青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第96回

第96回 – 2008年12月

日本テレビとの意見交換について

視聴者意見について …など

12月15日に開催した今年度第8回青少年委員会(通算96回)では、日本テレビとの意見交換について検討したほか、11月19日~12月3日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に、バラエティー1本のVTRを視聴のうえ審議した。またR指定映画やホラー映画のCMなどについて審議したほか、調査研究について報告があった。

議事の詳細

日時
2008年12月15日(月) 午後4時30分~6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
大日向委員長、橋元副委員長、小田桐委員、軍司委員、是永委員、境委員、山田委員

日本テレビとの意見交換について

バラエティー番組について、日本テレビと意見交換を行うという前回委員会の決定を受け、今回委員会で意見交換を予定していたが、日程の調整がつかず、次回1月の委員会で行うことになった。

視聴者意見について

1.日本テレビ『踊るさんま御殿!!』

血液型に関する話題について「青少年委員会が出している『「血液型を扱う番組」に対する要望』をどう考えているのか」や「B型の男性タレントを貶めている」といった批判意見が視聴者から多数寄せられ、VTRを視聴のうえ審議した結果、委員から次のような意見が出された。

<委員の主な意見>

  • 血液型について一般的に言われている話であって、差別やいじめといった印象ではなかった。
  • 委員会がかつての「要望」の中で指摘しているのは、あたかも科学的に血液型で子どもたちを判別するといった番組についてであって、この番組は大人同士のトークショーで、バラエティーの範囲ではないかと感じた。
  • 視聴者意見の中には、”息子の人格を全否定された思いだ”とあるが、判断がつかない子どもたちがどう捉えてしまうか気になるところもある。
  • 内容的には大人のたわいない話だが、子どもが見た場合いじめの対象になる可能性は排除できないし、委員会が血液型を扱う番組について要望を出していることを知ってほしい。
  • この番組は科学的装いをした番組ではないが、これをきっかけになし崩し的に子ども達に影響を及ぼすような番組が出てくることがないように注視していく必要がある。

以上の審議の結果、血液型を扱う番組の制作に際しては、改めて2004年に青少年委員会が出した「要望」の再確認を議事録に留めることになった。

2.R指定映画のCMについて

「R15指定映画のCMが流れていたが、15歳以下の子どもも見る可能性があるのでテレビで流すのはおかしい」といった視聴者意見が寄せられ、委員から次のような意見が述べられた。

<委員の主な意見>

  • テレビは映画館とは違い誰でも見ることができる。R指定映画のCMがだめということではなく、CMの内容、時間帯などを考えていけばいいのではないか。
  • ホラー映画などのCMも、突然目に入ってくるとかなり衝撃を受ける。家庭のテレビで流されることを考査的にもっと考えてほしい。
  • 映画のCMは一番印象に残る部分を放送するため、過激なものもあるので、年齢制限のある映画やホラー映画については放送時間に配慮してほしい。

以上の結果、R指定映画やホラー映画のCMについては、今後も懸案事項として議論していくことになった。

3.バラエティー番組について

県民性を扱ったバラエティーについて「子どもに誤解させ、偏見を植え付ける」といった視聴者意見が寄せられ、委員から「血液型を扱った番組と同じように、県民性をステレオタイプに取り上げる番組は青少年に誤った認識を与えるおそれがあるため、今後、注意深く見ていく必要がある」という発言があった。

調査研究について

橋元副委員長から調査研究の進捗状況について、「11月末に東京都の6つの区の住民基本台帳から抽出した16歳から24歳までの対象者に実施したアンケート調査が終了した。300サンプルを超える回収があり、今後、分析を行い報告書にまとめる予定である」との報告があった。
また、是永委員から「来年3月ごろを目途に、映像メディア(DVR、VOD、ワンセグ)別に10代、20代のユーザー各5人ずつ計30人に対し、メディア利用状況、利用の影響、地上放送の考え方の変化などについてのグループインタビューを行う」との報告があった。

その他

視聴者意見の審議のほか、民放連が作成した『「青少年に見てもらいたい番組」一覧(2008年秋)』について、委員から次のような発言があった。

<委員の主な意見>

  • 一覧表に載っている番組は、局を代表するものかもしれないが、民放連の取り決めで週3時間となっているためレギュラー番組に限定されてしまっている。地方局が制作している単発のドキュメンタリーには青少年が見て感動を受ける番組があるので、そういったものが選べるよう考えてほしい。
  • 委員会では2004年3月に出した『子ども向け番組』についての提言』の中で、「青少年に見てもらいたい番組」の再検討について要望しているが、生かされていないのが残念だ。
  • 委員会も番組を批判するだけでなく、子どもに見せたい番組があれば委員会で推奨するなど放送局の後押しをしてもいいのではないか。

