青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第168回

第168回–2015年3月8日

「子どもが多く視聴する時間帯にいきなり
衝撃的映像」との視聴者意見は討論終了…など

第168回青少年委員会を、3月8日に7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。2月16日から2月28日までに寄せられた視聴者意見について話し合い、1案件について討論しました。その他、3月の中高生モニター報告、調査研究の現状報告、青少年委員会の用語の統一などについて話し合いました。
次回は4月28日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2015年3月8日(日) 午後4時15分~午後6時20分
場所
放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

  • 「日曜朝の子どもが多く視聴する時間帯に、いわゆる"イスラム国"関連のニュース速報を放送していた。番組内容変更の説明もなくいきなり衝撃的な映像を流していて子どもが怖がっていた。事前アナウンスがあっても良かったのではないか」などの視聴者意見が多数寄せられた案件について、当該局から提出された当日の状況を説明する資料を基に討論しました。委員からは「番組変更の情報がほとんど無かったのは不親切だ」「今回は、子ども向け番組が中心の時間帯に衝撃的な映像が放送されたので、意見が集中したのだろう」「この時間帯の視聴者は子どもが多いことに想像力を働かせて対応してほしかった」などの意見が出ました。また、「子どもたちは、楽しみにしていた番組の突然の変更と衝撃的な映像に驚いたのだろうが、緊急のニュースも必要なので、これ以上は放送局に求められない」などの意見もありました。青少年委員会として「今後の教訓として、急な番組変更の場合、繰り返し番組変更の情報を告知するなど丁寧な周知対応が望まれる」という意見があったことを明記し、討論を終了することにしました。

  • 「いわゆる"イスラム国"関連の報道について、衝撃的な映像の使用など各局はかなり抑制的であったと認識しているが、今回の一連の報道において各局はどのような対応をしたのかを教えてほしい」として、委員会はNHKと在京民放5局に報告をお願いし、その報告を基に意見交換しました。委員からは、「各局は、独自の映像使用基準を設け、配慮しながら放送にあたっていることがよく分かった」「どの時間に放送されるか分からない番組PRでもいたずらに衝撃的な映像を使用しないよう徹底している局もあった」「状況の変化につれて使用する画像を変えていくなど細かな工夫をしていることが理解できた」などの意見が出ました。また、「放送では配慮した映像を使っていても、ネットでは衝撃的な映像がそのまま見られてしまう。青少年への影響を考えた時、テレビの枠組みだけで考えるのは難しい時代になってきている」という意見もありました。

  • 川崎中1殺害事件の報道について、「被害少年の暴行を受けた写真や額に傷のある痛々しい写真が放送されているが、被害少年の人権や、家族の心情を考慮する必要があるのではないか」「このような写真が放送されることによって、なぜ周りの人が気付いてあげられなかったのかというメッセージになる。軽々には問題があるとは言えない」「あざや傷、着衣の状況など、どこまで、いつまで情報を公開する必要があるのか、事件の性質を考えると悩ましい問題だ」などの意見がありました。

中高生モニター報告について

3月の中高生モニターは、「1年間の感想」及び「テレビに期待すること」というテーマでした。今回は22人から報告がありました。
「民放連賞最優秀を受賞した青少年向け番組の感想を書いたことが一番心に残りました。同年代の人が被災者の方々のために何ができるのか考えて行動しているのに、自分は何もしていない気がして恥ずかしくなりました」(青森・中学1年女子)。「前からBPOのニュースを耳にしていましたが、今回初めて存在意義が分かりました。今のテレビやラジオにとっては欠かせない機関だと思いました」(静岡・中学1年女子)。「モニターを務める前とは番組の見方が大きく変わりました。以前は考えてもいなかったことも考えるようになり、スタッフさん達が、テレビを少しでも盛り上げていこうという試みをしているのだと気付くようになりました」(東京・高校2年男子)。
テレビに期待することとして、「スマホやネットと連動した番組を作ること、また視聴者参加型の番組を多くしテレビを身近にしてほしい」(愛媛・高校2年男子)。「何か大きな出来事があった時に、一過性にするのではなく大事な事柄は継続的に報道してほしい」(神奈川・高校1年女子)。「誰も想像できない新企画や新しい人材の発掘で、見る人すべてを笑顔にして日本を楽しい国にしてほしい」(福岡・高校1年男子)。「危険を冒してまで笑いをとろうとしたり、注目を集めるため誤った情報を流したりせず、この放送で何を伝えたいのかということを常に念頭に置いて番組制作をしてほしい」(大分・中学3年女子)。

