第340回

第340回 – 2025年6月

「警察密着番組に対する申立て」テレビ東京の対応と取り組みを了承…など

議事の詳細

日時
2025年6月17日(火)午後4時~午後7時30分
場所
千代田放送会館BPO第1会議室
議題
出席者
廣田委員長、鈴木委員長代行、野村委員長代行、大谷委員、
國森委員、斉藤委員、成原委員、松尾委員、松田委員

1. 最新申立て状況

事務局から最新の申立て状況について説明し議論した。

2.「警察密着番組に対する申立て」委員会決定を受けてのテレビ東京の対応と取り組み

今年3月18日に通知公表を行った委員会決定第81号「警察密着番組に対する申立て」について、当該放送局のテレビ東京から「対応と取り組み」をまとめた報告書を受領し、委員会でその内容について検討した結果、了承した。委員からは「審査体制の強化のほかに社内研修を何度も実施するなど、制作スタッフのコンプライアンス意識の向上にも努めており、この取り組みを継続して欲しい」などの意見があった。

3. その他

事務局から今後の委員会開催の件などについて報告した。

以上

第207回

第207回–2025年6月

TBSテレビ『熱狂マニアさん!』委員会決定を通知・公表へ

第207回放送倫理検証委員会は、6月13日に千代田放送会館で開催された。
1月の委員会で審議入りしたTBSテレビの『熱狂マニアさん!』について、担当委員から意見書の修正案が報告され意見交換した結果、合意が得られたため、今後当該放送局へ通知して公表することになった。
日本テレビは、2025年3月24日に放送したバラエティー番組『月曜から夜ふかし』の街頭インタビューのコーナーで中国出身の女性の声を紹介したが、放送後この女性から実際に話した内容とは違うという指摘を受けた。委員会で議論した結果、このインタビューは女性が話した内容とは全く異なる文脈へと意図的に編集され、他国の文化に対する尊重を著しく欠いていた疑いがあり、制作過程に放送倫理上の問題がなかったかどうかを詳しく検証する必要があるとして4月の委員会で審議入りを決めた。今回の委員会では、担当委員からヒアリングの結果の報告と意見書の骨子案の説明があった。
5月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告された。

議事の詳細

日時
2025年6月13日(金)午後4時~午後6時10分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、小柳委員、水谷委員、毛利委員、米倉委員

1. TBSテレビ『熱狂マニアさん!』について審議

TBSテレビは2024年10月19日に放送したバラエティー番組『熱狂マニアさん!』2時間スペシャルで、「ニトリマニア集結!1万点からベスト3…名もなき家事が今夜消滅!」と題し、インテリア小売業大手ニトリの商品を使った時短料理や収納テクニックなどを放送した。
放送後、視聴者からBPOに「番組の全編でニトリの商品を紹介していた。価格や商品名も入っていた。番組の提供にも入り、本編からCMに移ってもニトリのCMを流していた。これは番組といいながら、明らかに広告ではないのか」という声が寄せられた。この番組は2024年の1月13日と6月1日にニトリを放送しており、今回が3回目であることが判明したため、委員会は当該放送局に番組DVDと報告書の提出を求めることにした。
TBSテレビの報告書によると、番組は特定のジャンルに並外れた熱意や愛情を注いでいるマニアが熱狂していることや好きなものを紹介するバラエティー。コロナ禍の巣ごもりでコンビニやスーパー、大手日用雑貨店への興味や関心がファミリー層などで高まったことを受け、時短料理や清掃・収納など人気有名企業の商品活用法に詳しいマニアを番組が発掘し、単なる商品紹介ではなく、衣食住にまつわる生活の知恵を幅広い視聴者に届けてきたという。
委員会は、番組内容や制作過程に「番組と広告の違い」等を含む放送倫理上の問題がなかったかを詳しく検証する必要があるとして2025年1月の委員会で審議入りを決めた。今回の委員会では、担当委員から意見書の修正案が報告された。これについて意見が交わされた結果、合意が得られたため、表現などについて一部手直しの上、今後しかるべき時期に当該放送局に対して通知し、記者会見を開いて公表することになった。

2. 日本テレビ『月曜から夜ふかし』について審議

日本テレビは、2025年3月24日に放送したバラエティー番組『月曜から夜ふかし』の街頭インタビューのコーナーで中国出身の女性の声を紹介したが、放送後この女性から実際に話した内容とは違うという指摘を受けた。
委員会は当該放送局に報告書と番組DVDを求め、それらを踏まえて協議した結果、問題となっているインタビューは、女性が話した内容とは全く異なる文脈へと意図的に編集され、他国の文化に対する尊重を著しく欠いていた疑いがあり、取材から放送に至る経緯等について放送倫理上の問題がなかったかどうかを詳しく検証する必要があるとして4月の委員会で審議入りを決めた。
今回の委員会では、担当委員からヒアリングの結果の報告と意見書の骨子案の説明があった。他の委員からは複数の質問や意見が出され活発な議論が行われた。今後は意見書の原案の作成を進める。

3. 5月の視聴者・聴取者意見を報告

5月に視聴者・聴取者から寄せられた意見には、非公開だった兵庫県百条委員会の証人尋問の音声を政治団体代表・立花孝志氏に提供した県議会議員を、ゲストとして出演させた番組に対する批判が多かった。具体的には、複数の自殺者が出るに至った社会問題に対してあまりにも不健全な関わり方だという意見や、この番組は以前から何も検証せずに特定の出演者の意見を放送しており公共の電波を使う事業者として不適格だと思うという意見が寄せられた。また、元タレントの代理人がフジテレビ第三者委員会の性暴力認定に反論した後、橋下徹氏が情報番組に出演し、自らが元タレント側に弁護士として助言する立場にあったと述べた上で「その当日の状況を見てもらえれば、こういう風に性暴力だとか、少なくともこれだけ社会的制裁を受けるような話ではないと感じる人も僕は凄く増えると思います」と述べたことに対して、橋下氏が元タレント側に法律家としてかかわっているなら解説させたのは間違いで専門家の扱いは慎重にやってほしいといった意見や、元タレント側の話を聞くべきだとの意見はもっともだとしても橋下氏個人のあくまで伝聞による感想を一般化するようなコメントを流すべきではなかったという意見が寄せられた。

以上

2025年3月27日

2024年度「中学生モニター会議」

◆概要◆

2024年8月1日に日本テレビで行われた高校生モニター会議に続いて、2025年3月27日、中学生モニター会議がテレビ東京で開催されました。委員と交流できるモニター会議は、モニターたちの日頃思っている意見やアイデアを委員や放送局に直接伝えることのできる絶好の機会であると同時に、テレビ局内の見学や番組制作者との意見交換会を通じて、メディアリテラシーを涵養(かんよう)する貴重な場でもあります。今後もテレビのファンとして、さらには将来のテレビ視聴者の柱となってもらえればと、青少年委員会ではモニター会議を毎年開催しています。

当日は今年度の中学生モニター10名と、BPOからは大日向雅美理事長と青少年委員会の吉永みち子副委員長(当時)、飯田豊委員(当時)、池田雅子委員、佐々木輝美委員、沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員の7人の委員が参加しました。

オリエンテーションを終えたモニターと委員ら参加者は、テレビ東京報道フロアの副調整室で同社の社員からのニュース番組制作の流れについての説明を受けたのち、ニューススタジオで同社の田中瞳アナウンサーからの説明を聞きながらニュース番組『昼サテ』の生放送を見学しました。またOA終了後のスタジオセットでは、末武里佳子アナウンサーに案内されながらモニターたちが一人ひとりニュース原稿を実際に読むアナウンサー体験をしました

社屋内の社員食堂でランチを済ませた後、中学生モニターと番組制作者との意見交換が行われました。今回はテレビ東京の『所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!』(以下『そこんトコロ!』)の小平英希チーフプロデューサー(以下、小平CP)、田中晋也総合演出・プロデューサー(以下、田中総合演出兼P)、畦元海帆アシスタントプロデューサー・ディレクター(以下、畦元D・AP)、古橋慧士アシスタントディレクターと(以下、古橋AD)、進行役の冨田有紀アナウンサー(以下、冨田アナ)にご参加いただき、同番組がいかにして制作されるのかの詳細や苦労話を聞いた後、活発な質疑応答が行われました。

後半には中学生モニターと青少年委員会委員との意見交換が行われました。それぞれの自己紹介のあと、
「お笑いなどのバラエティー番組について、子どもの教育に悪いなどといった大人の意見をどう思うか」
「同世代にテレビ・ラジオをもっと視聴してもらうために放送局にしてほしいことはありますか」について意見交換しました。

この日参加してくれた中学生モニターたちは中学生とは思えないしっかりとした意見を堂々と述べ、まわりの人たちを驚かせていました。

第1部 『所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!』制作者との意見交換会

番組の制作体制について

  • ○冨田アナ モニターの皆さんからいただいた、番組に関する質問をベースに進めていきたいと思います。まず一番多かった質問は「何人くらいのスタッフで制作しているのか」でした。

  • ○小平CP 番組によってスタッフの人数は違います。例えば規模の小さい深夜の30分番組はとても少ない人数で制作していますが、『そこんトコロ!』は金曜日20時からという非常にいい時間に放送している、お金をかけて作っている番組で、スタッフの人数も多いです。毎週1時間番組を作るので、かなりの人数です。
    CPはチーフプロデューサー、現場の方々がやりやすいように調整する係です。次にPと演出は非常に重要なポストで、Pはお金の管理や制作会社とのやり取りなどをし、演出は内容面にあれこれ口を出してより良い番組を作る役です。通常はPと演出は別々の人がやっていますが『そこんトコロ!』では田中総合演出兼Pが一人でやっています。そして1カ月先や2カ月先の放送回まで制作するために多くの制作会社、制作チームが入っています。この形はテレビの中では王道で、どの番組でもこういう形式で制作しています。最後にAP、デスクはプロデューサーや演出の補佐をします。例えばAPは、出演者やゲストは誰がいいかをプロデューサーと相談して、実際に電話をして「この日は空いていますか」「ギャラは幾らでお願いします」などのやり取りをします。またデスクは出演者の楽屋を整理したり会議室を押さえたりなどの細かい仕事があります。他にも番組のナレーターや、ロケ・スタジオのカメラマン、音声さんなど、全部合わせると100人位になります。

