青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第147回

第147回–2013年7月

「何度も落とし穴に落とすいたずらの"いじめ"への影響懸念」などと指摘があったバラエティー番組などを討論、審議入りせず。

第147回青少年委員会は、7月23日に7人の委員全員が出席して開催されました。まず、6月16日から7月15日までに寄せられた視聴者意見の中から、「何度も落とし穴に落とすいたずらは、子ども達への影響が気になる」などと指摘があったバラエティー番組と、「不倫を肯定するようなCMは若者に悪影響を与える」という意見があったCMについて、それぞれ討論が行われました。その他、7月の中高生モニター報告や、調査・研究企画、名古屋と札幌で予定されている意見交換会、事例研究会、などについて話し合われました。
次回委員会は9月3日に名古屋で開催する予定です。

議事の詳細

日時
2013年7月23日(火) 午後4時30分~7時00分
場所
「放送倫理番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

  • 「タレントが何度も落とし穴に落とされる度を越えたいたずらは、"いじめ"につながり子ども達への影響が気になる」という視聴者意見のあった夜9時台のバラエティー番組について討論しましたが、今回の放送は特に際立った問題はないとして、審議入りしないことになりました。

  • 「不倫を肯定するようなゲームのCMは、若者に悪影響を与える」という視聴者意見のあったCMについて討論しました。時間帯への配慮をしてほしいという意見が出ましたが、特段問題はないとして、審議入りしないことになりました。

  • 「逮捕・補導された少年の防犯カメラの映像をニュースで流したのは問題がある」という視聴者意見について、「少年犯罪を扱っている弁護士の立場としては、逃走中ならやむを得ないが、すでに身柄を確保された後であり、"少年の更生"と"知る権利"のバランスを考えたときには"少年の更生"を最大限尊重してほしい」という意見がありました。

  • その他、「特定の人物をいじめている」という意見のあった男性アイドルグループの番組、「新人女性アイドルに対する企画が不愉快だ」という意見の深夜番組について話し合われ、今後深夜番組に注目してゆく必要があるという意見が出ましたが、いずれも現時点では問題としないことになりました。

中高生モニターについて

7月の中高生モニターは、最近見た「バラエティー・クイズ・音楽番組」のうち「良かった」あるいは「面白くなかった」と感じた番組をどちらか一つだけ取り上げ、その理由を具体的に深く掘り下げ報告してもらい、26人から報告がありました。ジャンル別では、バラエティー番組15件、クイズ番組4件、音楽番組7件でした。
『ミュージックステーション』(テレビ朝日)は3人から、「家族みんなで楽しめる」「好きな歌手がたくさん出演する」「タモリさんの司会がとてもよい」などの意見が寄せられました。音楽番組全般に関して好意的な意見が多かった半面、バラエティー番組に関しては、「寝起きどっきりを面白がるのはいかがなものか。限度を考えてほしい」とか「もっとテレビを見る側を意識して作ってほしい」など、批判的な意見がありました。クイズ番組に関しては『世界ふしぎ発見!』(TBSテレビ)や『ネプリーグ』(フジテレビ)など、「こういう番組はこれからもずっと続けてほしい」「とてもいい番組だと思う」など、好意的なリポートが届いています。
放送局では、日本テレビが6番組、TBSテレビが5番組、フジテレビが3番組、朝日放送が2番組、NHK、テレビ朝日、テレビ東京がそれぞれ1番組となっています。
<自由記述欄>では、「ラジオ・テレビについて思ったことを自由に書いてください。特になければ、アニメにおける残酷なシーンや、性的なシーンについての感想を書いてください」と依頼しました。アニメに関しては「『名探偵コナン』(読売テレビ)が大好き」という好意的な意見がありました。しかし、アニメの中の残酷なシーン、性的なシーンに関して「真似したりショックを受けたりすることもあるだろうから、放送する側として、何らかの工夫をしてほしい」「幼い子が暴力的なシーンの言葉づかいを真似たりしているようだ」という批判的な意見がありました。その一方、「放送時間帯を選べば問題ない」「ある程度必要だと思う。バランスを考えて作ってほしい」など、擁護する意見もありました。ラジオに関しては3件の意見が寄せられ、スマートフォンを利用して聴取者がラジオに参加できるシステムやWebサイト上に番組の感想を書き込んだりする仕組みなど、新しいラジオの姿を楽しんでいる意見が寄せられました。

