第154回–2014年2月
『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』
日本テレビ2013年12月31日放送
局からの回答書を基に審議
アニメ『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』
東京メトロポリタンテレビ、サンテレビ
局からの回答書を基に審議
第154回青少年委員会を2月25日、7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。今回、審議の対象となったのは2事案で、そのうち1事案については、「委員会の考え」を公表して審議を終えることにしました。討論の対象になったのは2案件でした。その他、1月16日から2月15日までに寄せられた視聴者意見を中心に話し合いました。また、2月の中高生モニター報告、3月開催予定の中高生モニター会議、調査研究、来年度の活動計画、名古屋テレビ放送へ講師派遣の報告、などについて話し合いました。
青少年委員会では「討論」という委員の自由な議論の場を設け、該当番組やテーマが「審議」の対象になるかどうかを判断しています。「討論」の対象になった番組やテーマが、すべて問題があると判断されるわけではありません。
次回は3月6日に臨時の委員会を、3月16日に定例委員会を開催します。
議事の詳細
- 日時
- 2014年2月25日(火) 午後4時30分~午後7時50分
- 場所
- 放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
- 視聴者意見について
・審議事案2件、討論案件2件、その他
中高生モニター報告について
青少年委員会活動について - 出席者
- 汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員
視聴者意見について
【審議事案】
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2013年大晦日の午後6時30分から翌日午前0時30分まで放送された『絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!』(日本テレビ)の、"お尻の穴に白い粉を詰めてオナラとともに顔に吹きかけるシーン""股間でロケット花火を受け止めるシーン""赤ちゃんに扮した男性のオムツ換えのシーン"について、青少年委員会が2月12日付で日本テレビに回答要請を行い、日本テレビからの2月20日付で提出された回答書を基に審議を行いました。
委員の主な意見は、以下のとおりです。-
日本テレビの回答は、質問に対して充分な回答となっていない。もう少し具体的な"骨格の部分"を聞いてみたい。
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意見交換は、放送局に"お白洲"と受け取られているのではないか。自由な議論の場として考えたい。
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BPOの役割は、今後の放送に役立てるため事例を積み上げることにある。概要を公表する意見交換は必要だ。
審議の結果、日本テレビに番組制作関係者らとの意見交換への出席を依頼し、さらに審議を深めて行くことにしました。
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1月4日から始まった、毎週土曜日午後10時30分から放送のアニメ番組『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』(東京MXテレビ・サンテレビ)に対し、2月14日付で両局に回答要請を行い、両局からの2月24日付の回答書を基に、審議を行いました。この番組は、放送局が参加しない製作委員会による制作で、両放送局とも、第5話からは午前1時以降の深夜帯に放送時間を変更しています。
委員の主な意見は、以下のとおりです。-
時間帯の認識が甘い放送局があるが、説明の内容は理解できたので、これ以上の意見交換は必要ないと思う。
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番組の内容に問題はあるが、両放送局とも第5話から放送時間を深夜に変更するなど自主的な対応をとったことを踏まえ、回答をもって了としてもよいのではないか。
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もう少し詳しい回答がほしかった。時間帯をずらせば良いという問題ではない。
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放送局が参加しない製作委員会方式の番組の取り扱いについては、今後も丁寧なチェックが必要だと思う。
審議の結果、これまでの回答書などを基に「委員会の考え」を公表することにより、審議を終了することにしました。
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【討論案件】
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子どもが主人公のドラマについて、前回の委員会に引き続き討論しました。青少年委員会では、今後のドラマの展開も含めてさらに注視しながら、引き続き討論を続けて行くことにしました。
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「実在する施設をモデルにした建物内で少女に水着姿で客の接待をするシーンがあった。あまりに実態とかけ離れた描写に愕然とした」などの視聴者意見があった、地方都市を舞台にしたアニメ番組について、全委員が番組を視聴した上で討論しました。「あのシーンを見て不愉快と思った地元市民はいるだろう」という意見もありましたが、「このアニメを見て励まされたという中高生モニターもいた」「程度問題だが、アニメやドラマのストーリーにあまり過敏すぎるのは如何なものか」などの意見があり、審議入りしないことにしました。
中高生モニター報告
2月の中高生モニター報告は、「この1ヶ月程の間に見た番組(バラエティー・クイズ・音楽)について」というテーマで書いてもらいました。
今回は22人から報告がありました。長い間続いている人気のバラエティー・クイズ番組を支持する意見が多数寄せられました。『世界の果てまでイッテQ』(日本テレビ)、『世界ふしぎ発見』(TBSテレビ)、『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ)などの番組です。音楽番組に関しても、『SONGS』(NHK)や『ミュージックステーション』(テレビ朝日)、『ベストヒットUSA』(BS朝日)など、長寿番組を毎週楽しみにしているという意見が寄せられました。
自由記述欄は、「ラジオ・テレビについて思ったことを自由に書いてください」というテーマを設定しました。
今回はラジオに関しての意見が6件ありました。また、話題になっている番組、『明日、ママがいない』(日本テレビ)に関しても、「視聴者に非難されるとわかっていながら、話題となることをねらって放送したのではないか」「児童養護施設をテーマにして問題をなげかけること自体は悪くないが、ショッキングなせりふは問題だ」「是非最後までしっかり放送してほしい」など、多様な意見が寄せられました。中高生ならではの意見としては、テレビの存在意義に関してインターネットやその他のメディアとの比較で、いろいろな視点からの考えが寄せられました。BPOの活動に関して、「最近BPO関連のニュースが多い。テレビの在り方について考える時間が増えるとともに、しっかりした規制があると示すことで、テレビがより良いものになると思う」と書いたモニターもいました。
