局にもお送りし、制作現場に伝えられ、番組作りの参考にしていただいています。

つきましては、上記趣旨をご理解の上、ご協力をお願いいたします。

2022年度 中高生モニター会議

2022年度「中高生モニター会議」

◆テレビ朝日オンライン館内見学会概要◆

2023年3月28日、BPO中高生モニター15人がテレビ朝日オンライン館内見学会に参加して、スタジオのセットやテレビ局の仕事について学びました。冒頭、『大下容子ワイド!スクランブル』の出演者、大下容子、佐々木亮太両アナウンサーからBPO中高生モニターのこの1年間のモニター活動へのねぎらいのメッセ―ジが届くというサプライズがありました。

3人の案内係にガイドされて、まずテレビ朝日第3スタジオを見学しました。このスタジオから3つの生放送番組が同日朝昼夜それぞれの時間帯に放送されているため、短時間にセットチェンジができるよう効率的にセットが組まれている話や、スタジオ数には限りがあるため、週1回放送の収録番組は収録後にその都度セットを撤収していることなどについて説明を受けました。また、『報道ステーション』のセットの詳細を特別に見せていただきました。さらに報道ステーションの映像モニターに生中継スタイルで中高生モニターたちの顔を映してくれました。

次にテレビ局のスタジオで使用されているカメラについての説明が技術スタッフからありました。また、放送が各家庭に届くまでの放送の仕組みについての説明VTRを見た後、スタジオの隣にある副調整室(サブ)を見学し、技術スタッフからサブではどのようなことが行われているのかと、生放送の映像と音声の切り替えについての詳しい説明を受けました。そして、特別に制作した「歓迎!BPO中高生モニターの皆さん」というテロップを映像モニターに表示してくれました。つづいて照明の仕事について照明スタッフから、『報道ステーション』のセットの照明ライトのほとんどがLEDで従来のライトの1/10の電力で節電になっていることなどの説明や、音声スタッフからは、「音声の仕事は各マイクで拾った音声をテレビのスピーカーで聴きやすい音に音声卓で調整することです」との話がありました。

最後に質疑応答の時間が設けられ、モニターから「海外からの中継で生じる音のタイムラグへはどのように対応していますか」との質問があり、テレビ朝日の技術スタッフは「回線センターやスタジオのサブで映像と音声のズレを合わせるなどの努力をしています」との回答が、「『報道ステーション』の大きな鉄骨のセットはどうやって作るのですか」との質問には「トラックでパーツ毎に運んだ後、運搬用の大道具エレベーターでスタジオに入れ、中で溶接している。その際にはスタジオを空けて何日も掛けて作っています」との解説が、「将来、エンタメ業界で働きたいと思っているが、どこで専門知識を勉強したのですか」との問いに対しては「テレビ局で働くにはいろいろなルートがあるが、テレビ局に入って何かやりたいという強い意志があれば専門で学んでいなくても大丈夫です」、そして「電力危機に対してスタジオ照明はどのくらい節電しているのか」に対しては「通常の半分くらいに落としています」と丁寧な回答がありました。

参加した中高生モニターはテレビ局のプロの仕事に触れる機会を得ながら、まるで自分たちが実際にテレビ朝日のスタジオにいるかのようなリアリティ感に包まれる中、あっという間に1時間の見学会は終了しました。この見学会は1年間のモニター活動の最後を飾る素敵な思い出になったと思います。

◆中高生モニター会議(意見交換会)概要◆

同日にオンラインで中高生モニター会議を開催しました。中高生モニターと委員が交流を深め、この1年間のモニター活動を振り返る意義のある会となりました。会議には全国の中高生モニター13人と、元モニター3人、そして青少年委員会からは榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、飯田豊委員、佐々木輝美委員、沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員、吉永みち子委員の8人全員が出席しました。

高橋委員が進行役となり、中高生モニターと委員の自己紹介のあと、「モニター活動で感じたこと」「最近の放送に思うこと」などについて意見交換をしました。

中高生モニターからの「BPOはどういう活動をしているのですか」との質問に対して、事務局からBPO3委員会のそれぞれの役割について説明があり、また「BPOの意見はどのように放送局に伝わっていますか。これまでどのような意見が反映されていますか」との質問には委員長が、ウェブサイトに載る委員会議事概要のこと、「審議」して「見解」などを公表すること、放送局との意見交換会を開催していることなど複数の方法で伝わることを説明しました。

また、モニターからモニターへ「ネットフリックス、アマゾンプライムなどのサブスクリプションを利用しているか」という質問に対して、多数が利用していると回答しましたが、中には全く利用していないと答えたモニターもいました。

つづいて緑川副委員長から、「YouTubeやTikTokなどのメディアを観ていますか。テレビとはどう違って、どう区別して利用していますか」との問いには、「YouTubeはマニアックでテレビでは見られない内容が見られます」「YouTubeでは自分が好きなジャンルだけを見られるが、それでは自分の意見が偏ってしまうので、新しい考え方に出会うという面でもテレビを全く違うものとして区別して使っている」との意見がありました。同様の意見が複数のモニターからありました。

さらに緑川副委員長から、「テレビ離れということが言われていますが、テレビはこうなってほしい、こうすればよいのにと思っていることがあれば教えてください」との問いには、「SNSやYouTubeは面白いコンテンツを作らないと見られなくなっていくが、それに比べてテレビは新規参入もなく変化に乏しい。放送局はもっと新しいメディアになっていかないと難しいと思います」との意見がありました。そのほか、「テレビはSNSとの競争ではなく、テレビの発信力を生かした番組を作るべきです。SNSからの逆輸入はテレビのSNS化を招くので止めるべきです」「不登校の人たちを元気にできる昼間のバラエティー番組が増えればよいと思います」「テレビは他の媒体で見づらいのが欠点だと思います」などの意見がありました。

再びモニターからの「青少年は何か大人と異なると考えていますか。どのような面で配慮が必要であると考えていますか」という質問に対して、沢井委員からは、「例えばテレビで見たことを模倣することについて、科学的なエビデンスを見ながら検討することが大事だと思います」、佐々木委員からは、「模倣に関して子どもたちはブレーキが効きにくいです。仲間と一緒に楽しくやること優先で、たまに事件になることもあります」との意見がありました。

元モニターの3人からは、「モニターの時に感じたモヤモヤ、違和感、感動をこれからも大切にしてほしいです」「常識を知るためにテレビを活用すべきです。たまたま見た時にもいい情報を見られるのがテレビです」「今の若い人たちはSNSなどのことも踏まえて、テレビの意見ができることに感心しました。今のモニターの人たちにもこれからも様々な番組を見て知識を付けて生活に役立てていってもらいたいと思います」との感想がありました。

≪その他、中高生モニターからの感想≫

  • 「テレビを見なくなってきていたが、この一年モニターをやったことでテレビを見る機会が増えました。」
  • 「CMに字幕が付いていないものがあるがなぜか。耳の不自由な方のためにすべての番組・CMにつけるべきだと思います」
  • 「テレビは公平性があり、様々な人、年代が見ることを前提に作られていて、自分の考えや好みに偏ることなく、色々な刺激を受けながら見ることができるので、これからも見続けていきたいと思います」

会議の締めくくりとして、榊原委員長と緑川副委員長から以下の一言がありました。

≪榊原委員長≫

中高生モニターの皆さんの意見が聞けてよかったです。青少年委員会は若い人から直接、話を聞けるとても大事な立場であることがあらためてわかりました。私よりずっと深く考えている人の意見もあってとても参考になりました。ありがとうございました。

≪緑川副委員長≫

春休みで忙しい時期にもかかわらず、参加していただき、ありがとうございました。皆さんから貴重な意見を聞くことができて、このような機会を持ててよかったと思います。また、急なお願いにもかかわらず、元モニターの3人の方に参加していただいたこともありがとうございました。モニターがとても印象深い経験だったと伺えたので、よかったと思っています。本日はありがとうございました。

以上

2023年度「中高生モニター」募集のお知らせ

2023年度「中高生モニター」募集のお知らせ

募集は締切ました。

BPO・放送と青少年に関する委員会[青少年委員会]では、2023年度「中高生モニター」を下記の要領で募集します。モニターには、毎月1回、様々なジャンル(バラエティー・ニュース報道・ドラマなど)の番組をテーマに、率直な意見や感想を送ってもらいます。報告は、青少年委員会の議論の参考となり、各放送局にも送られます。任期は1年です。

 応募要領

  • 【任期】 2023年4月~2024年3月

  • 【応募条件】

    • (1) 上記の任期中、中学1年生から、高校3年生までであること

    • (2) 保護者の同意を得ていること

    • (3) テレビやラジオに関心があり、月1回放送に関する意見を報告できること

  • 【募集人員】 30人程度

  • 【応募方法】
    • 専用の応募用紙に氏名・住所・年齢・学校名・電話番号・メールアドレス(ある方)・「モニター応募の理由」など必要事項をお書きいただき、必ず保護者が署名および押印を行ったうえで、以下の宛先までご郵送ください。
      応募用紙(PDF形式)は、ここをクリックしてプリントアウトしてください。

    • ※いただいた個人情報は、モニター申し込みに関する受付確認やモニター運営業務のために利用いたします。ご本人の同意なく目的外で利用したり、第三者に開示したりすることはありません。

  • 【応募締切】 2023年1月25日(水)※当日消印有効

  • 【あて先】

    〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町1-1 千代田放送会館7階
    BPO・青少年委員会 中高生モニター係

  • 【採用決定】
    採否については、2023年3月下旬までにご連絡します。

  • 【報告への謝礼】
    月々のリポート提出者には、毎月図書カード1000円分をお送りします。

  • 【報告の公表】
    毎月送っていただくモニター報告は、BPO会員の各放送局に送られるとともに、『BPO報告』ならびにBPOウェブサイトに概要を公表します。


