第144回–2013年4月
視聴者意見について
中高生モニターについて
今年度の青少年委員会活動について
第144回青少年委員会は、4月23日(火)に委員全員が出席し開催されました。第143回の委員会からの継続事案のバラエティー番組についてと、3月11日から4月15日までに寄せられた視聴者意見について討論しました。中高生モニター報告については、意見の取りまとめ方法など運用面の変更と、4月の報告について話し合いました。また、2013年度の活動として、調査研究や、地方での意見交換会の準備進捗状況が報告されました。
議事の詳細
- 日時
- 2013年4月23日(火) 午後4時30分~7時30分
- 場所
- 「放送倫理番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
- 視聴者意見について
中高生モニターについて
今年度の青少年委員会活動について - 出席者
- 汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員
視聴者意見について
次の4点について討論しました。
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「外車を無理やり買わせた」「女子アナがゲストを無視していた。いじめを助長する」「女子アナのゲストに対する罵声が不愉快」などの視聴者意見があった21時台のバラエティー番組について討論しました。委員からは「最近のバラエティーは、"ボケて""突っ込んで"そこで終わってしまい、そこから救いのある"フォロー"が無いため、いじめのような印象を与える雑な作りになってしまっている」という意見がありました。また、「目に余るほど悪質とは思わない」という意見の一方、「芸人だからまだ許されることを、視聴者と同じ立ち位置にいるべきアナウンサーがやることによって、子どもたちは一般の人たちもやって良いという感覚になり、悪いことでも一般化されてしまう恐れがある」「ニュースで子どものいじめに関して伝えることもあるアナウンサーが、出演者を無視して結果的にいじめている。報道する場合の立ち位置が難しくなるのではないか」などの意見も出ました。討論の結果、審議入りはしないが、局として女性アナウンサーをどう位置づけるのかなどについて、引き続き関心を持って対応することにしました。
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血液型を扱う22時台の4月からの新番組について、今回は審議入りしないものの、2004年12月に青少年委員会が出した『「血液型を扱う番組」に対する要望』に照らして、いじめに繋がるなどの社会的影響を与えないか継続的に注視してゆくことにしました。
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結婚を目指すアラフォー女性が主人公の22時台のドラマで「性的表現が過激だ」「余りにも不道徳な内容だ」という視聴者意見を基に討論しましたが、今回は問題視する程の内容ではないと判断し、審議入りはしないことにしました。
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深夜時間帯の放送で、子役がタレントを「キレ」させる為に暴言を吐いた番組について、討論しました。委員からは「録画とはいえ深夜の番組に子役を使うことは、一度考えてみる必要があるのではないか」「"キレる"ことを推奨することが不愉快」という意見が出ましたが、今後の様子を見ることにして、今回は審議入りしないことにしました。
その他次の点について話し合いました。
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ラジオ放送の下ネタに関する意見が継続的に寄せられているため、今後注視してゆくことにしました。
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北海道の暴風雪で父親を亡くした少女へのインタビューを放送した番組について、取材時の少女への留意事項などを放送局に確認し、次回の委員会で討論することにしました。
中高生モニターについて
4月は、新しく決まった18都道府県31人(中学生18人高校生13人)のモニターに、好きなテレビラジオ番組を選んで、「好きなところ」「良いと思うところ」を具体的に書いてもらい29人から報告が届きました。
ラジオ番組3本を含む26本の番組について報告があり、『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)に4人、『ネプ&イモトの世界番付』(日本テレビ)に2人から意見が集まった他は、別々の番組についての報告でした。NHKが7番組、日本テレビが5番組、フジテレビテレビ朝日が3番組などとなっています。ほとんどがバラエティー番組を選び、情報系が2番組、ドキュメンタリーは1番組、アニメも1番組で、ドラマはありませんでした。
好きな理由として「下品ではないのでご飯の時も安心して見られる」「家族そろって見ることができる」「中高生の本音を取り入れていてとても共感できる」「にぎやかなので見ている自分も楽しくなってくる」「笑いと感動のバランスが素晴らしい」「視聴者参加型の番組なので良い」などの意見が報告されています。