  • ○冨田アナ それではここで、スペシャルメッセージが届いていますのでご覧ください。

~VTR視聴~ 所ジョージさんと東貴博さんからのスペシャルメッセージ

所ジョージさん 「“若い人たちがテレビ離れしている”“テレビはつまらない”と聞くけれど、テレビは面白いんですよ!テレビに“出ている人”がつまらないだけ!この番組以外は見る気がしないね!笑 学校で勉強することも大事なことだけど、『そこんトコロ!』を見てると、人がいろんなことを楽しんだりとか、そんな楽しみ方があるんだとか、いろいろ参考になるわけじゃない。だから“人が楽しい”ってことが伝わると思うのよね。悩んで辛いことなんてないんだよ、楽しいんだよ全部! 参考になればと思います」

番組制作の流れについて

【VTRの企画が決まるまで】

  • ○田中総合演出兼P それでは4月18日の放送回を制作する過程を説明していきます。まず僕が最初に考えるのは、4月18日に裏局が何を放送するのかという“裏環境”です。他局がどういう番組を放送するかを考えて、負けない強いコンテンツを考えながら決めていきます。情報を集めたところ、ある放送局が女性に人気のスポーツ大会を中継することが分かったので、こちらは男性に人気の企画をやろうと思いました。『そこんトコロ!』では大体3つの企画を放送しますが、まず1つ目は「開かずの金庫」の企画に決めます。他局のスポーツ中継は高視聴率を獲るからもう1つ強い企画が欲しいと思い、2つ目は「遠距離通学」の企画に決めました。この2つは定番企画なので、3つ目は新しい企画をやろうと考えて、3つの企画を進めていきます。これが僕の最初の役割です。そして担当する班に「開かずの金庫」と「遠距離通学」をやると伝え、残りの1つの新企画については、AD全員が新規企画案を持ち寄ってみんなで話し合います。ちなみにその時に2人が書いた企画を、少しだけ紹介します。

【実際の企画会議で検討された企画案を、モニターに紹介!】

  • ○古橋AD 1つ目は「酷(こく)道(どう)を通る人」です。日本には険しい道がたくさんあって、そこを通る人がどんな人なのかに密着する企画を考えました。国道だけど全然整備されていない道を「酷(こく)道(どう)」と読むというネット記事があって面白いなと思い、何かできないかなと考えました。2つ目は、リサイクルショップに来た人に話を聞く「リサイクルショップに何を売りにきたんですか」という企画で、これもたまたまリサイクルショップに行った時、変なものがたくさん売っているなと思ったので、企画書にしました。

  • ○畦元D・AP 私は自分が楽しくできるものじゃないと興味がわかないので、番組の趣旨と自分がやりたいもののちょうど間くらいの企画を毎回出すようにしています。「イグノーベル賞」というノーベル賞の面白い版があって、すごく変なことに人生を賭けている研究者たちがいるので、それをやりたいなと思って出した企画です。

  • ○田中総合演出兼P 僕が求めているのは大体15~16分ぐらいの尺になりそうな企画で、加えて常に考えているのは、所さんがこれを見てどう思うかということです。所さんは何かに夢中になっている人のVTRを見ると、すごく前のめりになってくるという印象があります。

  • ○(中学3年・女子・長崎) 視聴者として見てみたいと思ったのは「酷道」の企画です。こういう場所は日本全国に点在していると思うので、そこを通る人はすごく面白そうだなと思いました。

  • ○(中学3年・男子・千葉) 僕は「変な同好会」の企画がいいなと思いました。所さんが一生懸命な人に興味があるそうなので、一番合っていると思いました。『学校では教えてくれない』という番組タイトルなので、誰かに教えてもらうことなく自分たちで頑張っているところも合っていると思いました。

  • ○田中総合演出兼P この企画は、学校の変な部活に密着する既存の企画に似てしまうので今回は止めましたが、いま話してくれた視点で『そこんトコロ!』でできる企画だなと思います。

  • ○(中学2年・女子・埼玉) 「あのすごい人」の企画がすごく印象に残っていてます。具体例にあった“新幹線の車内アナウンスの声の方”とか「これ誰がやっているんだろう?いま生きているのかな?」という気がしたりするので、そういう一般人のふとした疑問を解決してくれる面白い企画だなと思いました。

  • ○田中総合演出兼P ありがとうございます。ほめられてうれしいです!『そこんトコロ!』は20年くらい放送している番組ですが、最初の頃はまさに今言ったような企画をたくさんやっていました。もう一回やってほしいという視聴者の声もありますが、ネタをたくさん用意しなければいけないので、今回はみんなで話し合って「リサイクルショップに何を売りにきたんですか」という企画に決めました。変なものを売りに来る裏には絶対に人間ドラマが待っているはずだし、それが幾らで買い取られるのかというのも興味がある。さらにそれを誰が買うのかというところまで広がる企画だと思ったので、これはテレビ東京が大好きな密着してどんどん聞いていくスタイルで、台本では書けない面白い展開が起きると思いました。実は進めてみたらすぐ“誰も売りに来ない”という問題が起きたのですが、ディレクターやADと「買いに来る人も結構面白いですよ」という話になり、そちらに企画の軸をずらしてやってみようとなりました。思ったように企画が動かないことはあったりしますが、そういうときにいかにその中で楽しいことを見つけて、そっちに軸をずらして演出していくかというのは、ディレクターやテレビ番組を作る人には大事な力だと思います。以上のような形で、この3ネタでいく、と決まったのが放送の1カ月半ぐらい前です。

【取材~ロケの準備】

  • ○畦元D・AP 「開かずの金庫」の企画(以下「金庫」)をやると決まったらまず“開かずの金庫”を探す作業がありますが、「金庫」はもう10年くらい続けているので最近は本当に“開かずの金庫”がないんです。まずは視聴者から「“開かずの金庫”がありますよ」と言われて動くのがベースです。次にリサーチ会社という、何でも調べてくれる会社にお金を払って金庫を探してもらうことも多々あります。視聴者投稿も予算もない場合は、我々ADは“ローラー作戦”と呼んでいますが、とにかく金庫がありそうな場所に電話をかけまくります。『そこんトコロ!』のADの間では定番の話ですが、なぜか酒蔵に開いてない金庫がたくさんあったり、質屋さんにも結構置いてあったり、市役所に「開かずの金庫がないですか」と聞くとたまに紹介してくれたりと、ネタのないときはADみんなでとにかく電話をかけまくって探します。探しまくるといろいろな金庫が集まってきますが、今回皆さんと一緒に「開かずの金庫」ネタをディレクターの視点で一緒に選んでいこうと思います。お配りした資料には、例として3つの候補があります。1つ目は愛知県の金庫で郷土資料館に置かれていた金庫、2つ目は奈良県の古民家で使われていた金庫、3つ目は静岡県のお寺に置いてあったぼろぼろの金庫です。この中から1つ決めなければいけませんが、どういう基準で決めると思いますか?資料を見て、自分だったらこの金庫を選ぶなというのを考えましょう。

  • ○(中学2年・女子・東京) 奈良県の古民家で使われていた金庫は、もし“開かずの金庫”が今自分が住んでいる家にあったらと思うと、面白いと思いました。

  • ○(中学2年・女子・秋田) 私も奈良県の古民家の金庫が気になります。振ると音がすると書いてあったので、中に何かが入っている可能性があるのかなと思いました。

  • ○畦元D・AP 確かに古民家というのはかなり引っかかりますよね。実は私たちが今回選んだのは、静岡県のお寺の金庫です。まず第一基準として、空の金庫を開けたくはないから中身が入っていそうな金庫を選びます。その基準でいうと、郷土資料館の金庫はほとんどが寄贈されているもので、たいてい中身を空にして寄贈されるので何も出てこない傾向があります。次に古民家か寺かで迷いましたが、最後の判断基準は「金庫」のVTR構成です。VTRの前半でどういうところにある金庫かを詳しく説明しますが、この古民家はあまりに普通すぎて、この家族のファミリーストーリーみたいになってしまうのは避けたかった。それより寺の金庫が「なぜこんなにぼろぼろなんだろう」「なぜこんな倉庫に置いてあるんだろう」と気になりました。つまり、中に何が入っているのか、そして前半のVTRでいかに面白いものが作れるか、という基準で金庫を選びました。
    寺の金庫の取材が決まると台本を作成します。皆さんの手元にある静岡市ロケ台本というのをディレクターが作ってロケに挑みますが、とてもきちんと台本を書く番組だなと私は個人的に思います。リポーターの酒井貴士(ザ・マミィ)さんに言ってほしいところを決めた台本を作ってからロケに行くという流れになっています。最近の『そこんトコロ!』のディレクターにとても人気な芸人は岡野陽一さんです。毎週1回は絶対に出演していて、本当にいい人でやりやすいです。リポーターを選んだら、次にロケに入ります。

【VTRロケ~スタジオ収録準備】

~VTR視聴~ ロケから編集まで、スタッフの様子を撮影した動画を見ながら解説してもらいました

  • ○古橋AD 金庫のあるお寺がどんなところかを紹介するシーンの撮影になります。基本的にカメラマン2人と音声さん、ディレクター、ADの、計5~6人でロケに行きます。演者さんが映っていない、例えば金庫だけを見せるといった“インサート”と呼ばれるシーンも撮りますが、このロケでは金庫だけで10~20パターンくらい撮ってVTRの中に散りばめます。1つの金庫を撮るだけでも相当こだわります。また金庫を開錠するシーンはカメラ3つに加えて定点カメラとして小さいGoProを回しているので、合計で5~6台のカメラで一気にたくさんのものを撮っています。ちなみにロケにはハプニングがつきものですが、これまでハプニングとかあったりしましたか。

  • ○畦元D・AP 私は「金庫」のロケはたくさんやっていますが、ハプニングが多くて。例えば、鍵開け職人の方に金庫の写真や動画を送るためにロケハン(撮影場所の下見)に行ったのですが、金庫のレバーの固さを動画に撮るために私がガチャガチャと動かしていたら、“開かずの金庫”を開けちゃったことがあって。もちろんそれはボツになってしまいました。

  • ○田中総合演出兼P 僕の場合は「金庫」のロケではないんですが、ロケが終わって車に戻ったら荷物が全部盗まれていたことがあります。ただ収録したテープだけは手元に持っていたので、テープだけは持って帰れました。ロケで一番大事なのは素材だということを再認識し、そのあとも本当に注意しています。

