放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会 議事概要

第207回

第207回–2025年6月

TBSテレビ『熱狂マニアさん!』委員会決定を通知・公表へ

第207回放送倫理検証委員会は、6月13日に千代田放送会館で開催された。
1月の委員会で審議入りしたTBSテレビの『熱狂マニアさん!』について、担当委員から意見書の修正案が報告され意見交換した結果、合意が得られたため、今後当該放送局へ通知して公表することになった。
日本テレビは、2025年3月24日に放送したバラエティー番組『月曜から夜ふかし』の街頭インタビューのコーナーで中国出身の女性の声を紹介したが、放送後この女性から実際に話した内容とは違うという指摘を受けた。委員会で議論した結果、このインタビューは女性が話した内容とは全く異なる文脈へと意図的に編集され、他国の文化に対する尊重を著しく欠いていた疑いがあり、制作過程に放送倫理上の問題がなかったかどうかを詳しく検証する必要があるとして4月の委員会で審議入りを決めた。今回の委員会では、担当委員からヒアリングの結果の報告と意見書の骨子案の説明があった。
5月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告された。

議事の詳細

日時
2025年6月13日(金)午後4時~午後6時10分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、小柳委員、水谷委員、毛利委員、米倉委員

1. TBSテレビ『熱狂マニアさん!』について審議

TBSテレビは2024年10月19日に放送したバラエティー番組『熱狂マニアさん!』2時間スペシャルで、「ニトリマニア集結!1万点からベスト3…名もなき家事が今夜消滅!」と題し、インテリア小売業大手ニトリの商品を使った時短料理や収納テクニックなどを放送した。
放送後、視聴者からBPOに「番組の全編でニトリの商品を紹介していた。価格や商品名も入っていた。番組の提供にも入り、本編からCMに移ってもニトリのCMを流していた。これは番組といいながら、明らかに広告ではないのか」という声が寄せられた。この番組は2024年の1月13日と6月1日にニトリを放送しており、今回が3回目であることが判明したため、委員会は当該放送局に番組DVDと報告書の提出を求めることにした。
TBSテレビの報告書によると、番組は特定のジャンルに並外れた熱意や愛情を注いでいるマニアが熱狂していることや好きなものを紹介するバラエティー。コロナ禍の巣ごもりでコンビニやスーパー、大手日用雑貨店への興味や関心がファミリー層などで高まったことを受け、時短料理や清掃・収納など人気有名企業の商品活用法に詳しいマニアを番組が発掘し、単なる商品紹介ではなく、衣食住にまつわる生活の知恵を幅広い視聴者に届けてきたという。
委員会は、番組内容や制作過程に「番組と広告の違い」等を含む放送倫理上の問題がなかったかを詳しく検証する必要があるとして2025年1月の委員会で審議入りを決めた。今回の委員会では、担当委員から意見書の修正案が報告された。これについて意見が交わされた結果、合意が得られたため、表現などについて一部手直しの上、今後しかるべき時期に当該放送局に対して通知し、記者会見を開いて公表することになった。

2. 日本テレビ『月曜から夜ふかし』について審議

日本テレビは、2025年3月24日に放送したバラエティー番組『月曜から夜ふかし』の街頭インタビューのコーナーで中国出身の女性の声を紹介したが、放送後この女性から実際に話した内容とは違うという指摘を受けた。
委員会は当該放送局に報告書と番組DVDを求め、それらを踏まえて協議した結果、問題となっているインタビューは、女性が話した内容とは全く異なる文脈へと意図的に編集され、他国の文化に対する尊重を著しく欠いていた疑いがあり、取材から放送に至る経緯等について放送倫理上の問題がなかったかどうかを詳しく検証する必要があるとして4月の委員会で審議入りを決めた。
今回の委員会では、担当委員からヒアリングの結果の報告と意見書の骨子案の説明があった。他の委員からは複数の質問や意見が出され活発な議論が行われた。今後は意見書の原案の作成を進める。

3. 5月の視聴者・聴取者意見を報告

5月に視聴者・聴取者から寄せられた意見には、非公開だった兵庫県百条委員会の証人尋問の音声を政治団体代表・立花孝志氏に提供した県議会議員を、ゲストとして出演させた番組に対する批判が多かった。具体的には、複数の自殺者が出るに至った社会問題に対してあまりにも不健全な関わり方だという意見や、この番組は以前から何も検証せずに特定の出演者の意見を放送しており公共の電波を使う事業者として不適格だと思うという意見が寄せられた。また、元タレントの代理人がフジテレビ第三者委員会の性暴力認定に反論した後、橋下徹氏が情報番組に出演し、自らが元タレント側に弁護士として助言する立場にあったと述べた上で「その当日の状況を見てもらえれば、こういう風に性暴力だとか、少なくともこれだけ社会的制裁を受けるような話ではないと感じる人も僕は凄く増えると思います」と述べたことに対して、橋下氏が元タレント側に法律家としてかかわっているなら解説させたのは間違いで専門家の扱いは慎重にやってほしいといった意見や、元タレント側の話を聞くべきだとの意見はもっともだとしても橋下氏個人のあくまで伝聞による感想を一般化するようなコメントを流すべきではなかったという意見が寄せられた。

以上