第91回 放送倫理検証委員会

第91回–2015年3月

再現映像による不適切な演出が行われていたTBSテレビのバラエティー、審議入りせず…など

第91回放送倫理検証委員会は3月13日に開催された。
3月6日に「見解」を通知・公表した"全聾の天才作曲家" 佐村河内守氏をめぐる5局7番組について、記者会見での質疑や当日の報道などが報告され、若干の意見交換を行った。
大家族に密着するTBSテレビのバラエティー番組で、再現映像による不適切な演出が行われていた問題を討議した。事実や人物にきちんと向き合おうとしない姿勢は気になるが、虚偽ねつ造とまでは言えないとして、審議の対象とはせずに議論を終えた。

議事の詳細

日時
2015年3月13日(金)午後5時~7時15分
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、小町谷委員長代行、是枝委員長代行、香山委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、藤田委員、升味委員

1."全聾の天才作曲家"佐村河内守氏を取り上げた5局7番組に関する見解を通知・公表

全聾でありながら『交響曲第1番HIROSHIMA』などを作曲したとして、多くのドキュメンタリー番組等で紹介されていた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼していた事案について、5局7番組に関する見解(委員会決定第22号)の通知と公表の記者会見が、3月6日に実施された。
委員会では、TBSテレビ、テレビ新広島、テレビ朝日、NHK、日本テレビの当該5局の当日のテレビニュースなどを視聴したあと、委員長と担当委員から、記者会見での質疑応答の内容などが報告され、意見交換が行われた。
テレビや新聞での報道は、「放送倫理違反とまでは言えない」という結論のみを伝えた短いものから、委員会の要望内容を詳しく伝えたものまで幅があり、「委員会の思いが十分に汲み取られていない。今後はプレゼンテーションの仕方も考えていかなければ」「委員会の要望をこれほど具体的に述べた決定はない。当該局がどのように受け止めたか、3か月報告がひとつのポイントになるだろう」などの意見が出された。

2.再現映像による不適切な演出が行われていた、TBSテレビのバラエティー『水トク!激闘大家族スペシャル』を討議

TBSテレビのバラエティー番組『水トク!激闘大家族スペシャル』(2015年1月28日放送)は、福岡市に住む3男3女、一家8人が主人公で、17歳の母親から生まれた長女が、自らも17歳で出産を体験する様子が物語の柱になっている。
不適切な演出として問題になったのは、(1)妊娠中の17歳の娘とその母親のやりとりが、実際には出産後に撮影されていたこと(2)大家族の祖父がスポンサーとなった食料品の買い出しシーンが、実際には番組側の依頼によるもので、経費も番組持ちだったこと、の2点である。放送後、ネット掲示板に母親自身が告白したことにより、発覚した。
TBSテレビは、制作会社や母親への聴き取りの結果、本人たちの再現による不適切な演出であったことが確認できたとして、同じ時間帯でお詫び放送をし、番組のホームページにも詳細なお詫びを掲載している。また、委員会に報告書を提出し、慣れによる制作会社側の安易な姿勢や、放送局側のチェック体制の不備などを、原因としてあげている。そのうえで、テロップ表記などにより「再現」であることを明らかにすべきだったとしている。
委員会では、バラエティーであっても、事実や人物にきちんと向き合わないと制作者の思いは視聴者に伝わらず、テレビはこんなものだと受け取られてしまうだろうという意見も出された。番組の中に確かに誇張はあるが、本人が記憶に基づいて再現したものであり、視聴者はシリアスなドキュメンタリーというよりもバラエティーとして楽しんでいるのだから、虚偽やねつ造として問題にするまでのことはないだろうとして、審議の対象とはしないで議論を終えることになった。

【委員の主な意見】

  • 当該局が言う「実録型バラエティー」とは何なのか。この説明自体は後付けであり、バラエティーに分類することによって、放送倫理上の許容範囲を広げようとしているのではないか。

  • 舞台設定などを番組が用意してのドキュメンタリータッチの番組であれ、このような密着型を目指すのであれ、事実や人物にはきちんと向き合ってほしい。

  • 再現の場面に、再現のテロップを入れれば良かったという当該局の説明は、いかにも表面的過ぎないだろうか。再現の手法そのものが良くないということではないので、別の演出や作り方も考えてほしかった。

  • 番組の作り方自体が稚拙すぎないか。放送倫理の問題として取り上げても、議論が深まるとは思えない。

  • 番組で取材期間○○日と強調しても、実質的にはいったい何日ロケに出ていたのか。結局、シーンが足りなくなって、再現の場面が必要になったのではないだろうか。

  • 妊娠していなかったわけではなく、なかったことを作ったわけではないから、虚偽やねつ造とまでは言えないだろうが、誇張にあたるのではないか。

  • この番組を見て、シリアスなドキュメンタリーだと思う視聴者はいないだろう。バラエティーとして、楽しめればいいのではないか。

  • あまりに、誇張や事後の再現などが増えていくと、視聴者に「テレビって所詮こんなものだよ」という、シニカルな見方がますます蔓延するのではないか。それは放送局にとっても好ましいことではないだろう。

以上

第168回 放送と青少年に関する委員会

第168回–2015年3月8日

「子どもが多く視聴する時間帯にいきなり
衝撃的映像」との視聴者意見は討論終了…など

第168回青少年委員会を、3月8日に7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。2月16日から2月28日までに寄せられた視聴者意見について話し合い、1案件について討論しました。その他、3月の中高生モニター報告、調査研究の現状報告、青少年委員会の用語の統一などについて話し合いました。
次回は4月28日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2015年3月8日(日) 午後4時15分~午後6時20分
場所
放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

  • 「日曜朝の子どもが多く視聴する時間帯に、いわゆる"イスラム国"関連のニュース速報を放送していた。番組内容変更の説明もなくいきなり衝撃的な映像を流していて子どもが怖がっていた。事前アナウンスがあっても良かったのではないか」などの視聴者意見が多数寄せられた案件について、当該局から提出された当日の状況を説明する資料を基に討論しました。委員からは「番組変更の情報がほとんど無かったのは不親切だ」「今回は、子ども向け番組が中心の時間帯に衝撃的な映像が放送されたので、意見が集中したのだろう」「この時間帯の視聴者は子どもが多いことに想像力を働かせて対応してほしかった」などの意見が出ました。また、「子どもたちは、楽しみにしていた番組の突然の変更と衝撃的な映像に驚いたのだろうが、緊急のニュースも必要なので、これ以上は放送局に求められない」などの意見もありました。青少年委員会として「今後の教訓として、急な番組変更の場合、繰り返し番組変更の情報を告知するなど丁寧な周知対応が望まれる」という意見があったことを明記し、討論を終了することにしました。

  • 「いわゆる"イスラム国"関連の報道について、衝撃的な映像の使用など各局はかなり抑制的であったと認識しているが、今回の一連の報道において各局はどのような対応をしたのかを教えてほしい」として、委員会はNHKと在京民放5局に報告をお願いし、その報告を基に意見交換しました。委員からは、「各局は、独自の映像使用基準を設け、配慮しながら放送にあたっていることがよく分かった」「どの時間に放送されるか分からない番組PRでもいたずらに衝撃的な映像を使用しないよう徹底している局もあった」「状況の変化につれて使用する画像を変えていくなど細かな工夫をしていることが理解できた」などの意見が出ました。また、「放送では配慮した映像を使っていても、ネットでは衝撃的な映像がそのまま見られてしまう。青少年への影響を考えた時、テレビの枠組みだけで考えるのは難しい時代になってきている」という意見もありました。

  • 川崎中1殺害事件の報道について、「被害少年の暴行を受けた写真や額に傷のある痛々しい写真が放送されているが、被害少年の人権や、家族の心情を考慮する必要があるのではないか」「このような写真が放送されることによって、なぜ周りの人が気付いてあげられなかったのかというメッセージになる。軽々には問題があるとは言えない」「あざや傷、着衣の状況など、どこまで、いつまで情報を公開する必要があるのか、事件の性質を考えると悩ましい問題だ」などの意見がありました。

中高生モニター報告について

3月の中高生モニターは、「1年間の感想」及び「テレビに期待すること」というテーマでした。今回は22人から報告がありました。
「民放連賞最優秀を受賞した青少年向け番組の感想を書いたことが一番心に残りました。同年代の人が被災者の方々のために何ができるのか考えて行動しているのに、自分は何もしていない気がして恥ずかしくなりました」(青森・中学1年女子)。「前からBPOのニュースを耳にしていましたが、今回初めて存在意義が分かりました。今のテレビやラジオにとっては欠かせない機関だと思いました」(静岡・中学1年女子)。「モニターを務める前とは番組の見方が大きく変わりました。以前は考えてもいなかったことも考えるようになり、スタッフさん達が、テレビを少しでも盛り上げていこうという試みをしているのだと気付くようになりました」(東京・高校2年男子)。
テレビに期待することとして、「スマホやネットと連動した番組を作ること、また視聴者参加型の番組を多くしテレビを身近にしてほしい」(愛媛・高校2年男子)。「何か大きな出来事があった時に、一過性にするのではなく大事な事柄は継続的に報道してほしい」(神奈川・高校1年女子)。「誰も想像できない新企画や新しい人材の発掘で、見る人すべてを笑顔にして日本を楽しい国にしてほしい」(福岡・高校1年男子)。「危険を冒してまで笑いをとろうとしたり、注目を集めるため誤った情報を流したりせず、この放送で何を伝えたいのかということを常に念頭に置いて番組制作をしてほしい」(大分・中学3年女子)。

■中高生モニターの意見と委員の感想

●【委員の感想】この1年間モニターを務めて、いろいろなことが学べ、テレビについて深く考えたと書いているモニターがたくさんいて、成長過程の一助になったのではないかと思った。

