2005年度 第25号 放送局対応

第25号 産婦人科医院・行政指導報道

【委員会決定を受けてのNHK名古屋放送局の対応】

2005年7月28日に委員会決定を受けたNHK名古屋放送局は、放送と人権等権利に関する委員会〔BRC〕宛に10月18日に「改善策と取組状況」をまとめた文書を提出した。

これは、NHKと日本民間放送

連盟が、BPOの発足にあたり基本合意書において「3委員会から指摘された放送倫理上の問題点については、当該放送局が改善策を含めた取り組み状況を報告し、放送倫理の向上を図る」と申し合わせたことに基づくもので、1

0月の委員会では、7ページにわたるこの報告文書について意見を交わした。

この中で、同局内で行なわれた職場研修に招かれた渡邊委員からは「60名程の報道部員が集まり、予定の時間を超えても質問するなど非

常に熱心でした」との報告があった。また、委員からは「委員会決定を受けた当該局としては今までで一番丁寧な対応といえる」「申立人に直ちに会うなど取り組み方はきめ細かい」などNHK名古屋放送局が、具体的改善策を講

じ、誠意ある対応をしたことを高く評価する意見が相次いだ。

NHK名古屋放送局の報告は以下の通り

平成17年10月18日
NHK名古屋放送局
NHK名古屋放送局で放送した「産婦人科医院・行政指導報道」のローカルニュースについて、BRCより受けた「勧告」に対するNHK名古屋放送局の対応や取り組みに

ついて報告します。

(1)勧告後のNHKの対応について

平成17年7月28日のBRCからNHK名古屋放送局への勧告を受けて、NHKは同日午後、東京・渋谷区の放送センターにある「ラジオ・テレビ記者会(全国紙など14社加盟)」と「東京放送記者会(地方紙など13社加盟

)」に対して、「勧告で指摘された問題を真摯に受け止め、今後さらに放送倫理の向上に努め、公共放送に対する視聴者の皆様の期待に応えていきたい」というコメントを発表しました。
名古屋放送局では、この決定を受け

て、同日午後6時10分からの愛知・岐阜・三重の東海3県向けのローカル放送「ほっとイブニング」で、BRCの勧告内容をNHKのコメントを加えて放送しました。さらに東京から全国向けに午後9時からの「ニュース9」で同様

の内容を放送しました。ラジオでは、午後7時45分から東海3県向けに、また、午後11時から全国向けに放送しました。

申立人に対しては、同日夜に、愛知県豊明市の自宅に名古屋放送局報道部長と副部長の2人が

直接出向いて、勧告内容を「ほっとイブニング」で放送したことや「ニュース9」でも放送することなどを報告しました。

「勧告」を受けた7月28日の翌日、29日に、名古屋放送局報道部内に報道部長をチームリ

ーダーとして、ニュース取材、テレビ制作、映像制作(編集)、映像取材(カメラマン)、報道番組の各責任者5人のあわせて6人による「改善チーム」を直ちに立ち上げるとともに、報道部会を開いて勧告内容を説明し、勧告を

重く受け止め、放送倫理の向上に一層努めるよう指示しました。
東京の報道局でも、この問題を幹部が出席する編集会議で取り上げた上で、注意を喚起する旨の文書を29日付けで全国の報道の現場に送り、放送倫理の向上

に一層努めるよう指示しました。
さらに勧告後、9月16日に名古屋放送局で開かれた、中部地方在住の11人の学識経験者らからなる第506回中部地方放送番組審議会で、勧告内容、改善計画について報告しました。

(2)「勧告」に対する報道部員の意見集約と問題点の整理

名古屋放送局報道部では、BRCの「勧告」について、報道部員全員から「勧告」をどう受け止めたか、問題点はどこにあったか、などについての意見を求めるためにリポートを提出させました。その際に、「勧告書」のほか、BRC

が行った記者発表の内容や出席した新聞社などの記者の質疑応答をまとめた文書を熟読するように指示しました。
これらのリポートを集約して、「改善チーム」で問題点を整理しました。ひとつは、「報道される側への配慮

が足りなかった」という、ニュースを報道する側の意識の問題があげられました。報道のイロハである「いつ」が欠落した点に重大な問題があると「勧告」で指摘されており、原稿上の事実関係は正しくても、報道される側への配

慮を欠いたニュースであったことを深く認識するべきで、記者、デスク、ほか報道に携わるもの全員が、改めて人権に対する意識を改革する必要があるという結論に達しました。
もうひとつは、当該の原稿が出された際の「

