第153回–2014年1月
『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』審議入り
日本テレビ2013年12月31日放送
アニメ『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』
審議入り 東京メトロポリタンテレビ、サンテレビ
第153回青少年委員会を1月28日、7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。今回、討論の対象となったのは5番組で、そのうち2番組について審議に入ることにしました。その他、12月9日から1月15日までに寄せられた視聴者意見を中心に話し合いました。
青少年委員会では「討論」という委員の自由な議論の場を設け、該当番組やテーマが「審議」の対象になるかどうかを判断しています。「討論」の対象になった番組やテーマが、すべて問題があると判断されるわけではありません
この他、1月の中高生モニター報告、また、3月開催予定の中高生モニター会議、調査・研究、来年度の活動計画などについて話し合いました。
次回委員会は2月25日に開催します。
議事の詳細
- 日時
- 2014年1月28日(火) 午後4時30分~午後7時25分
- 場所
- 放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
- 視聴者意見について
中高生モニター報告について
青少年委員会活動について - 出席者
- 汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員
視聴者意見について
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1月4日から始まった、毎週土曜日午後10時30分から放送のアニメ番組『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』(東京MXテレビ・サンテレビ)に対し、「女子高生に貞操帯をつけたり自慰のシーンを放送するなど、午後10時台に放送するような内容ではない」「未成年の女性がお漏らしをしたり、女性同士のみだらな場面や、あえぎ声など、性表現が過激すぎて、青少年に悪影響を及ぼしかねない」などの視聴者意見があり、委員全員が第1話、第2話を視聴した上で討論しました。委員の主な意見は以下のとおりです。
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この漫画は以前から知っていたが、この内容をアニメで表現するのは問題があると思う。内容と放送時間帯が問題だ。
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この内容でわざわざ放送したのは何故だろうか。放送責任に関わってくる。
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テレビは公共の放送であることを考える必要がある。
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アニメは、誰でも見られる時間帯に放送されるものと、限られた人たちが見る深夜の時間帯に放送されるものとがある。深夜帯の放送であれば、この番組は黒に近いグレーゾーンだが、この時間ではアウトだと思う。
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この時間帯で放送したのはなぜなのだろうか。社内でどういう議論がなされたのか聞いてみたい。
討論の結果、審議に入ることを決めました。なお審議の対象は、"視聴者意見があり""放送時間が午後10時30分から"の東京MXテレビとサンテレビの2局です。
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2013年大晦日の午後6時30分から翌日午前0時30分まで放送された『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』(日本テレビ)に対し、「お尻に白い粉を浣腸したあとほかの人の顔におならをかけるなど、品の無い内容で、子どもに悪影響を与える」「男性芸人らしき人がオムツ換えのシーンで局部を丸出しにしていた。局部は映らないようにしていたが、あってはならない光景だ」「股間で改良型のロケット花火を受け止めるというシーンがあった。"改良した花火で安全に配慮し行っています。マネをしないでください"とテロップを出していたが、書けばなんでも許されるわけではない」などの視聴者意見があり、委員全員がそれぞれのシーンを視聴した上で討論しました。委員の主な意見は以下のとおりです。
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お尻の穴から白い粉を出し顔で受けるのはテレビで放送するにはふさわしくない内容だ。