  • (埼玉・中学3年男子)僕はこの1年間、テレビをはじめ、メディアについて多くのことを学びそして考えました。メディア・リテラシーについての本も読んで、テレビ番組はどのようにして作られるのかもっと裏側も見せるべきではないかと思いました。

●【委員の感想】制作者側が視聴者に訴えたいことがあって番組を作っていることが分かったというモニターがいた。

  • (三重・中学3年女子)今まで余り関心のなかったドキュメンタリーも視聴し、一つ一つの番組制作者の思いを感じることができました。作る側に視聴者に対する狙いや伝えたいことがあることがわかりました。

●【委員の感想】報告を書くのは大変だったが、放送とは何だろうと真剣に考えるようになったと書いているモニターがいた。

  • (佐賀・中学1年女子)この1年放送を考える一員となり、普通につけていたテレビが前とは違うように感じます。これからのテレビは、新しいことや知らないことを分かりやすく視聴者に教えてほしいと思います。

●【委員の感想】幼少期と比べて視聴時間は大幅に減ったが、この1年で、テレビの存在意義を考え直したというモニターの意見には、はっとさせられた。

  • (神奈川・高校2年女子)リビングのテレビの前に座り、ぼーっと眺める時間を幸せに感じます。そうした時間を得るためにもやはりマンネリ化した番組ばかりでなく長寿番組と言えるような安定して面白い番組が多くあってほしいとも思います。

●【委員の感想】テレビに期待することとして、大変貴重な意見を書いてくれたモニターがいた。

  • (広島・中学2年女子)特に未成年の事件があった時に、起きた内容だけを放送するのではなく、そういう事態を防ぐ方法をみんなで考えるような番組を作っていかないと今後も悲しいニュースがなくなることはないと思います。

●【委員の感想】ネットと違う役割をテレビは担ってほしいという意見が目立った。

  • (東京・中学3年男子)テレビには正しい放送をしてもらいたいです。ネットでは文責がはっきりせず、書いた人一人の判断で書かれているものが世界中に広がったりします。テレビ番組は一人では作れないと思うので、しっかりと調べて責任のある放送をしてほしいです。

調査研究について

  • 「中高生の生活とテレビに関する調査」について、担当の萩原委員から3月16日の研究報告会に向けた現状報告と、最終報告書の取りまとめについて事務局から説明がありました。

青少年委員会における用語の統一について

  • 2014年6月の第159回委員会で話し合われ懸案になっていた、青少年委員会で使われる用語の問題について、前回に引き続き意見交換しました。『放送倫理・番組向上機構 規約』『「放送と青少年に関する委員会」運営規則』や、『青少年委員会・視聴者意見の審議プロセスに「討論」を設けることについて』(汐見稔幸委員長2012年10月31日)などを基に行われている青少年委員会の運営を分かりやすく説明した「青少年委員会 議論の流れ」を作成し、3月16日の年次報告会で汐見委員長が公表することにしました。

今後の予定について

  • 来年度の意見交換会について、6月か7月に四国地区で、9月に九州地区で開催することを決めました。

その他

  • 来年度の中高生モニター募集について、事務局から応募状況などの報告がありました。

第218回放送と人権等権利に関する委員会

第218回 – 2015年3月

佐村河内氏事案2件の審理
大阪府議事案の審理…など

佐村河内守氏から提出された申立て事案2件を審理した。また「大阪府議からの申立て」(TBSラジオ)事案を審理し、「委員会決定」案を了承して通知・公表を4月に行うことを決めた。

議事の詳細

日時
2015年3月17日(火)午後4時00分~6時55分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

三宅委員長、奥委員長代行、坂井委員長代行、市川委員、大石委員、
小山委員、曽我部委員、田中委員、林委員

1.「謝罪会見報道に対する申立て」事案の審理

審理の対象は2014年3月9日放送のTBSテレビの情報バラエティー番組『アッコにおまかせ!』。佐村河内守氏が楽曲の代作問題で謝罪した記者会見を取り上げ、会見のVTRと出演者によるスタジオトークを生放送した。
この放送に対し、佐村河内氏が「申立人の聴力に関して事実に反する放送であり、聴覚障害者を装って記者会見に臨んだかのような印象を与えた。申立人の名誉を著しく侵害するとともに同じ程度の聴覚障害を持つ人にも社会生活上深刻な悪影響を与えた」と申し立てた。
TBSテレビは「放送は聴覚障害者に対する誹謗や中傷も生んだ申立人の聴覚障害についての検証と論評で、申立人に聴覚障害がないと断定したものではない。放送に申立書が指摘するような誤りはなく、申立人の名誉を傷つけたものではない」と主張している。
今月の委員会では、申立人の聴覚障害と診断書について、その経緯や局側の取材と本件放送での伝え方、申立人の主張等を整理した事務局資料を配付した。また、これらの点が、放送倫理検証委員会が3月6日に公表した「"全聾の天才作曲家"5局7番組に関する見解」でも論じられているため、関連部分の記述内容を参照した。

2.「大喜利・バラエティー番組への申立て」事案の審理

審理の対象はフジテレビが2014年5月24日に放送した大喜利形式のバラエティー番組『IPPONグランプリ』で、「幻想音楽家 田村河内さんの隠し事を教えてください」という「お題」を出してお笑い芸人たちが回答する模様を放送した。
申立書で佐村河内守氏は、「一音楽家であったにすぎない申立人を『お笑いのネタ』として一般視聴者を巻き込んで笑い物にするもので、申立人の名誉感情を侵害する侮辱に当たることが明らかである」とし、さらに「現代社会に蔓延する『児童・青少年に対する集団いじめ』を容認・助長するおそれがある点で、非常に重大な放送倫理上の問題点を含んでいる」としている。
これに対し、フジテレビは答弁書で「本件番組は、社会的に非難されるべき行為をした申立人を大喜利の形式で正当に批判したものであり、不当に申立人の名誉感情を侵害するものでなく、いじめを容認・助長するおそれがあるとして児童青少年の人格形成に有害なものではない」と主張している。
今月の委員会では、論点の取りまとめに向けて担当委員が原案を作成し、本件放送の公共性・公益性等をめぐって議論した。

3.「大阪府議からの申立て」(TBSラジオ)事案の審理

対象となったのは、TBSラジオ&コミュニケーションズが2014年8月22日に放送した深夜トーク・バラエティー番組『JUNK おぎやはぎのメガネびいき』。お笑いタレント「おぎやはぎ」によるオープニングトークで、大阪維新の会(当時)の山本景・大阪府議会議員が無料通信アプリ「LINE(ライン)」で地元中学生らとトラブルになった経緯など一連の事態について語られた。
これに対し、山本府議が番組での「思いついたことはキモイだね。完全に」などの発言は「全人格を否定し侮辱罪にあたる可能性が高い」として申し立てたもの。
この日の委員会では、第2回起草委員会での検討を経た「委員会決定」の修正案が示された。審理の結果、一部表現、字句を修正したうえで最終的に了承され、「委員会決定」の通知・公表を2015年4月に行うことを決めた。

4.その他

  • 2月24日に委員会が高松で開いた系列別意見交換会について、事務局から報告した。
    (詳細はこちら)

  • 「散骨場計画報道への申立て」事案の委員会決定について当該局の静岡放送(SBS)で3月3日に研修会が開かれ、その概要を事務局が報告した。研修会には委員会から三宅弘委員長と起草担当の坂井眞委員長代行、大石芳野委員の3人、同社からは報道・編成・制作など社員・スタッフら93人が出席した。3委員が同事案に関する「委員会決定」や委員長談話「顔なしインタビュー等についての要望」について説明し、参加者から質問を受けるなど、約2時間15分にわたって意見を交わした。

  • 2015年度「放送人権委員会」活動計画(案)が事務局から提示され、了承された。

  • 三宅弘委員長、大石芳野委員、小山剛委員、田中里沙委員の4委員が3月末で任期満了となり、退任することになった。三宅委員長は委員、委員長代行時代を含め3期9年、大石、小山、田中の各委員は2期6年それぞれ務めた。

  • 4月から委員に就任する紙谷雅子(学習院大学法学部教授)、城戸真亜子(洋画家)、中島徹(早稲田大学大学院法務研究科教授)、二関辰郎(弁護士)の4氏について、専務理事から経歴等の説明があった。

  • 次回委員会は4月21日に開かれる。

以上

2015年3月6日

"全聾の天才作曲家" 5局7番組に関する見解の通知・公表

上記の委員会決定の通知は、3月6日午後2時から、千代田放送会館7階のBPO第一会議室で行われた。委員会からは、川端和治委員長、小町谷育子委員長代行、香山リカ委員、斎藤貴男委員の4人が出席した。当該局からは、TBSテレビ、テレビ新広島、テレビ朝日、NHK、日本テレビのBPO登録代表者など計10人が出席して通知を受けた。
まず川端委員長は、「各局がそろって誤った番組を放送し、メディアに対する視聴者の信頼を損ねた事案だった。制作当時に虚偽を見抜くことは難しかったとして、放送倫理違反があるとまでは言えないと判断したが、メディアがこの程度のことでだまされているようでは、隠された社会悪を暴くことなどできないのではないか、と多くの国民は不安に思っただろう。そういう意味で重大な事案だった」と述べた。そのうえで、「重要なのは、だまされたことがわかった後の対応である。過ちを繰り返さないために、どこにどのような問題があったのか、どうすれば防ぐことができたのか、問題発覚後の自己検証をきちんとやることを考えてほしい」と要望した。
続いて小町谷委員長代行が、「取材期間が長期に及ぶほど、ディレクターが取材相手に共感を持つことは避けられないと感じた。その時に、距離をとってチェックするのがデスクやプロデューサーの役目だ。デスクやプロデューサーは何をするべきだったのか、具体的に検証してほしい」と述べた。香山委員は、「広島の被爆者や東日本大震災の被災者、そして障害を抱える人たちを傷つける結果となってしまった。社会的に弱い立場にある人々に希望や励ましを与えるような番組を今後も作ってほしい」と述べた。また、斎藤委員は、「この程度の話にだまされているようでは、もっと大きな問題に対処できないのではないかと懸念される。安易な物語づくりに走りすぎているのではないか。深く考えて番組を制作してほしい」と述べた。 
これに対して各局の出席者は、「今回の決定を重くそして真摯に受け止め、再発防止に取り組んでいきたい」などと述べた。テレビ新広島は、さらに「広島の平和への願いを全国に伝えたいという思いがこのような結果になって残念だが、萎縮することなく、今後もこのテーマを放送していきたい」と付け加えた。