以上

「中高生モニター制度」について

このたび、2023年度「中高生モニター」を募集するにあたり、制度のご説明をさせていただきます。

放送倫理・番組向上機構[BPO]の放送と青少年に関する委員会[青少年委員会]では、青少年の育成に資する放送の在り方について、一般視聴者から寄せられる意見などをもとに話し合いをしています。しかし、一般視聴者から寄せられる意見を年代別に分類すると、青少年からの意見が大変少ないのが現状です。そこで、青少年のテレビ・ラジオに関する考え方や、番組に対する意見を知り、より良い番組作りにつなげるため、2006年4月「中高生モニター制度」を設けました。
毎年、全国の中高生30人前後をモニターに選出し、月に一度、様々なジャンル(バラエティー・ニュース報道・ドラマなど)の番組について、率直な意見や感想を報告してもらっています。中高生モニターのみなさんの「声」は、概要をBPO報告等に掲載するほか、当該放送局にもお送りし、制作現場に伝えられ、番組作りの参考にしていただいています。

つきましては、上記趣旨をご理解の上、ご協力をお願いいたします。

2019年度 中高生モニター会議

2019年度「中高生モニター会議」

◆概要◆

8月3日、テレビ東京の協力のもと、今年度の「中高生モニター会議」を開催しました。中高生モニターにとってモニター会議は自分たちの意見を委員や放送局に直接伝える機会であり、また、放送局内を見学したり放送に関する討論をしたりすることでメディアリテラシーを涵養する場になっています。夏休みに開かれるようになって今年で3年目となりますが、任期半ばで委員と顔を合わせ、交流を深めることによって、その後、いっそう意義を感じながらモニター活動を行ってもらえればと考えます。

会議には、全国から中高生モニター26人が集まりました。テレビ東京からは『Youは何しに日本へ?』の村上徹夫チーフプロデューサー、牧佑馬ディレクター、清沢大地ディレクター、竹中哲カメラマン、通訳の斎藤美緒さんにディスカッションにご参加いただきました。また、オブザーバーとして前田琢総合編成局次長、ADの菱田将太さんと坂井勇貴さん、視聴者センターの原祐美子さんが加わってくださいました。BPOからは榊原洋一青少年委員会委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、吉永みち子委員が出席しました。

午前11時、テレビ東京に集合しオリエンテーションを終えたモニターと委員ら参加者は、テレビ東京社屋内のスタジオを見学しました。まずは第4副調整室。競馬中継準備前のこの部屋で、音声スタッフの説明を聞き、放送卓に座って効果音を出す体験をさせてもらいました。次に訪れたのは、若者向けバラエティ番組『青春高校3年C組』のイベントリハーサル中の第4スタジオ。そして最後に、『ワールドビジネスサテライト』など生放送のニュース番組に使われている第3スタジオを見学。モニターたちは興味津々といった様子でした。

その後昼食をすませ、会議室に戻って『Youは何しに日本へ?』をテーマにディスカッションを行いました。今回、進行は緑川由香副委員長が担当しました。まず、村上チーフプロデューサーから、『Youは何しに日本へ?』で大事にしているのは、番組名の通り、日本に来た外国人を空港で捕まえてインタビューし密着する「一点突破」であると教えていただきました。放送開始から7年間で、およそ20万人にインタビューしたこと、インタビューして実際に放送できるのは100人に1人であることなど、モニターも委員も熱心に耳を傾けていました。そして、実際に現場で取材にあたっている牧ディレクター、清沢ディレクター、竹中カメラマン、通訳の斎藤さんも議論に加わり、取材は1チーム3人(ディレクター、カメラマン、通訳)で動くこと、月曜日から金曜日まで毎日3チームが成田空港に張り付くことなどの取材・撮影にまつわる手法や撮影後の制作の流れを裏話を交えながらお聞かせいただきました。

モニターからは『Youは何しに日本へ?』について、「外国人に声をかける時に基準はあるか」や「取材現場を過酷だと感じたことはあるか」などの質問が出るとともに、「番組を見ることで日本のよさを再認識できた」などの感想の声が上がりました。

後半は、『2025年にヒットするテレビ番組はこれだ!』をテーマに、モニターと委員が4班に分かれて話し合うグループワークでした。モニターたちはそれぞれ、テクノロジーがますます進化してテレビを取り巻く環境が大きく変化しているであろう6年後の2025年にどんな番組がヒットしそうかというテーマで、事前に企画を考えてきました。どれも若者ならではのオリジナリティーにあふれる内容で、議論は白熱しました。議論の後は各グループで「ぜひ見てみたい」という企画を発表し合いました。

☆1班は2つの企画について発表しました。まずは、中学1年生が考えた『あの時の企画をもう一度』という過去に人気だった企画をSNSなどを駆使しながらリメイクする企画について、「前に進むだけでなく昔のものを懐かしむという気持ちを大事にして、過去のものと先進的なものを融合させることができれば楽しくなるのではないか」と話しました。もう一つは『展開は視聴者が決めるRPG型ドラマ』。高校1年生が書いたドラマの企画で、ゲームのように視聴者が未来の展開を選択できるという内容です。「与えられたストーリーを楽しむのではなく、視聴者が自分の見てみたい形に作れるのが面白い」という意見が出ました。

☆2班からは『あなたのスゴ技見せてください!』について。中学3年生が考えた、世界中の人たちがスゴ技を披露しあうという企画について、「一般の人が自分の特技をイキイキと見せられるし、テクノロジーの進化によって新しい特技が増えているかもしれない。面白くなる」という発表がありました。

☆3班からは『私たち、素人だけど番組つくりました。』という高校1年生の企画について。番組制作経験ゼロの素人が1時間番組を作るという内容で、「プロではなく素人の自分たちが番組を作るという視点が面白い」という意見でした。

☆4班は、『大発見カルチャーショック!』という高校2年生が考えた、国籍や文化の異なる人たちが対談したりプレゼンし合ったりするという企画と、『昭和から令和まで!あなたはどの時代の人?? 』というこちらも高校2年生の、昭和・平成・令和の違いを比べるクイズ番組の2つについて、「世代間や国籍の違いによって生じるギャップを埋めるという視点は大事。世代間のギャップを埋めることで家族のつながりが深まるのではないか」とまとめました。

そのほか、AI関連の企画にも関心が寄せられ、「人間とAIの向き合い方がわからないからこそ番組でやる価値がある」などの意見が出されました。その後、モニターたちの26本の企画について、村上チーフプロデューサー、牧ディレクター、清沢ディレクターそれぞれが2本ずつ選び、講評を行いました。

★村上チーフプロデューサー

  • 中学2年生が考えた『現役デスク"と"考える今のニュース』という、各放送局の現役デスクがニュースについてネット上で会話し、1週間の出来事を解説するという内容の企画について。「偏った情報が錯綜する中、メディア同士が会話することやメディアが一般の人たちとキャッチボールすることがさらに必要になってくると思う」。
  • 中学2年生の『#○○、なんかしたってよ。』という人々が挑戦する姿と視聴者のつぶやきを紹介するという視聴者参加型の企画について。「いろんな人がいろんな可能性を追求することで世の中が豊かになっていく。そういう視点から、面白そうな番組になりそう」。

★牧ディレクター

  • 中学3年生が考えた『行けるとこ、行っちゃいませんか?』という、街の人の手持ちのお金で行ける一番遠い場所に行くというコンセプトの番組について、「"素人×ガチ感"があり、テレビ東京っぽい。個人的に好きな企画」。
  • 高校3年生の『あいロボ』という、人間とロボットの男女が共同生活をする恋愛リアリティーショーについて、「切り口が斬新。こういう発想が番組作りには必要と思う」。

★清沢ディレクター

  • 1班も取り上げた『展開は視聴者が決めるRPG型ドラマ』について、「技術が進化すればこのような斬新なドラマを作ることができる。すごく未来的な企画」。
  • 中学3年生が考えた『サーチ リサーチ』という、ネット検索の予測変換で出た言葉について調べる探求型バラエティーについて、「着眼点が面白い。掘り下げれば秘められたドラマが待っているのではないか」。

その後も議論は尽きず、モニターからは今のテレビ番組に対する不満や評価の声が上がりました。「マンネリ化している」「斬新さが足りない」「どの局も出演者が同じような人たちで偏りを感じる」など率直で厳しい意見が出た一方で、深夜近くに放送している番組について「中高生である自分たちの感覚に合う、面白い番組がある」という感想がありました。

会議の最後、榊原 委員長は以下のようなに締めくくりました。

≪委員長まとめ≫

今、『2025年にヒットするテレビ番組はこれだ!』ということから、皆さんの自由な意見が出ました。例えば「最近のテレビでは規制が厳しくなった」とか「ドラマがおもしろくない」とか、未来を担う皆さんの意見というのは、多分、テレビ局にとっても重要だと思う。私が感じたことは、確かに規制が厳しくなったと皆さんが感じるのは、一方にSNSとかYouTubeとかがあるので、それと比較すると確かにそう感じるのではないかなと思います。それを受けてテレビを作る方はどうしたらいいのかということになる。BPOはもしかしたら規制をしている側だと誤解されているかもしれませんが、そうではないんです。一般の方から来る「こういうのはやり過ぎだ」というクレームに対して、ではどうしたらいいかということを検討し、テレビ局で番組を作っている方と話し合って「こうした方がいいんじゃないか」と提案をする。確かに最近非常に規制が強くなっているという感じがあるが、その規制がどんどん強くなってもっと息苦しくなってしまわないように、話し合いによって、作る側が自由につくれるような環境を整えるのが、BPOの役割だということをお話しておきたいと思います。
本日の議論では非常に面白いお話がありました。これからもモニターの皆さん、ぜひいろいろなご意見を聞かせてください。それから、今日の『Youは何しに日本へ?』の裏話も面白かった。皆さん、本当にありがとうございました。

