第169回 放送倫理検証委員会

第169回–2022年3月

テレビ朝日『大下容子ワイド!スクランブル』視聴者質問の作り上げに関する意見の通知・公表について報告

第169回放送倫理検証委員会は3月11日に千代田放送会館で開催された。
委員会が3月9日に行ったテレビ朝日の情報番組『大下容子ワイド!スクランブル』視聴者質問の作り上げに関する意見の通知・公表について、出席した委員長と担当委員から当日の様子が報告された。
字幕の内容に誤りがあったNHK BS1スペシャル『河瀨直美が見つめた東京五輪』について、前回委員会で、放送倫理違反の疑いがあり放送に至った経緯等について詳しく検証する必要があるとして審議入りが決まったことを受け、今回の委員会では、担当委員から当該番組の関係者に対して行うヒアリングの準備状況が報告された。
民放局のバラエティー番組に同じ政党の幹部3人が出演し、政治的な課題などについて見解を語ったことについて、当該局から提出された調査報告書および番組審議会議事録要旨を踏まえ意見交換を行った。

議事の詳細

日時
2022年3月11日(木)午後5時~午後6時40分
場所
千代田放送会館会議室
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、巻委員、米倉委員

1. テレビ朝日『大下容子ワイド!スクランブル』視聴者質問の作り上げに関する意見の通知・公表について報告

テレビ朝日が2020年10月から2021年10月までに放送した情報番組『大下容子ワイド!スクランブル』の視聴者からの質問に答えるパートにおいて、番組スタッフが作成した質問を視聴者からの質問であるかのように放送したケースが含まれていた。委員会は放送倫理違反の疑いがあるとして11月の委員会で審議入りを決め、議論を重ねてきた。
審議の結果、質問は視聴者の関心事やその傾向を示す重要な事実情報であり、制作者が歪めることがあってはならず、また投稿者の属性を書き換えることはその出所を不明確にするものであり、いずれも民放連放送基準に反しているとして、放送倫理違反があったと判断し、3月9日、当該局に対し意見書の通知と公表の記者会見(オンライン形式)を行った。
この日の委員会では、委員会決定を伝えたテレビ朝日の当該番組内で放送された検証コーナーを視聴し、委員長と担当委員が通知・公表の様子について報告した。
通知と公表の概要は、こちら

2. NHK BS1『河瀨直美が見つめた東京五輪』について審議

NHKは2021年12月26日に放送したBS1スペシャル『河瀨直美が見つめた東京五輪』後編の字幕の一部に不確かな内容があったとして、2022年1月9日、番組と局のホームページで公表し謝罪した。番組は、東京五輪の公式記録映画監督である河瀨直美さんと映画製作チームに密着取材したもの。男性を取材した場面で「五輪反対デモに参加しているという男性」「実はお金をもらって動員されていると打ち明けた」という字幕を付けて伝えた。放送後、視聴者から字幕の内容が事実であるかの問い合わせが相次ぎ、NHKが男性に確認したところ、実際に五輪反対デモに参加していた事実を確認できず、字幕の内容が不確かだったことがわかったという。
前回の委員会では、委員会からの質問に対する回答書、NHKが設置した「BS1スペシャル」報道に関する調査チームがとりまとめた調査報告書が提出され、それらを踏まえて議論を行った。同報告書では、字幕の内容は誤りであったとされている。議論の結果、取材、編集、考査、調査の各段階で問題があるのではないかといった厳しい意見が相次ぎ、放送倫理違反の疑いがあることから、放送に至った経緯等について詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。
今回の委員会では、担当委員から当該番組の関係者に対して行うヒアリングの準備状況等が報告された。

3. 同じ政党の幹部がそろって出演した民放局バラエティー番組について意見交換

元日に放送された民放局のバラエティー番組に同じ政党の幹部3人が出演し、政治的な課題などについて見解を語ったことについて、視聴者から政治的公平性を問題視する意見がBPOに寄せられた。これについて2月の委員会では番組を視聴した上で意見交換を行った。
今回の委員会には、当該放送局が社内に設置した調査チームがまとめた報告書とそれをもとに行われた当該放送局の番組審議会の議事録要旨が提出され、委員会はそれらを踏まえて意見交換を行った。委員会では政治的公平性のバランスのとり方や制作過程でのチェック体制などさまざまな観点から意見が交わされ、さらに検討が必要であるとして議論を継続することとした。

