2018年6月19日

「芸能ニュースに対する申立て」審理入り決定

番組は、2017年12月29日に放送されたTBSテレビ『新・情報7daysニュースキャスター超豪華!芸能ニュースランキング2017決定版』。番組の中程で「14位 俳優・細川茂樹 事務所と契約トラブル」とナレーションがあり、「昨年末、所属事務所から『パワハラ』を理由に契約解除を告げられた細川茂樹さん。今年5月、『契約終了』という形で、表舞台から姿を消した。今年は、芸能人と事務所をめぐるトラブルが目立った」と伝えた。
この放送について細川氏は、事務所からパワハラを理由に契約解除されたことをわざわざ強調して取り上げているが、東京地裁の仮処分決定で事務所側の主張には理由がないことが明白になっており、申立人の名誉・信用を侵害する悪質な狙いがあったと言わざるを得ないと主張し、謝罪と名誉回復措置を求めて申し立てた。
これに対してTBSテレビは、委員会に提出した「経緯と見解」において、申立人を意図的に貶めようと放送したという主張はまったくの誤解だとする一方、放送に「言葉足らずであって誤解を与えかねない部分があった」として、申立人に謝罪するとともに、ホームページあるいは放送を通じて視聴者に説明する意向を示したが、当事者間での話し合いでは解決に至らなかった。
委員会は、本件申立ては委員会運営規則第5条の苦情の取り扱い基準を満たしているとして審理入りすることを決めた。

放送人権委員会の審理入りとは?

「放送によって人権を侵害された」などと申し立てられた苦情が、審理要件(*)を満たしていると判断したとき「審理入り」します。
ただし、「審理入り」したことがただちに、申立ての対象となった番組内容に問題があると委員会が判断したことを意味するものではありません。

* 委員会審理に必要な要件については、同委員会「運営規則 第5条」をご覧ください。

第127回 放送倫理検証委員会

第127回–2018年6月

東京メトロポリタンテレビジョン『ニュース女子』沖縄基地問題の特集に関する意見への対応報告を了承など

委員会は、2017年12月、東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)『ニュース女子』沖縄基地問題の特集に関する意見を通知・公表した。これに対する対応報告書は、2018年3月に当該放送局から提出されたが、その内容が不十分だとして、委員会は4月に追加の質問を行い、5月に当該放送局の補充の報告書を受け取った。委員会では、これを受けて意見交換を行い、一連の対応報告を了承した。

議事の詳細

日時
2018年6月8日(金)午後5時~午後8時
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

神田委員長、是枝委員長代行、升味委員長代行、岸本委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、中野委員、藤田委員

1. 東京メトロポリタンテレビジョン『ニュース女子』沖縄基地問題の特集に関する意見への対応報告を了承

2017年12月14日に委員会が通知・公表したTOKYO MX『ニュース女子』沖縄基地問題の特集に関する意見(委員会決定第27号)への対応報告書は、当該放送局から2018年3月に提出された。しかし、委員会は内容が不十分だとして4月に追加の質問をし、5月末に当該放送局から補充の報告書の提出を受けた。
委員会は、当該放送局からの二つの報告書を踏まえて意見交換を行った結果、「番組の放送を打ち切った経緯が具体的に明記された点は評価できる」「TOKYO MXは、委員会が意見書を通知する前の2017年2月、番組は放送基準に沿った内容だったという『当社見解』を発表した。補充の報告書ではこれが誤りだったと認めているのだから、『当社見解』を自社のホームページから削除するだけでなく、視聴者に対して撤回理由をきちんと説明すべきではないか」「問題が解決しない場合は毅然とした態度で放送を見合わせるなどの『凛とした矜持』を持つことを意識するというTOKYO MXの今後の放送に期待したい」等の意見が出された。そのうえで、かつて委員会は、情報バラエティー番組であっても報道番組と同様に放送局は事実に基づいて報道しなければならない(委員会決定第13号 2011年9月27日)との意見を述べたが、事実についての十分な裏付けの有無を吟味する必要は番組のタイトルに「ニュース」ということばが含まれるか否かによって変わるものではないという点を、当該放送局だけでなく各放送局に改めて訴えることを確認して、一連の対応報告を了承し、公表することとした。

