第99回 放送と青少年に関する委員会

第99回 – 2009年3月

視聴者意見について

調査研究について

3月24日に開催した今年度第11回青少年委員会(通算99回)では、2月16日~3月13日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に、ドラマ1本、アニメ1本のVTRを視聴のうえ審議したほか、調査研究について報告があった。

議事の詳細

日時
2009年3月24日(火) 午後4時30分~6時15分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
大日向委員長、橋元副委員長、小田桐委員、軍司委員、是永委員、境委員、山田委員

視聴者意見について

1.フジテレビ『4夜連続ドラマ「血液型別オンナが結婚する方法♪」』

血液型別に女性の結婚をテーマにした深夜ドラマについて、「血液型による偏見や差別を助長し、人々に間違った知識を与えているのと同じである」といった視聴者意見が寄せられ審議した結果、「タイトルのネーミングや血液型によって運命的な結婚をする企画内容には問題がある」との意見も出されたが、委員会としては「ドラマとしては問題がない」という意見が大勢を占めた。

<委員の主な意見>

  • ドラマのことであり、情報番組と違い血液型を科学的に取り上げた内容ではないので問題ないと感じた。
  • ドラマとしては問題ないが、血液型の性格をテロップで表示したり、血液型で運命的な結婚に結びつける演出には違和感がある。
  • タイトルのネーミングや血液型で結婚のパターンが異なるといった企画はインパクトがあるだけに問題だと思う。

2.テレビ東京『あにてれ「銀魂」』

夕方に放送されているアニメ番組について、「大人のアニメ顔負けの過激描写が多いのに驚いた。深夜ならばともかく、夕方の時間帯には放送すべきではないと思います」といった意見が視聴者から寄せられ審議した結果、委員会として「性的描写については露骨ではあるが今回特に問題にすべきとまでは考えられない。ただ、放送時間帯には配慮が必要と思われる」という意見で一致した。

<委員の主な意見>

  • 夕方の時間帯に放送するには露骨過ぎるし、子どもが見て理解できるのか疑問だ。
  • 放送時間帯の配慮が必要だ。制作者は同時間に多くの子ども達が見ることを考え作るべきだ。
  • アニメなのでストーリーの流れで性的描写があってもいいが、作り手は子どもが見る夕方の時間帯に放送することを考えてほしい。
  • 性的表現が露骨だからというより、親子で見られないものはゴールデンタイムでの放送は避けてほしい。
  • 夕方の時間帯は母親が忙しいため、子どもたちだけでテレビを見ているので、もう少し配慮が必要ではないか。
  • 時間帯は問題あるが、性的、暴力的なものを全て排除するという風潮には疑問がある。

調査研究について

橋元副委員長から調査研究「デジタルネイティブはテレビをどう見ているか」(仮)の進捗状況について、「3月14、15日に、10代、20代の映像メディア別(DVR、VOD、ワンセグ)ユーザーの6グループ29人にインタビュー調査を実施し、各グループとも先進的な使い方をするユーザーの話など、かなり貴重な意見が聞けた。今後は、昨年11月に実施した番組視聴実態調査結果と今回のインタビュー調査結果を合わせたかたちで報告書にまとめていく」と報告があった。

■ 中学生モニター報告

・ニュース番組

岐阜県庁の裏金作りの偽証報道が明るみに出た『真相報道バンキシャ!』に、全体で最も多い3件の意見が寄せられた。毎週『バンキシャ』を見ていて「よく調べられていて、分かりやすくていい」と考えているというモニターは、「私はこの番組について、広くは日本テレビについて疑問や不信を感じてしまった。いくら普段の内容がよくて、良質な番組を作っていたとしても、こういうことが一度あると視聴者に不信感やマイナスイメージを持たせてしまう」という意見だった。他に、「昔あった『あるある大事典』の問題と(やってしまった内容は大きく違うけれど)変わらないと思います。だから、このニュースを見たとき、放送に関しての信頼度がまた下がってしまったなという印象を受けました。あとこのようなある局の問題があったとき、すぐに他局がしつこく騒ぎたてたりすることは非常に見苦しいし、放送全体への信頼もなくさせていると思います」という意見も寄せられた。

・バラエティー番組

10番組に1件ずつ意見があったが、『ダウンタウンDX』『秘密のケンミンショー』『しゃべくり007』『R1!グランプリ』『熱血!平成教育学院』『笑っていいとも!』『はねるのトびら』は好評だった。  批判があったのは3番組で、『やりすぎコージー』には「今は深夜の時と比べ、若手の芸人さんの出演が少なく、おもしろい要素を話したりすることが無くなってきているように感じる」、『太田光の私が総理大臣に…』には「本物の国会よりもマニフェストが具体的で、出演者も本音で話し合いをしていてすごくおもしろいなと思います。ただ最近は、太田光さんをはじめとする出演者が、必要以上に熱くなっていることが気になります」、『がんばった大賞』には「毎回出演メンバーが同じ感じだし、大賞は、必ず視聴率をたくさんとった人気ドラマ…というよりテレビ局が押したい番組が獲得しているように感じます」、などの意見だった。

・ドラマ番組

2件意見があったのは『銭ゲバ』で、「現在の格差社会をとてもリアルに表現した作品だ」、「最後に風太郎が自殺する直前に、”この世に生きているやつはみんな銭ゲバ、気づいてないふりをしているだけ”という言葉を残します。いい意味ですごく心に残るドラマでした」などと、いずれも好評だった。その他『大王四神記(再)』『RESCUE』『メイちゃんの執事』『歌のおにいさん』『必殺仕事人』には1件ずつ好評意見があった。
また『天地人』には「歴史にあまり興味がない私が、どんどん引き込まれていって、最近は内容にとても興味がもてる様になりましたが、主人公とはいえ、あまり地位も高くない一家臣が、様々な秘密を知りすぎていると思う」、『キイナ』には、「実話の事件をもとにつくられているというところに、興味を持ちましたが、悪く言えば、現実味がないと思います。いつも同じパターンだなぁとも感じます」、という批判意見があった。

・情報系番組

中学生モニター15人が参加した『日曜フォーラム「ニュース報道番組大討論」』について、出演者でもある立場から2件報告が寄せられた。「フォーラムの中身については、良い意味でも悪い意味でも、とても上手く編集されていたと感じた。1人の人が長い間しゃべり続けると、まとめるのは仕方のないことなのかもしれないが、一方そのことを視聴者に分からないような形でまとめてしまうのは良くないことではないかと思った」、「”伝える側”がこういう意図で伝えていても、それがストレートに”見る側”に伝わるとは限らない。だからこそ、互いの信頼が大切なんだと思う」という感想だった。
他に情報系番組で意見があったのは『プロフェッショナル~仕事の流儀』『平成シゴト図鑑』『ぶらり途中下車の旅』で、いずれも好評だった。

・音楽番組

『N響アワー』は好評で「この番組の魅力は、演奏者がアップで映る所です。演奏者の細かい表情や、楽器を吹くときの姿勢、手の動きが分かりました。それは、演奏会などを聞きにいってもあまり見えなくて分からない所なのです」という意見だが、「トランペットなどの管楽器は、あまりうつっていませんでした。これだと、吹奏楽をやっている中学生・高校生にとっては、物足りない感じがします」という注文もあった。『うたばん』は批判意見で、「この番組は音楽番組ではなくなってきていると思います。内容のほとんどはトークがしめていて、一応、歌うのですがそれ以外は歌番組らしさが全くありません。ほぼ、バラエティー番組になっていると思います」というものだった。

・その他の番組

『世界がもし100人の村だったら 6』には、「偶然見始めたこの番組も、あっという間に第6弾が放送された。このような番組が続くということは、世界に問題や苦しみを抱えている子ども、大人がいるということになる。番組を通して、自分の今いる環境の豊かさ、尊さを知り、世界の現実を見つめていくことが、視聴者である私達に求められている課題なのだと思う」という意見が寄せられた。 『リトル・チャロ』には、「アニメ仕立ての英語番組なのですが、ラジオ・テレビ・インターネットなどのさまざまなメディアを使って英語力を向上させようとしているので、英語力がつくと思います」という意見もあった。

4月は2009年度前期の新モニターに、締め切りまでのひと月ほどの間に見た番組の感想・意見・批判などを自由に書いてもらう。

以上

第98回 放送と青少年に関する委員会

第98回 – 2009年2月

バラエティーについて意見交換

視聴者意見について

2月24日に開催した今年度第10回青少年委員会(通算98回)では、TBS、フジテレビの番組制作者とバラエティー番組について意見交換を行ったほか、1月15日~2月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に、バラエティー1本、報道番組1本、ドラマ1本、米国ドラマ1本のVTRを視聴のうえ審議した。

議事の詳細

日時
2009年2月24日(火)午後4時15分~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
大日向委員長、橋元副委員長、小田桐委員、軍司委員、是永委員、境委員、山田委員

バラエティー番組について意見交換

前回に引き続き、バラエティー番組をめぐり制作担当者と意見交換を行った。

1.TBS

バラエティー番組の制作責任者と考査担当者を交え、”制作者は視聴者をどう想定して番組を作っているのか””制作者と演者(お笑いタレント)との関わり方”など制作に携わる側の考え方を聞いた。局側からは「番組によってはいろいろなターゲットがあり、バラエティーの中には、主に若者に喜んでもらえることを目指しているものもある。テレビの視聴者は多様なので批判を受けることもあるが、潜在的に多く人たちが喜んでいると信じて作っている」「お笑い系バラエティーは、演者と演出側の共同作業で作られている。バラエティーでは演者の瞬発力が重要なので、演出側がネタ作りに時間をかけても、演者が持っている面白さにかなわない場面もある」などの発言があった。
視聴者センターの対応についての質問に関しては、「視聴者センターはお客様である視聴者と真っ先に接するところなので、さらに迅速に対応できるように、システムを改善しているところである」と説明があった。

2.フジテレビ

委員から”危険が伴うコント”や”バラエティー番組におけるスタンスの取り方”などについて質問が出され、制作者からは番組名やお笑いタレントを例に挙げながら「危険と思われるコントについては何度もリハーサルを行い、やる側、やられる側も演技と承知してやっている」「タレントによって色が違うので、その個性を生かしながら作っている」といった発言があった。
また、「青少年委員会の存在をどう思うか」といった委員からの質問に対し「今のバラエティーをすべての人が肯定してしまう世の中ではおかしいし、批判があって当然だと思う。制作者は錯覚で面白いと思って作っている場合もあるので、ときには青少年委員会の存在でシフトダウンする必要もある」と意見が述べられた。

視聴者意見について

1.日本テレビ 『ゴゴドラ HEROESシーズン1』

夕方に再放送された米国テレビドラマについて、「残虐なシーンがあるのに、子どもが目にする時間帯に放送するのはどうかと思う」といった視聴者意見が寄せられ審議した結果、次のような意見が出された。

<委員の主な意見>

  • 視聴者意見は、放送する時間帯を問題にしている。米国のドラマには青少年向けにレーティング(番組格付け)が付けられているので、考査担当者はそれを参考にしながら編成的なことも考えてほしい。
  • 編成的な問題だと思う。時間帯に合わせた番組選びがおろそかになっているのではないか。子どもにはストーリー展開が分かりづらいドラマなので、なおショッキングだったのではないか。
  • ドラマの種類によっては暴力シーンがよく出てくるものがあるので、特に未成年が見る時間帯に放送するものは慎重に考えて選んでほしい。

2.フジテレビ 『めちゃ2イケてるッ!』

バラエティー番組で、頭からビニール袋を被せたり、手錠をかけたまま熱湯に突き落としたりしたコーナーについて「危険だ。子どもへの影響を考えてほしい」といった批判意見が視聴者から多数寄せられ審議した結果、次の意見が出された。

<委員の主な意見>

  • やっているタレントたちはリハーサルを重ね、演技をしていても、見ている子どもたちは演技とは思わずリアルに感じてしまうので、危険だと言わざるを得ない。
  • 英国ではスーパーマーケットの袋に穴をあけるほど(窒息の)危険性を考えている。日本では日常的に事故があるわけではないからといって、このような行為をテレビでやることは危険だ。
  • 制作者たちが長時間かけ、真剣に議論した結果なのかと疑問を感じる。
  • “子どもに影響がある””子どもが真似をしたら危険だ”といった点についてもっと議論する必要がある。

3.フジテレビ 『スーパーニュース』

高校教師が男子生徒に性的行為を強要したというニュースで、生徒が録音した会話を放送したことについて、「子どもが見ている時間帯に、未成年に聞かせる内容ではない」「このニュースを報道するのに、この音声が必要だったのか」といった視聴者意見が寄せられ審議した結果、次のような意見が出された。

<委員の主な意見>

  • 女性が性的被害にあった時のニュースは、あまりリアルな表現はしない。今回のニュースも性的行為を強要する会話を放送しないで、教師からの性的暴行といったニュースにとどめてもよかったのではないか。
  • 最近のニュースの作り方は、多角的な作り方をして視聴者に判断してもらうのではなく、放送局が加害者を断罪しているような報道がみられる。また、刺激的な部分や独占入手を強調したものを放送する傾向が見受けられるのが残念だ。
  • メディア環境が発達して、個人からの情報をそのままニュースの素材として使用することが多くなっているが、取材方法として疑問を感じる。
  • ニュースの取り上げ方が演出過剰になっていて問題だと感じた。
  • 近年、教師による学校内セクハラが多くなっているが、セクハラの実態がなかなか立証できない。今回、録音されたものがあることで保護者たちへの注意喚起にもなるので、啓蒙的な点では放送した意味がある。
  • 夕方のニュースなので、ニュースバリューはあると思うが表現の工夫が必要だ。

4.東海テレビ 『非婚同盟』

昼の時間帯に放送の連続ドラマについて視聴者から、「放送の中に”奴隷ごっこ”や”レイプシーン”が出てくるが、子役の子どもたちにこんな演技をさせるのは酷い」という視聴者意見が寄せられ審議した結果、次のような意見が述べられた。

<委員の主な意見>

  • ドラマだからフィクションがあってもいいが、もっとカメラワークや演出で表現できたのではないか。
  • 出演している女の子たちは中学生の設定だが、未成年にレイプシーンを演じさせることに対しては、制作者側にモラルを求めたい。
  • ドラマの流れとして受け止めるが、不快なシーンだ。今後は演出方法に気をつけてほしい。

今回の委員会で審議した4番組については、「回答のお願い」を出すに至らなかったが、いずれの番組も議論された問題点を議事録にとどめることになった。

■ 中学生モニター報告

2月は、このひと月ほどの間に見た番組について自由に書いてもらったが、30人のモニターから41件(1人で複数件の報告あり)の意見が寄せられた。
分野別に分けると、バラエティー番組が17件、ドラマが12件、情報系番組とニュースが3件ずつ、スポーツ番組が2件、音楽番組とラジオ番組が1件ずつ、その他全般的意見が2件だった。
局別では、フジテレビ系が11件、TBS系が10件、日本テレビ系が7件、テレビ朝日系が6件、NHKが3件、テレビ東京系とTBSラジオが1件ずつだった。

・バラエティー番組

バラエティーでは、16番組に意見があったが、すべて1件ずつだった。
好評意見を列挙すると、  『太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中』 に「本物の国会よりも分かりやすいし、興味が持てる」、  『世界の果てまでイッテQ!』 に「世界中の映像が見られるし、身近な謎や不思議を解決してくれる面白い番組」、  『リンカーン』 に「みんなバカバカしいことや、真剣なことをやっていて、とても良いです」、  『爆笑レッドカーペット』 に「毎回新鮮さがあります。司会者も企画もおもしろく、よく見る番組です」、  『いきなり黄金伝説』 に「おもしろい企画がいっぱいで見ていて飽きません」、 『世界を変える100人の日本人』 に「鳥インフルエンザから日本を守る研究をされている方の話がとても印象に残りました。日本人のコツコツと真面目に研究をする性格が世界で認められているのだと思いました」などで、6番組に寄せられた。
賛否両論があったのは3番組で、 『世界一受けたい授業』 には「最近ちょっとマンネリ化気味です。ただ、でんじろう先生の理科の実験はおもしろいです」という意見。 『深イイ話』 には「長所は深イイなほんとにいいなと思う話から、これはちょっと違うなと言う話まで、ふんだんに取り入れてるところです。短所は同じ”紳助番組”といった感じで、話の展開ややり方も同じで、全くオリジナリティーを感じないところだと思います」という意見。 『あのシーンをもう一度』 には「テレビ朝日の50周年のさまざまな番組が2時間半にまとめられていてよかったです。しかし、その時間では無理があったようで、番組の一部のカットを数秒で切り替えていくという、少し薄い内容となってしまいました。ただこの番組でやっていたような、昔の筋が通った笑いを放送してほしいと思いました」という意見が寄せられた。
批判意見としては、 『エンタの神様』 に「マンネリ化している気がします。時々出る人気芸人見たさに、この番組を見ますが、1時間が長いです」、 『とんねるずのみなさんのおかげでした』 に「とんねるずは体を張らずに若手の芸人に、ヒドいことをしています」、 『ほんとにあった怖い話』 に「毎週やっていた時の方が内容的に面白かったと思います。番組の中でやる”恐怖郵便”という視聴者からの体験ドラマも、いつも新しいものが出てきて面白かった」、などがあった。
また今年3月末で 『どうぶつ奇想天外!』 が終了することについて、「私はこの番組が大好きで欠かさず見ているのにガッカリです。どうぶつを差別せず、色々とりあげてくれるこの番組がなくなったら、私の生物の成績も下がりそう」という感想が寄せられた。