以上

2018年度 中高生モニター会議

2018年度「中高生モニター会議」

◆概要◆

2006年から始まった「モニター制度」も、13年目を迎えました。その間、若い世代のさまざまな意見が委員会に寄せられ、放送局に届けられました。「中高生モニター会議」は、中高生の意見を委員や放送局に直接伝えるとともに、放送局の見学や放送体験、放送に関する討論を通してメディアリテラシーを涵養する場にもなっています。
今年度は、フジテレビの協力のもと7月28日に中高生モニター会議を開催しました。昨年度と同様に、モニター任期の半ばで中高生モニターと委員が顔を合わせ、交流を深め、その後のモニター活動をより意義のあるものにしたいとの考えから、夏休み期間中の開催となりました。

会議には、全国から中高生モニター25人が集まりました。フジテレビからは『めざましテレビ』渡邊貴チーフプロデューサーがディスカッションとグループワークに、西山喜久恵・宮澤智 両アナウンサーがスタジオ見学の案内役として加わってくださいました。またオブザーバーとして塚越裕爾編成局長、現王園佳正編成センター室長、久保木準一編成センター局次長、田信癸危機管理担当役、大野貢制作担当局長、岩村真理子情報制作センター部長、編成部から江花松樹さん、加藤亜利沙さん、前田泰成さん、佐々木萌さんがご参加くださいました。BPOからは、榊原洋一青少年委員会委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員が出席しました。

午前11時、フジテレビに集合しオリエンテーションを終えたモニターと委員ら参加者は、まずフジテレビ社屋内V8スタジオを見学しました。スタジオでは、『めざましどようび』の放送を終えた西山、宮澤両アナウンサーが出迎え、スタジオセットの説明や生放送ならでは工夫や苦労などをお話しくださいました。その後は、スタジオカメラの仕組みを解説してもらい、実際にカメラを操作したり、副調整室ではVE(ビデオエンジニア)・SW(スイッチャー)・SE(音響効果)・TK(タイムキーパー)などの役割について説明を受けたのち、放送卓に座ってスイッチングやお天気カメラの操作を体験したりするなど、プロの仕事に触れる機会を得ました。

その後、会議室に戻り稲増委員が進行役となって『めざましテレビ』をテーマとしたディスカッションを行いました。ここからは渡邊チーフプロデューサーが議論に加わり、『めざましテレビ』の制作には全体で200人ものスタッフが関わっていることや、「家族で見られる朝」をコンセプトに、多世代の人に視聴してほしいという思いで制作していることなど、意図や番組への思いなどをお話しくださいました。
モニターたちも「『めざましテレビ』と他局情報番組との違い」や「朝の情報番組に求めること」についてなど、率直な意見を述べ合いました。「『めざましテレビ』は番組のリズムがちょうどよく、決まりを持って朝の時間を過ごすことができる」、「番組テーマカラーのオレンジ色に新鮮味が感じられなくなってきて、今は青がテーマカラーの他局番組を見ている」や「朝、すごく知りたい情報はその日の天気なので、朝の情報番組にとって天気予報は結構重要だ」といった中高生らしい発言がありました。
後半は、『めざましテレビのコーナー企画を考えよう』をテーマにモニターが5班に分かれるグループワークでした。事前に考えてきた自分の企画をプレゼンテーションしあい、討議を経てグループ代表となる企画を決定し、発表するというワークショップでは、熱のこもった話し合いが繰り広げられました。模造紙にグループごとの企画をまとめる頃には、どのグループも初対面とは思えない息の合った作業で、チームワークの良さを発揮していました。その後のプレゼンテーションでは“朝の番組”であることや“時間帯ごとの視聴者層”などを意識したオリジナリティーあふれる10代ならではの発想の企画が次々と発表され渡邊チーフプロデューサーから講評が述べられました。

☆1班「休日何してる?」:世界各国の学生が休日の過ごし方を自撮り動画で紹介する
☆2班「めざましENGLISH!」:曜日ごとにテーマを変え、使える外国語のフレーズを紹介する
☆3班「私の元泉」:著名人が自分の「元気の源」となった映画や本、音楽などを紹介する
☆4班「めざましアニメ」:相反する事柄について2つの視点を取り上げ、視聴者に考えさせる
☆5班「10代が探す!地方の星」:地域の特産・絶景・グルメなどを地方の10代が紹介する

最後にはプレゼンテーションされた5本の企画の中から「企画の実現性の計算と情報番組にとって一番大切な“今”が伝えられる企画であること」、また「番組ホームページに動画を投稿してもらうという企画のオペレーションまで提示し、どんどん垣根がなくなる世界の日常、しかも若者の日常を伝える企画の新しさがある」ことが評価され、1班の「休日何してる?」に渡邊チーフプロデューサーから≪めざましテレビ大賞≫が送られました。

会議の締めくくりとして、榊原 委員長から以下のような言葉がありました。

≪委員長まとめ≫

私は皆さんの何倍も生きていますけれども、こういう新しいアイデアというのが皆さんの中にあるのだなと、生まれてからまだ十何年しか生きてないのに、よくこんなことを考え付くことができるな、と驚きで見ていました。例えば、テレビ離れのディスカッションでも、私たちの世代の人間にとっては、テレビというのは新しいことを知るツールだった。ところが、今は、家族の団らんとか、家族がみんなで一緒に見られることがテレビの意味になってきたんだなということも学べました。
最後の企画も、今日、初めて会った人たちが、短い時間で、これだけおもしろいテーマをつくられたということです。渡邊チーフプロデューサーも「これはもしかすると番組になるかもしれない」ということをおっしゃっています。
皆さんは、今はまだ若いわけですけれども、今から20年、30年たつと社会の中心になっていく。そういう世代なわけです。こういう若い世代が、いろいろな新しい考えを持っていくということで、私のように年とった者も、未来は若い人に任せてもいいのかなと、そういういい思いを持つことができる機会になりました。皆さん、本当に最後までありがとうございました。

以上

2017年度 中高生モニター会議

2017年度「中高生モニター会議」

◆概要◆

7月25日、2017年度中高生モニター会議を開催しました。例年は年度末の3月に行っている会議ですが、今年度はモニター任期の半ばで中高生モニターと委員が顔を合わせ、交流を深め、その後のモニター活動をより意義のあるものにしたいとの考えから、夏休み期間中の開催としました。
NHKで行われた会議には、全国から集まった25人のモニターと、汐見稔幸青少年委員会委員長、最相葉月副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、緑川由香委員が出席しました。また、NHKから『プロフェッショナル 仕事の流儀』の池田由紀チーフプロデューサーが参加してくださいました。

第1部では、NHK放送センター114スタジオで、『あさイチ 解決!ごはん』のカメラリハーサルの様子を見学しました。翌日の放送に向けて、出演者やカメラマン、ディレクターらスタッフが、真剣に内容の確認を行う様子を間近で見ることができました。また数名のモニターは、出演者の役で、リハーサルに参加しました。出演者の駒村多恵さんに本番さながらに質問をされ、臨機応変に受け答えを楽しんでいました。リハーサル終了後は、スタジオフロアで番組プロデューサーによる質疑応答の時間も設けられました。また、副調整室も見学し、テクニカルディレクターによる副調整室の機能の紹介や機材の解説などに神妙に聞き入り、また活発に質問するモニターの姿も見られました。

第2部の前半は、『プロフェッショナル 仕事の流儀』を題材に、池田由紀チーフプロデューサーを交え、中橋委員が聞き手となって「番組の制作体制と制作期間」「企画の採択基準」や「取材対象者との関係性」「ドキュメンタリーとは何か?」、さらには「伝える工夫と行き過ぎた演出」などついてのディスカッションやモニターとの質疑応答を行いました。
後半は、『“10代に見せたい”プロフェッショナル』の企画会議をモニターが5つのグループに分かれるグループワークの形式で行いました。事前に考えてきた自分の企画をプレゼンテーションしあい、討議を経てグループ代表となる企画を決定し、発表するというワークショップでは、熱のこもった話し合いが繰り広げられました。模造紙にグループ代表の企画をまとめる頃には、どのグループも初対面とは思えない息の合った作業で、チームワークの良さを見せていました。その後のプレゼンテーションでは「ギャンブラー」や「ディズニーリゾートのアトラクション企画者」「公立中学校教師」「給食甲子園優勝者の栄養教諭」「ユーチューバー」といった10代ならではのねらいと視点が光る企画が発表されました。グループワークの最後には、池田チーフプロデューサーから「給食甲子園優勝者」の企画にグランプリが送られ、それぞれの企画への講評が述べられました。
最後には、汐見委員長から以下のような総括の言葉がありました。

≪汐見稔幸委員長まとめ≫

きょうは、「プロフェッショナル」という番組をつくっている方のプロ性というものを体験してもらったように思う。実際に一人の人間を紹介するというのは物すごく難しいことだ。生きて活動している人の何をつなぎ合わせていくのかといったときに、どの場面を紹介すれば本当のその人が出てくるかというのは、なかなかわからない。出演者と一緒になって「この場面を撮ってくれ」「こんなシーンはどうだろう」とやると、それは一つの物語にはなるけれども、結局、その人を見せるのではなくて、その人と一緒につくった物語を見せただけということが起こりかねない。そういうことを深く考えていかないと、本当のことは伝わらないかもしれないという難しさがある。
もう一つは、番組を作り放送することによって「日本人の中に何を残すことができたのだろう」、「何を伝えたことになるのだろう」ということを客観的に考えなければいけないということ。番組は、日本人の考え方だとか生き方だとか、結果としていろんなものに影響を与える。だから、そのことをしっかり考えないと番組はつくれない。それらを全部考えて、みんなで議論しながら一つの作品にしていくという作業が番組制作に携わる人たちがやっていることで、そこには深いプロフェッショナル性というのがあるということを、僕は改めて、きょう、感じた。皆さんもきょうは、日常ではできない経験ができたのではないかと思う。