4. 2月に寄せられた視聴者意見を議論

2月にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、特定の政党関係者がさまざまな番組に数多く出演しているのは政治的公平性の面で問題があるとする批判的意見が多数寄せられたことに関して事務局から概要が報告され、意見交換が行われた。

以上

第168回 放送倫理検証委員会

第168回–2022年2月

NHK BS1スペシャル『河瀨直美が見つめた東京五輪』審議入り

第168回放送倫理検証委員会は2月10日にオンライン会議形式で開催された。
番組スタッフが作成した質問を視聴者からの質問として放送し、11月の委員会で審議入りしたテレビ朝日の情報番組『大下容子ワイド!スクランブル』について、担当委員から意見書の修正案が提出された。意見交換の結果、大筋で了承が得られたため、3月にも当該放送局へ通知して公表することになった。
字幕の内容に誤りがあったNHK BS1スペシャル『河瀨直美が見つめた東京五輪』について、当該局から提出された番組DVDや調査報告書等を踏まえて協議を行った。その結果、放送倫理違反の疑いがあり、放送に至った経緯等について詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。
民放局のバラエティー番組に同じ政党の幹部3人が出演し、政治的な課題などについて見解を語ったことについて、当該局から提出された番組DVDを視聴した上で意見交換を行った。

議事の詳細

日時
2022年2月10日(木)午後5時~午後7時15分
場所
オンライン会議形式
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、巻委員、米倉委員

1. テレビ朝日の情報番組『大下容子ワイド!スクランブル』について審議
3月にも委員会決定を通知・公表へ

テレビ朝日は、情報番組『大下容子ワイド!スクランブル』の2021年3月から10月にかけて放送した視聴者からの質問に答えるパートにおいて、番組スタッフが作成した質問を視聴者からの質問であるかのように放送したケースが含まれていたとして、10月21日、番組と番組のウェブサイトで公表し謝罪した。11月の委員会で、視聴者の質問や意見を番組が作ることは世論の誘導にもつながりかねず、放送倫理違反の疑いがあるとして審議入りを決めた。
今回の委員会では、前回までの議論と追加で実施した調査を踏まえ担当委員から示された意見書の修正案について意見が交わされた。その結果、大筋で合意が得られたため、表現などについて一部手直しの上、3月にも当該放送局へ通知して公表することになった。

2. NHK BS1『河瀨直美が見つめた東京五輪』について審議

NHKは2021年12月26日に放送したBS1スペシャル『河瀨直美が見つめた東京五輪』後編の字幕の一部に不確かな内容があったとして、2022年1月9日、番組と局のホームページで公表し謝罪した。
番組は、東京五輪の公式記録映画監督である河瀨直美さんと映画製作チームに密着取材したもの。男性を取材した場面で「五輪反対デモに参加しているという男性」「実はお金をもらって動員されていると打ち明けた」という字幕を付けて伝えた。
放送後、視聴者から字幕の内容が事実であるかの問い合わせが相次ぎ、NHKが男性に確認したところ、実際に五輪反対デモに参加していた事実を確認できず、字幕の内容が不確かだったことがわかったという。
1月の委員会では、NHKから提出された報告書と番組DVDを踏まえて議論を行い、深刻な事案である可能性があるとして討議入りを決めた。その上で当該局に対し事実関係について質問を行うとともに、改めて詳細な報告書の提出を求め、議論を継続することにした。
今回の委員会では、委員会からの質問に対する回答書、NHKが設置した「BS1スペシャル」報道に関する調査チームがとりまとめた調査報告書が提出され、それらを踏まえて議論を行った。同報告書では、字幕の内容は誤りであったとされている。議論の結果、取材、編集、考査、調査の各段階で問題があるのではないかといった厳しい意見が相次ぎ、放送倫理違反の疑いがあることから、放送に至った経緯等について詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。
委員会は今後、当該番組の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

