第197回-2017年11月28日
視聴者からの意見について…など
2017年11月28日、第197回青少年委員会を午後4時30分からBPO会議室で開催しました。所用のために欠席した1名を除き、6人の委員が出席しました。
視聴者意見については、10月16日から11月15日までに寄せられた視聴者意見について議論しました。視聴者から「見ていて残虐で不快だった」などの声が寄せられた深夜放送のアニメ番組について、委員から「現実ではありえない描写からフィクションと現実世界を混同する可能性は低く、暴力を肯定している内容でもない」などの意見が出され、この番組についてはこれ以上議論する必要はないとされました。
また、神奈川県座間市のアパートから9人の遺体が見つかり、男が殺人容疑などで逮捕された「座間9人遺体事件」の報道に関し、「未成年者の被害者を特定するような報道はやめていただきたい」など、被害者の実名や顔写真の報道に対して意見が寄せられたことについて議論しました。被害者の氏名判明後の各局のニュースでの実名・顔写真の扱い状況などを踏まえ、今後の報道を注目していくことになりました。
10月度の中高生モニターのリポートのテーマは「指定するドキュメンタリー番組の感想」で、中高生モニターから寄せられたリポートを基に意見が交わされました。
委員からは、「戦争に関わるような番組上のリアルな表現について、『怖いから見たくない』や『嫌だから知りたくない』などの感想が述べられることがある。戦争をどう伝えていくか、ということの難しさを感じる」「モニターの世代は戦争そのものへの先入観があまりないように思われる。これからの若い世代は、対立する双方の言い分を公平に受け止め、対等に聞きながら戦争の是非や意味を考えていくのだろうと、そういう時代に入ったのだなということを感じた」などの意見が出されました。
調査研究については、「青少年のメディア利用に関する調査」の調査票の回収を締め切り、回収数やその内容がおおむね妥当なものであるとの文書が担当委員から提出されました。
次回は12月18日に定例委員会を開催します。
議事の詳細
- 日時
- 2017年11月28日(火) 午後4時30分~7時00分
- 場所
- 「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
- 視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
調査研究について
今後の予定について
その他 - 出席者
- 汐見稔幸委員長、最相葉月副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、中橋雄委員、緑川由香委員
視聴者からの意見について
深夜のアニメ番組で、知らない家に侵入して、家族を殺害するシーンについて、「見ていて残虐で不快なシーンだった。深夜の時間帯といえども、子どもたちが見てしまうと悪影響を及ぼすのではないかと心配だ」「アニメ自体は否定しないが、有料チャンネルやインターネットで放送してほしい」などの意見が寄せられました。委員からは「この不快感・恐怖感を与える描写は、作品のストーリー上必要なものだと考えることができる」「現実ではありえないような描写であり、特に暴力を肯定しているような内容ではなかった。倫理的に問題にはならないだろう」などの意見が出されました。この番組ついては、これ以上、話し合う必要はないとなりました。
「座間9人遺体事件」の報道について、「登校前の小学生が見て、気分が悪くなった。子どもが見る時間に長時間、具体的な報道は、心理的に悪影響がある」「被害者の写真、実名を放送する必要を感じない。まして、未成年の被害者まで出すのは、放送局の倫理を疑う」などの意見が寄せられました。委員からは、「本人に自殺願望があった可能性があるということで、子どもを失ったという悲しみに加えて自責の念を親が強めていく。二重三重に遺族が苦しむということでは普通の殺人事件とは違うと思う」「社会的に大きな問題となる事件は、それを実名で報道する必要性を否定できない。しかし、報道される側の人権とのバランスの上で、実名報道でなければ本当に事件の迫真性を伝えることができないのかは、しっかり考えていかなければならない」などの意見が出されました。この事件の報道については、引き続き注目していく、ということになりました。
中高生モニター報告について
34人の中高生モニターにお願いした11月のテーマは、「指定するドキュメンタリー番組の感想」で、課題番組は日本民間放送連盟賞テレビ教養番組部門最優秀賞受賞作品「NNNドキュメント’16 知られざる被爆米兵~ヒロシマの墓標は語る~」(広島テレビ放送制作)でした。
この番組は、日本でもアメリカでも知られていない「被爆米兵」の事実を、40年以上にわたり丹念に調べてきた一人の被爆者・森重昭さんを追ったドキュメンタリーです。アメリカでも森さんと被爆米兵に関する映画が制作されるなど、光が当たり始めていることを紹介する一方で、遺族が「戦勝国民」と「被害者」の狭間で複雑な思いを抱えることにも迫り、戦争や原爆の苦悩をあらためて描き出した番組です。
