第187回

第187回–2023年9月

NHK『ニュースウオッチ9』について審議

第187回放送倫理検証委員会は、9月8日に千代田放送会館で開催された。
ワクチンを接種後に亡くなった人の遺族の訴えを、新型コロナウイルスに感染して亡くなったと受け取られるように伝え、適切ではなかったと謝罪し、6月の委員会で審議入りしたNHKの『ニュースウオッチ9』について、今回の委員会では、担当委員からヒアリングの内容と意見書の原案についての報告があり、次回の委員会までにさらに必要なヒアリングを実施し、意見書の修正案を作成することになった。
1月12日放送のTBSテレビの報道番組『news23』において、農業協同組合(JA)で職員が共済販売の過大なノルマを課され、職員やその家族が不必要な契約を結ぶ「自爆営業」が横行していると報じた。放送後、身元を隠す措置が不十分だったため、内部告発した職員が退職に追い込まれたとの週刊誌報道やテレビ局の取材対象に対する不誠実な姿勢が問題だという視聴者の声がBPOへ寄せられ、委員会は、取材源の秘匿という原則が損なわれるという放送倫理違反の疑いがあり、詳しく検証する必要があるとして8月の委員会で審議入りを決めた。今回の委員会では担当委員から当該放送局の関係者にヒアリングした結果が報告された。今後は意見書の原案の作成を進める。
統一地方選挙を前に公認立候補予定者が出演したラジオ大阪の番組『大阪を前へ!』等について、政治的な公平性の観点から問題はないか等を判断するために7月の委員会で討議入りし、今回の委員会には当該放送局から番組審議会の議事録等が提出され議論したが、さらに討議を継続することとした。
証言の一部を誤解して放送した報道情報番組について、当該放送局から提出された報告書を基に議論した。
8月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告された。

議事の詳細

日時
2023年9月8日(金)午後5時~午後8時10分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、大石委員、
大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. NHK『ニュースウオッチ9』について審議

NHKの『ニュースウオッチ9』(5月15日放送)は、ワクチン接種後に亡くなった人の遺族を、新型コロナウイルスに感染して亡くなった人の遺族と受け取られるような伝え方をし、放送倫理違反の疑いがあるとして6月の委員会で審議入りとなった。
今回の委員会では、担当委員から当該番組の関係者に対して実施したヒアリングの内容と意見書の原案についての報告があった。委員から組織的な問題をより照射する方向性の意見などが出され、次回の委員会までにさらに必要なヒアリングを実施し、意見書の修正案を作成することになった。

2.TBSテレビ『news23』について審議

TBSテレビは1月12日、報道番組『news 23』の調査報道23時のコーナーにおいて、農業協同組合(JA)で職員が共済販売の過大なノルマを課され、ノルマ達成の為に職員やその家族が不必要な契約を結ぶ、いわゆる“自爆営業”が横行していると報じた。放送後、身元を隠す措置が不十分だったため、A地方のJAに勤める男性は職場で身元がばれて居づらくなり、退職に追い込まれたとの週刊誌報道があった。また、取材を受けた職員とは3回程度会話をしたことがあるという人から「放送を見て誰であるかを私ですら特定できた。彼は農協の問題を告発し多くの職員の声を代弁してくれた。退職になりとても残念だ。テレビ局の取材対象に対する不誠実な姿勢を問題にしてもらいたい」といった声がBPOへ寄せられた。委員会は、報道の取材源の秘匿という原則が損なわれるという放送倫理違反の疑いがあり、取材から放送に至る経緯等について詳しく検証する必要があるとして8月の委員会で審議入りを決めた。
今回の委員会では、担当委員から当該放送局の関係者にヒアリングした結果が報告された。委員からは「内部告発者を取材する際は高いレベルの取材源の秘匿が求められる。今回は最終的にそれが徹底できなかった。なぜ徹底できなかったのかについて意見書では説明を尽くすべきだ」「今回BPOが一石を投じたことによって、調査報道に対する取り組み方を抜本的に改めようとか、調査報道の取材にもっと力を入れようとか、いい方向へ進んでいくのであれば、本事案を問題化したことが放送業界にとってプラスになると思う」といった意見が出た。これらを踏まえて今後は担当委員が意見書の原案の作成を進める。