・ドラマ番組

ラマ番組では 『RESCUE』 と 『メイちゃんの執事』 に3件ずつ、 『ヴォイス』 に2件、 『銭ゲバ』 『キイナ』 『トライアングル』 『警官の血』 の4番組に1件ずつ意見があった。
『RESCUE』 は好評2件不評1件で、好評は「深く”働く”ということを考えさせられる番組だと思います。どんな仕事であっても、その仕事にほこりをもてる、やりがいを見つけられる、そして自分のベストを尽くせる、そんな姿が伝わってきます」、「私は自分が信じられる道を進めば、必ず希望、夢、将来が見えてくることを信じたい。このドラマは、そういう気持ちを、考えを教えてくれる」などの意見で、不評は「中心人物がジャニーズでそれも二人もいるのが考えられない。演技がうまければいいけど、見ていてイライラしてくるから一話目で見るのをやめました」という意見だった。
『メイちゃんの執事』 は、原作の漫画ファンからの意見で「見てはいるのですが、少しがっかりしています。というのも、物語の各部分の設定がかなり原作とは違うからです」、「あまり見ようとは思わなかった。一番の原因はドラマは人間が演じるという点である。どんなに髪を切って短くしたって、メイクをしたって、そのキャラクターになることは不可能だ」などと不評だった。
『ヴォイス』 は2件とも好評で「この番組は法医学で死亡した人を調べて、この人がどんな気持ちでどうして死亡したのかを断定するという新しい感じで、いつも最後に感動があって、この期のドラマでは一番面白いと思う」などという意見だった。
他に 『警官の血』 について、「まさかこんなにもドロドロしたものだとは思っていなかったので、驚きました。ですが、主人公がただの良い人ではない、というのは良いと思いました。きれいごとだけでは済まされない現実的な刑事の世界が描かれていたからです」という、意見があった。

・その他の番組

2件意見があったのは 『みのもんたの朝ズバッ!』 で、「司会者は、進行役という立場なのだから、自分の主観を含めないで発言していただきたい」、「結婚詐欺事件の紹介で、なぜか私には番組に出演している人たちの笑顔が目についた。なんだかあまりこの事件を真面目に受け取っていないように見えた」などと、いずれも批判意見だった。
他に、 『ワールドカップサッカー予選』に「解説者とアナウンサーの声が不必要にうるさい気がします。同じ事を何度も何度もくりかえして言ったり、よく訳の分からない事を言ったりして、少し邪魔に感じました。また同じ時間帯に放送していたのでNHKの方も見てみましたが、私的にはNHKの方が叫んだりせずに落ち着いて解説していたように思えました」という意見もあった。

3月のモニター報告は、締め切りまでのひと月ほどの間に見た番組の感想・意見・批判などを自由に書いてもらう。

以上

第97回 放送と青少年に関する委員会

第97回 – 2009年1月

バラエティーについて意見交換

視聴者意見について …など

1月27日に開催した今年度第9回青少年委員会(通算97回)では、日本テレビの番組制作者とバラエティー番組について意見交換を行ったほか、12月4日~1月14日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に、バラエティー3本、情報番組1本のVTRを視聴のうえ審議した。また、調査研究について報告があった。

議事の詳細

日時
2009年1月27日(火)午後4時15分~6時45分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
大日向委員長、橋元副委員長、小田桐委員、軍司委員、是永委員、境委員、山田委員

バラエティー番組について意見交換

委員会では、昨年9月からバラエティー番組について視聴者意見を基に審議し、個別番組については「回答のお願い」を出すなど議論を重ねてきたが、バラエティー番組への理解を深めるため、直接番組制作者と意見を交換する機会を持つことを決め、今委員会では日本テレビのバラエティー番組担当のチーフプロデューサーとコンプライアンス担当者が出席し、バラエティー番組をめぐり意見交換を行った。  委員からは、”笑いの質の低下”や”罰ゲーム”についてのほか、視聴者意見の社内対応について質問が出され、局側からは「クオリティーの高いバラエティーづくりを心がけている」「出演者のじゃれあいを楽しんでもらっている番組で、視聴者の支持は得ていると思っているが、”罰ゲーム”などにはより一層慎重になることを現場には徹底させている」などの発言があった。また、視聴者意見の対応については、「苦情意見などは幹部も含め社内で共有し、意見交換している。問題があったものについては、事例を作成し配付している」と説明があった。
最後に委員長から「テレビは文化を牽引していく役目もあるので、制作者はプライドと自負を込めて番組をつくってほしい」と意見が述べられた。
なお、委員会ではバラエティー番組について、さらに議論を深めるため次回委員会にTBS、フジテレビの番組制作者を招き、意見交換の場を設けることを決めた。

視聴者意見について

1.日本テレビ『AKBINGO!』

アイドルグループが出演する深夜のバラエティー番組について、「深夜時間なので少しは性的な映像もあるとは思うが、小学生にコスプレをさせ、大人がそれを見て、興奮するとご褒美に食事券を与えるというのは不快だった」といった意見が視聴者から寄せられ、VTRを視聴のうえ審議した。委員からは次のような意見が出された。

<委員の主な意見>

  • コスプレの衣装はそれほど問題とは思えなかったが、深夜の番組に11歳の少女を出すことが望ましいのか疑問だ。以前、委員会が出した「要望」を見直してほしい。
  • 11歳の子どもにやらせる演出ではなく、見ていて不快に感じた。テレビ文化の質が下がってしまうことが残念だ。
  • ほかのメンバーの年齢は出さず、あえて”11歳”とテロップを出すところが問題だ。幼い少女に興味を示す人を刺激するのではないか。
  • 11歳の少女を出演させることについて、スタッフも含め社内で検討すべきではなかったか。

以上の審議の結果、幼い少女を番組に出すことについては、2006年10月に公表した「少女を性的対象視する番組に関する要望」を改めて制作者は再確認してほしい旨を議事録にとどめることになった。

2.フジテレビ『とくダネ!』

フィギュアスケート・グランプリファイナルで優勝した浅田真央選手を取り上げた情報番組について、視聴者から「番組の取り上げ方が、18歳の未成年選手を貶めている」「浅田選手に憧れている青少年を傷つけた」といった抗議の意見が多数寄せられ、VTRを視聴のうえ審議した結果、委員から「採点を分析しながら結局は浅田選手を応援していると感じた。ただ、採点についての解説の間違いは問題で、熱烈なファンにとって気になったのだろう」「浅田選手を貶めているといった意見は、視聴者の過剰反応ではないか」などの意見が述べられ、委員会として「特に問題があるとは思えない」という意見で一致した。

3.千葉・東金女児死体遺棄事件の取材・報道について

千葉・東金女児死体遺棄事件報道で、容疑者男性への取材について、「21歳とはいえ知的障害を持っているので、精神的には青少年と考えるべきだ」という視聴者意見が寄せられた。委員会で検討した結果、委員から「知的障害者の場合、判断能力が未熟なため、ある意味子どもと同じような扱いが必要と思われるので、取材などの時に後見人などの同意を得ず取材することは、親の同意を得ず子どもに取材することと等しい行為になるのではないか」という意見が出され、「知的障害者への取材に関しては、成人であっても慎重に行うべきだ」と、議事録にとどめることにした。

調査研究について

橋元副委員長から調査研究の進捗状況について、「16歳から24歳までの若者を対象に実施した『テレビ番組視聴に関する実態調査』アンケートの分析に取り掛かっている。また、同アンケートを補完するかたちで、3月にグループインタビューを行い、映像メディア(DVR、VOD、ワンセグ)別に10代、20代のユーザー各5人ずつの6グループに対し、対象メディアにおける映像コンテンツ、メディア利用状況、情報に対する意識などについて聞く」との報告があった。

■ 中学生モニター報告

1月は、年末・年始の特集番組について書いてもらったが、30人のモニターから43件(1人で複数件の報告あり)の意見が寄せられた。 分野別に分けると、バラエティー番組が18 件、音楽番組が10件、ドラマ番組が5件、情報系番組とスポーツ番組が3件ずつ、ドキュメンタリーと年末年始特集への全般的意見が2件ずつだった。局別では、NHKが12件、日本テレビ系が11件、フジテレビ系が7件、TBS系とテレビ朝日系が4件ずつ、テレビ東京系が3件だった。

・バラエティー番組

バラエティーでは『ガキの使いやあらへんで!!』の大晦日特番が断然多く7件で、あとの11番組は1件ずつだった。『ガキの使いやあらへんで!!』は賛否両論があった。2部の「笑ってはいけない新聞社24時」に好評意見が多く、「すごく面白くてこの一年の中で一番笑えて、気持ちの良い年越しが出来た」、「普段テレビで笑わせている側が笑わせられているというところが面白かった」、「いろんなシチュエーションがあるためバリエーションが豊富で、”今年はなにをするんだろう”という楽しみがある。定番が良い意味での定番なのだ」などだった。
批判意見は「第1部では、芸人がプロレスのような感じでいろいろなことをやっていたのですが、少しやりすぎる(過激な)所もあるのではないかなと私は思いました」、「コントに対して笑ってしまうとお尻をおもいっきり叩かれるという罰ゲームがあったが、回数が多すぎた。その罰ゲームをしている時間をもうちょっとコントに使ってほしかった」、「毎年見ていると、年を重ねるごとにつくりが大きくなっていて、そこでわざと笑わせているような姿勢が透けて見える。もう少し素朴で笑えるようなクオリティーの高さを求めたい」などだった。
バラエティー番組への好評意見としては他に「深夜に放送している『着信御礼!ケータイ大喜利』は他とは全く違い新しい要素が満載だと思う。投稿者がこの番組を作っているところが面白い」、「『M-1GP2008決勝戦』を毎年楽しみにしています。この番組はジャッジが公平で、ほめる時はほめ、辛口の時は辛口、という審査員が良いです」、などがあった。
また、『爆笑問題×安住紳一郎 平成ニッポン20年史!!』には、「平成に年号が変わってからの20年間を振り返るという番組でしたが、1年ごとの時間や内容がうすく、私が生まれる前の出来事や生まれて数年間のことはよく分からないので、もっと詳しく説明してくれれば良かったなと思いました」という批判意見が寄せられた。

・音楽番組

音楽番組では『NHK紅白歌合戦』に8件意見が寄せられたが、賛否が分かれた。好評意見は「今回はけっこう若い人が出てたので視聴率が上がったと思う。若い視聴者があまり見たいとおもわない演歌などを、若い人から人気のある歌手の間に入れることで、なんとなくチャンネルを変えずにそのままにしておくからそういう工夫はいいと思う」、「データ放送やネットを通して随時、舞台裏の様子を知ることができるようになっていたり、ただ音楽を生放送するだけでなく、飛行船から大晦日の各地の映像を放送したりなど、最後まで飽きる事がなかった」などで、批判意見は「同じアーティストの方が同じ曲でこの番組に繰り返し出演しているのが気になった」、「他局である民放に頼りすぎるのはどうかと思います。もっとNHKにしか出せない個性を創っていくべきだと思います」、「司会者はかわりばえしないからどうかと思う。いままで司会をやったことがないひとなどにやってほしいです」などだった。

・ドラマ番組

ドラマ番組では『コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命 新春SP』に2件意見があった。「連続ドラマでやっていた時の話と続いている部分があったので、一番最初に、今までにあった内容を振り返っていたのは、良かった」、「別れは決して悲しいだけではないと感じさせてくれました。見てたら何故かわからないけど、心が熱くなって、涙があふれて止まりませんでした」などと概ね好評だった。
『寧々~おんな太閤記~』には、「配役もすごく良かったし、内容も良くて、かなり長時間の番組でしたが、あきることなく見ることができました。ただ語りがとてもかつぜつが悪く、何を言っているのか良く聞こえないところがあるのは残念でした」という意見が寄せられた。

・その他の番組

2件意見があった『第85回箱根駅伝』は、「箱根に出る選手たちは、各大学の誇りと仲間との絆をかけて毎日毎日一生懸命練習してきた人達ばかりで見ていてとても気持ち良いです」、「私は、この駅伝を見て新たな記録達成や喜びの瞬間を味わう事が出来て良かったです。この番組のおかげで、陸上・走る事にも興味がもてました」などと好評だったが、「トップの選手だけでなく順位が下の選手も映してほしいです」、「沿道にいる観客の中にどうでもいい事を書いた札を写そうとしたりする人がたくさんいて辟易したので、そういう人達を写さないようにカメラを工夫してほしいです」、という要望もあった。
『僕の日本を紹介します!』には、「この番組は、芸能人が教科書には載っていない日本の技、食に関する映像や物を持って海外に行き、子どもたちに日本を知ってもらうための授業を行うというものです。私は千原ジュニアさんの、日本のロボット技術を紹介するというものが一番よかったです。スペインの子供たちも感動しているようで、私もなんだか日本が誇らしかったです」という意見が寄せられた。

2月のモニター報告は、締め切りまでのひと月ほどの間に見た番組の感想・意見・批判などを自由に書いてもらう。

第96回 放送と青少年に関する委員会

第96回 – 2008年12月

日本テレビとの意見交換について

視聴者意見について …など

12月15日に開催した今年度第8回青少年委員会(通算96回)では、日本テレビとの意見交換について検討したほか、11月19日~12月3日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に、バラエティー1本のVTRを視聴のうえ審議した。またR指定映画やホラー映画のCMなどについて審議したほか、調査研究について報告があった。

議事の詳細

日時
2008年12月15日(月) 午後4時30分~6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
大日向委員長、橋元副委員長、小田桐委員、軍司委員、是永委員、境委員、山田委員

日本テレビとの意見交換について

バラエティー番組について、日本テレビと意見交換を行うという前回委員会の決定を受け、今回委員会で意見交換を予定していたが、日程の調整がつかず、次回1月の委員会で行うことになった。

視聴者意見について

1.日本テレビ『踊るさんま御殿!!』

血液型に関する話題について「青少年委員会が出している『「血液型を扱う番組」に対する要望』をどう考えているのか」や「B型の男性タレントを貶めている」といった批判意見が視聴者から多数寄せられ、VTRを視聴のうえ審議した結果、委員から次のような意見が出された。

<委員の主な意見>

  • 血液型について一般的に言われている話であって、差別やいじめといった印象ではなかった。
  • 委員会がかつての「要望」の中で指摘しているのは、あたかも科学的に血液型で子どもたちを判別するといった番組についてであって、この番組は大人同士のトークショーで、バラエティーの範囲ではないかと感じた。
  • 視聴者意見の中には、”息子の人格を全否定された思いだ”とあるが、判断がつかない子どもたちがどう捉えてしまうか気になるところもある。
  • 内容的には大人のたわいない話だが、子どもが見た場合いじめの対象になる可能性は排除できないし、委員会が血液型を扱う番組について要望を出していることを知ってほしい。
  • この番組は科学的装いをした番組ではないが、これをきっかけになし崩し的に子ども達に影響を及ぼすような番組が出てくることがないように注視していく必要がある。

以上の審議の結果、血液型を扱う番組の制作に際しては、改めて2004年に青少年委員会が出した「要望」の再確認を議事録に留めることになった。

2.R指定映画のCMについて

「R15指定映画のCMが流れていたが、15歳以下の子どもも見る可能性があるのでテレビで流すのはおかしい」といった視聴者意見が寄せられ、委員から次のような意見が述べられた。

<委員の主な意見>

  • テレビは映画館とは違い誰でも見ることができる。R指定映画のCMがだめということではなく、CMの内容、時間帯などを考えていけばいいのではないか。
  • ホラー映画などのCMも、突然目に入ってくるとかなり衝撃を受ける。家庭のテレビで流されることを考査的にもっと考えてほしい。
  • 映画のCMは一番印象に残る部分を放送するため、過激なものもあるので、年齢制限のある映画やホラー映画については放送時間に配慮してほしい。

以上の結果、R指定映画やホラー映画のCMについては、今後も懸案事項として議論していくことになった。

3.バラエティー番組について

県民性を扱ったバラエティーについて「子どもに誤解させ、偏見を植え付ける」といった視聴者意見が寄せられ、委員から「血液型を扱った番組と同じように、県民性をステレオタイプに取り上げる番組は青少年に誤った認識を与えるおそれがあるため、今後、注意深く見ていく必要がある」という発言があった。

調査研究について

橋元副委員長から調査研究の進捗状況について、「11月末に東京都の6つの区の住民基本台帳から抽出した16歳から24歳までの対象者に実施したアンケート調査が終了した。300サンプルを超える回収があり、今後、分析を行い報告書にまとめる予定である」との報告があった。
また、是永委員から「来年3月ごろを目途に、映像メディア(DVR、VOD、ワンセグ)別に10代、20代のユーザー各5人ずつ計30人に対し、メディア利用状況、利用の影響、地上放送の考え方の変化などについてのグループインタビューを行う」との報告があった。

その他

視聴者意見の審議のほか、民放連が作成した『「青少年に見てもらいたい番組」一覧(2008年秋)』について、委員から次のような発言があった。

<委員の主な意見>

  • 一覧表に載っている番組は、局を代表するものかもしれないが、民放連の取り決めで週3時間となっているためレギュラー番組に限定されてしまっている。地方局が制作している単発のドキュメンタリーには青少年が見て感動を受ける番組があるので、そういったものが選べるよう考えてほしい。
  • 委員会では2004年3月に出した『子ども向け番組』についての提言』の中で、「青少年に見てもらいたい番組」の再検討について要望しているが、生かされていないのが残念だ。
  • 委員会も番組を批判するだけでなく、子どもに見せたい番組があれば委員会で推奨するなど放送局の後押しをしてもいいのではないか。

    * 「青少年に見てもらいたい番組」一覧へ

■中学生モニター報告

12月は、このひと月ほどの間に見た番組について自由に書いてもらったが、中学生フォーラムに参加するメンバーには先月に引き続き今月もニュースなどの報道系番組について意見を募集した。報告は31人のモニター全員から、40件(1人で複数件の報告あり)寄せられた。
分野別に分けると、報道系番組(情報番組、ドキュメンタリーを含む)が19件、バラエティー13件、ドラマと音楽番組が3件ずつだった。局別では、フジテレビ系が10件、日本テレビ系が8件、TBS系が5件、NHKとテレビ朝日系が2件ずつ、テレビ東京系が1件、1放送局に限らない報道系番組全般への意見などが12件だった。