以上

2016年度 夏休み関東地区中高生モニター会議

◆概要◆

若い人たちの放送に対する考え方にも耳を傾けようと2006年から始まった「モニター制度」も、丸10年が過ぎました。年度末に行う「中高生モニター会議」は、中高生の意見を委員や放送局に直接伝えるとともに、放送局の見学や放送体験を通してメディアリテラシーの涵養の場にもなっている重要な委員会活動の一つです。今年度は、「中高生モニターとの意見交換の場を年度途中にも設けてみてはどうか」との委員からの提案を受け、夏休み中に関東在住の中高生モニターを対象にした小規模な意見交換会を企画、TBSテレビの協力を得て、「夏休み関東地区中高生モニター会議」を開催しました。
2016年8月3日に行われた会議には、関東地区在住の中高生モニター11人、TBSテレビから真木明コンプライアンス室担当局次長、瀬戸口克陽ドラマ制作部プロデューサー、BPOからは、汐見稔幸 青少年委員会委員長、最相葉月 同副委員長、稲増龍夫 同委員、緑川由香 同委員が参加しました。
中高生モニターは、まずTBS放送センターで、生放送中の情報番組『ひるおび』のスタジオ及び副調整室、報道番組『Nスタ』の準備風景などを見学し、竹内明キャスターとの質疑応答を行いました。その後、BPO会議室にて、全参加者の自己紹介ののち、瀬戸口プロデューサーが担当したドラマ『99.9-刑事専門弁護士-』に関する懇談と質疑応答、「どっきり企画・私のボーダーライン」「子どもが関わる事件の取り扱いについて」「深夜アニメの性的表現や罰ゲームについて」などをテーマに意見交換を行いました。

≪『99.9-刑事専門弁護士-』について≫

  • 【モニター】予算内でドラマを作ることに苦労はあるか?

  • 【瀬戸口氏】予算内に収める苦労もあるが、制約がない方が、実は大変だと思う。制約を逆手にとって知恵を絞ることが大切。答えは必ずどこかにある。制約があるからといって、面白いものが作れないなどということはない。

  • 【モニター】『リーガル・ハイ』(2012年フジテレビ)に似ていた気がするが、影響を受けているのか?

  • 【瀬戸口氏】今回のドラマを作るにあたり『リーガル・ハイ』、『HERO』(2001年、2014年フジテレビ)、『古畑任三郎』(1994年、1996年、1999年フジテレビ)、『踊る大捜査線』(1997年フジテレビ)などのドラマを見直した。放送された当時も見ていたが、扱っている事件の詳細は覚えていないのに、役者たちのセリフのやりとりは記憶している。つまり、登場人物のキャラクター設定が大切なのだと思った。仮に、同じ事件を題材として扱ったとしても、「古美門なら…?」「久利生なら…?」「青島なら…?」それぞれの描き方があると思う。似た内容になることを避けようと意識しすぎると誰も見たくないものになってしまう可能性がある。だからこそ、一番大事なことは登場人物にオリジナリティーがあり、魅力的であること、だと考えている。

  • 【モニター】一つのドラマを企画制作するのにかかる時間はどのくらい?

  • 【瀬戸口氏】放送開始の1年前から企画は始まっている。だいたい2年で3本くらいのペースで制作している。たまに突発的なハプニングが起きて急に穴を埋めろと言われることもある。けれども、時間の有無は視聴者には関係のないことなので、どんな状況であってもベストを尽くして制作するだけ。

≪委員との意見交換≫
(1)ドッキリ企画・私のボーダーライン

  • 【委員】BPOに寄せられる意見は、番組を見た子どもたちが真似をするなど子どもたちへの悪影響を懸念する声が多いのだが、ドッキリ企画を見て、やってみようと思うことはある?

  • 【モニター】番組を見て真似なんて、普通しない。

  • 【モニター】ドッキリや嫌がらせ的な番組がなくなってもイジメはなくならない。だからドッキリ企画自体は別にいいと思う。

  • 【委員】いたずらは楽しめると思うが、やりすぎると人権に関わることもある。許されるボーダーラインを皆さんはどう考えている?

  • 【モニター】ボーダーラインは特にないが、最近はどれも「落とし穴」か「パイ投げ」か「水かけ」で、バリエーションが少ない。同じことばかりしつこくやるからつまらなくなってしまった。

  • 【モニター】見ている方が楽しめればいい。どんな番組でもドッキリが嫌いな人は一定数いると思う。

  • 【委員】ドッキリ企画がいじめにつながるのではないか?という大人の意見をどう思う?

  • 【モニター】なんでもかんでも非難したい人は、ヒマなんだと思う。「自分が小さい頃は危険なことを何もしなかったの?」と聞いてみたい。そうやって子どもからどんどん取り上げようとすることで、子どもの世界がつまらなくなる。

  • 【モニター】大人が規制をかけすぎると、かえって反発したくなる。

(2)子どもが関わる事件の取り扱いについて

  • 【委員】子どもが関わる事件の状況をどう伝えるか?子どもの被害状況はどこまで知りたい?

  • 【モニター】殺害の顛末を具体的に伝えることは、新たな殺害方法の提示になってしまう。模倣犯が出てしまうのではないかと思う。

  • 【モニター】具体的な殺害方法をテレビで報道しなくていい。知りたい人はインターネットで調べられる。インターネットは調べようと思わなければたどり着けないけれど、テレビはふいに見てしまうことがある。

  • 【モニター】事件を伝える作り手の姿勢が問われる。伝えるのであれば下世話な好奇心ではなく、きちんと報道すべき。

  • 【モニター】殺害方法など事件の内容をきちんと伝えないと残酷さが伝わらないし、罪の重さが分からない。

  • 【モニター】顔写真などは、テレビで公開を取りやめたとしてもインターネットには永久に残るから、扱い方を慎重に考えた方がいい。

  • 【モニター】殺害方法の報道で模倣犯が出るのなら、サスペンスドラマや小説もダメだ、ということになってしまう。問題はそういうことではなく、現在の報道を見ていて気になるのは、視聴者の興味を引こうと面白おかしく取り上げているように見えること。もっと真摯に伝えてほしい。

(3)深夜アニメの性的表現や罰ゲームについて

  • 【委員】深夜のアニメ番組について、性的表現が露骨だとの意見が寄せられることが多い。録画視聴する中高生の52%は、深夜番組を録画しているという調査結果があるが、深夜アニメを見たことがあるという人は?
    (モニター6人挙手)

  • 【モニター】性的シーンやグロテスクな場面は、テレビ放送では過激な表現は抑えられている。見たい人はDVDを買って見ている。

  • 【モニター】なぜ未成年が見ることがタブーとされるのか?誰も説明してくれない。残酷シーンは分かるが、なぜ性的シーンがダメだと頭ごなしに言われるのか、理解できない。

  • 【委員】一般的には性犯罪を誘発すると言われている。

  • 【真木氏】テレビは公共性が高く、誰でも目にしてしまうメディアである以上、ある程度の配慮があるのは当然だと思う。深夜の時間帯に放送しても、見たい人は選んで見にきている。しかし、露骨な性的シーンは以前に比べて減ってきている。それは規制のためではなく、視聴率が下がることが分かったから。つまり、視聴者がテレビでそういうものを見ることを望んでいないということ。視聴者の判断で自然に淘汰されてきた。そういう視聴者の判断を信頼している。

(4)中高生からみた公平な放送とは?

  • 【委員】先月のモニターリポートで「キャスターが自分の意見を言い過ぎだ」「選挙報道で特定の候補しか取り上げていない」という意見があった。テレビの公平性についてどう考えている?

  • 【モニター】世論を具体的に言葉で表現することは難しいから、キャスターが個人の意見を言うのはいいと思う。ただ、自分の発言の影響力を分かったうえで語ってほしい。

  • 【モニター】(7月の)都知事選では、いわゆる主要3候補しか報道されていなかったと感じた。

  • 【モニター】都知事選の報道は、面白かった。キャスターには事実だけ述べてほしいと思う。完全に公平な報道なんてできるはずはないので、見ている側が判断する力を養うしかない。

  • 【真木氏】あくまで個人的な見解だが、報道において客観的な判断なんて実はない。「どんなニュース」を「どの順番」で、「どんな長さ」で報道するのか、あるいは報じないのか。中味や、意見を言う言わない以前に、報道機関は、実はそこにおいて日々判断を迫られ、示している。

  • 【委員】放送には、政治的公平が求められているが、その「公平」にはいろいろな考えがある。「誰にとっての公平なのか?」「時間を同じにすれば公平なのか?」「どの場面を放送するのか?」受け手の評価によって、「公平」は全く違うものになる。「公平」という言葉が一人歩きすることに敏感でなくてはならない。「テレビは何のためにあるのか?」「公平性は誰のためのものなのか?」をきちんと考えてみてほしい。テレビから必要な情報を得て、他の経験や情報と併せて糧とするために、「公平」の一言でジャッジしてしまうのではなく、「なぜそう思うのか?」常に考えてほしい。もう一つ「多様性」というキーワードがある。社会の中から多様な意見が出てくること、多様性を寛容することで、「公平な視点」が養われるかもしれない。

≪まとめ≫

汐見委員長から、今後のモニター活動への期待が述べられるとともに「みなさんの話を聞いていると「公共の利益って何だろう」ということをいつも考えていると感じる。番組を作っている人たちも同じだ。インターネットがどれだけ発達しても、テレビの影響力は簡単にはなくならないと思う。「いいテレビ番組って何だろう?」と考え、率直に議論する場を今後も放送局と設けていきたい。若い世代がいいと思う番組は、すべての世代にとってもいいものに違いないと信じている」との話がありました。

