第082回 – 2003年11月
「山口県議選事前報道」の審理
三委員長・理事長会談の報告…など
「山口県議選事前報道」の審理
全委員から本事案に対する見解を文書などで出してもらい、それを基に起草委員会がまとめた「委員会決定」の最終原案を委員会に提出、この内「委員会の判断」部分を事務局が読み上げた後、意見を交換した。
その結果、文言や字句を手直しした最終案を作成し、全委員の承認を得た上で、12月12日に申立人と被申立人に通知し、記者発表して公表することになった。
また、委員会決定に関する少数意見の掲載方法について、今回は委員名を明示することとし、今後はその都度、検討することに決めた。
三委員長・理事長会談の報告
10月30日に開催したBPO発足後初の三委員長・理事長会談で、BPO全体の活動のあり方について意見交換し確認したことについて事務局から次のような報告があった。
同会談では「3委員会のどこの審議にもそぐわない苦情・意見などが多く寄せられている。放送人権委員会と青少年委員会は、扱うテーマが特化していて審理の幅に自ずと限界があるが、この2委員会になじまないものはすべて放送番組委員会というのも無理がある」という見方が大勢を占めた。その上で、今後「放送倫理の根幹に触れる問題については、できるだけ各委員会が現行の枠にあまりとらわれずに議論し、それを各委員長が取りまとめて三委員長・理事長会談で話し合う。そこでBPO全体としてどう対応するかを決めていく」ことを確認した。
これに関連して、飽戸委員長が「放送人権委員会が扱うことができる事案・案件の範囲は、その性格から、かなり限定されている。今後放送人権委員会で審理するテーマを広げたほうがいいか、広げなくてもいいか、また広げるとするとどういう形で広げたらいいかなどについても議論して頂きたい」と述べた。
日本テレビ”視聴率操作問題”で意見交換
まず事件の概要について事務局から説明があった。報道された事件の概要は次のとおり。
「41歳のプロデュ-サ-が、調査会社に依頼してビデオリサ-チ社のモニタ-世帯を特定し、日本テレビの番組、特に自分の番組を見てくれるよう工作した。工作資金は番組制作費の水増しなどで捻出、使われた費用は875万円だった。当該プロデューサーは、視聴率獲得を重視する会社の方針を取り違え、視聴率獲得のためには何をやってもよいとの独断の下に行った」
この問題が、前記2の三委員長・理事長会談で取り上げられ、BPOとしても各委員会できちんと議論するなどして対応することになり、本委員会でも意見を交わした。
委員からは以下のような意見等が出た。
- 番組を評価する場合の最も重要な唯一の指標が視聴率だが、その意味を超えて使われすぎている。
- 関東地区のサンプル数600で、視聴率20%の場合誤差は±3%という実態を無視した使われ方をしている。
- 広告会社の肥大化や制作会社いじめが、問題の背景にあるのではないか。
- 人権問題が絡んでいるわけではないから、放送人権委員会としては拡大解釈しても検討しようがない。
- 視聴率を上げようとセンセーショナルな番組を作ろうとして、人権侵害が起こったりするという観点で、放送人権委員会につながって来るのではないか。
- 視聴率は、放送会社の業績に直結するなど経済問題と密接につながっているため、「放送倫理」で判断したり捉えたりしにくい。
- 視聴率問題にテレビ局自身が危機感を持たない限り、新しい方策は出てこない。かなり悲観的だ。
- せめて、視聴率と視聴質の2本立てで対応できないものか。
- 放送メディア全体、特に民放連が中心になって防止方策を講ずるべきだ。
- 個人の行為云々と言うより、テレビ界の構造的問題がこういう形で出てきたと思う。基本的には、放送界が自分たちで改善策を作り、公表すべきだ。
こうした意見を事務局でまとめ、飽戸委員長から上記会談に報告していただき、BPO全体としてどう対応していくかを検討することになった。
札幌・意見交換会 報告
10月24日に札幌で開催した「放送人権委員会委員と放送事業者との意見交換会」について、事務局から「具体的な事例等を題材に活発で有意義な意見交換ができ、ありがとうございました」と報告があった。
この意見交換会の模様を放送した地元局のニュースを視聴した。
10月の苦情概要
BPOに寄せられた10月1か月間の苦情のうち人権関連は次のとおり。
◆人権関連の苦情〔15件〕
- 斡旋・審理に関連する苦情(関係人からの人権関連の苦情で、氏名や連絡先 番組名などが明らかなもの)・・・10件
- 人権一般の苦情 (人権関連だが、関係人・当事者ではない視聴者からの苦情、または、氏名・連絡先や番組名などが不明なもの)・・・5件
◆その他、放送人権委員会への問い合わせなど・・・3件
この中で、次の斡旋解決案件が事務局から報告された。 「インタビューに応えて、娘とのトラブルを話したところ、再現映像で話の内容をねじ曲げられ、私自身も悪者にされた」という苦情が寄せられた。 苦情申立人は、当初謝罪や番組での訂正を要求していたが、放送局側の担当者と話し合った結果、「怒りも収まった」と言う事で決着した。
今年度5件目の斡旋解決である。
その他
次回の定例委員会を12月16日(火)に行うことを確認し、議事を終了した。
以上