3.ラジオ大阪『大阪を前へ!』等について討議

大阪放送(ラジオ大阪)の番組『大阪を前へ!』、『兵庫を前へ!』は、統一地方選挙前半(3月31日告示、4月9日投票)の約2カ月前の2023年1月12日から1月29日までの間に計15回(15分番組×13回、30分番組×2回)放送された。ゲストは各回とも同じ政党の公認立候補予定者だった。
7月の委員会で、政治的な公平性に抵触しているのではないか等の観点から討議入りした。今回の委員会には、当該放送局が8月に臨時開催した番組審議会の議事録と現状報告等が提出され議論したが、今後の対応等をまとめた報告書の提出を待つこととし、引き続き討議を継続することにした。

4.証言の一部を誤解して放送した報道情報番組について議論

報道情報番組で販売店の元店長の証言をVTRで放送した後に、関係先の企業から事実と異なる点を指摘され、テレビ局が後日お詫びした。当該放送局から委員会に提出された報告書によると、改めて調査した結果、証言の一部を番組側が誤解していたことが判明し、また事前に関係先に対する確認取材を行っていなかったことも分かった。関係先へは当該放送局の幹部が説明とお詫びに行き、理解を得られたという。委員会では、相手先にとっての不利益な情報を放送するにあたり、報道の基本である裏付けや確認取材を怠ったことは、にわかに信じがたい事である等の非常に厳しい意見が出た一方で、事実関係を速やかに解明し関係先へも対応していることから、現時点では委員会が調査をする必要性までは認められないとし、議事概要で取り上げるにとどめ、議論を終えた。

5.8月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

8月に寄せられた視聴者・聴取者の意見のうち、芸能事務所創立者による性加害問題について、国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会の記者会見と、当該事務所が設置した外部の専門家による「再発防止特別チーム」の調査結果公表があり、さまざまな意見が多数寄せられたこと、その中にはBPOに対応を求めるものが含まれていることなどについて事務局から報告があり、BPOの審議には、規約・委員会規則による制約があることなどの議論を行った。

以上

第186回

第186回–2023年8月

TBSテレビ『news23』が審議入り

第186回放送倫理検証委員会は、8月4日に千代田放送会館で開催された。
ワクチンを接種後に亡くなった人の遺族の訴えを、新型コロナウイルスに感染して亡くなったと受け取られるように伝え、適切ではなかったと謝罪し、6月の委員会で審議入りしたNHKの『ニュースウオッチ9』について、今回の委員会では、担当委員から当該番組の関係者に対して実施したヒアリング内容の報告があった。これに対して、他の委員からは事実関係についての質問などが出された。次回の委員会までにさらに必要なヒアリングを実施し、意見書の原案作成を目指すことになった。
1月12日放送のTBSテレビの報道番組『news23』において、農業協同組合(JA)で職員が共済販売の過大なノルマを課され、職員やその家族が不必要な契約を結ぶ「自爆営業」が横行していると報じた。放送後、身元を隠す措置が不十分だったため、内部告発した職員が退職に追い込まれたとの週刊誌報道やテレビ局の取材対象に対する不誠実な姿勢が問題だという視聴者の声がBPOへ寄せられた。委員会は、取材源の秘匿という原則が損なわれるという放送倫理違反の疑いがあり、詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。
統一地方選挙を前に公認立候補予定者が出演したラジオ大阪の番組『大阪を前へ!』等について、政治的な公平性の観点から問題はないか等を判断するために前回の委員会で討議入りしたが、さらに討議を継続することとした。
7月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告された。

議事の詳細

日時
2023年8月4日(金)午後5時~午後7時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. NHK『ニュースウオッチ9』について審議