チェック体制」の問題です。この点については、原稿の内容が専門的で、担当デスクに全面的に任せるかたちになっていたこと。また、放送間際の出稿で、編責やTVデスクによる十分なチェックができなかったことなどが上げら

れました。「改善チーム」では、これまでのチェック体制を見直し、より重層なチェック体制を構築する必要があるとの結論に達しました。
以上を踏まえて、名古屋放送局報道部では、再発防止に向けて、ニュース・放送に

携わる者のさらなる意識改革を行うこと、ニュースデスク体制や編集責任者(編責)体制を中心にニュースのチェック機能を一層強化することの2点を重点に、以下のような措置を講じました。

(3)名古屋放送局報道部での具体的改善策

1.「報道される側に配慮した放送」へのさらなる意識改革

  • グループ討議を開き、再発防止と人権への意識を高める
    報道部の記者、カメラマン、映像制作、報道番組の各グループが9月2日から21日にかけてそれぞれグループ討論を行いました。各グループからは、「ニュースの

    出し手としての責任の重さを痛感した」、「人権への配慮が問われるとき、情報を共有化して確認する作業がいっそう必要だ」、「相手への影響をまず考えることが大切だ」などという意見が出されました。

  • 職場研修の実施
    10月6日、名古屋放送局900会議室にBRC委員で千葉弁護士会の渡邊眞次弁護士を招いて、2時間あまりにわたって職場研修を実施しました。研修には報道部を中心に全局から60人が出席し、講演を

    通じて改めて「報道される側に配慮した放送」への意識を高めました。
    報道部では、この研修のほか、随時、人権に関する研修を開いて意識改革に努めることにしています。

2.「ニュースのチェック体制の強化」

  • ニュースデスク体制の見直し
    ニュース原稿を二重、三重にチェックするため、新たに総括デスクを設け、ニュースデスクの役割を明確にし、機能の強化を図りました。
    これまで、名古屋放送局から出稿される原稿

    については、1番デスク、2番デスクに分かれて地域別の責任体制をとっていました。今後は、1番デスクを出稿全体の責任者に位置づけ、2番デスクが1番デスクの補佐役として、原稿の2次チェックをすることとしました。ま

    た新たに創った総括デスクは、3次チェックを行い、その日出された原稿のニュースバリューや、翌日のニュースの予定の選択、TVデスクとの綿密な打ち合わせなどを業務として位置づけました。1番・2番・総括デスクの役割

    分担を明確にした上で、互いの業務に目を配ることで、名古屋放送局から放送されるニュースについてより重層的にチェックできると考えています。

  • 報道部のレイアウト変更
    複数の報道部員から「ニュースデスクとTVデスクとの間が離れすぎていて綿密なコミュニケーションがとれていない」という指摘があり、これを改善するため、報道部フロアのレイアウトを変

    更し、ニュースデスクとTVデスクの距離を近づけました。これによって、出稿を担当するニュースデスクとTV制作を担当するTVデスクとが、より緊密に連絡をとれるようにしました。

以上が、BRCより受けた「勧告」に対して、NHK名古屋放送局が取り組んできた内容です。

以上

2005年度 第26号 放送局対応

第26号 喫茶店廃業報道

【委員会決定を受けての毎日放送の対応】

2005年10月に当該事案について委員会決定を受けた毎日放送は、3か月後の2006年1月16日にBRC宛に、「委員会決定後の当社の取り組みについて」という文書を提出した。
これは、NHKと日本民間放送連

盟が、BPOの発足にあたり基本合意書において「3委員会から指摘された放送倫理上の問題点については、当該放送局が改善策を含めた取組状況を報告し、放送倫理の向上を図る」と申し合わせたことに基づくもので、06年1

月17日の第108回BRCでこの毎日放送からの報告文書について意見を交わした。
委員からは、「このところ当該局の対応の仕方はよくなっている」「毎日放送も、かなり前向きに対応している」との意見が出ていた。

毎日放送の報告文書は以下の通り

2006年1月16日
放送と人権等権利に関する委員会
委員長 飽戸弘 殿
毎日放送

「喫茶店廃業報道」事案
委員会決定後の当社の取り組みについて

毎日放送では、2005年5月9日にニュース番組・VOICEの特集において、「憤懣本舗/嫌がらせの屋台、無神経な役所」を放送しました。この放送についてBRCでは「喫茶店廃業報道」事案として審理され、10月18日に委員会決定を