32人のモニターからから報告があり、普段は自分からすすんでドキュメンタリー番組を視聴することはないというモニターも複数いましたが、それぞれに感じたことや考えたことなどを、自分なりの言葉で真摯にリポートしています。
「自由記述」では、座間市で起きた殺人事件の報道やその演出などについて2人のモニターが意見を寄せました。
「青少年へのおすすめ番組」では3番組に複数の報告が寄せられました。『ビートたけしのスポーツ大将』(テレビ朝日)を4人、『ジョブチューン~アノ職業のヒミツぶっちゃけます!~』(TBSテレビ)を3人、『ETV特集 こいのぼりとしゃぼん玉~悲しみでつながる遺族たち~』(NHK Eテレ)を2人のモニターが取り上げました。
◆委員の感想◆
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【指定するドキュメンタリー番組の感想】について
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今回の課題番組でなければ、モニターの子どもたちはこのドキュメンタリーを視聴することがなかったのではないかと思う。モニターたちは、いい経験ができたのではないだろうか。
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戦争に関わるような番組上のリアルな表現について、「怖いから見たくない」や「嫌だから知りたくない」などの感想が述べられることがあるが、そのような率直な受け止めをどのように考えればいいのか、とずっと悩んでいる。戦争をどう伝えていくか、ということの難しさを感じる。
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戦争のにおいの残る時代に育った我々とは違い、モニターの世代は戦争そのものへの先入観があまりないように思われる。これからの若い世代は、対立する双方の言い分を公平に受け止め、対等に聞きながら戦争の是非や意味を考えていくのだろうと、そういう時代に入ったのだなということを感じた。
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「この番組を見て、また一つテレビの良さを知ることができた」というリポートで、インターネットとテレビの違いを感じたとあった。インターネットで戦争や原爆に関する情報を知ろうと思うと断片的な情報がたくさん入ってくるが、一つのテーマで深く取材された番組から情報を得ることができるということがテレビの良さだと感じてくれている。
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指定番組の感想を、学校で聞いた「国境なき医師団」の講話と絡めてくれているリポートがあった。モニターは最終的に「人に命があることは、人種、宗教、国籍に関わらず平等だ。そのことを忘れてはならない」と書いている。非常にきちんと書かれた、センスを感じさせるリポートだと思う。
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【青少年へのおすすめ番組】について
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宮城県のモニターが『ETV特集 こいのぼりとしゃぼん玉~悲しみでつながる遺族たち~』(NHK Eテレ)を見て感想を書いている。「震災から7年がたち、自分の家の周りも仮設住宅がなくなり復興が進んでいる。月日とともに忘れていくこともあるが、忘れてはいけないことをあらためて実感した」とあり、「地元の子どもでさえ、そうなのだ」と感じた。
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◆モニターからの報告◆
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【指定するドキュメンタリー番組の感想】について
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2016年5月27日、当時現職アメリカ大統領バラク・オバマが、広島平和記念公園で17分という長いスピーチをしたことをよく覚えています。オバマ大統領は「私たちは、10万人を超える日本の男性、女性、そして子ども、数多くの朝鮮の人々、12人のアメリカ人捕虜を含む死者を悼むため、ここにやって来ました」と言っていました。僕はこの時初めて12人のアメリカ人の被爆者がいることを知りました。自分の国の捕虜がいることを知っていて原爆を投下したという事実に言葉が出ませんでした。式典に参列していた被爆者でもある森重昭さんがどんな人生を送ってきたのか、この番組を見てよく伝わりました。自分も遺族としての感情を重ねて、12人全員の名前を調べあげ、アメリカで「行方不明」と言われていた遺族に連絡をとってあげました。どれだけの労力がかかったか想像もつきません。また、被爆者名簿にアメリカ兵の名前を載せることもしてあげました。広島の被爆者もアメリカ兵の被爆者も戦争と核兵器の犠牲になった、家族のいる同じ人間なので、その行為は正しかったと思います。そんな森さんの心がオバマ大統領の広島訪問という歴史的出来事につながったように感じます。森さんとオバマ大統領のハグを見て、お互いの国の人を思い敬うことが平和へつながるのではないかと思いました。(神奈川・中学1年・男子)