以上

2018年5月に視聴者から寄せられた意見

2018年5月に視聴者から寄せられた意見

新潟の小学2年生女児殺害事件について、各局の過熱した取材への批判や、大学アメリカンフットボールの試合における悪質な反則行為に関して、監督・コーチ・選手などの記者会見の報道に対する意見など。

2018年5月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,448件で、先月と比較して55件増加した。
意見のアクセス方法の割合は、メール73%、電話25%、郵便1%、FAX1%。
男女別は男性69%、女性29%、不明2%で、世代別では30歳代25%、40歳代25%、50歳代19%、20歳代18%、60歳以上10%、10歳代3%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。5月の通知数は延べ589件【53局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、25件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

新潟県で起こった、小学2年生女児殺害事件について、各局の過熱した取材への批判が多く寄せられた。また、大学アメリカンフットボールの試合における悪質な反則行為に関して、その後開かれた、監督、コーチ、選手などの記者会見の報道に対する意見が多く寄せられた。
ラジオに関する意見は54件、CMについては21件あった。

青少年に関する意見

5月中に青少年委員会に寄せられた意見は108件で、前月から14件増加した。
今月は「表現・演出」が42件と最も多く、次に「報道・情報」が29件、「低俗・モラル」「性的表現」「編成」がそれぞれ5件と続いた。
「表現・演出」では、バラエティー番組で出演者を倉庫に閉じ込めるドッキリ企画について意見が寄せられた。「報道・情報」では、大学アメフトにおける危険プレーに関する報道について意見が寄せられた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 人気タレントが起こした、強制わいせつ騒動についての報道が過熱し過ぎだ。彼の属していたグループのメンバーが、口々に被害女性を思いやっているのにもかかわらず、いつまでも同じような報道を続けていることは納得がいかない。被害女性はもちろんのこと、騒動を起こした本人が、連日のひどい報道の数々で、精神的にどれだけ追い詰められているのかと思うと、マスコミにそこまでする権利があるのか、疑問に感じる。

  • 東京・新橋駅前で、女子高生が集団過呼吸になるニュースが伝えられたが、警察や消防が現場の周りを目隠しし、救急車に乗せる途中もブルーシートで厳重に囲んで、周囲の視線から彼女たちを守っていた。その一方で、複数の局が、ヘリコプターで上空から内部を撮影していたが、これではプライバシー保護のための警察や消防の配慮が無駄になってしまう。現場の中の様子を知りたいのだろうが、それは救急隊員が拡声器で説明していたので分かると思う。節度ある報道を望みたい。

  • 新潟県の小2女児殺害事件の報道は、あまりにやり過ぎだと思う。遺族の悲しみを無視するかのように、被害者宅が特定できるよう報じていた。悲しみにくれる間もなく、全国ネットで家を映され、好奇の目にさらされて生きていくなど、とても耐えられるものではないと思う。

  • 毎日、朝から晩まで大学アメフト部の問題を放送している。それも監督、コーチが嘘を言っているという前提で、彼らを追い込むようなやり方だ。監督らの発言が、保身のための虚偽である可能性は高い。そうであっても、テレビが冷静さを欠き、偏った取り上げ方をすることは危険だ。今回の反則行為は、傷害事件として警察が介入することも考えられる。テレビの役割は、中立的な立場から途中経過を伝えることだけだと思う。

  • 大学アメフト部の問題が世間をにぎわせているが、午前中にいきなり、朝番組のスタッフを名乗る人物から「あなたは監督の同級生ですね?」という電話がかかってきた。卒業名簿などで調べたのであろうが、失礼な話だ。この番組では、日頃から、「個人情報が…」などと、うるさく騒いでいるにもかかわらず、自分たちが必要であれば、それを勝手に利用するのか。厳重に抗議する。

  • 世界卓球選手権の大会中の南北合同チーム結成について、好意的な報道が多いことに驚いた。大会途中のチーム結成には、政治的意図があるのは明白である。どうして普段通りに、「スポーツに政治を持ち込むな」と声高に訴えないのか。最初から合同チームで挑んでいたなら、他の国が決勝トーナメントに進出できたはずである。一部の国の政治的意図が、大会全体に弊害を与えている。それを好意的に伝えるのはおかしい。