このあと、午後3時から千代田放送会館2階ホールで記者会見を開き、決定内容を公表した。記者会見には27社62人が出席し、テレビカメラ7台が入った。
初めに川端委員長が「メディアが互いに補強し合う形で虚偽の物語を伝え、新垣隆氏が告白するまでそれに全く気がつかなかった。メディアの真実を伝える能力に国民が疑問を持ってしまう、そういう事案ではなかったか」と述べた。そして、委員会が、佐村河内守氏の物語がどこまでが真実でどこからが虚偽なのかを、番組の関係者のほか、佐村河内氏や新垣氏、耳鼻咽喉科の専門医の協力も得ながら調査・検証し、放送の時点で虚偽を見破れなかったのは止むを得なかったという結論に達して、放送倫理違反があるとまでは言えないと判断したことを説明した。しかし、「だまされたのは仕方なかった、で終わっては、これからも同じことが繰り返されるのではないかと危惧される」として、「なぜ気が付かなかったのか、きちんと検証して、その結果を視聴者に公表してほしい」と要望した。
続いて小町谷委員長代行が、「取材相手が虚偽を述べた事案はこれまでにもあったが(「委員会決定」第6号、第12号、第19号)、これほど大がかりな規模でだまされた例はない。佐村河内氏が悪い、だけでは説明がつかない事案だ。これまでと何が違うのか、よく検証してほしい。番組が審理対象にならなかった局も、この決定を参考にしてほしい」と述べた。香山委員は、「社会的に弱い立場の人たちを励ます感動の物語には、それが虚偽だとわかったときに、大きな怒り、失望を与えるというリスクがある。それを教訓として、今後も弱い立場にある人たちに希望を与えるような番組を作り続けてほしい」と述べた。斎藤委員は、「今の時代、巧妙にメディアを利用しようという人たちがいる。そうした人たちにだまされないように、今回のことをぜひ教訓としてもらいたい。安易に感動の物語を求めてしまうと、ものごとを単純化したい誘惑に駆られてしまう。また、個人的には、新垣さん、佐村河内さんの今後のテレビでの扱われ方にも注目していきたい」と述べた。

記者とのおもな質疑応答は以下のとおりである。

  • Q:今回、佐村河内氏や新垣氏に聴き取りをして、2人が開いた記者会見と異なる点や新たにわかった点などはあるか?
    A:2人が曲作りにどうかかわったかについては記者会見にはなく、委員会が初めて明らかにしたと考える。聴覚障害についても、信頼できる専門家の見解を伺って、決定に反映させている。(川端委員長)

  • Q:芸術家の中には、苦難を乗り越えて芸術の域に達した人が多いが、どのように取り上げるべきなのか?
    A:制作者は、そうした人物に迫るには懐に飛び込めと言われているようだが、今回は飛び込んで取り込まれた。そのような場合には、デスクやプロデューサーが醒めた目で冷静に判断するべきだという教訓が、改めて確認された事案だ。今回は、芸術家を取り上げたと言っても、「被爆二世」「全聾」「障害者との交流」といったいわば外側の部分の話が中心になっていた。作曲家としての佐村河内氏を取り上げるなら、作曲という面で徹底的に迫るべきではなかったかと私は思う。そうすれば、おかしな点にも気づくことができたのではないか。(川端委員長)

  • Q:裏取りが十分ではないのに、これで放送倫理違反を認定しないようでは、視聴者からの信頼は回復できないのではないか?
    A:取材時期の早いTBSテレビの『NEWS23』とテレビ新広島は、一定の裏付け取材をしている。母親には断られてできなかったが、小学校時代の同級生には取材した。 
    委員会は、裏は完璧に取らなければならないとまで言うのは間違いだと思っている。そのような要求をすると、メディアの挑戦意欲を削いでしまうおそれがある。裏付けは合理的な範囲で取らなければならないが、それで間違った場合には、視聴者にていねいに説明して、過ちを繰り返さないためにどうすればいいかを考えていくことで、メディアの質は向上するのではないかと思う。(川端委員長)

  • Q:民放4局に比べてNHKへの検証部分が多いように感じるが、NHKに重きを置いた理由は何か?
    A:検証番組を放送したのはNHKだけであり、その点では優れていたが、この検証番組が、「なぜだまされてしまったのか」の説明に終わり、不十分だった。佐村河内氏が作曲したと信じた証拠として挙げた全体構成図について、佐村河内氏はなぜこれを書くことができたのかという疑問が解明されていない点や、佐村河内氏を社会的評価の定まった作曲家と信じた根拠としてあげた米TIME誌が「現代のベートーベン」と評したという事実はない点などを指摘したため、他よりも長くなった。(川端委員長)

  • Q:(斎藤委員に)佐村河内氏と新垣氏のメディアでの扱われ方に注目していきたいとの話だったが、具体的にはどのようなことなのか?
    A:これはあくまでも個人的な関心事項であるが、佐村河内氏が「悪」で、新垣氏が「善」というような簡単な話ではないと思う。今、新垣氏がテレビでバラエティー・タレントのように登場し、活字メディアがそれに疑問を投げかけるような状況があるが、ここにテレビの態度が表れているように思うので、注目していきたい。(斎藤委員)

  • Q:この見解の前と後では、テレビに求められるものの重さが変わってくるように感じたのだが。
    A:前と変わらなければ、同じことでまただまされてしまうだろう。われわれが民主的な判断をするためには、正しい情報が与えられる必要がある。メディアからの情報は正しいものであってほしいと思っている。メディアが簡単にだまされるようでは、われわれは判断を誤ってしまうおそれがある。この問題を突き詰めて、どうすればだまされないのかを考えてほしいというのが委員会の要望だ。(川端委員長)

以上

2014年度 解決事案

2014年度中に委員長の指示を仰ぎながら、委員会事務局が審理入りする前に申立人と被申立人双方に話し合いを要請し、話し合いの結果解決に至った「仲介・斡旋」のケースが6件あった。

「深夜ラジオ発言への申立て」

A局が2013年7月に放送した深夜ラジオ番組で、パーソナリティーが以前楽屋内で起きたとされる事件に元芸人が関わっていた可能性を示す発言をしたとして、元芸人が名誉毀損を訴え、「謝罪と放送内容の訂正」を求めて申し立てた。委員会事務局が申立人と同局に話し合いによる解決を要請したところ、双方がこれを受け入れ、申立人と同局およびパーソナリティーの所属事務所の代理人が8カ月におよぶ話し合いを行った結果、申立人が申立てを取り下げ、解決に至った。

(放送2012年1月9日 解決8月21日)

「ダンススタジオ閉鎖めぐる申立て」

B局が2014年1月に放送したバラエティー番組で、あるダンススタジオの閉鎖を取り上げたことに対し、スタジオのオーナーが「一方的な取材による嘘の放送」で名誉を傷つけられたとして、謝罪と訂正を求めて申し立てた。委員会事務局が双方に話し合いによる解決を要請したところ、半年以上におよぶ話し合いの末、同局が番組ホームページ上で放送が「正確さを欠いた」としてお詫びすることを提案、オーナーがこれを了承して申立てを取り下げ、解決に至った。

(放送2014年1月  解決9月)

「海外学校運営めぐる申立て」

海外で暮らす日本人の生活ぶりを紹介するC局のシリーズ番組(2014年3月放送)で、ある国で学校を経営する日本人が教員の給与等について「明らかな誤報によりイメージを傷つけられた」として、謝罪と訂正を求めて申し立てた。委員会事務局が一時帰国中の申立人と同局に話し合いによる解決を要請したところ、双方がこれを受け入れて3カ月以上にわたって主にメールによるやり取りをした結果、同局が番組ホームページ上および次回番組内(放送は不定期)で謝罪、訂正することを提案、申立人はこれを了承して申立てを取り下げ、解決した。

(放送2014年3月  解決7月)

「社会福祉施設めぐる申立て」

D局が2014年5月に放送したローカルニュース番組で、地元知的障害者施設の職員による入所者への暴行事件をめぐる裁判で、「日常的な虐待はなかった」との高等裁判所の判決内容を伝えたうえで、施設職員とされる2人のインタビューをもとに「日常的な虐待を認める職員もいました」と放送した。これに対し施設を運営する社会福祉法人とその理事長が、放送は裁判所の判断を否定するもので、人権侵害、名誉毀損、業務妨害にあたると申し立てた。その後D局は委員会事務局に対し、申立人と是非話し合いをしたいと仲介を依頼したため、事務局はこれを申立人の代理人に伝えたところ、申立人側もこれを受け入れ、双方の代理人同士が半年にわたる話し合いをした結果、申立人が申立てを取り下げ、解決に至った。