・報道系番組

2件意見が寄せられた番組は『めざましテレビ』だけで、「私の年代でも見やすい番組作りをしていて、とてもいいと思います」という意見と「報道よりもバラエティー要素の方を多く含んでいて、あまり政治のこととかは分かりません」という意見に分かれた。
他には、NHKニュースに「定時のニュースには全くと言っていい程、無駄がない」、『NEWS ZERO』に「その日にあった事件を朝から夜まで順を追って紹介してくれ、とても分かりやすい。またニュースの後に社会問題を取り上げているのでとても勉強になる」、『夢の扉~鳥インフルエンザ最前線~』に「何でもきれいにしすぎて体の抵抗力が弱くなったからこういうウイルスの病気がたくさん出てきたのではないでしょうか。今の快適な生活が本当にいい生活なのか、この番組を見てとても疑問に思えてきました」、『報道特集NEXT』に「私はVTRと語りだけの番組が気に入っています。まじめな報道は少しでも多くVTRを見て、報道の内容を深く知りたいし、見た事について自分でよく考えたりしたいからです」、などの好評意見が寄せられた。

・報道系番組全般

報道系番組全般への意見は、今月も批判的な内容がほとんどだった。4人の意見を列挙する。
「殺人事件などをドラマ仕立てや声を作ったりして、報道するのはやめて欲しいです。とても被害者の遺族などに迷惑だと思います」、「学校に行く準備をしながらニュースを見ています。たったの1時間しか見ていないのに、必ず同じニュースを2回ずつ見ます。正直しつこいです」、「報道番組が報道しきれていない問題はたくさんあると思う。例えば地球の環境問題。今や未来に生きる人々にとって、政治家とか殺人事件とかを追っていることよりも、関係があり重要なんじゃないだろうか」、「僕はニュースショーになって様々なコーナーができ、ニュースが面白くなるのはいいと思います。しかしこのごろは視聴率を気にしすぎて、”報道”よりも”あった事を面白く伝える番組”になってきていると思います」。

・バラエティー番組

バラエティーには1件ずつ13番組に意見があった。
好評だったのは3番組で、『ガキの使いやあらへんで!!』は「この番組の良いところは、自分達も思いっきり番組を楽しんでいるところです。しかもダウンタウンも罰ゲームの餌食になったりと、平等なのも良いです」、『SMAP×SMAP』は「ビストロにいろんなゲストが出てきて、毎回どんなゲストが出てくるか楽しみで毎週見てしまいます。料理の作り方もちっちゃくだけど出てるし、見ていたらなんか作りたくなります」、『みのもんた緊急特番 通帳を守る100の方法』は「年金や遺産相続、生命保険についての事をいろいろと詳しく知る事ができました。堅苦しい番組内容のはずなのについつい最後まで見てしまいました。そして、なんだか知ることが出来て得したと感じました」、という意見だった。
批判意見は4番組に寄せられた。『ぴったんこカン・カン』には「映画”私は貝になりたい”の宣伝のツアーをしている回で泉ピン子がコスプレ姿で”私は貝になりたい!!”と陽気に叫んでいた。戦犯として逮捕された兵士が手記につづったとても重みのある言葉なのである。もっとメディアの責任というものを感じて欲しい」という内容、『はねるのトびら』には「前々から危険なことをやっていましたが、先日レギュラーメンバーが全治2~3カ月の骨折をしました(放送はしていません)。それだけならまだしも、公表後の最初の放送でケガをネタにして笑いをとっていました。これはよくないと思います」というもの、『所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ』と『ひみつのアラシちゃん!』には、「巨大な天丼を作るために巨大マグロと巨大イカをわざわざ漁船をチャーターして取りに行くのと、巨大イカをつかまえてその墨で書初めをする、という内容のものがありました。そんなことをして、だから何?って感じの番組が最近多くなったと思います」という批判意見だった。

・その他の番組

ドラマでは『しゃばけシリーズ第2弾 うそうそ』に2件意見が寄せられた。いずれも好評で「このドラマの魅力は、昔のはずなのだけれど現代とどこか通じている印象を受けるところと、一太郎と妖達の絆の深さにあると思います」、「家族愛、兄弟愛など、たくさんの愛があふれている。すごく心があったかくなり、優しい気持ちになれる。最後、見ていたら自然に笑顔がこぼれていました」という内容だった。
音楽番組では『HEY!HEY!HEY!』に批判意見があった。「この番組はちょっとはずしすぎていると思う。心理占いだとかそのようなたぐいのコーナーばかりをしている。そういったコーナーは音楽番組ではなく、他の番組でやってほしい」というものだった。

1月のモニター報告は、年末・年始の特集番組についての意見を募集する。

第95回 放送と青少年に関する委員会

第95回 – 2008年11月

「回答のお願い」に対する「回答」について

視聴者意見について …など

11月25日に開催した今年度第7回青少年委員会(通算95回)では、2社2番組に出した「回答のお願い」に対する「回答」ついて審議したほか、10月21日~11月18日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に、ドラマ1本のVTRを視聴のうえ審議し、ラジオ番組についても意見交換した。また、中学生モニター報告について審議したほか、中学生フォーラム、調査研究について報告があった。

議事の詳細

日時
2008年(平成20年)11月25日(火)午後4時30分~6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題

「回答のお願い」に対する「回答」について

番組の審議内容に関しては、前回の議事概要を参照。

日本テレビ『ガキの使いやあらへんで!!』

【青少年委員会からの「回答のお願い」】

(1)本番組の企画意図は何か、(2)罰ゲームの具体的内容は、だれが、いつ、どのような形や経緯を経て考案し、放映の是非が決定されているのか、(3)貴局では、そもそも「罰ゲーム」をどのように考えておられるのか、(4)青少年委員会では、過去2度に亘り、番組中の暴力表現については見解を出している。すなわち、2000年11月『バラエティー系番組に対する見解』、2007年10月『出演者の心身に加えられる暴力に関する見解』、これらの見解を貴局はどのように受け止めておられるのか、当番組を制作する過程で、上記の見解についての配慮・検討は、どのようになされたか?

【日本テレビからの「回答」】

(1)について

ご指摘の『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』」は1989年10月3日に放送を開始し、本年11月9日でレギュラー放送928回を数えるバラエティーの長寿番組です。
関西の新進気鋭の若手芸人(当時)・ダウンタウンの希有な才能を東京という異文化にぶつけ、笑いの可能性を求めることが、スタートからの企画意図です。
放送枠が日曜の深夜23時枠に定着して以降は、日々の労働や生活に追われる視聴者が週末の就寝前のひと時を「笑い」でリラックスする定番ソフトとしてご支持をいただくようになりました。時節の流行りで形を変えるようなことなく、プロによるトークと徹底した作り込みのコントという定番の佇まいを維持しております。

(2)について

当該番組では企画・構成の段階からダウンタウンとプロデューサー他主要スタッフが一つのテーブルに着き、細部の演出を詰めていく制作体制を取っております。このスタイルは初回の放送から今日まで、19年間変わっておりません。番組内容の判断と品質管理はチーフ・プロデューサーとプロデューサーが当たります。

(3)について

「罰ゲーム」という呼称の番組内容に限らず、出演者の心身に加えられる暴力が表現の行き過ぎによって青少年に悪い影響を与えかねないという点を留意しておりますが、一方で、「罰ゲーム」という呼称ゆえに一律に取り扱うことはしておりません。放送する時間帯、視聴対象、企画意図、番組の構成、出演者、等々から青少年への影響や視聴者に与える不快感などを踏まえて制作にあたり個別に検討しております。
前述しましたように、当該番組は作り込みのコントであり、プロによるエンターテインメント・ショーです。全コーナーのネタについて、演者の安全は勿論のこと笑いの質についてもチーフ・プロデューサーがルールを定め、オフライン編集、スポンサー試写に至るまでスタッフと共に立会って、番組の内容の管理に努めています。

(4)について

貴委員会から示された見解につきましては、弊社幹部の定例会議や社内横断会議など複数の場で報告し、全社的な周知を図っております。現場ではチーフ・プロデューサーを中心に、プロデューサー、ディレクター等への指導を実施し、当該番組関係者も同様に貴委員会の見解を踏まえて番組制作に携わっております。そして今回のご指摘を受けて、番組の責任者とコンプライアンス推進室番組考査担当者が、見解の趣旨を改めて確認致しました。当該番組9月14日放送分は、番組全体で1本のコントを構成しております。ネタ会議という舞台設定で、「罰ゲーム」という”お題”をめぐって笑いのプロ達が知恵を絞るという筋立てです。これについては、23時台という放送枠を踏まえたルールある”お笑い”と位置付けし、本質的に暴力を強調したものとは別物と考えておりました。
しかしながら、結果的に一部の視聴者の方々から懸念が示されたこと、そして貴委員会からご指摘を受けた点について、一層の配慮が必要であったことを痛感しております。そして、判断のつかない低年齢層が視聴する可能性とその影響、また、初めてご覧頂く方々が番組を楽しめるのか等の視点から、このような内容の番組を改めて検討する機会をいただいたと受け止めております。
今後は、番組制作、特に低年齢層を含む青少年の視聴に留意すべき時間帯の番組の制作に当たっては、まず悪い影響があり得るかどうか、例えば、暴力の肯定や強調、弱者に対する肉体的精神的虐待、遊戯といえども身体の損傷につながる危険性など、どの部分が実際に悪影響を誘導しかねないか、演出、表現技法等、十分に検討、そして配慮していくべきであることをさらに現場に徹底させていく所存です。
今回のご指摘を受けて、各部局のコンプライアンス担当者で構成する視聴者対応実行委員会で、見解を改めて書面として配布した上で、2度にわたり、見解の趣旨の再確認を行うとともに、上記の趣旨について現場への徹底を図りました。これ以降も今回のご指摘を当該番組のみならず制作現場に広くフィードバックし、番組作りに反映させたいと思っております。

【「回答」に対する委員の主な意見】

  • 「回答」に書かれている企画意図は番組紹介であり、本当の意図が分からない。また、委員会からの質問には答えてはいるが、表面的で具体的な詳細に欠けている。
  • 委員会からの「見解」「要望」については、全社的に周知を図っているとなっているが、今回に関してコンプライアンス推進室としてどう受け止めているのか知りたい。
  • 一般視聴者がこの番組を見てどう思うか想定していないと感じた。認識のずれをどう埋めていけばいいのか。
  • 笑いの質や多様性について、直接、番組担当者と議論したい。

以上の審議の結果、回答に書かれている笑いの質や罰ゲームなどについて、番組制作者と委員会の考え方に相違が感じられるので、番組制作者と直接に意見交換する場を持つことを決めた。当該社からも日ごろから同様の考えが示されており、次回委員会に番組担当者を呼び意見交換を行うことになった。また、各委員の意見を記載した審議内容を当該社に報告した。

フジテレビ『スーパーニュース』(子どもへのインタビュー)

【青少年委員会の「回答のお願い」】

(1)貴局及び今回のニュース制作担当者は、2002年の提言、2005年の要望をどのように理解されているのか。(2)具体的には、以下の点についてもお答えいただきたい。1)男児へのインタビューに関して、どのような判断と基準で実施されたのか、2)何人ぐらいの子どもに、どのような取材を行ったのか、3)その中から、当該児童へのインタビューを放映した理由は何か、(3)死体遺棄の状態を繰り返し、センセーショナルに報道しているが、被害者遺族への配慮について、局内ではどのような議論が行われたのか?

【フジテレビからの「回答」】

(1)について

衝撃的な事件や事故の報道が、子どもたちに多大な影響を及ぼす可能性のあることを考慮し、映像の使用やコメント、さらにはインタビューなどにおいて、いたずらに不安をあおらないことを第一に考えています。特に子どもが関係した事件では、被疑者や被害者、そしてそれぞれの関係者への取材・報道にあたっては、特別の配慮が必要だと認識しています。
こうした考えは、フジテレビ報道局員ならびに番組スタッフに周知徹底されていて、常に慎重かつ配慮ある取材を心がけるように努めています。
また、2002年の提言・2005年の要望に関しては、フジテレビ報道局の『報道人ハンドブック』の冒頭、第1章「放送と人権」1-1に「子どもへのインタビューに当たっての考え方」<別紙(1)参照>として具体的に明記し、報道に携わる者の道標として、これを常に意識し、日々取材にあたっています。
具体的には、取材現場の記者・ディレクター・カメラマンと、現場キャップ、本社デスク、部長、プロデューサーらが、子どもへの取材が必要か否かを相談・検討し、インタビューの必要性を確認したうえで、取材交渉を始めるといった手順を踏んでいます。しかし、子どもへのインタビューは、悲惨な事件によって打ちひしがれた心をさらに傷つけることにもなりかねません。それだけに、子どもの心情に最大限配慮し、保護者の方とも相談し、取材手法や放送時の注意事項等についての意向を詳しくお聞きすることを原則としています。

(2)-1)について

2002年の「提言」と2005年の「要望」を受けて改訂した『報道人ハンドブック』の「子どもへのインタビューに当たっての考え方」に則り取材しました。
当時、被害女児が、どんな子だったか、ほとんど分かっていませんでした。被害者の人となりを知るのは、事件の全体像を知る上で必要不可欠な要素で、事件の真相解明への第一歩につながると判断し、保護者(父親)の承諾を得て(質問(2)-2の回答の中で詳しく述べます)インタビューを行ないました。
* なお、インタビューしたのは被害女児と同じ保育所に通っていた7歳の男の子で放送の一部に「同じ保育所の男児」とあるスーパー表示は、正しくは「同じ保育所に通っていた男児」でした。

(2)-2、3)について

当日はまず、現場周辺の数十軒に電話取材し、被害女児を知っている方を探しましたが見つからず、周辺地域を担当ディレクターが十数軒回って取材した結果、同じ保育所に通っていた子どもがいるご家庭にたどり着きました。事前に保護者(父親)と子どもを交えてカメラを回さずに話をさせていただき、その後、保護者同席のもとカメラ取材を行いました。
その際、保護者に子どものインタビュー取材を承諾していただいただけではなく、子ども本人に対して、インタビューを受けることについて同意不同意を確かめていただきました。また、保護者に子どものすぐ脇で、インタビューの一部始終を見守っていただきました。
質問内容も、被害児童の様態や事件のむごたらしさについて想起させるようなものは一切避け、被害児童がどんな子どもであったかに絞って聞いております。
このように、今回の取材では、「幼児にマイクを突き付ける」ような威圧感を与えないよう、また、いたずらに恐怖心を煽り心を傷つけないよう配慮いたしました。
今回放送したインタビューは『かけっこやかくれんぼを一緒にしたことがある友達』が被害女児について『絵を描くことが好きで、足が速く、運動会で金メダルを取った』事をあきらかにしたもので活発な被害女児の姿が浮かび上がってきます。
このような活発な子が、白昼、大きな声を発することもなく連れ去られたとしたら、とても奇妙な出来事です。もしかしたら、顔見知りによる犯行だったのかもしれません。それとも、相当用意周到な人間による犯行の可能性も見えてきます。このインタビューによって、視聴者はさまざまなことを考え、その過程で再発防止策を講じる手立てになるものと考えました。
さらに、事件の解決、再発防止のためには遺族や被害者の悲しみを多くの人たちが共有することが必要と考えます。また、被害者がどのような子どもだったのかは、遺族や被害者の心情を理解する上で必要な情報と考えます。
わずか5歳で人生を終えなければならなかった女児とその遺族の無念さから、私たちは目をそむけてはならないと考え、今回のインタビューを行い、放送しました。
事件を他人事としてとらえず、視聴者が事件を自分のこととして考え、解決のための手掛かりとなるかもしれない多くの情報が提供されることを願ったものです。

(3)について

女児を全裸にして遺体を遺棄したのは、本件の特徴であり、犯人像に迫る最大の特徴です。この事実を報道しなければ、事件の真相に迫り、視聴者が事件を考える材料を提供できないと考えました。また、女児を全裸にする行為は女児に対する異常なまでの関心をもった人物による犯行との見方もでき、近隣住民はもちろん、他の地域の視聴者も、それぞれの住む地域の状況に思いをめぐらせるきっかけとなり、同種の犯行を予防できる効果も期待できると考えました。これも報道機関の重要な使命であるとの判断にたったものです。
その一方で、被害者への配慮や遺族の心情にも思いをはせ、番組のナレーションでは「全裸」という言葉は使わず、「衣服を一切身に着けていない状態」や「変わり果てた姿で発見」などの表現を使いました。表現についてもまた、プロデューサー、PD(プログラム・ディレクター)、D(ディレクター)による十分な協議の末による結論であったことは言うまでもありません。
以上のことから、今回の放送は、取材で知りえた事実を、関係者への配慮とともに、冷静かつ客観的に放送したものと考えておりますが、子どものインタビュー映像を流す際に、「保護者同席のもとでおこないました」などのスーパーを入れることで、子どもの証言とはいえ保護者も追認した信用性の高いものであることを示すべきではなかったかという意見も内部であったことを付け加えさせていただきます。

○ 今後に向けて

貴委員会の意見と質問を受けて、弊社報道局内でさらに議論を重ね、今後も、子どもへのインタビューについては、取材、編集、放送にあたってより一層、細心かつ慎重な配慮を払うよう改めて確認し、局員およびスタッフ教育を徹底していきたいと考えております。