【番組全般・その他】

  • メディアが司法の代わりをして、さも被害者を救済するという大義を盾にし、加害者と思われる人物を裁くような番組が多過ぎる。その人物の自宅まで訪問し、中途半端な取材を基に、一方的につるし上げるような内容は、中立性に欠けると思われる。その行為が法に触れるのであれば、それは司法が判断することであり、メディアがするものではない。

  • 夕方の番組で、就活セクハラの実態を取り上げていた。「女子大生が実名で告白」として、一般女性のようにふるまっていた人物は、政治アイドルとしてフェイスブックやツイッター等で積極的に発信している女性だ。通常の就職活動中の体験談というより、売名のため、企業をたたくために就職活動をしている印象を受けた。テレビ局が、本人をよく知らずに取材をしていたのかどうか分からないが、視聴者をミスリードしかねない内容だった。

  • 路線バスを乗り継ぐバラエティー番組があるが、そもそもスマートフォンなどで、バスの時刻表やリアルタイム運行情報が瞬時に手元に得られる時代なのに、まるで下調べせず、行きあたりばったりの無計画を装った演出に辟易する。現実は、手軽に計画を立てられ、運行情報も容易に把握できるのだから、その流れに沿ったものが望ましい。

  • 外国人に対するインタビューなどで、吹替えで放送する番組が多いが、下手な吹替えに興ざめする。外国人へのインタビューは、画面を通してネイティブな外国語に触れられる機会の一つでもある。なるべくなら字幕にして、そのままの音声を流してほしい。

【ラジオ】

  • 朝の番組で、パーソナリティーが、千葉県で起こった元市議会議員の家族切りつけ事件に関連して、精神科通院歴を問題視し、「こういう人はどうにかならないか…」と発言。精神的な病を抱える人たちの中で、就労を考える人が多い現在、それに際して、病歴をオープンにするかクローズにするかに直面するが、こういう発言を聞くと、就労そのものにおびえてしまう。放送人たるもの、もう少し発言に責任を持ってほしい。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • バラエティー番組での出演者を倉庫に閉じ込め、助けに来た友人を代わりに閉じ込めてしまうドッキリ企画は、子どもが真似をして人間関係を壊したり、いじめを助長するおそれがある。子どもも見る時間帯にここまで悪ノリした企画を放送するのはいかがなものか。

【「報道・情報」に関する意見】

  • 大学アメフトで危険プレーをした選手の記者会見で、代理人から顔のアップは避けてとお願いがあったにもかかわらず、選手のアップを映して報道していた。若い、未来のある学生に対してこの仕打ちは倫理観を疑う。

【「低俗・モラル」に関する意見】

  • 深夜のトーク番組に出演したタレントが、風俗店名を出し、内容まで話していた。未成年の娘と主人と見ていたが気まずかった。公共の場で話す内容ではない。

【「編成」に関する意見】

  • 深夜に放送しているバラエティー番組を関西地区では日曜日の昼間に再放送している。きわどい発言が連発され、小学生が見ている時間に再放送するテレビ局は、何を考えているのか分からない。

第203回 放送と青少年に関する委員会

第203回-2018年5月22日

視聴者からの意見について…など

2018年5月22日、第203回青少年委員会を午後4時30分からBPO会議室で開催しました。今委員会から、新委員として、ノンフィクションライターの吉永みち子氏が加わり、7人の委員全員が出席しました。
委員会ではまず、委員長の指名により、副委員長として、緑川由香委員(弁護士)が選任されました。
次に、4月16日から5月15日までに寄せられた視聴者意見について議論しました。
バラエティー番組で、下着泥棒を追跡する企画に関して「なぜ警察を呼ばないのか」「子どもは謝ったら済むと思ってしまう」などの視聴者意見が寄せられたことについて、委員からは、「当事者の意向や取材源の秘匿の問題もあり、警察を呼ばなければならない義務はないであろう」などの意見が出されました。
5月の中高生モニターのリポートのテーマは「最近見たニュース・報道番組の感想」で、31人から報告がありました。モニターからは、「加計問題など話題のニュースをたくさん報道しているけれど、どういうことなのか、根本的なところから分かりやすく解説してほしい」、「10代向けの番組を作り、そのMCを10代がやれば、報道番組を見る人が増えるのではないか」、また、ニュースの特集番組について「一つの問題について様々な視点から語られていて、そこから派生して次の特集に移る点が番組の流れを円滑にしていた」などの意見が寄せられ、それについて議論しました。
次回は6月26日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2018年5月22日(火) 午後4時30分~7時00分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