<自由記述欄>は、放送について日ごろ思っていることを自由に書いてもらいました。「食べ物を粗末に扱う番組をまだやっているのは信じられない」「バラエティーでの罰ゲーム的なキスはやめてほしい」「ドラマで、不倫、離婚、犯罪などをまるでカッコイイことのように取り上げているのは不愉快だ」「新聞のテレビ欄に異様に"!"が多く目障り」などの意見が寄せられています。
同時に中高生モニターを対象に「テレビラジオ視聴状況アンケート」を行ないました。それによれば、一日に2時間以上テレビを視聴する人が7割を超え、ジャンルは報道情報番組に次いでバラエティー番組が多く、一人より家族で視聴する傾向にあり、録画視聴が多く、7割を超える人がテレビ視聴時に不快な経験があり、7割の人がラジオを聴くことがあると答えています。
なお「今月のキラ★報告」選考は、できるだけ多くのモニターの視点を取り上げるため、当面取りやめることにしました。
【中高生モニターリポートの主な意見と委員の感想】
●【委員の感想】今の中高生は、出演者とスタッフの仲が良かったり、フリマでの買い物など、ホンワカとした日常生活の雰囲気が感じられる番組を好んで見ているように感じました。
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(北海道・高校1年男子)僕の好きなテレビ番組は、『モヤモヤさまぁ~ず2』(テレビ東京)です。芸人とアナウンサーが街を歩き、街の細かな面白い部分を見つけたり、気になった店を覗いてみたり、買ったおもちゃを公園や喫茶店で試してみたりするというシンプルな番組内容なのですが、ときに腹を抱えて笑うほど面白く、よく見ています。どこに面白さがあるのかを考えてみたところ、一番は「出演者スタッフの仲の良さ」だと思います。テレビで見ていても仲の良さが伝わってきて、見ていて気持ちがいいです。最近、視聴者でさえ「安さ」を感じてしまう番組や、「演出」がうるさい番組が多くあるように感じますが、この番組を見て、番組は予算や演出が全てではなく、作りようによっては予算や演出が少なくても面白い番組はできるのだなと思いました。
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(佐賀・高校1年女子)私が好きな番組は『Rの法則』(NHK)です。この番組は中高生の本音を取り入れていて、私たちの世代にとって、とても共感できることやためになることを放送しているので好きです。話題の芸能人をゲストに呼んで(たとえばゴールデンボンバーなど)その芸能人に関することを深く教えてくれていたので面白いなあと思いました。モデルの女の子がフリマで買い物をしている回も意外な一面で面白かったし、フリマにもかわいい服があることや出品者とのやりとりも知ることができました。
●【委員の感想】「大人の頑張り」や「挨拶」など、テレビのこういうところを見ているんだと指摘した意見は、実はこれこそ中高生の思いであると感じました。
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(神奈川・中学1年女子)私が好きな番組は『アイアンシェフ』(フジテレビ)です。一つの食材がシェフの手によって色鮮やかな料理へと変わります。鉄人にひるまず、一生懸命戦う挑戦者「ノミニー」たちの姿は勇ましく、勇気がわきます。大人が何か一つのことに対して全力で頑張る姿を取り上げ、放送しているテレビを見かけたことはあまりありません。私たち子どもにとって、このような番組はとても新鮮です。ほかのバラエティー番組やアニメでは得ることのできない面白さや感動があり、何度も見たくなります。
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(東京・高校1年女子)私が好きなテレビ番組は『月曜から夜ふかし』(日本テレビ)です。この番組の好きな点は、構えずに気軽に楽しめる点です。深夜に放送しているということもあり演出などがうるさくなく、かといってつまらないわけでもない。寝る前のちょっとした時間に疲れることなく見られるところが好きです。番組の最後に必ず「おやすみなさい」という言葉が出て終わるということも好きな点の一つです。家族に対して寝る前にこういった挨拶をするのは当たり前のことですが、テレビの画面上で見ることは、よく考えてみるとあまりないのではないかと思います。このように、些細なことにまで気を配れているからこそ、見ていて楽しい番組を制作することが出来るのではないかと思います。
●【委員の感想】リポートを読んでいて二つのキーワードを見つけました。一つは旺盛な「知識欲」。「世界のさまざまな文化」や「めったに入れない工場の実態」などへの興味関心です。もう一つは「ひるまず挑戦する」です。テレビは時間空間を越えていろいろな世界に連れて行ってくれます。番組が何かを始めるきっかけになったり、何かを満たしてくれると素晴らしいですね。
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(愛媛・中学1年女子)私が好きな番組は『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ)です。理由は二つあります。一つ目は、身近な所で役に立つことを楽しく、詳しく知ることができるからです。TOKIOの皆さんが畑で作物を育てたりしている時に説明が入るので「なるほどー」といつも思って見ています。二つ目は、いろんなことに挑戦している所です。雪玉はどこまで大きくなるかに挑戦している時は、クレーンまで出して「スケールが大きいな」と思いました。私も挑戦するのが大好きなので「どうなるのかな?」という気持ちは共感できます。