【参照】

フジテレビ報道局『報道人ハンドブック』「子どもへのインタビューに当たっての考え方」
インタビューに当たって

  • インタビューはそこから問題の本質や、核心にせまるより多くの情報を引き出すために行うものとの認識を持つ。
  • 事件、事故の検証確認のため代わりうる有効な手段がない場合は、小中学生といえどもインタビューの対象となりうる。
  • 時間が許す限り原則、保護者、教師などの承諾を得る。
  • 場合によっては承諾を得ないで実施することもあり得る。
  • インタビューに当たっては、子どもの判断能力を超えないよう努める。
  • 強引な誘導質問は慎む。
  • 大人と子どもでは事件、事故の受け止め方や、PTSDなど心理的に被る影響の程度に差があることを配慮する。
  • 威圧感を与えないよう、同じ目線でインタビューするよう努める。
  • 取材対象者に自分の身分と取材目的を明らかにする。
  • 取材を拒否された場合は付きまとわない。

放送に当たって

  • 子どもへのインタビューの使用は、あくまで緊急避難的使用である。他に検証情報などが得られた場合は、原則繰り返しは避け、またモザイク使用なども配慮する。
  • インタビュー放送したことにより、子どもがいじめや重大な被害を受けることがないよう配慮する。
  • いま、どんな気持ちですかなど、検証に関係ないような答えは使用しない。
  • 気持ちとしては心にVチップを入れたつもりで細心の注意を払う。

【「回答」に対する委員の主な意見】

  • 今回の場合、子どもに取材する必要性があるとは思えない。「子どもへのインタビューに当たっての考え方」との整合性が見出せない。
  • 子どもの映像にこだわる必要はないのではないか。再発防止や事件の凶悪性は取材のプロセスでアナウンサーが伝える方法でも視聴者の想像力を刺激するので、テレビの報道は映像がなくても伝えられることに自信を持ってもいい。
  • 視聴者意見は被害者女児と同じ”5歳児へのインタビュー”と思ったためで、視聴者に誤解を与えるような報道は十分反省すべきだ。ただ「回答」でその点について説明しているので了解した。
  • 子どもへの取材については、自社作成の『報道人ハンドブック』を生かすよう現場に徹底してほしい。

以上の審議の結果、各委員の意見を記載した審議内容を当該社に報告した。

視聴者意見について

1.テレビ朝日『相棒』

新シリーズの刑事ドラマの中での殺害シーンについて「殺害シーンがグロテスク過ぎる。ネットの掲示板に”子どもがショックを受けた”という書き込みがあった。大人向けのドラマだが、家族でも見られるように演出してほしい」「非常に残酷な殺害シーンがリアルに描かれていて不愉快な気分になった」といった視聴者意見が寄せられVTRを視聴のうえ審議した結果、表現方法として特段過激とも思われないという意見が大半であった。

<委員の主な意見>

  • ドラマの表現方法としては問題ない。人によっては気持ちが良くはないが、それほど暴力的表現とは思わない。
  • 殺害シーンが繰り返されていたことは気になったが、血が出ることを問題にすると、表現の自由への規制につながるのではないか。
  • 視聴者意見の中にはドラマの1シーンだけを捉えて問題にしているものもあるが、番組全体を考えながら議論することが必要だ。
  • サスペンスドラマについても残虐で問題だという視聴者意見が寄せられているが、推理・サスペンスものを楽しむ視聴者もいるのだから、殺人事件をテーマにすること自体いけないということには疑問がある。

2.ラジオ番組について

深夜放送で小学生を対象に悩みを聞くコーナーについて「未明のこんな時間に小学生を番組に出すなんて倫理的にいかがなものか。企画に問題はないのか」との視聴者意見が寄せられ、事務局が当該社に確認をしたところ「親の了解を得た上で放送していたが、社会通念上好ましくないと判断し、コーナーは中止した」との報告があった。また、このほか「パーソナリティーの言葉が汚いし、シモネタばかり」「性的な内容が多い」といった意見や、動画配信されたFMの番組について「昼間の公開録音で全裸になったり、不適切な発言が多い」などの視聴者意見が寄せられおり、今後も継続してラジオの動向を注視していくことになった。

中学生フォーラムについて

事務局から、12月26日(金)に東京・千代田区平河町のルポール麹町で開催する第8回中学生フォーラムについて、中学生モニターの出欠状況と在京テレビ6局の討論参加者について報告があった。また、構成について、報道系番組に関するモニター報告や事前アンケートを基に、コーディネーターの橋元副委員長や討論参加者と打ち合わせを行い、内容を固めていくとの説明があった。
なお、11月末にフォーラム開催の案内チラシを、NHK、民放各社ならびに関係機関・団体や教育関係者に配布した。

調査研究について

橋元副委員長から調査研究の進捗状況について、「11月中旬から東京都6区の住民基本台帳から抽出した16歳から24歳までの対象者に、テレビの見方についてのアンケート調査を実施した。記入方法の煩雑さや昨今のプライバシー意識の高まりと若年層のため不在者が多く、回収に時間がかかっている。今後の予定は、アンケートの集計結果を見ながら報告書について検討していく」との報告があった。

中学生モニター報告

11月は、ニュースなどの報道系番組について幅広く意見を募集したが、31人の後期モニター全員から、37件(1人で複数件の報告あり)が寄せられた。

ニュース全般への意見が15件と多かったのが目立ったが、局別に分けると、NHKが9件、TBS系とフジ系が5件ずつ、日本テレビ系とテレビ朝日系と朝日放送が1件ずつだった。

・個別の報道系番組

複数意見が寄せられたのは、『めざましテレビ』に4件、『週刊こどもニュース』と『クローズアップ現代』に2件ずつだった。これらの番組は概ね好評で、『めざましテレビ』には「ニュースだけではなく、他の事もいろいろ出ていて見ていてもあきないからです」、「アナウンサーさんが何となくだけど楽しそうに、スタッフの方とも協力して番組を作っているのが分かる。そんなあったかいニュース番組だ」など、『週刊こどもニュース』には「その週に話題になったニュースを一つ選び、詳しくそして分かりやすく解説してくれます」、『クローズアップ現代』には「この番組の良いところは、キャスターの方が中立的になることと、知識が豊富なことだ。例えば専門家の人に意見を聞く時に、その人の意見をしっかり引き出している。その中で専門家の人とは違う意見をぶつける事で物事の本質がはっきりみえてくる」、などの意見があった。
ほかには『おはよう朝日です』に、「ニュースをする時間があまりにも短くてニュースを見たい人にとってはあまりうれしくないと思います。兵庫県知事の”関東大震災はチャンス”との発言で、兵庫県知事が”意味をとりちがえている”というのがわかる気がします。報道する側はちゃんと前後のコメントも放送し視聴者がこの報道の真意がわかるようにしてほしいです」という、批判的な意見があった。
ドキュメンタリー番組では、”秋・つながる心”『見えないことは不幸じゃない』に「内容は全盲の夫婦の子育てを描いたもので、この番組のサブタイトルにもなっている”見えない事は不幸じゃない”という言葉がとても心に残った。この家族をこの番組できちんと知る事が出来て本当に良かった」という意見があった。

・報道系番組全般

報道系番組全般への意見は、批判的な内容が多く好評意見はなかった。
最も多いのは小室哲哉容疑者の逮捕に関するもので、3件だった。「少し騒ぎすぎなのではないかと感じる。”彼の転落人生を追う”などとうるさく騒ぎ立てるようなことは週刊誌に任せておいて、もっと経済とか、伝えるべきことはたくさんあると思う」、「前の夫人や、前の恋人の家に押しかけて話を聞こうとするのはやりすぎ」などの内容だった。
また2件、ニュースなどの報道系番組はあまり見ないという意見があり、「休日など、親と一緒に見ることがありますが、なんだか偉そうなジャーナリストが座って文句を言っているだけで、少なくとも私は面白くないと思いました」、「人を取材してその人の私生活を無理やり見るのは嫌いです」という内容だった。
取材のやり方についても2件、「最近ニュースを見ていて思うことは、”取材のやり方が汚いな~”ということです。リポーターが取材を受けている人の車の周りに集まって、カメラを向け大声でその人に向かって”○○さん、○○○についてどう思われますか?”と叫ぶ・・・。はっきりいって悲惨です」、「殺人事件が起きてしまったとして、犯人の身辺調査をする時、もっと慎重にやってほしいです。絶対に家族その他の友人などが悪いとわかっているなら良いと思いますが、”多分”や”きっと”の段階では報道してほしくありません」、という意見があった。
また政治に関する報道について「番組コメンテーター等は、自民・民主の発言についてしか発言しないことも多々あります。ほかの共産党や、社民党や、国民新党などの野党の発言もきちんと報道してほしいです」という同内容の意見が2件あった。
ほかの批判的な意見を5件列挙する。「最近ニュース番組を見ていて一番気になることで改善してもらいたいと思うのが”繰り返す・すぐ冷める”ということだ」、「朝の報道番組は、全く関係ない特集にとても時間を使いすぎだと思います。関係のないことに時間を使っているから情報が入ってきません」、「みのもんたさんは、思ったことをすぐ口に出してしまうようです。俳優の石垣佑磨さんの暴行事件を伝えた時、”前にもやっていたよね?”と言っていました。ニュース番組の司会者なのだから、いい加減なことを言わないでほしいと思いました」、「政治関連の話題になった際、どうしても反政府寄りのコメントになっていることが気になった。取り上げられる政策は問題になるものばかりで、きちんと考えられている政策が圧倒的に多いにも関わらず、滅多に取り上げられない」、「私達の年代は政治関係のニュースが好きだと思うので、政治関係のニュースをさらにわかりやすくし子供でもわかるような報道番組になれば、子供の視聴率も上がるのではないかと思いました」。

12月のモニター報告は、ひと月ほどの間に見た番組の感想・批判などを自由に書いてもらう。また青少年委員から要望があり、ラジオはどんな番組を毎日何時間くらい聞くか、テレビ番組をインターネットで見ることがあるか、の2点についても合わせて聞くことになった。

第94回 放送と青少年に関する委員会

第94回 – 2008年10月

「回答のお願い」に対する「回答」について

視聴者意見について …など

10月28日に開催した今年度第6回青少年委員会(通算94回)では、2社4番組に出した「回答のお願い」に対する「回答」ついて審議したほか、9月11日~10月20日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に、バラエティー1本、ドラマ3本(海外ドラマ含む)、報道番組2本のVTRを視聴のうえ審議した結果、バラエティーと報道各1番組に関して当該局に「回答のお願い」を出すことを決めた。また、中学生モニター報告について審議したほか、中学生フォーラムについて検討した。

議事の詳細

日時
2008 (平成20) 年10 月28 日(火) 午後4時30分~6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
大日向委員長、橋元副委員長、小田桐委員、軍司委員、是永委員、境委員、山田委員

「回答のお願い」に対する「回答」について

番組の審議内容に関しては、前回の議事概要を参照してください
TBS 『リンカーン』  *[A]、[B]は放送日が異なる

[A] 司会の男性が女性芸人の胸を揉むシーン

[B] ” ゴムパッチン” のコーナー

【青少年委員会からの「回答のお願い」】

(1)このコーナーの企画意図、(2)子どもへの配慮はあったのか、特に”ゴムパッチン”については、子どもが真似をする可能性、また危険性について考慮したのか、(3)青少年委員会では2000年11月に『バラエティー系番組に対する見解』を、さらに2007年10月に『「出演者の心身に加えられる暴力」に関する見解』を公表しており、「出演者に加えられる暴力」と「性的表現」に関して検討するよう要望を出しているが、これらの見解をどう受け止めて制作したのか。

【TBSからの回答】

[A]に関して

当該番組は、男女のお笑いタレントを多数集めて運動会を行いながら、折々に即興のお笑いや芸を織り込もうという企画でした。
ご指摘のシーンにつきまして、制作担当者は、気心の知れた芸人同士が、お互いの信頼関係の中で双方了解のうえで行った『演技』であるという認識の下で放送いたしました。また、過去に何度も他局でも放送されていることから、ある種「芸人の持ちネタ」であり、視聴者からのご指摘にあるような「上下関係があるため反発することができなかった」という状況で行なわれた行為ではないと判断いたしました。
しかし、放送後すぐに、社内の各セクションの委員からなる「放送倫理小委員会」(「放送倫理委員会」の専門部会)が、制作局長および番組制作責任者に対し、このシーンの放送について「番組自体がこのような行為を助長、もしくは容認していると受け止められてもやむを得ず、家族での視聴もあるこの番組として、不適切であった。」と注意喚起を行いました。これを受け、テレビ編成制作本部長が制作局長に対し、厳重注意をいたしました。制作現場では、年少者の視聴も多い夏休みという時期や、頂いたご意見のように感じる方がいらっしゃることに対し配慮が足りなかったことを反省し、視聴者からのご意見やご指摘を真摯に受けとめ今後の番組作りに生かしてまいることを、改めて確認いたしました。

[B]に関して

口にくわえたゴムを伸ばして手を離す、通称「ゴムパッチン」は、昔から演芸番組や舞台ではよく見られる伝統的なお笑い芸です。今回の企画は「そのゴムパッチンのゴムは一体どこまで伸びるのか?」という素朴な疑問から生まれてきた企画です。
今回の撮影にあたって、演出サイドは出演者の安全を充分配慮し、ケガの心配が無い事を確認した上で撮影に臨みました。場面の中で出演者が痛がっている様子は、もちろん大げさに強調した演技ですし、現場で実際にケガ等は発生しておりません。
しかしながら、この場面を視聴した子どもたちが模倣をする可能性に関する配慮が欠けておりました。今後、より慎重な番組作りを心がけてまいります。

『バラエティー系番組に対する見解』『「出演者の心身に加えられる暴力」に関する見解』に関して

貴委員会から示された2000年11月の『バラエティー系番組に対する見解』、ならびに2007年10月23日の『出演者の心身に加えられる暴力』につきましては、当社でも周知を図っており、バラエティー番組担当者らも認識しておりました。しかしながら、今回、結果的に青少年に対して配慮を欠いた放送となってしまったことについて、制作現場に対しては、反省の上に立って「番組の受け止められ方」への配慮を促すと共に、放送の公共性やバラエティー番組が青少年に与える影響について、弊社「放送倫理委員会」等での議論を通して、さらに認識を深めてまいる所存です。
また、当社へ寄せられた視聴者からのご意見ご指摘や、貴委員会への視聴者からのご意見は制作現場にフィードバックするとともに真摯にうけとめ、今後の番組作りに生かしてまいります。

【「回答」に対する委員の主な意見】

[A] 司会の男性が女性芸人の胸を揉むシーン

  • 子どもに与える影響についてどう考えているのかというリアクションが乏しい。子どもへの配慮については、もっと踏み込んだ回答がほしかった。
  • 青少年委員会が公表した「見解」の中で指摘している「性的表現」について、社内や制作会社に周知されているのか知りたい。
  • 回答には制作局長および番組制作責任者に厳重注意したと書いているが、現場でどんな内容の議論がされたのか、そこが見えてこない。やはり議論の中身をきちんと公開していくことが大事だ。
  • 視聴者からの意見や委員会からの指摘を受けとめ、今後の番組作りに生かしたいと書いてあるが具体的にどう生かしていくのか知りたい。

[B] “ゴムパッチン” のコーナー

  • “ゴムパッチン”は、制作サイドでケガの心配がないことを確認したと書いてあるが、子どもが真似するなど予想外のことが起こることについて、どれだけ想像力を働かせて考えていたのか疑問だ。
  • 委員会が公表した『「出演者の心身に加えられる暴力」に関する見解』について、どう考え、どう番組作りに生かすのか、といった具体的な今後のプロセスをあきらかにしてほしい。

フジテレビ『カスペ~地上最大のTV動物園』の「赤ちゃんVSコブラ」のコーナー

【青少年委員会の「回答のお願い」】

(1)このコーナーの企画意図、(2)「とりわけ児童の視聴に十分、配慮する」時間帯に放送されているが、視聴者、特に子どもたちに不安を与えるのではないか、という危惧はなかったのか、(3)毒や牙を抜いてあったのか?抜いてあったとすれば、それを明言しなかったのはなぜか?

【フジテレビからの「回答」】

(1)について
「カスペ~地上最大のTV動物園」は愛らしい動物映像や、驚きの特技を持つ動物映像、人間と動物の触れ合う映像など様々な動物映像をお見せし、動物の魅力を伝える事を目的として企画されました。ご指摘戴きましたコーナーは滅多に見られない貴重な動物の映像をお見せする「プレミアゾーン」というコーナーで、このコーナーの意図は、世界中の珍しい動物や、人間と動物たちのふれ合いをお伝えするのが主旨となっております。

(2)、(3)について

(2)(3)のご質問は関連がございますので総括して答えさせて頂きます。本企画は世界中の動物を紹介する事によって、その土地の人々や多種多様な生活文化をあわせて視聴者へお伝えしたいという意図でございました。その一例として放送したのがご指摘の映像でございました。
この映像はヘビつかいファミリー内のパフォーマンスを関係者が撮影したものを購入しました。映像をプレビューチェックした際に当該シーンの赤ちゃんが怖がっている様子もなく、その他の素材映像に映っている人たちの雰囲気からも、撮影時の状況は危険なシチュエーションではなかったと判断しました。(尚、映像元に情報確認を致しました所、昨年5月に撮影されたもので、この赤ちゃんは2歳になり現在も元気に過ごしているとの事です。)
そして放送に際し視聴者に対して不安を感じさせないと判断した根拠は次の通りです。
第一に、関係者の話でもヘビつかいは毒や牙を抜いてあるのが一般的であり、視聴者にいたずらに不安や恐怖を与えるような映像ではないと判断致しました。
第二に、演出上も元の映像をそのまま使用せず、スタジオの歓声やタレントの笑顔のリアクションを入れる事によって、この時間帯の子ども達を含む視聴者に不安感を与えることのないような演出を施しました。これらのことを総合的に判断し、放送に至りました。 また、この「カスペ~地上最大のTV動物園」には放送時に多くの視聴者から好意的なご支持を頂きました。

  • 「久し振りに家族みんなで、リラックスして楽しめ、そして感動した」40代主婦
  • 「小5の息子は無条件に笑って喜んでいた」40代主婦
  • 「家族で楽しむ事ができました。とてもおもしろかったです」40代主婦
  • 「終始ビックリ、笑い、癒される2時間でした」30代主婦
  • 「子供からお年寄りまで、家族そろって見られる番組だと思いました」40代 アルバイト

以上のような好意的な反響も頂きましたが、今回のご指摘にあるようなご意見を頂戴した事につきましては真摯に受け止め、改めて今後の番組制作に反映させて参りたいと思います。

【「回答」に対する委員の主な意見】

  • 視聴者意見の中に、「局に問い合わせをしたところ”コブラの毒は抜いてある”と答えられたが、なぜ番組内でそのことを説明しなかったのか」とあったが、そのことについては「回答」に書かれていない。もう少し踏み込んだ答えがほしい。
  • 「回答」を読む限り、今回の指摘を受けてから映像元に情報確認をしているので、放送時には何も考えていないことが分かる。番組を見ている視聴者のことを考えて放送してほしい。

フジテレビ『FNS27時間テレビ』の「車のペンキ塗り」のコーナー

【青少年委員会の「回答のお願い」】

(1)このコーナーの企画意図、(2)「とりわけ児童の視聴に十分、配慮する」時間帯に放送されているが、子どもへの配慮はあったのか、(3)エコ活動の精神に反していないか、(4)車は2人のタレントの私物なのか?そうだとすれば了解はとったのか?