(放送2014年5月  解決12月)

「広報番組への申立て」

E局が2014年6月に放送した広報番組で、研修中の新人アナウンサーが「収賄の罪に問われた市議に有罪判決」というニュース原稿を読む練習の模様を放送した。この放送に対し、この市議(判決後失職)が、実名は出してないものの、市名を繰り返し読まれたため、地元ではすぐ自分と特定できるとして、「人権と生きる権利を著しく侵害された」と申し立てた。委員会事務局が双方に話し合いによる解決を促したところ、5カ月にわたる話し合いの末、同局が申立人に謝罪文と再発防止策を提示したことなどを受けて申立人が申立てを取り下げ、解決に至った。

(放送2014年6月  解決11月)

「政治倫理審査委員会めぐる申立て」

F局が2014年8月放送したローカルニュース番組で、自治体の公共事業談合に絡んで市議会の政治倫理審査委員会がある議員を審査する模様を伝えた。これに対しこの議員と家族は、「談合の賠償金回収のがれに加担?」などの一方的な表現で「マイナスイメージを植え付けられ、議員活動や選挙に支障を及ぼす」と申し立てた。申立てに対し同局は委員会事務局に対し、議員および家族と是非話し合いをしたいと仲介を依頼、申立人側にこれを伝えたところ、話し合いが実現し、その結果、申立人は「今後の活動予定等を勘案して」申立てを取り下げ、解決した。

(放送2014年8月  解決12月)

2015年2月

意見交換会[日本テレビ系列・四国4局]を開催

放送人権委員会は2月24日、香川県高松市内で日本テレビ系列の四国4局を対象に意見交換会を開催した。放送局側の参加者は四国4局から報道・制作に携わっている局員を中心に21人とオブザーバーとして日本テレビから2人、委員会側からは三宅弘委員長、小山剛委員、田中里沙委員の3人が出席した。
系列局を対象とした意見交換会は、放送人権委員会としては今回が初めてである。
意見交換会では、まず委員会が通知・公表した「委員会決定」をとりあげ、それぞれの事案に含まれている問題や、委員会が判断する際に検討したポイントなどについて委員長と起草を担当した委員が説明した。
続いて、昨年6月に公表した「顔なしインタビュー等についての要望~最近の委員会決定をふまえての委員長談話~」について、この談話を出すに至った背景や談話に込めた思いなどについて三宅委員長が各項目に沿って説明した。この中で三宅委員長は冒頭の項目について、「表現の自由」の保障の根拠である「自己実現」と「自己統治」の考え方が端的に書かれている最高裁判所判決を引用したことをあげ、「表現の自由、とりわけ取材・報道の自由の原点を一文で表すとこの文章になる」と解説し、さらに行き過ぎた社会の匿名化が民主主義社会の在り方とも深いかかわりがあることを強調した。
また、田中委員は、「大事なことは取材対象者と最大限の意思疎通をはかる努力をすることだ。1秒を争う現場では難しい点もあるが、取材を受ける人に何の目的でどのように放送するかなど、参考になる情報をきちんと伝える方法を工夫することも必要ではないか」と述べ、雑誌の取材や街頭アンケートなどで採用されているチェックシートを使った確認手法などを紹介した。
局側からは、「ローカル局が作っている番組では比較的モザイクなどの使用は少ない。キー局の番組を含めて全体的な傾向が変わらなければ顔なしインタビューやモザイクの使用は少なくならないのではないか」などの意見が出された。
今回の意見交換会では特に放送局側から、実際に現場で悩んだ事例を出し合ってそれについて意見交換をしたいとの要望が出され、各局から具体的な事例が紹介された。
自社のホームページにアップしたニュース映像が期限を過ぎた後も検索によって誰でも視聴可能な状態となっていたことに対して抗議を受けた、という事例について小山委員が「忘れられる権利」に関する最近の裁判所の判例を紹介したうえで、「自動的、機械的に行われるインターネットの検索サイトの場合であっても削除命令が出されている。ましてや能動的に管理している放送局の場合はさらに注意を払わなければいけない」と述べた。
今回の意見交換会について局側の参加者からは、「全国的にも知られている事例を解説されることでよりリアルに詳細に理解することができた。また、各局での題材も同じことがすぐに起こり得ることとして、当事者から生々しく聞くことができた」「各局の事例報告は、実感を持って聴くことができたし、それに対する委員長、委員各位の意見などを直接聴くことができ、大変参考になった」などの声が寄せられた。

以上

2015年2月に視聴者から寄せられた意見

2015年2月に視聴者から寄せられた意見

イスラム過激派組織「イスラム国」の報道で、残虐な映像を流しすぎるといった意見や、「イスラム国」という呼称はイスラムについて誤解を与えるものだなどといった意見が多数寄せられた。中1殺害事件で、被害者の少年の暴行をうけた顔写真を放送したことに対する批判意見など。

2015年2月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,801件で、先月と比較して106件増加した。
意見のアクセス方法の割合は、メール69%、電話27%、FAX2%、手紙ほか2%。
男女別は男性69%、女性28%、不明3%で、世代別では30歳代26%、40歳代26%、20歳代16%、50歳代16%、60歳以上13%、10歳代3%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。2月の通知数は794件【48局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、22件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

イスラム過激派組織「イスラム国」によって日本人人質が殺害されたが、残虐な映像を流しすぎるといった意見や、「イスラム国」という呼称はイスラムについて誤解を与えるものだなどといった、様々な意見が多数寄せられた。
中1殺害事件があったが、テレビゲームの影響だとするコメンテーターの意見や、被害者の少年の暴行をうけた顔写真を放送したことに対し、批判が寄せられた。
男性タレントが元相方の淫行騒動について、安易なコメントをしたことに対し、非難の声が寄せられた。
ラジオに関する意見は35件、CMについては54件あった。

青少年に関する意見

2月中に青少年委員会に寄せられた意見は151件で、前月から1件減少した。
今月は、「暴力・殺人・残虐シーン」に関する意見が26件と最も多く、次に「編成」が25件、「報道・情報」と「言葉」がそれぞれ19件、「表現・演出」が16件と続いた。
「暴力・殺人・残虐シーン」については、アニメ番組での殺人シーンや、アイドルグループが出演する深夜帯のドラマでの暴力シーンについての意見が複数寄せられている。
「編成」については、いわゆる「イスラム国」が後藤健二さんを殺害したことを受け、子ども向け番組を報道特別番組に差し替えたことについて、子どもが視聴している可能性を考慮した配慮を求める意見が多く寄せられた。
「報道・情報」については、いわゆる「イスラム国」関連の取り扱いについて、子どもへの悪影響を懸念する意見があったほか、和歌山県の小学生殺害事件に関する報道における、被害者の同級生へのインタビューのあり方についても意見が寄せられた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 頻繁に「イスラム国」の映像が流れていた。宣伝映像まで流しており、これはテロリストの戦略に加担しているのに等しい行為である。ジャーナリストが殺されているにもかかわらず、こういった報道をすることは決して許されない。それこそ日本国民を危険に晒す行為である。

  • 「イスラム国」に拘束されていたジャーナリストが殺害されたニュースの報道の仕方に不快感を覚える。安倍総理や日本政府はなぜ助けられなかったのかと批判しているようだが、そもそも、このような状況を作ったのは誰なのか。危険だと分かっていながら現地に飛び込んだ本人たちではないか。その点には全く触れず、救出を成し遂げられなかった政府の責任のように報道することはおかしい。

  • 「イスラム国」での日本人誘拐事件が発生して以来、毎日このニュースでもちきりだ。日本人を殺害したことについて「言語道断の暴挙だ、許すことはできない。責任をとらせるために諸外国と協調する」ということをしきりに報道している。だが、元はといえば総理がイスラエルなどで「イスラム国と戦っている周辺諸国に2億ドル相当の援助を約束しました」と言ったことに端を発している。いたずらに対決姿勢を固持していては敵対するだけだ。政府の「許すことはできない、責任をとらせる」だけのでは、かえって日本がこれまで以上のテロの標的になる恐れがあるのではないか。

  • 「イスラム国」に捕まったジャーナリストが殺害される直前の画像が映し出された。オレンジの服を着せられてひざまずき、傍に黒服の「イスラム国」の人が立っている。そして、その画面の下の方に天気予報のテロップが映り始め、天気予報が始まった。あまりのことに目を疑った。この画像を、天気予報に使用する倫理感覚に驚いた。被害を受けた家族はどんな気持ちになるだろうか。国民も沈痛な気持ちでいる。ミスでは済まされない。感覚が麻痺しているのでないのか。

  • 「イスラム国」という表記を使うことを止めていただきたい。NHKは止めたのに民放は未だに使っている。この集団は「国家」ではなく、「国際的なテロ集団」であることは周知の事実だ。「イスラム国」と連呼し、「あたかもイスラム教を代表する国」と刷り込んでいるようだ。このままだと「イスラム国」が国家のように既成事実化していく。

  • 「日本メディアは『イスラム国』ではなく『ISIL』と表現してほしい」という要望が出ている。それでも、日本の各局は相変わらず、「イスラム国」と呼んでいる。番組のイスラム国特集では、「イスラム国ではイスラム教徒が誤解される」と説明しながらも、「イスラム国」と呼び続けた。政府も国連もISILと呼んでいるし、要請があるにもかかわらず、「イスラム国」と呼び続けることは、イスラム教徒全体への人権侵害や国際問題に発展する危険性があるのではないか。