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(鳥取・中学2年男子)僕は『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)を小学校の頃から見ています。いつも日曜午後8時には家中に笑い声が響き渡っています。この番組の魅力は、何といっても世界を舞台にしているところです。世界の祭りや、珍獣ハンター、温泉同好会などの芸人さんが体当たりで挑む企画の中で、ナレーションの面白いツッコミが炸裂し、思わず笑ってしまいます。中でも、鳥取県民のイモトアヤコさんが担当している、珍獣ハンターイモトが僕は大好きです。同じ鳥取県民なので応援しているということもありますが、ジャングルに出かけて行って苦手なヘビに触り、虫を食べ、動物に出合う。このように、いつも全力で諦めずに頑張っているイモトさんを見て感心させられます
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(東京・中学3年男子)私は『シルシルミシルさんデー』(テレビ朝日)が好きです。良いと思うのはナレーターの毒舌です。毒舌といっても、悪意のあるものや暴力的なものではなく、ツッコミができる、笑える内容なので、くりぃむしちゅーの上田さんをネタにしながらも、出演者たちの楽しい会話で番組が盛り上がり、見ていてとても楽しくなります。次に、何と言っても、普通ではめったに入れない工場に潜入し、見たこともない機械を紹介したり、企業秘密のギリギリのところまで迫ったりするところが、見ていてワクワクします。
●【委員の感想】自分は全くそう思わないのですが、中高生がここまでポジティブに見ていて、違う感じ方をしていることに関して、厳粛に受け止めなければいけないと思いました。
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(島根・中学3年男子)『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ)は、長く続いている番組ですが、新鮮なアイディアや企画の多さ等、とにかく中身が濃い番組なので好きです。さらに、近年のバラエティー番組は体で笑いをとるものが多い中、単純に口で笑いをとろうとしているし、毎回違う内容のため 飽きません。好きなコーナーは「男気ジャンケン」「とんねるずを泊めよう」「買うシリーズ」で、それぞれの各コーナーが番組化できるのではないかと思うほど中身が濃く、日々進化しているような感じです。僕は勉強などで忙しくても、この番組だけは欠かさず見るほど好きな番組になりました。
●【委員の感想】番組は企画がとても大切で、「見ている側は企画の面白さを見ているんだ」という意見は鋭い指摘だと思いました。
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(新潟・中学3年男子)私の好きなテレビ番組は『探偵!ナイトスクープ』(朝日放送)です。今年3月で放送開始25年を迎えた長寿番組です。この番組が何故これほど長く人気なのか、考えてみるとそれは「企画力」にあると思います。今のテレビ番組は出演者に頼りすぎるが故に企画が陳腐化していると思います。しかし『探偵!ナイトスクープ』は出演者頼りではなく、企画で勝負していることが分ります。また、この番組は「笑い」と「感動」のバランスが素晴らしいと思います。
●【委員の感想】自由記述欄の意見を読んでいて、「中高生はこんなことは面白いとは思っていないんだよ」ということを制作者にもっと伝えたいと思いました。
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(秋田・中学2年女子)バラエティーでの罰ゲーム的なキスは止めてほしいと思います。男同士でのキスや、空気やノリでのキスは、見ていて不愉快です。
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(山形・中学2年女子)夜の番組は、お笑いの中年男性がいやらしすぎるなと思うことを平気でいうので、不愉快になる時があります。
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(東京・中学3年男子)テレビ番組で私が不愉快に思うことは、ドラマで、殺人事件のような人の死をネタにするものが多いことと、不倫、離婚、犯罪などをまるでカッコイイことのように取り上げていることです。
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(岐阜・高校1年男子)テレビをつければ、マツコさんや有吉さんがよく出ていますが、言葉遣いが汚いです。『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ)なども、人権無視のところがあります。言葉遣いについては、もっと厳しくしていくほうがいいと思います。
今年度の青少年委員会活動について
2013年度の活動として、調査研究や、地方での意見交換会の準備進捗状況が報告されました。