【中高生モニターリポートの主な意見と委員の感想】

●【委員の感想】「インタビューしていたアナウンサーの語りかけるような話術が素晴らしい」とか「出演者が街の魅力を引き出す力がある」といったように、出演者の個人的な力に好意を持ったという感想が印象に残った。

  • (宮城・中学2年男子)先日『報道ステーション』(テレビ朝日)で、女子フィギュアスケートの安藤美姫さんにインタビューした、テレビ朝日の宮嶋泰子アナウンサーに惹かれました。語りかけるような自然な話術は素晴らしいと思いました。最近は、若い女子アナと呼ばれる人たちをよく見ますが、こういう素敵なアナウンサーが現役で頑張っていらっしゃることに感銘を受けました。

  • (新潟・中学3年男子)最近見て良かったと思った番組は『モヤモヤさまぁ~ず2』(テレビ東京)です。この番組はさまぁ~ずのお二人と、テレビ東京女性アナウンサーが街歩きをして、その街の人々とふれあう番組です。この番組では出演者がその街の魅力を引き出して「行ってみたい!」と思わせる力があります。

●【委員の感想】長時間の生放送の音楽番組を批判する声が多かったが、実際見たので、実にまっとうな意見だと同感した。

  • (愛知・中学3年女子)私が最近見たバラエティー番組のうち「面白くなかった」と感じた番組は、『音楽の日』(TBSテレビ)です。この番組は、前回は、約4時間だったのですが、今回は13時間半と、前回の3倍も長くなっています。果たして、音楽番組を13時間半も放送する意味があるのでしょうか。見る人のほとんどは好きなアーティスト目当てで見ているのに、あまりにも放送時間が長いと、待っている間は退屈だし、見逃してしまうかもしれません。もっとテレビを見る側を意識して作っても良かったのではないかと思います。

  • (福岡・高校2年男子)私が最近見た番組は、『音楽の力』(日本テレビ)です。この番組は、昼の10時30分から12時間生放送の音楽番組でした。総勢50名を超える様々なアーティストが出演していました。まるで芸能人のカラオケ大会を見ているようで、盛り上がっている当事者たちは楽しそうでしたが、一視聴者からしたら、「おいてけぼり」をくらったような印象でした。音楽番組として見ていたため、なんとも言えない印象でした。

●【委員の感想】今は、テレビは個別に見る機会が多くなっているように言われているが、モニター報告を読むと、家族で歌番組を一緒に見て歌ったり、クイズ番組で回答を推察しあったりと、家族で共に番組を楽しんでいるので、これは大変良いことだと思う。

  • (徳島・中学1年女子)私は『ミュージックステーション』(テレビ朝日)が好きです。私の生まれた時に大ヒットした曲や、父や母の小さかった頃にヒットした曲を聴くことができるからです。家族みんなで楽しむことができる『ミュージックステーション』は貴重だと思います。

  • (山形・中学2年女子)『ミュージックステーション』(テレビ朝日)の良い点は、「バースデーイヤーソングス」というコーナーです。何年も前に流行した歌が流れ、小中高生がコメントをします。私がまだ生まれる前の歌や両親が若かった時の歌がたくさん流れます。家族で見ていて会話も広がるし、実際に聴いたことがない曲でもなぜか懐かしい気持ちになるので、この番組のコーナーは毎回、とても楽しみです。

  • (千葉・中学2年男子)わが家ではクイズ番組をよく見ます。僕は、中でも『世界ふしぎ発見』(TBSテレビ)が好きです。自分もいつの間にか回答者になっていて、家族とあれこれ話しながらみることも楽しいです。こういう番組はこれからもずっと続けてほしいと思います。

