第97回 – 2009年1月
バラエティーについて意見交換
視聴者意見について …など
1月27日に開催した今年度第9回青少年委員会(通算97回)では、日本テレビの番組制作者とバラエティー番組について意見交換を行ったほか、12月4日~1月14日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に、バラエティー3本、情報番組1本のVTRを視聴のうえ審議した。また、調査研究について報告があった。
議事の詳細
- 日時
- 2009年1月27日(火)午後4時15分~6時45分
- 場所
- 「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
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バラエティーについて意見交換
視聴者意見について
調査研究について - 出席者
- 大日向委員長、橋元副委員長、小田桐委員、軍司委員、是永委員、境委員、山田委員
バラエティー番組について意見交換
委員会では、昨年9月からバラエティー番組について視聴者意見を基に審議し、個別番組については「回答のお願い」を出すなど議論を重ねてきたが、バラエティー番組への理解を深めるため、直接番組制作者と意見を交換する機会を持つことを決め、今委員会では日本テレビのバラエティー番組担当のチーフプロデューサーとコンプライアンス担当者が出席し、バラエティー番組をめぐり意見交換を行った。 委員からは、”笑いの質の低下”や”罰ゲーム”についてのほか、視聴者意見の社内対応について質問が出され、局側からは「クオリティーの高いバラエティーづくりを心がけている」「出演者のじゃれあいを楽しんでもらっている番組で、視聴者の支持は得ていると思っているが、”罰ゲーム”などにはより一層慎重になることを現場には徹底させている」などの発言があった。また、視聴者意見の対応については、「苦情意見などは幹部も含め社内で共有し、意見交換している。問題があったものについては、事例を作成し配付している」と説明があった。
最後に委員長から「テレビは文化を牽引していく役目もあるので、制作者はプライドと自負を込めて番組をつくってほしい」と意見が述べられた。
なお、委員会ではバラエティー番組について、さらに議論を深めるため次回委員会にTBS、フジテレビの番組制作者を招き、意見交換の場を設けることを決めた。
視聴者意見について
1.日本テレビ『AKBINGO!』
アイドルグループが出演する深夜のバラエティー番組について、「深夜時間なので少しは性的な映像もあるとは思うが、小学生にコスプレをさせ、大人がそれを見て、興奮するとご褒美に食事券を与えるというのは不快だった」といった意見が視聴者から寄せられ、VTRを視聴のうえ審議した。委員からは次のような意見が出された。
<委員の主な意見>
- コスプレの衣装はそれほど問題とは思えなかったが、深夜の番組に11歳の少女を出すことが望ましいのか疑問だ。以前、委員会が出した「要望」を見直してほしい。
- 11歳の子どもにやらせる演出ではなく、見ていて不快に感じた。テレビ文化の質が下がってしまうことが残念だ。
- ほかのメンバーの年齢は出さず、あえて”11歳”とテロップを出すところが問題だ。幼い少女に興味を示す人を刺激するのではないか。
- 11歳の少女を出演させることについて、スタッフも含め社内で検討すべきではなかったか。
以上の審議の結果、幼い少女を番組に出すことについては、2006年10月に公表した「少女を性的対象視する番組に関する要望」を改めて制作者は再確認してほしい旨を議事録にとどめることになった。
2.フジテレビ『とくダネ!』
フィギュアスケート・グランプリファイナルで優勝した浅田真央選手を取り上げた情報番組について、視聴者から「番組の取り上げ方が、18歳の未成年選手を貶めている」「浅田選手に憧れている青少年を傷つけた」といった抗議の意見が多数寄せられ、VTRを視聴のうえ審議した結果、委員から「採点を分析しながら結局は浅田選手を応援していると感じた。ただ、採点についての解説の間違いは問題で、熱烈なファンにとって気になったのだろう」「浅田選手を貶めているといった意見は、視聴者の過剰反応ではないか」などの意見が述べられ、委員会として「特に問題があるとは思えない」という意見で一致した。
3.千葉・東金女児死体遺棄事件の取材・報道について
千葉・東金女児死体遺棄事件報道で、容疑者男性への取材について、「21歳とはいえ知的障害を持っているので、精神的には青少年と考えるべきだ」という視聴者意見が寄せられた。委員会で検討した結果、委員から「知的障害者の場合、判断能力が未熟なため、ある意味子どもと同じような扱いが必要と思われるので、取材などの時に後見人などの同意を得ず取材することは、親の同意を得ず子どもに取材することと等しい行為になるのではないか」という意見が出され、「知的障害者への取材に関しては、成人であっても慎重に行うべきだ」と、議事録にとどめることにした。
調査研究について
橋元副委員長から調査研究の進捗状況について、「16歳から24歳までの若者を対象に実施した『テレビ番組視聴に関する実態調査』アンケートの分析に取り掛かっている。また、同アンケートを補完するかたちで、3月にグループインタビューを行い、映像メディア(DVR、VOD、ワンセグ)別に10代、20代のユーザー各5人ずつの6グループに対し、対象メディアにおける映像コンテンツ、メディア利用状況、情報に対する意識などについて聞く」との報告があった。