だされました。決定を受けた後の当社の対応や取り組みについて、ご報告いたします。

(1)委員会決定後の当社の対応について

◆申立て人に対しての謝罪

  • 10月20日、申立人に謝罪文を郵送

◆委員会決定の主旨の放送

  • 10月18日(火)「イブニング・ニュース」 <17:50~18:16放送 TBS発 全国ネット>内で44秒間、決定の主旨を放送
  • 10月18日(火)「VOICE」<18:16~18:55放送 MBSローカル>内で1分13秒間、決定の主旨を放送
  • 11月5日(土)「MBSマンスリーリポート」<05:30~05:45放送 MBSローカル>内で4分28秒間、決定の主旨を放送

◆委員会決定を受けて、当社のコメントを公表

  • 委員会決定の内容を公表する記者会見の席で、出席した記者に当社のコメントを配布

◆視聴者など社外への告知

  • 当社ホームページ「ちゃやまち広報室」に委員会決定の内容や社としての対応を掲載

◆番組審議会への報告

  • 10月25日開催の第503回番組審議会において、広報室長、報道局長から委員会決定について報告

◆社内への告知

  • 10月19日開催の全社局長会<当社の全常勤取締役、全常勤監査役、全ライン局長出席>において、広報室長から委員会決定へ至る経過と決定内容について報告
  • 当社社報12月号<12月1日発行>に決定内容と対応を掲載

◆社長の訓示

  • 1月4日の当社年賀式および当社社報1月号<1月1日発行>において、VOICEにおける報道がBRCに放送倫理違反と判断がなされたことに関し、社長から全社員に向け訓示

(2)再発防止のための取り組みについて

◆決定内容を報道局員に周知徹底

10月20日に緊急の報道局会を開催し、局員に対し委員会決定の内容を説明しました。指摘を受けた点を重く受け止め、報道の正確性を期するために、取材対象者に報道の意図を明示して、その弁明を聞くという報道の基本原則を

再確認すること、ならびに、いわゆる隠し撮りという取材手法が許されるのは、その目的が公共性・公益性を有するとともに、そうした取材が不可欠の場合に限定されるということをあらためて報道局員全員に周知徹底しました。

また、今後の報道活動において民放連の放送基準、報道指針を遵守することなど、放送倫理のいっそうの向上に努めるよう指示しました。

◆デスクによるチェック体制の強化

報道局内の部長、デスクが協議を重ね、10月31日のデスク会で、再発防止のために次の2点を確認し、チェック体制を強化することにしました。

  • 今回の決定をふまえ、特集に限らずニュース番組の制作にあたっては、十分な取材がなされているか、また取材手法が妥当かなどを、毎夜、開催している取材予定会議の場でデスクが協議し、厳しくチェックすること
  • なかでも今回の決定で指摘を受けた、いわゆる“隠し撮り”取材については、事前にその目的や内容の妥当性を複数のデスクが判断すること、また、取材後の編集や放送にあたっても同様に複数のデスクがチェックし、厳格に

    判断すること

◆研修会の開催

12月16日、毎日放送本社に上智大学・田島泰彦教授を講師に招いて報道研修会を開催しました。

研修会には報道局員ら50余名が出席し、放送に求められる倫理とは何か、特に、いわゆる隠し撮り取材(無断録音・無

断撮影)という取材手法が報道倫理上、どのように位置づけられているかについて、英国BBCの倫理ガイドラインやわが国での過去の事例などをもとに講演をしていただき、報道局員らの認識を高めました。
今後も報道倫理に

関わるさまざまなテーマで適宜、報道研修会を開催し、取材、放送に関わるスタッフの人権や放送倫理に対する意識の向上を図っていきます。

2005年度 第27号 放送局対応

第27号 新ビジネス“うなずき屋”報道

【委員会決定を受けてのテレビ東京の対応】

2006年1月17日に委員会決定を受けたテレビ東京は、放送と人権等権利に関する委員会(BRC)宛に、3月20日「改善策と取り組み」などをまとめた文書を提出した。
これは、NHKと日本民間放送連盟が、BPOの発足にあたり基本合意書において「BPOの三委員会から指摘された放送倫理上の問題については、当該放送局が改善策を含めた取組状況を委員会に報告し、放送倫理の向上を図る」と申し合わせたことに基づくもので、4月の委員会でこの報告について意見を交わした。
この中で、テレビ東京が委員会決定で指摘された内容を、関係部局に周知徹底して伝えたこと、報道現場をはじめ、外部プロダクションを含む各セクションで研修会、勉強会を行って放送倫理の確立を改めて認識しあったことなどに対し、委員各位からその取り組みを評価し、この教訓を今後に是非生かして欲しいとの要望が出された。