  • ○古橋AD さて撮影が無事に終わったら次は編集です。編集には2つの段階があって、最初にオフライン編集、ディレクターが自分のパソコンで編集します。大体1週間ぐらいかかりますが、この段階ではまだ粗くてテロップもきちんと入っていません。次にそれを編集所に持っていって、プロの編集マンにテロップを入れ直してもらったり、音を調整してもらったりします。皆さんが普段視聴している番組は、ディレクターが構成を考えて編集していますが、見やすいテロップや楽しい効果音がついているのは編集マンたちの協力があってのことです。次にディレクターが指示しながらナレーションを録って、ミキサーがナレーションの声やタイミング、背景の音などを調整します。編集が全部終わるとVTRの完成ですが、これがそのままオンエアされるのではなくて、このVTRをスタジオで所さんや東さんに見せて、リアクションを収録します。この収録には冨田アナも毎回出ていますが、冨田アナは収録の時に気をつけていることとかありますか。

  • ○冨田アナ 私は所さんや皆さんと一緒に初めてVTRを見るので、思ったことを素直にお伝えするようにしているのと、いろいろなゲストの方がレギュラーメンバーに加わっているので、その方々について調べてから本番に臨んでいます。また2週間に1回収録があるのですが、収録に臨む前にこの2週間にあったことをお話しして、よりよい雰囲気で収録に臨めるようにしています。

【スタジオ収録~オンエア】

  • ○古橋AD (実際の収録台本をモニターに配って)この台本は収録時に僕たちが参照しているもので、裏表紙に収録スケジュールが書いてあります。セットは前日から建て込んでいて、朝早くからカメラや照明のセッティングを行い、そこからリハーサルをする流れになっています。12時半からの「位置決め」から裏側を撮影したので、見ていきましょう。
    「位置決め」ではどの位置に座るかを決めますが、全部演者さんにやってもらうわけにはいかないので、首から名前を下げたスタッフが座って、カメラマンと位置を調整していきます。14時頃から演者さんが入られます。今回のゲストは俳優の町田啓太さんです。ゲストの選定基準はどうなっていますか。

  • ○田中総合演出兼P 基本的には予算の範囲内で決まります。町田啓太さんは『ドラマ9「失踪人捜査班 消えた真実」』に出演されているので、ドラマ担当者から「ぜひ町田さんを出してくれませんか」と言われました。あとはギャラなどを相談しながら決めていきます。

  • ○古橋AD 収録がスタートすると、カンペを出して、それを冨田アナが読みます。冨田アナは、カンペを見るときに気を付けていることはありますか。

  • ○冨田アナ 私が話すところはオンエアには乗りづらいので、カメラに向かって伝えるというよりは、現場にいらっしゃる演者さんたちにお話しするようにして、その場がスムーズに進むように心がけています。

  • ○古橋AD カンペは文字を大きくしたり色分けしたりして、遠くからでも見やすいように作っています。この収録だとカメラは6~7台で、それぞれにカメラマンとアシスタントがついています。収録はスタジオで行いますが、1フロア上に“サブ”と呼ばれる副調整室があって、そこからいろいろな指示を出したりカメラの映像を切り換えたりしています。スタジオにはたくさん人がいますが、それを仕切ったり調整したりする人もいて、たくさんの人がいて収録が行われています。
    収録が終わったら最後に反省会をしています。例えば、VTRを見せたスタジオのリアクションをこれから編集するので「スタジオで見せたVTRのどこを切ろうか」「ここはスタジオはあまり盛り上がっていなかった」「ここは盛り上がっていたから長めに使おうか」といった話をして、オンエアに向けて調整をしていきます。

  • ○田中総合演出兼P 今はまだパソコンで編集していますが、最終的には編集所で、朝10時から翌日朝10時くらいかけて編集して、放送の時間に合わせます。編集所とスタジオを何回も行ったり来たりしながら1時間の番組が出来上がります。

モニターからの質問

  • ○(中学3年・男子・千葉) ネタ探しのときにリサーチ会社を使うとお話されましたが、リサーチ会社は具体的にはどうやってリサーチしているんですか。

  • ○畦元D・AP さきほどお話した「電話のローラー作戦」とほぼ同じのようです。例えばリサーチ会社に「金庫のネタが動きます」と伝えると「地域を教えてください」と言われます。行きたい地域は九州だと伝えると、地道に1軒ずつ電話をかけて探してくれます。リサーチ会社からは「1カ月間くらい期間が欲しい」と言われます。

  • ○(中学3年・女子・長崎) 時代によって視聴者が見たい企画や風潮が変わっていくと思いますが、『そこんトコロ!』は長く続くなかで、時代に対応していくためにどんな工夫をなされていますか。

  • ○田中総合演出兼P あえて時代に沿おうとは考えていなくて「所ジョージさんを喜ばせるぞ」という部分はぶれずに続けています。所さん出演の長寿番組は他局にもありますが、他局の人たちも同じような気持ちでやっているからではないかなと思います。

  • ○(中学3年・男子・東京) 僕のイメージでは、テレビ業界は時間にシビアで、怒声が飛び交っているようなイメージがあるのですが、実際はどうなんでしょうか。

  • ○小平CP 怒声というのは「オラー!」みたいな?そんなことはないですよ!例えばスタジオ収録では、大勢に同時に伝えるために「いま調整中です」「10分押しです」とか大きな声で言うんですよ。ちょっと怒声ぽく聞こえなくもないですが。昔はあったかもしれませんが、今はそういうのはありません。

  • ○(中学1年・女子・鹿児島) 番組を制作するときに、芸能人の出演者と意見がぶつかったり、出演者から「こういうことはやりたくない」といった意見が出たりしませんか。

  • ○田中総合演出兼P 『そこんトコロ!』ではほとんどありません。他の番組だともう少しぶつかることはありますが、それは決して嫌な感じではなくて、演者も一緒に面白い番組を作りたいと思っての意見交換という意味では、結構あったりします。

  • ○冨田アナ 所さんは穏やかな方で、中心にいる方が穏やかだと良い空気が広がっていくのだと思います。

  • ○(中学3年・女子・神奈川) 人気のある企画は何度も放送すると思いますがその基準は何ですか。視聴率とかTVerの再生回数、Xの反応はやはり結構大事ですか。

  • ○田中総合演出兼P やはりめちゃくちゃ見ちゃいます。ただ視聴率は裏の番組で何をやっているかにも左右されるので、視聴率がある程度低くても、所さんやスタジオのリアクションがものすごく良ければもう一回トライしようと思ったりします。実はTVerは番組とそんなに親和性がなくて、Xもそんなに反応があるタイプの番組ではないので、スタジオの盛り上がりを最も重視しています。

  • ○冨田アナ 8ミリフィルムの企画という、皆さんのおじいちゃまやおばあちゃまが昔撮っていた映像を番組で見せていただくコーナーがあります。演者さんも泣いてしまうくらい心打つものがあって、やはり場の空気は大事なんですよね。私もいち視聴者としてすごく心に来るものがあって…。

  • ○田中総合演出兼P 冨田アナは泣いて進行ができなくなって。カンペ出しているのに…。

  • ○(中学2年・女子・東京) 私は「遠距離通学」の企画ががすごく好きです。通学する人をどうやって探しているのですか。

  • ○田中総合演出兼P 「遠距離通学」は視聴者投稿が結構多いようです。僕がまだディレクターだった10何年前ぐらいに始めた企画ですが、その頃は東京駅で「どこまで帰るんですか」とひたすら聞き続けて探していました。効率的に企画をつくれるネットワークが徐々に出来上がっていった形です。

  • ○(中学3年・女子・長崎) 冨田さんに伺いますが、収録で演者さんの個性や面白いトークを引き出すために、工夫されていることを教えてください。

  • ○冨田アナ 私は本番でも緊張しがちなのでちょっとしたミスにはツッコミを入れていただけるような関係性を築けるように、普通の会話のようにお話いただけるように心がけています。

  • ○(中学1年・男子・山梨) 収録スタジオの後ろにある大きい金の銅像はどんな意味があるんですか。

  • ○田中総合演出兼P スタジオのセットは美術の担当者が作っています。『そこんトコロ!』の世界観やイメージを伝えるとデザインしてくれる人がいて、それに基づいて大きい金の銅像が置かれています。右手に見える扉も、ゲストが登場するために作ったものです。スタジオセットはお金もかかるので頻繁には変えられないですが、時代や演出に合わせて変えたりしています。

  • ○(中学2年・女子・秋田) 大体100人くらいのスタッフで番組を制作するとお話していましたが、出演者と実際に会うスタッフは何人くらいですか。

  • ○田中総合演出兼P ディレクターは毎回演出についての説明を出演者にするので、そういった接点はあります。僕は番組のプロデューサーなので所さんと簡単な打ち合わせをします。その他のスタッフはスタジオではあまり直接的に出演者との接点はありませんが、1泊2日のロケに行けば夕食を一緒に食べたりしますし、そういう楽しいこともあります。

  • ○(中学2年・女子・埼玉) ロケの構成はどのように決めているんですか。また遠方にロケに行く場合は、実際にテレ東のスタッフが行きますか。それとも地方にいる人に頼む場合もありますか。

  • ○田中総合演出兼P 基本的にスケジュールとお金があればロケハンに行って「こういうものを紹介しよう」という情報を持って帰って、台本を作ってロケに行くという流れです。例えばテレビ北海道という系列局がありますが、バラエティー番組では、北海道でロケするからといってテレビ北海道のスタッフに任せることはありません。一方でニュースやスポーツ番組では、テレビ北海道の記者はプロ野球の北海道日本ハムファイターズと繋がりがあるので、撮影に協力してもらうことはあります。

  • ○(中学3年・男子・千葉) 「開かずの金庫」と「遠距離通学」の企画は男性人気が高いと話していましたが、性別ごとに人気が出やすい企画の傾向はありますか。

  • ○田中総合演出兼P 結果論ですが、視聴率から「金庫」は男性が見るとか、昔あった「遠距離“通勤”」とは男性が見るけれど「遠距離“通学”」は女性が見るとかいう傾向があります。

  • ○(中学2年・女子・埼玉) スタジオ見学では、あまり音が反響しないように音を吸収する仕組みになっていましたが、具体的にはどういうものを使っていて、どのような効果があるのですか。

  • ○田中総合演出兼P どういった材質かは分かりませんが、例えば6人出演者がいてそれぞれが好き勝手に発言したときに、1人の声だけ使いたい場合は他の人の声をオフにしなければいけないから、余計な音が入らないようになっています。マイク1個で収録するのではなく、全員がマイクをつけるほうが音をきちんと編集できます。逆にスタッフはスタジオで「大きな拍手しろ」「大きな声で笑え」と言われますが、それはそれできちんと響きわたるような作りになっているのだと思います。

  • ○冨田アナ モニターのみなさん、本日はありがとうございました。


第2部 BPO青少年委員と中学生モニターとの意見交換会

【テーマ1】お笑いなどのバラエティー番組が「子どもの教育に悪い」という大人の意見をどう思う?