■ 中学生モニター報告
1月は、年末・年始の特集番組について書いてもらったが、30人のモニターから43件(1人で複数件の報告あり)の意見が寄せられた。 分野別に分けると、バラエティー番組が18 件、音楽番組が10件、ドラマ番組が5件、情報系番組とスポーツ番組が3件ずつ、ドキュメンタリーと年末年始特集への全般的意見が2件ずつだった。局別では、NHKが12件、日本テレビ系が11件、フジテレビ系が7件、TBS系とテレビ朝日系が4件ずつ、テレビ東京系が3件だった。
・バラエティー番組
バラエティーでは『ガキの使いやあらへんで!!』の大晦日特番が断然多く7件で、あとの11番組は1件ずつだった。『ガキの使いやあらへんで!!』は賛否両論があった。2部の「笑ってはいけない新聞社24時」に好評意見が多く、「すごく面白くてこの一年の中で一番笑えて、気持ちの良い年越しが出来た」、「普段テレビで笑わせている側が笑わせられているというところが面白かった」、「いろんなシチュエーションがあるためバリエーションが豊富で、”今年はなにをするんだろう”という楽しみがある。定番が良い意味での定番なのだ」などだった。
批判意見は「第1部では、芸人がプロレスのような感じでいろいろなことをやっていたのですが、少しやりすぎる(過激な)所もあるのではないかなと私は思いました」、「コントに対して笑ってしまうとお尻をおもいっきり叩かれるという罰ゲームがあったが、回数が多すぎた。その罰ゲームをしている時間をもうちょっとコントに使ってほしかった」、「毎年見ていると、年を重ねるごとにつくりが大きくなっていて、そこでわざと笑わせているような姿勢が透けて見える。もう少し素朴で笑えるようなクオリティーの高さを求めたい」などだった。
バラエティー番組への好評意見としては他に「深夜に放送している『着信御礼!ケータイ大喜利』は他とは全く違い新しい要素が満載だと思う。投稿者がこの番組を作っているところが面白い」、「『M-1GP2008決勝戦』を毎年楽しみにしています。この番組はジャッジが公平で、ほめる時はほめ、辛口の時は辛口、という審査員が良いです」、などがあった。
また、『爆笑問題×安住紳一郎 平成ニッポン20年史!!』には、「平成に年号が変わってからの20年間を振り返るという番組でしたが、1年ごとの時間や内容がうすく、私が生まれる前の出来事や生まれて数年間のことはよく分からないので、もっと詳しく説明してくれれば良かったなと思いました」という批判意見が寄せられた。
・音楽番組
音楽番組では『NHK紅白歌合戦』に8件意見が寄せられたが、賛否が分かれた。好評意見は「今回はけっこう若い人が出てたので視聴率が上がったと思う。若い視聴者があまり見たいとおもわない演歌などを、若い人から人気のある歌手の間に入れることで、なんとなくチャンネルを変えずにそのままにしておくからそういう工夫はいいと思う」、「データ放送やネットを通して随時、舞台裏の様子を知ることができるようになっていたり、ただ音楽を生放送するだけでなく、飛行船から大晦日の各地の映像を放送したりなど、最後まで飽きる事がなかった」などで、批判意見は「同じアーティストの方が同じ曲でこの番組に繰り返し出演しているのが気になった」、「他局である民放に頼りすぎるのはどうかと思います。もっとNHKにしか出せない個性を創っていくべきだと思います」、「司会者はかわりばえしないからどうかと思う。いままで司会をやったことがないひとなどにやってほしいです」などだった。
・ドラマ番組
ドラマ番組では『コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命 新春SP』に2件意見があった。「連続ドラマでやっていた時の話と続いている部分があったので、一番最初に、今までにあった内容を振り返っていたのは、良かった」、「別れは決して悲しいだけではないと感じさせてくれました。見てたら何故かわからないけど、心が熱くなって、涙があふれて止まりませんでした」などと概ね好評だった。
『寧々~おんな太閤記~』には、「配役もすごく良かったし、内容も良くて、かなり長時間の番組でしたが、あきることなく見ることができました。ただ語りがとてもかつぜつが悪く、何を言っているのか良く聞こえないところがあるのは残念でした」という意見が寄せられた。
・その他の番組
2件意見があった『第85回箱根駅伝』は、「箱根に出る選手たちは、各大学の誇りと仲間との絆をかけて毎日毎日一生懸命練習してきた人達ばかりで見ていてとても気持ち良いです」、「私は、この駅伝を見て新たな記録達成や喜びの瞬間を味わう事が出来て良かったです。この番組のおかげで、陸上・走る事にも興味がもてました」などと好評だったが、「トップの選手だけでなく順位が下の選手も映してほしいです」、「沿道にいる観客の中にどうでもいい事を書いた札を写そうとしたりする人がたくさんいて辟易したので、そういう人達を写さないようにカメラを工夫してほしいです」、という要望もあった。
『僕の日本を紹介します!』には、「この番組は、芸能人が教科書には載っていない日本の技、食に関する映像や物を持って海外に行き、子どもたちに日本を知ってもらうための授業を行うというものです。私は千原ジュニアさんの、日本のロボット技術を紹介するというものが一番よかったです。スペインの子供たちも感動しているようで、私もなんだか日本が誇らしかったです」という意見が寄せられた。
2月のモニター報告は、締め切りまでのひと月ほどの間に見た番組の感想・意見・批判などを自由に書いてもらう。