テレビ東京の報告は以下の通り。

2006年3月20日
放送と人権等権利に関する委員会(BRC)
委員長 飽戸 弘 殿

「新ビジネス“うなずき屋”報道」BRC決定後の改善策の取り組み等について

2006年3月20日
株式会社 テレビ東京
「新ビジネス“うなずき屋”報道」事案について、2006年1月17日に貴委員会から審理結果の通知を受け、テレビ東京は、「決定で指摘された点を真摯に受け止め、今後より一層放送倫理を遵守した報道に努めて参ります。」とのコメントを発表し、ホームページ上にも掲載しました。

その後当社では下記の通り、放送での対応・改善策の取り組み等を実施致しましたのでご報告申し上げます。

I.BRC決定通知後の決定主旨等の放送

  • 1月17日(火)17時~『速ホゥ!』で放送
  • 1月17日(火)22時~『ガイアの夜明け』で放送
  • 1月17日(火)23時~『ワールドビジネスサテライト』で放送
  • 1月22日(日)6時20分~『みんなとてれと』で放送
  • 2月19日(日)6時20分~『みんなとてれと』で、2月開催の放送番組審議会報告において、社内委員会「人権・放送倫理委員会」での模様等を紹介した。

II.決定文配布等社内周知

  • 1月17日(火)決定文社内配布
  • 1月24日(火)役員局長会報告
    社長以下全役員、全局長が出席する会議において、決定内容を報告した。
  • 1月26日(木)考査事例研修会報告
    社内の制作・報道セクションを中心に、「考査事例」を教材にして放送倫理問題を研修する会において決定内容を周知した。
  • 2月9日(木)人権・放送倫理委員会報告
    放送倫理問題を中心に議論し、幅広く社内周知を図るために設置されている委員会。
    制作・報道・スポーツをはじめ管理部門の委員も参加し、決定文を基にした意見交換 を行った。
  • 社内報(2006年2月21日発行の2月号)に決定内容を掲載した。

III.2月13日(月)開催の第305回放送番組審議会で報告

IV.報道局における改善策の取り組み(局員・制作担当者への周知・徹底等)

  • 『ガイアの夜明け』制作スタッフ(テレビ東京社員)に周知・徹底
    1月19日に制作スタッフを招集し、報道局長より委員会決定の内容を説明するとともに、今後の取材および制作活動において、放送倫理の一層の向上に努めるように指示した。
  • 報道局員に周知・徹底
    2月10日に報道局員を招集し、委員会決定の内容を説明するとともに「テレビ東京報道倫理ガイドライン」の遵守を徹底した。また今後の取材および制作活動において、放送倫理の一層の向上に努めるように指示した。約70名の報道局員が出席し、「取材対象との関わり方」等について議論を深めた。
  • 『ガイアの夜明け』外部制作プロダクションに周知・徹底
    2月14日に、番組制作に携わる外部プロダクション20社33名のプロデューサー、ディレクターを招集し、委員会決定の内容を説明するとともに、今後の取材および制作活動において、放送倫理の一層の向上に努めるように指示した。また制作過程において、局のプロデューサーとプロダクションのプロデューサー・ディレクターとのコミュニケーションを緊密にし、再発防止に努めることを確認した。「番組構成上の問題」や「取材対象者の人権への配慮」などが 議論された。
  • 勉強会の開催
    BRCの右崎正博委員(独協大学法科大学院教授)を招き、委員会決定の内容と「放送と人権」についての報道勉強会を3月8日に開催した。当日は、報道局員にとどまらず編成・制作・制作会社など約70名が参加、質疑応答・意見交換が活発に行われた。

以上

2005年度 第28号 放送局対応

第28号 バラエティー番組における人格権侵害の訴え

【委員会決定を受けての関西テレビの対応】

2006年3月28日に委員会決定を受けた関西テレビは、BRC宛に06年6月13日に「決定後の対応と取り組み状況」をまとめた文書を提出した。

これは、NHKと日本民間放送連盟が、BPOの発足にあたり

基本合意書において「3委員会から指摘された放送倫理上の問題点については、当該放送局が改善策を含めた取り組み状況を報告し、放送倫理の向上を図る」と申し合わせたことに基づくもので、06年6月20日の第113回委