【フジテレビからの「回答」】

(1)について
今回の「FNS27時間テレビ」のテーマは「笑顔」。80年代のバラエティと、現代のバラエティとの融合を目指し、総合司会の明石家さんまさんが、27時間日本中に「笑顔」を提供しようという意図で放送致しました。その中でこのコーナーは80年代のリメイク版として企画されました。

(2)について
今回の「FNS27時間テレビ」は前述のように「笑顔」をテーマに全体が構成されています。このコーナーに限らず、番組全体を通して子どもから大人まで家族揃って楽しめるように配慮しておりました。また放送終了後には毎年「FNS27時間テレビ」の総括反省会が行われており、その中でもご指摘された同様の意見が出て、社内でも議論を致しました。当該箇所も安全面に関しては、充分に考慮しておりました。
しかしながら一部の視聴者より内容が過激ではというご意見を頂いたことに関しては、真摯に受け止めて、改めて今後の番組作りに反映させていきたいと思っております。

(3)について
内容に関しては、バラエティの演出の範疇と認識しておりましたが、今回エコロジー的観点からのご意見を戴いた事に関しては、貴重な意見として受け止めて、上記のご質問の回答同様今後の番組作りに反映させて参りたいと考えております。

(4)について
1台は私物であり、番組終了後、企画意図を理解され、了承していただきました。もう1台はタレント所有の同型の車を局が用意したものですが、当該タレントは放送終了までその事実を知りませんでした。

【「回答」に対する委員の主な意見】

  • 視聴者に対し「想像力やメディアリテラシーを発揮してくれれば制作意図が分かってもらえるだろう」といったところが見える。
  • 総括反省会で同様の意見が指摘され、社内でも議論したと書いてあるが、議論の内容を公開していく必要があるのではないか。
  • 車を使われたタレントが番組終了後に、企画意図を理解し了承したと書いてあるが、何をもって了承したのか分からない。

以上の2社4番組の「回答」については、各委員の意見を記載した審議内容を当該社に報告し、今後も類似番組を見守った上で、必要があれば「見解」あるいは「要望」といった形で公表していくことになった。

視聴者意見について

1.日本テレビ『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』

番組内で新しい罰ゲームを考え試しているバラエティーについて、「”テレビ業界初!©罰ゲームを考える”は何を考えて放送しているのか、判断できない子ども達が真似をするのではないか。見ていて心が苦しくなる」といった視聴者意見が寄せられた。

<委員の主な意見>

  • 罰ゲームの内容が笑いをとるというより、どれも過激で実際に怪我をするのではないかと思われる危険な内容を含んでいる。
  • 「事前にスタッフが安全を確認した」とテロップを入れているゲームもあるが、安全性が確認されれば放送できるというのは、論理的に無理がある。むしろテロップで表示することが必要と判断されるほど危険に見えることを予見し、視聴者に恐怖や不安を感じさせることは、制作側で織り込み済みであったと考えられる。
  • 青少年委員会が2007年の10月に『「出演者の心身に加えられる暴力」に関する見解』を公表しているにも関わらず、罰ゲームの創造性を競うような内容となっており、これまで罰ゲームの再考と検討を促している委員会見解への挑戦とも受け取れる。

以上の審議の結果、(1)この番組の企画意図は何か、(2)罰ゲームの具体的内容は、誰が、いつ、どのような経過を経て考案し、放映の是非が決定されたのか、(3)「罰ゲーム」をどのように考えているのか、(4)制作するにあたり、2000年11月『バラエティー系番組に対する見解』と2007年10月『「出演者の心身に加えられる暴力」に関する見解』についてどのように受け止め、配慮・検討はされたのか―について回答を求めることになった。

2.フジテレビ『スーパーニュース』内での保育園児へのインタビュー

千葉5歳女児死体遺棄事件の報道について「同じ保育所に通っている子どもにインタビューをしていたが、そういうことをする必要性はあるのか。学齢未満の子どもにインタビューする神経に疑問を持つ」といった視聴者意見が寄せられた。

<委員の主な意見>

  • 子どもへのインタビューは絶対に慎むべきとは言わないが、このインタビューの内容を見ても事件の真相を伝えるために必要不可欠な声とは思えない。どういう意味があるのか疑問だ。
  • 事件の悲しみを、同じ保育所の園児を通して表現したいのであれば、直接のインタビューではなく、他に描き方があるのではないか。
  • この事件では女児が着衣のない状態で発見されたことも大きく報道され、子どもを失った家族への配慮を欠く取り上げ方がされている中で、園児のインタビューが使用されている。友達を失った園児や被害者家族の心理状態についてもっと配慮すべきではないか。

以上の審議の結果、青少年委員会では、2002年3月に『「衝撃的な事件・事故報道の子どもへの配慮」についての提言』、2005年12月に『「児童殺傷事件等の報道」についての要望』を公表しているが、今回、委員会が特に検討を求めたい事項は「被害児童の家族・友人に対する取材に関して」で、特に、児童へのインタビューには慎重に期すよう要望を行っている点である。
(1)貴社及びニュース制作担当者は、上記の『見解』『要望』をどのように理解しているのか、(2)5歳児へのインタビューに関して、1)どのような判断と基準で実施したのか、2)何人ぐらいの子どもに、どのような取材を行ったのか?その中から、当該児童へのインタビューを放映した理由は何か?、3)死体遺棄の状態を繰り返し、センセーショナルに報道しているが、被害者家族への配慮についてどのような議論が行われたのか?―について回答を求めることになった。

3.その他

(1) 昼間放送の海外ドラマについて
昼間の時間帯に放送された人身売買を取り締まる捜査官が主人公の海外ドラマについて、「すさまじい内容で、子どもが見る可能性がある時間帯に放送するのは極めて不適切だ」という視聴者意見が寄せられ、審議した結果、子どもが見る可能性のある昼間の時間帯での暴力シーンや性的描写の多い映画やサスペンスドラマの再放送などについても、”配慮してほしい”との視聴者意見が寄せられているので、今後、編成などの問題についても考えていくことになった。

(2) パチンコCMについて
小田桐委員から「今月もパチンコCMについての視聴者意見が寄せられている。最近は子どもが見ている時間帯で、パチンコ機器メーカーの新機種のCMをよく目にするし、地方に行くとパチンコ店の新規オープンのCMも多い。青少年への影響を考え、委員会として各社のパチンコCMに関する現状をアンケート調査してはどうか」との発言があり、検討した結果、今後も継続して視聴者意見の動向を注視しながら、放送時間帯の配慮などについて議論を深めていくことになった。

中学生モニター報告について

2008年度後期中学生モニターの初めての報告について、委員から次のような意見が出された。

  • 『行列のできる法律相談所』の番組のコンセプトとズレてきているという意見や、一般視聴者から批判意見が多い『ブラッディ・マンデイ』が面白いという意見は、普通の中学生らしい感想で親しみが持てる。
  • 番組の選択と意見の中身にも多様性が出てきている。『オールスター感謝祭』で前年にけが人が出ているのに、かえって危険になっているという意見や、5歳幼児殺人事件のニュースでもっと遺族に配慮する必要があるという意見、『開運!なんでも鑑定団』の物に秘められた人生や歴史が分かるのが面白いという意見などは、しっかりテレビを見ている意見で感心する。
  • 純真な子が素直な意見を書いてくれていると思う。アナウンサーがよくかむし、服装が派手などという意見は、今さら言うまでもないと思い勝ちだが、的確な意見だと思う。
  • もっと肩の力を抜いた、くだけた意見でよいと思う。意見には正しい・間違いということはないのだから、自由に何でも書いてほしい。

    *中学生モニター報告は下記に掲載

中学生フォーラムについて

第8回中学生フォーラムは、12月26日(金)に「激論! ニュース番組」(仮)をテーマに、中学生モニター15人と在京テレビ6局のニュース報道系番組の制作担当者が参加し、東京・千代田区のルポール麹町で開催することになった。また、コーディネーター・橋元副委員長、司会・木場弘子氏(キャスター)のほか、ゲストに日本のビデオジャーナリストの先駆けである神保哲生氏(ビデオニュース・ドットコム代表、立命館大学教授)を招き、ニュースなど報道系番組の課題と期待について問題提起をしてもらうことを決めた。
なお、同フォーラムは、NHK教育テレビ『日曜フォーラム』で放送する予定。

■中学生モニター報告■

10月は、31人の2008年度後期モニターのうち30人から、34件(1人で複数件の報告あり)の意見が寄せられた。
このひと月ほどの間に見た番組についての意見を自由に書いてもらったが、分野別に見ると、バラエティー番組が最も多く18件、ドラマが10件、報道・情報系番組が4件、スポーツ番組と音楽番組が1件ずつだった。 局別では、TBS系が8件、日本テレビ系とフジテレビ系が7件ずつ、NHKとテレビ朝日系が3件ずつ、テレビ東京系が2件、またテレビ全般への意見が4件あった。

・バラエティー番組

バラエティーでは2件意見があったのは『行列のできる法律相談所』だけで、あとは1件ずつ別の番組などへの意見だった。  『行列のできる法律相談所』への意見は、「出演者全員で旅行に出かけ遊んで帰るという企画だった。何か法律に関係のある旅行や企画ならまだしも、番組のコンセプトとあまりにもかけ離れていて、チャンネルを変えた」、「なんだか前よりもトークの時間の方が多い気がするのです。視聴者の相談が、あまり取り上げられていないように私には見えます」などで、2件とも批判意見だった。
他に批判意見は6件で、『誰だって波瀾爆笑』に「正直私は元の『いつみても波瀾万丈』の方が良かったと思います」、『オールスター感謝祭超豪華!クイズ決定戦』に「前回けが人が出ているのに改善するどころかかえって危険になっていると思いました」、『クイズヘキサゴンII』に「クラスメイトの中には”おバカブーム”の悪影響として勉強しないという人が増えてきています。すべてとは言えませんが、一つの原因として”おバカブーム”があると思います」、『爆笑レッドカーペット』にも「スペシャル番組でたまにやってるのはおもしろかったけど、毎週やっているとだんだんあきてくる。それと東京と大阪では笑いのツボが違って、MCの人やゲストさんが大笑いしていてもまったくおもしろくない」、などの意見が寄せられた。また『バラエティー全般』について「”リアクション芸”などが増え、笑いの質の低下が起こっている」、そして『大食い・早食い番組』については、最近の事件を予測するかのように「食べ物を粗末にしているし、小さい子供がマネをしてしまい、事故がおきてしまう」、という意見もあった。
好評意見は5件で、『東京カワイイTV』には「NHKにしては、気軽、タイムリーで流行を分かりやすく教えてくれます」、『世界一受けたい授業』には「他のバラエティーと違ういい所があると思います。司会者の話よりも講師の話が長く、またその内容が濃いということです」、『青春アカペラ甲子園 ハモネプリーグ』には「皆で1つのものに向かっていく学生達の絆、笑い、涙がたくさんつまっていて、同世代の私にとっては、見ていてとても熱くなれる番組だった」、『開運!なんでも鑑定団』には「物の価値だけでなく物に秘められた人生や歴史がわかるところがおもしろいです」、『パネルクイズアタック25』にも「現在一般視聴者が参加できる唯一のクイズ番組だということを知りました。私個人としてはこちらの方が親しみやすさを感じます」、などの意見が寄せられた。

・ドラマ番組

ドラマ番組では『流星の絆』に3件、『ブラッディ・マンデイ』に2件意見があった。 『流星の絆』は「両親が殺されて、犯人に復習することを誓った兄弟の絆をシリアス で少し重い感じで描くのかなと予想していたけれど、どちらかといえばコミカルで、話の所々に面白さが散りばめられていて、笑って見ることができました」などと好評だが、「テーマがよく分からず、どういうジャンルなのか、全く分かりません」という指摘もあった。 『ブラッディ・マンデイ』も「誰もが信用できず、1人1人の行動に興味を持って見ていると、みんな怪しく見えてきました。だからこそ、私ははまったのです」などと好評だが、「ただ原作のマンガを読んだ人からすれば少し原作と役の雰囲気が違う役があったので、マンガの原作にもう少し合った人を選んで欲しかった」という要望もあった。 また『花ざかりの君たちへ』に「昨年の夏に放送していたドラマのスペシャル編でした。登場人物の設定の説明がほとんど無かったため、初めて見る人には分かりにくいドラマでした。また、見ていても一年前のことなど忘れていたので、説明をしないのは視聴者のことを考えなさすぎだと思いました」という意見が寄せられた。

・その他の番組

ニュース全般への批判意見が2件あり、「ロス事件の三浦さんが自殺した事件が気になりました。なぜ、日本で無罪になったのに年月が経って裁判のやり直しをしていたのかわかりません。ワイドショ-などは、筋道だてて教えてくれないのが不満です」、「最近、とても気になることがあります。番組のアナウンサーがニュースを読んでいる途中、よく、かむことです。あと、お化粧や服装がすごく派手で、ニュースよりも、そのことが気になる人もいます」、という内容だった。
NHKスペシャル『病の起源』には「すごく分かりやすく解説していたりしてストレスから腰痛がくることなどがよく分かりました。でももう少しバラエティーのようにおもしろいと、もっと見ていて楽しいと思います」という意見が、また『カウントダウンTVスペシャル』には「普段私達がなかなか見られない夜中の番組を、ゴールデンにやってくれるような、ステキな企画を、TV局のみなさんに考えてもらえたら、と思います」という意見が寄せられた。

11月のモニター報告は、テーマをニュースやワイドショーなどを中心にした報道系の番組(ドキュメンタリー番組も含む)とし、意見を聞く。

第93回 放送と青少年に関する委員会

第93回 – 2008年9月

視聴者意見について

中学生フォーラムについて …など

9月22日に開催した今年度第5回青少年委員会(通算93回)では、7月16日~9月10日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に、バラエティー5本、ドラマ4本、CM1本のVTRを視聴し、そのうち4本のバラエティーに関して審議した結果、当該局に「回答のお願い」を出すことを決めた。また、中学生フォーラムについて検討したほか、調査研究について報告があった。

議事の詳細

日時
2008年9 月22 日(月) 午後4時30分~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
大日向委員長、橋元副委員長、小田桐委員、軍司委員、是永委員、境委員、山田委員

視聴者意見について

1.フジテレビ『カスペ~地上最大のTV動物園』の「赤ちゃんVSコブラ」のコーナー

いろいろな動物の映像を集めた番組で、這い這いする赤ちゃんとコブラを闘わせる映像シーンに対し「家族団らんの時間帯にこのようなショッキングな映像は極めて不適切だ」「乳児を育てているお母さん方にショックを与えかねない」などの視聴者意見が寄せられた。

<委員の意見>

  • この映像を放送する企画意図はどこにあるのか。単に視聴者を脅えさせるためなのか疑問だ。
  • 視聴者にハラハラ、ドキドキさせる演出だろうが、コブラの毒や牙を抜いてあるのならきちんと言うべきではないか。
  • 「この後、赤ちゃんはどうなったのか」という終わり方をしているが、あまりにも無責任で不適切ではないか。見ている視聴者の不安を煽るだけだ。

以上の審議の結果、(1)このコーナーの企画意図、(2)「とりわけ児童の視聴に十分、配慮する」時間帯に放送されているが、視聴者、特に子どもたちに不安を与えるのではないか、という危惧はなかったのか、(3)毒や牙を抜いてあったのか?抜いてあったとすれば、それを明言しなかったのはなぜか?- について回答を求めることになった。

2.フジテレビ『FNS27時間テレビ』の”車のペンキ塗り”のコーナー

タレントの車に本人の了解なくペンキを塗り、その車でスタジオ内を走り回ったコーナーに対し「物を壊したり、ペンキをかけることで笑いをとるのは、いくらお笑い番組でも常識の範疇を超えている。あまりにも過激な行為で子どもが見る時間帯に放送すべき内容とは思えない」といった視聴者意見が寄せられた。

<委員の意見>

  • 時間帯を考えると、いくらバラエティーとはいえふざけ度が度を越していて、やりすぎではないか。
  • ペンキを塗りたくるふざけ方も問題だが、それ以上にスタジオ内で車を暴走させたほうが、危険性からしてはるかに問題だ。安全性への配慮はどのようにしていたのか。
  • 車は司会タレントのものと思わせる演出であったが、本当にそうなのか。私物だとすれば器物損壊罪にあたるのではないか。もし局が用意したものだとすれば、やらせになるのではないか。
  • テレビ局は日ごろエコについて報道しながら、高級車を粗末に扱うことはその精神に反するのではないか。