  • 私は国際結婚をしてイスラム教徒になった。今回の事件により、"イスラム国=イスラム教徒全体を指す"という認識が日本の中でも強まり、ここ2週間、怖くてヒジャブをつけて外を歩けない。以前から日本のメディアに感じていたことだが、他の宗教では何かあると「暴動扱い」なのに、なぜイスラムだけ「イスラム過激派」と宗教名を付けるのか。それがこの国で普通に暮らすイスラム教徒にどのような影響をもたらすか考えないのか。オリンピック開催国と思えない鎖国思考にうんざりする。世界第2位の宗教を、きちんと理解してほしい。普通に暮らすイスラム教徒とISISを区別し、視聴者が区別・理解できるよう報道してほしい。

  • 「イスラム国」が今後日本人を標的にしたテロを行うと脅している。そのことを受け、何人の日本人が在住しているのかをフリップで示していた。それもご丁寧に「国別」である。わざわざテロ組織に日本人の居所を教えるようなものだ。また、カナダの国会議事堂のテロ事件を例にとり、日本の国会議事堂の警備がいかに手薄であるかを伝えていた。こちらも「イスラム国」にとっては興味をそそられる有益な情報に違いない。何が引き金になるかもわからない状況であるのに、こうした情報を流すのは極めて不適切だ。

  • 「イスラム国」がヨルダンのパイロットを殺害し、これに対してヨルダン側が死刑囚の刑を執行した。この件について、「暴力の応酬」と表現していた。テロリストが何の罪もない人間を残忍なやり方で殺すことと、囚人に刑を執行したことを、なぜ同じ土俵で扱うのか。この問題は非常にデリケートな問題だ。テレビの影響力を考慮し、慎重に言葉を選ぶべきだ。

  • ISILの公開した映像を流していた。内容は、少年兵の訓練の様子で、小学生ぐらいの年代の子どもが銃を持つ姿や、教官らしき大人に腹を蹴られたり、棒で殴られたりする姿だった。明らかに児童虐待の映像であり、全国放送で流すものとしては極めて不適切だ。そもそも、テロ集団の公開した映像を公共の放送で流すこと自体がテロリストに与する広報行為であり、メディアとしての良識を疑わざるを得ない。

  • 「イスラム国」の首謀者について、かつてイラクのアメリカ軍の刑務所に入れられており、そこではアメリカ軍による虐待が行われていたという。司会者たちは、そこで彼が憎しみを持ったとして、「アメリカが作り出した悪魔」などという意味のことを言い、テロはアメリカの責任のような印象を与えていた。しかしテロは、やった実行犯や命令した者に責任があるはずで、疑問を抱かざるをえない。

  • 川崎中1殺害事件を取り上げた際、テレビゲームを引き合いに出して、「バーチャル感覚でこのような罪を犯すのではないか」という信じがたい意見があった。この発言の真意は知らないが、テレビゲーム製作者や愛好者を侮蔑するものだ。

  • 川崎市中1殺害事件について、男子生徒が以前、殴られて、目を腫らしている写真が放送された。登校前の子どもも見ている時間帯で、我が家の子ども達はショックを受けて怯えていた。事件の悲惨さは言うまでもないし、報道として事実を伝えることの重要性は否定しない。ただあのような残虐な映像を、あの時間帯に流す無神経さが理解できない。過激派組織ISによる殺害映像を流すことと同じとすら思える。事件の背景をさぐって問題解決の糸口を示すことと、あのような映像を流すこととは、まったく別であり、なんら社会的な意義がない。

  • 川崎市中1殺害事件について、ネット上で犯人探しが流行っているようだが、視聴者が興味を引くようなメディアの伝え方に問題があると思う。例えば被害者と友人とのLINEやツイッターの書き込みを流すことで、誰もが興味本位でその内容を知りたがる。また一部の人間は手柄を取りたいと思うあまり、たまたま知っていた情報をネットに書きこむのではないのか。過熱した今の状況を考えると、メディアは少し冷静になってほしい。興味本位に報道を続けるべきではない。

  • 「大韓航空ナッツリターン事件」を報道している。どこも航空会社令嬢の非礼を取り上げ、韓国財閥の"お家事情"を面白がっているようにしか見えない。国際空港において、動き出した飛行機を止めるという行為は、他の飛行機への影響を考えると非常に危ない。こうした"国際運航上の問題が起きたかもしれない"という別の観点から伝えることも必要なのではないか。

  • 「ナッツリターン事件」のことで、司会者が出演者の在日韓国人ゲストに向かって、「韓国人は他人に責任を押し付けるのか」という趣旨の発言をした。またその後も返答に困る出演者に向かって差別的な発言をした。これは明らかに偏見、決めつけであり、ヘイトスピーチに他ならないのではないか。

  • 抗議が激しさを増しているようだが、謝罪すべきところはないと考える。報道の自由が脅かされているように思えてならない。抗議や批判に屈することなく、報道姿勢を維持してほしい。また、マスメディア全体が自由に政権批判するように戻ってほしい。メディアの力は大きい。政権に荷担せず自らの良心に従ってほしい。今屈していてはこれからもっと大変になるだろう。

  • 自分たちに都合の良い情報だけを流し、肝心な情報を流していない。例えば殺害された日本人ジャーナリストに外務省が渡航自粛を求めていたことを報道していなかった。その上、最終的には"安倍政権批判"を繰り返している。世の中には、"情報源=テレビのみ"で、テレビから流される情報を鵜呑みにしてしまう人間もいる。視聴者へ誤解を与え、印象操作を招くような報道はやめるべきだ。

  • 私は札幌に住んでいる。今朝から都内で雪がふると大騒ぎしているが、笑止千万だ。こちらではその程度の積雪など当たり前で、「イスラム国」関連や、台湾の飛行機事故などもっと報道すべきものがある。都内の大雪をトップニュースに持ってくる報道センスが信じられない。

  • 和歌山県の男児殺害事件に対するコメントは、容疑者否認の中、あたかも証拠などで容疑が固まっているかのような内容だった。一般の視聴者は逮捕され、報道に顔がさらされればこれで犯人だと思いがちで、かつそういう発言があると影響をうけやすい。もっと慎重に発言するべきだ。

  • 和歌山県の小5男児殺害事件を受け、子どもの防犯対策について伝えていた。番組では校門から出てくる子ども達の映像をモザイクなしで使い、その後、親に通知されたメールの画面を映していた。個人名にはモザイクがかけてあるのに、その下の学校名はモザイクがなくはっきりとわかる形で放送された。全国放送で、個人を特定できるような子ども達の映像を使い、学校名まで放送してしまうことはいかがなものか。保護者として不安で仕方がない。今後、このようなことがないようにしてほしい。

  • 福島県郡山に住んでいる。福島原発事故から丸4年になろうとしている。「復興」に力の入った原発報道が多くなっているが、残念なことに実際には復興とは名ばかりで、放射性物質の拡散の現実を知らしめている番組が少なくなっている。この番組のように原発を始めとして、諸問題に深く切り込み真っ向から取材し報道している番組を最近見かけない。このような番組こそが、今の日本に必要だ。

  • 番組収録中に事故が起こり、12歳の少女が重傷とのことだが、その後の経過の報道がほとんどされていない。決して小さな事故ではないはずなのに、放送関係者が起こした事故だから、あまり報道されないのか。この事故の原因をもっと追及するべきではないか。

  • コメンテーターが中国人旅行者について、「声が大きく不快だ」といっていた。一般人は公の報道に左右されることが多い。旅行者に侮蔑するような人が出てくるのではないのか。中国の方もさることながら、台湾、韓国の方も外見では区別がつかないし、軽蔑した接客や対応を受けないか心配だ。別のコメンテーターは反対意見で、「もう少し理解をしてあげるべきだ」というような温かい発言をしていた。春節で日本に来る方が多いので、先入観を植えつけないでいただきたい。

  • 無期懲役囚を扱った番組を見た。あたかも服役囚を被害者のように報じ、同情を誘う構成だった。彼らの犯罪によって、不幸に遭われた被害者の視点が欠けているのではないのか。一体なぜ彼らが服役しているのかと疑問に思わないのか。彼らによって一生、その楽しみすら奪われた者もいる。罪を犯し、罪を償っている人は、国家によって自由が奪われた被害者なのか。この放送に憤りを禁じ得ない。

  • 各局のワイドショーなどで「高齢者らをベッドで"拘束介護"都が改善勧告」というニュースを取り上げている。「高齢者への虐待だ。人権が」と一方的に介護者を批判しているが、ボケてしまった高齢者の介護がいかに大変であるか。介護者がいかに不足しているかなど、介護の現状がわかっているとは思えない。拘束しなければ、周囲の人間のみならず本人も怪我をしてしまう恐れもある。拘束するにはするだけの理由があるはずだ。一方的に批判するだけでは根本的な解決にはならない。無責任な正義感は世論をミスリードする。もっと事実を調査してほしい。

  • 株価が上がった時の街頭インタビューで、「嬉しいので今夜はおいしいものを食べたいと思います」といった意見を拾っているが、違和感を覚える。株式の保有者は国民の10%、程度だから、それ以外の国民の意見も拾わないと公平ではない。株式をもたない人の意見としては「株が上がっても自分には関係ない。それで経済が良くなったような報道はやめてほしい」「株が上がっても、給料があがらないと意味がない」が本音だ。"株の上昇=経済がよくなった"という間違ったイメージを国民に与えないような、公平な放送を望む。

  • 東京マラソンのニュースが放送されていた。内容としては、東京マラソンが開催されたという事実や、ランニングポリスが警備を行ったということであった。重要な行事であり、放送する価値はあると思う。一方、同じ日に兵庫県姫路市で、同じ市民参加型の姫路城マラソンが行われていたが、これについては全く取り上げていなかった。このマラソンは、市民ランナーが1万人以上参加する大きな大会であるのに、どうして東京マラソンのように取り上げないのか。さして重要ではないと判断したのだろうか。しかし、地方が重要と国も地方創生に取り組んでいる中、東京の情報ばかり全国に向けて放送していれば、地方の活性化が進まないのではないのか。