員会では、この関西テレビからの報告文書について意見を交わした。

各委員からは、BRCの委員会決定を受けた放送局に対する最近の総務省の動きを懸念する意見が相次いだ。

関西テレビの報告は以下の通り

2006年6月13日
放送と人権等権利に関する委員会
委員長  竹田 稔 様
関西テレビ放送株式会社

委員会決定後の対応と取組みについて

平成18年3月28日のBRC(放送と人権等権利に関する委員会)の勧告を受け、当社は下記の通りの対応と再発防止の取組みを行いましたので、ご報告します。

(A)勧告後の当社の対応について

1.申立人への謝罪

  • 4月4日、申立人に制作局長と番組プロデューサー連名の謝罪文を郵送

2.視聴者等への告知

  • 3月28日、委員会決定直後に当社ホームページにて、これまでの経緯と委員会決定の内容、今後は一層送倫理遵守に努める方針を掲載
  • 3月28日、委員会決定後から視聴者情報部が窓口となり、視聴者からの電話やメールに対応(3月28日~4月6日:この件に関する電話7件、メール28件で内訳は苦情69%、激励その他31%)
  • 3月28日、委員会決定後に夕方の全国ニュース(40秒)、ローカルニュース(1分20秒)で決定内容を放送
  • 4月1日の当該番組「たかじん胸いっぱい」の中で番組の最後にテロップ画面でアナウンスコメントのお詫びを30秒間放送
  • 4月30日、月1回放送の検証番組「月刊カンテレ批評」の冒頭で5分間の特集を放送。その中で制作局長が出演し、経緯及び今後の方針を説明

3.他のマスコミ各社への対応

  • 3月28日、委員会決定直後のBRC委員長らの記者会見の席で、出席したマスコミ各社に当社のコメントを配布
  • 3月28日、委員会決定後から総務部が窓口となり、マスコミ各社の問合せに対応

4.社内への告知

  • 3月28日、委員会決定直後に緊急管理部長会を開き、総務局長から委員会決定について報告。全社員への周知徹底を図る
  • 4月4日、5日に全社の部長会、局長会でも今回の経緯並びに決定内容が報告される

5.総務省近畿総合通信局への報告

  • 3月28日、当社技術業務部長から委員会決定について報告。4月12日、技術業務部長と総務部長がこれまでの経緯を事情説明

6.番組審議会への報告

  • 4月13日開催の第475回番組審議会において、制作局長、考査部長から委員会決定について報告

(B)再発防止に対する取組み

1.緊急制作局会、プロデューサー会議の開催

  • 3月28日に緊急制作局会、プロデューサー会議を開き委員会決定の内容を説明し、今後は企画・編集段階から見直しを図り、再発防止に努めるよう指示
  • 4月7日、制作局長が当該番組の制作プロダクション幹部に委員会決定の内容とともに再発防止への協力を要請

2.企画・編集のチェック体制の強化

  • 3月29日より、制作部長と副部長が分担して企画書や収録番組の編集テープを取寄せ、番組のチェックをすることを決定

3.各種研修会の開催

  • 4月12日、新入社員の研修会にて考査部長がこれまでの経緯とBRC決定のポイントを解説
  • 5月18日、若手カメラマンと外部プロダクションの編集スタッフを対象に研修会を開催。今回の問題点を取り上げて、人権に配慮した番組作りを心掛けることを確認
  • 6月2日、関西テレビの本社で上智大学の田島泰彦教授を講師に招いて、「放送と人権」をテーマに研修会を開催。外部プロダクションのスタッフや社員80人が参加。田島教授はBRCの設立時の背景や放送倫理と人権について

    講演。講演後、バラエティ番組と人権に関するテーマで活発な議論が交わされた

4.制作マニュアルの作成

  • 番組制作に携わる者が放送倫理を守り、他人の名誉やプライバシーに配慮した番組作りに努める心得を書いた小冊子を作成

以上

2005年度 第28号

バラエティー番組における人格権侵害の訴え

委員会決定 第28号 – 2006年3月28日 放送局:関西テレビ

勧告:人権侵害
東京の男性が、2005年6月と7月に関西テレビで放送されたバラエティー番組『たかじん胸いっぱい』における元妻の発言によって、名誉・プライバシーを侵害されたと申し立てた事案。