 BPOに届く視聴者意見の中には、バラエティー番組の企画について「子どもの教育に悪い」「子どもが見て真似をするのでは」といった“大人の意見”がありますが、中学生モニターはどう感じているのでしょうか?アンケートをとると、以下の結果となりました。

「確かにそう思う」…2人、「どちらともいえない」…3人、「そうは思わない」…5人

<大人の意見について「確かにそう思う」という人の意見>

  • (中学1年・女子・鹿児島) 中学校で筆箱を投げてテレビを割った男の子や、椅子を引かれて怪我をした男の子がいて、担任の先生からクラス全員に向けて「テレビで見ているようなお笑いとは別なのだから、きちんと自分たちで考えて行動して」と言われました。また『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(フジテレビ)で芸人さん同士が言っていた汚い言葉とか人を下げるような言葉が中学校の男の子の間で一時期はやっていました。同じ環境で勉強している人がそういう言葉を使っているのは悲しいです。

  • (中学2年・女子・秋田) 「教育に悪い」と母とも前々から話しています。ドッキリがやり過ぎで心配のほうが勝る番組や、食べ物を味わうことなくただ大量に食べる大食いの番組などは、何かちょっと違うかなと感じます。

<「どちらとも言えない」という人の意見>

  • (中学2年・女子・鳥取) お笑いなどのバラエティー番組を見て、笑顔になってストレスや悩みが減ったりすることもあるので、何とも言えないなと思いました。

  • (中学1年・男子・山梨) ちょっとしたことも「いじめにつながる」と言われれば確かにそうかもしれないけれども、テレビで放送する内容を制限されるとお笑い芸人の人たちが活躍するのが難しくなるのではとも思います。

  • (中学2年・女子・東京) 小学生まではドリフの『8時だョ!全員集合』(TBSテレビ)とかが好きで、昔のバラエティー番組ばかり見ていました。最近はテレビをつけてチャンネルを替えてみても、自分の笑いのツボに入らないというか、あまり面白いと思わないんですよ。今はあまりバラエティー番組を見ていないので、教育に悪いのか悪くないのか正直分かりません。自分も大人に「悪い」と言われたら「悪いのかな」と思っちゃうから、そこは難しいなと思います。

<大人の意見について「そうは思わない」という人の意見>

  • (中学2年・女子・埼玉) 「子どもの教育に悪い」と言われると「確かに悪いかもな」と思う自分がいつつ、どこかで「そんなことないんじゃないか」と思う自分もいます。番組をネットで叩いて炎上させている大人は、子どもの視点からではなく大人の視点から「子どもに悪い」と言っているわけで、番組の気に食わないところを「子どもに悪い」と置き換えているような、言い方は悪いですが“利用された”と思うことがここ最近よくあります。半々な気持ちもありつつ「そうは思わない」と思う気持ちのほうが強いです。

  • (中学3年・女子・神奈川) 小学校のときからバラエティー番組をよく見ていて、結構過激なドッキリ番組も見ますが、実際にそれを友達に仕掛けようと思ったことは一回もありません。テレビの中で芸人がやっているから面白いというのは小学生でも分かるし、現実との区別ができている人のほうが多くて、バラエティー番組がいじめにつながったという話は身近では聞かないです。

  • (中学3年・女子・長崎) バラエティー番組が一概に教育に悪いとは言えないと思います。まずバラエティー番組は教育が目的ではなくて楽しむという目的のほうが大きいし、ある程度の制限は必要かもしれないけれど子ども自身が境界線を分かっておくべきところなので、「子どもの教育に悪い」という言い方はどうなのかなと思います。

  • (中学3年・男子・東京) バラエティー番組よりYouTubeのほうが過激で、例えば少し前にあった“すしペロ”のほうが身近に真似できてしまってより危険だと思います。また先日の選挙の政見放送で脱ぎ出した人がいましたが、あのほうが駄目だと思うし、ニュース番組でもケンカしているところを放送したら悪い言葉遣いとかを子どもは学んでしまうし。バラエティー番組だけを規制すればいいという問題ではないと思います。

  • (中学3年・男子・千葉) バラエティー番組が問題視されるのは今に始まったことではないと思うんです。『有吉ゼミ』(日本テレビ)や『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(フジテレビ)が普通に続いているのは視聴率が取れるからで、みんなが見るということだから単純に需要はあると思ってて。でもみんなが見たい番組をなくしていったとしたら、結局YouTubeとかに視聴者が移ってしまうと思いますし、仮にYouTubeを規制したら今度はそれ以外の媒体に移っていくだけで多分この問題は終わらないと思います。だから「教育、教育」と言うぐらいなら、そういったメディアとの付き合い方を教育したほうがよいと思います。

<委員の意見>

  • 佐々木委員 「影響がある」「影響がない」という2つの逆の意見が出ていますが、両方とも正しいと思います。“いじめが好きな人”はいじめ的な番組を好んで見るんですよ。それを見るとますます自分のいじめ的な行動が強化されてしまうことがあります。逆に“いじめが嫌いな人”が、そういう番組を見た場合、「あんなことを絶対自分はやらない」と感じて、いじめに反対する行動が強化されます。つまり、受け取る側の特徴によって、番組視聴によってますますいじめ行動をする(影響がある)場合もあれば、いじめ行動をしない立場に留まる(影響がない)場合もあるので、「影響がある」「影響がない」という二極的な意見はそれぞれ正しいのだと思いますね。

  • 髙橋委員 大人でもバラエティー番組を悪いと思っている人もいればそうではない人もいるし、子どもでも両方いるのかなと思います。先ほど『そこんトコロ!』のスタッフのお話を聞いて、番組に対する愛情や出演者に対するリスペクトがものすごくあって、そういった思いがある番組は、誰が見ても「素晴らしい」「楽しいな」「面白いな」と思うのかなと感じました。

  • 飯田委員 子どもの教育って何なんだ?という話や、真似をする/しないという話もありましたが、一括りにできないですよね。先ほどバラエティー番組での「汚い言葉」の話がありましたが、家族や友達、YouTubeで聞いた口調がうつることもあります。一方でネットやSNSで、日々どこかで炎上が起きていたり誹謗中傷が繰り返されたりするのを見ていると、だんだんそれが当たり前のように思えてきてしまう恐れもあります。何がどの程度教育に悪いのかは、安易に比較できないと思うんですよね。あとはバラエティー番組でなくても、最近は選挙におけるSNSの影響が問題視されていて、ひっくり返って今のテレビの報道のあり方が公平なのかが議論されています。“バラエティー番組”だけでテレビの影響を考えるのも難しいですし、先ほどお話ししてくれた“メディアの影響に対する教育”を具体的に考えるためには、いろんなレイヤーで吟味して、議論を積み重ねていく必要があると感じました。

  • 吉永副委員長 昔から必ずPTAが文句言う番組というのはあって、『8時だョ!全員集合』は全国のPTAから「あの放送はやめろ」という大きな声が届いていました。でもやっぱり面白かったんですよね。私はそのとき子どもだったから、大人に対して非常な反発を覚えたわけです。大人は子どもに悪い影響を与えそうなものを排除したい、それは一つの親心なんだろうと思います。でも世の中は親心だけでは動いていなくて、何回も番組が放送されたのは視聴者が喜ぶからですよね。視聴率が取れるということは、それを必要としているということだと思います。教育は何のために必要なのか。例えば、全く悪いところに触れないで、いい学校に行って、いい会社に勤めて…というのが教育の成功と思うならば、なるべく悪いものを排除し、余計なものは見せない・聞かせないという考えになると思いますが、実際の世の中は、本当に嫌な人間がいっぱいいたりとか、きついことや傷つくこともたくさんあります。だから、子どもたちが柔軟性を持って強く生きていく力をつけることが教育だと考えるならば、“社会の毒”のようなものに触れたときに“嫌だな”と思う感情が育つことは、悪いばかりではないと思います。テレビ放送が瞬く間に活字を席巻していったときに、何をもって教育と捉えるのか、何をもってバラエティーと捉えるのかという、根本的な議論がきちんとされていなかったのかなと思いました。

【テーマ2】 あなたやあなたの友人、中学生の世代にテレビやラジオをもっと視聴してもらうために放送局にしてほしいことはありますか。

<放送局にしてほしいこと>

  • (中学1年・女子・鹿児島) 『今日、好きになりました。』(ABEMA制作・配信)という恋愛バラエティー番組が、いま女子中高生や大学生に人気で、出演した女の子たちは、普通の女子高生からモデルになったりどんどん流行りの人になっています。彼女たちが出演する番組は視聴率が上がると思います。

  • (中学2年・女子・東京) 自分の身近な地域がテレビで取り上げられたら視聴すると思います。私は墨田区に住んでいるので、例えばスカイツリー特集とかを見たいです。

  • (中学2年・女子・秋田) 以前NHK Eテレで、歌番組で歌ってほしい曲をdボタンで応募する企画がありました。例えばアイドルグループで誰が一番人気なのかという企画があったら、ファンもテレビを見て自分の推しをボタンで投票すると思うので、dボタンなどのテレビの特性を使うのがいいと思います。

  • (中学2年・女子・鳥取) 放送局同士のコラボやイベントを企画したら盛り上がると思います。私はいつも視聴するチャンネルが決まっているので、それ以外のテレビ局に関心を持てそうだと思いました。鳥取県では山陰の3つの放送局がイベントをしていて、楽しそうだなと思いました。