NHKの『ニュースウオッチ9』は、ワクチン接種後に亡くなった遺族を、新型コロナウイルスに感染して亡くなった人の遺族と受け取られるような伝え方をし、放送倫理違反の疑いがあるとして6月の委員会で審議入りとなった。
同番組は5月15日に「新型コロナ5類移行から1週間・戻りつつある日常」と題する1分5秒のVTRを放送した。VTRには、ワクチン被害者の遺族の会から遺族3人が出演したが、3人がワクチン接種後に亡くなった人の遺族であるとの説明は無く、テロップで「夫を亡くした」「母を亡くした」と紹介するにとどまった。
今回の委員会では、担当委員から当該番組の関係者に対して実施したヒアリングの報告があった。これに対して、他の委員からは事実関係についての質問などが出された。次回の委員会までにさらに必要なヒアリングを実施し、意見書の原案作成を目指すことになった。

2.TBSテレビ『news23』について審議

TBSテレビは1月12日、報道番組『news 23』の調査報道23時のコーナーにおいて、農業協同組合(JA)で職員が共済販売の過大なノルマを課され、ノルマ達成の為に職員やその家族が不必要な契約を結ぶ、いわゆる“自爆営業”が横行していると報じた。その中で、A地方のJAに勤める男性が、顔をぼかし声も変えてインタビューを受け、ノルマ達成のために1歳と5歳の子供に必要のない共済をかけていると語った。このインタビューには顔をぼかし声も変えた別のJAの職員も同席していた。また、JAのBに勤める男性は、顔をぼかし声も変えて、上司から給与やボーナスが支払えなくなるといわれ職員や農協の為にノルマを無くせないと述べた。
放送後、身元を隠す措置が不十分だったため、A地方のJAに勤める男性は職場で身元がばれて居づらくなり、退職に追い込まれたとの週刊誌報道があった。また、取材を受けた職員とは3回程度会話をしたことがあるという人から「放送を見て誰であるかを私ですら特定できた。彼は農協の問題を告発し多くの職員の声を代弁してくれた。退職になりとても残念だ。テレビ局の取材対象に対する不誠実な姿勢を問題にしてもらいたい」といった声がBPOへ寄せられた。
委員会は、当該放送局に報告書と番組DVDを求めて協議した。その結果、報道の取材源の秘匿という原則が損なわれるという放送倫理違反の疑いがあり、取材から放送に至る経緯等について詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。今後は当該放送局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

3.ラジオ大阪『大阪を前へ!』等について討議

大阪放送(ラジオ大阪)の番組『大阪を前へ!』、『兵庫を前へ!』は、統一地方選挙前半(3月31日告示、4月9日投票)の約2カ月前の2023年1月12日から1月29日までの間に計15回(15分番組×13回、30分番組×2回)放送された。ゲストは各回とも同じ政党の公認立候補予定者だった。
番組最終回の放送翌日、聴取者からBPOに「特定政党のキャッチフレーズをそのままタイトルにした番組で、ゲストはこの党の政治家と決まっており、内容は党の活動や今後の取り組みを紹介し宣伝することに尽きる。特定政党のPR番組を一般の番組と同じ扱いで放送することは問題だ」という趣旨の意見が寄せられた。
前回の委員会で、政治的な公平性に抵触しているのではないか等の観点から討議入りし、今回の委員会では様々な意見が出されたが、引き続き討議を継続することとした。

4.7月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

7月に寄せられた視聴者・聴取者の意見のうち、シングルマザーとして娘を育てる女性が、スリランカ出身の男性と恋に落ち、3人で家族を作るというストーリーのテレビドラマに対して、「違法滞在を美化している」「不法移民を正当化している」などの意見が寄せられたことなどについて事務局から報告があった。

