第152回 放送と人権等権利に関する委員会

第152回 – 2009年8月

「割り箸事故・医療裁判判決報道」事案のヒアリングと審理

「派遣法・登録型導入報道」事案の審理 ……など

「割り箸」事案の当事者に対するヒアリングと詰めの審理を行った。「派遣法」事案は論点を絞り込んで審理し、次回委員会でヒアリングを実施することになった。このほか、「拉致被害者家族からの訴え」事案については事務局から資料説明を行った。

議事の詳細

日時
2009年8月18日(火) 午後3時~8時10分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
堀野委員長、樺山委員長代行、三宅委員長代行、大石委員、小山委員、坂井委員、武田委員、田中委員、山田委員

「割り箸事故・医療裁判判決報道」事案のヒアリングと審理

この申立ては、東京在住の勤務医とその家族から訴えてきたもの。TBSのニュース情報番組『みのもんたの朝ズバッ!』で2008年2月13日に放送された割り箸事故をめぐる判決報道が、事実誤認及び捏造を含む内容で、医師としての社会的評価を低下させるものであり、名誉を侵害し、不公平な報道であると主張している。
審理入りしてから6回目となる8月18日の委員会において、申立人、被申立人(TBS)から直接意見を聞くヒアリングを行った。申立人側は、医師本人は事情があって出席せず、家族3人が出席した。一方、TBS側は担当プロデユーサーら3名が出席した。
席上、申立人は「本番組でTBSが設定した事実関係は、民事裁判の判決の事実認定と著しく齟齬するので不正確である。このことは判決要旨をよく読んでいないことに起因する事実誤認、もしくは担当医師や病院を痛めつけるための一部捏造である」と述べた。これに対し、TBSは「今回の放送は医療現場と、患者が求めている医療について、いろいろな問題を抱えている中、その一端をしめす例として割り箸事故を取り上げた。裁判の対象となった医師あるいは病院に対して、何らかの攻撃をする意図は元々ない。また申立人が指摘している事実認定の部分については、判決要旨をベースにVTRを構成したもので誤りはない」と主張した。
ヒアリング終了後、審理を行い、「委員会決定」案の作成作業に入ることとした。次回委員会では、「委員会決定」起草案を基にさらに審理を重ねる予定である。

「派遣法・登録型導入報道」事案の審理

テレビ朝日・朝日放送の『サンデープロジェクト』の特集、「派遣法制定、登録型導入報道」(2009年2月1日および8日放送)により名誉侵害などを受けたとの訴えについての3回目の実質審理が行われた。
この番組は、昨年秋以降の派遣切り・雇用不安の拡大を受け、「派遣法」の問題点、特に「登録型」に焦点を当てて2回にわたって特集したが、「登録型」を入れるに当たって主導的役割を果たしたのが、元労働次官と労働問題専門の経済学者の2人であったと、多くの関係者や本人のインタビューを積み重ねて伝えたもの。
これについて、当の元労働次官と経済学者らが「インタビューの質問と答えを勝手に切り貼りして、局の都合良い内容に捏造された。派遣法に登録型を『ひっそりと』盛り込んだなどの表現を多用し、2人が派遣切りなどの雇用不安を生みだした犯人だと攻撃され、名誉を侵害された」として、局に対し訂正と謝罪の放送を求めている。
これまで2回の審理で、各委員の意見がほぼ出そろったことから、この日の審理では、起草委員がまとめた「論点整理」に基づき、申立人が強く主張している、「インタビューの質問と答えを勝手に切り貼りした捏造報道であり、派遣法に登録型を『ひっそりと』盛り込み、派遣切りなどの雇用不安を生みだした犯人だと攻撃された」という点などについて検討した。 この結果、次回委員会で双方へのヒアリングを行い、問題点を詰めることになり、起草委員によってヒアリング項目の策定を急ぐことになった。

「拉致被害者家族からの訴え」事案の審理

2009年4月24日深夜と5月29日深夜に放送されたテレビ朝日『朝まで生テレビ!』において、番組司会者・田原総一朗氏の発言に人権侵害と放送倫理違反があったとして、「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(以下、「家族会」)から申立てがあり、8月4日の委員会で審理入りが決まった。18日の委員会までにテレビ朝日より「答弁書」が提出されたが、この日は他事案の審理もあり、事務局からの資料説明のみとし、実質審理を次回に持ち越した。
4月24日の上記番組で、田原氏は拉致被害者の横田めぐみさんと有本恵子さんの名前を挙げ、「生きていないことは外務省も分かっている」などと発言した。この発言について、家族会は「根拠なく2人を生きていないと発言した。人の生死についての安易な発言は、名誉毀損やプライバシーの侵害以上に重大な人権侵害である」などと主張し、田原発言の放送での撤回と謝罪などをテレビ朝日に求めている。
これに対し、テレビ朝日は「答弁書」で、「社として確認できていない内容が生放送され、拉致被害者のご家族や関係者にご不快の念を抱かせたこと、視聴者の方々の誤解を招いたことをまことに申し訳なく存じている。そのため、5月29日深夜に、当社、および田原氏の謝罪を放送した」としている。