●【委員の感想】アニメから暴力的・性的なシーンを完全に取り除くことは不可能では、と書いているモニターもいた。また、アニメや漫画を議論の対象とするならば、映画やドラマ番組や小説も一緒に論ずるべきでは、と論理展開をしたモニターもいた。
●【委員の感想】中高生としては非常にきちんとアニメ番組の内容を捉え、問題点の指摘をしている。

  • (埼玉・高校1年女子)アニメの中に言葉づかいが悪いキャラクターがいるのは確かだと思います。しかし、暴力的・性的なシーンを完全に取り除くことは不可能だと思います。幼い子に見せる勧善懲悪的なアニメには征伐のシーンは不可欠ですし、性教育の観点からも間違った情報をインターネットや雑誌で得るよりも正しい情報をテレビで得るほうがいいと思います。

  • (福岡・高校2年男子)私はアニメにおける残虐なシーンや性的なシーンは放送時間帯を選べば問題ないと思う。そもそも、なぜアニメや漫画のみを頻繁に議論の槍玉に挙げるのかが理解できない。残虐なシーンや性的なシーンを論ずるならば映画やドラマなどの番組や小説も一緒に論ずるべきだ。

●【委員の感想】クイズ番組に対しては、難解な問題をスラスラ回答するのは見ていて楽しい、という一方、出演者がおバカキャラを演ずることへの批判が挙げられた。また、ドッキリ番組は面白いが、俳優などの寝起きを襲うことまでするのはやりすぎではないか、限度を考えるべきという意見があった。また、旅番組で、タレントでなく番組のディレクターがリポートすると、親近感があって、番組を素直に受け止められるという高校生もいた。

  • (福岡・高校2年男子)私が一番好きなクイズ番組は『クイズプレゼンバラエティー Qさま!!』(テレビ朝日)だ。「東大生・東大出身者」や「京大生・京大出身者」などが解答者として出演し、難解な問題をスラスラと解答していくのは見ていて気持ちがいい。自分も勉強しなくてはという気にさせてくれ、教養にもなる。

  • (東京・中学3年女子)一番クイズ番組で気に食わないのが「おバカタレント」と言う人達だ。見ていて面白くないし、うるさいだけ。

  • (鳥取・中学2年男子)どっきり番組自体は、大好きなのですが、その中の「寝起きどっきり」というのは全く面白くありません。モデルさんや女優さんの寝起きを見たって何も得るものはないし、仕事で疲れているのに安らかな睡眠を邪魔されて、とてもかわいそうです。最近、テレビでは、常識を超えた面白さを求める芸人さんがいますが、そんな面白さは必要ありません。きちんと限度を考えてほしいです。

  • (岐阜・高校2年女子)私が見て良かったと感じた番組は7月3日に放送された『世界行ってみたらホントはこんなトコだった!?』(フジテレビ)のスペシャルです。この番組の大きな特徴は、世界各国へとリポートしに行くのがタレントや芸人さんではなく、番組のディレクターがリポートをするところです。TV慣れしていないディレクターがリポートをしているため、変に飾ることもなく、よりリアリティーのあるリアクションが見られます。より、私達視聴者に近いディレクターのリポートは見ていても、気楽に見ることができます。新しい旅番組の形としてこのような少し変わった設定も面白いと感じました。

●【委員の感想】モニター報告をとても面白く読んだ。良識ある子が多く、内容に納得できる。歌を耳だけで聴いていたのがテレビ映像でその歌手の歌っている姿を見ると改めて違った感動があるというフレッシュな意見を寄せた中学生もいた。テレビ番組を視聴年齢規制するのは、よくないというモニターもいた。