  • (中学3年・女子・長崎) 番組や放送局のコラボについては、例えば『オールスター感謝祭』(TBSテレビ)には特別感がありますし、放送局の垣根を越えた番組同士のコラボがあれば、新鮮で面白いです。また地方に住んでいる身からすると、関東圏のお店やイベント、スポットにはあまり親しみを感じないので、地方での公開収録を活用して幅広い地域の人たちが親しみやすい番組作り、テレビ局作りにつなげてほしいです。

  • (中学3年・男子・東京) 「テレビだから信用できる」という人は結構いると思うので、テレビのネットワークがあるからこその信頼性の高い情報を流してほしいです。『所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!』(テレビ東京)や『カズレーザーと学ぶ。』(日本テレビ)はとてもいいと思います。

  • (中学3年・男子・千葉) このテーマでアンケートをするのは一体なぜだろうと考えました。テレビやラジオを視聴する人は間違いなく減っていて、インターネットへ流れていると感じているのだろうと思いましたが、それではテレビやラジオで何か特別なことができるかと考えたときに、規制のないインターネット以上にできることは何もないなというのが僕の結論でした。でも、例えばラジオはテレビに比べて映像はないしデメリットが大きいように思えるのに、まだ残っている。やはりマスメディアとしての信頼性があるから、ラジオはこの100年ずっと生き残ってきたのだと思います。特段何もしなくても、テレビは今後も残り続けると思うので、大丈夫だと思います。

<委員の意見>

  • 沢井委員 放送100年というのはラジオの歴史で、テレビの歴史は70年ちょっと。日本にいながらニューヨークの様子が見られる!と感動した世代もあるわけですが、これから若い皆さんがテレビにかじりつくときがいつか来るのかなと思うと、火星に行ったときではないかと思うんです。火星中継です。「今火星に着陸するところです!」というのを皆さんが何を信頼して、どのメディアでご覧になるかしら。今現在遠くで何が起きているかということに、どれだけ信頼性のあるメディアでアクセスできるかというところが大事なのかなと考えていました。

  • 池田委員 「ネットと違ってテレビは正確な情報を出してくれるので信用できる」という意見がありました。本日はニュース番組『昼サテ』のスタジオやその裏側も見せていただきましたが、番組を作るための時間、労力、お金は想像を超えるものだと思います。今日見えなかったところでも、取材に行った人や原稿を書いた人、メイクや衣装の人とかもいるわけですよね。『そこんトコロ!』も100人もの大人が真剣に取り組んで作っている。たくさんの人が一生懸命、番組の一瞬の時間を全力をかけて作っている。私はここがテレビの信用性につながっているところだと思うし、モニターの皆さんも今日そう感じたのではないかと思います。SNSでは真偽にかかわらず1人がものすごくインパクトのあることや過激なことを言うとそれが瞬時に拡散しますが、放送はそうではない。一つ一つ丁寧に一生懸命作っている。放送の信頼性は大事にしなければいけない点であり、これからも生き残ってほしいと思います。

【本日のまとめ】

○吉永副委員長 私の小さい頃はテレビがなかったのでラジオだけの生活をしていました。テレビが出てきたときに活字離れが起きました。今はSNSによってテレビ離れが起きている状況です。テレビはかなりのお金も人手もかかりますから、見てくれる人が少なくなると民間放送にはCM料が入らなくなって、経済的に厳しくなり、クオリティーを保つのが非常に難しくなるという連鎖も起きます。新聞業界も同じで、今の体制で世の中をきちんとフォローすることが保てるかどうかが大きな課題です。これは、今後私たちがどういう情報を手に入れることができるかに直結すると思うんですね。情報が多くはなるけれどクオリティーが保たれなくなる。私たちはどういう社会に生きているのかということをだんだんつかみにくくなってしまう。テレビも含めマスメディアは日本を戦争に向かわせることを止めるということができませんでしたが、今はさらに規制がないSNSやYouTubeにものすごい感情が渦巻いていて、“空気で動く社会”をさらに醸成させている状況なんだと思います。
私たちと大人と比較して、皆さんが接する情報量は圧倒的に多いですが、さまざまな情報が今入り乱れている状況です。選択肢はいっぱいありますが、その中から正しい情報を自分で選ばなくてはいけません。テレビの不祥事もあって、オールドメディアとかオワコンとか言われていますが、今日実際に皆さんの目でどう番組が作られるのかを見たことは、きちっとした情報の裏打ちになりますよね。『御上先生』(TBSテレビ)というドラマがありましたが、主人公の御上先生は「考えろ、考えろ」と毎週繰り返し言っていました。考える力というのはこれから先すごく大事だと思います。
みなさんにはこの1年間毎月、モニター報告を書いていただきました。物を書くということがあまりなくなった時代に自分の思いを言語化するのは大変面倒くさくもあり、難しかったと思いますが、しっかりといろんな感想を書いてくれました。この視点は今後すごく大事だと思いますので、この1年間の面白かったような、つらかったような、テレビとの距離感が若干変わったかもしれない、そんな1年の成果をこれからの長い人生にいかしてただきたいと思います。今日は遠くからありがとうございました。


モニターへの事後アンケートより

【テレビ東京社内見学 について】

  • スタジオが意外とコンパクトだったり、アナウンサーが直前まで化粧直しをしたりしていたのは、実際に見ないと分からないし面白かった。また番組で伝える内容を選ぶのは1人だけだと知ることができた。速報が入ったときの対応力はすごいと思った。(中学1年・女子・鹿児島)
  • 普段見ることのできない場所を見学できてとても興味深かった。スタジオは大きいと思っていたので、想像と違って驚いた。キャスターの席に座ったり、カメラを操作させてもらったり、貴重な体験で本当に楽しかった。(中学3年・男子・東京)
  • ニュース番組がどのように制作されているのか、その大変さを知ることができました。とっさの状況にも冷静に対応していてすごいと思いました。これからは裏側も想像しながらテレビを見たいです。(中学3年・男子・東京)

【テレビ東京『所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!』制作者との意見交換会 について】

  • 疑問に丁寧に答えてもらいとても勉強になりました。1つのテーマをしっかり考えて番組を制作していることが分かりました。普段何気なく見ているテレビをもっと楽しく見ることができそうです。(中学2年・女子・秋田)
  • 実際に番組を制作している人の話を聞くのは初めてでした。台本や資料、カンペなどを見ることができたのが1番印象に残っています。「開かずの金庫」はよく見ているコーナーなので、こういう風に作られているんだなと、とても面白かったです。(中学3年・女子・神奈川)

【青少年委員との意見交換会 について】

  • 中学生として普通に生活していると、多彩な職種の委員の皆さんとは滅多にかかわることがないので、すごく貴重な機会でした。大人が自分の意見を聞いてくれる嬉しさは、今後も忘れないと思います。(中学2年・女子・埼玉)
  • 「お笑いなどのバラエティー番組は子どもの教育に悪いのか」や「放送局にしてほしいこと」について委員はどう思っているのか、大人の意見をもっと聞きたかった。(中学2年・女子・鳥取)
  • 毎月委員からのお便りを読んで、新たな視点をいただいていました。今回は委員や中学生モニターと意見交換ができて、とても考えが深まりました。テレビやラジオ、広くメディアとかかわっていくのは私たち視聴者なので、メディアについて考え続けることは私たちの義務でもあると思います。これからもモニター活動の経験を生かして、メディアについて考えていきたいです。(中学3年・女子・長崎)

以上

第279回

第279回-2025年5月27日

中高生モニターとのオンラインミーティング…など

2025年5月27日、第279回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、吉永みち子委員長をはじめ6人の委員が出席しました。
会議の冒頭、今年度の中高生モニターと委員とのオンラインミーティングが行われました。
引き続いて、4月後半から5月前半までの1カ月の間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
5月の中高生モニター報告のテーマは「最近視聴したニュース・報道番組について」でした。
委員会ではこれらの視聴者意見や中高生モニター報告について議論しました。
最後に今後の予定について確認しました。

議事の詳細

日時
2025年5月27日(火)午後4時00分~午後6時30分
放送倫理・番組向上機構BPO第一会議室(千代田放送会館7階)
議題
中高生モニターとのオンラインミーティング
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について
出席者
吉永みち子委員長、飯田豊副委員長、池田雅子委員、佐々木輝美委員、
髙橋聡美委員、山縣文治委員

中高生モニターとのオンラインミーティング

4月から中高生モニターになった中高生と委員とのオンラインミーティングが行われました。
出席した中高生モニターの紹介に続き、飯田豊副委員長からBPOと青少年委員会についての分かりやすいレクチャーがあり、質疑応答のあとには事務局から1年間のモニター活動予定についての説明がありました。(この模様は当日欠席の中高生モニター向けに録画視聴の機会を予定)
最後に吉永委員長から今年1年間のモニター活動に向けて激励の言葉がありました。

視聴者からの意見について

4月後半から5月前半までの1カ月の間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
バラエティー番組で、ターゲットの男性芸人が抱きついてきた着ぐるみのクマの口から大量の緑色の液体を浴びせられるドッキリについて、視聴者から「芸人は『溺れる、死ぬ』と苦しがっていて、まったく笑えないし度を越している」など否定的な意見がありました。
担当委員は「芸人は両手を自由に動かせる状態になっても、クマの口を塞いだり自分の顔を覆ったりするなどして液体を防ごうとはしておらず、あえて浴び続けていた。周囲には10人以上のスタッフが取り囲んでいる映像も挟まれており安全の配慮もあったことが伺えた 」として、「(番組演出上の)問題はない」と報告しました。
東京・立川市の小学校に男2人が乱入し、制止しようとした教職員に暴行して逮捕された事件の報道をめぐって、テレビ各社が目撃者である小学生のインタビューを放送したところ、視聴者から「子どもたちに何度も辛い記憶を思い出させていた。心理的ストレスや精神的なダメージを生む懸念がある」などの意見が寄せられました。
担当委員は「安全でなければならない授業中の小学校の教室で起きた強烈な事件で、子どもたちが直接危害を加えられる可能性があった。この事件を報道する公共性や公益性は高く、報道機関による報道の必要性は間違いなくあった」と前置きしたうえで、インタビュー取材については「子どもたちはその場にいなければ知りえない内容を語っていて、重要な目撃証言だった。取材が保護者同伴で行われたことは明らかで、保護者が途中で取材を制止させることも可能だったろう」と説明しました。
一方で、放送自体については「視聴したすべての社が(個々の子どもたちの)顔出しはしていない。一部の子どもの音声は加工されていた。子どもたちが特定されないような配慮がすべての社に見られたが、それが十分だったかは検討を要する」としました。そして、ある社の報道番組で、子どもが男らの風貌を(当人が否定的に受け取るおそれのある表現で)語っていたのを取り上げて、「この事件は交通事故などとは異なり、地元の関係者により起こされた事件で、男らと証言した子どもたちとの生活圏は同じか近接しているはずだ。男らがいずれ釈放されて地元に戻ってくることを考え、特定されない配慮は十分だったと言えるか。もう一歩踏み込んで想像力を働かせることが必要だったろう」と問題提起しました。
ある委員は「どの社も(子どものインタビューに対する)配慮はしているが、系統だった議論を経たわけでもなく、専門家の知見を受けたものでもないだろう。だから、配慮の濃淡で(子どもを)映す範囲が異なったり、社ごとの特徴が出たりする。インタビュアーの力量の差も大きく関係するので、ぜひその点は勉強してもらいたい」と指摘しました。
これを受けて担当委員は「事件直後の現場での個別対応には限界があると思うので、各社を横断しての勉強会やBPO委員との意見交換会などを通じて、子どもに対するインタビューの仕方を事前に組織的に学べる機会があるとよいのではないかと思う」と述べました。
このほかに大きな議論になる番組はなく、「討論」に進むものはありませんでした。