「保育園イモ畑の行政代執行をめぐる訴え」事案の通知・公表

上記事案の「委員会決定」を8月7日に通知・公表したが、その概要とテレビ対応および新聞記事についての資料を事務局が配付し、当該局であるTBSが決定内容を伝えたニュース番組と『サンデージャポン』(当該番組)のビデオを視聴した。堀野委員長は「TBSの放送は大変ていねいだった。記者会見では熱心な質問が出て、新聞でも多くのスペースを割いて報道された。4月から新体制になった委員会の最初の決定として、良かったのではないか」と述べた。

その他

次回委員会は9月15日(火)に開かれることになった。

以上

2009年7月に視聴者から寄せられた意見

2009年7月に視聴者から寄せられた意見

民主党鳩山代表の「故人献金疑惑」問題、東国原知事と橋下知事との地方分権問題、麻生総理のイタリアサミット出席、選挙に向けての各政党のマニフェスト等に関する報道に多くの意見が寄せられた。そのほか、金正日総書記の後継者・ミサイルの再発射など北朝鮮問題に関する意見があった。

ニュース・報道番組・情報系番組での政治報道についての意見が多かった。先月に引き続き、民主党鳩山代表の「故人献金疑惑」問題、東国原知事と橋下知事との地方分権問題、麻生総理のイタリアサミット出席、選挙に向けての各政党のマニフェスト等に関する報道に多くの意見が寄せられた。

7月に電話・FAX・郵便・EメールでBPOに寄せられた意見は1,837件で、6月と比較し156件増加した。

方法:Eメール66%,電話30%,FAX2%,手紙ほか2%
性別:男性72%,女性25%,不明3%
世代:30歳33%,40歳代23%,20歳代21%,50歳代10%,60歳以上10%,10歳代3%
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該局のBPO責任者に「視聴者意見」として通知。7月通知数は800件(42局)であった。
またこの他に、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、43件を会員社に送信している。

意見概要

人権等に関する苦情

7月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情の内訳は次のとおり。

  • 人権に関する審理・斡旋の要請・・・・・・・ 1件
    (個人または直接の関係人からの要請)

番組全般にわたる意見

【意見の傾向】

7月の視聴者意見については、東京都議会議員選挙、衆議院の解散など政治的な動きが多かったこともあり、今月もニュース・報道番組・情報系番組での政治報道についての意見が多かった。先月に引き続き、民主党鳩山代表の「故人献金疑惑」問題、東国原知事と橋下知事との地方分権問題、麻生総理のイタリアサミット出席、選挙に向けての各政党のマニフェスト等に関する報道に多くの意見が寄せられた。今月も与野党の取り扱いに偏りがあるとの指摘が多く、キーワード検索の「偏向」で106件、「公平」で123件と、いずれも先月よりも該当数が増えている。放送局や番組を特定しての意見で、具体的に報道姿勢の是非を指摘した「不適切な報道」が108件であったのに比べて、より広く「報道のあり方」を論じた意見が207件と、これも多くなっている。キャスター・コメンテーターの発言への批判意見は今月も多く、「不適切な発言」検索で92件該当した。また、番組出演者の適格性を問う意見も多く、「不適格な出演者」検索で93件該当した。意見内容では、殺人事件の容疑者を移送する機内での取材方法についての批判意見が45件寄せられた他、金正日総書記の後継者・ミサイルの再発射など北朝鮮問題に関する意見、マイケル・ジャクソンの死去関連で、皮膚の色の変化についての報道に対する批判意見、「ツリーマン」と呼ばれる皮膚疾患の患者の映像についての批判意見などがあった。このところバラエティー番組に対する意見が少なかったが、今月は大物司会者の司会進行に関する批判など、意見数の増加が見られた。BPO関連では、「二重行政の現場」報道についての放送倫理検証委員会委員長の「談話」に対する意見が125件。「虚偽証言放送」に関する「勧告」への意見が15件あった。放送局の視聴者応対に関する意見は、今月は35件、パチンコの規制などCMについての意見は37件、また、ラジオに関する意見が今月は37件あった。