朝のアニメ番組で、善人の登場人物が残忍に殺され、悪人の退治シーンはコメディー的に終わっている描き方について、「勧善懲悪の視点から子どもに悪影響があるのでは」「残酷な殺人シーンが流れ、子どもを交えて見る時間帯なのに配慮がない」との意見が寄せられました。これに対し、委員からは「特に青少年委員会で検討すべきというまでの内容ではないだろう」との意見が出されました。
バラエティー番組において、コインランドリーに張り込み、下着泥棒を特定して捕まえ、被害者が加害者と示談で解決したことについて、「警察を呼ばずに解決したのはおかしい。子どもが見て『謝って済むの?』と言っている」との意見が寄せられました。これに対し、委員からは「当事者の意向や、取材源秘匿の問題もあり警察を呼ばねばならないとはいえないだろう」「被害者が被害届を出さずに、民事での解決を選ぶこともありうる」などの意見が出されました。
またバラエティー番組で、口にクラッカーをくわえて破裂させる罰ゲームについて、「クラッカーは子どもが簡単に買えるので真似したら危険だ」との意見が寄せられました。これに対し、委員からは、「子どもたちが簡単に入手できるようなもので罰ゲームなどをする際には十分に安全性に配慮してほしい」などの意見が出されました。
これらの件に関しては、これ以上話し合う必要はない、となりました。

中高生モニター報告について

34人の中高生モニターにお願いした5月のテーマは、「最近見たニュース・報道番組について」でした。また「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で31人から報告がありました。
「ニュース・報道の感想」では、『真相報道バンキシャ!』(日本テレビ)と『報道特集』(TBSテレビ)にそれぞれ3人、『news every.』『NEWS ZERO』(日本テレビ)、『報道ステーション』(テレビ朝日)『バイキング』(フジテレビ)にそれぞれ2人から報告がありました。ローカル放送局が制作する番組を取り上げたモニターも、4人いました。番組はそれぞれ異なりますが、8人のモニターが、アイドルグループのメンバーが書類送検された事件を伝える報道について言及しています。
「自由記述」では、映像の編集による印象操作についての気づきや、「普段、自宅のテレビでニュースが流れていても受け流していることが多い」というモニターの「中高生自身も時事を知ろうとする意識を持つ必要がある」との意見がありました。また今回リポートするためにニュース番組を探していて「中高生向けの報道番組が少ないと思った」や「中高生には難しい用語には注釈をつけて」「中高生独自の目線で取材した番組があればきっとおもしろい」など「中高生向けの報道番組を作ってほしい」という意見を述べたモニターが4人いました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『シグナル 長期未解決事件捜査班』(関西テレビ)を7人が取り上げています。

◆委員の感想◆

  • 【最近見たニュース・報道番組について】
    • 今月のテーマ「ニュース・報道番組」は全体的に中高生にはなじみが薄そうだということが見て取れるリポートが多かったように思う。

    • NHKの朝のニュースを録画してリポートを書いている子をはじめ、ほとんどの子が録画視聴だった。モニターたちは、リポートを書くために録画したのだと思うが、普段から「ニュース・報道番組」はあまり見ていないのかもしれない。

    • 普段あまり見る機会のないニュースをおそらく初めて見なくてはいけない、という感じだったのではないか。

    • 『報道特集』(TBSテレビ)の「IRについて」の企画を見て、「競馬やパチンコ、競艇などは公に認められていて、カジノはなぜだめなのか」と疑問を持ったとの報告があったが、このような若者の素朴な疑問が、番組の企画にとっての「別角度の視点」に成り得るかもしれない。

    • 「報道番組は難しいので、10代向けの番組を作ってほしい」や「難しい言葉には易しい解説をつけてほしい」「もう少し色を付けるなど見やすい工夫をしてほしい」などの意見が複数あった。自分たちにとって見やすくわかりやすい報道を求めていることがわかる。

    • 「自分たちにわかりやすいニュースを作ってほしい」という意見もわかるが、しかしその一方で、「わからないことがあるなら自分で調べてみようよ」と言いたい気持ちもある。メディアがすべてお膳立てしていると、不思議に思うことを調べようとする知的好奇心が刺激される機会までも減ってしまうのではないかという懸念がある。