中高生モニター報告について

5月のテーマは「最近視聴したニュース・報道番組について」で、30人のモニター全員から合わせて21番組の報告がありました。視聴方法はリアルタイム視聴が23人、録画視聴が5人、見逃し配信等のアプリ視聴が2人でした。
複数のモニターが取り上げた番組は『NHK NEWS おはよう日本』(NHK総合)、『THE TIME,』(TBSテレビ)、『真相報道バンキシャ!』(日本テレビ)、『めざましテレビ』(フジテレビ)でした。また地方ローカルのニュース報道番組『ゴジてれChu!』(福島中央テレビ)、『あさドレ♪』(中京テレビ)、『フォーカス徳島』(四国放送)や、ラジオのニュース番組『マイあさ!』(NHKラジオ第1)の感想も寄せられています。
「自由記述」では出演者に関する意見やニュース内容に関する要望、また新しい企画の提案がありました。
「青少年へのおすすめ番組」では『JAPANをスーツケースにつめ込んで!』(テレビ東京)に6人から、『新プロジェクトX~挑戦者たち「H3ロケット 宇宙への激闘」』(NHK総合)と『街角ピアノスペシャル「ハラミちゃん ブラジルを行く」』(NHK BS)、『最強スポーツ男子頂上決戦2025春』(TBSテレビ)にそれぞれ3人から、『toi-toi』(NHK Eテレ)と『THE世代感』(テレビ朝日)に2人から、感想が届いています。

◆モニター報告より◆

【最近視聴したニュース・報道番組について】

  • 『NHK NEWS おはよう日本』(NHK総合)
    • 平日の朝には必ず視聴する習慣があるが、忙しい朝に十数分程度で手軽に今日の話題を押さえられるのは大変便利だと思う。6時台と7時台に全く同じ原稿や映像を使うことが多々あるが、VTR内容に補足を加えるなど、少し変化があるとより見応えのある内容になると思う。(高校2年・女子・神奈川)
    • 他のニュース番組では知りえない国内の問題(不登校や少子化、高齢化など)を取り上げていて、より深く知りたいと思うきっかけになる。地域密着のトピックや天気も非常に好みで便利だと感じる。またNHKのアナウンサーは淡々と原稿を読み上げるのでとても聞きやすい。(高校3年・男子・岡山)
  • 『午後LIVE ニュースーン』(NHK総合)
    ニュース番組を15時から放送していて驚きました。募集テーマが毎日あって、視聴者が参加しやすい番組だと思いました。自転車ミニドラマはコントのようで面白かったです。普段はどのようなミニドラマがあるのか気になりました。(高校3年・女子・長崎)

  • 『ニュースウォッチ9』(NHK総合)
    今年度からニュース解説をする「プレゼンター」役のアナウンサーが出演していますが、スライドを使った解説が分かりやすいです。(中学3年・男子・東京)

  • 『国際報道2025』(NHK BS)
    フィリピンの選挙戦の特集では、選挙戦の背景や候補者の解説を細部まで分かりやすくしていて理解が進みました。『NHKニュース7』(NHK総合)などは基本的に国内のニュースが主ですが、国際的なニュースも重要だと思うし、この番組は詳しく解説してくれるので国外のことにも興味が持てると思いました。(中学2年・男子・東京)

  • 『マイあさ!』(NHKラジオ第1)
    オープニングトークがさわやかで、憂うつな月曜日の朝、心に灯がともりました。「涼しげな情景ですが気候の変動で体調を崩している方もいらっしゃいます。無理せずにお体大切にお過ごしください」と上野速人アナウンサーがリスナーに語りかけていて、私はこの言葉で3時間睡眠の生活を変えようと反省しました。ニュースはコンパクトで簡潔明瞭です。スポーツは5時台に卓球とプロ野球、6時台に大相撲と分けていますが、6時から聴く人はプロ野球の結果が分からないので、分けずに結果だけを放送する方がいいと思います。(中学3年・男子・北海道)

  • 『THE TIME,』 (TBSテレビ)
    • 5月5日はこどもの日ならではの企画がありみんなでシマエナガダンスを踊っていて、すごく眠かった私も元気をもらった。ただ子どもたちのスタジオ見学については、本来はワクワクするものなのに、静かに見ているだけというのはつまらないし不満に思った。(中学3年・女子・山梨)
    • 「追っかけTIME」のコーナーでこども食堂を特集していました。こども食堂を利用する親が「共働きで忙しいので子どもに食べさせてくれる場所があると助かる」「浮いたお金で買い物ができる」と言っていましたが、こども食堂は生活に困っている家庭の子どもが食べにくる場所だと思っていたので、共働きで時間がないという理由だけでこども食堂を利用するのは違うのではないかなと思いました。こども食堂を支援したいと食材やお金を寄付している人は、この番組を見て納得するのかなと疑問に思いました。(中学1年・男子・大分)
    • 「全国!中高生ニュース」のコーナーで、同世代の生徒が生き生きと頑張っている姿を見ると、自分のモチベーションが高まります。(高校3年・男子・神奈川)
  • 『Nスタ』(TBSテレビ)
    イカの話題から番組がスタートしたので、事件・事故の話題よりも視聴者が食いつくと思います。テンポよく進むし濃い内容で見応えがありましたが、放送番組なら専門性のあるコメンテーターの意見も聞きたいと思いました。千葉県で女性が刺されて死亡した事件では加害者の男子生徒の親族に突撃取材していて、視聴者としてはいろいろな心情が入り混じり苦しかったです。(高校1年・女子・熊本)

  • 『情報7daysニュースキャスター』(TBSテレビ)
    司会者2人の掛け合いやゲストとの自然な会話が魅力だと思います。VTRが長く感じたのでもっと出演者の意見が聞きたいです。この週はパンダの話題を取り上げていましたが、パンダ好きの安住紳一郎さんのお話をもっと聞きたかったです。(高校2年・女子・熊本)

  • 『ZIP!』(日本テレビ)
    “キテルネ!”のコーナーは毎日視聴しています。流行りものやファッション、文房具にとても興味があるので、大好きなコーナーです。毎朝早めの時間に放送しているので学校に行く前に見ることができてとても良いです。紹介されたブランドも買いやすい価格のものが多く、ぜひ私も!と思うようなコーデがたくさんあります。(中学2年・女子・東京)

  • 『news every.』(日本テレビ)
    視聴したのは第3部だけだったが、さまざまなジャンルのニュースを取り上げていて内容も分かりやすかった。(高校2年・女子・東京)

  • 『真相報道 バンキシャ!』(日本テレビ)
    • 今話題のコンクラーベの特集でした。新しい教皇が決まるまで建物にこもって選挙を続けるのは、まさに“根比べ”で大変だなあと思いました。新教皇はアメリカ出身者のレオ14世で、多様性が広がる今の時代にぴったりだと思います。(高校1年・女子・愛媛)
    • “ノマドワーカー”が面白そうだと思い視聴しました。場所を移動しながら好きな所で仕事をすることはとても良いと思いました。しかし行った国の雰囲気や食べ物などが合わずストレスを感じてしまう人もいるので、デメリットももっとくわしく教えてほしいです。(高校2年・女子・埼玉)
  • 『news zero』(日本テレビ)
    ニュース番組を普段は見ないが、櫻井翔さんがキャスター出演しているのでこの番組を視聴した。映像や図で分かりやすく解説してくれるし、キャスターやコメンテーターの多様な意見に触れることができる点は、ネットニュースより優れていると思った。藤井貴彦メインキャスターと櫻井キャスターのコメントは当たり障りのないコメントが多く、面白くない議論は発展しないと思った。思い切った意見を言えるYouTuberが人気な理由が分かった気がした。(中学2年・男子・東京)

  • 『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)
    初めて視聴しましたが、先週放送した内容について、視聴者からの質問や意見を取り上げて解説している点がとても良いと思いました。大きなパネルを使いながらテンポよく進行する構成も見やすく印象的でした。またコメンテーターの中には厳しい意見を述べる人もいましたが、優しい口調の方とのバランスが取れていて良いと感じました。(高校3年・女子・広島)

  • 『大下容子ワイド!スクランブル』(テレビ朝日)
    初めて視聴しましたがふんわりとした印象を持ちました。最新ニュースはかけ足で内容を伝えていて、ほとんど分かりませんでした。「老々介護」の企画は長すぎて飽きてしまい、若い人が見る番組ではないのかな?と感じました。ただカメラの動き方が良く、スタジオはとても見やすかったです。ワイプでコメンテーターが話すのも分かりやすかったです。(中学1年・女子・東京)

  • 『報道ステーション』(テレビ朝日)
    千葉市の路上で80歳代の女性が15歳の少年に殺されたという事件の報道に、驚きと恐怖、不安、憎しみの感情が湧いた。事件を報道して終わりにするのではなく、この少年が少年院を出た後まで密着して事件を忘れさせないようにしたり、「少年院に入りたい」という愚かで醜い考えをする人の犯罪防止に努めたりするべきだと思う。(高校1年・女子・岡山)