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番組が始まった時の映像が怖かった。普通に見ていたら怖くて見るのをやめるかも。アメリカ人も被爆していたことを初めて知って驚いた。番組を見てあらためて戦争は起こってほしくないと思った。戦争について知ることができてよかったけれど、話が難しく、普通には見たいと思わない。(岐阜・中学2年・男子)
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今まで、小学校の授業やテレビなどで、様々な「第二次世界大戦」や「原爆」の映像を見たことがあったが、実際に被爆された方の関係者が現在どんな暮らしをしているのか、ということは知らなかった。また、日本で被爆した米兵の存在には驚かされた。日本は被害者、アメリカは加害者というイメージが強かったが、アメリカも原爆による被害を受けていることを知り、複雑な気持ちになった。「原爆を投下したのはアメリカですが、どう思いますか」と聞かれて、「原爆は正解だった。あれが戦争に終止符を打ったんだ」と答える人がいれば、ノーコメントと答える人もいる。様々な思いを抱える人がいるということがよく分かった。これは、平和を考えていく上でとても大切なことだと思う。(東京・中学2年・男子)
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この番組を見て、初めて「被爆米兵」という存在を知りました。オバマ大統領が広島訪問したニュース映像の記憶はありましたが、その映像と森さんの存在がつながっていませんでした。番組を見ての感想をうまく言い表せません。事実の衝撃と国、当事者、遺族の複雑な立場、事情の重々しさ。その苦悩の中にある人間の良心についてなど、いろいろなことが頭の中をぐるぐる巡りまとめることが難しいです。それぞれの立場、思い、考えがあり、何がいいとか悪いとは簡単には判断できないです。「戦争に勝者も敗者もない」ことをあらためて感じました。ただ苦しみ、悩み続けながらも平和を願う気持ちには過去の敵も味方もないのだと思いました。自らも被爆者である森さんは、なぜ被爆米兵についてこれほど調べ、遺族への連絡に尽力したのでしょうか。彼を突き動かした思いは何なのか、考えさせられます。被爆米兵の遺族の方が「ノーコメント」としか言えない未だ続く深い悲しみには胸を締め付けられる思いがしました。
広島への原爆投下について、私は何も知らないのだと実感しました。教科書に書いてあることとして何となく理解していた気がしていましたが、その背景や今につながっている問題については何も理解していませんでした。今月トランプ大統領が来日し、防衛装備品の購入を促し、日本政府もその意に添うととれる報道を目にしました。そんなことを頭に置きつつ、この番組を見ると現実は険しいのだと思います。オバマ大統領は歴史的な広島訪問をし、核軍縮のメッセージを世界に向け発信しました。ただ言葉だけでは核兵器はなくなりません。このメッセージや森さんの思いを忘れずに胸に留めていかなければならないのだと思います。
私は来年修学旅行で広島に行く予定です。この番組を見ることができ良かったと思いました。(千葉・中学2年・女子) -
出だしがかなり暗い感じで、少し怖い感じもしたので、指定番組でなければきっと見なかったと思う。でも、とてもいい勉強になった。広島には小学校の修学旅行で行きました。その時にもいろんな資料を見て怖いと感じたことは多かったけれど、そういうことを知らないとまた戦争をしてしまうかもしれない。知ることは大切だなと思いました。(滋賀・中学2年・女子)
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この前、トランプ大統領が日本に来た。トランプ大統領はすぐ煽るようなツイートをして、北朝鮮が核兵器を飛ばす飛ばさないという嫌なニュースが止まらない。平和な世界に生まれたと思っていた僕たちなのに、すぐそこで戦争が起きるんじゃないかと最近は怖さを感じている。そのせいか、戦争は起きてほしくないと思っていることと、もしも戦争が起きたらと思う不安感で、ドキュメンタリーを見始める気持ちになかなかならなかった。
原爆の話というと、やっぱり日本人のことが語られるけれど、アメリカが日本を破壊しようと生み出した原爆が、自分の国の人間を傷つけていたということは知らなかったし、捕虜として被爆した米軍兵士のことを思うと心が痛かった。米軍兵士の遺族が、その人の弔われた墓の写真を見た時にカメラに向かって「日本の人たちに感謝したい」と言っていた。きちんと弔ってくれてありがとうということだった。そんなふうに思えるなんてビックリした。どうしてそんな心になれるのか、最後まで見てもあまりわからなかった。なぜなら、僕は日本がいつまでも戦争をやめなかったから原爆が落とされたと思うから、日本人が悪いんじゃないかと感じてしまったからだ。