≪中高生モニターアンケートより≫

モニター会議終了後、参加者にアンケートの記入をお願いしました。

  • 同世代の様々な意見を交換し合うことによって、自分の世界を広げることができた。テレビには新聞とは違う役割があると思うので、そのテレビがもっと良くなればと思い参加している。(中学1年・女子)
  • ほかのモニターの意見を聞くことができ良かった。今後のリポートに生かしたい。(中学2年・男子)
  • 11人のモニターとの意見交換はとてもやりやすかったし、自分と違う意見には「そんな考えもあるんだ」と考えさせられた。(中学3年・女子)
  • 初めての経験で緊張したが、身近なテーマについて話し合え、同世代の人の意見には共感できることもたくさんあった。しかし、視聴環境の違いなどから、自分とは意見の違う人もいてとても興味深かった。(中学3年・女子)
  • 会議では、大人世代の視聴者意見を知ることができ、大人が感じていることについて、私たち子どもの意見を伝えることができて良かったと思う。(高校1年・女子)
  • テレビを改めて批判的な視点でも視聴できるようになった気がする。(高校2年・女子)
  • 会議を通じ、一つの議題に関しても多くの視点があることを改めて実感した。一つの視点にとらわれずに、異なる視点も考えてみるということを意識して、これからのモニター活動を行いたい。(高校2年・男子)
  • 普段リポートを書いていても、対面している人が分からずやりにくい部分もあったが、今回実際に委員やほかのモニターと議論したことで、自分の考えだけでなく多角的な物の見方を知ることができた。機会があればモニターでディスカッションできたらいいな、と思う。(高校3年・女子)

以上

2016年度 中高生モニター会議

2016年度「中高生モニター会議~日テレフォーラム18~」

◆概要◆

2006年から始まった「モニター制度」も、11年目を迎えました。その間、若い世代のさまざまな意見が委員会に寄せられ、放送局に届けられました。「中高生モニター会議」は、中高生の意見を委員や放送局に直接伝えるとともに、放送局の見学や放送体験、放送に関する討論を通してメディアリテラシーの涵養の場にもなっている重要な委員会活動の一つです。今年度は、日本テレビと共同で「2016年度 中高生モニター会議~日テレフォーラム18~」として開催しました。
2017年3月5日に日本テレビで行われた会議には、全国から集まった中高生モニター22人、日本テレビから加藤幸二郎制作局長、杉本敏也コンプライアンス推進室長、BPOからは汐見稔幸青少年委員会委員長、最相葉月副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、緑川由香委員が出席しました。また、会議の進行役として蛯原哲日本テレビアナウンサーが、社内見学の案内役として豊田順子アナウンサーがご参加くださいました。

第1部では、参加者全員が自己紹介をしたのち、日本テレビ社内のスタジオを見学しました。最初に行った報道フロアでは、昼のニュースを読み終えたばかりの豊田アナウンサーにニューススタジオを案内していただき、天気予報などに使われるクロマキーによる映像の合成を体験しました。
その後、平日の生放送『ZIP!』と『ヒルナンデス!』を送出している番組スタジオに移動し、引き続き豊田アナウンサーに、スタジオの使い分けの演出などついて教えていただきました。また副調整室も見学し、演出や音声、映像など多くの専門スタッフが一つの番組に関わっていることを知ることができました。
第2部では、今年2月に放送開始10周年を迎えた『世界の果てまでイッテQ!』を題材に、番組初代プロデューサーでもある加藤制作局長を交え、演出方法や制作過程についての質疑応答や、番組に寄せられた批判の多い企画について意見交換を行いました。

≪『世界の果てまでイッテQ!』について≫

  • 【委員】『世界の果てまでイッテQ!』(以下、『イッテQ』)が誕生した経緯は?

  • 【加藤さん】2006年に深夜の30分番組として立ち上げた。当初は、タレントが世界に出かけてクイズを見つけてくるというコンセプトだったが、正直、迷走していた。結果、番組は終了することになり、終了特番の打ち合わせの場で、ロケハン帰りのディレクターの一言がきっかけとなり、「現場に行き、汗をかいて調べてみないとわからない」「インターネットでは調べられないことをアンサーにする」という今の番組の原型が誕生した。例えば、「火山の溶岩で焼肉は焼けるのか?」や「サメ肌でわさびをおろすことができるのか?」といったことをクイズにしてみた。この特番が好評を博し、急遽2月から新番組としての放送が決まった。しかし、番組スタート時は、長期間の海外ロケを行うことができる出演者のスケジュールを押さえることにも難航し、また低予算だったために、有名ではなくスケジュールに余裕があり、ギャラが安いタレントや芸人に必然的に出演してもらうことになった。有名になりたいというタレントの熱と番組を面白くしたいというスタッフの思いが相乗効果を生み、『イッテQ』の雰囲気ができていき、番組が人気になるにつれて、タレントたちも人気者になっていった。

  • 【委員】タレントが体当たりで頑張る姿が印象深いが、人によっては不快なのでは?というシーンがあることもまた事実だが…。

  • 【モニター】体当たり頑張っている姿が『イッテQ』らしさだが、女性芸人が裸になるボディペイントや、吹き矢を刺して痛がる様子を笑うことは道徳的にダメだという考えもあると思う。

  • 【委員】BPOにも結構、視聴者から意見が来る。中には「これは女性蔑視ではないか」「男性目線の企画じゃないか」などいろいろ厳しい意見もあった。女性から見て、どうだろう?

  • 【モニター】自分自身は、女性蔑視云々は感じなかったが、タレントの痛がっている姿を見るとあまりいい気持ちはしない。個人的には好みではない。

  • 【モニター】決して高度な笑いではないとは思うが、ああいう刺激的な映像をテレビが自粛していくなかで、インターネットの動画が伸びてきているのかなと思う。そういうなかで、刺激的な企画も堂々と放送しているからこそ、『イッテQ』が人気なのではないかなと思った。

  • 【加藤さん】番組を作る側としては、『イッテQ』は刺激のあるものを目指している感覚はない。みなさん、「笑い」について考えたことは?「笑い」は、人の失敗を笑う。だめなところを笑う。それができる関係性は幸せな関係。日本では「失敗は笑ってはいけない」と言うが、実は平和じゃないと笑えないと思う。もう一つ、笑いに高等や下品などのレベルがあるとは考えていない。ただ番組には人格があると思っている。『イッテQ』だから、視聴者は見方がわかっている。受け入れてくれる。ただ、あれが「好きではない」いう人がいることも理解して、その意見に対して「笑ってもいいんですよ」と啓蒙していかなければならないという思いもある。芸人たちは、そういう志を持ってやっている。かつてエルビス・プレスリーが初めてテレビに出た時、品のない歌い方や腰つきだと、放送局に猛抗議があった。大多数の大人はだめだと言った。しかし、若者は熱狂した。テレビはそれを放送した。それが文化になっていった。文化になるには時間がかかる場合があり、賛否両論あるかもしれないが、全員がいいと言うものは大体文化にはなりにくい。

  • 【委員】バラエティー番組を見ていて、「これは笑えない」と感じたことはない?

  • 【モニター】軍隊の訓練を女性芸人がやらされていて、女性として体がおかしくなったりしないかと心配になった。ロケの基準はどうなっているのか?

  • 【加藤さん】『イッテQ』においては、「安全第一」が全てにおいて優先する。危険だったらやらせない。その辺のリスク管理は必要。やらない勇気を持つというバランスが重要。

  • 【モニター】『イッテQ』は、「笑い」だけが目的なのか?ほかにも視聴者に伝えたいことはないのか?「笑い」だけが目的の番組は、見ていて飽きてしまうと思ったりもする。

  • 【加藤さん】お笑い系の番組で言われて嬉しい言葉が1つある。「くだらない」と言われること。何のためにもならないが、「時間を忘れて笑ってしまった」と言ってもらうこと。『イッテQ』が続いているのは、特別な強いメッセージを持っていないからだと思う。そういう押しつけがあった時、メッセージを受けとめる人と受けとめない人に分かれてしまう可能性がある。しかし、全ての人が喜ぶものを作るのがテレビとしての正しいバラエティーではないだろうか。ためにならないようなこともできる世の中にいられることが、実は幸せ。全て無駄のない時間を過ごさなければいけない状況は、すごく窮屈な世の中かもしれない。また「笑い」がなければ、不寛容な、優しさのない世界になる。

  • 【モニター】今まで、制作側で自粛した企画はあるのか?

  • 【加藤さん】あまり記憶にない。しかし、明確に現場で指示を出しているのは、家庭で面白半分にマネができ、さらに命に関わるような重大な案件になるものはやるな、と言っている。命に関わる、関わらないということが、何より一番重要だと思っている。家庭では真似できないような大がかりなものはやる。そういう基準で自主規制をすることはある。

  • 【モニター】出演者が、笑いを前提としていない時、例えば、一般の人が出てきて、その人は真剣にやっているけれども周りから見たら面白いことなどを笑いに変えているのは、ちょっとどうかと思う時がある。どこかの民族が出てきて、日本人から見れば面白いと、それを笑いにしていたりする場面を見た時など、決して全員が笑いを前提に何かをしているわけではないと思うことがあり、視聴者としては面白いかもしれないが、出ている人のことを考えた時に、どうなのかなというのは思うことがある。

  • 【委員】その国の風習であったり、その人にとっては当たり前の行為であったり、特に素人の出演者を笑ってしまうドッキリ企画などでよくあるかもしれない。

  • 【加藤さん】そこは気にしている。ただ『イッテQ』ではあまりないと思う。『イッテQ』では番組と視聴者やロケの相手方との関係性ができている。番組の人格で『イッテQ』は笑いをやっているけれども、相手に対して失礼なことをしているという人格がないから、許してもらえていると思う。しかし、違う番組が同じことを同じ手法、同じネタをやったとしても、その番組と視聴者との関係性ができていないと、なんて失礼なことをやっているんだと見えてしまう。それと、出てくれた人たちに対して制作者が愛情を持っているかどうかというのが、すごく大事なところ。

  • 【モニター】『イッテQ』で以前、宮川大輔さんが牛乳を飲むレースに参加し、吐いてしまう場面が放送されていた。きれいなモザイクがかけられていたが、食事をしながら見ていたことや、自分も普段飲んでいるものなので、ちょっとどうかと思った。

  • 【加藤さん】実は、私がプロデューサーの時の企画。今でも覚えているが、ロケから帰ったディレクターが「すごく面白いロケだが、放送できそうにない」と言った。牛乳を丸々1リットル飲んで走る参加者が、必ず嘔吐する。それをみんなが大笑いしながら見るというカナダの祭り。人が失敗するとか、滑稽なところを笑っちゃうという祭り。しかし、考査からは口から食べ物を出す映像を注意されるだろうと。『イッテQ』は海外の文化を紹介する番組でもある。そこで、ワイプという映像加工の手法を使って工夫するようアドバイスした。するとディレクターは、汚いものを隠すのなら、せめてきれいにしようと考えて、きらきらするCGをわざわざ作った。あれは、実は結構お金がかかっている。そして放送してみたら、クレームが1件も来なかった。汚い物を見て笑っているわけじゃないという放送の意図を受け取ってもらえたと感じた。しかし、だからといって、他の番組で同じことをやって同じ結果になるかどうかは分からない。

  • 【モニター】きらきらのCGに関してだが、森三中が鼻ヨガに挑戦して、よだれや鼻水を流す場面は隠さずに放送しているが、その判断の違いは?