  • 『めざましテレビ』(フジテレビ)
    • フジテレビは中居正広さんの問題などがありましたが、今も変わらず毎朝見ています。番組では今の流行もおさえてくれるので、流行にうとい私はとても助かっています。(中学1年・女子)
    • 毎日番組を視聴してから学校に向かいますが、家を出発する時間は人それぞれなので、占いを3回放送してくれて嬉しいです。また定期的にテーマソングを変えてくれるのも、マンスリープレゼンターの制度もとても好きです。(高校2年・女子・東京)
    • 殺人や強盗、逮捕の話題を7時台トップに差し込んでいて、人の不幸や事故を娯楽のコンテンツと捉えているように感じさせる(見る側の興味を引く)VTRだなと思いました。しかし東京の地下鉄東大前駅の事件映像では、他局は血痕など生々しい状態をそのまま放送したのに対して、ぼかし処理などの配慮がされていて、血を見るのが苦手な自分にとってはありがたいと感じました。(高校3年・男子・福島)
  • 『Live News イット!』(フジテレビ)
    私の家では夕方なんとなくこの番組を流して見ていますが、最近報道の仕方に違和感を覚えたことがありました。「モクゲキ!」のコーナーで「男性の財布からお金を盗んだ疑いで、千葉県流山市の阿部麻里亜容疑者を逮捕」といった内容のニュースがありましたが、画面には「千葉の“アベ・マリア”逮捕」と見出しがあり、容疑者の横に聖母マリア像が映されていました。地元で目立つ仕事や活動をしている人でもないのに、この表記や取り上げ方は悪ノリが過ぎると思います。容疑者とはいえ、本名をイジって茶化すのは非常に良くないし、「茶化せばニュースを面白く見るだろう」という魂胆だったのでしょうか。視聴者を馬鹿にしたような内容が不快でした。(高校1年・女子・秋田)

  • 『ゴジてれChu!』(福島中央テレビ)
    福島の美味しい食べ物を紹介していて、クリームボックスはとても甘そうだったので県外にも情報を発信してほしいです。また一年中収穫や田植えができるタイのコシヒカリに注目していましたが、日本の米に打撃を与えると思いました。(中学1年・男子・福島)

  • 『あさドレ♪』(中京テレビ)
    東海地方のイベントを詳しく放送していて朝からワクワクしました。また地方のテレビ局ではニュース番組のゲストはマイナーな人というイメージが強かったけれど、内藤剛志さんが出演していてとても嬉しかったです。これからも有名な方にたくさん出演してほしいです。(高校1年・女子・愛知)

  • 『フォーカス徳島』(四国放送)
    複数人が交代でニュースを読んでいたので、一つ一つのニュースで雰囲気が変わって良いと思った。過去に放送した特集をなぜもう一度同じ内容で放送していたのか分からなかった。(高校3年・女子・徳島)

【自由記述】

《出演者に関する意見》

  • 「ニュースのこと絶対に知らないよね」と思う芸能人が出演して、あたりさわりのない発言をしているのを見ると「なんだかなあ…」と複雑な気持ちになります。(高校3年・男子・神奈川)

  • ゴールデンウイークに朝の情報番組を視聴しましたが、出演者が帽子を被っていました。私は両親から「部屋の中では帽子を被ってはいけない」と教えられました。考えが古いといえばそれまでですが、コメンテーターのような大事な立場の人は帽子なしで出演してほしいと思いました。(高校2年・女子・熊本)

《ニュース内容に関する要望》

  • 朝テレビをつけたとき、事件や事故のニュースより明るい話題が見たいです。他のチャンネルに替えても同じ事件・事故のニュースをやっていると「こっちもか…」と何回か変えることがよくあります。(中学2年・女子・千葉)

  • 朝の早い時間は中高生が支度をしながらテレビを視聴している時間帯だと思うので、人気の芸能人に関するニュースを多く報道すれば、よりテレビへの関心が湧き、積極的に視聴するきっかけになると思います。(中学2年・女子・東京)

  • 朝は7時から7時半までニュースを見ながら準備をしますが、スポーツニュースが少ないと思います。大谷選手だけでなく、プロ野球やサッカー、バスケなど、いろいろな選手が活躍する姿を多くの人に見て知ってもらいたいです。(中学1年・男子・大分)

  • スポーツニュースなどで「ニュース映像」「BGM」「アナウンサーの声」を同時に放送する必要があるのか疑問です。BGMは使わず、映像とアナウンサーの声だけで良いのではないかと思います。(中学1年・女子・東京)

  • その週のニュースや出来事をクイズ形式にして解説する番組を放送すれば、中高生などの若い世代のテレビ視聴が増えると思う。(高校3年・女子・徳島)

  • 私は早起きが苦手なので、朝に弱い人でも早起きしたくなる企画をしてほしい。例えば朝5時頃に“キーワードを当てたら抽選でクオカードが当たる”といった“早起きWEEK”といった企画がいいと思う。(中学3年・女子・山梨)

  • 報道番組は言葉の正確さに特に気を配って制作していると感じる。SNSで見かけるAI自動字幕や自動音声は非常にクオリティーが低いので、正しい日本語で発信し豊かな日本語文化を未来に継承するテレビ番組の役割は重要だと思う。SNS時代のテレビの価値はここにもあると思う。(高校2年・女子・神奈川)

《放送局への提案、番組の感想など》

  • 5/4の『NISSAN あ、安倍礼司~beyond the average』(エフエム東京)は、物価高の情勢をラジオドラマに上手く落とし込んでいて、脚本家はすごいと思った。また選曲のセンスが抜群によく、世代を超えて楽しめる作品なので、放送の素晴らしさを実感した。(高校3年・男子・福島)

  • 「青少年へのおすすめ番組」の感想を書くために、久しぶりにドキュメンタリー番組を視聴したが、「テレビで見るのもいいな」と感じた。情報はググれば手に入ると思っていたが、情報が出てくる順番も工夫されていて、映画みたいで「見てよかった」と思った。他のドキュメンタリー番組も見たくなった。(中学2年・男子・群馬)

  • 世界の学校が日本の学校と比べてどこが違うのか紹介する番組を見てみたいです。日本の学生の1日は、朝は学校に行き、放課後は部活や塾で過ごし、帰宅後は宿題など勉強して休憩時間にネットやゲームをするような流れで終わります。世界の同年代の子たちも同じように過ごしているのか、学校での授業風景や放課後の過ごし方、長期休暇の過ごし方に興味があります。(中学3年・男子・大分)

  • 政治や社会に関する討論番組について。現在の番組出演者は専門家や政治家を中心とした知らない人ばかりで、難しい単語も多く興味がわかない。「政治家・専門家VS若者」にして、若者に一般人やインフルエンサー、芸能人を呼ぶのがよいと思う。あえてYouTubeっぽくすると視聴率も上がると思うし、政治に興味を持つ人が多くなっているのでぜひ企画してほしい。(高校1年・女子・岡山)

  • 夏休みや冬休み期間中に中高生が参加することができる、テレビ局内の見学ツアーがあったらいいなと思います。テレビ局の仕事などについて知って職業や進路選択の参考になるし、若い世代のテレビ離れが進むなかでイベントを開催することは意義があると思います。(高校1年・男子・神奈川)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『新プロジェクトX~挑戦者たち~「H3ロケット 宇宙への激闘」』(NHK総合)
    H3ロケットの打ち上げはニュースで知っていたが、H2と比較して工夫した様子が分かって面白かった。複数のゲストが開発時の話をする時、同じ事に対してポジティブに捉えたりネガティブに捉えたりと、考え方がまったく違うのも興味深かった。(中学2年・男子・群馬)

  • 『toi-toi』(NHK Eテレ)
    • 「“自分を大切にする”ってどういうこと?」の回を視聴して、自分を大切にできない背景には目に見えにくい苦しさがあるのだと思った。番組最後の「自分を大切にするってどういうことかを探っている過程が、自分を大切にしている」という言葉にハッとさせられた。(高校1年・女子・熊本)
    • 「私には見えていたものが、みんなにも見えているような気がした」というセリフがとても好きです。見えているものや感じているものを共有できることは嬉しいことです。(高校1年・女子・愛媛)
  • 『究極の男は誰だ!?最強スポーツ男子頂点決勝2025春』(TBSテレビ)
    自分もこの競技を実際に体験してみたいです。民放各局が開催するお祭りで“体験コーナー”があったらいいなと思いました。(中学2年・男子・東京)

  • 『newsオードリー.』(日本テレビ)
    埼玉県八潮市の道路陥没事故の“その後”について知ることが出来ました。事故から時間が経っても現場の声を拾い上げ、しっかりと伝えてくれたことに安心感を覚えました。事件や事故の「終わり」ではなく「続き」に目を向けた報道がこれからも増えてほしいと思いました。(高校1年・男子・神奈川)

  • 『THE世代感』(テレビ朝日)
    毎週録画もして家族で視聴し、“世代間ギャップ”を親から聞きながら盛り上がっています。ただ問題が4問しかないのは物足りなく感じます。またワイプに映る出演者のつぶやきがヒントになるかもしれないので、小さい吹き出しテロップなどでつぶやきの内容を見たいです。(高校1年・女子・秋田)

  • 『市町村てくてく散歩』(千葉テレビ放送)
    「市原ぞうの国」のお絵かきのショーでは、ゾウが鼻で筆を持ち、桜の木を丁寧に書いていて感動しました! 鋸山(のこぎりやま)の紹介では名前の由来やクイズもあり面白かったです。近場の観光地でも初めて知ることがあったし、県外の人にも千葉の魅力が伝わったと思います。(中学2年・女子・千葉)

  • 『長崎空港おめでとう半世紀!このさきも、ながさきとともに。』(長崎放送)
    長崎空港の開港からこれまでの歩みを紹介する番組でした。オープニングでは司会が「窓際派」「通路側派」と自己紹介したので、そこから飛行機話を広げてほしいと感じました。またショップや空港内の紹介は、実際に足を運んでコメントすればもっと魅力が伝わると思います。(高校3年・女子・長崎)

