青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第151回

第151回–2013年11月

「暗闇で下着姿の芸人が女性タレントを驚かした」「人間縄跳びが、いじめに繋がる」などの視聴者意見があり、番組視聴の上討論したが、両番組とも「特に問題があると思えない」と、審議入りせず。

委員会後、在京局バラエティー制作者との勉強会を開催した。

第151回青少年委員会を11月26日、7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。今回は、二つの討論案件について話し合いましたが、いずれも審議入りしないことにしました。その他、10月8日から11月15日までに寄せられた視聴者意見と、11月の中高生モニター報告、また、3月に行う予定の中高生モニター会議など今年度の委員会活動について話し合いました。そのあと引き続き、NHKと在京キー局のバラエティー番組制作者を中心とした27人と委員による勉強会を開催しました。
次回委員会は12月16日に開催します。

議事の詳細

日時
2013年11月26日(火) 午後2時00分~午後3時10分
場所
放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

  • 「暗闇で下着姿の芸人が女性タレントを驚かすのは青少年に悪影響を与える」「子どもが見ている時間帯に食べ物をタレントの前で爆発させるのは、常識を欠いている」などの視聴者意見があり、全委員が番組を視聴した上で討論しました。委員からは「自分では見たいとは思わないが、深く追及するほどではない」「食べ物を粗末にしている点が気になるが、審議するほどの問題は無い」という意見が出て、審議入りしないことにしました。

  • 「人間縄跳びをしていた。子ども達がまねをしたら危ない。いじめに繋がる」という多くの視聴者意見があり、全委員が番組を視聴した上で討論しました。委員からは「多くの意見が来たことを考慮しても、特に問題があるとは思えない」という意見が大部分で、審議入りしないことにしました。

中高生モニター報告

11月の中高生モニターは、「最近見た番組の感想(ドラマ・アニメ)」というテーマでリポートを書いてもらい、25人から報告がありました。ジャンル別では、ドラマのみ11人、アニメのみ11人、両方に関する意見が3人から寄せられました。
『リーガルハイ』(フジテレビ)は7人から、「半沢直樹と違う堺雅人さんの演技がとても好き」「訴訟を通じて思いもよらない考えや意見がたくさん出てきて、私もその意見に納得したり違和感を覚えたりしながら楽しんでいる」「毎週登場人物のキャラクターが面白くて欠かさず見ている」「見終わると気持ちがすっきりする大好きなドラマだ」などの熱い意見が寄せられました。アニメに関しては、「子どもも安心して見られる中身なので、深夜の放送時間帯ではなく見やすい時間帯で放送してほしい」とか、逆に「性的シーンの多いアニメが日曜日の夕方5時から放送されている」など、放送時間帯と中身に関する厳しい意見や要望が見られました。一方、『名探偵コナン』(読売テレビ)には「話が理解しやすく、1話完結で見やすい」、『京騒戯画』(BS朝日)には「ミステリーの要素とヒーロー物の要素の両方が備わっているので、子どもから大人まで楽しめる」、『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ)には「まる子ちゃんのおじいさんの俳句がとても笑えて家族で楽しめた」など、数多くの好意的な意見が寄せられました。
放送局では、フジテレビが9番組、NHKが5番組、テレビ朝日が3番組、TBSテレビが3番組、テレビ愛知が1番組、読売テレビが2番組、BS朝日が1番組、BS11が1番組となっています。
<自由記述欄>では、「ラジオ・テレビについて思ったことを自由に書いてください」と依頼しました。バラエティー番組に関して、「内容をもっと充実させてほしい」「最近は視聴者をひきつけるようなものが無い。面白くないものは時間をずらすとか終了するとかしないと番組が進歩しない」「やらせが発覚した番組があったが、今やらせを行っている番組があるとしたら、一刻も早く止めてほしい」「あまりに残念なやらせに、番組制作者側で誰かチェックする人がいなかったのか、不思議に思う」など、たくさんの辛口のコメントが寄せられました。ベテラン司会者の次男による不祥事については「成人した大人の不祥事なのだから、父親が活動を自粛する必要はない」という意見がありました。また、ラジオ番組に関して、「個性的な番組が多くてとても面白いと思う。小説を紹介する番組やジャズをひたすら流す番組など、マニアックな番組から新しい発見をよくもらう」など称賛する意見がありました。

◆中高生モニターと委員の主な意見

●【委員の感想] 子どもから大人まで見られる番組がいい、という意見がいくつか寄せられた。家族みんなで見て楽しめる番組が良いようだ。また、いろいろな仕事の現場を描いたドラマが将来の進路を決める参考になる、という意見も印象に残った。

  • (宮城・高校2年男子)『京騒戯画』(BS朝日)。この番組を見て僕は最近のアニメやドラマに感じなかった「子どもから大人まで楽しめる」ということを感じました。実際に僕は弟と毎週欠かさず一緒に見ています。

  • (山形・中学2年女子)『真夜中のパン屋さん』(NHK)。単身赴任中の父も見ていて、面白いよと言っていたので、今度このドラマの話をしてみようと思います。

  • (宮城・中学2年男子)『ミスパイロット』(フジテレビ/仙台放送)。私たち中高生は、実際になりたい職業の職場を知ることはできません。たとえドラマで誇張してある内容でも、将来の夢を考えるきっかけになると思います。

●【委員の感想】 自由記述欄に『ほこ×たて』(フジテレビ)に失望した旨を書いたモニターがたくさんいた。テレビ界全体への失望につながったようだ。

  • (愛媛・中学1年女子)『ほこ×たて』(フジテレビ/テレビ愛媛)のやらせにはとてもショックを受けました。家族とどちらが勝つかいつも楽しく予想していたので、衝撃も大きかったです。このやらせは、視聴者や出演者をばかにしていると思います。