青少年に関する意見

放送と青少年に関する委員会に寄せられた意見は前月より微増した。
今月は、「性的表現」に対する批判意見が比較的多く寄せられた。また、複数番組で司会者を務める特定タレントの発言や振る舞いに対し、「非常識だ」「いじめではないか」などの批判が目立った。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 詐欺集団の実態をつかむために詐欺疑惑の若者達に密着し、隠し撮りしていた。その一部始終が顔も映した状態で放送された。放送局が一般人を見張り、隠し撮りする行為は人権や倫理上問題があると思う。仮に放送しなかったとしても、一般人を隠し撮りした行為に問題はないのか。放送局に犯罪捜査をする権限はないはずだ。このような人権を無視した隠し撮りは止めるべきだと思う。
  • 民主党・鳩山代表の政治資金問題について、このニュース番組では「事実でない献金」と表現していた。新聞報道では「虚偽献金」と表現されているし、一般人である私から見ても政治資金規正法に明らかに違反していると思える。それなのにこの表現でいいのか。
  • 麻生総理のサミットの記者会見の、日本人記者のレベルの低さに絶望した。質問された総理も、傍から見ていた外国の記者も愕然としたと思う。この世界不況の大事な時に開かれたサミットで、イタリアまで同行して、何故、都議選や衆議院の解散について聞くのか。他に質問すべきことはないのか。日本の恥であり、見ている我々が恥ずかしい。
  • 東京都議会議員選挙を「政権選択の衆議院選挙にも影響を与える」「前哨戦」等と述べていたが、「政権選択」という言葉は、前回の参議院議員選挙の際の民主党のスローガンであり、「政権選択=民主党」との関連色が強い。こうした民主党色の強い言葉を都議会議員選挙の投票時間中に放送することは、民主党への応援とも疑われる。今後は「政権選択」のように民主党を連想させる言葉は避けるようにしていただきたい。
  • 各テレビ局が世論調査で内閣支持率等を報道しているが、調査の方法やサンプル数等の説明が不十分だ。インターネットなどの世論調査の結果とかけ離れていたりする。なにか意図的な操作が行われているのではないか。調査の詳細を番組で説明するべきだ。
  • テレビ局が各政党に対して、議員の番組出演中のフリップ使用を禁止すると通告したという。しかし、先日の報道番組ではフリップを使用していたので、とても分かりやすかった。それなのに、何故、フリップ使用を禁止するのか?フリップがあれば、初めから各人の言いたいことが要約されているため、視聴者の理解度が高まるではないか。
  • テレビの番組で「固有名詞」「人の名前」「統計的数値」等に、言い間違いが非常に多いのが目につく。その都度、番組後半での「お詫びします」の一言で終わっているが、マスコミは「報道の自由」という虚名に支えられ、「間違っても謝れば済む」とでも思っているのか?報道というのは、事実を事実として報道すればそれでよく、虚飾や誤用があってはならないと考える。そろそろ、しかるべき責任の取り方を国民に示すべきである。

