第87回–2014年11月>
佐村河内守氏が"別人に作曲依頼"を審理
川内原発報道で事実誤認と不適切な編集
テレビ朝日の『報道ステーション』を審議…など
第87回放送倫理検証委員会は11月14日に開催された。
"全聾の作曲家"と多くの番組で紹介されていた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼していたことが発覚した事案について、各局の報告書をもとに、問題発覚後の対応のあり方などをめぐって意見交換した。
テレビ朝日の『報道ステーション』が放送した九州電力川内原子力発電所に関するニュースに、事実誤認と不適切な編集があったとして審議入りした事案は、担当委員から当該局へのヒアリングの概要の報告が行われた。
議事の詳細
- 日時
- 2014年11月14日(金)午後5時~8時15分
- 場所
- 「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
- 1.「全聾の作曲家」佐村河内守氏が別人に作曲を依頼していたことが発覚した事案を審理
2.川内原発をめぐる原子力規制委員会の報道に事実誤認と不適切な編集があったテレビ朝日の報道番組を審議 - 出席者
-
川端委員長、小町谷委員長代行、是枝委員長代行、香山委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、藤田委員、升味委員
1.「全聾の作曲家」と称していた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼していたことが発覚した事案を審理
全聾でありながら『交響曲第1番HIROSHIMA』などを作曲したとして、多くのドキュメンタリー番組等で紹介されていた佐村河内守氏が、実は別人に作曲を依頼していたことが発覚した事案について、問題発覚後の対応のあり方などをめぐって、各局から提出された報告書をもとに意見を交換した。審理の対象になった7番組を放送した5局に対しては、
- (1) 問題発覚直後の視聴者に向けた対応について
- (2) その後の視聴者に向けた対応について
- (3) 視聴者の反応について
- (4) 番組協力者への対応について
- (5) 番組審議会への報告について
- (6) 番組に対する自己検証について
- (7) 再発防止のための取り組みについて
- (8) 上記の取り組みに対する自己評価について
の8項目について、それぞれの番組内容に応じた具体的な質問を設定し、報告を求めた。その結果、すべての局から詳細な報告書が提出され、問題発覚後の各放送局の対応については事実関係がほぼ明らかになった。これまでの調査で各番組の制作過程についても事実関係は明らかになっているが、そのすべてで誤った情報が流され、多くの視聴者に誤解を与えた事案であることを考えると、なぜそのような事態に至ったのか、視聴者への説明責任を果たし誤解を解消するために必要なことは何なのかについて、更なる検証が必要との意見も多く、委員会は、次回も審理を継続する。
2.川内原発をめぐる原子力規制委員会の報道に事実誤認と不適切な編集があったテレビ朝日の『報道ステーション』を審議
テレビ朝日の『報道ステーション』で、原子力規制委員会が九州電力川内原発について新規制基準に適合していると正式に認めたニュースを伝えた際に、事実誤認や不適切な編集があったことが明らかになり、委員会は前回、国民の関心が高いニュースで2つの間違いをしたのは小さな問題とは言えないとして、審議入りを決めた。
当該番組の担当ディレクターやプロデューサーをはじめ、取材担当記者、報道局幹部などあわせて11人を対象にしたヒアリングが10月末に実施され、担当委員からその概要が報告された。「なぜ、印象操作と疑われるような編集がされてしまったのか」「急きょ予定にない項目の放送を決めたため、放送時間が迫る中、分業で作業したことが誤った放送につながっているが、どうすれば良かったのか」「放送前のプロデューサーや記者のチェックは、どうなっていたのか」などの論点について、意見が交わされたほか、当該局で既に実施されている再発防止策の報告も行われた。
今回の審議をふまえて、次回委員会には、担当委員が意見書の原案を提出し、さらに議論を深めることになった。
以上