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外国では、放送でお尻の穴に言及することには大変厳しく対処している。全体に下品で気持ち悪い。
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ネタが無くなってきたのか。日本人はこんなことで笑うのかと外国人は思ってしまう。
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おしめを換えるという赤ちゃんプレーは風俗を連想させる。下品で不快な表現だ。
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白い粉をお尻から出したタレントさんは納得の上だろうが、人間の尊厳を剥奪された芸が当たり前のように放送されるのは良くない。
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あまりに下品だ。下半身を笑いのネタにするのは止めてほしい。制作者はなんとも思わないのだろうか。
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女性の視聴者が男性の裸を見せつけられるというのは、逆セクハラでしかない。
討論の結果、審議に入ることを決めました。対象は、視聴者意見があった中で、"お尻の穴に白い粉を詰めてオナラとともに顔に吹きかけるシーン""股間でロケット花火を受け止めるシーン""赤ちゃんに扮した男性のオムツ換えのシーン"です。
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「女性タレントに番組内で離婚届を書かせる内容があった。離婚を軽く扱うことにより子どもへの影響は考えなかったのか」などの視聴者意見があったバラエティー番組について、全委員が番組を視聴した上で討論しました。「放送局側に、タレントの私的な問題を安易に題材として取り上げる傾向があり、タレントの人権を考えた時に問題がある」という意見も出ましたが、「スポーツ紙で噂が取り上げられていた。演出だとわかるので問題にする必要はない」などの意見があり、審議入りしないことにしました。
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「背中の刺青を消したいと、女性タレントが子どもの見る時間帯にテレビで刺青を入れた体を公開していた。普通の人はあれほどの刺青は反社会的な組織を連想する」「未就学児童のいるタレントが背中の刺青を見せていた。子ども達がいじめの対象になるのではないかと心配だ」などの視聴者意見があったバラエティー番組について、全委員が番組を視聴した上で討論しました。「親が刺青を入れていることを公表した子どもへの影響を想像して番組を制作したのだろうか」という意見も出ましたが、「刺青を入れたことによる生きていく上での困難さを表現していた」「コメンテーターも含めて、不寛容な心が日本を悪くしてしまうのではないか」などの意見があり、審議入りしないことにしました。
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1月15日以降に数多く視聴者意見が寄せられた番組についても討論しました。「子ども達を過激なあだ名で呼んだり、ペットショップの犬に例えて表現したりするのはおかしい。ドラマとはいえ放送内容はやりすぎだ」「社会的な擁護を必要とする子ども達の心の傷や精神的な苦痛を無視する内容だ。子ども達が救われない」「私は施設の職員だ。あまりにひどい内容に絶句した。ドラマだから誇張されているのだろうが、子ども達や私たち職員の気持ち、人権をあまりにも考えていない」などの視聴者意見があった、子どもが主人公のドラマについて、全委員が第1話、第2話を視聴した上で討論しました。青少年委員会では、今後のドラマの展開も含めて注視しながら引き続き討論を続けていくことにしました。
2番組が審議入り
その他討論した3番組について
中高生モニター報告
1月の中高生モニターは、「年末年始で印象に残った番組」というテーマで書いてもらいました。今回は24人から報告がありました。
10人のモニターが『紅白歌合戦』(NHK)を見たと書いています。ほとんどが肯定的な意見で、「年末久しぶりにみんなでこたつを囲んでテレビ番組を見ました。この番組はみんなで楽しく見ることができました。私も将来の子どもと一緒に楽しく見たいです」「あまり若者受けしない演歌などの曲の時は、アイドルグループなどとのコラボレーションが見られるなど、知らない曲でも楽しんで見ることができました」「構成が工夫されていてとても引き付けられました」「内容が盛りだくさんで本当に充実していました」などの意見が寄せられました。一方、「綾瀬さんの司会がたどたどしくてひやひやしました」「今の時代、いろんな世代・ジャンルの歌手が一堂に会して歌番組を放送することに無理があると思います」など批判の声もありました。