【番組全般、その他】

  • 離活(離婚活動)について放送していた。配偶者より有利にことを進め、有利に離婚する方法について、詳細なノウハウを再現ドラマ仕立てで紹介していた。しかし、ハイテク機器で配偶者を盗撮して離婚の慰謝料を多くせしめようとする具体的戦略などを放送するのはいかがなものか。離婚を助長させ、政府の少子化対策の根底を崩す極めて道徳に外れた番組である。
  • 「人と動物とが共に生活をする」という感動的なテーマの企画をやっていたが、動物の動き一つ一つに執拗なまでに「効果音」を付けていて非常に耳障りでした。この番組に限らず、最近のテレビ番組は無駄に効果音を付けすぎです。
  • 深夜の集団暴走の放送で、高速で車をスピンさせる無法車両と見学者を映していた。しかし、車のナンバーや違反者の顔にモザイクをかけるのはなぜか。人権保護のつもりだろうが、それならば、放送しない方が真似をする人間を呼び込まないだけましである。放送の目的が注意喚起なのか娯楽なのか意味不明だ。
  • バラエティー番組や情報番組を見ていると、画面にワイプで小さな画面をつくり、そこにゲストや司会者の顔が出ていることが多い。最近はただでさえテレビの画面がテロップの文字でいっぱいなのに、更に、タレントの顔を映されては邪魔になるだけだ。見たいVTRの部分が欠けてしまう事もよくある。
  • 「天才児を育てる脳科学おばあちゃん」を取り上げていました。幼児の能力の伸ばし方を説明する際に、「風船ガムを舌を使って膨らますことの出来ないことは、他のことも不器用なんだよ。無限の可能性が一つなくなった。そういう子供はいらんな」と発言していました。もしもこの発言を発達障害を持つ子供の親が聞いたら、わが子の存在を否定されたと思い、深く傷つくでしょう。「器用に動作の出来ない子=必要のない子」といった非道徳的な風潮が世の中に広がり、「いじめ」などを助長することになるのではと危惧しております。
  • 「裁判の傍聴が趣味」という芸人の、法廷であった実話を紙芝居風に面白おかしく話すというネタを見た。個人を特定していないとはいえ、実際にあった話を、恐らく許可なくお笑い番組のネタにするのはいかがなものか。そもそも作り話という可能性もある。「痴漢の裁判の傍聴」というネタをやっていたが、裁判関係者や傍聴人がこの番組を見ていたら、気づくのではないかという内容だった。
  • 亡くなったマイケル・ジャクソンを特集した番組は、あまりに酷かった。コメンテーターの一方的で根拠のない話は嘘ばかりであり、著しく故人に対する誤解を招いていた。アナウンサーが平気で「肌を脱色して・・」などと言っていたが、黒人が白人になれるなんて、そんな医療技術はない。そんな技術があれば、美容クリニックが大々的に宣伝して、今頃は、誰でも知っている事になっているはずである。本当に、腹の底から怒りが込み上げてきた。
  • この番組は朝の番組なのに、毎年、定期的に女性下着の特集をしている。春の下着・夏の下着・秋の下着・クリスマス勝負下着などやっているが、中身はたいして変わらないのだから何回も放送しなくていい。VTRには下着姿の女性が登場しているが、朝から流す映像ではない。マネキンに着せればいい。下着特集と言いながら、お色気で視聴率獲りの為としか思えない。
  • 自社製作の映画の宣伝をしているが、これは放送法に抵触していないか。同じ映画で、かたや放送局製作の映画は宣伝費がかからなくて、かたや一般の映画は宣伝費をかけないと放送されないということは、明らかに公平ではない。
  • 画面の右上に「アナログ」という表示が常時出ていて目障りだ。特に腹立たしいのは、番組本編の時に表示されている「アナログ」の文字が、CMに切り替わるとちゃんと消えることである。なぜ本編にだけそのような表示をして、CMには入れないのだ?視聴者を蔑ろにし、スポンサーを優先しているからだろう。
  • 最近どの番組を見ても、「詳しい情報は番組HPで紹介していますので是非そちらをご覧下さい」というお知らせが入ることが多い。しかし、私のようにインターネットを使えない視聴者には「詳しい情報」を得ることが出来ない。テレビ局が率先して「情報格差」を生むようなことをしており、不公平も甚だしい。番組に関連した情報は、全て、誰にでも見られるように、テレビの画面で流すべきだ。
  • 各局の天気予報を見ていると、そのテレビ局によって「晴れ」「曇り」「雨」といったマークがまちまちで、非常に分かりにくい。是非、放送局全局でマークを統一して、視聴者が見やすくなるようにして頂きたい。
  • 司会者が故意に一人の出演者に回答させないようにしていた。人気司会者の絶対的立場からのイジメやパワハラを強く感じ、非常に不愉快でした。バラエティー番組のお笑いとしての演出なのでしょうが、子供社会に限らず、大人の社会でも横行しているイジメやパワハラの加害者は、このような「冗談」の延長でしているのではないでしょうか。人気番組の司会者や制作担当者は、テレビの番組に影響力のあることを自覚していただきたいものです。
  • 痴漢冤罪をテーマとした内容が放送されたが、あまりにも不快だった。検証するという内容だったが、実際に女性のマネキンのお尻を撫で回したり、どういう角度で男女が接近していたか等のリアルな映像が放送された。しかし、検証だとしても見ていて気分の良いものではなかった。主人は興味もあったようだが、女性の私は過去に何度も痴漢行為を受けたことがあるので、見ていてそれを思い出した。夕食はまずくなるし、とにかく不快そのものだった。
  • 対決もののゲームをする内容で、その中で「ヘルメットをどれだけ運べるか」というものがあった。その際、ゲストの2人組のお笑い芸人の一方が、もう一人の首に「連結された大量のヘルメット」を首にかけ、ゲームを進めていた。運んでいた芸人も苦しそうであったが、周りの共演者たちが誰も止めることなくそれを面白そうに笑っていたのを見て、バラエティー番組のモラルの低さを改めて感じた。
  • 「チャリティー番組」であるのに、スポンサーのCMが放送されるのはなぜなのか?CMが流れるということは、各企業からスポンサー料がテレビ局に入っているということですか?視聴者からの募金が慈善事業に使われるのは当然としても、番組を放送することによってテレビ局が収入を得るのであれば、「チャリティー」とは言えないのではないか?
  • 出演者が着ていたTシャツに「cocaine」と書かれていた。しかもアップでその文字を放送していた。「薬物」の使用を勧めているようであり、公共の風紀を乱すものと思われる。
  • 「富士山5合目の駐車場で落石があり、死者が出た」というニュースの際、駐車場に止まっていた他の車のナンバープレートがすべて丸見えの状態で放送されていた。もし自分の車が映っていたらと考えると、ぎょっとした。今の時代、どこでどのような情報が自分の身に危険を招くか分からないが、大切な個人情報を垂れ流しにされるのは、とてつもなく怖いし不愉快である。テレビ局は、基本的なプライバシー保護くらいはしっかり守ってもらいたい。
  • かつては地上波でも「ルマン24時間耐久レース」や「ツールドフランス」などを放送していたのに、最近は皆CSのスポーツ専門チャンネルでの放送ばかりだ。こういう番組を地上波で放送しなくなったのも、テレビ離れの原因の一つではないか?地上波は、深夜にどうでもいい芸人を寄せ集めて視聴率稼ぎの生放送番組を垂れ流しする状況でいいのか?一部の放送局の経費削減の矛先や解釈がはっきり言って違うような気がする。もう少し視聴者の立場に応えた番組を作ってほしい。
  • 出演者の横文字の多用が気になる。特に最近よく使われるのが「リスペクト」という言葉です。かっこいいと思って使っているのかも知れないが、日本語に言い換えられるものは、ぜひ日本語を使ってもらいたい。年長者や子供には理解できない。
  • 大雪山系トムラウシ山の遭難事故について、一方的に旅行社を悪者にした報道ばかりされている。確かに、天候や参加者の体調が悪くなったことに気づかなかったガイドにも責任はある。しかし、山は天候が変わりやすく、しかも北海道の山なのだから、登山の案内には「厚着をするように」と書いてあったはずだ。観光気分で、山に登ることを安易に考えたツアー客にも問題があると思う。
  • 「千葉女性殺害事件」で、容疑者の移送される飛行機内の映像が放送された。服を頭からかぶりうつむく容疑者を写す報道陣に向かい「カメラの撮影はおやめください」というキャビンアテンダントの声が聞こえた。状況から察するに、他の乗客も乗っている機内で、客室乗務員の静止も聞かずにマスコミが撮影をしていたのだろう。しかし、容疑者の顔も声も撮れず、周りに迷惑をかけているだけのその場面を放送する必要がどこにあったのだろうか?
  • 大学の准教授が大麻の使用で逮捕されたニュースの中で、この容疑者の供述として「気持ちよかったから使った」という言葉が放送された。しかし、これでは、テレビで大麻を宣伝していることになるではないか。本来なら大麻使用の撲滅を啓蒙すべきテレビが、まったく反対のことをしている。「気持ちよかったから使った」という言葉を聞いて、ためしにやってみたくなる人も出てくるのではないか。容疑者の供述だからといって、伝えなくてもいい情報を流す必要はない。
  • 最近、陸上競技にしろ水泳にしろ、スポーツ選手に変なキャッチコピーやあだ名をつけて放送することが多いが、まるでその選手が冒涜されているかのように感じられ、非常に不愉快である。だいいち、真面目にスポーツに取り組んでいる選手に対しても失礼である。日本陸連が放送局に対して、選手に変なキャッチコピーをつけることを止めるよう呼びかけたそうだが、まさにそのとおりだと思う。
  • 民放各局のCMの音量について言いたい。番組本編との音の大きさが違いすぎるので、CMのたびに小さくしなければならない。最新の液晶テレビには「ドルビー・ボリューム」という音量調節機能があって、CMに入ると自動的に音量が小さくなるようだ。しかし、テレビがこの機能を搭載するということは、放送局側に問題があるからだと思う。なんとかならないだろうか?
  • BPOから勧告を受けた局で検証番組が深夜0時50分から放送されるが、この時間では、ほとんどの視聴者は寝ているので見られない。検証番組はゴールデンタイムに放送するようにしていただきたい。