以上

第185回

第185回–2023年7月

NHK『ニュースウオッチ9』について審議

第185回放送倫理検証委員会は、7月14日に千代田放送会館で開催された。
ワクチンを接種後に亡くなった人の遺族の訴えを、新型コロナウイルスに感染して亡くなったと受け取られるように伝え、適切ではなかったと謝罪し、6月の委員会で審議入りしたNHKの『ニュースウオッチ9』について、今回の委員会では、担当委員が作成した資料をもとに議論した。今後は当該番組の関係者に対してヒアリングを行っていく。
統一地方選挙を前に公認立候補予定者が出演したラジオ大阪の番組『大阪を前へ!』等について、当該放送局から提出された報告書と番組CDを踏まえて議論した。その結果、政治的な公平性の観点から問題はないか等を判断するため、討議事案としてさらに議論を継続することとした。
タマネギの糖度を紹介する特集で数値をねつ造した鹿児島読売テレビの情報番組『かごピタ』について、当該放送局から提出された報告書と番組DVDを踏まえて討議したが、一連の訂正とお詫びの放送や再発防止策等を受け、今回で討議は終了し審議の対象としないこととした。
6月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告され議論した。

議事の詳細

日時
2023年7月14日(金)午後6時~午後9時20分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. NHK『ニュースウオッチ9』について審議

NHKの『ニュースウオッチ9』は、ワクチン接種後に亡くなった遺族を、新型コロナウイルスに感染して亡くなった人の遺族と受け取られるような伝え方をし、放送倫理違反の疑いがあるとして6月の委員会で審議入りとなった。
同番組は5月15日に「新型コロナ5類移行から1週間・戻りつつある日常」と題する1分5秒のVTRを放送した。VTRには、ワクチン被害者の遺族の会から遺族3人が出演したが、3人がワクチン接種後に亡くなった人の遺族であるとの説明はなく、テロップで「夫を亡くした」「母を亡くした」と紹介するにとどまった。
今回の委員会では、担当委員から企画の提案、取材、編集、試写などの各段階において、詳細な疑問点と問題のある可能性が提示され、議論した。
委員会は今後、当該番組の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

2.ラジオ大阪『大阪を前へ!』等について討議

大阪放送(ラジオ大阪)の番組『大阪を前へ!』、『兵庫を前へ!』は、統一地方選挙前半(3月31日告示、4月9日投票)の約2カ月前の2023年1月12日から1月29日までの間に計15回(15分番組×13回、30分番組×2回)放送された。ゲストは各回とも同じ政党の公認立候補予定者だった。
番組最終回の放送翌日、聴取者からBPOに「特定政党のキャッチフレーズをそのままタイトルにした番組で、ゲストはこの党の政治家と決まっており、内容は党の活動や今後の取り組みを紹介し宣伝することに尽きる。特定政党のPR番組を一般の番組と同じ扱いで放送することは問題だ」という趣旨の意見が寄せられた。
これを受けて委員会では報告書と番組CDの提出を当該放送局に求めた。報告書によれば、2022年11月末に広告代理店から番組企画の打診があり、社内で検討。同年12月に統一地方選まで2カ月を逆算し、空いている放送枠を確認して収録した。放送期間は2023年1月12日から1月29日に決定したという。また、すべての回でゲストが特定政党から公認を受けた立候補予定者であり、番組CDで放送内容を聴取すると、立候補予定者の議会や地元選挙区などでの活動実績や抱負、経歴などが紹介されていた。委員会は、政治的な公平性に抵触しているのではないか等の観点から、番組を討議事案としてさらに議論を継続することとした。