  • (神奈川・中学1年女子)歌が大好きな私が最近特に感動したのは、5月24日に『ミュージックステーション』(テレビ朝日)で放送された、ファンキー・モンキー・ベイビーズ(ファンモン)のライブです。ファンモンは前から好きな歌手でしたが、改めて感動しました。なぜか。それは、いつも耳からしか聴いていなかった歌を、テレビを通して実際にファンモンが懸命に歌っている姿を見ることができたからです。
  • (千葉・中学2年男子)アニメで好きなのは、『名探偵コナン』(読売テレビ)です。毎回、事件をコナンが推理して解決していくという設定のため、殺人事件を扱うことも多いです。そのため、見方によっては残酷なシーンやストーリーで小学生が見るにはふさわしくないと思うこともあります。僕も、小学校低学年の頃、怖くなって部屋を明るくして寝たり、なかなか眠れなかったりしたこともありました。だけど、事件が解決していく過程がとても面白いので、小さいころから見ています。映画のように年齢を規制することも必要かもしれませんが、それよりも、それぞれの家でルールを決めてテレビを見るというのがいいと思います。なんでもかんでも、これはダメとか禁止とか大人が決めるのは、よくないと僕は思う。

●【委員の感想】アニメの残虐なシーンや性的なシーンに関して反発する意見があると同時に放送時間帯を選べば問題ないとし、その根拠として大変論理的な文章を寄せてくれたモニターがいる。
●【委員の感想】日本のアニメは世界中で人気がある。しかし、その中には『HUNTER×
HUNTER』(日本テレビ)や『進撃の巨人』(東京メトロポリタンテレビジョン)などの中に散見されるように、人間が食べられるなどの残酷なシーンがたくさんある。二律背反の日本のアニメに対してしっかりした評価と同時に批判をしている意見も数通あった。

  • (福岡・高校2年男子)最近は録画機器が発達しており子どもが寝ている時に録画して、起床時に視聴する可能性があるという懸念もあると思う。しかし、「子どもが視聴する可能性がある、だから、放送を中止すべきだ」というのは誤った二分法だ。保護者がテレビの視聴を監視・監督するという選択肢がすっぽりと抜け落ちてしまっている。深夜帯の放送については保護者の教育に委ねるべきだ。現代は情報化社会だ。一家に一台はパソコンがある。子どもにも携帯やスマートフォンが普及していて、私の高校では持っていない人を探すのが難しいくらいだ。ネット上ではワンクリックでテレビよりも残虐な情報や性的な情報が溢れかえっていてなおかつ簡単にアクセスできる。そんな状況の中で、たとえテレビで流す番組の中身だけを規制しても、重箱の隅をつつくようなものだ。

●【委員の感想】iPodを通じて好きな音楽を聴いて元気が出、勇気づけられたという文章には感動した。ハードの多機能化が中高生と音楽との接し方をどんどん変えている。テレビ・ラジオ視聴に関してもいろんな可能性が出てくるのではないか。

  • (宮城・中学2年男子)震災のとき、音楽は私に大いなる力をくれました。何度もくじけたり、あきらめそうになりましたが、わずかに充電が残っていたiPodで、好きな音楽を聴けたときは涙が出ました。私は、解散したファンキー・モンキー・ベイビーズのファンなのですが、一曲一曲の歌詞の意味を噛みしめ、何度も助けられました。前に進もうと思い、4月の新学期が過ぎても学校に行くことは出来ませんでしたが、家の手伝いや弟や妹の世話を積極的に行うようにしました。音楽には素晴らしい力があります。両親が、昔より音楽番組が少ないと言っていましたが、手軽に音楽がダウンロード出来る時代ではありますが、このまま音楽番組を続けてほしいと思います。

  • (神奈川・中学3年男子)ラジオ番組は、映像で伝えることができないので、テレビ番組以上にいろいろ工夫していて、じっくり聴いてみるととても面白いです。また、J-WAVEでは、最近J-meというリスナーズコミュニティを、以前のリスナー向けサービスからリニューアルし、Webサイト上に番組の感想を書き込んだりすると、ポイントがもらえイベント参加の応募やプレゼントなどと交換できるような仕組みを導入しました。このような工夫によりラジオに関心を持ってくれる人が増えることを願っています。

今年度の青少年委員会活動について

  • 調査・研究の内容に関する議論が行われ、次回委員会で企画を確定することになりました。

  • 9月に名古屋で、10月に札幌で行う意見交換会について、進捗状況が報告され、内容についての検討が行われました。

  • 8月の事例研究会に向けた現状報告がありました。

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