  • 『JAPANをスーツケースにつめ込んで!』(テレビ東京)
    • ナレーションのテンションが高いしどんどんシーンが変わっていくので、見飽きることがなく楽しく視聴できた。自分にとって身近なグミにフォーカスしていて、TikTokで見かけた人も出演していたので、とても好きな番組だと思った。(高校2年・女子・東京)
    • テレビ東京は『家、ついて行ってイイですか?』『YOUは何しに日本へ?』など“人”にクローズアップした番組が多く、自分にない価値観を知ることができて面白いです。45分間すべてグミの特集でVTRもインタビューのみなのに、飽きずに見ることが出来ました。(中学3年・男子・東京)
  • 『街角ピアノSP~ハラミちゃんブラジルを行く』(NHK BS)
    音楽の楽しさは世界共通だと伝わってくる番組でした。散歩しながらいきなりサンバ教室に入っていくシーンは少し白々しく感じましたが、すぐに周りの人たちと打ち解け一緒にサンバを奏でる実力はさすがでした。ハラミちゃんの街角ピアノ演奏に、みんなが笑顔になって踊りだす場面は印象的でした。(中学3年・男子・北海道)

  • 『新 窓をあけて九州「凸凹夫婦の“つながる食道”」』(熊本放送)
    一人暮らしの高齢者が増えているなか、見守りという点でも大事なお店だと感じました。このお店には「遠くの親戚より近くの他人(常連)」という言葉がふさわしいです。どうやったら常連客になってあの特別テーブルで食事ができるのか、後継者はいるのかという点が気になりました。(高校2年・女子・熊本)

◆委員のコメント◆

【最近視聴したニュース・報道番組について】

  • 中学1年生の報告から、子どもをニュース番組に引きつける要素としてジャンケンや占いは大事なんだと感じた。

  • 中学3年生からの報告に、報道番組であっても視聴者をワクワクさせる要素が重要だとあった。この“ワクワク感”が何かというのを掘り下げていくと、ネットニュースでは表現できない面白みを実感する仕掛けづくりが提案できるのかもしれない。

  • 中学1年生の報告に「共働きで時間がないという理由だけでこども食堂を利用するのは違うと思う」とあったが、実際にさまざまな形の居場所があることはとてもよいことだと思う。ただこのモニターは「必要ない人まで利用している」という印象を番組から受けていて、どういう伝え方が適切だったのかは気になるところだ。

【自由記述について】

  • 中学2年生からの報告に「コメンテーターのような大事な立場の人は帽子なしで出演してほしい」とあった。今やテレビは非日常の世界ではなく、芸能人はスターではない。何でもアリなのはネットで、テレビはよくも悪くも模範的な振る舞いが求められるようになったのだと感じる。

【モニターの質問「これからの未来を生きるには批判的思考が大切になると思う。テレビを批判的に視聴するにはどうすればよいか」について】

  • 最近は「批判的思考」ではなく「吟味思考」、批判するよりもまずはしっかり味わってみようという考え方が増えたので、それぐらいのスタンスがよいと思う。テレビだけでなくネットなどで情報過多の時代なので、スルーする力を身につけて意識的に切り替えていくことも大切だ。

  • なんでも批判的に見るとなると物事の片側しか見えなくなるので、まずはそれを受け止めたうえで、疑問に思ったところはどこだろうと自問自答することが大切なのだろう。「批判的に見なければいけない」ことは全くないと思う。

  • テレビを見た結果、批判的に感じることはあっていいと思うが、最初から批判的に見る必要は全くないと思う。誰かと一緒にああだこうだと意見を交わしながらテレビを見る、あるいは1人で見たとしても同じ番組を見た人と後で話す、そういう経験が大事なのだと思う。

  • 日本人はハーモニーを大切にして行動・発言する国民性なので、クリティカルシンキング(批判的思考)に慣れていない。一気に身に着けることはできないので、まず自分が思ったこと、疑問点をメモに書くことが大切だと思う。

今後の予定について

次回は2025年6月24日(火)に千代田放送会館BPO第一会議室で定例委員会を開催します。

以上

2025年5月に視聴者から寄せられた意見

2025年5月に視聴者から寄せられた意見

小学校乱入事件や車の暴走を目撃した児童へのインタビューについてさまざまな意見が寄せられました。

2025年5月にBPOに寄せられた意見の総数は、1,934件で、先月から124件減少しました。
意見のアクセス方法は、ウェブ 85.7% 電話 13.3% 郵便・FAX 1.0%
男女別は、男性 50.1% 女性 26.0% 無回答 24.0%で、世代別では10代 1.3% 20代 8.9% 30代 17.9% 40代 22.9% 50代 20.5% 60代 12.8% 70歳以上 4.0%
視聴者意見のうち、個別の番組や放送局に対するものは当該局へ個別に送付します。5月の個別送付先は29局で、意見数は605件でした。放送全般に対する意見は132件で、その中から13件を選び会員社すべてに送りました。

意見概要

番組に関する意見

小学校への乱入事件や車の暴走事故を目撃した児童へのインタビュー取材についてさまざまな意見が寄せられました。ラジオに関する意見は58件、CMについては6件でした。

青少年に関する意見

2025年5月中に青少年委員会に寄せられた意見は105件で、前月から43件増加しました。
今月は「報道・情報」が35件と最も多く、次いで「要望・提言」が34件、「表現・演出」が26件と続きました。

意見抜粋

番組に関する意見

  • 東京立川市の小学校のへの乱入事件で小学生にインタビューしていた。保護者の了解は取ったうえでの取材だと思うが、事件発生時の恐怖と不安を児童に思い出させるのではないかと気になった。年少の目撃者への取材については心理的ダメージとストレスを考慮してほしいと思った。

  • 大阪市で小学生の列に車が突っ込んだ事故で現場を見ていた小学生にインタビューしていた。ショッキングな記憶がインタビューを受けたことによってトラウマになってしまわないかと心配になった。

  • 東大前駅の傷害事件で当初「教育熱心な親が云々」といった供述が報道されていたが容疑者は自分を正当化するような動機を語る可能性があると思う。大きな文字のテロップ表示を繰り返して断定的に報じるのではなく、供述の信頼性については不確かな部分があるという注意喚起を付け加えるなど冷静に報じた方が良いのではないか。

  • 備蓄米をめぐるニュースを見て思うのだが、高いと思うか、とか、いくらで買った、など街頭のインタビューばかりで、起きていることの原因や背景を追及する報道が無いように感じる。事柄の本質に迫る報道を期待したい。

  • 野球や芸能界の話題も大事なのかもしれないが米の価格をはじめ物価高が続いているのだから生活に密着した話題を伝えてほしい。

  • 物価高が続くなか大食い番組を見るとどこかズレているのではないかという違和感をぬぐえない。

  • 政治家を紹介する際に政党と役職名が表示されるが、それに加えて選挙区か比例区か、選挙区ならその都道府県名と当選回数なども表示した方が選挙への関心が高まるのではないか。

  • 兵庫県知事のいわゆるおねだり疑惑を報じた番組。観光協会側が番組内容について事実とは異なる部分があるとする文書を発表した。事実と異なることを放送したのであれば問題だと思う。

  • 観光協会が出した文書に対して番組側が事実と異なる報道をしたつもりはないとして経緯を説明する見解を出した。見解の内容はさておき、報道についての批判に対して沈黙せず説明責任を果たそうとした姿勢を評価したいと思う。

  • 兵庫県の情報漏洩をめぐる問題を論じる番組。出演者の顔ぶれの影響なのか、一方の主張が大きく取り上げられているように感じた。両論併記というには不十分だったのではないだろうか。

  • 電気ショックを与える罰ゲームや出演者への土下座強要などを放送するバラエティー番組がある。いじめやパワハラを想起させる演出で不適切だと思う。

  • 野球の捕手のことを「女房役」と呼ぶことがあるが今の時代にそぐわない表現だと思う。テレビは常々多様性を重視すると言っているのだから性別で役割を固定するような表現は見直した方がいいと思う。

  • クイズ番組などで「当選者には番号非通知でお知らせします」ということがよくあるが特殊詐欺被害防止のために非通知の電話は受けないようにと防犯指導されている。非通知による連絡は見直した方がいいのではないか。

  • 都道府県の魅力度ランキングで順位が低い県はテレビなどでの紹介が少ないのではないかと感じてしまうが的外れだろうか。順位にかかわらずどの県にも魅力はたくさんあるのだから、全国各地の魅力をまんべんなく紹介するような番組を作ってほしい。

  • 同じ俳優、同じタレントばかりが画面に出ているように感じる。番組の中身も人気ランキングやひな壇芸人のリアクションなど似たようなものばかりで飽きてしまう。

青少年に関する意見

【「報道・情報」に関する意見】

  • 東京・立川市の小学校に男2人が乱入した事件の報道で、目撃した児童にインタビューしていた。精神的にショックを受けているとみられる子どもに、ショッキングな内容を強制的に思い起こさせる行為は、児童に対する加害に等しい。少なくともその教室にいた児童へのインタビューは避けるべきではないのか。

  • 立川市の事件でのインタビューで、男らの特徴を聞かれて具体的に答えている子どもがいたが、同じ地域に住んでいるのだから、報復を受けないか心配だ。

【「要望・提言」】

  • 深夜のロボット・アニメで、女子高校生がオンラインカジノに手を出しているシーンがあった。未成年も見る可能性のある番組で、このような描写をすると悪影響を及ぼす懸念がある。

  • 子ども向け特撮ヒーロードラマで、中年男性が弟である主人公に「お前は生まれてきたこと自体が間違いだった」と存在意義を否定し、自殺に追い込もうとするせりふがあった。子どもが見ている番組で、このような残酷なせりふを使わないでほしい。

  • 平日朝のバラエティー番組で、司会者がゲームに失敗した出演者に「土下座!土下座!」とコールし、土下座を強要するシーンがあった。これはいじめやパワハラを想起させる。番組制作のあり方を見直してほしい。

【「表現・演出」に関する意見】

  • 子ども向け教育番組の出演者に口調がきつい子がいる。視聴する子どもより少し年上のお姉さん、お兄さんが出演する番組にもかかわらず、汚い言葉やきつい言葉を使われると、子どもに見せたくなくなる。

  • 自社の放送で番宣を流すのは仕方のないことだが、血が出る演出、恐怖心や不安をかき立てるシーンが含まれる番宣を、時間帯に関係なく流すのは考え直してほしい。