2006年3月28日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第28号

申立人
A
被申立人
関西テレビ
苦情の対象となった番組
関西テレビ トークバラエティー番組「たかじん胸いっぱい」
放送日時
(1) 2005年6月25日 午後0時~午後1時
サブタイトル「知られざる結婚生活5か月に迫る!!」
「検証 B 離婚寸前報道の真実とウソ!!」
(2) 2005年7月9日 午後0時~午後1時
サブタイトル「芸能界サミット」

申立てに至る経緯

本件番組は、タレントのやしきたかじんが司会し、落語家など数名のゲストが出演している昼の時間帯のトークバラエティー番組である。
(1)の6月放送の番組には、申立人の当時の妻のタレントB氏がゲスト出演し、結婚生活等について赤裸々に語った。
(2)の7月放送の番組には、B氏は出演しなかったが、出演者たちが先の番組におけるB氏の発言にもとづいて、トークを繰り広げた。
申立人は、2005年1月にB氏と結婚し同年8月に離婚したが、上記番組によって申立人の名誉及びプライバシーが著しく侵害されたとして、同年9月21日関西テレビに文書で抗議し、取り消しと謝罪放送を求めた。
これに対し、関西テレビは同年10月14日申立人側の要求には一切応じない旨を回答した。
当事者同士の交渉が不調に終わったことを受けて、申立人は同年11月30日付けで「権利侵害申立書」をBRCに提出した。

目次

  • I. 申立てに至る経緯
  • II. 申立人の申立ての要旨
  • III. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

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2006年6月13日 【委員会決定を受けての関西テレビの対応】

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2005年度 第27号

新ビジネス“うなずき屋”報道

委員会決定 第27号 – 2006年1月7日 放送局:テレビ東京

見解:放送倫理違反
テレビ東京が2005年6月に放送した『ガイアの夜明け~消える高齢者の財産~』というドキュメンタリー番組において、”孤独老人相手の新商売”として紹介された男性が、悪徳業者と受け取られる放送内容だったなどとして、名誉・信用の毀損を申し立てた事案。

2006年1月7日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第27号

申立人
東京都在住の保育園経営者
被申立人
テレビ東京
苦情の対象となった番組
テレビ東京 ドキュメンタリー番組『ガイアの夜明け~消える高齢者の財産~』
放送日時
2005年6月14日  午後10時00分~10時54分 (テレビ東京系列各局で放送)

申立てに至る経緯

本件番組は、最近多発し大きな社会問題になっている「悪徳リフォーム」や「振り込め詐欺」など、高齢者の財産を狙う犯罪の手口を取材し、警鐘を鳴らすとともに、その対策を紹介することを目的に制作したものであり、その中で、核家族化が進み孤独な高齢者が増加している状況を背景にして出現した新商売が紹介された。
申立人は、〈消える高齢者の財産〉というタイトルのこのドキュメンタリー番組の中で“孤独老人相手の新商売”を行っている者として紹介されたが、ただうなずくだけで「2時間1万円」をとる、「高齢者の寂しさにつけ込みお金をむしり取る悪徳業者」と視聴者に受けとられる放送内容だったとして、当該局に対し名誉・信用の侵害を主張し、謝罪、訂正放送などを求めた。双方で話し合いが行なわれたが決着がつかず、放送人権委員会に苦情を申立てた。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

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2006年3月20日 【委員会決定を受けてのテレビ東京の対応】

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2005年度 第26号

新喫茶店廃業報道

委員会決定 第26号 – 2005年10月18日 放送局:毎日放送

見解:放送倫理違反
たこ焼き屋の店主の申立て。喫茶店の入り口付近で営業していたが、2005年5月の毎日放送のニュース番組『VOICE』の特集について、「隠しマイクの録音、隠しカメラの映像を巧みにつなぎ合わせ、いかにも私が嫌がらせを続けて喫茶店を廃業に追いやったかのように放送された」として、人権侵害などを訴えた。

2005年10月18日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第26号

申立人
兵庫県在住 元たこ焼き屋台店主
被申立人
毎日放送
苦情の対象となった番組
毎日放送 ニュース番組「VOICE」
特集「憤懣本舗:嫌がらせの『屋台』・無神経な『役所』」
放送日時
2005年5月9日午後6時16分~6時55分内