3. 同じ政党の幹部がそろって出演した民放局バラエティー番組について意見交換

元日に放送された民放局のバラエティー番組に同じ政党の幹部3人が出演し、政治的な課題などについて見解を語ったことについて、視聴者から政治的中立を問題視する意見がBPOに寄せられていたことから、委員会は番組を視聴した上で意見交換を行った。
当該局からは社内に調査チームを立ち上げて制作過程の調査を行っているとの報告があったため、委員会はその結果を待って議論を行うことにした。

4. 1月に寄せられた視聴者意見を議論

1月にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、民放局のバラエティー番組で放送された、コンビニエンスストアの食品を料理人が評価する企画や、民放局の報道番組で元総理大臣のツイートを批判したコメンテーターの発言に対する批判的意見等に関して事務局から概要が報告されたが、さらに踏み込んだ検証が必要であるとの意見はなかった。

以上

第167回 放送倫理検証委員会

第167回–2022年1月

NHK BS1『河瀨直美が見つめた東京五輪』について討議

第167回放送倫理検証委員会は1月14日に千代田放送会館でオンラインを併用して開催された。
11月の委員会で審議入りしたテレビ朝日の情報番組『大下容子ワイド!スクランブル』について、当該放送局に対して行ったヒアリング等を踏まえ、担当委員から意見書の原案が提出された。
字幕に不確かな内容があったNHK BS1のドキュメンタリー番組『河瀬直美が見つめた東京五輪』について、当該放送局から提出された報告書と番組DVDを踏まえて議論した。その結果、事実関係や放送に至った経緯等に不明な点があるため、より詳細な報告書の提出を求めるとともに、討議事案としてさらに議論を継続することとした。
手製の筏を漕いで無人島から脱出を図りその所要時間を競う企画を放送した民放テレビ局の番組について、不適切な演出が行われたと週刊誌が報じ、BPOにも視聴者意見が寄せられたことについて、委員会は番組を視聴したうえで意見交換を行った。

議事の詳細

日時
2022年1月14日(金)午後5時~午後7時30分
場所
千代田放送会館会議室およびオンライン
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、巻委員、米倉委員

1. テレビ朝日の情報番組『大下容子ワイド!スクランブル』について審議

テレビ朝日は情報番組『大下容子ワイド!スクランブル』の2021年3月から10月にかけて放送した視聴者からの質問に答えるパートにおいて、番組側が作成した質問を視聴者からの質問であるかのように放送したケースが含まれていたとして、10月21日、番組と番組のウェブサイトで公表し謝罪した。同パートでは、番組の前半で当日のテーマを視聴者に伝え、放送中に番組ウェブサイトなどで受け付けた質問を番組終盤で紹介し、出演した専門家らが答えていた。また視聴者から受け付けた実際の質問を使用する場合も、文章に手を入れ表現を修正したケースでは、クレームを避けるためとして投稿者の属性を書き換え架空の属性で放送していたという。
11月の委員会で、視聴者の質問や意見を番組が作ることは世論誘導にもつながりかねず、放送倫理違反の疑いがあるとして審議入りを決めた。
今回の委員会には、当該局から提出された追加報告書やヒアリングの内容を基に前回の委員会で交わされた意見を踏まえ、担当委員が作成した意見書の原案が示され、議論が行われた。
次回の委員会では、意見書の修正案が提出される予定である。

2. NHK BS1のドキュメンタリー番組『河瀨直美が見つめた東京五輪』について討議

NHKは2021年12月26日に放送したBS1スペシャル『河瀬直美が見つめた東京五輪』の字幕の一部に不確かな内容があったとして、2022年1月9日、番組と放送局のホームページで公表し謝罪した。
番組は、東京五輪の公式記録映画監督である河瀬直美さんら映画製作チームに密着取材したもの。男性を取材した場面で「五輪反対デモに参加しているという男性」「実はお金をもらって動員されていると打ち明けた」という字幕を付けて伝えた。
放送後、視聴者から問い合わせがあり、NHKが男性に再度確認したところ、男性はデモに参加する意向があると話していたものの、実際に五輪反対デモに参加していた事実を確認できず、字幕の内容が不確かだったことがわかったという。
委員会は、当該放送局から提出された報告書と番組DVDを踏まえて議論を行った。委員からは、報告書に記されている内容だけでは、取材時および放送に至る過程での確認作業が適正に行われたかどうかがわからない、字幕で紹介された男性の発言内容など事実関係に不明な点が多い、などの意見が相次いだ。議論の結果、委員会は、深刻な事案である可能性があるとして討議入りを決め、当該局に対し放送に至った経緯等について質問を行うとともに、改めて詳細な報告書の提出を求め、それを踏まえて議論を継続することにした。