■中高生モニターの意見と委員の感想

●【委員の感想】この1年間モニターを務めて、いろいろなことが学べ、テレビについて深く考えたと書いているモニターがたくさんいて、成長過程の一助になったのではないかと思った。

  • (埼玉・中学3年男子)僕はこの1年間、テレビをはじめ、メディアについて多くのことを学びそして考えました。メディア・リテラシーについての本も読んで、テレビ番組はどのようにして作られるのかもっと裏側も見せるべきではないかと思いました。

●【委員の感想】制作者側が視聴者に訴えたいことがあって番組を作っていることが分かったというモニターがいた。

  • (三重・中学3年女子)今まで余り関心のなかったドキュメンタリーも視聴し、一つ一つの番組制作者の思いを感じることができました。作る側に視聴者に対する狙いや伝えたいことがあることがわかりました。

●【委員の感想】報告を書くのは大変だったが、放送とは何だろうと真剣に考えるようになったと書いているモニターがいた。

  • (佐賀・中学1年女子)この1年放送を考える一員となり、普通につけていたテレビが前とは違うように感じます。これからのテレビは、新しいことや知らないことを分かりやすく視聴者に教えてほしいと思います。

●【委員の感想】幼少期と比べて視聴時間は大幅に減ったが、この1年で、テレビの存在意義を考え直したというモニターの意見には、はっとさせられた。

  • (神奈川・高校2年女子)リビングのテレビの前に座り、ぼーっと眺める時間を幸せに感じます。そうした時間を得るためにもやはりマンネリ化した番組ばかりでなく長寿番組と言えるような安定して面白い番組が多くあってほしいとも思います。

●【委員の感想】テレビに期待することとして、大変貴重な意見を書いてくれたモニターがいた。

  • (広島・中学2年女子)特に未成年の事件があった時に、起きた内容だけを放送するのではなく、そういう事態を防ぐ方法をみんなで考えるような番組を作っていかないと今後も悲しいニュースがなくなることはないと思います。

●【委員の感想】ネットと違う役割をテレビは担ってほしいという意見が目立った。

  • (東京・中学3年男子)テレビには正しい放送をしてもらいたいです。ネットでは文責がはっきりせず、書いた人一人の判断で書かれているものが世界中に広がったりします。テレビ番組は一人では作れないと思うので、しっかりと調べて責任のある放送をしてほしいです。

調査研究について

  • 「中高生の生活とテレビに関する調査」について、担当の萩原委員から3月16日の研究報告会に向けた現状報告と、最終報告書の取りまとめについて事務局から説明がありました。

青少年委員会における用語の統一について

  • 2014年6月の第159回委員会で話し合われ懸案になっていた、青少年委員会で使われる用語の問題について、前回に引き続き意見交換しました。『放送倫理・番組向上機構 規約』『「放送と青少年に関する委員会」運営規則』や、『青少年委員会・視聴者意見の審議プロセスに「討論」を設けることについて』(汐見稔幸委員長2012年10月31日)などを基に行われている青少年委員会の運営を分かりやすく説明した「青少年委員会 議論の流れ」を作成し、3月16日の年次報告会で汐見委員長が公表することにしました。

今後の予定について

  • 来年度の意見交換会について、6月か7月に四国地区で、9月に九州地区で開催することを決めました。

その他

  • 来年度の中高生モニター募集について、事務局から応募状況などの報告がありました。

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