【番組全般・その他】

  • 出演者の男性タレントが、元相方の未成年への淫行トラブルについて「ただの条例違反」という発言をした。女性に人権など存在しないということだろうか。身体的にも精神的にも傷つけられ苦しんでも、「ただの条例違反」なのだろうか。日本はまだ、男尊女卑の世界なのだと痛感した。情報番組など、広く活躍する方からこういう発言が出ることに強いショックを覚えた。

  • 著名人の謝罪会見をパロディーにした内容だった。しかし、今回は「全く必要のない謝罪を要求すると、タレントがどういう反応をするのか」を放送した。何も落ち度のないタレントの困惑する様子を、面白可笑しく放送することに嫌悪感を抱いた。執拗に質問する様子はいじめのようにも見えた。

  • 番組で懸賞を扱う際に「当選発表は商品の発送をもって替える」という断りがあるが、改善してほしい。商品の発送はテレビ局側の都合によって早くも遅くもなり、いつ発送されるかわからない。当選者は届いた時にわかるが、そうでなければいつ届くかと待っている。せめて当選時期を明確にしてほしい。

  • 犬の帰巣本能を試すコーナーで、レトリバー種の大型犬を家から10km離れた知らない土地に連れて行き、帰巣本能で家に帰れるかという実験をしていた。しかし、その犬はシニア犬だった。それにレトリバー種は股関節が丈夫ではない犬も多い。そのような犬を7時間も歩き回らせたことは良くない。結局辿り着いてもいない。舗装道路を7時間も歩かせることは、関節や肉球を痛めてしまう恐れがある。

  • 40歳以上で未婚の女性は結婚出来る確率がとても低いといった放送をしていた。「政府が調査した内容だ」と言っていたが、女性の年齢差別だ。現時点で結婚予定がない女性は、40歳以上でなくても悲しい気持ちになる。ハラスメント行為をした人は罰せられたりする時代なのに、放送の世界では許されるのか。女性の結婚や妊娠などデリケートな問題は、年齢差別しないでほしい。

  • ゲストが貧乏時代に住んでいたという市営住宅を紹介していた。その頃の家賃は2Kで格安とのことだった。そこまではいいが、現在の収入別家賃を表にしていたことはやりすぎだ。まるで、県営住宅や市営住宅に住んでいる人はみな貧乏と思われる内容で、貶められているかのように感じた。私も兵庫県の県営住宅に住んでいるが、ここには阪神・淡路大震災の被災者も住んでいる。また、子どもが学校で「県営住宅に住んでいるから貧乏だ」と、いじめられる可能性もある。このような内容を扱うときは、細心の注意をしてほしい。

  • サッカー選手のゲストを高級時計店へ連れて行き、なんだかんだと理由をつけて高級時計を半ば無理やり購入させていた。このシリーズで購入金額1億円を超えたということだが、視聴者は何を楽しんで見れば良いのか。番組の制作意図が分からない。MCとレギュラーが内輪で楽しんでいるだけのように見えて不快だった。

  • 極寒のフィンランドで体をはった面白動画を撮影するコーナーで、芸人が極寒の海に落とされたり、マイナス数10度の部屋に入れられたりしていた。非常に危険な企画で看過できない。スタントマンや強靭なスポーツ選手ではなく、素人同然の芸人が無謀にも挑戦することが売りなのかもしれないが、いつかこの企画で死者もしくは重大な事故が起きるのではないのか。トランポリンに水をかけ凍らせ、背中から飛び込んでトランポリンが裂けて芸人が地面(雪)に落下したシーンなど、演出なのか事故なのか分からないが、下手したら首を骨折し、半身不随になる危険がある。

  • ゲイ向けビジネスの特集だった。私はゲイだが、当事者として番組に不快感を覚えた。社会的にも悪影響のある内容だった。リポーターが終始、嘲笑気味にインタビューを行なったり、BGM・効果音はコミカルで笑いを誘う選曲をしていた。スタジオのコメントも不適切で、例えば、ゲストに対しMCが「こんな回に出てしまって災難でしたね」と言ったりしていた。他にも同性愛者に対する偏見を助長する場面が多々あった。

  • 激安スーパーを取り上げていた。この店主は、昔暴走族だったらしく、番組内で「元暴走族リーダー」と何度もコメントしたり、キャプションまで入れていた。元暴走族のリーダーを賛美し持ち上げているようにしか思えず、違和感を覚えた。

  • この日の放送で、身の回りのちょっとした疑問を紹介するコーナーがあった。その中に「ペースメーカーが携帯電話などの電磁波の影響を受けるというのは本当か」というものがあり、実験していた。携帯電話やスマホをペースメーカーの近くで作動させるという内容で、結果として何ら影響は認められなかった。「優先席付近での携帯はOKです」とは結論付けなかったが、視聴者は「なんだ、大丈夫なのか」と受け取る可能性がある。「ペースメーカー」には多くの機種があるのに、実験で使ったのは1機種だけであった。電車と実験室が同じ環境であるはずもない。今回のいい加減な「検証」は迷惑以外の何物でもない。

  • 偽造した身分証明書で不法滞在している中国人がいるという内容だった。街中で中国人に証明書を見せるように言い、見せることを拒否した人たちがいかにも怪しい、不法滞在者であるかのようなつくりだった。街中で突然身分証明書を見せろと言われたら、私は確実に見せない。個人情報を警察官でも入管でもない一介のテレビリポーターに、なぜ提示しなければならいのか。そういう取材方法に何の問題意識も持たないのは如何なものか。

  • 番組の終了間際、突然女性タレントが後ろから出演者の胸を揉みだした。例え相手が女性であってもセクハラだ。司会や周りが止めるように言ったが笑いながらやめようとしなかった。明らかに度を越えた不愉快極まりない行為だ。

  • ハッカーとクラッカーの区別をしっかりとしていただきたい。「ハッカー」はコンピューター知識を生かして技術の発展に貢献する人で、「クラッカー」はコンピューター知識を生かして悪さを働く人だ。私はエンジニアとして働いている。優秀なハッカーになれるよう頑張っている中、番組は不愉快だった。数多くのハッカーのおかげで今の情報社会が成り立っている。なぜこんなひどい言葉の間違いを、公共の電波を使って堂々と伝えているのか。間違った認識が広まっている現状は、放送の責任である。

  • 数多くのバラエティー番組や情報番組で、お笑い芸人が司会や出演をしているが、ほとんどが他人を茶化して、自分たちで笑っているだけだ。程度が低すぎてあきれてしまう。番組の企画は良いものであっても、彼らによって内容が妙な方向に持って行かれてしまう。こんなことでは見る番組がますます少なくなる。各テレビ局は、出演者について再考していただきたい。

  • 自転車事故での賠償額で、これまでの判例ではありえないような金額を紹介していた。実話として放送したが、根拠の提示がなく、とても信じられない内容だった。自転車事故は当たり屋を助長しかねないので、留意してほしい。

  • 収入の多い妻が少ない夫を徹底的にバカにしていた。不愉快な気分になった。おそらく演出なのだろうが、それにしても悪趣味だ。全体的に「男は情けない。女は素晴らしい」と印象操作しようとしているように感じた。夫をバカにした挙句、追い打ちのようにタレントが説教するシーンもあり、これも不愉快だった。最終的には妻は何一つ糾弾されることはなく、モラハラ疑惑は晴れたなどと美談のように締めていた。とにかく妻の暴言、偉そうな態度、男性差別的な発言があまりにもひどかった。

  • オーストラリアの一部で雷が落ちやすいスポットで、女性芸人に骸骨姿のボディペイントをして、雷に打たれた感じにしたフェイクの写真を撮ろうという企画だった。上半身裸のボディペイントで危ないポーズで写真を撮っていた。全身黒く塗りつぶされて骨に見立てた絵が描かれているとはいっても、女性に破廉恥な格好をさせて、海外の土地で写真を撮らせることは女性軽視だ。結局、雷に打たれた映像は撮れないので、後から編集で雷撃たれたように見せかけた合成映像で締めていたが、そんな行動をマネしようとする人も出てくるのではないのか。

【ラジオ】

  • ゲストで来ていた女性フリーアナウンサーが「自分のクレジットカードを親に貸したままだったので買い物が出来なかった云々」と発言した。多くのクレジットカード会社は親族間であってもカードの貸し借りを禁止しているはずだ。言わば規約違反したであろうことを公共の場で話したのは、違法行為ではないにせよ問題がある。

  • 放送の予告があったが、「おっぱいを見せたい女性は、気づかれないように○○公園へ来てください。おっぱいを見せたい女性を探します」というものだった。公園でおっぱいを見せることは、公然わいせつになるかもしれないし、そうした破廉恥な行為を放送でそそのかすとは、どういう料簡なのだ。

  • アナウンサーが春で番組を卒業するということで、その話をし始めたら泣き出した。その泣いている時間が長すぎて驚いた。何かあったのかとびっくりした。自分の意志で卒業するにもかかわらず、あまりにも泣きながら話す時間が長すぎ、不快だった。プロとしてどうなのか。

  • 「バレンタインデーにはチョコレートはいらないので、商品券を送って下さい」と何度も言っていた。送り先まで指定するなど、不愉快だ。一般人からそこまでして商品券をもらい、チケット屋にでも売るつもりなのか。最初は冗談かと思ったが、最後までこの内容で引っ張っていた。