  • 【加藤さん】私は、よだれや鼻水を汚いと思わない。人が思い切り泣いた時、涙や鼻水でぐずぐずになったりするが、汚いとは思わない。同じようにその国の文化であるヨガで、よだれを垂らしたからといって汚いとは思わない。気持ち悪い虫や動物だから映さないとか、何でも隠してしまう世の中よりも、ある程度のものは見せてもいいんじゃないかという感覚がある。そういうものも見られる寛容な世の中のほうが、素敵だと思っている。もちろん時と場合によるが、あの時は「いい」と判断した。

  • 【モニター】番組は、批判を受けたりもするぎりぎりの線で制作されていると思うが、テレビ放送は公共の電波なので、小さな子どもからお年寄りまで見ている。また過激な動画を見たい人は動画サイトなどで検索して、動画を探して見ていると思う。そんななか、それでもやはりテレビで批判覚悟の放送を流すということに何か理由があるのか?

  • 【加藤さん】テレビというメディアは、全ての人が楽しむことができるという方向性を持って作られるべきメディア。一部の人だけが分かればいいというメディアではない。そこがインターネット動画との大きな違い。100人が100人、見た人全員を楽しませようと思っている。その時に、半分以上の人が番組を不快に思ったら、それは失敗ということ。そして、失敗は淘汰されていく。その表現のぎりぎりを突くというのはどういうことかというと、道幅に例えるならば、絶対安全な道路の真ん中だけを歩いていても道路の幅というものはわからない。「これ以上はみ出ると溝に落ちるぞ」と知らせてくれるのが視聴者の反応、クレームだ。100件ぐらい来ると、「やばい、半分溝に落ちかかっているぞ」と分かる。「不快な人のほうが多いぞ」というふうに。ただ、安全なことだけをやっていたら、そのことも分からないままになる。そこに『イッテQ』は挑戦しているところはある。

休憩をはさんで行われた第3部には、スペシャルゲストとしてタレントのイモトアヤコさんがサプライズで登場、中高生モニターを沸かせました。その後、イモトさんも討論に参加し、出演者の立場から、『イッテQ』のロケ裏話や、制作スタッフとの関係や、過酷な撮影に挑む時の気持ちなど、率直にお話しくださいました。

≪『世界の果てまでイッテQ』について、イモトアヤコさんを交えて≫

  • 【イモトさん】こんにちは。実際見ている人の意見を直接聞く機会はあまりないので、正直な意見を聞かせてほしい。

  • 【モニター】『イッテQ』に出演する芸人にとってのスタッフの存在について聞きたい。もう一つはBPOについてだが、モニターに参加するまで、自分は勝手にテレビ局とBPOとは生徒と怖い生徒指導の先生みたいな関係だと思っていたが、今はそんなこともないと思っている。芸人にとってBPOというのはどういう存在かも教えてほしい。

  • 【イモトさん】BPOについては、正直、きょうまで意識したことがない。『イッテQ』に関しては、BPOの存在は気にせず自由にやっている。もう一つの「スタッフとの信頼関係の愛を感じるか」という質問だが、『イッテQ』では、そこが全て。同じチームとして、なんとかVTRを面白くしようという目的意識が共通している。例えるならいい意味での共犯者のよう。仲間意識はとても強い。

  • 【モニター】イモトさんとスタッフとで対立したり仲直りをしたりといったこともあるのか?

  • 【イモトさん】めちゃくちゃある。でもそこがいいところ。しかもケンカの時も全てカメラが回っている。たまにスマホのカメラで撮影していることさえある。今ではスタッフは家族より一緒にいる時間が長いので、一番わがままな部分を出せる人たちになっている。スタッフのことは信頼しているので、「どのシーンを使われても大丈夫ですよ」というスタンスでロケをしている。

  • 【モニター】『イッテQ』をやめたいと思ったことは?

  • 【イモトさん】いい質問。やめたいことは多々ある、毎回ぐらいの勢いで。しょっちゅうやめたいと思っている。でも結局、自分の意思でやっている。最終的にはケンカしつつも、やめた自分は嫌だと思うので、自分と葛藤しながらやっている。

  • 【加藤さん】スタッフもそう思いながらやっている。いつもやめたいって言いながら。でも仕事などは、9割5分がつらいこと、でも残り5分がすごく楽しい。9割5分つらいほど、そのわずか1割に満たない成功や達成感がすごく楽しい。わずかな喜びがすごい喜びになる。何もやらなければ、そんな感動もないかもしれないが、9割やめたいと思っている人間が、でも頑張ってやっていることが視聴者に届いているのだと思う。

  • 【モニター】牛のおしっこで頭を洗うような、普通の人なら絶対できないことができるようにイモトさんを突き動かしている原動力は何か?

  • 【イモトさん】究極、追い込まれた時は、頭にぷっと現れる人がいる。目の前にいるディレクターだったり、田舎にいる姪っ子だったり。その思いつく誰か一人のために頑張ろうって思って、いつもやっている。

  • 【委員】番組制作の際、面白くしたいという気持ちが行き過ぎてしまうことはないのか?そういうところでいかに踏みとどまるか?どのように調整しているのか?出演者やスタッフの意見は、どのように相互に作用しているのかを教えてほしい。

  • 【イモトさん】生放送ではなくロケなので、その状況に甘えて、自由にやっている。制作スタッフを信頼して、彼らが編集するのならば大丈夫!というふうに。たまにエゴサーチをすると「言葉遣いが悪い」など言われていることもあり、反省もする。でもロケ中にそれを考えすぎて、自分のよさが出なくなるのも嫌なので、基本、ノンストップでやっている。

  • 【加藤さん】表現については、よくネットで「テレビが自主規制して表現が苦しくなってきた」などと言われているが、日本テレビではあまりそういうことはない。イモトも言っているように、のびのびとやる。一つの価値観とか、固定観念だけでものを見ないということを含めて、多様な見方をしてもらえると嬉しく思う。

  • 【モニター】イモトさんにとって『イッテQ』という仕事は、どういう存在なのか?

  • 【イモトさん】全て。この10年に関しては仕事が全て。20代全部、仕事。自分を表現する全てだった。だからこれからは、アマゾンや雪山ばかりではない、きらきらしたものも見ていこうと思っている。アンコールワットなど海外の遺跡にはたくさん行ったが、京都の金閣寺、銀閣寺を見たことがないことについ1年前に気づき、最近は国内の行ったことがない所に一人で行くようにしている。

  • 【蛯原アナ】会議の最後に、イモトさんから感想を一言。

  • 【イモトさん】皆さんの鋭さにびっくりした。すごく年上の方としゃべっているような感覚だった。これまで自分の情報源はツイッターのエゴサーチしかなかったので、こんなふうに思ってくださる方もいるということがわかり嬉しい。すごく参考になったし、いい機会だった。
    (イモトさん 退場)

  • 【蛯原アナ】加藤制作局長からも一言。

  • 【加藤さん】バラエティーは、ちょっと下に見られることが多く、なかなか褒めてもらえない番組。いつも本当にくだらないと怒られる。けれども、ためにならないことも視聴者を勇気づけることがある。2011年の震災の時、一時、テレビからバラエティーの放送は一切消えた。その後、日本テレビは批判覚悟で、最初にバラエティーを復活させた。『イッテQ』も放送した。すると被災3県ですべて視聴率が20%を超えた。ためにはならない、くだらないと言われる番組だが、被災地の人たちは求めてくれていたということ。私は無駄なものなど一切ないと思っている。バラエティーがなくなっていく世界は、すごく不幸な世界になっていくのではないだろうかという感覚がある。汚いとか気持ち悪いとか言われるものにふたをして放送しなくなると、視聴者は見る機会を失うことにもなる。大人に「子どもがマネをするから放送してはだめ」と言われたら、「僕たちはマネをするなんてバカなことはしない」と声をあげてほしい。「お笑いだし、お約束だとわかっている」「素直に笑えばいいんだよ」と伝えてほしい。みなさんがこれから社会人になっていく時に、自分とは価値観の違う人に出会うかもしれない。その時に、お互いを認め合う。相手をただ否定することはしない、という世の中になっていけばいい。テレビがほんの少しでも、その環境をつくる足しになればいい。そういう番組をこれからも作っていこうと思う。