3. 民放局が放送したバラエティー番組について意見交換

手製の筏を漕いで無人島から脱出を図りその所要時間を競う企画を放送した民放テレビ局の番組について、船が筏をけん引するなど不適切な演出があったとする週刊誌報道があり、また、BPOにも視聴者からの意見が寄せられていたことから、委員会は番組を視聴した上で意見交換を行った。
委員からは「番組の最後に『安全に配慮して撮影しています』と小さくクレジットがしてあった。牽引はやむなくやっていることで、面白おかしくするためにやっているわけではないということだろう」「このタイプの番組で最も気を遣うのは出演者の安全確保だ。それを否定すると他の同種の番組が作れなくなるのではないか」という意見があった。
一方で、「出演回数の多いお笑いタレントを番組内のスターとして育てているのは理解できる。ただ、参加者同士の競争という体をとっておいて、3組のうち2組がリタイヤし、残った筏を船で牽引して成功させるというのはやりすぎだ」「少年少女に語り掛けるコーナーを設けるなど、この番組は子供向けの感動的な物語風の作りになっている。それだけに、今回船による牽引が行われたことは罪深いのではないか」という声もあがった。
その上で「週刊誌報道をきっかけに、番組を見る人に筏は牽引されていることがあるということがわかってしまった。今後自浄作用が働くのではないか」「そういう番組作りだとわかって楽しんでいる視聴者も沢山いると思う。幻滅する人は見なくなるだろう。この番組の扱いに関しては、そうした視聴者の判断に委ねるべきだ」として議論を終えた。

4. 12月に寄せられた視聴者意見を議論

12月にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、大阪のクリニック放火殺人事件や女優の急死の取り上げ方等に関して事務局から概要が報告されたが、さらに踏み込んだ検証が必要であるとの意見はなかった。

以上

第166回 放送倫理検証委員会

第166回–2021年12月

テレビ朝日『大下容子ワイド!スクランブル』の審議

第166回放送倫理検証委員会は12月10日に千代田放送会館で開催された。
番組スタッフが作成した質問を視聴者からの質問として放送したテレビ朝日の情報番組『大下容子ワイド!スクランブル』について、11月の委員会で審議入りが決まったことを受け、今回の委員会では、担当委員から当該放送局の関係者に対して実施したヒアリングの概要が報告された。

議事の詳細

日時
2021年12月10日(金)午後5時~午後7時
場所
千代田放送会館会議室
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、巻委員、米倉委員

1. テレビ朝日の情報番組『大下容子ワイド!スクランブル』について審議

テレビ朝日は情報番組『大下容子ワイド!スクランブル』の2021年3月から10月にかけて放送した視聴者からの質問に答えるコーナーにおいて、番組側が作成した質問を視聴者からの質問であるかのように放送したケースが含まれていたとして、10月21日、番組と番組のウェブサイトで公表し謝罪した。同コーナーでは、番組の前半で当日のテーマを視聴者に伝え、放送中に番組ウェブサイトなどで受け付けた質問を番組終盤で紹介し、出演した専門家らが答えていた。また視聴者から受け付けた実際の質問を使用する場合も、文章に手を入れ表現を修正したケースでは、クレームを避けるためとして属性を書き換え架空の属性で放送していたという。
11月の委員会で、視聴者の質問や意見を番組が作ることは世論誘導にもつながりかねず、放送倫理違反の疑いがあるとして審議入りを決めた。
今回の委員会では、11月末から12月にかけて当該放送局の関係者に対して実施したヒアリングの概要が担当委員から報告され、それを踏まえて議論が行われた。委員からは、制作体制の中のポジションによる意見表明の難しさ、企画・制作の段階における局の関与の程度、好調な視聴率を背景とした制作フロー点検の欠落の可能性、視聴者とのキャッチボールという枠組みの変更可能性、コロナ禍でのコミュニケーションの困難さなどを指摘する意見が出された。
次回の委員会では、意見書の原案が提出される見通しである。