    * 「青少年に見てもらいたい番組」一覧へ

■中学生モニター報告

12月は、このひと月ほどの間に見た番組について自由に書いてもらったが、中学生フォーラムに参加するメンバーには先月に引き続き今月もニュースなどの報道系番組について意見を募集した。報告は31人のモニター全員から、40件(1人で複数件の報告あり)寄せられた。
分野別に分けると、報道系番組(情報番組、ドキュメンタリーを含む)が19件、バラエティー13件、ドラマと音楽番組が3件ずつだった。局別では、フジテレビ系が10件、日本テレビ系が8件、TBS系が5件、NHKとテレビ朝日系が2件ずつ、テレビ東京系が1件、1放送局に限らない報道系番組全般への意見などが12件だった。

・報道系番組

2件意見が寄せられた番組は『めざましテレビ』だけで、「私の年代でも見やすい番組作りをしていて、とてもいいと思います」という意見と「報道よりもバラエティー要素の方を多く含んでいて、あまり政治のこととかは分かりません」という意見に分かれた。
他には、NHKニュースに「定時のニュースには全くと言っていい程、無駄がない」、『NEWS ZERO』に「その日にあった事件を朝から夜まで順を追って紹介してくれ、とても分かりやすい。またニュースの後に社会問題を取り上げているのでとても勉強になる」、『夢の扉~鳥インフルエンザ最前線~』に「何でもきれいにしすぎて体の抵抗力が弱くなったからこういうウイルスの病気がたくさん出てきたのではないでしょうか。今の快適な生活が本当にいい生活なのか、この番組を見てとても疑問に思えてきました」、『報道特集NEXT』に「私はVTRと語りだけの番組が気に入っています。まじめな報道は少しでも多くVTRを見て、報道の内容を深く知りたいし、見た事について自分でよく考えたりしたいからです」、などの好評意見が寄せられた。

・報道系番組全般

報道系番組全般への意見は、今月も批判的な内容がほとんどだった。4人の意見を列挙する。
「殺人事件などをドラマ仕立てや声を作ったりして、報道するのはやめて欲しいです。とても被害者の遺族などに迷惑だと思います」、「学校に行く準備をしながらニュースを見ています。たったの1時間しか見ていないのに、必ず同じニュースを2回ずつ見ます。正直しつこいです」、「報道番組が報道しきれていない問題はたくさんあると思う。例えば地球の環境問題。今や未来に生きる人々にとって、政治家とか殺人事件とかを追っていることよりも、関係があり重要なんじゃないだろうか」、「僕はニュースショーになって様々なコーナーができ、ニュースが面白くなるのはいいと思います。しかしこのごろは視聴率を気にしすぎて、”報道”よりも”あった事を面白く伝える番組”になってきていると思います」。

・バラエティー番組

バラエティーには1件ずつ13番組に意見があった。
好評だったのは3番組で、『ガキの使いやあらへんで!!』は「この番組の良いところは、自分達も思いっきり番組を楽しんでいるところです。しかもダウンタウンも罰ゲームの餌食になったりと、平等なのも良いです」、『SMAP×SMAP』は「ビストロにいろんなゲストが出てきて、毎回どんなゲストが出てくるか楽しみで毎週見てしまいます。料理の作り方もちっちゃくだけど出てるし、見ていたらなんか作りたくなります」、『みのもんた緊急特番 通帳を守る100の方法』は「年金や遺産相続、生命保険についての事をいろいろと詳しく知る事ができました。堅苦しい番組内容のはずなのについつい最後まで見てしまいました。そして、なんだか知ることが出来て得したと感じました」、という意見だった。
批判意見は4番組に寄せられた。『ぴったんこカン・カン』には「映画”私は貝になりたい”の宣伝のツアーをしている回で泉ピン子がコスプレ姿で”私は貝になりたい!!”と陽気に叫んでいた。戦犯として逮捕された兵士が手記につづったとても重みのある言葉なのである。もっとメディアの責任というものを感じて欲しい」という内容、『はねるのトびら』には「前々から危険なことをやっていましたが、先日レギュラーメンバーが全治2~3カ月の骨折をしました(放送はしていません)。それだけならまだしも、公表後の最初の放送でケガをネタにして笑いをとっていました。これはよくないと思います」というもの、『所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ』と『ひみつのアラシちゃん!』には、「巨大な天丼を作るために巨大マグロと巨大イカをわざわざ漁船をチャーターして取りに行くのと、巨大イカをつかまえてその墨で書初めをする、という内容のものがありました。そんなことをして、だから何?って感じの番組が最近多くなったと思います」という批判意見だった。

・その他の番組

ドラマでは『しゃばけシリーズ第2弾 うそうそ』に2件意見が寄せられた。いずれも好評で「このドラマの魅力は、昔のはずなのだけれど現代とどこか通じている印象を受けるところと、一太郎と妖達の絆の深さにあると思います」、「家族愛、兄弟愛など、たくさんの愛があふれている。すごく心があったかくなり、優しい気持ちになれる。最後、見ていたら自然に笑顔がこぼれていました」という内容だった。
音楽番組では『HEY!HEY!HEY!』に批判意見があった。「この番組はちょっとはずしすぎていると思う。心理占いだとかそのようなたぐいのコーナーばかりをしている。そういったコーナーは音楽番組ではなく、他の番組でやってほしい」というものだった。

1月のモニター報告は、年末・年始の特集番組についての意見を募集する。

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