僕たち戦争を知らない世代は、国内だけじゃなくもっと世界の戦争の歴史について知るべきだと思った。なぜそうなったのかを知れば、戦争が起きないような考え方を出せると思う。来年修学旅行で生まれて初めて広島に行く。あの原爆公園に行ったら、僕なりの視点で世界平和や戦争について考えてきたい。(富山・中学2年・男子) -
戦争(原爆)による悲劇の歴史は、繰り返してはいけないし、決して忘れてはいけないと思った。番組の途中で、気持ちが重くなり、見るのもつらくなったが、戦争を知らないからこそ最後まで見て事実を知った方がよいと思って最後まで見た。その中で、原爆を落としたアメリカ兵が捕虜になっていた時に被爆し、19歳という若さで苦しみながら非業の死を遂げたという事実を初めて知り、驚いた。被爆兵の死を調べて家族に連絡した人がいるその様子に、敵国であったにも関わらず分け隔てなく対応していることに、国を超えて人間であることへの尊重やその被爆兵にも被爆兵を大事に思う家族がいるんだということを気づかされた。(東京・中学2年・男子)
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12名の被爆米兵がいたことは、初めて知りました。被爆米兵の妹のアメリカ人の80代の人にインタビュアーが、「原爆を作ったのはアメリカですが?」と質問すると、そのアメリカ人の妹の人は「何もコメントしません」と言ったのがちょっと残念に思いました。実は僕も、ずっと「原爆を作ったのはアメリカだ、攻撃のために作ったんだから(その結果、誰かが死ぬのは当然。自国民だけ死なない兵器などない)」と思っていました。なぜ何もコメントしないかという点を、少しでも引き出してほしかったです。それがないと、結局、和解できないという感じに思いました。(石川・中学3年・男子)
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民放では、このような番組を見ることがあまりありませんが、本当に放送するべき番組はこのような番組であるのだろうと思います。何かを報道する時は一方からの視点で描くこともありますが、今回は日本人、そしてアメリカ人、両方から偏りなく戦争を描いていました。この番組を見るまで、原爆により亡くなったのは日本人だけでなくアメリカ兵の方もいたのだということを知りませんでした。中高生モニターでなかったらきっとこの番組には出合えていなかったはずです。地方局の制作番組となると、そうなるのは当たり前のことなのかもしれませんが、高く評価され、多くの人に見てほしいとされるこのような番組は、評されるだけで終わりでなく、たくさんの人に届けることこそがその賞の意義であると思うし、放送界の責務だと思います。(埼玉・高校1年・女子)
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広島の原爆投下で被爆したアメリカ人がいたことにただただ驚きました。「アメリカは加害者である」と今まで私の持っていた概念的なものが崩れました。このドキュメンタリーでは、実際アメリカ軍兵の遺族にもインタビューを行い、彼らの辛い経験も取り上げているので、平等な描き方だと感じました。日本の悲惨な体験だけでなく「加害者」とされたアメリカの苦しみも取り上げられたドキュメンタリーを見るのはこれが初めてでした。平和とは何か。原爆は落とされて正解だったのか。答えのないこの問いに違う切り口で迫ったこのドキュメンタリーは、今まで取り上げられることのなかったアメリカ人被爆者たちの存在を伝えてくれました。(東京・高校1年・女子)
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被爆米兵の妹に「原爆はアメリカが開発したものだが、どう思うか?」というインタビューは不必要だったと思います。なぜあのインタビューをしたのかわかりません。どのようなコメントを期待してあの質問をしたのか、全く理解できませんでした。(岡山・高校2年・男子)
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この番組を見て、また一つテレビの良さを知ることができました。私は広島の原爆について授業でしか触れたことがなく、今回の番組で広島について新しいことを学ぶことができました。インターネットで調べようとすると情報が膨大、しかも自分が求めていることだけを見つけるので見識が狭くなってしまうこともありますが、テレビでは要点がまとめられているので、そこがテレビの良いところだと思いました。「インターネットでも調べてみよう」と意欲をかきたてられるような好奇心を高めてくれる番組や、視聴者に問いを投げかけてくれるような能動的な行動に結びつく番組が増えてほしいと思います。(青森・高校2年・女子)