◆中高生モニターと委員の主な意見
●【委員の感想】今回は自由記述欄の記載に興味をひかれるものが多かった。天気予報やニュースに関して、テレビよりインターネットなどのメディアの方が早く情報が手に入る、速報性を求める情報にテレビが対応できなくなっている、と記述しているのが印象に残った。また、友達との話題は、テレビ番組ではなく、ニコニコ動画やYou Tubeに投稿された動画の話題の方が多い、とも書いている。
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(千葉・中学2年男子)雪の情報などは、テレビよりもTwitterやLINEの方が早くて正確で、だとするとテレビを見ている必要性がなくなってくると思います。
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(島根・中学3年男子)天気・交通・全国のニュースなどインターネットの方が早くて、深く詳しいことまで知ることができ効率が良いと思います。時代の流れがテレビからインターネットへ移る移行期へ入ったかなと感じました。
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(神奈川・中学3年男子)以前の友達との話題は、テレビ番組についてのものが多かったですが、最近の自分の周りの会話はYou Tubeやニコニコ動画などのインターネット動画共有サービスに投稿された動画の話題や、Twitter、LINEなどのSNS、パズル&ドラゴンズなどのスマートフォン対応ゲームの話題が中心になっているような気がします。
●【委員の感想】大人がテレビに対して過剰に反応し過ぎているのでは、と疑問を投げかける一方、制作サイドも、番組に対する意見を尊重しつつも受け入れるかどうかよく考えるべきと、大変いい意見を書いたモニターがいた。
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(島根・高校2年男子)最近、大人が暴力表現やいじめシーンについて「子どもに悪影響があるからやめろ!」などと世論に訴えるなど、過剰に反応し過ぎているように思います。制作サイドは、番組に関する多様な意見を尊重しつつも、その意見を本当に受け入れるべきか否か、様々な世代の立場に立って考える必要があると思います。
●【委員の感想】自由記述欄がとても面白かった。番組内容を規制し過ぎる弊害を書いたものもあった。
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(愛知・中学3年女子)過激で良くない番組作りを推奨するわけではありませんが、制作側がもっと自由にのびのびと番組作りができる環境が整ってくると、テレビ番組はもっと面白くなると思います。
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(島根県・高校2年男子)過激なシーンには、良い面、悪い面の両方があります。そうであるにもかかわらず、あたかも悪い面しかないように主張し、その結果、過激なシーンが制限されることは、逆に子ども達の心の豊かさをなくしてしまうことにもつながるのではないでしょうか。
●【委員の感想】一つの番組批判を集中してやるのはいじめではないか、という意見もあった。
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(宮城・中学2年男子)何かが悪いとなると、寄ってたかってみんなで非難し合うのは、いじめと同じだと思います。
●【委員の感想】外国の局制作の番組も人気があるようだ。英語が話せればどんなに良いだろう、と書いたモニターもいて、やはり、時代が変わってきているという感じがした。
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(東京・中学3年女子)iPhoneの「RadiON」というアプリで「KKEA」(ハワイ、ホノルルのラジオ局)というラジオを、毎日時間があれば聞いています。日本のラジオも好きですが、アメリカなどのラジオが一番好きです。
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(福岡・高校1年女子)『グラミー賞授賞式&ノミネーションコンサート』(WOWOW)を録画して家族でじっくり見ました。日本の歌番組でここまで考えさせてくれる番組は無い気がします。私は英語がすらすらと聞き取れないので本当にはがゆかったです。受賞者の英語を生で感じ取れたらどんなにいいだろう、と心からじれったく思いました。
●【委員の感想】バラエティー番組の企画力をしっかり見ている、という気がした。様々な番組の魅力をきちんと指摘している意見がたくさんあった。
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(鳥取・中学2年男子)僕が最近はまっているテレビ番組は、『テラスハウス』(フジテレビ/山陰中央テレビ)です。今までの番組とは一風変わった番組で、そのアイディアは素晴らしいと思います。青春まっただ中の中高生には人気が高く、見ていて胸がときめきます。アイディアでテレビの未来は大きく変わると思います。
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(千葉・中学2年男子)『世界ふしぎ発見!』(TBSテレビ)この番組の良さは、その国に行ってみたくなるということに尽きると思います。制作担当の人達が面白いネタを探しているのが伝わってきて、ついついその国の魅力にハマっていきます。
●【委員の感想】長く続いている番組の意義をしっかり受け止め理解している。人気のある最近始まった番組も含め、細かい分析をしながら、よく番組を見ているな、と思った。
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(島根・中学3年男子)『世界の果てまでイッテQ』(日本テレビ/日本海テレビ)この番組は制作スタッフがすごく頑張っておられると思います。日曜日の20時枠でマンネリ化せず、つまらないと思った回がないからです。
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(新潟・中学3年男子)『月曜から夜ふかし』(日本テレビ/テレビ新潟)一見未完成であったり、支離滅裂な内容のVTRに出演者が突っ込みを入れるなどして、トークが広がり、そのトークがあることによってVTRが完成するのです。この双方がうまくマッチしているため、この番組が面白くなっています。
今年度の青少年委員会活動について
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3月16日に開催予定の中高生モニター会議の詳細と、来年度の中高生モニター募集が終了し、これから選考に入るとの報告がありました。
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来年度実施予定の調査研究について、2月8日、9日に仙台で予備調査を行った報告がありました。
その他
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2月14日に汐見委員長と最相委員が参加し開催された、名古屋テレビ放送での「意見交換会」についての報告がありました。
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3月4日に中部日本放送で加藤副委員長が講師として、3月11日にmmbiで小田桐委員が講師として、それぞれ参加する「意見交換会」が予定されています。