以上の審議の結果、(1)このコーナーの企画意図、(2)「とりわけ児童の視聴に十分、配慮する」時間帯に放送されているが、子どもへの配慮はあったのか、(3)エコ活動の精神に反していないか、(4)車は2人のタレントの私物なのか?そうだとすれば了解はとったのか?- について回答を求めることになった。

3.TBS 『リンカーン 真夏の芸人大運動会』の「手作り弁当タイム」のコーナー

出演者が作った弁当を紹介するコーナーで、司会者の1人が女性芸人の後ろから胸をわしづかみにし揉む行為があったことに対し「女性芸人はおそらく上下関係があるため、反発できなかったのではないか。セクハラまがいの行為だ。夏休み中であり、子どもも一緒に見ていて非常によくないと思った。このようなシーンを放送してもいいのか疑問を感じる」といった視聴者意見が寄せられた。

<委員の意見>

  • 出演者同士は了解済みなのかもしれないが、テレビで放送するのはやりすぎではないか。
  • 22時台の放送とはいえ、夏休みでもあり子どもも見ている時間帯なので、配慮が必要ではなかったか。
  • 視聴者意見に”セクハラ”とあるが、この行為はその範囲を超えており、公共の場であれば強制わいせつ罪にあたるのではないか。

4.TBS 『リンカーン』の”ゴムパッチン”のコーナー

お笑い芸人にゴムをくわえさせ、そのゴムを遠くまでひっぱって放し、相手の顔にパチンと叩きつけるというコーナーに対し「こういうことは子どもたちがすぐ真似をする。危険だし、いじめを助長する」という視聴者意見が寄せられた。

<委員の意見>

  • 身体的危害を加えて笑いを取るという発想はいかがなものか。
  • ゴムが当たって痛がっているのは演技かもしれないが、視聴者からすれば本当に怪我をしているのではないか心配になる。
  • このコーナーは、子どもからの手紙を前提にしているが、子どもへの配慮はなかったのか。

以上の審議の結果、上記3、4については、放送日は違っても同じ番組でのことであり共通の質問として、(1)このコーナーの企画意図、(2)子どもへの配慮はあったのか、特に”ゴムパッチン”については、子どもが真似をする可能性、また危険性について考慮したのか、(3)青少年委員会では2000年11月に『バラエティー系番組に対する見解』を、さらに2007年10月に『「出演者の心身に加えられる暴力」に関する見解』を公表しており、「出演者に加えられる暴力」と「性的表現」に関して検討するよう要望を出しているが、これらの見解をどう受け止めて制作したのか- について回答を求めることになった。

上記4番組の「局からの回答」に対しては、次回委員会で審議したうえで報告することになった。

中学生フォーラムについて

第8回中学生フォーラムについて、開催日は12月26日(金)、場所は東京・千代田区のルポール麹町で行うこととし、司会については前回同様に木場弘子氏(キャスター)を起用することを決めた。テーマについては、中学生モニター会議でも取り上げた「ニュース、情報、ドキュメンタリーなどの報道系番組」とし、中学生モニターたちが制作者に意見をぶつけるこれまでの内容を継続しつつ、ゲスト講演者を招くなど新しい試みを行うことになった。
また、今回のフォーラムは、橋元副委員長を中心に大日向委員長、軍司委員のワーキンググループを組織し、さらに企画・構成を詰めていくことを決めた。

調査研究について

橋元副委員長から今年度の調査研究の進捗状況について、「今回は、16歳から24歳までの若者を対象とし、平日2日、休日1日のテレビの見方についてアンケート調査を行う。アンケートは、番組表を基にテレビ番組の満足度、誰と、何をしながら、集中度などのほか、ワンセグ、ユーチューブなどの動画配信の利用などについても回答を求め、前回の調査より量を拡大し、300強のサンプル回収を目指している。また、アンケートと並行して映像メディア(DVR、VOD、ワンセグ)別ユーザーのグループインタビューとケータイでのランダムなアンケートを実施する」との報告があった。

中学生モニター報告

9月は27人から、30件(1人で複数件の報告あり)の意見が寄せられた。

今月もこのひと月ほどの間に見た番組についての意見を募集したが、分野別に見ると、バラエティー番組が最も多く15件、ドラマが7件、ドキュメンタリーが3件、報道系番組とアニメ番組が2件ずつ、ラジオ番組が1件だった。
局別では、日本テレビ系が12件、フジテレビ系が6件、TBS 系が5件、テレビ朝日系が3件、NHK が2件、テレビ東京系とニッポン放送が1件ずつだった。

・バラエティー番組

バラエティーでは、『高校生クイズ』と『24時間テレビ』に3件ずつ意見が寄せられた。『高校生クイズ』は以前から楽しみに見ているという2人から、「今年は知力の戦いのみで『高校生クイズ』らしさが少なかった」、「今回も、難しいけれど面白いクイズばかりで楽しめました。でもせっかく楽しみにしている人に予告で本編を放送するなんて。私はこれを見て、決勝戦で応援している高校は負けたのだと思いショックでした」という批判があった。もう1人も「難しい問題を解いていき凄いと思いましたが、問題が終わった後の解き方など教えてはくれないし、見終わってから、自分のためになったのかよく分かりませんでした。又、偏差値が”高い・・・”などと言っていましたが、学歴がすべてではないと思います。28回も続いているのだし、もう少し考えて番組を作ってほしい」という意見だった。 『24時間テレビ』は賛否両論があり、「24時間以上やっているのにもかかわらず内容が充実していて飽きることがありません」、「体のどこかに障害を持った方が頑張って挑戦している姿を見ると、私も勇気づけられて頑張ろうと前向きな気持ちになれます」という好評意見と、「番組の観覧に来ているお客さんのさけび声がうるさくて、見ている側としては、大変不快です」、「バスケットゴールまでの距離の世界記録に挑むという様な内容のコーナーをやっていました。番組の趣旨であるチャリティーとはあまり関係無い事をして24時間つなぐ位なら、別に24時間、テレビを放送しなくても良いです」という批判意見が寄せられた。 また『リンカーン』には、「”ゴムパッチン”が何メートルまで正確に顔に当たるのか検証するというコーナーがありました。内容は50mくらい伸ばしたゴムを芸人の顔に当てたりしていてとっても危険だと思います。現に体にあざができたり、口から血が出たりしていました。そういう危ない事をテレビで流すのはやめてほしいです」という批判意見があった。

・ドラマ番組

ドラマでは『コード・ブルー』に3件、『魔王』に2件意見があった。『コード・ブルー』は好評で、「マンガが原作のドラマと違って、ありえないようなことが無かったので、現実感があった」、「最終回に近づくにつれておもしろくなってきた。人間関係のドラマがあったり、研修医たちの心の変化が表現されるようになって共感できた」などの意見だった。
『魔王』は先月の意見も含め概ね好評だが、1件「最後に気になる感じで終わらせておいて、この真相はDVD-BOXの映像特典で!というDVDを売ろうとするずるいテレビ局の販売戦略で最後にこのドラマをぶち壊してしまったのが残念です」という批判があった。

・その他の番組

『モクスペ~小さな命を救え!闘う4人の小児外科医たち~』は「こういう感じの番組があるときには出来る限り見るようにしている。なぜなら、こういう番組を見ることで命の大切さについて学ぶことが出来るのではないかと思うからだ」と、『鳥人間コンテスト』も「この番組を見て良かったと思います。自分のこれからの生活、勉強や部活動に通じる大切な物が、みつかりました。それは、あきらめない事の大切さ、チームワークが作り出す力のすごさです」と、好評だった。
また『週刊こどもニュース』には「事故米について、他のニュース番組ではここまでわかりやすく解説されていませんでした。模型を使って解説してくれるのでわかりやすいです」という意見が寄せられた。

今回が前期モニターの最後の報告となった。後期モニター31人の初めての報告となる10月は、ひと月間ほどの間に見た番組への感想・意見・批判を自由に書いてもらう。

休会

休会 – 2008年8月

中学生モニターについて

例年8月は青少年委員会が休会のため、委員会に寄せられた視聴者意見と中学生モニターからの意見は、9月委員会で審議される。なお、8月分中学生モニター意見の概要は下記のとおり。

中学生モニターについて

今月は29人から、31件(1人で複数件の報告あり)の意見が寄せられた。
今月もこのひと月ほどの間に見た番組についての意見を募集したが、分野別に見ると、ドラマが最も多く11件、バラエティー番組が8件、北京オリンピック中継についてが5件、報道系番組が3件、そしてドキュメンタリー・情報系番組・アニメ番組・音楽番組が1件ずつだった。
局別では、フジテレビ系が9件、TBS系が7件、日本テレビ系が4件、テレビ朝日系が2件、テレビ神奈川と朝日放送が1件ずつ、1局に収まらない番組分野全般への意見が7件だった。

・ドラマ番組

ドラマで複数意見があったのは、『33分探偵』と『魔王』で、4件と2件だった。『33分探偵』は「たとえ5分で解決できる事件でも、33分もたせる、そんな変な推理ドラマで、逆の発想にとても驚きました。でも、最後まで探偵の推理が当たっているのかわからない、という点できちんと推理ドラマだなぁ、と感心しました」、「今まで夜中のバラエティーにしかなかったあの特有のゆるくてぐだぐだな感じが全面からにじみ出ていて、とても新鮮味がありました。このドラマは新境地を開いたと思います」などと好評だった。『魔王』も「嵐の、大野智さんの初主演ドラマです。他のドラマもあまり出ていない大野さん的には、翳りがあって口数の少ない主人公は、非常に好都合な役柄だったのではないでしょうか」、「ストーリーは一回でも見逃してしまうと分からなくなってしまうくらい、毎回毎回の内容がとても充実しています。そして、毎回毎回予想を裏切ってくるのも面白いです」と好評だった。
またお昼過ぎの帯ドラマ『大好き!五つ子2008』には、毎年夏には必ずこの番組を見るというファンから、「毎年、年が経つごとに面白くなってきています。コメディーのドラになっています。しかし、出演者の演技が下手です。それがとても気になります」という意見があった。

・バラエティー番組

バラエティーでは、批判意見があったのは『27時間テレビ』に2件だった。「私にとっては少し退屈な番組でした。なぜかと言えば、まず特に企画がないということです。そして次に、出演者の人たちの間のみで話が盛り上がってしまい、視聴者にとっては退屈だし何だかよく分からなくなる、ということなのです」、「今年の27時間テレビは最悪でした。2日目の夜、『めちゃイケ』のコーナーです。北野たけしがナインティナインの岡村さんや司会の明石家さんまさんの愛車に落書きをしたり、車の上に車を乗せるなどのシーンを見て、楽しいと思えた人はどれだけいたでしょうか」というものだった。

・北京オリンピック中継について

好評意見は「良い結果のニュースだとしても、悪い結果のニュースだとしても、明るくなる」、「迫力ある映像はとてもすごいです。その会場の熱気が届きそうなくらいです」の2件で、批判意見は「ゆるせないのは、マスコミが、選手に期待をかけすぎていること。もっと選手の心を考えオリンピック中継をしていただきたい」、「とにかく同じ場面を繰り返しすぎているのである。金メダルとなればずっとそのレースやインタビューを繰り返し放送している。これでは視聴者が不快に思ってしまうのではないかと思う」、「開会式を3、4回再放送していたが、踊りや歌は正直どうでもいい、何回も流すものではないと思う」、「国際映像のテロップについて、NHKは国際映像をそのまま使っているが、読み慣れていない英語だけでも日本語にしてもらいたい」など4件だった。

・報道番組

報道番組では、オリンピック報道に関連して「なぜ、事故や事件があるのにそれを削ってまでオリンピックの事を放送するのでしょうか?また、中国のギョウザ事件など、その後の政府の対応についてはどうなったのでしょうか?」という意見があった。また『NEWSリアルタイム』の、大食いタレントが記録に挑戦するコーナーで、完食したお皿の枚数を水増ししたことが発覚したニュースに関して、「テレビ局の、数え方の認識が個人個人で異なっていたため事実とは異なる枚数になってしまった、という説明はちょっと信じられない。たくさんの人が見る時間帯の番組なので“事実”を放送しないといけないと思います」という意見も寄せられた。

・ドキュメンタリー番組

『原爆-63年目の真実-』には「日本は世界で唯一の被爆国であり、その苦しみを知る人は年々少なくなってきている。マスコミは、戦争について、原爆について、もう少し伝える必要があると思う。この番組では、被爆後の長崎で、米軍が撮影した少女にスポットを当てていたのだが、そういう視点に立った番組は珍しいなと思ったが、1時間もそれを取り上げているのは長すぎるのではないか、と少し違和感を覚えた」という意見が寄せられた。

9月のモニター報告は、このひと月ほどの間に見た番組の感想・意見・批判など。これが今年度前期モニターの最後の報告になる。

また7月26日(土)に開催した「中学生モニター会議」(テーマは、ニュースやワイドショーなどを中心にした、報道系の番組について。全国の中学生モニター16人と青少年委員6人が参加)の報告書を制作中。9月下旬までに完成予定。

第92回 放送と青少年に関する委員会

第92回 – 2008年7月

視聴者意見について

中学生モニター会議について …など

今年度第3回青少年委員会(通算92回)では、6月17日~7月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に審議したほか、7月26日開催の中学生モニター会議の検討の後、中学生モニター報告について審議した。また、調査研究について報告があった。

議事の詳細

日時
2008年7月22日(火) 午後4時30分~7時20分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室
議題
出席者
大日向委員長、橋元副委員長、小田桐委員、軍司委員、是永委員、境委員、山田委員

視聴者意見について

(1)放送前の新ドラマについて

8月から放送される新ドラマについて、「夜8時という子どもが容易に見られる時間帯に放送する内容なのか疑問だ」「性描写が懸念される」など、放送前から青少年への影響を危惧する視聴者意見が寄せられ、委員からは次のような意見が出された。

  • これから始まるドラマについて、たくさんの意見が来るのは、インターネットで話題になったりして、それに刺激されているからではないか。
  • オリジナルドラマだと先の展開は分からないが、このドラマはケータイ小説から始まり映画もヒットした。レイプやセックス、妊娠といった内容が問題だから批判の意見が寄せられているのではないか。
  • モラルから言えば問題と思われる内容と分かっていながらドラマ化することには疑問がある。
  • いろいろ背景はあるが、話題になったケータイ小説や漫画をドラマ化することは安易としか言いようがない。テレビにとってオリジナルドラマが少なくなっていることは問題だ。
  • 連続ドラマは続いていく中に起承転結があって、最後まで見ないと判断がつかない部分もあるのではないか。
  • 映画館に行ってチケットを買って見るのと違い、テレビは誰でも見られるから影響力もあるだろうが、始まってもいないうちから批判するのには疑問がある。

以上の審議の結果、放送前のドラマでもあり、各委員が放送を見たうえで青少年に与える影響について考え、問題があれば今後、議論していくことになった。

(2)バラエティー番組について

バラエティーのコーナー企画で、出演者のサックスを本人に許可なくシャワーヘッドにしたことについて、「本人が悲しんでいるのにほかの出演者が笑っていた。いじめを助長する」「楽器を演奏する人や作る人を冒涜している」といった意見が寄せられ、委員から次のとおり発言があった。

  • 演出の部分もあると思うが、見ている子どもたちは本当のことだと思ってしまうのではないか。事実かどうか知りたい。
  • バラエティーに関しては、日常的に批判の意見が数多く寄せられるので、大きな問題で見解を出していくより、個々の番組について局に言っていくことを改めて議論してもいいのではないか。
  • 見解などを出した後に、同様の問題が出てきた場合は、個別の番組の問題点を指摘しながら、局側がどう対応しているかフォローしていくことも必要ではないか。

以上の結果、個々の番組への回答要請などを含め、今後も引き続き議論することになった。

(3)子どもへのインタビューについて

教員不正採用に関する報道の際、関係する学校の児童にインタビューしたことについて、「幅広い意見が必要なのは分かるが、教育的倫理観を無視している」といった視聴者意見が寄せられ、委員からは次のような意見が出された。

  • 子どもへのインタビューに関しては、配慮を求める要望を出しているが、依然として守られていないので残念だ。
  • 一般的な子どもの意見として、世の中の仕組みや教育について聞くならいいが、問題となっている地域の学校の子どもに対してインタビューした場合、その子どもへの不利益やプレッシャーを考えると、個人が特定できるかたちでは放送すべきではない。
  • 現場の記者の意識が希薄なのか、あるいは委員会の要望が広く周知されていないのか疑問を感じる。
  • 報道の必要があれば、子どもにもインタビューをしていいと思うが、それをどういうかたちで放送するか現場で十分議論してほしい。

中学生モニター会議について

7月26日(土)に開催する中学生モニター会議について、当日は大日向委員長が進行役を務め、ニュースやワイドショーなどを中心にした報道系の番組についてのモニター報告を基に、青少年委員会委員と中学生モニター(16人)が話し合うことを決めた。また、意見交換の前にモニターに対し、放送局の報道の仕組みやニュースの編成などについて説明を行うことも決めた。

なお、当日の記録は概要を冊子にまとめ、加盟各社に配付することになった。

中学生モニター報告について

中学生モニター報告(7月分)について、委員からは次のような意見が出された。

  • 大食い番組への批判や病院の待合室で黒人女性が亡くなったニュースへの評価などは中学生の健全な感受性が伝わる。
  • 『ひみつのアラシちゃん』で「いろいろな職業の裏側の秘密を探る企画があるが、番組が一方的に決めず、視聴者から募集したらみんなが知りたい秘密がわかり面白くなる」という意見なども前向きで評価できる。
  • ニュースのその後が知りたいという意見は放送局も耳を傾けて欲しい。
  • 複雑な気持ちで中学生モニター報告を読んでいる。意見はシャープだが、例えば「数字がとれる」など制作者っぽい言葉が良く出てくる。自分たちがいかにメディアの影響を受けているか、相対視することも必要だと思う。