    • 報告を読んで思うことは、彼らの中で「報道番組」と「情報番組」の区別や境目がわからなくなってきているのではないかということ。今は、夕方のニュース番組のなかでグルメ企画が放送され、その延長線上で北朝鮮問題が取り上げられたりしている。また情報バラエティー番組がトランプ大統領を扱ったりもする。そんな現在のメディアの状況を彼らがどのように感じているのかが、とても興味深かった。

    • 中高生は「ニュース・報道番組」をあまり見ていないのだろうが、ニュース番組に対する印象というのは、この時代に形成されているのではないかと思う。将来の市民になっていく中高生たちが「難しい」「つまらない」という印象で感じているとするならば、彼らが親しみを感じられる仕組みなどを今後考えていかなくてはならないのではないか。
      『ENGEIグランドスラム』(フジテレビ)について、「落語や漫談など中高生はあまり見る機会のないジャンルが取り入れられていてよかった。見る前は堅苦しい芸はこの時間に合わないのではないか、と思っていたが、立川志らくさんや神田松之丞さんなど、いざ見てみると今までにない笑いの取り方がとても面白かった」と評価する報告があった。普段、コントや漫才が中心の演芸番組の中で、落語や講談、漫談が紹介されていたことが、中高生にとって非常に新鮮に映ったようだ。若い世代も、このような演芸に誘導できるという意味で、制作者にとっても新たな可能性が感じられるのではないだろうか。

  • 【自由記述】について
    • 「ラジオの良さは、(テレビの)バラエティー番組のように「形式」がなく無限大に広がるトークのみで構成されている空間だから」というラジオの魅力を語るリポートがあった。ラジオ番組制作者のみなさんへのエールになると思う。

    • 「トランプ大統領が来日した時の鯉の餌やり映像で、雑な餌やりだと思ってみていたら安倍総理の真似をしただけだった。編集でイメージ操作をすることは簡単なのだと思った」という報告があったが、テレビの裏側を自分なりに考えてくれたのだと思う。

    • 話題のニュースなどについて、「根本的なところからわかりやすく解説してほしい」という意見があった。確かに、たとえば加計問題にしても本当に何が問題なのか、という根本から取り上げて説明している番組は、実はあまりないのではないか、と私自身も感じている。

◆モニターからの報告◆

  • 【最近見たニュース・報道番組について】
    • 『バイキング』(新潟総合テレビ/フジテレビ)瀬戸内海の島で家の屋根裏に隠れていた犯人が海を泳いで本州に渡り捕まった話を面白おかしくしていたが、被害にあった人たちは笑えないだろうと思った。またアイドルグループのメンバーが書類送検された事件で被害者がそっとしておいてほしいと言っているのに毎日テレビで取り上げているのはひどいと思う。(新潟・中学1年・女子)

    • 『news every.』(日本テレビ)この番組は堅いニュースだけでなくおすすめの料理店や話題のスイーツなど、様々な観点から知りたい情報を幅広く紹介してくれるところが特徴です。またこの番組に限らず、それが悪いわけではないのですが、平日の夕方のニュース番組は食べ物ネタが多いと思いました。(東京・中学2年・女子)

    • 『ワイドナショー』(フジテレビ)面白くて比較的見やすいと思います。二ュースほど堅くなく笑える部分もあるので本当に見やすいと思います。ニュースは話し合う部分が放送されてないので、出演者がどう思っているのかはわかりませんがワイドナショーは出演者が気軽に話し合っているし高校生なども出演してるので若い人の意見も聞けます。芸人さん、俳優さん、ア―ティストなどの様々な立場からの意見も聞けるのでとてもいいと思います。(栃木・中学2年・男子)

    • 『バイキング』(仙台放送/フジテレビ)1週間に起きたニュースをわかりやすくまとめてあって見やすくてよいと思いました。しかしニュース内で書類送検されたアイドルグループメンバーについて、話し合いのほとんどの時間を使っていました。このニュースにその価値はあるのか?と思いました。(宮城・中学2年・女子)

    • 『報道特集』(TBSテレビ)ひとつの問題に対して様々な視点から語られており、そこから違和感なく派生して次の特集に移る点が番組の流れを円滑にしていると思います。(東京・中学3年・男子)