バラエティーの人気番組にも好意的な意見が寄せられました。『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』(日本テレビ)には、「マンネリ化しているかなとは思うけどやはり面白いです」「この番組は、勉強からのストレスを発散してくれます。笑いを我慢するという設定がかえって楽しいと思います」。『めちゃ×2イケてるッ!600回記念』(フジテレビジョン)に関しては「僕は、岡村さんがとても好きです。笑いにこだわるその姿勢が好きです。タカッシーのダンスやビッグダディのパロディーもよく似ています」という意見がありました。『探偵!ナイトスクープ 年末スペシャル!!』には、「涙を流してまで大笑いする時もあれば、少し感動する場面もあるので、そういうのを見ていると、温かく優しい気持ちになります。このように、視聴者に目を向け、何かを一緒にするという体験型の番組がもう少し増えるといいのかなと個人的には思います」など、バラエティーの人気番組を根強く支持する意見もありました。
自由記述欄は、「1日何時間くらいソ―シャルメディアやインターネットに接していますか。その良い面(こんなところが便利あるいは面白いとか)と悪い面を含めて記述してください」というテーマを設定しました。
多くのモニターが「1日30分から1時間くらいに時間を限って使っている」と自己規制しつつ使用しているようでしたが、なかには1日2時間とか、5時間使っているという人もいました。使用しているツールとしてはipad、携帯電話、スマートフォン、インターネット、SNS、ラインなどが挙げられました。良い面としては「非常に便利な道具。いろんな情報をタイムリーに知ることができる」「インターネットでゲーム、買い物ができて、生活に必須のものになっている」「趣味が同じ友人・知人を介してすぐに知りたい情報を手にいれることができる」「アプリなどを使い、自分の好きな音楽などを、すぐに聞くことができる」が挙げられました。悪い面としては「家族との会話が減る」「時間が経つのが早く、勉強時間が削られる」「あふれている情報の真偽が見分けにくい」「個人情報が流出しやすい」「友達に勉強よりもラインやゲームにはまってしまって、学校も休みがちになっている人がいる」「携帯でのラインのやめ時がわからない。やり取りが続くとあまりにしつこくうっとうしくなることがある」「ソーシャルメディアが犯罪やいじめの温床になる可能性がある」などいろいろな欠点が挙げられました。
「インターネットやソーシャルメディアには良い面、悪い面の両方がありますが、これらのメディアをいいものにするか悪いものにするかは、使い手のマナー次第だと思います。インターネットの問題では、"メディアリテラシー"、ソーシャルメディアの問題では"ネチケット"がカギになるのではないでしょうか」という冷静な意見を書いてくれたモニターもいました。
◆中高生モニターと委員の主な意見
●【委員の感想】『紅白歌合戦』に関する意見が多く見られた。いろんな世代で一緒に見るという想定の番組というのは今の時代は無理ではないかという意見があったり、逆に、親子で楽しく見ることができた、という意見があった。やはり視聴者の意見に何らかの共通項を見出すことが難しくなっているということなのかと感じた。また、年末年始の番組に同じタレントばかりが出ていてつまらないという意見には同感した。
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(徳島・中学1年女子)『紅白歌合戦』には、おじいちゃん、お父さんの知っている歌手、今年の話題番組からの歌などいろいろな年代の歌手が出ていて、みんなで楽しく見ることができました。衣装が豪華だったり、その年の話題が取り上げられたり、家族で見ながら会話がはずみました。
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(福岡・高校1年女子)『紅白歌合戦』について。みんな書くでしょうが、今の時代、いろんな世代・ジャンルの歌が一堂に会して歌番組を放送することに無理があると思います。
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(千葉・中学2年男子)お正月はどの番組を見ても、同じタレントが出ていてはっきり言って、つまらないです。
●【委員の感想】『紅白歌合戦』は、家族一緒に楽しく見ることができてとても良い番組だった、という肯定的な意見が多いのが目立った。ただ、『あまちゃん』コーナーが長かったことに関して、『あまちゃん』を見ていないモニターが不満をもらしていた。また、綾瀬はるかの司会に関しても賛否両論の意見があった。同じ番組でも中学生、高校生など年代によって受け止め方が大いに違うのだなと思った。
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(愛媛・中学1年女子)『紅白歌合戦』は、今年初めて家族で最後まで見ました。嵐の司会が気になったし、好きな歌手も出ていたし、毎年、父、特に母がよく見ていたので、何がそんなに魅力なのか気になっていたからです。司会の綾瀬さんが、「花は咲く」を歌われた時に泣いたのにはびっくりしました。紅白という番組が国民的番組で大女優の綾瀬さんをここまで緊張させるのかと感じました。