【CM】

  • 人気グループのゲームソフトの最新CMだが、非常に過激で、黒いマントに白い仮面を身につけた衣装は、思わず凄惨な事件の数々を彷彿とさせる。誰の目にも触れる可能性のある地上波のメディアで、過激な演出は控えてほしい。

  • ゲームソフトのCMで、小学生と思われる子がスマートフォンやタブレットで遊んでいる。課金など様々なトラブルに巻き込まれる可能性があるのに、子どもにスマートフォンやタブレットを持たせることは良くないのではないのか。また、アイテム購入などに年齢制限があるのに、未成年でも遊べると勘違いしてしまう。

青少年に関する意見

【「暴力・殺人・残虐シーン」に関する意見】

  • 子どもも見るアニメ番組での、殺人事件などのシーンがリアルすぎる。アニメであっても、子ども達には刺激が強すぎると思う。描写にもっと注意したうえで放送すべきだ。

  • 深夜の時間帯に放送されているアニメが子ども達の中で話題になっているが、残虐なシーンが多い。深夜だからといってどのような内容でも放送していいというものではない。録画機器が発達していることも念頭に置いて番組を制作してほしい。

【「編成」に関する意見】

  • いわゆる「イスラム国」が後藤健二さんを殺害したことを受け、子ども向け番組が緊急特別報道番組に切り替わった。子ども向け番組の放送予定時間にテレビをつけたら、後藤さんがナイフを突きつけられている映像であり驚いた。番組が切り替えられたこと自体は仕方がないが、その旨をテロップで表示したり、アナウンサーが説明するなどの対応があってもよかったのではないか。

【「報道・情報」に関する意見】

  • 和歌山の小学生殺人事件の報道で、犯人がまだ捕まっていないにもかかわらず、小学校に迎えに来た親などにインタビューをしていた。その際、被害者の同級生にもインタビューしていたが、映像加工がされておらず、顔がはっきりと映っていた。

【「言葉」に関する意見】

  • 最近、特にバラエティー番組で、目上の人に対して敬語を全く使わなかったり、失礼な物言いをするタレントが多い。子ども達がまねするなど悪影響が大きい。

【「表現・演出」に関する意見】

  • バラエティー番組で出演者同士が罵倒しあう企画があった。シナリオがあるのかもしれないが、暴力を振るうシーンもあり、子どもが見る時間帯での放送には不適切だ。また、内容的にもただの罵倒であり、「芸」と呼べるようなものではなかった。青少年への悪影響を懸念する。

【「危険行為」に関する意見】

  • 出演者が割り箸やストローを鼻の中に入れているようにみせる手品をしていた。鼻から物を入れることは大変危険な行為で、実際にやった場合、脳が傷つくおそれもある。小さな子どもがまねをしないように、テロップなどでしっかりと注意喚起すべきだ。

第167回 放送と青少年に関する委員会

第167回–2015年2月24日

「子どもが多く視聴する時間帯に説明もなく
いきなり衝撃的映像」との視聴者意見を討論…など

第167回青少年委員会を、2月24日に7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。1月16日から2月15日までに寄せられた視聴者意見について話し合い、2案件について討論しました。その他、2月の中高生モニター報告、調査研究の現状報告、2月13日に開催した山梨での意見交換会などについて話し合いました。
次回は3月8日に定例委員会と中高生モニター会議を開催します。

議事の詳細

日時
2015年2月24日(火) 午後4時30分~午後7時10分
場所
放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

  • 「日曜朝の子どもが多く視聴する時間帯に、いわゆる"イスラム国"関連のニュース速報を放送していた。番組内容変更の説明もなくいきなり衝撃的な映像を流していて子どもが怖がっていた。事前アナウンスがあっても良かったのではないか」などの視聴者意見が多数寄せられた案件について討論入りすることを決めました。当該局がどのような対応をとったのか報告を求め、次回引き続き討論することにしました。

  • 「和歌山の小5殺人事件の報道で、同級生が顔出しでインタビューに応じていた。このような事件の時に同級生の顔を出すことはどうなのか。疑問が残ります」という視聴者意見について討論しました。「他にインタビューした大人は顔を隠していたのに、同級生だけが顔を出していた。放送のあった時点ではまだ容疑者が捕まっておらず、このような段階で青少年の顔を出して報道することには慎重であってほしい」という意見があったことを公表し討論を終えることにしました。

  • 委員から、「いわゆる"イスラム国"関連の報道について、各局はかなり抑制的であったと認識している。これまでに青少年委員会は、『「衝撃的な事件・事故報道の子どもへの配慮」についての提言』(2002年3月15日)、『「児童殺傷事件等の報道」についての要望』(2005年12月19日)、『子どもへの影響を配慮した震災報道についての要望』(2012年3月2日)を公表し、衝撃的な映像を放送するにあたって、放送局の配慮を要請してきたが、今後の参考にしたいので今回の一連の報道について各局はどのような対応をしたのかを教えてほしい」との意見があり、NHKと在京民放5局に報告をお願いすることにしました。

中高生モニター報告について

2月の中高生モニターは、「この1ヶ月程の間に見た番組の感想(バラエティー・クイズ・音楽)」というテーマでした。今回は29人から報告がありました。
クイズ番組が楽しくて勉強になるという報告を寄せてくれたモニターが多くいました。『くりぃむクイズ ミラクル9』(テレビ朝日)。「この番組は"義務教育サバイバルクイズ"というもので、私たちのような中学生には本当についさっき学校や塾で習った問題が出てきてすごく勉強になるしおもしろいです」(三重・中学3年女子)。『Qさま!!3時間SP』(テレビ朝日)。「勉強の番組なのに飽きさせないのでとても好感がもてます。この番組なら親も一緒に見られます。バラエティーの一部の番組のように見ていて飽きたり芸能人だけが楽しむ番組とは違い、この番組はほんとうに視聴者も楽しめます」(秋田・中学2年女子)。『してみるテレビ!教訓のススメ』(フジテレビ)。「こんなケースではどうなのか?といった、意外に知らない法律の話など役に立つ情報を交えながら放送していて、とても勉強になるおもしろい番組です」(沖縄・中学2年男子)。
また、地域の情報を詳しく扱った番組が大変いいという報告もありました。『満天☆青空レストラン』(日本テレビ/南海放送)。「地域の料理や物品をうまく紹介していて、こういう企画は、その地域に実際に食べる人が来て観光客が増えたり、地元に農業・漁業従事者を増やすきっかけになると思います」(愛媛・高校2年男子)。『ドォーモ』(九州朝日放送)。「この番組は九州メインで放送されています。私は、特に木曜ドォーモの企画がとても好きです。普段見ている番組とは違い今まで自分の知らない世界が広がるのでいいです」(福岡・高校1年男子)。
人気のバラエティー番組にはやはり熱い支持が寄せられました。「私は『くりぃむナンチャラ』(テレビ朝日)を視聴した。単純明快、くだらなさこそがバラエティーである。そのくだらないことに本気で取り組む様子に自然と笑いがこみ上げる。テレビ番組はもっとエンターテインメント性を重視してもいいのではないか」(東京・高校2年女子)。『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』(日本テレビ)。「欠かさず見ているテレビです。後半に向かって本当にバカバカしくて笑ってしまった。結局は、あ~笑った笑ったで終わるこの番組はすごいと思う。芸人は遠い存在なのに、この番組ではすごく身近に感じる。司会のダウンタウンが出演者の芸人を笑っているけど、温かいものを感じるから見ていて気分がいいのかなと思った」(東京・中学2年男子)。

■中高生モニターの意見と委員の感想

●【委員の感想】バラエティー番組に厳しい意見を寄せたモニターがいた。

  • (福岡・中学1年女子)『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ/青森放送)。イモトさんもオーシャンズ金子さんも声がでかくて声で笑いを取ろうとしているように見えて不快でした。ただ馬鹿でかく声を張るのではなく内容を大事にしたほうがいいと思いました。

●【委員の感想】バラエティー番組への強い支持をユニークなリポートで表現した報告もあった。

  • (神奈川・高校2年女子)『月曜から夜ふかし』(日本テレビ)。久しぶりにテレビを見て笑う、という体験をして心地よい時間となりました。普段、テレビは時間の無駄と思ってゆっくり見ることもないのですが、たまにはこうしていい意味でのゆったりした無駄な時間を過ごすのもいいかもしれないと思いました。
  • (東京・高校2年女子)『くりぃむナンチャラ』(テレビ朝日)。テレビの最大の利点を有効に使うには出演者が縦横無尽に動き回るバラエティー番組が最適で、テレビというメディアが生き残る道もここに集約されるのではないか。映像を通して視聴者にめったにできないことを疑似体験させ、「くだらない」を極めた番組が増えることを期待している。

●【委員の感想】作った言葉でなく普通のしゃべり方で話す出演者に好意を寄せているモニターの報告が印象に残った。

  • (佐賀・中学1年女子)『みんなの疑問ニュースなぜ太郎』(テレビ朝日/九州朝日放送)。
    司会の城島さんは、普通の人の感覚で質問したり話を聞いたりしているので親近感がわきます。説明する人も難しい言葉とか英単語、カタカナのような言葉を使わないので、普通の人や中学生にも分かりやすいです。偉そうな人が難しい言葉で話していると、レベルが違うから見る気がしなくなります。

●【委員の感想】中高生の間では、知識を得られる番組に対する評価が高いようだ。

  • (東京・中学3年男子)『NHKスペシャルNEXT WORLD 寿命はどこまでのびるのか』(NHK)。再生医療や3Dプリンターを使う最新の技術の紹介と近未来ドラマの組み合わせでおもしろく見た。難しい理論を専門家がタレント相手に説明する番組より楽しく知識を吸収できた。