申立てに至る経緯

放送内容
「兵庫県宝塚市内のある駅前の喫茶店の入口付近において、女店主がたこ焼き屋台器具を搭載した車を夜間日常的に違法駐車して営業していたことに端を発し、付近 住民が再三にわたって警察に通報し、市役所にも相談したところ、警察が同たこ焼き屋台の移動をさせたり、市当局がバリケードを設置して駐車できないようにした。市当局から通報者を聞き出した女店主がこれに憤慨して喫茶店に乗り込んで大声で脅迫めいた抗議をし、また度重なる嫌がらせをした結果、喫茶店の常連客は怖がって寄りつかなくなり、売り上げがガタ落ち、喫茶店営業者は閉店に追い込まれたのに、市は責任をとることなく、当のたこ焼き店は今も営業している」という趣旨のナレーションのもとに、毎日放送は、喫茶店営業者がサラリーマン時代に貯めた資金で苦労して喫茶店を開業した状況、たこ焼き屋台車を違法駐車して営業している状況を隠し撮りして放送した。
さらに、客を装って同店主が喫茶店の悪口をしゃべるのを密かに録音し、また、喫茶店に乗り込んで客の前で大声で抗議している状況を密かに録音したテープを入手して、これらのテープの音声を流し、喫茶店は閉店に追い込まれたのに当のたこ焼き店主は依然営業を続けると言っている状況を隠し撮りにより放送した。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立ての趣旨及び理由の要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

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2006年1月16日 【委員会決定を受けての毎日放送の対応】

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2005年度 第25号

産婦人科医院・行政指導報道

委員会決定 第25号 – 2005年7月28日 放送局:NHK名古屋局

勧告:重大な放送倫理違反
産婦人科医院の院長が2005年1月にNHK名古屋放送局が放送したニュースにおいて、「行政指導を受けたことを実名で報道され、しかも指導を受けた時期を明示せず現在も違法行為を行っているかのように伝えられたことにより、名誉と信用を毀損され人権を侵害された」と申し立てた事案。

2005年7月28日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第25号

申立人
愛知県在住の産婦人科医院院長
被申立人
NHK名古屋放送局
苦情の対象となった番組
NHK名古屋放送局制作のニュース番組
放送日時
2007年(平成17年)1月25日
総合テレビ 午後5時10分~6時59分『ほっとイブニング』(愛知・岐阜・三重の3県向け地域情報番組)
ラジオ第1 午後6時50分~7時00分(愛知・岐阜・三重の3県)、午後11時10分~11時20分(中部ブロック)

申立てに至る経緯

放送内容
愛知県○○市の産婦人科医院が、助産師の資格を持たない看護師や准看護師に妊婦への内診などの助産行為をさせていたとして、愛知県と保健所が改善を指導していたことがわかったというニュース。

この放送に対して、申立人は「平成17年1月25日、NHK名古屋放送局(以下「NHK」又は「被申立人」という)の記者から『助産師不足で、産婦人科医療現場は大変困っているとのことなので、実情を調べ、少しでも現状を改善するのに役立つ番組を企画したい』との取材依頼があり、それに応じたが、取材の趣旨と違って、助産師の資格がない看護師、准看護師に内診等の助産行為をさせていたとして、行政指導を受けたことを実名で報道され、しかも指導を受けた時期(平成15年10月)を明示せず、現在も違法行為を行っているかのように報道されたことにより、名誉と信用を毀損され、人権を侵害された」としてNHKに抗議し、訂正放送と謝罪を求めた。
これに対し、NHKは、「無資格者による助産行為は重大な社会的問題と認識し、愛知県内でも行政指導の事例があった事を啓発することが重要だと判断して報道したのであり、特定の医療機関を貶める意図をもって報道したものではない。記者は最初から『行政指導の事実について確認したい』と告げて取材した。また翌1月26日に申立人から抗議を受けた『行政指導を受けた時期の明示』と『コメント内容の間違い』については、1月26日に修正放送を行い、その後の話し合いでも新たな要求は無く、放送上の対応については理解を得られたと認識している」としている。
放送後、3回の話し合いが行われたが、双方の主張に隔たりがあり、申立人からBRCに審理要請がなされ、2月の委員会で審理入りを決定した。審理入り決定後、申立人から手直しした「申立書(改訂版)」及び「権利侵害補充書」が提出された。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

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2005年10月18日 【委員会決定を受けてのNHK名古屋放送局の対応】

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