2. 11月に寄せられた視聴者意見を議論

11月の30日間にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、多数の意見があった「バラエティー番組の企画」等について事務局から概要が報告され議論したが、さらに踏み込んだ検証が必要であるとの意見はなかった。

以上

第165回 放送倫理検証委員会

第165回–2021年11月

テレビ朝日『大下容子ワイド!スクランブル』審議入り

第165回放送倫理検証委員会は11月12日に千代田放送会館で開催された。
委員会が7月21日に通知・公表した日本テレビ『スッキリ』アイヌ民族差別発言に関する意見について、当該放送局から委員会に対し、具体的な再発防止策などをまとめた対応報告が書面で提出され、その内容を検討した結果、報告を了承して公表する事にした。
番組スタッフが作成した質問を視聴者からの質問として放送していたテレビ朝日の情報番組『大下容子ワイド!スクランブル』について、同局から提出された報告書と番組DVDを踏まえて協議した結果、視聴者の質問等を番組が作ることは世論誘導につながりかねず放送倫理違反の疑いがあり、放送に至った経緯について検証する必要があるとして審議入りを決めた。

議事の詳細

日時
2021年11月12日(金)午後5時~午後7時
場所
千代田放送会館会議室
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、巻委員、米倉委員

1. 日本テレビ『スッキリ』アイヌ民族差別発言に関する意見への対応報告を了承

7月21日に通知・公表した日本テレビ『スッキリ』アイヌ民族差別発言に関する意見(委員会決定第41号)への対応報告が、当該放送局から委員会に書面で提出された。
報告書には、社内の検証チームが今回の事態に至った経緯と原因について調査
し、結果を30分番組にまとめて放送したことや、当該番組『スッキリ』において、担当以外の複数プロデューサーによるチェック体制を構築したこと、他の生放送の情報番組においても、事前に制作したVTRを可能な限り担当者以外の視点でチェックする体制を構築したことが記されている。また、再発防止への取り組みとして、コンプライアンス推進室に人権問題の相談に対し助言を行う担当を新たに設けたことや、全社員・スタッフを対象に専門家を招いてアイヌ民族差別や人権問題に関する研修会を2度にわたって実施したことが報告されている。
委員からは、「今回の問題は1994年『イヨマンテの夜』の事実上の再発だ。再発防止策が機能しているかどうか、長いスパンで確認する仕組みがあればなお良いと思う」「チェック体制の強化や研修の実施が柱になっているが、それよりも職場のコミュニケーション不足への対応の方が重要なのではないか。今後何らかのかたちで取り組んでほしい」などの意見が出され、概ね適切な対応がなされているとして報告を了承し、公表することにした。
日本テレビの対応報告書は、こちら(PDFファイル)

2. テレビ朝日の情報番組『大下容子ワイド!スクランブル』について審議

テレビ朝日は情報番組『大下容子ワイド!スクランブル』で、2021年3月から10月にかけて放送した視聴者からの質問に答えるコーナーで、番組側が作成した質問を視聴者からの質問であるかのように放送したケースが含まれていたとして、10月21日、番組と番組のウェブサイトで公表し謝罪した。
同コーナーでは、番組の前半で当日のテーマを視聴者に伝え、放送中に番組ホームページなどで受け付けた質問を番組終盤で紹介し、出演した専門家らが答えていた。
当該放送局によると、放送中の短い時間で採用する質問を選り分けるため、チーフディレクターが選別の基準としてコーナーの流れを想定した質問案を事前に作っていたが、今年3月から10月にかけて、この想定質問を視聴者からの質問として放送に使ったという。104問が番組側で作成され、年齢や居住地域などは架空の属性で紹介された。また視聴者から受け付けた実際の質問を使用する場合も、文章に手を入れ表現を修正したケースでは、クレームを避けるため属性を書き換えていたという。
委員会は、当該放送局から提出された報告書と番組DVDを踏まえて協議を行った。その結果、視聴者の質問や意見を番組が作ることは世論誘導にもつながりかねない深刻な事案で放送倫理違反の疑いがあり、放送に至った経緯について詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。
委員会は今後、当該放送局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