【CM】

  • 最近の民放を見ているとCMが多すぎる。番組を1分放送しただけで、すぐまたCMになったりもする。CMの許容量は放送時間に対してCMの割合が18%以下と聞いているが、本当に守られているのか。
  • 女性の生理用品のCMを止めていただきたい。今の日本には”羞恥心”という気持はないのか?私の時代には、生理用品を買いに行く事すら非常に恥ずかしいことだった。今はCMまで堂々と行っているが、止めてほしい。
  • 公共広告のリサイクルのCMは、子ども目線で作られていて、大変わかりやすい。空き缶が新幹線の車両になったり、ペットボトルが乗務員の制服になるといった内容であり、夢がある。こういった夢のあるCMが今の世の中には必要ではないかと感じる。
  • 殺虫剤のCMが問題です。女性が陰部の膨らみを誇示し腰を左右に揺すって見せる場面、これは男にとっては楽しみなCMかも知れませんが、殺虫剤と女性の陰部の膨らみと何の関係があるのでしょうか。女性は衣服を着ていますが、明らかに陰部の膨らみを見せるための場面です。その視線を意識していると、殺虫剤が出てくるという設定です。これは明らかに女性を蔑視するCMであり、問題視すべきです。

【BPOへの意見】

  • BPOは「報道の自由」「表現の自由」を語る前に、テレビ番組が放送法を厳守しているかどうかをしっかり監視するべきではないか。総務省からの指摘に異論を唱えるのは、おかしな話だと思う。あまりにも酷い偏向報道、印象操作、捏造まがいの報道など、近年は目に余るものが多すぎる。あなた方BPOは、テレビ局を擁護する側の人たちなのか?放送法を厳守することを要望する。
  • BPOが虚偽証言放送に対して「勧告」を出したことを高く評価する。しかし、テレビ局はBPOから「勧告」を受ける前に、番組審議会で審議し、自主的に「検証番組」を放送すべきだったと思う。

青少年に関する意見

【低俗、モラルに反する】

  • ヤクザが主人公で、それを格好良く見せるドラマは問題がある。単純な人間が憧れたり真似をしたらどうする。劇中には刺青を美化するような表現もあり不愉快だ。昨今のドラマや映画には不良やヤクザが主人公のものが多く、それをもてはやす風潮があり、この傾向は問題だ。
  • 「小学生のための情報を伝える教育バラエティー番組」ということで、番組としては全般的には面白いのだが、「星座占い」のコーナーで「〇〇座の人は、恋愛運が良いので好きな人に『告白』した方が良いでしょう」と言ったり、出演者の小学4年~6年の女の子に「この中で好きな男の子に『告白』したことがある人?」と手をあげさせる場面もあった。小学生対象の番組なのに、あえて「告白」を取り上げる必要があるとは思えない。
  • 番組出演者であるお笑いタレントの誕生日をお祝いする目的で”どっきりの仕掛け”が行われた。お笑いタレントが「一日お父さん」となる設定で、ある日一日、タレントの子どもとなる男の子は、実はお父さんを病気で亡くし、母一人子一人という生い立ちを持つ子で、心に寂しい面を持ちつつ、このタレントと次第に本当の親子のようになり、笑顔を取り戻すという感動的な話だった。ところが、番組の最後で、実はこの子のお父さんは亡くなっておらず元気だという種明かしがあった。本当にお父さんを病気で亡くした子どもたちも全国にはたくさんいるのに、あまりにも人の気持ちを考えないこの番組は最低だ。
  • 一般人が登場する場面で、お笑い芸人がその人の風貌など「見かけ」を茶化し、会場の笑いを取るという場面がしばしば見受けられる。一般人をネタにして笑いをとるのは少しも愉快に思えないし、それを見ている子ども達の心に、人に対する思いやりを失わせるようなことも危惧される。