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面白い番組は好きだけどシリアスなドキュメンタリー番組や歴史の勉強のような番組は重苦しくってつまらないという印象が強く、自分から進んで見たことがありませんでした。ですから、今回送られてきた原爆のドキュメンタリー番組も正直指定されなければ見ないだろうと思っていましたし、あまり気が進みませんでした。しかし、この番組を見終わった後では、シリアスなドキュメンタリーはつまらないなんて考えはなくなりました。この番組にすごく引き付けられたのです。当時の映像やインタビューの様子に目が離せなかったです。インタビューを受けている人が一人ひとり真剣に偽りのない自分の気持ちを話しているのが伝わり見ているこちらがつらい気持ちになりました。英語に字幕をつけたインタビューは字幕を見ないと意味が分からなくて吹き替えの方が好きだったのですが、生の声だと話し手の声音や抑揚で言葉を超えて感情が伝わってくるのだと思いました。ドキュメンタリー番組は戦争や原爆の悲惨さを教えてくれます。しかしそれは,教科書とは全く違うものです。教科書でも悲惨さや危険を知ることはできます。でも教科書は知識として知ることしかできません。どこか他人事で教科書を読んで涙する人はまずいないでしょう。ドキュメンタリー番組は違います。戦争の辛さを、苦しさを、切なさをたくさんの思いを教えてくれるのです。私はこのドキュメントをみて何度も泣けてきました。日本人の被害者が多いから被害者の少ないアメリカが悪い。日本はかわいそうだ。そういう話ではないと思います。たった一人でも大切な人がいなくなれば苦しくて辛いのです。命は一つひとつが大切で、それを足し算したり掛け算したりして悲しみが決まるわけではないと思いました。戦争に善も悪もあるのでしょうか。この番組もたくさんのことを伝え考えさせてくれました。(愛知・高校2年・男子)
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私は長崎に生まれ育ったので、毎年夏になると、学校で平和学習があります。毎回平和学習で学ぶことは、原爆の悲惨さ、平和の尊さです。しかし、そこで主にテーマとなるのは、「犠牲」になった日本人の被爆者のことです。今回の番組を見て、被爆米兵の存在を初めて知りました。アメリカでこのような原爆についての教育を行う時、この事実を知るべきだと私は思います。原爆の是非の考え方を変えるというのではなく、この事実は知っておくべきことだと思いました。原爆は72年前の夏、広島と長崎に落とされましたが、核兵器によって、たくさんの命を奪うという行為は二度と起こってはならないことです。広島だけではなく、長崎にも被爆米兵はいるのだと思いました。この番組を通して、当時の日本、またアメリカの考え方の悲惨さを学びました。この前、学校の人権週間で、国境なき医師団の先生の講話を聞きました。医療の話だけではなく、派遣される国の状況についても聞くことができました。国境なき医師団はけがを負った人々なら、たとえテロリストであれ、治療を行うとおっしゃっていました。人に命があることは、人種、宗教、国にかかわらず、みんな平等です。そのことを忘れてはならないと思います。(長崎・高校2年・男子)
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昨年の広島の平和祈念式典のニュースで流れていた、オバマ大統領と森さんが抱き合う映像がとても強く印象に残っていました。そしてこの番組を見て初めて、森さんが長年被曝米兵のことを研究している方だと知りました。この番組は俯瞰して眺めた戦争ではなく、その中に生きた一人ひとりの人生を見つめています。個人的な物語ですが、だからこそ多くの人の心に届くのだと思います。いつの時代も戦争は起こるけれど、命の重みは変わらないし、大切な人を想う気持ちも変わらない、ということを感じました。番組の最後の方では、核兵器のなくならない現実も伝えていて、胸に刺さりました。どうすれば核なき世界が実現できるのか、本当に難しい課題だと思います。原爆の事実に心を痛め、核兵器を廃絶すべきであると感じている人が多くいる一方で、世界の現実は変わっていません。でも、決して諦めず、この番組のように“過ちは繰り返してはいけない”という声を絶やさないことが大切であると思います。(東京・高校3年・女子)
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【自由記述】
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最近あまりテレビを観ていない。いろいろと忙しいということもあるが、自分にとってどうしても観たいと思える番組がないからというのも理由だと思う。両親が小さい頃は家族でチャンネル争いをしていたという話だが、昔の番組はそんなに面白かったのか、それともパソコンのようなものがなかったからなのか、などと思っている。(東京・中学2年・男子)
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座間市の事件がありましたが、それについて、ニュースの中で被害者の方々の幼少期の映像や写真、知人へのインタビューなどが、人権侵害に関わるのではないか、と学校の先生が話してくださいました。(今回の事件に関しては)私は先生からその話を聞くまではそのように思いませんでした。自分の無慈悲さを感じましたが、見方を変えれば、被害者の方のそのような情報が報道されるから、人はその被害者の方に思いを馳せることができると思うし、これから二度と同じようなことを起こさぬようにと思えるようになるのだと思います。さいたま市の高校生の方もこの事件で亡くなったそうで、新聞・テレビ記者の方がツイッターでその高校の同級生に情報提供を呼びかけているという話を同級生から聞きました。顔が分からず、本当にその被害者の方と同じ高校に通う人か確信を持てないツイッターで情報提供を呼びかけるというのは、危ないと感じました。(埼玉・高校1年・女子)