≪まとめ≫

最後に汐見委員長から、「BPO青少年委員会の一番の仕事は、放送を深いところから応援すること」であり、「放送の表現の自由を守るために活動している」と、青少年委員会の活動の意義が述べられました。さらに、「番組が真剣勝負のなかで作られているということが、きょうは手に取るように分かったと思う。『イッテQ』では、笑いを扱いながら、実は、人間にとっての文化の多様性の大切さをあわせて伝えていて、結果としてそのことがグローバル社会のなかでどれほど大切な価値あることなのかを、我々視聴者に知らせてくれている。皆さんも、きょう感じたこと、また放送から受ける影響などをポジティブに表現していってほしい」との話がありました。

以上

2015年度 中高生モニター会議

◆概要◆

青少年委員会は2016年3月13日午前11時から15時半までの間、テレビ朝日2階のプレゼンテーションルームで「中高生モニター会議」を開催しました。BPOからは汐見稔幸青少年委員会委員長を始め7人の全委員が参加、全国から集まった中高生モニター26人(中学生14人、高校生12人)、それにテレビ朝日から長田明お客様フロント部長、太田伸『サンデー!スクランブル』プロデューサー、下平さやかアナウンサー、平石直之アナウンサーが参加しました。
まず、午前11時に始まった第1部では最相葉月副委員長の開会あいさつや出席者の自己紹介の後、放送中の生番組スタジオに見学を行いました。スタジオでは実際に生放送がおこなわれる模様を見学した後、当日夜に放送が予定されている『報道ステーション SUNDAY』のセットをたてつけてあるスタジオを見学するなどテレビ朝日局内の様々な制作現場を見て回りました。中には、放送の原稿や映像を作成する作製室や、スタジオと制作室がコンピューターで直接結ばれ突然の発生ニュースにも対応できるような仕組みの説明を受けるなど、参加したモニターたちは専門的な分野についても理解を深めることができました。
見学を終えた後会議室に戻り、委員とモニターそれにテレビ朝日の長田部長らが加わって意見を交わす第2部の会議に入りました。テーマは(1)放送全般について、(2)情報番組についての2つです。まずモニターから、「1年間モニターを務めてみて、今まで視聴者という視点からでしかテレビを見る事がなかったが、制作者たちの考えや制作者側と視聴者側双方の視点からテレビを見る事ができるようになったと思う」「番組を中立的・第三者的視点から見ることの重要性を認識できるようになった」などの意見が出されました。仙台からの出席者は震災報道を引き続き是非やってほしいという切実な意見が出ました。委員からは、「中高生ならではの視点にとても驚かされた点がたくさんあった」「1年間のモニター報告を通じて、全員が成長していく模様がわかった」などの感想が述べられました。
情報番組については、「朝の情報番組で、芸能やエンターテインメントの情報が多いが、もう少しニュースの比重を多くしてほしい」との意見に続き、「大きなニュースが起こるとどの局を回しても同じようなことしかやっていない」などの意見が出ました。また、「ニュースを見たい、エンターテインメント情報を見たいなど、人によってニーズが違うので、機能的に仕分けができないか」という意見も出ました。また、「全国ネットの番組の一部をローカル局が差し替えている場合は、ネットニュースの重要な部分が欠けてしまうことがある」という不満が出ました。岩手在住のモニターからは「震災情報についても『復興が進んでいない、大変だ』というようなマイナスイメージの報道だけではなく、被災地の人々がいかに前向きに明るく生きているかも報道してほしい」という意見も出ました。他のモニターからも「青森や別の地方でも被災という意味では大変な地方があり、報道の地域格差のようなものを感じている」という意見が出ました。
地方在住のモニターからは「ローカルの催しなどを扱う地方ローカル番組が少しでも全国放送される機会が多くなればよい」や「地域ローカル番組同士がタイアップして協力して番組を作り、県と県や地域と地域を連携する企画を試してみるといいのでは」など地方局の積極的な番組制作を望む声が上がりました。
復興報道のテーマについては、長田お客様フロント部長から、「定期的に復興の状況を伝えることに関しては、『スーパーJチャンネル』というニュース番組でやろうとしており、被災地の国道の状況を見て行く定期シリーズ企画などをおこなっている。充分でないという批判は受け止めるが、局側としても意識して取り組んでいる」ということが語られました。また、居住地によって考え方に差異が出てくるのは当たり前で、より多くの人に見てもらうために何を選択するかということは情報番組の担当者は日夜頭をひねっていることが伝えられました。
休憩後の第3部からは生放送を終えたばかりの『サンデー!スクランブル』のキャスター2人と制作担当の太田プロデューサーも会議に加わりました。まず下平アナウンサーから、日頃の仕事の中での面白さ、番組制作での悩みや日頃番組を作っていく上での配慮など、担当者ならではの話が披露されました。平石アナウンサーからは、ニューヨーク支局での経験をはじめ、現在担当している番組を制作する上で心がけていることなど詳しい仕事内容が述べられました。「もっとも大切にしていることは、正確に伝える、わかりやすく伝える、また、興味深く伝えることである」など、日頃の仕事上の重要なポイントが伝えられました。1つの番組に多くの制作者が関わっているので、番組として何を目指したいのか、何を作ろうとしているのかなどの思いを汲み取りつつ日頃の制作現場に関わっていること、正確にわかりやすくということだけでなく、テレビとして一歩踏み込んで、コメンテーターや解説者からその経緯、今後の流れなどを引き出していくという作業だと説明されました。
太田プロデューサーからはプロデューサーの仕事内容が時系列的に説明され、これまで担当した番組の説明があった後、『サンデー!スクランブル』の番組制作現場で意識している内容、情報をきちんと整理して興味深く伝える経緯などが述べられました。情報をそのまま伝えるのでなく、事件の背景を探るというやり方で面白く視聴者を引き付けるやり方、またニュースの選択の仕方など具体的なポイントをあげて説明されました。
質疑応答では、モニターからのアナウンサーの仕事内容などについての質問があり、両キャスターが丁寧に答えました。平石アナウンサーは自ら被災地に入って現地から生中継を担当した経験などを踏まえて、災害などの現場での対応などについて話を進めました。また、視聴率に関する質問に対しては、話題になっていることに対して突き進むことは視聴率に結びつく場合も多いが、その際にもチェック体制を何重にも敷いて様々なことに配慮している、というニュース制作の仕組みが語られました。さらに、きちんと裏とりをしないものは放送できないなど、情報の正確性を求めて、それがなされてはじめて放送されるということが語られました。
この後情報番組の企画を立ててみようというコーナーに移りました。各モニターと委員、テレビ朝日担当者が4つの班に分かれて「情報番組の企画を立ててみよう」というテーマでグループワークを行ないました。各班それぞれ、企画を立て、模造紙に書き込んでホワイトボードの前で順番に発表しました。
まず、C班が地方のことをメインに伝えようということで、『うちの県にも来てくれ』というタイトルのテレビ番組を考えました。地方の工芸品、イベント、景色などを紹介し、各県がそれぞれに持ち回りで宣伝するという番組で、紹介したものをすぐに買える仕組みとか、毎日リレー方式で日本各地を紹介して進めていくと地方活性にもなるという企画でした。
B班は『ニュースの参考書』。視聴者の方々からその日のニュースに関してSNSなどで意見を募集し、それらについて模型を用いて説明するような番組です。キャスターは司会進行役が1人か2人。説明は専門家を招き視聴者と同じ目線でわからない単語に関して突っ込むという番組です。
D班の番組は「人生を豊かにする番組」というコンセプトを掲げ、人生という尺度で見た場合大事になる情報を与える番組としました。受験勉強だけでなく、若者に勇気ややる気を与える番組ということです。
A班は『ニュースと歩く』というタイトルの番組。家族向けの旅番組とちょっとしたニュースを組み合わせるものです。最初にニュースを15分間くらいやって、その後メインの旅番組にするというもので、毎週の出演者は地域出身の人や、その地域の人にする、放送はテレビとラジオ双方で連動してやることでテレビがないところにいる人も聞こえるというアイデアを取り入れました。
この後それぞれの企画に関し、太田プロデューサーから批評と助言が述べられ、ラジオとテレビの連動やインターネットテレビのあり方などについても制作者の立場から説明されました。
最後に汐見委員長から、「BPOは放送倫理と番組向上のための組織である。その中でも青少年委員会は“番組向上”に力を入れており、どうしたら良い番組を作れるのかを常に考えている。そのために視聴者の皆さんの意見を制作者に届けるなど、視聴者と放送局を太いパイプでつなごうという考えを持っている」との感想が述べられ、4時間半にわたる会議が終了しました。

以上

中高生フォーラム

中学生モニターの6ヵ月の任期内に1度モニター会議を開催し(ただし「中学生フォーラム」を開催する場合は、フォーラムをその期のモニター会議に替えます)、内容をまとめた冊子を発行しています。

第8回中学生フォーラム

「激論! ニュース番組」

日 時 : 2008年12月26日(金) 13時00分~15時50分

会 場 : ルポール麹町

バラエティーやドラマ好きが多い今の中学生は、ニュースなどの報道系番組をどのように見ているのだろうか?今回は中学生モニターがニュースなどのあり方について、テレビ局の制作者と活発に意見交換をした。

前半は中学生モニターが現在のニュースの伝え方やコメンテーターのあり方などについて注文を出した。後半はビデオジャーナリスト神保哲生さんの問題提起を受け、情報環境が急速に変化する中での、これからのテレビ報道のあり方などについて、話し合った(登壇者は、中学生モニター15人、番組制作者6人《NHK解説主幹・鎌田 靖、日本テレビ報道局ニュース編集部チーフクリエーター・柴崎朋樹、TBS報道局編集センター長・矢部恒弘、フジテレビ報道センター デスク担当部長・石原正人、テレビ朝日お客様フロント部長・鈴木裕美子、テレビ東京 報道局プロデューサー・大久保直和》、ゲスト ビデオニュース・ドットコム代表 立命館大学教授・神保哲生)。 