  • (神奈川・中学3年男子)たとえバラエティーでも、真実を伝えるのがテレビなどのメディアであり、ねつ造ややらせなどは絶対にあってはならないことだと思います。実際に僕も番組の内容を信じて鵜呑みにしていたので、今回の件は裏切られた感じが強かったです。もうテレビなどのメディアを100%信じることなんてできないかもしれません。

  • (兵庫・高校2年女子)『ほこ×たて』(フジテレビ/関西テレビ)の打ち切りは、家族みんなで見ていたのでショックでした。真剣に見ていた分だけ、なんだかだまされた気持ちです。一度失った信頼を取り戻すのは大変です。テレビの向こうに私たちがいることを忘れないでほしいです。

●【委員の感想】 『リーガルハイ』(フジテレビ)に対する意見が多く寄せられた。幅広い年代で楽しめるとか、固定観念がくつがえされる、など、モニターによってさまざまな評価があった。

  • (神奈川・中学1年女子)このドラマは、小学生から大学生、お仕事をしている人、お年寄りまで幅広い世代が親しみやすいドラマだと思います。これからも、幅広い年代の人が楽しめるようなドラマを作っていただきたいです。

  • (新潟・中学3年男子)私は『リーガルハイ』(フジテレビ/新潟総合テレビ)がとても好きで一話一話何度も見ています。このドラマの魅力は、コメディーをベースに我々の固定概念をくつがえすような議論をしているところにあります。風刺コメディーとしてとても上質なこのようなドラマが、たくさん作られてほしいです。

●【委員の感想】 自由記述欄に番組に対する厳しく鋭い指摘が見られた。

  • (島根・中学3年男子)最近のバラエティー番組は、視聴者をひきつけるようなパッとしたものが無いです。長寿番組はちやほやされる傾向にありますが、番組も競争なんだから面白くないものは時間をずらすとか終了しないと番組が進歩しないです。

  • (福岡・高校2年男子)最近はテレビの自主規制が過剰であると感じる。規制が過剰であれば表現の自由や独創性が失われる。もう少し視聴者を交えた開かれた議論が必要ではないか。

●【委員の感想】 テレビを見ている時間帯が本当に幅広くなり、中高生の生活時間帯の変化を感じる。

  • (岐阜・中学1年女子)『境界の彼方』(テレビ愛知)の放送時間は夜中の1時です。11時、12時などもう少し時間を早めたらいいのにと思います。

  • (岐阜・高校1年男子)テレビは、もっぱらビデオにとり、夜中に見ています。毎日、塾があり、帰ってくると11時です。このビデオを見るのがストレス発散です。

●【委員の感想】 アニメに対して熱心に報告を書いてくれたモニターがいた。アニメの国際化について触れたり、内容と放送時間帯のミスマッチに言及したモニターもいた。

  • (千葉・中学2年男子)アニメの国際化に興味があります。他の国の作品をもっと見てみたいです。また、日本のアニメ番組が海外の言葉で放送されているらしいのですが、異なった言語で吹き替えられた作品を見てみたいなとも思いました。

  • (岐阜・中学2年女子)『マギ』(毎日放送/中部日本放送)は日曜日の夕方5時から放送していますが、私はこの放送時間と放送曜日が適格でないと思います。なぜなら、このアニメはグロテスクなシーンはありませんが、その代わりに性的なシーンがあります。なので、日曜日というみんなが休みで、子どもが起きている時間に放送するのはやめてほしいと思います。

今年度の青少年委員会活動について

  • 3月16日に開催予定の中高生モニター会議について現状報告がありました。

  • BPO10周年記念事業についての説明がありました。

在京局バラエティー制作者との勉強会 概要

青少年委員会は11月26日に、NHK、日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビのバラエティー番組を中心としたプロデューサー、ディレクターなど27人と、汐見委員長ら7人の委員が参加して、「いじり」や「いじめ」問題を中心とした勉強会を、千代田放送会館で開催しました。
小田桐委員が司会役を務め、最初に、最近の青少年委員会で話し合われている「いじり」や「いじめ」に関する問題について、意見交換が行われました。視聴者から寄せられた意見も踏まえながら、論議が交わされました。
次に、バラエティー番組を制作する上での基本的な考え方や方針について話し合われました。委員から、罰ゲームとはどのようなものと考えているか、子どもが真似するという視聴者の指摘についてどう認識しているか、などの質問が出されました。制作者側からは、バラエティー番組の「フィクション」と「ノンフィクション」のすみ分けなど、番組企画の理念の具体的な説明がありました。
また、番組の制作過程についても話し合われ、制作者側からは、現場では「制作者の意図と、番組を見る視聴者の受け止め方にギャップがないか」など、論議を重ねて作っている現状が述べられました。さらに、委員に対する質問や、委員会に対する意見・要望も出されました。
「勉強会」は、青少年委員会の活動の理解促進と、制作現場の生の意見を聞くことを目的に開催しています。汐見委員長は、「こういう忌憚のない意見を述べ合える勉強会をずっと開催したかった。もっと制作現場の話を聞きたい」「テレビを見て笑うことは、国民共通の富であり、国民の笑いはその国の力を表す」「楽しく見て笑えるバラエティー番組を躊躇せず、臆せず作っていってほしい」「テレビ番組制作者は、文化を"作る"一方で、"広める"という重要な二役をやっている。笑いの質が多様化していることを認識しつつ、視聴者に広く受け入れられ愛される21世紀の笑いのスタイルを作っていってほしい」と、2時間にわたる勉強会をまとめました。

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