【性表現について】

  • 司会のタレントが9歳の天才卓球少女と対決するコーナーがあった。その際、タレントはズボンのチャックを下ろして、そこからピンポン球を取り出すなど、卑猥な行為や言葉を連発していた。バラエティー番組であったとしても、9歳の子どもを前にして大人のする言動ではない。厳しく指導して欲しい。
  • 女性2人と男性1人の芸人が、「性」や「性交渉」を連想させるコントをしていた。そのコントにみんなが爆笑したり、性交渉について比喩したことをバラす発言を連発したりしていた。子どもが見る時間帯にやめて欲しい。
  • いくら新婚さんとはいえ、白昼堂々と、露骨に生々しく自分たちの夜の生活ぶりを語るのは問題ではないか。子どもたちの見ている時間帯だ。日本には「恥の文化」というものがあり、節度というものがあるはずだろう。
  • スポーツを通した、男女の健全かつ清々しい番組かと思ったら、やけにキスシーンや男女の交わりを想像させるようなベッドシーンが多く、不快と怒りを感じた。女性から男性にいやらしいくらいモーションを掛けるシーンがあったが、いかがなものか。「表現の自由」とは言っても、これだけ人気アイドルが出演している番組となると、小さな子どもから思春期の子ども、または皆で見る家庭もある。この番組の意図するところは何なのか?ゴールデンタイムでもあり、番組構成を考えてもらいたい。

【暴力・殺人シーンについて】

  • 平日の午後の時間帯は夜に放送された番組の再放送が多いが、ドラマの殺人シーンや首つりのシーンなどが放送される。また、ニュースでも何か事件が起きるとその詳細を報道しすぎる。まるで「人の殺し方」や「自殺の仕方」を放送しているようだ。共働きが多い時代でもあり、子ども達が家で一人で留守番をするという家庭も少なくないだろう。もっと子ども達に与える影響を考えていただきたい。
  • 幼い少女が殺人を犯すアニメだが、内容があまりに残酷過ぎて見るに堪えない。実際に残酷な殺人事件が起きている今の時代に、テレビで放送するアニメとして相応しい内容だとはとても思えない。テレビ局は何故、このようなアニメを放送するのだろうか。深夜の時間帯とはいえ、青少年が見る可能性も高い。テレビ局は放送を自粛するべきだと思う。

【いじめについて】

  • 番組の中で「お前の家のテレビは、地上デジタル放送になっていないからいけないんだ」「地上デジタル放送にすれば済む話だ」と、メロディをつけて歌っていた。確かに2011年には地上デジタル放送に変わるのだから「地デジ推進」は必要なのだろうが、子どもが対象と思われる番組でここまでする必要があるのだろうか。この内容は、見方を変えれば、地デジ用のテレビを買えない家庭の子どもへのいじめとも取れる。今一度、放送内容が相応しいものかどうかを考えてほしい。

【視聴者意見への反論・同意】

  • 5月分の青少年に関する意見として掲載された意見に、お酒・パチンコ・サラ金・クレジットカードのCMは「子どもに有害だから深夜のみに限定すべき」「遅い時間にずらしていただきたい」という意見があった。パチンコやサラ金のCMには、かねてから同様の意見が多い。しかし、深夜に追いやればその悪影響が回避できて、問題が起こらなくなるのか。CMを放送したからといって、パチンコ依存症・アルコール中毒・多重債務などの問題が特別増えるとは思えないし、CMを規制したからといって被害がなくなるとも思えない。仮に問題が発生しても、それはCMのせいではなく使う人の問題だ。子どもの目から遠ざけて切り捨てても、根本的な解決にはならないと思う。

【番宣について】

  • 皮膚が変形する難病の方の特集があった。番組宣伝でその方の映像があり、6歳と3歳の子どもが怯えてしまった。番組を見て欲しいがための宣伝なので過激な映像を使いたいことは分かるが、見る見ないを選択できない番組宣伝であまり過激な映像を使わないで欲しい。何より難病の方の容姿が見世物のように扱われていて心が痛い。

【差別・偏見について】

  • 番組出演者が「関西人の嫌いな所」を予想して答えていく「関西人の嫌いな所ランキング」というコーナーがあった。明らかに差別的であり、これを見て楽しむというのは教育上もよくないことだと思った。このコーナーで何が得られるのか?そのメリットが感じられない。差別的な内容は、関西人に限らず特定の方々を不愉快にさせる。教育的にも悪影響があると思うので、改善した方がいい。

【マナーについて】

  • 食事シーンが下品だ。出演者が口に物を入れたまま口を開けて喋っていた。口の中の食べ物が見えていて不快だ。しかも、レストランなどの公共の場所での話だ。最低限の食事マナーすら知らない人が演出しているのだろうか?これを当たり前にしてしまうと、青少年に悪影響を与えると思う。

【言葉について】

  • 最近、テレビに吉本興業のお笑い芸人がよく出演しているが、その言葉遣いの悪さには辟易する。また、「おバカタレント」と呼ばれるタレントたちの礼儀の無さにも呆れ果てるばかりである。テレビの影響力は大きい。テレビは小さい子どもも見るのだから、番組内容や出演者について、もっと考えるべきだと思う。放送における「自由という名のやりたい放題」が、日本の国をダメにする元凶であると思う。