    • 『とくダネ!』(フジテレビ)強制わいせつで書類送検されたアイドルグループメンバーの過去の出演の際の言動をまとめて紹介していたが、悪印象を与えるものばかりであり、極端な報道を残念に感じた。このような報道では起訴されていないにも関わらず罪人というイメージを受けてしまう。番組には、今回のような芸能や政治に関する事柄でも、様々な角度の意見、事実を伝え論点を明らかにして視聴者に考えをゆだねてほしい。(神奈川・中学3年・男子)

    • 『中日新聞テレビ日曜夕刊』(東海テレビ)「中日新聞テレビ日曜夕刊」という名前から、私はローカルニュースが多いのだろうと想像していたが、実際は全国的・世界的なニュースが大部分を占め、ローカルニュースは番組最後の数分間であった。少し残念であった半面、全国・世界的なニュースは中心となるテレビ局一局で担当し、残りのローカルニュース等は地方各局で担当するという仕組みはとても完成されていると感じた。また、すべてのニュース番組に共通するのだが、ある一つの大きな事件が起こるとそれを子細に報道するという形式をとっている報道番組がほとんどで、「ほかのニュースも知りたいのに…」と、私自身飽きてしまうことがあった。視聴者のニーズはどのように番組に反映されているか知りたい。(愛知・高校1年・男子)

    • 『報道特集』(TBSテレビ)始まって30分ほどしてから見始めたのですが、テレビ画面右上に取材テーマが表示されており、途中からでも何についての話をしているのかをすぐ理解し、見ることができました。この日は「IRについて」取り上げていました。もともとIRについて知識はほとんどありませんでしたが、一つのテーマに対し、長い時間深いところまで掘り下げて放送されていたので理解を深め、見ることができました。しかし初めて聞く言葉も注釈なしで飛び交っていたので、説明がほしかったです。ひとつの事実に対して、中立の立場で、反対・賛成両方の立場の意見を報道していて、見ていて自分の意見を持つことができ、カジノについて考えるきっかけになりました。しかし、競馬やパチンコ、競艇などは公に認められていて、カジノはなぜだめなのか、ということに疑問を抱きました。(福井・高校1年・女子)

    • 『ファクトリサーチTV』(テレビ朝日)フェイクニュースというところにスポットライトを当てるというのがおもしろい視点だと感じました。一般的にあまりテレビでは取り上げられない話題ですが今回の放送を拝見して我々も漠然と報道を見ているだけでなくそれが本当なのかと考えることは非常に重要だと感じました。ネットやテレビには多くの情報がとびかっています。現在情報のはやさに関しては、正直テレビはネットにかなわないと思います。だからこそテレビには正確な情報を伝えるという点で勝負していただきたいと考えている次第です。(埼玉・高校2年・男子)

    • 『どさんこワイド179』(札幌テレビ)毎日放送されているニュース番組です。番組名になっている「179」は、現在北海道にある市町村の数らしいです。市町村合併などが行われると併せて番組名も変更されます。道内のニュースはもちろん、全国ニュースや「奥様ここでもう1品」などの楽しいコーナーもあり、普段あまりニュースを見ない人も楽しんで見ることができる番組だと思います。(北海道・高校2年・女子)

    • 『報道特集』(TBSテレビ)最近見入った企画は「塀の中の中学校」だ。80歳の受刑者が刑務所内の分校に入学し卒業を目指すというものだ。まず刑務所内で教育を受ける仕組みがあるということを知らなかった。その中で、60年刑務所で過ごしてきた受刑者が、中学を卒業すべく勉強しているということは完全に私の知らなかった世界だった。特集では刑務所内の様子や授業風景がかなり詳しく撮影されていた。また番組スタッフと80歳の受刑者との会話を中心に構成されており、ただ事実を映すだけでなく受刑者の思いも描かれていたため、わかりやすかった。会話の様子からスタッフが長い時間をかけて受刑者とコミュニケーションをとり、丁寧に取材・編集をしたのだろうと思った。社会問題となっている事柄を、取材・インタビューを通じてさらに奥へ深く掘り下げている、他のニュース番組とは異なるタイプの番組である。見るたびにまだまだ知らないことだらけだということに気づかされ、ハッとさせられる番組である。(東京・高校2年・女子)