3. その他

視聴者意見等を踏まえて、衆議院議員選挙を含む報道について議論を行った。

以上

第164回 放送倫理検証委員会

第164回–2021年10月

9月の視聴者意見を報告

第164回放送倫理検証委員会は10月8日に開催され、9月にBPOに届いた視聴者意見の概要が事務局から報告された。

議事の詳細

日時
2021年10月8日(金)午後5時~午後6時40分
場所
千代田放送会館会議室
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、大石委員、
大村委員、長嶋委員、西土委員、巻委員、米倉委員

1. 9月の視聴者意見の概要

9月の30日間にBPOに届いた視聴者意見のうち、批判的な意見が寄せられた「バラエティー番組の企画」および「自民党総裁選」や「皇室関連」を巡る報道について、事務局からその概要が報告され、議論を行った。

以上

第163回 放送倫理検証委員会

第163回–2021年9月

日本テレビ『スッキリ』アイヌ民族差別発言に関する意見の通知・公表について報告

第163回放送倫理検証委員会は9月10日にオンライン会議形式で開催された。
今回の委員会より大村恵実委員が加わり、また委員会の冒頭、小町谷委員長が委員長代行に高田昌幸委員を指名した。
委員会が7月21日に行った日本テレビの情報番組『スッキリ』アイヌ民族差別発言に関する意見の通知・公表について、出席した委員長と担当委員から当日の様子が報告された。

議事の詳細

日時
2021年9月10日(金)午後5時~午後6時15分
場所
オンライン
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、大石委員、
大村委員、長嶋委員、西土委員、巻委員、米倉委員

1. 日本テレビ『スッキリ』アイヌ民族差別発言に関する意見の通知・公表について報告

日本テレビは3月12日に放送した情報番組『スッキリ』のコーナー『週末オススメHuluッス』で、アイヌ民族の女性を描いたドキュメンタリー作品を紹介した際、出演したタレントが「この作品とかけまして、動物を見つけた時ととく。その心は、あ、犬」という謎かけのコメントをした。
委員会は、本件放送はアイヌ民族に対する明らかな差別表現を含んだもので、オンエアに至った背景には、収録動画の最終チェック体制が極めて甘く、アイヌ民族やその差別問題に関する基本的知識がスタッフ間で決定的に不足していた点があったことを指摘し、日本民間放送連盟の「放送基準」の「(5)人種・性別・職業・境遇・信条などによって取り扱いを差別しない」「(10)人種・民族・国民に関することを取り扱う時は、その感情を尊重しなければならない」などに反しているとして、放送倫理違反があったと判断した。
当該局に対する通知および公表の記者会見は、7月21日、新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言下であることからオンライン会議システムを使用して行った。
この日の委員会では、通知・公表に関する当該局の報道と、その後当該番組内で放送された検証コーナー、ならびに当該局の検証番組を視聴したうえで、委員長と担当委員が通知・公表の詳細について報告した。
通知と公表の概要は、こちら

以上

第162回 放送倫理検証委員会

第162回–2021年7月

日本テレビの情報番組『スッキリ』を審議
7月中に委員会決定を通知・公表

第162回放送倫理検証委員会は7月9日にオンラインで開催された。
アイヌ民族に対する差別表現を放送した日本テレビの情報番組『スッキリ』について、担当委員から意見書の修正案が示された。意見交換の結果、大筋で合意が得られたため、7月中に当該放送局への通知と公表を行うことにした。

議事の詳細

日時
2021年7月9日(金)午後5時00分~午後7時00分
場所
千代田放送会館会議室およびオンライン
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、升味委員長代行、井桁委員、大石委員、高田委員、長嶋委員、西土委員、巻委員、米倉委員

1. アイヌ民族に対する差別的表現を放送した日本テレビの情報番組『スッキリ』について審議

日本テレビが3月12日に放送した情報番組『スッキリ』のコーナー『週末オススメHuluッス』で、アイヌ民族の女性を描いたドキュメンタリー作品を紹介した際、出演したタレントが「この作品とかけまして動物を見つけた時ととく。その心は。あ、犬」という謎かけのコメントをしたことについて、委員会は、差別的な表現であり放送倫理違反の疑いがあるとして、4月の委員会で審議入りを決めた。
今回の委員会では、担当委員から示された意見書の修正案について意見交換が行われ、大筋で合意が得られたため、表現などについて一部手直しの上、7月中に当該放送局へ通知して公表することにした。