調査研究について

橋元副委員長から今年度の調査研究について、「前回の調査は、小中学生へのインタビューを中心にしたものだったので、今回は年齢を上げ、16歳から24歳ぐらいまでの若者300人を対象に、テレビの見方やほかのメディアとの関係をアンケート等の方法で調査することを検討している。なお、調査内容を検討するにあたり、最近のメディア事情に詳しいNHK、民放の協力者を交え、さらに検討を進めていくことになった」との報告があった。

中学生モニター報告〔7月分〕

今月は30人から、33件(1人で複数件の報告あり)の意見が寄せられた。

今月はこのひと月ほどの間に見た番組についての意見を募集したが、分野別に見ると、ドラマが最も多く14件、バラエティー番組が7件、情報・討論番組と報道系番組が6件ずつだった。

局別では、フジテレビ系が10件、日本テレビ系が9件、TBS系が5件、テレビ朝日系が3件、NHKが1件、1局に収まらない番組分野全般への意見が5件だった。

・ドラマ番組

ドラマでは、2件ずつ意見があったのが、『ホームレス中学生』『シバトラ』『ROOKIES』だった。

『ホームレス中学生』は「正直、衝撃的だった。ここまで壮絶だとは思っていなかったから。ただただ感動した。最近、上っ面なドラマが多い中で、これは麒麟・田村さんの中学生時代にあった本当の話を元にしたドラマなのでとても真実味があった」などと好評だった。『シバトラ』は賛否両論で、「漫画が原作ということもありリアリティーという点ではどうかな、とも思いますが、自然に受け入れられる展開だったので良かったです」という意見と、「話の流れもなんだか無理矢理な気がしました。最初はコメディーっぽくて普通に見ていましたが、内容はどんどんDVや売春、主人公が虐待を受けたりいきなりオカルトな内容が入ってきたりして、まとまりがない」という意見があった。『ROOKIES』は「先生の生徒を信じる姿に感動しました。こんなに信じてもらったら裏切ることは出来ないと思います。見終わった後必ず、自分の中にむくむくとやる気を感じました」などと概ね好評だが、「ドラマは毎週やっているのに、このドラマは1週なかったり、2週なかったりと不規則です。2週間も見ないでいると話の内容を忘れてしまうし、楽しみにしている人にとってはすごく残念」と編成が不評だった。

他にも2つの終了したドラマに対照的な意見が寄せられた。『ごくせん』への意見は「中途半端に卒業もしないで終わりなんて少し、ガッカリです」というもの、『CHANGE』へは、「ドラマのテーマが“政治”であり、ストーリーに意外性があり、見ていてあきない久しぶりに“来る”ドラマであると思えた」という内容のものだった。

・バラエティー番組

バラエティーでは、6本の個別番組とバラエティー全般について、すべて1件ずつ意見が寄せられた。

好評だったのは『世界一受けたい授業』と『探偵!ナイトスクープ』で、それぞれ「他の“雑学モノ”の番組に比べ、内容が非常に濃く、CMの入れ方等構成のしかたがうまい」、「芸能人の人が探偵となり視聴者から寄せられた、課題を解決するというものです。ゴールデンタイムに放送してもいい内容ではないかと思います」という意見だった。

不評意見は2件で、『いきなり黄金伝説』に、「大食いのコーナーが毎回とても不愉快です。なぜ“おいしい”を通りこして“きもちわるく”まで食べる番組が成り立つのか」という意見が、バラエティー番組全般については、「私が思うことは、ろくなことをやっていないなということです。例えば『めちゃイケ』の罰ゲームで、禁煙デーにちなんで、タバコを吸わずにどれだけいられるかというのをやっていました。タバコを吸うためには、ビンタをされないといけないのです。きっと視聴者のウケを狙ってやっているのだと思いますが、全然笑えなかったりします」という意見が寄せられた。

・情報・討論番組

好評だったのは『サンデーモーニング』と『噂の東京マガジン』で、それぞれ「ニュースを説明するときに用いる道具が全て手書きなところだ。どこか温かさを感じるし、中学生の私にも分かりやすい」、「最新の情報を取り入れて視聴者の心をぐっとつかみながらも重要な情報を報道する、他にも、他の番組では報道していない情報もあって本当にいい番組だと思います」などという意見だった。また「某野球選手と某女性タレントの不倫騒動」の扱いについて、「わざわざ何度も、時間を割いて伝える意味はないと思います。それよりも、もっと伝えなければいけない情報があるはずです。本当に最近の報道・情報系番組を見ると呆れます」などという批判意見が2件あった。

・報道番組

報道番組では『ズームインSUPER』『NEWSリアルタイム』『NEWS ZERO』が好評で、『リアルタイム』には「アメリカの病院で、待合室にいた黒人女性が倒れても周りの人たちは無視していて、その女性はついに死んでしまった。無視された理由は、黒人だからでした。こういうニュースを取り上げて放送してくれるのはとてもよい事だと思います。また事件が解決してもその事件のあとどういう対策ができたのか、またこういう事件によって何が変わったのかというような事も是非ニュースにして欲しいと思います」という意見が寄せられた。

『クローズアップ現代』には、「一般のニュース番組よりも深くいろいろな視点から解説も行われる。この解説は、その問題に詳しい人が出演して行うが、時としてその人個人の考え方も入っているような気がしてならない。一方的に考えを述べるのは止めてほしい。かといってNHKの関係者が出演すると、あやふやなひかえめな発言しかしないこともあり、何の利益にもならないので困る。何かうまく中間地点のような物が作れないか、検討していただきたいです」という意見も寄せられた。

2008年度中学生モニター会議

中学生モニター会議は、7月26日に全国から中学生モニター16人が参加して、千代田放送会館7階会議室で開催され、進行役を務めた大日向委員長はじめ6人の青少年委員と活発な意見交換が行われた。

テーマはニュースやワイドショーなどを中心にした報道系の番組について。報道番組を見る人・見ない人その理由から始まり、NHKと民放のニュースの比較、どんなニュース番組が好きか、秋葉原事件や最近の事件報道で感じたことなどに話が進んだ。

最後に、このモニター会議の感想を書いてもらうことと、軍司委員からの提案で、ニュースの裏側を知る必要があると推薦があった2本のドキュメンタリー番組のDVDを視聴して感想を書くことの2つが宿題として出された。

そして会議の後、中学生モニター全員と保護者、青少年委員3人も参加し、TBSの報道スタジオなどの社内見学を行った。

第91回 放送と青少年に関する委員会

第91回 – 2008年6月

テレビ報道の現状について

中学生モニター会議について …など

6月24日に開催した今年度第3回青少年委員会(通算91回)では、継続審議としている報道のあり方に関して議論を深めていくため、テレビ報道の現状について勉強会を行った。このほか、7月26日開催の中学生モニター会議について検討した。

議事の詳細

日時
2008年6月24日(火)
場所
放送倫理・番組向上機構(BPO)第1会議室
議題
出席者
大日向委員長、橋元副委員長、小田桐委員、軍司委員、是永委員、境委員、山田委員

テレビ報道の現状について

報道のあり方に関しては、視聴者意見を基に議論を進めて来ているが、委員から「ただ報道姿勢の批判をするだけではなく、青少年への影響について放送局とともに考えるため、委員会としてテレビ報道の現状を知っておく必要があるのではないか」という意見が出され、テレビ報道の現状について、民放の報道局OBの方を囲み勉強会を行った。その結果、今後、報道現場の担当者と話し合う機会を持つこと等を検討することにした。

中学生モニター会議について

7月26日(土)に開催する「中学生モニター会議」のテーマを、ニュースやワイドショーなどを中心にした、「報道系の番組について」とし、青少年委員会委員と中学生モニター(全国から16人が参加予定)が話し合うことになった。

中学生モニター報告〔6月分〕

今月は31人から、38件(1人で複数件の報告あり)の意見が寄せられた。今月は報道系番組について意見を募集したが、30件がその報告だった。その他、情報・討論番組に3件、ドラマに2件、バラエティーとアニメとドキュメンタリーに1件ずつ意見が寄せられた。

局別では、日本テレビ系が9件、フジテレビ系が6件、TBS系とNHKが3件ずつ、テレビ朝日系が2件、そして報道系番組全般への意見が15件となっている。

・報道系の個別番組

個別の番組への意見は15件だが、最も多かったのは『NEWS ZERO』への4件、『週刊こどもニュース』と『めざましテレビ』が3件ずつ、2件が『ズームイン!!SUPER』、1件ずつ意見があったのが『真相報道バンキシャ』『みのもんたの朝ズバッ!』『プレミアA』だった。

『NEWS ZERO』は「朝からの事件を時間をおっての放送の形式がとてもわかりやすいです。他にも良いと思うことは、キャスターです。嵐の櫻井 翔くんだとニュースにも興味を持つことができます。それに、身近に感じることができます」などと好評だが、“櫻井くん”について「棒読みでしかもかんでいて見ているこっちが恥ずかしくなってしまった」という意見も1件あった。

『週刊こどもニュース』は「子どもとお年寄りにやさしいニュ-スで、いいところは世界にもしっかりと目を向けているところです。いつだったか、外国のどこかの国の子ども達は勉強したくても働かないといけなくて勉強できないことを知りました。私よりずっと小さい子ども達が働いている映像をみました。心が痛くなりました。その子達に何もして上げれないけど、私も一生懸命生きようと思いました」などと好評だった。3件とも「他のニュースは言葉や内容が難しく、また堅苦しいのであまり見ない」というモニターからの報告だった。

『めざましテレビ』も「他のニュース番組のようにかた苦しくなく、それでいて最近の流行などの情報を取り入れていて、すごく面白いと思います」と好評だった。

『ズームイン!!SUPER』も、「たくさんコーナーがあるので面白い。また、他局よりニュースの説明がわかりやすい」などと好評だった。

注文があったのは『みのもんたの朝ズバッ!』と『プレミアA』で、内容は「取り扱っているニュースにかたよりがあり、年齢層も比較的高めを意識していて、あまり子ども向けに作られていない」、「女3人でギスギスするなら、若手男性アナを中和剤でいれればいいのに、とか思いますが・・・」などという内容だった。

・報道系番組全般

報道系番組全般では、賛否両論と批判の意見がほとんどで好評意見はなかった。

その中で、最近起こった秋葉原の事件に関する意見が4件あったのが目立った。2日にわたって報道をチェックして、「2日目の夕方になると、違いが出てきた。容疑者について報道する局、秋葉原の危険性について報道する局、亡くなった方の親族のインタビューも加わった。1つの事件に対する各局の対応の仕方にこれ程差が出るとは思わなかった」という報告も寄せられた。また批判意見としては、「非常に衝撃的な映像が流れました。何度も何日も見せられると、いやな気持ちになる。ワイドショーであおっているのではないかと思ってしまいます」、「事件直後の被害者の映像や写真を出し、流血した様子などをプライバシーもなく放映する。子どもにもよくないし、あまり刺激をあたえる映像はひかえてほしいです」、「犯人の実際の写真、卒業文集、弟・近所の方の証言などもあった。いくら重い罪を犯した人だとは言え、普通の人と同じようにプライバシーはあるはずです。必要のないものまでをおおっぴらにテレビで放送するのは少し・・・と言った感じもします」などがあった。

また、報道番組の現状を多面的に批判する意見が5件寄せられた。「大きなニュースが発生するとニュースは局を問わずにその話題一色になり、2~3週間もすると全くそのことを報道しなくなる傾向がある」、「最近の報道を見ていて思うことは、自殺や殺人のニュースが多いということです。たしかに、事実を伝えることはとても大事なことですが、報道を見てまねをする人が出ないように工夫する必要があると思います」、「“CMの後は○○です”などと言いCMに入ることがありますが、その後一旦違うニュースを取り上げ、そして予告したニュースに行くことが良くあります。これは視聴者を騙していると思います」、「本当の事件のVTRをドラマ仕立てにし、そのナレーションまで、それらしく再現していて、被害者をいたむ気持ちがあまり感じられない」、「民放のニュースは占いや特集が多いと思う。特集には最近のニュースに関連したものもなくはないが、多くは今やる必要はないのではないかというものだ。これはおかしいと思う」。

報道のあり方についても、「“報道”と“数字(視聴率)”は結びつけてはいけないと思う。なぜなら、正しいことを正しく視聴者に伝えるのが報道であり、マスコミの役目であると考えるからである」、「それぞれの局で“ウチは他の局とは違うんだ”というところをもっと出した方がよいと思う」等、2件の意見が寄せられた。

さらに「私はニュースを1日7番組ほど見ています。なぜ、そんなに見る必要があるのか(?)といわれたら、各番組によって取り上げているニュースは違うし、視点も違うからです。事実を知らなければいけないのに、その事実すべてが報道されているかといえば、違うと思います」というメディアのあり方自体を考えた意見もあった。

7月のモニター報告は、いつものようにこのひと月ほどの間に見た番組の感想・意見・批判などとした。

ただし、7月の中学生モニター会議で「報道系の番組について」をテーマにしているため、今月も報道系番組への目配り・報告も依頼した。

第90回 放送と青少年に関する委員会

第90回 – 2008年5月

視聴者からの意見について

中学生モニター会議について …など

5月27日に開催した今年度第2回青少年委員会(通算90回)では、4月15日~5月18日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に審議したほか、今年度の中学生モニター会議について検討した。また、調査・研究について報告があった。

議事の詳細

日時
2008年5月27日(火)
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
大日向委員長、橋元副委員長、小田桐委員、軍司委員、是永委員、境委員、山田委員

視聴者からの意見について

(1)男児ポルノについて

「子役時代に出ていたテレビドラマでの裸の映像を、インターネットで悪用されている」という視聴者意見が寄せられ、委員会では、公表した「注意喚起 児童の裸、特に男児の性器を写すことについて」には、”テレビで放送された児童の裸体が、インターネットで悪用されたという確証は得られておりません”としていたが、このように実例があったことで、改めて男児の裸の扱いは、今後も慎重に見守っていこうということになった。

(2)最近の報道について

女子高生殺害事件や硫化水素自殺の報道について、「文集を公開するなど、被害者の人権を侵している」、また「自殺の方法を教えているようなものだ」という批判意見が視聴者から寄せられ、委員から次のような意見が出された。

  • 女子高生が被害者になった事件では、必要以上の情報が報道されているように思える。こういったことは絶えず繰り返されているが、放送局の報道姿勢を問うことを考えてもいいのではないか。
  • 被害者の生前の映像や文集を放送することは、遺族や関係者のメディア不信を招くのではないか。2005年に青少年委員会が発表した『「児童殺傷事件等の報道」についての要望』にある”プライバシーおよび家族の心情に配慮する”が生かされていないので、もう少し慎重に報道すべきではないか。
  • いじめによる子どもの自殺の連鎖が起こった時に、委員会でも報道のあり方について議論し、要望は出さなかったものの自殺報道の行き過ぎを指摘してきたが、今回の自殺報道を見ていると、委員会で議論されたことが放送局に届いていないようなので残念だ。
  • 報道の方法を考えなくてはいけないのではないか。硫化水素自殺では当事者だけでなく、周辺の人たちへの危険については報道しているが、自殺を防止するような報道があってもいいのではないか。また、WHOの「自殺の予防―メディア関係者向け手引き―」などを放送局は考慮しているのだろうか。
  • 加害者の情報として発達障害などの病名を報道していることがあるが、こういった病気の具体的なことに関しては、専門家でも慎重な議論をしなくてはいけないことだけに、病名だけが出てくることが気になる。
  • 事件報道は各メディアとも競争して取材をしている。そのため現場の記者たちは必死になってやらざるを得ないので、情報が詳細になってしまうのではないか。

以上の審議の結果、報道のあり方については今後も継続して議論していくことになった。

(3)ラジオ番組について

ラジオの番組内でセックスを話題にすることに対し、視聴者から批判的な意見が寄せられ、委員からは次のとおり発言があった。

  • ラジオ番組については、委員会ではいままであまり問題にしてこなかったが議論は必要ではないか。
  • 昔の深夜放送は、政治や社会を風刺したり、刺激的できわどい内容もあったが、若者達にとっては”解放区”だった。あまりラジオに対して目くじらを立てるのはどうかと考える。
  • 昔も今も番組の内容は変わっていないと思うが、聴取者の受け取り方が変わったのではないか。ラジオは元々パーソナルなメディアでテレビとは違う接し方を持っている。ラジオの特性が理解されずに受け取られているのではないか。
  • 最近では、ラジオでの発言がインターネットで流され、ときには個人攻撃されるなど問題となっているので、委員会としても事実関係を知るためにラジオの実態を把握しておく必要がある。

以上の議論の結果、今後も視聴者意見を注視しながら、ラジオについても現状を把握し、議論していくことになった。

中学生モニター会議について

青少年委員会の委員と中学生モニターが、モニター報告の内容などをもとに直接話し合う、中学生モニター会議を7月26日(土)に千代田放送会館で開催することを決め、テーマについては次回委員会で検討することになった。

なお、会議の内容は冊子にまとめ、全国の放送局などに配付する。

調査・研究について

橋元副委員長から今年度の調査・研究について、「現在月1回の頻度で橋元・是永両委員とBPO事務局とで会合を持ち検討を行っているが、大筋では高校生以上の青少年を対象に、テレビをどのメディアで見ているかといったことを探る調査を考えている」との報告があった。

中学生モニター報告〔5月分〕

今月は33人から、43件(1人で複数件の報告あり)の番組への意見が寄せられた。

報告を分野別に分けてみると、今月はドラマが一番多く18件、次がバラエティーで14件、そしてラジオ番組が3件、教養番組と報道番組が2件ずつ、1件意見があったのが情報・討論番組、ドキュメンタリー、アニメ、その他の分野、だった。

局別では、日本テレビ系がトップで12件、フジテレビ系が9件、TBS系8件、NHK4件、テレビ朝日系とJ-WAVEが2件ずつ、テレビ東京系、テレビ神奈川、ニッポン放送が1件ずつとなっている。