3.鹿児島読売テレビ『かごピタ』について討議

鹿児島読売テレビは2023年2月24日に、情報番組『かごピタ』内でタマネギの糖度について約13分半にわたる特集を放送した。その後6月14日に地元地方紙が数値のねつ造等を報じ、同日当該放送局からも自主申告があったため委員会は報告書と番組DVDの提出を求め、討議を行った。
報告書によれば、新タマネギと普通のタマネギの糖度の違いを糖度計で比較した映像を流したが、普通のタマネギについては、タマネギを使わずに砂糖水を計測した数値を紹介。新タマネギについては加熱した場合の糖度を表示していたものの、計測時の現場では値が高く出過ぎたと判断し、水を加えて数値を低くして放送したという。
当該特集について3月に、業務委託をしている制作会社のスタッフから「納得がいかない」旨の相談を当該放送局の社員が受け、調査したところ数値のねつ造・改ざんが明らかになった。番組担当者は「インターネットで調べた一般的な数値に近づけるために行った」などと説明している。番組では3月31日に、不正確なところがあったとして内容の訂正とお詫びをしたが、糖度を偽ったことについては全く説明がなかった。
6月14日の地元紙報道を受けて、6月16日の同番組で「砂糖水を使って数値を『ねつ造』したこと」、「水を加えて数値の『改ざん』をしたこと」、「3月31日の訂正とお詫びの放送で『誤った計測方法について伝えていなかったこと』」の3点を認めて放送し、改めて謝罪した。
当該放送局は、タマネギの糖度の数値についてねつ造・改ざんを把握したにもかかわらず、3月のお詫び放送ではその旨の説明を全くしておらず、地元紙報道を受けてようやくねつ造・改ざんを認め謝罪したのであって、放送倫理が内発的に遵守されるべき点からは問題があると言わざるを得ない。もっとも、再発防止の対応策として、番組プロデューサーに報道経験者を加えることや取材における留意事項を記載したチェックシートを新たに導入したこと、また、研修会の実施、番組審議会で審議されたこと等が示されていることを踏まえ、委員会での意見を議事概要に掲載した上で討議を終了し、審議の対象としないこととした。

【委員の主な意見】

・数値を変えたという、事実と異なる内容を放送したことは放送倫理違反と言えよう。類似事例では『発掘!あるある大事典Ⅱ』があるが、その番組はかなりの構造的な問題点や、繰り返し改ざんがされていたというような案件であり、それと比較して提出された報告書以上の事実が出てくるとは思われず、恒常的なものとは認められないだろう。
・初回(3月31日)のお詫び放送では、数値改ざん等には触れておらず新聞報道後に、初めてねつ造・改ざんの事実を2回目のお詫び放送の中で伝えた。この報道がなければそのままになっていたのではないか、という点では猛省してほしい。
・事後的な是正も一定程度なされていると考えられ、再発防止策も報告されている。

4.6月に寄せられた視聴者・聴取者意見を議論

6月に寄せられた視聴者・聴取者の意見のうち、芸能人の不倫の問題をめぐって、本人たちの自筆の手紙や交換日記を映したり、内容を報道したりすることはプライバシーの侵害ではないかといった批判的な意見が多数あったことや、歌舞伎俳優の自殺ほう助事件に関して、睡眠薬の種類、量、その方法などについて詳しく報じるのはあきらかに過剰であり、WHOの自殺報道ガイドラインに抵触し、視聴者の自殺を助長するのではないかといった疑問を呈する意見などが事務局から報告され、議論した。

以上

第184回

第184回–2023年6月

NHK『ニュースウオッチ9』が審議入り

第184回放送倫理検証委員会は、6月9日に千代田放送会館で開催された。
NHK『ニュースウオッチ9』は、エンディングVTRにおいて、ワクチンを接種後に亡くなった人の遺族の訴えを、新型コロナウイルスに感染して亡くなったと受け取られるように伝え、適切ではなかったと謝罪した。当該放送局から提出された報告書や番組DVDを踏まえて協議した結果、放送倫理違反の疑いがあり、放送に至った経緯等について詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。
前回の委員会に引き続き、民放ラジオのコメンテーター発言について議論したが、当該放送局の番組審議会での意見や是正措置を評価し議論を終了した。
5月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告され議論した。

議事の詳細

日時
2023年6月9日(金)午後5時~午後8時
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. NHK『ニュースウオッチ9』について審議

NHKは5月15日の『ニュースウオッチ9』のエンディングで「新型コロナ5類移行から1週間・戻りつつある日常」と題する1分5秒のVTRを放送した。
VTRには、ワクチン被害者の遺族の会から遺族3人が出演。「遺族の人たちの声を届けていきたい」「風化させることはしたくない」などと語ったが、3人がワクチン接種後に亡くなった人の遺族だとの説明は無く、テロップで「夫を亡くした」「母を亡くした」という紹介にとどまった。このため視聴者には、新型コロナウイルス感染により亡くなったかのような印象を与える放送となった。
NHKは遺族の会から抗議を受け、16日の同番組で「新型コロナに感染して亡くなったと受け取られるように伝えてしまった。適切ではありませんでした」と謝罪した。
委員会は、NHKから提出された報告書と番組DVDを踏まえて協議を行った。その結果、企画、取材、編集の各段階で不明な点が多く報告書は納得できる内容ではなく、放送倫理違反の疑いがあることから、放送に至った経緯等について詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。
委員会は今後、当該番組の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