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最近、どの情報番組を見ても角界の暴行問題がトップで取り上げられている。関心が高い事案ではあるが、情報が錯そうしている中でほぼ同じ情報が繰り返されているだけのように感じる。このような報道の仕方は、視聴者の混乱を招きかねないのではないか。(青森・高校1年・男子)
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お昼のワイドショーや夕方のニュースなどで、座間市の事件について過剰に取り上げているように感じました。事件の凄惨さや被害者のエピソードを繰り返し放送し、ドラマティックにしているところに違和感を覚えました。エンターテインメント化するのではなく、今後このような事件が起きないようにするための議論を重視すべきだと思います。また、他の様々な問題にも光を当てるべきだと考えます。ワイドショーや夕方のニュースは長い時間を有しているのに、みな同じような内容を繰り返し伝えているように感じます。その内容も、視聴者があまり考えずに見られる、芸能人の話や今回のような衝撃的な事件などに偏っていて、未来性がないと思います。(東京・高校3年・女子)
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【青少年へのおすすめ番組について】
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『ETV特集 こいのぼりとしゃぼん玉~悲しみでつながる遺族たち~』(NHK Eテレ) 震災から7年がたち、家の周りも仮設住宅がなくなり復興はかなり進んでいます。月日とともに忘れていくこともありますが、この番組を見てあらためて忘れてはならない出来事だと実感できました。(宮城・中学3年・男子)
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『ジョブチューン~アノ職業のヒミツぶっちゃけます!~』(TBSテレビ) 世間で噂されていること、気になることを、そこで働く人が答えるというのは信憑性が高いし、信用できるので、この番組はいいと思います。ただ、そこで働いて、色々知っている人がいるからこそ、もっと掘り下げたことを聞きたいと思う時もあります。(埼玉・高校1年・女子)
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「青少年へのおすすめ番組」には、スポーツ番組やバラエティー番組は多いけれど報道番組が少ないと思った。もっと若者が興味を持てるようなニュース番組を制作してほしい。(長野・高校1年・男子)
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『ジョブチューン~アノ職業のヒミツぶっちゃけます!~』(TBSテレビ) 一番印象に残っているのは、国会議員が自身の仕事についてぶっちゃけていたシーンです。政治界の裏金の有無について暴露しているのがギリギリまで迫っているように感じられて面白かったです。私たち高校生は進路について考える時に見る資料には、職業の良い点について多く書かれていますが、このように裏側にまで迫る教育番組があれば将来についてもっと真剣に考えられると思いました。(青森・高校2年・女子)
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『ビートたけしのスポーツ大将』(テレビ朝日) 同世代の人があんなに走るのが早かったりするのを見るとすごいなと思うし刺激になる。自分の無力感を強く感じる。(東京・高校2年・男子)
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調査研究について
「青少年のメディア利用に関する調査」は、11月中旬に調査票の回収を締め切りました。担当委員からは、「515件(25.7%)の回答を得た。回答数は、郵送調査の場合の一般的な回答率(20%~30%)の範疇にあり、暫定集計の結果、サンプル集団は地域分布、年齢/中高分布、性比に大きなバイアスは観測されておらず、おおむね妥当と考えられる」など、暫定集計の結果を報告する書面が提出されました。
次回委員会で、集計結果の概要やこの調査に関して行う放送局の関係者との意見交換会(1月23日実施予定)の内容等について議論することになりました。
今後の予定について
今後の日程を次のとおり確認しました。上記の調査研究に関するもの以外に、来年2月24日にBPO会議室にて教師たちと委員との意見交換会を開催します。