コーディネーター:青少年委員会副委員長 橋元良明(東京大学大学院情報学環教授)
司会:木場弘子(キャスター、千葉大学教育学部特命教授)

第7回中学生フォーラム

「バラエティー大討論」

日 時 : 2008年3月26日(木) 13時00分~15時30分

会 場 : 千代田放送会館

2007年度から全国募集を始めた中学生モニターが集まり、お笑い系バラエティー番組にテーマをしぼって、日ごろ感じていることや疑問をバラエティー番組制作者にぶつけた。

中学生モニターの好きなバラエティー番組・嫌いなバラエティー番組の紹介から始まり、バラエティー番組への疑問、罰ゲームについて、これからのバラエティー番組のあり方についてなどを、中学生モニターと番組制作者が率直に話し合った(登壇者は、中学生モニター12人、番組制作者4人《NHK番組制作局・山田良介、日本テレビ制作局・松岡 至、フジテレビ編成制作局・小須田和彦、テレビ朝日 編成制作局・植村真司》、ゲスト メディアプロデューサー澤田隆治)。

コーディネーター:小田桐 誠委員、司会:木場弘子(キャスター、千葉大学教育学部 特命教授)

第6回中学生フォーラム

「中学生モニター 今、テレビに言いたいこと!」

日 時 : 2006年12月26日(火) 13時30分~16時00分

会 場 : ルポール麹町

2006年度から始まった中学生モニター制度を生かして、中学生モニターの現在のテレビ番組への評価とテレビとの付き合い方を探り、より良い放送やこれからのテレビのあり方を考えた。

中学生モニター報告を『14才の母』や“いじめ問題”など分野別に紹介し、番組制作者とのやり取りの中でテレビへの注文を出し話し合った。

さらに青少年委員会橋元委員が実施中の調査データをもとにテレビ視聴の実態について問題提起、中学生・制作者とともにテレビのこれからの見られ方や可能性について考えた(登壇者は、中学生モニター24人、番組制作者6人《NHKスペシャル番組センター・原神 琢、日本テレビ制作局・井上 健、TBSテレビ編成局・合田隆信、フジテレビ情報制作局・宗像 孝、テレビ朝日 編成制作局・植村真司、テレビ東京 制作局・深谷 守》)。

司会:麻木久仁子(タレント)

第5回中学生フォーラム

「いま、中学生にとってテレビとは」

日 時 : 2005年12月23日(金・祝) 13時30分~16時00分

会 場 : 千代田放送会館

多メディアの中で生きるいまの中学生にとって、テレビはどういう存在なのか、どう付き合っていけばいいのかを探った。

参加4校の意見発表やビデオ作品(テーマは、 “メディア活用の実態~ある中学一年生の1日をみつめて~”“テレビの良いとこ悪いとこ”“テレビと他のメディアの比較”“こんな番組あったらいいな”)などをもとに、各局の番組制作者と中学生が議論を展開した(登壇者は、中学生23人《4校》、番組制作者6人《NHK番組制作局・熊埜御堂朋子、日本テレビ編成局・井上 健、TBSテレビ報道局・杉尾秀哉、フジテレビ編成制作局・西山仁紫、テレビ朝日 報道局・宮川 晶、テレビ東京 制作局・松本篤信》)。

コーディネーター:斎藤次郎副委員長、司会:麻木久仁子(タレント)

第4回中学生フォーラム

「テレビ大討論」

日 時 : 2004年7月21日(水) 13時30分~17時00分

会 場 : イイノホール

「前半 報告『テレビ番組づくり体験』」では、“学校紹介”をテーマに4校の中学生がそれぞれ制作した、約3分の番組4本を上映。その後、番組制作者の感想やそこから学んだことなどについて、司会者と中学生が壇上で質疑応答(計 4校、11人)。

「後半 討論『本音で語ろう 中学生とテレビ』」では、青少年委員会「テレビメディア影響調査」の結果の一部などを引用しながら、“テレビの影響”“ニュースの伝え方”などについて討論(登壇者は、中学生11人《4校》、第1回フォーラム参加の高校生3人、番組制作者6人《NHK番組制作局・亀谷精一、日本テレビ編成本部・吉田 真、TBSエンタテインメント・吉田裕二、フジテレビ編成制作局・水口昌彦、テレビ朝日 報道局・朝本香織、テレビ東京 制作局・近藤正人》、青少年委員会委員3人)。

司会:斎藤次郎委員、駒谷真美(成蹊大学講師)

第3回フォーラム

「テレビへの提言~中学生からのメッセージ~」

日 時 : 2003年7月25日(金) 13時30分~16時45分

会 場 : イイノホール

「第1部 発表『テレビへのメッセージ』」では、中学生がグループ(学校)ごとに、“テレビの品格について”“私たちの視聴傾向とイチオシ番組”“よりよくテレビと関わろう”などをテーマに、それぞれの考えを発表(計 6校、33人)。

「第2部 公開討論『青少年のためにテレビは何をすべきか』」は、主にバラエティー番組やニュース番組について、中学生たちが番組制作者に注文や意見を投げかけるという形で進められた(登壇者は、中学生12人《6校》、制作者4人《NHK番組制作局・市川克美、TBSエンタテインメント・伊佐野英樹、フジテレビ編成制作局・吉田正樹、テレビ朝日 報道情報局・村尾尚子》、青少年委員会委員6人)。

司会:斎藤英津子(フリーキャスター)

第2回フォーラム

「これからのテレビ・中学生とともに考える」

日 時 : 2002年7月23日(火) 13時30分~16時55分

会 場 : abc会館ホール

「第1部 中学生の主張『テレビへの提言』」では、中学生が数人のグループごとに、“CMの落とし穴”“テレビの行き過ぎた演出「やらせ」について”“テレビの中の暴力”などをテーマに、それぞれの考えを発表(計 5校、27人、9グループ)。

「第2部 公開討論『青少年のためにテレビは何をすべきか』」では、第1部の発表を手がかりに、“やらせ”“暴力シーン”などをめぐり討論(登壇者は、中学生24人《5校》、番組制作者6人《NHK番組制作局・嘉悦 登、日本テレビ編成局・小山 啓、TBSエンタテインメント・鶴岡滋之、フジテレビ編成制作局・石原 隆、テレビ朝日 情報局・玉井愛美子、テレビ東京 制作局・多田 暁》、青少年委員会委員5人)。

司会:酒井ゆきえ(フリーアナウンサー)

第1回フォーラム

「青少年のための新テレビ論」
~公開討論「テレビはこのままでいいのか 中学生とともに考える」

日 時 : 2001年7月24日(火) 13時30分~16時50分

会 場 : abc会館ホール

中学生23人(海城中学校、東京女学館中学校ほか)、保護者6人、教師3人、放送局番組制作者3人(NHK番組制作局・吉田圭一郎、TBSエンタテインメント・高柳 等、フジテレビ編成制作局・大多 亮)、青少年委員会委員5人が登壇。

前半は、都内中学生600人へのアンケート調査結果(“中学生の好きな番組”“保護者が考えるテレビのマイナス面”など。臨床教育研究所「虹」による)を切り口に、バラエティー、ニュース、ドラマをめぐる論議が展開された。

後半は、青少年委員会が前年11月に発表した『バラエティー系番組に対する見解』をめぐり、意見が交わされた。

コーディネーター:尾木直樹委員、司会:斎藤英津子(フリーキャスター)

中高生モニター会議

中学生モニターの6ヵ月の任期内に1度モニター会議を開催し(ただし「中学生フォーラム」を開催する場合は、フォーラムをその期のモニター会議に替えます)、内容をまとめた冊子を発行しています。

2009年度後期

「私の見たい番組、私の作りたい番組」などについて

日 時 : 2010年1月10日(日)12時45分~15時30分

会 場 : 千代田放送会館 7階会議室

全国の中学生モニター32人中19人、青少年委員7人が出席

話し合われたテーマ:前半は「司会者が面白い番組」「面白くない番組」などについて話し合った。後半は、「もし自分がディレクターだったら『自分が見たい番組』『作りたい番組』」について率直な意見交換を行った。

2009年度前期

「保護者が見せたくない番組」などについて

全国の中学生モニター31人中16人、保護者11人、青少年委員6人が出席

話し合われたテーマ:前半は日本PTA全国協議会の調査「中2の保護者が見せたくないと思っている番組」(2009年3月)について、保護者も参加し率直な感想や意見交換。後半は中学生モニターと委員でニュース・情報系番組やドラマを含め、これからのテレビに求めることについて議論

2008年度

「ニュース、ワイドショーなど報道系番組について」

日 時 : 2008年7月26日(土)12時45分~15時30分

会 場 : 千代田放送会館 7階会議室

全国の中学生モニター33人中16人、青少年委員6人が出席

話し合われたテーマ:ニュースを見る理由・見ない理由、ニュースに違いはあるのか、最近の報道で感じたこと、ニュースについての本音トーク、中学生モニターに伝えたいこと、話し合いの中で考えたこと

2007年度

「好きな番組・嫌いな番組、その理由」

日 時 : 2007年7月27日(金) 13時00分~16時00分

会 場 : 千代田放送会館 7階会議室

全国の中学生モニター30人中14人、青少年委員会委員7人が出席。

話し合われたテーマ:バラエティー番組と罰ゲーム、どんなドラマを見るか?テレビの暴力やいじめをめぐって、漫画が原作のドラマについて、アニメ番組について、その他の番組について、テレビと他のメディア

2006年度

「テレビのここがいや」~7月モニター報告を中心に~

日 時 : 2006年7月2日(木) 10時30分~12時30分

会 場 : 千代田放送会館 7階会議室

東京都内と近郊の中学生モニター28人中12人、青少年委員会委員6人が出席。

話し合われたテーマ:トーク系バラエティー番組について、お笑い系バラエティー番組について、CMについて、ニュース・情報系番組について、地域と放送のありかたについて、テレビのデジタル化について、テレビに望むこと