・ドラマ番組

ドラマでは、『ごくせん』が8件、『ROOKIES』5件、『CHANGE』2件、『ラスト・フレンズ』『旭山動物園物語』『絶対彼氏』が1件ずつだった。

『ごくせん』は好評1件、賛否両論6件、不評1件で、「話の内容もネタぎれかなぁと感じさせる雰囲気があり、だいたい話のすじが読めるようになってしまった」、「生徒の演技が今までの出演者と比べて、イマイチ」などが不評の理由で、「最初はなかった仲間意識が心に芽生えていくストーリー自体は良いと思う」などが好評の理由だった。

『ROOKIES』は好評2件、賛否両論3件で、「『ごくせん』とは逆で、ストーリーはどんどん展開していって面白い」などが好評の理由で、「笑いがほとんど入っておらず、何かあったらすぐに殴り合い」、「漫画のものも見ていて楽しいですが、現実とかけ離れているものも多い」などが不評の理由だった。

『CHANGE』の1回目は2件とも賛否両論の意見で、「展開が速すぎたり、現実的じゃないストーリー展開があった」点には否定的だが、木村拓哉については「今回みたいなダメな役は初めて見たので、おもしろかった」などと肯定的な内容だった。

・バラエティー番組

バラエティーではすべて1件ずつ、13の個別番組とバラエティー全般へ、意見が寄せられた。

大好評だったのは4番組で、『出没!アド街ック天国』は「私の通っている学校のあるところなので、とても興味深く見ることができました。ホント、新しい発見がいくつもいくつもありました」、『爆笑オンエアバトル』は「ほかのお笑い番組もこの番組のように審査をして、面白い組だけを出してほしいです」、『人生が変わる1分間の深イイ話』は「この種の番組は、新感覚の番組である。新たなジャンルのバラエティー番組に期待するばかりだ」、『社会科ナゾ解明TVひみつのアラシちゃん!』は「あまり、ジャニーズが出る番組は見ないのですが、内容が面白いので毎回、ついつい見てしまいます。今まで、ありそうでなかったような気がします」という意見だった。

不評意見は2件で、『クイズ!ヘキサゴンⅡ』は「最近ではクイズよりも”おバカキャラ”のタレントさん達の解答をいじっている方が主体になってきている気がします」、『Qさま!!』は「最近は”プレッシャークイズ”というコーナーばかりやっています。”視聴率をかせぐために流行に乗ろう”としているように見えてしまって、心から楽しめないです」というものだった。

・その他の番組

ラジオ番組の意見が3件あった。『福山雅治のオールナイトニッポン』については、「この間SEX特集をしていました。性についての知識をメディアを通じて放送するのであれば、正しい情報を流すようにしてほしいと思いました」、J-WAVEの『PLATOn』については、「毎日決められたテーマについて、ゲストを迎えて哲学をする番組である。ゲストによっては今までと違った視点から対象を見ることができ、自分たちも考えさせられることがある」という意見だった。

情報系番組では『がっちりマンデー』について、「現在の世界の経済の動きやいま流行している品物、いま話題の会社などを特集し、経済や財政にあまり関心のない人たちにでも、わかりやすく、おもしろく、興味がもてるように作られた番組」という意見が、またドキュメンタリーの『余命1ヶ月の花嫁』については、「学校でも、みんな、いつもお笑い系バラエティしか見ないのに、この番組を見たという人がたくさんいました。”友達”、”家族”っていいなぁと思える番組でした」という意見が寄せられた。

3月に行われた、中学生フォーラム「バラエティー大討論」を放送した『日曜フォーラム』については、「意見や感想の選び方は大変良かった。でもなかなかNHKの感じについていけなかった。おカタい感じも、CMがないのも、テロップが少ないのも、BGMがないのも…」という意見があった。

・個別番組以外

バラエティーの分野全体については、「”死ね”という言葉など暴言をはく小さな子が多いが、バラエティーが悪影響を与えている」、「クイズ番組が異常に多いが、視聴率や流行目当てになっている」というもの。ドラマの分野では『ごくせん』と『ROOKIES』の放送時間帯について、土曜日に学園ドラマを続けて放送するので、「一つのドラマに集中できず、面白いはずのドラマがごちゃごちゃになる」という意見。また民放で夕方に放送されているニュース番組について、「気になることが2つある。”速報”とか、”緊急”などと目立つ色と大きさで書かれた字幕をよく目にする。9時間前とかそれ以上前に起こった出来事についても、この字幕が出ている時が何回もあった。2つ目は、評論家などによるニュースへの意見だ。テレビを通じて1人の人の意見を放送し続けると、その人の考え方を良い意味でも悪い意味でも、見ている人に植え付けてしまうことになってしまう」という意見だった。

テレビのあり方については「大阪発の番組はいい味を出しているので、東京ネットしない方がいいし、した場合でもスタイルを崩さないでほしい」という意見があった。

6月のモニター報告は、ニュースやワイドショーなどを中心にした、報道系の番組について。このひと月ほどの間で見た番組の感想・批判、また最近の気になったニュースの扱い方や、取材のやり方、番組作りへの疑問などを報告してもらう。

第89回 放送と青少年に関する委員会

第89回 – 2008年4月

パチンコCMの現状と課題

視聴者からの意見について …など

4月22日に開催した今年度第1回青少年委員会(通算89回)では、日本民間放送連盟(民放連)番組部長・三好晴海氏を招き、パチンコCMの現状と課題についてレクチャーを受け、意見交換したほか、3月15日~4月14日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に審議した。また、中学生フォーラムと調査・研究について報告があった。なお、議事に先立ち、4月1日付で青少年委員会委員に就任した境真理子委員(桃山学院大学国際教養学部教授)を紹介した。

議事の詳細

日時
2008年4月22日(火)
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
大日向委員長、橋元副委員長、小田桐委員、軍司委員、是永委員、境委員、山田委員

パチンコCMの現状と課題

(三好晴海氏レクチャー概要)

新聞報道によると、30兆円ともいわれるパチンコ業界は、パチンコ客の”資金源”の一つだった消費者金融が貸金業法の改正等により貸しにくくなったため遊戯人口が減り、一方、ギャンブル性を高めすぎたため社会問題が深刻化し、警察などによる規制が強化された結果、パチンコ店の倒産が増えている。そこで新たな客層の掘り起こしの一環として、アニメのキャラクターやテレビドラマのシーンなどを使った”タイアップ・パチンコ機器”を次々と開発し、最近は、パチンコ店(ホール、パーラー)ではなく、パチンコ機器メーカーによるイメージCMが多く流れるようになった。

パチンコ店のCMは、10年ほど前、駐車場の車に置き去りにされた子どもが死亡する事件が社会問題化し、地域の遊技業組合の規制が厳しくなり、CM放送がストップする状況があったが、ここ数年、パチンコ・パチスロ業界の競争が激化し、大手全国チェーン店や隣県の企業からの出店攻勢、地元の企業の対抗という三つ巴で顧客獲得競争が展開され、そうした状況の中で、総体的にパチンコCMの出稿が増加しているのではないかと思われる。

パチンコCMの放送は、東京と大阪地区ではパチンコ店のCMは取り扱わないが、パチンコ機器メーカーCMは取り扱っている。逆に他地区では、パチンコ店CMと、キー局からのネット番組に入っているパチンコ機器メーカーCMの両方が流れており、視聴者の目を引いているのではないか。ローカル局では近年、スポットCMの売り上げがずいぶん落ちてきているため、いきおいパチンコCMを受けざるを得ない状況になってきていることも現実のようだ。

CM考査の目的

パチンコCMを放送するにあたって民放各社では、関係法令や放送基準に合致しているか、また地元の条例や業界の広告自主規制基準と照合しながら判断しているが、さらに各放送局は放送基準の下に自社の内規を設け、それに沿って個々のCMの考査・審査を行っている。

CM考査の目的は、第一に視聴者(消費者)保護であり、同時に、自局の信頼や媒体価値の低下を招かないことにも注意を払っている。さらに、放送基準の前文にも書かれている”児童および青少年に与える影響”と”節度を守り、真実を伝える広告”に留意している。”媒体特性の認識”ともいえるこの二つが考査判断の理念になっている。

パチンコCMの判断基準

パチンコCMの判断基準として放送基準では、”著しく射幸心を煽る表現はしない” “児童・青少年への配慮” “未成年を登場させないこと” などの条文を設けているが、このほか、アニメなど児童・青少年向け番組やニュース、青少年が見るスポーツ番組の前後には編成しないなど”放送時間帯の配慮”を内規で定めている局もある。

こうして、各局とも放送基準の条文等を念頭に置きながらパチンコCMの考査を行っているが、パチンコ店は、風俗営業ということで「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)」で規定され、営業するには都道府県公安委員会の許可が必要。さらに、都道府県の青少年健全育成条例や地元の遊技場組合などと協議しながら、地区の放送局で独自に自主規制基準を策定している。しかし、パチンコ機器メーカーは、この「風営法」の範ちゅうではないため、考査にとってはグレーゾーンになっている。

各地区の状況

多くの地区で「パチンコ・パチスロ店など遊技場のCMの取り扱いに関する内規」を策定しているが、その内容は、遊技場CMの演出・表現や用語、あるいは映像手法に関して”射幸心” “青少年への配慮”の観点から規定するものが多い。また、パチンコ店のリニューアルオープンといったイベント告知を制限する取り決めもしているが、放送時間帯にまで明確に言及した内規は少ないようだ。

特徴的な地区の状況を見ると、北海道地区では、北海道遊技関連不正防止対策機構などの指導もあって「パチンコCMを放送できる時間帯を、23時~4時まで」としている。また、静岡地区は、パチンコ店名の入っているCMは取り扱わないが、企業のイメージCMのみ放送できる。岡山地区は「地元パチンコ店のCMは取り扱わない」としている。

今後の課題

最近のパチンコCMに関する考査現場での悩みは、「出る、出る」とか「マックス」といった射幸心を煽る言葉の使用や、換金や景品に言及する表現、パチンコ機器のアップ映像や出玉の映像などの取り扱いでのやり取りにあるようだ。こうした事柄は、各局の考査担当者が広告主や広告会社と、きめ細かく折衝しながら改稿を要請し、適正な表現の範囲に収まるよう、留意事項やルールを取り決めている。

また、『冬のソナタ』『必殺仕事人』『みなしごハッチ』『フランダースの犬』『アルプスの少女ハイジ』などのテレビドラマやアニメの画面を使ったパチンコ台CMが増えてきており、これも考査現場の悩みとなっている。

こうしたパチンコCMをめぐる状況の中で、富山地区では遊技場組合、警察、テレビメディアの3者が一昨年から勉強会を重ね、能動的な発想でどういうCM表現なら放送できるか、といったスキームづくりを共同で議論しながら取り組みを進めたといった事例もある。

【意見交換】(▽委員、▼三好氏)

▽特番やスポーツイベント番組にパチンコ機器メーカーのCMが入ることがあるようだが、こうした番組がネットでローカル局に流れると、各地区が個別に内規を作って自主規制をしても何もならないのではないか。
▼パチンコ機器メーカーのCMがネットで入ってくると、ローカル局ではどうしようもないので困っていると聞いている。
▽パチンコCMを受けないと経営的に難しいのか。
▼民放の経営はそこまで悪化していないが、経営的に考えればCMの出稿が多ければ収入アップになる。考査ではなんとか止めたいとしているようだが、営業要請で放送したという事例もある。個々のCMを審査しながら判断するというのが現実だと思う。
▽以前は局の自主規制で受けていなかったパチンコCMを、不況だからということで流してしまうのは考査の基準がだんだん緩やかになってきているのではないか。営業と考査のせめぎあいはあると思うが、考査がどのくらいがんばれるかにかかってくるので、その辺が局の考査が抱えている問題なのではないか。
▽局の考査では、例えば高校野球の中継の間にビールのCMを入れないといった暗黙の了解があると聞いているが、最近のパチンコCMの状況を見ていると、特にローカル局の考査がだんだんなし崩し的なってきているのではないか。一時期のサラ金CMと同じように批判が風化していくのが心配だ。
▽パチンコ機器メーカーCMには、テレビドラマやアニメの画面が使われているが、番組宣伝かパチンコCMか、分からないものもある。
▽パチンコ機器メーカーのCMを見たからといって青少年がパチンコ店に行くとは考えられないが、テレビドラマやアニメの画面が使われているとパチンコに興味を持つのではないか。こういったCMは青少年が見ている時間帯にはふさわしくないので、局としても考えてほしい。
▽北海道地区では、パチンコCMの時間帯規制があるようだが、今後、民放連として放送時間帯について取り組んでほしい。
▼局の実情を知るために委員会が話し合いの場を持つことは大事だと思う。
▽自主規制や考査は時代とともに変わっていくのが当然だが、変わりつつも大事なところは常に確認しておくことが重要ではないか。

以上の結果、パチンコCMの放送時間帯の配慮については、今後も視聴者意見の動向を注視しながら、局の担当者と意見交換するなどを検討していくことになった。

視聴者からの意見について

青少年委員会が4月11日に公表した「注意喚起 児童の裸、特に男児の性器を写すことについて」について、視聴者から「規制強化だ」「表現の自由を奪うのか」という批判意見が寄せられ、委員からは次のとおり発言があった。

  • 委員会の「注意喚起」が、「単純所持の禁止」といった児童ポルノの規制強化の動きと同じだと受け取っているのではないか。
  • 児童ポルノ法改正の動きには過激なアニメも規制しようとする案も盛り込まれているが、これと委員会の「注意喚起」を結び付けているのではないか。
  • 「注意喚起」の記者会見席上で、委員会の主張と児童ポルノ規制とは一線を引くものだと、はっきり言明しているのに、規制と受け取られるのは残念だ。送り手と受け手のギャップを考える必要があるのではないか。
  • 視聴者意見には、実際にインターネットで被害にあったという意見も来ている。やはり被害は実在していたようで、今後も注視していく必要がある。

中学生フォーラムについて

小田桐委員から3月26日に開催した第7回中学生フォーラムについての報告と今後のフォーラムの取り組みなどについて提案があった。

調査・研究について

橋元副委員長から今年度の調査・研究について、次回委員会で具体的な案を示したい、との報告があった。

中学生モニター報告〔4月分〕

新モニターの初報告となった今月は、31人から34件(1人で複数件の報告あり)の番組への意見が寄せられた。

報告を分野別に分けると、バラエティーが一番多く14件、次がドラマで10件、そして情報・討論番組、ドキュメンタリー、アニメ、音楽番組が2件ずつ、スポーツ番組とラジオ番組が1件ずつだった。

局別では、TBS系とフジテレビ系が9件ずつ、NHKと日本テレビ系が5件ずつ、テレビ朝日系3件、テレビ東京系とTOKYO FMと民放各局に向けた意見が1件ずつとなっている。

・バラエティー番組

バラエティーでは12番組に意見が寄せられ、好評8件・賛否両論3件・不評3件だった。2件意見が寄せられたのは『ザ・イロモネア』と『クイズ!ヘキサゴン?』の2番組。

『ザ・イロモネア』は、「久々に思いっきり笑わせてもらった。どの芸人も普段見ることのできない”本性”をトコトン味わえた」などと好評だったが、「芸人のネタのパクリがあり憤慨した」という指摘があった。

『クイズ!ヘキサゴン?』は「ためになり、色々な種類の問題があり面白い」が、「”おバカさん”というのを売りにして番組が盛りあがるというのはどうかと思います」という賛否両論の意見だった。また『わかるTV』への意見で、「おバカおバカと連呼するクイズ番組をおもしろがる人もいるだろうが、不快である。私は、やさしく教えてくれるこんな番組を待っていた」というものがあった。

不評意見は、『行列のできる法律相談所』に「今では名前だけ法律番組で、トーク番組になっている」、『世界一受けたい授業SP』に「内容は番組宣伝的要素が多くて、いつものような驚きがありませんでした。期待してみたので、とてもがっかりしました」、『オールスター感謝祭’08』に「お笑い芸人がケガをしたのを見ました。やっぱり安全面に気をつかった企画でないと安心して見られない」などが寄せられた。

・ドラマ番組

ドラマで意見が寄せられたのは9番組で、好評6件・賛否両論1件・不評3件だった。

2件意見が寄せられた『SP特別版』は賛否両論と不評意見だったが、「新たなストーリー展開を期待していたので、正直ガッカリした」という点は共通していた。

他の不評意見は、『バッテリー』に「原作を読んでいる人も読んでいない人も楽しめるドラマ作りが必要だと思いました」、『斉藤さん』に「最終回のエンディングがケープタウンという設定なのに実際に撮影しているのは日本の横浜の赤レンガ街だということがバレバレ」というものだった。

・その他の番組

4月2日に4時間近くに渡って放送された『報道大河スペシャル』について、「こんなにいろんな国の環境問題を紹介しているのを始めてみました。一番驚いたこと・・・それは北極にもごみの問題があるということです。環境についての番組は、私たちがしなければならないことを伝えず、現状しか伝えません。身近にできることも報道してほしいです」という意見があった。

また民放各局のプロ野球中継について「一番面白い場面で終了してしまうのは僕には理解できない」、『CDTVXSacas!』には、番組HPにはEXILEスペシャルライブと書いてあったが、結局60分の中出たのは30分。中学生の僕自身寝る時間も割いて見ているのに期待外れの内容だった」という批判意見が寄せられた。

FM放送番組『やまだひさしのラジアンリミテッドDX』の火曜深夜放送分について、「性的な内容が多く含まれており、最低限、性的な内容の発言は控えるべきだし、さもなくばこのような番組は今すぐにでも無くなってほしいと思います」という批判もあった。

5月のモニター報告は、ひと月ほどの間に見た番組についての感想・批判・期待などのほか、一つの番組に限らず特定の分野の番組についての意見や、さらに今のテレビのあり方などについての意見も広く募集することになった。