第160回–2014年7月22日
青少年委員会の「審議プロセス」の確認…など
第160回青少年委員会を、7月22日に7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。まず、青少年委員会の「審議プロセス」の確認を行い、次に6月16日から7月15日までに寄せられた視聴者意見を中心に、2つの案件について討論しました。その他、7月の中高生モニター報告、9月9日に仙台で行う予定の委員会及び意見交換会の現状報告、調査研究などについて話し合いました。
次回は9月9日に定例委員会を仙台で開催します。
議事の詳細
- 日時
- 2014年7月22日(火) 午後4時30分~午後6時40分
- 場所
- 放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
- 青少年委員会の「審議プロセス」の確認
視聴者意見について
中高生モニター報告について
青少年委員会活動について
- 出席者
- 汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員
青少年委員会の「審議プロセス」の確認
青少年委員会の活動について話し合い、改めて事務局が『放送倫理・番組向上機構 規約』と『「放送と青少年に関する委員会」運営規則』(いずれもBPOホームページ「規約と運営規則」参照)の文言と意味を説明しました。また、2012年10月から、新たに「討論」という運用上のプロセスを設け、現在は以下のような「審議プロセス」になっていることを再確認しました。
- まず、視聴者意見を参考にしたり、委員が指摘した番組・テーマについて、担当委員が委員会で「討論」する必要が有るか否かを判断します。「討論」では、全委員が番組を視聴し、当該放送局に提出の協力をお願いした関連資料などを参考に、委員間で自由な議論を行います。
- 「討論」の結果、「審議」が必要と判断した番組・テーマについては、当該放送局に放送局としての考えなどの文書回答を求めたり、関係者との意見交換を行い、ケースによって"委員会の考え"を公表します。
- さらに委員の3分の2以上の賛成があれば「見解」などを公表し、全放送局に自主的対応を要請します。
なお、「審議プロセス」のあり方などについては、年度内をめどにさらに検討することにしました。
視聴者意見について
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「海外取材で、日本の女性芸人がTバックを着ておしりを突き出し、ドラム代わりに叩かれていた。いくら"お笑い"とはいえ女性芸人いじめではないか」という視聴者意見や、女性蔑視ではないかという委員の意見があり、全委員が視聴した上で討論しました。委員からは、「あのシーンを見て女性蔑視と感じる人もいるだろう。配慮が必要だ」「過去に同じ女性芸人を、裸の上半身にボディーペイントを施し走らせたことがあった。今回も、テレビが男性目線で作られていることが垣間見える」などの意見がありましたが、「実際に海外でイベントとして行われているのであれば、文化を紹介する意味でも問題はない」「過去のボディーペイントの時も今回も、アートとして受け止めた。その部分だけを見るとわいせつな感じを受けたが、事前告知していることや、女性芸人のキャラクターもあり問題はない」などの意見があり、審議入りしないことにしました。ただ、他のバラエティー番組などでも"男の大人目線での番組作り"を感じることがあり、引き続きこのテーマについて関心を持って行くことを確認しました。
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小学校の校長が覚せい剤所持容疑で逮捕された事件で、卒業生(中学生)の顔出しインタビューが情報系の番組で放送され、放送後、保護者から今後インタビュー映像を使用しないでほしいとの要望があった案件について、当該局に改めて報告を求め、前回に引き続き討論しました。報告では、「自社で採用している『報道・取材ガイドライン』の子どもへのインタビューについて、取材記者が"小学生へのインタビュー取材には親の同意などが必要だが、中学生以上であれば本人の同意があればいい"との誤った認識で、保護者の了解を得ていなかった。今後再発防止に向け社内の勉強会など、全社で意識の共有を図っていく」としています。委員からは、「子どもたちの取材に際しては、取材者にとってリスキーなこともあることを、特に若い記者に対して教育することが必要ではないか」「今回は、社内の調べで、原因も分かり、そのあとのフォローもするということなので、これ以上問題にすることは無い」などの意見があり、審議入りしないことにしました。
中高生モニター報告について
■中高生モニター報告 概要
7月の中高生モニターは、「この1か月程の間に見た番組の感想(バラエティー・クイズ・音楽)」というテーマで書いてもらいました。
今回は18人から報告がありました。いくつかのバラエティー番組を強く支持する意見が複数寄せられました。「私は『逃走中』(フジテレビ)が好きで、よく見ます。この番組の好きなところは、(1)ミッションのハラハラ感、(2)裏ストーリーのおもしろさ、(3)逃走者から伝わるドキドキ感、です。逃走成功者はお金をもらえる、という視聴者には何の得にもならないバラエティーですが、1度見ると、あのおもしろさのとりこになってしまいました」(東京・中学2年女子)。『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ)については、「私がこの番組を好きな理由は、私たちが普段の生活では得られない情報を得ることができるからです。この番組は、出ている芸能人が、私たちが見ていて疑問に思ったことをきちんと質問してくれるので、見ていて、もやもやしなくて楽しく視聴できます」(宮崎・高校2年女子)。