    • 『真相報道バンキシャ!』(日本テレビ)トップニュースとして、北朝鮮とアメリカの首脳会談決定のニュースで始まった。その後、コマーシャルを挟みながら、最新のニュース、天気予報と移り変わり、30分ごろから新潟市女児殺害事件のニュースへ。まず、スタジオに黒服の男のイラストが複数配置されているところから始まり、スポットに照らされナレーションとともにVTRに移る。現場近くの昼間の公園に取材に行き、警戒からか人気のない公園をリポートしている様子だったが、これがかなり印象的だった。つぎに、黒い服の不審者の目撃情報を集めていた。8件ほど集まったと放送しており、一人ひとりイラストを書いてもらっていた。ここで、それが冒頭のイラストの演出なのかと合点がいく。何度も目撃されている、また被害者のランドセルから複数の指紋が見つかっているという点を強調することで、まったく手がかりがないわけではないということを伝えたいのかなと感じた。皇室ゆかりのホテルの大改修があるという特集を10分程度放送し、母の日テストを紹介して、やわらかい雰囲気で番組は終わった。重い空気のまま終わらせないこともお茶の間への配慮かなとも思うが、殺人事件の報道をなあなあなままで終わらせることこそ一番いけないわけで、難しいなと思った。(東京・高校3年・男子)

  • 【自由記述】
    • トランプ大統領が来日した時の鯉の餌やり映像で、雑な餌やりだと思ってみていたら安倍総理の真似をしただけだった。編集でイメージ操作をすることは簡単なのだと思った。(新潟・中学1年・男子)

    • 最近のニュースはとても難しく子どもが見てつまらないニュースがたくさんあります。もう少し色を加えるなど見やすい工夫をしてほしいです。(宮城・中学2年・女子)

    • 最近の報道は外交関係のニュースが多いと感じました。北朝鮮の非核化や日中関係、日韓関係など近隣諸国との関係が問題としてあがっていました。中には中学生には難しい用語もあったので、テロップなどでの簡単な解説が入るといいと思いました。(長崎・中学3年・女子)

    • 最近、ラジオにドハマリしています。ラジオの良さはテレビのバラエティー番組のように「形式」がなく無限大に広がるトークのみで構成されている空間です。(東京・中学3年・男子)

    • 今回、課題のためにニュース番組を探していて思ったのは、中高生向けの報道番組が少ないということです。高校生になると、現代社会のテストで時事問題が出るため、自分自身で新聞を見るなり、テレビを見るなりして情報を集めねばなりません。私は新聞から情報収集していますが、正直言ってあまり興味がわきません。ですから中高生に向けた時事ニュースを、気軽に興味を持って見られる番組が欲しいです。中高生がリポーターとなり、中高生独自の目線で取材した番組があったら、きっと面白いと思います。(福井・高校1年・女子)

    • 最近の報道番組は少し難しい表現が使われている気がします。大人が発信するのではなく、10代向けの番組を作り、その番組のMCを10代がやれば、報道番組を見る人たちが増えるのではないかと思いました。(東京・高校2年・女子)

    • 今回のテーマ「ニュース・報道番組」で、普段家のテレビがついていることは多いものの、実際は見ていなかったり受け流していることに気付いた。中高生自身も時事を知ろうとする意識を持つ必要がある。(東京・高校2年・女子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】
    • 『シグナル』(テレビ宮崎・関西テレビ)2人の刑事が時を越えて事件の真相をあばき、解決しようとする姿が、ドラマというより映画のように映し出されているところがとてもよかったです。セリフの内容にも重みがあって、心に響きました。(宮崎・高校1年・女子)

    • 『シグナル』(東海テレビ/関西テレビ)各場面の背景で流れる音楽も視聴者の感情を高めるのに一役買っている気がする。今後ドラマなどを視聴するときは、内容だけではなく、その周りを囲んでいる様々な要素に焦点を当てて見ていきたい。(愛知・高校1年・男子)

    • 『シグナル』(フジテレビ/関西テレビ)初回からドラマの世界に引き込まれ、この先どうなるのか…とドキドキハラハラさせられました。時間軸を理解するのが少し難しいけれど、最終回までとても楽しみです。(東京・高校2年・女子)

以上