2. 民放ラジオのコメンテーター発言について議論

民放ラジオ局でコメンテーターが発言した内容とそこに至る経緯について、前回に引き続いて議論が行われた。当該放送局の番組審議会で厳しい意見が連続して出されていることや、当該放送局でとられたコンプライアンスの強化や発言に関する知識を深めるなどの活動があり、是正措置が一定程度評価できるものであることを考慮し、議論を今回で終了することにした。

3. 5月に寄せられた視聴者・聴取者意見を議論

5月に寄せられた視聴者・聴取者意見のうち、過大なノルマを達成するために職員やその家族が不必要な契約を結ぶいわゆる“自爆営業”がJAで横行している実態を放送した際、インタビューに応じたJA職員の身元を隠す措置が不十分だったため、特定され退職に追い込まれたとする報道を受けて、取材対象に対する不誠実な姿勢は問題だとの意見が寄せられたことなどを事務局が報告し、議論した。

以上

第183回

第183回–2023年5月

民放ラジオのコメンテーター発言について議論

第183回放送倫理検証委員会は5月12日に開催され、前回の委員会で議論した番組の関連資料や、4月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告され議論した。

議事の詳細

日時
2023年5月12日(金)午後5時~午後7時
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. 民放ラジオのコメンテーター発言について議論

民放ラジオ局でコメンテーターが発言した内容とそこに至る経緯について、当該放送局から届けられた報告書等を基に議論が行われた。当該放送局の番組審議会でも活発な議論が行われていることにも注目し、その推移を見守りながら継続して議論することになった。

2. 4月に寄せられた視聴者・聴取者意見を議論

4月に寄せられた視聴者・聴取者意見のうち、岸田首相襲撃事件の報道で、爆弾の作り方や殺傷能力の高め方が分かるような内容があったこと、芸能事務所創立者による性加害疑惑がほとんど報じられていないことなどに意見が寄せられたことが事務局から報告され、議論が行われた。

以上

第182回

第182回–2023年4月

東海地区ラジオ局との意見交換会の報告

第182回放送倫理検証委員会は、新しく毛利透委員が加わり10人の委員が出席して4月14日に開催され、3月に名古屋市で行われた東海地区ラジオ局との意見交換会の模様や、3月にBPOに寄せられた視聴者意見などが報告され議論を行った。

議事の詳細

日時
2023年4月14日(金)午後5時~午後6時50分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. 東海地区ラジオ局との意見交換会の報告

3月17日に名古屋市で、愛知・岐阜・三重の3県のラジオ局8局から約20人が参加して、委員との意見交換会が行われた。ラジオ局だけを対象にした意見交換会を開くのは、2007年の委員会発足以来、初めてのことである。
参加した委員からは「私たちはこれまでラジオにあまり目配りをしてこなかった。今回を初めの一歩として今後も続けていきたい」「議論の主たるテーマの1つだった『政治的公平性』について、放送局によって意識のばらつきがあることが分かった」「ラジオとテレビでは、同じ放送事業者とはいえ番組制作の事情がかなり異なることが分かった」といった感想や報告があった。
意見交換会の詳細はこちら

2. 3月に寄せられた視聴者・聴取者意見を議論

3月に寄せられた視聴者・聴取者意見のうち、ニュース番組でメジャーリーグの大谷翔平選手を乗せた飛行機を撮影しようと、取材ヘリコプターが夜遅くに羽田空港付近で長時間旋回し、騒音被害を受けたという苦情が多数寄せられたことや、ゲストが差別的な発言と受け取れるコメントをした番組があったことや、情報番組で動物園から生中継をした際に、出演者がペンギンのいる池にわざと何回も落ちたことについて「ペンギンを虐待している」という意見が殺到したことなどが事務局から報告され、議論が行われた。

以上