以上

第161回 放送倫理検証委員会

第161回–2021年6月

フジテレビ「架空データが含まれた一連の世論調査報道」に関する意見への対応報告を了承

第161回放送倫理検証委員会は6月11日にオンラインで開催された。
委員会が2月10日に通知・公表したフジテレビの「架空データが含まれた一連の世論調査報道」に関する意見について、当該放送局から委員会に対し、具体的な再発防止策やこれに基づいて再開した世論調査の実施状況など取り組みをまとめた対応報告が書面で提出され、その内容を検討した結果、報告を了承して公表することにした。
アイヌ民族に対する差別的表現を放送した日本テレビの情報番組『スッキリ』について、担当委員から意見書の原案が示され、意見交換を行った。

議事の詳細

日時
2021年6月11日(金)午後5時00分~午後7時30分
場所
千代田放送会館会議室およびオンライン
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、升味委員長代行、井桁委員、大石委員、高田委員、長嶋委員、西土委員、巻委員、米倉委員

1. フジテレビ「架空データが含まれた一連の世論調査報道」に関する意見への対応報告を了承

委員会が2月10日に通知・公表したフジテレビの「架空データが含まれた一連の世論調査報道」に関する意見(委員会決定第40号)への対応報告が、当該放送局から委員会に書面で提出された。
報告書には、委員会決定を社内やFNN(フジニュースネットワーク)の各会議で報告・共有し内容の浸透を図ったこと、再発防止策とこれに基づいて再開した世論調査の実施状況、研究者を招いての社内勉強会やBPO委員との研修会の模様、また報道局全社員が委員会決定を読み提出した所感の抜粋などが記されている。
委員からは、「取材活動であるはずの世論調査が、契約に基づく単なる委託業務としてルーティン化していたなどの反省が示されるなど問題が的確に認識されている」「再発防止策を緻密に設定しているのは問題を深刻に受け止めた結果だと感じる」「BPOが『丸投げ』と指摘した今回の問題は、世論調査特有のものではなく制作現場全てに当てはまる教訓だ、と所感にあるが、こうした問題に制作現場全体で取り組んでもらえるとよい」「マスメディアが行う世論調査に内在する問題に対策が必要とされる中、今後どうすればよいかの課題が見えて来たという点で、委員会の調査と当該放送局の対応には意義があった」などの意見が出され、適切な対応がなされているとして、当該報告を了承し、公表することにした。
フジテレビの対応報告は、こちら(PDFファイル)

2. アイヌ民族に対する差別的表現を放送した日本テレビの情報番組『スッキリ』について審議

日本テレビが3月12日に放送した、情報番組『スッキリ』のコーナー『週末オススメHuluッス』で、アイヌ民族の女性を描いたドキュメンタリー作品を紹介した際、出演したタレントが「この作品とかけまして動物を見つけた時ととく。その心は。あ、犬」という謎かけのコメントをしたことについて、委員会は、差別的な表現であり放送倫理違反の疑いがあるとして、4月の委員会で審議入りを決めた。
5月委員会でのヒアリング結果の報告を経て、今回の委員会では、当該局の関係者に対して実施したヒアリングに基づき担当委員が作成した意見書の原案が示され、意見交換を行った。次回は修正案が提出される予定である。

以上

第160回 放送倫理検証委員会

第160回–2021年5月

日本テレビの情報番組『スッキリ』を審議

第160回放送倫理検証委員会は5月14日にオンラインで開催された。
委員会が1月18日に通知・公表したフジテレビの『超逆境クイズバトル!!99人の壁』解答権のないエキストラ補充に関する意見について、当該放送局から委員会に対し、具体的な改善策を含めた取り組み状況など対応報告が書面で提出され、その内容を検討した結果、当該対応を了承して公表することにした。
アイヌ民族に対する差別的表現を放送した日本テレビの情報番組『スッキリ』について、前回委員会で、差別的な表現は放送倫理違反の疑いがあり放送された経緯等について詳しく検証する必要があるとして審議入りが決まったことを受け、今回の委員会では、担当委員から当該放送局の関係者に対して行ったヒアリングの途中経過が報告された。