音楽番組では、『ミュージックステーション』(テレビ朝日)など長寿番組がいくつかあげられました。「最近の音楽に関してこの番組だけ見ていれば学校の話題について行けるのでいいです。また、放送される金曜日は週の終わりで、疲れている体をリフレッシュすることができます」(大分・中学3年女子)。
クイズ番組については、「クイズ番組は自分で考えたり学ぶことができるので好きです。特に『伝えてピカッチ』(NHK)は30分の中にたくさんの種類のクイズが盛り込まれていてテンポよく進みます。土曜日午後7時半からというのも家族で見るのにちょうどよい時間帯と長さです」(東京・中学2年女子)。
自由記述欄は、「ラジオ・テレビについて思ったことを自由に書いてください」というテーマを設定しました。辛口の意見が寄せられました。「W杯の中継やそれに関する番組は、いくらなんでもやり過ぎだと思います。視聴者全員が注目していると思ったら大間違いです」(埼玉・中学3年男子)。「"昨日の○○(テレビ番組)見た~?"と話題にならないのが寂しく思える。最近は長寿番組の打ち切りが相次ぎ、改善の努力は見られるが、後番組を見ていると果たして打ち切りにしたことが良かったのだろうかと、問いたくなる」(宮城・高校1年女子)。
■中高生モニターの意見と委員の感想
●【委員の感想】バラエティーにおける『笑い』のあり方を中高生モニターもしっかり理解している。やはり、誰もが違和感なく笑えることが良いと思っているようだ。
●【委員の感想】バラエティーの長寿番組の中には、一種の風格を備え、世界観を視聴者と共有できているものがあるようだ。視聴者との共通理解を作っていくことが何より、制作者側に必要なことでは。
- (佐賀・中学1年女子)『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ/福岡放送)出演者が挑戦する姿が好きです。知らないことを知ることができて発見ができて興味が湧きます。世界中の国々の詳細を紹介しているし一生懸命だけれどおもしろく笑いもとりながら進んでいくので、あっという間の1時間です。人を悪い言葉でいじめて笑いをとったり、たたいたりして盛り上がったりしないので、とてもいいと思います。
●【委員の感想】地方在住のモニターから、もっと地域の情報を伝えてほしいという意見があった。地方をおきざりにしているのではないかという視聴者の気持ちにはテレビ局もしっかり向き合うべきだと思った。
- (広島・中学2年女子)朝のニュース番組は全国放送でなく、地方のニュースもやってほしいと思います。地域のニュース、特に学校や防災、防犯などについてのニュースを、10分ほどでも朝7時ごろやってくれればいいかなと思います。
●【委員の感想】バラエティー番組の評価が全般に低いような印象を受けた。また、やはり録画視聴が現実的には多くなっているようだ。
- (東京・中学2年女子)『Qさま!!』(テレビ朝日)は好きでじっくり見たいのですが、長すぎて、ずっと見ているとほかのことができなくなってしまいます。そのため、母から録画して早送りで見なさい、と言われるので、たいてい途中から録画して、後日早送りで見ています。
●【委員の感想】作為的なCMの入れ方への批判が数件寄せられた。
- (宮城・中学2年男子)最近のテレビ番組では「その真相は!!」「この後奇跡が起きる!!」などのナレーションの後CMに入ることが多い。その日の放送のうちにやってくれればいいのだが、CMが終わるとナレーションの内容は次回予告だったということがあり、とてもイライラする。
- (大分・中学3年女子)今から歌うゲストの紹介ビデオなど見せて、さあ歌うぞ、と思ったらCMが入ります。すごくイラッとくるし、CMのせいで見る気がしなくなるということもあると思います。
●【委員の感想】私が大好きでいつも見ている番組を熱烈に褒めているモニターの意見があり、とても嬉しく思った。
- (宮城・高校1年女子)『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ/宮城テレビ)この番組には多数の企画が存在するが、そのすべてにおいて演者が真剣に取り組む姿勢には毎回感心する。「バカみたいなことを本気でやる」ような、少年心をくすぐる内容が憂鬱な日曜の夜にはぴったりだと思う。
●【委員の感想】深夜のアニメ番組の放送時間帯に対する意見が印象に残った。中高生の間では、アニメ番組のオンデマンド化への欲求が高いようだ。
- (滋賀・中学1年女子)テレビでアニメなどが深夜に放送されていて嫌です。次の日に皆でワイワイとそれについて話したいのですが、録画で見るので、見た人と見てない人がいて話せません。深夜番組を減らすことはできないんですか。
青少年委員会活動について
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9月9日(火)に開催予定の仙台での意見交換会について準備状況が報告され、事前アンケートの内容が承認されました。
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調査研究について現在までの準備状況が報告され、9月に中高生に調査を行う予定であることを確認しました。
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在京局との意見交換会・勉強会を11月25日(火)に行う方向で調整に入ることを決めました。