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(徳島・中学1年女子)『紅白歌合戦』は、衣装が豪華だったり、その年の話題がとりあげられたり、家族で見ながら会話がはずみました。
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(秋田・中学2年女子)『紅白歌合戦』では「あまちゃん」のオリジナルストーリーが展開されたのですが、私は見ていないので、話の内容があまりわからず、長いな、と思いました。「あまちゃん」を見ていない人の立場も考えて、内容を作ってほしいです。
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(埼玉・高校1年女子)『紅白歌合戦』は、私の祖父母も楽しんで視聴しているようでした。小学生の従弟たちはあまり面白そうではありませんでしたが、ゆるキャラたちが登場したときはとても楽しそうでした。
●【委員の感想】 『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』が面白いという肯定的な意見も来ていた。大人とこどもの感じ方は違うのだと思った。また、いくつかのドキュメンタリーを含む番組に関しては、何人か、番組を見て希望や夢を持てた、と書いている。中高生はこういうテレビ番組に素直に感動するのだなと思った。SNSなどのツールを5時間以上使うという人が何人かいた。かなり長い時間、インターネットやソーシャルメディアに接しているのだと思う。
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(福岡・高校1年女子)『世界に誇る50人の日本人 成功の遺伝子』(日本テレビ/福岡放送)すっごくすっごく感動しました。私たち若い学生が見て、頑張ろう!やってみよう!と思える希望の持てる番組だと思います。父は、きれいな部分ばかりを見せているきらいもあると言っていましたが、それでも、すごくいい番組だと思います。日本人にはたくさんの尊敬すべき人物がいるのだなあと再確認させられました。
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(岐阜・高校2年女子)ソーシャルメディアとの接触は、学校の時間を省けば、ほぼ1日中だと思います。〈先生が生徒に関心のない授業をしているときは、授業中も携帯を見ています〉
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(愛媛・中学1年女子/東京・中学3年男子)平日は1日2時間、休日は4~5時間しています。
●【委員の感想】 ソーシャルメディアへの接触が大変多く、もはやテレビの時代ではないのだろうかと感じた。中学1年生でも最先端のソーシャルメディアを抵抗なく使っている。こういう状況の中で、中高生のテレビ離れをどう防ぐかは、放送界全体の課題だ。ドキュメンタリーを見て熱く感動した気持ちを書いてくれた人もいる。バラエティーだけでなく、若者の心に火をつけるような番組を制作していくことも重要なことであろう。地方で放送されているアニメで非常に素晴らしい制作意図を感じるものに関して書いてくれたモニターもいた。また、ソーシャルメディアの長所短所について、「メディアリテラシー」や「ネチケット」などの用語を使って、大変優れた意見を書いてくれた人もいた。
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(宮城県・高校2年男子)『Wake Up Girls!』(テレビ東京/仙台放送)は仙台を舞台にしたアニメ番組です。主人公の中高生7人がそれぞれ悩みや苦しみを抱えてそれでも前へ進んで行こうという姿がアニメから伝わってきて、その姿が今復興へ向け進んでいる被災地の姿と重なると感じさせられました。
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(島根県・高校2年男子)良い面の1点は、遠方の友人と会話を少ないタイムラグでできることです。2点目は膨大な量の情報にアクセスできることです。悪い点は、インターネット上の信頼性の低い情報を信用してしまい、間違った知識を得てしまう可能性があることです。
今年度の青少年委員会活動について
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3月16日に開催予定の中高生モニター会議の詳細と、来年度の中高生モニター募集が始まったことの報告がありました。
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来年度実施予定の調査・研究について、2月に予備調査に入ることを決めました。
その他
- 2013年12月19日に行われた、在京BPO連絡責任者との意見交換会の報告がありました。