議事の詳細

日時
2021年5月14日(金)午後5時00分~午後6時45分
場所
放送倫理・番組向上機構[BPO]第1会議室(千代田放送会館7階)およびオンライン
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、升味委員長代行、井桁委員、大石委員、高田委員、長嶋委員、西土委員、巻委員、米倉委員

1. フジテレビ『超逆境クイズバトル!!99人の壁』解答権のないエキストラ補充に関する意見への対応報告を了承

委員会が1月18日に通知・公表した、フジテレビの『超逆境クイズバトル!!99人の壁』解答権のないエキストラ補充に関する意見(委員会決定第39号)への対応報告が、当該放送局から委員会に書面で提出された。 また、担当委員から、4月に当該放送局がオンライン形式で実施した研修会での委員との意見交換の様子などが報告された。委員会は、当該放送局の今後の改善状況を見守り、当該報告を了承して公表することにした。

2. アイヌ民族に対する差別的表現を放送した日本テレビの情報番組『スッキリ』について審議

日本テレビは3月12日、情報番組『スッキリ』のコーナー『週末オススメHuluッス』で、アイヌ民族の女性を描いたドキュメンタリー作品を紹介した後、コーナーに出演したタレントが「この作品とかけまして動物を見つけた時ととく。その心は。あ、犬」という謎かけのコメントをした。放送後、視聴者からアイヌ民族を犬とかけるのは不適切だという批判が相次ぎ、日本テレビは、同日夕方のニュース番組『news every.』で謝罪するとともに局および番組ホームページにお詫びを掲載した。また、翌週月曜日15日には、番組冒頭で「制作に関わった者に、この表現が差別に当たるという認識が不足していて、番組として放送に際しての確認が不十分でした」と説明し、全面的に謝罪した。
前回の委員会で、当該放送局から提出された報告書と番組DVDを踏まえて協議した結果、差別的な表現は放送倫理違反の疑いがあり、適切な編集が行われずに放送された経緯等について詳しく検証する必要があるとして審議入りが決まった。今回の委員会では、担当委員から当該放送局の関係者に対するヒアリングの途中経過の報告を受けて議論をした上、次回委員会において提案される予定の意見書案を踏まえてさらに検討することとした。

以上

第159回 放送倫理検証委員会

第159回–2021年4月

アイヌ民族に対する差別的表現を放送した日本テレビの情報番組『スッキリ』が審議入り

第159回放送倫理検証委員会は4月9日に開催された。
委員会の冒頭、3月に退任した神田安積前委員長、中野剛委員に替わり新たに就任した小町谷育子委員、井桁大介委員が挨拶を行ったあと、委員の互選により小町谷育子委員が委員長に選出された。また、小町谷委員長は岸本葉子委員長代行及び升味佐江子委員長代行を引き続き委員長代行に指名した。
アイヌ民族に対する差別的表現を放送した日本テレビの情報番組『スッキリ』について同局から提出された報告書と番組DVDを踏まえて協議した結果、差別的な表現は放送倫理違反の疑いがあり、放送された経緯等について詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。

議事の詳細

日時
2021年4月9日金午後5時00分~午後7時00分
場所
千代田放送会館会議室
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、升味委員長代行、井桁委員、大石委員、高田委員、長嶋委員、西土委員、巻委員、米倉委員

1. アイヌ民族に対する差別的表現を放送した日本テレビの情報番組『スッキリ』が審議入り

日本テレビは3月12日、情報番組『スッキリ』のコーナー『週末オススメHuluッス』で、アイヌ民族の女性を描いたドキュメンタリー作品を紹介した後、コーナーに出演したタレントが「この作品とかけまして動物を見つけた時ととく。その心は。あ、犬」という謎かけのコメントをした。放送後、視聴者からアイヌ民族を犬とかけるのは不適切だという批判が相次ぎ、日本テレビは、同日夕方のニュース番組『news every.』で謝罪するとともに局および番組ホームページにお詫びを掲載した。また、翌週月曜日15日には、番組冒頭で「制作に関わった者に、この表現が差別に当たるという認識が不足していて、番組として放送に際しての確認が不十分でした」と説明し、全面的に謝罪した。
委員会は、当該放送局に報告書と番組DVDを求め、それらを踏まえて協議した。その結果、差別的な表現は放送倫理違反の疑いがあり、適切な編集が行われずに放送された経緯等について詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。今後は当該放送局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

以上