【CMについて】

  • 最近、パチンコ機種のCMやパチンコ店のCMをよく目にする。アニメのキャラクターやアニメソングを使ったCMは、子どもがギャンブルであるパチンコに早くから興味を持ってしまうので教育上よくない。いかがわしい業種のCMは公共の電波で流して欲しくない。

休会

休会 – 2009年8月

中学生モニター会議の概要

中学生モニターについて

例年と同様、8月の青少年委員会は休会したが、8月21日「中学生モニター会議」を開催した。なお、8月に委員会に寄せられた視聴者意見と中学生モニターからの意見は9月委員会で審議する。
「中学生モニター会議」および8月分中学生モニター報告の概要は下記のとおり。

中学生モニター会議の概要
中学生モニターについて

中学生モニター会議の概要

8月21日正午から、東京・紀尾井町の千代田放送会館で2009年度前期の「中学生モニター会議」が開催された。参加したのは、北海道から九州までの中学生モニター16人とその保護者11人、青少年委員6人。会議は汐見稔幸委員長の司会で、前半は日本PTA全国協議会の調査「中2の保護者が見せたくないと思っている番組」(2009年3月)について保護者も参加し、率直な感想や意見交換がなされた。後半は、中学生モニターのみでニュース・情報系番組やドラマを含め、これからのテレビに求めることについて話し合った。なお、当日の記録は概要を冊子にまとめ、後日、会員各社に配付する予定である。

中学生モニターについて

8月のモニター報告は、夏休み中に放送された番組の中から1本を選んで、できるだけ親子や兄弟もしくは友人と見てどんな感想を持ったか話し合い、中学生の意見と家族や友人の意見を交えて報告してくださいというもので、お互いの意見が異なった場合には、その内容や理由も書くように依頼した。
その結果、26人から27番組についての報告が寄せられた(複数報告あり)。ジャンル別では、バラエティー番組14件、ドラマ5件、スポーツ番組3件、情報系番組2件、音楽番組、映画、その他が1件だった。
今回の特徴のひとつは、夏休み中ということもあり、ふだん見ることのない時間帯の番組について意見が寄せられたことである。中でもワイドショー系の情報番組では、有名タレントの覚せい剤事件に始まり、米国の元大統領の北朝鮮訪問と記者の釈放、裁判員制度が始まったことや有名女優の死など、めまぐるしく話題を追いかけ、作り手も見る方も、神経がすり減るような日々を過ごしている一面をかいま見ることができたという意見が寄せられた。また、総選挙を間近に控え、『ビートたけしのTVタックル』が家族の一番の話題という報告もあった。
次に、複数の報告が寄せられた番組は『世界一受けたい授業』とドラマ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』である。前者は、2008年度の日本PTA全国協議会の調査で「保護者が見せたい番組」の1位にランクされている番組で、親子や姉妹で見て「専門家の先生の解説が分かりやすくよく理解できた」、「放送時間帯もちょうど見やすい時間」など好評な報告が寄せられた。一方、後者のドラマについては同じ原作によるアニメーション番組を見ていたこともあり、意見が分かれた。
深夜番組についての意見も寄せられた。『もしものシミュレーションバラエティー お試しかっ!』では、食べ物を粗末にしている・いないで兄弟で意見が分かれたり、北海道テレビの『水曜どうでしょうClassic』を、家族全員で楽しんだりしている声が寄せられた。
また、世界的なスポーツイベントの中継番組についても意見が寄せられ、『世界陸上ベルリン』では、男子短距離の2種目で世界新記録を樹立したウサイン・ボルト選手の話題で盛り上がった様子や、『女子バレーボール ワールドグランプリ2009』では、家族一緒で楽しんだが、生放送でなかったため編集の仕方についての注文が寄せられた。
今回意見が寄せられた番組は、以下の通りである。

【バラエティー番組】

『しゃべくり007』『クイズ!ヘキサゴンⅡ』『リンカーン』『もしものシミュレーションバラエティー お試しかっ!』『ビートたけしのTVタックル』『水曜どうでしょうClassic』『めちゃ2イケてるッ!』『はねるのトびら』『奇跡体験!アンビリバボー』『アッコにおまかせ!』『世界一受けたい授業』(2人)『大人のソナタ』『ひみつの嵐ちゃん』『がっちりマンデー!!』

【ドラマ】

『ブザー・ビート~崖っぷちのヒーロー』『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(2人)『赤鼻のセンセイ』『オルトロスの犬』『ほんとにあった怖い話』

【スポーツ】

『女子バレーボール ワールドグランプリ2009』『世界陸上ベルリン』『ジャンクSPORTS』

【情報系番組】

『おもいッきりDON!』『情報ライブ ミヤネ屋』

【音楽】

『ミュージックステーション』

【映画】

『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』

【その他 】

『FNS26時間テレビ2009』

9月のモニター報告のテーマは、中学生モニターを半年間担当しての感想や放送への注文など。これが今年度前期モニターの最後の報告になる。

第151回 放送と人権等権利に関する委員会

第151回 – 2009年8月

「保育園イモ畑の行政代執行をめぐる訴え」事案の審理

「割り箸事故・医療裁判判決報道」事案の審理 ……など

6月29日に続いて臨時の委員会開催となった。8月7日に通知・公表が行われる「保育園」事案の「委員会決定」について最終確認が行われた。「割り箸」事案と「派遣法」事案の実質審理が行われ、「割り箸」事案では次回委員会でヒアリングが行われることになった。また、審理要請案件「拉致被害者家族からの訴え」について審理入りが決まった。