●【委員の感想】テレビの映像やニュース内容に対する素直な感じ方を書いてくれたモニターがいた。

  • (広島・中学2年女子)イスラム国が日本人2人を人質にしたニュースをずっとやっています。身代金の期限は今度の金曜日午後です。今は生きている人が後数日に殺されてしまうかと思うと、とても怖いですしニュースも見たくありません。でもずっとこのニュースをやると思うので見てしまうと思うと本当につらいです。

調査研究について

  • 「中高生の生活とテレビに関する調査」について、担当の萩原委員から3月16日の研究報告会に向けた現状報告がありました。

青少年委員会における用語の統一について

  • 2014年6月の第159回委員会で話し合われ懸案になっていた、青少年委員会で使われる用語の問題について、担当の渡邊委員と事務局から説明があり、今年度中にまとめることを確認し、次回委員会で引き続き検討することにしました。

今後の予定について

  • 3月8日開催の「中高生モニター会議」について、内容の確認が行われました。
  • 来年度の中高生モニター募集について、事務局から応募状況などの報告がありました。

その他

  • 環境省の「エコチル調査」の報告が事務局からありました。
  • 2月5日に加藤副委員長が講師派遣でテレビ埼玉に行き講演した報告がありました。
  • 2月6日に小田桐委員が石川テレビ制作の青少年向け番組『8ッピーLive いしかわキッズ!』の視察に行った報告がありました。(報告の概要は、下記掲載)
  • 2月13日に汐見委員長、加藤副委員長、最相委員が参加して山梨県甲府市で行われた意見交換会の報告がありました。(「意見交換会・勉強会」の概要は、下記掲載)

◆石川テレビ『8ッピーLive いしかわキッズ!』に出演して◆

青少年委員会委員・小田桐誠

民放各局は「青少年に見てもらいたい番組」を公表しているが、その中に子どもたちが出演する同年代(とその保護者)を対象にしたレギュラー番組はほとんどない。そんな中、石川テレビが "子どもの子どもによる子どものための番組"を編成していると聞いた。
青少年委員会は青少年にとっての放送番組の向上を目的とした組織であり、各局に苦言を呈するだけではなく、このような番組の存在や制作ノウハウを各局に知ってもらい、その輪をひろげていくことも重要な使命のひとつである。そこで、早速視察に~打ち合わせの途中からどういうわけか出演することに~、北陸新幹線開通を控えた金沢に出かけた。
『8ッピーLive いしかわキッズ!』は毎週土曜日の午前10時30分から11時15分まで放送されている、石川県在住の小中学生「キッズリポーター」が"石川のいま"を伝える情報番組。出演の中心は"キッズ"だが、番組内容は大人が見ても十分楽しめる構成になっており、決して子どもだけをターゲットにしているものではないと感じた。
私は、番組中のミニコーナー「キニナル?ミニナル!ゼミナール」に生出演。同コーナーでは、週替わりで様々な分野の専門家が出演し、"キッズ"たちと一緒に勉強している。10分ほどの短い時間だが、「テレビのみ・か・た」と題し、テレビの歴史やテレビが役立つのはどのようなときか、どんな番組を作りたいかなどについて、MC2人とともに4人の"キッズ"たちとやりとりした。
出演に先立ち、"キッズ"にテレビに関するアンケートを実施した。「宿題をしながら」「スマホをいじりながら」など、テレビの"見方"はさまざまだが、家族と一緒に見ている子どもたちが意外に多いと実感。テレビに大きな期待をしている子どもたちもまだまだたくさんいる。各局の制作者たちは、そんな子どもたちに力強いテレビの"味方"、ときには厳しい応援団になってもらうための番組作りに邁進してほしい。
最後に同局および番組制作スタッフ、"キッズ"のみなさんの協力に感謝したい。
(小田桐誠)

◆意見交換会(山梨)概要◆

青少年委員会は2月13日の午後3時から6時にわたり、山梨県甲府市の山梨放送(山日YBS本社)で、在山梨放送局担当者との意見交換会を開催しました。
山梨地区の番組は、日本民間放送連盟賞の特別表彰部門「青少年向け番組」に多数入賞するなど、いわゆる「青少年向け番組」に関する取り組みが充実していることから、同地区放送局との意見交換を通じて相互理解を深め、放送界全体の番組向上に役立てるために企画したもので、同地区での意見交換会の開催は初めてとなります。
BPOからは汐見稔幸・青少年委員会委員長、加藤理・同副委員長、最相葉月・同委員の3名、放送局側からはNHK、山梨放送、テレビ山梨、エフエム富士の各BPO連絡責任者、制作・報道担当者など27名が参加し、論議が交わされました。
意見交換会は2部形式で実施し、第1部では、BPOや青少年委員会の役割などについて事務局から説明しました。また、委員が事前に視聴・聴取した、各局の「青少年向け番組」について感想を述べ、意見交換しました。委員からは、「視聴した後にも余韻をかみしめられるような、手間暇かけた内容の番組が多く、すがすがしい気持ちになった」「青少年だけではなく年代を越えて共感できる内容であり、作品に力がある」「新たな発見もあり、豊かな時間を過ごすことができた」などの感想が寄せられました。
第2部では、「地元密着型の番組制作」「青少年向け番組」「メディアリテラシー」のそれぞれのテーマについて、意見交換しました。
「地元密着型の番組制作」については、委員から、「家族のだんらんを大切にしている県民性や青少年を地域で育む意識が高いことなどが伝わってきた」「取材対象者との関わりかたが上手。距離をとりながら魅力的に人物を描いている」などの感想が寄せられました。放送局側からは、「山梨の人が山梨の良いところを知らないのではないかと感じている。東京に近くて大自然があり、NPO法人が調査した『ふるさと暮らし希望ランキング』で1位になるなど、潜在的な財産が多くある。メディアが発信していくことで地域に恩返ししたい」「山梨はケーブルテレビの普及率が高く、キー局の番組を受信できる環境にある視聴者も多い。そこで、キー局の番組との差別化を図るため、地元に密着した良質な番組を作り上げていこうという意識が強い」「NHKも含めてテレビ局が3局しかなく、互いに切磋琢磨している。また、番組コンクールでの受賞なども励みになっており、放送局間はもちろんのこと、同局の社員同士でも『負けたくない』との意識で一生懸命制作している」などの考えが示されました。その一方で、「狭い社会であり、少し番組に出ただけで注目されてしまうので取材が難しい。出演に際しての説得に苦慮している」など、現場ならではの苦労も披露されました。
「青少年向け番組」については、「そもそも青少年向け番組とは何か」との論議がありました。委員からは、「児童文学であれ放送であれ、素晴らしい作品ははじめから青少年向けに作られたものではない。当地区での作品も様々な年代の視聴者が共感できる内容となっている」との発言があり、放送局側からも、「青少年のみに視聴してもらうために制作している訳ではない。様々な年代の視聴者が納得できる作品を目指している」など、基本的な制作スタンスについての考えが示されました。報道や情報番組などにおける具体的な取材・制作手法については、「危険ドラッグの取り上げ方などに際しては、社内でも徹底的に議論するなど、細心の注意を払っている」「ゲームやスマートフォンを過剰に取り上げることで、子どもたちの欲求を惹起してしまうのではないかと考えると、取り扱いが悩ましい」などの発言がありました。また、メディアリテラシーについては、「視聴者によってリテラシーの差が大きく、基準をどこにあわせるかが難しい」などの悩みが寄せられました。
最後に汐見委員長から、「山梨地区における各放送局の番組作りは、足元にすばらしい自然や歴史、文化があることをメディアが広めて行く、ひとつのモデルになり得ると感じた。これからは、視聴者参加型の番組などを通じて、県民の皆さんに『私たちの番組』であるとの意識をもってもらうことが大切だと思う。キー局とは違ったアプローチでこれからも頑張ってほしい。本地区での取り組みを各局に伝えていくことを通じて、『視聴者と放送事業者を結ぶ回路』としての、青少年委員会の役割を広げていきたい」との、まとめの言葉があり、3時間にわたる会合を終了しました。

第22号

“全聾の天才作曲家” 5局7番組に関する見解

2015年3月6日 放送局:TBSテレビ、テレビ新広島、テレビ朝日、NHK、日本テレビ

全聾でありながら『交響曲第1番HIROSHIMA』などを作曲したとして、上記5局の7番組をはじめ数多くの番組で紹介されていた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼していたことが発覚した事案。
約1年間にわたる討議と審理の結果、委員会は、佐村河内氏の作曲活動や聴覚障害に対する各局の裏付け取材は不十分なところもあったが、放送時点において、その放送内容が真実であると信じるに足る相応の理由や根拠が存在していたとして、各対象番組に放送倫理違反があるとまでは言えないと判断した。
ただし、問題発覚後の対応については不足している点があるとして、視聴者への説明責任を果たすため、民放4局に対しては自己検証の結果の公表を、NHKに対しても再度の自己検証とその結果の公表を要望した。

 

2015年3月6日 決定の通知と公表の記者会見

通知は、3月6日午後2時から、千代田放送会館7階のBPO第一会議室で行われた。また、午後3時から記者会見を開き、決定内容を公表した。記者会見には27社62人が出席し、テレビカメラ7台が入った。
詳細はこちら。

2015年6月12日【委員会決定を受けての当該5局の対応】

標記事案の委員会決定(2015年3月6日)を受けて、当該の5局(TBSテレビ、テレビ新広島、
テレビ朝日、NHK、日本テレビ)は、対応と取り組み状況をまとめた報告書を当委員会に提出した。
6月12日に開催された委員会において、各局からの報告書の内容が検討され、5局ともに了承された。

TBSテレビの対応

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テレビ新広島の対応

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テレビ朝日の対応

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NHKの対応

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日本テレビの対応

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