議事の詳細

日時
2009年8月4日(火) 午後3時~8時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
堀野委員長、樺山委員長代行、三宅委員長代行、大石委員、小山委員、坂井委員、武田委員、田中委員、山田委員

「保育園イモ畑の行政代執行をめぐる訴え」事案の審理

本事案の「委員会決定」の通知・公表が8月7日に行われることになり、その最終確認が行われた。
本事案は、大阪府の保育園の理事が、道路建設のため保育園の野菜畑が行政代執行によって強制収用された当日、園児たちを現場に動員して並ばせたなどと事実に反することを、2008年10月19日のTBS『サンデージャポン』で放送され、名誉を侵害されたと申し立てたもの。
* 8月7日、TBSに対し、重大な放送倫理違反があったとして、「勧告」が通知された。「委員会決定」の全文はこちらへ。)

「割り箸事故・医療裁判判決報道」事案の審理

本事案は、東京都在住の勤務医とその家族から、2008年2月13日にTBSのニュース情報番組『みのもんたの朝ズバッ!』で放送された、割り箸事故を巡る判決報道の内容が、事実誤認及び捏造を含む内容で、医師としての社会的評価を低下させるものであり、名誉を侵害されたと申し立てられたもの。
8月4日の委員会では、番組の同録DVDを改めて視聴し、起草委員から提出された論点整理を基に、特に放送倫理上の問題点などについて審理を行った。次回、8月18日の委員会では、申立人、TBS双方に対するヒアリングを行い、直接意見を聞き、さらに審理を進めることとした。

「派遣法・登録型導入報道」事案の審理

テレビ朝日・朝日放送の『サンデープロジェクト』の特集、「派遣法制定、登録型導入報道」(2009年2月1日および8日放送)により名誉侵害などを受けたとの訴えが出され、この事案の審理入りが5月の委員会で決まっていた。この間、審理事案が多いことや申立人の都合などにより当事案の審理が遅れていたが、この日は6月委員会に次ぐ2回目の実質審理を行った。
この中では、申立人が強く主張している、「インタビューの質問と答えを勝手に切り貼りした捏造報道であり、派遣法に登録型を『ひっそりと』盛り込み、派遣切りなどの雇用不安を産みだした犯人だと攻撃された」という点などについて検討した。
この結果9月15日の委員会で双方へのヒアリングを行い、問題点を詰めることになった。

審理要請案件~拉致被害者家族らからの訴え

この案件は、2009年4月24日と5月29日に放送されたテレビ朝日『朝まで生テレビ!』において、番組司会者・田原総一朗氏の拉致問題についての発言に人権侵害と放送倫理違反があったとして、「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(以下、「家族会」)と、その支援団体である「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」(以下、「救う会」)から申立てがあったもの。
8月4日の委員会では、申立人から提出された「申立書」および「関連資料」、テレビ朝日から提出された「交渉の経緯と局の見解」、「関連資料」ならびに「番組同録DVD」をもとに、本件申立ての審理に入るかどうかを慎重に検討した。この結果、本件を家族会からの申立てとして審理に入ることを決定した。
4月24日放送の上記番組で、田原氏は北朝鮮による拉致被害者の横田めぐみさんと有本恵子さんの名前を挙げ、「二人が生きていないことは外務省も分かっている」などと発言した。これに対し、家族会と救う会はテレビ朝日と田原氏に対し、「何の根拠もなく2人を生きていないと発言した。人の生死についての安易な発言は、名誉毀損やプライバシーの侵害以上に重大な人権侵害である」と抗議した。テレビ朝日と田原氏は文書と5月29日放送の上記番組とで謝罪し釈明したが、申立人らは納得せず、その後も双方の間で話し合いの場が持たれたが決着がつかなかった。

7月の苦情概要

7月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情・相談・批判の内訳は以下の通り。

  • 審理・斡旋に関する苦情・相談・・・・・1件
    (個人又は直接の関係人からの要請)
  • 人権一般の苦情や批判・・・・・・・・・・45件
    (人権問題、報道被害、差別的表現など一般視聴者からの苦情や批判)

その他

  • 放送人権委員会では、放送人権委員とBPO加盟各局との間での意見交換会を、毎年各地区で開いているが、今年は九州・沖縄地区の放送局を対象に、福岡で12月2日に開くことが決まった。事務局より報告し、了承された。
  • 『放送人権委員会判断基準 追補2009』がこのほど発行され、事務局より報告した。去年6月に発行された『BRC判断基準2008』に続くもので、2008年4月から2009年3月までに審理した4事案について示した判断基準をまとめた。サイズはB6変型版で71ページ。新たに「テレビ番組の文字情報によるインターネット配信」などの判断基準が盛り込まれている。加盟各社に配布するほか、入手希望の方には郵送料実費負担で頒布する。 (詳しくはトピックスへ)
  • 次回委員会は8月18日(火)に開かれることになった。

以上